説明

ロータリー式包装機

【課題】従来は、ロータリー式包装機の1工程において、袋口にヘラを挿入して拡開し、袋口のシートを掴み爪で掴み直す必要があったため、包装スピードを上げることができず、包装効率が悪かった。
【解決手段】ロータリー式包装機にガセット袋2を供給する給袋機構が、ガセット袋2を供給する袋供給コンベアと、この袋供給コンベアからガセット袋2を取り出す袋取り機構21と、袋口を開口して次工程に受け渡す袋渡し機構22と、袋口を拡開する一対のヘラ62,63を備えた拡開機構23と、拡開機構23で拡開したガセット袋2の上部をクリップ7で挟持してロータリー式包装機のクランプに受け渡す受け渡し機構24と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シールした袋口を結束して扇形に開いたガセット袋を製造するロータリー式包装機に関し、より詳細には、例えば、ガセット袋を袋供給コンベアからロータリー式包装機に受け渡す際に、内側に折り曲げられたガセット袋の袋口両側をヘラで拡開した後、シールするロータリー式包装機に関する。
【背景技術】
【0002】
ガセット袋は、合成樹脂製の表裏のシートの両側を内側に折り曲げて稜部を形成し、底部を封止した袋体である。ガセット袋は両側を内側に折り曲げて稜部を形成しているために、袋口における両側は4枚のシートが重なることとなるので、通常はこの4枚のシートを重ねてヒートシールする。しかし、袋口を絞って紐等で結束し袋口を扇形に開く場合、両側が4枚重なってヒートシールされたガセット袋では袋口を絞っても、きれいに扇状に開かせることができない。
【0003】
特許文献1では、ガセット袋の袋口を絞って紐等で結束するに際し、ガセット袋の袋口の内側に折り曲げられた両側を横方向に延ばして、表裏のシートを合わせた状態でヒートシールすることのできる包装機を開示している。
【0004】
特許文献1の包装機は、いわゆるロータリー式包装機であって、ガセット袋の供給工程、印字工程、ガセット袋を開口して、両側において2枚の袋シートを掴み爪で掴み直す工程、ガセット袋の開口工程、充填物の充填工程、ガセット袋に振動を与えて開口部等の付着物等を落下する振動工程、検査工程、シール工程、シール部の冷却及び良品排出工程を順次、実施して包装を完成する。
【0005】
ガセット袋は、ガセット袋の供給工程において、袋箱から1袋毎に給袋され、掴み腕(クランプアーム)の先端に付設する掴み爪(クランプ)に渡される。掴み爪は、ガセット袋の両側の4枚のシートを掴んだ状態で、次工程の印字機構にガセット袋を回転搬送する。
【0006】
さらに、ガセット袋を掴み爪で掴み直す工程おいて、一対の吸着体でもってガセット袋の表裏面を吸着して開状態にした後、掴み爪はガセット袋を離し、吸着体によって保持される。
【0007】
開口状態で吸着体によって保持されたガセット袋内に、狭く閉じられたヘラを昇降機構によって降下させて挿入して拡開し、ガセット袋両側を内側に折り込んだ稜部を横方向に延ばす。
【0008】
さらに、シートを表裏から吸着していた吸着体は、吸引を解除して離反を開始し、掴み爪は、ガセット袋の両端の掴み直し操作を開始する。掴み爪は、ヘラに形成された切欠部の箇所を挟持するため、袋口のシートのみを掴む。このため、ヘラは、掴み爪に邪魔されることなく、狭い状態に閉じて上昇しガセット袋の袋口から退出する。
【0009】
そして、この状態を維持し、開口工程でガセット袋を開口した後に、充填工程で充填物を充填し、振動等を行って、開口部をヒートシールすると、2枚のシートがヒートシールされることとなる。その結果、ガセット袋の袋口は、稜部が開いた状態となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平11−49116号公報
【特許文献2】特開昭61−232129号公報
【特許文献3】実開昭60−105305号公報
