説明

ロータリースイッチ

【課題】 本発明は、クリック感触を得るためのクリック機構が磨耗するのを軽減して、長寿命のロータリースイッチを提供すること。
【解決手段】 回転可能な回転体9と、この回転体9の一部を回転可能に収納する空洞部2aを有するハウジング2と、空洞部2a内に配設した固定接点4と、回転体9に取付けられて固定接点4に接離可能な可動接点8と、ハウジング2の空洞部2a上を覆うカバー部材10とを備え、ハウジング2の空洞部2a上には、回転体9の回転に伴ってクリック感触が得られるクリック機構が配設され、このクリック機構は、それぞれが金属板からなる弾性部材11とカバー部材10とで構成され、カバー部材10には、回転体9と共に回転する弾性部材11が摺動することでクリック感触が得られる複数のクリック発生部10cが形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はロータリースイッチに係わり、デジタルカメラ等のディスプレイに表示されるメニュー等を切替可能なロータリースイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のロータリースイッチを、例えば特許文献1に記載のもので説明すると、特許文献1記載のロータリースイッチ30は、図6、図7に示すように、最下部に樹脂材料からなるハウジング31が配設され、このハウジング31には、円筒状の支持部31aと、この支持部31aの下端側に略環状の収納部31bとを有する基盤部31cが形成されている。
前記基盤部31cには、外方に導出して開口部31dが形成され、この開口部31dには、固定端子部32が配設されている。また、固定端子部32は、絶縁材からなる基台 32aと、この基台32aの一端側から複数の接続端子32bが延出形成されている。そして、複数の接続端子32bは、基台 32aに埋設されていると共に、基台 32aの他端部側から延出する複数の摺動子32cに接続されている。
【0003】
また、ハウジング31の収納部31bには、樹脂材料からなる回路基板33が配設され、この回路基板33は、中央にハウジング31の支持部31aが挿通可能な挿通孔33aが形成されて外形が略環状に形成されている。
また、回路基板33は、下面に摺動子32cと摺接する環状の接点部(図示せず)が複数形成されて、回転体34の下面に固着されている。
そして、回転体34の回転に伴って回路基板33が回転することで、接点部が摺動子32cに摺接してスイッチ回路が切換わるようになっている。
前記回転体34は、樹脂材料からなり、ハウジング31の支持部31aに挿入されて回転可能な円筒状の回転軸部34aが形成されている。
【0004】
また、回転軸部34aの図示下端側には、ハウジング31の収納部31bに収納されるツバ状の回転基部34bが形成され、この回転基部34bの下面に回路基板33が接着剤等で固着されている。そして、回転基部34bの上面には、内側の内周領域に凹溝34cが周方向に複数形成されると共に、凹溝34cの外側の外周領域に平坦状の補助ばね受け部34dが形成されている。
また、凹溝34c上には、略環状のばね部材35が配設され、このばね部材35の互いに対向する位置に一対の平坦部35aが形成され、この平坦部35aにかしめ孔35bが形成されている。
【0005】
また、ばね部材35は、平坦部35aを境として両端部を略V字状に屈曲した弾性腕部35cが形成され、この弾性腕部35cの図示奥側の一端側の中央には、凹溝34cに係脱可能な凸部35dが形成されている。
前記凸部35d近傍から外側に延設され、弾性腕部35cの円弧方向に沿って略T字状で自由端状の補助ばね部35eが形成されている。
【0006】
また、ばね部材35の上部に配設される金属板からなるフレーム36には、回転体34の回転軸部34aが挿通する窓孔36aが形成されると共に、ばね部材35を下面に取付けるための一対の取付孔36bが形成されている。
そして、取付孔36bにばね部材35のかしめ孔35bを重ね合わせた状態でリベット37を挿入してかしめ付けることで、フレーム36にばね部材35が固着されて一体化される。
また、フレーム36には、ハウジング31を抱き込むようにかしめ付けるための複数の係合片36cと、電子機器などの基板(図示せず)にリフロー半田等で取付けるための取付脚36dとが形成されている。
