説明

レーザ測距装置及びレーザ測距方法

【課題】ターゲットとの距離に応じた受信レベルの変化に幅広く対応して、必要なダイナミックレンジを確保するとともに、機械的な可動部による信頼性の低下を回避する。
【解決手段】レーザダイオード2から出力されるパルスレーザ光をターゲットに向けて送信するとともに、ターゲットに反射したパルスレーザ光を、受信光の波長を選択するバンドパスフィルタ4を介して受信し、送受信したパルスレーザ光の回帰時間測定に基づいて、ターゲットとの距離を測定するレーザ測距装置1又はレーザ測距方法において、レーザダイオード2の加温や冷却に基づいて、レーザダイオード2から出力されるパルスレーザ光の波長を変更し、レーザダイオード2から出力されるパルスレーザ光の波長を、バンドパスフィルタ4の透過中心波長に対してシフトさせることにより、ターゲットに反射したパルスレーザ光の受信レベルを制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザダイオード(LD)から出力されるパルスレーザ光をターゲットに向けて送信するとともに、ターゲットに反射したパルスレーザ光を受信し、送受信したパルスレーザ光の回帰時間測定に基づいて、ターゲットとの距離を測定するレーザ測距装置及びレーザ測距方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、所望のターゲットに向けて照射したパルスレーザ光が当該ターゲットに反射して戻ってくるまでの回帰時間に基づいて、ターゲットとの距離を測定するレーザ測距装置が知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
この種のレーザ測距装置のなかでも、特に、人工衛星や宇宙ステーションに対して輸送機をドッキングさせる際に使用するランデブドッキング用のレーザ測距装置や、ヘリコプタを着陸位置まで誘導する際に使用する着陸誘導用のレーザ測距装置においては、高精度と高信頼性が要求されるだけでなく、広いダイナミックレンジの確保が必要となる。
【0003】
従来、人工衛星や宇宙ステーションのランデブドッキング用のレーザ測距装置は、輸送機側に搭載されており、人工衛星や宇宙ステーションに付設されたマーカ(コーナキューブリフレクタ等)をターゲットとして、2次元のスキャナによりパルスレーザ光を走査し、ターゲットに反射したパルスレーザ光の回帰時間測定から得られる距離情報と、スキャナの角度検出から得られる位置情報とを出力するように構成されている。
このような2次元走査型のレーザ測距装置では、ターゲットとの距離によって受信レベル(受信光量)に6〜7桁の変化が生じるため、光検知器や受光回路の飽和などから受信波形が歪み、測距精度が低下するという問題がある。
このため、従来では、受信レベルに応じて受光回路の増幅率を制御したり、送受信光路中に可変フィルタを設置することにより、受信レベルの変化による測距精度の低下を抑制し、必要なダイナミックレンジを確保している。
【0004】
【特許文献1】特開平11−287859号公報
【特許文献2】特開2006−030181号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、電気的に受光回路の増幅率を変化させる方法は、少なからず受信波形に歪みを与えるほか、ノイズの増加にもつながるため、測距精度への影響を考慮すると、最大でも4桁程度の受信レベル変化に対応するのが限界であり、それを超える受信レベル変化には対応が困難であった。
一方、可変フィルタは、光学的に受信レベルを変化させるため、測距精度への影響は少ないが、現存の可変フィルタは、機械的にフィルタを駆動させることにより、フィルタ濃度を変化させるので、高信頼性が要求される宇宙機器などでは、信頼性を保証することが困難であった。また、可変フィルタを用いる方法でも、単独では4桁程度の受信レベル変化に対応することしかできず、6桁以上の受信レベル変化に対応するには、他の方法を組み合せる必要があった。
【0006】
本発明は、以上のような従来の技術が有する問題を解決するために提案されたものであり、ターゲットとの距離に応じた受信レベルの変化に幅広く対応して、必要なダイナミックレンジを確保するとともに、機械的な可動部による信頼性の低下を回避することができるレーザ測距装置及びレーザ測距方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため本発明のレーザ測距装置は、レーザダイオードから出力されるパルスレーザ光をターゲットに向けて送信するとともに、前記ターゲットに反射したパルスレーザ光を、受信光の波長を選択するバンドパスフィルタを介して受信し、送受信したパルスレーザ光の回帰時間測定に基づいて、前記ターゲットとの距離を測定するレーザ測距装置であって、前記レーザダイオードの温度を制御することにより、前記レーザダイオードから出力されるパルスレーザ光の波長を変更する出力波長変更手段と、前記レーザダイオードから出力されるパルスレーザ光の波長を、前記バンドパスフィルタの透過中心波長に対してシフトさせることにより、前記ターゲットに反射したパルスレーザ光の受信レベルを制御する受信レベル制御手段と、を備える構成としてある。
