説明

一時的な名前識別子に基づく移動ネットワークの到達可能性維持方法

移動ネットワークのポータブルノードと、少なくとも1つの外部の固定のネットワークとを少なくとも1つのモバイルルータを介して接続する到達可能性サービスを提供する移動ネットワークの動作方法では、一時的な名前識別子がポータブルノードに割り当てられ、少なくとも1つのプロキシネームサーバによってポータブルノードの目下到達可能なアドレスにマッピングされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
一時的な名前識別子に基づく到達可能性維持のための移動ネットワークのコンフィギュレーションおよび移動ネットワークの動作方法。
【0002】
本発明は請求項1の上位概念による移動ネットワーク(moving network)の動作方法およびこの方法に適合された移動ネットワークコンフィギュレーションに関する。
【0003】
日常生活の全ての領域にわたるネットワークベースのサービスの使用が加速化され、またユビキタスになっている中で、公共の輸送手段に乗っている間にそのようなサービスを利用できることがユーザにとってますます重要になってきている。したがって、工業国における輸送機関会社はそのための技術的な基準を提供するため、すなわち商業的な使用にとって十分な移動ネットワークを開発して確立するために努力している。最近になり、移動ネットワークと交通手段の外にある固定ネットワークとの間で信頼できるコネクションを提供するためのこれらの開発の主要な焦点が判明した。
【0004】
移動ネットワークがインターネットのような外部のネットワークとの接続ポイントを変更する場合には、特別な測定をこの外部のネットワークと接続されるノードに対して行う必要がある。何の動作も行われなければ、移動ネットワーク内のノードは接続性ないしコネクティビティ(connectivity)を失うことになる。
【0005】
この状況は、同じような方向に同じような速度で独立して移動する移動ノードか、1つの単位として移動するノードのグループによって現される。そのような移動ネットワークを構成する重要な属性は、基準システム内での個々のノードの共通する移動動作と、考察される期間にわたる個々のノードの相対的な隣接性によって表すことができる。
【0006】
重要な実施形態は、ネットワークが乗り物内に存在し、また例えば列車内の移動中の顧客とのアクセスを提供する管理された乗り物ネットワークである。この文脈における「管理された」とは、公共の乗客輸送手段においてネットワークインフラストラクチャが認められており、また電子通信、情報およびエンターテイメントサービスを顧客に提供するためのバリューチェーンを識別する管理団体によって運営されている環境を表す。
【0007】
外部ネットワークとの接続性を有するそのようなネットワークに関して考えられるネットワークトポロジが図1に示されている。種々のポータブルノードPN1...PN3が乗り物ネットワークVNと共に確認される。何故モバイルノードが基礎ネットワークとの直接的なコネクションを有する代わりに、乗り物ネットワークを介するアクセスを取得しようとするのかについての潜在的な理由が幾つか存在する。ゲートウェイノードを表すモバイルルータMRは1つまたは複数の無線アクセスネットワークを介する基礎ネットワークとの接続性を維持する。1つ以上のMRを介して移動ネットワークを外部ネットワークと接続することができるが、以下の記述においては簡潔にするためにMRは1つだけと仮定する。ネットワークが移動している間に、モバイルルータMRは新たな候補アクセスルータ、それどころか新たな候補アクセスネットワークとコネクションを再び確立することができる。幾つかのポータブルノードは移動ネットワークの外にある対応ノードとの通信を確立することができ、また殊にホームネットワークとの継続的な接続性および到達可能性(reachability)を維持しようとする。続いて、対応ノードからポータブルノードへの新たなコネクションを移動ネットワークの現在の位置に適切にルーティングする必要がある。起こりうる位置の更新は、到達可能性を維持するために各ポータブルノードの別個の要求に依存して、相当数のモバイルノードにとって必要である。
【0008】
そのような移動ネットワークの考えられる別の実現形態は、自発的で共同的なアドホックネットワークを形成している複数のポータブルノードを有するパーソナルエリアネットワーク(PAN)であり、そのようなネットワークでは幾つかのポータブルノードが外部ネットワークとのゲートウェイノードとして動作することができる。
【0009】
外部ネットワークとのコネクションを再び確立するためのメカニズムは、2つの段階を有するものとして推察することができる。「接続性」と称される第1の段階では、通信を開始するために移動ネットワーク内のノードが外部ネットワークに達することができる。「到達可能性」と称される第2の段階では、外部ノードが移動ネットワーク内のノードと通信を開始することができる。
【0010】
本発明の課題は、移動ネットワーク内のノードに関するノード到達可能性の問題を、これらの移動ネットワークと接続されているノードに一時的なホストネームを割り当てることによって解決するための方法を提供することである。