このような従来のロータリースイッチは、フレーム36の係合片36cをハウジング31にかしめ付けて組み立てがされ、取付脚36dが、電子機器などの基板にリフロー半田等により取付け可能になっている。
【0007】
このような構成の従来のロータリースイッチの操作は、まず、回転体34の回転軸部34aに取付けた摘み(図示せず)を回転操作すると、ハウジング31の支持部31aを中心として回転体34が回転する。
この時、回転体34に取付けた回路基板33が回動して、この回路基板33に形成した接点部(図示せず)が、固定端子部32の摺動子32cに当接した状態で摺動して、スイッチの切替が行われる。
また、回転体34が回転することで、図8に示すように、補助ばね部35eの自由端部が、平坦状の補助ばね受け部34dに当接した状態で摺接すると共に、回転体34の凹溝34cがばね部材35の凸部35dに対して係脱してクリック感が得られる。
即ち、樹脂材料からなる回転体34の凹溝34cと、金属板からなるばね部材35の凸部35dとでクリック機構を構成して、クリック感触を得ることができるようになっている。
【特許文献1】特開2002−110002号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、従来のロータリースイッチは、回転体34が樹脂材料で形成され、ばね部材35が金属板で形成されているために、クリック機構である回転体34の凹溝34cが、ばね部材35の凸部35dに対して係脱を繰り返すことで、凹溝34cのコーナ部が削られて磨耗し、ロータリースイッチの寿命が短くなる問題があった。
また、凹溝34cが削られることで、樹脂粉等の磨耗粉が発生し、摺動子32c、或いは回路基板33の接点部等に付着して、スイッチが導通不良等になるおそれがあった。
【0009】
本発明は、前述したような課題を解決するためになされたもので、クリック感触を得るためのクリック機構が磨耗するのを軽減して、長寿命のロータリースイッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するための第1の手段として本発明のロータリースイッチは、回転可能な回転体と、この回転体の一部を回転可能に収納する空洞部を有するハウジングと、前記空洞部内に配設した固定接点と、前記回転体に取付けられて前記固定接点に接離可能な可動接点と、前記ハウジングの空洞部上を覆うカバー部材とを備え、前記カバー部材上には、前記回転体の回転に伴ってクリック感触が得られるクリック機構が配設され、前記クリック機構は、それぞれが金属板からなる弾性部材と前記カバー部材とを有し、前記カバー部材には、前記回転体と共に回転する前記弾性部材が摺動することでクリック感触が得られる複数のクリック発生部が形成されていることを特徴とする。
また、前記課題を解決するための第2の手段として、前記弾性部材は、前記クリック発生部に係脱可能な係脱部が形成され、前記カバー部材には、前記弾性部材の前記係脱部が摺動可能な摺動部が形成されると共に、前記摺動部に複数の前記クリック発生部が形成されていることを特徴とする。
【0011】
また、前記課題を解決するための第3の手段として、前記カバー部材の前記クリック発生部は、前記摺動部を所定間隔で貫通形成した複数の孔部からなり、前記弾性部材の前記係脱部は、前記孔部に係脱可能な凸状に形成されていることを特徴とする。
また、前記課題を解決するための第4の手段として、前記ハウジングには、前記空洞部の外周を囲む所定高さのカバー取付部が形成され、前記カバー部材には、前記摺動部の外周縁を折り曲げて前記カバー取付部に形成した係合部に係止可能な係止部が形成されていることを特徴とする。
【0012】
また、前記課題を解決するための第5の手段として、前記弾性部材には、前記回転体に固着可能な固着部が形成され、前記固着部を前記回転体に固着して前記回転体と前記弾性部材とが一体化され、前記係脱部は、前記回転体を挟んだ対称位置に一対形成されていることを特徴とする。
また、前記課題を解決するための第6の手段として、前記回転体は、前記ハウジングの前記空洞部に収納されて回転可能な回転基部を有し、この回転基部には、前記可動接点を取付けた摺動子受けが固着されて前記回転体と共に回転可能になっていることを特徴とする。
【0013】
また、前記課題を解決するための第7の手段として、前記空洞部の前記固定接点を配設した底壁には、前記摺動子受けを回転可能に支持する支持部が所定高さで突出形成されていることを特徴とする請求項6記載のロータリースイッチ。
