説明

ワーク供給装置

【課題】ワークホルダー内に縦横に配置されたフリーズドライ処理したブロック状のワークを搬送コンベアなどに効率良く自動供給できる新規なワーク供給装置の提供。
【解決手段】ブロック状のワークWが縦横に配置されたワークホルダーH内の各ワークWをそれぞれ保持する複数のワーク保持手段33と、これら複数のワーク保持手段33を前記ワークホルダーHと前記搬送コンベアV間で往復移動させる往復移動手段Bと、前記複数のワーク保持手段33による各ワークWの保持動作と離反動作を前記往復移動手段Bの往復動作に基づいて制御する制御手段Cと、前記往復移動手段Bの往復動作に基づいて前記ワークホルダーHを前記ワーク保持手段33の取り出し位置側に順次移動させるワークホルダー移動手段Aとを備える。これによって、ワークホルダーH内に縦横に配置されたブロック状のワークWを搬送コンベアVなどに効率良く自動供給できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、甘酒や野菜スープなどの液状食品をフリーズドライ処理したブロック状のワークをワークホルダーから取り出して搬送コンベアなどに自動供給するようにしたワーク供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、甘酒や野菜スープなどの液状食品をフリーズドライ処理した乾燥食品は、保存食として利用価値が高いだけでなくお湯を注ぐだけで簡単に食すことができることから近年その需要が益々増大してきている。
そして、このような乾燥食品は、例えば、内部が縦横に区切られたトレイ状の容器(以下、適宜これを「ワークホルダー」という)の各マス目に液状の原料を流し込み、これをワークホルダーごとフリーズドライ処理(真空凍結乾燥処理)してブロック状に固め(以下、適宜これを「ワーク」という)た後、これら各ワークをそのワークホルダーから取り出してからそれぞれ個別に包装あるいは真空パック処理することで得られるようになっている。
【0003】
一方、以下の特許文献1には、フリーズドライ処理した製品のように壊れ易いものを選別しながら包装ラインに供給する供給装置が開示されている。
【特許文献1】特開平6−144548号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このようなブロック状のワークをそれぞれ包装あるいは真空パック処理するためには、ワークホルダーから取り出した各ワークを搬送コンベアによって順次専用の包装あるいは真空パック処理装置側に供給する必要があるが、従来この供給作業は作業員による手作業によって行われていたため、効率が悪いといった問題がある。
すなわち、このワークホルダー内のワークを1つずつ一定の間隔を隔てて搬送コンベア上に供給するためには、作業員が一旦このワークホルダー内のワークを全て纏めて取り出し、これを手作業によって1つずつ所定の方向に並べながら搬送コンベアに供給するようになっているが、このような手作業による供給方法では、一般に効率が低い上に、作業員ごとの差が大きいといった問題があり、さらなる供給効率の向上化のためにはその供給作業の自動化(機械化)が切望されている。
【0005】
なお、前記特許文献1には、フリーズドライ処理した製品などを振動選別しながら包装ラインに供給する技術は開示されているが、ブロック状のワークをワークホルダーから取り出してこれを搬送コンベアに供給するような技術は開示されていない。
そこで、本発明はこのような課題を有効に解決するために案出されたものであり、その目的はワークホルダーH内に縦横に配置されたブロック状のワークを取り出しこれを搬送コンベアなどに効率良く自動供給することができる新規なワーク供給装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために請求項1に記載のワーク供給装置は、
ワークホルダー内に縦横に配置されたフリーズドライ処理したブロック状のワークを纏めて取り出して搬送コンベア上に供給するワーク供給装置であって、前記ワークホルダー内の各ワークをそれぞれ保持する複数のワーク保持手段と、当該複数のワーク保持手段を前記ワークホルダーと前記搬送コンベア間で往復移動させる往復移動手段と、前記複数のワーク保持手段による各ワークの保持動作と離反動作を前記往復移動手段の往復動作に基づいて制御する制御手段と、前記往復移動手段の往復動作に基づいて前記ワークホルダーを前記ワーク保持手段の取り出し位置側に順次移動させるワークホルダー移動手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0007】
