説明

レーザ転写用ドナー基板の製造方法及びそれを用いた有機電界発光素子の製造方法

【課題】 レーザ転写用ドナー基板の製造装置とその製造方法及びそれを用いた有機電界発光素子の製造方法を提供する。
【解決手段】 レーザ転写用ドナー基板の製造装置は、真空チャンバ、該真空チャンバ内部をインライン(in−line)で移動しながら通過するドナー基板、及び該真空チャンバ内に形成され、該ドナー基板上に転写層を形成させる蒸着装置を含むことを特徴とする。前記レーザ転写用ドナー基板の製造方法及びそれを用いた有機電界発光素子の製造方法は、真空チャンバ内部をドナー基板がインラインに移動しながら通過し、前記真空チャンバ内に形成された蒸着装置が前記ドナー基板上に転写層を形成することを特徴とする。高真空を維持する真空チャンバ内で転写層、特に低分子有機発光層を連続して形成することができ、また該転写層で形成されたレーザ転写用ドナー基板を大量生産することができると言うメリットがある。また、これを用いた大面積の有機電界発光素子が製造できるメリットを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ転写用ドナー基板の製造装置とドナー基板の製造装置とドナー基板の製造方法及びそれを用いた有機電界発光素子の製造方法(Device and method of fabricating donor substrate for Laser Induced Thermal Imaging、and method of fabricating OLED using the same)に関するもので、より詳しく説明するとITI(Laser Induced Thermal Imaging)を用いた有機膜層パターンの形成の際、レーザ転写用ドナー基板上に転写層を形成する装置と方法及びそれを用いた有機電界発光素子を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に平板表示素子である有機電界発光素子は、アノード電極とカソード電極、そして該アノード電極とカソード電極との間に介された有機膜層を含む。
【0003】
該有機膜層は、少なくとも発光層を含み、該発光層外にも正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層をさらに含むことができる。このような有機電界発光素子は、前記有機膜層、特に前記発光層をなす物質と工程によって高分子有機電界発光素子と低分子有機電界発光素子とで分けられる。
【0004】
このような有機電界発光素子においてフルカラー化を具現するためには、前記発光層をパターニングしなければならない。該発光層をパターニングするための方法として、高分子有機電界発光素子の場合はインクジェットプリンティング(ink−jet printing)、またはレーザによる熱転写法(Laser Induced Thermal Imaging;以下LITIと言う)がある。その中で、該LITIは、前記有機膜層を微細にパターニングすることができ、大面積に用いることができ、高解像度に有利であると言うメリット以外にも、前記インクジェットプリティングが湿式工程であることに対し、これは乾式工程としてのメリットがある。
【0005】
このようなLITIによる有機膜層パターンの形成方法は、少なくとも光源、有機電界発光素子基板及びドナー基板を必要とする。前記基板上に有機膜層をパターニングすることは、前記光源から出る光が前記ドナー基板の光−熱変換層に吸収されて熱エーネルギに変換され、該熱エーネルギにより転写層をなす物質が前記基板上に転写しながら実行される。これは特許文献1、特許文献2、特許文献3、及び特許文献4に開示されている。
【0006】
低分子有機電界発光素子の場合は、シャドーマスク(shadow mask)を使用する方法がある。しかしながら、マスクによる低分子パターニングは、大面積の有機電界発光素子としての製造が難しく、前記インクジェットプリティングは湿式工程であるため、用いられる材料に制限があるという問題点がある。
【特許文献1】韓国特許第1998−51844号明細書
【特許文献2】米国特許第5、998、085号明細書
