ロールオーバー判定装置
【課題】本発明は、車両のロールレイトと車両の横加速度に基づいて車両のロールオーバーを判定する場合であっても、車両のロールオーバーの判定性能を向上させることができる、ロールオーバー判定装置の提供を目的とする。
【解決手段】車両のロール角と車両の横加速度に応じて、車両のロールレイトと車両の横加速度を判定要素に含むロールオーバー判定基準を所定の選択肢の中から選択する選択手段14と、選択手段14によって選択されたロールオーバー判定基準に従って、車両のロールオーバーを判定する判定手段16とを備える、ロールオーバー判定装置。
【解決手段】車両のロール角と車両の横加速度に応じて、車両のロールレイトと車両の横加速度を判定要素に含むロールオーバー判定基準を所定の選択肢の中から選択する選択手段14と、選択手段14によって選択されたロールオーバー判定基準に従って、車両のロールオーバーを判定する判定手段16とを備える、ロールオーバー判定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のロールオーバー(横転)を判定するロールオーバー判定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術として、車両の横方向に作用する横加速度と車両の前後方向軸周りに作用するロールレイトとが車両の横転発生の要因となる関係を満たしているか否かを判定する判定手段を備えた、車両用横転判定装置が知られている(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1には、横加速度−ロールレイトマップ(特許文献1の図4を参照)の特定の領域内に横加速度及びロールレイトが属するか否かによって、車両の横転を判定する実施例が開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、フリップオーバー、フォールオーバー、トリップオーバーなどのロールオーバーの形態が複数示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4306043号公報
【特許文献2】特開2005−22553号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図1は、車両のロールレイトRRと車両の横加速度Gyを変数とするRR−Gyマップ上に、砂場でのトリップオーバーのときに車両の挙動として検出されるロールレイトと横加速度で表される軌跡αを重ね合わせた図である。横加速度Gyは、車両の横方向に発生する減速度を正の値としたものである。図1には、車両が砂場でつまずいたときの車両の最大ロール角が互いに異なる3種類の軌跡α1〜α3が示されている。α1は最大ロール角が20°の場合を示し、α2は最大ロール角が30°の場合を示し、α3は最大ロール角が90°の場合を示す。すなわち、α1,α2は、車両が砂場でつまずいたものの、ロールオーバーに至らなかったときの軌跡を示しており、α3は、車両が砂場でつまずいた結果、ロールオーバーに至ったときの軌跡を示している。
【0006】
ロールオーバー時に乗員を確実に車室内に保持するためには、車両のロールに伴って乗員頭部がサイドガラスに近づいても、乗員頭部とサイドガラスの間に充分な隙間があるうちに、車両のロールオーバーの判定を完了させ、カーテンシールドエアバッグなどの乗員保護装置を作動させる必要がある。その隙間が不足する時点までの時間(すなわち、乗員頭部とサイドガラスとの隙間が乗員頭部の移動により所定値に達するまでの時間)を、「要求時間」と呼ぶことがある。
【0007】
ところが、図1に例示した軌跡α3で車両の挙動が推移する場合、車両がロールオーバーに至ると予測される車両挙動を示した領域A0bを軌跡α3が通過するため、車両がロールオーバーに至ると判定されるものの、車両がロールオーバーに至ると判定されるタイミングT1が、要求時間D1に間に合わない。
【0008】
これに対し、車両がロールオーバーに至ると判定されるタイミングT1を要求時間D1に間に合わせるため、要求時間D1上の点が領域A0bに属するように境界線L0が原点O側に近づく方向に領域A0bの範囲を広げることが考えられる。しかしながら、領域A0bの境界線L0を原点O側に近づけると、軌跡α2が領域A0bを通過してしまうため、ロールオーバーに至らないような挙動でも、車両がロールオーバーに至ると誤って判定されてしまうおそれがある。
【0009】
このように、車両のロールレイトRRと車両の横加速度Gyに基づいて、車両のロールオーバーを判定する場合、車両の挙動によっては、ロールオーバーを正しく判定することが難しいことがある。
【0010】
そこで、本発明は、車両のロールレイトと車両の横加速度に基づいて車両のロールオーバーを判定する場合であっても、車両のロールオーバーの判定性能を向上させることができる、ロールオーバー判定装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明に係るロールオーバー判定装置は、
車両のロール角と車両の横加速度に応じて、車両のロールレイトと車両の横加速度を判定要素に含むロールオーバー判定基準を所定の選択肢の中から選択する選択手段と、
前記選択手段によって選択されたロールオーバー判定基準に従って、車両のロールオーバーを判定する判定手段とを備えることを特徴とするものである。
【0012】
また、上記目的を達成するため、本発明に係るロールオーバー判定装置は、
車両のロール角を検知するロール角検知手段と、
車両の横加速度を検知する横加速度検知手段と、
前記ロール角検知手段によって検知されたロール角と前記横加速度検知手段によって検知された横加速度に応じて、車両のロールレイトと車両の横加速度を判定要素に含むロールオーバー判定基準を所定の選択肢の中から選択する選択手段と、
前記選択手段によって選択されたロールオーバー判定基準に従って、車両のロールオーバーを判定する判定手段とを備えるものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、車両のロールレイトと車両の横加速度に基づいて車両のロールオーバーを判定する場合であっても、車両のロールオーバーの判定性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】車両のロールレイトRRと車両の横加速度Gyを変数とするRR−Gyマップ上に、砂場でのトリップオーバーのときに車両の挙動として検出されるロールレイトと横加速度で表される軌跡αを重ね合わせた図である。
【図2】本発明の実施形態であるロールオーバー判定装置10のブロック図である。
【図3】ロールオーバー判定装置10の具体例を示したロールオーバー判定装置50のブロック図である。
【図4】トリップオーバーの例を示した図である。
【図5】ロールオーバー判定装置50で行われるRR−Gy判定マップの選択処理を示したフローチャートである。
【図6】車両のロール角RAと車両の横加速度Gyを変数とするRA−GyマップM6上に、砂場でのトリップオーバーのときに車両の挙動として検出されるロール角と横加速度で表される軌跡α1〜α3を重ね合わせた図である。
【図7A】車両のロールレイトRRと車両の横加速度Gyを変数とするRR−GyミドルマップM2上に、砂場でのトリップオーバーのときに車両の挙動として検出されるロール角と横加速度で表される軌跡α1,2を重ね合わせた図である。
【図7B】車両のロールレイトRRと車両の横加速度Gyを変数とするRR−GyローマップM1上に、砂場でのトリップオーバーのときに車両の挙動として検出されるロール角と横加速度で表される軌跡α3を重ね合わせた図である。
