説明

ロック装置

【課題】飲料や埃の固着に伴うロック装置の操作性の低下が生じることがないロック装置を提供する。
【解決手段】ケース2の上壁2bの下面と対向するロック爪4の基端部4a及び先端部4bの上面に複数本の溝部4eが凹設されている。ケース2内へ侵入した飲料や埃が、ロック爪4の基端部4aの上面とケース2の上壁2bの下面との間の隙間sまで侵入した場合であっても、飲料や埃は基端部4aの最上面よりも低い位置にある溝部4eへ掻き落とされる。これにより、この隙間sに飲料や埃が固着することを防止できるため、ロック爪4のスムーズな進退動を損なうことがない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定部材に対して可動部材を係止するロック装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
固定部材に対して開位置と閉位置に可動な可動部材を閉位置に係止するロック装置として、例えば、図1に示すとおり、自動車の車室内のセンターコンソールに装備されるカップホルダのロック装置がある。
【0003】
このカップホルダ90は、飲料容器(図示せず)を収容する収容部91を固定部材として、収容部91の上部の開口を可動部材である蓋92で開閉することが可能な構造となっている。ロック装置1は収容部91の上方に配置されており、ロック装置1には蓋92の被係止部92aに嵌挿することによって、蓋92を閉位置に係止するロック爪4と、操作部3aを押し操作することによってロック爪4の係止を解除する解除ボタン3とが備わっている。
【0004】
ロック装置としては、特開2006−015881号公報(特許文献1)及び特開2004−324075号公報(特許文献2)に記載されているように様々な構造のロック装置がある。これらのロック装置はいずれも、ロック爪の進退方向と解除ボタンの昇降方向とが直交し、解除ボタンの操作部を押し操作することによって、ロック爪が後退して、ロック爪と被係止部との係止が解除される構成となっている。このような構成からなるロック装置を図6に示す。
【0005】
このロック装置100は、ケース200と、解除ボタン300と、ロック爪400と、これらを連結する連結ピン500と、解除ボタン300を上方に付勢するスプリング600と、により構成されている。
【0006】
解除ボタン300は、ケース200の上壁よりも上方に配設された操作部300aと、操作部300aから下方に突設されてケース200内まで延在した左右一対の脚部300cとからなる。
【0007】
また、ケース200の上壁に貫設された左右一対の貫通孔200fに、脚部300cを挿通することにより、解除ボタン300の昇降が案内されている。各脚部300cと各貫通孔200fとの間には隙間sが形成されている。
【0008】
ロック爪400は、ケース200内に収納されるとともに両脚部300cの間に配設された基端部400aと、基端部400aから前方に突設されてケース200外まで延在した先端部400bとからなる。
【0009】
また、ケース200の下壁から上方に向かって突設したガイド板200eにより基端部400aから下方に向かって突設した被ガイド板400dの左右方向の揺動が規制されるとともに、ケース200の上壁とガイド板200eの上端部とにより基端部400aの上下方向の揺動が規制されている。これにより、ロック爪400の進退が案内されている。基端部400aの上面とケース200の上壁の下面との間には隙間sが形成されている。
【0010】
スプリング600は、ケース200の上壁と解除ボタン300の操作部300aとの間に圧縮状態で配設され、この付勢力によって解除ボタン300を上昇基準位置に付勢している。解除ボタン300が上昇基準位置に付勢されている状態において、操作部300aは、収容部91のカバー部材91aに形成された開口部91bに緩挿されており、開口部91bと操作部300aの水平方向の外周面300bとの間には隙間sが形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2006−015881号公報
【特許文献2】特開2004−324075号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、前述の図6に示す従来のロック装置100では、カバー部材91aの開口部91bと操作部300aの外周面300bとの間に形成された隙間sからジュース等の飲料や埃が侵入すると、この飲料や埃が、各脚部300cと各貫通孔200fとの間に形成された隙間sを通過してケース200内まで侵入する。
【0013】
そして、ケース200内に侵入した飲料や埃が、ロック爪400の基端部400aの上面とケース200の上壁の下面との間に形成された隙間sまで侵入して、ここで固着すると、ロック爪400のスムーズな進退動が損なわれて、操作部300aの押し操作が困難となるという問題があった。
【0014】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、飲料や埃の固着に伴うロック装置の操作性の低下が生じることがないロック装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
以下、上記課題を解決するのに適した各手段につき、必要に応じて作用効果等を付記しつつ説明する。
【0016】
