説明

ワークピースを静電的に被覆するための装置及びそのコンタミネイションを減らす方法

コンタミネイションを最小にして、ワークピースを静電的に被覆するための装置(1)の清浄性を改善するために、装置の外側表面が疎水性の且つ硬質のコーティングで被覆される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、ワークピースを静電的に被覆するための装置、及びそのような装置のコンタミネイションを減らす方法に係る。
【背景技術】
【0002】
静電コーティングは、例えば、自動車産業において、車体の塗装のために、しばしば使用されている。静電コーティングのための装置は、塗料またはコーティング粒子をアトマイズするためのアトマイザーを有している。アトマイズされ/アトマイザーから噴霧された塗料粒子は、一般的に−30kVから−90kVの、高電圧により作り出される静電電界に曝される。粒子は、このようにしてチャージされ、静電電界により、ワークピースに移送され、このワークピースは、次に、接地される。
【0003】
上記装置は、アトマイザーの周囲を取り囲み且つそれを収容するハウジングを、更に有している。このハウジングは、一般的に、絶縁性の高分子材料から作られている。この装置はまた、装置をマニピュレータに取付けるための手段、例えば、ロボット、ロボット・アーム、または往復機関(reciprocator)を有していて、前記取付け手段は、しばしば、絶縁性の高分子材料の外側の表面を有している。
【0004】
静電コーティングは、一般的に二つのカテゴリーに、即ち、直接静電コーティングと、間接的な静電コーティングとに、分類される。直接静電コーティング・プロセスにおいて、粒子がアトマイズされる前に、塗料またはコーティング粒子が高電圧によりチャージされる。間接的な静電コーティング・プロセスにおいて、粒子がアトマイズされた後に、塗料またはコーティング粒子が高電圧によりチャージされる。 それ故に、粒子の間接的なチャージングのための装置は、粒子がアトマイザー及び装置から出るときに、粒子をチャージするように配置された外部電極を有している。
【0005】
ワークピースを静電的に被覆するための装置は、運転中に、アトマイザーによりアトマイズされたコーティング材料により汚染される。汚染(コンタミネイション)とは、アトマイズされた粒子が、外側のハウジングまたは取付け手段などのような、装置の様々な部分の外側の表面に付着することである。装置のコンタミネイションは、塗装作業における重要な問題である。アトマイザーの運転中に、塗料粒子が、塗装される/被覆されるワークピースに到達することができずに、その一部が、アトマイザー・ボディから分離して、ワークピースに到達することがあり、それが、塗装されたワークピースの質の低下をもたらす。
【0006】
更なる危険は、導電性の塗料経路の生成であり、結果として、例えばハウジングの外側の表面の絶縁の質を低下させ、部分放電をもたらし、結果として、コーティング作業の安全停止をもたらす。
【0007】
それ故に、上記装置は、しばしば且つ定期的に洗浄される必要がある。それは、比較的退屈な且つ時間が掛かる作業であって、長いシャット・ダウン時間をもたらし、それは、大量生産方式のコーティングに対して、特に有害である。例えば、装置を洗浄するための時間が、しばしば、二つの車体を塗装するために要求される時間とほぼ同じになることがある。
【0008】
更にまた、ハウジングの外側の表面などのような、装置の外側の表面上の絶縁の質を維持するために、装置の外側の表面を洗浄するため、例えば、メチルエチルケトンまたはブチル・セロソルブ(butyl cellosolve)の溶剤を使用することが、一般的に必要である。US 5 085 373 は、ワークピースを静電的に塗装するための装置を開示している。この装置は、ロータリー・アトマイザーを有する噴霧装置、絶縁材料から作られた外部ハウジング、及び外部ハウジングの中に配置された内部ハウジングを有している。この装置は、アトマイズされた塗料粒子をチャージングするための外部電極を使用している。
【0009】