【図8】車両のロール角RAと車両の横加速度Gyを変数とするRA−GyマップM6上に、縁石でのトリップオーバーのときに車両の挙動として検出されるロール角と横加速度で表される軌跡α4,α5を重ね合わせた図である。
【図9A】車両のロールレイトRRと車両の横加速度Gyを変数とするRR−GyミドルマップM2上に、縁石でのトリップオーバーのときに車両の挙動として検出されるロール角と横加速度で表される軌跡α4を重ね合わせた図である。
【図9B】車両のロールレイトRRと車両の横加速度Gyを変数とするRR−GyハイマップM4上に、縁石でのトリップオーバーのときに車両の挙動として検出されるロール角と横加速度で表される軌跡α5を重ね合わせた図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態の説明を行う。なお、各図面に示されたマップは、本発明のポイントを説明するため第1象限のみ示し、第2〜4象限については省略している。
【0016】
図2は、本発明の実施形態であるロールオーバー判定装置10のブロック図である。ロールオーバー判定装置10は、車両のロールレイトRRと車両の横加速度Gyを判定要素に含むロールオーバー判定基準Sを所定の選択肢の中から選択する選択手段14と、ロールオーバー判定基準Sに従って車両のロールオーバーを判定する判定手段16とを備える。また、ロールオーバー判定装置10は、車両のロールレイトRRを検出するロールレイト検出手段11と、車両の横加速度Gyを検出する横加速度検出手段13とを備えていてもよい。
【0017】
選択手段14は、車両のロール角RAと車両の横加速度Gyに応じて、ロールオーバー判定基準Sを所定の選択肢の中から選択するものである。
【0018】
車両のロール角RAは、ロール角検知手段によって検知されるとよい。図2の場合、ロールレイト検出手段11とロール角算出手段12によって、ロール角RAが検知される。ロール角算出手段12は、ロールレイト検出手段11によって検出されたロールレイトRRに基づいて、ロール角RAを算出する。すなわち、ロール角算出手段12は、ロールレイトRRを積分することによって、ロール角RAを算出する。
【0019】
また、ロールオーバー判定基準Sを選択するための選択肢は、例えば、ロールオーバー判定装置10に備えられた記憶手段15に予め記憶されているとよい。この場合、選択手段14は、記憶手段15に予め記憶された複数の選択肢である判定基準候補の中から、ロールオーバー判定基準Sを選択する。
【0020】
判定手段16は、選択手段14によって選択されたロールオーバー判定基準Sに従って、車両のロールオーバーを判定する。判定手段16は、例えば、制御装置20に備えられる。制御装置20は、判定手段16の他に、ロール角算出手段12と、選択手段14と、記憶手段15とを備えていてもよい。制御装置20の具体例として、いわゆるECU(電子制御装置)が挙げられる。ロール角算出手段12、選択手段14、判定手段16は、CPU等を備えるマイクロコンピュータによって実現できる。記憶手段15は、マイクロコンピュータ内のメモリによって実現できる。
【0021】
保護装置30は、ロールオーバーの際に乗員を保護するための装置であって、判定手段16の判定結果に応じて作動する。保護装置30の具体例として、カーテンシールドエアバッグ、プリテンショナーシートベルトなどが挙げられる。
【0022】
したがって、ロールオーバー判定装置10によれば、車両のロールの発生時点から所定の時間内に生ずるロール角RAと横加速度Gyの変化態様の違いに応じて所定の選択肢の中から選択されたロールオーバー判定基準Sに従って、ロールオーバーの判定を実施することができる。つまり、ロール角RAと横加速度Gyの変化態様にかかわらず同一のロールオーバー判定基準Sに従ってロールオーバーが判定されるのではなく、ロール角RAと横加速度Gyの変化態様毎にロールオーバー判定基準Sが切り替わるので、ロールレイトRRと横加速度Gyを判定要素に含む適切なロールオーバー判定基準Sに従ってロールオーバーの判定を行うことができる。このように、ロール角RAと横加速度Gyの変化態様に適したロールオーバー判定基準が選択されるので、ロールレイトRRと横加速度Gyに基づいてロールオーバーを判定する場合であっても、ロールオーバーの判定性能を向上させることができる。
【0023】
図3は、ロールオーバー判定装置10の具体例を示したロールオーバー判定装置50のブロック図である。ロールオーバー判定装置50は、ロールオーバーに至る前の車両挙動を表す検出値に基づいてロールオーバーの形態を判別し、判別した形態に応じて、ロールオーバーの判定基準である判定マップを選択的に切り替える。したがって、車両の挙動を表す検出値に応じて選択された、各ロールオーバー形態に特化した判定マップに従って、ロールオーバーの判定を行うので、異なるロールオーバー形態間の背反が考慮された判定マップを用意する必要がなくなる。また、各ロールオーバー形態に応じた判定マップを使用することで、ロールオーバーに至るときのロールオーバー判定の早期化と、ロールオーバーに至らないときの過敏応答(例えば、ロールオーバーに至ると誤って判定するなど)の防止を両立することができる。
【0024】
ロールオーバー判定装置50によって判別可能なロールオーバーの形態の具体例として、フリップオーバー、フォールオーバー、トリップ系ロールオーバー(トリップオーバー)などが挙げられる。
【0025】
図4は、トリップオーバーの例を示した図である。図4(A)は、車両が横滑りをした後に、砂場などの摩擦の大きい路面に進入してつまずくような状況で発生するロールオーバー(以下、「砂場トリップオーバー」という)の形態を示している。砂場トリップオーバーの場合、車両の横滑り中に車両の左右方向の速度変化量Vyが発生するという特徴を有する。図4(B)は、車両が横滑りをした後に、縁石などの固い障害物につまずくような状況で発生するロールオーバー(以下、「縁石トリップオーバー」という)の形態を示している。縁石トリップオーバーの場合、車両の横滑り中に速度変化量Vyが発生し、障害物につまずいた直後に大きな横加速度Gyが発生するという特徴を有する。
【0026】
図3に例示したロールオーバー判定装置50は、ロールレイトセンサ(RRセンサ)41と、ロール角演算部(RA演算部)42と、Gyセンサ43aと、判定マップ選択部44と、判定部46とを備える。
【0027】
ロールレイトセンサ(RRセンサ)41は、図2に例示したロールレイト検出手段11に相当し、車両のロール方向の角速度(ロールレイトRR)を検出する。RA演算部42は、図2に例示したロール角算出手段12に相当し、ロール角RAを演算する。Gyセンサ43aは、図2に例示した横加速度検出手段13に相当し、車両の左右方向(車幅方向)の横加速度Gyを検出する第1の横加速度センサである。横加速度Gyは、車両の左右方向に発生する減速度を含む概念であって、例えば、車両の左右方向に発生する減速度を正の値としたものである。判定マップ選択部44は、図2に例示した選択手段14に相当する。判定部46は、図2に例示した判定手段16に相当する。
【0028】
また、ロールオーバー判定装置50の記憶装置には、ロールオーバーの判定基準である判定マップとして、RR−GyローマップM1、RR−GyミドルマップM2、RR−RAローマップM3、RR−GyハイマップM4、RR−RAハイマップM5が予め記憶されている。また、該記憶装置には、RA−GyマップM6が予め記憶されている。該記憶装置は、図2に例示した記憶手段15に相当する。
【0029】