【特許文献4】実開平1−91709号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、前記特許文献1の包装機は、袋口の稜部を拡開してシールするために、ロータリー式包装機の1工程において、袋口にヘラを挿入して拡開し、袋口のシートを掴み爪で掴み直す工程が必要となるため、ロータリー式包装機の包装スピードを上げることができず、包装効率が悪いという課題を有していた。
【0012】
本発明は、ロータリー式包装機の1工程ではなく、例えば袋供給コンベアから包装機にガセット袋を受け渡す過程においてヘラで袋口の稜部を横方向に開いて包装機に受け渡すことにより、包装効率を上げることができるロータリー式包装機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明のロータリー式包装機は、ロータの外周に複数のクランプアームを備え、このクランプアームの先端にクランプが付設され、給袋機構から渡されたガセット袋を前記クランプで掴んで間歇回転しながら被包装物を充填して袋口をシールするロータリー式包装機であって、前記給袋機構は、ガセット袋を供給する袋供給機構と、この袋供給機構からガセット袋を取り出して袋口を開口する袋取り開口機構と、この袋取り開口機構で開口したガセット袋の袋口内に挿入して袋口を拡開する一対のヘラを備えた拡開機構と、拡開機構で拡開したガセット袋の上部をクリップで挟持してロータリー式包装機のクランプに受け渡す受け渡し機構と、を備えたことを特徴とする。
【0014】
袋供給機構は、ガセット袋を供給する機構であって、ガセット袋を多数積み上げて収納した袋箱や、紐状のコンベアベルトでガセット袋を搬送するコンベアベルト式の袋供給コンベアであってもよい。
【0015】
袋取り開口機構は、実施例1のように、袋取り機構と、袋渡し機構の二つの構成要素から構成してもよいし、実施例2のように、一つの機構で構成してもよい(特許文献2〜特許文献4参照)。先ず、袋取り開口機構を二つの構成要素から構成する場合、袋取り機構は、前記袋供給機構の積載された最上部のガセット袋を吸盤により吸着して持ち上げて次の袋渡し機構に受け渡す。袋渡し機構は、袋取り機構が持ち上げたガセット袋の袋口を開口すると共に、所定の姿勢に保持する。この袋渡し機構は、次の拡開機構が袋口を拡開しやすいようなガセット袋の姿勢を作る。
【0016】
一つの機構で構成する袋取り開口機構は、伸縮してガセット袋の一方の面を吸着保持して回動する第1の吸着アームと、前記第1の吸着アームとは独立に回動可能で、第1の吸着アームが吸着したガセット袋面とは反対側の他方の面を吸着する第2の吸着アームとが、同心の回動軸に軸支し、ガセット袋を吸着保持した第1の吸着アームに、第2の吸着アームが追従して他方の面を吸着し、少なくとも前記第1か第2の何れか一方のアームが収縮又は伸長して袋口を開口する。
【0017】
拡開機構は、袋取り開口機構で開口支持されたガセット袋の袋口両側の稜部を拡開して受け渡し機構に受け渡す。この拡開機構の働きにより、受渡し機構にガセット袋を受け渡す過程において袋口を拡開するので、包装作業の効率化が図れる。
【0018】
受渡し機構は、袋口を拡開したガセット袋の上部をクリップで挟持してロータリー式包装機のクランプに受け渡す。このため、袋口に挿入されたヘラは拡開した状態のまま上方に引き抜くことができる。
【0019】
ロータリー式包装機本体のガセット袋の供給工程において、ガセット袋の両側の一部を、クランプで挟持する前に押さえ板で押さえる押さえ機構を備えたことにより、クランプの挟持するガセット袋の両側の皺を防止できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、前記構成により、ロータリー式包装機にガセット袋を受け渡す過程においてヘラで袋口の稜部を横方向に開いて包装機に受け渡すことにより、包装効率を上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】ロータリー式包装機の全体の概略平面図
【図2】袋供給機構の一種である袋供給コンベア及び袋取り機構の側面図
