説明

ロッカー装置

【課題】利用者が荷物を預け入れる度に預かりカードのようなものが発行される必要のないロッカー装置を提供する。
【解決手段】複数のロッカー10、コード読取装置2、コントロール装置3を備える。ロッカー10は、扉11の施解錠を行う施解錠装置12を備える。コントロール装置3は、ロッカー10の利用を許可する利用許可コードを設定し、コード読取装置2にて利用許可コードが読み取られた時に、空いているロッカー10の扉11を解錠し、当該扉11が利用者に閉じられて施錠した後にコード読取装置2にて当該利用許可コードが読み取られた時に、当該扉11を解錠するロッカー装置である。コントロール装置3は、所定の期間内の利用を許可する利用許可コードを設定し、所定の期間の経過後に当該利用許可コードを消去する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロッカー装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、コインロッカーのようなロッカー装置が広く用いられている。ロッカー装置は、ボックス内に扉を有する収納部を複数備え、扉の施解錠をキーで行うものであったが、キーを用いることによりガチャガチャといった不快音が発生するという問題があった。
【0003】
そこで、コード読取装置を備え、キーの代わりにコードを有するカードが用いられるロッカー装置が開発された(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平2−32189号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に示される従来のロッカー装置は、利用者が荷物を預け入れる時に預かりカードが発行され、荷物を取り出す際に預かりカードをカードリーダーに読み取らせるものであった。しかしながら、利用者が荷物を預け入れる度に預かりカードが発行されるものであった。
【0006】
本発明は上記従来の問題点に鑑みて発明したものであって、その目的とするところは、利用者が荷物を預け入れる度に預かりカードのようなものが発行される必要のないロッカー装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、以下のような構成とする。
【0008】
複数の収納部と、コード読取装置と、コントロール装置と、を備え、前記収納部は、扉と前記扉の施解錠を行う施解錠装置とを備え、前記コントロール装置は、前記収納部の利用を許可する利用許可コードを設定し、前記コード読取装置にて前記利用許可コードが読み取られた時に、空いている前記収納部の前記扉を前記施解錠装置にて解錠し、当該扉が利用者に閉じられて施錠した後に前記コード読取装置にて当該利用許可コードが読み取られた時に、当該扉を前記施解錠装置にて解錠するロッカー装置であって、前記コントロール装置は、所定の期間内の利用を許可する前記利用許可コードを設定し、前記所定の期間の経過後に当該利用許可コードを消去することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明のロッカー装置は、利用者が荷物を預け入れる度に預かりカードのようなものが発行される必要がないものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態の概略構成図である。
【図2】同上のボックスの正面図である。
【図3】同上に用いられるチケットの図である。
【図4】同上における単位フローのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を図1乃至図4に示す実施形態に基いて説明する。
【0012】
ロッカー装置は、図1に示すように、外郭となるボックス1を備え、このボックス1内に、複数の収納部(以下、ロッカー10という)と、コード読取装置2と、コントロール装置3とが設けられる。ボックス1は、前開口を介して前方に開放され、内部が仕切りで仕切られて複数のロッカー10が形成される。ロッカー10には、前開口を介して前方に開放される収納空間(不図示)と、前開口を開閉する扉11(図2参照)と、扉11の施解錠を行う施解錠装置12と、が設けられる。また、ボックス1の一部は前方に開放されず、この内部にコントロール装置3とコード読取装置2とが収納される。
【0013】
施解錠装置12は、後述する制御部31により施解錠される電気錠で、扉11の施錠・解錠状態を検知することができる。扉11には、開く方向に付勢力が作用しており、施解錠装置12により解錠されると、扉11は自動で開くようになっている。また、利用者が荷物をロッカー10に預け入れて施錠しようとする場合には、利用者が扉11を前記付勢力に抗して閉じることで、施錠が自動で行われる。なお、図示しないが、施解錠装置12が施錠セットレバーを備えていて、利用者が扉11を閉じる時に施錠セットレバーを操作することで扉11が施錠されるもの等でもよい。なお、施解錠装置12については様々なものが公知となっていて、これらが適宜適用可能であり、詳細な説明は省略する。