【0011】
この課題は、一方では請求項1記載の特徴を有する方法によって解決され、他方では請求項13記載の特徴を有する移動ネットワークのコンフィギュレーションによって解決される。
【0012】
したがって本発明の基本的な特徴は、到達可能性への既存のアプローチでは支援されないアドレッシングモデルを基礎とする、例えばNAT(ネットワークアドレス変換)のようなモデルが含まれることである。このことは、移動ネットワークが異なるネットワークプロトコル(例えばIPv4およびIPv6)で動いているネットワーク間をローミングする場合でも、到達可能性を依然として維持できるように行われる。
【0013】
このようにして本発明は通信の非能率を低減する。到達可能性の支援に関して考えられるメッセージの流れが図3に示されている。
【0014】
静的なアクセスネットワークの場合には、到達可能性を支援するための1つのオプションはネーミングサービスを使用することによって提供される。ネットワークエンティティ(ノードおよびユーザ)は自身を識別するための名前を有する。これらのエンティティとの通信の前には、名前と関連付けられているルーティング可能なアドレスが発見される段階が先行する。DNSは名前とアドレスのマッピングに関して最も一般的に使用されているシステムである。このシステムにおいては、決して変更されないまたは殆ど変更されないと想定される名前が時折変更される可能性のあるIPアドレスにマッピングされる。
【0015】
IPベースのマルチメディアセッションにおける呼制御を可能にするためのSIP(セッション開始プロトコル)をネーミングシステムとして考慮することができる。SIPセッションにおけるパーティはSIP URIを使用してアドレッシングされる。呼び出されたパーティが入り呼を異なるSIPパーティに転送する場合には、SIPサーバはセッション要求を再配置することができる。このことはDNSコンセプトに類似するが、SIPはあらゆるSIPクライアントに関するアドレスについて名前解決を行わない。
【0016】
単一のモバイル装置に関する到達可能性を処理するために考慮することができる別の方法は以下のものである。
1)名前・アドレスマッピングの直接的な更新−例えば、動的なDNS解決法:モバイルノードのIPアドレスが変更されると、DNSシステムは名前を新たなアドレスにマッピングする。動的なDNSは移動ネットワークのための解決法として提案されてはいないが、コンセプトをこのケースに拡張することは容易である。
2)ネーミングシステムに登録されたアドレスと、ノードによって使用される新たなアドレスのマッピングの形成。マッピングは、モバイル端末に送信されたパケットをインターセプトし、それらのパケットを新たなアドレスにトンネリングするエージェントによって維持される。この状況においては、名前とアドレスのマッピングは変更されずに維持される。このことはモバイルIPベースの解決法の背景にある基本である。MIPベースの複数の解決法が移動ネットワークに関して提案されている。
【0017】
この解決法の実際の詳細は、移動ネットワークおよびそのネットワーク内のノードをアドレッシングするために使用される方法に依存する。以下の定義が使用される:
MR=モバイルルータ、あらゆる所を実際に移動しており、また移動ネットワークを外部のネットワークに接続している装置。
PN=ポータブルノード、モバイルルータを介して外部のネットワークと接続されるノード。1つのMRと接続することができる複数のPNが存在していてもよい。
CN=対応ノード、PNと通信するインターネット内のノード。
CoA=気付アドレス、訪問先ネットワークに加わったノードにその訪問先ネットワークにより割り当てられたアドレス。
MIP=モバイルIP。これはポータブルノードが自身の周知の(例えばDNSに登録された)ホームアドレスにCoAを関連付けることによって、ポータブルノードに到達可能のままであることを保証する方法である。基本的なMIPはネットワークが固定されており、且つ端末のみが移動することを想定する。
GN=基礎ネットワーク、基礎ネットワークは移動ネットワークと外部IP/インターネット網との間でパケットを供給する。この基礎ネットワークはMRとの無線による接続性を提供する。
NAT=ネットワークアドレス変換、外部IPネットワーク内にルーティングすることができるIPアドレス間、すなわちインターネットと、ローカルネットワーク(サブ)ドメイン内で使用することができるIPアドレスのプライベートな表現との間で変更を行うメカニズムである。
【0018】
以下では、種々のアドレッシングモデルに関して、到達可能性の問題を解決するためにどのようにして動的DNSおよびMIP解決法を時々使用することができるかを説明する。
【0019】
MRホームネットワークによるアドレスの割り当て