【図3】ロータリー式包装機にガゼット袋を受け渡す複数の機構の側面図
【図4】袋渡し機構の平面図
【図5】拡開機構の内部構造を示した正面図
【図6】ヘラで拡開したガセット袋をクリップ機構により掴んだ正面図
【図7】受渡し機構がロータリー式包装機にガセット袋を受け渡す側面図
【図8】押さえ機構の側面図
【図9】押さえ機構の正面図
【図10】実施例2の袋取り開口機構の概略側面図
【発明を実施するための形態】
【0022】
(実施例1)
以下において、本実施例1について図面を用いて説明する。図1はロータリー式包装機の全体の平面図である。このロータリー式包装機は、ロータリー式包装機本体1に隣接して、ガセット袋の供給工程においてガセット袋2を供給する袋供給機構3が配置され、搬出工程においてシールしたガセット袋2の袋口4を扇形に折り畳んで、紐等で結束する結束機5が配置されている。前記特許文献1では、掴み爪はガセット袋の両側の4枚のシートを掴んだ状態で挟持するが、本実施例1では、既に、袋供給機構3からロータリー式包装機本体1にガセット袋2を受け渡す給袋機構において、袋口の稜部は横方向に拡開され、ロータリー式包装機本体1のクランプ6Aはその拡開された袋口4の両側部の表裏2枚のシートを掴んでいる。
【0023】
ロータリー式包装機本体1は、ロータ1Aの外周部に放射状に一対のクランプアーム6が8対取り付けられ、各クランプアーム6の先端にクランプ6Aが付設されており、常時はバネ(図示せず)によってクランプ6Aは閉じられている。クランプアーム6の基端部に設けられた開閉体が、カム(共に図示せず)によって押圧されることにより、クランプ6Aは開き、所定の位置にガセット袋2が来た時にカムが退避して、クランプ6Aがバネによって閉じられてガセット袋2を掴む。
【0024】
前記ロータリー式包装機本体1は、(1)のガセット袋の供給工程、(2)の開口吸盤7により袋口を開口し、開口ヘラ8によって開口を保持するガセット袋の袋口開工程、(3)のロート状の筒9により被充填物を充填する被充填物の充填工程、(4)(5)のガセット袋2の底から振動を与えて被充填物の充填態様を整える振動工程、(6)のスポンジ板10で被包装物の入ったガセット袋2を前後から押さえて袋内の空気を抜いて嵩を小さくする空気排出工程、(7)のシーラ11により袋口4をシールするシール工程、(8)のシールしたガセット袋2を搬出する搬出工程を経て、隣接して配置された結束装置5により袋口4を扇形に折り畳んで紐等で結束して包装が完成する。なお、図1において、12は操作パネルにより操作するコントロールボックスである。以下において、各構成要素について説明する。
【0025】
(袋供給機構)
図2は、袋供給機構の一種である袋供給コンベア及び袋取り機構の側面図である。袋供給コンベア3は、長尺なコンベア本体13に複数のプーリー14が配置され、これらのプーリー14と本体13下部に配置された搬送モータ15に、細い紐状のゴムベルト16が掛け渡されて回転し、コンベア本体13の全長に張り渡されたゴムベルト16がコンベア本体13上面から僅かに露出し、コンベア本体13上に重ねて載置されたガセット袋2を袋供給コンベア3の前方に搬送する。
【0026】
さらに、コンベア本体13の上方部には、袋供給コンベア3の前方に位置するガセット袋2を前方に押し出す補助ベルト17が配置され、袋取り開口機構の袋取り機構21により確実に吸着できるように絶えずガセット袋をコンベア本体13の先端に送り出す。なおガセット袋2が確実に先端に送り出されているか否かは接触センサー13Aにより検知する。
【0027】
なお、本実施例1では、ガセット袋2は袋供給コンベア3により供給しているが、ガセット袋2の供給は、図示していないが、従来から周知の積み上げ式の袋箱であってもよい。袋箱は、底板と、底板の両側に立設した側板よりなる箱内に、ガセット袋2を積載して昇降する受け板が内蔵され、この受け板の下方に昇降棒が垂直に設けられている。この昇降棒の一定長さ範囲にはラックが刻設され、このラックが装置フレーム側に固定されたモータの歯車と噛合し、前記受け板を押し上げて、最上部のガセット袋を常に一定のレベルに保持している。
