説明

ワーク支持体の表面を横切る空間温度分布を制御する方法および装置

【課題】大きいプラズマ熱流束を要せずに、リアクティブ・イオンエッチングの間に半導体ウェーハの温度を制御する方法および装置を提供する。
【解決手段】温度制御型ベース(302)と、断熱材(304)と、平支持体(306)と、ヒータ(308)とを有するプラズマ加工機のチャック。温度制御型ベースは、ワーク(310)の所望温度以下の温度を有する。温度制御型ベース上には断熱材が配置される。断熱材上には平支持体が配置され、該平支持体はワークを保持する。ヒータは、平支持体内に埋設されおよび/または平支持体の下面上に配置される。ヒータは、複数の対応加熱ゾーンを加熱する複数の加熱要素を有している。各加熱要素に供給される電力および/または各加熱要素の温度は独立的に制御される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は基板支持体に関し、より詳しくは、プラズマ加工中に基板内に均一温度分布を達成する方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的なプラズマエッチング装置はリアクタを有し、該リアクタ内には、反応性ガス(単一または複数)が通って流れるチャンバが設けられている。ガスは、このチャンバ内で、一般に高周波エネルギによりプラズマにイオン化される。高い反応性を有するプラズマガスのイオンは、集積回路(IC)に加工される半導体ウェーハの表面上のポリマーマスクのような材料と反応できる。エッチング前に、ウェーハは、チャンバ内に置かれかつチャックまたはホルダにより適正位置に保持されて、ウェーハの上面がプラズマガスに曝される。当該技術分野で知られている幾つかの形式のチャック(時として、サセプタとも呼ばれる)がある。チャックは、等温面を形成しかつウェーハのヒートシンクとして機能する。一形式では、半導体ウェーハは、機械的クランプ手段により、エッチングのための所定位置に保持される。他の形式のチャックでは、半導体ウェーハは、チャックとウェーハとの間で電界により発生される静電力により所定位置に保持される。本発明は両形式のチャックに適用できる。
【0003】
一般的なプラズマエッチング作業では、プラズマガスの反応性イオンが、半導体ウェーハの面上の材料の部分と化学的に反応する。ウェーハの或る程度の加熱は幾つかの方法によって行なわれるが、殆どの加熱はプラズマにより行われる。一方、ガス(イオンおよびラジカル)とウェーハ材料との化学反応は、ウェーハの温度上昇により或る程度まで加速される。局部的ウェーハ温度およびウェーハ上の各顕微鏡的箇所での化学反応は、ウェーハ表面を横切る温度が大きく変化する場合に、ウェーハ表面上の材料のエッチングの有害な不均一性が容易に生じる度合いに関係している。殆どの場合、エッチングはほぼ完全な度合いまで均一であることが望まれている。そうでなければ、製造される集積回路デバイスは、望まれる規格から外れた電子的特性をもつものとなってしまうからである。また、ウェーハ直径が増大するにつれて、ICの各バッチの均一性を確保する問題は益々困難になる。他の場合には、カスタムプロファイルを得るには、ウェーハの表面温度を制御できることが望まれている。
【0004】
リアクティブ・イオンエッチング(reactive ion etching:RIE)中のウェーハの温度上昇の問題は良く知られており、これまで、エッチング中のウェーハの温度を制御する種々の試みがなされている。図1は、RIE中のウェーハ温度を制御する一方法を示すものである。クーラントガス(例えばヘリウム)が、ウェーハ104の下面と該ウェーハを保持するチャック106の頂部との間の単一狭空間内に、単一圧力で導入される。
【0005】
クーラントの漏洩を低減させるためチャック106の外縁部で1〜5mmの長さで延びている円滑なシーリングランドを除き、一般に、チャックの周囲にはOリングその他のエッジシールは全く設けられていない。必然的に、エラストマーシールがなければ、シーリングランドを横切る漸増する圧力損失があるため、ウェーハ104の縁部の冷却が不充分になる。従って、ウェーハ104の縁部近くに衝突する熱は、該熱がチャックに有効に伝導される前に、半径方向内方に多量に流れなくてはならない。ウェーハ104の上方の矢印108は、ウェーハ104を加熱する進入熱流束を示す。ウェーハ104内の熱の流れが矢印110で示されている。これが、チャックの縁部領域が残りの表面よりも高温になり勝ちな理由である。図2には、ウェーハ104上の典型的な温度分布が示されている。ウェーハ104の周辺部での圧力損失により、ウェーハ104は、周辺部が非常に熱くなる。
