説明

レーン認識装置

【課題】撮像画像上でレーンが映らない場合でもレーン認識を可能にする。
【解決手段】レーン認識装置10は、自車両走行路の撮像画像内に第1画像処理領域を左右個別に設定して車線標示を検出する車線標示検出部31と、検出した撮像画像内の左右一方の車線標示及び車線幅に基づき撮像画像内において左右他方の車線標示位置を推定する車線標示位置推定部33と、自車両走行路の撮像画像内に第1画像処理領域を含みかつ第1画像処理領域よりも広い第2画像処理領域を設定して車線標示を検出する広域車線標示検出部34と、車線標示検出部31による車線標示の検出結果及び車線標示位置推定部33による車線標示位置の推定結果それぞれに対し広域車線標示検出部34による車線標示の検出結果とのマッチングを行う検出結果照合部35と、検出結果照合部35のマッチング結果に基づきレーンを認識するレーン認識状況判断部36とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーンを認識する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
レーンを認識する技術としては、例えば特許文献1に記載の従来技術がある。
この従来技術では、先ず、撮像画像内に路面輝度算出用ウインドウを設定する。そして、この従来技術では、設定した路面輝度算出用ウインドウ内の画像における輝度の平均値又は最頻値を路面輝度として算出する。そして、この従来技術では、算出した路面輝度よりも大きい輝度を有するエッジを抽出してレーン認識を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−157731号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来技術では、処理の周期ごとに撮像した道路画像から車線標示を検出するにあたって、前回の処理にて車線標示を検出した付近に画像処理領域を設けて自車両が走行するレーンの車線標示を検出する構成であったため、一度誤検出して処理領域が誤った場所に設定されてしまうと、実際の車線標示が処理領域に入らなくなり、レーン認識が不安定になる、或いは、誤った対象(ノイズ)を誤検出し続けてしまうという課題があった。
本発明は、このような従来の技術が有する未解決の課題に着目してなされたものであって、より安定的なレーン認識が行えるレーン認識装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために、本発明の一態様は、自車両の走行路の撮像画像内に左右個別に左右の車線標示を検出するための第1画像処理領域を設定して、各第1画像処理領域内から個別に車線標示を検出する。また、本発明の一態様は、自車両の走行路の車線幅を検出する。さらに、本発明の一態様は、検出した撮像画像内の左右一方の車線標示の検出結果及び車線幅に基づいて、撮像画像内において左右他方の車線標示位置を推定する。そして、本発明の一態様は、自車両の走行路の撮像画像内に、左右2つの第1画像処理領域を含み、かつ左右2つの第1画像処理領域よりも広い第2画像処理領域を設定して、第2画像処理領域内に存在する車線標示を検出する。さらに、本発明の一態様は、第1画像処理領域を設定して検出した車線標示の検出結果及び車線標示位置の推定結果それぞれに対し、第2画像処理領域を設定して検出した車線標示の検出結果とのマッチングを行う。そして、本発明の一態様は、マッチング結果に基づいてレーンを認識する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、第1画像処理領域を設定して検出した撮像画像内の左右一方の車線標示に基づいて左右他方の車線標示位置を推定し、さらに第2画像処理領域を設定して撮像画像内の車線標示を検出する。そして、本発明によれば、推定した車線標示位置及び検出した車線標示を用いてレーン認識のためのマッチング処理を行う。これによって、本発明では、誤検知などによって第1画像処理領域内に車線標示が入らない状況となっても、第1車線標示検出手段の画像処理領域、検出結果を適切に修正することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】車線逸脱警報システムの構成例を示すブロック図である。
【図2】車線標示位置検出部の構成例を示すブロック図である。
【図3】撮像画像内のレーンに沿うように左右それぞれに設定される画像処理領域を示す図である。
【図4】車線標示位置を推定する処理を説明する図である。
【図5】撮像画像内に設定される広域画像処理領域を示す図である。
【図6】広域画像処理領域を設定した車線標示の検出を説明する図である。
【図7】車線標示検出部の車線標示の検出結果と広域車線標示検出部の車線標示の検出結果とのマッチングの処理を説明する図である。
【図8】車線境界位置推定手段が推定した車線標示位置と広域車線標示検出部の車線標示の検出結果とのマッチングの処理を説明する図である。
【図9】レーン認識装置における一連の処理手順を示すフローチャートである。
【図10】車線標示位置検出部における処理の説明に使用した図である。
【図11】第2実施形態の処理の概要を示すフローチャートである。
【図12】第3実施形態の車線標示位置検出部の構成を示すブロック図である。
【図13】第3実施形態の処理の概要を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本実施形態を図面を参照しつつ説明する。
本実施形態は、車線逸脱警報システムに搭載されるレーン認識装置である。
(構成)
図1は、車線逸脱警報システム1の構成例を示すブロック図である。
車線逸脱警報システム1は、図1に示すように、レーン認識装置10、車線逸脱警報部2、車速センサ3、及びブザー4を有している。
レーン認識装置10は、自車走行路を認識し、車線に対する車両状態量(車両位置、車両姿勢等)及び道路形状を検出する。
レーン認識装置10は、図1に示すように、カメラ11及びコントローラ20を有している。