また、前記課題を解決するための第8の手段として、前記カバー部材に形成した前記孔部からなる前記クリック発生部が対向する前記ハウジングの前記カバー取付部には、所定深さの凹部が形成されていることを特徴とする。
【0014】
また、前記課題を解決するための第9の手段として、前記凹部は、前記クリック発生部と対向する位置の前記カバー取付部に形成した円弧状の凹溝からなることを特徴とする。
また、前記課題を解決するための第10の手段として、前記空洞部の中心部の前記底壁には、上方に突出する支持軸が形成され、前記支持軸と対抗する前記摺動子受けの回転中心には、前記支持軸に嵌合して回転可能な支持孔が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明のロータリースイッチのクリック機構は、それぞれが金属板からなる弾性部材とカバー部材とで構成され、カバー部材には、回転体と共に回転する弾性部材が摺動することでクリック感触が得られる複数のクリック発生部が形成されているので、クリック機構を構成する弾性部材とカバー部材とのそれぞれが金属材料であり、互いの部材の磨耗を軽減することができ、長寿命のロータリスイッチを提供できる。また、弾性部材及びカバー部材の両方を金属板とすることで、互いの部材を強く押圧することができ、大きて高感度のクリック感触を得られる。
また、弾性部材には、クリック発生部を摺動して係脱可能な係脱部が形成され、カバー部材には、係脱部が摺動可能な摺動部が形成されると共に、摺動部に複数のクリック発生部が形成されているので、係脱部がクリック発生部を係脱することで高感度のクリック感触を得ることができる。
【0016】
また、カバー部材のクリック発生部は、摺動部を所定間隔で貫通形成した複数の孔部からなり、弾性部材の係脱部は、孔部に係脱可能な凸状に形成されているので、凸状の係脱部が孔部からなるクリック発生部を係脱して、更に高感度なクリック感触を得ることができる。
また、ハウジングには、空洞部の外周を囲む所定高さのカバー取付部が形成され、カバー部材には、カバー部材の外周縁を折り曲げて形成した係止部が係合して係止可能な係合部が形成されているので、カバー部材の係止部をハウジングの係合部にスナップ係合させて、カバー部材をハウジングに確実に係止できる。
【0017】
また、弾性部材は、回転体に固着可能な固着部が形成され、固着部を回転体に固着して回転体と弾性部材とが一体化され、係脱部は、回転体を挟んだ対称位置に一対形成されているので、一対の係脱部によって、弾性部材をカバー部材にバランスよく均等に弾性付勢することができる。
また、回転体は、ハウジングの空洞部に収納されて回転可能な回転基部を有し、この回転基部には、可動接点を取付けた摺動子受けが固着されて回転体と共に回転可能になっているので、可動接点を取付けた摺動子受けを回転体に取り付けることで、可動接点を回転体に一体化でき組立て性が良い。
【0018】
また、空洞部の固定接点を配設した底壁には、摺動子受けを回転可能に支持する支持壁が所定高さで突出形成されているので、支持壁によって固定接点に対する可動接点の圧接圧を均一にできる。
また、カバー部材に形成した孔部からなるクリック発生部が対向するハウジングのカバー取付部には、所定深さの凹部が形成されているので、カバー部材、または弾性部材が磨耗して磨耗粉が発生したとしても、この磨耗粉が凹部に位置して空洞部内の接点部に侵入するのを防止できる。
【0019】
また、凹部は、クリック発生部と対向する位置のカバー取付部に形成した円弧状の凹溝からなるので、ハウジングを成型する金型の製造が容易である。
また、空洞部の中心部の底壁には、上方に突出する支持軸が形成され、支持軸と対向する摺動子受けの回転中心には、支持軸に嵌合して回転可能な支持孔が形成されているので、回転するときの回転体の偏心を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下に、本発明のロータリースイッチの実施の形態を図面に基づいて説明する。まず、本発明の実施の形態のロータリースイッチ1を図1〜図5に基づいて説明すると、外形が多角形(例えば略8角形)に形成された樹脂材料からなるハウジング2が最下部に配設されている。