(1)本発明のロック装置は、左右一対の側壁、上壁及び下壁よりなる板状枠を有するケースと、前記ケースに対して前後方向に進退可能で、前進した前進基準位置で相手材と係止するロック爪と、前記ケースに対して上下方向に昇降可能で、上昇した上昇基準位置から下降することで前記ロック爪を前記前進基準位置から後退させることにより該ロック爪の係止を解除する解除ボタンと、前記解除ボタンの下降又は上昇に伴って前記ロック爪が後退又は前進するように該解除ボタンと該ロック爪と前記ケースとを貫通して連結する連結ピンと、下降した前記解除ボタンを上方に付勢して前記上昇基準位置に復帰させる付勢部材と、を備えるロック装置であって、
前記解除ボタンは、前記ケースの前記上壁よりも上方に配設された操作部と、該操作部から下方に突設されて該ケース内まで延在した左右一対の脚部とからなり、各該脚部が、該ケースの該上壁に貫設された左右一対の貫通孔に挿通されることにより該解除ボタンの昇降が案内され、前記ロック爪は、前記ケース内に収納されるとともに両前記脚部の間に配設された基端部と、該基端部から前方に突設されて該ケース外まで延在した先端部とからなり、該ケースの上壁の下面と対向する少なくとも該基端部の上面に凹部を備えていることを特徴とする。
【0017】
このような構成によれば、ケースの上壁の下面と対向するロック爪の基端部の上面に凹部が形成されている。したがって、ケース内へ侵入した飲料や埃が、ロック爪の基端部の上面とケースの上壁の下面との間の隙間まで侵入した場合であっても、飲料や埃は基端部の最上面よりも低い位置にある凹部へ掻き落とされる。これにより、この隙間に飲料や埃が固着することを防止できるため、ロック爪のスムーズな進退動を損なうことがない。
【0018】
また、基端部の上面における凹部の形成面積を大きくするほど、凹部の形成面積を除いた基端部の上面の面積は小さくなり、上述の隙間の形成面積を小さくすることができる。したがって、仮に、上述の隙間に飲料や埃が固着した場合であっても、この隙間の形成面積が小さければ、ケースの上壁と基端部との固着が剥がれやすく、ケースの上壁に固着したロック爪を再びスムーズに進退動させやすくなる。
【0019】
なお、凹部の形状は、基端部の最上面から下方に向かって凹設された形状であれば特に限定されない。また、凹部の形成個数も限定されない。例えば、凹部を、複数本の溝部として形成しても良いし、複数個の止まり穴として形成しても良い。
【0020】
(2)本発明のロック装置において、好ましくは、前記凹部は、前記ロック爪の前記基端部の左右の側面から該基端部の左右の中心に向かって形成された溝部であることを特徴とする。
【0021】
このような構成によれば、ロック爪の基端部の上面とケースの上壁の下面との間の隙間へ侵入した飲料や埃が、溝部へ掻き落とされた後、溝部を伝ってロック爪の基端部の左右の側面へ流出し、ロック爪の下方へ排出される。したがって、飲料や埃が溝部に蓄積しにくい。これにより、凹部を独立した凹部として形成する場合と比べて、上述の隙間に飲料や埃がより固着しにくく、また、固着を防止する効果を長く持続することができる。
【0022】
(3)本発明のロック装置において、好ましくは、前記ロック爪の前記基端部には鉤状被ガイド部が設けられるとともに、前記ケースの前記下壁には該鉤状被ガイド部と噛み合う鉤状ガイド部が設けられ、前記鉤状被ガイド部と、前記鉤状ガイド部とを係合させることによって、前記ロック爪の上下左右方向の揺動を規制しつつ該ロック爪の進退を案内することを特徴とする。
【0023】
このような構成によれば、ロック爪の基端部に設けられた鉤状被ガイド部と、ケースの下壁に設けられた鉤状ガイド部とが係合することによりロック爪の上下左右方向の揺動を規制しつつロック爪の進退が案内されている。すなわち、ロック爪は基端部の下部のみで上下左右方向の揺動が規制されている。
【0024】
これにより、従来のロック装置で必要となっていた、ロック爪の基端部の上面とケースの上壁の下面との間の隙間を極力小さくすることによりロック爪の上下方向の揺動を規制するという隙間の管理が不要となる。したがって、この隙間を過剰に小さくする必要がなくなる。
【0025】
この隙間を従来のロック装置の隙間よりも大きくすることによって、ケース内へ侵入した飲料や埃が、この隙間まで侵入した場合であっても、ロック爪の基端部の上面とケースの上壁の下面とが飲料や埃で固着する虞が小さくなる。すなわち、ロック爪のスムーズな進退動が損なわれる虞を小さくすることができる。
【0026】
また、ロック爪は基端部の下部のみで上下左右方向の揺動が規制されていることから、ケース内へ飲料や埃が侵入した場合であっても、ロック爪の基端部が傘として機能することにより、基端部の下方への飲料や埃の侵入を防止することができる。これにより、鉤状被ガイド部と鉤状ガイド部とが係合する係合部分(摺動部)に、飲料や埃が侵入することを防止できるため、ロック爪のスムーズな進退動を損なうことがない。
【0027】
(4)本発明のロック装置において、好ましくは、前記鉤状ガイド部は、前記ケースの前記下壁から上方に向かって突設するとともに、上方にフランジを有し、かつ該フランジの突設方向が該ケースの左右方向の内側に向くように配置された左右一対の断面L形ガイドレールよりなり、前記鉤状被ガイド部は、前記ロック爪の前記基端部から下方に向かって突設するとともに、下方にフランジを有する断面T形被ガイドレールよりなり、両前記断面L形ガイドレールの間に、かつ各該断面L形ガイドレールのフランジの下方に、前記断面T形被ガイドレールのフランジを配置することによって、該断面T形被ガイドレールの上下左右方向の揺動を規制しつつ前記ロック爪の進退を案内することを特徴とする。
【0028】