このことはIETF NEMO WG(Network Mobility Working Group)において現在追究されているアプローチである。モバイルルータは標準的なメカニズムを使用してルーティング可能なアドレス、そのCoAを基礎ネットワークから取得する。モバイルルータはモバイルではないホームネットワークに関連付けられている。このホームネットワークにおいてはモバイルIPがエージェントであり、モバイルルータを介してルートにアドレッシングされたメッセージが目下グローバルにルーティング可能なモバイルルータのCoAにトンネリングされることを保証する。アドレスのサブネット(または他のグループ)はモバイルルータのホームネットワークによって移動ネットワークに割り当てられる。これらのアドレスがモバイルルータに接続されるPNに割り当てられる。このことはPNがインターネットとの通信を開始できることを保証する。
【0020】
到達可能性を特徴とするMIP解決法を達成するために、PNはMIPを使用できることも想定される。PNはモバイルルータから受信したアドレスをホームエージェントに登録する。PNが同一の移動ネットワークに接続されている間は、モバイルルータから受信したアドレスは決して変更されないので、ホームエージェントとの初期結合の更新が一度実施されればPNの到達可能性は問題にならない。
【0021】
到達可能性を維持するための同様のアプローチを動的なDNSを使用して提供することができ、このアプローチにおいて一方ではPNがMRから受信したアドレスを用いてそのDNSサーバを更新する接続の無線ポイントが変更される。この解決法はMIPベースの解決法よりも効率的なルーティングを提供するが、PNとの全てのトラフィックが依然としてMRホームネットワークを介して案内され、またこのMRホームネットワークを出てトンネリングされるので、依然としてあまり効率的ではない。
【0022】
上述の2つの解決法の欠点は、PNのホームネットワークまたはモバイルルータのホームネットワークとモバイルルータとのトンネルを介してトラフィックが移動ネットワークに間接的にルーティングされることである。前者の場合には、付加的なトンネルがPNのホームエージェントとPNとの間で必要とされ、これにより高い通信オーバヘッドを有する2倍のトンネルが生じる。このコンフィギュレーションが図2に示されている。
【0023】
訪問先ネットワークによるアドレスの割り当て
この解決法においては、単純なCoAを訪問先ネットワークから取得する代わりに、モバイルルータがアドレスのサブネット(または幾つかの別のグループ)を訪問先ネットワークから取得する。MRはこれらのアドレスをPNに割り当てる。このことはPNがインターネットとの通信を開始できることを保証する。MRが訪問先ネットワークを変更した時、例えば2つの異なるネットワークドメイン間で移動ネットワークがハンドオーバする時、PNに割り当てられたIPアドレスを変更する必要がある。
【0024】
この状況における到達可能性を含むMIPベースの解決法に関しては、PNがまたMIPを使用できることも想定される。PNはモバイルルータから受信したアドレスをホームエージェントに登録する。到達可能性についての動的なDNS解決法に関しては、PNがMRから受信したアドレスを用いて自身のDNSサーバを更新する。
【0025】
いずれの場合にも、到達可能性の見地からのこのアプローチの主たる欠点は、各PNが別個にモビリティ(mobility)更新通知を送信する必要があるという事実に起因して、ネットワークが移動してIPアドレッシング情報を更新する度に信号バーストが生じることである。
【0026】
アドレッシングについてのMR MIPフォーリンエージェント解決法
この状況においては、モバイルルータはPNがPNのホームアドレスを維持することを可能にする。MRは登録された各PNに関するホスト毎のエントリを維持する。MRはMIPフォーリンエージェントとして動作し、したがってPNにMRの目下のネットワークアドレスは何であるかを通知し、このネットワークアドレスは到達可能性を達成するためにPNがPNホームエージェントに登録すべきCoAである。
【0027】
この解決法は、2つのアドレスすなわちホームアドレスとCoAのコンセプトを正確に解釈するために実行しているMIPプロトコルスタックをPNが有することを要求する。
【0028】
到達可能性の見地からこのアプローチの欠点は、ネットワークが移動する度にPNとPN MIPホームエージェントとの間で信号バーストが生じることである。さらにはこの解決法はホームエージェントからの間接的なルーティングおよびトンネリングを使用するので非効率的である。
【0029】
NATベースのアドレッシング
ネットワークのモビリティを管理するための別の方法はMRがNATを使用することである。MRはプライベートアドレスをPNに割り当てる。
【0030】
NATはステイトレスで良い。すなわちアドレッシングコンフィギュレーションはリンク検出およびルータ広告のようなメカニズムを基礎としている。この場合には、MRはアドレスのセットを基礎ネットワークから取得し、これらのアドレスと使用されるプライベートアドレスとの間の1:1のマッピングを提供する。このアドレッシングモデルは、モビリティイベントがPNには知られないので、訪問先ネットワークからのアドレスがPNに直接割り当てられる上述のオプションを上回る利点を有する。
【0031】