このハウジング2は、中央部に所定の直径寸法と深さからなる円形状の空洞部2aが形成され、この空洞部2aは、後述する回転体9に取付けて一体化した摺動子受け7を回転可能に収納可能になっている。また、空洞部2aは、下部が底壁2bで遮蔽されて上方が開放され、外周部がカバー取付部2cで囲まれている。
【0021】
また、カバー取付部2cの外周面の互いに対向する4箇所には、鉤状の係合部2dが突出形成されている。前記底壁2b上で空洞部2aの外周側には、後述する回転体9に取付けた摺動子受け7を回転可能に支持する支持壁2eが所定高さで形成されている。
また、ハウジング2の裏面には、図3に示すように、電子機器などの基板(図示せず)に位置決めするための位置決め突起2fが突出形成されている。
また、空洞部2aの外側のカバー取付部2cには、後述するカバー部材10の孔状のクリック発生部10cと対向する位置に、環状の凹溝からなる凹部3が所定深さで形成されている。
また、空洞部2aの底壁2b上には、固定接点4が露出して配設されており、この固定接点4は、空洞部2aの外周寄りの位置に、複数の個別接点4aが円周方向に互いに隣り合って形成されると共に、個別接点4aの内周側の位置に環状の共通接点4bが形成されている。
【0022】
前記固定接点4は、個別接点4a及び共通接点4bが、それぞれが絶縁されて底壁2b及びカバー取付部2cに埋設されて、ハウジング2外部に導出する複数の外部端子5に接続されている。
また、空洞部2aの中心部の底壁2bには、支持軸6が所定の径寸法と高さ寸法で突出形成されている。
また、空洞部2a内には、樹脂材料からなり外形が円形状の摺動子受け7がガタ無く収納可能となっている。前記摺動子受け7は、上面に後述する回転体9の回転基部9aが嵌合可能な円形状で凹状の嵌合部7aが形成され、この嵌合部7aにDカット状の回り止め部7bが形成され、中心部に支持軸6が嵌合してガタ無く回転可能な支持孔7cが形成されている。
【0023】
また、摺動子受け7の下面には、共通接点4bに圧接して摺動可能な第1摺動子8aと、個別接点4aに圧接して摺動可能な第2摺動子8bとが形成された略環状の可動接点8が取付けられている。
前記可動接点8には、互いに対向する位置に一対の取付孔8cが形成され、この一対の取付孔8cが摺動子受け7の下面にカシメ等で固着されている。そして、可動接点8を取付けた摺動子受け7は、回転体9の回転基部9aに嵌合部7aを嵌合させて接着剤等で回転体9に一体化されている。
【0024】
前記回転体9は、樹脂材料等からなり最下部に径の大きな回転基部9aと、この回転基部9aの上部に回転基部9aより径の小さいカバー嵌合部9bと、このカバー嵌合部9bの上部にカバー嵌合部9bより径の小さい弾性部材嵌合部9cとが形成されて階段状になっている。
そして、弾性部材嵌合部9cには、後述する弾性部材11の固着部11bが嵌合可能な取付部9dが彫り込み形成されている。また、回転体9には、弾性部材嵌合部9cより小径の摘み部9eが、図示上方に突出形成されている。
【0025】
また、空洞部2a上には、回転体9の回転に伴ってクリック感触が得られるクリック機構が配設されており、このクリック機構は、それぞれが金属板からなるカバー部材10と弾性部材11とで構成されている。
前記カバー部材10には、鉄板等の金属板からなり、回転体9のカバー嵌合部9bに回転可能にガタ無く嵌合する挿通孔10aと、この挿通孔10aの外周側に外形が略環状で平坦状の摺動部10bとが形成されている。
また、摺動部10bには、プレス加工等で所定間隔で貫通形成された複数の孔部からなるクリック発生部10cが形成されている。
【0026】
前記孔部からなるクリック発生部10cは、一方の面(図示上面)側から打抜き加工しているので、一方の面側のコーナ部にダレ(剪断面)が形成されると共に、他方の面(図示下面)側にバリ(破断面)が形成されるようになっている。
そのために、クリック発生部10cに後述する弾性部材11の凸状の係脱部10aが無理なく係脱でき、フィーリングの良いクリック感触が得られる。
また、カバー部材10には、摺動部10bの互いに対向する外周縁の4箇所を図示下方に折り曲げて係止部10dが形成されている。
このようなカバー部材10は、ハウジング2の空洞部2a上を遮蔽するように摺動部10bをカバー取付部2c上にかぶせると、係止部10dがハウジング2の係合部2dにスナップ係合して係止されるようになっている。
【0027】