【0028】
前記袋供給コンベア3とロータリー式包装機本体1の間には、図3に示すように、ガセット袋2の袋口4の稜部を拡開して、ロータリー式包装機本体1にガセット袋2を供給する複数の機構からなる給袋機構が配置されている。即ち、袋供給コンベア3から吸盤によりガセット袋2を吸着して持ち上げ、袋口4を開口して垂直に保持する袋取り開口機構と、この袋取り開口機構に保持されたガセット袋2の袋口4の稜部を拡開する拡開機構23と、拡開機構23により袋口が拡開したガセット袋をロータリー式包装機本体1に受け渡す受け渡し機構24とから構成されている。
【0029】
なお、袋供給コンベア3から拡開機構23にガセット袋2を受け渡す際に、袋取り開口機構を介して受け渡しを行うと記載したが、本実施例1では、この袋取り開口機構は、袋取り機構21と袋渡し機構22の2つの機構から構成している。しかし、この袋取り開口機構は後述の実施例2で説明するように、一つの機構で両者の働きをする袋取り開口機構であってもよい。以下に袋取り機構21から順次説明する。
【0030】
(袋取り機構)
袋取り機構21は、主軸25を中心にして回動する袋取りアーム26に、支持体27,27が上下に取り付けられ、この支持体27,27に形成された貫通孔(図示せず)に、ロッド28が嵌め込まれ、このロッド28が前記袋取りアーム26に沿って摺動可能に支持されている。前記ロッド28の支持体27,27間に、スプリング29が外嵌しているため、ロッド28は常時、上方に付勢されている。
【0031】
ロッド28の下端には、金属製の帯状の板体30が水平に固定され、その両端部が下方に直角に折り曲げられ、この両端部に二本の金属製の棒31が上下並行に架け渡されている。この二本の棒31の中央部に合成樹脂製のブロック32が嵌め込まれてネジ33で固定されている。さらに、このブロック32の先端部に一対の吸盤34が取り付けられている。
【0032】
ロッド28の上端部に、輪状のカムヘッド35が取り付けられており、このカムヘッド35を、棒状カム36で押圧することにより、ロッド28が袋取りアーム26に沿って上下方向に摺動する。
【0033】
(袋渡し機構)
図4に示すように、袋渡し機構22は袋渡しアーム37の先端部に固定吸盤ユニット38が取り付けられると共に、この固定吸盤ユニット38のさらに先端部に、前記固定吸盤ユニット38に対して接近、離間する可動吸盤ユニット39を備えている。可動吸盤ユニット39が固定吸盤ユニット38に接近してガセット袋2の袋口4を吸着し、可動吸盤ユニット39が離間することで、ガセット袋2の袋口4を開口する。なお、袋渡し機構22の袋渡しアーム37は、袋取り機構21からガセット袋2を受け取る位置から拡開機構23に受け渡す水平位置の間、回動軸40を中心にして回動する。
【0034】
固定吸盤ユニット38は、袋渡しアーム37の先端部に固定された太L字状のベース板41の先端部に一対の固定吸盤42が横方向に並列に配置されている。なお、ベース板41の後端には固定吸盤42と接続するチューブエルボ43が取り付けられてエアーホース(図示せず)が接続している。
【0035】
図4に示すように、可動吸盤ユニット39は、パイプ状の吸盤取付台44に一対の可動吸盤45が設けられ、袋渡しアーム37に沿って摺動可能に支持されたスライドロッド46の先端部に、可動吸盤45が固定吸盤38と対向して配置されている。前記スライドロッド46は2本のロッドが、袋渡しアーム37に固定された支持体47の貫通孔に嵌め込まれて摺動可能に支持されている。このスライドロッド46の先端部にはスプリング48が外嵌しており、吸盤取付台44がベース板41から離間する方向に常時、付勢されている。
【0036】