【0006】
ゾーンクーリングの必要性に対処する一方法は、表面粗さを変えるか、レリーフパターンをカットして局部的接触領域を有効に変えることである。このようなスキームは裏面クーラントガスを全く使用することなく行なわれ、この場合には、接触領域、表面粗さおよびクランプ力が熱伝達を決定する。しかしながら、局部的接触領域は、チャックを機械加工し直さなくては調節できない。ゾーンクーリングに対処する他の方法は、圧力が変えられるクーラントガスを使用して熱伝達を増大させかつ微調節することである。しかしながら、レリーフパターンは依然として実質的に固定されたままである。仕切り部(dividers)として小さいシーリングランドを用いて(または用いることなく)チャックの表面を異なるゾーンに分割し、かつ各ゾーンに別々の冷却ガスを供給することにより、高度の独立空間制御を達成できる。各ゾーンへのガス供給は、異なる組成にするか異なる圧力に設定して、熱伝導を変えることができる。各ゾーンの作動制御は、配合調節により設定されるか、各加工段階中に動的に安定化される。このようなスキームは、プラズマからの進入熱流束を再分布させかつこれを異なる領域に抽出することに基いて定まる。これは高出力の熱流束には比較的有効であるが、低出力の熱流束には小さい温度差を与えることができるに過ぎない。例えば、約1W/cm2の均一熱流束および約3mmのシーリングランドで、中央部に、ウェーハ周辺部近くで10〜30℃の温度上昇をもたらす縁部熱勾配を与えることができる。この大きさの熱勾配は、プロセス制御パラメータとして非常に有効である。しかしながら、他の加工例えば低出力でのポリゲート加工法は、僅かに0.2W/cm2の熱流束を有する。平均伝導が極めて小さくされない限り(これは、制御が極めて困難でかつ全体的冷却が不充分なものとなる)、一般に5℃以下の非常に小さい温度差になってしまうであろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、大きいプラズマ熱流束を要せずして、リアクティブ・イオンエッチングおよび同様な加工法の間に半導体ウェーハの温度を制御する方法および装置が要望されている。本発明の第一目的は、これらの要望を解決しかつ他の関連長所を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によるプラズマ加工機のチャックは、温度制御型ベースと、断熱材と、平支持体と、ヒータとを有している。温度制御型ベースは、ワークの所望温度以下の温度を有する。温度制御型ベース上には断熱材が配置される。断熱材上には平支持体が配置され、該平支持体はワークを保持する。ヒータは、平支持体内に埋設されおよび/または平支持体の下面上に配置される。ヒータは、複数の対応加熱ゾーンを加熱する複数の加熱要素を有している。各加熱要素に供給される電力および/または各加熱要素の温度は独立的に制御される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】従来技術による加工中にウェーハを保持する支持体を示す概略側面図である。
【図2】従来技術による図1の装置でのウェーハの温度およびクーラントの圧力を示すプロットである。
【図3A】本発明の一実施形態によるワーク温度制御装置を示す概略側面図である。
【図3B】本発明の他の実施形態によるワーク温度制御装置を示す概略側面図である。
【図3C】図3Aの装置での熱流量力学の簡単化した概略図である。
【図4A】本発明の他の実施形態によるワーク温度制御のための一体型単一平層電極/ヒータを備えた装置を示す概略側面図である。
【図4B】本発明の他の実施形態によるワーク温度制御のための一体型単一平層電極/ヒータを備えた装置を示す概略平面図である。
【図5】本発明の他の実施形態による側方断熱層アプローチを用いたワーク温度制御装置を示す概略側面図である。
【図6】本発明の一実施形態によるチャックの温度制御方法を示すフローチャートである。
【図7】本発明の一実施形態によるチャックの温度制御システムを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本願明細書に組込まれかつこの一部を形成する添付図面は、本発明の1以上の実施形態を示しかつ詳細な説明と相俟って本発明の原理および実施を説明する機能を有している。