このような構成によれば、断面T形被ガイドレールは左右一対の断面L形ガイドレールの間に配置されている。したがって、ケース内へ侵入した飲料や埃が、ロック爪の基端部の左右の側面を伝って基端部の下方に侵入しようとしても、その侵入が左右一対の断面L形ガイドレールに遮られる。これにより、断面T形被ガイドレールと断面L形ガイドレールとが係合する係合部分(摺動部)に、飲料や埃が侵入することを防止できるため、ロック爪のスムーズな進退動を損なうことがない。
【0029】
このように、ロック爪の上下左右方向の揺動を規制しつつロック爪の進退を案内する摺動部を、ロック装置のより内部かつ下方に配置するほど、すなわち、上方及び左右方向からより隠蔽された位置に配置するほど、飲料や埃が摺動部に侵入することを防止する効果が高くなる。
【0030】
(5)本発明のロック装置において、好ましくは、前記解除ボタンの前記操作部は、開口部を有するカバー部材の該開口部に緩挿される部位であり、前記操作部は、前記開口部の開口形状と相似又は略相似の平面形状を呈するとともに、該操作部の外周面から突設した鍔部を備え、前記鍔部は、前記解除ボタンの前記上昇基準位置において、前記開口部と前記外周面との間に形成される隙間を該開口部の下方から塞ぐことを特徴とする。
【0031】
このような構成によれば、解除ボタンの操作部に形成された鍔部が、カバー部材の開口部と操作部の外周面との間に形成される隙間を下方から塞ぐことによって、この隙間から下方への飲料や埃の侵入が防止される。これにより、飲料や埃の固着に伴うロック装置の操作性の低下を防止することが可能となる。また、操作部の上方からこの隙間を通してカバー部材に覆われた内部が視認されることがないため、鍔部を設けることは意匠性の向上にも寄与する。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、飲料や埃の固着に伴うロック装置の操作性の低下が生じることがないロック装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】第1実施形態のロック装置が使用されているカップホルダの構造を説明する斜視図を示している。
【図2】第1実施形態のロック装置の構造を説明する説明図であって、(a)はロック装置の斜視図、(b)はロック装置の分解斜視図、(c)はロック装置を正面から見た断面図を示している。
【図3】第2実施形態のロック装置の構造を説明する説明図であって、(a)はロック装置の斜視図、(b)はロック装置の分解斜視図、(c)はロック装置を正面から見た断面図を示している。
【図4】第3実施形態のロック装置に備わるロック爪の構造を説明する斜視図を示している。
【図5】第4実施形態のロック装置に備わるロック爪の構造を説明する斜視図を示している。
【図6】従来のロック装置の構造を説明する説明図であって、(a)はロック装置の斜視図、(b)はロック装置の分解斜視図、(c)はロック装置を正面から見た断面図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明のロック装置の実施形態について図面を参照しつつ詳しく説明する。
<第1実施形態>
本実施形態のロック装置が使用されているカップホルダを説明する斜視図を図1に示す。このカップホルダ90は、自動車の車室内のセンターコンソールに装備されるものであり、飲料容器(図示せず)を収容する収容部91を固定部材として、収容部91の上部の開口を可動部材である蓋92で開閉することが可能な構造となっている。なお、図1では、カップホルダ90の蓋92が開いた開位置における状況を示している。
【0035】
ロック装置1は収容部91の上方に配置されており、解除ボタン3の操作部3aが上方に露出している。操作部3aは、収容部91のカバー部材91aに形成された開口部91bに緩挿されている。ロック装置1のロック爪4を蓋92の被係止部92aに嵌挿することによって、蓋92を閉位置に係止する。また、解除ボタン3の操作部3aを押し操作することによってロック爪4が後退し、蓋92の係止が解除される。
【0036】
本実施形態のロック装置を図2に示す。図2(a)はロック装置の斜視図、図2(b)はロック装置の分解斜視図、図2(c)はロック装置を正面から見た断面図を示している。
【0037】
このロック装置1は、ケース2と、解除ボタン3と、ロック爪4と、これらを連結する連結ピン5と、解除ボタン3を上方に付勢するスプリング6と、により構成されている。
【0038】
ロック爪4は、ケース2に対して前後方向に進退可能で、前進した前進基準位置で相手材と係止し、解除ボタン3は、ケース2に対して上下方向に昇降可能で、上昇した上昇基準位置から下降することでロック爪4を前進基準位置から後退させることによりロック爪4の係止を解除するように構成されている。
【0039】
ケース2は、左右一対の側壁2a、上壁2b及び下壁2cよりなる板状枠を有し、ケース2の各側壁2aの上方には、左右方向に貫設するとともに、穴の内寸が前後方向に水平に長い長穴状の水平スライド孔2dが形成されている。そして、この水平スライド孔2dによって連結ピン5が前後方向に摺動可能に保持されている。
【0040】
ケース2の上壁2bには、後述する解除ボタン3の左右一対の脚部3cを挿通することが可能な左右一対の貫通孔2fが上下方向に貫設されている。また、下壁2cには、後述するロック爪4の左右一対の被ガイド板4dの間に配置される左右一対のガイド板2eが上方に向かって突設されている。
【0041】