【特許文献3】米国特許第6、214、520号明細書
【特許文献4】米国特許第6、114、088号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようする技術的課題は、前述した従来の問題点を解決するためのことで、真空チャンバ内で転写層を連続的に形成することによってレーザ転写用ドーナー基板に低分子物質からなる転写層を形成することができ、大量の生産が可能であり、これを用いて大面積の有機電界発光素子を製造するレーザ転写用ドーナ基板の製造装置とその製造方法及びこれを用いた有機電界発光素子の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記技術的課題を解決するために本発明の一側面は、レーザ転写用ドナー基板の製造装置を提供する。該装置は、真空チャンバ、該真空チャンバ内部をインライン(in−line)で移動しながら通過するドナー基板、及び該真空チャンバ内に形成され、前記ドナー基板上に転写層を形成させる蒸着装置を含むことを特徴とする。
【0009】
前記装置は、前記真空チャンバ内に形成され、前記蒸着装置によって形成される転写層の厚さを測定する厚さ測定手段、及び前記真空チャンバ外部から前記厚さ測定手段と連結されていて、前記厚さ測定手段から情報を受けて前記蒸着装置によって形成される転写層の厚さを調節する厚さ調節手段をさらに含むことができる。
【0010】
前記技術的課題を解決するために本発明の他の側面は、レーザ転写用ドナー基板の製造方法を提供する。この方法は真空チャンバ内部をドナー基板がインラインで移動しながら通過し、前記真空チャンバ内に形成された蒸着装置が前記ドナー基板上に転写層を形成させることを特徴とする。
【0011】
前記技術的課題を解決するために本発明のもう一つ他の側面は、有機電界発光素子の製造方法を提供する。この製造方法は、画素電極が形成された基板を供給する段階と、該基板全面に該レーザ転写用ドナー基板の製造方法で製造された転写層が形成されたドナー基板をラミネーション(lamination)する段階と、前記ドナー基板の所定領域にレーザを照射して前記画素電極上に有機膜層パターンを形成する段階と、を含むことを特徴とする。
【0012】
前記方法は,厚さ測定手段を用い、前記蒸着装置により形成される転写層の厚さを測定する段階及び前記厚さ測定手段から信号を受ける厚さ調節手段を用いて、前記蒸着装置によって形成される転写層の厚さを調節する段階をさらに含むことができる。
【0013】
前記真空チャンバは、少なくとも三つ以上の真空チャンバが一列に結合できる。特に、三つの真空チャンバが一列に結合されていて、前記蒸着装置は三つの真空チャンバの中で、二番目の真空チャンバ内に形成することが好ましい。
【0014】
前記蒸着装置は、抵抗加熱式蒸着装置であっても良い。
【0015】
前記ドナー基板上に形成される転写層は、低分子有機物質からなり、特に、有機発光物質であっても良い。
【0016】
前記蒸着装置を前記真空チャンバ内に固定し、連続して移動する前記ドナー基板上に転写層を形成することができる。
【0017】
前記蒸着装置を前記真空チャンバ内に固定し、前記ドナー基板は停止された状態で転写層が形成され、該転写層が形成された後に移動しながら前記真空チャンバを通過することができる。
【0018】
前記蒸着装置は、前記真空チャンバ内で往復移動し、前記ドナー基板は停止された状態で転写層が形成され、該転写層が形成された後に移動しながら前記真空チャンバを通過することができる。
【0019】
前記蒸着装置は、前記真空チャンバ内で往復移動し、連続で移動する前記ドナー基板上に転写層を形成することができる。
【0020】
前記ドナー基板は、フレキシブルドナー基板を使用することができる。
【0021】
該フレキシブルドナー基板は、プラスチックからなることができ、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエステルスルホン(PES)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレンペーパー(PSP)、及びポリエテルエテルケトン(PEEK)からなる一群から選択された何れかの一つの物質を用いて形成することができる。
