説明

ワーク搬送装置

【課題】リニアフィーダ6から分離供給部7を介してワーク収納孔3内に供給されるワークWの姿勢を容易に修正してこのワークWを搬送すること。
【解決手段】ワーク搬送装置はテーブルベース1と、テーブルベース1上に回転自在に配置された搬送テーブル2と、搬送テーブル2のワーク収納孔3内にワークWを供給するリニアフィーダ6とを備え、リニアフィーダ6と搬送テーブル2との間に分離供給部7が設けられている。リニアフィーダ6および分離供給部7の上面は、各々フィーダカバー6xおよび供給部カバー7xにより覆われている。分離供給部7内に位置するワーク収納孔3以外のワーク収納孔3の上面はテーブルカバー5により覆われている。テーブルカバー5のうち、供給部カバー7xに隣接する部分に、天井高さが徐々に低くなるテーパ部5bが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は搬送テーブルを含むワーク搬送装置に係り、とりわけワークを搬送テーブルのワーク収納孔内において安定した姿勢で搬送することができるワーク搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来よりワーク搬送装置として、テーブルベースと、テーブルベース上に回転自在に配置され、外周部に複数のワーク収納孔が設けられた搬送テーブルと、搬送テーブルに分離供給部を介して連結されたリニアフィーダとを備えたものが知られている。
【0003】
リニアフィーダの上面はフィーダカバーにより覆われ、分離供給部および分離供給部内に位置するワーク収納孔の上面は供給部カバーにより覆われ、さらに分離供給部内に位置するワーク収納孔以外のワーク収納孔の上面はテーブルカバーにより覆われている。
【0004】
このようなワーク搬送装置において、リニアフィーダから送られてくるワークは分離供給部を経て搬送テーブルのワーク収納孔内に供給される。
【0005】
またフィーダカバーの天井高さと、供給部カバーの天井高さは同一高さとなっており、ワークの厚みより十分に高くなっている。この場合、テーブルカバーの天井高さをフィーダカバーの天井高さおよび供給部カバーの天井高さより低くすると、ワークが分離供給部においてワーク収納孔に傾斜した姿勢で収納された場合に、搬送テーブルの回転によって、ワークが供給部カバーの下方からテーブルカバーの下方へ移行する際、この供給部カバーとテーブルカバーとの境界に当接して、ワークが損傷することが考えられる。
【0006】
他方、テーブルカバーの天井高さを高くしてフィーダカバーの天井高さおよび供給部カバーの天井高さと同一にした場合、上述のようなワークの損傷は防止できるものの、後工程においてワークに対して電気的測定等の検査を行なう際、検査速度が低下するという問題が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−145445号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は以上の点を考慮してなされたものであり、搬送テーブルのワーク収納孔内に傾斜した姿勢で供給されたワークが損傷することなく、かつワーク収納孔内において安定した姿勢でワークを搬送することができるワーク搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、テーブルベースと、テーブルベース上に回転自在に配置され、外周部に複数のワーク収納孔が設けられた搬送テーブルと、搬送テーブルに分離供給部を介して連結され、搬送テーブルのワーク収納孔内にワークを供給するリニアフィーダとを備え、リニアフィーダの上面はフィーダカバーにより覆われ、分離供給部および分離供給部内に位置するワーク収納孔の上面は供給部カバーにより覆われ、分離供給部内に位置するワーク収納孔以外のワーク収納孔の上面はテーブルカバーにより覆われており、テーブルカバーのうち供給部カバーに隣接する部分に、テーパ部を設けるとともに、テーパ部の天井高さは供給部カバーに隣接するテーパ始点から、搬送テーブルの搬送方向に向ってテーパ終点まで徐々に低くなっており、テーパ部のテーパ終点における天井高さは、フィーダカバーおよび供給部カバーの天井高さより低いことを特徴とするワーク搬送装置である。
【0010】
本発明は、テーブルカバーのテーパ始点における天井高さは、フィーダカバーおよび供給部カバーの天井高さより高いことを特徴とするワーク搬送装置である。
【0011】
本発明は、フィーダカバーおよび供給部カバーの天井高さは、互いに同一となっていることを特徴とするワーク搬送装置である。
【0012】
