レーダ装置
【課題】短時間で目標上の電波反射点の空間位置を算出し、目標の3次元形状を算出できるレーダ装置を得ることを目的とするものである。
【解決手段】目標による反射電波を互いに異なる位置にある2つの受信手段からなる一組の受信手段で受信し、目標上の電波反射点に対応するレンジ及びドップラー周波数からなる電波反射点情報を算出する。算出された電波反射点情報をそれぞれに対応する目標上の電波反射点が一致する一組の電波反射点情報として対応付けを行い、一組の電波反射点情報並びに目標と一組の受信手段との相対位置及び相対運動から目標上の電波反射点の空間位置を算出するようにしたものである。
【解決手段】目標による反射電波を互いに異なる位置にある2つの受信手段からなる一組の受信手段で受信し、目標上の電波反射点に対応するレンジ及びドップラー周波数からなる電波反射点情報を算出する。算出された電波反射点情報をそれぞれに対応する目標上の電波反射点が一致する一組の電波反射点情報として対応付けを行い、一組の電波反射点情報並びに目標と一組の受信手段との相対位置及び相対運動から目標上の電波反射点の空間位置を算出するようにしたものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は遠方の目標を観測して、目標の形状、反射強度分布、種類等を特定するレーダ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のレーダ装置においては、異なる時刻に送受信された電波から得られる2枚のレーダ画像を比較して、レーダ画像上の輝点の画像上での速度分布を収集し、さらに、適当な方法でレーダ装置と目標との相対運動を推定した上で、これらの情報を用いて目標上の電波反射点の三次元空間における位置(以下、この三次元空間における位置を、空間位置、と記す。)を算出して目標の三次元形状を得ていた。(例えば、特許文献1参照)
【特許文献1】特開2001−337203号公報(第5−8頁、図1−5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来のレーダ装置で目標の三次元形状を得るためには、目標のレーダ装置に対する位置又は姿勢が互いに異なる状態における2枚のレーダ画像が必要であった。このため、従来のレーダ装置では、異なる時刻に電波の送信(以下、この異なる送信時刻の時間差を、送信時間間隔、と記す。)を行う必要があった。よって、目標上の電波反射点の空間位置を算出して目標の三次元形状を得るまでに、少なくとも送信時間間隔に相当する時間を要するため、即時性をもって目標の三次元形状を得ることができなかった。特に目標の相対運動が緩慢な場合、つまりレーダ装置に対する目標の位置又は姿勢の変化速度が小さい場合には、得られる三次元形状の精度を高めるために目標の位置又は姿勢の変化量が十分大きくなるように送信時間間隔を長くする必要があり、目標上の電波反射点の空間位置を算出して目標の三次元形状を得るまでに長時間を要するという問題点を有していた。
【0004】
この発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、短時間で目標上の電波反射点の空間位置を算出するレーダ装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明に係るレーダ装置は、目標に対して電波を照射する電波照射手段、目標による反射電波を互いに異なる受信位置において受信する複数の受信手段、複数の受信手段により受信された反射電波から目標上の電波反射点に対応するレンジ及びドップラー周波数からなる電波反射点情報を算出する電波反射点情報算出手段、複数の受信手段の内の2つの受信手段からなる一組の受信手段によりそれぞれ受信された反射電波から算出された電波反射点情報をそれぞれに対応する目標上の電波反射点が一致する一組の電波反射点情報として対応付けを行う電波反射点情報対応付け手段、並びに一組の電波反射点情報並びに目標と一組の受信手段との相対位置及び相対運動から一組の電波反射点情報に対応する目標上の電波反射点の空間位置を算出する三次元位置算出手段を備えたものである。
【発明の効果】
【0006】
この発明によれば、目標による反射電波を互いに異なる位置で受信することにより目標上の電波反射点の空間位置を算出するようにしたので、短時間で目標上の電波反射点の空間位置を算出するレーダ装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1によるレーダ装置を示すブロック図であり、送信機1、送受切換器2及び送受信アンテナ3により構成される電波照射手段4により、電波を送信し、航空機、船舶などの観測対象である目標(図示せず)に対して電波を照射する。目標に照射された電波は、目標の表面で反射され(以下、電波が反射される目標の表面の部位を、目標上の電波反射点、反射された電波を、反射電波、とそれぞれ記す。)、この反射電波が送受信アンテナ3で受信され、送受切換器2を介して受信機5に入力される。受信機5は、反射電波に含まれる高周波信号を抽出し、電波反射点情報算出手段である画像生成部6に出力する。この高周波信号には、送受信アンテナ3と目標上の電波反射点との距離であるレンジ及び目標の回転運動に起因するドップラー効果によるドップラー周波数からなる電波反射点情報が含まれている。一般的に目標上の電波反射点は複数となるので、反射電波に含まれる高周波信号には、複数の電波反射点にそれぞれ対応する電波反射点情報が重畳されている。
【0008】
画像生成部6は、受信機5で抽出された高周波信号から電波反射点情報を抽出し、この電波反射点情報を構成するレンジの差とドップラー周波数の差で、複数重畳されている電波反射点情報から、目標上の個々の電波反射点に対応する電波反射点情報に分離する。例えばレンジをX軸、ドップラー周波数をY軸として、目標上の個々の電波反射点に対応する反射電波の受信強度をCRT等ディスプレイの輝度に変換してプロットすることにより、目標の反射強度分布を表す二次元のレーダ画像が生成される。このレーダ画像上の輝点と目標上の電波反射点は一対一に対応し、よってレーダ画像上の輝点と目標上の電波反射点に対応する電波反射点情報は一対一に対応する。
【0009】
送受信アンテナ3から送信され目標に照射された電波は、送受信アンテナ3以外の方向にも反射される。この反射電波が送受信アンテナ3と異なる位置に設置された受信アンテナ7で受信されて受信機8に入力され、受信機8は反射電波に含まれる高周波信号を抽出し、電波反射点情報算出手段である画像生成部9に出力する。画像生成部9は画像生成部6と同様の動作により、目標の反射強度分布を表す二次元のレーダ画像を生成する。このレーダ画像上の輝点と目標上の電波反射点は一対一に対応し、レーダ画像上の輝点と目標上の電波反射点に対応する電波反射点情報は一対一に対応する。
【0010】
なお、1つのアンテナを用いて電波の送受信を行うレーダ装置の方式は一般にモノスタティック方式と呼ばれ、送信機1、送受切換器2、送受信アンテナ3、受信機5及び画像生成部6はモノスタティックレーダ画像生成回路10を構成する。送信アンテナと異なる位置に受信アンテナを設置して送受信を行うレーダ装置の方式は一般にバイスタティック方式と呼ばれ、受信アンテナ7、受信機8及び画像生成部9はバイスタティックレーダ画像生成回路11を構成する。
【0011】
送受切換器2、送受信アンテナ3及び受信機5、並びに受信アンテナ7及び受信機8は、目標による反射電波を互いに異なる受信位置において受信する複数の受信手段12及び13をそれぞれ構成する。
【0012】
相対運動推定手段である回転運動推定回路14では、モノスタティックレーダ画像生成回路10とバイスタティックレーダ画像生成回路11で得られたレーダ画像に基づき、目標と送受信アンテナ3及び受信アンテナ7との相対運動である回転運動を推定する。相対位置推定手段である位置関係推定回路15では、受信機5と受信機8で抽出された高周波信号に基づき、目標と送受信アンテナ3及び受信アンテナ7との相対位置を推定する。
【0013】
電波反射点情報対応付け手段である反射点対応づけ回路16では、モノスタティックレーダ画像生成回路10及びバイスタティックレーダ画像生成回路11で得られた2枚のレーダ画像を照合し、例えば、目標が航空機である場合、航空機のノーズ、垂直尾翼など形状に特徴のある部位に対応する輝点をそれぞれのレーダ画像上で特定して、同一の部位、即ち同一の目標上の電波反射点に対応するそれぞれの輝点を一組の輝点として対応づける。幾つかの輝点の対応づけが為された後には、他の輝点についてはレーダ画像上での輝点間の距離、位置関係等に基づいて、対応づけを行うこともできる。
【0014】
反射点対応づけ回路16は、一組の輝点ごとに、つまり一組の輝点に対応する目標上の電波反射点ごとに、画像生成部6及び画像生成部9でそれぞれ抽出、分離された電波反射点情報を一組の電波反射点情報として対応づける。反射点対応づけ回路16は、複数の一組の輝点の対応づけを行い、これらの一組の輝点のそれぞれ対応する複数の一組の電波反射点情報を三次元位置算出手段である三次元位置推定回路17に対して出力する。
【0015】
三次元位置推定回路17は、複数の一組の電波反射点情報、回転運動推定回路14で推定された回転運動、及び位置関係推定回路15で推定された相対位置に基づいて、目標上の電波反射点の空間位置を算出する。三次元形状算出手段である三次元形状生成回路18は、三次元位置推定回路17により算出された目標上の電波反射点の空間位置に基づいて、目標の三次元形状を算出する。
【0016】
次に、三次元位置推定回路17における目標上の電波反射点の空間位置の算出方法を図2をもとに説明する。図2は、図1に示す実施の形態1における複数の受信手段12及び13と目標20との相対位置及び相対運動、より具体的には複数の受信手段12及び13を構成する送受信アンテナ3及び受信アンテナ7と目標20との相対位置及び相対運動の状態を示しており、図1と同一の符号を付したものは、同一又はこれに相当するものである。図1に示すモノスタティックレーダ画像生成回路10及びバイスタティックレーダ画像生成回路11は、一定の時間間隔で継続的に目標20のレーダ画像21及び22を生成する。なお、図2に示すレーダ画像21及び22において、白色部分がレーダ画像上の輝点に相当する。
【0017】
目標20は重心Oを通る軸を回転軸とする重心位置を固定した回転運動を行っているものとし、その回転角速度ベクトルをwwで表す。回転運動推定回路14は、例えば目標20のレーダ画像21又は22の経時的な変化から現在の回転角速度ベクトルwwを推定する。目標20と複数の受信手段12及び13との相対運動は回転角速度ベクトルwwによって表現することができる。目標20の重心Oを基準として、送受信アンテナ3方向の単位ベクトルをii1、受信アンテナ7方向の単位ベクトルをii2、送受信アンテナ3及び受信アンテナ7までの距離をそれぞれL1、L2とする。位置関係推定回路15は、例えば目標20のレーダ画像21又は22の経時的な変化から目標20の重心Oの位置を推定し、この推定された目標20の重心Oの位置と最新の電波反射点情報から現在の距離L1、L2を推定する。
【0018】
目標20上の1つの電波反射点Pkの位置ベクトルをrrkと表す(kは複数の電波反射点の一を示すインデックスである。)。以下、目標20上の電波反射点に対応するレンジを送受信アンテナ3から送信された電波が目標20上の電波反射点で反射して送受信アンテナ3又は受信アンテナ7に到達するまでの距離の1/2として説明する。
【0019】
送受信アンテナ3から送信して、送受信アンテナ3で受信した場合の電波反射点Pkのレンジをrk1'、送受信アンテナ3から送信して、受信アンテナ7で受信した場合の電波反射点Pkのレンジをrk2'とすると、これらは、L1及びL2に対して目標20の寸法が十分小さいという前提の下に、それぞれ次式で与えられる。
rk1'=L1−ii1・rrk (1)
rk2'=(L1+L2)/2−(ii1+ii2)/2・rrk (2)
ここで、任意のベクトルAAとBBについて、AA・BBはベクトルAAとBBの内積を表す。
【0020】
電波反射点Pkのレンジrk1'及びrk2'から目標20の重心OのレンジL1及び(L1+L2)/2をそれぞれ差引いた結果を改めて電波反射点Pkのレンジと呼ぶことにし、これらを次式のrk1及びrk2で与える。
rk1=−ii1・rrk (3)
rk2=−(ii1+ii2)/2・rrk (4)
また、目標20の重心Oを通る軸を回転軸とする回転運動によって発生する点Pkの速度ベクトルをVVkとすると、VVkは次式で与えられる。
VVk=ww×rrk (5)
ここで、任意のベクトルAAとBBについて、AA×BBはベクトルAAとBBの外積を表す。
【0021】
よって、反射電波を送受信アンテナ3及び受信アンテナ7でそれぞれ受信した場合の電波反射点Pkに対応するドップラー周波数Fk1及びFk2は、中心周波数をFc、光速をcとして次式で与えられる。
【0022】
【数1】
【0023】
ここで、次式を満足するベクトルWWを導入する。
WW=−2Fc/cww (8)
式(3)(4)(6)(7)は次式に変形される。
ii1・rrk =−rk1 (9)
ii2・rrk =−2rk2+rk1 (10)
(ii1×WW)・rrk=−Fk1 (11)
(ii2×WW)・rrk=−2Fk2+Fk1 (12)
式(9)〜(12)は式(13)の形にまとめることができる。
A0rrk =bbk (13)
【0024】
ただし、行列A0、ベクトルbbkは、
i1x、i1y、i1zをii1のx、y、z成分、
i2x、i2y、i2zをii2のx、y、z成分、
iw1x、iw1y、iw1zを(ii1×WW)のx、y、z成分、
iw2x、iw2y、iw2zを(ii2×WW)のx、y、z成分として、次式で与えられる。
【0025】
【数2】
【0026】
よって、電波反射点Pkの位置ベクトルrrkは次式で与えられる。
rrk=(A0TA0)-1A0Tbbk (15)
ここで、添字Tは転置行列を表す。目標20の重心Oの位置及び式(15)によって算出される電波反射点Pkの位置ベクトルrrkから、電波反射点Pkの空間位置が算出される。三次元位置推定回路17は、目標20上の複数の電波反射点について同様の処理を繰り返し、複数の電波反射点の空間位置を算出し、三次元形状生成回路18に対して出力する。三次元形状生成回路18は、三次元位置推定回路17から入力された目標20上の複数の電波反射点の空間位置に基づいて、目標20の三次元形状を算出する。
【0027】
この実施の形態1によるレーダ装置は、1回の電波の送信によって目標上の電波反射点の空間位置を算出するようにしたので、短時間で、かつ少ない電波送信電力で目標上の電波反射点の空間位置を算出するレーダ装置を得ることができる。また、このようにして算出された目標上の電波反射点の空間位置から目標の三次元形状を得るようにしたので、短時間で、かつ少ない電波送信電力で目標の三次元形状を算出するレーダ装置を得ることができる。
【0028】
なお、実施の形態1のレーダ装置において、電波照射手段4により異なる時刻に複数回電波を送信し、それぞれの反射電波に基づいて目標20上の複数の電波反射点の空間位置を算出する処理を繰り返し、三次元形状生成回路18がこれらの異なる時刻に送信された電波の反射電波に基づいて算出された目標20上の複数の電波反射点の空間位置を統合して、目標20の三次元形状を算出するようにしてもよい。このように構成することにより、1回のみの電波の送信では観測できなかった目標上の電波反射点を観測できる確率が増加し、目標の三次元形状の算出精度を向上させることができる。この実施の形態1よるレーダ装置は算出精度を高めるために複数回の電波の送信を行う場合であっても、1回の電波の送信ごとに目標上の電波反射点の空間位置を算出するので、従来のレーダ装置のように目標の位置又は姿勢の変化量が十分大きくなるように送信時間間隔を長くする必要はなく、短時間で精度の高い目標の三次元形状の算出を行うことができる。
【0029】
実施の形態2.