【0022】
前記フレキシブルドナー基板は、金属からなることができ、SUS(Steel Use Stainless)、またはAlを用いて形成することができる。
【0023】
前記フレキシブルドナー基板は、厚さが500μm以下であり、熱膨張係数が50×10−6/℃ 以下であることが好ましい。
【発明の効果】
【0024】
本発明によると、高真空を維持する真空チャンバ内で転写層、特に低分子有機発光層を連続的に形成することができ、また前記転写層が形成されたレーザ転写用ドナー基板を大量に生産できる利点がある。また、これを用いて大面積の有機電界発光素子を製造できるメリットを提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明をより詳しく説明するために好ましい実施形態を添付した図面を参照して説明する。しかしながら、本発明はここで説明される実施形態に限定されず、他の形態で具体化されることもできる。明細書全体に掛けて同一の参照番号は同一の構成要素を示す。
【0026】
図1は、本発明の第1実施形態によるレーザ転写用ドナー基板の製造装置及びドナー基板の製造方法を説明する工程図である。
【0027】
図1を参照すると、本発明の第1の実施形態によるレーザ転写用ドナー基板の製造装置100は、第1の真空チャンバ110a、第2の真空チャンバ110b、第3の真空チャンバ110cが一列に結合されている真空チャンバ110、ドナー基板120、蒸着装置130、ドナー基板移送ローラ150、厚さ測定手段160及び厚さ調節手段170を含めている。
【0028】
前記真空チャンバ110は、高真空を維持するために少なくとも三つ以上の真空チャンバが一列で結合されることが好ましい。高真空を維持するためにポンプ(図示せず)を使用し、真空チャンバ内の空気を排気することによって高真空が維持できる。後述する蒸着装置による転写層を形成することによって、不純物の蒸着を防止する等、高真空の方が有利であるため、10−4torr以下の真空度を維持しながら転写層を形成することが好ましい。
【0029】
前記ドナー基板120は、インラインで移動しながら前記真空チャンバ110内部を通過する。本実施形態では、前記ドナー基板120が前記真空チャンバ110内の上部を通過するものを例示している。前記ドナー基板120は、ドナー基板移送ローラ150によって前記真空チャンバ110の内部を移動しながら通過する。前記ドナー基板120は、途中で止まらず連続的に移動することができ、しかも転写層140が形成する際は一時停止するが、該転写層140が形成された後は移動し前記真空チャンバ110を通過することができる。
【0030】
前記ドナー基板120は、フレキシブル(flexible)な性質を有するものを使用することができる。例えば、プラスチックまたは金属のようなフレキシブルな材質のドナー基板120を使用できる。
【0031】
前記プラスチックとして、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエステルスルホン(PES)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレンペーパー(PSP)、及びポリエテルエテルケトン(PEEK)からなる一群から選択された何れかの一つの物質を用いることができる。好ましくはポリエチレンテレフタレート(PET)を用いることが良い。
【0032】
前記金属として、SUS(Steel Use Stainless)、またはAl等を利用することができる。
【0033】
前記フレキシブルドナー基板120は、熱膨張係数が50×10−6/℃ 以下であることが好ましい。前記ドナー基板120の熱膨張係数が50×10−6/℃ を超えると、熱による体積膨張がおき易くドナー基板120が大きくなることもある。従って転写層を形成することが難しくなる。
【0034】
蒸着装置130は、前記真空チャンバ110内に形成されている。本実施形態では、三つの真空チャンバが結合された真空チャンバ110の中から第2の真空チャンバ110b内に前記蒸着装置130が形成されていることを例示している。また、前記第2の真空チャンバ110b内の下部、即ち前記ドナー基板120の下部に蒸着装置130が形成されている。