本発明は、テーブルカバーのうちテーパ部以外の部分の天井高さは、テーパ終点における天井高さと同一となっていることを特徴とするワーク搬送装置である。
【0013】
本発明は、ワークは直方体状となっており、リニアフィーダ内に位置するワークの前方面および後方面のうち、少なくとも一方から、ワーク底面またはワーク上面と同一面に位置する電極が突出していることを特徴とするワーク搬送装置である。
【発明の効果】
【0014】
以上のように本発明によれば、テーブルカバーのうち供給部カバーに隣接する部分に、テーパ始点からテーパ終点まで天井高さが低くなるテーパ部を設けたので、このテーパ部においてリニアフィーダから分離供給部を介してワーク収納孔内へ傾斜した姿勢で供給されたワークを搬送する際に、その姿勢を容易かつ確実に修正することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は本発明を適用したワーク搬送装置の平面図。
【図2】図2はワークを示す斜視図。
【図3】図3は図1に示す領域S1の拡大図。
【図4】図4は図3に示す領域S2の拡大透視図。
【図5】図5は図3におけるM方向透視図。
【図6】図6(a)(b)はワーク収納孔を示す斜視図。
【図7】図7は図8におけるF−F’線断面図。
【図8】図8は図3に示す領域S3の拡大図。
【図9】図9は図8におけるL方向透視図。
【図10】図10は図9と同様の方向からみた本発明によるワーク搬送装置の動作説明図。
【図11】図11は図9と同様の方向からみた本発明によるワーク搬送装置の動作説明図。
【図12】図12は図9と同様の方向からみた本発明によるワーク搬送装置の動作説明図。
【図13】図13は図9と同様の方向からみた本発明によるワーク搬送装置の動作説明図。
【図14】図14は図9と同様の方向からみた本発明によるワーク搬送装置の動作説明図。
【図15】図15は図7と同様の方向からみた本発明によるワーク搬送装置の動作説明図。
【図16】図16は図7と同様の方向からみた本発明によるワーク搬送装置の動作説明図。
【図17】図17は図7と同様の方向からみた本発明によるワーク搬送装置の動作説明図。
【図18】図18は図7と同様の方向からみた本発明によるワーク搬送装置の動作説明図。
【図19】図19は図7と同様の方向からみた本発明によるワーク搬送装置の動作説明図。
【図20】図20は図7と同様の方向からみた本発明によるワーク搬送装置の動作説明図。
【図21】図21は図1におけるG−G’線断面図。
【図22】図22は図1におけるH−H’線断面図であって第1検査部の作用を示す図。
【図23】図23は図1におけるH−H’線断面図であって第1検査部の作用を示す図。
【図24】図24は図9と同様の方向からみた比較例としてのワーク搬送装置の動作説明図。
【図25】図25は図9と同様の方向からみた比較例としてのワーク搬送装置の動作説明図。
【図26】図26は図9と同様の方向からみた比較例としてのワーク搬送装置の動作説明図。
【図27】図27は図9と同様の方向からみた比較例としてのワーク搬送装置の動作説明図。
【図28】図28は図5と同様の方向からみた比較例としてのワーク搬送装置の動作説明図。
【図29】図29は図5と同様の方向からみた比較例としてのワーク搬送装置の動作説明図。
【図30】図30は図7と同様の方向からみた比較例としてのワーク搬送装置の動作説明図。
【図31】図31は図7と同様の方向からみた比較例としてのワーク搬送装置の動作説明図。
【図32】図32は図7と同様の方向からみた比較例としてのワーク搬送装置の動作説明図。
【図33】図33は図7と同様の方向からみた比較例としてのワーク搬送装置の動作説明図。
【図34】図34は図7と同様の方向からみた比較例としてのワーク搬送装置の動作説明図。
【図35】図35は図7と同様の方向からみた比較例としてのワーク搬送装置の動作説明図。
【図36】図36は図9と同様の方向からみた比較例としてのワーク搬送装置の動作説明図。
【図37】図37は図9と同様の方向からみた比較例としてのワーク搬送装置の動作説明図。
【図38】図38は比較例としてのワーク搬送装置の拡大平面図。
【図39】図39は図38に示す領域S3の拡大図。
【図40】図40は図39におけるL方向透視図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0017】