図3は、この発明の実施の形態2によるレーダ装置を示すブロック図であり、図1と同一の符号を付したものは、同一又はこれに相当するものである。図3は、図1の相対運動推定手段である回転運動推定回路14を、同じく相対運動推定手段である等価回転運動推定回路25に置き換え、更に目標追尾回路26を付加したものである。また、図4は、この実施の形態2における複数の受信手段12及び13と目標20との相対位置及び相対運動、より具体的には複数の受信手段12及び13を構成する送受信アンテナ3及び受信アンテナ7と目標20との相対位置及び相対運動の状態を示しており、図2と同一の符号を付したものは、同一又はこれに相当するものである。この実施の形態2では、目標20が実施の形態1のような重心Oを通る軸を回転軸とする重心位置を固定した回転運動を行うのではなく、例えば図4の速度ベクトルVVで示す等速直線運動のように、重心位置が変化するような運動(以下、並進運動、と記す。)を行う場合を想定する。
【0030】
目標20が並進運動のみを行う場合においても、送受信アンテナ3及び受信アンテナ7と目標20の相対位置が時間的に変化することで、送受信アンテナ3及び受信アンテナ7から見た目標20の見込み角が時間的に変化すれば、この並進運動を目標20の重心Oを通る軸を回転軸とする等価的な回転運動とみなすことができる。目標追尾回路26は、モノスタティックレーダ画像生成回路10の受信機5で抽出された高周波信号に基づき目標20を追尾して目標20の並進運動の速度ベクトルVVを算出する。等価回転運動推定回路25は、速度ベクトルVVから等価的な回転角速度ベクトルを算出する。この等価的な回転角速度ベクトルの算出方法を図4をもとに説明する。
【0031】
図4に示す速度ベクトルVVの送受信アンテナ3から見た目標20の見込み角の変化に寄与する成分である速度ベクトルVVeff1は、速度ベクトルVVの送受信アンテナ3方向の単位ベクトルをii1に直交する方向の成分であり、次式で得られる。
VVeff1=(ii1×VV)×ii1 (16)
送受信アンテナ3から見た目標20の見込み角の変化を、目標20の重心Oを通る軸を回転軸とする等価的な回転運動とみなしたときの回転角速度ベクトルをwweff1で表すと、近似的に次式が成立する。
wweff1×(-L1ii1)=VVeff1 (17)
式(16)(17)より次式が得られる。
(L1wweff1+ii1×VV)×ii1=00 (18)
ここで、00はゼロベクトルを表す。
式(18)が成立するためには、aを適当な定数として式(19)が成立する必要がある。
L1wweff1+ii1×VV=aii1 (19)
ここで、wweff1及びii1×VVはともにii1に直交することから、a=0である必要がある。
よって、目標20の等価的な回転角速度ベクトルwweff1は次式のように得られる。
wweff1=−ii1×VV/L1 (20)
【0032】
同様にして、送受信アンテナ3方向と受信アンテナ7方向の中間の方向から見た目標20の見込み角の変化を、目標20の重心Oを通る軸を回転軸とする等価的な回転運動とみなしたときの回転角速度ベクトルwweff2を求める。wweff1、wweff2を用いて、次の2式を得る。
【0033】
【数3】
【0034】
また、レンジに関する次の2式を再び示す。
rk1=−ii1・rrk (23)
rk2=−(ii1+ii2)/2・rrk (24)
以上に基づき次式を得る。
A02rrk=bbk2 (25)
ただし、A02、bbk2はそれぞれ次式で与えられる行列及び列ベクトルである。
【0035】
【数4】
ただし、
i1x2、i1y2、i1z2は-ii1のx、y、z成分、
i2x2、i2y2、i2z2は−(ii1+ii2)/2のx、y、z成分、
w1x2、w1y2、w1z2は2Fc/c(ii1×wweff1)のx、y、z成分、
w2x2、w2y2、w2z2は2Fc/c((ii1+ii2)/2×wweff2)のx、y、z成分を表す。
よって、電波反射点Pkの位置ベクトルrrkは次式で与えられる。
rrk=(A02TA02)-1A02Tbbk2 (27)
【0036】
三次元位置推定回路17は、以上の処理を目標20上の複数の電波反射点について繰り返し、複数の電波反射点の空間位置を算出し、三次元形状生成回路18に対して出力する。三次元形状生成回路18は、三次元位置推定回路17から入力された目標20上の複数の電波反射点の空間位置に基づいて、目標20の三次元形状を算出する。
【0037】
この実施の形態2によるレーダ装置は、目標が並進運動のみを行う場合であっても、1回の電波の送信によって目標上の電波反射点の空間位置を算出するようにしたので、短時間で、かつ少ない電波送信電力で目標上の電波反射点の空間位置を算出するレーダ装置を得ることができる。また、このようにして算出された目標上の電波反射点の空間位置から目標の三次元形状を得るようにしたので、短時間で、かつ少ない電波送信電力で目標の三次元形状を算出するレーダ装置を得ることができる。
【0038】
実施の形態1においては目標が回転運動のみ行っている場合、実施の形態2においては目標が並進運動のみ行っている場合に目標上の電波反射点の空間位置を算出するレーダ装置について説明したが、目標が回転運動と並進運動を合成した一般的な運動を行っている場合であっても、この運動から等価的な回転運動を算出することにより、実施の形態1又は実施の形態2と同様の構成及び処理によって、同様の効果を奏する。なお、目標の相対位置又は相対運動が既知の場合には、これらの既知の情報を三次元位置算出手段で使用することにより、同様の効果を奏する。
【0039】
実施の形態3.
図5はこの発明の実施の形態3によるレーダ装置を示すブロック図であり、図1と同一の符号を付したものは、同一又はこれに相当するものである。図5は、図1のバイスタティックレーダ画像生成回路11をもう1つのモノスタティックレーダ画像生成回路10に置き換えたものである。2つのモノスタティックレーダ画像生成回路10の受信手段12と目標20との相対位置及び相対運動の状態は、図2において受信アンテナ7を送受信アンテナ3に置き換えたものとなる。
【0040】
実施の形態1によるレーダ装置においては、1つのモノスタティックレーダ画像生成回路10と1つのバイスタティックレーダ画像生成回路11を用いて、目標20の三次元形状を算出したが、この実施の形態3のレーダ装置においては、2つのモノスタティックレーダ画像生成回路10を用いて、目標20の三次元形状を算出する。ある時刻において、一方のモノスタティックレーダ画像生成回路10の電波照射手段4から電波の送信を行い、その反射電波を2つのモノスタティックレーダ画像生成回路6の受信手段12で受信する。また、次の時刻においては、他方のモノスタティックレーダ画像生成回路10の電波照射手段4から電波の送信を行い、その反射電波を2つのモノスタティックレーダ画像生成回路10の受信手段12で受信する。
【0041】
2つの電波照射手段4は互いに異なる位置にあり、この異なる位置から照射された電波の反射電波を受信して抽出されたそれぞれの高周波信号から、実施の形態1と同様の動作により、目標20上の複数の電波反射点の空間位置を算出する。三次元形状生成回路18は、三次元位置推定回路17から入力された異なる位置から照射された電波の反射電波から得られた目標20上の複数の電波反射点の空間位置を統合して、目標20の三次元形状を算出する。
【0042】
この実施の形態3よるレーダ装置は、互いに異なる2つの位置から送信され、異なる方向から目標に照射された電波の反射電波から得られる目標上の複数の電波反射点の空間位置を統合して、目標の三次元形状を算出するようにしたので、1つの位置から電波を送信する実施の形態1のレーダ装置では観測できなかった目標上の電波反射点を観測できる確率が増加し、目標の三次元形状の算出精度を向上させることができる。なお、この実施の形態3よるレーダ装置は異なる時刻に電波の送信を行うが、送信の位置の変化によって目標と受信手段との相対位置及び相対運動が変化するので、従来のレーダ装置のように目標の位置又は姿勢の変化量が十分大きくなるように送信時間間隔を長くする必要はなく、短時間で精度の高い目標の三次元形状の算出を行うことができる。
【0043】
実施の形態4.