US 5 085 373 は、電極の領域内で装置がそれ自身を塗装する危険が、適切な絶縁材料を使用することにより減らされることが可能であると言うことを開示している。絶縁材料としてのフッ化炭素の使用、特にポリテトラフルルロエチレン(PTFE)の使用が推奨されている。PTFEを使用したとき、ポリオキシメチレン(POM)などのような、広く使用される材料を使用したときと比べて、コンタミネイションがかなり減少すると言われている。しかしながら、PTFEは、かなり軟らかい材料であって、装置の洗浄の間に容易に傷が付き易いことがある。それ故に、PTFEは適切な材料の選択でない。
【0010】
本発明の目的は、従って、ワークピースを静電的に被覆するための装置のコンタミネイションを減らして、装置の清浄性(cleanabilty)を改善することにある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第US−5085373号明細書
【発明の概要】
【0012】
この目的は、独立請求項1に基づくワークピースを静電的に被覆するための装置により実現される。この目的は、更に、独立請求項8に基づくワークピースを静電的に被覆するための装置のコンタミネイションの危険を減らすための方法により実現される。好ましい実施形態は、従属請求項の中に示されている。
【0013】
ワークピースを静電的に被覆するための装置は、アトマイザーと、装置をマニピュレータに取付けるための手段と、絶縁性の高分子材料の外側のハウジングと、を有していて、前記ハウジングは、アトマイザーの周囲を取り囲み且つそれを収容し、前記取付け手段は、絶縁性の高分子材料の外側の表面を有している。前記ハウジングおよび/または取付け手段は、一般的に、疎水性の且つ硬質のコーティングで被覆されている。
【0014】
本願発明に基づく、ハウジングおよび/または、取付け手段の外側の表面の上のコーティングは、装置の運転の間の、並びに、装置のシャット・ダウン及びスタート・アップの間の、表面のコンタミネイションを最小にする。それ故に、もし、外側の表面が長い期間に亘って維持されることが可能である場合には、絶縁の質、即ち本願発明に基づく装置の洗浄のためのシャット・ダウンの間の時間が、既知のコーティング装置と比べて遥かに長くなる。それ故に、装置の生産性もまた改善される。
【0015】
更にまた、このコーティングは、装置の洗浄を容易にする。その理由は、装置の表面上の粒子が、表面に対してより少ない付着力を有しているからである。
【0016】
このコーティングは、一般的に疎水性であり、即ち、コーティングの表面の上での水の接触角が、少なくとも90度、好ましくは少なくとも100度である。コーティングの硬度は、ASTM−D785に基づき測定して、少なくとも100(ロックウエル硬度)である。
【0017】
本願発明は、特に、アトマイズされた塗料/コーティング粒子の直接チャージングを使用する装置のために適切であるが、しかしまた、アトマイズされた塗料/コーティング粒子の間接的なチャージングを使用する装置のために、即ち外部電極を使用する装置のために、使用されても良い。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1a】図1aは、間接的なチャージングを使用するワークピースを静電的に被覆するための装置を示していて、この装置は、塗装ロボットに取り付けられている。
【図1b】図1bは、直接チャージングを使用する他のワークピースを静電的に被覆するための装置を示していて、この装置は塗装ロボットに取り付けられている。
【図2】図2は、他のワークピースを静電的に被覆するための装置を示している。
【図3】図3は、固体表面上の液滴及び接触角を示している。
【発明を実施するための形態】
【0019】
この開示の中で、マニピュレータとは、ロボット、ロボット・アームまたは往復機関(reciprocator)などのような、装置を運転するためのおよび/または移動させるための何らかの手段であるとみなされるべきである。
【0020】
ワークピースを静電的に被覆するための装置は、塗料/コーティング粒子をアトマイズするためのアトマイザーを有している。アトマイザーは、一般的に、絶縁性の材料のハウジングにより周囲を取り囲まれている。この装置は、ロボット、ロボット・アームまたは往復機関などのような、マニピュレータに、取付け手段により取り付けられる。この装置は、これまで述べたところについては、既知のものであって、広く、例えば、自動車産業における車両の塗装のために使用されている。
