説明

レーザ測定のデバイスおよび方法

レーザレーダ66などの測定デバイスは、遠隔プローブボリュームに放射を送信するための送信部と、遠隔プローブボリュームからリターンされる放射を検出するための受信部と、検出されたリターン放射を分析するためのプロセッサとを含むことが説明されている。デバイスは、洗浄活動化信号に応答して、窓部54を洗浄するための関連の窓洗浄装置(例えば、ワイパ62)を有する窓部を通る放射を送受信するために適している。プロセッサは、検出されたリターン放射の特性が、前記窓部の少なくとも一部分を通る送信の低下を示したときに、窓洗浄装置を活動状態にするための洗浄活動化信号を生成するように構成されている。一実施形態では、円錐形に走査されたライダ66は、検出されたリターン放射のパワーが、デバイスからの放射の送信角度に応じて変動したときに、洗浄活動化信号を生成することが説明されている。対応する方法および耐候性レーザデバイス50もまた、説明されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測風などのための走査レーザレーダ(ライダ(lidar))デバイスなど、レーザ測定デバイスに関し、詳細には、耐候性筺体内に組み込むために適するこの種のレーザ測定デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
ライダはよく知られており、それを使用して、長年にわたって風の鉛直分布を測定している。ライダデバイスの基本原理はレーザビームを、空間の中で点または領域に方向付けすること、およびリターンされた信号を検出することである。大気中に存在する小さな天然粒子および液滴(エアロゾル)による後方散乱のドップラーシフトされる光の測定を使用して、照準線の風速の測定を行う。この種のデバイスでは、レーザビームは、一般に、風速構成要素が空間の中で複数の点で測定されることを可能にするために走査され、それにより、遠隔プローブボリュームでの風ベクトルが計算されることが可能になる。
【0003】
初期の炭酸ガスレーザベースのライダの一例が、Vaughan、JMら、「Laser Doppler velocimetry applied to the measurement of local and global wind」のWind engineering、第13巻、第1号、1989年に記載されている。より最近は、光ファイバベースのライダシステムも開発されており、例えば、Karlssonら、「Applied Optics」第39巻、第21、20号、2000年7月、およびHarrisら、「Applied Optics」第40巻、1501ページから1506ページ(2001年)を参照のこと。光ファイバベースのシステムは、従来のガスレーザベースのシステムに比べて多数の利点を提供する。例えば、光ファイバベースのシステムは、相対的に小型であり、それは手頃な価格であり、一般に、大変信頼性のある、標準的な電気通信の構成要素を使用して製造可能である。
【0004】
最近の風力利用の増加を受けて、現在、長い期間(例えば、数週間または数か月)にわたって、信頼性のある風速測定を行うことが可能である風速計には必要要件がある。これらの日常的な風速測定を使用して、提案された風力タービン位置の適切性を判断し、既存の風力タービンのパワー抽出の効率性を測定し、または、さらには、風力タービンの制御システムの一部分を形成することが可能である。沖合のウインドファームを設置する計画はまた、長期の、無人の、陸から離れた風速測定を行うための必要要件をもたらし、国際公開第2005/008284号パンフレット(QinetiQ Ltd)には、沖合の開発のためのブイ上に取り付けられたライダデバイスが記載されている。
【0005】
デバイス寿命を延ばすため、および保守の必要要件を最小限にするために、屋外使用を対象とする任意の商業的な可視ライダデバイスが耐候性容器内に配置されることになる。一般的には、この種の容器は、放射がそれを通って送受信共にされる単一の光学的に透明な窓を含むことになる。例えば、国際公開第2005/008284号パンフレットには、放射を送信し、回収するためのガラス窓を備えたブイの内側に取り付けられたライダシステムが記載されている。国際公開第2005/008284号パンフレットにはまた、単純なワイパシステムまたはウォッシュワイプシステムの定期的使用により、いかにして窓を堆積物が取り除かれた状態に保つことが可能であるかが記載されている。しかし、ワイパシステムの活動化には、デバイスのバッテリからのエネルギーが必要であり、デバイスは、限られた量のウォッシャ流体を持つことが可能なだけである。したがって、ウォッシュワイプ洗浄機構の過剰使用により、デバイスのエネルギーとウォッシャ流体の備蓄が減損し、それにより、保守間隔の間の時間が短縮することになる。一方、ウォッシュワイプシステムがあまりにもほとんど使用されなかった場合には、外部窓上に堆積した汚れがある可能性があり、それは結果的に、得られた風速データの損失、またはそのデータの品質低下を招く可能性があるであろう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、上述の欠点のうちの少なくともいくつかを抑制する、耐候性筺体内での使用に適するレーザデバイスを提供することが、本発明の目的である。保守に対して軽減された必要性を有する耐候性レーザレーダデバイスを提供することが、本発明のさらなる目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様によれば、測定デバイスは、窓部を通る放射を遠隔プローブボリュームに送信するための送信部と、遠隔プローブボリュームからその窓部を通ってリターンされた放射を検出するための受信部と、検出されたリターン放射を分析するためのプロセッサとを備え、その窓部は、洗浄活動化信号に応答して、その窓部を洗浄するための関連の窓洗浄装置をそなえ、プロセッサは、遠隔プローブボリュームからリターンされた、その検出された放射の特性が、その窓部の少なくとも一部分を通る送信の低下を示したときに、窓洗浄装置を活動状態にするための洗浄活動化信号を生成するように構成されていることを特徴とする。
【0008】