また、請求項2に記載のワークの供給装置は、
請求項1に記載のワークの供給装置において、前記ワークホルダーはトレイ状になっていると共に、前記往復移動手段は、当該ワークホルダー内のワークを保持してから上方に取り出して前記搬送コンベア上に載置すべく、前記複数のワーク保持手段を逆U字状に往復移動するようになっていることを特徴とするものである。
また、請求項3に記載のワークの供給装置は、
請求項1または2に記載のワークの供給装置において、前記各ワーク保持手段は、前記各ワークの上面側をその上方から真空吸着して保持するようになっていることを特徴とするものである。
【0008】
また、請求項4に記載のワークの供給装置は、
請求項1〜3のいずれか1項に記載のワークの供給装置において、前記各ワーク保持手段を互いに近接離間自在にレール上に係合すると共に、当該レールに、前記各ワーク保持手段同士の距離を調節する近接離間手段を備え、当該近接離間手段を前記制御手段で制御するようになっていることを特徴とするものである。
また、請求項5に記載のワークの供給装置は、
請求項1〜4のいずれか1項に記載のワークの供給装置において、前記ワークホルダー内に密着したワークを当該ワークホルダー底部から突き上げて当該ワークホルダーから剥離すべくワーク剥離手段を備えたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明によれば、制御手段が先ずワークホルダー移動手段を制御してワークホルダーをそのワーク取り出し位置側に順次移動させた後、複数のワーク保持手段によってそのワークホルダー内の各ワークをそれぞれ保持し、次にこの制御手段が往復移動手段を制御して各ワークを保持した各ワーク保持手段を搬送コンベア側に移動させた後、その搬送コンベアに載せる、といった動作を順次繰り返し行うことになる。
これによって、従来人手によって行われていたブロック状のワークの供給作業の自動化(機械化)が可能となるため、そのワークを効率良く搬送コンベア上に自動供給することができる。
【0010】
また、請求項2の発明によれば、前記ワークホルダーをトレイ状に形成すると共に、前記複数のワーク保持手段を逆U字状に往復移動するようになっているため、トレイ状のワークホルダーに縦横に配列されたワークを各ワーク保持手段によってそのまま纏めて上方に取り上げた後、それらワークを逆U字状に移動することで各ワークを前記搬送コンベア上に確実に載置することができる。
【0011】
また、請求項3の発明によれば、前記各ワーク保持手段は、前記各ワークの上面側をその上方から真空吸着して保持するようになっているため、ワークホルダー内のワークがその内部に密に配列された状態であっても容易かつ確実に所定のワークを保持することができる。また、真空吸着によって保持することで比較的脆いワークであっても確実に保持することができる。
【0012】
また、請求項4の発明によれば、前記各ワーク保持手段を互いに近接離間自在にレール上に係合すると共に、これら各ワーク保持手段同士の距離を調節するようにしたため、ワークホルダー内の各ワーク間距離(間隔)と、搬送コンベア上に載置するワーク間距離(間隔)とが異なっていても容易かつ確実に対応することができる。
また、請求項5の発明によれば、前記ワークホルダー内のワークを当該ワークホルダー底部から突き上げて当該ワークホルダーから剥離するようにしたため、各ワークがワークホルダー(の壁面など)に密着した状態であっても、これを確実にワークホルダーから剥離して取り出すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための最良の形態を添付図面を参照しながら詳述する。
図1は本発明に係るワーク供給装置100の実施の一形態を示す全体正面図であり、図2は同じくそのワーク供給装置100の全体平面図、図3は同じくそのワーク供給装置100の全体側面図である。
