説明

レーザ溶接装置及びレーザ溶接方法

【課題】 搬送装置の停止と駆動とを繰り返すと、レーザ溶接のためのタクトタイムが長くなってしまう。
【解決手段】 レーザ照射装置が、レーザビームを出射し、走査可能範囲内で該レーザビームを走査する。搬送機構が、レーザ溶接すべき溶接経路が画定された対象物を、走査可能範囲を通過するように搬送する。制御装置が、レーザ照射装置によるレーザビームの走査を制御する。制御装置は、溶接経路の形状、及び搬送機構により搬送される搬送速度とに基づいて、レーザビームを走査すべき軌跡を算出する。搬送機構によって搬送速度で搬送されている対象物に、算出された軌跡に沿って入射位置が移動するようにレーザビームを走査することにより、溶接経路に沿って溶接を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶接すべき対象物上でレーザビームの入射位置を走査しながらレーザ溶接を行うレーザ溶接装置及びレーザ溶接方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話等に使用される電池ケースの上蓋の外周に沿ってレーザビームの入射位置を移動させることにより、上蓋を電池ケース本体に溶接することができる。レーザビームは、ガルバノミラーを用いて走査される(特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−122956号公報
【特許文献2】特開2008−84803号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の溶接方法について説明する。まず、電池ケースを搬送装置で搬送し、電池ケースがレーザビームの走査可能範囲内に進入した時点で、搬送を停止させる。電池ケースが静止した状態で、レーザビームを走査して溶接を行う。溶接が完了すると、搬送装置を駆動させて、次に溶接すべき電池ケースを、レーザビームの走査可能範囲内に配置する。
【0005】
搬送装置の停止と駆動とを繰り返すと、レーザ溶接のためのタクトタイムが長くなってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一観点によると、
レーザビームを出射し、走査可能範囲内で該レーザビームを走査することができるレーザ照射装置と、
レーザ溶接すべき溶接経路が画定された対象物を、前記走査可能範囲を通過するように搬送する搬送機構と、
前記レーザ照射装置によるレーザビームの走査を制御する制御装置と
を有し、
前記制御装置は、前記溶接経路の形状、及び前記搬送機構により搬送される搬送速度とに基づいて、レーザビームを走査すべき軌跡を算出し、レーザビームの入射位置が、算出された軌跡を描くように該レーザビームを走査することにより、前記溶接経路に沿って溶接を行うレーザ溶接装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
対象物の搬送を停止させないで溶接を行うことにより、搬送機構の停止と搬送開始とを繰り返すことに起因するタクトタイムの増加を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】(1A)は、実施例によるレーザ溶接装置の概略図であり、(1B)は、溶接する対象物の平面図である。
【図2】溶接経路に沿って溶接が進む様子を示す線図である。
【図3】レーザビームの入射位置の軌跡を示す線図である。
【図4】レーザビームの入射位置のx座標の時刻暦の一例を示すグラフである。
【図5】レーザビームの入射位置のx座標の時刻暦の他の例を示すグラフである。
【図6】対象物をクランプするためのクランプ機構の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1Aに、実施例によるレーザ溶接装置の概略図を示す。搬送機構10が、レーザ溶接の対象となる複数の対象物30を搬送方向に一定速度で搬送する。搬送機構10には、例えばベルトコンベア等が用いられる。対象物30の上面には、レーザ溶接すべき経路(以下、「溶接経路」という)が画定されている。搬送方向をx方向、鉛直上方をz方向とするxyz直交座標系を定義する。
【0010】
図1Bに、対象物30の平面図を示す。対象物30の上面に、閉じた溶接経路31が画定されている。対象物30は、例えば上方に開口を有する電池ケース本体と、この開口部を塞ぐ上蓋を含む。溶接経路31は、上蓋の外周線に沿い、例えばx方向に長い長方形の外周線に一致する。
【0011】