【0014】
コントロール装置3は、制御部31と、記憶部32と、計時手段33と、報知手段34と、を備えている。制御部31は、施解錠装置12により扉11を施解錠させるもので、ボックス1に全ロッカー10を制御する制御部31が一個設けられるか、あるいは各ロッカー10にそれぞれ設けられる。本実施形態では、制御部31はマイクロコンピュータからなり、ボックス1に一個設けられている。記憶部32は、各種情報を記憶するもので、EEPROMやハードディスク等からなり、制御部31により情報が記憶されたり削除(消去)されたりする。
【0015】
この記憶部32には、ロッカー10の利用が許可されている識別コード(後述する利用許可コード)と、ロッカー10毎に対応する、該ロッカー10が施錠されているか否かの施解錠情報と、該ロッカー10が利用されているか否かの利用情報と、該ロッカー10が利用されている場合の利用者の識別コード(後述する利用コード)と、該ロッカー10の利用がいつ開始されたかの利用開始情報と、が記憶される。
【0016】
計時手段33は、少なくともタイマ機能を備えるものであるが、本実施形態では時刻を知ることができるものである。報知手段34は、音声や表示により報知を行うもので、スピーカや文字ディスプレイや点灯ランプ等、特に限定されない。
【0017】
コード読取装置2は、印刷されたバーコードのようなコード4(図3参照)を光学的に読み取ったり、磁気情報からなるコードを読み取ったりするものである。本実施形態のコード読取装置2は、バーコードを読み取るいわゆるバーコードリーダであるが、コード読取装置2には前記磁気情報を読み取るもの等でもよく、様々な公知のコード読取装置2が適宜適用可能であり、特に限定されない。また、バーコードは旧知のものや二次元バーコード(いわゆるQRコード(登録商標))等、特に限定されない。なお、コード読取装置2については様々なものが公知となっており、詳細な説明は省略する。
【0018】
上記ロッカー装置は、主に美術館や博物館といった施設に設置されるが、体育館等の他の施設や、駅や各種店舗(百貨店、ショッピングモール等)、集合住宅に設けられてもよく、特に限定されない。本実施形態では、ロッカー装置が美術館に設けられるものとして説明する。
【0019】
美術館の入館者(観覧客)は、図3に示すようなチケット5(入館券)を購入し、入館時に回収用の半券52を回収され、所持用の半券51を所持して入館する。少なくとも所持用の半券51には、ロッカー装置利用のためのコード4としてバーコードが印刷されるもので、本実施形態では回収用の半券52にもコード4としてのバーコードが印刷されている。コード4に込められているコード情報は各チケット5毎に異なるもので、このコード情報が、該コード情報(コード4)が印刷されているチケット5を所有する入館者に割り振られた識別コードとなる。識別コードは、一度発行されたものは二度と発行されないのが好ましいが、識別コードの数は有限であり枯渇に至る場合もあるため、この場合には充分に長い期間(例えば数年)をあけて二回目以降の発行が行われるようにする。
【0020】
そして、この識別コードは、所定の期間内にロッカー10の利用が許可されている識別コード(これを「利用許可コード」とする)として、記憶部32に記憶される。ここで、所定の期間とは、美術館の営業時間(例えば午前10時から午後8時まで)としたり、あるいは、ロッカー10の利用開始からの所定の時間(例えば24時間)としたり、適宜設定され、本実施形態ではロッカー10の利用開始からの所定の時間とする。なお、チケット5の購入やチケット5の発行に先立って、割り振りが予定される識別コードが利用許可コードとして記憶部32に記憶されてもよい。
【0021】
入館者は必ずしもロッカー10を利用する必要はなく、利用希望者のみがロッカー10を利用するものである。このためロッカー装置のボックス1は、想定される入館者数(すなわち、同時に館内にいると想定される最大の入館者数)分のロッカー10を備えていなくてもよい。
【0022】
以下、このロッカー装置の動作の単位となるフロー(これを「単位フロー」とする)について図4に基づいて説明する。
【0023】
入館者のうちのロッカー10の利用希望者は、半券51に印刷されたコード4をコード読取装置2の読取部21にかざして、コード読取装置2に識別コードを読み取らせる。
【0024】