解除ボタン3は、ケース2の上壁2bよりも上方に配設された操作部3aと、操作部3aから下方に向かって直角に突設されてケース内まで延在した左右一対の板状の脚部3cとからなる。また、各脚部3cの上方には、左右方向に貫設するとともに、穴の内寸が前方かつ下方から後方かつ上方に向かって斜め方向に長い長穴状の斜めスライド孔3dが形成されている。そして、この斜めスライド孔3dによって連結ピン5が前方から後方に向かって上り勾配で摺動可能に保持されている。
【0042】
さらに、本実施形態のロック装置1の特徴的な構造として、解除ボタン3の操作部3aの水平方向の外周面3bの最下部には、外周面3bを取り囲むとともに外周面3bから水平方向に突設する板状の鍔部3eが形成されている。
【0043】
ロック爪4は、ケース2内に収納されるとともに両脚部3cの間に配設された基端部4aと、基端部4aから前方に突設されてケース2外まで延在した先端部4bとからなる。なお、先端部4bの上面は、常にケース2内に収納されている(ケース2の上壁2bの下面と対向している)部位と、ロック爪4が前進基準位置から後退した時のみケース2内に収納される部位と、常にケース2外に露出している部位とに分かれている。
【0044】
また、基端部4aには、左右方向に貫設するとともに、連結ピン5を圧入可能な、連結ピン5の外径よりも若干小さな内径のピン挿入孔4cが形成されている。また、基端部4aから下方に向かって突設した左右一対の被ガイド板4dが形成されている。
【0045】
さらに、本実施形態のロック装置1の特徴的な構造として、ケース2の上壁2bの下面と対向するロック爪4の基端部4a及び先端部4bの上面に断面コ字状の溝部4eが6本凹設されている。6本の溝部4eは、基端部4a及び先端部4bに左右対称に3本ずつ形成されており、基端部4a及び先端部4bの左右の側面から基端部4a及び先端部4bの左右の中心に向かって形成されている。
【0046】
連結ピン5は、金属製の薄板を断面円形に曲げ加工した断面C状(図示せず)を呈する。連結ピン5の周が長手方向に閉じていないため、連結ピン5の外径を弾性的に絞ることが可能であり、これにより、連結ピン5を、連結ピン5の外径よりも若干小さな内径のロック爪4のピン挿入孔4cに圧入することが可能となっている。
【0047】
連結ピン5は、解除ボタン3の下降又は上昇に伴ってロック爪4が後退又は前進するように、ケース2の水平スライド孔2dと、解除ボタン3の斜めスライド孔3dと、ロック爪4のピン挿入孔4cと、を貫通して連結している。
【0048】
付勢部材であるスプリング6は、ケース2の上壁2bから上方に向かって突設した突起部に外嵌されるとともに、ケース2の上壁2bと解除ボタン3の操作部3aとの間に圧縮状態で配設され、この付勢力によって解除ボタン3を上昇基準位置に付勢している。なお、解除ボタン3が上昇基準位置に付勢されている状態において、ロック爪4は前進基準位置に配置されている。
【0049】
ケース2の側壁2aから内側に向かって、各水平スライド孔2d、各斜めスライド孔3d、ピン挿入孔4cの順に配置するとともに、各水平スライド孔2dと各斜めスライド孔3dとピン挿入孔4cとを連結ピン5によって貫通することにより、ケース2と解除ボタン3とロック爪4とが一体化され、ロック装置1として組み立てられている。
【0050】
図2(c)に示すとおり、解除ボタン3が上昇基準位置に付勢されている状態において、カバー部材91aの開口部91bと操作部3aの外周面3bとの間には隙間sが形成されている。また、解除ボタン3が上昇基準位置に付勢されている状態において、操作部3aに形成された鍔部3eが、隙間sを下方から塞いでいる。解除ボタン3が上昇基準位置から下降すれば、鍔部3eも下降するため、隙間sの下方が開放する。
【0051】
解除ボタン3の上下方向の昇降、及びロック爪4の前後方向の進退は、以下のとおりに案内されている。
【0052】
解除ボタン3の左右一対の脚部3cが、ケース2の上壁2bに貫設された左右一対の貫通孔2fに挿通されることにより、各脚部3cの側面と各貫通孔2fの内面との間に形成される隙間sによって、解除ボタン3の前後左右方向の揺動を規制しつつ解除ボタン3の昇降が案内されている。
【0053】
また、ケース2の下壁2cから上方に向かって突設したガイド板2eにより基端部4aから下方に向かって突設した被ガイド板4dの左右方向の揺動が規制されるとともに、ケース2の上壁2bとガイド板2eの上端部とにより基端部4aの上下方向の揺動が規制されている。これにより、ロック爪4の進退が案内されている。図2(c)に示すとおり、基端部4aの上面とケース2の上壁2bの下面との間には隙間sが形成されている。
【0054】
ケース2の上壁2bと解除ボタン3の操作部3aとの間に圧縮状態で配設されているスプリング6の付勢力に抗して解除ボタン3の操作部3aを上方から押し操作することにより、解除ボタン3の脚部3cが下降する。
【0055】
これにより、ロック爪4の基端部4aに圧入されている連結ピン5が、脚部3cの斜めスライド孔3dと、ケース2の水平スライド孔2dに誘導されて、ロック爪4が後退する。また、解除ボタン3の押し操作を解除すれば、解除ボタン3はスプリング6に付勢されて、上昇基準位置に自動的に復帰する。
【0056】
このような本実施形態の構成によれば、解除ボタン3が上昇基準位置に付勢されている状態において、解除ボタン3の操作部3aに形成された鍔部3eが、カバー部材91aの開口部91bと操作部3aの外周面3bとの間に形成される隙間sを下方から塞いでいる。これにより、この隙間sから下方への飲料や埃の侵入が防止され、飲料や埃の固着に伴うロック装置1の操作性の低下を防止することが可能となる。また、操作部3aの上方からこの隙間sを通してカバー部材91aに覆われた内部が視認されることがないため、鍔部3eを設けることは意匠性の向上にも寄与する。