この方法では、測定デバイス自体(例えば、レーザ風速計)は、所要(例えば、風速)の遠隔測定をするように構成されているだけでなく、関連の窓部の少なくとも一部分を通る送信の低下を示す任意の変更について、リターンされる後方散乱の放射を監視するタスクを実行する。したがって、本発明の測定デバイスにより、任意の関連の耐候性機構の窓洗浄装置(例えば、ウォッシュワイプシステム)は、窓部から汚れなどを取り除くことが必要なときだけ、活動化状態になることが可能になる。したがって、窓洗浄動作間の間隔は最適化され、デバイスは、パワーおよびウォッシャ流体などの洗浄資源の使用を最小限に抑えながら、窓部が堆積物から取り除かれた状態に保たれることを確実にする。
【0009】
上述の利点は、独立型送信センサなどの追加の監視機器に対しての必要要件なく、達成されることに留意されたい。測定デバイスによって既に受信された後方散乱の放射信号の分析を使用して、所要の測定結果(例えば、風速)を得、また窓部がいつ洗浄される必要があるか判定する。したがって、本発明のデバイスは、長期の、無人の測定結果を得ることに非常に適している。
【0010】
有利には、デバイスは、遠隔プローブボリューム内の複数の点に放射を方向付けるための手段を含む。好ましくは、放射を方向付けするための方法は、走査機構を含む。したがって、デバイスは、複数の種々の方向に放射を放出し、かつ/または放射を受信することが可能である。デバイスは、多数の固定された「ルック(look)」方向を有してよく、またはデバイスは、遠隔プローブボリューム内で放射のビームについての角度走査を行うための走査機構を含むことが可能である。任意の走査パターンが使用可能であろうが、典型的には、円錐形の走査が、後述のように使用される。国際公開第2005/008284号パンフレットに記載のように、ランダム、または疑似ランダムの走査もまた、ルック方向が十分な正確さにより知られていることを条件に使用可能であろう。
【0011】
有利には、プロセッサは、検出されたリターン放射のパワーが、デバイスからの放射の送信角度に応じて変動したときに、洗浄活動化信号を生成するように構成されている。つまり、デバイスは、送信/受信ビームの角度に応じてリターンされた放射のパワーを監視するように、およびリターン信号のパワーの実質的角度変動があったときには洗浄活動化信号を生成するように、構成されている。リターンパワーのいずれの角度変動も、窓部の一部分を汚染する汚れ、または「クラッド」によるものである可能性が高く、それにより、窓のその部分を通る放射の送信を低下させることになる。
【0012】
ドップラーライダの場合には、それぞれの測定結果のリターンパワーは、ドップラーパワーのスペクトル(すなわち、ドップラーシフトの関数としてのリターンパワー)の形態であることに留意されたい。この種の場合、リターンされる光すべてのパワーは、リターンパワーとして、(例えば、ドップラースペクトル全体にわたって積分することによって)計算され、プロセッサによって使用されるであろう。送信部は、継続波(CW)またはパルス放射を送信することが可能であることに留意されたい。パルス放射が送信された場合には、パワーという用語は、検出された信号パルスのエネルギーを意味すると受け取るべきである。
【0013】
有利には、プロセッサは、それぞれの複数の相互排他的な角度セグメントから回収の検出されたリターン放射の平均リターンパワーを判定するように構成されており、それぞれの角度セグメントは、デバイスからの放射の送信角度の範囲に対応している。つまり、デバイスによって行われたそれぞれが得たリターンパワーの測定結果は、角度セグメントに割り振り可能であり、その場合、平均リターンパワーは、それぞれの角度セグメントについて計算可能である。平均は、単一の走査全体で、規定の数の走査全体で、または規定の時間期間にわたって、とることが可能である。代替としては、または加えて、移動平均パワーの計算は、それぞれのセグメントについて行われることが可能であろう。
【0014】
好ましくは、複数の角度セグメントは、少なくとも2個のセグメント、少なくとも3個のセグメント、少なくとも4個の角度セグメント、少なくとも5個のセグメント、少なくとも8個のセグメント、少なくとも10個のセグメント、少なくとも15個のセグメント、または少なくとも20個のセグメントからなる。セグメントの角度範囲は、別のセグメントの角度範囲と全く一致していてよく、または異なっていてもよい。セグメントは好ましくは、相互排他的であるが、必要に応じて、重複セグメントが使用可能であろう。
【0015】
より詳細に後述される円錐形に走査されたレーザ風速計の例をとると、送信/受信の角度は、それぞれが角度範囲45°を含む8個の均等な角度セグメントに分割可能であろう。受信部によって検出されたリターン放射は、その場合、適切な角度セグメントに割り振られ、平均(算術平均)リターンパワー値が、そのセグメントに割り振られた測定結果から、それぞれのセグメントについて判定されるであろう。
【0016】
その場合、多数の種々の技術が、窓部上で低下した送信の範囲を識別するためにプロセッサによって用いられることが可能であろう。有利には、プロセッサは、最高平均リターンパワーを有する第1の角度セグメントと、最低平均リターンパワーを有する第2の角度セグメントとを判定するように構成されており、プロセッサは、第1の角度セグメントの平均リターンパワーが第2の角度セグメントの平均リターンパワーを実質的に超えた場合に、洗浄活動化信号を生成する。好ましくは、洗浄活動化信号は、第1の角度セグメントの平均リターンパワーが、第2の角度セグメントの平均リターンパワーを2より大きな因数だけ超えた場合に、生成される。2の因数は、優れた識別を可能にするが、当業者には、この種の因数の正確な値は、必要に応じて、種々の状況に最適化可能であることが分かるであろう。
【0017】
この種の最小/最大の構成では、プロセッサは、様々な角度セグメントについて計算された最小および最大の平均リターンパワー値の実質的な差を求める。上述のように、平均値が判定される時間は、必要に応じて、設定可能であろう。
【0018】
代替としては、プロセッサは、すべてのセグメントの算術平均のリターン強度から、それぞれのセグメントについて平均リターンパワーの標準偏差を計算するように構成可能であり、洗浄活動化信号は、標準偏差が所定値を超えた場合に、生成される。平均リターン強度の標準偏差の増加は、1つまたは複数の角度セグメントについて、低下したリターン強度があることを示している。当業者にはまた、角度セグメントに応じて、平均リターン強度の変動を判断するための多数の代替の技術が認識されるであろう。
【0019】