図6はこの発明の実施の形態4によるレーダ装置を示すブロック図であり、図1と同一の符号を付したものは、同一又はこれに相当するものである。図6は、図1のバイスタティックレーダ画像生成回路11をN個に増やしたものである。N個のバイスタティックレーダ画像生成回路11のそれぞれの受信アンテナ7(図示せず)は、互いに異なる位置であって、かつモノスタティックレーダ画像生成回路10の送受信アンテナ3(図示せず)とも異なる位置に置かれる。
【0044】
この実施の形態4のレーダ装置においては、モノスタティックレーダ画像生成回路10から電波の送信を行い、その反射電波をモノスタティックレーダ画像生成回路10及びN個のバイスタティックレーダ画像生成回路(#1〜#N)11で受信して、高周波信号を抽出する。つまり、この実施の形態4のレーダ装置は、N+1個の受信手段を備える。ここで、Nは2以上とし、この実施の形態4のレーダ装置は、3個以上の受信手段を備えるものとする。このN+1個の受信手段から任意の2個の受信手段を選択して一組の受信手段として設定すると、(N+1)N/2種類の一組の受信手段が得られる。
【0045】
位置関係推定回路15は、モノスタティックレーダ画像生成回路10の送受信アンテナ3(図示せず)及びN個のバイスタティックレーダ画像生成回路(#1〜#N)11のそれぞれの受信アンテナ7(図示せず)と目標20との間の相対位置を推定し、一組の受信手段ごとに図2に示すii1、ii2、L1、L2に相当する単位ベクトルiim、iin及びレンジLm、Lnを算出する(m、nは一組の受信手段を構成する互いに異なる2個の受信手段を示すインデックスである。)。位置関係推定回路15は、(N+1)N/2種類の一組の受信手段の全てについて単位ベクトル及びレンジを算出してもよいし、その中から適当に選択したいくつかの一組の受信手段ついてのみ単位ベクトル及びレンジを算出してもよい。
【0046】
反射点対応付け回路16は、位置関係推定回路15で単位ベクトル及びレンジを算出した一組の受信手段(以下、単位ベクトル及びレンジを算出した一組の受信手段を、対象受信手段ペア、と記す。)について、実施の形態1と同様の動作により、それぞれで受信された反射電波から得られた2枚のレーダ画像を照合し、複数の一組の輝点の対応づけを行い、これらの一組の輝点のそれぞれ対応する複数の一組の電波反射点情報を三次元位置算出手段である三次元位置推定回路17に対して出力する。反射点対応付け回路16は、複数の対象受信手段ペアについて同様の処理を行い、対象受信手段ペアのそれぞれに対応した複数の一組の電波反射点情報を三次元位置算出手段である三次元位置推定回路17に対して出力する。
【0047】
三次元位置推定回路17では、対象受信手段ペアのそれぞれに対応して、複数の一組の電波反射点情報、回転運動推定回路14で推定された回転運動、及び位置関係推定回路15で推定された相対位置に基づいて、実施の形態1と同様の動作により、目標20上の複数の電波反射点の空間位置を算出する。三次元位置算出手段である三次元形状生成回路18は、対象受信手段ペアのそれぞれに対応して三次元位置推定回路17により算出された目標20上の複数の電波反射点の空間位置を統合して、目標の三次元形状を算出する。
【0048】
この実施の形態4よるレーダ装置は、互いに異なる位置にある3個以上の受信手段から少なくとも1個の受信手段が互いに異なる2個の受信手段である一組の受信手段を複数設定し、複数の一組の受信手段により受信された反射電波から算出された目標上の電波反射点の空間位置に基づいて、上記目標の三次元形状を算出するようにしたので、1つの一組の受信手段のみを備える実施の形態1のレーダ装置では観測できなかった目標上の電波反射点を観測できる確率が増加し、目標の三次元形状の算出精度を向上させることができる。また、電波の送信は1回でよく、短時間で、かつ少ない電波送信電力で目標の三次元形状を精度よく算出するレーダ装置を得ることができる。
【0049】
なお、この実施の形態4では1個のモノスタティックレーダ画像生成回路とN個のバイスタティックレーダ画像生成回路を用いたが、モノスタティックレーダ画像生成回路は必ずしも1個である必要はない。例えば、複数のモノスタティックレーダ画像生成回路で順に電波の送信を行って、それぞれの受信手段で反射電波の受信を行ってレーダ画像を生成した場合でも、上記と同様の効果が得られることは言うまでもなく、異なる方向から目標に電波を照射するので、目標上の電波反射点を観測できる確率が更に増加し、目標の三次元形状の算出精度を更に向上させることができる。
【0050】
実施の形態5.
図7は、この発明の実施の形態5によるレーダ装置を示すブロック図であり、図1と同一の符号を付したものは、同一又はこれに相当するものである。図7は、図1に三次元反射強度分布算出手段である反射強度付加回路30を付加したものである。この実施の形態5によるレーダ装置は、電波反射点情報算出手段である画像生成部6及び9が、電波反射点情報に加えて目標上の電波反射点に対応する反射強度を算出して、反射強度付加回路30に対して出力する。また、三次元形状生成回路18は算出した目標の三次元形状を反射強度付加回路30に対して出力する。
【0051】
反射強度付加回路30は、画像生成部6及び9から入力された反射強度と三次元形状生成回路18から入力された目標の三次元形状に基づいて、目標の反射強度の三次元分布を算出する。なお、目標の反射強度の三次元分布を算出する場合、画像生成部6で算出された反射強度のみを用いても良いし、画像生成部9で算出された反射強度のみを用いても良い。さらに、平均処理等、2つの画像生成部6及び9で算出された反射強度に何らかの処理を施した結果を用いても良い。
【0052】
この実施の形態5によるレーダ装置は、目標の反射強度の三次元分布を得ることができ、目標の三次元形状のみを得る場合に比べて、目標を特徴づける情報が増加し、これらの情報を用いて目標を識別、類別するような用途において、その識別性能、類別性能を向上させることができる。
【0053】
実施の形態6.
図8はこの発明の実施の形態6によるレーダ装置を示すブロック図であり、図1と同一の符号を付したものは、同一又はこれに相当するものである。図8は、図1に三次元形状記憶手段である三次元形状データベース32、三次元形状照合手段である三次元形状照合回路34を付加したものである。この実施の形態6によるレーダ装置は、三次元形状データベース32に目標の三次元形状をあらかじめ候補目標形状として記憶しておく。
【0054】
三次元形状照合回路34は、三次元形状生成回路18で算出された目標の三次元形状と三次元形状データベース32に記憶された候補目標形状との照合を行う。この照合において、三次元形状照合回路34は三次元形状生成回路18で算出された目標の三次元形状又は候補目標形状の姿勢を変化させ、各姿勢で三次元形状生成回路18で算出された目標の三次元形状と候補目標形状の類似度を算出する。この類似度としては、例えば照合する2つの形状の重心を一致させた場合の目標上の電波反射点と候補目標形状の表面との距離の差の逆数や、目標上の電波反射点のうちで候補目標形状内に含まれる点数、又はこの点数の目標上の電波反射点の全点数に対する比率など、その値が大きくなるにつれて類似の度合が高まるような尺度を用ればよい。また、候補目標形状ごとに類似度が最大となる最適類似姿勢を、その類似度とともに出力するようにしてもよい。
【0055】
この実施の形態6によるレーダ装置は、候補目標形状ごとに、その姿勢に対応した目標の3次元形状との類似度が得られるので、目標の三次元形状を候補目標形状と比較して識別、類別するような用途において、その識別性能、類別性能を向上させることができる。
【0056】
実施の形態7.
図9はこの発明の実施の形態7によるレーダ装置を示すブロック図であり、図8と同一の符号を付したものは、同一又はこれに相当するものである。図9は、図8に姿勢記憶手段である姿勢データベース38、姿勢判定手段である姿勢判定回路40を付加したものである。姿勢データベース38には、三次元形状データベース32に記憶された候補目標形状ごとに、地球中心から目標に向かう軸(以下では地球目標軸と呼ぶ)や進行方向軸に対して一般的な姿勢(例えば、航空機は、ほぼ進行方向軸方向に機首を向けて飛行する、艦船の高さ方向の軸は、地球目標軸と一致する等。以下、標準姿勢、と記す。)をあらかじめ記憶しておく。
【0057】
三次元形状照合回路34は、候補目標形状の特定の姿勢を姿勢推定回路40に対して出力する。姿勢判定回路40は、三次元形状照合回路34から入力される候補目標形状の姿勢が姿勢データベース38から入力される標準姿勢の所定の変動範囲にある否か、即ち候補目標形状の姿勢の妥当性を判定する。候補目標形状の姿勢が標準姿勢の所定の変動範囲内にあれば、妥当なものであると判定する。
【0058】
この実施の形態7によるレーダ装置は、三次元形状照合回路34で得られた目標の三次元形状と候補目標形状との類似度に加えて、候補目標形状の姿勢の妥当性の判定結果を用いることで、観測している目標とは異なる候補目標形状との類似度が、ある姿勢で偶然大きな値になったような場合でも、候補目標形状の姿勢の妥当性の判定結果に基づいて、識別、類別の対象から除外でき、その識別性能、類別性能を向上させることができる。
【0059】
実施の形態8.
図10はこの発明の実施の形態8によるレーダ装置を示すブロック図であり、図7又は図8と同一の符号を付したものは、同一又はこれに相当するものである。図10は図7に、図8に示す三次元形状記憶手段である三次元形状データベース32及び三次元形状照合手段である三次元形状照合回路34を付加し、さらに反射強度シミュレーション手段である電磁界理論回路50及び反射強度三次元分布判定手段である反射強度三次元分布照合回路52を付加したものである。
【0060】
反射強度付加回路30は、図7に示す実施の形態5と同様の動作により、画像生成部6及び9から入力された反射強度と三次元形状生成回路18から入力された目標の三次元形状に基づいて、目標の反射強度の三次元分布を算出する。三次元形状照合回路34は、図8に示す実施の形態6と同様の動作により、三次元形状生成回路18で算出された目標の三次元形状と三次元形状データベース32に記憶された候補目標形状との照合を行い、候補目標形状ごとに三次元形状生成回路18で算出された目標の三次元形状との類似度が最大となる最適類似姿勢を電磁界理論回路50に対して出力する。
【0061】
電磁界理論回路50は、三次元形状データベース32に記憶された候補目標形状ごとに、三次元形状照合回路34から入力された最適類似姿勢及び位置関係推定回路15で算出された目標の相対位置をもとに、例えばGTD(Geometrical Theory of Diffraction)のような電磁界理論を適用した電磁界シミュレーションにより、候補目標形状の反射強度の三次元分布を算出する。反射強度三次元分布照合回路52は、反射強度付加回路30で算出された目標の反射強度の三次元分布と、電磁界理論回路50で算出された候補目標形状の反射強度の三次元分布を照合して、その類似度を算出する。
【0062】
この実施の形態8によるレーダ装置は、目標の反射強度の三次元分布と、電磁界理論を適用した電磁界シミュレーションにより算出された候補目標形状の反射強度の三次元分布との類似度を算出することにより、目標を識別、類別するような用途において、その識別性能、類別性能を向上させることができる。
【0063】
なお、実施の形態3〜8によるレーダ装置においても、目標が回転運動と並進運動を合成した一般的な運動を行っている場合であっても、実施の形態1又は実施の形態2と同様の構成及び処理によって、この運動から等価的な回転運動を算出することにより、同様の効果を奏する。また、目標の相対位置又は相対運動が既知の場合には、これらの既知の情報を三次元位置算出手段で使用することにより、同様の効果を奏する。
【0064】
実施の形態9.
図11はこの発明の実施の形態9によるレーダ装置を示すブロック図であり、図3と同一の符号を付したものは、同一又はこれに相当するものである。図11は、図3の等価回転運動推定回路25を修正等価回転運動推定回路101に置換したものである。この実施の形態9においても、実施の形態2と同様、例えば図4に示す速度ベクトルVVで示す等速直線運動のような並進運動を行う場合を想定する。ドップラー周波数Fk1、Fk2を次式のように与える。
【0065】
【数5】
また,uubi=(ii1+ii2)/2として,レンジに関して次式を得る。
rk1=−ii1 ・rrk (30)
rk2=−uubi・rrk (31)
【0066】
なお、式(20)を考慮すれば分かる通り,式(21)と式(28)は,全く同じ式である。また、式(30)(31)についても、それぞれ式(3)(4)と同じである。式(22)と式(29)では、式(29)の方が高精度である。これらの式を用いて,第k反射点の位置ベクトルrrkを次式より得る。
rrk=(A03TA03)-1A03Tbbk3 (32)
ただし、A03は次式で表される。
【0067】
【数6】
【0068】
この実施の形態9によるレーダ装置では、図1に示す受信アンテナ7で受信した場合の電波反射点Pkに対応するドップラー周波数Fk2を式(22)より高精度な式(29)で算出するため、目標20の形状の推定精度が向上する。
【0069】
実施の形態10.