【0035】
前記蒸着装置130は、前記ドナー基板120上に転写層140を形成させる。この場合、前記蒸着装置130は、抵抗加熱式であるものを使用することができる。前記ドナー基板上に形成される転写層は、低分子有機物質からなり、特に有機発光物質からなることもある。
【0036】
前記厚さ測定手段160は、第2の真空チャンバ110b内に形成されていて、前記蒸着装置130により形成される転写層の厚さを測定する。前記厚さ測定手段160として、水晶振動子が用いることができ、周波数の変化を利用して転写層の厚さを測定することができる。
【0037】
前記厚さ調節手段170は、前記真空チャンバ110の外部に形成されてあり、前記厚さ測定手段160及び前記蒸着装置130と連結されている。即ち、前記厚さ測定手段160によって測定された情報は、前記厚さ調節手段170に伝達され、前記厚さ調節手段170は測定された情報に従って前記蒸着装置130を制御し、形成される転写層の厚さを調節する。
【0038】
前記本発明の第1の実施形態によるレーザ転写用ドナー基板の製造装置100により前記ドナー基板120上に転写層140を形成する。
【0039】
詳しく説明すると、前記真空チャンバ110内部を前記ドナー基板120が連続的に移動する。この場合、第2の真空チャンバ110b内で前記ドナー基板120の下部に固定されている蒸着装置130を用いて前記ドナー基板120上に転写層140を連続的に形成する。即ち、前記固定された蒸着装置130に含まれている蒸着物質を前記蒸着装置130が250℃以上の温度で加熱し蒸気状態になることによって前記ドナー基板120上に前記転写層140を連続的に蒸着させる。前記蒸着される速度は、1Å/sの速度で制御し蒸着することができる。
【0040】
前記蒸着される蒸着物質の厚さは、厚さ測定手段160を用いて測定し、その測定した情報は厚さ調節手段170に伝達される。伝達された測定情報に従って前記厚さ調節手段170は、前記蒸着装置130を制御し、これにより形成される転写層の厚さが調節できる。
【0041】
また、前記ドナー基板120は、連続的ではないステップ(step)形としての移動ができる。即ち、前記ドナー基板120が前記真空チャンバ110の内部を移動しながら、前記第2の真空チャンバ110bで停止できる。前記停止したドナー基板120の下部に固定されている蒸着装置130を用いて前記ドナー基板120上に転写層140を形成することができる。前記第2の真空チャンバ110bで転写層140を形成した後、第3の真空チャンバ110cに移動し通過した後、前記ドナー基板120に転写層が形成されてない部分が前記第2の真空チャンバ110bに到達すると、前記ドナー基板120が再び停止して、前記ドナー基板120上に転写層を形成する。この過程を繰り返すことによって前記ドナー基板120上に前記転写層140を連続的に蒸着することができる。
【0042】
前述したように、本発明の第1の実施形態では、高真空を維持した真空チャンバ内部を移動するドナー基板上に固定された蒸着装置を用いて、該ドナー基板上に転写層を連続的に蒸着できることを示している。従って、ドナー基板上に転写層、特に低分子有機発光層が形成でき、連続的に蒸着することが可能であり、転写層が形成されたドナー基板を大量生産することができる。
【0043】
図2は、本発明の第2の実施形態によるレーザ転写用ドナー基板の製造装置及びドナー基板の製造方法を説明する工程図である。
【0044】
図2を参照すると、本発明の第2の実施形態によるレーザ転写用ドナー基板の製造装置200は、三つの真空チャンバが一列に結合された真空チャンバ110、前記真空チャンバ110内の上部を移動し通過するドナー基板220、前記ドナー基板220の下部に位置する蒸着装置230、厚さ測定手段160及び厚さ調節手段170を含めている。この場合、前記蒸着装置230は、本発明の第1の実施形態とは異なる前記第2の真空チャンバ110b内に固定されておらず、前記第2の真空チャンバ110b内で往復移動する。
【0045】