【0009】
カメラ11は、車両前方を撮像する。カメラ11は、撮像した画像をコントローラ20に出力する。
ここで、カメラ11は、車両室内の天井の前方中央部に取り付けられている。そして、カメラ11は、フロントガラスを通して車両前方の走行路を撮像する。なお、この取り付け位置の例は、レーン認識を行うカメラの一般例であり、自車走行路を撮像できる位置であればこの例に限定しない。例えば、バックビューカメラのように車両後方にカメラを取り付けたり、車両前端にカメラを取り付けたりしても良い。
【0010】
コントローラ20は、マイクロコンピュータ及びその周辺回路を備えている。すなわち例えば、コントローラ20は、一般的なECU(Electronic Control Unit)と同様にCPU、ROM、RAM等によって構成されている。そして、ROMには、各種処理を実現する1又は2以上のプログラムが格納されている。CPUは、ROMに格納されている1又は2以上のプログラムに従って各種処理を実行する。
そして、コントローラ20は、図1に示すように、プログラムにより実現される機能として車線標示位置検出部30及び道路パラメータ推定部21を有している。
【0011】
なお、車線標示位置検出部30及び道路パラメータ推定部21は、それぞれがデバイスによって構成されていても良い。
車線標示位置検出部30は、撮像画像に対して画像処理を行い車線標示位置を検出する。そして、車線標示位置検出部30は、車線標示位置の検出結果を道路パラメータ推定部21に出力する。車線標示位置検出部30の詳細については後で詳述する。
道路パラメータ推定部21は、状態推定器を用いて、車線標示位置に基づいて道路パラメータ(道路形状及びこの道路に対する車両位置、車両姿勢等)を推定する。そして、道路パラメータ推定部21は、推定した道路パラメータを車線逸脱警報部2に出力する。
【0012】
ここで、具体的には、道路パラメータ推定部21は、道路モデル式として下記(1)式を用いて、車線標示位置に基づいて道路パラメータを推定する。
x=((A−W/2)/H)(y+f・D)−(B・H・f)/(y+f・D)−C・f+j・W・(y+f・D) ・・・(1)
【0013】
ここで、A,B,C,D,Hは、パラメータであり、道路パラメータ推定部21において推定する道路パラメータ、車両状態量となる。具体的には、Aは車線に対する自車両の横変位を表す。Bは道路曲率を表す。Cは車線に対する自車両のヨー角を表す。Dは自車両のピッチ角を表す。Hは路面からカメラ11までの高さを表す。また、Wは、車線幅(左右白線の内側間の距離)を示す定数である。また、fはカメラ透視変換定数である。また、jは、左右の白線を区別するパラメータであり、左標示線のときにj=0となり、右標示線のときにj=1となる。また、(x,y)は、左又は右の標示線内端上の任意の点の道路画像上の座標である。この場合、道路画像左上を原点にとって、右方向をx軸正方向とし、下方向をy軸正方向とする。
【0014】
なお、前記(1)式は道路モデルを表す式の一般例であり、走行路を推定するにあたってはこの(1)式を用いることに限定されない。
車線逸脱警報部2は、レーン認識装置10が検出した道路パラメータ(車線に対する車両位置や車両姿勢等)及び車速センサ3が検出した自車速に基づいて、自車両の車線逸脱を検出する。そして、車線逸脱警報部2は、自車両の車線逸脱を検出すると、ブザー4を作動させて運転者に車線逸脱を警告する。
ここで、例えば、車線逸脱警報部2は、前記コントローラ20の機能として実現されても良く、デバイスによって構成されても良い。
【0015】
次に、車線標示位置検出部30の構成例を、図2を参照して説明する。
図2は、車線標示位置検出部30の構成例を示すブロック図である。
車線標示位置検出部30は、図2に示すように、車線標示検出部31、車線幅算出部32、車線標示位置推定部33、広域車線標示検出部34、検出結果照合部35、レーン認識状況判断部36、及び車線標示検出結果修正部37を有している。
【0016】
車線標示検出部31は、撮像画像に対して画像処理を施して左右一対の車線標示を検出する。そして、車線標示検出部31は、検出した左右一対の車線標示を車線幅算出部32、車線標示位置推定部33、検出結果照合部35、及び車線標示検出結果修正部37に出力する。
ここで、具体的には、先ず、車線標示検出部31は、図3に示すように、撮像画像100内のレーン101,102に沿うように撮像画像100内の左右両方に画像処理領域(検出領域)121,122を設定する。このとき、車線標示検出部31は、レーン認識装置10内に記憶されている道路パラメータ又は車線標示の検出位置の過去履歴に基づいて画像処理領域121,122を設定する。
【0017】
さらに、車線標示検出部31は、設定した画像処理領域121,122内の画像に対して、例えばSobelフィルタによる一次空間微分を施して、車線標示と路面との境界となるエッジを強調する。その後、車線標示検出部31は、車線標示に対して直行する方向に走査を行い車線標示エッジを抽出する。
そして、車線標示検出部31は、抽出した車線標示エッジから車線標示を直線近似する。具体的には、車線標示検出部31は、車線標示エッジが検出されている画素を予め設定した値以上通過しかつ画像処理領域(検出領域)の上辺の1点と下辺の1点とを結ぶ直線をハフ変換によって検出する。そして、車線標示検出部31は、検出した直線を車線標示の近似直線として取得する。
【0018】
また、ハフ変換によって複数の車線標示の候補を検出した場合には、車線標示検出部31は、車線標示検出結果の過去履歴や道路形状の拘束条件などから、道路境界に対応する左右一対の車線標示を選択する。
車線幅算出部32は、自車両が走行している道路の車線幅を算出する。そして、車線幅算出部32は、算出した道路の車線幅を車線標示位置推定部33に出力する。
【0019】
ここで、例えば、車線幅算出部32は、レーン認識結果から車線幅を算出しても良い。また、車両にナビゲーション装置が搭載されている場合には、車線幅算出部32は、ナビゲーション装置から車線幅の情報を取得しても良い。