図示するように、このワーク供給装置100は、複数のワークWが縦横に配列されたトレイ状のワークホルダーHを搬送コンベアV方向に移送するホルダー移送部Aと、このホルダー移送部Aによって移送されたきたワークホルダーH内のワークWを一列ずつ纏めて取り出して搬送コンベアV側に載置するワーク載置部Bと、これらを制御する制御部Cとから主に構成されている。
【0014】
以下、これら各部A、B、Cの構成および作用などについて詳しく説明する。
<ホルダー移送部A>
先ず、このホルダー移送部Aは、テーブル状に組み立てられたフレーム10の上面側にホルダー移送機構11を備えた構成となっており、このホルダー移送機構11によってワークホルダーHをその長手方向に位置する搬送コンベアV方向に移送するようになっている。
すなわち、このホルダー移送機構11は、図2および図3に示すようにそのフレーム10の両端にそれぞれ一対の支持プレート12,12を介して回転軸13,13を軸支すると共に、これら各回転軸13,13にそれぞれ3つずつ設けられたスプロケットホイール14、14、14、14、14、14間に無端状の搬送ベルト15,15,15をそれぞれ架け渡した構造となっている。
【0015】
そして、図4および図5に示すように、これら各搬送ベルト15,15,15にその上方に突出する断面L字形の係合片16を所定の間隔を隔てて複数取り付けると共に、図1〜図3に示すようにその一方の回転軸13をホルダー移送モータ17によって回転駆動することで、ワークホルダーHをこの搬送ベルト15,15,15上に水平状態に載置すると共にその係合片16がワークホルダーHの端部あるいは底面凹部などに係合することによってその状態(水平状態)を保ったままワークホルダーHを搬送コンベアV側に移送するようになっている。
【0016】
図5の例では、ワークホルダーHの移送方向後端側とその前方から4つめの底面溝部16aにそれぞれ搬送ベルト15上の断面L字形の係合片16、16が係合することでワークホルダーHを水平に移送するようになっている。なお、図3に示すように、この搬送ベルト15,15,15の搬出端側まで搬送されたワークホルダーHは、その後その搬出端側から順次落下して排出されるようになっている。
【0017】
ここで、このワークホルダーHは、図2および図4〜図6などに示すようにその内部がマス目状に縦横に区画(本実施の形態では図2に示すように横7マス×縦9マスの合計63マス)されており、各マス目18a内にはそれぞれブロック状のワークWが収容されるようになっている。なお、このワークホルダーHは、ポリエチレンなどのプラスチック薄板などをプレス成形して形成されたものであり、適度な強度と可撓性とを発揮できるようになっている。そして特にその底部は可撓性に富み、後述するように容易に変形可能となっている。
【0018】
また、図1〜図3に示すように、このホルダー移送機構11の途中であって搬送コンベアVの近傍には、ワーク剥離機構18が設けられており、このワーク剥離機構18によって各マス18内に密着したワークWの取り出しが容易になるように各マス18から機械的に剥離する機能を提供するようになっている。
このワーク剥離機構18は、図4〜図6に示すように搬送途中のワークホルダーHの下面側に、櫛歯状をした一対の剥離部材19、19を移送方向に1マスおいて平行に位置させると共に、その剥離部材19、19の両端部をそれぞれ剥離部材昇降シリンダ20、20(一方は図示省略)によって昇降自在に支持した構造となっている。なお、この剥離部材昇降シリンダ20、20は、支持プレート12、12側にそれぞれ固定されたL字状のブラケット21、21(一方は図示省略)の下面に締結ボルトなどによって一体的に取り付けられている。
【0019】
そして、図5および図6に示すように、この剥離部材昇降シリンダ20、20によってこの剥離部材19、19を同時に上昇させてその櫛歯部分に相当する剥離棒19a…の先端をワークホルダーHの各マス目18aの底部に押し当てることで図示するように各マス目18a内に密着したワークWを浮かすように持ち上げてその壁面から強制的に剥離するように作用するようになっている。なお、この剥離部材19の各剥離棒19a…は、それぞれその先端が各列のマス目18aのほぼ中央に位置するようにワークホルダーHの各マス目18aと同じ数、すなわち本実施の形態では7本ずつ、それぞれ等間隔で設けられている。
