説明

ロボット用装飾毛具及びこれを装着したロボット

【課題】 頭部などを外部衝撃から保護するロボット用装飾毛具と、これを装着することでより装飾性に優れ興趣に富んだ人間味のあるロボットを提供する。
【解決手段】 ロボット用装飾毛具200は、ベース部材210と、ベース部材210に植設された毛材220と、ベース部材210の裏面に設けられた止着材230と、からなる。止着材230は、ベース部材210の裏面に剥離不能に接着された接着層231と、ロボット100の頭部140に再剥離可能に加圧接着する粘着層235と、を備える。そして、毛髪220で各種のヘアスタイルに形成された装飾毛具200を、頭部所定位置に止着することで、頭部140に髪の毛としての飾り毛を付与する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットの頭部に装着されてロボット転倒時などに外部から受ける衝撃を吸収すると共に、併せて、より親近感或いは趣向性に富むようにしたロボット用装飾毛具と、これを装着したロボットとに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、人と同じように、胴体部の下部両側にそれぞれ脚部を、胴体部の上部両側にそれぞれ腕部を、さらに胴体部の上端に頭部を、備え、各部の胴体部への各取付箇所などに設けた関節をプログラムで制御して二脚歩行を行う、所謂二脚歩行式の人型ロボットが開発されている。そして、音声認識技術や音声合成技術などを用いて、人とコミュニケーションを行う人型ロボットも開発されている。
このような人型ロボットは、例えば、企業の受付や店舗の窓口に設置されることで、単にマスコット人形としてではなく、人に対して案内業務などを行うことができる。また、このような人型ロボットは、一般の家庭に入り込んで、遊び相手にも相談相手にもなるような家庭ロボットとしても注目を浴びている。さらには、人型ロボットに電話機能を搭載して自宅やビルの一室、工場内に配置しておき、携帯電話機から人型ロボットに電話をかけ、人型ロボットの目として埋め込まれたCCDカメラで撮影を行い、撮影して作成した画像データを携帯電話機に送信して表示させることで、各種のセキュリティシステムのツールとして用いることも考えられている。
【0003】
一方、人間の頭部の薄毛や脱毛した部位を覆うためのかつらも開発されている。かかるかつらは、かつらベースに毛髪を植設してなり、かつらベースの素材としては、ネット部材を用いたものや、人工皮膚を用いたものがある(例えば、特許文献1及び2)。
【特許文献1】特許第2549556号公報
【特許文献2】特開平3−69601号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、人に形状を似せて人と同じような動作を行う二脚歩行式の人型ロボットでは、CCDカメラが埋め込まれて目として機能し、音声マイクが埋め込まれて口として機能するように、各機能に応じて目や口となる部分は設けられている。そのため、頭部内部には、CCDカメラや音声マイクのための電子部品が搭載されている。
このようなことから、ロボットがバランスを崩さないように、ロボット内部に骨組みを入れることで各関節に搭載されている駆動機構が大きくならざるを得ず、ロボットの動作制御も複雑になっているが、外部衝撃を受けた際にロボットを保護するために、ロボットの表面に毛材を取り付けて、この毛材をクッションとして衝撃を吸収するという発想は今までになかった。
また、二足歩行式ロボットが凹凸のある床面や段差又は階段を歩行する場合、ロボットが転倒して電子部品を搭載した頭部が損傷すると致命的である。さらに、近時、二足歩行式ロボットが転倒しても自立で起き上がる技術が確立されつつあるが、この場合、頭部や肩、背中などを床面に圧接しつつ反転して起き上がるようにしている。その際、ロボットの外殻が硬質のプラスチックや金属で成っていたとしても、倒れたショックで内蔵した電子部品が損傷したり又は外殻の塗装が剥離したりすることがある。
【0005】
そこで、本発明は、上記課題に鑑み、頭部などを外部衝撃から保護し、倒れた時のショックを吸収することができると共に、人間味を醸し出してより親近感を持ち得る、興趣に富んだロボット用装飾毛具と、これを装着することでより人間味のあるロボットとを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のロボットは、頭部を備えたロボットにおいて、植設されたベース部材を頭部に装着することで、頭部に髪の毛としての飾り毛を付与したことを特徴とする。
上記構成によれば、ロボットの頭部に装飾毛具を止着することで、ロボットの頭部などを外部からの衝撃から保護し、頭部などに搭載されている電子部品などを保護することができる。
【0007】
特に、頭部を備えたロボットにおいて、ベース部材と、ベース部材に植設された毛材と、ベース部材の裏面に設けられた止着材と、からなる装飾毛具を備え、止着材が、ベース部材の裏面に接着された接着剤で成り、各種のヘアスタイルに形成された装飾毛具を、該接着剤にて少なくとも頭部所定位置に止着したことを特徴とする。
上記構成において、接着剤は、好ましくはベース部材の裏面に剥離不能に接着された接着層とロボット頭部に再剥離可能に加圧接着する粘着層とを備えている。ベース部材は、人工皮膚及びネット部材の何れか又は組合せで構成され、このベース部材はネット部材を人工皮膚に埋設してなる。装飾毛具には、好ましくはベース部材の表面から止着材の表面まで貫通孔が設けられている。
上記構成によれば、粘着層で頭部に止着された装飾毛具を、頭部から容易に剥離させることができる。また、各種のヘアスタイルを形成した装飾毛部を複数用意しておくことでロボットを設置する場所や日時に応じてロボットの髪型を容易に変えることができる。
【0008】
特に、頭部を備えたロボットにおいて、ベース部材と、ベース部材に植設された毛材とからなる装飾毛具を備え、ベース部材の裏面に両面テープを貼り付けて両面テープの一方の粘着層と粘着し、両面テープの他方の粘着層を頭部に加圧粘着することで、各種のヘアスタイルに形成された装飾毛具が、少なくとも頭部所定位置に止着される。