図1乃至図23に示すように、ワーク搬送装置はテーブルベース1と、テーブルベース1上に回転自在に配置され外周部に複数のワーク収納孔3が設けられた搬送テーブル2と、搬送テーブル2に分離供給部7を介して連結され、搬送テーブル2のワーク収納孔3内にワークWを供給するリニアフィーダ6とを備えている。このうち、リニアフィーダ6の上面はフィーダカバー6xにより覆われており、分離供給部7および分離供給部7内に位置するワーク収納孔3の上面は供給部カバー7xにより覆われている。さらに分離供給部7内に位置するワーク収納孔3以外のワーク収納孔3の上面は、テーブルカバー5により覆われている。
【0018】
図1に示すように、搬送テーブル2は上述のように図示しない駆動機構により回転し、搬送テーブル2の外側には、図示されない振動機構により振動してワークを一列状態で搬送するリニアフィーダ6が搬送テーブル2の外縁に向けて水平に設置されている。リニアフィーダ6の終端部はワーク収納孔3の開口部と対向しており、リニアフィーダ6の終端部には上述した分離供給部7が設けられ、この分離供給部7により、ワークを1個ずつ分離してワーク収納孔3に供給する。また、搬送テーブル2の外周部には、間歇回転方向(矢印A)に沿って第1検査部8、第2検査部9、排出部10がこの順に設置されている。
【0019】
また上述のとおり、リニアフィーダ6の上面はフィーダカバー6xにより覆われ、分離供給部7の上面は供給部カバー7xにより覆われ、またワーク収納孔3の上面はテーブルカバー5により覆われている。このため、ワークWは上面側から直視することはできないが、図3においては、リニアフィーダ6およびワーク収納孔3内のワークWにハッチングを付けて、透視図として表示している。
【0020】
次にワークWについて説明する。ワークWの斜視図を図2に示す。ワークWは発光ダイオード(LED)からなり、上面に発光面Wsを有する直方体形状である本体Wxと、本体Wxから長手方向の前方および後方へ突出するリード端子Wa,Wbとを有している。例えばワークWがリニアフィーダ6内に位置した場合、リード端子Wbは本体Wxの前方面Wdから突出しており、リード端子Wbの底面は本体Wxの底面に一致し、リード端子Waは本体Wxの後方面Wcから突出しており、リード端子Waの底面は本体Wxの底面に一致する。
【0021】
リード端子Wa及びWbは電極であり、後述するプローブPa及びPbがそれぞれリード端子Wa及びWbに当接して、ワークWの電気的特性を測定する。
【0022】
市販されているLEDの例として、本体Wxの縦Xが3mm、横Yが5mm、高さZが1mm、リード端子Wa及びWbの突出部の長さjが0.3mm、高さkが0.25mmのものがある。図4に示すように上述したワークWは、発光面Wsを上に向けてリニアフィーダ6内を矢印Bの方向に長手方向を向けて搬送される。
【0023】
図8においてワークWが通過する箇所にハッチングを付けている。リニアフィーダ6内において、リニアフィーダの床面6aは図示されない振動機構の作用により垂直方向に振動し、ワークWを搬送する。リニアフィーダ6の終端部に位置する分離供給部7内の床面、及びワーク収納孔3の床面は、いずれもテーブルベース1の上面となる。
【0024】
また図7に示すように、リニアフィーダ6の上面はフィーダカバー6xにより覆われている。また、リニアフィーダ6の床面6aはフィーダベース6yの上面となり、このフィーダベース6yは図示されない振動機構の作用により、矢印Vのように垂直方向に振動する。さらに上述のように、リニアフィーダ6の終端部に位置する分離供給部7の上面及びワーク収納孔3の上面は供給部カバー7xにより覆われている。また、分離供給部7の床面及びワーク収納孔3の床面はいずれもテーブルベース1の上面1aとなり、分離供給部7において、テーブルベース1のワーク収納孔3の直近部分には、垂直方向に進退自在のセパレーションピン12が設置されている。
【0025】
セパレーションピン12は図示されない駆動機構の作用により、矢印D及びEの方向に進退する。搬送テーブル2の中心側に近いワーク収納孔3の床面となるテーブルベース1及び上面の供給部カバー7xには、ワーク検出部13a及び13bが設置されている。
【0026】
ワーク検出部13aはワーク収納孔3内に向けて、図示されない光源から光を発光し、ワーク検出部13bがこの光を検出する。このことにより、ワーク収納孔3内にワークWが収納されたか否かを検出する。
【0027】
また分離供給部7において、搬送テーブル2の下面のテーブルベース1には、図示されない真空源に連通する真空通路11が設けられている。真空通路11は搬送テーブル2を経由して、ワーク収納孔3の壁面に設けられた吸引孔11aに連通しており、ワーク収納孔3内のワークWは真空源の作用によって矢印Cの方向に吸引保持される。
【0028】
