説明

ワイヤ操作装置

【課題】ワイヤ操作装置において、ワイヤロープが押しの場合に圧縮に対して曲がりを押さえて強度を確保し、ワイヤロープの押しと引きとでの操作力を同等にすること。
【解決手段】駆動側台座6のプーリ収納凹部7に収納された駆動側プーリ2と、従動側台座6のプーリ収納凹部7に収納された従動側プーリ3と、駆動側プーリ2と従動側プーリ3とに巻装された1本のワイヤロープ4とを備える。プーリ収納凹部7の底面に対面する各プーリのプーリ本体2aの前面に、円環状のガイド溝21が全周に亘って形成され、各台座6の外側部からプーリ収納凹部7の周縁部の底面に傾斜して連通するワイヤロープ挿通孔17が形成され、ワイヤロープ4が円環状のガイド溝21の内部に沿って配置され、その一端がプーリ本体2aに固定されると共に、その中間部がワイヤロープ挿通孔17を通る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、車両用空調装置のドア駆動機構や、手動で入力された動力を遠隔に伝達するための動力伝達機構であって、動力により駆動回転される駆動側プーリと、動力伝達により従動回転される従動側プーリと、駆動側プーリと従動側プーリとに両端部が連結されると共に、駆動側プーリと従動側プーリに巻装された1本のワイヤロープとを備え、駆動側プーリの回転によりワイヤロープが駆動側プーリに巻き取られると共に、ワイヤロープが従動側プーリの外周から引き出されて従動側プーリが回転されるワイヤ操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、車両用空調装置のドア駆動機構において、手動による遠隔操作を行う際に、駆動側と従動側との動力伝達機構は、ワイヤロープを2本使用し、操作側プーリの時計方向、反時計方向の回転を各々のワイヤロープで引き方向で空調ケース側プーリに動力伝達を行うドア駆動機構が公知である(特許文献1)。
【0003】
また、操作部のハンドル等に固定される固定台座上にレバーを突片した巻きドラムを軸着して、固定台座の外側に突出した案内壁の外端に外側チューブの一端を接続し、該案内壁の裏側へ突出する外側チューブの内側ケーブルを、巻きドラムの外周凹溝内に巻装して、先端をレバーに碇着し、該レバー付巻きドラムの回動により内側ケーブルを伸縮操作するケーブル操作レバーが広く知られている(特許文献2)。
【0004】
特許文献2には、上記構成において、巻きドラムと該巻きドラムを固定台座に軸着する締め付けキャップとの間に、巻きドラムの上面に嵌合されるリングと、このリングの外周縁におけるレバーの基端部両側部分から外周凹溝外側方向へ突出する左右一対の突片を備え、レバー基端部と案内壁との間の外周凹溝の外側における前記一方の突片が、巻きドラムを案内壁方向へ回動した時に、巻装された内側ケーブルの一部が外周凹溝の外側方向へループ状に折れ曲がって突出することを防ぐための突片状カバーが形成されたケーブル操作レバーが開示されている。
【0005】
さらに、図10には、動力により駆動回転される駆動側プーリ30と、動力伝達により従動回転される従動側プーリ31と、駆動側プーリ30と従動側プーリ31とに両端部が連結されると共に、駆動側プーリ30の外周と従動側プーリ31の外周とに巻装された1本のワイヤロープ32と、を備え、駆動側プーリ30の反時計方向への回転によりワイヤロープ32が駆動側プーリ30の外周に巻き取られると共に、ワイヤロープ32が従動側プーリ31の外周から引き出されて従動側プーリ31が反時計方向に回転され、駆動側プーリ30の時計方向への回転によりワイヤロープ32が駆動側プーリの外周から押し出されると共に、ワイヤロープ32が従動側プーリ31の外周に押し込まれて従動側プーリ31が時計方向に回転されるワイヤ操作装置が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3960844号公報
【特許文献2】特許第2883303号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に開示された2本のワイヤロープを使用したタイプは、入力に対する駆動側の遅れを最小とするために、2本のワイヤロープ配索時に左右の長さ精度に加え、印加テンション(ワイヤー張力)にも微妙な調整が必要である。
【0008】
