説明

レーザ溶接装置、およびレーザ溶接方法

【課題】溶接部に発生したエッジ部に対してレーザを照射して除去し、その存在を無くすことによって、エッジ部が存在することによって招かれる溶接部材の品質の低下を防止するレーザ溶接装置、およびレーザ溶接方法を提供する。
【解決手段】レーザ溶接装置100は、第1のレーザ照射部の動作を制御して溶接軌跡に沿ってレーザを照射するとともに、第2のレーザ照射部の動作を制御して溶接部230のエッジ部235、236に対してレーザを照射することによって、溶接部に発生したエッジ部を除去させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ溶接装置、およびレーザ溶接方法に関する。
【背景技術】
【0002】
溶接部材にレーザを照射して溶接部材同士を溶接するレーザ溶接方法が知られている(特許文献1参照)。この種のレーザ溶接方法にあっては、溶接部材に予め設定された溶接部に対してレーザを照射し、溶接部材を溶融させて溶接を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−162389
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、重ね合わせた溶接部材同士を溶接する重ね合わせ溶接に上記のレーザ溶接方法を適用すると、溶接部材間に生じた隙間に溶融した溶接部材が流れ込むことによって、溶接部に落ち窪んだ部位が形成されることがある。溶接部には、落ち窪んだ部位の形成に伴ってエッジ部が発生する。
【0005】
溶接後の溶接部材には、一般的に、防錆等を目的とした塗膜を形成するための塗装工程を実施する。しかしながら、上記のエッジ部においては、他の部位と比較して薄く塗膜が形成され易くなる。塗膜が薄く形成された部位では防錆機能を長期に亘って維持することができず、溶接部材の品質の低下が生じる虞がある。このように、溶接部に存在するエッジ部が後工程において悪影響を及ぼし、溶接部材の品質の低下を招くという問題がある。
【0006】
そこで本発明は、溶接部に発生したエッジ部を除去してその存在を無くすことによって、エッジ部が存在することによって招かれ得る溶接部材の品質の低下を防止するレーザ溶接装置、およびレーザ溶接方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のレーザ溶接装置は、第1と第2の溶接部材における溶接部に対してレーザを照射する第1のレーザ照射部と、溶接部のエッジ部を除去するためのレーザを照射する第2のレーザ照射部と、第1と第2のレーザ照射部の動作を制御する制御部と、を有している。そして、制御部は、第1のレーザ照射部の動作を制御して溶接軌跡に沿ってレーザを照射させるとともに、第2のレーザ照射部の動作を制御して溶接部のエッジ部に対してレーザを照射させる。
【0008】
また、本発明のレーザ溶接方法は、第1と第2の溶接部材に対してレーザを照射して溶接するレーザ溶接方法であって、第1と第2の溶接部材における溶接部に対して溶接軌跡に沿うようにレーザを照射する第1のレーザ照射工程を有している。さらに、溶接部のエッジ部に対してエッジ部を除去するためのレーザを照射する第2のレーザ照射工程を有している。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、溶接部に発生したエッジ部に対してレーザを照射して除去し、その存在を無くすことによって、エッジ部が存在することによって招かれる溶接部材の品質の低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施形態に係るレーザ溶接装置を簡略化して示す図である。
【図2】図2(A)〜(C)は、レーザ加工ヘッドを説明するための図であり、図2(A)は、レーザ加工ヘッドを簡略化して示す斜視図、図2(B)は、図2(A)の矢印2B方向から見た矢視図、図2(C)は、図2(A)の矢印2C方向から見た矢視図である。
【図3】図3(A)、および(B)は、レーザ溶接方法を説明するための図であり、図3(A)は、レーザ照射時における溶接部材の斜視図、図3(B)は、図3(A)の3B−3B線に沿う断面図である。
【図4】図4(A)〜(C)は、レーザ溶接方法を説明するための図であり、図4(A)は、レーザ照射時における溶接部材の斜視図、図4(B)は、図4(A)の4B−4B線に沿う断面図、図4(C)は、図4(A)の4C−4C線に沿う断面図である。
【図5】エッジ部を除去するためのレーザの走査軌跡を説明するための溶接部材の斜視図である。
【図6】図6(A)、および(B)は、レーザ溶接後の溶接部の断面を拡大して示す図であり、図6(A)は、溶接部に残存したエッジ部に塗膜を形成した状態を示す断面図、図6(B)は、図4(C)において破線で囲まれた部位に塗膜を形成した状態を示す断面図である。
【図7】図7(A)、および(B)はそれぞれ、対比例に係るレーザ溶接方法を説明するための断面図である。