次にワーク収納孔3の斜視図を図6(a)、(b)に示す。図6(a)はワークWが収納されていない状態を示す図であり、ワーク収納孔3が分離供給部7に停止しているときには、吸引孔11aから矢印Cの方向に真空吸引が行われている。図6(b)は、分離供給部7においてワークWが収納された状態を示す図である。ワークWは長手方向すなわちリード端子Wbが突出している方向を搬送テーブル2の中心方向に向けて真空吸引されている。
【0029】
リニアフィーダ6内でワークWが搬送される様子を図5に示す。ワークWはリード端子Wa及びWbを下側にして一列でリニアフィーダ床面6aに配置され、フィーダベース6yの矢印V方向の振動により矢印Bの方向に搬送される。
【0030】
このとき、矢印V方向の振動によりワークWがフィーダベース6yの上面6aからフィーダカバー6xの下面6bに向けて跳躍するため、リニアフィーダの床面(フィーダベース6yの上面6a)からフィーダカバー6xの下面6bまでのフィーダカバー6xの天井高さは、ワークの高さZに跳躍する最大の高さを加算した値よりやや大きい値hに設定されている。
【0031】
ワークWの搬送速度を速くするためには振動の振幅を大きくする必要があり、振動の振幅が大きくなればワークが跳躍する最大高さは大きくなる。従って、搬送速度が速くなるにつれてフィーダカバー6xの天井高さhは高くなる。一例として、図2における高さZ=1mmのワークWを、毎分900個の速度で搬送してワーク収納孔3に収納するためには、フィーダカバー6xの天井高さhは1.4mmとなる。
【0032】
図7において、テーブルベース1は振動していないが、ワークWはフィーダベース6yの振動により跳躍しながらリニアフィーダ6から分離供給部7に移載される。このため、供給部カバー7xの下面7aは、フィーダカバー6xの下面6bと同一水平面上にある。
【0033】
一方、搬送テーブル2の厚さすなわちワーク収納孔3の高さuは、図2におけるワークWの高さZよりわずかに大きい値となっている。一例として、上記の高さZ=1mmのワークWを収納するワーク収納孔3の高さuは1.1mmである。ここで、供給部カバー7xは搬送テーブル2の一部の上面2aを覆っているが、ワーク収納孔3内のワークWに作用する真空吸引の漏れを極力抑える必要があるため、供給部カバー7xの下面7aと搬送テーブル2の上面2aとの間隙は、極めて小さく設定されている。一例として、上記のようなワーク収納孔3の高さ(搬送テーブル2の厚さ)u=1.1mmの場合、テーブルベース1の上面1aから供給部カバー7xの下面7aまでの天井高さhは1.2mmとなる。すなわち、供給部カバー7xの下面7aと7aとの間には段差がある。
【0034】
上述のように分離供給部7および分離供給部7内に位置するワーク収納孔3は供給部カバー7xにより覆われている。また分離供給部7以外のワーク収納孔3を含む搬送テーブル2の上面はテーブルカバー5により覆われており、テーブルカバー5の下面5aは供給部カバー7xの最も低くなる下面7aと同一水平面上にある。すなわち、テーブルベース1の上面1aからテーブルカバー5の下面5aまでの天井高さはhとなっている。
【0035】
ここでフィーダカバー6xの天井高さは、上述のようにフィーダベース6yの上面6aからフィーダカバー6xの下面6bまでの高さをいい、供給部カバー7xの天井高さはテーブルベース1の上面1aから供給部カバー7xの下面7aまでの高さをいい、テーブルカバー5の天井高さはテーブルベース1の上面1aからテーブルカバー5の下面5aまでの高さをいう。
【0036】
ところで図9乃至図14に示すように、テーブルカバー5のうち、供給部カバー7xに隣接する部分には、テーブルカバー5内面にテーパが形成されたテーパ部5bが設けられている。この場合、テーブルカバー5の天井高さはこのテーパ部5bにおいて、徐々に低くなる。
【0037】
すなわちテーブルカバー5の天井高さは、テーパ部5bにおいて供給部カバー7xに隣接するテーパ始点Pから搬送テーブル2の搬送方向に向ってテーパ終点Qまで徐々に低くなっており、テーブルカバー5のテーパ終点Qにおける天井高さは、テーパ部5b以外のテーブルカバー5の天井高さに一致する。
【0038】
またテーパ部5bのテーパの形状は、図9に示すように、テーブルカバー5が供給部カバー7xに隣接するテーパ始点Pにおいて、テーブルカバー5の天井高さ、すなわちテーブルベース1の上面1aからテーパ始点Pまでの高さhは供給部カバー7xの天井高さh以上であり、テーパ始点Pから搬送テーブル2の回転方向(矢印A)に沿って次第にテーブルカバー5の天井高さが低くなり、テーパ終点Qにおいてテーブルカバー5の高さは、上述のようにテーブルカバー5のテーパ部5b以外の部分の天井高さhに一致する。
【0039】