図12はこの発明の実施の形態10によるレーダ装置を示すブロック図であり、図3と同一の符号を付したものは、同一又はこれに相当するものである。図12は、図3の等価回転運動推定回路25を独立回転運動推定回路103に、三次元位置推定回路17を独立回転考慮形修正三次元位置推定回路102に、それぞれ置換したものである。
【0070】
この実施の形態10では、目標20が並進運動に加えて回転運動を行う場合を想定する。独立回転運動推定回路103では、他のセンサを使用したり、シミュレーション等の手段により目標の回転運動を推定し、これを回転角速度wwとして得る。なお、独立回転運動推定回路103として、図1に示す回転運動推定回路14をそのまま用いてよい。独立回転考慮形修正三次元位置推定回路102では、ドップラー周波数Fk1、Fk2を次式のように与える。
【0071】
【数7】
これらと式(30)(31)より次式のA04を得る。
【0072】
【数8】
式(32)のA03を、式(36)のA04に置換することにより、第k反射点の三次元位置を得る。
【0073】
独立回転考慮形修正三次元位置推定回路102では、以上の処理を目標20上の複数の電波反射点について繰り返し、複数の電波反射点の空間位置を算出し、三次元形状生成回路18に対して出力する。三次元形状生成回路18は、独立回転考慮形修正三次元位置推定回路102から入力された目標20上の複数の電波反射点の空間位置に基づいて、目標20の三次元形状を算出する。
【0074】
この実施の形態10によるレーダ装置では、実施の形態9と同様に目標の並進運動に伴って発生する等価的な回転運動を高精度に推定する。また、目標自体の回転運動も考慮しているので,形状の推定精度がより向上する。
【0075】
実施の形態11.
図13はこの発明の実施の形態11によるレーダ装置を示すブロック図であり、図6と同一の符号を付したものは、同一又はこれに相当するものである。図13は、図6の三次元位置推定回路17を統合三次元位置推定回路104に、回転運動推定回路14を図3に示す目標追尾回路26にそれぞれ置換し、図12に示す独立回転運動推定回路103を付加したものである。
【0076】
実施の形態4によるレーダ装置では、送受信機を含めてN+1台の受信手段で得られたN+1枚の画像から2枚を選び出す(N+1)/2種類以下の組み合わせそれぞれについて目標の形状を推定し、これを組み合わせることで最終的な目標20の形状を推定した。これに対して、実施の形態11によるレーダ装置では、各受信手段で得られた全ての画像を同時に用いて三次元位置を推定する。
【0077】
目標20からみたn番目のバイスタティックレーダ画像生成回路11方向の単位ベクトルを改めてjj(n)と表す。また、目標20からみたモノスタティックレーダ画像生成回路10方向の単位ベクトルについてはこれまで同様ii1と表す。
【0078】
さらに次式のベクトルuubi(n) (n=1,2,…,N)を定義する。
uubi(n)=(ii1+jj(n))/2 (37)
また、n番目のバイスタティックレーダ画像生成回路11と目標重心の間の距離についてもL(n)と表し、これらを用いて次式のccbi(n) (n=1,2,…,N)を定義する。
【0079】
【数9】
また、n番目のバイスタティックレーダ画像生成回路11で得られた第k反射点のレンジをrk(n),ドップラ周波数をFk(n)とし,次式の行列A05及び列ベクトルbbk5を得る。
【0080】
【数10】
【0081】
式(32)のA03、bbk3を式(39)のA05、bbk5にそれぞれ置換して、これまで同様に最小二乗法により第k反射点の位置ベクトルrrkを得る。
【0082】
実施の形態11によるレーダ装置では、3台以上の受信手段で得られた3枚以上の画像に基づいて、各反射点の3次元位置を推定するので,推定精度が向上する。また、実施の形態4によるレーダ装置のように,同じ反射点について複数回三次元位置を推定する必要がないので,処理負荷は軽く、なおかつデータ点数が増えるので最小二乗法の精度が向上し、三次元位置の推定精度が向上する。なお、明らかに品質の低い画像(例えば,ぼけている、また、S/Nが低い。)等については、事前に省くことにより、これらの原因で発生する推定精度の劣化を回避できる。
【0083】
実施の形態12.
図14はこの発明の実施の形態12によるレーダ装置を示すブロック図であり、図13と同一の符号を付したものは、同一又はこれに相当するものである。図14は、図13の独立回転運動推定回路103と目標追尾回路26を除去し、統合三次元位置推定回路104をレンジ統合三次元位置推定回路105に置換したものである。
【0084】
式(38)に示したccbi(n)の定義より、ccbi(n)を特定するためには、目標20の回転角速度ベクトルwwが必要となる。しかし、目標20の回転角速度ベクトルwwについては推定が困難、または推定精度が低い場合も考えられる。目標20の回転角速度ベクトルwwの推定精度が低い場合には、ドップラ周波数を用いた三次元位置推定の精度が劣化する。
【0085】
そこで、実施の形態12によるレーダ装置では、各画像ごとに得られる各反射点のドップラ周波数とレンジのうちのレンジのみを用いて,反射点の三次元位置を推定する。レンジ統合三次元位置推定回路105では,反射点対応づけ回路16で対応をつけられた反射点の各受信手段に対応するレンジとドップラ周波数のうち、レンジの情報のみに基づいて各反射点の三次元位置を推定するために、次式の行列A06および列ベクトルbbk6を得る。
【0086】
【数11】
式(32)のA03、bbk3を式(40)のA06,bbk63に置換して,これまで同様に最小二乗法により第k反射点の位置ベクトルrrkを得る。なお,この場合、3枚以上の画像を必要とする。
【0087】
実施の形態12によるレーダ装置では、推定が困難、もしくは推定精度が低い可能性がある目標の回転角速度ベクトルwwを用いずに、各反射点の三次元位置を推定するので、位置の推定精度が向上する。また、独立回転運動推定回路103と目標追尾回路26が不要となるため、処理負荷及び装置規模の低減が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】この発明の実施の形態1によるレーダ装置のブロック図である。
【図2】この発明の実施の形態1によるレーダ装置と目標の関係を示す説明図である。
【図3】この発明の実施の形態2によるレーダ装置のブロック図である。
【図4】この発明の実施の形態2によるレーダ装置と目標の関係を示す説明図である。
【図5】この発明の実施の形態3によるレーダ装置のブロック図である。
【図6】この発明の実施の形態4によるレーダ装置のブロック図である。
【図7】この発明の実施の形態5によるレーダ装置のブロック図である。
【図8】この発明の実施の形態6によるレーダ装置のブロック図である。
【図9】この発明の実施の形態7によるレーダ装置のブロック図である。
【図10】この発明の実施の形態8によるレーダ装置のブロック図である。
【図11】この発明の実施の形態9によるレーダ装置のブロック図である。
【図12】この発明の実施の形態10によるレーダ装置のブロック図である。
【図13】この発明の実施の形態11によるレーダ装置のブロック図である。
【図14】この発明の実施の形態12によるレーダ装置のブロック図である。
【符号の説明】
【0089】
4 電波照射手段、6 電波反射点情報算出手段、9 電波反射点情報算出手段、12 受信手段、13 受信手段、14 相対運動推定手段、15 相対位置推定手段、16 電波反射点情報対応付け手段、17 三次元位置算出手段、18 三次元形状算出手段、25 相対運動推定手段、30 三次元反射強度分布算出手段、32 三次元形状記憶手段、34 三次元形状照合手段、38 姿勢記憶手段、40 姿勢判定手段、50 反射強度シミュレーション手段、52 反射強度三次元分布判定手段、102 三次元位置算出手段、104 三次元位置算出手段、105 三次元位置算出手段。
【技術分野】
【0001】
この発明は遠方の目標を観測して、目標の形状、反射強度分布、種類等を特定するレーダ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のレーダ装置においては、異なる時刻に送受信された電波から得られる2枚のレーダ画像を比較して、レーダ画像上の輝点の画像上での速度分布を収集し、さらに、適当な方法でレーダ装置と目標との相対運動を推定した上で、これらの情報を用いて目標上の電波反射点の三次元空間における位置(以下、この三次元空間における位置を、空間位置、と記す。)を算出して目標の三次元形状を得ていた。(例えば、特許文献1参照)
【特許文献1】特開2001−337203号公報(第5−8頁、図1−5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来のレーダ装置で目標の三次元形状を得るためには、目標のレーダ装置に対する位置又は姿勢が互いに異なる状態における2枚のレーダ画像が必要であった。このため、従来のレーダ装置では、異なる時刻に電波の送信(以下、この異なる送信時刻の時間差を、送信時間間隔、と記す。)を行う必要があった。よって、目標上の電波反射点の空間位置を算出して目標の三次元形状を得るまでに、少なくとも送信時間間隔に相当する時間を要するため、即時性をもって目標の三次元形状を得ることができなかった。特に目標の相対運動が緩慢な場合、つまりレーダ装置に対する目標の位置又は姿勢の変化速度が小さい場合には、得られる三次元形状の精度を高めるために目標の位置又は姿勢の変化量が十分大きくなるように送信時間間隔を長くする必要があり、目標上の電波反射点の空間位置を算出して目標の三次元形状を得るまでに長時間を要するという問題点を有していた。
【0004】
この発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、短時間で目標上の電波反射点の空間位置を算出するレーダ装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明に係るレーダ装置は、目標に対して電波を照射する電波照射手段、目標による反射電波を互いに異なる受信位置において受信する複数の受信手段、複数の受信手段により受信された反射電波から目標上の電波反射点に対応するレンジ及びドップラー周波数からなる電波反射点情報を算出する電波反射点情報算出手段、複数の受信手段の内の2つの受信手段からなる一組の受信手段によりそれぞれ受信された反射電波から算出された電波反射点情報をそれぞれに対応する目標上の電波反射点が一致する一組の電波反射点情報として対応付けを行う電波反射点情報対応付け手段、並びに一組の電波反射点情報並びに目標と一組の受信手段との相対位置及び相対運動から一組の電波反射点情報に対応する目標上の電波反射点の空間位置を算出する三次元位置算出手段を備えたものである。
【発明の効果】
【0006】