車線標示位置推定部33は、車線標示検出部31が検出した左右一方の車線標示(左右の画像処理領域から検出した車線標示)と車線幅算出部32で算出した車線幅とに基づいて、左右一方の車線標示について対となる反対側(左右他方側)の車線標示位置を推定する。そして、車線標示位置推定部33は、推定した車線標示位置を検出結果照合部35に出力する。
ここで、車線標示位置推定部33は、具体的には次のように車線標示位置を推定する。
【0020】
図4は、車線標示位置を推定する処理を説明する図である。
車線標示位置推定部33は、図4(a)及び(b)に示すように、車線標示検出部31が検出した撮像画像100内の左側の車線標示131Lと車線幅算出部32が算出した車線幅とに基づいて、対となる右側の車線標示位置(車線標示131LDの位置)を推定する。また、車線標示位置推定部33は、図4(a)及び(c)に示すように、車線標示検出部31が検出した撮像画像100内の右側の車線標示132Rと車線幅算出部32が算出した車線幅とに基づいて、対となる左側の車線標示位置(車線標示132RDの位置)を推定する。
【0021】
広域車線標示検出部34は、カメラ11からの撮像画像を圧縮し低解像度化した画像に基づいて車線標示を検出する。そして、広域車線標示検出部34は、検出した車線標示を検出結果照合部35に出力する。
ここで、具体的には、先ず、広域車線標示検出部34は、カメラ11からの撮像画像を圧縮し低解像度化する。
【0022】
次に、広域車線標示検出部34は、図5に示すように、車線標示検出部31で用いた左右2つの画像処理領域(図5中破線で示す領域)121,122を含み、かつ左右2つの画像処理領域121,122よりも広い画像処理領域(以下、広域画像処理領域という。)141を低解像度化した画像内に設定する。このとき、広域車線標示検出部34は、レーン認識装置10内に記憶されている道路パラメータ又は車線標示検出位置の過去履歴に依存することなく、広域画像処理領域141を画像内に設定する。
【0023】
そして、広域車線標示検出部34は、広域画像処理領域141内に存在する車線標示を検出する。このとき、広域車線標示検出部34は、車線標示検出部31のように左右の画像処理領域121,122それぞれから車線標示をそれぞれ検出するのではなく、図6に示す例のように、広域画像処理領域141に存在する全ての車線標示151L,152L,153R,154Rを検出する。
【0024】
検出結果照合部35は、車線標示検出部31の車線標示の検出結果及び車線標示位置推定部33の車線標示位置の推定結果それぞれに対して、広域車線標示検出部34の車線標示の検出結果とのマッチングを行う。そして、検出結果照合部35は、マッチングの結果をレーン認識状況判断部36に出力する。
ここで、検出結果照合部35は、具体的には次のようにマッチングを行う。
【0025】
ここで、マッチング処理を図7及び図8を参照しつつ説明する。図7は、車線標示検出部31の車線標示の検出結果と広域車線標示検出部34の車線標示の検出結果とのマッチングの処理を説明する図である。また、図8は、車線標示位置推定部33が推定した車線標示位置と広域車線標示検出部34の車線標示の検出結果とのマッチングの処理を説明する図である。
【0026】
検出結果照合部35は、図7に示すように、車線標示検出部31の検出結果である左右の画像処理領域121,122内で検出した車線標示131L,132Rと(図7(a))、広域車線標示検出部34の検出結果である広域画像処理領域141内で検出した車線標示151L,152L,153R,155Rと(図7(b))でマッチングできた車線標示161L,162Rを特定する(図7(c))。
【0027】
すなわち、この図7に示す例では、検出結果照合部35は、車線標示検出部31が左側の画像処理領域121内で検出した車線標示131Lと、広域車線標示検出部34が広域画像処理領域141内で検出した左側の2本の車線標示151L,152Lのうちの中央寄りの車線標示151Lとをマッチングでき、車線標示161Lを特定している。さらに、検出結果照合部35は、車線標示検出部31が右側の画像処理領域122内で検出した車線標示132Rと、広域車線標示検出部34が広域画像処理領域141内で検出した右側の2本の車線標示153R,155Rのうちの外寄りの車線標示153Rとをマッチングでき、車線標示162Rを特定している。
【0028】
また、検出結果照合部35は、図8に示すように、車線標示位置推定部33の推定結果である車線標示位置(車線標示131LD,132RDの位置)と(図8(a))、広域車線標示検出部34の検出結果である広域画像処理領域141内で検出した車線標示と(図8(b))でマッチングできた車線標示171L,172Rを特定する(図8(c))。
【0029】
すなわち、この図8に示す例では、検出結果照合部35は、車線標示位置推定部33が推定した左側の車線標示位置(車線標示132RDの位置)と、広域車線標示検出部34が広域画像処理領域141内で検出した左側の2本の車線標示151L,152Lのうちの中央寄りの車線標示151Lとをマッチングでき、車線標示171Lを特定している。さらに、検出結果照合部35は、車線標示位置推定部33が推定した右側の車線標示位置(車線標示131LDの位置)と、広域車線標示検出部34が広域画像処理領域141内で検出した右側の2本の車線標示153R,155Rのうちの外寄りの車線標示153Rとをマッチングでき、車線標示172Rを特定している。
【0030】
レーン認識状況判断部36は、検出結果照合部35のマッチング結果に基づいて、レーン認識状況判断を行う。そして、レーン認識状況判断部36は、そのレーン認識状況判断結果を車線標示検出結果修正部37に出力する。
ここで、具体的には、レーン認識状況判断部36は、次の第1及び第2条件の両条件を満たす場合、車線標示検出部31が誤検出していると判断する。
【0031】
第1条件は、撮像画像内の左右一方において、車線標示検出部31の車線標示の検出結果と広域車線標示検出部34の車線標示の検出結果とでマッチングできた車線標示が、車線標示位置推定部33の車線標示位置の推定結果と広域車線標示検出部34の車線標示の検出結果とでマッチングできた車線標示と同一ではないことである。