NATがステイトフルである場合、すなわちDHCP(動的ホスト構成プロトコル)のような幾つかのメカニズムが存在する場合には、MRは基礎ネットワークからただ1つのアドレス(そのCoA)のみを取得し、必要なアドレス変換を管理する。このアプローチは目下の基礎ネットワークが単一のアドレスをノードに割り当てるだけなので有効である。
【0032】
このアドレッシングモデルは既存の技術を用いて実施できるものとしてはおそらく最も重要である。他のオプションとは異なり、PNは基礎ネットワークの詳細を知らない。したがって例えば、IPv4端末は基礎ネットワークを支援するモビリティが実際にはIPv6であることに気付くことはない。これは現行の装置が全てIPv4であるので重要な問題になりそうであるが、将来的にモバイルネットワークはIPv6を使用して動作するための第一のネットワークの1つになりそうである。
【0033】
到達可能性に関する動的なDNS解決法もMIPベースの解決法もこの状況では機能しない。何故ならば、PNはPNの適切にルーティング可能なアドレスを知らないので、いずれのシステムも適切に更新することができないからである。DNSまたはMIPホームエージェントを用いる、割り当てられたプライベートなIPアドレスの登録は到達可能性の維持を阻止する可能性がある。アプリケーション層においてアドレスに関連する情報についての変換機能を提供するアプリケーション層ゲートウェイ(ALQ)に基づいて、これらの問題を克服するための解決法を考え出すことができる。しかしながらそのような解決法のいずれもセキュリティの問題を伴うことになる。解決法の一部はRFC2694、NATに対するDNSの拡張によって提供される。この状況においては、PNのプライベートアドレスがプライベートネットワーク内に設けられているネームサーバ機能に登録される。DNS要求がプライベートネットワークによって受信されると、DNS応答(プライベートアドレスを含む)はDNSメッセージを処理するための特別なアプリケーション層ゲートウェイ(DNS−ALG)によってインターセプトされる。このALG(アプリケーション層ゲートウェイ)は、NAT機能が要求されたプライベートホストアドレスと公開アドレスとの間の一時的な結合を確立することを要求する。ALGはプライベートアドレスを返却公開アドレスに置換することができる。CNは名前解決要求が応答された後にPNとのコネクションをしばしば確立し、アドレスマッピングに関する一時的な状態が維持される。コネクションが確立されていない場合には、状態はタイムアウトとなり、公開アドレスは将来的な使用のためにNATアドレスプールに戻される。
【0034】
本発明は、移動ネットワークと接続されるポータブルノードに関する到達可能性を効率的に維持するために、一時的な名前を使用してネーミングサービスを拡張するシステムを規定する。解決法の詳細は上述の適切なアドレス割り当てスキーマに依存し、このスキーマは現状のアプローチ、すなわち上述のMIPの解決法および動的なDNSの解決法にとっても当てはまる。しかしながらこの解決法を、DNSおよびMIPの解決法が適用されない幾つかのNATアドレッシング解決法にも適用することができる。
【0035】
本発明は以下のアドレッシング状況に関して移動ネットワークに接続されているポータブルノードに対する一時的な名前の割り当ておよび到達可能性の支援に関する提案を含む。
−MRホームネットワークによって割り当てられたアドレス
−訪問先ネットワークによって割り当てられたアドレス
−静的に構成されたステイトレスなNAT(ネットワークアドレス変換)
−動的に構成されたステイトレスなNAT
−ステイトフルなNAT
【0036】
本発明の別の観点および実施形態を種々の適用シナリオについて図面を参照しながら説明する。
【0037】
図1は従来技術による移動ネットワークコンフィギュレーションの概略図を示す。
【0038】
図2はトラフィックが間接的にルーティングされる移動ネットワークコンフィギュレーションを示す。
【0039】
図3は本発明の第1の実施形態による、到達可能性の支援に関する例示的なメッセージの流れを示す。
【0040】
図4は本発明の第2の実施形態による、到達可能性の支援に関する例示的なメッセージの流れを示す。
【0041】
図5は本発明の第3の実施形態による、到達可能性の支援に関する例示的なメッセージの流れを示す。
【0042】
図6は本発明の第4の実施形態による、到達可能性の支援に関する例示的なメッセージの流れを示す。
【0043】
図7は本発明の第5の実施形態による、到達可能性の支援に関する例示的なメッセージの流れを示す。
【0044】