【図8】図8(A)、および(B)は、変形例に係るレーザ溶接装置を説明するための図であり、図8(A)は、レーザ加工ヘッドの平面図、図8(B)は、変形例に係るレーザ溶接方法を説明するための溶接部材の斜視図である。
【図9】図9(A)、および(B)は、適用例に係るレーザ溶接方法を説明するための図であり、図9(A)は、レーザ照射時における溶接部材の斜視図、図9(B)は、図9(A)において破線で囲んだ部位を拡大して示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付した図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0012】
図1には、本実施形態に係るレーザ溶接装置100を示す。本実施形態にあっては、本発明を、重ね合わせた鋼板210、220に対してレーザを照射して溶接を行うレーザ溶接装置100、およびレーザ溶接方法に適用している。鋼板210、220は、図示しないクランプ装置によってクランプさせて重ね合わせている。
【0013】
図1〜図4を参照して、レーザ溶接装置100を概説すれば、レーザ溶接装置100は、第1の溶接部材210と第2の溶接部材220とにおける溶接部230に対してレーザを照射する第1のレーザ照射部110と、溶接部230のエッジ部235、236を除去するためのレーザを照射する第2のレーザ照射部120と、第1のレーザ照射部110と第2のレーザ照射部120の動作を制御する制御部170と、を有している。制御部170は、第1のレーザ照射部110の動作を制御して溶接軌跡に沿ってレーザを照射させるとともに、第2のレーザ照射部120の動作を制御して溶接部230のエッジ部235、236に対してレーザを照射させる。
【0014】
レーザ溶接装置100は、第2のレーザ照射部120から照射されたレーザを走査するための光学スキャナ130を有している。第1のレーザ照射部110と第2のレーザ照射部120が収納されたレーザ加工ヘッド140をさらに有している(図2を参照)。
【0015】
第1の溶接部材210と第2の溶接部材220における溶接部230とは、溶接部材210、220において溶接部材210、220同士を溶接させるためにレーザを照射する部位を意味し、レーザを照射する前の状態にある溶接対象部位、およびレーザを照射することによって溶融、または凝固した溶接対象部位を含むものである。
【0016】
以下、レーザ溶接装置100について詳述する。
【0017】
図1および図2を参照して、レーザ溶接装置100は、レーザを発振するレーザ発振器150と、レーザ加工ヘッド140が先端部に配置されたロボットアーム160と、を有している。
【0018】
レーザ発振器150は、制御部170から送信される制御信号sに従ってレーザを発振する。発振したレーザは、第1と第2の光ファイバ155、156を介してレーザ加工ヘッド140へ伝送させる。
【0019】
光ファイバ155、156には、第1のレーザ照射部120にレーザを伝送させるための第1の光ファイバ155と、第2のレーザ照射部120にレーザを伝送させるための第2の光ファイバ156とを利用している。2本の光ファイバ155、156を利用することによって、1台のレーザ発振器150から2つのレーザ出力をレーザ加工ヘッド140へ伝送させている。
【0020】
ロボットアーム160は、制御部170から送信される制御信号sに従って設定された溶接箇所や、その周辺へレーザ加工ヘッド140を移動させる。
【0021】
レーザ溶接に際して、ロボットアーム160を移動させことによって第1のレーザ照射部110から照射されたレーザを溶接軌跡に沿って照射させている。
【0022】
第1のレーザ照射部110からレーザを照射させつつ第2のレーザ照射部120から照射されたレーザを光学スキャナ130によって溶接部230のエッジ部235、236に対して照射させている(図4(A)を参照。各図において、第1のレーザ照射部110から照射されたレーザL1を破線で示し、第2のレーザ照射部120から照射されたレーザL2を一点鎖線で示す)。
【0023】
図2を参照して、レーザ加工ヘッド140は、第1のレーザ照射部110、第2のレーザ照射部120、および光学スキャナ130が収納可能な内部空間を備えている。レーザ加工ヘッド140は、略矩形の外形形状に形成している。
【0024】
レーザ加工ヘッド140の一の面には、第1のレーザ照射部110から照射されたレーザ、および第2のレーザ照射部120から照射されたレーザをレーザ加工ヘッド140外部へ照射させることを可能にするための開口部141を形成している。
【0025】
第1のレーザ照射部110は、レーザ加工ヘッド140から溶接部材210、220に対して垂直にレーザが照射されるように配置している。第1のレーザ照射部110から照射されたレーザは、光学スキャナ130等を介さずに開口部141から溶接部材210、220に対して直接照射させる。
【0026】
第1のレーザ照射部110から照射されたレーザの光路と、第2のレーザ照射部120から照射されたレーザの光路とが重ならないように第2のレーザ照射部120を配置している。
【0027】