スライドロッド46の後端には、輪状のカムヘッド49が取り付けられている。図3に示すように、回動軸40と同心のカムシャフト50に取り付けられた回動カム51が時計方向に回転し、スプリング48の付勢力に抗しながら前記カムヘッド49が引き上げられ、可動吸盤45が固定吸盤42に近接する。逆に、回動カム51が反時計方向に回転すると、カムヘッド49から離れるので、スライドロッド46はスプリング48により下方向に押し下げられ、可動吸盤45が固定吸盤42から離間する。
【0037】
(拡開機構)
次に、拡開機構23について説明する。図5は拡開機構23の内部構造を示した正面図である。拡開機構23を構成する一対のラック52、53、ピニオン54、そして一対のスライダー55,56は、ケーシング57内に収納されており、このケーシング57は、側部に立設する支持ポール58に支持されている。この支持ポール58には、昇降軸59が内嵌しており、この昇降軸59とケーシング57が支持棒60を介して連結し、前記昇降軸59の昇降によりケーシング57が昇降動する。
【0038】
ケーシング57内に、スライダー55,56に保持された一対のラック52,53は、上下からピニオン54と歯合し、上部のラック52と接合する作動ロッド61により往復動し、上下のラック52,53が相互に逆方向に並行移動してヘラ62,63が開閉する。作動ロッド61は、ケーシング57の上部に配置され、一端は前記のように上部のラック52と連結し、他端は回動軸64と回動可能に連結している。作動ロッド61は前記回動軸64の回動によって往復動し、それに伴い上部のラック52が往復動し、ピニオン54を介して下部のラック53も往復動する。
【0039】
スライダー55,56は、ケーシング57内部の正面壁65の下部に水平に設けられたレール体66に、摺動可能に嵌め込まれている。図5に示すように、各スライダー55,56は、前記レール体66の上方に配置された同方向に移動するラック52,53と連結している。
【0040】
図3に示すように、前記各スライダー55,56にL字形の固定金具67がケーシング57から前方に飛び出して取り付けられており、この固定金具67の先端に垂下してヘラ62,63が取り付けられている。これらのヘラ62,63は、先端部が柳葉状の金属製の薄板であって、前記袋渡し機構22が水平な状態で保持した時のガセット袋2の袋口4の上部位置に待機して、ガセット袋2が袋渡し機構22により垂直に保持されると、ケーシング57と共にヘラ62,63が下降して、ヘラ62,63が袋口4内に挿入され、左右方向に開閉して、ガセット袋2の両側の稜部を同時に拡開する。
【0041】
(受け渡し機構)
図6はヘラで拡開したガセット袋をクリップ機構により掴んだ状態を示す正面図、図7は、受渡し機構がロータリー式包装機にガセット袋を受け渡す状態を示す側面図である。受渡し機構24は、拡開機構23の一対のヘラ62,63で拡開、保持されているガセット袋2の袋口4を上方からクリップ機構68で挟持してロータリー式包装機1のクランプアームに水平移動してガセット袋2を受け渡すための働きをする。
【0042】
図7に示すように、受渡し機構24は、直方体ボックス69の一端から、ロータリー式包装機1方向に延びる延長部70の側面壁に摺動レール71が敷設され、この摺動レール71に沿って長尺アーム72が水平方向に往復動する。長尺アーム72は、図7の側面視において太い逆L字形に形成された金属製の板体であって、逆L字の上部、摺動レールと対向する面に、前記摺動レール71に嵌め込まれる摺動体73が取り付けられている。さらに、図6に示すように、長尺アーム72の後端上部は直角に曲げられて、クランクロッド74を介して回動軸75と連結している。回動軸75は、直方体ボックス69の他端部(延長部70から遠い端部)に、垂直に軸支されており、図示していないが、クランク機構等を介してメイン駆動軸と連結している。この回動軸75に連結するクランクロッド74は二本のロッドが軸支しており、前記のように一端は回動軸75に、他端は長尺ロッド72の後端上部に軸支している。
【0043】