【0008】
このような構成からなる本発明のレーザ測距装置によれば、ターゲットとの距離に応じた受信レベルの変化に幅広く対応して、必要なダイナミックレンジを確保することができる。
例えば、一般的に測距用として用いられるレーザダイオード(波長:約800nm、温度による波長変化:1℃あたり約0.3nm)とバンドパスフィルタ(干渉フィルタ)との組み合わせでは、パルスレーザ光の透過帯域波長幅を1nmとした場合、レーザダイオードの温度制御(加温又は冷却)によるパルスレーザ光の中心波長変更(10nm〜20nm)に基づいて、受信レベルを6桁の範囲で減衰させることができる。これにより、ターゲットとの距離に応じた6桁程度の受信レベル変化を吸収し、極めて広いダイナミックレンジで要求精度を満たすことができる。
しかも、レーザダイオードの加温や冷却は、ベルチェ素子などの非機械要素を用いて行うことができるので、機械的な可動部による信頼性の低下を回避し、高い信頼性を確保できる。
【0009】
また、本発明のレーザ測距装置は、前記受信レベル制御手段が、前記ターゲットとの測定距離に応じて、前記レーザダイオードから出力されるパルスレーザ光の波長を変更することにより、前記ターゲットに反射したパルスレーザ光の受信レベルを制御する構成としてある。
このような構成とすることにより、受信レベルの微細な変動などに影響を受けることなく、パルスレーザ光の波長を変更し、受光レベルを安定的に制御することができる。
【0010】
また、本発明のレーザ測距装置は、前記受信レベル制御手段が、前記ターゲットに反射したパルスレーザ光の受信レベルを検出し、検出した受信レベルに応じて、前記レーザダイオードから出力されるパルスレーザ光の波長を変更することにより、前記ターゲットに反射したパルスレーザ光の受信レベルを制御する構成としてある。
このような構成とすることにより、フィードバックされる受光レベルに応じて、パルスレーザ光の波長を変更し、受光レベルを高精度に制御することができる。
【0011】
また、本発明のレーザ測距方法は、レーザダイオードから出力されるパルスレーザ光をターゲットに向けて送信するとともに、前記ターゲットに反射したパルスレーザ光を、受信光の波長を選択するバンドパスフィルタを介して受信し、送受信したパルスレーザ光の回帰時間測定に基づいて、前記ターゲットとの距離を測定するレーザ測距方法であって、前記レーザダイオードの温度を制御することにより、前記レーザダイオードから出力されるパルスレーザ光の波長を変更し、前記レーザダイオードから出力されるパルスレーザ光の波長を、前記バンドパスフィルタの透過中心波長に対してシフトさせることにより、前記ターゲットに反射したパルスレーザ光の受信レベルを制御する方法としてある。
【0012】
また、本発明のレーザ測距方法は、前記ターゲットとの測定距離に応じて、前記レーザダイオードから出力されるパルスレーザ光の波長を変更することにより、前記ターゲットに反射したパルスレーザ光の受信レベルを制御する方法としてある。
さらに、本発明のレーザ測距方法は、前記ターゲットに反射したパルスレーザ光の受信レベルを検出し、検出した受信レベルに応じて、前記レーザダイオードから出力されるパルスレーザ光の波長を変更することにより、前記ターゲットに反射したパルスレーザ光の受信レベルを制御する方法としてある。
【0013】
このように、本発明は上述したレーザ測距装置の発明としてだけでなく、方法発明としても実現化することができる。
従って、本発明は、適用する装置のハードウェア構成等にとらわれることなく実施することができ、柔軟性、汎用性、拡張性に優れたレーザ測距方法として提供することが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ターゲットとの距離に応じた受信レベルの変化に幅広く対応して、必要なダイナミックレンジを確保することができる。
しかも、レーザダイオードの加温や冷却は、ベルチェ素子などの非機械要素を用いて行うことができるので、機械的な可動部による信頼性の低下を回避し、高い信頼性を確保できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明のレーザ測距装置及びレーザ測距方法の好ましい実施形態について、図面を参照して説明する。
まず、図1を参照して、本発明の一実施形態に係るレーザ測距装置の概略全体構成について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るレーザ測距装置の構成を示すブロック図である。