全ての状況に共通することは、移動ネットワークと接続されている間に使用されるためにPNが一時的な名前を取得できることである。このことは、ユーザが公共のアクセスネットワークに接続することを試みる、一般に実施されるユーザ認証および権限付与処理の一部として容易に認識することができる。本発明により表される特定の状況においては、ポータブルノードが物理的に移動ネットワークと接続されており、また外部ネットワークとの到達可能性に関する支援を要求することができる。続いて、使用される実際のアドレッシングモデルに依存せずに、PNはIPアドレスをMRから例えばDHCPを用いた動的なコンフィギュレーションによって受信する。新たなDHCPオプションの一部として、PNは使用に適した(例えばDNSベースのネーミングサービスに関するDNS「CNAME」識別子として)一時的な名前識別子も受信する。この実施例においては、DNS UPDATEプロシージャが使用され、その標準的な名前をホームDNSサーバ内の新たなCNAMEにマッピングする。モバイルルータはプロキシDNSサーバを更新する必要があり、このプロキシDNSサーバは新たな名前アドレスレコードを有する固定ネットワークインフラストラクチャ内のサービスドメインに配置されている。さらにモバイルルータは、登録されている全てのノードに代わって、一時的な名前・アドレスコンフィギュレーションを管理する必要がある。この正確な詳細は移動ネットワークを支援するために使用されるアドレッシングモデルに依存する。DNSはプライマリネームサーバの単なる例として使用される。何故ならば、DNSはインターネットにおいて展開されている最も一般的な名前解決システムだからである。しかしながら、DNSは名前解決に関する方法の範囲を支援するのでステイトフルなNATの場合における幾つかの技術的に難しい問題に注目させる。
【0045】
MRホームネットワークによるアドレス割り当て
この場合においては、モバイルルータはPNにMRホームネットワークから取得したアドレスを割り当てる。この名前を到達可能性に関して使用するために、2つのイベントが発生しなければならない。
−MRはPNの一時的な名前・アドレスマッピングを1つまたは複数のプロキシネームサーバに登録する。
−PNはホームネットワークドメイン内のネームサーバが、プロキシネームサーバのアドレスをネームサーバに明示的に登録することによって、またはDNSのようなシステムにおいては、一時的な新たな名前を公知の名前にマッピングすることによってプロキシサーバを発見できることを保証する。
【0046】
プロセスが図3に示されている。
【0047】
CNはPNの不変の名前と名前・アドレス解決のための通常の処理とを使用することによりPNと接続することができる。ネットワークが移動する場合には、MRとそのホームエージェントとの間のマッピングのみを更新すればよい。すなわちこのイベントに関してはプロキシネームサーバへのメッセージを送信する必要はない。しかしながら、このアプローチは依然としてトンネリングの非効率性の影響を受ける。
【0048】
訪問先ネットワークによるアドレス割り当て
この場合においては、PNはトポロジ的に適切なアドレスを基礎ネットワーク(GN)から取得する。GNはアドレスのセットをモバイルルータ(MR)に割り当てることができ、またそれらのアドレス以外のアドレスをPNに割り当てることができる。(択一的に、GNは固有のアドレスを直接的にPNに割り当てることができ、MRは対応するメッセージをPNに単に中継するだけである)。
【0049】
到達可能性の支援に関する例示的なメッセージの流れが図4に示されている。
【0050】
前述したように、PNはそのIPコンフィギュレーションおよび一時的な名前を取得する。この名前を到達可能性に関して使用するために、2つのイベントが発生しなければならない:
−MRはPNの一時的な名前・アドレスマッピングを1つまたは複数のプロキシネームサーバに登録する。
−PNは、ホームネットワークドメイン内のネームサーバが、プロキシネームサーバのアドレスをホームネットワークドメイン内のネームサーバに明示的に登録することによって、またはDNSのようなシステムにおいては、一時的な新たな名前を公知の名前にマッピングすることによってプロキシサーバを発見できることを保証する。
−PNの不変の名前および名前・アドレス解決のための通常の処理を使用することによりCNをPNと接続することができる。
【0051】
全てのPNはネームサーバにシグナリングする必要がないので、ネットワークが移動する場合には特定の利点が明らかになる。その代わりに、単一のメッセージがMRによって直接的にプロキシネームサーバに送信される。種々のプロキシネームサーバが使用される場合には、MRは関連するプロキシネームサーバとPNとの間の接続を維持する必要がある。
【0052】
ステイトレスなNATの使用によりアドレスが管理される場合の到達可能性の支援
プロセスが図5に示されている。このアドレッシングモデルにおいては、モバイルルータはルーティング可能なアドレスのサブセットを訪問先ネットワークから取得する。このモデルは1つのノードをこのサブセットプールからの1つのアドレスに関連付けるが、実際にはノードにプライベートアドレスを割り当てる。このアプローチは、移動ネットワークがアドレス変更の影響を受ける度に、ポータブルノードが実施しなければならに再構成の量を最小にする。
【0053】