【0021】
図1aは、ワークピースを静電的に被覆するための装置1の一つの例を示している。この装置1は、第一のハウジング3a及び第二のハウジング3bにより周囲を取り囲まれたアトマイザー、及び、塗装ロボット7のロボット・アーム5の形態のマニピュレータに、装置1を取り付けるための取付け手段4を有している。図1aに示されている装置は、そのロータリー・ベル2を介してアトマイザーから噴霧される粒子の間接的なチャージングのために適合され、それ故に、電界を作り出すための外部電極6が設けられている。
【0022】
図1bは、ワークピースを静電的に被覆するための装置1の他の例を示している。この装置は、第一のハウジング3a及び第二のハウジング3bにより周囲を取り囲まれたアトマイザーを有している。この装置は、取付け手段4により、塗装ロボット7のロボット・アーム5に取り付けられている。図1bに示されている装置は、粒子の直接チャージングのために適合され、粒子は、それ故に、ロータリー・ベル2を介して装置から出る前にチャージされる。
【0023】
以上の図は全て、装置が取付け手段によりロボット・アームに取り付けられた実施形態を示しているが、装置が、取付け手段により、任意の種類のマニピュレータに取り付けられることが可能であることは、当業者にとって明らかである。更にまた、これらの図にロータリー・ベルが示されているが、このタイプの装置に対して知られている何れか他の噴霧手段により、粒子がアトマイザーからワークピースへ移送されることが可能であることも明らかである。
【0024】
本願発明によれば、ハウジングおよび/または取付け手段には、運転中の装置の外側表面のコンタミネイションを最小化するために、及び装置の洗浄を容易にするために、外部コーティングが設けられる。本発明が、装置を洗浄するための時間を減らし、その結果、シャット・ダウンための時間が減少されるので、装置の生産性を改善すると言うことが見出されている。更にまた、本発明は、装置のコンタミネイションを減らし、それにより、洗浄のためのシャット・ダウンが短縮される。コンタミネイションの減少のために、装置の外側の表面の絶縁の質が、より長い期間の間、維持され、それにより、ハウジングおよび/または取付け手段の表面上で放電が発生したときに要求される安全停止が少なくなる。更にまた、装置により被覆されたワークピースの質の低下の危険がかなり減少する。
【0025】
図2は、他のワークピースを静電的に被覆するための装置を示している。この装置は、ハウジング8により周囲を取り囲まれたアトマイザー、及び、粒子がそこからワークピースに移送されるロータリー・アトマイジング・ベル9を有している。このハウジングは、ネック10を介して取付け手段11に取り付けられている。ネック10の反対側で、取付け手段が、ロボット・アーム12に取り付けられている。図2に基づく装置の中に示されたネック11もまた、好ましくは、そのコンタミネイションを避けるために、ハウジングおよび/または取付け手段と同一のやり方で、本発明に基づくコーティングで被覆されている。
【0026】
本願発明に基づく装置に付けられるコーティングは、少なくとも90度以上、好ましくは少なくとも100度、より好ましくは少なくとも105度の、水の接触角を有している。これは、装置によりアトマイズされ且チャージされた塗料粒子が、装置の表面を完全には濡らさないと言うことを適切に確保する。それにより、装置のコンタミネイションがかなり減少され、装置の洗浄が容易にされる。それは装置の表面上の塗料の量が、被覆されていない装置の上と比べて遥かに少なく、塗料粒子が装置の表面に遥かに付着しにくいからである。
【0027】
図3に示されているように、接触角αは、液体Iの液滴Dと固体の表面との間の界面でのタンジェント角度である。
【0028】
接触角は、ヤングの式により、平衡状態で決定される:
Cosα = (γsv−γsl)/γlv
ここで、
αは、接触角、
γは、対応する界面の間の表面張力、
添字“s”は固体を、“v”は気体を、“l”は液体を表している。
接触角を測定するための方法は広く知られている。
【0029】