【0020】
また、この剥離部材19、19の上面側には、図7に示すように樋状に形成された押さえ板23がこのワークホルダーHを跨ぐように設けられており、この押さえ板23の両端がそれぞれ前記L字状のブラケット21、21の上面側にそれぞれ設けられた押さえ板昇降シリンダ22、22(一方は図示省略)によって昇降自在に支持されている。
【0021】
そして、図6に示すように前記一対の剥離部材19、19を突出させると同時にこの押さえ板昇降シリンダ22、22によって押さえ板23を降下させてその底面側をワークホルダーHの上面側に押し付けてワークホルダーH全体が浮き上がってしまうのを防止することで前記剥離部材19、19によるワークWの剥離動作を確実ならしめるように機能するようになっている。
また、図1、図2および図5、図6に示すようにこのワーク剥離機構18の近傍には、トレイ検出センサS1が設けられており、移送されてきたワークホルダーHを検出してその検出信号を後述する制御部Cに入力するようになっている。
【0022】
<ワーク載置部B>
次に、ワーク載置部Bは、図1〜図3に示すようにこのホルダー移送部Aを跨ぐように位置するフレーム30にワーク載置機構31を備えた構成となっており、このワーク載置機構31によってワークホルダーH内のワークWを一列ずつ取り出して搬送コンベアV側に連続的に載置するようになっている。
すなわち、このワーク載置機構31は、このホルダー移送部A上のワークホルダーHの上方に臨むように位置するレール32に、ワークWを吸着して保持する吸着器33を複数(つまりワークホルダーHの一列分のワークWと同じ数である7個)、スライド自在に係合すると共に、これら各吸着器33をそのレール32ごと搬送コンベアV側に移動可能としたものである。
【0023】
図8および図9は、このようなレール32を中心としたワーク載置部Bの一連の動きを示したものであり、それぞれの図示方向は図3および図1に対応するものである。また、図10は、このレール32に係合した吸着器33の詳細な構造を示したものであり、さらに図11は、このレール32に係合した各吸着器33、33…相互の位置関係を示したものである。
【0024】
先ず、図10および図11に示すように、このレール32の一側面には、上下一対の係合溝34,34がその長手方向に沿って連続して形成されており、この係合溝34,34にスライドブロック35と一体となった上下一対のベアリング36,36が嵌合することでそのスライドブロック35と共に吸着器33がスライド移動自在に係合した状態で取り付けられている。なお、このレール32にはそれぞれ吸着器33を備えた7つのスライドブロック35、35、35、35、35、35、35が係合されており、後述するように、これら各スライドブロック35、35、35、35、35、35、35のうち、中央に位置するスライドブロック35のみは、そのレール32に固定された状態となっている。
【0025】
そして、このレール32の両端部には、それぞれ回転軸37、37が突出されて設けられており、この回転軸37、37がコマ38に回転自在に軸支されると共に、このコマ38が移動用のチェーン39、39に取り付けられた状態となっている。
この移動用のチェーン39、39は、図2および図8、図9などに示すようにこのワーク載置部Bのフレーム30側に軸支された第1のスプロケットホイール40、40と、その下部に同じく軸支された下部スプロケットホイール42、42との間にそれぞれ架け渡されるようになっており、この下部スプロケットホイール42、42側を吸着器往復動モータ41によって駆動することで、この移動用のチェーン39、39が第1のスプロケットホイール40、40と下部スプロケットホイール42、42の間を走行するようになっている。
【0026】
そして、この吸着器往復動モータ41によってスプロケットホイール42、42を一定の回転角度で正逆方向に交互に回転させることで、図8および図9に示すようにこのレール32をこれに係合している全ての吸着器33、33、33、33、33、33、33と共にその姿勢を保ったままワークホルダーH側と搬送コンベアV間で断面逆U字状に往復移動するようになっている。なお、図8中43は、テンションホイールであり、この移動用のチェーン39、39の張り具合を調整すべくこのフレーム30側に回転自在に軸支されている。