コード読取装置2で識別コードが読み取られると、制御部31により単位フローのプログラムの実行が開始され(ステップS1)、利用許可コードのうちで合致するものがあるか否かを判定する「利用許可判定」が実行される(ステップS2)。制御部31は、利用許可判定の結果、この読み取られた識別コードに合致する利用許可コードがない場合には、ロッカー10の利用が許可されていない識別コードであると判定し、その旨を報知手段34により報知して(ステップS3)、単位フローを終了する(ステップS4)。単位フローが終了すると、次にコード4がコード読取装置2にかざされて、単位フローのプログラムの実行が開始されるのを待機する状態となるもので、後述するステップS8、S12、S16での終了時も同様である。なお、報知手段34による報知はなくてもよい。
【0025】
また、制御部31は、読み取られた識別コードに合致する利用許可コードがある場合には、ロッカー10の利用がなされている識別コードであるか否かを判定する「利用判定」が実行される(ステップS5)。制御部31は、利用判定において、読み取られた識別コードが、各ロッカー10毎に記憶されている利用者の識別コード(これを「利用コード」とする)に合致するものの有無を判定するものである。利用判定において、読み取られた識別コードが利用コードのうちに合致するものが無い場合には、いずれのロッカー10も、該識別コードが割り振られている入館者に利用されていないこととなり、ステップS6〜ステップS11の預け入れフローへ移行する。
【0026】
預け入れフローでは、制御部31により、この時点で利用されていないロッカー10の有無を判定する「空き判定」が実行される(ステップS6)。制御部31は、空き判定の結果、利用されていない空きロッカー10が無い場合には、空きロッカー10が無い旨を報知手段34により報知して(ステップS7)、単位フローを終了する(ステップS8)。
【0027】
制御部31は、ステップS6の空き判定の結果、利用されていない空きロッカー10が有る場合には、そのうち一つのロッカー10を割り当てるもので(ステップS9)、割り当ては何らかの規則性に従ってもよいし、ランダムでもよい。そしてステップS9において、記憶部32には、割り当てられたロッカー10について、利用情報として「利用中」の旨が記憶され、利用コードとして該識別コードが記憶され、利用開始情報としての日時(分、秒まで含む)が記憶され、施解錠装置12により解錠されて該ロッカー10の扉11が開く。
【0028】
利用者は、扉11が開くことで割り当てられたロッカー10を認識し、当該ロッカー10に荷物を預け入れ、扉11を閉じる。ステップS10において施解錠装置12が施錠を検知すると、制御部31は、施解錠情報として該ロッカー10が施錠されていることを記憶部32に記憶させ(ステップS11)、単位フローを終了する(ステップS12)。
【0029】
利用者は観覧後、荷物を取り出そうとする時に、上述したように、半券51に印刷されたコード4をコード読取装置2の読取部21にかざして、コード読取装置2にコード4を読み取らせる。そして、単位フローのプログラムの実行が開始され(ステップS1)、ステップS5まで順に移行し、利用判定が実行される。利用判定では、当該識別コードが利用コードのうちで合致するものが有るため、ステップS13〜ステップS16の取り出しフローへ移行する。
【0030】
取り出しフローでは、該識別コードと合致した利用コードが記憶されているロッカー10の施解錠装置12により解錠されて当該ロッカー10の扉11が開く(ステップS13)。利用者は、扉11が開いたロッカー10から荷物を取り出して扉11を閉じ、ロッカー10の利用を終了する。ステップS14において施解錠装置12が施錠を検知すると、制御部31は、当該ロッカー10について、施解錠情報として当該ロッカー10が施錠されていることを記憶部32に記憶させ、利用情報として「空き」の旨を記憶させ、利用コードと利用開始情報とが削除され(ステップS15)、単位フローを終了する(ステップS16)。
【0031】
利用者が、再び荷物を預け入れようとする場合には、再び上記手順を行えばよいが、ロッカー10は前回利用したロッカー10と同じであるとは限らない。
【0032】
本実施形態においては、所定の期間内において、利用許可コードが繰り返し利用可能である。そして、ロッカー10の利用が所定の期間継続した場合、当該ロッカー10の利用を強制的に終了させるため、単位フローとは別にこれと並行して、強制終了フロー(不図示)が実行される。
【0033】
強制終了フローは、各ロッカー10の利用開始情報と計時手段33での計時情報を基に、各ロッカー10での利用時間が所定の期間を超過した時に、ロッカー装置の管理者にその旨の通知が行われる。通知は、ボックス1外に設けられ、制御部31から有線または無線で送信可能に接続される通知手段35により行われる。通知手段35は、報知手段34と同様に音声や表示により報知を行うもので、スピーカや文字ディスプレイや点灯ランプ等、特に限定されない。