【0016】
同図に示すように、本実施形態に係るレーザ測距装置1は、人工衛星や宇宙ステーションへ輸送機がドッキングする際に使用されるランデブドッキング用のレーザ測距装置である。
具体的には、本実施形態に係るレーザ測距装置1は、レーザダイオード2、送受信光学部3、バンドパスフィルタ4、受信光用光検知器5、送信光用光検知器6、受光回路7、レベル検出部8、測距カウンタ部9、スキャナ部10、スキャナ駆動部11、制御部12及び電源部13の各部を備えた構成となっている。
【0017】
レーザダイオード2は、所望の測距ターゲットに向けて照射するパルスレーザ光を出力する。
一般的に測距用として用いられるレーザダイオード2は、波長が800nm程度のパルスレーザ光を出射するが、温度によって半導体のバンドギャップが変化し、1℃あたり約0.3nmの波長変化が生じる(温度が上ると波長が長くなる)。
送受信光学部3は、送信するパルスレーザ光を整形し、かつ、受信光を受信光用光検知器5へ伝送する。
バンドパスフィルタ(干渉フィルタ)4は、光学的に受信光の波長を選択する。これにより、受信光の中から背景光を分離し、ターゲットに反射したパルスレーザ光を抽出することができる。
【0018】
受信光用光検知器5は、受信光を検知して電気信号に変換する。
送信光用光検知器6は、送信光を検知して電気信号に変換する。
受光回路7は、電気信号に変換された送信信号及び受信信号を増幅し、所定の閾値をもってタイミング信号に変換する。
レベル検出部8は、受信光のレベルを検出する。
測距カウンタ部9は、受光回路7で変換されたタイミング信号に基づいて、送受信されたパルスレーザ光の回帰時間をカウントする。
【0019】
スキャナ部10は、パルスレーザ光を2次元に走査する。
スキャナ駆動部11は、スキャナ部10に角度指令信号を送信する。
制御部12は、スキャナ駆動部11を介してスキャナ制御を行うとともに、各部から受信レベル検出データ、測距カウントデータ(距離情報)、角度データ(位置情報)を取得する。
電源部13は、各部に電力を供給する。
【0020】
以上のような構成からなる本実施形態のレーザ測距装置1においては、まず、レーザダイオード2から出力されたパルスレーザ光は、送受信光学系で整形され、スキャナ部10へ伝送される。
スキャナ部10では、パルスレーザ光を2軸に走査することで、ターゲットとの距離と角度の3次元情報を得ることができる。
通常の測距機能では、ターゲットからの反射光を受信し、バンドパスフィルタ4で背景光との分離を行い、送信したパルスレーザ光のみを抽出し、受光回路7で増幅及びタイミング信号への変換を行い、送信時とのパルス位相ずれ時間をカウントすることで、ターゲットまでの距離を測定する。
【0021】
以下、本実施形態に係るレーザ測距装置1における特有の構成及び動作について、図1及び図2を参照しつつ詳述する。
図2は、バンドパスフィルタの透過波長領域とレーザダイオードの発振波長領域との関係を示す説明図である。
図1及び図2に示すように、本実施形態に係るレーザ測距装置1では、レーザダイオード2の温度を制御することより、レーザダイオード2から出力されるパルスレーザ光の波長を変更する出力波長変更手段と、レーザダイオード2から出力されるパルスレーザ光の波長を、バンドパスフィルタ4の透過中心波長に対してシフトさせることにより、ターゲットに反射したパルスレーザ光の受信レベルを制御する受信レベル制御手段とを備えている。
【0022】
具体的には、出力波形変更手段は、ベルチェ素子などを用いてレーザダイオード2を加温・冷却する温度制御部14により構成される。
また、受信レベル制御手段は、受信レベル検出データや測距カウントデータに基づいて温度制御部14を制御する制御部12により構成される。
そして、このような構成を備えることで、測距ターゲットまでの距離が遠距離の場合には、レーザダイオード2の波長がバンドパスフィルタ4の透過中心波長に合致するような温度にレーザダイオード2の温度制御を行う。
【0023】
具体的には、レーザ測距装置1を搭載した宇宙器用輸送機は、ランデブドッキングのためにターゲットまでの距離が近づき、それに伴って受信光量が増加してくる。
そこで、距離と受信レベルを連続的に計測することで受信受光の変化を検出し、最適な受信レベルになるようにレーザダイオード2に設置した温度制御部14に対し、制御部12から温度制御信号を送信する。
これにより、受信光の受信レベルをほぼ一定に保つことができ、遠距離から近距離までの広いダイナミックレンジにおいて測距精度を確保できる。
【0024】
例えば、一般的に測距用として用いられるレーザダイオード(波長:約800nm、温度による波長変化:1℃あたり約0.3nm)とバンドパスフィルタ(干渉フィルタ)との組み合わせでは、パルスレーザ光の透過帯域波長幅を1nmとした場合、温度制御によるパルスレーザ光の中心波長変更(10nm〜20nm)に基づいて、受信レベルを6桁の範囲で減衰させることができる。