なお、第1条件として、車線標示検出部31の車線標示の検出結果と広域車線標示検出部34の車線標示の検出結果とでマッチングできていない場合であって、車線標示位置推定部33の車線標示位置の推定結果と車線標示検出部31の車線標示の検出結果が乖離していることを用いても良い。
【0032】
或いは、これら二つの条件を論理和(OR)として用いても良い。
第2条件は、撮像画面内の左右他方(反対側)において、車線標示位置推定部33の車線標示位置の推定結果と広域車線標示検出部34の車線標示の検出結果とでマッチングする車線標示の候補がないことである。
以上の第1及び第2条件の両条件を満たす場合、レーン認識状況判断部36は、前記左右一方における車線標示検出部31の車線標示の検出結果が誤検出によるものと判断する。そして、レーン認識状況判断部36は、その判断結果をレーン認識状況判断結果として車線標示検出結果修正部37に出力する。
車線標示検出結果修正部37は、レーン認識状況判断部36のレーン認識状況判断結果に基づいて車線標示検出部31の検出結果を修正する。そして、車線標示検出結果修正部37は、修正した検出結果を道路パラメータ推定部21に出力する。
【0033】
ここで、具体的には、車線標示検出結果修正部37は、レーン認識状況判断部36のレーン認識状況判断結果が誤検出を示す場合、広域車線標示検出部34の車線標示の検出結果を用いて車線標示検出部31の車線標示の検出結果を修正する。例えば、車線標示検出結果修正部37は、広域車線標示検出部34が検出した車線標示であって車線標示検出部31が誤検出した車線標示以外の車線標示を、車線標示検出部31の車線標示の検出結果とする。ここでいう広域車線標示検出部34が検出している車線標示とは、撮像画像内において車線標示検出部31が誤検出している車線標示が存在する側(左右何れか一方側)の車線標示である。また、このとき、例えば、車線標示検出結果修正部37は、車線標示位置推定部33が推定した車線標示位置を参照して前記車線標示以外の車線標示の選定を行っても良い。
また、道路パラメータを用いて車線標示検出部31の画像処理領域を配置する構成となっているレーン認識装置10で、道路パラメータの更新の遅れによって次回処理周期における車線標示検出部31の画像処理領域を車線区分線上に配置できない場合は、次回処理周期において画像処理領域を修正する。
【0034】
次に、レーン認識装置10における一連の処理手順を、図9を参照しつつ説明する。
図9は、レーン認識装置10における一連の処理手順を示すフローチャートである。ここで、レーン認識装置10では、カメラ11の画像取得周期に同期してフローチャートに基づくループ処理を繰り返すものとする。
先ず、ステップS1において、車線標示位置検出部30は、カメラ11にて撮像した自車走行路の道路画像を取得する。
【0035】
次に、ステップS2において、車線標示検出部31は、前記ステップS1で取得した道路画像に対して画像処理を行い、道路画像内の左右両方に設定した画像処理領域内から車線標示を検出する。すなわち、車線標示検出部31は、左右1候補ずつ車線標示を検出する。
次に、ステップS3において、広域車線標示検出部34は、前記ステップS1で取得した道路画像に対して画像処理を行い、道路画像内に設定した広域画像処理領域内に存在する全ての車線標示を検出する。
【0036】
次に、ステップS4において、車線幅算出部32は車線幅を算出する。
次に、ステップS5において、車線標示位置推定部33は、前記ステップS2の車線標示検出結果とステップS4で算出した車線幅の情報とを用いて車線標示位置を推定する。
次に、ステップS6において、検出結果照合部35は、前記ステップS2の車線標示検出結果及び前記ステップS5の車線標示位置の推定結果に対して、前記ステップS3の広域画像処理領域を用いた車線標示検出結果とのマッチング処理を行う。
【0037】
次に、ステップS7において、レーン認識状況判断部36は、前記ステップS6のマッチング結果を用いてレーン認識状況を判断する。
次に、ステップS8において、車線標示検出結果修正部37は、前記ステップS7のレーン認識状況判断結果が誤検出を示す場合、前記ステップS3の広域画像処理領域を用いた車線標示検出結果に基づいて、前記ステップS2の車線標示検出結果を修正する。
次に、ステップS9において、道路パラメータ推定部21は、車線標示位置検出部30(車線標示検出結果修正部37)から出力された車線標示位置検出結果を用いて道路パラメータを推定する。
【0038】
(動作等)
車線標示位置検出部30における処理を、図10に示す撮像画像100の例を用いて説明する。
車線標示位置検出部30は、図10(a)及び(b)に示すように、カメラ11の撮像画像に対して左右それぞれに画像処理領域121,122を設定する。そして、車線標示位置検出部30は、設定した画像処理領域121,122内からそれぞれ車線標示133L,132Rを検出する。
【0039】
さらに、車線標示位置検出部30は、図10(b)、(c)及び(d)に示すように、検出した左右それぞれの車線標示133L,132Rと自車両走行路の車線幅とに基づいて、左右それぞれの車線標示133L,132Rについて対となる反対側の車線標示位置(車線標示133LD,132RDの位置)を推定する。
一方、車線標示位置検出部30は、図10(a)及び(e)に示すように、カメラ11の撮像画像を圧縮し低解像度化した画像に対して広域画像処理領域141を設定する。そして、車線標示位置検出部30は、設定した広域画像処理領域141内から車線標示151L,152L,153R,154Rを検出する。
【0040】
そして、車線標示位置検出部30は、図10(b)、(e)及び(f)に示すように、画像処理領域121,122を設定して検出した車線標示133L,132Rと、広域画像処理領域141を設定して検出した車線標示151L,152L,153R,154Rとでマッチングできた車線標示163L,162Rを特定する。