更にまた、コーティングが十分な硬度を有していることは、本発明の不可欠な部分である。それは、装置が、しばしば、機械的に洗浄されるからである。例えばPTFEのコーティング(通常60〜85のロックウエル硬度を有している)を使用することは、適切な代替案ではないであろう。その理由は、それが、最初の洗浄で既に傷付けられ、そのために、最初の洗浄作業の後で、コンタミネイションに対して低い抵抗しか有していないからである。それ故に、本発明によれば、コーティングの、ASTM−D785に基づいて測定されたロックウエル硬度が、少なくとも100、好ましくは少なくとも110であることが、不可欠であり。最良の結果は、少なくとも120のロックウエル硬度を有するコーティングで実現される。
【0030】
装置の外側の表面の洗浄は、付着した粒子が表面から十分に取り除かれることを確保するために、一般的に、洗浄溶剤の存在の下で実施される。このようにして、好ましい実施形態によれば、コーティングは、装置を洗浄するために広く使用される特定の洗浄溶剤に、特定の期間に亘って曝された後で、前記溶剤に曝される前の水との接触角度と比較して、実質的に変化しない水の接触角を有する材料から作られる。これは、そのような溶剤に曝された後で、水の接触角が、前記暴露の前の水の接触角の少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%であることを意味している。装置の洗浄のために広く使用される溶剤は、メチルエチルケトン及びブチル・セロソルブである。十分な抵抗を洗浄溶剤にもたらすために、コーティングが溶剤に曝される期間が、少なくとも10分、好ましくは少なくとも20分であることが望ましい。
【0031】
好ましいコーティング材料は、いわゆるゾル・ゲル・コーティングであって、以下において、金属酸化物ゾル・コーティングと呼ばれている。そのようなコーティングは、液体の中に粒子の安定した分散(ゾル)を形成し、その後で、ネットワーク構造を作り出す適切な電解質の、濃度、エージングまたは添加を変えることにより、作り出されることがある。ゾルの準備において使用される出発材料は、通常、無機金属塩、または、金属アルカロイドなどのような金属有機化合物である。これらの出発材料は、反応してコロイドを形成し、即ち、固体粒子が溶剤の中に分散される。
【0032】
ゾルは、浸漬、フロー・コーティング、または噴霧などのような従来の方法により、表面に付けられる。その後で、表面上に硬質のコーティングを形成するために、ゾルは、乾燥され、熱処理されおよび/または硬化される。コーティングの厚さは、緻密な且つ一様なコーティングを確保するために、好ましくは少なくとも0.5μmである。
【0033】
適切な金属酸化物ゾル・コーティングの例は、DE 10 2004 059 152 A1 の中に開示されていて、この文献は、リファレンスとしてその全体がここに組み込まれる。
【0034】
好ましい実施形態によれば、金属酸化物ゾル・コーティングは、シリカ・ゾル・コーティングである。そのようなコーティングは、他のタイプの用途での使用のために、例えば、ガラス及び様々な金属材料上での付着防止トップコートとして、広く知られている。特に好ましい実施形態によれば、コーティングは、フッ素改質(fluorine modified)シリカ・ゾル・コーティングである。
【0035】
ハウジングは、装置を静電的に被覆するために広く使用される絶縁性の高分子材料から作られていても良く、それは、例えば、ポリエチレン・テレフタレート(PET)など、ポリオキシメチレン(POM)などのようなポリアセタール、ポリアミド(PA)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などである。好ましくは、ハウジングは、POMまたはPAから作られる。その後で、ハウジングの外側表面が、本発明に基づくコーティングで被覆される。
【0036】
装置をロボットまたはロボット・アームに取付けるための手段は、以上においてハウジングに対して述べたものなどのような、絶縁性の高分子材料の外側の表面を、適切に有していても良い。取付け手段は、その後で、本発明に基づくコーティングで被覆される。
【0037】
シンプルさを確保するために、装置のハウジング及び取付け手段は、好ましくは、別個に製造され、装置の組み立ての前に、被覆される。しかしながら、装置が組み立てられた後に、ハウジングおよび/または取付け手段にコーティングが施されること、または、必要な場合には、再びコーティングが施されることもまた可能である。