溶接経路31が画定する長方形の頂点を、A、B、C及びDとする。長辺AB、及び長辺CDが、x軸に平行に配置されている。頂点A及びDが、頂点B及びCよりも搬送方向の上流側に配置される。長辺AB及び長辺CDの各々の長さをLとし、短辺BC及び短辺DAの各々の長さをLとする。レーザ溶接する際には、レーザビームの入射位置が、辺AB上の第1の点Sから頂点Bに向かって走査され、頂点C、D、Aをこの順番に経由して、第1の点Sに戻る。頂点Aから第1の点Sまでの長さをXとする。
【0012】
図1Aに戻って説明を続ける。レーザ照射装置20が、レーザビームを出射すると共に、走査可能範囲25内でレーザビームを走査する。対象物30が搬送機構10で搬送される際に、走査可能範囲25内を通過する。
【0013】
レーザ照射装置20は、レーザ光源21、ビーム走査器22、及びfθレンズ23を含む。レーザ光源21には、連続波(CW)を出射するNd:YAGレーザやファイバレーザ等を用いることができる。ビーム走査器22は、レーザ光源21から出射されたレーザビームを、2次元方向に走査する。ビーム走査器22には、例えば一対の揺動ミラーを含むガルバノスキャナを用いることができる。ビーム走査器22で走査されたレーザビームが、fθレンズ23により収束される。なお、必要に応じて、レーザビームをコリメートするコリメートレンズ、ビーム断面形状を整形するマスク等を配置してもよい。
【0014】
走査可能範囲25よりも搬送方向の上流側に、撮像装置27が配置されている。撮像装置27は、搬送機構10により搬送される対象物30を、走査可能範囲25内に進入する前に撮像し、画像データを取得する。取得された画像データは、制御装置26に入力される。
【0015】
制御装置26は、取得した画像データの画像解析を行うことにより、溶接経路31の形状、搬送方向及びそれに直交する方向に関する位置を決定する。なお、溶接経路31の形状が予め決められている場合には、溶接経路31の形状を画像データに基づいて決定する必要はない。また、搬送方向に直交する方向に関する位置が固定されている場合には、搬送方向に関する位置のみを決定すればよい。搬送方向に関する位置のみを決定する場合には、撮像装置27に代えて、位置のみを検出するセンサ等を用いることができる。
【0016】
さらに、制御装置30は、対象物30が走査可能範囲25内を通過している期間に、レーザビームの入射位置が溶接経路31上を辿るように、レーザビームを走査する。
【0017】
図2に、溶接経路31に沿ってレーザビームの入射位置が移動する様子を、時間の経過と共に示す。図2の横軸はx方向の位置を表し、各段の縦軸はy方向の位置を表し、上段から下段に向かって、時間が経過している。
【0018】
1段目の図は、溶接開始時点の溶接経路31の位置を示す。溶接経路31が画定する長方形の頂点A〜D、及び第1の点Sの位置を、それぞれA〜D、及びSとする。位置Aをx座標の原点とする。
【0019】
2段目の図は、レーザビームの入射位置が溶接経路31の頂点Bまで移動したときの状態を示す。頂点A〜D及び第1の点Sが、それぞれ位置A〜D、及びSまでx方向に移動している。このため、レーザビームの入射位置は、頂点Bの移動後の位置Bに一致する。第1の点Sから、頂点Bまでの太線で示した溶接経路31が溶接済である。レーザビームの入射位置は、移動前の第1の点Sの位置Sから移動後の頂点Bの位置Bまで走査される。
【0020】
3段目の図は、レーザビームの入射位置が、頂点Cまで移動したときの状態を示す。頂点A〜D及び第1の点Sが、それぞれ位置A〜D、及びSまでx方向に移動している。このため、レーザビームの入射位置は、頂点Cの移動後の位置Cに一致する。第1の点Sから頂点Cまでの太線で示した溶接経路31が溶接済である。レーザビームの入射位置は、図2Bの状態における頂点Bの位置Bから移動後の頂点Cの位置Cまで斜め方向に走査される。
【0021】
4段目の図は、レーザビームの入射位置が、頂点Dまで移動したときの状態を示す。頂点A〜D及び第1の点Sが、それぞれ位置A〜D、及びSまでx方向に移動している。このため、レーザビームの入射位置は、頂点Dの移動後の位置Dに一致する。第1の点Sから頂点Dまでの太線で示した溶接経路31が溶接済である。レーザビームの入射位置は、図2Cの状態における頂点Cの位置Cから移動後の頂点Dの位置Dまで走査される。
【0022】
5段目の図は、レーザビームの入射位置が、頂点Aまで移動したときの状態を示す。頂点A〜D及び第1の点Sが、それぞれ位置A〜D、及びSまでx方向に移動している。このため、レーザビームの入射位置は、頂点Aの移動後の位置Aに一致する。第1の点Sから頂点Aまでの太線で示した溶接経路31が溶接済である。レーザビームの入射位置は、図2Dの状態における頂点Dの位置Dから移動後の頂点Aの位置Aまで斜め方向に走査される。