次にこのような構成からなる本実施の形態の作用について図15乃至図23を用いて説明する。図15において、ワークW1は分離供給部7内に停止しているワーク収納孔3に収納されており、真空通路11からの矢印C方向の真空吸引により吸着されている。このとき、ワークW1の後続となるワークW2は、更に後続となるワークW3がフィーダベース6yの矢印V方向の振動によって矢印Bの方向に搬送されているため、矢印Bの方向に押されているが、ワークW2は分離供給部7内においてワーク収納孔3の直近に突出しているセパレーションピン12に阻止されて停止している。
【0040】
このとき、ワーク検出部13aからワーク収納孔3内に向けて発光された光はワークW1によって遮断されるため、ワーク検出部13bは光を検出せず、ワーク収納孔3内にワークW1が収納されたことを検出する。そして、この検出情報は図示されない制御部に送信され、制御部は搬送テーブル2を間歇回転させて、ワークWを搬送する。
【0041】
この様子を図16に示す。図16において、図15においてワーク収納孔3が停止していた位置には、搬送テーブル2のワーク収納孔3がない外周部が到着している。
【0042】
このように搬送テーブル2が間歇回転すると、図17のように空のワーク収納孔3が分離供給部7内に到達して停止する。すると、制御部の作用によって、セパレーションピン12が矢印Dの方向に移動して退出する。そして、図18に示すように、セパレーションピン12によって阻止されて停止していたワークW2は、矢印Cの真空吸引力の作用によって、ワーク収納孔3に向けて矢印Bの方向に移動する。それと同時に後続のワークW3は、フィーダベース6yが矢印V方向に振動して後続のワークW4が矢印B方向に搬送されることに伴い、ワークW4に押されて分離供給部7内に到達する。
【0043】
図17及び図18においては、ワーク検出部13aからワーク収納孔3内に向けて発光された光はワーク検出部13bによって検出されるので、ワーク検出部13bはワーク収納孔3内が空であることを検出する。そして、図19に示すように、ワークW2がワーク収納孔3内に収納されると、ワーク検出部13aからワーク収納孔3内に向けて発光された光はワークW2によって遮断されるため、ワーク検出部13bはワーク収納孔3内にワークW2が収納されたことを検出する。そして、この検出情報が制御部に送信され、制御部の作用によりセパレーションピン12が矢印Eの方向に移動して進出し、図20に示すようにワークW3を阻止する。この時点で、ワークW2はワーク収納孔3内に完全に収納されており、図15の状態と同様になる。
【0044】
図16の状態で、ワークWが搬送される様子を図1のG−G’線断面図として図21に示す。搬送テーブル2の間歇回転により搬送されるワークWには、回転に伴う遠心力が働く。その際に図21に示すように、ワークWはテーブルカバー5の内壁5xに押し付けられて搬送され、ワーク収納孔3から外側に飛び出さないようになっている。また上述のように、テーブルベース1の上面1aからテーブルカバー5の下面5aまでの天井高さは、搬送テーブル2の厚さuよりわずかに大きいhである。
【0045】
図1において、ワークWが第1検査部8に到達したときの様子を、H−H’線断面図として図22及び図23に示す。図22に示すように、第1検査部8は搬送テーブル2の外側及び上部を覆う第1検査部カバー81を備えている。第1検査部カバー81の内壁81xは、図21に示すテーブルカバー5の内壁5xと同一平面にあり、第1検査部カバー81の下面81aは図21に示すテーブルカバー5の下面5aと同一水平面上にある。すなわち、テーブルベース1の上面1aから第1検査部カバー81の下面81aまでの天井高さは、搬送テーブル2の厚さuよりわずかに大きいhである。そして、図21に示すように搬送テーブル2の回転中にテーブルカバー5の内壁5xに押し付けられて搬送されたワークWは、第1検査部8に到達して搬送テーブル2が停止すると、図22に示すように、第1検査部カバー81の内壁81xに接触した状態となる。
【0046】
このとき、リード端子Wa及びWbの直下位置のテーブルベース1内には、垂直方向に進退自在のプローブPa及びPbが設置されており、図示されない制御部の作用により、リード端子Wa及びWbに向けて進出する。そして、図23に示すように、プローブPa及びPbはリード端子Wa及びWbに当接した状態でワークWを押し上げ、ワークWの上面が第1検査部カバー81の下面81aに当接した状態で停止する。プローブPa及びPbは図示されない測定器に接続され、ワークWの電気的特性を測定した後、プローブPa及びPbは退出して図22の状態となる。そして、制御部の作用により搬送テーブル2が間歇回転し、ワークWは搬送される。
【0047】