プロセッサは、生のリターンパワーデータを使用することが可能であろうが、プロセッサは、有利には、それぞれの測定結果について正規化されたリターンパワーを判定するように構成可能であり、その正規化されたリターンパワーは、検出されたリターンパワーおよび関連のリターンパワーの参照値から計算される。
【0020】
参照パワー値は、システムの開始において、またはシステムの起動において、判定可能である。それはまた、定期的に測定可能であり、または継続的に更新可能でもある(例えば、ローリング平均が使用可能である)。この種の正規化処理を使用することの利点は、デバイスの視野に入る物体と関連するいずれの影響も抑えられることである。例えば、正規化処理により、デバイスの付近に一時的に配置されている物体(例えば、車両)と関連する影響が取り除かれ、検出された信号のパワーが増加する(または、減少する)ことになる。このタイプの正規化はまた、特定の関連の窓洗浄機構によって取り除かれることが不可能である窓部上の持続的な汚れの存在下では、洗浄活動化信号が継続的に生成されないことを確実にすることになる。
【0021】
必要に応じて、プロセッサは、正規化されたリターンパワーデータおよび生のリターンパワーデータの両方を分析することが可能である。この種の場合、生のデータは、角度セグメントについてパワーリターンの持続的な低下があるかどうか監視可能であろう。生のデータの強度においてこの種の持続的な低下が検出された場合に、プロセッサはエラー信号を生成して、外部物体(例えば、車両)の存在、または窓洗浄機構によって取り除くことが不可能である窓部上の汚れの存在を示すように構成可能であろう。並行して、正規化されたパワーデータはまた、定期的に得られる参照パワーデータを使用して、生成可能であろう。正規化されたパワーデータの分析は、上述の利点、すなわち、洗浄活動化信号は、持続的な汚れ、またはデバイスの視野に入る物体の存在下では、継続的に生成されないという利点を有するであろう。したがって、この種の構成は、必要に応じて、洗浄活動化信号が生成されることを可能にし、持続的な汚れを取り除こうとして備蓄を減損することがなく、また、得られた測定結果により潜在的な問題を示すフラッグ(すなわち、エラー信号)を生成するであろう。
【0022】
遠隔な範囲では、または海上では、デバイス動作と関連する予測不可能性は、処理技術が、愚かにも、洗浄活動化信号を継続的に生成することがあるという可能性があることを意味する。上述の様々な技術は、この種の発生の機会を抑制することが可能であるが、プロセッサは、有利には、洗浄活動化信号が永続的に生成される場合に、エラー信号を出力するように構成されている。デバイスはまた、この種のエラー信号が生成されたことを伝えるために、遠隔センタとコンタクトを取るための通信手段を含むことが可能である。
【0023】
通信手段はまた、GSM(すなわち、携帯電話)装置、または無線リンクであってよい。別のデータ、例えば得られた測定結果、バッテリ状況、任意の流体備蓄レベルなどもまた、通信リンク全体にわたって伝えられることが可能である。
【0024】
好都合には、デバイスは、モノスタティックである。つまり、受信部および送信部は、実質的に、平行および重なり合う送受信ビームを形成する共通の光学部分を共用する。さらには、送受信ビームの焦点は、この種のモノスタティックの構成が使用されたときには、常に一致する。したがって、送受信ビームは、窓部の同じ部分を常に通ることになる。
【0025】
代替としては、デバイスは、バイスタティックであることが可能であろう。この場合には、送受信機は、離散および分離の光学構成を含む。この種のバイスタティックシステムの場合には、送受信ビームが同じ範囲で集束され、また2つのビームがそれらの焦点の位置で交差することを確実にすることが好ましい。バイスタティック構成の焦点および「スクイント(squint)」を同時に変えるための手段を含むデバイスが、PCT英国特許出願第03/04408号明細書に記載されている。この種の構成では、送受信ビームは、窓部のわずかに異なる部分を通ることが可能である。
【0026】
有利には、プロセッサは、受信部によって検出されたリターン放射の任意のドップラーシフトを判定するように構成されている。受信部によって回収されたリターン(後方散乱)の光は、検出する前に、送信部の光源から抽出される局部発振器信号と混合可能である。この方法では、ヘテロダイン検出システムが実行される。これにより、ドップラーシフトデータは、局部発振器のビート周波数およびリターン(すなわち後方散乱)の光からすぐに抽出されることが可能になる。
【0027】
好都合には、光の送信ビームは、赤外線を含む。例えば、デバイスは、固体レーザを組み込んでいることが可能であり、通信波長1.55μmで動作するように構成可能である。また、本明細書では、用語「光」を使用して、深紫外線から遠赤外線まで、任意の波長の可視および非可視の放射を説明していることにも留意されたい。ライダは、CWまたはパルス動作について構成可能である。
【0028】
好ましくは、送受信機は、光ファイバによってリンクされた光学構成部品を含む。好ましくは、デバイスは、少なくとも1ピースの光ファイバを含む。ファイバベースのこのタイプのシステムは、「すぐに入手可能な(off the shelf)」光学構成部品を使用して製造可能であり、比較的安価であり、ロバストであり、信頼性がある。
【0029】
好都合には、プロセッサは、受信部によって回収された後方散乱の放射のドップラーシフトから風速を計算するように構成されている、つまり、デバイスは、レーザ風速計であることが可能である。代替としては、本発明は、空間の中で遠隔プローブボリュームに放射を方向付けるレーザデバイスに適用可能である。例えば、国際公開第2004/025324号パンフレットおよび国際公開第2004/053518号パンフレットに記載のタイプの示差吸収ライダ(DIAL)デバイス、または振動測定デバイス。
【0030】
有利には、プロセッサは、雨の存在について、それぞれの測定結果のドップラーパワースペクトルを分析するように構成されている。これは、多数の数学関数のうちのいずれか1つを使用してそれぞれのドップラースペクトルの「鋭さ(spikiness)」を判定するステップを含むことが可能である。このやり方では、その検出されたリターン放射の「鋭さ」の特性は、雨がその窓部の少なくとも一部分および恐らくは全てを通る送信を低下させる可能性があるという指標をもたらす。したがって、窓洗浄機構は、その場合、活動化状態になることが可能である。
【0031】