【0034】
その後、ロッカー装置の管理者は、該ロッカー10の扉110を開けて荷物を取り出し、保管する等して管理する。
【0035】
上記のようなロッカー装置においては、従来のロッカー装置のように、利用者がキーを用いる必要がないため、キーを用いることによるガチャガチャといった不快音が発生しない。また、利用者がキーコード4が印刷された半券51を紛失した場合でも、キーを補充する必要がなく、また、チケット5の半券51には個人情報が含まれていないため、個人情報が漏洩する惧れも全くない。
【0036】
利用者がコード4が印刷された半券51を紛失した場合には、ロッカー装置の管理者は、利用者の申し出に応じて、マスターキーに相当するマスターコード等により該ロッカー10の扉11を開けて荷物を取り出し、利用者に返還する。そして、該ロッカー10は、施錠されると、利用コードと利用開始情報とが削除され、利用情報として「空き」の旨が記憶されて単位フローが終了し、「空き」ロッカー10として待機状態となる。なお、利用者が紛失した半券51に対応する回収用の半券52が特定可能であれば、その半券52に印刷されたコード4により、該ロッカー10の扉11が開けられる。
【0037】
また、所定の期間内において、利用許可コードが繰り返し利用可能であるため、利用者が荷物を預け入れる度にコードが発行される必要がなく、またコードが印刷等されたカードのような媒体も必要なく、運用コストの低減が可能である。また、利用者が所定の期間を越えても荷物を取りに来ない場合には利用を強制的に終了させるため、長期間の占有を阻止することができる。
【0038】
また、上記実施形態では、強制終了フローにおいて、ロッカー10の利用開始からの所定の時間継続した場合に、当該ロッカー10の利用を強制的に終了させていた。これに対し、強制終了フローにおいて、所定の時点において、全ロッカー10の利用を強制的に終了させてもよい。
【0039】
例えば、美術館の営業時間が午前10時から午後8時までとした場合、入館者は午後8時以降は残っておらず、ロッカー10の利用もないはずである。従って、午後8時以降でのロッカー10の利用は荷物の取り忘れであり、ロッカー装置の管理者は、午後8時以降の任意の時点で全ロッカー10の利用を強制的に終了させ、取り忘れのあるロッカー10の荷物を取り出し、忘れ物として保管する等して管理する。
【0040】
これにより、利用者が所定の時点を越えても荷物を取りに来ない場合にロッカー10の利用を強制的に終了させることができて、長期間の占有を阻止することができる。また、ロッカー10毎に対応して頻繁に荷物を取りに行くこともなく、管理が容易になる。
【0041】
また、コード4としてバーコードが用いられることで、印刷によりコード4を形成できて、磁気コードに比べて安価となる。なお、コード4は印刷により形成されるのではなく、複写やその他手段により形成されてもよく、光学的に読取可能であれば特に限定されない。
【0042】
また、必ず要るチケット5にコード4を印刷することで、コード4を発行するための媒体が新たに必要とならず、運用コストの低減と手間の省略が可能であり、また、コード4発行機も不要となり初期投資のコストの低減も可能である。
【符号の説明】
【0043】
1 ボックス
10 ロッカー
11 扉
12 施解錠装置
2 コード読取装置
21 読取部
3 コントロール装置
31 制御部
32 記憶部
33 計時手段
34 報知手段
35 通知手段
4 コード
5 チケット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の収納部と、コード読取装置と、コントロール装置と、を備え、前記収納部は、扉と前記扉の施解錠を行う施解錠装置とを備え、前記コントロール装置は、前記収納部の利用を許可する利用許可コードを設定し、前記コード読取装置にて前記利用許可コードが読み取られた時に、空いている前記収納部の前記扉を前記施解錠装置にて解錠し、当該扉が利用者に閉じられて施錠した後に前記コード読取装置にて当該利用許可コードが読み取られた時に、当該扉を前記施解錠装置にて解錠するロッカー装置であって、前記コントロール装置は、所定の期間内の利用を許可する前記利用許可コードを設定し、前記所定の期間の経過後に当該利用許可コードを消去することを特徴とするロッカー装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2013−44156(P2013−44156A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−182570(P2011−182570)
【出願日】平成23年8月24日(2011.8.24)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】