また、クリック機構の一部である弾性部材11は、ステンレス等の弾性を有する金属板からなり、外形が略楕円状に形成され、中心部に回転体9の弾性部材嵌合部9cに嵌合可能な嵌合孔11aが形成され、この嵌合孔11aの内周面の互いに対向する位置に一対の固着部11bが、内向きに突出形成されている。
そして、弾性部材11には、一対の固着部11bの外側に、円弧状のスリット溝11c、11cがそれぞれ形成され、このスリット溝11cの外側にそれぞれ弾性腕部11d、11dが形成されている。
前記弾性腕部11dの互いに対向する位置には、図示下方側に突出させて凸状の係脱部11eが一対形成されている。
【0028】
このような弾性部材11は、ハウジング2に取付けたカバー部材10の挿通孔10aから挿通する回転体9の摘み部9eに、嵌合孔11aを挿通して固着部11bを取付部9dに位置合わせして嵌合させ、取付部9dを組立治具(図示せず)でカシメ付けることで、弾性部材11が回転体9に一体化されて、回転体9と共に回転可能になっている。
そして、回転体9と共に弾性部材11が回転すると、摺動部10bを係脱部11eが摺動して、孔部からなるクリック発生部10cを係脱する。このことで、操作者が高感度のクリック感触を得ることができる。
【0029】
このような構成の本発明のロータリースイッチ1の組立ては、ハウジング2の空洞部2aに、回転体9に一体化した摺動子受け7を収納する。すると、摺動子受け7の外周部側が支持壁2e上に位置すると共に、摺動子受け7に取付けた可動接点8がハウジング2の底壁2bに配設した固定接点4に圧接される。
その後、回転体9の摘み部9eをカバー部材10の挿通孔10aに挿通させて、挿通孔10aを回転体9のカバー嵌合部9bに嵌合させると共に、摺動部10bをハウジング2のカバー取付部2c上に位置させる。すると、係止部10dが係合部2dにスナップ係合されて、カバー部材10がハウジング2に一体化される。
【0030】
すると、カバー部材10のクリック発生部10cがハウジング2の凹部3上に位置すると共に、回転体9がカバー部材10により空洞部2aから抜け止めされる。
次に、カバー部材10の挿通孔10aから上方に挿通する回転体9の取付部9dに弾性部材11の固着部11bを位置合わせして嵌合させると、弾性部材11の嵌合孔11aが弾性部材嵌合部9cに嵌合する。
そして、組立治具等で取付部9dをカシメ付けることで、弾性部材11が回転体9に一体化されて、本発明のロータリースイッチ1が組立てられている。
【0031】
このように組立てられたロータリースイッチ1の操作は、回転体9の摘み部9eを操作者が回転操作すると、弾性部材11の係脱部11eがカバー部材10の摺動部10b上を摺動して、孔部からなるクリック発生部10cを係脱してクリック感触が発生する。
このクリック感触に対応して、第1摺動子8aが複数の個別接点4aを接離してスイッチ回路が切替えられる。
即ち、スイッチ回路が切換わるのに連動して、操作者がクリック感触を得ることができ、操作性に優れている。
このような本発明のロータリースイッチ1は、例えばデジタルカメラ等の電子機器に用いられれており、回転体9を回転操作することで、ディスプレイ上に表示されているメニュー等の選択、或いはスクロール等が行えるようになっている。
【0032】
尚、ハウジング2のカバー取付部2cに形成した凹部3は、図1において、所定深さと幅寸法の凹溝で説明したが、カバー部材10の孔部からなるクリック発生部10cと対向する位置のカバー取付部2cを、所定深さで角孔状に掘り込み形成したものでも良い。
また、カバー部材10のクリック発生部10cを角孔状に打ち抜きした孔部で説明したが、摺動部10bを所定深さで凹状に図示下方にへこませたものでも良い。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明のロータリースイッチの分解斜視図である。
【図2】本発明のロータリースイッチの上面図である。
【図3】図2の側面図である。
【図4】図2の4-4断面図である。
【図5】図3の5-5断面図である。
【図6】従来のロータリースイッチの分解斜視図である。
【図7】従来のロータリースイッチの回転体の要部拡大図である。
【図8】従来のロータリースイッチの回転体とばね部材の凸部との関係を説明する要部断面図である。
【符号の説明】
【0034】
1 本発明のロータリースイッチ
2 ハウジング
2a 空洞部
2b 底壁
2c カバー取付部