好ましくは、ベース部材のうち前記両面テープを貼付する領域が少なくともネット部材で構成され、両面テープの粘着層の少なくとも一方が、ネット部材の線径の過半を埋没させる厚みで形成されてなる。
上記構成によれば、両面テープで頭部に止着された装飾毛具を、頭部から容易に剥離させることができる。また、各種のヘアスタイルを形成した装飾毛部を複数用意しておくことで、ロボットを設置する場所や日時に応じてロボットの髪型を容易に変えることができる。
【0009】
特に、頭部を備えたロボットにおいて、ベース部材と、ベース部材に植設された毛材とからなる装飾毛具を備え、ベース部材には所定の位置に螺子貫通孔が形成され、頭部には装飾毛具を装着した際に螺子貫通孔に対応する位置に螺子穴が形成され、螺子貫通孔と螺子穴とを対応するように一致させて頭部にベース部材を被せて螺子止めすることで、各種のヘアスタイルに形成された装飾毛具を、頭部所定位置に止着したことを特徴とする。
好ましくは、ベース部材は、毛材を植設され、かつロボットの頭部の窪みに配置される単一の部材で構成される。
ベース部材は、好ましくはロボットの頭部の窪みに埋設される基材と、毛材を植設される毛材固定部材と、基材に毛材固定部材を接着する接着層とからなる。
上記構成によれば、頭部に装飾毛具を螺子止めで止着することができる。特に、頭部などのロボットの各部に漆などを塗布したような場合でも、漆などを剥がずことなく、容易に頭部から装飾毛具を外すことができる。また、各種のヘアスタイルを形成した装飾毛部を複数用意しておくことで、ロボットを設置する場所や日時に応じてロボットの髪型を容易に変えることができる。
【0010】
本発明の他の態様では、頭部を備えたロボットにおいて、ベース部材と、ベース部材に植設された毛材と、からなる装飾毛具を備え、ベース部材の裏面には、係合部材が所定の位置に突出形成され、頭部には装飾毛具を装着した際に係合部材に対応する位置に係止穴が形成され、係合部材と係合穴とを対応するように一致させて頭部にベース部材を被せ、係合部材を対応する係止穴と係止することで、各種のヘアスタイルに形成された装飾毛具を、頭部所定位置に止着したことを特徴とする。
好ましくは、ベース部材は毛材を植設され、かつロボットの頭部の窪みに配置される単一の部材で構成される。ベース部材は、ロボットの頭部の窪みに配置される基材と、毛材を植設される毛材固定部材と、基材の表面に毛材固定部材を接着する接着層とでなっていてもよい。
上記構成によれば、係合部材と係合穴とを係合させることで、頭部に装飾毛具を止着することができる。特に、頭部などのロボットの各部に漆などを塗布したような場合でも、漆などを剥がずことなく、容易に頭部から装飾毛具を外すことができる。また、各種のヘアスタイルを形成した装飾毛部を複数用意しておくことで、ロボットを設置する場所や日時に応じてロボットの髪型を容易に変えることができる。
【0011】
一方、上記目的を達成するために、本発明は、ロボットの頭部に止着されて、頭部に髪の毛としての飾り毛を付与するロボット用装飾毛具であって、ベース部材と、ベース部材に植設された毛材と、ベース部材の裏面に設けられた止着材とからなり、止着材が、ベース部材の裏面に剥離不能に接着された接着層と、頭部に再剥離可能に加圧接着する粘着層と、を備えることを特徴とする。
接着層は、好ましくはベース部材裏面に塗布した接着剤溶液のゲル化反応中にベース部材裏面に化学反応により接着されており、粘着層は頭部に加圧接着されて頭部への再剥離可能とする。ベース部材の表面から止着材の表面まで貫通孔が設けられていてもよい。
上記構成によれば、ロボットの頭部にロボット用装飾毛具を粘着層で止着することで、ロボットの頭部などを外部からの衝撃から保護し、頭部などに搭載されている電子部品などを保護することができる。また、ロボット用装飾毛具を頭部から剥離させることができる。また、ベース部材の表面から頭部に当接する止着材の表面まで貫通孔が設けられているため、頭部から容易にロボット用装飾毛具を剥離させることができる。
【0012】
また、上記目的を達成するため、本発明は、ロボットの頭部に止着されて頭部に髪の毛としての飾り毛を付与するロボット用装飾毛具であって、ベース部材とベース部材に植設された毛材とを備え、ベース部材の裏面に両面テープを貼り付けて両面テープの一方の粘着層と粘着し、両面テープの他方の粘着層を頭部に加圧粘着し得ることを特徴とする。この構成によれば、ロボットの頭部にロボット用装飾毛具を両面テープの一方の粘着層で止着することで、ロボットの頭部などを外部からの衝撃から保護し、頭部などに搭載されている電子部品などを保護することができる。また、ロボット用装飾毛具を頭部から剥離させることができる。
【0013】
また、上記目的を達成するために、本発明は、ロボットの頭部に止着されて、頭部に髪の毛としての飾り毛を付与するロボット用装飾毛具であって、ベース部材と、ベース部材に植設された毛材と、を備え、ベース部材には、頭部に形成された螺子穴に対応するように螺子貫通孔が形成されており、螺子貫通孔を螺子穴に対応するように一致させて頭部に被せて螺子止めし得ることを特徴とする。この構成によれば、ロボットの頭部にロボット用装飾毛具を螺子止めにより止着することで、ロボットの頭部などを外部からの衝撃から保護し、頭部などに搭載されている電子部品などを保護することができる。また、ロボット用装飾毛具を頭部から剥離させることができる。
【0014】
また、本発明は、ロボットの頭部に止着されて、頭部に髪の毛としての飾り毛を付与するロボット用装飾毛具であって、ベース部材とベース部材に植設された毛材とを備え、ベース部材の裏面には、頭部に形成された係合穴に対応するように係合部材が突出形成されており、係合部材を対応する係合穴と係合させて頭部に被せ得ることを特徴とする。この構成によれば、ロボットの頭部にロボット用装飾毛具を係合部材と係合孔との係合で止着することで、ロボットの頭部などを外部からの衝撃から保護し、頭部などに搭載されている電子部品などを保護することができる。また、ロボット用装飾毛具を頭部から剥離させることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明のロボットは、ロボットの頭部などにロボット用装飾毛具を止着することで、ロボットの頭部などを外部からの衝撃から保護し、頭部などに搭載されている電子部品などを保護することができる。また、より頭部に髪の毛としての飾り毛を付与したことで、無機質なロボットをより人間味のあるものとすることができる。