この発明によれば、目標による反射電波を互いに異なる位置で受信することにより目標上の電波反射点の空間位置を算出するようにしたので、短時間で目標上の電波反射点の空間位置を算出するレーダ装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1によるレーダ装置を示すブロック図であり、送信機1、送受切換器2及び送受信アンテナ3により構成される電波照射手段4により、電波を送信し、航空機、船舶などの観測対象である目標(図示せず)に対して電波を照射する。目標に照射された電波は、目標の表面で反射され(以下、電波が反射される目標の表面の部位を、目標上の電波反射点、反射された電波を、反射電波、とそれぞれ記す。)、この反射電波が送受信アンテナ3で受信され、送受切換器2を介して受信機5に入力される。受信機5は、反射電波に含まれる高周波信号を抽出し、電波反射点情報算出手段である画像生成部6に出力する。この高周波信号には、送受信アンテナ3と目標上の電波反射点との距離であるレンジ及び目標の回転運動に起因するドップラー効果によるドップラー周波数からなる電波反射点情報が含まれている。一般的に目標上の電波反射点は複数となるので、反射電波に含まれる高周波信号には、複数の電波反射点にそれぞれ対応する電波反射点情報が重畳されている。
【0008】
画像生成部6は、受信機5で抽出された高周波信号から電波反射点情報を抽出し、この電波反射点情報を構成するレンジの差とドップラー周波数の差で、複数重畳されている電波反射点情報から、目標上の個々の電波反射点に対応する電波反射点情報に分離する。例えばレンジをX軸、ドップラー周波数をY軸として、目標上の個々の電波反射点に対応する反射電波の受信強度をCRT等ディスプレイの輝度に変換してプロットすることにより、目標の反射強度分布を表す二次元のレーダ画像が生成される。このレーダ画像上の輝点と目標上の電波反射点は一対一に対応し、よってレーダ画像上の輝点と目標上の電波反射点に対応する電波反射点情報は一対一に対応する。
【0009】
送受信アンテナ3から送信され目標に照射された電波は、送受信アンテナ3以外の方向にも反射される。この反射電波が送受信アンテナ3と異なる位置に設置された受信アンテナ7で受信されて受信機8に入力され、受信機8は反射電波に含まれる高周波信号を抽出し、電波反射点情報算出手段である画像生成部9に出力する。画像生成部9は画像生成部6と同様の動作により、目標の反射強度分布を表す二次元のレーダ画像を生成する。このレーダ画像上の輝点と目標上の電波反射点は一対一に対応し、レーダ画像上の輝点と目標上の電波反射点に対応する電波反射点情報は一対一に対応する。
【0010】
なお、1つのアンテナを用いて電波の送受信を行うレーダ装置の方式は一般にモノスタティック方式と呼ばれ、送信機1、送受切換器2、送受信アンテナ3、受信機5及び画像生成部6はモノスタティックレーダ画像生成回路10を構成する。送信アンテナと異なる位置に受信アンテナを設置して送受信を行うレーダ装置の方式は一般にバイスタティック方式と呼ばれ、受信アンテナ7、受信機8及び画像生成部9はバイスタティックレーダ画像生成回路11を構成する。
【0011】
送受切換器2、送受信アンテナ3及び受信機5、並びに受信アンテナ7及び受信機8は、目標による反射電波を互いに異なる受信位置において受信する複数の受信手段12及び13をそれぞれ構成する。
【0012】
相対運動推定手段である回転運動推定回路14では、モノスタティックレーダ画像生成回路10とバイスタティックレーダ画像生成回路11で得られたレーダ画像に基づき、目標と送受信アンテナ3及び受信アンテナ7との相対運動である回転運動を推定する。相対位置推定手段である位置関係推定回路15では、受信機5と受信機8で抽出された高周波信号に基づき、目標と送受信アンテナ3及び受信アンテナ7との相対位置を推定する。
【0013】
電波反射点情報対応付け手段である反射点対応づけ回路16では、モノスタティックレーダ画像生成回路10及びバイスタティックレーダ画像生成回路11で得られた2枚のレーダ画像を照合し、例えば、目標が航空機である場合、航空機のノーズ、垂直尾翼など形状に特徴のある部位に対応する輝点をそれぞれのレーダ画像上で特定して、同一の部位、即ち同一の目標上の電波反射点に対応するそれぞれの輝点を一組の輝点として対応づける。幾つかの輝点の対応づけが為された後には、他の輝点についてはレーダ画像上での輝点間の距離、位置関係等に基づいて、対応づけを行うこともできる。
【0014】
反射点対応づけ回路16は、一組の輝点ごとに、つまり一組の輝点に対応する目標上の電波反射点ごとに、画像生成部6及び画像生成部9でそれぞれ抽出、分離された電波反射点情報を一組の電波反射点情報として対応づける。反射点対応づけ回路16は、複数の一組の輝点の対応づけを行い、これらの一組の輝点のそれぞれ対応する複数の一組の電波反射点情報を三次元位置算出手段である三次元位置推定回路17に対して出力する。
【0015】
三次元位置推定回路17は、複数の一組の電波反射点情報、回転運動推定回路14で推定された回転運動、及び位置関係推定回路15で推定された相対位置に基づいて、目標上の電波反射点の空間位置を算出する。三次元形状算出手段である三次元形状生成回路18は、三次元位置推定回路17により算出された目標上の電波反射点の空間位置に基づいて、目標の三次元形状を算出する。
【0016】
次に、三次元位置推定回路17における目標上の電波反射点の空間位置の算出方法を図2をもとに説明する。図2は、図1に示す実施の形態1における複数の受信手段12及び13と目標20との相対位置及び相対運動、より具体的には複数の受信手段12及び13を構成する送受信アンテナ3及び受信アンテナ7と目標20との相対位置及び相対運動の状態を示しており、図1と同一の符号を付したものは、同一又はこれに相当するものである。図1に示すモノスタティックレーダ画像生成回路10及びバイスタティックレーダ画像生成回路11は、一定の時間間隔で継続的に目標20のレーダ画像21及び22を生成する。なお、図2に示すレーダ画像21及び22において、白色部分がレーダ画像上の輝点に相当する。
【0017】
目標20は重心Oを通る軸を回転軸とする重心位置を固定した回転運動を行っているものとし、その回転角速度ベクトルをwwで表す。回転運動推定回路14は、例えば目標20のレーダ画像21又は22の経時的な変化から現在の回転角速度ベクトルwwを推定する。目標20と複数の受信手段12及び13との相対運動は回転角速度ベクトルwwによって表現することができる。目標20の重心Oを基準として、送受信アンテナ3方向の単位ベクトルをii1、受信アンテナ7方向の単位ベクトルをii2、送受信アンテナ3及び受信アンテナ7までの距離をそれぞれL1、L2とする。位置関係推定回路15は、例えば目標20のレーダ画像21又は22の経時的な変化から目標20の重心Oの位置を推定し、この推定された目標20の重心Oの位置と最新の電波反射点情報から現在の距離L1、L2を推定する。
【0018】
目標20上の1つの電波反射点Pkの位置ベクトルをrrkと表す(kは複数の電波反射点の一を示すインデックスである。)。以下、目標20上の電波反射点に対応するレンジを送受信アンテナ3から送信された電波が目標20上の電波反射点で反射して送受信アンテナ3又は受信アンテナ7に到達するまでの距離の1/2として説明する。
【0019】
送受信アンテナ3から送信して、送受信アンテナ3で受信した場合の電波反射点Pkのレンジをrk1'、送受信アンテナ3から送信して、受信アンテナ7で受信した場合の電波反射点Pkのレンジをrk2'とすると、これらは、L1及びL2に対して目標20の寸法が十分小さいという前提の下に、それぞれ次式で与えられる。
rk1'=L1−ii1・rrk (1)
rk2'=(L1+L2)/2−(ii1+ii2)/2・rrk (2)
ここで、任意のベクトルAAとBBについて、AA・BBはベクトルAAとBBの内積を表す。
【0020】
電波反射点Pkのレンジrk1'及びrk2'から目標20の重心OのレンジL1及び(L1+L2)/2をそれぞれ差引いた結果を改めて電波反射点Pkのレンジと呼ぶことにし、これらを次式のrk1及びrk2で与える。
rk1=−ii1・rrk (3)
rk2=−(ii1+ii2)/2・rrk (4)
また、目標20の重心Oを通る軸を回転軸とする回転運動によって発生する点Pkの速度ベクトルをVVkとすると、VVkは次式で与えられる。
VVk=ww×rrk (5)
ここで、任意のベクトルAAとBBについて、AA×BBはベクトルAAとBBの外積を表す。
【0021】
よって、反射電波を送受信アンテナ3及び受信アンテナ7でそれぞれ受信した場合の電波反射点Pkに対応するドップラー周波数Fk1及びFk2は、中心周波数をFc、光速をcとして次式で与えられる。
【0022】
【数1】
【0023】
ここで、次式を満足するベクトルWWを導入する。
WW=−2Fc/cww (8)
式(3)(4)(6)(7)は次式に変形される。
ii1・rrk =−rk1 (9)
ii2・rrk =−2rk2+rk1 (10)
(ii1×WW)・rrk=−Fk1 (11)
(ii2×WW)・rrk=−2Fk2+Fk1 (12)
式(9)〜(12)は式(13)の形にまとめることができる。
A0rrk =bbk (13)
【0024】
ただし、行列A0、ベクトルbbkは、
i1x、i1y、i1zをii1のx、y、z成分、
i2x、i2y、i2zをii2のx、y、z成分、
iw1x、iw1y、iw1zを(ii1×WW)のx、y、z成分、
iw2x、iw2y、iw2zを(ii2×WW)のx、y、z成分として、次式で与えられる。
【0025】
【数2】
【0026】
よって、電波反射点Pkの位置ベクトルrrkは次式で与えられる。
rrk=(A0TA0)-1A0Tbbk (15)
ここで、添字Tは転置行列を表す。目標20の重心Oの位置及び式(15)によって算出される電波反射点Pkの位置ベクトルrrkから、電波反射点Pkの空間位置が算出される。三次元位置推定回路17は、目標20上の複数の電波反射点について同様の処理を繰り返し、複数の電波反射点の空間位置を算出し、三次元形状生成回路18に対して出力する。三次元形状生成回路18は、三次元位置推定回路17から入力された目標20上の複数の電波反射点の空間位置に基づいて、目標20の三次元形状を算出する。
【0027】
この実施の形態1によるレーダ装置は、1回の電波の送信によって目標上の電波反射点の空間位置を算出するようにしたので、短時間で、かつ少ない電波送信電力で目標上の電波反射点の空間位置を算出するレーダ装置を得ることができる。また、このようにして算出された目標上の電波反射点の空間位置から目標の三次元形状を得るようにしたので、短時間で、かつ少ない電波送信電力で目標の三次元形状を算出するレーダ装置を得ることができる。
【0028】
なお、実施の形態1のレーダ装置において、電波照射手段4により異なる時刻に複数回電波を送信し、それぞれの反射電波に基づいて目標20上の複数の電波反射点の空間位置を算出する処理を繰り返し、三次元形状生成回路18がこれらの異なる時刻に送信された電波の反射電波に基づいて算出された目標20上の複数の電波反射点の空間位置を統合して、目標20の三次元形状を算出するようにしてもよい。このように構成することにより、1回のみの電波の送信では観測できなかった目標上の電波反射点を観測できる確率が増加し、目標の三次元形状の算出精度を向上させることができる。この実施の形態1よるレーダ装置は算出精度を高めるために複数回の電波の送信を行う場合であっても、1回の電波の送信ごとに目標上の電波反射点の空間位置を算出するので、従来のレーダ装置のように目標の位置又は姿勢の変化量が十分大きくなるように送信時間間隔を長くする必要はなく、短時間で精度の高い目標の三次元形状の算出を行うことができる。
【0029】
実施の形態2.