図1に示す第2検査部9にワークWが到達すると、第1検査部8とは異なる検査項目について検査が実施される。検査項目は第1検査部8と同様のプローブを用いた電気的特性検査である場合もあるし、カメラ等の撮像手段を用いた外観検査である場合もある。第2検査部9における検査を終了したワークWは排出部10に到達し、図示されない排出手段によりワーク収納孔3から排出される。
【0048】
次に図9乃至図14により、リニアフィーダ6から分離供給部7を介して搬送テーブル2のワーク収納孔3内に供給されるワークWの挙動について詳述する。
【0049】
ワークW2は、図7において矢印Cの方向に真空吸引される際に、後方面Wcの上辺Wが供給部カバー7xの下面7aに当接した状態でワーク収納孔3内に収納される場合がある(図35参照)。そのような状態で、図10の状態から制御部の作用により、搬送テーブル2が矢印Aの方向に間歇回転を開始すると図11の状態となる。この状態で更に搬送テーブル2が回転を続けると、図12に示すように、ワークW2はテーブルカバー5の下方に移動する。このとき、テーブルカバー5にはテーパ部5bが設けられており、しかも上述のように、供給部カバー7xに隣接する箇所、すなわちテーパ部5bのテーパ始点Pの高さが供給部カバー7xの下面7a以上であるため、ワークW2の後方面Wcの上辺Wは、搬送テーブル2の回転に伴い供給部カバー7xの下面7aからテーパ部5bに円滑に乗り移り、テーパ部5bに当接した状態となる。
【0050】
そして、テーパ部5bの作用により、ワークW2は後方面Wcの上辺Wが図13のように次第にその高さが低くなり、テーパ部5のテーパ終点Qに達する。その後図14のように、テーパ部5bがなくなったテーブルカバー5下方において、ワークW2は水平に収納された状態となってワークW2の姿勢が修正される。このとき、図12に示すようにワークW2が供給部カバー7xの下方からテーブルカバー5の下方に移動した状態において、ワークW2が図7に示す吸引孔11aから離れるため、図7の矢印C方向の真空吸引力がワークW2に及ぼす力が急激に減少する。そのため、ワークW2の後方面Wcの上辺Wを上方に付勢する力が減少し、ワークW2の後方面Wcの上辺Wは容易にテーパ部5bの作用により、高さが低くなる。
【0051】
次にテーパ部5b以外の低い天井高さhを有するテーブルカバー5の部分の下方に入って搬送されたワークW2は、そのまま図1における第1検査部8に到達し、図22及び図23に示すように、プローブPa及びPbがリード端子Wa及びWbに当接して電気的特性の検査が行われる。このとき第1検査部カバー81の天井高さは、供給部カバー7xの天井高さhより低いhとなっているので、後述のように検査速度が低下することはない。
【0052】
本実施の形態によれば、テーブルカバー5のテーパ部5bにおいて、分離供給部7においてワーク収納孔3内に傾斜した姿勢で供給されたワークWの姿勢を容易かつ確実に修正することができ、また第1検査部8及び第2検査部9において迅速にワークWに対する検査を行なうことができる。
【0053】
以上の説明においては、第1検査部8、第2検査部9のように2個の検査部が設置され、さらに排出部10が設置されているが、検査部の数は2個に限定されるものではない。また、排出部10の代わりに、キャリアテープの凹部にワークを挿入する挿入部や、検査結果によりワークの特性をいくつかの等級に分類して各等級に対応する容器にワークを分類排出する分類排出部を設置しても良い。
【0054】
次に本発明の比較例について、図24乃至図40により以下説明する。
【0055】
以下の比較例では、図38乃至図40に示すように、分離供給部7内に位置するワーク収納孔3以外のワーク収納孔3の上面は、テーパ部を有しないテーブルカバー50により覆われており、この場合、テーブルカバー50は分離供給部7の供給部カバー7xに隣接
して設けられている。
【0056】
図15に示すように、ワークW1がワーク収納孔3内に水平に収納された場合は、図24乃至図27のように搬送テーブル2の間歇回転により、ワーク収納孔3内のワークW1は問題なく搬送される。すなわち、図15の矢印L方向透視図である図24において、ワーク収納孔3内にワークW1が収納されており、この状態をワーク検出部13a及び13bが検出する。この検出情報が制御部に送信され、制御部は図25に示すように、搬送テーブル2を矢印Aの方向に間歇回転させてワークW1を搬送する。そして図26に示すように、空のワーク収納孔3が分離供給部7に到達し、図27のように搬送テーブル2が停止すると、制御部の作用により、ワークW2を阻止しているセパレーションピン12が矢印Dの方向に退出し、ワークW2は図15において矢印Cで示される真空吸引の作用により、ワーク収納孔3内に収納される(図17および図18)。