特許文献2に開示されたケーブル操作レバーは、巻きドラムと突片状カバーとが一体となって回動するもので、ケーブルを繰り出す方向に巻きドラムを回動する場合、その回動可能位置が、回動方向に向く突片状カバーの側端が案内壁の裏側のケーブル導入孔に対して直線状にケーブルをガイドする位置までに規制されることになり、巻きドラムの回動可能角度が狭い範囲に限定されて広く確保することが難しい。なお、図面によれば巻きドラムの回動可能角度はせいぜい45度程度である。
【0009】
また、特許文献2に開示されたケーブル操作レバーは、突片状カバーが形成されたリング、リングを押さえるためのバネワッシャ、バネワッシャに重ねる締め付けキャップ、締め付けキャップを台座に向けて締め付けるナット等、必要部品が多く、構造も複雑なものである。
【0010】
図10に示すワイヤ操作装置は、ワイヤロープに押し力の方向で掛る圧縮力に耐えるため、ワイヤロープの座屈を考慮すると、ある程度硬くて腰を持ったワイヤロープ(例えば、φ1.2mm程度の金属ケーブル)が必要であり、このケーブルを配策するのに極端な曲げはできず、曲げ半径は少なくとも200mm程度が必要である。
【0011】
また、ワイヤロープ32の押し力の場合と引き力の場合とで力の伝達の差を最小限にするため、図11に示すように、ワイヤロープ32を巻装するためのプーリの外周に設けられたV状の周溝33と台座34の案内壁35とのクリアランスを最小限としているが、部品精度を必要とする。さらに、ワイヤロープ32の押し力の場合にワイヤロープ32が台座34の案内壁35に接触して摺動することによるワイヤロープ32への負荷(摺動ロスという)が発生し、押し力の場合と引き力の場合とで力の差を同一にすることができなかった。
【0012】
本発明は、上記従来のケーブル操作装置が抱える問題点を解決するもので、ワイヤロープが押しの場合に圧縮に対して曲がりを押さえて強度を確保でき、ワイヤロープの押しの場合と引き場合とでの操作力を同等にすることができるワイヤ操作装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1に係るワイヤ操作装置は、駆動側台座の裏面に設けられたプーリ収納凹部に収納された駆動側プーリと、従動側台座の裏面に設けられたプーリ収納凹部に収納された従動側プーリと、前記駆動側プーリと前記従動側プーリとに両端部が連結されると共に、前記駆動側プーリと前記従動側プーリとに巻装された1本のワイヤロープとを備え、前記駆動側プーリに回転力を与えることで、前記1本のワイヤロープを介して前記従動側プーリが追従して回転するものであって、上記課題を解決するために、前記各プーリ収納凹部の底面に対面する前記各プーリのプーリ本体の前面の周縁部に、円環状のガイド溝が全周に亘って形成され、前記台座の外側部から前記各プーリ収納凹部の周縁部の底面に傾斜して連通するワイヤロープ挿通孔が形成され、前記ワイヤロープが前記円環状のガイド溝の内部に沿って配置され、その一端が前記プーリ本体に固定されると共に、その中間部が前記ワイヤロープ挿通孔を通る、ことを特徴とする。
【0014】
請求項2に係るワイヤ操作装置は、請求項1に係るワイヤ操作装置において、前記ワイヤロープは、該ワイヤロープと同軸上に配設されたアウタチューブの内部に移動自在に挿通され、前記台座の前面外側部から前記プーリ収納凹部の周縁部の底面に向けて傾斜するアウタチューブ挿入穴が形成され、前記ワイヤロープ挿通孔は、前記アウタチューブ導入穴の先端から前記プーリ収納凹部の周縁部の底面に向けて傾斜して形成され、前記アウタチューブが前記アウタチューブ挿入穴に挿入されると共に傾斜して配置され、前記ワイヤロープ挿通孔を通る前記ワイヤロープの中間部が傾斜して配置されたことを特徴とするものである。
【0015】
請求項3に係るワイヤ操作装置は、請求項1又は2に係るワイヤ操作装置において、前記ワイヤロープ挿通孔の出口に近接して、前記プーリ収納凹部の周方向に向く方向に前記プーリ収納凹部の底面から前記ガイド溝の内部に向けて傾斜する傾斜部が突出形成され、前記ワイヤロープの中間部が前記傾斜部に沿って前記ガイド溝の内部に誘導されていることを特徴とするものである。
【0016】
請求項4に係るワイヤ操作装置は、請求項1乃至3のうちの何れか1つに係るワイヤ操作装置において、前記ワイヤロープの外径と前記ガイド溝の溝幅とが等しく、前記ワイヤロープが前記ガイド溝に緊密に嵌合されたことを特徴とするものである。
【0017】