また、車線標示位置検出部30は、図10(c)、(d)、(e)及び(g)に示すように、推定した車線標示位置(車線標示133LD,132RDの位置)と、広域画像処理領域141を設定して検出した車線標示151L,152L,153R,154Rとでマッチングできた車線標示171Lを特定する。
【0041】
そして、車線標示位置検出部30は、次の第1及び第2条件の両条件を満たす場合、車線標示検出部31の車線標示の検出結果が誤検出によるものと判断する。
第1条件は、撮像画像100内の左右一方において、車線標示検出部31が検出した車線標示と広域車線標示検出部34が検出した車線標示とでマッチングできた車線標示163L,162Rが、車線標示位置推定部33が推定した車線標示位置と広域車線標示検出部34が検出した車線標示とでマッチングできた車線標示171Lと同一ではないことである。また、第2条件は、撮像画像100内の左右他方(反対側)において、車線標示位置推定部33が推定した車線標示位置と広域車線標示検出部34が検出した車線標示とでマッチングするものがないことである。
【0042】
この場合、車線標示位置検出部30は、撮像画像100内の左右一方における車線標示検出部31の車線標示の検出結果が誤検出によるものと判断する。
この例では、車線標示位置検出部30は、図10(f)及び(g)に示すように、撮像画像100内の左側において、車線標示検出部31が検出した車線標示と広域車線標示検出部34が検出した車線標示とでマッチングできた車線標示163Lが、車線標示位置推定部33が推定した車線標示位置と広域車線標示検出部34が検出した車線標示とでマッチングできた車線標示171Lと同一ではないと判断する。
【0043】
また、車線標示位置検出部30は、図10(d)及び(g)に示すように、撮像画像100内の左側において、車線標示位置推定部33が推定した車線標示位置(車線標示132RD)と広域車線標示検出部34が検出した車線標示151Lとがマッチングすると判断する。
また、車線標示位置検出部30は、図10(f)及び(g)に示すように、撮像画像100内の右側については、車線標示位置推定部33が推定した車線標示位置と広域車線標示検出部34が検出した車線標示とでマッチングできない。そのため、撮像画像100内の右側については、マッチングする車線標示の候補が存在しないことになる。
【0044】
この結果、車線標示位置検出部30は、撮像画像100内の右側について、車線標示検出部31が検出した車線標示と広域車線標示検出部34が検出した車線標示とでマッチングできた車線標示162Rが、車線標示位置推定部33が推定した車線標示位置と広域車線標示検出部34が検出した車線標示とでマッチングする車線標示の候補と同一ではないと判断することにもなる。
以上から、この例では、車線標示位置検出部30は、撮像画像100内の左側における車線標示検出部31の車線標示133Lの検出結果が誤検出によるものと判断する。
【0045】
ここで、本実施形態において、車線標示検出部31は、例えば、第1車線標示検出手段を構成する。また、車線幅算出部32は、例えば、車線幅検出手段を構成する。また、車線標示位置推定部33は、例えば、車線標示位置推定手段を構成する。また、広域車線標示検出部34は、例えば、第2車線標示検出手段を構成する。また、検出結果照合部35は、例えば、マッチング手段を構成する。また、レーン認識状況判断部36は、例えば、レーン認識手段を構成する。また、車線標示検出結果修正部37は、例えば、車線標示検出結果修正手段や画像処理領域修正手段を構成する。
また、車線標示検出部31が設定する画像処理領域は、例えば、第1画像処理領域を構成する。また、広域車線標示検出部34が設定する広域画像処理領域は、例えば、第2画像処理領域を構成する。
【0046】
(本実施形態の効果)
本実施形態は、次のような効果を奏する。
(1)車線標示検出部31は、自車両の走行路の撮像画像内に画像処理領域を左右個別に設定して、画像処理領域内から個別に車線標示を検出する。また、車線幅算出部32は、自車両の走行路の車線幅を算出する。さらに、車線標示位置推定部33は、車線標示検出部31が検出した撮像画像内の左右一方の車線標示の検出結果、及び車線幅算出部32が算出した車線幅に基づいて、撮像画像内において左右他方の車線標示位置を推定する。そして、広域車線標示検出部34は、自車両の走行路の撮像画像内に、車線標示検出部31が設定した左右2つの画像処理領域を含み、かつその左右2つの画像処理領域よりも広い広域画像処理領域を設定して、広域画像処理領域内に存在する車線標示を検出する。さらに、検出結果照合部35は、車線標示検出部31による車線標示の検出結果及び車線標示位置推定部33による車線標示位置の推定結果それぞれに対し、広域車線標示検出部34による車線標示の検出結果とのマッチングを行う。そして、レーン認識状況判断部36は、検出結果照合部35のマッチング結果に基づいてレーンを認識する。
【0047】
この場合、レーン認識装置10は、車線標示検出部31が検出した撮像画像内の左右一方の車線標示に基づいて左右他方の車線標示位置を推定し、さらに広域車線標示検出部34が広域画像処理領域を設定して撮像画像内の車線標示を検出する。そして、レーン認識装置10は、推定した車線標示位置及び検出した車線標示を用いてレーン認識のためのマッチング処理を行う。これによって、レーン認識装置10は、車線標示検出部31が画像処理領域内でレーンを検出できない状況になっていてもレーン認識できる。
【0048】
よって、レーン認識装置10は、撮像画像上でレーンが映らない場合でもレーン認識できる。例えば、レーン認識装置10は、西日や朝日がタールで反射してカメラの撮像画像が黒くなり撮像画像上でレーンが映らない場合でもレーン認識できる。よって、例えば、レーン認識装置10は、撮像画像内のレーン以外のノイズを誤認識し続けてしまうといったことを防止できる。ここでいうノイズとは、図10に示す例では、車線標示検出部31が検出している車線標示133Lである。
【0049】