3つのRR−GyマップM1,M2,M4は、ロールレイトRRと横加速度Gyを変数とする直交座標面上で表される二次元マップであって、例えば、横軸に横加速後Gyがとられ、縦軸にロールレイトRRがとられている。2つのRR−RAマップM3,M5は、ロールレイトRRとロール角RAを変数とする直交座標面上で表される二次元マップであって、例えば、横軸にロール角RAがとられ、縦軸にロールレイトRRがとられている。RA−GyマップM6は、ロール角RAと横加速度Gyを変数とする直交座標面上で表される二次元マップであって、例えば、横軸にロール角RAがとられ、縦軸に横加速度Gyがとられている。
【0030】
また、ロールオーバー判定装置50は、Gyセンサ43aの他に、車両の左右方向の横加速度を検出する第2の横加速度センサとして、Gyセンサ43bを備える。Gyセンサ43bは、Gyセンサ43aが検出可能な横加速度に比べて大きな横加速度を検出することができる、側突(車両の左右方向での衝突)検出用センサである。また、ロールオーバー判定装置50は、Gyセンサ43bの出力信号に基づいて、車両の側突を判定する衝突判定部47を備える。
【0031】
判定マップ選択部44は、ロールオーバーの判定基準として、記憶装置に予め記憶された複数の判定マップの候補の中から、RR−RAマップとRR−Gyマップを、一つずつ選択する。RR−RAマップは、フリップオーバーとフォールオーバーに至るか否かを判定するための判定基準として使用することに適している。RR−Gyマップは、トリップオーバーに至るか否かを判定するための判定基準として使用することに適している。
【0032】
判定部46は、ロールレイトRRの検出値とロール角RAの検出値が、判定マップ選択部44によって選択されたRR−RAマップ上の所定の領域に属するか否かによって、車両がロールオーバーに至るか否かを判定し、両検出値がその領域に属する場合、ロールオーバーに至ると判定し、属しない場合、ロールオーバーに至らないと判定する。これと並列的に、判定部46は、ロールレイトRRの検出値と横加速度Gyの検出値が、判定マップ選択部44によって選択されたRR−Gyマップ上の所定の領域に属するか否かによって、車両がロールオーバーに至るか否かを判定し、両検出値がその領域に属する場合、ロールオーバーに至ると判定し、属しない場合、ロールオーバーに至らないと判定する。これにより、形態の異なる複数のロールオーバーに関して、ロールオーバーに至るか否かを並列的に判定することができる。
【0033】
ここで、判定マップ選択部44は、ロールオーバーの判定基準として、通常状態では(デフォルト状態では)、RR−GyミドルマップM2とRR−RAローマップM3を選択し、RA−GyマップM6に基づくRA−Gy判定(詳細は後述)がオンした場合、RR−GyローマップM1とRR−RAローマップM3を選択し、車両が側突したと判定された場合、RR−GyハイマップM4とRR−RAハイマップM5を選択するように動作させることが好適である。
【0034】
図5は、ロールオーバー判定装置50で行われる「RR−Gyマップ」の選択処理を示したフローチャートである(「RR−RAマップ」の選択処理については省略)。
【0035】
判定マップ選択部44は、ステップS10において、Gyセンサ43bによって横加速度Gyが所定値以上検出された場合、ロールオーバーの一形態であるトリップオーバーの判定基準として、RR−GyローマップM1及びRR−GyミドルマップM2を選択せずに、トリップオーバーの判定感度がRR−GyミドルマップM2に比べて鈍感なRR−GyハイマップM4を選択する(ステップS50)。
【0036】
トリップオーバーの判定感度がRR−GyミドルマップM2に比べて鈍感なRR−GyハイマップM4に従ってロールオーバーが判定される場合、車両の挙動を表す同一の検出値であっても、RR−GyミドルマップM2に従ってロールオーバーが判定される場合に比べて、ロールオーバーに至ると判定されにくくなる。
【0037】
また、Gyセンサ43bによって横加速度Gyが所定値以上検出された場合とは、例えば、縁石などの障害物に側突したとみなせる所定値以上の横加速度Gyが検出されることにより、衝突判定部47によって車両が側突したと判定された場合である。
【0038】
判定マップ選択部44は、ステップS10において、Gyセンサ43bによって横加速度Gyが所定値以上検出されない場合、RA−GyマップM6に基づくRA−Gy判定(詳細は後述)を行う(ステップS20)。判定マップ選択部44は、RA−Gy判定の結果がオフの場合、トリップオーバーの判定基準として、RR−GyミドルマップM2を選択する(ステップS30)。一方、判定マップ選択部44は、RA−Gy判定の結果がオンの場合、トリップオーバーの判定基準として、トリップオーバーの判定感度がRR−GyミドルマップM2に比べて敏感なRR−GyローマップM1を選択する(ステップS40)。
【0039】
トリップオーバーの判定感度がRR−GyミドルマップM2に比べて敏感なRR−GyローマップM1に従ってロールオーバーが判定される場合、車両の挙動を表す同一の検出値であっても、RR−GyミドルマップM2に従ってロールオーバーが判定される場合に比べて、ロールオーバーに至ると判定されやすくなる。
【0040】
次に、図6に基づいて、図5のステップS20で示したRA−GyマップM6に基づくRA−Gy判定について説明する。
【0041】
図6は、車両のロール角RAと車両の横加速度Gyを変数とするRA−GyマップM6上に、砂場でのトリップオーバーのときに車両の挙動として検出されるロール角と横加速度で表される軌跡αを重ね合わせた図である。横加速度Gyは、車両の横方向に発生する減速度を正の値としたものである。図6には、車両が砂場でつまずいたときの車両の最大ロール角が互いに異なる3種類の軌跡α1〜α3が示されている。α1は最大ロール角が20°の場合を示し、α2は最大ロール角が30°の場合を示し、α3は最大ロール角が90°の場合を示す。すなわち、α1,α2は、車両が砂場でつまずいたものの、ロールオーバーに至らなかったときの軌跡を示しており、α3は、車両が砂場でつまずいた結果、ロールオーバーに至ったときの軌跡を示している。
【0042】
また、RA−GyマップM6は、閾値L6によって、領域A6aと領域A6bに区分される。すなわち、閾値L6は、領域A6aと領域A6bの境界線である。
【0043】
判定マップ選択部44は、ロール角RAの検出値と横加速度Gyの検出値が所定の条件を満たさないうちは(すなわち、ロール角RAの検出値と横加速度Gyの検出値が領域A6aに属している限り)、トリップオーバーの判定基準として、RR−GyミドルマップM2を選択する(図5のRA−Gy判定の結果がオフの場合のステップS30に相当)。
【0044】
この場合、図7Aに示されるRR−GyミドルマップM2に従ってロールオーバーに至るか否かが判定される。RR−GyミドルマップM2は、閾値L2によって、車両がロールオーバーに至らないロールレイト及び横加速度を示した領域A2aと、車両がロールオーバーに至るロールレイトと横加速度を示した領域A2bに分けられている。図7Aに示されるように、車両がロールオーバーに至ると予測される車両挙動を示した領域A2bを軌跡α1もα2も通過しないため、車両がロールオーバーに至らないと判定される。
【0045】
一方、判定マップ選択部44は、ロール角RAの検出値と横加速度Gyの検出値が所定の条件を満たした場合(すなわち、ロール角RAの検出値と横加速度Gyの検出値が領域A6bに属した場合)、トリップオーバーの判定基準として、ロール角RAの検出値と横加速度Gyの検出値が所定の条件を満たさない場合に選択される第1の基準であるRR−GyミドルマップM2に比べて、トリップオーバーの判定感度が敏感な第2の基準であるRR−GyローマップM1を選択する(図5のRA−Gy判定の結果がオンの場合のステップS40に相当)。例えば、軌跡α3が閾値L6を横切ったタイミングS1で、トリップオーバーの判定基準が、RR−GyミドルマップM2からRR−GyローマップM1に切り替わる。