また、本発明のロボット用装飾毛具は、ロボットの頭部に止着されることで、ロボットの頭部を外部衝撃から保護することができると共に、ロボットに髪の毛としての飾り毛を付与することができ、より人間味のあるロボットとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態を説明する。
図1は本発明のロボット100を示した斜視図である。本発明のロボット100は、胴体部110と、胴体部110の下部両端にそれぞれ設けた脚部120と、胴体部110の上端両側にそれぞれ設けた腕部130と、胴体部110の上部に設けた頭部140とを備え、少なくとも頭部140所定位置に、毛髪1がベース部材(図1には示さず)に植設されてなる装飾毛具が装着されることにより、頭部140に髪の毛(毛髪1)としての飾り毛を付与したものである。
これにより、ロボット100が、二足歩行したり、でんぐり返しをしたり、またはバランスを崩すなどして、外部から頭部140などに衝撃が加わっても、毛髪1がクッションとなって、衝撃を緩和し、頭部内部などに搭載されている電子部品などを保護することができるとともに、より人間味のあるロボットとすることができる。
【0017】
ここで、頭部140内部には電子部品が搭載されている。電子部品としては、例えば右目には光源としての高輝度の発光ダイオードが取り付けられ、この発光ダイオードで前方へ光を照射することで左目に内蔵されたCCDカメラで暗闇でも撮影できるようになっている。また、図1に示したロボット100では、胴体部110と腕部130との接続部分や胴体部110と脚部120との接続部分など各関節部にモーターなどの各駆動機構が設けられており、各駆動機構は主として胴体部110に内蔵された中央制御部にて制御プログラムにより駆動され、自立歩行する。
なお、図1に示したロボットは、所謂二脚歩行を行う人型ロボットであるが、少なくとも頭部を備えているようなロボットであればよく、例えば、脚部の代わりに胴体部に車輪やキャタピラなどを備え、それらにより移動するロボットや、脚部や腕部を備えないようなロボットであってもよい。
また、ロボットに装着される装飾毛具は、以下の説明では主として頭部に装着されて髪の毛としての飾り毛を付与するものとして説明するが、別に、ヒゲでも、または胸毛などの他の飾り毛であっても全く同様にしてロボットに付与することができる。このような毛材は、ジン毛であっても或いは合成繊維で形成した人工毛髪であっもよく、ヒトのかつらと同様に、種々の材質や太さや色彩を付与することができる。
【0018】
以下、ロボット100の頭部140へ装着される装飾毛具及びその装着方法について具体的に説明する。
図2は、本発明のロボット100において、頭部140に装飾毛具200を装着した状態を示す断面図であり、図3は、図2の符号Aの拡大断面図である。なお、頭部140内に搭載されている電子部品などは図示していない。装飾毛具200は、頭部140の形状に沿うように形成されたベース部材210と、このベース部材210に植設された毛髪220と、ベース部材210の裏面に接着し、かつ頭部140に粘着する止着材230と、からなる。
【0019】
毛髪220は、符号Aの部分を拡大して図示するように、ベース部材210の表面側から裏面に貫通して植設され、再びベース部材220の表面側に引き抜くことにより、V字状又はU字状に植設されている。このベース部材220の裏面に貫通し、裏面側の露出する毛髪部を針足部220Aと呼ぶことにする。なお、このような植設方法を、通常、V植えと称している。
止着材230は、ベース部材の裏面に接着された接着剤で成り、例えば、瞬間接着剤や両面接着テープなどを用いることができるが、本発明では、ベース部材210の裏面に剥離不能に接着され、かつ針足部220Aを固定する接着層231と、頭部140に再剥離可能に加圧接着する粘着層235と、を備えた新規な止着剤を用いれば好適である。
この止着材230は、ベース部材210の裏面に剥離不能に接着されかつ針足部220Aを固定する接着層231と、頭部140に再剥離可能に加圧接着する粘着層235と、を備えている。
なお、装飾毛具200には、ロボット100に止着する前に、ロボット100を利用する者が手で容易に剥がすことができる塩化ビニルシートなどの剥離シート(図示せず)を設けておき、頭部140に粘着させる際に適宜剥がせるようにしてもよい。
【0020】
これにより、止着材230の接着層231でベース部材210から剥がれることなく、また毛髪220をベース部材210から抜け落ちないようにすることができる一方で、止着材230の粘着層235で頭部140に加圧接着して頭部140に装飾毛具200を止着することができる。また、粘着層235は必要に応じて頭部140から剥離することができるので、頭部140から装飾毛具200を取り外すことができる。図3に示したベース部材210は、樹脂などで形成された人工皮膚の場合を示しているが、別に人工皮膚に限らず、ネット部材であってもよい。装飾毛具200は、ベース部材210全体に止着材230を設けることなく、毛髪220を植設する領域にだけ、止着材230を部分的に設けて構成してもよい。
【0021】
以上のような粘着層235は再剥離性を有し、粘着層235の部分を水洗いするだけで粘着力が回復して繰り返し使用ができる。よって、ベース部材210に植設する毛髪220で各種ヘアスタイルを形成するように、装飾毛具200を複数用意しておくことにより、ロボット100を利用する者は、ロボット100を配置する時や場所に応じて装飾毛具200を適宜取り替えることができる。
【0022】
次に、別の装飾毛具及び装着方法について説明する。