本発明の実施形態は、ワーク支持体の表面を横切る空間温度分布を制御する方法および装置に関連して説明する。当業者ならば、本発明の以下の詳細な説明は単なる例示であって、いかなる制限をも意味するものではないことが理解されよう。本発明の他の実施形態は、本願の開示に利益を有する当業者にとっては容易に示唆されるものである。本発明の実施には、添付図面に示されたものを詳細に参照されたい。全図面および以下の詳細な説明を通して、同じまたは同類の部品には同じ参照番号が使用されている。
【0011】
明瞭化の観点で、実施上の必ずしも全ての特徴が図示および説明されてはいない。このようなあらゆる実際上の実施を行なうに際し、用途への追従および商業上の拘束等の開発者の特定目的を達成するには実施する上での多くの特定決定を行なう必要があること、およびこれらの特定目的は一実施から他の実施へと、および一開発者から他の開発者へと変わることは、もちろん理解されよう。また、このような開発努力は複雑で時間を要するものであるが、本願開示の利益を有する当業者は工学的に事業化できるであろう。
【0012】
本発明の装置は、例えば5℃を超える正確な大きい温度差を達成することを探求するものであるが、例えば2W/cm2以下のように、大きいプラズマ熱流束を必要としないものである。図3Aは、本発明の一実施形態によるワーク温度制御装置を示す概略側面図である。ベース302すなわち熱交換器が断熱材304を支持している。該断熱材304上には、好ましくは平支持体306が取付けられている。支持体306内には、ヒータ308が埋設されている。支持体306上には、ウェーハのようなワーク310が配置されている。熱伝導体312が、支持体306とワーク310との間の熱的密接を形成している。熱伝導体312は、ヘリウムのようなガスが好ましい。ヘリウム圧力は、ワーク310と支持体306との熱伝導を制御する。
【0013】
一実施形態によれば、ベース302は、冷却/加熱流体ループのような慣用の熱交換システムを通して比較的一定温度に維持される金属材料(好ましくはアルミニウムベースの冷却板)で構成される。他の実施形態によれば、ベース302は、窒化アルミニウムのような非金属材料で構成することもできる。しかしながら、ベース302は、ヒータ308を用いない標準的作動時におけるよりも大きく冷却されなければならない。例えば、ベース302の温度は、ワーク310の所望温度よりも10〜50℃低くすることができる。ベース302はまた、プラズマ加熱の場合の熱シンクを形成する。ベースプレート302の温度を維持するため、外部クーラント冷却器(図示せず)を使用することもできる。外部クーラント冷却器により除去される熱量およびクーラントの温度は、それぞれ、2000Wおよび−20℃以下に制限できる。ベース302には、ヒータ用給電線312または他のサービスラインを配置するための幾つかの孔およびキャビティ(図示せず)を設けることができる。このようなサービスラインとして、ヒータ、センサ、高電圧静電クランプ用の給電線がある。当業者ならば、サービスラインは前掲のものに限定されないことは理解されよう。
【0014】
一実施形態によれば、断熱材304は、支持体306とベース302との間の大きい熱インピーダンス断熱層(thermal impedance break)として機能する。断熱材304は、ポリマー、プラスチックまたはセラミックで作られた厚いRTV接着層で構成できる。しかしながら、断熱材304の熱インピーダンス断熱層は、ウェーハ310の冷却が不充分になるほど過度のものであってはならない。例えば、断熱材は、約0.05〜0.20W/mKの範囲の熱伝導率を有するのが好ましい。この場合、断熱材304は、耐熱要素として、および支持体306とベース302との接合材としての両機能を有する。また、断熱材304は、プラズマとベース304との間に充分なRFカップリングが維持されるものでなくてはならない。また、断熱材304は、層の上下に存在する異なる材料および温度による大きい熱−機械的剪断を許容できなくてはならない。一実施形態によれば、断熱材304の厚さは2mm以下にすべきである。断熱材304には、ヒータ用給電線312および他のサービスラインを収容するための、ベース304のキャビティに隣接する幾つかのキャビティまたはバイア(vias)(図示せず)を設けることができる。