【0038】
本発明の好ましい実施形態によれば、被覆される表面、即ちハウジングおよび/または取付け手段の外側表面は、コーティングに先立って、プラズマ処理される。そのようなプラズマ処理の目的は、被覆される表面に対するコーティングの付着力を強化することにある。プラズマは、好ましくは、被覆される表面で使用される特定の絶縁性の材料に基づいて選択される。適切なプラズマは、酸素プラズマまたはアルゴン・プラズマである。
【0039】
実施形態によれば、コーティングは、それが取付け手段のハウジングおよび/または外側の表面に付けられた後に、プラズマ処理される。前記プラズマ処理の目的は、コーティングの疎水性を強化することにあり、結果として、コーティングの表面の水の接触角を増大させる。プラズマは、好ましくは、選択されコーティング材料に基づいて選択され、ヘキサメチルジシロキサン・プラズマまたはパーフルオロヘキサン・プラズマが適切である場合がある。
【0040】
<例1>
POMの供試体が、“FEW Chemicals GmbH”社により提供されるH5068と呼ばれるシリカ・ゾル・コーティングで被覆された。コーティングの付着力を強化するために、コーティングに先立って、供試体の表面がプラズマ処理された。コーティングがスプレイ・コーティングにより実行された。
【0041】
被覆された供試体の表面上での水の接触角は、試験装置(DM500-Kyowa Interface Science Co., Ltd.)を使用して、10μLの液滴量で、5点で測定された。接触角は、108度と測定された。コーティングの後、n−ヘキサデカンでの接触角もまた、同一の方法により測定され、67度と決定された。
【0042】
<例2>
例1に基づく供試体のコンタミネイション性能が、0.6MPaの空気圧で動作するエア・スプレイ・ガンにより、30秒間、水性塗料で供試体を噴霧することにより、テストされた。供試体は、スプレイ・パターンの中心に、エア・スプレイ・ガンから凡そ50cm離して置かれた
供試体は、炉の中で、80℃で、凡そ一時間、乾燥された。その後で、表面の第一の写真が撮影された。供試体は、それに続いて、水ベースのシンナーの中に、凡そ一分間、浸漬された。水ベースのシンナーは、ブチル・セロソルブ、水、ジメチルアミン、イソプロピル・アルコール、及びエチル・アセテートからなる。表面上の過剰な液体が拭き取られ、供試体の第二の写真が撮影された。画像解析が、それらの写真について実施され、塗料の程度及び塗料除去の程度(カラー対バックグラウンド比)が定量された。
【0043】
比較のために、上述したものと同一のテストが、POMの被覆されていない供試体についても実施された。
【0044】
第一の写真の画像定量解析は、例1に基づいて被覆された供試体が、被覆されていない供試体と比較して凡そ50%少ないコンタミネイションを示す、と言うことを示している。
【0045】
更にまた、第二の写真の画像定量解析は、例1に基づく被覆された供試体が、被覆されていない供試体と比較して、凡そ200%の清浄性の増大を示す、と言うことを示している。
【0046】
<例3>
例1の供試体は、供試体の表面をメチルエチルケトン(MEK)で拭き取ることにより、溶剤に曝された。表面上での水の接触角が、例1の場合と同一のやり方で測定された。
【0047】
その後で、供試体は、塗料が供試体の半分の上に注がれることにより、溶剤性塗料に曝された。それに続いて、供試体は、凡そ一時間の間、乾燥され、その後で、再びMEKで拭き取られた。その後で表面上での水の接触角が測定された。この手順が、四回繰り返され、接触角が、毎回の後、測定された。
【0048】
接触角の測定結果は、水の接触角も、n−ヘキサデカンの接触角も、暴露の結果として変化しないと言うことを示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークピースを静電的に被覆するための装置であって、
アトマイザーと、
前記アトマイザーの周囲を取り囲み且つそれを収容する、絶縁性の高分子材料の、外側のハウジングと、
絶縁性の高分子材料の外側の表面を有し、当該装置をマニピュレータに取付けるための手段と、
を有する装置において、
前記外側のハウジングおよび/または前記取付け手段が、少なくとも90度の水の接触角、及びASTM−D785に基づく少なくとも100のロックウエル硬度を有するコーティングで、外部から被覆されていることを特徴とする装置。