図4は別の装飾毛具200を頭部140に装着した状態を示す断面図である。図4に示す装飾毛具200は、図3に示した装飾毛具200のうち、止着材230を構成する接着層231と粘着層235とを同一の接着層(止着材)230で兼用する場合を示している。その他は図3の場合と同様で、毛髪220と毛髪220とが対応し、ベース部材210とベース部材210とが対応する。
【0023】
接着層230は、装飾毛具200を頭部140に容易に着け替えできるようにするために、ベース部材210の裏面には剥離不能に接着され、頭部140には再剥離可能に加圧接着される性質のものを用いる。さらに、接着層230は、ベース部材210裏面には剥離不能に接着されると共に、ベース部材210の裏面に貫通して植設される毛髪の針足部220Aを固定する毛髪固定機能を備える。即ち、装飾毛具200は、ベース部材210と、単一の層でなる接着層230と、の2層構造からなり、単一層でなる接着層230がベース部材210裏面に剥離不能に接着され、毛髪の針足部220Aの固着機能と、頭部140への再剥離機能と、を有している。
【0024】
ここで、ベース部材210は、例えばウレタン樹脂のような軟質合成樹脂を用いた極薄の人工皮膚で形成することができる。接着層230は、後述する成分と性質をもった接着剤により形成することができ、ベース部材210及び毛髪の針足部220Aに対しては接着性が高く、かつ、頭部140に対して再剥離性を有している。
【0025】
一般に、接着剤又は接着層とは化学的反応を伴う接着のほか、化学反応を伴わない単に加圧による粘着を含む概念で使用され、図4に示した場合においては、接着層230又は接着剤とは広義の概念で用いている。この接着層230は、ベース部材210へ接着される一面が、ベース部材210の裏面に塗布した接着剤溶液のゲル化反応中にベース部材210裏面に化学反応により接着される。そして、毛髪の針足部220Aは、接着層230がベース部材210へ接着されるときにベースと接着層との間に挟まれて、この毛髪の針足部220Aも同時に接着層230に固定される。
一方、接着層230のベース部材210へ接着される側の面(他面)は、頭部140へ再剥離可能に加圧接着され得るようになっている。この接着層230の頭部140への再剥離機能は、上記接着剤のゲル化反応終了後において発現される。このため、ゲル化反応終了後の接着層230は、頭部140に対しては常温で短時間、わずかな力を加えるだけで接着できる、即ち、加圧接着できる感圧型接着層(所謂粘着層)の性質を有している。さらに、ゲル化反応終了後の接着層230は、微量の水や有機溶剤などでその表面を拭うことにより、頭部140へ繰り返し貼着ができる。この繰り返し貼着ができることを、特に、再剥離機能あるいは単に剥離機能と称している。
【0026】
次に、接着層230を形成する接着剤について説明する。
接着層230の形成に用いられる接着剤としては、大別すると、ウレタン樹脂系、アクリル樹脂系、ゴム系が挙げられる。ウレタン樹脂系の接着剤は、毛髪の針足部220Aをベース部材210に固定する接着性が良好であり、かつ、接着層230とベース部材210との間を剥離不能に強固に接着できる性質を有している。さらに、頭部140に貼着する場合の再剥離性能が良好である。このため、このようなウレタン樹脂系の接着剤は、接着層230を形成する接着剤として好適に使用することができる。一方、アクリル樹脂系の接着剤は、粘着性は優れるが、再剥離性能が弱いことがある。ゴム系は、初期の粘着性は優れているが、時間の経過と共に再剥離性能が著しく低下する問題がある。また、上記接着層をアクリル樹脂系及びゴム系樹脂の接着剤により形成すると、毛髪の針足部をベース部材に固定する接着性が弱いこと、接着層とベース部材との間の接着性が弱く剥離も容易に起こること、などにより好ましくない。
【0027】
次に、ウレタン樹脂系の接着剤を用いて接着層230を形成する場合について、さらに詳しく説明する。
ウレタン樹脂系の用接着剤としては、主剤及び硬化剤からなる2液混合型の接着剤を好適に使用することができる。主剤はウレタン樹脂を主成分とするポリオール、硬化剤はポリイソシアネートを主成分とすることができる。これら2液を混合してゲル化反応させ、ゲル化反応終了後にゲルとなるものが好適である。このゲル化は加熱により促進できる。これにより、ゲル化の過程において、硬化剤中に含まれているイソシアネートの作用により、表面張力などの物理的な結合力だけでなく化学的な結合力が加わる。このため、ベース部材210と接着層230との間の接着力と、ベース部材210とそれに植設した毛髪の針足部220Aと間の固着力が著しく向上する。さらに、2液混合型ウレタン樹脂系の接着剤は、反応後にゲル状構造の接着層230、即ち、粘着層となるので、ロボット100の使用者が必要に応じて、装飾毛具200を頭部140から取り外すことができるようになる。
【0028】
さらに、植設した毛髪の針足部220Aのベース部材210への固着力を付与する方法について説明する。この場合には、2液混合型ウレタン樹脂系のモノマーからなる接着剤を混合し、この2液中にベース部材210の材質にあたる有機溶剤を少量添加した接着剤をベース部材210に塗布し、乾燥することにより実施できる。このような有機溶剤としては、ベース部材210の材料がウレタンエラストマーの場合には、ジメチルホルムアミド(DMF)やメチルエチルケトン(MEK)などを使用できる。接着層230の毛髪の針足部220Aの固着力及び頭部への粘着力は、2液混合型ウレタン樹脂系の接着剤の主剤及び硬化剤の混合割合の調整と、塗工粘度の調整と、2液混合した後に毛髪220を植設したベース部材310に塗布するまでの静置時間の調整と、などにより行うことができる。
【0029】
装飾毛具200は、ベース部材210全体に接着層230を設けることなく、毛髪220を植設する領域にだけ、接着層230を部分的に設けて構成してもよい。ベース部材210の周囲縁部に毛髪220を植設した領域を作らない場合でも、接着層230を設けることにより、頭部140への貼着が容易となる。