【0023】
6段目の図は、レーザビームの入射位置が、第1の点Sまで移動し、溶接が終了したときの状態を示す。頂点A〜D及び第1の点Sが、それぞれ位置A〜D、及びSまでx方向に移動している。このため、レーザビームの入射位置は、第1の点Sの移動後の位置Sに一致する。溶接経路31の全長が溶接済である。レーザビームの入射位置は、図2Eの状態における頂点Aの位置Aから移動後の第1の点Sの位置Sまで走査される。
【0024】
図3に、レーザビームの入射位置の軌跡を示す。溶接開始時点における頂点Aの位置Aをxyz座標の原点とする。溶接開始時における第1の点Sの位置Sの座標は、(X,0)である。対象物30のx方向への搬送速度をVcとし、レーザ溶接速度をVwとする。位置Bの座標は、(L+(Vc/Vw)(L−X),0)になり、位置Cの座標は、(L+(Vc/Vw)(L−X+L),−L)になり、位置Dの座標は、(Vc/Vw)(2L−X+L),−L)になり、位置Aの座標は、(Vc/Vw)(2L−X+2L),0)になり、位置Sの座標は、(X+2(Vc/Vw)(L+L),0)になる。
【0025】
この軌跡は、制御装置26が、溶接経路31の形状、搬送方向と直交する方向に関する溶接経路31の位置、搬送速度、及び溶接速度に基づいて算出する。溶接開始の時期は、対象物30の搬送方向に関する位置に基づいて決定される。
【0026】
溶接経路31の全長を溶接するためには、位置S、B、C、D、A、及びSの全てが、走査可能範囲25(図1A)内に収まっていなければならない。
【0027】
図4に、レーザビームの入射位置のx座標の時刻暦を示す。横軸は経過時間tを表し、縦軸はレーザビームの入射位置のx座標を表す。溶接開始時点において、頂点Aの位置Aのx座標が0である。対象物30が静止していると仮定したときのレーザビームの入射位置は、図4の破線Uで示したように、頂点Aから、B、C、Dを経由して頂点Aに戻るように移動する。線分ABの傾きは、溶接速度Vwに等しい。対象物30がx方向に搬送速度Vcで搬送されているため、実際のレーザビームの入射位置は、破線Uで示した各時刻のx座標に、x=Vc×tに相当するx方向への変位が重畳されることになる。
【0028】
頂点Aから溶接を開始し、レーザビームの入射位置が溶接経路31を2周すると仮定した場合、レーザビームの入射位置は、A、B、C、D、A、B、C、DからAに至るように移動する。頂点Aから溶接を開始し、レーザビームの入射位置を溶接経路31に沿って1周させると、入射位置は、A、B、C、Dを経由してAに至るように移動する。このときのx方向の走査幅は、位置AからCまでのx方向の長さと等しくなる。レーザビームの入射位置が溶接経路31を1周する時間(溶接時間)をtwとする。
【0029】
溶接開始点を移動させても、溶接時間twは不変である。従って、折れ線A、B、C、D、A、B、C、D、Aから、時間幅twになるように切り取った部分が、溶接経路31を1周するためのレーザビームの入射位置のx座標の時刻暦を示すことになる。溶接開始時の第1の点Sの位置をSとしたとき、溶接の終了時点における第1の点Sの位置Sのx座標が、位置Cのx座標に一致するように、位置Sを選択することができる。このとき、レーザビームの入射位置のx方向の走査幅は、位置SからSまでのx方向の長さと等しくなる。
【0030】
位置SからSまでのx方向の長さは、図3に示したように、2(Vc/Vw)(L+L)であり、頂点Aから第1の点Sまでの長さXに依存しない。すなわち、搬送速度Vc及び溶接速度Vwが固定されていれば、位置SからSまでのx方向の長さは不変である。レーザビームの入射位置のx方向の走査幅を、位置SからSまでのx方向の長さよりも短くすることはできない。
【0031】
図4において、x方向(搬送方向)に関して、位置S及びSを両端とする線分が、位置C及びDを両端とする線分を内包する場合、レーザビームのx方向の走査幅は、位置SからSまでのx方向の長さに等しくなる。このとき、レーザビームのx方向の走査幅が最小になる。x方向に関して、位置C及びDを両端とする線分が、位置S及びSを両端とする線分からはみ出している場合、すなわち、位置Sのx座標が位置Dのx座標よりも大きい場合または位置Sのx座標が位置Cのx座標よりも小さい場合には、レーザビームのx方向の走査幅が、上述の最小値よりも大きくなってしまう。
【0032】
レーザビームの入射位置のx方向の走査幅を最小にするためには、例えば、溶接開始時の第1の点Sの位置を、辺AB上において、位置Dのx座標と等しい位置S02としてもよい。また、溶接開始時の第1の点Sの位置を、位置Sと位置S02との間から選択してもよい。