【0027】
また、このレール32の端部には姿勢制御用のロッド45が立設されており、このレール32の位置に拘わらず、このレール32およびこれに係合している全ての吸着器33、33、33、33、33、33、33の姿勢を維持するようになっている。
すなわち、このロッド45の先端は、レール32と平行に延びる連結部材46の挿入孔46aに挿入されていると共に、この連結部材46の端部は、レール32と同様にそれぞれ断面L字形の軸支部材47、47に軸支された状態となっている。
【0028】
そして、この軸支部材47、47が、姿勢制御用のチェーン48に取り付けられていると共に、この姿勢制御用のチェーン48が前記第1のスプロケットホイール40、40と同軸上に設けられた第2のスプロケットホイール49、49と、その上部に同じく軸支された上部スプロケットホイール50、50との間にそれぞれ架け渡されるようになっており、この第2のスプロケットホイール49、49を吸着器往復動モータ41によって第1のスプロケットホイール40、40と共に駆動することで、この姿勢制御用のチェーン48、48が前記第1のスプロケットホイール40、40とリンクして第2のスプロケットホイール49、49と上部スプロケットホイール50、50との間を正逆いずれに方向に対しても走行可能となっている。
【0029】
従って、図8および図9に示すように、このレール32を第1スプロケットホイール40の周囲の沿って逆U字形に往復移動するに伴ってこのロッド45の先端も同時に上部スプロケットホイール50の周囲に沿って逆U字形に往復移動することによってそのレール32の位置に拘わらずその姿勢(特に上下方向の位置関係)を一定に保つことができるようになっている。
一方、このレール32に係合している各吸着器33は、図10に示すようにスライドブロック35側に取り付けられたL字形のブラケット51と、このブラケット51を垂直に貫通するように取り付けられた吸引管52と、この吸引管52の下端側にコイルバネ53を介して取り付けられた吸盤体54とから主に構成されている。
【0030】
そして、この吸引管52の上端側に連結される図示しない吸引パイプを介してその吸盤体53内の空気を吸引してその内部を負圧状態にすることでワークホルダーH内のワークWの上面側を吸着してこれを一時的に保持できるようになっている。従って、これら各吸着器33は、このようにしてワークWを吸着した状態で吸盤体53の吸引を停止するか、その吸盤体53内に積極的に空気を送り込むことで保持した状態のワークWを任意のタイミングで確実に離す(離反)ことができるようになっている。また、コイルバネ53はブラケット51に対して固定された状態の吸引管52に対する吸盤体53の相対移動を許容するものであり、吸盤体53をワークWに接触させたときなどにそのワークWに過大な荷重がかかるのを防止するようになっている。
【0031】
また、図11に示すように、このレール32には、左右一対の距離調整用のシリンダ60、60が設けられており、そのレール32の中央部を中心として互いに反対方向に伸縮することで、このレール32上をスライド移動する7つの吸着器33、33、33、33、33、33、33の間隔を少なくとも2段階に調整できるようになっている。
すなわち、同図に示すように、これら一対の距離調整用のシリンダ60、60は、その一端部がこれら7つの吸着器33、33、33、33、33、33、33のうち、レール32の中央に固定された吸着器33のスライドブロック35(d)側に取り付けられて固定されていると共に、その他端部がそれぞれ伸縮部材61、61(一方は図示省略)を介して両端のシリンダブロック35(a),35(a)にそれぞれ連結された状態となっている。
【0032】
そして、同図(A)および(B)に示すようにこの伸縮部材61,61の他端側は、長孔62となっており、連結ピン63を介してその隣りのスライドブロック35(b)に連結された状態となっている。また、同図(B)および(C)に示すように、そのスライドブロック35(b)とその隣りに位置するスライドブロック(c)とは、同じく一方に長孔64が形成された連結部材65によってスライドブロック35(b)と近接離間自在に連結されており、さらに、このスライドブロック(c)は、レール32側に形成された長孔66の長さでスライド移動自在となっている。