【0057】
解除ボタン3の操作部3aを上方から押し操作している最中は、鍔部3eが下降して、隙間sの下方が開放している状態である。この状態において、操作部3a上に飲料や埃が溢れた場合には、飲料や埃が隙間sを通過しやすい。そして、隙間sを通過した飲料や埃は、各脚部3cの側面を伝って、各脚部3cと各貫通孔2fの内面との間に形成される隙間sからケース2内まで侵入する場合がある。
【0058】
本実施形態の構成によれば、ケース2の上壁2bの下面と対向するロック爪4の基端部4a及び先端部4bの上面に複数本の溝部4eが形成されている。したがって、ケース2内へ侵入した飲料や埃が、ロック爪4の基端部4aの上面とケース2の上壁2bの下面との間の隙間sまで侵入した場合であっても、飲料や埃は基端部4aの最上面よりも低い位置にある溝部4eへ掻き落とされる。これにより、隙間sに飲料や埃が固着することを防止できるため、ロック爪4のスムーズな進退動を損なうことがない。
【0059】
また、溝部4eが、基端部4a及び先端部4bの左右の側面から基端部4a及び先端部4bの左右の中心に向かって形成されているため、溝部4eへ掻き落とされた飲料や埃は、溝部4eを伝ってロック爪4の基端部4a及び先端部4bの左右の側面へ流出し、ロック爪4の下方へ排出される。したがって、飲料や埃が溝部4eに蓄積しにくい。これにより、隙間sに飲料や埃が固着しにくく、また、固着を防止する効果を長く持続することができる。
【0060】
また、基端部4aの上面に複数本の溝部4eが形成されていることによって、溝部4eの形成面積を除いた基端部4aの上面の面積は小さくなっている。これにより、隙間sの形成面積が小さくなっている。したがって、仮に、隙間sに飲料や埃が固着した場合であっても、隙間sの形成面積が小さければ、ケース2の上壁2bと基端部4aとの固着が剥がれやすく、ケース2の上壁2bに固着したロック爪4を再びスムーズに進退動させやすくなる。
<第2実施形態>
本実施形態のロック装置を図3に示す。図3(a)はロック装置の斜視図、図3(b)はロック装置の分解斜視図、図3(c)はロック装置を正面から見た断面図を示している。
【0061】
このロック装置10は、ケース20と、解除ボタン30と、ロック爪40と、これらを連結する連結ピン5と、解除ボタン30を上方に付勢するスプリング6と、により構成されている。
【0062】
このロック装置10と、第1実施形態におけるロック装置1とは、ロック爪の上下左右方向の揺動を規制する機構に大きな相違点を有している。
【0063】
ロック爪40は、ケース20に対して前後方向に進退可能で、前進した前進基準位置で相手材と係止し、解除ボタン30は、ケース20に対して上下方向に昇降可能で、上昇した上昇基準位置から下降することでロック爪40を前進基準位置から後退させることによりロック爪40の係止を解除するように構成されている。すなわち、基本的な構成は第1実施形態と同様である。
【0064】
ケース20は、左右一対の側壁20a、上壁20b及び下壁20cよりなる板状枠を有し、ケース20の各側壁20aの上方には、左右方向に貫設するとともに、穴の内寸が前後方向に水平に長い長穴状の水平スライド孔20dが形成されている。そして、この水平スライド孔20dによって連結ピン5が前後方向に摺動可能に保持されている。
【0065】
ケース20の上壁20bには、後述する解除ボタン30の左右一対の脚部30cを挿通することが可能な左右一対の第1貫通孔20fが上下方向に貫設されている。また、同様に下壁20にも左右一対の第2貫通孔20gが上下方向に貫設されている。また、下壁20cには、後述するロック爪40の断面T形被ガイドレール40d(鉤状被ガイド部)を挟むように配置される左右一対の断面L形ガイドレール20e(鉤状ガイド部)が上方に向かって突設されている。両断面L形ガイドレール20eは、上方にフランジを有し、かつフランジの突設方向がケース20の左右方向の内側に向くように配置されている。
【0066】
解除ボタン30は、ケース20の上壁20bよりも上方に配設された操作部30aと、操作部30aから下方に向かって直角に突設されてケース内まで延在した左右一対の板状の脚部30cとからなる。また、各脚部30cの上方には、左右方向に貫設するとともに、穴の内寸が前方かつ下方から後方かつ上方に向かって斜め方向に長い長穴状の斜めスライド孔30dが形成されている。そして、この斜めスライド孔30dによって連結ピン5が前方から後方に向かって上り勾配で摺動可能に保持されている。
【0067】
さらに、本実施形態のロック装置10の特徴的な構造として、第1実施形態におけるロック装置1と同様に、解除ボタン30の操作部30aの外周面3bには、外周面30bを取り囲む板状の鍔部30eが形成されている。
【0068】
ロック爪40は、ケース20内に収納されるとともに両脚部30cの間に配設された基端部40aと、基端部40aから前方に突設されてケース20外まで延在した先端部40bとからなる。なお、先端部40bの上面は、常にケース20内に収納されている(ケース20の上壁20bの下面と対向している)部位と、ロック爪40が前進基準位置から後退した時のみケース20内に収納される部位と、常にケース20外に露出している部位とに分かれている。
【0069】