【0033】
位置Cは、レーザビームの入射位置の移動方向を、x軸の正の向き(搬送方向と同一の向き)から負の向き(搬送方向と逆向き)に折り返す位置に相当する。位置D3は、レーザビームの入射位置の移動方向を、x軸の負の向き(搬送方向と逆向き)から正の向き(搬送方向と同一の向き)に折り返す位置に相当する。
【0034】
一例として、L=150mm、L=50mm、搬送速度Vc=50mm/s、溶接速度Vw=170mm/sとしたとき、位置SからSまでのx方向の長さは約118mmになる。従って、走査可能範囲25のx方向の寸法を118mm以上にすれば、溶接経路31に沿って溶接を行うことができる。対象物30を静止させて溶接を行う場合には、走査可能範囲25のx方向の寸法を、溶接経路31自体のx方向の寸法L=150mm以上にしなければならない。
【0035】
上記実施例では、走査可能範囲25のx方向の寸法を、溶接経路31のx方向の寸法よりも小さくすることができる。さらに、対象物30の搬送を停止させることなく溶接を行うことができるため、溶接のタクトタイムを短くすることが可能になる。
【0036】
図4では、レーザビーム入射位置の移動方向を、x軸の正の向きから負の向きに折り返す位置Cと、x軸の負の向きから正の向きに折り返す位置Dとが一つずつ存在する場合を示したが、溶接経路31の形状が複雑な場合には、折返し点の数がより多くなる場合が考えられる。このような場合には、下記のように、溶接開始位置を選択すればよい。
【0037】
溶接開始時における第1の点Sの位置Sと、溶接終了時における第1の点Sの位置Sとを結ぶ線分Sを第1の線分と定義する。搬送装置の搬送方向(x方向)に着目したとき、レーザビームの入射位置の移動方向をx方向の正の向きから負の向きに折り返す位置のうち搬送方向の最も下流側の位置(位置Cに相当)と、x方向の負の向きから正の向きに折り返す位置のうち最も上流側の位置(位置Dに相当)とを結ぶ線分Cを第2の線分と定義する。
【0038】
このとき、搬送方向に関して、第1の線分が第2の線分を内包するように、第1の点Sを選択する。このように選択することにより、レーザビームの入射位置のx方向の走査幅を、上述の最小値と等しくすることができる。
【0039】
図4では、位置Sと位置Sとを両端とする線分のx方向の寸法が、位置Cと位置Dとを両端とする線分のx方向の寸法よりも大きい場合を示した。次に、両者の寸法の大小関係が逆の場合について説明する。
【0040】
図5に、レーザビームの入射位置のx座標の時刻暦の他の例を示す。図4の場合に比べて、搬送速度Vcが遅くなっている。このため、位置Sと位置Sとを両端とする線分のx方向の寸法が、位置Cと位置Dとを両端とする線分のx方向の寸法よりも小さい。この場合には、x方向(搬送方向)に関して、位置C及びDを両端とする線分が、位置S及びSを両端とする線分を内包するようにすればよい。このように、溶接開始時点における第1の点Sの位置を選択することにより、レーザビームの入射位置のx方向の走査幅を、位置C及び位置Dを両端とする線分のx方向に関する寸法と等しくすることができる。このとき、x方向の走査幅が最小になる。x方向に関して、位置Sと位置Sとを両端とする線分が、位置Cと位置Dとを両端とする線分からはみ出している場合、すなわち、位置Sのx座標が位置Dのx座標よりも小さい場合または位置Sのx座標が位置Cのx座標よりも大きい場合には、レーザビームのx方向の走査幅が、上述の最小値よりも大きくなってしまう。
【0041】
レーザビームの入射位置の移動方向の折返し位置が、3個以上ある場合には、下記のように第1の点Sを選択すればよい。
【0042】
溶接開始時における第1の点Sの位置Sと、溶接終了時における第1の点Sの位置Sとを結ぶ線分Sを第1の線分と定義する。搬送装置の搬送方向(x方向)に着目したとき、レーザビームの入射位置の移動方向をx方向の正の向きから負の向きに折り返す位置のうち搬送方向の最も下流側の位置(位置Cに相当)と、x方向の負の向きから正の向きに折り返す位置のうち最も上流側の位置(位置Dに相当)とを結ぶ線分Cを第2の線分と定義する。
【0043】
このとき、搬送方向に関して、第2の線分が第1の線分を内包するように、第1の点Sを選択する。このように選択することにより、レーザビームの入射位置のx方向の走査幅を、上述の最小値と等しくすることができる。
【0044】