第2のレーザ照射部120から照射されたレーザは、光学スキャナ130を介して開口部141からエッジ部235、236に向けて照射させる。
【0028】
ここで、溶接部材を溶融させるためのレーザを溶接部に照射し、さらに溶接部に発生したエッジ部に対してレーザを照射させるレーザ溶接を実施する場合には、第1のレーザ照射部を収納するためのレーザ加工ヘッドと、第2のレーザ照射部を収納するためのレーザ加工ヘッドを準備する必要がある。レーザ加工ヘッドを移動させて任意の軌跡に沿ってレーザを照射させるためには、2つのレーザ加工ヘッドをそれぞれ独立して移動可能にするために、2台のロボットアームが必要になる。このため、レーザ溶接装置の製造コストの増加や、装置構成の煩雑化に伴う作業遅延を招く虞がある。
【0029】
レーザ溶接装置100にあっては、第1のレーザ照射部110、および第2のレーザ照射部120を1つのレーザ加工ヘッド140内に収納して配置している。第1のレーザ照射部110、および第2のレーザ照射部120を設けることによって生じ得る製造コストの増加を防止することが可能である。装置構成が煩雑化することを防止することができ、作業遅延が生じることを防止することが可能である。
【0030】
第1のレーザ照射部110および第2のレーザ照射部120とともに、光学スキャナ130をレーザ加工ヘッド140内に収納して配置しているため、装置構成をより簡略化させることが可能になっている。
【0031】
1台のレーザ加工ヘッド140に対して1台のレーザ発振器150を利用しているため、装置の配置構成を比較的自由に行うことができる。2本の光ファイバ155、156を利用する場合であっても、光ファイバ155、156の引き回しを容易に行うことが可能である。
【0032】
レーザ加工ヘッド140内のレイアウトや内部空間の構成等は、図示されたものに限定されず、適宜変更することが可能である。
【0033】
再び図2を参照して、第1のレーザ照射部110は、レーザを溶接部230に対して集光させて照射するための光学レンズ115と、光学レンズ115を収納するホルダー111と、を有している。
【0034】
光学レンズ115の焦点を調整することによって、溶接部230に付与する熱量を調整することが可能になっている。
【0035】
ホルダー111は、一側の端部に設けられた光ファイバ155を接続するための接続部113と、他側の端部に設けられたレーザ出射口112と、を有している。
【0036】
光ファイバ155からホルダー111内に導出させたレーザは、2枚の光学レンズ115を通過して集束する。集束したレーザは、ホルダー111の出射口112およびレーザ加工ヘッド140の開口部141を通過し、溶接部230に向けて照射させる。照射させたレーザは、溶接部230上において焦点を結ぶ。溶接部230に対して熱を付与し、溶接部230を溶融させる。
【0037】
第2のレーザ照射部120は、第1のレーザ照射部110と同様の構成を有しており、光学レンズ125と、光学レンズ125を収納するホルダー121と、を有している。
【0038】
第2のレーザ照射部120のホルダー121内に導出させたレーザは、光学レンズ125、およびホルダー121の出射口122を通過させて光学スキャナ130に入射する。
【0039】
光学スキャナ130には、駆動回転自在な駆動軸135が取り付けられた第1の光学ミラー131、および第2の光学ミラー132を利用している。
【0040】
第1の光学ミラー131は、第2のレーザ照射部120の出射口122から入射されたレーザを第2の光学ミラー132に向けて反射させる。駆動軸135に連結されたモータ(図示せず)を駆動させて駆動軸135を回転させると、回転に伴って第1の光学ミラー131が回転する。第1の光学ミラー131の回転量を調整することによって、レーザの反射方向を調整することが可能になっている。
【0041】
第2の光学ミラー132は、第1の光学ミラー131によって反射させたレーザを、溶接部230のエッジ部235、236に向けて反射させる。駆動軸135に連結されたモータ(図示せず)を駆動させて駆動軸135を回転させると、回転に伴って第2の光学ミラー132が回転する。
【0042】
第1の光学ミラー131によるレーザの反射方向、および第2の光学ミラー132によるレーザの反射方向を調整することによって、第2のレーザ照射部120から照射されたレーザを任意の軌跡に沿って走査することが可能になる。第2のレーザ照射部120から照射させたレーザをエッジ部235、236に沿って照射させることができ、エッジ部235、236の除去をより確実に行うことが可能になる。
【0043】
第2の光学ミラー132の回転速度を調整することによって、第2のレーザ照射部120から照射されたレーザの走査速度を調整することが可能である。第2の光学ミラー132の回転速度を速めることによって、レーザの走査速度を速くすることができ、第2の光学ミラー132の回転速度を遅くすることによって、レーザの走査速度を遅くすることができる。
【0044】