以上のような接着層230は再剥離性を有し、接着層230部分を水洗いをするだけで粘着力が回復して繰り返し使用ができる。よって、ベース部材210に植設する毛髪220で各種ヘアスタイルを形成するように、装飾毛具200を複数用意しておくことにより、ロボット100を利用する者は、ロボット100を配置する時や場所に応じて装飾毛具200を適宜取り替えることができる。
【0030】
次に、別の装飾毛具による装着方法について説明する。
図5は、別の装飾毛具300を頭部140に装着した状態を示した断面図である。図5に示すように、装飾毛具300は、人工皮膚ベース311にネット部材315が埋設されてなるベース部材310と、このベース部材310の表面からネット部材の網目を通して植設され、再度ベース部材310の表面側に引き抜いてベース部材310の表面にて結着又は接着などして締結して植設された毛髪320と、ベース部材310の裏面に接着し、かつ頭部140に粘着する止着材330と、から構成されている。
【0031】
ネット部材315は、ナイロン糸やポリエステル糸の単繊維又は撚り糸でなるフィラメントを用いて、例えば、菱形や矩形状や六角形状などの空間でなる格子状の網の目を有するように組んで、頭部140の膨出状態に沿って形成されている。ベース部材310は、このネット部材315を、頭部140の膨出状態に沿って形成された人工皮膚ベース311内に張られるようにシート状で埋め込むことで、構成されている。
かかるベース部材310は次のようにして作製することができる。例えば、先ず、軟質合成樹脂からなるペレット状の熱可塑性エラストマーを、適宜有機溶剤に溶解した溶液(以下、熱可塑性エラストマー溶液という。)を、予め用意した頭部140の形状の雄型(例えば、石膏型など)に塗布して乾燥させることを繰り返して人工皮膚ベース311の約半分の厚みだけ人工皮膚ベースを形成する。次に、この形成した人工皮膚ベースに上記ネット部材315を被せて、再度熱可塑性エラストマー溶液を塗布して乾燥させることを繰り返し、所定厚の人工皮膚ベース311を形成する。
【0032】
止着材330は、装飾毛具300を頭部140に容易に着け替えできるようにするために、ベース部材310の裏面には剥離不能に接着され、頭部140には再剥離可能に加圧接着される性質のものを用いる。例えば、図3に示したようなベース部材の裏面に剥離不能に接着される接着層と、頭部140に再剥離可能に加圧接着する粘着層と、からなる二層構造でも、また図4に示したような一層の特殊な接着層でもよい。
【0033】
以上のように構成した装飾毛具300では、ベース部材310内にネット部材315が埋め込まれているので、ベース部材310の強度、特に引張り強度を増すことができる。よって、特に、装着される頭部140の形状の曲率が大きくても、頭部140への装着及び剥離を繰り返し行うことができる。
【0034】
次に、別の装飾毛具及び装着形態について説明する。
図6は、別の装飾毛具400を頭部140に装着した状態を示した断面図である。図5と異なる点は、ベース部材310とその裏面に設けられた止着材330とに、ベース部材310の表面から止着材330の表面、つまり頭部140に当接する面まで、貫通した微細な貫通孔410が、多数設けられている点である。
【0035】
このように、微細な貫通孔410が設けられていることで、頭部140に装着されている装飾毛具400を頭部140から取り外す際に、ベース部材310と止着材330とを一体として頭部140の表面からめくることで、微細な貫通孔410から頭部140の表面と止着材330との間に空気が入り込み、頭部140表面から装飾毛具400を取り外しし易くなる。この貫通孔410は、図3や図4に示した装飾毛具200においても適用することができる。
【0036】
次に、別の装飾毛具及び装着形態について説明する。
図7は別の装飾毛具500を模式的に示した斜視図である。図7に示すように、装飾毛具500は、ロボット100の頭部140の形状に沿うように膨出させてネット素材で形成されたベース部材510と、そのベース部材510の各ネット素材に毛髪520を植設して構成されており、ベース部材510の裏側の内周縁に適宜間隔を開けて両面テープ530を用いて、頭部140に止着することができる。
【0037】
ベース部材510を構成するネット素材は、ナイロン糸やポリエステル糸の単繊維又は撚り糸でなるフィラメント511を用い、これらのフィラメント511を、図7のB部拡大図に示すように、菱形や矩形状の空間でなる格子状の網目512を有するように組んで、頭部140の膨出状態に沿った形状に形成してベース部材510としている。ベース部材510としては、例えば、ナイロンやポリエステルなどの、直径約100μm〜150μmのフィラメント511で構成する。ベース部材510は、網目512を有するように予め平織りやチュール織りなどで形成した扁平なシートを頭部140の形状に沿うようにキャップ形状に膨出させて形成しても、フィラメント511を経糸と緯糸とに配置してこれらの交点を熱溶着するなどしつつ、キャップ形状に膨出させて形成してもよい。
毛髪520は、フィラメント511の経糸と緯糸とにそれぞれ結着又は接着などして締結し、場合には経糸と緯線との交点にも結着することで、毛髪520をベース部材510に植設し、植設した毛髪520により、所定のヘアスタイルを形成する。
【0038】
次に、このような装飾毛具500の頭部140への装着形態について説明する。
図7に示すように、ベース部材510裏面の内周縁に所定の間隔を開けて、両面テープ530の一方の粘着層532(後述の図8参照)をベース部材510に貼り付け、装飾毛具500をロボット100の頭部140に被せて、両面テープ530の他方の粘着面533(図8参照)を貼り付けることにより、装飾毛具500を頭部140に止着させる。
【0039】
図8は別の装飾毛具500を頭部140に装着した状態を示す断面図である。図8に示すように、止着の際に用いられる両面テープ530は、例えば、ポリエチレンフィルム製の透明な芯材531の両面に、粘着層532,533がそれぞれ形成されている。なお、図示を省略するが、両面テープ530の粘着層532,533の各面には、保護層又は保護膜としての剥離紙が密着されており、両面テープ530から各剥離紙が剥離されて両面テープ530が使用される。