第2の真空チャンバ110b内で往復移動する前記蒸着装置230を用いて前記真空チャンバ100内の上部を連続、またはステップ形で移動する前記ドナー基板220上に転写層240を形成する。
【0046】
上述を除いた以外のことは、本発明の第1の実施形態によるレーザ転写用ドナー基板の製造装置及びドナー基板の製造方法と同様である。
【0047】
図3は、本発明の第3の実施形態によるレーザ転写用ドナー基板の製造装置及びドナー基板の製造方法を説明する工程図である。
【0048】
図3を参照すると、本発明の第3の実施形態によるレーザ転写用ドナー基板の製造装置300は、三つの真空チャンバが一列に結合された真空チャンバ110、該真空チャンバ110内の下部を移動し通過するドナー基板320、該ドナー基板320の上部に位置する蒸着装置330、厚さ測定手段160及び厚さ調節手段170を含めている。本実施形態では、前記ドナー基板320の上部に位置する蒸着装置330を用いて前記ドナー基板320上に転写層340を形成していることをわかる。
【0049】
上述を除いた以外のことは、本発明の第1の実施形態によるレーザ転写用ドナー基板の製造装置及びドナー基板の製造方法と同様である。
【0050】
図4は、本発明の第4の実施形態によるレーザ転写用ドナー基板の製造装置及びドナー基板の製造方法を説明する工程図である。
【0051】
図4を参照すると、本発明の第4の実施形態によるレーザ転写用ドナー基板の製造装置400は、三つの真空チャンバが一列に結合された真空チャンバ110、該真空チャンバ110の内部を通過するドナー基板420、該ドナー基板420の左側に位置する蒸着装置430、厚さ測定手段160及び厚さ調節手段170を含めている。
【0052】
前記ドナー基板420は、第1の真空チャンバ110a内では、該第1の真空チャンバ110a内の上部を移動し、第2の真空チャンバ110b内では該第2の真空チャンバ110b内の上部を移動したのち、前記蒸着装置430の右側で第2の真空チャンバ110b内の右側面に沿って下に移動する。その後、第3の真空チャンバ110c内では、前記第3の真空チャンバ110c内の下部を移動しながら該第3の真空チャンバを通過する。この場合、前記ドナー基板420の左側に位置する蒸着装置430を用いて前記第2の真空チャンバ110b内の右側面に沿って下に移動する前記ドナー基板420上に転写層440を形成する。
【0053】
前記フレキシブルドナー基板420は、厚さが500μm以下であることが好ましい。前記ドナー基板420の厚さが500μmを超えるとベンディング(bending)が難しくなるので、前記第2の真空チャンバ110b内での移動が難しくなることもある。
【0054】
上述を除いた以外のことは、本発明の第1の実施形態によるレーザ転写用ドナー基板の製造装置及びドナー基板の製造方法と同様である。
【0055】
図5Aないし図5Cは、本発明の実施形態による有機電界発光素子の製造方法を説明するための工程順序図である。
【0056】
図5Aを参照すると、前述した本発明の第1ないし第4の実施形態によるレーザ転写用ドナー基板の製造装置及びその製造方法によってドナー基板520上に転写層540を形成する。この場合、前記レーザ転写用ドナー基板の製造装置において形成される蒸着装置には蒸着物質を含めている。該蒸着物質は低分子有機物質を使用することができ、特に低分子有機発光物質であることが好ましい。それで、前記ドナー基板520上には、低分子有機発光層を形成することができる。
【0057】
図5Bを参照すると、前記転写層540が形成されているドナー基板520を所定の素子が形成された基板550上にラミネーションする。このとき、前記基板上には、薄膜トランジスタ及びその上部に位置する平坦化膜上に画素電極が形成されることもある。
【0058】
図5Cを参照すると、前記転写層540が形成されているドナー基板520にレーザを照射して前記画素電極560上に有機膜層パターン570を形成する。
【0059】
該有機膜層パターン570を形成する工程は、N2雰囲気からなることができる。一般の大気中には酸素成分が存在する。従って、転写される前記有機膜層パターン570が酸化する恐れがあるため、酸素成分を無くした質素雰囲気で前記転写工程を実施することもできる。また、前記転写工程は、真空雰囲気で行われるので、前述したラミネーション工程時にドナー基板と基板との間の気泡発生を抑制する効果がある。