レーザの出力エネルギーを一定にした状態でレーザの走査速度を調整することによって、溶接部材210、220に付与する熱量を調整することが可能である。レーザの出力エネルギーを一定にし、レーザの走査速度を速めることによって、溶接部材210、220に付与される単位面積当たりの熱量を減少させることができる。レーザの出力エネルギーを一定にし、レーザの走査速度を遅くすることによって、溶接部材210、220に付与される単位面積当たりの熱量を増加させることができる。
【0045】
制御部170は、制御信号sを送信し、レーザ溶接装置100の各部の動作を制御する。
【0046】
制御部170は、例えば、ロボットアーム160の移動動作や、第1のレーザ照射部110および第2のレーザ照射部120によるレーザの照射のタイミング、定められた溶接軌跡に沿ったレーザの走査など、レーザ溶接に係る各種の動作制御を行う。
【0047】
レーザ溶接に際して、制御部170は、ロボットアーム160を移動させつつ第1のレーザ照射部110からレーザを照射させる。第1のレーザ照射部110から照射されたレーザが定められた溶接軌跡に沿って照射されるようにロボットアーム160を移動させる。
【0048】
第1のレーザ照射部110から照射されたレーザによって、溶接部230が溶融する。溶融した溶接部230を凝固させて、第1の溶接部材210と第2の溶接部材220とを溶接させる(図3(A)、および(B)を参照)。
【0049】
制御部170は、溶接部230にエッジ部235、236が発生した場合に、エッジ部235、236を除去させるためのレーザを第2のレーザ照射部120から照射させる(図4(A)〜(C)を参照)。
【0050】
制御部170には、第1のレーザ照射部110から照射されたレーザによって形成される溶接ビードの幅寸法を予め記憶させている。この幅寸法に基づいて、エッジ部235、236にレーザが照射されるように光学スキャナ130を動作させる。例えば、エッジ部235、236の位置を検知し、その検知結果に基づいて光学スキャナ130の動作を制御する構成にすることも可能である。
【0051】
エッジ部235、236を除去させるためのレーザは、溶接部230が溶け落ちることを防止するために、第1のレーザ照射部110から照射されたレーザよりも、低い入熱量を付与するように照射させることが望ましい。例えば、第2のレーザ照射部120から照射されるレーザ出力を一定にし、レーザの走査速度を速めて照射する。入熱量を低下させつつ作業効率を向上させることが可能になる。
【0052】
溶接部材を重ね合わせた状態で溶接するレーザ溶接方法において、クランプ装置などによって溶接部材をクランプさせると、溶接部材間に隙間が生じることがある。隙間が生じた状態でレーザを照射すると、溶融した溶接部材が隙間に流れ込み、溶接後に落ち窪んだ形状の溶接部を形成させることがある。落ち窪んだ形状の溶接部の形成に伴って溶接部にはエッジ部が発生する(図3(A)、および(B)を参照)。
【0053】
溶接後の溶接部材に防錆等を目的とした塗膜を形成させる塗装工程を実施すると、上記のようなエッジ部では、他の部位と比較して薄く塗膜が形成されることになる(図6(A)を参照)。塗膜が薄く形成された部位では防錆機能を長期に亘って維持することができず、溶接部材の品質の低下が生じる虞がある。
【0054】
溶接部230に形成されたエッジ部235、236に対してレーザを照射することによってエッジ部235、236を除去することが可能になる(図4(A)〜(C)を参照)。エッジ部235、236を除去し、その存在を無くことによって、溶接部230に均一の厚さの塗膜240を形成させることが可能になる。このため、塗膜240による防錆機能を長期に亘って維持させることが可能になる(図6(B)を参照)。
【0055】
制御部170は、第1のレーザ照射部110による溶接軌跡に沿ったレーザの照射が終了する前に、第2のレーザ照射部120を動作させて溶接部230のエッジ部235、236に対してレーザを照射させる。
【0056】
エッジ部235、236を除去するためのレーザの照射を行うことによって生じ得る作業遅延を低減させることが可能になる。
【0057】
第1のレーザ照射部110によるレーザの照射が終了する前に、エッジ部235、236を除去するためのレーザを照射する場合には、先行して照射されたレーザを追い越さないようにエッジ部235、236を除去するためのレーザを照射させる必要がある。例えば、レーザが照射された溶接部230の周縁に形成された両エッジ部235、236に対して交互にレーザを照射させることによって、先行して照射されたレーザを追い越すことなく、作業効率を向上させてエッジ部235、236を除去することが可能になる(図5を参照)。
【0058】
次に、レーザ溶接方法について説明する。
【0059】
図3(A)および(B)を参照して、重ね合わせて配置した第1の溶接部材210と第2の溶接部材220における溶接部230にレーザを照射する。
【0060】
制御部170は、第1のレーザ照射部120からレーザを照射させつつ定められた溶接軌跡に沿ってレーザが照射されるようにロボットアーム160を移動させる。