雨検出技術は、窓部を通る送信の別の測定結果との組合せで使用可能である。つまり、円錐形に走査されたレーザ風速計の例では、雨検出技術は、リターン放射のパワーの角度変動を判定するための上述の技術との併用で使用可能である。洗浄活動化信号は、その場合、雨検出または角度の送信変動によってトリガ可能である。
【0032】
有利には、耐候性デバイスが、上述のタイプのデバイスと、耐候性筺体とを含む。耐候性筺体は、好ましくは、実質的に透明な窓部と、窓洗浄機構とを含み、デバイスは耐候性筺体の窓部を通る放射を送受信するように構成されている。耐候性筺体の窓部は、実質的に透明な材料の単一の部品を含んでよく、またはそれは、この種の材料の複数の部品を含んでもよい。また、窓部は、デバイス動作の波長では、実質的に透明であるべきことにも留意されたい。窓部は、過度なシステムの内部加熱および/または別の光源(例えば、日光)による飽和を回避するために、動作の波長以外の波長を遮断するように設計可能である。
【0033】
耐候性筺体は、測定デバイス用に特に設計された特注容器であることが可能である。例えば、強化ケーシングまたはブイがデバイスを保持するために形成可能である。代替の耐候性筺体は、別の品目の一部分であってよい。例えば、測定デバイスは、船舶のキャビン内、または風力タービンのナセルまたはハブの内側に配置可能である。この後者の例では、窓部および/または窓洗浄機構は、筺体(例えば船舶または風力タービン)の既存部分であってよく、またはそれは、必要に応じて、筺体に加えられてもよい。
【0034】
好都合には、デバイスは、地上ベースの、上方に方向付けされる動作のために構成されている。つまり、デバイスは、実質的に垂直に向けられるように、および地上の特定の高さに配置された遠隔プローブボリュームにおける風速を測定するように構成されている。代替としては、デバイスはまた、海上使用(例えば、浮遊性プラットフォーム)または空中浮遊使用についても構成可能である。
【0035】
有利には、窓洗浄機構は、ウォッシュとワイプの機構を含む。代替としては、窓洗浄機構は、実質的に透明なプラスチックフィルムと、外側窓表面全体にフィルムを広げるための手段とを含むことが可能であろう。多数の別のタイプの洗浄機構が、当業者には知られているであろう。
【0036】
最も簡単な場合では、窓洗浄機構は、洗浄動作(例えば、ウォッシュワイプ)を開始する洗浄活動化信号を受信することを留意されたい。しかし、また、窓洗浄機構は、複数の洗浄動作のうちの1つまたは複数を行うための命令を含む洗浄活動化信号を受信するように構成可能である(およびプロセッサは、その信号を生成するように構成可能である)。例えば、洗浄活動化信号は、ワイプのコマンド、またはウォッシュワイプのコマンドを含むことが可能である。その場合、プロセッサは、(例えば、雨が検出された場合には)ワイプのみの動作を、または必要に応じて、(例えば、クラッドが検出された場合には)ウォッシュワイプの動作を活動状態にする。
【0037】
プロセッサはまた、洗浄活動化信号が生成されるべきであるかどうか、または洗浄機構に供給する洗浄活動化信号のタイプを判定したときに、追加の情報を受信するように構成可能である。例えば、プロセッサは、利用可能な流体の備蓄および/または利用可能なパワーの備蓄および/または次の定期保守イベントまでの時間についての情報を受信することが可能である。洗浄活動化信号を生成するための基準は、したがって、この追加の情報を勘案することが可能である。例えば、洗浄活動化信号を生成するための閾値は、流体およびエネルギーの備蓄が減損してくるようになるにつれて、増加可能である。代替としては、流体の備蓄のみが減損してきた場合には、ワイプのみの動作の使用が数回使用可能であり、ワイプすることのみではその問題を解決できなかった場合にだけ、ウォッシュワイプ動作が開始可能である。
【0038】
本発明の第2の態様によれば、測定結果を得る方法は、(i)放射を遠隔プローブボリュームに送信するステップと、(ii)遠隔プローブボリュームからリターンされた放射を検出するステップと、(iii)検出されたリターン放射を分析するステップとを含み、ステップ(i)および(ii)は、洗浄活動化信号に応答して、窓部を洗浄するための関連の窓洗浄装置を有する窓部を通る放射を送受信するステップを含み、ステップ(iii)は、検出されたリターン放射の特性が窓部の少なくとも一部分を通る送信の低下を示したときに、窓洗浄装置を活動状態にするための洗浄活動化信号を生成するステップを含むことを特徴とする。
【0039】
次に、本発明を例示のみの目的で図面を参照にして、説明することにする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
図1を参照すれば、ドップラー風計測ライダ動作の基本原理が示されている。コヒーレントなライダデバイス2は、空間の中で特定の範囲またはいわゆるプローブボリューム6に、レーザビーム4を方向付けるように構成されている。その場合、プローブボリュームを通る10の方向に風によって運ばれる大気エアロゾル8(汚れ、花粉、公害、塩の結晶、水滴など)からの後方散乱のレーザ放射が、ライダデバイス2によって検出される。後方散乱の放射のドップラー周波数シフトの測定は、送信ビームを供給するレーザから導出される安定した局部発振器ビームにより、リターン信号をビートすること(ヘテロダインすること)によって達成される。ドップラーシフトされた周波数は、風速に正比例し、したがって、ライダは較正を要しない。この種のライダ装置の特定の構造についてのより詳細は、他所に見られることが可能であり、例えば、参照により、本明細書に組み込まれるKarlssonら、またはHarrisらの内容を参照のこと(前記の箇所)。
【0041】
コヒーレントなライダデバイス2は、モノスタティックであり、すなわち、それは共通の送受信の光学部分を有する。組み合わせられた送/受信ビームの焦点を調整することにより、デバイスのプローブボリューム6に対する範囲が制御されることが可能になる。いわゆるバイスタティックライダシステムはまた、個別の送受信の光学部分を有することも知られていることに留意されたい。バイスタティックシステムでは、送受信ビームの焦点はビームの交点の場所と一致するように構成されている。バイスタティックシステムでは、デバイスの範囲を調整するときには、送受信ビームの両方の焦点、およびまたシステムの「スクイント」も変更することが好ましい。本明細書では、用語「受信ビーム」を使用して、いずれのリターンされる光も、検出器にそれから方向付けられることになる範囲を示すことに留意されたい。つまり、受信ビームは、光子のビームではなく、単に光がシステムによってそれから受け取られるボリュームを定める疑似または仮想のビームである。
