説明

ローラ装置

【課題】搬送ローラをより効率良く回転できるローラコンベヤを提供する。
【解決手段】外周面11bにS極帯12およびN極帯13が交互に形成された永久磁石11を、電磁石ユニット21の収容凹部22内に同心状に収容させる。収容凹部22の内周面21aからのN極側磁束およびS極側磁束と永久磁石11の外周面11bのS極帯12およびN極帯13との間の磁力で永久磁石11が回転する。電磁石ユニット21の内周面21aと永久磁石11の外周面11bとが面状に対向する。電磁石ユニット21の内周面21aと永久磁石11の外周面11bとをより近接できる。電磁石ユニット21の内周面21aからの磁束を永久磁石11の外周面11bに面状に到達できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、周方向に回転可能なローラを備えたローラ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のローラ装置としてのローラコンベヤとしては、対向して平行に配設された一対のコンベヤフレームを備えている。これら一対のコンベヤフレーム間には、搬送物を搬送する複数の円筒状ローラが回転可能に橋し渡しされた状態で取り付けられている。そして、これら複数の円筒状ローラの一端部には、周方向に向けてS極とN極とが交互に形成された外周面を有する円筒状の永久磁石がそれぞれ取り付けられている。さらに、これら永久磁石が取り付けられている側に位置するコンベヤフレームには、これら永久磁石それぞれの外周面に対向するように細長板状の一次側固定子部材が取り付けられている。
【0003】
この一次側固定子部材には、各円筒状ローラに取り付けられているそれぞれの永久磁石に対応した位置に配設された複数の駆動コイルを備えている。そして、この一次側固定子部材の駆動コイルから磁界を形成させることによって異なる磁界を交互に形成させる。すなわち、これら駆動コイルに対向して配設されている永久磁石との電磁的な引力および反発力によって、この永久磁石を回転駆動させることによって、各円筒状ローラを回転駆動させる構成が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平10−72107号公報(第3−4頁、図1−図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したローラコンベヤでは、各円筒状ローラの一端部に取り付けられている円筒状の永久磁石の外周面に、細長矩形平板状の一次側固定子部材の平板状の各駆動コイルを対向させて配設させている。したがって、これら円筒状の永久磁石と平板状の駆動コイルとが最も接近する部分が、線状のわずかな面積に過ぎない。このため、駆動コイルにて形成される磁界を効率良く永久磁石に届かせることが容易ではないから、これら駆動コイルと永久磁石との間の電磁的な引力あるいは反発力が小さくなってしまう。この結果、この永久磁石を介して円筒状ローラを回転むらなく効率良く回転させることが容易ではないという問題を有している。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、ローラをより効率良く回転できるローラ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載のローラ装置は、回転可能なローラと、このローラの少なくとも一部が挿入され、このローラの少なくとも一部に対して回転磁界を形成させて、このローラを回転駆動させる磁界発生手段とを具備したものである。
【0007】
そして、回転可能なローラの少なくとも一部を磁界発生手段に挿入させたことにより、ローラの少なくとも一部と磁界発生手段とが周方向に向けて面状に対向する。したがって、この磁界発生手段でローラの少なくとも一部に対して回転磁界を形成させることにより、この磁界発生手段で形成する回転磁界がローラの少なくとも一部に効率良く届く。このため、この磁界発生手段で形成する回転磁界によってローラを効率良く回転駆動できる。
【0008】
請求項2記載のローラ装置は、請求項1記載のローラ装置において、ローラは、このローラの同心状に取り付けられた筒状の磁性体を備え、磁界発生手段は、前記磁性体に対して磁界を形成させて、この磁性体を回転させるものである。
【0009】