(2)車線標示検出結果修正部37は、検出結果照合部35のマッチング結果に基づいて、車線標示検出部31の車線標示の検出結果を修正する。
これにより、レーン認識装置10は、レーン認識の精度を向上させることができる。
(3)車線標示検出結果修正部37は、検出結果照合部35のマッチング結果に基づいて、車線標示検出部31が車線標示の検出に用いる画像処理領域を修正する。
これにより、レーン認識装置10は、レーン認識の精度を向上させることができる。
【0050】
(4)広域車線標示検出部34は、撮像画像を圧縮して低解像度化した画像上に広域画像処理領域を設定する。さらに、広域車線標示検出部34は、設定した広域画像処理領域内の画像に対して時間積分して広域画像処理領域内からエッジを抽出する。そして、広域車線標示検出部34は、抽出したエッジに基づいて車線標示を検出する。
これにより、広域車線標示検出部34は、車線標示検出のための処理負荷を抑えることができる。また、広域車線標示検出部34は、広域画像処理領域内の画像に対して時間積分してエッジを抽出しているので、低解像度の画像からも安定して車線標示を検出できる。
【0051】
(5)レーン認識状況判断部36は、検出結果照合部35のマッチング結果に基づいて、撮像画像内の左右一方において、車線標示検出部31が検出した車線標示とマッチングする広域車線標示検出部34が検出した車線標示が、車線標示位置推定部33が推定した車線標示位置とマッチングする広域車線標示検出部34が検出した車線標示と同一ではなく(第1条件)、かつ撮像画像内の左右他方において、車線標示位置推定部33が推定した車線標示位置と広域車線標示検出部34が検出した車線標示とがマッチングしない(第2条件)と判定すると、車線標示検出部31が撮像画像内の左右一方の車線標示を誤検出していると判断する。
このように、レーン認識状況判断部36は、車線標示検出部31が検出した左右の車線標示の検出結果から各々反対側の車線標示を推定することで、互いの車線標示位置を相互確認できないときには車線標示検出部31が誤検出していると判断する。
【0052】
ここで、車線標示検出部31が車線標示を誤検出している場合には、その車線標示の検出結果とマッチングする広域車線標示検出部34の検出車線標示の候補が、車線標示位置推定部33が推定した車線標示位置とマッチングする広域車線標示検出部34の検出車線標示の候補と異なる。さらに、車線標示検出部31が車線標示を誤検出している場合には、その誤検出した車線標示から推定した車線標示位置にマッチングする車線標示の候補を広域車線標示検出部34が検出することができない。このような理由から、レーン認識状況判断部36では、前記第1及び第2条件の両条件を満たす場合に、車線標示検出部31が誤検出しているとの判断を行うことができるようになる。
この結果、レーン認識状況判断部36は、撮像画像上でレーンが映らないような場合にレーン以外のノイズを誤検出しているとの判断を行うことができるようになる。
【0053】
(6)レーン認識状況判断部36が車線標示を誤検出していると判断した場合、車線標示検出結果修正部37は、広域車線標示検出部34が検出した車線標示であって車線標示検出部31が誤検出した車線標示以外の車線標示を、車線標示検出部31の車線標示の検出結果とする修正を行う。
これにより、レーン認識装置10は、レーン認識の精度をより確実に向上させることができる。
【0054】
(第2実施形態)
以下、本発明の第2実施形態を説明する。なお、レーン認識装置10の構成は、上記第1実施形態と同様であるため、その図示及び説明は省略する。
ここで、実際の道路環境では、一部区間において左右どちらか一方の車線標示が見えにくいことがあり、路面によっては左右どちらか一方の車線標示自体が消えてしまっている場合もある。そのような状況では、本来の車線標示がそもそも路面に存在しないため、第1実施形態のような処理では対処できない可能性もある。
【0055】
そこで、車線標示検出部31の左右どちらかの検出結果と広域車線標示検出部34の検出結果とがマッチングできない場合には、マッチングできない側でのレーン認識の確からしさが低いと判断できるため、マッチングがとれている反対側の車線標示から既知の車線幅を用いて車線標示位置を推定し、その推定された車線標示位置と、車線標示検出部31により検出された車線標示位置とが乖離している場合には、ノイズを誤検出している(車線標示を確認できなかった)として、ロスト処理を行う。
即ち、この第2実施形態の第1実施形態からの変更点は、レーン認識状況判断部36及び車線標示検出結果修正部37における処理の内容である。
【0056】
レーン認識状況判断部36は、検出結果照合部35のマッチング結果に基づいて、レーン認識状況判断を行う。そして、レーン認識状況判断部36は、そのレーン認識状況判断結果を車線標示検出結果修正部37に出力する。
ここで、具体的には、レーン認識状況判断部36は、第1実施形態における条件とは別に、下記の第1及び第2条件の両条件を満たす場合に、車線標示検出部31が誤検出していると判断する。
【0057】
第1条件は、撮像画像内の左右一方において、車線標示検出部31の車線標示の検出結果と広域車線標示検出部34の車線標示の検出結果とでマッチングできていないというものである。
第2条件は、撮像画面内の左右他方(反対側)において、車線標示検出部31の車線標示の検出結果と広域車線標示検出部34の車線標示の検出結果がマッチングできていて、この広域車線標示検出部34の車線標示の検出結果より車線標示位置推定部33で推定された上記マッチングがとれてない側の車線標示位置と、車線標示検出部31で検出した車線標示位置とが、所定以上離れているというものである。
【0058】
以上の第1及び第2条件の両条件を満たす場合、レーン認識状況判断部36は、前記左右一方における車線標示検出部31の車線標示の検出結果が誤検出によるものと判断する。そして、レーン認識状況判断部36は、その判断結果をレーン認識状況判断結果として車線標示検出結果修正部37に出力する。
車線標示検出結果修正部37において、誤検出していると判断した側の車線標示の検出結果をロスト処理(不検出処理)する。