【0060】
前記転写工程で形成される有機膜層パターン570は、発光層、正孔注入層、正孔伝達層、電子伝達層及び電子注入層からなる一群から選択する1種の単一層でもあり、また2種以上の多重層であっても良い。特に、前記有機膜層パターン570は低分子有機発光層であっても良い。
【0061】
前記画素電極560上に有機膜層パターン570を形成した後に、該有機膜層パターン570上にカソード電極を形成して有機電界発光素子を完成する。
【0062】
上述したように、本発明では、レーザ転写用ドナー基板の製造方法に従って製造した、低分子転写層が形成されたドナー基板を用いることによって大面積の有機電界発光素子を製造することができる。
【0063】
上述では、本発明の好ましい実施の形態を参照しながら説明したが、当該技術分野の熟練した当業者は、添付の特許請求範囲に記載された本発明の思想及び領域から逸脱しなし範囲で、本発明を多様に修正及び変更させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の第1の実施形態によるレーザ転写用ドナー基板の製造装置及びドナー基板の製造方法を説明する工程図である。
【図2】本発明の第2の実施形態によるレーザ転写用ドナー基板の製造装置及びドナー基板の製造方法を説明する工程図である。
【図3】本発明の第3の実施形態によるレーザ転写用ドナー基板の製造装置及びドナー基板の製造方法を説明する工程図である。
【図4】本発明の第4の実施形態によるレーザ転写用ドナー基板の製造装置及びドナー基板の製造方法を説明する工程図である。
【図5A】本発明の実施形態による有機電界発光素子の製造方法を説明するための工程順序図である。
【図5B】本発明の実施形態による有機電界発光素子の製造方法を説明するための工程順序図である。
【図5C】本発明の実施形態による有機電界発光素子の製造方法を説明するための工程順序図である。
【符号の説明】
【0065】
100、200、300、400:レーザ転写用ドナー基板の製造装置
110:真空チャンバ
110a:第1の真空チャンバ
110b:第2の真空チャンバ
110c:第3の真空チャンバ
120、220、320、420、620:ドナー基板
130、230、330、430:蒸着装置
140、240、340、440、640:転写層
150:ドナー基板移送ローラ
160:厚さ測定手段
170:厚さ調節手段
550:基板
560:画素電極
570:有機膜層パターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空チャンバと、
前記真空チャンバ内部をインラインで移動し通過するドナー基板と、
前記真空チャンバ内に形成されていて、前記ドナー基板上に転写層を形成させる蒸着装置と、
を含むことを特徴とするレーザ転写用ドナー基板の製造装置。
【請求項2】
前記真空チャンバは、少なくとも三つ以上の真空チャンバが一列に結合されることを特徴とする請求項1に記載のレーザ転写用ドナー基板の製造装置。
【請求項3】
前記真空チャンバは、三つの真空チャンバが一列に結合されていて、前記蒸着装置は三つの真空チャンバの中から二番目の真空チャンバ内に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のレーザ転写用ドナー基板の製造装置。
【請求項4】
前記蒸着装置は、抵抗加熱式蒸着装置であることを特徴とする請求項1に記載のレーザ転写用ドナー基板の製造装置。
【請求項5】
前記真空チャンバ内に形成されていて、前記蒸着装置により形成される転写層の厚さを測定する厚さ測定手段と、
前記真空チャンバの外部から前記厚さ測定手段と連結されていて、該厚さ測定手段から情報を受けて前記蒸着装置により形成される転写層の厚さを調節する厚さ調節手段と、
をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のレーザ転写用ドナー基板の製造装置。
【請求項6】
前記ドナー基板は、フレキシブルドナー基板であることを特徴とする請求項1に記載のレーザ転写用ドナー基板の製造装置。