そして、ローラの同心状に取り付けた筒状の磁性体に対して磁界発生手段が磁界を形成させる。このため、この磁性体と磁界発生手段とが周方向に向けて面状に対向するから、磁界発生手段で形成する磁界が磁性体に効率良く届く。よって、この磁界発生手段で形成する磁界によって磁性体を効率良く回転できるから、この磁性体の回転によってローラを効率良く回転駆動できる。
【0010】
請求項3記載のローラ装置は、請求項2記載のローラ装置において、磁性体は、周方向に向けて異なる磁極が交互に形成された外周面を有し、磁界発生手段は、前記磁性体が回転可能に挿入される収容凹部を有し、この磁性体の外周面に対向する前記収容凹部の内周面で前記磁性体の外周面に形成されている磁極に対応した磁界を形成して、この磁性体により前記ローラを回転駆動させるものである。
【0011】
そして、周方向に向けて異なる磁極が交互に形成された外周面を有する筒状の磁性体を磁界発生手段の収容凹部内に回転可能に挿入させる。このとき、この磁界発生手段の収容凹部の内周面と磁性体の外周面とが周方向に向けて面状に対向する。したがって、この収容凹部の内周面で磁性体の外周面に形成される磁極に対応した磁界を形成することにより、この磁界発生手段の内側面で形成する磁界が磁性体の外周面に効率良く届く。この磁界発生手段の内側面で形成する磁界によってローラを効率良く回転駆動できる。
【0012】
請求項4記載のローラ装置は、請求項3記載のローラ装置において、磁性体は、ローラの一端面に固定され、磁界形成手段は、収容凹部内に磁性体が同心状に取り付けられたものである。
【0013】
そして、ローラの一端面に磁性体を固定し、この磁性体を磁界形成手段の収容凹部内に同心状に取り付けた。この結果、この磁界形成手段の収容凹部の内周面に磁性体の外周面が同心状に対向する。よって、この磁界形成手段の収容凹部の内周面で形成する磁界が磁性体の外周面により効率良く届く。このため、この磁界発生手段の内側面で形成する磁界によってローラをより効率良く回転駆動できる。
【0014】
請求項5記載のローラ装置は、請求項3または4記載のローラ装置において、磁性体は、周方向に向けてS極およびN極が交互に形成された外周面を有する円筒状の永久磁石で、磁界発生手段は、前記磁性体の外周面に形成されるS極およびN極それぞれに少なくとも対応し、収容凹部の周方向に向けて離間されて配設された複数のコイルを備えた円筒状の電磁石ユニットであるものである。
【0015】
そして、磁性体を、周方向に向けてS極およびN極が交互に形成された外周面を有する円筒状の永久磁石とする。また、磁界発生手段を、磁性体の外周面に形成されるS極およびN極それぞれに少なくとも対応し、収容凹部の周方向に向けて離間されて配設された複数のコイルを備えた円柱状の電磁石ユニットとする。この結果、電磁石ユニットの複数のコイルに流れる電流の向きを交互に変換することによって、これら複数のコイルにて形成される磁界の向きを永久磁石のS極およびN極のそれぞれに対応させて変更できる。よって、この永久磁石によるローラの回転駆動をより効率良くできるとともに、このローラの駆動制御をより容易にできる。
【発明の効果】
【0016】
請求項1記載のローラ装置によれば、ローラの少なくとも一部と磁界発生手段とが周方向に向けて面状に対向するから、この磁界発生手段でローラの少なくとも一部に対して回転磁界を形成させることにより、この磁界発生手段で形成する回転磁界がローラの少なくとも一部に効率良く届くので、この磁界発生手段で形成する回転磁界によってローラを効率良く回転駆動できる。
【0017】
請求項2記載のローラ装置によれば、請求項1記載のローラ装置の効果に加え、磁性体と磁界発生手段とが周方向に向けて面状に対向するから、磁界発生手段で形成する磁界が磁性体に効率良く届くので、この磁界発生手段で形成する磁界によって磁性体を効率良く回転できるため、この磁性体の回転によってローラを効率良く回転駆動できる。
【0018】
請求項3記載のローラ装置によれば、請求項2記載のローラ装置の効果に加え、磁界発生手段の収容凹部の内周面と磁性体の外周面とが周方向に向けて面状に対向するから、この収容凹部の内周面で磁性体の外周面に形成される磁極に対応した磁界を形成することにより、この磁界発生手段の内側面で形成する磁界を磁性体の外周面に効率良く届かせることができるので、この磁界発生手段の内側面で形成する磁界によってローラを効率良く回転駆動できる。
【0019】
請求項4記載のローラ装置によれば、請求項3記載のローラ装置の効果に加え、磁界形成手段の収容凹部の内周面に磁性体の外周面が同心状に対向するから、この磁界形成手段の収容凹部の内周面で形成する磁界を磁性体の外周面により効率良く届かせることができるので、この磁界発生手段の内側面で形成する磁界によってローラをより効率良く回転駆動できる。