【0015】
一実施形態によれば、支持体306はセラミック材料で構成される。セラミックは、例えばアルミナのような非導電性材料で形成できる。支持体306の形状は、プラズマエッチングシステムに一般的に使用されている慣用ディスクにするのが好ましい。ワーク306は慣用の静電チャックで構成するか、ウェーハ310を保持する機械的クランプを備えたセラミックで構成できる。一実施形態によれば、支持体306の厚さは約2mmである。しかしながら、当業者ならば、他の厚さも適していることは理解されよう。他の実施形態によれば、支持体306の構造は「ベースに接合された薄いディスク」であり、そうでなければ、側方熱伝導が非常に高くなり、ヒータ入力が側方に拡大されてゾーン分離が非効率的になってしまう。支持体は、熱を局部的に散逸させることができる。
【0016】
ヒータ308は、少なくとも1つの抵抗要素を有している。一実施形態によれば、ヒータ308は、クランプ電極平面の下で支持体306内に埋設でき、かつ例えば対称的または任意の所望パターンの形状にすることができる。ヒータ308は、1以上の平加熱要素で構成することもできる。各加熱要素は、独立的に制御される加熱ゾーンまたは領域を形成する。多ゾーンパターンは、支持体306への伝導冷却(conduction cooling)とは逆に作用する1以上の平加熱要素を有している。各加熱ゾーンに関連するセンサ309は、各加熱ゾーンの温度を測定しかつ信号をコントローラまたはコンピュータ(図7参照)に送って、個々の平加熱要素をモニタしかつ制御する。例えば、赤外線放射センサまたは熱電対センサ等のセンサは、ワーク310から直接読取りできるようにポートを通して取付けることができる。センサ309は支持体306内または背面に取付けることもできる。ヒータ308には、断熱材304およびベース302の開口を通って配置される給電線312により給電できる。
【0017】
一実施形態によれば、ヒータ308は誘導ヒータで構成される。他の実施形態によれば、ヒータ308は、クリプトンランプまたは石英ランプ等の加熱ランプで構成される。更に別の実施形態によれば、ヒータ308は、冷却または加熱が可能な熱電モジュールで構成できる。熱電モジュールを用いる場合には、ベースまたは断熱層は任意に構成できる。当業者ならば、支持体306を加熱するのに他の多くの方法があることは理解されよう。
【0018】
図3Bには、本発明の他の実施形態が示されている。図3Bの実施形態では、ヒータ308は、薄膜ヒータのような蝕刻箔技術で形成される。ヒータ308はワーク支持体306内に埋設するか、ワーク支持体306の背面上に取付けることができる(図示せず)。断熱材304と支持体306との間および断熱材304とベース302との間には、ポリマーのような接合層(図示せず。各層の厚さは例えば0.003インチである)が配置される。
【0019】
図3Cは、図3Aの装置における熱流量力学を示す簡単化された概略図である。進入するプラズマ熱流束Q1は、ウェーハ310の表面上の温度T1に寄与する。ヒータ308は、ウェーハ310に熱Q3を供給する。ワーク支持体306を通り冷却されたベース302に入る、システムからの外出熱流束Q2は、進入熱流束Q1およびQ3の合計にほぼ等しく、従って次式のように表される。
Q1+Q3=Q2
定義により、ウェーハ310の温度T1と、断熱材304を通る温度ΔTとの合計は、冷却されたベース302の温度T1に等しい。
T1=T2+ΔT
ΔTは、断熱材304の熱伝導率により定められることに留意されたい。かくして、ヒータ308により発生される進入熱流束Q3はΔTを制御する。従って、ヒータ308の出力は、Q1の範囲でウェーハの表面上に所望温度T1が得られるように調節される。
【0020】
好ましくは、ベース302の温度は、進入熱流束Q1が存在せず、かつ最大熱流束Q3が最大熱流束Q1にほぼ等しいとき、最大進入熱流束Q3の約1/2の外出熱流束Q2を発生するように設定される。すなわち、
Q1=0でありかつQ3max≒Q1maxであるとき、
Q2≒1/2・Q3max
【0021】
この好ましいスキームでは、T1が変化できる範囲は最大化される。すなわち、ウェーハの局部的温度は、ヒータ308のゾーンの加熱出力を制御することにより調節できる。一実施形態によれば、ベース302の温度すなわちクーラント温度は、最大値Q1と最大値Q3との合計が最大値Q2に等しくなる慣用装置よりも約20℃低く設定される。