【請求項7】
前記フレキシブルドナー基板は、プラスチックからなることを特徴とする請求項6に記載のレーザ転写用ドナー基板の製造装置。
【請求項8】
前記フレキシブルドナー基板は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエステルスルホン(PES)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレンペーパー(PSP)、及びポリエテルエテルケトン(PEEK)からなる一群から選択された何れかの一つの物質からなることを特徴とする請求項7に記載のレーザ転写用ドナー基板の製造装置。
【請求項9】
前記フレキシブルドナー基板は、金属からなることを特徴とする請求項6に記載のレーザ転写用ドナー基板の製造装置。
【請求項10】
前記フレキシブルドナー基板は、SUSまたはAlからなることを特徴とする請求項9に記載のレーザ転写用ドナー基板の製造装置。
【請求項11】
前記フレキシブルドナー基板は、厚さが500μm以下であることを特徴とする請求項6に記載のレーザ転写用ドナー基板の製造装置。
【請求項12】
前記フレキシブルドナー基板は、熱膨張係数が50×10−6/℃ 以下であることを特徴とする請求項6に記載のレーザ転写用ドナー基板の製造装置。
【請求項13】
真空チャンバ内部をドナー基板がインラインにより移動しながら通過し、前記真空チャンバ内に形成された蒸着装置が該ドナー基板上に転写層を形成させることを特徴とするレーザ転写用ドナー基板の製造方法。
【請求項14】
前記真空チャンバは、少なくとも三つ以上の真空チャンバが一列に結合されたことを特徴とする請求項13に記載のレーザ転写用ドナー基板の製造方法。
【請求項15】
前記真空チャンバは、三つの真空チャンバが一列に結合されていて、前記蒸着装置は三つの真空チャンバの中から二番目の真空チャンバ内に形成されていることを特徴とする請求項13に記載のレーザ転写用ドナー基板の製造方法。
【請求項16】
前記蒸着装置は、抵抗加熱式蒸着装置であることを特徴とする請求項13に記載のレーザ転写用ドナー基板の製造方法。
【請求項17】
厚さ測定手段を用いて、前記蒸着装置により形成される転写層の厚さを測定する段階と、
前記厚さ測定手段から情報を受ける厚さ調節手段を用い、前記蒸着装置により形成される転写層の厚さを調節する段階と、
をさらに含むことを特徴とする請求項13に記載のレーザ転写用ドナー基板の製造方法。
【請求項18】
前記蒸着装置を前記真空チャンバ内に固定し、連続的に移動する前記ドナー基板上に転写層を形成することを特徴とする請求項13に記載のレーザ転写用ドナー基板の製造方法。
【請求項19】
前記蒸着装置を前記真空チャンバ内に固定し、
前記ドナー基板は停止された状態で転写層が形成され、前記転写層が形成された後は移動して前記真空チャンバを通過することを特徴とする請求項13に記載のレーザ転写用ドナー基板の製造方法。
【請求項20】
前記蒸着装置は、前記真空チャンバ内で往復移動し、連続的に移動する前記ドナー基板上に転写層を形成することを特徴とする請求項13に記載のレーザ転写用ドナー基板の製造方法。
【請求項21】
前記蒸着装置は、前記真空チャンバ内で往復移動し、
前記ドナー基板は、停止された状態で転写層が形成され、前記転写層が形成された後は移動して前記真空チャンバを通過することを特徴とする請求項13に記載のレーザ転写用ドナー基板の製造方法。
【請求項22】
前記ドナー基板は、フレキシブルドナー基板であることを特徴とする請求項13に記載のレーザ転写用ドナー基板の製造方法。
【請求項23】
前記フレキシブルドナー基板は、プラスチックからなることを特徴とする請求項22に記載のレーザ転写用ドナー基板の製造装置。
【請求項24】
前記フレキシブルドナー基板は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエステルスルホン(PES)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレンペーパー(PSP)、及びポリエテルエテルケトン(PEEK)からなる一群から選択された何れかの一つの物質を用いることができることを特徴とする請求項23に記載のレーザ転写用ドナー基板の製造装置。