【0020】
請求項5記載のローラ装置によれば、請求項3または4記載のローラ装置の効果に加え、電磁石ユニットの複数のコイルに流れる電流の向きを交互に変換するだけで、これら複数のコイルにて形成される磁界の向きを永久磁石のS極およびN極のそれぞれに対応させて変更できるから、この永久磁石によるローラの回転駆動をより効率良くできるとともに、このローラの駆動制御をより容易にできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0022】
図1ないし図5において、1はローラ装置としてのローラコンベヤである。そして、このローラコンベヤ1は、電磁的な引力あるいは反発力を交互に切り替えて搬送ローラ2を回転させるリニア駆動コンベヤである。また、このローラコンベヤ1は、搬送ローラ2の回転中心に挿通されたシャフト7を駆動させるコンベヤ装置としてのシャフト駆動コンベヤである。そして、このローラコンベヤ1は、コンベヤ本体3を有している。このコンベヤ本体3には、物品などの搬送物を搬送する搬送方向Fに沿って平坦な搬送面4が形成されている。
【0023】
そして、このコンベヤ本体3は、平行に対向して配設された一対のコンベヤフレーム5,6を備えている。これら一対のコンベヤフレーム5,6間は、所定間隔毎に図示しない横継部材にて接続されて連結されている。さらに、これら一対のコンベヤフレーム5,6には、図4に示すように、脚体8などが取り付けられて、所定の高さに位置するように形成されている。
【0024】
さらに、これら一対のコンベヤフレーム5,6の間には、細長円筒状の円筒状のローラである複数の搬送ローラ2が周方向に回転可能に取り付けられている。これら搬送ローラ2は、コンベヤ本体3の搬送方向Fに直交する幅方向に軸方向を沿わせた状態でそれぞれが回転可能に取り付けられている。さらに、これら搬送ローラ2は、コンベヤ本体3の搬送方向Fに向けて等間隔に離間された状態で、このコンベヤ本体3の搬送面4に沿って並設されている。言い換えると、これら搬送ローラ2は、搬送方向Fに直交する自身の軸周りに回転自在とされている。
【0025】
ここで、これら搬送ローラ2には、回転中心となる軸体としてのシャフト7が中心軸方向に沿った同心状に挿通されて取り付けられて固定されている。これらシャフト7は、搬送ローラ2の中心に挿通された状態で、一対のコンベヤフレーム5,6それぞれの内側面に両端部がそれぞれ周方向に回転可能に取り付けられて軸支されている。
【0026】
そして、これら搬送ローラ2の軸方向に沿った側面部である一端面2aには、磁性体としての円筒状の永久磁石11が所定の間隙を介して取り付けられている。すなわち、これら永久磁石11は、搬送ローラ2の少なくとも一部を構成している。また、これら永久磁石11は、これら永久磁石11が取り付けられている搬送ローラ2を回転可能に支持するシャフト7の外径寸法より若干大きな内径寸法を有する円筒状に形成されている。さらに、これら永久磁石11は、これら永久磁石11の軸方向に沿った一側面である内側面11aを搬送ローラ2の一端面2aに同心状に対向させた状態で、これら搬送ローラ2の一端面2aと内側面11aとの間に所定の間隙を介して離間されて取り付けられている。言い換えると、これら永久磁石11は、これら永久時磁石11の内側面11aを搬送ローラ2の一端面2aに同心状に対向させつつ離間させた状態で、この搬送ローラ2に固定されている。すなわち、これら永久磁石11にもまた、シャフト7が中心軸方向に沿った同心状に挿通されて、このシャフト7に取り付けられて固定されている。
【0027】
さらに、これら永久磁石11の周囲を構成する外周面11bには、図1および図5に示すように、これら永久磁石11の周方向に向けて異なる磁性であるS極の磁束を形成するS極帯12とN極の磁束を形成するN極帯13とが交互に形成されている。すなわち、これら永久磁石11は、これら永久磁石11の外周面11bを、これら永久磁石11の周方向に向けて等間隔に偶数個、例えば8個に均等に分割し、これら8個に均等に分割した各領域が互いに磁性の異なるS極帯12とN極帯13との交互とされている。ここで、これら8個に均等に分割したS極帯12およびN極帯13のそれぞれは、永久磁石11の中心軸方向に沿って分割されている。すなわち、これら永久磁石11は、S極帯12とN極帯13とが外周面11bに交互に配置された円筒状の磁石である。したがって、これら永久磁石11、搬送ローラ2およびシャフト7によって、シャフト駆動ローラ14が構成される。