これにより、ターゲットとの距離に応じた6桁程度の受信レベル変化を吸収し、極めて広いダイナミックレンジで要求精度を満たすることができる。
しかも、レーザダイオード2の加温や冷却は、ベルチェ素子などの非機械要素を用いて行うことができるので、機械的な可動部による信頼性の低下を回避し、高い信頼性を確保できる。
【0025】
受信レベル制御手段は、受信レベルに応じてパルスレーザ光の波長を変更してもよいし、ターゲットとの距離に応じてパルスレーザ光の波長を変更してもよい。そして、受信レベルに応じてパルスレーザ光の波長を変更する場合は、受光レベルをフィードバック制御により高精度に制御できるという利点があり、また、ターゲットとの距離に応じてパルスレーザ光の波長を変更する場合は、受信レベルの微細な変動などに影響を受けることなく、受光レベルを安定的に制御できるという利点がある。
【0026】
次に、制御部12において実行される受信レベル制御の具体例について、図3及び図4を参照して説明する。
図3は、本実施形態のレーザ測距装置における受信レベル制御の制御手順を示すフローチャートである。
また、図4は、同じく実施形態のレーザ測距装置における受信レベル制御の作用説明図である。
【0027】
図3に示すように、受信レベル制御では、まず、測距中であるか否かを判断し(S1)、この判断結果がYESの場合は、測定距離に基づいてターゲットとの距離が遠距離であるか否かを判断する(S2)。
この判断結果がYESの場合は、レーザダイオード2の発振波長がバンドパスフィルタ4の透過中心波長に一致するように、レーザダイオード2の温度をあらかじめ設定された最大透過温度に制御する(S3)。
【0028】
一方、測定距離が中距離又は近距離である場合は、検出受信レベルと目標範囲下限レベルとを比較する(S4)。
ここで、検出受信レベルが目標範囲下限レベルよりも低い場合は、受信レベルが目標範囲に未到達であるか否かを判断し(S5)、この判断結果がYESの場合は、前記のステップS3を実行するが、判断結果がYESの場合は、レーザダイオード2を冷却して、レーザダイオード2の発振波長中心をバンドパスフィルタの透過中心波長に近付ける(S6)。
【0029】
また、測定距離が中距離又は近距離であり、かつ、検出受信レベルが目標範囲下限レベル以上の場合は、検出受信レベルと目標範囲上限レベルとを比較する(S7)。
ここで、検出受信レベルが目標範囲上限レベルよりも高い場合は、レーザダイオード2を加温して、レーザダイオード2の発振波長中心をバンドパスフィルタの透過中心波長から遠ざけ(S8)、また、検出受信レベルが目標範囲上限レベル以下の場合は、現在のレーザダイオード温度を維持する(S9)。
これにより、図4に示すように、中距離範囲及び近距離範囲においては、受信レベルを目標範囲内で推移させ、受信レベルの変動による測距精度の低下を回避し、極めて広いダイナミックレンジにおいて要求精度を満たすことができる。
【0030】
以上のように構成された本実施形態によれば、レーザダイオード2から出力されるパルスレーザ光をターゲットに向けて送信するとともに、ターゲットに反射したパルスレーザ光を、受信光の波長を選択するバンドパスフィルタ4を介して受信し、送受信したパルスレーザ光の回帰時間測定に基づいて、ターゲットとの距離を測定するレーザ測距装置1において、レーザダイオード2の加温や冷却に基づいて、レーザダイオード2から出力されるパルスレーザ光の波長を変更し、レーザダイオード2から出力されるパルスレーザ光の波長を、バンドパスフィルタ4の透過中心波長に対してシフトさせることができる。
【0031】
これにより、ターゲットに反射したパルスレーザ光の受信レベルを制御することが可能となり、ターゲットとの距離に応じた受信レベルの変化に幅広く対応して、必要なダイナミックレンジを確保することができる。
しかも、レーザダイオード2の加温や冷却は、ベルチェ素子などの非機械要素を用いて行うことができるので、機械的な可動部による信頼性の低下を回避し、高い信頼性を確保できる。
【0032】
以上、本発明に係るレーザ測距装置及びレーザ測距方法について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明に係るレーザ測距装置及びレーザ測距方法は、上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
例えば、上述した実施形態では、人工衛星や宇宙ステーションへ輸送機がドッキングする際に使用されるランデブドッキング用のレーザ測距装置を例にとって説明したが、本発明のレーザ測距装置及びレーザ測距方法は、これらの用途に限定されるものではない。
【0033】