ここで図4Aの概略側面図を参照すると、ここには、本発明の他の実施形態に従ってワークの温度を制御する一体型単一平層電極/ヒータを備えた装置が示されている。ベース402は断熱材404を支持している。断熱材404上には平支持体406が取付けられている。一実施形態によれば、平支持体406は内側スパイラル408および外側スパイラル410を有し、これらの両スパイラル408、410は、ワークおよびワークをクランプする電極を加熱するヒータとして使用される。両ヒータおよび電極は、平支持体406により表される単一平層構造を形成するように一体化されている。図4Bは平支持体406の平面図である。内側スパイラル408と外側スパイラル410との間には差動高電圧HV412が印加され、平支持体406の静電クランプ機能を発生させる。差動高電圧HV412がアース(接地)に対して内側スパイラル408および外側スパイラル410の両者に印加される場合には、平支持体406は単極静電チャックとして機能する。差動高電圧HVが内側スパイラル408と外側スパイラル410との間に印加される場合には、平支持体406は双極チャックとして機能する。内側コイル408には第一制御電源414が接続され、第一加熱ゾーンを発生させる。外側コイル410には第二制御電源414が接続され、第二加熱ゾーンを発生させる。
【0022】
図5は、本発明の他の実施形態による側方断熱層(lateral thermal break)アプローチを用いたワーク温度制御装置を示す概略側面図である。直接電気加熱または異なる温度のクーラントを用いる代わりに二重または多重マニホルドヒートシンクを用いて、温度制御された流体を循環させることができる。温度制御されるベース502が、断熱材(例えばセラミック)504を支持する。平支持体506がワーク508の支持体を形成する。ベース502は、断熱材510により、2以上のゾーンに方位角的に分離されており、各ゾーンがヒートシンクを表している。矢印は異なるヒートシンクゾーンを表している。より詳しくは、側方断熱層510が、ヒートシンクを2以上のサーマルゾーン、例えばゾーンT1、T2に分離している。各サーマルゾーンの温度は、各流体ループ内の流体温度を制御することにより独立的に制御できる。このような断熱層510の使用により、任意の空間ゾーンを考慮に入れることができる。
【0023】
図6は、本発明の一実施形態によるチャックの温度を制御する方法を示すフローチャートである。より詳しくは、図6は、2つの別個のサーマルゾーンを備えたチャックの温度制御方法を示すものである。当業者ならば、本発明の方法が1以上のサーマルゾーンを有するチャックに適用できることが理解されよう。第一ブロック602では、第一組のセンサを用いて第一ゾーンの温度が測定される。これらの測定値に基いて、ブロック604では、第一ゾーンの温度に影響を与える加熱要素の出力を制御して、第一ゾーンの温度を、ユーザおよび/またはコンピュータにより設定された温度に調節する。第二ブロック606では、第二組のセンサを用いて第二ゾーンの温度が測定される。これらの測定値に基いて、ブロック608では、第二ゾーンの温度に影響を与える加熱要素の出力を制御して、第二ゾーンの温度を、ユーザおよび/またはコンピュータにより設定された温度に調節する。
【0024】
図7は、本発明の一実施形態によるチャックの温度制御システムを示す概略図である。ユーザ702はコンピュータ704に1組のパラメータを入力する。このようなパラメータの組として、例えば、チャックの第一ゾーンの所望温度およびチャックの第二ゾーンの所望温度がある。当業者ならば、チャックに1以上のゾーンを設けることができることは理解されよう。コンピュータ704は、図6のアルゴリズム、コンピュータ704の入力および出力を記憶している記憶要素706と通信する。第一組のセンサ708がチャックの第一ゾーンを測定し、第2組のセンサ710がチャックの第二ゾーンを測定する。第一組のセンサ708の温度測定値に基いて、コンピュータ704は、第一組の加熱要素712を制御してチャックの第一ゾーンの温度を調節する。第二組のセンサ710の温度測定値に基いて、コンピュータ704は、第二組の加熱要素714を制御してチャックの第二ゾーンの温度を調節する。
【0025】