また、基端部40aには、左右方向に貫設するとともに、連結ピン5を圧入可能な、連結ピン5の外径よりも若干小さな内径のピン挿入孔40cが形成されている。
【0070】
さらに、本実施形態のロック装置10の特徴的な構造として、ロック爪40の基端部40aには、基端部40aから下方に向かって突設するとともに、下方にフランジを有する断面T形被ガイドレール40dが形成されている。また、第1実施形態におけるロック装置1と同様に、ケース20の上壁20bの下面と対向するロック爪40の基端部40a及び先端部40bの上面に断面コ字状の溝部40eが6本凹設されている。
【0071】
連結ピン5及びスプリング6の組み付け、及びロック装置10の基本的な動作については、第1実施形態におけるロック装置1と同様であるため説明を省略する。
【0072】
図3(c)に示すとおり、解除ボタン30が上昇基準位置に付勢されている状態において、カバー部材91aの開口部91bと操作部30aの外周面30bとの間には隙間sが形成されている。また、解除ボタン30が上昇基準位置に付勢されている状態において、操作部30aに形成された鍔部30eが、隙間sを下方から塞いでいる。
【0073】
解除ボタン30の上下方向の昇降、及びロック爪40の前後方向の進退は、以下のとおりに案内されている。
【0074】
解除ボタン30の左右一対の脚部30cが、ケース20の上壁20b及び下壁20cに貫設された左右一対の第1貫通孔20f及び第2貫通孔20gに挿通されることにより、各脚部30cの側面と各第1貫通孔20f及び各第2貫通孔20gの内面との間に形成される隙間によって、解除ボタン30の前後左右方向の揺動を規制しつつ解除ボタン30の昇降が案内されている。なお、脚部30cの側面と第1貫通孔20fの内面との間に形成される隙間は隙間sである。
【0075】
また、ケース20の下壁20cから上方に向かって突設した左右一対の断面L形ガイドレール20eの間に、かつ各断面L形ガイドレール20eのフランジの下方に、基端部40aから下方に向かって突設した断面T形被ガイドレール40dのフランジを配置することによって、断面T形被ガイドレール40dの上下左右方向の揺動を規制しつつロック爪40の進退が案内されている。
【0076】
このような本実施形態の構成によれば、ロック爪40の基端部40aに設けられた断面T形被ガイドレール40d(鉤状被ガイド部)と、ケース20の下壁20cに設けられた左右一対の断面L形ガイドレール20e(鉤状ガイド部)とが係合することによりロック爪40の上下左右方向の揺動を規制しつつロック爪40の進退が案内されている。すなわち、ロック爪40は基端部40aの下部のみで上下左右方向の揺動が規制されている。
【0077】
これにより、基端部40aの上面とケース20の上壁20bの下面との間の隙間sを基端部40aの上下方向の揺動を規制するための隙間とする必要がなくなるため、本実施形態における隙間sを第1実施形態における隙間sよりも大きくすることができる。
【0078】
そして、本実施形態における隙間sを第1実施形態における隙間sよりも大きくすることによって、ケース20内へ侵入した飲料や埃が、この隙間sまで侵入した場合であっても、ロック爪40の基端部40aの上面とケース20の上壁20bの下面とが飲料や埃で固着する虞が小さくなる。すなわち、ロック爪40のスムーズな進退動が損なわれる虞を小さくすることができる。
【0079】
また、ロック爪40は基端部40aの下部のみで上下左右方向の揺動が規制されていることから、ケース20内へ飲料や埃が侵入した場合であっても、ロック爪40の基端部40aが傘として機能することにより、基端部40aの下方への飲料や埃の侵入を防止することができる。これにより、断面T形被ガイドレール40dと断面L形ガイドレール20eとが係合する係合部分(摺動部)に、飲料や埃が侵入することを防止できるため、ロック爪40のスムーズな進退動を損なうことがない。
【0080】
また、断面T形被ガイドレール40dは左右一対の断面L形ガイドレール20eの間に配置されている。したがって、ケース20内へ侵入した飲料や埃が、ロック爪40の基端部40aの左右の側面を伝って基端部40aの下方に侵入しようとしても、その侵入が左右一対の断面L形ガイドレール20eに遮られる。これにより、断面T形被ガイドレール40dと断面L形ガイドレール20eとが係合する係合部分(摺動部)に、飲料や埃が侵入することを防止できるため、ロック爪40のスムーズな進退動を損なうことがない。
【0081】
このように、ロック爪40の上下左右方向の揺動を規制しつつロック爪40の進退を案内する摺動部を、ロック装置10のより内部かつ下方に配置するほど、すなわち、上方及び左右方向からより隠蔽された位置に配置するほど、飲料や埃が摺動部に侵入することを防止する効果が高くなる。その他の効果については第1実施形態と同様である。
<第3実施形態>
本実施形態は、第2実施形態におけるロック爪40の構造を変更した実施形態である。その他の構成部品は第2実施形態と同一であるため説明を省略する。
【0082】
本実施形態のロック装置に備わるロック爪の構造を説明する斜視図を図4に示す。このロック爪41に備わる、基端部41a、先端部41b、ピン挿入孔41c、及び断面T形被ガイドレール41dの構造は、第2実施形態におけるロック爪40の基端部40a、先端部40b、ピン挿入孔40c、及び断面T形被ガイドレール40dの構造と略同一であるため説明を省略する。
【0083】
本実施形態のロック装置に備わるロック爪41の特徴的な構造として、ケース20の上壁20bの下面と対向するロック爪41の基端部41a及び先端部41bの上面に断面コ字状の横断溝部41eが3本凹設されている。3本の横断溝部41eは、基端部41a及び先端部41bの上面を左右方向に横断するように形成されている。