【0046】
RR−GyローマップM1が選択された場合、図7Bに示されるRR−GyローマップM1に従ってロールオーバーに至るか否かが判定される。RR−GyローマップM1は、閾値L1によって、車両がロールオーバーに至らないロールレイト及び横加速度を示した領域A1aと、車両がロールオーバーに至るロールレイトと横加速度を示した領域A1bに分けられている。
【0047】
したがって、図7Bに示されるように、車両がロールオーバーに至ると予測される車両挙動を示した領域A1bを軌跡α3が通過するため、車両がロールオーバーに至ると判定される。また、トリップオーバーの判定基準がRR−GyミドルマップM2からRR−GyローマップM1に切り替わったタイミングS1の後、RR−GyローマップM1に従って車両がロールオーバーに至ると判定されるタイミングT2を、要求時間D2に間に合わせることができる。
【0048】
なお、図7A,Bに示されるように、RR−GyローマップM1(図7B)によるトリップオーバーの判定感度を、RR−GyミドルマップM2(図7A)に比べて敏感にするため、RR−GyローマップM1上のロールオーバーに至ると判定される領域A1bの閾値L1は、RR−GyミドルマップM2上のロールオーバーに至ると判定される領域A2bの閾値L2に比べて、RR−Gyマップの原点Oから近い位置に設定されている。
【0049】
また、判定マップ選択部44は、ロール角RAの検出値と横加速度Gyの検出値が所定の条件を満たすか否かにかかわらず(すなわち、ロール角RAの検出値と横加速度Gyの検出値が図6,8に示した領域A6bに属するか否かにかかわらず)、横加速度Gyが図8に示した所定値L7以上検出された場合、トリップオーバーの判定基準として、RR−GyミドルマップM2及びRR−GyローマップM1を選択せずに、RR−GyミドルマップM2に比べて、トリップオーバーの判定感度が鈍感な第3の基準であるRR−GyハイマップM4を選択する(図5のステップS50に相当)。
【0050】
図8は、車両のロール角RAと車両の横加速度Gyを変数とするRA−GyマップM6上に、縁石でのトリップオーバーのときに車両の挙動として検出されるロール角と横加速度で表される軌跡α4,α5を重ね合わせた図である。横加速度Gyは、車両の横方向に発生する減速度を正の値としたものである。図8には、車両が縁石でつまずいたときの車両の最大ロール角が互いに異なる2種類の軌跡α4,α5が示されている。α4は最大ロール角が10°の場合を示し、α5は最大ロール角が90°の場合を示す。すなわち、α4は、車両が縁石でつまずいたものの、ロールオーバーに至らなかったときの軌跡を示しており、α5は、車両が縁石でつまずいた結果、ロールオーバーに至ったときの軌跡を示している。また、A7は、横加速度Gyの検出値が所定値L7以上の領域を示している。
【0051】
判定マップ選択部44は、横加速度Gyが所定値L7以上検出されない限り、トリップオーバーの判定基準として、RR−GyハイマップM4を選択しない(図5のステップS10の結果がオフの場合に相当)。この後、上述したように、図5のRA−Gy判定の結果がオフの場合であれば、図7A,図9Aに示されるRR−GyミドルマップM2に従ってロールオーバーに至るか否かが判定され、図5のRA−Gy判定の結果がオンの場合であれば、図7Bに示されるRR−GyローマップM1に従ってロールオーバーに至るか否かが判定される。図8に示された軌跡α4で表される車両挙動の場合、軌跡α4が領域A6bを通過することにより図5のRA−Gy判定の結果がオンになるので、図7Bに示されるRR−GyローマップM1に従ってロールオーバーに至るか否かが判定される。
【0052】
一方、判定マップ選択部44は、横加速度Gyが所定値L7以上検出された場合、トリップオーバーの判定基準として、RR−GyハイマップM4を選択する(図5のステップS50に相当)。
【0053】
RR−GyハイマップM4が選択された場合、図9Bに示されるRR−GyハイマップM4に従ってロールオーバーに至るか否かが判定される。RR−GyハイマップM4は、閾値L4によって、車両がロールオーバーに至らないロールレイト及び横加速度を示した領域A4aと、車両がロールオーバーに至るロールレイトと横加速度を示した領域A4bに分けられている。
【0054】
したがって、図9Bに示されるように、車両がロールオーバーに至ると予測される車両挙動を示した領域A4bを軌跡α5が通過するため、車両がロールオーバーに至ると判定される。また、RR−GyハイマップM4に従って車両がロールオーバーに至ると判定されるタイミングT3を、要求時間D4に間に合わせることができる。
【0055】
なお、図9A,Bに示されるように、RR−GyハイマップM4(図9B)によるトリップオーバーの判定感度を、RR−GyミドルマップM2(図9A)に比べて鈍感にするため、RR−GyハイマップM4上のロールオーバーに至ると判定される領域A4bの閾値L4は、RR−GyミドルマップM2上のロールオーバーに至ると判定される領域A2bの閾値L2に比べて、RR−Gyマップの原点Oから遠い位置に設定されている。
【0056】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0057】
例えば、各図のマップ上に設定された閾値は、車両(の種類)毎に適切な場所が異なるため、各図に示した閾値の位置に限られない。これらの閾値は、実験やシミュレーションなどの結果に基づいて、適切な位置を設定すればよい。
【符号の説明】
【0058】
10,50 ロールオーバー判定装置
11 ロールレイト検出手段
12 ロール角算出手段
13 横方向加速度検出手段
14 判定基準選択手段
15 記憶手段
16 判定手段
20 制御装置
30 保護装置
RR ロールレイト
RA ロール角
Gy 横加速度
α 車両の挙動の推移を表す軌跡
A* 領域
D* 要求時間
L* 閾値
T* 判定タイミング
S1 マップ切替タイミング
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のロールオーバー(横転)を判定するロールオーバー判定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術として、車両の横方向に作用する横加速度と車両の前後方向軸周りに作用するロールレイトとが車両の横転発生の要因となる関係を満たしているか否かを判定する判定手段を備えた、車両用横転判定装置が知られている(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1には、横加速度−ロールレイトマップ(特許文献1の図4を参照)の特定の領域内に横加速度及びロールレイトが属するか否かによって、車両の横転を判定する実施例が開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、フリップオーバー、フォールオーバー、トリップオーバーなどのロールオーバーの形態が複数示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4306043号公報