長尺アーム72の下端部に、ガセット袋2を掴むためのクリップ機構68を備えている。このクリップ機構68は、一対のクリップ片からなるクリップ76が開閉して、拡開機構23のヘラ62,63で保持されたガセット袋2を上部から挟持する。図6に示すように、クリップ76がガセット袋2の上部中央を挟持することにより、ヘラ62,63を拡開したまま上方に抜いて移動することができ、ヘラ62,63が抜けた後の袋口4の上部両サイドをクランプアームのクランプ6Aが挟むことができる。
【0044】
クリップ76を構成する各クリップ片には扇形の歯車77が設けられ、両歯車77が歯合して一方が回転すると他方は逆方向に回転してガセット袋2の袋口4を挟持する。一方の扇形の歯車77の回動軸の後端の延設片とエアーシリンダ78が連結し、エアーシリンダ78の伸縮によりその力はクリップ片へと伝わって、クリップ76が開閉する。
【0045】
(押さえ機構)
図8に示すように、ヘラ62,63によって袋口の稜部を拡開し、前記受け渡し機構24で、クリップ76によりガセット袋2の上部中央を掴み直すため、クランプアーム6のクランプ6Aの掴む位置に皺があったり、ヘラによって拡開していた稜部が元に戻ろうとして膨らむ。このため、押さえ機構79により、クランプ6Aで掴む部分を押さえた後、ガセット袋2を掴むことにより、ガセット袋2の皺の発生を防止したり、クランプ6Aによる掴み損ねが無くなるようにする。
【0046】
押さえ機構79は、前押さえユニット80と後ろ押さえユニット81とから構成されている。前押さえユニット80は、ガセット袋2の受け渡し位置のクランプ6Aの両外側に、駆動支柱82と従動支柱83が立設し、これらの支柱82,83の上端部に長方形の押さえ板84,85が取り付けられ、クリップ76に掴まれたガセット袋2を押さえる位置と、ガセット袋2から離れる位置との間を回動する。
【0047】
駆動支柱82は、下端部が基台86に軸支しており、図示しないメイン駆動軸により回動する。この駆動支柱82と従動支柱83は連結ロッド87で連結されており、駆動支柱82の回動に伴い、従動支柱83が逆方向に回動し、前記のように押さえ板84,85がガセット袋2を押さえる方向と、離れる方向に回動する。なお、88はガイド板であって、ガセット袋2の受け渡し位置(1)から袋口開位置(2)に回転するガセット袋2が外側に広がらないように案内する。
【0048】
後ろ押さえユニット81は、図8に示すように、ガセット袋2の後ろ側に配置されている。この後ろ押さえユニット81は取付フレーム89の上部に取り付けられたシリンダ90にT字状の受け板91が起立して取り付けられ、この受け板91の上部と、前記一対の押さえ板84,85とが対向するように配置されている。
【0049】
(構成の作用)
以下に、前記構成の作用について説明する。
図3に示すように、前記袋取り機構21の袋取りアーム26が垂下した状態で、棒状カム36により、ロッド28をスプリング29の付勢力に抗しながら下方に押し下げて袋供給コンベア3の最先端上のガセット袋2を吸盤34で吸着する。吸盤34がガセット袋2を吸着すると、棒状カム36が押圧を解除する方向に回転し、スプリング29の付勢力によりロッド28が持ち上げられると共に、吸盤34がガセット袋2を吸着して持ち上げる。
【0050】
吸盤34がガセット袋2を持ち上げて反時計回りに約30度回転すると、その受け渡し位置で、可動吸盤ユニット39を固定吸盤ユニット38から離間して待機していた袋渡し機構22は、回動カム51によってカムヘッド49を介してスライドロッド46を引き上げて、可動吸盤ユニット39を固定吸盤ユニット38に接近させて、可動吸盤45と固定吸盤42でガセット袋2の袋口4を吸着する。ガセット袋2を吸着保持したまま袋渡しアーム37を反時計方向に回転して拡開機構23にガセット袋2を受け渡す水平な状態に保持する。回転する間に、回動カム51を逆回転して固定吸盤42から可動吸盤45をスプリング48の付勢力により離間させ、袋口4を開口する。
【0051】