【0061】
レーザが照射された溶接部230は、レーザの照射によって付与された熱により、溶融する。
【0062】
図3(B)に示すように、第1の溶接部材210と第2の溶接部材220を重ね合わせて配置すると、溶接部材210、220間に隙間gが生じることがある。隙間gが生じた状態でレーザ溶接を実施すると、溶融した溶接部材210、220がその隙間gに流れ込み、落ち窪んだ形状の溶接部230を形成させる。落ち窪んだ形状の溶接部230の形成に伴って溶接部230にはエッジ部235、236が発生する。
【0063】
図4(A)〜(C)を参照して、溶接部230に発生したエッジ部235、236に対してエッジ部235、236を除去するためのレーザを照射する。
【0064】
制御部170は、落ち窪んだ溶接部230の両縁に形成されたエッジ部235、236のうち、一方のエッジ部235および他方のエッジ部236に対してそれぞれ交互にレーザを照射させる。
【0065】
ここで、図7(A)および(B)には、溶接部材310、320を溶融させたレーザを照射させた後、さらに溶接部330にレーザを照射させて溶接部330に発生したポロシティを減少させる従来技術を示す。
【0066】
従来技術にあっては、ポロシティを減少させるために照射したレーザによって、溶接部330に発生したエッジ部335、336を除去することも可能ではある。しかしながら、ポロシティを減少させるためのレーザを照射することによって、溶接部330に新たにエッジ部335、336を発生させることになる。このため、防錆機能を長期に亘って維持させるために必要な厚さの塗膜をエッジ部335、336に形成させることができず、溶接部材310、320の品質の低下を招くことになる。
【0067】
これに対して、本実施形態にあっては、溶接部230に発生したエッジ部235、236に対してレーザを照射することによって、エッジ部235、236のみを好適に除去し、その存在を無くすことができる。エッジ部235、236を除去することによって、溶接部230に均一な厚さの塗膜240を形成させることができる。そのため、塗膜240による防錆機能を長期に亘って維持させることができ、溶接後の溶接部材210、220の品質が低下することを防止できる。
【0068】
図6(A)および(B)には、エッジ部235、236が残存した溶接部230に形成させた塗膜240と、エッジ部235、236が除去された溶接部230に形成させた塗膜240とを対比させて示す。
【0069】
図6(A)を参照して、エッジ部235、236が残存した溶接部230に塗膜240を形成すると、エッジ部235、236の周辺部では、他の部位に比較して塗膜240が薄く形成されることになる。このため、エッジ部235、236の周辺部では、塗膜240による防錆機能が長期に亘って維持することができず、溶接品質の低下が生じる。
【0070】
図6(B)を参照して、エッジ部235、236を除去し、溶接部230全体の断面形状が円弧形状のように整形されると、溶接部230に均一な厚さの塗膜240を形成させることが可能になる。このため、塗膜240による防錆機能を長期に亘って維持させることができ、溶接部材210、220の溶接品質が低下することを防止できる。
【0071】
制御部170は、第1のレーザ照射部110による溶接軌跡に沿ったレーザの照射が終了する前に、第2のレーザ照射部120を動作させて溶接部230のエッジ部235、236に対してレーザを照射させる。
【0072】
エッジ部235、236を除去するためのレーザを照射する作業を行うことによって生じ得る作業遅延を低減させる。
【0073】
図5を参照して、制御部170は、第1のレーザ照射部110から先行して照射されたレーザに追従させて、第2のレーザ照射部120からエッジ部235、236に向けてレーザを照射させる。
【0074】
一方のエッジ部235に所定の距離だけレーザを照射した後、他方のエッジ部236に所定の距離だけレーザを照射する(図中矢印で走査軌跡を示す)。この作業を繰り返して落ち窪んだ溶接部230の周縁に形成された両エッジ部235、236を交互に除去させる。先行して第1のレーザ照射部110から照射されたレーザを追い越すことなく、作業効率を向上させてエッジ部235、236を除去させる。
【0075】
制御部170は、第2のレーザ照射部120からレーザを照射させつつ光学スキャナ130の動作を制御してエッジ部235、236に沿うようにレーザを照射させる。
【0076】
光学スキャナ130を利用することによって、第2のレーザ照射部120から照射されたレーザを任意の軌跡に沿って走査することができる。エッジ部235、236に沿ってレーザを照射させることができ、より確実にエッジ部235、236を除去させる。
【0077】
制御部170は、溶接部230に形成されたエッジ部235、236が除去されると、溶接作業を終了する。
【0078】