【特許文献2】特開2005−22553号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図1は、車両のロールレイトRRと車両の横加速度Gyを変数とするRR−Gyマップ上に、砂場でのトリップオーバーのときに車両の挙動として検出されるロールレイトと横加速度で表される軌跡αを重ね合わせた図である。横加速度Gyは、車両の横方向に発生する減速度を正の値としたものである。図1には、車両が砂場でつまずいたときの車両の最大ロール角が互いに異なる3種類の軌跡α1〜α3が示されている。α1は最大ロール角が20°の場合を示し、α2は最大ロール角が30°の場合を示し、α3は最大ロール角が90°の場合を示す。すなわち、α1,α2は、車両が砂場でつまずいたものの、ロールオーバーに至らなかったときの軌跡を示しており、α3は、車両が砂場でつまずいた結果、ロールオーバーに至ったときの軌跡を示している。
【0006】
ロールオーバー時に乗員を確実に車室内に保持するためには、車両のロールに伴って乗員頭部がサイドガラスに近づいても、乗員頭部とサイドガラスの間に充分な隙間があるうちに、車両のロールオーバーの判定を完了させ、カーテンシールドエアバッグなどの乗員保護装置を作動させる必要がある。その隙間が不足する時点までの時間(すなわち、乗員頭部とサイドガラスとの隙間が乗員頭部の移動により所定値に達するまでの時間)を、「要求時間」と呼ぶことがある。
【0007】
ところが、図1に例示した軌跡α3で車両の挙動が推移する場合、車両がロールオーバーに至ると予測される車両挙動を示した領域A0bを軌跡α3が通過するため、車両がロールオーバーに至ると判定されるものの、車両がロールオーバーに至ると判定されるタイミングT1が、要求時間D1に間に合わない。
【0008】
これに対し、車両がロールオーバーに至ると判定されるタイミングT1を要求時間D1に間に合わせるため、要求時間D1上の点が領域A0bに属するように境界線L0が原点O側に近づく方向に領域A0bの範囲を広げることが考えられる。しかしながら、領域A0bの境界線L0を原点O側に近づけると、軌跡α2が領域A0bを通過してしまうため、ロールオーバーに至らないような挙動でも、車両がロールオーバーに至ると誤って判定されてしまうおそれがある。
【0009】
このように、車両のロールレイトRRと車両の横加速度Gyに基づいて、車両のロールオーバーを判定する場合、車両の挙動によっては、ロールオーバーを正しく判定することが難しいことがある。
【0010】
そこで、本発明は、車両のロールレイトと車両の横加速度に基づいて車両のロールオーバーを判定する場合であっても、車両のロールオーバーの判定性能を向上させることができる、ロールオーバー判定装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明に係るロールオーバー判定装置は、
車両のロール角と車両の横加速度に応じて、車両のロールレイトと車両の横加速度を判定要素に含むロールオーバー判定基準を所定の選択肢の中から選択する選択手段と、
前記選択手段によって選択されたロールオーバー判定基準に従って、車両のロールオーバーを判定する判定手段とを備えることを特徴とするものである。
【0012】
また、上記目的を達成するため、本発明に係るロールオーバー判定装置は、
車両のロール角を検知するロール角検知手段と、
車両の横加速度を検知する横加速度検知手段と、
前記ロール角検知手段によって検知されたロール角と前記横加速度検知手段によって検知された横加速度に応じて、車両のロールレイトと車両の横加速度を判定要素に含むロールオーバー判定基準を所定の選択肢の中から選択する選択手段と、
前記選択手段によって選択されたロールオーバー判定基準に従って、車両のロールオーバーを判定する判定手段とを備えるものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、車両のロールレイトと車両の横加速度に基づいて車両のロールオーバーを判定する場合であっても、車両のロールオーバーの判定性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】車両のロールレイトRRと車両の横加速度Gyを変数とするRR−Gyマップ上に、砂場でのトリップオーバーのときに車両の挙動として検出されるロールレイトと横加速度で表される軌跡αを重ね合わせた図である。
【図2】本発明の実施形態であるロールオーバー判定装置10のブロック図である。
【図3】ロールオーバー判定装置10の具体例を示したロールオーバー判定装置50のブロック図である。
【図4】トリップオーバーの例を示した図である。
【図5】ロールオーバー判定装置50で行われるRR−Gy判定マップの選択処理を示したフローチャートである。
【図6】車両のロール角RAと車両の横加速度Gyを変数とするRA−GyマップM6上に、砂場でのトリップオーバーのときに車両の挙動として検出されるロール角と横加速度で表される軌跡α1〜α3を重ね合わせた図である。
【図7A】車両のロールレイトRRと車両の横加速度Gyを変数とするRR−GyミドルマップM2上に、砂場でのトリップオーバーのときに車両の挙動として検出されるロール角と横加速度で表される軌跡α1,2を重ね合わせた図である。
【図7B】車両のロールレイトRRと車両の横加速度Gyを変数とするRR−GyローマップM1上に、砂場でのトリップオーバーのときに車両の挙動として検出されるロール角と横加速度で表される軌跡α3を重ね合わせた図である。
【図8】車両のロール角RAと車両の横加速度Gyを変数とするRA−GyマップM6上に、縁石でのトリップオーバーのときに車両の挙動として検出されるロール角と横加速度で表される軌跡α4,α5を重ね合わせた図である。
【図9A】車両のロールレイトRRと車両の横加速度Gyを変数とするRR−GyミドルマップM2上に、縁石でのトリップオーバーのときに車両の挙動として検出されるロール角と横加速度で表される軌跡α4を重ね合わせた図である。
【図9B】車両のロールレイトRRと車両の横加速度Gyを変数とするRR−GyハイマップM4上に、縁石でのトリップオーバーのときに車両の挙動として検出されるロール角と横加速度で表される軌跡α5を重ね合わせた図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態の説明を行う。なお、各図面に示されたマップは、本発明のポイントを説明するため第1象限のみ示し、第2〜4象限については省略している。
【0016】
図2は、本発明の実施形態であるロールオーバー判定装置10のブロック図である。ロールオーバー判定装置10は、車両のロールレイトRRと車両の横加速度Gyを判定要素に含むロールオーバー判定基準Sを所定の選択肢の中から選択する選択手段14と、ロールオーバー判定基準Sに従って車両のロールオーバーを判定する判定手段16とを備える。また、ロールオーバー判定装置10は、車両のロールレイトRRを検出するロールレイト検出手段11と、車両の横加速度Gyを検出する横加速度検出手段13とを備えていてもよい。
【0017】
選択手段14は、車両のロール角RAと車両の横加速度Gyに応じて、ロールオーバー判定基準Sを所定の選択肢の中から選択するものである。
【0018】
車両のロール角RAは、ロール角検知手段によって検知されるとよい。図2の場合、ロールレイト検出手段11とロール角算出手段12によって、ロール角RAが検知される。ロール角算出手段12は、ロールレイト検出手段11によって検出されたロールレイトRRに基づいて、ロール角RAを算出する。すなわち、ロール角算出手段12は、ロールレイトRRを積分することによって、ロール角RAを算出する。
【0019】
また、ロールオーバー判定基準Sを選択するための選択肢は、例えば、ロールオーバー判定装置10に備えられた記憶手段15に予め記憶されているとよい。この場合、選択手段14は、記憶手段15に予め記憶された複数の選択肢である判定基準候補の中から、ロールオーバー判定基準Sを選択する。