請求項5に係るワイヤ操作装置は、請求項1乃至4のうちの何れか1つに係るワイヤ操作装置において、前記ガイド溝に前記ワイヤロープの一端部を固定するためのワイヤロープ係止孔が設けられたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に係るワイヤ操作装置によれば、台座のプーリ収納凹部の底面に対面するプーリ本体の前面に設けられた円形のガイド溝にワイヤロープが沿うことにより、ワイヤロープが押しの場合に圧縮に対して曲がりを押さえて強度を確保でき、ワイヤロープの押し引きもプーリの回転の軸部に掛る負荷となることで、ワイヤロープの押しの場合と引きの場合とでの操作力を同等にすることができる。
【0019】
また、1本のワイヤロープでの操作となるため、動力伝達に要するプーリの回転可能角度を360度近く取ることができ、2本のワイヤロープの両引きタイプと比べてプーリの回転可能角度を広く確保することができる。さらに、駆動側プーリと従動側プーリとの配置位置精度が、1本のワイヤロープのかしめる端部の寸法精度のみとなるため、位置合わせが容易となる。
【0020】
請求項2に係るワイヤ操作装置によれば、ワイヤロープをプーリ本体に設けられた円形のガイド溝の内部に導入する際に、ワイヤロープをプーリ本体に対して傾斜して導入することができる。
【0021】
請求項3に係るワイヤ操作装置によれば、ワイヤロープをプーリ本体に設けられた円形のガイド溝の内部に傾斜した状態で誘導することができる。
【0022】
請求項4に係るワイヤ操作装置によれば、ワイヤロープを押した時と引いた時のガタつきがなく、従動側プーリの遅れを解消できる。
【0023】
請求項5に係るワイヤ操作装置によれば、プーリ本体を台座に対して回転させることにより、ワイヤロープをプーリ本体に設けられた円形のガイド溝の内部に沿って配置されるので、ワイヤロープの巻装を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施形態に係るワイヤ操作装置の正面図である。
【図2】台座の裏面図である。
【図3】図2のB−B線における台座の断面図である。
【図4】図2のC−C方向から円形突壁の一部を眺めて示す側面図である。
【図5】図1のA−A線における断面図である。
【図6】プーリ本体の正面図である。
【図7】図6のD−D線におけるプーリ本体の断面図である。
【図8】図6のF−F線における拡大断面図である。
【図9】図1のE−E線における拡大断面図である。
【図10】従来の1本のワイヤロープを使用した押し引きタイプのワイヤ操作装置の平面図である。
【図11】図10の押し引きタイプのワイヤ操作装置の要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明の実施形態に係るワイヤ操作装置の正面図である。ワイヤ操作装置1は、例えば、手動操作による動力により駆動回転される駆動側プーリ2と、動力伝達により従動回転される従動側プーリ3と、駆動側プーリ2と従動側プーリ3とに両端部が連結されると共に、駆動側プーリ2の外周と従動側プーリ3の外周とに巻装された1本のワイヤロープ4とを備える。ワイヤロープ4の外周には、ワイヤロープ4と同軸上にアウタチューブ5が配設され、アウタチューブ5の内部にはワイヤロープ4が移動自在に挿通されている。駆動側プーリ2と従動側プーリ3とは機能上区別するために符号を別に付しているが、両プーリの構造は同等であり、以下の説明ではプーリ本体2aを用いて説明する。
【0026】
円板状のプーリ本体2aは台座6に回転自在に支持されている。図2は台座6の裏面図であり、図3は図2のB−B線における台座6の断面図である。図2〜図3に示すように、台座6の裏面の略中央には、プーリ本体2aの外周よりも僅かに大きな円形凹部よりなるプーリ収納凹部7が設けられている。また、プーリ収納凹部7を4等分した場合のうちの1つには、外側に矩形状に突出した張出部8が台座6と一体に形成されている。プーリ収納凹部7の底面7aの中央には軸孔9が穿設され、軸孔9の下方には軸孔9の径よりも大きい径のねじ孔10が設けられている。プーリ収納凹部7を取り囲む環状の案内壁11の内側となるプーリ収納凹部7の周縁部には、プーリ収納凹部7の底面7aから立ち上がる円環状の円形突壁12が案内壁11に沿って形成されている。
【0027】
図4は図2のC−C方向から円形突壁12の一部を眺めて示す側面図である。張出部8の他側に向く円形突壁12には、円形突壁12を一部切り欠いた欠切部13が形成され、欠切部13の反時計方向に位置する円形突壁12の端部には、周方向に向けてプーリ収納凹部7の底面7aから円形突壁12の上端に傾斜する傾斜部14が形成されている。