【0042】
図2を参照すれば、上方に向き、円錐形に走査された地上ベースのライダ20のシステムが示されている。使用中には、デバイスは、角度の範囲で風を遮断するために垂直軸24の周りで継続的な円錐形の走査22を行う。これにより、水平風速および方向は、より詳細に後述されるように、計算されることが可能になる。さらには、レーザ焦点の調整により、風が地表面からの高さ(h)の範囲でサンプリングされることが可能になる。
【0043】
円錐形に走査されたライダだけを以下に説明するが、多数の別の走査パターン、固定の複数のビームスキーム、または切り替えの(交換の)開始ビームスキームを使用して、真の風速ベクトルを判定することが可能であることに留意されたい。本出願人の国際公開第2005/008284号パンフレットに記載されているように、ランダムまたは疑似ランダムの走査はまた、それぞれの照準線の速度値と関連の向き(または、ルック)方向が十分な程度の正確さで知られていることを条件に可能である。
【0044】
ドップラー情報を抽出するためには、ライダシステムの検出器の電気出力は、50MHzでデジタル的にサンプリングされ、ドップラースペクトルは、512ポイントの高速フーリエ変換(FFT)として得られる。次に、これらの個々のFFTの256がそれぞれの風のまたはドップラーのスペクトルを作成するために平均化され、これは、測定時間2.6msを示す。大気は、この時間スケールで効果的に凍結され、それにより、スペクトルは、プローブボリュームを通る照準線の風速の瞬間的な空間的変動を表示する。スペクトルは、全体的負荷サイクル6.5%前後に対応する毎秒25前後の割合で作成される。
【0045】
図3は、得られたドップラー風力スペクトルの典型的な例を示している。ドップラースペクトルは、獲得時間2.6msを超えて検出されたときに、ドップラーシフトされた周波数の関数として、リターン信号のパワースペクトル密度を示す。スペクトルでのピークは、プローブボリューム内の風速の感知され得る範囲を示すことが分かることができる。空気流がプローブ全体にわたって完全に均一である場合には、すべての測定結果は、スペクトルのただ1個または2個の「瓶(bin)」の中にあるであろう。実際に、図3では、約10個の瓶が1つの感知され得る信号を含む。
【0046】
照準線の風速は、所定の閾値30より上でスペクトルの重心を計算するアルゴリズムによって、図3のスペクトルから導出される。当業者には、ピークを選択するルーチンなど、多数の代替のデータ分析技術が使用可能であることが理解されるであろう。ドップラー周波数シフトは、その場合、変換係数λ/2、または1MHz毎に0.775ms−1を乗じることによって速度に変換され、すなわち、この較正係数は、長期間にわたり無視できるドリフト(<0.2%)を受ける。図3においてなどの狭く、十分に規定されたスペクトルの場合には、ピーク選択の処理により、最小限の不確実性がもたらされる。空気流がより乱れているときに、より大きなエラーは起こり得るが、これらは移動平均を計算することによって減少可能である。
【0047】
図4は、×40によって表示されている複数の照準線の風速データ点を示し、それぞれは、図3に示すタイプのスペクトルから導出される。風速データ点は、垂直線から30度オフセットされ、1秒毎に1回転の割合での方位角において走査されるビームを使用して得られた。ビームが回転するとき、それは、種々の角度における風を遮断し、それにより、空気の円板の周囲に風速の地図を形成する。
【0048】
均一な空気流では、ドップラーの照準線の速度(VLOS)と走査角度の関係のプロットは、風上および風下の測定結果に対応するピークのドップラー値により整流正弦波の形態をとる。照準線のドップラー速度は、
LOS=|a cos(φ−b)+c| (1)
によって走査角(φ)の関数として説明可能であり、ただし、水平速度(u)および垂直速度(w)は、
u=a/sin30° (2a)
w=c/cos30° (2b)
によって得られ、bは、方位角である。
【0049】
最小平方和(LSS)がフィットするルーチンを使用して、円錐形の走査から得られた獲得照準点速度データを前記式にフィットさせることにより、水平および垂直の風速、ならびに風方位角データが、3秒前後の間隔でそれぞれ得られることが可能になる。データフィットは、実線42によって得られる。
【0050】
方位角における180度の起こり得るあいまい性は、単純な風向計の表示を参照して、容易に解決可能であることに留意されたい。代替としては、ライダは、送信されたビームに対して局部発振器を周波数シフトするために、例えば、Harris(前記の箇所)に記載されているタイプの音響光学の変調器の手段を含むことによって、方向感知機能を組み込むように構成可能であろう。この後者の場合では、ドップラーの照準線速度と走査角の関係は、(非整流の)正弦曲線にフィットされるであろう。
【0051】
次に、図5aおよび5bを参照すれば、本発明の耐候性ライダデバイス50が示されている。デバイス50は、実質的に透明な窓54を含む筺体52を備える。ウォッシャノズル56は、透明窓54の付近で筺体の外側に配置されており、筺体52内の穴部を通るパイプによって、バッテリ駆動のポンプ60を介してウォッシャ流体のタンク58に連結されている。ワイパ62もまた、筺体52の外側に配置され、筺体52内の別の穴部を介してモータ駆動の機構64に連結されている。モータ駆動の機構はまた、バッテリ55から電力を引き込む。デバイス50はまた、やはりバッテリ55に連結されている走査されたライダ66も含み、走査された送受信ビームが窓54を通るように構成されている。
【0052】
防水シール(例えば、ゴムシール)により、筺体内の任意の装置(例えば、ウォッシャパイプおよびワイパ駆動のスピンドルに必要な穴部)が実質的に水密性であることを確実にすることを可能にする。窓54はまた、雨水が水たまりを全く形成しないことを確実にするために、約10°だけ水平から離れて傾斜している。
【0053】
デバイス50の窓54は、光学機能を行わないが、窓が走査されたライダと組み合わせられたときには、光学機能(例えば、ビーム集束)を行うレンズ、または別の光学構成部品(例えば波長選択フィルタ、光学くさびなど)の形態をとることは可能であろう。つまり、窓は、ケーシング内に入れられているライダの光学システムの一部分を形成することが可能であろう。
【0054】