【0033】
従って、同図(B)から(C)の矢印に示すように、この一対の距離調整用のシリンダ60、60を伸縮することで中央のスライドブロック35(d)を中心として各スライドブロック35がそれぞれ一定の距離、すなわちそれぞれの長孔62、64の長さ分だけ、スライド移動することによって各7つの吸着器33、33、33、33、33、33、33が互いに一定の間隔(距離)を保って近接離間移動するようになっている。なお、同図(A)は、同図(B)の図示右側部分に対応する平面図である。
【0034】
<制御部C>
次に、制御部Cは、図12に示すようにCPU70、ROM72、RAM74、入出力インタフェース76,78などからなるコンピュータシステムと専用の制御プログラムなどから構成されており、作業員による操作信号や各種センサからの信号に応じて前述したホルダー移送部Aとワーク載置部Bとを互いにリンクさせながら制御する機能を提供するようになっている。
【0035】
すなわち、同図に示すようにこの制御部Cの入力用インタフェース76には、前述したホルダー移送部Aのトレイ検出センサS1の他に、運転開始スイッチS2と、運転停止スイッチS3と、前記ワーク載置部Bのレール32の位置など検出する回転角センサS4と、そのレール32に係合された吸着器33の位置を検出する吸着器位置検出センサS5とが接続されており、それぞれの信号が適宜入力されるようになっている。
【0036】
一方、この制御部Cの出力用インタフェース78には、前述したホルダー移送部Aのホルダー移送モータ17と、押さえ板作動シリンダ22と、剥離部材作動シリンダ20と、前述したワーク載置部Bの吸着器往復動モータ41と、吸着用アクチュエータ80と、間隔調整用シリンダ60などの各種デバイスが接続されており、前記入力用インタフェース76から入力された信号と制御用プログラムに基づいてこれら各デバイスを制御するようになっている。
【0037】
<作用>
次に、このような構成をした本発明のワーク供給装置100の作用を、主に図13および図14のフローチャート図などを参照しながら説明する。
先ず、この制御部Cは、電源投入後、所定の初期検査が終了したならば、運転開始スイッチS3からの信号を監視し、運転開始の信号が入力されたならば、図13のフローの最初のステップS100に示すように、ホルダー移送モータ17を制御してそのワークホルダーHをワーク取り出し位置まで移動させる。
そして、トレイ検出センサS1によってそのワークホルダーHが所定の位置に到達したことが検出されたならば、次のステップS102に移行して押さえ板作動シリンダ22を作動させて図5および図6に示すように押さえ板23を降下させてそのワークホルダーHが浮き上がらないようにその上面を軽く押さえ付けた後、次のステップS104に移行する。
【0038】
ステップS104では、図5および図6に示すように剥離部材作動シリンダ20を作動させてその剥離部材19を所定距離上昇させてそのワークホルダーHの下面から突き上げた後、元の位置に戻す。これによって、そのワークホルダーHの各マス目18aに密着して収容されているワークWがその壁面から完全に剥離した状態となるため、その後の取り出し作業を容易にすることができる。
【0039】
次に、このようにして剥離部材19を出没させてワークホルダーH内のワークWを剥離したならば、図14の最初のステップS200に移行し、吸着器往復動モータ41を作動させてレール32をワーク取り出し位置側に移動させる。
そして、次の判断ステップS202に移行してそのレール32がワーク取り出し位置、すなわち、図8の右側に示すようにワークホルダーHの上部に位置したか否かを回転角検出センサS4や吸着器位置検出センサS5などからの検出信号に基づいて判断する。
【0040】
そして、ワーク取り出し位置に到達した(Yes)と判断したならば、次のステップS204に移行し、吸着用アクチュエータ80を作動させてその7つの吸着器33、33、33、33、33、33、33によってワークホルダーH内で剥離した状態のワークWを1列(7個)纏めて吸着保持してワークホルダーH側から取り出す。