【0084】
本実施形態の構成によれば、横断溝部41eが基端部41a及び先端部41bの上面を左右方向に横断しているため、第2実施形態における左右方向に横断していない溝部40eを備えるロック爪40よりも、ロック爪41の構造強度は小さくなる。
【0085】
その反面、横断溝部41eの形成面積を除いた基端部41aの上面の面積をより小さくすることができるため、ケース20の上壁20bと基端部41aとの固着がより剥がれやすくなる。その他の効果については第2実施形態と同様である。
<第4実施形態>
本実施形態は、第2実施形態におけるロック爪40、及び第3実施形態におけるロック爪41の構造を変更した実施形態である。その他の構成部品は第2実施形態と同一であるため説明を省略する。
【0086】
本実施形態のロック装置に備わるロック爪の構造を説明する斜視図を図5に示す。このロック爪42に備わる、基端部42a、先端部42b、ピン挿入孔42c、及び断面T形被ガイドレール42dの構造は、第2実施形態におけるロック爪40の基端部40a、先端部40b、ピン挿入孔40c、及び断面T形被ガイドレール40dの構造と略同一であるため説明を省略する。
【0087】
本実施形態のロック装置に備わるロック爪42の特徴的な構造として、ケース20の上壁20bの下面と対向するロック爪42の基端部42a及び先端部42bの上面に独立した円形開口の止まり穴42eが9個凹設されている。9個の止まり穴42eは、基端部42a及び先端部42bの上面に前後方向に3行、左右方向に3列で配置されている。
【0088】
本実施形態の構成によれば、多数の止まり穴42eが基端部42a及び先端部42bの上面に独立凹部として形成されているため、第2実施形態のように左右方向に延びる溝部40eを備えるロック爪40よりも、ロック爪42の構造強度を確保しやすくなる。
【0089】
その反面、止まり穴42eの形成面積を除いた基端部41aの上面の面積がより大きくなるため、ケース20の上壁20bと基端部41aとの固着がより剥がれにくくなる。また、止まり穴42eが独立凹部として形成されているため、飲料や埃が止まり穴42eに蓄積しやすい。その他の効果については第2実施形態と同様である。
【0090】
なお、本発明は上述した第1〜第4実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を施すことが可能であることは言うまでもない。
【0091】
例えば、第1実施形態において、本発明のロック装置を自動車の車室内のカップホルダに適用する実施形態を示したが、本発明のロック装置の適用はカップホルダに限定されるものではなく、グローブボックス、または、小物入れ等の蓋のロック装置として適用することも可能である。
【0092】
また、第1〜第4実施形態においては、ロック装置の内部に飲料や埃が最も侵入しやすい配置を想定して、解除ボタンの操作部が上方に配置されている場合を示したが、これらの実施形態のロック装置と同様の構造からなるロック装置であれば、ロック装置をいかなる方向に回転して用いてもよい。すなわち、操作部が前方に配置されていてもよいし、下方に配置されていてもよい。
【0093】
また、第1〜第3実施形態において、溝部4e、溝部40e及び横断溝部41eの断面形状をコ字状としたが、溝部及び横断溝部の断面形状は、基端部の最上面から下方に向かって凹設された形状であれば特に限定されない。例えば、溝部及び横断溝部の断面形状を、逆台形状、V字状、半円状、半楕円状等の様々な形状とすることが可能である。また、溝部及び横断溝部の形成本数も限定されない。
【0094】
また、溝部及び横断溝部の断面形状は、基端部の左右方向に一律寸法の断面形状に限定されず、基端部の左右方向に断面形状が変化するように形成することができる。この場合、溝部及び横断溝部の凹設深さが、基端部の左右方向の中心から、基端部の左右の側面に向かって徐々に深くなるように形成されていれば、飲料や埃が基端部の左右の側面へより流出しやすくなる。
【0095】
また、第4実施形態において、止まり穴42eの孔形状を円形状としたが、基端部の最上面から下方に向かって凹設された止まり穴であれば、止まり穴の孔形状は特に限定されない。例えば、止まり穴の孔形状を、矩形状、三角形状等の様々な形状とすることが可能である。また、止まり穴の形成個数も限定されない。
【0096】
また、第1及び第2実施形態を説明する図2及び図3において、ケースの前方が開口している構造を示したが、この構造はケースの前方からロック爪の基端部をケース内に挿入する構造である。この構造とは異なり、ケースの前方を塞ぐこともできる。この場合には、ロック爪の先端部の進退が可能な大きさの開口部が形成された壁材によってケースの前方を塞ぎ、ケースの後方の開口からロック爪をケース内に挿入する構造となる。
【0097】
また、第2実施形態を説明する図3において、ケース20の下壁20cに形成された左右一対の断面L形ガイドレール20eによって、ロック爪40の基端部40aに形成された断面T形被ガイドレール40dの進退を案内する構成としたが、ガイドレールと被ガイドレールの構造を逆にして、ケースの下壁に形成された断面T形ガイドレールによって、ロック爪の基端部に形成された左右一対の断面L形被ガイドレールの進退を案内する構成としてもよい。
【0098】