ネットワークアドレス変換(NAT)はモバイルルータにおいて、移動ネットワークのネットワーク境界を越える全てのIPデータグラムにとって必要である。到達可能性の支援は前述と同様に機能し、PNはホームネットワークドメイン内のネームサーバを更新し、MRは1つまたは複数のプロキシネームサーバを更新する。このアプローチは、モビリティイベントによって惹起されるシグナリングバーストを低減することによって、モバイルルータと固定ネットワークとの間の無線コネクションにおけるシグナリングオーバヘッドを最小にする。また、無線インタフェースを介して伝送されるDNS問合せの数を低減することによってシグナリングオーバヘッドを最小にする。このアプローチはまた、ポータブルノードがその真のIPアドレスを知らないという事実があるにもかかわらず、到達可能性を保証する。
【0054】
ステイトフルなNATにより割り当てられたアドレスに関する到達可能性の支援
このアドレッシングモデルにおいては、モバイルルータは固定ネットワークからただ1つの公開アドレスまたは若干数の公開アドレス(制限された数の公開アドレスのセット)を取得する。MRはプライベートアドレスのセットから1つのアドレスを各ポータブルノードに割り当てる。NATは接続性が達成されることを保証するために使用される。このNATは固有のプライベートアドレスを有する固有のTCP/UDPポート番号を包含することができる、もしくは制限された数の公開アドレスのセットを取得している場合には、公開アドレスとプライベートアドレスとの間の動的な(必要に応じた)1:1のマッピングを使用することができる。このことは、前述したようにPNがその一時的な名前識別子を用いてネームサーバを更新することを可能にするNAT管理された接続性を提供する。
【0055】
しかしながら、そのような単純なマッピングは存在しないので、MRは一時的な名前・ルーティング可能アドレスのマッピングを用いてもはやPNの代わりにMRプロキシネームサーバを更新することはできない。例えば、ローカルサービスのみを使用しようとして移動ネットワークと接続される場合には、PNには単にプライベートIPアドレスが割り当てられる。しかしながら、CNはこのPNとのコネクションの確立を所望しても良い。すなわちPNの名前がそれまでに割り当てられていない公開IPアドレスに対して解決される必要がある。単一の公開アドレスを基礎とするDNSおよびNATシステムの場合には、DNSシステムはTCPまたはUDPポート番号をCNに戻すことができないので、MRは到来する通信がどのPNに対して予定されているのかをもはや識別することはできない。ルーティング可能なアドレスは動的にオンデマンドでセットされるところでは、(MRはアウトバウンド、接続性目的のための幾つかのアドレスを使用することができるので)プロキシネームサーバはどのような動的な割り当てがなされるかを知らない。これらの状況に対する解決法はプロキシネームサーバの構造におけるさらに新たな処理を要求する。
【0056】
(RFC2964に記載されているような)一時的な接続に基づく解決法を移動ネットワークのシナリオにも直接的に適用することは、ネームサーバがプライベートネットワーク内に存在し、その結果ALGはプライベートネットワークを出る前にサーバからメッセージをインターセプトする可能性があることが想定されるので成功しない。しかしながら移動ネットワークの場合には、このことはネームサーバが変化するIPアドレスならびにその移動ネットワークを有し、ネーミングシステムの一部にはならないことを意味する。
【0057】
この問題の解決法が図6に示されている。この図は、プロキシネームサーバの一部(そのエントランス)が固定ネットワーク内で静的に保持され、他方ネームサーバ機能の大部分が移動ネットワーク内に保持されるということを要求するシナリオを示す。プロキシサーバエントランスは外部ノードから名前解決要求を受信し、適切な応答を戻す。自身の名前解決は移動ネットワーク内で処理される。
【0058】
第2の状況は、ただ1つのルーティング可能なIPアドレスが潜在的な大多数のポータブルノードに関連付けられている場合であった。PNと外部ネットワーク、例えばインターネットとの間の接続性を提供するために、モバイルルータはNAT機能を提供する。ここで、1つの公開アドレスと多数のプライベートアドレスのマッピングは、UDPまたはTCPポート番号のような付加的な情報を変換処理に含ませることによって可能である。しかしながら、そのようなポート情報はより重要なインターネットネーミングシステム−DNSの共通部分ではない。この問題は、DNSシステムが全てのCN問合せに対して単一で同一のアドレスしか戻すことができない、つまりMR NATが到来するコネクションをPNにマッピングできるようにするために異なるメカニズムが必要とされるので、前述の場合よりも複雑である。
【0059】
DNSシステムは反復的なDNS問合せを考慮するので、この問題は一般的な場合において解決できるものではなく、非反復的なDNS問合せがなされる場合にのみ解決される。この種の問合せに関して、本来の名前解決要求側、すなわちCNを最終的にその要求を処理するネームサーバにおいて識別することができる。ここで説明した解決法は、DNS機能が固定ネットワーク内のエントランスと、NATおよびMRと近い関係にある処理エレメントとに分割されるという仮定を基礎とする。
【0060】