そして、このようにしてワークホルダーH内のワークWを取り出したならば、次のステップS206に移行し、吸着器往復動モータ41を反対方向に作動させてその吸着器33、33、33、33、33、33、33を逆U字状の軌跡を辿るように搬送コンベアV側に移動させる。
【0041】
このようにその吸着器33、33、33、33、33、33、33を逆U字状の軌跡を辿るように移動させることで、取り出し直後においてこれら吸着器33、33、33、33、33、33、33はそのまましばらく垂直上方に移動するようになるため、保持したワークWがワークホルダーHの縁部や各マス目18aの仕切り壁などにぶつかったり干渉したりすることなく、容易かつ確実にワークホルダーH内から取り出して搬送コンベアV側に搬送することができる。
【0042】
そして、引き続き次のステップS208に移行してそのワークWを保持した状態の吸着器33、33、33、33、33、33、33が図8に示すように搬送コンベアV上に到達したか否かを同じく回転角検出センサS4や吸着器位置検出センサS5などからの検出信号に基づいて判断し、到達したと判断したとき(Yes)は、最後のステップS210に移行し、吸着用アクチュエータ80を作動してその全てのワークWを同時に搬送コンベアV上に載置する。
【0043】
これによって、多数のワークWを纏めて搬送コンベアV側に供給することが可能となり、従来作業員の手作業によって行われていたワークWの供給作業の自動化を達成できると共に、その供給効率も大幅に向上することが可能となる。
また、ステップS206に示すように、これら各吸着器33、33、33、33、33、33、33によってワークWを保持した状態で搬送コンベアVに移動するに際しては、前述したように間隔調整用シリンダ60を伸張するように作動させることになる。
【0044】
これによって、ワークホルダーH内のワークWの収容間隔に比べて搬送コンベアVのワークWの搬送間隔が長い場合であっても的確に対応することができる。
そして、このようにして搬送コンベアV側へのワークWの供給が終了したならば、間隔調整用シリンダ60、吸着器往復動モータ41などを反対方向に作動させてワークホルダーHに移動させ、同様にして次の列のワークWの取り出しを順次繰り返すことになる。
【0045】
一方、図13のステップS106においては、このようにしてワークホルダーH内の最初の列のワークWの取り出しが終了したか否かを同じく回転角検出センサS4や吸着器位置検出センサS5などからの検出信号に基づいて判断し、取り出し作業が終了したと判断したとき(Yes)は、最後のステップS108に移行して押さえ板作動シリンダ22を作動させてワークホルダーHを押さえ付けていた押さえ板23を上昇させて解除した後、最初のステップS100に戻って同様な処理を繰り返すことになる。
【0046】
このように本発明は、従来人手によって行われていたブロック状のワークWの供給作業の自動化(機械化)が可能となるため、そのワークWを効率良く搬送コンベアV上に自動供給することができる。
なお、本実施の形態では、ワークホルダーH内のワークWを吸着器33によって吸着することでこれを把持するようにしたが、吸着による保持の代わりにワークW自体を直接機械的に掴み取ることで保持するような構成であっても良い。
また、本実施の形態では1本のレール32に多数の吸着器33を備えてワークホルダーH内のワークWを一列ずつ取り出して供給するようにしたが、このレール32を複数設け、ワークホルダーH内のワークWを2列以上ずつ纏めて取り出すようにすることも可能である。
【0047】
また、前記課題を解決するための手段の欄の請求項1に記載した「ワーク保持手段」は、本実施の形態の「吸着器33」に対応し、「往復移動手段」は、「ワーク載置部B」の「吸着器往復動モータ41」、「チェーン39」、「スプロケットホイール40」などに対応し、「制御手段」は、これらを制御する「制御部C」に対応し、また、「ワークホルダー移動手段」は、「ホルダー移送部A」などに対応するものである。
また、前記課題を解決するための手段の欄の請求項4に記載した「近接離間手段」は、本実施の形態の「間隔調整用シリンダ60」に対応し、また、請求項5に記載した「ワーク剥離手段」は、本実施の形態の「ワーク剥離機構18」にそれぞれ対応するものである。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明に係るワーク供給装置100の実施の一形態を示す全体正面図である。