上述したように、本実施形態によれば、溶接部230に発生したエッジ部235、236に対してレーザを照射することによって、エッジ部235、236のみを好適に除去することができる。エッジ部235、236を除去してその存在を無くすことによって、溶接部230に均一な厚さの塗膜240を形成させることができる。そのため、塗膜240による防錆機能を長期に亘って維持させることができ、溶接後の溶接部材210、220の品質が低下することを防止できる。
【0079】
光学スキャナ130を利用することによって、第2のレーザ照射部120から照射されたレーザを任意の軌跡に沿って走査することができる。エッジ部235、236に沿ってレーザを照射させることができ、より確実にエッジ部235、236を除去させることができる。
【0080】
第1のレーザ照射部110、および第2のレーザ照射部120を1つのレーザ加工ヘッド140内に収納して配置しているため、第1のレーザ照射部110、および第2のレーザ照射部120を設けることによって生じ得る製造コストの増加を防止することができる。装置構成が煩雑化することを防止することができ、作業遅延が生じることを防止することができる。
【0081】
第1のレーザ照射部110による溶接軌跡に沿ったレーザの照射が終了する前に、第2のレーザ照射部120を動作させて溶接部230のエッジ部235、236に対してレーザを照射させる。エッジ部235、236を除去するためのレーザを照射する作業を行うことによって生じ得る作業遅延を低減させることができる。
【0082】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜改変することができる。
【0083】
溶接軌跡は、図示されたものに限定されるものではなく、例えば、円形形状や矩形形状の溶接軌跡に沿ってレーザを照射させることができる。エッジ部235、236を除去するためのレーザを走査する軌跡は、エッジ部235、236を除去することが可能な範囲において適宜変更することが可能である。
【0084】
レーザ溶接装置100にあっては、第1のレーザ照射部110と、第2のレーザ照射部120とをレーザ加工ヘッド140内に配置し、レーザ加工ヘッド140を移動させる1台のロボットアーム160を利用している。例えば、第1のレーザ照射部110が配置されたロボットアームと、第2のレーザ照射部120が配置されたロボットアームの2台のロボットアームを備えた構成とすることも可能である。このような場合、2台のロボットアームの移動のみで照射されたレーザを走査させることが可能である。
【0085】
エッジ部235、236を除去するためのレーザを照射させるタイミングは、適宜変更することが可能である。例えば、溶融した溶接部230が凝固するのを待ってから照射させることも可能である。
【0086】
第1のレーザ照射部110から照射されたレーザを光学スキャナ130によって溶接軌跡に沿って照射させつつロボットアーム160を移動させて第2のレーザ照射部120から照射されたレーザを溶接部230のエッジ部235、236に対して照射させる装置構成にすることも可能である。
【0087】
(変形例)
図8(A)、および(B)を参照して、本変形例に係るレーザ溶接装置100には、第2のレーザ照射部120から照射されたレーザを分割させて溶接部230のエッジ部235、236に対して照射させるレーザ分割手段180を設けている。前述した実施形態と同様の部材および溶接方法については、その説明を一部省略する。
【0088】
図8(A)を参照して、レーザ分割手段180には、公知のレーザスプリッターを利用している。レーザ加工ヘッド140内に配置したレーザスプリッターにレーザを通過させてレーザを2分割させる。2分割したレーザを、光学スキャナ130によって走査し、溶接部230のエッジ部235、236に対して照射させる。
【0089】
図8(B)を参照して、落ち窪んだ溶接部230の周縁に形成された両エッジ部235、236に同時にレーザを照射させることができ、エッジ部235、236を除去する作業をより効率的に行うことが可能になる。
【0090】
上述したように、本変形例にあっては、第2のレーザ照射部120から照射されたレーザを分割させて溶接部230のエッジ部235、236に対して照射させることができる。このため、溶接部230に発生したエッジ部235、236をより効率的に除去することができる。
【0091】
レーザ分割手段は、レーザを分割させて照射させることが可能な範囲内で適宜変更することが可能である。
【0092】
レーザ加工ヘッド140内のレイアウトは図示されたものに限定されるものではなく、適宜変更することが可能である。また、レーザを分割する数は、2つに限定されるものではなく、分割数を増加させることも可能である。
【0093】
(適用例)
図9(A)、および(B)を参照して、適用例にあっては、厚さの異なる2つの溶接部材210、220を並べて配置し、その溶接部材210、220同士を溶接させるテーラードブランク溶接にレーザ溶接装置100、およびレーザ溶接方法を適用している。
【0094】