袋渡しアーム37がガセット袋2を垂直に保持し、袋口4を固定吸盤42と可動吸盤45により開口している状態で、昇降軸59によりケーシング57が下降することによりヘラ62,63も下降し、開口した袋口4内にヘラ62,63が挿入される。回動軸64が回転して作動ロッド61で上部のラック52を引くことによって、上下のラック52,53が左右逆方向に開き、スライダー55,56を介してヘラ62,63が袋口4の稜部を横方向に拡開する。ヘラ62,63が開いた状態で可動吸盤45と固定吸盤44は吸引を停止してガセット袋2から離れ、次のガセット袋2を受け取るための待機状態に戻る。
【0052】
袋渡し機構22が上記のように下方に回動し始めると、図6に示すように、受渡し機構24がヘラ62,63の上部に水平移動し、クリップ76が袋口4の上部中央を摘む。クリップ76が袋口4を掴み終わると、昇降軸59によりケーシング57が上昇し、ヘラ62,63が開いたままの状態で、ガセット袋2の袋口4と接触しない位置まで上昇する。ヘラ62,63が袋口4から抜けると、回動軸75が回転してクランクロッド74及び摺動体73を介して長尺アーム72が摺動レール71に沿って水平移動し、間歇停止しているロータリー式包装機1のクランプアーム6のクランプ6Aにガセット袋2を受け渡す位置まで移動する。
【0053】
クランプ6Aがガセット袋2を掴む前に、後ろ押さえユニット81のシリンダ90が伸長して、T字形の受け板91をガセット袋2側に押し出して支えると同時に、駆動支軸82と従動支軸83が回転して押さえ板84,85でガセット袋2を押さえる。押さえ板84,85でガセット袋2を押さえた後、押さえ板84,85が開くと同時に、クランプ6Aがガセット袋2の両側上部を挟持する。その後、ロータ1Aが回転してガセット袋2を袋口開工程(2)に間歇送りする。
【0054】
以上が、ガセット袋2の袋口4が拡開機構23によって開かれてロータリー式包装機2に受け渡されるまでの説明である。ガセット袋2がクランプ6Aに掴まれた後のロータリー式包装機1の動作については、従来のロータリー式包装機1と同じであるので省略する。なお、ロータリー式包装機1で、前記のようにガセット袋2の稜部を横方向に拡開してシーラ11で袋口を封止した後、結束機5により袋口4を扇形に開いて結束して作業は完了する。
【0055】
本実施例1により、袋供給コンベア3からロータリー式包装機1にガセット袋2を受け渡す過程において、ガセット袋2の袋口4を拡開できるので、袋口4の拡開時間を短縮できて、包装効率が向上する。
【0056】
(実施例2)
前記実施例1では、袋供給機構(袋供給コンベア)3と拡開機構23との間でガセット袋2を受け渡す機構として、袋取り機構21と袋渡し機構22の2つの機構から構成しているが、これらを一つの機構で構成してもよい。
【0057】
図10は、一つの機構で袋取り機構21と袋渡し機構22の働きをする袋取り開口機構20の部分側面図である。この袋取り開口機構20は、吸盤107を備え、伸縮してガセット袋2の一方の面を吸着保持して回動する第1の吸着アーム102と、この第1の吸着アーム102とは独立に回動可能で、第1の吸着アーム102が吸着したガセット袋2の一方の面とは反対側の他方の面を、吸盤103で吸着して袋口を開口する第2の吸着アーム104とで構成されている。これらの吸着アーム102,104は、同心の回動軸105に軸支している。
【0058】
第1の吸着アーム102は、エアーシリンダ106を備え、このエアーシリンダ106のロッドが伸長して、吸盤107が袋供給コンベア3内の最上部のガセット袋2を吸着保持して回転する。この回転する第1の吸着アーム102に、第2の吸着アーム104が追従すると、エアーシリンダ106のロッドが伸長して、他方の面を吸盤103に吸着させると、逆にエアーシリンダ106が収縮して袋口を開口する。
【0059】
袋口を開口すると共に、図示していないが、間隔を狭めた一対のヘラ62,63を袋口内に挿入した後、エアーシリンダ106のロッドを伸長して袋口を閉じる。袋口を閉じると同時に、図示していないが、ヘラ62,63で袋口を拡開する。
【0060】
上記では、第2の吸着アーム104は伸縮しなかったが、この第2の吸着アーム104も前記実施例1の可動吸盤ユニット39のように可動するようにしてもよい。