図3は、この発明の実施の形態2によるレーダ装置を示すブロック図であり、図1と同一の符号を付したものは、同一又はこれに相当するものである。図3は、図1の相対運動推定手段である回転運動推定回路14を、同じく相対運動推定手段である等価回転運動推定回路25に置き換え、更に目標追尾回路26を付加したものである。また、図4は、この実施の形態2における複数の受信手段12及び13と目標20との相対位置及び相対運動、より具体的には複数の受信手段12及び13を構成する送受信アンテナ3及び受信アンテナ7と目標20との相対位置及び相対運動の状態を示しており、図2と同一の符号を付したものは、同一又はこれに相当するものである。この実施の形態2では、目標20が実施の形態1のような重心Oを通る軸を回転軸とする重心位置を固定した回転運動を行うのではなく、例えば図4の速度ベクトルVVで示す等速直線運動のように、重心位置が変化するような運動(以下、並進運動、と記す。)を行う場合を想定する。
【0030】
目標20が並進運動のみを行う場合においても、送受信アンテナ3及び受信アンテナ7と目標20の相対位置が時間的に変化することで、送受信アンテナ3及び受信アンテナ7から見た目標20の見込み角が時間的に変化すれば、この並進運動を目標20の重心Oを通る軸を回転軸とする等価的な回転運動とみなすことができる。目標追尾回路26は、モノスタティックレーダ画像生成回路10の受信機5で抽出された高周波信号に基づき目標20を追尾して目標20の並進運動の速度ベクトルVVを算出する。等価回転運動推定回路25は、速度ベクトルVVから等価的な回転角速度ベクトルを算出する。この等価的な回転角速度ベクトルの算出方法を図4をもとに説明する。
【0031】
図4に示す速度ベクトルVVの送受信アンテナ3から見た目標20の見込み角の変化に寄与する成分である速度ベクトルVVeff1は、速度ベクトルVVの送受信アンテナ3方向の単位ベクトルをii1に直交する方向の成分であり、次式で得られる。
VVeff1=(ii1×VV)×ii1 (16)
送受信アンテナ3から見た目標20の見込み角の変化を、目標20の重心Oを通る軸を回転軸とする等価的な回転運動とみなしたときの回転角速度ベクトルをwweff1で表すと、近似的に次式が成立する。
wweff1×(-L1ii1)=VVeff1 (17)
式(16)(17)より次式が得られる。
(L1wweff1+ii1×VV)×ii1=00 (18)
ここで、00はゼロベクトルを表す。
式(18)が成立するためには、aを適当な定数として式(19)が成立する必要がある。
L1wweff1+ii1×VV=aii1 (19)
ここで、wweff1及びii1×VVはともにii1に直交することから、a=0である必要がある。
よって、目標20の等価的な回転角速度ベクトルwweff1は次式のように得られる。
wweff1=−ii1×VV/L1 (20)
【0032】
同様にして、送受信アンテナ3方向と受信アンテナ7方向の中間の方向から見た目標20の見込み角の変化を、目標20の重心Oを通る軸を回転軸とする等価的な回転運動とみなしたときの回転角速度ベクトルwweff2を求める。wweff1、wweff2を用いて、次の2式を得る。
【0033】
【数3】
【0034】
また、レンジに関する次の2式を再び示す。
rk1=−ii1・rrk (23)
rk2=−(ii1+ii2)/2・rrk (24)
以上に基づき次式を得る。
A02rrk=bbk2 (25)
ただし、A02、bbk2はそれぞれ次式で与えられる行列及び列ベクトルである。
【0035】
【数4】
ただし、
i1x2、i1y2、i1z2は-ii1のx、y、z成分、
i2x2、i2y2、i2z2は−(ii1+ii2)/2のx、y、z成分、
w1x2、w1y2、w1z2は2Fc/c(ii1×wweff1)のx、y、z成分、
w2x2、w2y2、w2z2は2Fc/c((ii1+ii2)/2×wweff2)のx、y、z成分を表す。
よって、電波反射点Pkの位置ベクトルrrkは次式で与えられる。
rrk=(A02TA02)-1A02Tbbk2 (27)
【0036】
三次元位置推定回路17は、以上の処理を目標20上の複数の電波反射点について繰り返し、複数の電波反射点の空間位置を算出し、三次元形状生成回路18に対して出力する。三次元形状生成回路18は、三次元位置推定回路17から入力された目標20上の複数の電波反射点の空間位置に基づいて、目標20の三次元形状を算出する。
【0037】
この実施の形態2によるレーダ装置は、目標が並進運動のみを行う場合であっても、1回の電波の送信によって目標上の電波反射点の空間位置を算出するようにしたので、短時間で、かつ少ない電波送信電力で目標上の電波反射点の空間位置を算出するレーダ装置を得ることができる。また、このようにして算出された目標上の電波反射点の空間位置から目標の三次元形状を得るようにしたので、短時間で、かつ少ない電波送信電力で目標の三次元形状を算出するレーダ装置を得ることができる。
【0038】
実施の形態1においては目標が回転運動のみ行っている場合、実施の形態2においては目標が並進運動のみ行っている場合に目標上の電波反射点の空間位置を算出するレーダ装置について説明したが、目標が回転運動と並進運動を合成した一般的な運動を行っている場合であっても、この運動から等価的な回転運動を算出することにより、実施の形態1又は実施の形態2と同様の構成及び処理によって、同様の効果を奏する。なお、目標の相対位置又は相対運動が既知の場合には、これらの既知の情報を三次元位置算出手段で使用することにより、同様の効果を奏する。
【0039】
実施の形態3.
図5はこの発明の実施の形態3によるレーダ装置を示すブロック図であり、図1と同一の符号を付したものは、同一又はこれに相当するものである。図5は、図1のバイスタティックレーダ画像生成回路11をもう1つのモノスタティックレーダ画像生成回路10に置き換えたものである。2つのモノスタティックレーダ画像生成回路10の受信手段12と目標20との相対位置及び相対運動の状態は、図2において受信アンテナ7を送受信アンテナ3に置き換えたものとなる。
【0040】
実施の形態1によるレーダ装置においては、1つのモノスタティックレーダ画像生成回路10と1つのバイスタティックレーダ画像生成回路11を用いて、目標20の三次元形状を算出したが、この実施の形態3のレーダ装置においては、2つのモノスタティックレーダ画像生成回路10を用いて、目標20の三次元形状を算出する。ある時刻において、一方のモノスタティックレーダ画像生成回路10の電波照射手段4から電波の送信を行い、その反射電波を2つのモノスタティックレーダ画像生成回路6の受信手段12で受信する。また、次の時刻においては、他方のモノスタティックレーダ画像生成回路10の電波照射手段4から電波の送信を行い、その反射電波を2つのモノスタティックレーダ画像生成回路10の受信手段12で受信する。
【0041】
2つの電波照射手段4は互いに異なる位置にあり、この異なる位置から照射された電波の反射電波を受信して抽出されたそれぞれの高周波信号から、実施の形態1と同様の動作により、目標20上の複数の電波反射点の空間位置を算出する。三次元形状生成回路18は、三次元位置推定回路17から入力された異なる位置から照射された電波の反射電波から得られた目標20上の複数の電波反射点の空間位置を統合して、目標20の三次元形状を算出する。
【0042】
この実施の形態3よるレーダ装置は、互いに異なる2つの位置から送信され、異なる方向から目標に照射された電波の反射電波から得られる目標上の複数の電波反射点の空間位置を統合して、目標の三次元形状を算出するようにしたので、1つの位置から電波を送信する実施の形態1のレーダ装置では観測できなかった目標上の電波反射点を観測できる確率が増加し、目標の三次元形状の算出精度を向上させることができる。なお、この実施の形態3よるレーダ装置は異なる時刻に電波の送信を行うが、送信の位置の変化によって目標と受信手段との相対位置及び相対運動が変化するので、従来のレーダ装置のように目標の位置又は姿勢の変化量が十分大きくなるように送信時間間隔を長くする必要はなく、短時間で精度の高い目標の三次元形状の算出を行うことができる。
【0043】
実施の形態4.
図6はこの発明の実施の形態4によるレーダ装置を示すブロック図であり、図1と同一の符号を付したものは、同一又はこれに相当するものである。図6は、図1のバイスタティックレーダ画像生成回路11をN個に増やしたものである。N個のバイスタティックレーダ画像生成回路11のそれぞれの受信アンテナ7(図示せず)は、互いに異なる位置であって、かつモノスタティックレーダ画像生成回路10の送受信アンテナ3(図示せず)とも異なる位置に置かれる。
【0044】
この実施の形態4のレーダ装置においては、モノスタティックレーダ画像生成回路10から電波の送信を行い、その反射電波をモノスタティックレーダ画像生成回路10及びN個のバイスタティックレーダ画像生成回路(#1〜#N)11で受信して、高周波信号を抽出する。つまり、この実施の形態4のレーダ装置は、N+1個の受信手段を備える。ここで、Nは2以上とし、この実施の形態4のレーダ装置は、3個以上の受信手段を備えるものとする。このN+1個の受信手段から任意の2個の受信手段を選択して一組の受信手段として設定すると、(N+1)N/2種類の一組の受信手段が得られる。
【0045】
位置関係推定回路15は、モノスタティックレーダ画像生成回路10の送受信アンテナ3(図示せず)及びN個のバイスタティックレーダ画像生成回路(#1〜#N)11のそれぞれの受信アンテナ7(図示せず)と目標20との間の相対位置を推定し、一組の受信手段ごとに図2に示すii1、ii2、L1、L2に相当する単位ベクトルiim、iin及びレンジLm、Lnを算出する(m、nは一組の受信手段を構成する互いに異なる2個の受信手段を示すインデックスである。)。位置関係推定回路15は、(N+1)N/2種類の一組の受信手段の全てについて単位ベクトル及びレンジを算出してもよいし、その中から適当に選択したいくつかの一組の受信手段ついてのみ単位ベクトル及びレンジを算出してもよい。
【0046】
反射点対応付け回路16は、位置関係推定回路15で単位ベクトル及びレンジを算出した一組の受信手段(以下、単位ベクトル及びレンジを算出した一組の受信手段を、対象受信手段ペア、と記す。)について、実施の形態1と同様の動作により、それぞれで受信された反射電波から得られた2枚のレーダ画像を照合し、複数の一組の輝点の対応づけを行い、これらの一組の輝点のそれぞれ対応する複数の一組の電波反射点情報を三次元位置算出手段である三次元位置推定回路17に対して出力する。反射点対応付け回路16は、複数の対象受信手段ペアについて同様の処理を行い、対象受信手段ペアのそれぞれに対応した複数の一組の電波反射点情報を三次元位置算出手段である三次元位置推定回路17に対して出力する。
【0047】
三次元位置推定回路17では、対象受信手段ペアのそれぞれに対応して、複数の一組の電波反射点情報、回転運動推定回路14で推定された回転運動、及び位置関係推定回路15で推定された相対位置に基づいて、実施の形態1と同様の動作により、目標20上の複数の電波反射点の空間位置を算出する。三次元位置算出手段である三次元形状生成回路18は、対象受信手段ペアのそれぞれに対応して三次元位置推定回路17により算出された目標20上の複数の電波反射点の空間位置を統合して、目標の三次元形状を算出する。
【0048】
この実施の形態4よるレーダ装置は、互いに異なる位置にある3個以上の受信手段から少なくとも1個の受信手段が互いに異なる2個の受信手段である一組の受信手段を複数設定し、複数の一組の受信手段により受信された反射電波から算出された目標上の電波反射点の空間位置に基づいて、上記目標の三次元形状を算出するようにしたので、1つの一組の受信手段のみを備える実施の形態1のレーダ装置では観測できなかった目標上の電波反射点を観測できる確率が増加し、目標の三次元形状の算出精度を向上させることができる。また、電波の送信は1回でよく、短時間で、かつ少ない電波送信電力で目標の三次元形状を精度よく算出するレーダ装置を得ることができる。
【0049】
なお、この実施の形態4では1個のモノスタティックレーダ画像生成回路とN個のバイスタティックレーダ画像生成回路を用いたが、モノスタティックレーダ画像生成回路は必ずしも1個である必要はない。例えば、複数のモノスタティックレーダ画像生成回路で順に電波の送信を行って、それぞれの受信手段で反射電波の受信を行ってレーダ画像を生成した場合でも、上記と同様の効果が得られることは言うまでもなく、異なる方向から目標に電波を照射するので、目標上の電波反射点を観測できる確率が更に増加し、目標の三次元形状の算出精度を更に向上させることができる。
【0050】
実施の形態5.
図7は、この発明の実施の形態5によるレーダ装置を示すブロック図であり、図1と同一の符号を付したものは、同一又はこれに相当するものである。図7は、図1に三次元反射強度分布算出手段である反射強度付加回路30を付加したものである。この実施の形態5によるレーダ装置は、電波反射点情報算出手段である画像生成部6及び9が、電波反射点情報に加えて目標上の電波反射点に対応する反射強度を算出して、反射強度付加回路30に対して出力する。また、三次元形状生成回路18は算出した目標の三次元形状を反射強度付加回路30に対して出力する。
【0051】
反射強度付加回路30は、画像生成部6及び9から入力された反射強度と三次元形状生成回路18から入力された目標の三次元形状に基づいて、目標の反射強度の三次元分布を算出する。なお、目標の反射強度の三次元分布を算出する場合、画像生成部6で算出された反射強度のみを用いても良いし、画像生成部9で算出された反射強度のみを用いても良い。さらに、平均処理等、2つの画像生成部6及び9で算出された反射強度に何らかの処理を施した結果を用いても良い。
【0052】
この実施の形態5によるレーダ装置は、目標の反射強度の三次元分布を得ることができ、目標の三次元形状のみを得る場合に比べて、目標を特徴づける情報が増加し、これらの情報を用いて目標を識別、類別するような用途において、その識別性能、類別性能を向上させることができる。
【0053】
実施の形態6.