非反復的なDNS問合せに関する例示的なメッセージフローが図7に示されている。この場合には、DNSを処理するアプリケーション層ゲートウェイ(DNS−ALGシステム)は、DNS問合せを行ったCNのIPアドレスおよび要求されたPNの名前を記憶する。この結合情報は、NATが例えばPNを識別できるようにするために、CNによるコネクション要求がMRに入力されると問い合せられる。プライベートアドレスはPNに付与された一時的な名前から導出することができる。やはりこの解決法もネームサーバの2つの構成要素:すなわち固定ネットワーク内に配置されているプロキシネームサーバおよびNATデバイスと共同的に配置されているローカルネームサーバ、より詳細にはネットワークアドレスポート変換器を要求する。何故ならば、これは多数のプライベートアドレスと1つの公開IPアドレスをマッピングするためのTCP/UDPポート情報を包含するからである。
【0061】
本発明は現行の解決法とは異なり、アドレッシングモデルの境界範囲を超えて移動ネットワーク内のポータブルノードの到達可能性を支援する。本発明をモバイルIP(MIP)または動的DNSサーバに代わるものとして、またNATベースのアドレッシングも含めて、異なるアドレッシング解決法に関する到達可能性に適したものとして使用することができる。ネットワークアドレス変換器内の付加的な結合情報は複雑な結合要求に明瞭に応えることができる。
【0062】
ネットワークアドレス変換器と共に使用される場合には、本解決法によりさらに効率的にネットワークが使用される。ポータブルノードへの直接的なルーティングが達成され、またIPトンネル内のIPが回避される。
【0063】
ネットワークアドレス変換器、トポロジ的な精確なアドレッシングの何らかの形態、およびMRホームネットワークアドレス割り当てと共に使用される場合には、本解決法はモバイルルータと訪問先ネットワークのリンクを介するPNからホームネットワークドメイン内の到達可能性エージェントへのシグナリングバーストが回避される。このシグナリングバーストは通常の場合ワイヤレスリンクに関するボトルネックであるので、このシグナリングの低減は非常に重要である。
【0064】
付加的なMIPソフトウェアを支援するため、またMIPホームエージェントを有するためのポータブルノードに対する要求は存在しない。ポータブルノードは、定義によって、このポータブルノードが移動できること、すなわちホームネットワークドメイン外のネットワークと接続でき、また一時的なアドレスおよび潜在的に一時的な名前を取得できることを知っている。ポータブルノードがモバイルであること、または移動ネットワークの一部であることを知っている必要はない。もっとも、既存のセッションに関する接続性を維持するための幾つかの手段(SIPのようなセッション管理プロトコルまたはDCCPのようなモビリティ認識トランスポートプロトコルを想定することができる)が要求されることが想定される。
【0065】
本解決法ではIPバージョンを認知する必要はなく、IPv4およびIPv6プロトコルスタックを用いるポータブルノードを一時的な名前に基づく到達可能性サービスを用いて支援することができる。
【0066】
移動ネットワークと接続されている種々のポータブルノードの代わりにモバイルルータによって実行されるグループ名登録は、無線リンクを介して送信されるべき登録情報の量を大幅に低減することができる。しかしながらグループ名登録は、ポータブルノードのグループが一時的な名前を同じホームネットワークドメインにおいてほぼ同時に登録するシナリオにおいてのみ可能である。
【0067】
本発明は上述の特定の観点および実施形態に制限されるものではなく、多数の修正形態およびそれらの組み合わせにおいて実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】従来技術による移動ネットワークコンフィギュレーションの概略図を示す。
【図2】トラフィックが間接的にルーティングされる移動ネットワークコンフィギュレーションを示す。
【図3】本発明の第1の実施形態による、到達可能性の支援に関する例示的なメッセージの流れを示す。
【図4】本発明の第2の実施形態による、到達可能性の支援に関する例示的なメッセージの流れを示す。
【図5】本発明の第3の実施形態による、到達可能性の支援に関する例示的なメッセージの流れを示す。
【図6】本発明の第4の実施形態による、到達可能性の支援に関する例示的なメッセージの流れを示す。
【図7】本発明の第5の実施形態による、到達可能性の支援に関する例示的なメッセージの流れを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動ネットワークのポータブルノードと、少なくとも1つの外部の固定のネットワークとを少なくとも1つのモバイルルータを介して接続する到達可能性サービスを提供する移動ネットワークの動作方法において、
一時的な名前識別子を前記ポータブルノードに割り当て、少なくとも1つのプロキシネームサーバによって前記ポータブルノードの目下到達可能なアドレスにマッピングすることを特徴とする、移動ネットワークの動作方法。
【請求項2】