使用中には、走査されたライダ66は、遠隔プローブボリュームを定める空気の円板内で円錐形に走査される同時送受信ビームを形成する。ライダ66の焦点はまた、風の測定結果が得られるデバイスからの範囲を制御するために、必要に応じて変更可能である。ワイパおよび/またはウォッシャは、適切な制御信号がライダ66によって出力されたときに、活動化状態になる。
【0055】
ウォッシャノズル56は、活動化状態になったときに、ウォッシャ流体が透明窓54全体に噴霧されるように構成されている。ウォッシャ流体は、水、石鹸/水溶液、アルコールまたは標準的な車両モニタのウォッシュ溶液を含んでよい。ウォッシャ流体液の合成は、デバイス50が配置されている環境条件(例えば、動作温度)によって左右されることになる。ワイパ62は、活動化状態になったときに、レーザビームがそれを通って送信/受信される窓54の部分全体を掃き、それによりきれいに拭くように構成されているゴムのワイパブレードを含む。
【0056】
ウォッシュ/ワイプの機構が定期的に活動化状態になる従来技術のデバイスと異なり、ライダ66は、ウォッシュおよび/またはワイプの動作がいつ必要になるのかを、受信ビームの入射角の関数として、リターン強度を監視することによって判定するように構成されている。次に、この種の「知的な」窓洗浄を実施するための方法を図6から8を参照して説明する。
【0057】
図6を参照すれば、風速データを得るためにライダによって実行される方位角走査が、いかにして8つの扇形AからHに分割可能であるかが分かることができる。これらの扇形のそれぞれは、ライダによって実行される円錐形の走査の45°の部分に対応する。窓が洗浄された(すなわち、実質的な一片の汚れも全くない)ときに行われる走査の場合には、測定結果の平均信号パワー(すなわち、ドップラースペクトル全体にわたって積分されたリターンパワー)は、ライダの走査角の実質的に不変量であることになる。つまり、正常の均一の散乱状態では、平均信号パワーは、方位角から独立しており、したがって、平均信号パワーは、8個の扇形のそれぞれにおける測定結果について近似的に同一であることになる。
【0058】
しかし、図7に示すように、透明窓70は、レーザビームがそれに沿って走査される経路74の一部分上に汚れ72の範囲を含むことが可能である。汚れは、様々な原因から生じることがあり、例えば、それは、鳥の落とし物(すなわち、鳥の糞)、ぬれ落ち葉などを含んでよい。汚れ72のこの種の領域の存在により、窓70を通って送信される光の量が変更されることになり、したがって、ライダの検出器によって受け取られるリターン信号のパワーを抑えることになる。つまり、方位角の関数として平均信号パワーの変動は、窓70を通る障害レベルの送信を示し、したがって、平均信号パワーは扇形間で異なることになる。
【0059】
図8は、すべての扇形(点線80)についての以前(きれいな窓)の平均信号パワーに対して、図7に示す扇形A〜Hのそれぞれの中で得られる測定結果についての平均信号パワーを示す。リターン強度の過渡変動(例えば、視野全体を移動する雲、または霧)がウォッシュ/パイプの動作をトリガしないことを確実にするために、図8に示す平均信号パワーは複数の走査から導出される。例えば、5分の移動平均が得られることが可能であろう。RIN(相対強度雑音)によって、または高域フィルタリングによって、深刻な影響を受けるいずれのドップラースペクトルから生じる風速データ値は、この種の移動平均計算から省かれる。
【0060】
図8から、扇形CおよびDについての平均信号パワーは、別の6つの扇形(すなわち、A、BおよびE〜H)についての平均信号パワーに比べて、かなり低いことが分かることができる。この信号パワーの低下は、デバイスの窓上に汚れが存在することを示している。多数のデータ処理方法を使用して、いつウォッシュ/ワイプの動作に値するのに十分な平均信号パワーの低下があるのか判定可能である。好ましい技術は、最大平均信号対雑音比(SNR)を有する扇形を、最小平均SNRを有する扇形と比較することである。
【0061】
図8に示す例では、扇形Aが最高平均SNRを有し、扇形Cが最低平均SNRを有することが分かることができる。ライダ66により、最小SNRの信号が、最大SNRの信号の半分である「最大/最小」の閾値を下回った場合に、ウォッシュ/ワイプの動作が開始されるようになり、この種の最大/最小の閾値は、点線82のように示される。2前後の最大/最小の閾値は、ほとんどの用途に適しているが、正確な閾値レベルが、必要に応じて設定可能であることに留意されたい。この種の最大/最小の閾値化技術の代わりに、単純な絶対SNR閾値が適用可能であり、または種々の扇形からの平均パワーの標準偏差が算定可能であろう。当業者にはまた、データが同じ関数を得るためにその中で分析可能である様々な別のやり方も認識されるであろう。
【0062】
ワイパおよび/またはウォッシャ流体から反射することによる信号損失を回避するために、ライダデバイスは、窓が洗浄されている間は、ライダ測定結果は得られないように構成可能である。これによりまた、ライダ測定の精度を低下させる、ウォッシャ/ワイパのモータからの電気的雑音も回避され、デバイスのバッテリから必要なピーク出力パワーが抑えられる。
【0063】
上述のように、閾値化動作は、ライダによって得られたそれぞれのドップラースペクトルから風速データ値を抽出しているときに行われることに留意されたい。したがって、使用可能なリターン信号を得ることを回避するために十分に不透明である汚れは、誤った風速データ値を作成するのではなく、単に「ゼロの」リターンを作成することになる。少数の風速データ点がないことにより、図4に関して説明したタイプのデータフィットを行っているときには、計算された風速ベクトル上に無視できるほどの影響がもたらされるべきである。本出願人の同時係属中の英国国際特許出願第05/001943号明細書に記載されているタイプの異常値棄却技術もまた、この種のデータフィットを行っているときに、適用可能である。また、この種の処理技術はまた、計算された風速データが、ウォッシュ/ワイプの動作中のデータを得ることを継続する必要がある場合には、ワイパを動作させ、またはウォッシャ流体を適用することにより、リターンによる影響を受けないことを確実にすることにも留意されたい。
【0064】