第1の溶接部材210と第2の溶接部材220における溶接部230にレーザを照射すると、溶接部230が溶融する。この際、第1の溶接部材210側の溶接部230には、図示されるようにエッジ部235が残存する。エッジ部235に対してレーザを照射することによって、エッジ部235を除去することでき、溶接後に均一の厚さの塗膜240を溶接部230に形成させることが可能になる。
【0095】
テーラードブランク溶接に際して、溶接部230に残存したエッジ部235の除去を目的としてレーザ溶接装置100、およびレーザ溶接方法を好適に用いることができる。
【0096】
本発明のレーザ溶接装置、およびレーザ溶接方法は、溶接部材を溶接するレーザ溶接において、溶接部に発生したエッジ部を除去し、エッジ部を除去した後、溶接部に良好な厚さの塗膜を形成させることを目的としたレーザ溶接装置、およびレーザ溶接方法に広く適用することが可能である。
【0097】
以下、本発明の実施形態を実施例に基づいて具体的に説明する。なお、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではなく、適宜変更することが可能である。
【0098】
(実施例1)
実施例1にあっては、溶接軌跡に沿ってレーザを照射させるための第1のレーザ照射部110を備えたロボットアームと、溶接部230に発生したエッジ部235、236に対してレーザを照射させるための第2のレーザ照射部120を備えたロボットアームの2台のロボットアームを有するレーザ溶接装置を利用した。
【0099】
レーザ溶接装置には、レーザ出力、レーザの走査速度、および溶接軌跡を予め教示させた。レーザ溶接は、重ね合わせて配置した板厚1.4mm、0.65mmの鋼板に対して実施した。
【0100】
第1のレーザ照射部110を備えるロボットアームを溶接軌跡に沿うように移動させた。ロボットアームを移動させつつ第1のレーザ照射部110からレーザを照射させて、溶接軌跡に沿ってレーザを照射させた。具体的には、以下の条件でレーザを照射させた。
【0101】
(1)レーザ発振器に入力するレーザ出力:4000W
(2)第1のレーザ照射部から照射されたレーザの走査速度:70mm/s。
【0102】
第2のレーザ照射部120を備えるロボットアームを溶接部230に発生したエッジ部235、236に沿うように移動させた。ロボットアームを移動させつつ第2のレーザ照射部120からレーザを照射させて、溶接部230に発生したエッジ部235、236に沿ってレーザを照射させた。具体的には、以下の条件でレーザを照射させた。
【0103】
(1)レーザ発振器に入力するレーザ出力:4000W
(2)第2のレーザ照射部から照射されたレーザの走査速度:210mm/s。
【0104】
上記の条件でレーザ溶接を実施することによって、溶接部230に発生したエッジ部235、236を好適に除去することができた。平滑な形状の溶接部に形成した塗膜と同等の防錆機能を長期に亘って維持することが可能な塗膜240を形成させることができた。
【0105】
(実施例2)
実施例2にあっては、溶接軌跡に沿ってレーザを照射させるための第1のレーザ照射部110を備えたロボットアームと、溶接部230に発生したエッジ部235、236に対してレーザを照射させるための第2のレーザ照射部120を備えたロボットアームの2台のロボットアームを有するレーザ溶接装置を利用した。第2のレーザ照射部120から照射したレーザは、レーザ分割手段180によって分割してエッジ部235、236に照射させた。
【0106】
レーザ溶接装置には、レーザ出力、レーザの走査速度、および溶接軌跡を予め教示させた。レーザ溶接は、重ね合わせて配置した板厚1.4mm、0.65mmの鋼板に対して実施した。
【0107】
第1のレーザ照射部110を備えるロボットアームを溶接軌跡に沿うように移動させた。ロボットアームを移動させつつ第1のレーザ照射部110からレーザを照射させて、溶接軌跡に沿ってレーザを照射させた。具体的には、以下の条件でレーザを照射させた。
【0108】
(1)レーザ発振器に入力するレーザ出力:4000W
(2)第2のレーザ照射部から照射されたレーザの走査速度:210mm/s。
【0109】
第2のレーザ照射部120を備えるロボットアームを溶接部230に発生したエッジ部235、236に沿うように移動させた。ロボットアームを移動させつつ第2のレーザ照射部120からレーザを照射させて、溶接部230に発生したエッジ部235、236に沿ってレーザを照射させた。第2のレーザ照射部120から照射させたレーザを分割させることによって、落ち窪んだ溶接部230の周縁に形成された両エッジ部235、236に同時にレーザを照射させた。具体的には、以下の条件でレーザを照射させた。
【0110】
(1)レーザ発振器に入力するレーザ出力:4000W
(2)第2のレーザ照射部から照射されたレーザの走査速度:210mm/s。
【0111】
上記の条件でレーザ溶接を実施することによって、溶接部230に発生したエッジ部235、236を好適に除去することができた。平滑な形状の溶接部に形成した塗膜と同等の防錆機能を長期に亘って維持することが可能な塗膜240を形成させることができた。
【0112】
(実施例3)