図8はこの発明の実施の形態6によるレーダ装置を示すブロック図であり、図1と同一の符号を付したものは、同一又はこれに相当するものである。図8は、図1に三次元形状記憶手段である三次元形状データベース32、三次元形状照合手段である三次元形状照合回路34を付加したものである。この実施の形態6によるレーダ装置は、三次元形状データベース32に目標の三次元形状をあらかじめ候補目標形状として記憶しておく。
【0054】
三次元形状照合回路34は、三次元形状生成回路18で算出された目標の三次元形状と三次元形状データベース32に記憶された候補目標形状との照合を行う。この照合において、三次元形状照合回路34は三次元形状生成回路18で算出された目標の三次元形状又は候補目標形状の姿勢を変化させ、各姿勢で三次元形状生成回路18で算出された目標の三次元形状と候補目標形状の類似度を算出する。この類似度としては、例えば照合する2つの形状の重心を一致させた場合の目標上の電波反射点と候補目標形状の表面との距離の差の逆数や、目標上の電波反射点のうちで候補目標形状内に含まれる点数、又はこの点数の目標上の電波反射点の全点数に対する比率など、その値が大きくなるにつれて類似の度合が高まるような尺度を用ればよい。また、候補目標形状ごとに類似度が最大となる最適類似姿勢を、その類似度とともに出力するようにしてもよい。
【0055】
この実施の形態6によるレーダ装置は、候補目標形状ごとに、その姿勢に対応した目標の3次元形状との類似度が得られるので、目標の三次元形状を候補目標形状と比較して識別、類別するような用途において、その識別性能、類別性能を向上させることができる。
【0056】
実施の形態7.
図9はこの発明の実施の形態7によるレーダ装置を示すブロック図であり、図8と同一の符号を付したものは、同一又はこれに相当するものである。図9は、図8に姿勢記憶手段である姿勢データベース38、姿勢判定手段である姿勢判定回路40を付加したものである。姿勢データベース38には、三次元形状データベース32に記憶された候補目標形状ごとに、地球中心から目標に向かう軸(以下では地球目標軸と呼ぶ)や進行方向軸に対して一般的な姿勢(例えば、航空機は、ほぼ進行方向軸方向に機首を向けて飛行する、艦船の高さ方向の軸は、地球目標軸と一致する等。以下、標準姿勢、と記す。)をあらかじめ記憶しておく。
【0057】
三次元形状照合回路34は、候補目標形状の特定の姿勢を姿勢推定回路40に対して出力する。姿勢判定回路40は、三次元形状照合回路34から入力される候補目標形状の姿勢が姿勢データベース38から入力される標準姿勢の所定の変動範囲にある否か、即ち候補目標形状の姿勢の妥当性を判定する。候補目標形状の姿勢が標準姿勢の所定の変動範囲内にあれば、妥当なものであると判定する。
【0058】
この実施の形態7によるレーダ装置は、三次元形状照合回路34で得られた目標の三次元形状と候補目標形状との類似度に加えて、候補目標形状の姿勢の妥当性の判定結果を用いることで、観測している目標とは異なる候補目標形状との類似度が、ある姿勢で偶然大きな値になったような場合でも、候補目標形状の姿勢の妥当性の判定結果に基づいて、識別、類別の対象から除外でき、その識別性能、類別性能を向上させることができる。
【0059】
実施の形態8.
図10はこの発明の実施の形態8によるレーダ装置を示すブロック図であり、図7又は図8と同一の符号を付したものは、同一又はこれに相当するものである。図10は図7に、図8に示す三次元形状記憶手段である三次元形状データベース32及び三次元形状照合手段である三次元形状照合回路34を付加し、さらに反射強度シミュレーション手段である電磁界理論回路50及び反射強度三次元分布判定手段である反射強度三次元分布照合回路52を付加したものである。
【0060】
反射強度付加回路30は、図7に示す実施の形態5と同様の動作により、画像生成部6及び9から入力された反射強度と三次元形状生成回路18から入力された目標の三次元形状に基づいて、目標の反射強度の三次元分布を算出する。三次元形状照合回路34は、図8に示す実施の形態6と同様の動作により、三次元形状生成回路18で算出された目標の三次元形状と三次元形状データベース32に記憶された候補目標形状との照合を行い、候補目標形状ごとに三次元形状生成回路18で算出された目標の三次元形状との類似度が最大となる最適類似姿勢を電磁界理論回路50に対して出力する。
【0061】
電磁界理論回路50は、三次元形状データベース32に記憶された候補目標形状ごとに、三次元形状照合回路34から入力された最適類似姿勢及び位置関係推定回路15で算出された目標の相対位置をもとに、例えばGTD(Geometrical Theory of Diffraction)のような電磁界理論を適用した電磁界シミュレーションにより、候補目標形状の反射強度の三次元分布を算出する。反射強度三次元分布照合回路52は、反射強度付加回路30で算出された目標の反射強度の三次元分布と、電磁界理論回路50で算出された候補目標形状の反射強度の三次元分布を照合して、その類似度を算出する。
【0062】
この実施の形態8によるレーダ装置は、目標の反射強度の三次元分布と、電磁界理論を適用した電磁界シミュレーションにより算出された候補目標形状の反射強度の三次元分布との類似度を算出することにより、目標を識別、類別するような用途において、その識別性能、類別性能を向上させることができる。
【0063】
なお、実施の形態3〜8によるレーダ装置においても、目標が回転運動と並進運動を合成した一般的な運動を行っている場合であっても、実施の形態1又は実施の形態2と同様の構成及び処理によって、この運動から等価的な回転運動を算出することにより、同様の効果を奏する。また、目標の相対位置又は相対運動が既知の場合には、これらの既知の情報を三次元位置算出手段で使用することにより、同様の効果を奏する。
【0064】
実施の形態9.
図11はこの発明の実施の形態9によるレーダ装置を示すブロック図であり、図3と同一の符号を付したものは、同一又はこれに相当するものである。図11は、図3の等価回転運動推定回路25を修正等価回転運動推定回路101に置換したものである。この実施の形態9においても、実施の形態2と同様、例えば図4に示す速度ベクトルVVで示す等速直線運動のような並進運動を行う場合を想定する。ドップラー周波数Fk1、Fk2を次式のように与える。
【0065】
【数5】
また,uubi=(ii1+ii2)/2として,レンジに関して次式を得る。
rk1=−ii1 ・rrk (30)
rk2=−uubi・rrk (31)
【0066】
なお、式(20)を考慮すれば分かる通り,式(21)と式(28)は,全く同じ式である。また、式(30)(31)についても、それぞれ式(3)(4)と同じである。式(22)と式(29)では、式(29)の方が高精度である。これらの式を用いて,第k反射点の位置ベクトルrrkを次式より得る。
rrk=(A03TA03)-1A03Tbbk3 (32)
ただし、A03は次式で表される。
【0067】
【数6】
【0068】
この実施の形態9によるレーダ装置では、図1に示す受信アンテナ7で受信した場合の電波反射点Pkに対応するドップラー周波数Fk2を式(22)より高精度な式(29)で算出するため、目標20の形状の推定精度が向上する。
【0069】
実施の形態10.
図12はこの発明の実施の形態10によるレーダ装置を示すブロック図であり、図3と同一の符号を付したものは、同一又はこれに相当するものである。図12は、図3の等価回転運動推定回路25を独立回転運動推定回路103に、三次元位置推定回路17を独立回転考慮形修正三次元位置推定回路102に、それぞれ置換したものである。
【0070】
この実施の形態10では、目標20が並進運動に加えて回転運動を行う場合を想定する。独立回転運動推定回路103では、他のセンサを使用したり、シミュレーション等の手段により目標の回転運動を推定し、これを回転角速度wwとして得る。なお、独立回転運動推定回路103として、図1に示す回転運動推定回路14をそのまま用いてよい。独立回転考慮形修正三次元位置推定回路102では、ドップラー周波数Fk1、Fk2を次式のように与える。
【0071】
【数7】
これらと式(30)(31)より次式のA04を得る。
【0072】
【数8】
式(32)のA03を、式(36)のA04に置換することにより、第k反射点の三次元位置を得る。
【0073】
独立回転考慮形修正三次元位置推定回路102では、以上の処理を目標20上の複数の電波反射点について繰り返し、複数の電波反射点の空間位置を算出し、三次元形状生成回路18に対して出力する。三次元形状生成回路18は、独立回転考慮形修正三次元位置推定回路102から入力された目標20上の複数の電波反射点の空間位置に基づいて、目標20の三次元形状を算出する。
【0074】
この実施の形態10によるレーダ装置では、実施の形態9と同様に目標の並進運動に伴って発生する等価的な回転運動を高精度に推定する。また、目標自体の回転運動も考慮しているので,形状の推定精度がより向上する。
【0075】
実施の形態11.
図13はこの発明の実施の形態11によるレーダ装置を示すブロック図であり、図6と同一の符号を付したものは、同一又はこれに相当するものである。図13は、図6の三次元位置推定回路17を統合三次元位置推定回路104に、回転運動推定回路14を図3に示す目標追尾回路26にそれぞれ置換し、図12に示す独立回転運動推定回路103を付加したものである。
【0076】
実施の形態4によるレーダ装置では、送受信機を含めてN+1台の受信手段で得られたN+1枚の画像から2枚を選び出す(N+1)/2種類以下の組み合わせそれぞれについて目標の形状を推定し、これを組み合わせることで最終的な目標20の形状を推定した。これに対して、実施の形態11によるレーダ装置では、各受信手段で得られた全ての画像を同時に用いて三次元位置を推定する。
【0077】
目標20からみたn番目のバイスタティックレーダ画像生成回路11方向の単位ベクトルを改めてjj(n)と表す。また、目標20からみたモノスタティックレーダ画像生成回路10方向の単位ベクトルについてはこれまで同様ii1と表す。
【0078】
さらに次式のベクトルuubi(n) (n=1,2,…,N)を定義する。
uubi(n)=(ii1+jj(n))/2 (37)
また、n番目のバイスタティックレーダ画像生成回路11と目標重心の間の距離についてもL(n)と表し、これらを用いて次式のccbi(n) (n=1,2,…,N)を定義する。
【0079】
【数9】
また、n番目のバイスタティックレーダ画像生成回路11で得られた第k反射点のレンジをrk(n),ドップラ周波数をFk(n)とし,次式の行列A05及び列ベクトルbbk5を得る。
【0080】
【数10】
【0081】
式(32)のA03、bbk3を式(39)のA05、bbk5にそれぞれ置換して、これまで同様に最小二乗法により第k反射点の位置ベクトルrrkを得る。
【0082】
実施の形態11によるレーダ装置では、3台以上の受信手段で得られた3枚以上の画像に基づいて、各反射点の3次元位置を推定するので,推定精度が向上する。また、実施の形態4によるレーダ装置のように,同じ反射点について複数回三次元位置を推定する必要がないので,処理負荷は軽く、なおかつデータ点数が増えるので最小二乗法の精度が向上し、三次元位置の推定精度が向上する。なお、明らかに品質の低い画像(例えば,ぼけている、また、S/Nが低い。)等については、事前に省くことにより、これらの原因で発生する推定精度の劣化を回避できる。
【0083】
実施の形態12.