2b 係合部
2e 支持壁
3 凹部
4 固定接点
4a 個別接点
4b 共通接点
5 外部端子
6 支持軸
7 摺動子受け
7a 嵌合部
7b 回り止め部
7c 支持孔
8 可動接点
8a 第1摺動子
8b 第2摺動子
8c 取付孔
9 回転体
9a 回転基部
9b カバー嵌合部
9c 弾性部材嵌合部
9d 取付部
9e 摘み部
10 カバー部材
10a 挿通孔
10b 摺動部
10c クリック発生部
10d 係止部
11 弾性部材
10a 嵌合孔
11b 固着部
11c スリット溝
11d 弾性腕部
11e 係脱部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能な回転体と、この回転体の一部を回転可能に収納する空洞部を有するハウジングと、前記空洞部内に配設した固定接点と、前記回転体に取付けられて前記固定接点に接離可能な可動接点と、前記ハウジングの空洞部上を覆うカバー部材とを備え、
前記空洞部上には、前記回転体の回転に伴ってクリック感触が得られるクリック機構が配設され、前記クリック機構は、それぞれが金属板からなる弾性部材と前記カバー部材とで構成され、前記カバー部材には、前記回転体と共に回転する前記弾性部材が摺動することでクリック感触が得られる複数のクリック発生部が形成されていることを特徴とするロータリースイッチ。
【請求項2】
前記弾性部材には、前記クリック発生部を摺動して係脱可能な係脱部が形成され、前記カバー部材には、前記係脱部が摺動可能な摺動部が形成されると共に、前記摺動部に複数の前記クリック発生部が形成されていることを特徴とする請求項1記載のロータリースイッチ。
【請求項3】
前記カバー部材の前記クリック発生部は、前記摺動部を所定間隔で貫通形成した複数の孔部からなり、前記弾性部材の前記係脱部は、前記孔部に係脱可能な凸状に形成されていることを特徴とする請求項2記載のロータリースイッチ。
【請求項4】
前記ハウジングには、前記空洞部の外周を囲む所定高さのカバー取付部が形成され、前記カバー取付部には、前記カバー部材の前記摺動部の外周縁を折り曲げて形成した係止部が係合して係止可能な係合部が形成されていることを特徴とする請求項2、または3記載のロータリースイッチ。
【請求項5】
前記弾性部材には、前記回転体に固着可能な固着部が形成され、前記固着部を前記回転体に固着して前記回転体と前記弾性部材とが一体化され、前記係脱部は、前記回転体を挟んだ対称位置に一対形成されていることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載のロータリースイッチ。
【請求項6】
前記回転体は、前記ハウジングの前記空洞部に収納されて回転可能な回転基部を有し、この回転基部には、前記可動接点を取付けた摺動子受けが固着されて前記回転体と共に回転可能になっていることを特徴とする請求項2乃至5の何れか1項に記載のロータリースイッチ。
【請求項7】
前記空洞部の前記固定接点を配設した底壁には、前記摺動子受けを回転可能に支持する支持壁が所定高さで突出形成されていることを特徴とする請求項6記載のロータリースイッチ。
【請求項8】
前記カバー部材に形成した前記孔部からなる前記クリック発生部が対向する前記ハウジングの前記カバー取付部には、所定深さの凹部が形成されていることを特徴とする請求項5乃至7の何れか1項に記載のロータリースイッチ。
【請求項9】
前記凹部は、前記クリック発生部と対向する位置の前記カバー取付部に形成した円弧状の凹溝からなることを特徴とする請求項8記載のロータリースイッチ。
【請求項10】
前記空洞部の中心部の前記底壁には、上方に突出する支持軸が形成され、前記支持軸と対抗する前記摺動子受けの回転中心には、前記支持軸に嵌合して回転可能な支持孔が形成されていることを特徴とする請求項7乃至9のいずれか1項に記載のロータリースイッチ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−149429(P2007−149429A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−340238(P2005−340238)
【出願日】平成17年11月25日(2005.11.25)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】