静電チャック上のウェーハの温度分布を制御する上記方法は、誘導結合プラズマ(Inductive Coupled Plasma:ICP)加工機での適用に適しているだけでなく、特に、ウェーハへの低プラズマ出力熱流束を必要とする他の任意のシステムへの用途にも適している。この技術は、本発明の技術は、熱勾配を形成する必要性が存在する他の任意の用途に適用できる。
【0026】
以上、本発明の実施形態および用途を図示しかつ説明したが、本願開示の利益を有する当業者ならば、本発明の概念から逸脱することなく、上記以外の多くの変更形態を想到し得ることは明白である。従って本発明は、特許請求の範囲に記載の精神を除き、いかなる制限を受けるものではない。
【符号の説明】
【0027】
302 ベース
304 断熱材
306 支持体
308ヒータ
310 ワーク(ウェーハ)
412 差動高電圧
414 第一ヒータ電源
416 第二ヒータ電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマ加工機のチャック組立体であって、該チャック組立体は、
ワークを支持する支持要素と、
前記支持要素の下方に配置され、前記支持体に熱的に結合された単一部品ベース要素と、を含み、前記ベース要素は、該ベース要素の表面上に配置された連続的な断熱材の層を有し、前記ベース要素は、少なくとも1つの側方断熱層によって少なくとも2つの温度制御される部分に分離されており、その1つの温度制御される部分は、ディスク形状であり、周囲部分は、前記支持要素を超えて延びており、各温度制御される部分は、該各温度制御される部分に関連した流体ループを通して温度制御された流体を循環させることによって独立して熱的制御可能であることを特徴とするチャック組立体。
【請求項2】
前記支持要素上に配置された熱伝導性媒体をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のチャック組立体。
【請求項3】
前記ウェーハ支持要素は、前記ベース要素の第1部分上方に配置された第1温度センサと、前記ベース要素の第2部分上方に配置された第2温度センサとをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のチャック組立体。
【請求項4】
前記第1温度センサおよび第2温度センサに応答し、前記ベースの第1部分および第2部分の温度を制御するように構成されたコントローラをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のチャック組立体。
【請求項5】
前記側方断熱層は、断熱材であることを特徴とする請求項1に記載のチャック組立体。
【請求項6】
前記独立して熱的制御可能である部分は、前記支持要素の温度を制御することを特徴とする請求項請求項1に記載のチャック組立体。
【請求項7】
前記連続的な断熱材の層の断熱材は、0.05W/mK〜0.20W/mKの範囲の熱伝導率を有することを特徴とする請求項1に記載のチャック組立体。
【請求項8】
チャック組立体の単一部品ベース要素の2以上の部分の各々に対応する流体温度を測定し、前記ベース要素は、該ベース要素の表面上に配置された連続的な断熱材の層を有し、前記ベース要素は、少なくとも1つの側方断熱層によって少なくとも2つの温度制御される部分に分離されており、その1つの温度制御される部分は、ディスク形状であり、周囲部分は、前記支持要素を超えて延びており、各温度制御される部分は、該各温度制御される部分に関連した流体ループを通して温度制御された流体を循環させることによって独立して熱的制御可能であり、
対応する部分の各々に関連した流体ループを通して温度制御された流体を循環させて、チャック組立体の支持要素であって、該支持要素は、前記ベース要素の上方に配置され、前記ベース要素に熱的に結合されている支持要素上に配置されたワークの温度を制御する、ことを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−200529(P2009−200529A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−136934(P2009−136934)
【出願日】平成21年6月8日(2009.6.8)
【分割の表示】特願2002−586683(P2002−586683)の分割
【原出願日】平成14年4月23日(2002.4.23)
【出願人】(598161761)ラム リサーチ コーポレイション (19)
【Fターム(参考)】