図6に、対象物30をクランプすることができるクランプ機構40を示す。対象物30が、図1Aに示した走査可能範囲25で撮像される時点から、溶接が終了する時点まで、クランプ機構40が対象物30をクランプし、x方向に搬送速度Vcで移動させる。これにより、対象物30の位置精度を高めることができる。その結果、溶接箇所の位置精度を高めることができる。
【0045】
以上実施例に沿って本発明を説明したが、本発明はこれらに制限されるものではない。例えば、種々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者に自明であろう。
【符号の説明】
【0046】
10 搬送機構
20 レーザ照射装置
21 レーザ光源
22 ビーム走査器
23 fθレンズ
25 走査可能範囲
26 制御装置
27 撮像装置
30 対象物
31 溶接経路
40 クランプ機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザビームを出射し、走査可能範囲内で該レーザビームを走査することができるレーザ照射装置と、
レーザ溶接すべき溶接経路が画定された対象物を、前記走査可能範囲を通過するように搬送する搬送機構と、
前記レーザ照射装置によるレーザビームの走査を制御する制御装置と
を有し、
前記制御装置は、前記溶接経路の形状、及び前記搬送機構により搬送される搬送速度に基づいて、レーザビームを走査すべき軌跡を算出し、レーザビームの入射位置が、算出された軌跡を描くように、該レーザビームを走査することにより、前記溶接経路に沿って溶接を行うレーザ溶接装置。
【請求項2】
前記溶接経路が閉じた経路であり、該溶接経路上の第1の点から該溶接経路を辿って該第1の点に戻るように、前記レーザビームを入射させ、
溶接開始時における前記第1の点と、溶接終了時における前記第1の点とを結ぶ線分を第1の線分と定義し、
前記搬送装置の搬送方向に着目したとき、レーザビームの入射位置の移動方向を、前記搬送方向と同一の第1の向きから、前記搬送方向とは逆向きの第2の向きに折り返す第1の折り返し点と、前記第2の向きから前記第1の向きに折り返す第2の折り返し点とが、少なくとも1つずつ存在し、前記第1の折り返し点のうち前記搬送方向の最も下流側に位置する点と、前記第2の折り返し点のうち前記搬送方向の最も上流側に位置する点とを結ぶ線分を第2の線分と定義したとき、
前記搬送方向に関して、前記第1の線分が前記第2の線分を内包するか、または前記第2の線分が前記第1の線分を内包する請求項1に記載のレーザ溶接装置。
【請求項3】
さらに、前記走査可能範囲よりも上流において、前記搬送機構で搬送されている前記対象物の画像を取得する撮像装置を有し、
前記制御装置は、前記撮像装置で取得された画像情報に基づいて、前記溶接経路の形状、及び搬送方向に関する位置を求める請求項1または2に記載のレーザ溶接装置。
【請求項4】
前記制御装置は、前記対象物が静止していると仮定して前記溶接経路の形状に沿ってレーザビームを入射させるときの入射位置の軌跡に、前記搬送速度で移動する搬送方向への変位を重畳させることによって、レーザビームの入射位置の軌跡を算出する請求項1乃至3のいずれか1項に記載のレーザ溶接装置。
【請求項5】
レーザ溶接すべき閉じた溶接経路が画定された対象物を、搬送方向に搬送する工程と、
前記対象物を搬送しながら、前記溶接経路上の第1の点から、該溶接経路を辿って該第1の点に戻るようにレーザビームの入射位置を移動させて、レーザ溶接を行う工程と
を有し、
溶接開始時における前記第1の点と、溶接終了時における前記第1の点とを結ぶ線分を第1の線分と定義し、
前記搬送装置の搬送方向に着目したとき、レーザビームの入射位置の移動方向を、前記搬送方向と同一の第1の向きから、前記搬送方向とは逆向きの第2の向きに折り返す第1の折り返し点と、前記第2の向きから前記第1の向きに折り返す第2の折り返し点とが、少なくとも1つずつ存在し、前記第1の折り返し点のうち前記搬送方向の最も下流側に位置する点と、前記第2の折り返し点のうち前記搬送方向の最も上流側に位置する点とを結ぶ線分を第2の線分と定義したとき、
前記搬送方向に関して、前記第1の線分が前記第2の線分を内包するか、または前記第2の線分が前記第1の線分を内包するようにレーザビームを走査するレーザ溶接方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−5514(P2011−5514A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−150213(P2009−150213)
【出願日】平成21年6月24日(2009.6.24)
【出願人】(000002107)住友重機械工業株式会社 (2,241)
【Fターム(参考)】