【0059】
これによって、車線標示が見えにくい、もしくは消えている区間において誤検出が発生し、車線標示検出部31の画像処理領域を適切に修正できない場合であっても、ロスト処理を行うことでレーン認識が不安定になることを回避できる。
図11は、第2実施形態における処理の概要を示すフローチャートである。なお、上記第1実施形態と同様の処理を実行するステップには、同じ符号を付している。
即ち、ステップS1〜S6の処理を行ったら、ステップS27に移行し、上記条件1及び2を用いて、レーン認識状況を判断する。
【0060】
そして、ステップS28に移行し、車線標示検出結果修正部37は、ステップS7のレーン認識状況判断結果がノイズを誤検出していると判断した場合、ステップS3の広域画像処理領域を用いた車線標示検出結果に基づいて、ステップS2の車線標示検出結果の誤検出している方をロスト処理する。
その後、ステップS9に移行し、道路パラメータ推定部21は、車線標示位置検出部30(車線標示検出結果修正部37)から出力された車線標示位置検出結果を用いて道路パラメータを推定する。
【0061】
(第2実施形態の効果)
車線標示検出部31の検出結果と広域車線標示検出部34の検出結果とでマッチングがとれない場合は、レーン認識の確からしさが低い状態であるため、確からしさが高い方から既知の車線幅を用いて推定した車線標示の位置と車線標示検出部31の検出結果とが乖離している場合には、車線標示以外のノイズを誤検出している可能性が高いためロスト処理を行うという構成としたことで、誤検出を回避することができる。
【0062】
(第3実施形態)
以下、本発明の第3実施形態について説明する。
この第3実施形態では、車線標示検出部31の検出結果の連続性と、その車線標示検出部31の検出結果及び広域車線標示検出部34の検出結果のマッチング結果とに基づき、現在の処理における車線標示の検出結果が正しく行われているか否かの確からしさを判断し、その確からしさが低い場合には、ロスト処理を行うことで誤検出を回避するというものである。
【0063】
そこで、本実施形態の車線標示位置検出部30の構成は、図12に示すようになっている。即ち、本実施形態の車線標示位置検出部30は、第1実施形態における車線標示位置検出部30との対比において、車線幅算出部32及び車線標示位置推定部33を削除するとともに、連続性判断部38を追加した点で相違し、その他の構成は同じである。
そして、連続性判断部38は、第1車線標示検出手段の検出結果について、過去の検出履歴と現在の検出位置(現在の画像処理領域における検出位置)とを比較することで、自車走行レーンの車遠標示を連続的に検出できているかどうかを判定し、検出結果照合手段35に出力する。この判定処理は、左右それぞれについて行う。
【0064】
具体的には、連続性判断手段38によって、車線標示検出部31の検出位置のばらつきが大きく連続性がないと判断された場合であって、現在の画像処理領域における車線標示部31の検出結果と広域車線標示検出部34の検出結果とのマッチングが取れていない場合には、車線標示を正しく検出している確からしさが低いとして、ロスト処理を行い、誤検出を回避する。
これによって、車線標示を正しく検出できていない状況を判断し、車線標示を検出している確からしさが低い対象をロスト処理することで、誤検出を回避することができる。
【0065】
図13は、第3実施形態における処理の概要を示すフローチャートである。なお、上記第1実施形態と同様の処理を実行するステップには、同じ符号を付している。
即ち、ステップS1〜S3を終えたら、ステップS34に移行し、連続性判断手段38は、ステップS2で検出した車線標示の位置について過去の検出履歴と現在の検出結果とで比較を行い、自車レーンの車線標示を連続的に検出できているかを判定する。例えば、検出位置のばらつきが大きい場合には、連続性がないと判断する。
【0066】
次に、ステップS6において、検出結果照合部35は、ステップS2の車線標示検出結果に対して、ステップS3の広域画像処理領域を用いた車線標示検出結果とのマッチング処理を行い、そして、ステップS37に移行する。
ステップS37では、レーン認識状況判断部36は、ステップS34の連続性判断の結果と、ステップS6のマッチング結果とを用いて、レーン認識状況を判断する。
【0067】
そして、ステップS38に移行し、車線標示検出結果修正部37は、ステップS37のレーン認識状況判断結果がノイズを誤検出していると判断した場合には、ステップS2の車線標示検出結果の誤検出している方を、ロスト処理する。
次に、ステップS9において、道路パラメータ推定部21は、車線標示位置検出部30(車線標示検出結果修正部37)から出力された車線標示位置検出結果を用いて道路パラメータを推定する。
【0068】
(第3実施形態の効果)
車線標示検出部31の誤検出に起因して車線標示がその車線標示検出部31の画像処理領域に入らない状況となった場合であっても、広域車線標示検出部34によって、車線標示検出部31における画像処理領域外にある車線標示を検出し、この結果に基づいて車線標示検出31の検出結果を修正することで、車線標示検出部31の画像処理領域内に車線標示が入らないことに起因してレーン認識が不安定になることを回避することができる。
また、連続性判断部38で連続性が確認できず、かつ検出結果照合部35において車線標示検出部31の検出結果と広域車線標示検出部34の検出結果とのマッチングが取れない場合には、車線標示検出部31で検出した対象が車線標示である確からしさが低いと判断できるため、ロスト処理を行うことで誤った対象を誤検出することを避けることができる。
【0069】
(実施形態の変形例)
上記各実施形態では、レーン認識装置10からの道路形状及び車両状態量を用いて、車両制御として車線逸脱警報を行っているが、これに限定されない。例えば、本発明の実施形態は、レーン認識装置10にステアリングアクチュエーターと車両センサとを組み合わせてレーンキープを行うような運転支援装置でも良い。
【符号の説明】
【0070】