【請求項2】
下記特徴を有する請求項1に記載の装置:
前記コーティングは、少なくとも100度の水の接触角を有している。
【請求項3】
下記特徴を有する請求項1または2に記載の装置:
前記コーティングは、メチルエチルケトンおよび/またはブチル・セロソルブに、10分間、暴露した後に、この暴露の前の水の接触角の、少なくとも80%の水の接触角を有している。
【請求項4】
下記特徴を有する請求項1から3のいずれか1項に記載の装置:
前記コーティングは、金属酸化物ゾル・コーティングである。
【請求項5】
下記特徴を有する請求項1から4のいずれか1項に記載の装置:
前記コーティングは、シリカ・ゾル・コーティングである。
【請求項6】
下記特徴を有する請求項1から5のいずれか1項に記載の装置:
前記コーティングは、フッ素改質シリカ・ゾル・コーティングである。
【請求項7】
下記特徴を有する請求項1から6のいずれか1項に記載の装置:
前記装置は、直接静電チャージングのために適合されている。
【請求項8】
ワークピースを静電的に被覆するための装置のコンタミネイションの危険を減らすための方法であって、
前記装置は、
アトマイザーと、
このアトマイザーの周囲を取り囲み且つそれを収容する、絶縁性の高分子材料の、外側のハウジングと、
絶縁性の高分子材料の外側の表面を有する、当該装置をマニピュレータに取付けるための手段と、
を有し、
当該方法は、ハウジングおよび/または取付け手段を、少なくとも90度の水の接触角、及び、ASTM−D785に基づく少なくとも100のロックウエル硬度を有するコーティングで、外部から被覆することを特徴とする方法。
【請求項9】
下記特徴を有する請求項8に記載の方法:
前記コーティングは、少なくとも100度の水の接触角を有している。
【請求項10】
下記特徴を有する請求項8または9に記載の装置:
前記コーティングは、メチルエチルケトンおよび/またはブチル・セロソルブに、10分間、暴露した後に、この暴露の前の水の接触角の、少なくとも80%の水の接触角を有している。
【請求項11】
下記特徴を有する請求項8から10のいずれか1項に記載の方法:
前記コーティングは、金属酸化物ゾル・コーティングである。
【請求項12】
下記特徴を有する請求項8から11のいずれか1項に記載の方法:
前記コーティングは、シリカ・ゾル・コーティングである。
【請求項13】
下記特徴を有する請求項8から12のいずれか1項に記載の方法:
前記コーティングは、フッ素改質シリカ・ゾル・コーティングである。
【請求項14】
下記特徴を有する請求項8から13のいずれか1項に記載の方法:
前記ハウジングおよび/または取付け手段の外側表面は、コーティングの付着力を強化するために、前記コーティングに先立って、プラズマ処理される。
【請求項15】
下記特徴を有する請求項14に記載の方法:
前記プラズマは、アルゴンまたは酸素プラズマである。
【請求項16】
下記特徴を有する請求項8から15のいずれか1項に記載の方法:
前記コーティングは、コーティングの疎水性を増大させるために、プラズマ処理される。
【請求項17】
下記特徴を有する請求項16に記載の方法:
前記プラズマは、ヘキサメチルジシロキサンまたはパーフルオロヘキサンのプラズマである。

【図1a】
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【図1b】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2011−526536(P2011−526536A)
【公表日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−515130(P2011−515130)
【出願日】平成20年7月4日(2008.7.4)
【国際出願番号】PCT/EP2008/058688
【国際公開番号】WO2010/000331
【国際公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【出願人】(594075499)アーベーベー・リサーチ・リミテッド (89)
【氏名又は名称原語表記】ABB RESEARCH LTD.
【Fターム(参考)】