前記一時的な名前識別子の割り当ては前記移動ネットワークへの入口におけるポータブルノードの認証の一部である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記一時的な名前識別子の割り当てを、専用のネーミング要求に応答して、認証の完了後に何時でも実施する、請求項1記載の方法。
【請求項4】
複数の一時的な名前識別子のグループ登録を、1つの移動ネットワークと接続されている種々のポータブルノードの代わりに、モバイルルータによって実施する、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記モバイルルータはあらゆるアドレス変更に応答して1つまたは複数のプロキシネームサーバをポータブルノードの最近のアドレス情報を用いて更新し、ネーミング要求を解決する十分な情報が1つまたは複数のプロキシネームサーバにおいて、登録およびモビリティ更新メッセージとして利用可能であることを保証する、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記プロキシネームサーバが該プロキシネームサーバ自体によりネーミング要求を解決できない場合には、前記モバイルルータは名前解決要求をローカルネームサーバに転送するためのアドレスを1つまたは複数のプロキシネームサーバに提供する、請求項5記載の方法。
【請求項7】
移動ネットワークにおける種々のモバイルルータは協同的に、登録およびモビリティ更新メッセージをプロキシネームサーバに送信する、請求項5または6記載の方法。
【請求項8】
一時的な名前識別子に基づく前記到達可能性サービスは直接的なアドレス変換スキーマを支援し、ここでポータブルノードの各プライベートアドレスは1つの公開アドレスまたはアドレスの集合に対応し、1つの公開アドレスを複数のプライベートアドレスにマッピングする、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
アドレスの集合を含む前記アドレス変換スキーマにおいて、名前解決要求を前記ネームプロキシサーバから、ポータブルノードの登録された一時的な名前のドメイン名に関連付けられている移動ネットワークのローカルネームサーバに転送する、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記移動ネットワークの前記ローカルネームサーバは、名前解決要求が反復的であるか非反復的であるかを識別し、エラーメッセージの送信によって反復的な要求に応答する、請求項9記載の方法。
【請求項11】
アドレス変換の動的なモデルを支援し、ポータブルノードは名前解決要求に基づき公開アドレスを移動ネットワークの外に配置されている対応ノードから取得し、ネームプロキシサーバからの名前解決要求を、前記ポータブルノードの登録された一時的な名前のドメイン名と関連付けられている前記移動ネットワークのローカルネームサーバへ転送する、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
新たな動的ホスト構成プロトコルオプションを使用して前記一時的な名前を前記ポータブルノードに割り当てる、請求項1から11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
請求項1から12までのいずれか1項記載の方法を実施する移動ネットワークコンフィギュレーションにおいて、
複数のポータブルノードと、
前記ポータブルノードのための少なくとも1つの外部のネットワークとのアクセスを提供する、少なくとも1つのモバイルルータと、
一時的な名前識別子を前記ポータブルノードの目下到達可能なアドレスにマッピングするプロキシネームサーバとを有することを特長とする、移動ネットワークコンフィギュレーション。
【請求項14】
前記ポータブルノードの登録された一時的な名前のドメイン名と関連付けられている、前記移動ネットワークの少なくとも1つのローカルネームサーバが設けられている、請求項13記載の移動ネットワークコンフィギュレーション。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2007−505535(P2007−505535A)
【公表日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−525808(P2006−525808)
【出願日】平成16年8月18日(2004.8.18)
【国際出願番号】PCT/EP2004/051826
【国際公開番号】WO2005/027458
【国際公開日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【出願人】(390039413)シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト (2,104)
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Wittelsbacherplatz 2, D−80333 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】