【0020】
判定手段16は、選択手段14によって選択されたロールオーバー判定基準Sに従って、車両のロールオーバーを判定する。判定手段16は、例えば、制御装置20に備えられる。制御装置20は、判定手段16の他に、ロール角算出手段12と、選択手段14と、記憶手段15とを備えていてもよい。制御装置20の具体例として、いわゆるECU(電子制御装置)が挙げられる。ロール角算出手段12、選択手段14、判定手段16は、CPU等を備えるマイクロコンピュータによって実現できる。記憶手段15は、マイクロコンピュータ内のメモリによって実現できる。
【0021】
保護装置30は、ロールオーバーの際に乗員を保護するための装置であって、判定手段16の判定結果に応じて作動する。保護装置30の具体例として、カーテンシールドエアバッグ、プリテンショナーシートベルトなどが挙げられる。
【0022】
したがって、ロールオーバー判定装置10によれば、車両のロールの発生時点から所定の時間内に生ずるロール角RAと横加速度Gyの変化態様の違いに応じて所定の選択肢の中から選択されたロールオーバー判定基準Sに従って、ロールオーバーの判定を実施することができる。つまり、ロール角RAと横加速度Gyの変化態様にかかわらず同一のロールオーバー判定基準Sに従ってロールオーバーが判定されるのではなく、ロール角RAと横加速度Gyの変化態様毎にロールオーバー判定基準Sが切り替わるので、ロールレイトRRと横加速度Gyを判定要素に含む適切なロールオーバー判定基準Sに従ってロールオーバーの判定を行うことができる。このように、ロール角RAと横加速度Gyの変化態様に適したロールオーバー判定基準が選択されるので、ロールレイトRRと横加速度Gyに基づいてロールオーバーを判定する場合であっても、ロールオーバーの判定性能を向上させることができる。
【0023】
図3は、ロールオーバー判定装置10の具体例を示したロールオーバー判定装置50のブロック図である。ロールオーバー判定装置50は、ロールオーバーに至る前の車両挙動を表す検出値に基づいてロールオーバーの形態を判別し、判別した形態に応じて、ロールオーバーの判定基準である判定マップを選択的に切り替える。したがって、車両の挙動を表す検出値に応じて選択された、各ロールオーバー形態に特化した判定マップに従って、ロールオーバーの判定を行うので、異なるロールオーバー形態間の背反が考慮された判定マップを用意する必要がなくなる。また、各ロールオーバー形態に応じた判定マップを使用することで、ロールオーバーに至るときのロールオーバー判定の早期化と、ロールオーバーに至らないときの過敏応答(例えば、ロールオーバーに至ると誤って判定するなど)の防止を両立することができる。
【0024】
ロールオーバー判定装置50によって判別可能なロールオーバーの形態の具体例として、フリップオーバー、フォールオーバー、トリップ系ロールオーバー(トリップオーバー)などが挙げられる。
【0025】
図4は、トリップオーバーの例を示した図である。図4(A)は、車両が横滑りをした後に、砂場などの摩擦の大きい路面に進入してつまずくような状況で発生するロールオーバー(以下、「砂場トリップオーバー」という)の形態を示している。砂場トリップオーバーの場合、車両の横滑り中に車両の左右方向の速度変化量Vyが発生するという特徴を有する。図4(B)は、車両が横滑りをした後に、縁石などの固い障害物につまずくような状況で発生するロールオーバー(以下、「縁石トリップオーバー」という)の形態を示している。縁石トリップオーバーの場合、車両の横滑り中に速度変化量Vyが発生し、障害物につまずいた直後に大きな横加速度Gyが発生するという特徴を有する。
【0026】
図3に例示したロールオーバー判定装置50は、ロールレイトセンサ(RRセンサ)41と、ロール角演算部(RA演算部)42と、Gyセンサ43aと、判定マップ選択部44と、判定部46とを備える。
【0027】
ロールレイトセンサ(RRセンサ)41は、図2に例示したロールレイト検出手段11に相当し、車両のロール方向の角速度(ロールレイトRR)を検出する。RA演算部42は、図2に例示したロール角算出手段12に相当し、ロール角RAを演算する。Gyセンサ43aは、図2に例示した横加速度検出手段13に相当し、車両の左右方向(車幅方向)の横加速度Gyを検出する第1の横加速度センサである。横加速度Gyは、車両の左右方向に発生する減速度を含む概念であって、例えば、車両の左右方向に発生する減速度を正の値としたものである。判定マップ選択部44は、図2に例示した選択手段14に相当する。判定部46は、図2に例示した判定手段16に相当する。
【0028】
また、ロールオーバー判定装置50の記憶装置には、ロールオーバーの判定基準である判定マップとして、RR−GyローマップM1、RR−GyミドルマップM2、RR−RAローマップM3、RR−GyハイマップM4、RR−RAハイマップM5が予め記憶されている。また、該記憶装置には、RA−GyマップM6が予め記憶されている。該記憶装置は、図2に例示した記憶手段15に相当する。
【0029】
3つのRR−GyマップM1,M2,M4は、ロールレイトRRと横加速度Gyを変数とする直交座標面上で表される二次元マップであって、例えば、横軸に横加速後Gyがとられ、縦軸にロールレイトRRがとられている。2つのRR−RAマップM3,M5は、ロールレイトRRとロール角RAを変数とする直交座標面上で表される二次元マップであって、例えば、横軸にロール角RAがとられ、縦軸にロールレイトRRがとられている。RA−GyマップM6は、ロール角RAと横加速度Gyを変数とする直交座標面上で表される二次元マップであって、例えば、横軸にロール角RAがとられ、縦軸に横加速度Gyがとられている。
【0030】
また、ロールオーバー判定装置50は、Gyセンサ43aの他に、車両の左右方向の横加速度を検出する第2の横加速度センサとして、Gyセンサ43bを備える。Gyセンサ43bは、Gyセンサ43aが検出可能な横加速度に比べて大きな横加速度を検出することができる、側突(車両の左右方向での衝突)検出用センサである。また、ロールオーバー判定装置50は、Gyセンサ43bの出力信号に基づいて、車両の側突を判定する衝突判定部47を備える。
【0031】
判定マップ選択部44は、ロールオーバーの判定基準として、記憶装置に予め記憶された複数の判定マップの候補の中から、RR−RAマップとRR−Gyマップを、一つずつ選択する。RR−RAマップは、フリップオーバーとフォールオーバーに至るか否かを判定するための判定基準として使用することに適している。RR−Gyマップは、トリップオーバーに至るか否かを判定するための判定基準として使用することに適している。
【0032】
判定部46は、ロールレイトRRの検出値とロール角RAの検出値が、判定マップ選択部44によって選択されたRR−RAマップ上の所定の領域に属するか否かによって、車両がロールオーバーに至るか否かを判定し、両検出値がその領域に属する場合、ロールオーバーに至ると判定し、属しない場合、ロールオーバーに至らないと判定する。これと並列的に、判定部46は、ロールレイトRRの検出値と横加速度Gyの検出値が、判定マップ選択部44によって選択されたRR−Gyマップ上の所定の領域に属するか否かによって、車両がロールオーバーに至るか否かを判定し、両検出値がその領域に属する場合、ロールオーバーに至ると判定し、属しない場合、ロールオーバーに至らないと判定する。これにより、形態の異なる複数のロールオーバーに関して、ロールオーバーに至るか否かを並列的に判定することができる。
【0033】