【0057】
ここで、長手方向にリード端子Wa及びWbを有するワークWを、振動によって長手方向にリニアフィーダ6内を搬送すると、振動時にワークWが垂直方向に跳躍するため、隣接するワークWのリード端子Wa,Wb同士が重なることがある。その例を図28及び図29に示す。図28は先行するワークWのリード端子Waが後続のワークWのリード端子Wb上に重なった状態を示し、図29は先行するワークWのリード端子Wa上に後続のワークWのリード端子Wbが重なった状態を示す。このうち、図28の状態で分離供給部7に到達したワークWの動作について、図30乃至図35を用いて説明する。
【0058】
図30は図15に対応する図であって、セパレーションピン12によって阻止されて停止しているワークW2のリード端子W2aが後続するワークW3のリード端子に重なっている状態を示す。この状態で図16に対応する図31に示すように搬送テーブル2が間歇回転し、図17に対応する図32に示すように、空のワーク収納孔3が分離供給部7内に到達して停止する。このとき、制御部の作用によって、セパレーションピン12が矢印Dの方向に移動して退出する。
【0059】
そして、図18に対応する図33に示すように、セパレーションピン12によって阻止されて停止していたワークW2は、矢印Cの真空吸引力の作用によって、ワーク収納孔3に向けて矢印Bの方向に移動する。その際、ワークW2の移動方向の前方面Wd側のリード端子W2bがテーブルベース1の上面1aに接し、後方面Wc側のリード端子W2aがテーブルベース1の上面1aから離間した状態で移動を開始する。そして、重力の作用により、前方面Wd側のリード端子W2bと後方面Wc側のリード端子W2aが交互にテーブルベース1の上面1aに接してワークW2が跳躍しながらワーク収納孔3内に収納されることがある。
【0060】
すなわち、図33の状態から図34に示すように、ワークWの後方面Wc側のリード端子W2aが一旦テーブルベース1の上面1aに接するとともに、前方面Wd側のリード端子W2bがテーブルベース1の上面1aから離間した状態となる。次に図35に示すように、再びワークWの前方面Wd側のリード端子W2bがテーブルベース1の上面1aに接し、後方面Wc側のリード端子W2aがテーブルベース1の上面1aから離間した状態で、ワークW2はワーク収納孔3内に収納される。
【0061】
このとき、ワーク収納孔3に対する吸引孔11aからの真空吸引が、テーブルベース1の斜め下方から矢印Cの向きに行なわれているため、ワークW2の前方面Wd側のリード端子W2bが斜め下方に吸引され、ワークW2の後方面Wcの上辺Wが上方に付勢される。このため、ワークW2の姿勢は、前方面Wd側のリード端子W2bがテーブルベース1の上面1aに接し、後方面Wcの上辺Wが供給部カバー7xの下面7aに当接した異常な姿勢で固定されてしまう。この状態における、図35の矢印Lの方向からの透視図を図36に示す。図36において、ワークW2の後方面Wcの上辺Wは供給部カバー7xの下面7aに当接している。この状態で搬送テーブル2が間歇回転を開始すると、図37の状態となる。図37において、ワークW2を収納したワーク収納孔3は供給部カバー7xに覆われており、図35に示す真空通路11からの真空吸引によりワークW2は真空通路11側へ吸引される。従って、ワークW2の姿勢は図36の状態、すなわち、ワークW2の後方面Wcの上辺Wが供給部カバー7xの下面7aに当接した状態で、搬送テーブル2は矢印Aの方向に間歇回転する。
【0062】
この場合、搬送テーブル2の回転方向(図37の矢印A)に沿って供給部カバー7xに隣接してテーブルカバー50が設置されており、上述のように、テーブルベース1の上面1aから供給部カバー7xの下面7aまでの天井高さhに対して、テーブルベース1の上面1aからテーブルカバー50の下面50aまでの天井高さh2は低くなっている。従って、図37において、ワーク収納孔3内のワークW2は、供給部カバー7xとテーブルカバー50の境界面である50xに衝突し、ワークW2或いはワーク収納孔3が損傷する。
【0063】
これを防止するためには、テーブルカバー50の下面50aを供給部カバー7xの下面7aと同一水平面上にもってきて、テーブルベース1の上面1aからテーブルカバー50の下面50aまでの天井高さをテーブルベース1の上面1aから供給部カバー7xの下面7aまでの天井高さhと同一にすることも考えられる。
【0064】
しかしながら、この場合はテーブルベース1の上面1aからテーブルカバー50の下面50aまでの天井高さがhより高いhとなる。同様にテーブルベース1の上面1aから図22及び図23に示す第1検査部8の第1検査部カバー81の下面81aまでの天井高さも、hより大きいhに変化する。