【0040】
芯材531及び粘着層532,533は透明のものに限らず、頭部140と同系色に着色されて、外部から両面テープ530が視認され難く迷彩色性を備えていることが好ましい。両面テープ530は、両面の粘着層532,533のうち、少なくとも一方の粘着層532、つまり、ベース部材510に粘着する粘着層532が、ベース部材510を構成するフィラメント511の線径の過半を埋没することができる厚みで形成さていることが好ましい。即ち、ベース部材510を構成するフィラメント511の線径が例えば、約100μm〜150μm程度のものを用いた場合には、少なくともフィラメント511に当接する側の両面テープ530の粘着層532が、フィラメント511の直径より少なくとも1/2以上の厚み、即ち、50μm〜70μm以上の肉厚に設定されている。
【0041】
このように、一方の粘着層532が、フィラメント511の直径の少なくとも1/2以上の厚みを備えることにより、両面テープ530の一方の粘着層532をベース部材510に押し付けたとき、粘着層532の中にフィラメント511の略下半分が包まれるように面状に接着されることになり、フィラメント511と両面テープ530の粘着層532とが十分粘着する。
【0042】
例えば、直径130μm程度のナイロンフィラメントでベース部材を構成する場合、両面テープ530の一方の粘着層532を150μm程形成し、この粘着層532にフィラメントを押し付けて密着すると、図8に示すように、ナイロンフィラメント511が一方の粘着層532の中まで侵入し、ナイロンフィラメント511の周面の一部又は全部まで覆われ、フィラメントの周面にわたって面状に密着する。そして、フィラメント511の網目512まで粘着層532が入り込んで定着される。このとき、網目512の中に入り込んだ粘着層532が微小凹凸状に表面を有しているので、外部から光が当たっても凹凸表面で乱反射し、反射光が光って両面テープの存在を視認し難くすることができる。
【0043】
一方で、他方の粘着層533、つまり、頭部140に粘着する側の粘着層533は、必ずしも、上記のような厚みに設定する必要はなく、市販の両面テープの厚み、30μm程度、例えば、30μm〜150μm程度形成されていればよい。
【0044】
次に、別の装飾毛具による装着形態について説明する。
図9は別の装飾毛具600を頭部140に装着する状態を模式的に示した分解斜視図、図10は図9に示す装飾毛具600を頭部140に装着した状態を示す断面図である。
図9に示すように、装飾毛具600は、頭部140の形状に沿うように樹脂で形成されたベース部材610に毛髪620を植設して構成される。即ち、図10に示すように、頭部140の形状に沿うように樹脂で成形された第1層611の表面側から裏面に貫通して植設され、再び第1層611の表面側に引き抜くことにより、V字状又はU字状に植設されている。そして、この第1層611の裏面に、植設して形成した針足部620Aを図示しない接着層で固定して、その上から第1層611の素材と同じ有機溶剤を塗布して、第2層613を形成する。このようにすることで、第1層611を貫通し、その裏面側の露出する毛髪部である針足部620Aをベース部材610に固定する。
【0045】
また、本発明の装飾毛具600には、所定数の螺子貫通孔615が所定の位置に設けられている。この螺子貫通孔615は、頭部140に装飾毛具600を螺子止めするために、直径が数mm、例えば2、3mmの螺子630を挿通する。この螺子貫通孔615は、ベース部材610に植設する毛髪620の数や配置などにより適宜決められ、毛髪620で外部から見え難い箇所に設けられる。ここで、所定数としては、少なくとも3以上が好ましい。これは、ロボット100が各関節に設けられた駆動機構で二脚歩行したり、でんぐり返しをしたときに、装飾毛具600が容易にめくれないようにするためである。
【0046】
また、ロボット100の頭部140には、図9に示すように、装飾毛具600の各螺子貫通孔615に対応する位置に、それぞれ螺子穴141が設けられている。ここで、螺子穴141は、予め金属素材で形成されたナット143を頭部140に埋め込むことで、設けるのが好ましい。これは、ロボット100の頭部140への装飾毛具600の装着を繰り返し行っても、螺子穴141の螺子山を潰れ難くするためである。
【0047】
図10に示すように、ロボット100の頭部140には、ベース部材610が埋設されるための窪み145が、ベース部材610の形状に合わせて形成されている。この窪み145は、図10に示すように、ベース部材610が配置されて、ベース部材610の表面と頭部140との間に段差をなくすように、形成されている。このようにすることで、装飾毛具600を頭部140に当てて螺子貫通孔615と螺子穴141とを一致させやすくなる。また、螺子630は、図10のように皿螺子を用いることで、ボルトの頭が突起として頭部表面から突出しないようにすることが好ましい。
【0048】
次に、別の装飾毛具による装着形態について説明する。
図11は、図10とは異なる装飾毛具700を頭部140に装着した状態の断面図である。図11に示す装飾毛具700は、頭部140の所定の領域に設けた窪み145に入り込むようにして配置されるベース部材710を、図10の装飾毛具600とは異なり、次のように構成する。即ち、ベース部材710を、頭部140の窪み145の形状に合わせて形成された基材711と、毛髪720を植設して固定するための毛髪固定部材(毛材固定部材)713と、この毛髪固定部材713に基材711を接着するための接着層715とからなる。毛髪固定部材713は、図3のようにベース部材210に対して毛髪220を植設して接着層231で毛髪220を固定したものや、図4のようにベース部材210に対して毛髪220を植設して接着層210で毛髪220を固定したものや、図5のように、毛髪320を締結したベース部材310などを用いることができる。
【0049】
次に、別の装飾毛具の装着形態について説明する。