図14はこの発明の実施の形態12によるレーダ装置を示すブロック図であり、図13と同一の符号を付したものは、同一又はこれに相当するものである。図14は、図13の独立回転運動推定回路103と目標追尾回路26を除去し、統合三次元位置推定回路104をレンジ統合三次元位置推定回路105に置換したものである。
【0084】
式(38)に示したccbi(n)の定義より、ccbi(n)を特定するためには、目標20の回転角速度ベクトルwwが必要となる。しかし、目標20の回転角速度ベクトルwwについては推定が困難、または推定精度が低い場合も考えられる。目標20の回転角速度ベクトルwwの推定精度が低い場合には、ドップラ周波数を用いた三次元位置推定の精度が劣化する。
【0085】
そこで、実施の形態12によるレーダ装置では、各画像ごとに得られる各反射点のドップラ周波数とレンジのうちのレンジのみを用いて,反射点の三次元位置を推定する。レンジ統合三次元位置推定回路105では,反射点対応づけ回路16で対応をつけられた反射点の各受信手段に対応するレンジとドップラ周波数のうち、レンジの情報のみに基づいて各反射点の三次元位置を推定するために、次式の行列A06および列ベクトルbbk6を得る。
【0086】
【数11】
式(32)のA03、bbk3を式(40)のA06,bbk63に置換して,これまで同様に最小二乗法により第k反射点の位置ベクトルrrkを得る。なお,この場合、3枚以上の画像を必要とする。
【0087】
実施の形態12によるレーダ装置では、推定が困難、もしくは推定精度が低い可能性がある目標の回転角速度ベクトルwwを用いずに、各反射点の三次元位置を推定するので、位置の推定精度が向上する。また、独立回転運動推定回路103と目標追尾回路26が不要となるため、処理負荷及び装置規模の低減が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】この発明の実施の形態1によるレーダ装置のブロック図である。
【図2】この発明の実施の形態1によるレーダ装置と目標の関係を示す説明図である。
【図3】この発明の実施の形態2によるレーダ装置のブロック図である。
【図4】この発明の実施の形態2によるレーダ装置と目標の関係を示す説明図である。
【図5】この発明の実施の形態3によるレーダ装置のブロック図である。
【図6】この発明の実施の形態4によるレーダ装置のブロック図である。
【図7】この発明の実施の形態5によるレーダ装置のブロック図である。
【図8】この発明の実施の形態6によるレーダ装置のブロック図である。
【図9】この発明の実施の形態7によるレーダ装置のブロック図である。
【図10】この発明の実施の形態8によるレーダ装置のブロック図である。
【図11】この発明の実施の形態9によるレーダ装置のブロック図である。
【図12】この発明の実施の形態10によるレーダ装置のブロック図である。
【図13】この発明の実施の形態11によるレーダ装置のブロック図である。
【図14】この発明の実施の形態12によるレーダ装置のブロック図である。
【符号の説明】
【0089】
4 電波照射手段、6 電波反射点情報算出手段、9 電波反射点情報算出手段、12 受信手段、13 受信手段、14 相対運動推定手段、15 相対位置推定手段、16 電波反射点情報対応付け手段、17 三次元位置算出手段、18 三次元形状算出手段、25 相対運動推定手段、30 三次元反射強度分布算出手段、32 三次元形状記憶手段、34 三次元形状照合手段、38 姿勢記憶手段、40 姿勢判定手段、50 反射強度シミュレーション手段、52 反射強度三次元分布判定手段、102 三次元位置算出手段、104 三次元位置算出手段、105 三次元位置算出手段。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
目標に対して電波を照射する電波照射手段、上記電波照射手段から照射された電波の上記目標による反射電波を互いに異なる受信位置において受信する複数の受信手段、上記複数の受信手段により受信された上記反射電波から上記目標上の電波反射点に対応するレンジ及びドップラー周波数からなる電波反射点情報を算出する電波反射点情報算出手段、上記複数の受信手段の内の2つの受信手段からなる一組の受信手段によりそれぞれ受信された上記反射電波から算出された上記電波反射点情報をそれぞれに対応する上記目標上の電波反射点が一致する一組の電波反射点情報として対応付けを行う電波反射点情報対応付け手段、並びに上記一組の電波反射点情報並びに上記目標と上記一組の受信手段との相対位置及び相対運動から上記一組の電波反射点情報に対応する上記目標上の電波反射点の三次元空間内での位置である空間位置を算出する三次元位置算出手段を備えたレーダ装置。
【請求項2】
上記複数の受信手段により受信された上記反射電波から上記目標と上記複数の受信手段との相対位置及び相対運動をそれぞれ推定する相対位置推定手段及び相対運動推定手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載のレーダ装置。
【請求項3】
上記三次元位置算出手段により算出された上記目標上の電波反射点の空間位置に基づいて、上記目標の三次元形状を算出する三次元形状算出手段を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載のレーダ装置。
【請求項4】
上記受信手段を3つ以上備え、上記三次元形状算出手段は少なくとも1つの受信手段が互いに異なる複数の上記一組の受信手段により受信された上記反射電波から上記三次元位置算出手段によりそれぞれ算出された上記目標上の電波反射点の空間位置に基づいて、上記目標の三次元形状を算出することを特徴とする請求項3に記載のレーダ装置。
【請求項5】
上記電波照射手段が異なる時刻に電波を照射し、上記三次元形状算出手段は上記異なる時刻に照射された電波の上記目標による反射電波から上記三次元位置算出手段によりそれぞれ算出された上記目標上の電波反射点の空間位置に基づいて、上記目標の三次元形状を算出することを特徴とする請求項3に記載のレーダ装置。
【請求項6】
上記電波照射手段が異なる位置から電波を照射し、上記三次元形状算出手段は上記異なる位置から照射された電波の上記目標による反射電波から上記三次元位置算出手段によりそれぞれ算出された上記目標上の電波反射点の空間位置に基づいて、上記目標の三次元形状を算出することを特徴とする請求項3に記載のレーダ装置。
【請求項7】
上記電波反射点情報算出手段は上記電波反射点情報に加えて上記目標上の電波反射点に対応する反射強度を算出し、上記電波反射点情報算出手段により算出された反射強度と上記三次元形状算出手段により算出された上記目標の三次元形状に基づいて上記目標の反射強度の三次元分布を算出する三次元反射強度分布算出手段を備えたことを特徴とする請求項3に記載のレーダ装置。
【請求項8】
上記目標の三次元形状をあらかじめ候補目標形状として記憶する三次元形状記憶手段、及び上記三次元形状算出手段により算出された上記目標の三次元形状と上記三次元形状記憶手段に記憶された候補目標形状との類似度を、上記候補目標形状の姿勢に対応して算出する三次元形状照合手段を備えたことを特徴とする請求項3に記載のレーダ装置。
【請求項9】
上記目標の標準姿勢を記憶する姿勢記憶手段、及び上記姿勢記憶手段に記憶された上記目標の標準姿勢と上記候補目標形状の姿勢とを比較して、上記候補目標形状の姿勢の妥当性を判定する姿勢判定手段を備えたことを特徴とする請求項8に記載のレーダ装置。
【請求項10】
上記目標の三次元形状をあらかじめ候補目標形状として記憶する三次元形状記憶手段、上記三次元形状算出手段により算出された上記目標の三次元形状と上記三次元形状記憶手段に記憶された候補目標形状との類似度を、上記候補目標形状の姿勢に対応して算出する三次元形状照合手段、上記三次元形状記憶手段に記憶された候補目標形状に基づいて電磁界シミュレーションによって上記候補目標形状の反射強度の三次元分布を算出する反射強度シミュレーション手段、及び上記三次元反射強度分布算出手段により算出された上記目標の反射強度の三次元分布と上記反射強度シミュレーション手段により算出された上記候補目標形状の反射強度の三次元分布との類似度を算出する反射強度三次元分布判定手段を備えたことを特徴とする請求項7に記載のレーダ装置。
【請求項11】
上記相対運動推定手段は、上記目標の位置の変化に基づいて発生する見込み角の変化を等価的な回転運動とみなし、上記目標の相対運動を推定することを特徴とする請求項2に記載のレーダ装置。
【請求項1】
目標に対して電波を照射する電波照射手段、上記電波照射手段から照射された電波の上記目標による反射電波を互いに異なる受信位置において受信する複数の受信手段、上記複数の受信手段により受信された上記反射電波から上記目標上の電波反射点に対応するレンジ及びドップラー周波数からなる電波反射点情報を算出する電波反射点情報算出手段、上記複数の受信手段の内の2つの受信手段からなる一組の受信手段によりそれぞれ受信された上記反射電波から算出された上記電波反射点情報をそれぞれに対応する上記目標上の電波反射点が一致する一組の電波反射点情報として対応付けを行う電波反射点情報対応付け手段、並びに上記一組の電波反射点情報並びに上記目標と上記一組の受信手段との相対位置及び相対運動から上記一組の電波反射点情報に対応する上記目標上の電波反射点の三次元空間内での位置である空間位置を算出する三次元位置算出手段を備えたレーダ装置。
【請求項2】
上記複数の受信手段により受信された上記反射電波から上記目標と上記複数の受信手段との相対位置及び相対運動をそれぞれ推定する相対位置推定手段及び相対運動推定手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載のレーダ装置。
【請求項3】
上記三次元位置算出手段により算出された上記目標上の電波反射点の空間位置に基づいて、上記目標の三次元形状を算出する三次元形状算出手段を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載のレーダ装置。
【請求項4】
上記受信手段を3つ以上備え、上記三次元形状算出手段は少なくとも1つの受信手段が互いに異なる複数の上記一組の受信手段により受信された上記反射電波から上記三次元位置算出手段によりそれぞれ算出された上記目標上の電波反射点の空間位置に基づいて、上記目標の三次元形状を算出することを特徴とする請求項3に記載のレーダ装置。
【請求項5】
上記電波照射手段が異なる時刻に電波を照射し、上記三次元形状算出手段は上記異なる時刻に照射された電波の上記目標による反射電波から上記三次元位置算出手段によりそれぞれ算出された上記目標上の電波反射点の空間位置に基づいて、上記目標の三次元形状を算出することを特徴とする請求項3に記載のレーダ装置。
【請求項6】
上記電波照射手段が異なる位置から電波を照射し、上記三次元形状算出手段は上記異なる位置から照射された電波の上記目標による反射電波から上記三次元位置算出手段によりそれぞれ算出された上記目標上の電波反射点の空間位置に基づいて、上記目標の三次元形状を算出することを特徴とする請求項3に記載のレーダ装置。
【請求項7】
上記電波反射点情報算出手段は上記電波反射点情報に加えて上記目標上の電波反射点に対応する反射強度を算出し、上記電波反射点情報算出手段により算出された反射強度と上記三次元形状算出手段により算出された上記目標の三次元形状に基づいて上記目標の反射強度の三次元分布を算出する三次元反射強度分布算出手段を備えたことを特徴とする請求項3に記載のレーダ装置。
【請求項8】
上記目標の三次元形状をあらかじめ候補目標形状として記憶する三次元形状記憶手段、及び上記三次元形状算出手段により算出された上記目標の三次元形状と上記三次元形状記憶手段に記憶された候補目標形状との類似度を、上記候補目標形状の姿勢に対応して算出する三次元形状照合手段を備えたことを特徴とする請求項3に記載のレーダ装置。
【請求項9】
上記目標の標準姿勢を記憶する姿勢記憶手段、及び上記姿勢記憶手段に記憶された上記目標の標準姿勢と上記候補目標形状の姿勢とを比較して、上記候補目標形状の姿勢の妥当性を判定する姿勢判定手段を備えたことを特徴とする請求項8に記載のレーダ装置。
【請求項10】
上記目標の三次元形状をあらかじめ候補目標形状として記憶する三次元形状記憶手段、上記三次元形状算出手段により算出された上記目標の三次元形状と上記三次元形状記憶手段に記憶された候補目標形状との類似度を、上記候補目標形状の姿勢に対応して算出する三次元形状照合手段、上記三次元形状記憶手段に記憶された候補目標形状に基づいて電磁界シミュレーションによって上記候補目標形状の反射強度の三次元分布を算出する反射強度シミュレーション手段、及び上記三次元反射強度分布算出手段により算出された上記目標の反射強度の三次元分布と上記反射強度シミュレーション手段により算出された上記候補目標形状の反射強度の三次元分布との類似度を算出する反射強度三次元分布判定手段を備えたことを特徴とする請求項7に記載のレーダ装置。
【請求項11】
上記相対運動推定手段は、上記目標の位置の変化に基づいて発生する見込み角の変化を等価的な回転運動とみなし、上記目標の相対運動を推定することを特徴とする請求項2に記載のレーダ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2006−3348(P2006−3348A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−145084(P2005−145084)
【出願日】平成17年5月18日(2005.5.18)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年5月18日(2005.5.18)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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