【0065】
このとき、第1検査部8において、プローブPa及びPbがワークWのリード端子Wa及びWbに向けて進出し、ワークWを第1検査部カバー81の下面81aに当接させてワークWの電気的特性を検査し、次にプローブPa及びPbが退出する際に、プローブPa及びPbの進出および退出する所要時間が長くなる(図22および図23参照)。すなわち、検査速度が低下して、ワークWの単位時間当りの検査個数が減少する。
【0066】
一例として、上述の図2におけるワークWの高さZ=1.0mmの場合、天井高さh=1.2mm、天井高さh=1.4mmとすると、天井高さh及びhに対応する所要時間は、それぞれ5ms及び8msとなる。このように、天井高さがhからhに大きくなることにより所要時間が3ms増加し、これが原因でワークWの毎分の検査個数が例えば40個減少する。これは、上述のように、高さZ=1.0mmのワークWを毎分900個の速度で搬送しても、毎分の検査個数が40個減少することを意味する。近年、ワークWの搬送及び検査の高速化が要求されるようになっており、このような検査個数の減少は性能の低下として問題となる。
【0067】
これに対して本願発明によれば、テーブルカバー5のテーパ部5bにおいて分離供給部7からワーク収納孔3内へ供給されるワークWの姿勢を容易かつ確実に修正することができる。またテーブルカバー5のうちテーパ部5b以外の部分の天井高さhは、フィーダカバー6xおよび供給部カバー7xの天井高さhに比べて低くなっているので、第1検査部カバー81の下面81aまでの天井高さhが低くなる。このため、第1検査部8においてプローブPa,Pbの進出及び退出の所要時間を短縮させることができ、ワークWの検査速度が低下することがない。
【符号の説明】
【0068】
1 テーブルベース
2 搬送テーブル
3 ワーク収納孔
5 テーブルカバー
5b テーパ部
6 リニアフィーダ
6x フィーダカバー
6y フィーダベース
7 分離供給部
7x 供給部カバー
8 第1検査部
81 第1検査部カバー
9 第2検査部
10 排出部
11 真空通路
11a 吸引孔
12 セパレーションピン
13a、13b ワーク検出部
W ワーク
P テーパ始点
Q テーパ終点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テーブルベースと、
テーブルベース上に回転自在に配置され、外周部に複数のワーク収納孔が設けられた搬送テーブルと、
搬送テーブルに分離供給部を介して連結され、搬送テーブルのワーク収納孔内にワークを供給するリニアフィーダとを備え、
リニアフィーダの上面はフィーダカバーにより覆われ、分離供給部および分離供給部内に位置するワーク収納孔の上面は供給部カバーにより覆われ、分離供給部内に位置するワーク収納孔以外のワーク収納孔の上面はテーブルカバーにより覆われており、
テーブルカバーのうち供給部カバーに隣接する部分に、テーパ部を設けるとともに、テーパ部の天井高さは供給部カバーに隣接するテーパ始点から、搬送テーブルの搬送方向に向ってテーパ終点まで徐々に低くなっており、テーパ部のテーパ終点における天井高さは、フィーダカバーおよび供給部カバーの天井高さより低いことを特徴とするワーク搬送装置。
【請求項2】
テーブルカバーのテーパ始点における天井高さは、フィーダカバーおよび供給部カバーの天井高さより高いことを特徴とする請求項1記載のワーク搬送装置。
【請求項3】
フィーダカバーおよび供給部カバーの天井高さは、互いに同一となっていることを特徴とする請求項1記載のワーク搬送装置。
【請求項4】
テーブルカバーのうちテーパ部以外の部分の天井高さは、テーパ終点における天井高さと同一となっていることを特徴とする請求項1記載のワーク搬送装置。
【請求項5】
ワークは直方体状となっており、リニアフィーダ内に位置するワークの前方面および後方面のうち、少なくとも一方から、ワーク底面またはワーク上面と同一面に位置する電極が突出していることを特徴とする請求項1記載のワーク搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【公開番号】特開2012−20822(P2012−20822A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−158990(P2010−158990)
【出願日】平成22年7月13日(2010.7.13)
【出願人】(591009705)株式会社 東京ウエルズ (47)
【Fターム(参考)】