図12は別の装飾毛具800を頭部140に装着する状態を模式的に示した分解斜視図である。図12に示す装飾毛具800は、図10及び図11に示した装飾毛具600,700との違いは、ベース部材810の裏面、即ち頭部140との当接面において所定の位置に係合部材811が形成されている点である。またこの違いに対応して、ロボット100の頭部140には、この係合部材911が係合する係合穴147が螺子穴141の代わりに形成されている。その他の点は、図10及び図11に示した装飾毛具600,700と同様である。
【0050】
係合部材911は、例えば、符号C部を拡大して上下逆にして示したように、ベース部材810の裏面から足811aが延びてその先端に断面三角形状の突起811bを形成して構成されている。この突起811bに対応した係合穴147としての嵌合穴が頭部140に形成されている。このように形成された装飾毛具800では、装飾毛具800の係合部材のそれぞれを、頭部140に形成した係合穴147に嵌めて係合させることにより、頭部140に止着することができる。
なお、図10及び図11に示した場合とは異なり、頭部140には窪みが形成されていてもよいが、頭部140に装飾毛具800を固定した際に、頭部140の表面から装飾毛具800が突出していることが好ましい。これは、装飾毛具800を頭部140から容易に外すことができるようにするためである。
【0051】
以上説明したように、所定のヘアスタイルを形成するように毛髪が植設された装飾毛具200〜800を、ロボット100の頭部140に装着することで、ロボット100の頭部140を衝撃などから保護すると共に、ロボット100に髪の毛としての飾り毛を付与することができる。
各ヘアスタイルの例としては、次のようなものが考えられる。
ヘアスタイルの一例としては、図1に示すように、日本風の連獅子型が挙げられる。このとき、胴体部110にも同様の装飾毛具を止着することで、風格のあるロボットとすることができる。
【0052】
図13乃至15は、それぞれ、モヒカン型,チョンマゲ型,マッシュルーム型のヘアスタイルを形成した各装飾毛具を頭部140に装着した状態を示す斜視図である。
図13に示すようなモヒカン型や、図14に示すようなチョンマゲ型や、図15に示すようなマッシュルーム型など、種々のヘアスタイルに交換できるようにすると、時と場所により甚だ興趣に富んだ置物としての利用も可能で、より親近感が生じて無機質なロボットを人間味のあるものとすることができる。その際、各ヘアスタイルに応じて、前述した各種の形態の装飾毛具の構成を用いることができるが、例えば、図13に示すモヒカン型や図14に示すチョンマゲ型では、頭部14が髪の毛で覆われる領域が小さいことから、図3〜図6に示すような装飾毛具200,300の方がよく、逆に、ロボット100の頭部表面に接着剤や粘着剤を付着させると、頭部表面に塗った漆などが剥がれるおそれがあり、ボリュームのあるヘアスタイルの場合には、逆に、図10〜12に示すような装飾毛具600〜800の方が好ましい。
【0053】
以上説明したように、毛髪を植設した装飾毛具をロボットの頭部に装着することで、各種ヘアスタイルを装着したロボットとすることができ、ロボットの頭部などを衝撃から保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明のロボットを示した斜視図である。
【図2】本発明のロボットにおいて、頭部に装飾毛具を装着した状態を示す断面図である。
【図3】図2の符号Aの拡大断面図である。
【図4】別の装飾毛具を頭部に装着した状態を示す断面図である。
【図5】別の装飾毛部を頭部に装着した状態を示した断面図である。
【図6】別の装飾毛具を頭部に装着した状態を示した断面図である。
【図7】別の装飾毛具を模式的に示した斜視図である。
【図8】別の装飾毛具を頭部に装着した状態を示す断面図である。
【図9】別の装飾毛具を頭部に装着する状態を模式的に示した分解斜視図である。
【図10】図9に示す装飾毛具を頭部に装着した状態を示す断面図である。
【図11】図10とは異なる装飾毛具を頭部に装着した状態の断面図である。
【図12】別の装飾毛具を頭部に装着する状態を模式的に示した分解斜視図である。
【図13】頭部にモヒカン型のヘアスタイルを形成した装飾毛具を装着した状態を示す斜視図である。
【図14】頭部にチョンマゲ型のヘアスタイルを形成した装飾毛具を装着した状態を示す斜視図である。
【図15】頭部にマッシュルーム型のヘアスタイルを形成した装飾毛具を頭部に装着した状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0055】
100 ロボット
110 胴体部
120 脚部
130 腕部
140 頭部
141 螺子穴
143 ナット
145 窪み
147 係合穴
200,300,400,500,600,700,800 装飾毛具
210,310,410,610,710,810 ベース部材
1,220,320,420,620,720,820 毛髪(毛材)
220A,320A,620A 針足部
230,330 止着材
231,715 接着層
235,532,533 粘着層
311 人工皮膚ベース
315 ネット部材
410 貫通孔
511 フィラメント
512 網目
530 両面テープ
531 芯材
611 第1層
613 第2層
615 螺子貫通孔
630 螺子
711 基材
713 毛材固定部材(毛髪固定部材)
811 係合部材
811a 足
811b 突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭部を備えたロボットにおいて、
植設されたベース部材を上記頭部に装着することで、上記頭部に髪の毛としての飾り毛を付与したことを特徴とする、ロボット。
【請求項2】
頭部を備えたロボットにおいて、
ベース部材と、該ベース部材に植設された毛材と、上記ベース部材の裏面に設けられた止着材と、からなる装飾毛具を備え、
上記止着材が、上記ベース部材の裏面に接着された接着剤で成り、各種のヘアスタイルに形成された装飾毛具を、該接着剤にて少なくとも頭部所定位置に止着したことを特徴とする、ロボット。