【0028】
そして、これら永久磁石11は、駆動手段としての磁界発生手段である複数の円筒状の電磁石ユニット21内に挿入されて回転可能に配設されている。これら電磁石ユニット21は、外部磁気力に対して引力あるいは反発力を発生させる磁気力発生手段である。そして、この電磁石ユニット21は、永久磁石11を介して搬送ローラ2を回転駆動させる。また、これら電磁石ユニット21は、搬送ローラ2の軸方向に沿った位置に同心状に取り付けられている。
【0029】
具体的に、これら電磁石ユニット21は、図1ないし図3に示すように、永久磁石11が挿入可能な円筒状に形成されている。そして、これら電磁石ユニット21の中央部には、永久磁石11が同心状に挿入されて入れ込まれる円筒状の収容凹部22が設けられている。この収容凹部22は、電磁石ユニット21の中心軸方向に向けて貫通しており、永久磁石11の外径寸法より大きな内径寸法を有する内周面21aを有している。すなわち、この収容凹部22の内部には、この収容凹部22の内周面21aに、永久磁石11の外周面11bを対向させた状態で、この永久磁石11が同心状に回転可能に収容されている。言い換えると、これら電磁石ユニット21の収容凹部22内には、図1および図2に示すように、対応する永久磁石11の外周面11bに対して収容凹部22の内周面21aを非接触な状態、すなわち所定の間隙を介して同心状に近接されて配設されている。
【0030】
さらに、これら電磁石ユニット21のそれぞれは、各搬送ローラ2に取り付けられている永久磁石11の外側面11cに対向して向かい合う側のコンベヤフレーム5の内側面に取り付けられて固定されている。このとき、これら永久磁石11の外側面11cは、これら永久磁石11の内側面11aの反対側に位置する他側面である。さらに、各電磁石ユニット21には、これら電磁石ユニット21内に収容された永久磁石11および搬送ローラ2に挿通されているシャフト7が中心軸方向に沿った同心状に摺動可能に挿通されている。
【0031】
ここで、これら電磁石ユニット21は、これら電磁石ユニット21の収容凹部22の内周面21aで、この収容凹部22内に配設されている永久磁石11の外周面11bに対して回転磁界を形成して、この永久磁石11を介して、この永久磁石11が取り付けられている搬送ローラ2を回転駆動させる。言い換えると、これら電磁石ユニット21は、これら電磁石ユニット21の収容凹部22の内周面21aから、この収容凹部22内に収容されている永久磁石11の外周面11bに形成されている磁極に対応した磁界を形成する。そして、これら電磁石ユニット21は、永久磁石11の外周面11bと間の電磁的な引力および反発力によって、この永久磁石11を周方向に回転駆動させて、この永久磁石11を介して搬送ローラ2を回転駆動させる。
【0032】
そして、これら電磁石ユニット21それぞれの内部には、図1および図2に示すように、複数、例えば16個の駆動コイル23のそれぞれが放射状に取り付けられている。これら駆動コイル23は、銅線などの導電線を複数巻回させることによって構成された電磁コイルである。すなわち、これら駆動コイル23は、電流を流すことによって磁界を発生させるとともに、永久磁石11の外周面11bとの間に磁力を発生させる。
【0033】
具体的に、これら駆動コイル23は、流す電流の向きを変化させることによってN極側磁束とS極側磁束とを交互に形成できるように構成されている。さらに、これら駆動コイル23は、電磁石ユニット21の軸方向に沿った一側面である外側面21b側から臨んだ状態で、この電磁石ユニット21の収容凹部22の内周面21aとこの電磁石ユニット21の外周面21cとの間に配設されている。このとき、これら駆動コイル23は、電磁石ユニット21の周方向に向けて等間隔に離間された位置であるとともに、この電磁石ユニット21の中心から等しい角度で放射状に拡散された位置に配設されている。
【0034】
また、これら駆動コイル23は、永久磁石11の外周面11bに形成されているS極帯12およびN極帯13の個数に対応した数ほど設けられている。具体的に、これら駆動コイル23は、永久磁石11の外周面11bに形成されているS極帯12およびN極帯13の個数が8個であるので、この8個に対応した2倍の数である16個ほど設けられている。言い換えると、これら駆動コイル23は、永久磁石11の外周面11bに形成されているS極帯12およびN極帯13それぞれに少なくとも対応している。