さらに、ガイドレールと被ガイドレールの組み合わせは、第2実施形態で示した左右一対のL形とT形の組み合わせに限らず、例えば、左右一対のL形と左右一対のL形の組み合わせであってもよい。すなわち、ロック爪の基端部の下部のみで上下左右方向の揺動を規制可能な構造であればいかなる構造であってもよい。
【0099】
また、第1〜第4実施形態においては、基端部のピン挿入孔に連結ピンを圧入する形態を示したが、ピン挿入孔に連結ピンを貫入して接着剤等で固定してもよい。
【符号の説明】
【0100】
,s,s,s,s … 隙間
1 … ロック装置 2 … ケース
2a … 側壁 2b … 上壁
2c … 下壁 2f … 貫通孔
3 … 解除ボタン 3a … 操作部
3b … 外周面 3c … 脚部
3e … 鍔部 4 … ロック爪
4a … 基端部 4b … 先端部
4e … 溝部(凹部) 5 … 連結ピン
6 … スプリング(付勢部材)
10 … ロック装置 20 … ケース
20a … 側壁 20b … 上壁
20c … 下壁
20e … 断面L形ガイドレール(鉤状ガイド部)
20f … 第1貫通孔 20g … 第2貫通孔
30 … 解除ボタン 30a … 操作部
30b … 外周面 30c … 脚部
30e … 鍔部 40 … ロック爪
40a … 基端部 40b … 先端部
40d … 断面T形被ガイドレール(鉤状被ガイド部)
40e … 溝部(凹部)
41 … ロック爪 41a … 基端部
41b … 先端部
40d … 断面T形被ガイドレール(鉤状被ガイド部)
41e … 横断溝部(凹部)
42 … ロック爪 42a … 基端部
42b … 先端部
42d … 断面T形被ガイドレール(鉤状被ガイド部)
42e … 止まり穴(凹部)
90 … カップホルダ 91 … 収容部(固定部材)
91a … カバー部材 91b … 開口部
92 … 蓋(可動部材) 92a … 被係止部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右一対の側壁、上壁及び下壁よりなる板状枠を有するケースと、
前記ケースに対して前後方向に進退可能で、前進した前進基準位置で相手材と係止するロック爪と、
前記ケースに対して上下方向に昇降可能で、上昇した上昇基準位置から下降することで前記ロック爪を前記前進基準位置から後退させることにより該ロック爪の係止を解除する解除ボタンと、
前記解除ボタンの下降又は上昇に伴って前記ロック爪が後退又は前進するように該解除ボタンと該ロック爪と前記ケースとを貫通して連結する連結ピンと、
下降した前記解除ボタンを上方に付勢して前記上昇基準位置に復帰させる付勢部材と、を備えるロック装置であって、
前記解除ボタンは、前記ケースの前記上壁よりも上方に配設された操作部と、該操作部から下方に突設されて該ケース内まで延在した左右一対の脚部とからなり、各該脚部が、該ケースの該上壁に貫設された左右一対の貫通孔に挿通されることにより該解除ボタンの昇降が案内され、
前記ロック爪は、前記ケース内に収納されるとともに両前記脚部の間に配設された基端部と、該基端部から前方に突設されて該ケース外まで延在した先端部とからなり、該ケースの上壁の下面と対向する少なくとも該基端部の上面に凹部を備えていることを特徴とするロック装置。
【請求項2】
前記凹部は、前記ロック爪の前記基端部の左右の側面から該基端部の左右の中心に向かって形成された溝部であることを特徴とする請求項1に記載のロック装置。
【請求項3】
前記ロック爪の前記基端部には鉤状被ガイド部が設けられるとともに、前記ケースの前記下壁には該鉤状被ガイド部と噛み合う鉤状ガイド部が設けられ、
前記鉤状被ガイド部と、前記鉤状ガイド部とを係合させることによって、前記ロック爪の上下左右方向の揺動を規制しつつ該ロック爪の進退を案内することを特徴とする請求項1又は2に記載のロック装置。
【請求項4】
前記鉤状ガイド部は、前記ケースの前記下壁から上方に向かって突設するとともに、上方にフランジを有し、かつ該フランジの突設方向が該ケースの左右方向の内側に向くように配置された左右一対の断面L形ガイドレールよりなり、
前記鉤状被ガイド部は、前記ロック爪の前記基端部から下方に向かって突設するとともに、下方にフランジを有する断面T形被ガイドレールよりなり、
両前記断面L形ガイドレールの間に、かつ各該断面L形ガイドレールのフランジの下方に、前記断面T形被ガイドレールのフランジを配置することによって、該断面T形被ガイドレールの上下左右方向の揺動を規制しつつ前記ロック爪の進退を案内することを特徴とする請求項3に記載のロック装置。
【請求項5】
前記解除ボタンの前記操作部は、開口部を有するカバー部材の該開口部に緩挿される部位であり、
前記操作部は、前記開口部の開口形状と相似又は略相似の平面形状を呈するとともに、該操作部の外周面から突設した鍔部を備え、
前記鍔部は、前記解除ボタンの前記上昇基準位置において、前記開口部と前記外周面との間に形成される隙間を該開口部の下方から塞ぐことを特徴とする請求項1〜4のうちのいずれか一つに記載のロック装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−20605(P2011−20605A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−168547(P2009−168547)
【出願日】平成21年7月17日(2009.7.17)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【出願人】(597137154)株式会社コジマ (6)
【Fターム(参考)】