【0061】
なお、特許文献1のように、ヘラの側部に切欠き部を形成すれば、前記実施例1の受け渡し機構24を無くして、拡開機構23を直接、ロータリー式包装機側に移動させて、クランプ6Aでガセット袋を掴ませることができるが、このような構成の場合、ヘラを袋口から引き抜くために、拡開した状態から、一旦、閉じて上昇しなければならず、包装能力が低下するという課題がある。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は、例えば、袋口を結束して扇形に開いたガセット袋を製造するために用いるロータリー式包装機として有用である。
【符号の説明】
【0063】
1 ロータリー式包装機
2 ガセット袋
3 袋供給コンベア(袋供給機構)
6 クランプアーム
6A クランプ
20 袋取り開口機構
21 袋取り機構
22 袋渡し機構
23 拡開機構
24 受渡し機構
26 袋取りアーム
37 袋渡しアーム
38 固定吸盤ユニッオ
39 可動吸盤ユニット
42 固定吸盤
45 可動吸盤
55 スライダー
56 スライダー
62 ヘラ
63 ヘラ
69 クリップ機構
71 摺動レール
72 長尺アーム
73 摺動体
76 クリップ
79 押さえ機構
80 前押さえユニット
81 後ろ押さえユニット
84 押さえ板
85 押さえ板
91 受け板
102 第1の吸着アーム
103 吸盤
104 第2の吸着アーム
107 吸盤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータの外周に複数のクランプアームを備え、このクランプアームの先端にクランプが付設され、給袋機構から渡されたガセット袋を前記クランプで掴んで間歇回転しながら被包装物を充填して袋口をシールするロータリー式包装機であって、
前記給袋機構は、ガセット袋を供給する袋供給機構と、この袋供給機構からガセット袋を取り出して袋口を開口する袋取り開口機構と、この袋取り開口機構で開口したガセット袋の袋口内に挿入して袋口を拡開する一対のヘラを備えた拡開機構と、拡開機構で拡開したガセット袋の上部をクリップで挟持してロータリー式包装機のクランプに受け渡す受け渡し機構と、
を備えたことを特徴とするロータリー式包装機。
【請求項2】
ロータリー式包装機本体のガセット袋の供給工程において、ガセット袋の両側の一部を、クランプで挟持する前に押さえ板で押さえる押さえ機構を備えた、
ことを特徴とする請求項1に記載のロータリー式包装機。
【請求項3】
袋取り開口機構は、回動する袋取りアームの先端にガセット袋の袋口を吸着して昇降動する吸盤を備えた袋取り機構と、袋渡しアームの先端に固定吸盤ユニットと可動吸盤ユニットとを備え、前記袋取り機構からガセット袋を受け取る位置から、拡開機構に受け渡す位置の間を回動する袋渡し機構と、から構成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のロータリー式包装機。
【請求項4】
袋取り開口機構は、同心の回動軸に、伸縮してガセット袋の一方の面を吸着保持して回動する第1の吸着アームと、前記第1の吸着アームとは独立に回動可能で、第1の吸着アームが吸着したガセット袋面とは反対側の他方の面を吸着する第2の吸着アームと、が軸支し、
ガセット袋を吸着保持した第1の吸着アームに、第2の吸着アームが追従して他方の面を吸着し、少なくとも前記第1か第2の何れか一方のアームが収縮又は伸長して袋口を開口する、
ことを特徴とする請求項1にロータリー式包装機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−35584(P2013−35584A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−174598(P2011−174598)
【出願日】平成23年8月10日(2011.8.10)
【出願人】(000142850)株式会社古川製作所 (76)
【Fターム(参考)】