【0035】
したがって、これら電磁石ユニット21は、これら電磁石ユニット21の各駆動コイル23にて形成される磁束を、これら電磁石ユニット21の収容凹部22内に挿入されて配設されている各永久磁石11の外周面11bに対して面状に到達させる。さらに、これら複数の電磁石ユニット21と永久磁石11によって、各駆動コイル23を主体とした同期モータとしてのリニアモータ24が構成される。そして、各搬送ローラ2は、このリニアモータ24にて回転駆動されるロータとして機能する。このとき、各電磁石ユニット21は、このリニアモータ24の一次側固定子として機能する。
【0036】
次に、上記一実施の形態の動作について説明する。
【0037】
まず、電磁石ユニット21内の駆動コイル23のうち周方向に向けた2個ずつを1組として交互に電流を逆向きに流す。すると、これら駆動コイル23によって電磁石ユニット21の収容凹部22の内周面21aから、N極側磁束とS極側磁束とが周方向に向けて交互に形成される。
【0038】
このとき、これら電磁石ユニット21の収容凹部22の内周面21aから形成されるN極側磁束と永久磁石11の外周面11bに形成されているS極帯12との間、およびこれら電磁石ユニット21の収容凹部22の内周面21aから形成されるS極側磁束と永久磁石11の外周面11bに形成されているN極帯13との間のそれぞれに電磁的な引力が生じる。
【0039】
さらに、これら電磁石ユニット21の収容凹部22の内周面21aから形成されるN極側磁束と永久磁石11の外周面11bに形成されているN極帯13との間、およびこれら電磁石ユニット21の収容凹部22の内周面21aから形成されるS極側磁束と永久磁石11の外周面11bに形成されているS極帯12との間のそれぞれに電磁的な反発力が生じる。
【0040】
この結果、これら電磁石ユニット21の収容凹部22の内周面21aと永久磁石11の外周面11bとの間の電磁的な引力および反発力によって、この永久磁石11が周方向に向けて約45゜ほど回転する。
【0041】
この後、電磁石ユニット21内の駆動コイル23に流した電流の向きを逆向きにして、これら駆動コイル23によって電磁石ユニット21の収容凹部22の内周面21aから形成されるN極側磁束とS極側磁束とを逆転させる。
【0042】
このとき、これら電磁石ユニット21の収容凹部22の内周面21aから形成されるN極側磁束およびS極側磁束との逆転に起因して、永久磁石11の外周面11bに形成されているS極帯12およびN極帯13のそれぞれとの間に電磁的な反発力が生じる。したがって、これら電磁石ユニット21による収容凹部22の内周面21aと永久磁石11の外周面11bとの間の電磁的な反発力によって、この永久磁石11が周方向に向けてさらに約45゜ほど回転する。
【0043】
よって、これら各電磁石ユニット21の各駆動コイル23に流す電流の向きを所定の時間間隔で交互に逆転させることにより、永久磁石11がなめらかに連続して回転し、この永久磁石11の回転に伴って搬送ローラ2がなめらかに連続して回転する。
【0044】
この結果、ローラコンベヤ1の各搬送ローラ2のそれぞれを回転駆動させることによって、これら搬送ローラ2上へと搬送された搬送物が、このローラコンベヤ1の搬送面4において搬送上流側から搬送下流側へと搬送方向Fに沿って搬送される。
【0045】
上述したように、上記一実施の形態によれば、周方向に向けてS極帯12およびN極帯13が交互に形成された外周面11bを有する永久磁石11を、電磁石ユニット21の収容凹部22内に回転可能に収容させて、電磁石ユニット21の収容凹部22内に永久磁石11を同心状に位置させる。さらに、この電磁石ユニット21内の各駆動コイル23によって収容凹部22の内周面21aから周方向に向けて交互にN極側磁束およびS極側磁束を形成させて、これらN極側磁束およびS極側磁束と、永久磁石11の外周面11bに形成されたS極帯12およびN極帯13との間の磁気的な引力あるいは反発力によって、この永久磁石11を回転駆動させる構成とした。
【0046】
この結果、電磁石ユニット21の内周面21aと永久磁石11の外周面11bとが周方向に向けて面状に対向するから、これら電磁石ユニット21の内周面21aと永久磁石11の外周面11bとをより近接できる。このとき、図1に示すように、電磁石ユニット21の各駆動コイル23によって形成される磁束の向きが、この電磁石ユニット21の内周面21aの周方向および永久磁石11の外周面11bの周方向のそれぞれに対して垂直になる。このため、この電磁石ユニット21の内周面21aから形成される磁束を永久磁石11の外周面11bに面状に到達できる。