ここで、判定マップ選択部44は、ロールオーバーの判定基準として、通常状態では(デフォルト状態では)、RR−GyミドルマップM2とRR−RAローマップM3を選択し、RA−GyマップM6に基づくRA−Gy判定(詳細は後述)がオンした場合、RR−GyローマップM1とRR−RAローマップM3を選択し、車両が側突したと判定された場合、RR−GyハイマップM4とRR−RAハイマップM5を選択するように動作させることが好適である。
【0034】
図5は、ロールオーバー判定装置50で行われる「RR−Gyマップ」の選択処理を示したフローチャートである(「RR−RAマップ」の選択処理については省略)。
【0035】
判定マップ選択部44は、ステップS10において、Gyセンサ43bによって横加速度Gyが所定値以上検出された場合、ロールオーバーの一形態であるトリップオーバーの判定基準として、RR−GyローマップM1及びRR−GyミドルマップM2を選択せずに、トリップオーバーの判定感度がRR−GyミドルマップM2に比べて鈍感なRR−GyハイマップM4を選択する(ステップS50)。
【0036】
トリップオーバーの判定感度がRR−GyミドルマップM2に比べて鈍感なRR−GyハイマップM4に従ってロールオーバーが判定される場合、車両の挙動を表す同一の検出値であっても、RR−GyミドルマップM2に従ってロールオーバーが判定される場合に比べて、ロールオーバーに至ると判定されにくくなる。
【0037】
また、Gyセンサ43bによって横加速度Gyが所定値以上検出された場合とは、例えば、縁石などの障害物に側突したとみなせる所定値以上の横加速度Gyが検出されることにより、衝突判定部47によって車両が側突したと判定された場合である。
【0038】
判定マップ選択部44は、ステップS10において、Gyセンサ43bによって横加速度Gyが所定値以上検出されない場合、RA−GyマップM6に基づくRA−Gy判定(詳細は後述)を行う(ステップS20)。判定マップ選択部44は、RA−Gy判定の結果がオフの場合、トリップオーバーの判定基準として、RR−GyミドルマップM2を選択する(ステップS30)。一方、判定マップ選択部44は、RA−Gy判定の結果がオンの場合、トリップオーバーの判定基準として、トリップオーバーの判定感度がRR−GyミドルマップM2に比べて敏感なRR−GyローマップM1を選択する(ステップS40)。
【0039】
トリップオーバーの判定感度がRR−GyミドルマップM2に比べて敏感なRR−GyローマップM1に従ってロールオーバーが判定される場合、車両の挙動を表す同一の検出値であっても、RR−GyミドルマップM2に従ってロールオーバーが判定される場合に比べて、ロールオーバーに至ると判定されやすくなる。
【0040】
次に、図6に基づいて、図5のステップS20で示したRA−GyマップM6に基づくRA−Gy判定について説明する。
【0041】
図6は、車両のロール角RAと車両の横加速度Gyを変数とするRA−GyマップM6上に、砂場でのトリップオーバーのときに車両の挙動として検出されるロール角と横加速度で表される軌跡αを重ね合わせた図である。横加速度Gyは、車両の横方向に発生する減速度を正の値としたものである。図6には、車両が砂場でつまずいたときの車両の最大ロール角が互いに異なる3種類の軌跡α1〜α3が示されている。α1は最大ロール角が20°の場合を示し、α2は最大ロール角が30°の場合を示し、α3は最大ロール角が90°の場合を示す。すなわち、α1,α2は、車両が砂場でつまずいたものの、ロールオーバーに至らなかったときの軌跡を示しており、α3は、車両が砂場でつまずいた結果、ロールオーバーに至ったときの軌跡を示している。
【0042】
また、RA−GyマップM6は、閾値L6によって、領域A6aと領域A6bに区分される。すなわち、閾値L6は、領域A6aと領域A6bの境界線である。
【0043】
判定マップ選択部44は、ロール角RAの検出値と横加速度Gyの検出値が所定の条件を満たさないうちは(すなわち、ロール角RAの検出値と横加速度Gyの検出値が領域A6aに属している限り)、トリップオーバーの判定基準として、RR−GyミドルマップM2を選択する(図5のRA−Gy判定の結果がオフの場合のステップS30に相当)。
【0044】
この場合、図7Aに示されるRR−GyミドルマップM2に従ってロールオーバーに至るか否かが判定される。RR−GyミドルマップM2は、閾値L2によって、車両がロールオーバーに至らないロールレイト及び横加速度を示した領域A2aと、車両がロールオーバーに至るロールレイトと横加速度を示した領域A2bに分けられている。図7Aに示されるように、車両がロールオーバーに至ると予測される車両挙動を示した領域A2bを軌跡α1もα2も通過しないため、車両がロールオーバーに至らないと判定される。
【0045】
一方、判定マップ選択部44は、ロール角RAの検出値と横加速度Gyの検出値が所定の条件を満たした場合(すなわち、ロール角RAの検出値と横加速度Gyの検出値が領域A6bに属した場合)、トリップオーバーの判定基準として、ロール角RAの検出値と横加速度Gyの検出値が所定の条件を満たさない場合に選択される第1の基準であるRR−GyミドルマップM2に比べて、トリップオーバーの判定感度が敏感な第2の基準であるRR−GyローマップM1を選択する(図5のRA−Gy判定の結果がオンの場合のステップS40に相当)。例えば、軌跡α3が閾値L6を横切ったタイミングS1で、トリップオーバーの判定基準が、RR−GyミドルマップM2からRR−GyローマップM1に切り替わる。
【0046】
RR−GyローマップM1が選択された場合、図7Bに示されるRR−GyローマップM1に従ってロールオーバーに至るか否かが判定される。RR−GyローマップM1は、閾値L1によって、車両がロールオーバーに至らないロールレイト及び横加速度を示した領域A1aと、車両がロールオーバーに至るロールレイトと横加速度を示した領域A1bに分けられている。
【0047】
したがって、図7Bに示されるように、車両がロールオーバーに至ると予測される車両挙動を示した領域A1bを軌跡α3が通過するため、車両がロールオーバーに至ると判定される。また、トリップオーバーの判定基準がRR−GyミドルマップM2からRR−GyローマップM1に切り替わったタイミングS1の後、RR−GyローマップM1に従って車両がロールオーバーに至ると判定されるタイミングT2を、要求時間D2に間に合わせることができる。
【0048】
なお、図7A,Bに示されるように、RR−GyローマップM1(図7B)によるトリップオーバーの判定感度を、RR−GyミドルマップM2(図7A)に比べて敏感にするため、RR−GyローマップM1上のロールオーバーに至ると判定される領域A1bの閾値L1は、RR−GyミドルマップM2上のロールオーバーに至ると判定される領域A2bの閾値L2に比べて、RR−Gyマップの原点Oから近い位置に設定されている。
【0049】
また、判定マップ選択部44は、ロール角RAの検出値と横加速度Gyの検出値が所定の条件を満たすか否かにかかわらず(すなわち、ロール角RAの検出値と横加速度Gyの検出値が図6,8に示した領域A6bに属するか否かにかかわらず)、横加速度Gyが図8に示した所定値L7以上検出された場合、トリップオーバーの判定基準として、RR−GyミドルマップM2及びRR−GyローマップM1を選択せずに、RR−GyミドルマップM2に比べて、トリップオーバーの判定感度が鈍感な第3の基準であるRR−GyハイマップM4を選択する(図5のステップS50に相当)。
【0050】