上述の技術は、窓が必要なときにだけ洗浄されることを確実にするロバストなやり方を提供するが、特定のイベントが外側の窓上のほこりの存在に類似して見える場合があることに留意されたい。例えば、リターン信号は、ライダデバイスの付近の物体、(例えば、工場の建物からの)煙流、または持続的な霧峰から、生じる場合がある。この種の物体の存在は、一時的であってよく(例えば、車両、または航空機は、デバイスによってプローブされる領域を通ることが可能であり)、または長期間にわたってその状態のままであってよい。さらには、ウォッシュ/ワイプのシステムが特定のタイプの持続的な汚れを取り除くことが可能でないこともある。したがって、ライダは、ウォッシュ/ワイプの汚れ機構を使用して窓を洗浄するN回の試行の後、低いリターン強度を有するいずれの扇形も無視するように設計されている。この処理は、数時間毎に繰り込み動作を行うことによって実施されるが、多かれ少なかれ度重なる繰り込みが可能である。デバイスはまた、デバイスの扇形からの持続的に低い信号パワーの存在を遠隔操作者に報告するために、「基地にダイヤルする」ように構成可能であり、これは、適切な(恐らくは無線)データまたは電話リンク上で達成可能である。
【0065】
加えて、または代替としては、上述の分析に対して、ライダは、豪雨の存在下で窓洗浄動作(例えば、ウォッシュ/ワイプ)をトリガするように構成可能である。図9aおよび図9bを参照すれば、雨の存在下(図9a)で得られる典型的なドップラースペクトルは、雨が降っていないとき(図9b)に得られる標準的な後方散乱スペクトルに比べて、いかに大きく「鋭い」のかを示している。
【0066】
ドップラースペクトルの「鋭さ」(S)の単純な測定結果は、式を使用して算出可能であり、
【数1】

ただし、iは、スペクトル瓶であり、yは第i番目の瓶の信号強度である。
【0067】
エアロゾルの場合には、Sは小さく、しかし雨の場合には、Sは大きくなるであろう。雨の存在を識別する正確な閾値、および雨がウォッシュ/ワイプを動作させるのに値するほど豪雨になるときの閾値は、デバイス特性によって左右されるであろう。また、Sは、高さにより変動し、垂直な(走査する)または水平な(開始する)動作によってもまた左右されるであろうことにも留意されたい。この例では、ライダは、ライダが中間の高さ(例えば、80m)で集束されるときに、Sを算定するように構成され、Sの値は、移動平均「S」値を生成するように数秒にわたって平均化された。
【0068】
方程式(3)は、ドップラースペクトルの鋭さについて単純な測定結果をもたらすが、当業者には、多数の代替の数学的関数を使用して同じ結果を得ることは可能であることが認識されるであろう。使用される正確な関数は、利用可能なプロセッサのパワーおよび特定の適用によって左右されるであろう。
【0069】
雨の存在は、(すなわち、ドップラースペクトルの鋭さを測定することによって)、図6〜8を参照にして説明した技術により窓上の汚れの存在が示されたときに生成されるものとは異なる出力をライダに生成させることが可能である。例えば、雨が降り始めた場合には、ワイパだけが活動化状態になることが可能であるのに対して、窓上に汚れの存在が検出された場合には、ウォッシュ/ワイプの動作が開始されるであろう。選択される動作はまた、別の環境因子によっても左右されることがあり、例えば、ウォッシャ流体は、その流体が窓上で凍結しないことを確実にするために、温度が特定の閾値レベルを超えたときだけ、適用可能であり、それにより、窓を通る送信を(高めるというよりはむしろ)低下させる。
【0070】
ウォッシュ/ワイプの機構を示しているが、代替の洗浄技術を使用して、ライダからの信号に応答して窓を洗浄することが可能であろう。例えば、フィルムは、窓の外表面全体に広げられることが可能であり、それにより、窓から汚れを取り除く。
【0071】
また、耐候性ライダが、広い範囲の適用には必要であることにも留意されたい。種々の適用は、ライダを入れている耐候性容器に対して、種々の必要要件を課す可能性がある。例えば、水密であるべき容器に対しての必要要件は、海上での使用を対象にしたデバイスの場合と比べて、地上ベースの適用の場合の方が、はるかに厳しくない。また、耐候性容器は、より大きな品目に取付け可能であり、またその品目について不可欠な部分を形成することが可能であることにも留意されたい。例えば、ライダは、船舶または風力タービン内に収容可能であり、ライダは、その場合、ライダのレーザビームがそれを通して方向付けられる船舶/タービンの窓を洗浄する機構(例えば、ワイパ)を活動化状態にする出力信号を生成するように構成されているであろう。
【0072】
風速測定用のライダを上述したが、本発明は、放射のビームが出力窓全体に移動し、または走査される任意のレーザシステムに等しく適用される。例えば、技術は、雲高測定器、走査される示差吸収ライダ(DIAL)システム、範囲プロファイリングライダなどと共に使用可能であろう。非ライダベースのレーザシステムもまた、本発明を用いることが可能であろう。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】ドップラー風計測ライダ動作の基本原理を示す図である。
【図2】上方に向き、円錐形に走査された動作中の風計測ライダシステムの概略図である。
【図3】円錐形の走査における1つの位置で得られ、照準線の風速値が抽出可能である典型的なドップラー信号スペクトルを示すグラフである。
【図4】円錐形に走査されたドップラー風計測ライダから得られる角度の関数として、典型的な風速データを示すグラフである。
【図5a】本発明の耐候性ライダデバイスを示す図である。
【図5b】本発明の耐候性ライダデバイスを示す図である。
【図6】図5aおよび図5bのデバイスからのレーザリターンの8つの扇形分割を示す図である。
【図7】デバイスの窓の扇形上の汚れを示す図である。
【図8】図7に示すデバイスの様々な扇形について、ライダにより記録された積分強度を示すグラフである。
【図9a】ライダデバイスによって得られるドップラースペクトルは、いかにして雨の存在を判定するために分析可能であるかを示すグラフである。
【図9b】ライダデバイスによって得られるドップラースペクトルは、いかにして雨の存在を判定するために分析可能であるかを示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
窓部を通る放射を遠隔プローブボリュームに送信するための送信部と、遠隔プローブボリュームから前記窓部を通ってリターンされる放射を検出するための受信部と、検出されたリターン放射を分析するためのプロセッサとを備え、前記窓部が洗浄活動化信号に応答して、前記窓部を洗浄するための関連の窓洗浄装置を有する、測定デバイスであって、プロセッサが、遠隔プローブボリュームからリターンされた、前記検出された放射の特性が、前記窓部の少なくとも一部分を通る送信の低下を示したときに、窓洗浄装置を活動状態にするための洗浄活動化信号を生成するように構成されていることを特徴とする、測定デバイス。