【0028】
図5は図1のA−A線における断面図である。張出部8の前面には、図2に示すように、一側端に開放され長角状のアウタチューブ支持溝15が形成され、アウタチューブ支持溝15の先端には裏面に向けて傾斜するアウタチューブ挿入穴16が形成され、アウタチューブ挿入穴16の先端には円形突壁12の欠切部13(図2)に向けて傾斜するワイヤロープ挿通孔17が形成されている。この構成により、ワイヤロープ挿通孔17が台座6の外側部に連通される。また、図1に示すように、張出部8の前面の一側端寄りには、アウタチューブ支持溝15に近接する位置にビス孔18が設けられている。
【0029】
図6はプーリ本体2aの正面図である。図7は図6におけるD−D線におけるプーリ本体2aの断面図である。また、図8は図6のF−F線における拡大断面図である。台座6のプーリ収納凹部7の底面7aに対面するプーリ本体2aの前面の中央には軸部19が突設され、軸部19の内側には軸部19の端面に連通するビス穴20が設けられている。また、プーリ収納凹部7の底面7aから立ち上がる円形突壁12に対応する位置であるプーリ本体2aの前面の周縁部には、円環状のガイド溝21が全周に亘って形成されている。また、ガイド溝21の底部の1か所にはプーリ本体2aの裏面に貫通するワイヤロープ係止孔22が設けられている(図6及び図8)。また、駆動側プーリ2の裏面には操作用のつまみ部23が形成されている(図7)。
【0030】
[ワイヤ操作装置1の組み立て]
ワイヤロープ4の先端を、台座6の張出部8に形成されたアウタチューブ挿入穴16の奥方のワイヤロープ挿通孔17に挿通させて台座6の裏面の円形突壁12の欠切部13から突出させる(図5参照)。さらにワイヤロープ4の先端をプーリ本体2aの前面からガイド溝21内のワイヤロープ係止孔22(図6及び図8)に挿通させて駆動側プーリ2の裏面に突出させ、突出させたワイヤロープ4の先端部分を折曲してプーリ本体2aの裏面に係止する。なお、これに代えて、ワイヤロープ4の一端にカシメ端子を設け、カシメ端子をワイヤロープ係止孔22に圧入して固定してもよい。
【0031】
アウタチューブ5の先端部分を台座6の張出部8に形成されたアウタチューブ挿入穴16に差し込み、アウタチューブ5の先端部分よりも後ろの部分をアウタチューブ支持溝15に沿って嵌入する。そして、ビス孔18にビス(図示せず)をねじ込んでビスの頭部によってアウタチューブ5の外れ止めをする。これにより、アウタチューブ5がアウタチューブ挿入穴16に挿入されると共に傾斜して配置され、ワイヤロープ挿通孔17を通るワイヤロープ4の中間部が傾斜して配置される。また、ワイヤロープ挿通孔17の出口に近接してプーリ収納凹部7の周方向に向く方向にプーリ収納凹部7の底面7aからガイド溝21の内部に向けて傾斜する傾斜部14に沿って、ワイヤロープ4の中間部がガイド溝21の内部に誘導される。
【0032】
プーリ本体2aの軸部19を台座6のプーリ収納凹部7の底面7aの中央の軸孔9に挿入し、プーリ本体2aを台座6のプーリ収納凹部7の内部に回転自在に配置させる。プーリ本体2aを台座6に対して図1の時計方向に回転させることにより、ワイヤロープ4がプーリ本体2aに設けられた円形のガイド溝21の内部に沿って配置され、ワイヤロープ4の巻装を容易に行うことができる。図9は図1のE−E線における拡大断面図である。図9に示すように、プーリ収納凹部7の底面7aから立ち上がる円形突壁12が前方からガイド溝21の前端部に嵌入し、ワイヤロープ4がガイド溝21から抜け出すことが防止される。
【0033】
そして、前方から台座6の中心に設けられたねじ孔10からビス24をプーリ本体2aの軸部19のビス穴20にねじ込んでプーリ本体2aを台座6のプーリ収納凹部7に回転自在に支持する。なお、従動側プーリ3についても構成及び組み立ては駆動側プーリ2と全く同様である。
【0034】
[作用]
駆動側プーリ2の反時計方向への回転によりワイヤロープ4が駆動側プーリ2のガイド溝21に巻き取られると共に、ワイヤロープ4が従動側プーリ3の外周から引き出されて従動側プーリ3が反時計方向に回転される。また、駆動側プーリ2の時計方向への回転によりワイヤロープ4が駆動側プーリ2のガイド溝21から押し出されると共に、ワイヤロープ4が従動側プーリ3のガイド溝21に押し込まれて従動側プーリ3が時計方向に回転される。ワイヤロープ4の摺動は、周方向に向けてプーリ収納凹部7の底面7aから円形突壁12の上端に傾斜する傾斜部14に沿って行われるため、円滑に移動する。