実施例3にあっては、溶接軌跡に沿ってレーザを照射させるための第1のレーザ照射部110と、溶接部230に発生したエッジ部235、236に対してレーザを照射させるための第2のレーザ照射部120とを収納するレーザ加工ヘッド140を備えたレーザ溶接装置を利用した。レーザ加工ヘッド140内には、第2のレーザ照射部120から照射したレーザを任意の軌跡に沿って走査するための光学スキャナ130を配置した。先端部にレーザ加工ヘッド140が配置された1台のロボットアーム160を利用した。
【0113】
レーザ溶接装置には、レーザ出力、レーザの走査速度、溶接軌跡を予め教示させた。レーザ溶接は、重ね合わせて配置した板厚1.4mm、0.65mmの鋼板に対して実施した。
【0114】
第1のレーザ照射部110を備えるロボットアーム160を溶接軌跡に沿うように移動させた。ロボットアーム160を移動させつつ第1のレーザ照射部110からレーザを照射させて、溶接軌跡に沿ってレーザを照射させた。具体的には、以下の条件でレーザを照射させた。
【0115】
(1)レーザ発振器に入力するレーザ出力:4000W
(2)第1のレーザ照射部から照射されたレーザの走査速度:70mm/s。
【0116】
第1のレーザ照射部110からレーザを照射させるとともに、第2のレーザ照射部120からレーザを照射させた。第2のレーザ照射部120から照射させたレーザは、光学スキャナ130によって溶接部230に発生したエッジ部235、236に沿って照射させた。具体的には、以下の条件でレーザを照射させた。
【0117】
(1)レーザ発振器に入力するレーザ出力:4000W
(2)第2のレーザ照射部から照射されたレーザの走査速度:210mm/s。
【0118】
上記の条件でレーザ溶接を実施することによって、溶接部230に発生したエッジ部235、236を好適に除去することができた。平滑な形状の溶接部に形成した塗膜と同等の防錆機能を長期に亘って維持することが可能な塗膜240を形成させることができた。
【符号の説明】
【0119】
100 レーザ溶接装置、
110 第1のレーザ照射部、
111、121 ホルダー、
112、122 出射口、
113、123 接続部、
115、125 光学レンズ、
120 第2のレーザ照射部、
130 光学スキャナ、
131、132 光学ミラー、
135 駆動軸、
140 レーザ加工ヘッド、
141 開口部、
150 レーザ発振器、
155、156 光ファイバ、
160 ロボットアーム、
170 制御部、
180 レーザ分割手段、
210 第1の溶接部材、
220 第2の溶接部材、
230 溶接部、
235、236 エッジ部、
240 塗膜、
L1、L2 レーザ、
g 隙間、
s 制御信号。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1と第2の溶接部材における溶接部に対してレーザを照射する第1のレーザ照射部と、
前記溶接部のエッジ部を除去するためのレーザを照射する第2のレーザ照射部と、
前記第1と第2のレーザ照射部の動作を制御する制御部と、を有し、
前記制御部は、前記第1のレーザ照射部の動作を制御して溶接軌跡に沿ってレーザを照射させるとともに、前記第2のレーザ照射部の動作を制御して前記溶接部の前記エッジ部に対してレーザを照射させるレーザ溶接装置。
【請求項2】
前記第1のレーザ照射部、および前記第2のレーザ照射部の少なくとも一方から照射されるレーザを走査するための光学スキャナを有する請求項1に記載のレーザ溶接装置。
【請求項3】
前記第1と第2のレーザ照射部が収納されたレーザ加工ヘッドを有する請求項1または請求項2に記載のレーザ溶接装置。
【請求項4】
前記第2のレーザ照射部から照射されたレーザを分割させて前記溶接部の前記エッジ部に対して照射させるレーザ分割手段を有する請求項1〜3のいずれか1項に記載のレーザ溶接装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記第1のレーザ照射部による前記溶接軌跡に沿ったレーザの照射が終了する前に、前記第2のレーザ照射部を動作させて前記溶接部の前記エッジ部に対してレーザを照射させる請求項1〜4のいずれか1項に記載のレーザ溶接装置。
【請求項6】
第1と第2の溶接部材に対してレーザを照射して溶接するレーザ溶接方法であって、
前記第1と第2の溶接部材における溶接部に対して溶接軌跡に沿うようにレーザを照射する第1のレーザ照射工程と、
前記溶接部のエッジ部に対して前記エッジ部を除去するためのレーザを照射する第2のレーザ照射工程と、を有するレーザ溶接方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−207839(P2010−207839A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−55305(P2009−55305)
【出願日】平成21年3月9日(2009.3.9)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】