【請求項2】
遠隔プローブボリューム内の複数の点に、放射を方向付けるための手段を備えた、請求項1に記載の測定デバイス。
【請求項3】
放射を方向付けるための手段が走査機構を備えた、請求項2に記載の測定デバイス。
【請求項4】
プロセッサが、検出されたリターン放射のパワーが、デバイスからの放射の送信角度に応じて変動するときに、洗浄活動化信号を生成するように構成されている、請求項2から3のいずれか一項に記載の測定デバイス。
【請求項5】
プロセッサが、複数の相互排他的な角度セグメントのそれぞれから回収の検出されたリターン放射の平均リターンパワーを判定するように構成され、それぞれの角度セグメントが、デバイスからの放射の送信角度の範囲に対応する、請求項4に記載の測定デバイス。
【請求項6】
前記複数の角度セグメントが、少なくとも4個の角度セグメントからなる、請求項5に記載の測定デバイス。
【請求項7】
プロセッサが、最高平均リターンパワーを有する第1の角度セグメントと、最低平均リターンパワーを有する第2の角度セグメントとを判定するように構成され、プロセッサが、第1の角度セグメントの平均リターンパワーが第2の角度セグメントの平均リターンパワーを実質的に超えた場合に、洗浄活動化信号を生成する、請求項5から6のいずれか一項に記載の測定デバイス。
【請求項8】
洗浄活動化信号が、第1の角度セグメントの平均リターンパワーが第2の角度セグメントの平均リターンパワーを2より大きな因数だけ超えた場合に、生成される、請求項7に記載の測定デバイス。
【請求項9】
プロセッサが、すべてのセグメントの算術平均リターン強度から、それぞれのセグメントについて、平均リターンパワーの標準偏差を計算するように構成され、洗浄活動化信号は、標準偏差が所定値を超えた場合に、生成される、請求項5から6のいずれかに記載の測定デバイス。
【請求項10】
プロセッサが、それぞれの測定結果について、正規化されたリターンパワーを判定するように構成され、前記正規化されたリターンパワーが検出されたリターンのパワーおよび関連のリターンパワー参照値から計算される、請求項1から9のいずれかに記載の測定デバイス。
【請求項11】
プロセッサが、洗浄活動化信号が持続的に生成された場合に、エラー信号を出力するように構成されている、請求項1から10のいずれかに記載の測定デバイス。
【請求項12】
遠隔センタとコンタクトを取るための通信手段を備えた、請求項1から11のいずれかに記載の測定デバイス。
【請求項13】
送信部によって形成される送信ビームと、受信部によって規定される受信ビームとが、使用中に遠隔プローブボリュームの中で継続的に交差するように構成されている、請求項1から12のいずれかに記載の測定デバイス。
【請求項14】
前記送信部および前記受信部が、モノスタティックな送受信部を備えた、請求項1から13のいずれかに記載の測定デバイス。
【請求項15】
プロセッサが、受信部によって検出されるリターン放射のいずれのドップラーシフトも判定するように構成されている、請求項1から14のいずれかに記載の測定デバイス。
【請求項16】
プロセッサが、受信部によって回収される後方散乱の放射のドップラーシフトから風速を計算するように構成されている、請求項15に記載の測定デバイス。
【請求項17】
プロセッサが、雨の存在について、それぞれの測定結果のドップラーパワースペクトルを分析するように構成されている、請求項15から16のいずれか一項に記載の測定デバイス。
【請求項18】
ドップラースペクトルの分析が、それぞれのドップラースペクトルの「鋭さ」を分析するステップを含む、請求項17に記載の測定デバイス。
【請求項19】
使用中に、送信部が継続波放射を遠隔プローブボリュームに送信する、請求項1から18のいずれかに記載の測定デバイス。
【請求項20】
使用中に、送信部が遠隔プローブボリュームにパルス放射を送信する、請求項1から18のいずれかに記載の測定デバイス。
【請求項21】
請求項1から20のいずれかに記載のデバイスと、耐候性筺体とを備えた耐候性デバイスであって、前記耐候性筺体が実質的に透明な窓部と、窓洗浄機構とを備え、デバイスが耐候性筺体の窓部を通る放射を送受信するように構成されている、耐候性デバイス。
【請求項22】
窓洗浄機構がウォッシュとワイプの機構を備えた、請求項21に記載の耐候性デバイス。
【請求項23】
(i)遠隔プローブボリュームに放射を送信するステップと、
(ii)遠隔プローブボリュームからリターンされる放射を検出するステップと、
(iii)検出されたリターン放射を分析するステップとを含み、
ステップ(i)および(ii)が、洗浄活動化信号に応答して、前記窓部を洗浄するための関連の窓洗浄装置を有する窓部を通る放射を送受信するステップを含む、測定結果を得る方法であって、ステップ(iii)は、前記検出されたリターン放射の特性が、前記窓部の少なくとも一部分を通る送信の低下を示したとき、窓洗浄装置を活動状態にするための洗浄活動化信号を生成するステップを含むことを特徴とする、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5a】
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【図5b】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9a】
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【図9b】
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【公表番号】特表2009−503486(P2009−503486A)
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−523461(P2008−523461)
【出願日】平成18年7月28日(2006.7.28)
【国際出願番号】PCT/GB2006/002847
【国際公開番号】WO2007/012878
【国際公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【出願人】(501352882)キネテイツク・リミテツド (93)
【Fターム(参考)】