【0047】
したがって、この電磁石ユニット21の内周面21aから形成される磁束を永久磁石11の外周面11b全体に作用させることができるとともに、この電磁石ユニット21の各駆動コイル23によって収容凹部22の内周面21aから形成させた磁界を、永久磁石11の外周面11bに効率良く届かせることができる。このため、この電磁石ユニット21の内周面21aから形成させた回転磁界によって、永久磁石11を回転むらなど無く効率良く円滑に回転できる。よって、この永久磁石11の回転によって搬送ローラ2を回転むらなど無く効率良く円滑に回転駆動できるから、これら搬送ローラ2の回転駆動を省エネできる。
【0048】
このとき、電磁石ユニット21の各駆動コイル23にて磁束を形成させて、この磁束による作用で永久磁石11を回転させ、この永久磁石11の回転に伴って搬送ローラ2を回転駆動させるリニア駆動機構とした。このため、ローラコンベヤ1の構成が簡略化されて、騒音を小さくでき、高速化を図ることができる。同時に、このローラコンベヤ1のトラブルの発生を減少でき、アキュームレート機能などの付加を容易にできる。
【0049】
また、電磁石ユニット21内に駆動コイル23を周方向に向けて等間隔に離間させて配設して、これら駆動コイル23にて電磁石ユニット21の内周面21aからN極側磁束とS極側磁束とを周方向に向けて交互に形成させる構成とした。同時に、この電磁石ユニット21の内周面21aと永久磁石11の外周面11bとを同心状に対向させる構成とした。この結果、この永久磁石11の外周面11bに交互に形成されるS極帯12およびN極帯13のそれぞれに対して、電磁石ユニット21の内周面21aから形成されるN極側磁束およびS極側磁束のそれぞれを作用できる。したがって、これら電磁石ユニット21と永久磁石11との間に形成される電磁的な引力および反発力をより大きくできる。このため、この電磁石ユニット21にて形成される磁界によって、各搬送ローラ2をより効率良く回転駆動できる。
【0050】
さらに、電磁石ユニット21内の駆動コイル23を永久磁石11のS極帯12およびN極帯13の個数に対応させた個数とし、これら駆動コイル23を電磁石ユニット21の周方向に向けて等間隔に離間させて配設させた。この結果、この電磁石ユニット21内の駆動コイル23に流す電流の向きを交互に変換することによって、これら複数の駆動コイル23にて形成される磁界の向きを永久磁石11のS極帯12およびN極帯13のそれぞれに対応させて、電磁石ユニット21の内周面21aから形成されるN極側磁束をS極側磁束へと変更できるとともにS極側磁束をN極側磁束へと交互に変更できる。したがって、この永久磁石11を介した搬送ローラ2の回転駆動をより効率良くできるとともに、この搬送ローラ2の駆動制御をより容易にできる。
【0051】
また、電磁石ユニット21および永久磁石11による電磁力によって各搬送ローラ2を回転駆動させる構成とした。この結果、これら搬送ローラ2を回転駆動させる駆動手段としての駆動モータなどをコンベヤ本体3の下面に取り付ける必要が無くなるとともに、これら搬送ローラ2にベルトなどを巻回させて、これら搬送ローラ2を連動させて回転駆動させる必要が無くなる。したがって、このコンベヤ本体3の下面に突出した駆動モータやチェーン、ベルトなどの突出物を無くすことができるから、このコンベヤ本体3の構成をより簡略化できる。
【0052】
なお、上記一実施の形態では、搬送ローラ2の一端面2aに永久磁石11を取り付けて、この永久磁石11の外周面にS極帯12およびN極帯13を交互に形成させたが、これら各搬送ローラ2の回転中心に挿通されているシャフト7の一端部を搬送ローラ2の一端面2aよりも突出させて、このシャフト7の一端部の外周面にS極帯12およびN極帯13を交互に形成させて永久磁石としても、上記一実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0053】
また、ローラコンベヤ1の各搬送ローラ2のそれぞれを電磁石ユニット21および永久磁石11間による電磁力にて回転させる構成としたが、これら搬送ローラ2のいずれかを電磁石ユニット21および永久磁石11による電磁力にて回転駆動させて、この搬送ローラ2の回転に伴って他の搬送ローラ2を連動させる構成とすることもできる。
【0054】