1 車線逸脱警報システム、10 レーン認識装置、21 道路パラメータ推定部、30 車線標示位置検出部、31 車線標示検出部、32 車線幅算出部、33 車線標示位置推定部、34 広域車線標示検出部、35 検出結果照合部、36 レーン認識状況判断部、37 車線標示検出結果修正部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の走行路の撮像画像内に左右個別に左右の車線標示を検出するための第1画像処理領域を設定して、前記各第1画像処理領域内から1本ずつ車線標示を検出する第1車線標示検出手段と、
前記自車両の走行路の車線幅を検出する車線幅検出手段と、
前記第1車線標示検出手段が検出した前記撮像画像内の左右一方の車線標示の検出結果、及び前記車線幅検出手段が検出した車線幅に基づいて、前記撮像画像内において左右他方の車線標示位置を推定する車線標示位置推定手段と、
自車両の走行路の撮像画像内に、前記左右2つの第1画像処理領域を含み、かつ前記左右2つの第1画像処理領域よりも広い第2画像処理領域を設定して、前記第2画像処理領域内に存在する車線標示を検出する第2車線標示検出手段と、
前記第1車線標示検出手段による車線標示の検出結果及び前記車線標示位置推定手段による車線標示位置の推定結果それぞれに対し、前記第2車線標示検出手段による車線標示の検出結果とのマッチングを行うマッチング手段と、
前記マッチング手段のマッチング結果に基づいて、レーンを認識するレーン認識手段と、
を備えることを特徴とするレーン認識装置。
【請求項2】
前記マッチング手段のマッチング結果に基づいて、前記第1車線標示検出手段による車線標示の検出結果を修正する車線標示検出結果修正手段をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載したレーン認識装置。
【請求項3】
前記マッチング手段のマッチング結果に基づいて、前記第1画像処理領域を修正する画像処理領域修正手段をさらに備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載したレーン認識装置。
【請求項4】
前記第2車線標示検出手段は、前記撮像画像を圧縮して低解像度化した画像内に前記第2画像処理領域を設定し、前記第2画像処理領域内の車線標示の特徴量を時間積分して前記第2画像処理領域内から車線標示の候補を抽出し、抽出した車線標示の候補に基づいて車線標示を検出することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載したレーン認識装置。
【請求項5】
前記レーン認識手段は、前記マッチング手段のマッチング結果に基づいて、前記撮像画像内の左右一方において、前記第1車線標示検出手段が検出した車線標示とマッチングする前記第2車線標示検出手段が検出した車線標示が、前記車線標示位置推定手段が推定した車線標示位置とマッチングする前記第2車線標示検出手段が検出した車線標示と同一ではなく、かつ前記撮像画像内の左右他方において、前記車線標示位置推定手段が推定した車線標示位置と前記第2車線標示検出手段が検出した車線標示とがマッチングしないと判定すると、前記第1車線標示検出手段が前記撮像画像内の左右一方の車線標示を誤検出していると判断することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載したレーン認識装置。
【請求項6】
前記レーン認識手段は、前記誤検出していると判断した場合には、前記第1車線標示検出手段が検出した車線標示を、前記車線標示位置推定手段が推定した車線標示位置とマッチングする前記第2車線標示検出手段が検出した車線標示に修正することを特徴とする請求項5記載のレーン認識装置。
【請求項7】
前記レーン認識手段は、前記マッチング手段のマッチング結果に基づいて、前記撮像画像内の左右一方において、前記第1車線標示検出手段が検出した車線標示と前記第2車線標示手段が検出した車線標示とがマッチングせず、前記車線標示位置推定手段が推定した車線標示位置と前記第1車線標示検出手段が検出した車線標示の位置とが乖離している場合には、レーンの認識を行えなかったと判断することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載したレーン認識装置。
【請求項8】
自車両の走行路の撮像画像内に左右個別に左右の車線標示を検出するための第1画像処理領域を設定して、前記各第1画像処理領域内から1本ずつ車線標示を検出する第1車線標示検出手段と、
自車両の走行路の撮像画像内に、前記左右2つの第1画像処理領域を含み、かつ前記左右2つの第1画像処理領域よりも広い第2画像処理領域を設定して、前記第2画像処理領域内に存在する車線標示を検出する第2車線標示検出手段と、
前記第1車線標示検出手段による車線標示の検出結果に対し、前記第2車線標示検出手段による車線標示の検出結果とのマッチングを行うマッチング手段と、
前記マッチング手段のマッチング結果に基づいて、レーンを認識するレーン認識手段と、
を備えることを特徴とするレーン認識装置。
【請求項9】
前記第1車線標示検出手段が過去に検出した車線標示と、当該第1車線標示検出手段が現在の前記第1画像処理領域で検出した車線標示とを比較することで、前記車線標示の連続性を判断する連続性判断手段をさらに備え、
前記レーン認識手段は、前記マッチング手段のマッチング結果及び前記連続性判断手段の判断結果に基づき、車線標識を誤検出しているか否かを判断することを特徴とする請求項8記載のレーン認識装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−61934(P2013−61934A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−176065(P2012−176065)
【出願日】平成24年8月8日(2012.8.8)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】