図8は、車両のロール角RAと車両の横加速度Gyを変数とするRA−GyマップM6上に、縁石でのトリップオーバーのときに車両の挙動として検出されるロール角と横加速度で表される軌跡α4,α5を重ね合わせた図である。横加速度Gyは、車両の横方向に発生する減速度を正の値としたものである。図8には、車両が縁石でつまずいたときの車両の最大ロール角が互いに異なる2種類の軌跡α4,α5が示されている。α4は最大ロール角が10°の場合を示し、α5は最大ロール角が90°の場合を示す。すなわち、α4は、車両が縁石でつまずいたものの、ロールオーバーに至らなかったときの軌跡を示しており、α5は、車両が縁石でつまずいた結果、ロールオーバーに至ったときの軌跡を示している。また、A7は、横加速度Gyの検出値が所定値L7以上の領域を示している。
【0051】
判定マップ選択部44は、横加速度Gyが所定値L7以上検出されない限り、トリップオーバーの判定基準として、RR−GyハイマップM4を選択しない(図5のステップS10の結果がオフの場合に相当)。この後、上述したように、図5のRA−Gy判定の結果がオフの場合であれば、図7A,図9Aに示されるRR−GyミドルマップM2に従ってロールオーバーに至るか否かが判定され、図5のRA−Gy判定の結果がオンの場合であれば、図7Bに示されるRR−GyローマップM1に従ってロールオーバーに至るか否かが判定される。図8に示された軌跡α4で表される車両挙動の場合、軌跡α4が領域A6bを通過することにより図5のRA−Gy判定の結果がオンになるので、図7Bに示されるRR−GyローマップM1に従ってロールオーバーに至るか否かが判定される。
【0052】
一方、判定マップ選択部44は、横加速度Gyが所定値L7以上検出された場合、トリップオーバーの判定基準として、RR−GyハイマップM4を選択する(図5のステップS50に相当)。
【0053】
RR−GyハイマップM4が選択された場合、図9Bに示されるRR−GyハイマップM4に従ってロールオーバーに至るか否かが判定される。RR−GyハイマップM4は、閾値L4によって、車両がロールオーバーに至らないロールレイト及び横加速度を示した領域A4aと、車両がロールオーバーに至るロールレイトと横加速度を示した領域A4bに分けられている。
【0054】
したがって、図9Bに示されるように、車両がロールオーバーに至ると予測される車両挙動を示した領域A4bを軌跡α5が通過するため、車両がロールオーバーに至ると判定される。また、RR−GyハイマップM4に従って車両がロールオーバーに至ると判定されるタイミングT3を、要求時間D4に間に合わせることができる。
【0055】
なお、図9A,Bに示されるように、RR−GyハイマップM4(図9B)によるトリップオーバーの判定感度を、RR−GyミドルマップM2(図9A)に比べて鈍感にするため、RR−GyハイマップM4上のロールオーバーに至ると判定される領域A4bの閾値L4は、RR−GyミドルマップM2上のロールオーバーに至ると判定される領域A2bの閾値L2に比べて、RR−Gyマップの原点Oから遠い位置に設定されている。
【0056】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0057】
例えば、各図のマップ上に設定された閾値は、車両(の種類)毎に適切な場所が異なるため、各図に示した閾値の位置に限られない。これらの閾値は、実験やシミュレーションなどの結果に基づいて、適切な位置を設定すればよい。
【符号の説明】
【0058】
10,50 ロールオーバー判定装置
11 ロールレイト検出手段
12 ロール角算出手段
13 横方向加速度検出手段
14 判定基準選択手段
15 記憶手段
16 判定手段
20 制御装置
30 保護装置
RR ロールレイト
RA ロール角
Gy 横加速度
α 車両の挙動の推移を表す軌跡
A* 領域
D* 要求時間
L* 閾値
T* 判定タイミング
S1 マップ切替タイミング
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のロール角と車両の横加速度に応じて、車両のロールレイトと車両の横加速度を判定要素に含むロールオーバー判定基準を所定の選択肢の中から選択する選択手段と、
前記選択手段によって選択されたロールオーバー判定基準に従って、車両のロールオーバーを判定する判定手段とを備える、ロールオーバー判定装置。
【請求項2】
車両のロール角と車両の横加速度が所定の条件を満たした場合、前記ロールオーバー判定基準として、前記所定の条件を満たさない場合に選択される第1の基準に比べて、車両のロールオーバーの判定感度が敏感な第2の基準が選択される、請求項1に記載のロールオーバー判定装置。
【請求項3】
車両の横加速度が所定値以上検出された場合、前記ロールオーバー判定基準として、前記第1の基準及び前記第2の基準が選択されずに、前記第1の基準に比べて、車両のロールオーバーの判定感度が鈍感な第3の基準が選択される、請求項2に記載のロールオーバー判定装置。
【請求項4】
前記所定の条件が、車両のロール角と車両の横加速度を変数とするマップ上の所定領域によって定められた、請求項2又は3に記載のロールオーバー判定装置。
【請求項5】
車両のロール角を検知するロール角検知手段と、
車両の横加速度を検知する横加速度検知手段と、
前記ロール角検知手段によって検知されたロール角と前記横加速度検知手段によって検知された横加速度に応じて、車両のロールレイトと車両の横加速度を判定要素に含むロールオーバー判定基準を所定の選択肢の中から選択する選択手段と、
前記選択手段によって選択されたロールオーバー判定基準に従って、車両のロールオーバーを判定する判定手段とを備える、ロールオーバー判定装置。
【請求項1】
車両のロール角と車両の横加速度に応じて、車両のロールレイトと車両の横加速度を判定要素に含むロールオーバー判定基準を所定の選択肢の中から選択する選択手段と、
前記選択手段によって選択されたロールオーバー判定基準に従って、車両のロールオーバーを判定する判定手段とを備える、ロールオーバー判定装置。
【請求項2】
車両のロール角と車両の横加速度が所定の条件を満たした場合、前記ロールオーバー判定基準として、前記所定の条件を満たさない場合に選択される第1の基準に比べて、車両のロールオーバーの判定感度が敏感な第2の基準が選択される、請求項1に記載のロールオーバー判定装置。
【請求項3】
車両の横加速度が所定値以上検出された場合、前記ロールオーバー判定基準として、前記第1の基準及び前記第2の基準が選択されずに、前記第1の基準に比べて、車両のロールオーバーの判定感度が鈍感な第3の基準が選択される、請求項2に記載のロールオーバー判定装置。
【請求項4】
前記所定の条件が、車両のロール角と車両の横加速度を変数とするマップ上の所定領域によって定められた、請求項2又は3に記載のロールオーバー判定装置。
【請求項5】
車両のロール角を検知するロール角検知手段と、
車両の横加速度を検知する横加速度検知手段と、
前記ロール角検知手段によって検知されたロール角と前記横加速度検知手段によって検知された横加速度に応じて、車両のロールレイトと車両の横加速度を判定要素に含むロールオーバー判定基準を所定の選択肢の中から選択する選択手段と、
前記選択手段によって選択されたロールオーバー判定基準に従って、車両のロールオーバーを判定する判定手段とを備える、ロールオーバー判定装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【公開番号】特開2011−131834(P2011−131834A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−295001(P2009−295001)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
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