【0035】
ガイド溝21の溝幅はワイヤロープ4の外径と等しく形成され、ワイヤロープ4がガイド溝21に緊密に嵌合されることにより、ワイヤロープ4を押した時と引いた時のガタつきがなく、従動側プーリの遅れを解消できる。台座6のプーリ収納凹部7の底面7aに対面する駆動側プーリ2のプーリ本体2aの前面に設けられた円形のガイド溝21にワイヤロープ4が沿うことにより、ワイヤロープ4が押しの場合に圧縮に対して曲がりを押さえて強度を確保できる。ワイヤロープ4の押し引きも駆動側プーリ2のプーリ本体2aの回転の軸部19に掛る負荷となることで、ワイヤロープ4の押しの場合と引きの場合とでの操作力を同等にすることができる。
【符号の説明】
【0036】
1 ワイヤ操作装置
2 駆動側プーリ
2a プーリ本体
3 従動側プーリ
4 ワイヤロープ
5 アウタチューブ
6 台座
7 プーリ収納凹部
7a 底面
8 張出部
9 軸孔
10 ねじ孔
11 案内壁
12 円形突壁
13 欠切部
14 傾斜部
15 アウタチューブ支持溝
16 アウタチューブ挿入穴
17 ワイヤロープ挿通孔
18 ビス孔
19 軸部
20 ビス穴
21 ガイド溝
22 ワイヤロープ係止孔
23 つまみ部
24 ビス
30 駆動側プーリ
31 従動側プーリ
32 ワイヤロープ
33 周溝
34 台座
35 案内壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動側台座の裏面に設けられたプーリ収納凹部に収納された駆動側プーリと、
従動側台座の裏面に設けられたプーリ収納凹部に収納された従動側プーリと、
前記駆動側プーリと前記従動側プーリとに両端部が連結されると共に、前記駆動側プーリと前記従動側プーリとに巻装された1本のワイヤロープとを備え、
前記駆動側プーリに回転力を与えることで、前記1本のワイヤロープを介して前記従動側プーリが追従して回転するワイヤ操作装置において、
前記各プーリ収納凹部の底面に対面する前記各プーリのプーリ本体の前面の周縁部に、円環状のガイド溝が全周に亘って形成され、
前記台座の外側部から前記各プーリ収納凹部の周縁部の底面に傾斜して連通するワイヤロープ挿通孔が形成され、
前記ワイヤロープが前記円環状のガイド溝の内部に沿って配置され、その一端が前記プーリ本体に固定されると共に、その中間部が前記ワイヤロープ挿通孔を通る、
ことを特徴とするワイヤ操作装置。
【請求項2】
前記ワイヤロープは、該ワイヤロープと同軸上に配設されたアウタチューブの内部に移動自在に挿通され、
前記台座の前面外側部から前記プーリ収納凹部の周縁部の底面に向けて傾斜するアウタチューブ挿入穴が形成され、
前記ワイヤロープ挿通孔は、前記アウタチューブ導入穴の先端から前記プーリ収納凹部の周縁部の底面に向けて傾斜して形成され、
前記アウタチューブが前記アウタチューブ挿入穴に挿入されると共に傾斜して配置され、前記ワイヤロープ挿通孔を通る前記ワイヤロープの中間部が傾斜して配置された、
ことを特徴とする請求項1に記載のワイヤ操作装置。
【請求項3】
前記ワイヤロープ挿通孔の出口に近接して、前記プーリ収納凹部の周方向に向く方向に前記プーリ収納凹部の底面から前記ガイド溝の内部に向けて傾斜する傾斜部が突出形成され、
前記ワイヤロープの中間部が前記傾斜部に沿って前記ガイド溝の内部に誘導されている、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のワイヤ操作装置。
【請求項4】
前記ワイヤロープの外径と前記ガイド溝の溝幅とが等しく、前記ワイヤロープが前記ガイド溝に緊密に嵌合されたことを特徴とする請求項1乃至3のうちの何れか1つに記載のワイヤ操作装置。
【請求項5】
前記ガイド溝に前記ワイヤロープの一端部を固定するためのワイヤロープ係止孔が設けられたことを特徴とする請求項1乃至4のうちの何れか1つに記載のワイヤ操作装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−169343(P2011−169343A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−31372(P2010−31372)
【出願日】平成22年2月16日(2010.2.16)
【出願人】(507418692)トヨフレックス株式会社 (1)
【Fターム(参考)】