【図2】本発明に係るワーク供給装置100の全体平面図である。
【図3】本発明に係るワーク供給装置100の全体側面図である。
【図4】ホルダー移送部Aのワーク剥離機構18近傍の構造を示す部分平面図である。
【図5】ホルダー移送部Aのワーク剥離機構18近傍の構造を示す部分側面図である。
【図6】ホルダー移送部Aのワーク剥離機構18近傍の構造を示す部分正面図である。
【図7】ワーク剥離機構18の一部を構成する押さえ板23の構造を示す部分斜視図である。
【図8】吸着器33とその移動状態を示す側面図である。
【図9】吸着器33とその移動状態を示す正面図である。
【図10】吸着器33の構造とその係合状態を示す側面図である。
【図11】レール32にスライド移動可能に係合された吸着器33の相互の位置関係を示す説明図である。
【図12】制御部の構成を示す説明図である。
【図13】ホルダー移送部Aの動作の流れを示すフローチャート図である。
【図14】ワーク載置部Bの動作の流れを示すフローチャート図である。
【符号の説明】
【0049】
100…ワーク供給装置
18…ワーク剥離機構(ワーク剥離手段)
33…吸着器(ワーク保持手段)
60…間隔調整用シリンダ(近接離間手段)
A…ホルダー移送部(ワークホルダー移動手段)
B…ワーク載置部(往復移動手段)
C…制御部(制御手段)
H…ワークホルダー
W…ワーク
V…搬送コンベア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークホルダー内に縦横に配置されたフリーズドライ処理したブロック状のワークを纏めて取り出して搬送コンベア上に供給するワーク供給装置であって、
前記ワークホルダー内の各ワークをそれぞれ保持する複数のワーク保持手段と、
当該複数のワーク保持手段を前記ワークホルダーと前記搬送コンベア間で往復移動させる往復移動手段と、
前記複数のワーク保持手段による各ワークの保持動作と離反動作を前記往復移動手段の往復動作に基づいて制御する制御手段と、
前記往復移動手段の往復動作に基づいて前記ワークホルダーを前記ワーク保持手段の取り出し位置側に順次移動させるワークホルダー移動手段とを備えたことを特徴とするワーク供給装置。
【請求項2】
請求項1に記載のワークの供給装置において、
前記ワークホルダーはトレイ状になっていると共に、
前記往復移動手段は、当該ワークホルダー内のワークを保持してから上方に取り出して前記搬送コンベア上に載置すべく、前記複数のワーク保持手段を逆U字状に往復移動するようになっていることを特徴とするワーク供給装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のワークの供給装置において、
前記各ワーク保持手段は、前記各ワークの上面側をその上方から真空吸着して保持するようになっていることを特徴とするワーク供給装置
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のワークの供給装置において、
前記各ワーク保持手段を互いに近接離間自在にレール上に係合すると共に、
当該レールに、前記各ワーク保持手段同士の距離を調節する近接離間手段を備え、
当該近接離間手段を前記制御手段で制御するようになっていることを特徴とするワーク供給装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のワークの供給装置において、
前記ワークホルダー内に密着したワークを当該ワークホルダー底部から突き上げて当該ワークホルダーから剥離すべくワーク剥離手段を備えたことを特徴とするワーク供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2007−308239(P2007−308239A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−137716(P2006−137716)
【出願日】平成18年5月17日(2006.5.17)
【出願人】(390026631)株式会社冨士製作所 (25)
【Fターム(参考)】