本発明のレーザ測距装置は、人工衛星や宇宙ステーションに対して輸送機をドッキングさせる際に使用するランデブドッキング用のレーザ測距装置の他、ヘリコプタを着陸位置まで誘導する際に使用する着陸誘導用のレーザ測距装置のように、高精度と高信頼性が要求され、かつ、広いダイナミックレンジの確保が必要となるレーザ測距装置やレーザ測距方法であれば、どのような用途・分野の装置等に対しても好適に適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、レーザダイオードから出力されるパルスレーザ光をターゲットに向けて送信するとともに、ターゲットに反射したパルスレーザ光を受信し、送受信したパルスレーザ光の回帰時間測定に基づいて、ターゲットとの距離を測定する各種のレーザ測距装置及びレーザ測距方法として好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の一実施形態に係るレーザ測距装置の構成を示すブロック図である。
【図2】バンドパスフィルタの透過波長領域とレーザダイオードの発振波長領域との関係を示す説明図である。
【図3】受信レベル制御の制御手順を示すフローチャートである。
【図4】受信レベル制御の作用説明図である。
【符号の説明】
【0036】
1 レーザ測距装置
2 レーザダイオード
3 送受信光学部
4 バンドパスフィルタ
5 受信光用光検知器
6 送信光用光検知器
7 受光回路
8 レベル検出部
9 測距カウンタ部
10 スキャナ部
11 スキャナ駆動部
12 制御部
13 電源部
14 温度制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザダイオードから出力されるパルスレーザ光をターゲットに向けて送信するとともに、前記ターゲットに反射したパルスレーザ光を、受信光の波長を選択するバンドパスフィルタを介して受信し、送受信したパルスレーザ光の回帰時間測定に基づいて、前記ターゲットとの距離を測定するレーザ測距装置であって、
前記レーザダイオードの温度を制御することにより、前記レーザダイオードから出力されるパルスレーザ光の波長を変更する出力波長変更手段と、
前記レーザダイオードから出力されるパルスレーザ光の波長を、前記バンドパスフィルタの透過中心波長に対してシフトさせることにより、前記ターゲットに反射したパルスレーザ光の受信レベルを制御する受信レベル制御手段と、
を備えることを特徴とするレーザ測距装置。
【請求項2】
前記受信レベル制御手段が、
前記ターゲットとの測定距離に応じて、前記レーザダイオードから出力されるパルスレーザ光の波長を変更することにより、前記ターゲットに反射したパルスレーザ光の受信レベルを制御する請求項1記載のレーザ測距装置。
【請求項3】
前記受信レベル制御手段が、
前記ターゲットに反射したパルスレーザ光の受信レベルを検出し、検出した受信レベルに応じて、前記レーザダイオードから出力されるパルスレーザ光の波長を変更することにより、前記ターゲットに反射したパルスレーザ光の受信レベルを制御する請求項1又は2記載のレーザ測距装置。
【請求項4】
レーザダイオードから出力されるパルスレーザ光をターゲットに向けて送信するとともに、前記ターゲットに反射したパルスレーザ光を、受信光の波長を選択するバンドパスフィルタを介して受信し、送受信したパルスレーザ光の回帰時間測定に基づいて、前記ターゲットとの距離を測定するレーザ測距方法であって、
前記レーザダイオードの温度を制御することにより、前記レーザダイオードから出力されるパルスレーザ光の波長を変更し、
前記レーザダイオードから出力されるパルスレーザ光の波長を、前記バンドパスフィルタの透過中心波長に対してシフトさせることにより、前記ターゲットに反射したパルスレーザ光の受信レベルを制御する
ことを特徴とするレーザ測距方法。
【請求項5】
前記ターゲットとの測定距離に応じて、前記レーザダイオードから出力されるパルスレーザ光の波長を変更することにより、前記ターゲットに反射したパルスレーザ光の受信レベルを制御する請求項4記載のレーザ測距方法。
【請求項6】
前記ターゲットに反射したパルスレーザ光の受信レベルを検出し、検出した受信レベルに応じて、前記レーザダイオードから出力されるパルスレーザ光の波長を変更することにより、前記ターゲットに反射したパルスレーザ光の受信レベルを制御する請求項4又は5記載のレーザ測距方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−224239(P2008−224239A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−58889(P2007−58889)
【出願日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】