【請求項25】
前記フレキシブルドナー基板は、金属からなることを特徴とする請求項22に記載のレーザ転写用ドナー基板の製造装置。
【請求項26】
前記フレキシブルドナー基板は、SUSまたはAlからなることを特徴とする請求項25に記載のレーザ転写用ドナー基板の製造装置。
【請求項27】
前記フレキシブルドナー基板は厚さが500μm以下であることを特徴とする請求項22に記載のレーザ転写用ドナー基板の製造装置。
【請求項28】
前記フレキシブルドナー基板は、熱膨張係数が50×10−6/℃ 以下であることを特徴とする請求項22に記載のレーザ転写用ドナー基板の製造装置。
【請求項29】
前記真空チャンバ内での蒸着は、10−4torr以下で行われることを特徴とする請求項13に記載のレーザ転写用ドナー基板の製造方法。
【請求項30】
画素電極が形成された基板を供給する段階と、
前記基板全面に請求項13の方法で製造された転写層が形成されたドナー基板をラミネーションする段階と、
前記ドナー基板の所定領域にレーザを照射して前記画素電極上に有機膜層パターンを形成する段階と、
を含むことを特徴とする有機電界発光素子の製造方法。
【請求項31】
前記真空チャンバは、少なくとも三つ以上の真空チャンバが一列に結合されたことを特徴とする請求項30に記載の有機電界発光素子の製造方法。
【請求項32】
前記真空チャンバは、三つの真空チャンバが一列に結合されていて、前記蒸着装置は三つの真空チャンバの中から二番目の真空チャンバ内に形成されていることを特徴とする請求項30に記載の有機電界発光素子の製造方法。
【請求項33】
前記蒸着装置は、抵抗加熱式蒸着装置であることを特徴とする請求項30に記載の有機電界発光素子の製造方法。
【請求項34】
前記ドナー基板上に形成される転写層は、低分子有機発光物質からなることを特徴とする請求項30に記載の有機電界発光素子の製造方法。
【請求項35】
厚さ測定手段を用い、前記蒸着装置により形成される転写層の厚さを測定する段階と、
前記厚さ測定手段から情報を受ける厚さ調節手段を用い、前記蒸着装置により形成される転写層の厚さを調節する段階と、
をさらに含むことを特徴とする請求項30に記載の有機電界発光素子の製造方法。
【請求項36】
前記蒸着装置を前記真空チャンバ内に固定し、連続的に移動する前記ドナー基板上に転写層を形成することを特徴とする請求項30に記載の有機電界発光素子の製造方法。
【請求項37】
前記蒸着装置を前記真空チャンバ内に固定し、
前記ドナー基板は停止された状態で転写層が形成され、該転写層が形成された後は移動して前記真空チャンバを通過することを特徴とする請求項30に記載の有機電界発光素子の製造方法。
【請求項38】
前記蒸着装置は前記真空チャンバ内で往復移動し、
前記ドナー基板は停止された状態で転写層が形成され、該転写層が形成された後は移動して前記真空チャンバを通過することを特徴とする請求項30に記載の有機電界発光素子の製造方法。
【請求項39】
前記蒸着装置は、前記真空チャンバ内で往復移動し、連続的に移動する前記ドナー基板上に転写層を形成することを特徴とする請求項30に記載の有機電界発光素子の製造方法。
【請求項40】
前記ドナー基板は、フレキシブルドナー基板であることを特徴とする請求項30に記載の有機電界発光素子の製造方法。
【請求項41】
前記真空チャンバ内での蒸着は、10−4torr以下で行われることを特徴とする請求項30に記載の有機電界発光素子の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5A】
image rotate

【図5B】
image rotate

【図5C】
image rotate


【公開番号】特開2006−70357(P2006−70357A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−377844(P2004−377844)
【出願日】平成16年12月27日(2004.12.27)
【出願人】(590002817)三星エスディアイ株式会社 (2,784)
【Fターム(参考)】