さらに、電磁石ユニット21の各駆動コイル23に対して1つずつ逆向きの電流を流して、これら駆動コイル23にて形成される磁束で永久磁石11を回転させることもできる。このとき、この電磁石ユニット21の各駆動コイル23にて形成される磁束をより細かく変化できるので、この電磁石ユニット21にて形成される磁束にて永久磁石11をよりなめらかに回転できる。したがって、この永久磁石11を介して各搬送ローラ2をよりなめらかに連続して回転できる。
【0055】
このとき、電磁石ユニット21の各駆動コイル23の個数を、永久磁石11の外周面11bに形成される磁極、すなわちS極体12およびN極体13の個数に合わせることもできる。
【0056】
また、電磁石ユニット21および永久磁石11による電磁力によって、ベルトコンベヤのベルトを回転駆動させるローラや、ローラコンべヤ1の各搬送ローラ2に巻回されてこれら搬送ローラ2を連動させるベルトを回転させるローラなどを回転駆動させる構成などともできる。さらに、電磁石ユニット21および永久磁石11による電磁力によって、搬送ローラ2を回転させるチェーンを回転駆動させる歯車などや、コロコンベヤの搬送面に取り付けられている複数の搬送回転体であるコロなどを回転駆動させる構成などともできる。
【0057】
さらに、各搬送ローラ2の一端面2aに取り付けられている永久磁石11を、図示しないかご形の回転子や巻き線形の回転子とし、これらかご形の回転子あるいは巻き線型の回転子に対して、電磁石ユニット21の内周面21aから、例えばRST交流などの三相交流や単相の交番磁界などによって回転磁界を形成させて、これらかご形の回転子あるいは巻き線型の回転子を回転させて、各搬送ローラを回転駆動させる構成とすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の一実施の形態のローラ装置を示す説明斜視図である。
【図2】同上ローラ装置を示す説明側面図である。
【図3】同上ローラ装置を示す説明正面図である。
【図4】同上ローラ装置を示す説明斜視図である。
【図5】同上ローラ装置の磁性体を示す説明斜視図である。
【符号の説明】
【0059】
1 ローラ装置としてのローラコンベヤ
2 ローラとしての搬送ローラ
11 磁性体としての永久磁石
11b 外周面
12 S極としてのS極帯
13 N極としてのN極帯
21 磁界発生手段としての電磁石ユニット
21a 内周面
22 収容凹部
23 コイルとしての駆動コイル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能なローラと、
このローラの少なくとも一部が挿入され、このローラの少なくとも一部に対して回転磁界を形成させて、このローラを回転駆動させる磁界発生手段と
を具備したことを特徴としたローラ装置。
【請求項2】
ローラは、このローラの同心状に取り付けられた筒状の磁性体を備え、
磁界発生手段は、前記磁性体に対して磁界を形成させて、この磁性体を回転させる
ことを特徴とした請求項1記載のローラ装置。
【請求項3】
磁性体は、周方向に向けて異なる磁極が交互に形成された外周面を有し、
磁界発生手段は、前記磁性体が回転可能に挿入される収容凹部を有し、この磁性体の外周面に対向する前記収容凹部の内周面で前記磁性体の外周面に形成されている磁極に対応した磁界を形成して、この磁性体により前記ローラを回転駆動させる
ことを特徴とした請求項2記載のローラ装置。
【請求項4】
磁性体は、ローラの一端面に固定され、
磁界形成手段は、収容凹部内に磁性体が同心状に取り付けられた
ことを特徴とした請求項3記載のローラ装置。
【請求項5】
磁性体は、周方向に向けてS極およびN極が交互に形成された外周面を有する円筒状の永久磁石で、
磁界発生手段は、前記磁性体の外周面に形成されるS極およびN極それぞれに少なくとも対応し、収容凹部の周方向に向けて離間されて配設された複数のコイルを備えた円筒状の電磁石ユニットである
ことを特徴とした請求項3または4記載のローラ装置。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図1】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−8275(P2006−8275A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−184542(P2004−184542)
【出願日】平成16年6月23日(2004.6.23)
【出願人】(000103426)オークラ輸送機株式会社 (84)
【Fターム(参考)】