【請求項3】
前記接着剤が、前記ベース部材の裏面に剥離不能に接着された接着層と、前記ロボット頭部に再剥離可能に加圧接着する粘着層と、を備えることを特徴とする、請求項2に記載のロボット。
【請求項4】
前記ベース部材は、人工皮膚及びネット部材の何れか又は組合せで構成されてなることを特徴とする、請求項1又は2に記載のロボット。
【請求項5】
前記ベース部材は、ネット部材を人工皮膚に埋設してなることを特徴とする、請求項1又は2に記載のロボット。
【請求項6】
前記装飾毛具には前記ベース部材の表面から前記止着材の表面まで貫通孔が設けられていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のロボット。
【請求項7】
頭部を備えたロボットにおいて、
ベース部材と、該ベース部材に植設された毛材と、からなる装飾毛具を備え、
ベース部材の裏面に両面テープを貼り付けて該両面テープの一方の粘着層と粘着し、該両面テープの他方の粘着層を上記頭部に加圧粘着することで、各種のヘアスタイルに形成された装飾毛具を、少なくとも頭部所定位置に止着したことを特徴とする、ロボット。
【請求項8】
前記ベース部材のうち前記両面テープを貼付する領域が少なくともネット部材で構成され、
前記両面テープの粘着層の少なくとも一方が、前記ネット部材の線径の過半を埋没させる厚みで形成されてなることを特徴とする、請求項7に記載のロボット。
【請求項9】
頭部を備えたロボットにおいて、
ベース部材と、該ベース部材に植設された毛材と、からなる装飾毛具を備え、
上記ベース部材には所定の位置に螺子貫通孔が形成され、
上記頭部には上記装飾毛具を装着した際に上記螺子貫通孔に対応する位置に螺子穴が形成され、
上記螺子貫通孔と上記螺子穴とを対応するように一致させて上記頭部に上記ベース部材を被せて螺子止めすることで、
各種のヘアスタイルに形成された装飾毛具を、頭部所定位置に止着したことを特徴とする、ロボット。
【請求項10】
前記ベース部材は、前記毛材を植設され、かつ前記ロボットの頭部の窪みに配置される単一の部材で構成されることを特徴とする、請求項9に記載のロボット。
【請求項11】
前記ベース部材は、前記ロボットの頭部の窪みに埋設される基材と、前記毛材を植設される毛材固定部材と、上記基材に上記毛材固定部材を接着する接着層と、からなることを特徴とする請求項9に記載のロボット。
【請求項12】
頭部を備えたロボットにおいて、
ベース部材と、該ベース部材に植設された毛材と、からなる装飾毛具を備え、
上記ベース部材の裏面には、係合部材が所定の位置に突出形成され、
上記頭部には上記装飾毛具を装着した際に上記係合部材に対応する位置に係止穴が形成され、
上記係合部材と上記係合穴とを対応するように一致させて上記頭部に上記ベース部材を被せ、係合部材を対応する係止穴と係止することで、
各種のヘアスタイルに形成された装飾毛具を、頭部所定位置に止着したことを特徴とする、ロボット。
【請求項13】
前記ベース部材は、前記毛材を植設され、かつ前記ロボットの頭部の窪みに配置される単一の部材で構成されることを特徴とする、請求項12に記載のロボット。
【請求項14】
前記ベース部材は、前記ロボットの頭部の窪みに配置される基材と、前記毛材を植設される毛材固定部材と、上記基材の表面に上記毛材固定部材を接着する接着層と、からなることを特徴とする請求項12に記載のロボット。
【請求項15】
ロボットの頭部に止着されて、該頭部に髪の毛としての飾り毛を付与するロボット用装飾毛具であって、
ベース部材と、該ベース部材に植設された毛材と、上記ベース部材の裏面に設けられた止着材と、からなり、
上記止着材が、上記ベース部材の裏面に剥離不能に接着された接着層と、上記頭部に再剥離可能に加圧接着する粘着層と、を備えることを特徴とする、ロボット用装飾毛具。
【請求項16】
前記接着層は、前記ベース部材裏面に塗布した接着剤溶液のゲル化反応中に該ベース部材裏面に化学反応により接着されており、
前記粘着層は、前記頭部に加圧接着されて、該頭部への再剥離可能とすることを特徴とする、請求項15に記載のロボット用装飾毛具。
【請求項17】
前記ベース部材の表面から前記止着材の表面まで貫通孔が設けられていることを特徴とする、請求項15に記載のロボット用装飾毛具。
【請求項18】
ロボットの頭部に止着されて、該頭部に髪の毛としての飾り毛を付与するロボット用装飾毛具であって、
ベース部材と、該ベース部材に植設された毛材と、を備え、
上記ベース部材の裏面に両面テープを貼り付けて該両面テープの一方の粘着層と粘着し、該両面テープの他方の粘着層を上記頭部に加圧粘着し得ることを特徴とする、ロボット用装飾毛具。
【請求項19】
ロボットの頭部に止着されて、該頭部に髪の毛としての飾り毛を付与するロボット用装飾毛具であって、
ベース部材と、該ベース部材に植設された毛材と、を備え、
上記ベース部材には、上記頭部に形成された螺子穴に対応するように、螺子貫通孔が形成されており、
上記螺子貫通孔を上記螺子穴に対応するように一致させて上記頭部に被せて螺子止めし得ることを特徴とする、ロボット用装飾毛具。
【請求項20】
ロボットの頭部に止着されて、該頭部に髪の毛としての飾り毛を付与するロボット用装飾毛具であって、
ベース部材と、該ベース部材に植設された毛材と、を備え、
上記ベース部材の裏面には、上記頭部に形成された係合穴に対応するように、係合部材が突出形成されており、
上記係合部材を対応する係合穴と係合させて上記頭部に被せ得ることを特徴とする、ロボット用装飾毛具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2006−289551(P2006−289551A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−114015(P2005−114015)
【出願日】平成17年4月11日(2005.4.11)
【出願人】(501055145)株式会社ゼットエムピー (5)
【出願人】(000126676)株式会社アデランス (49)
【Fターム(参考)】