説明

一般的なプライマー組成物及び方法

サブストレートを接合するための組成物及び方法。一般には、サブストレートに対して、少なくとも1つの芳香族ポリイソシアネート化合物と、有機官能性シランの活性水素含有成分との反応によって調製される付加物である接着促進剤、及び、少なくとも1つの脂肪族ポリイソシアネートと、ポリオールとの反応に由来し、かつ、有機官能性シランの活性水素含有成分と少なくとも一部が反応させられるプレポリマーを含むプライマー組成物が適用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、仮特許出願第60/913,703号(2007年4月24日出願)の出願日の利益を主張する(その内容は本明細書によりその全体において参照によって組み込まれる)。
【0002】
本発明は、基材(サブストレート;substrate)の接合に関し、より具体的には、自動車車輌で適用されるサブストレートを接合すること、例えば、実質的に透明なサブストレート、硬化したポリウレタン接着剤、封入パネル、静電被覆サブストレート又は塗装サブストレートなどの1つ又はそれ以上などを接合することに関する。
【背景技術】
【0003】
適正に調製されるとき、1層又はそれ以上のプライマーを焼成されたセラミックエナメルの層を覆ってガラスサブストレートに適用すること、接着剤をプライマーと車輌構造体との間に適用すること、及び、ガラスサブストレートを開口部内に設置することによって、ガラスサブストレートが自動車車輌構造体における開口部に装着される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州特許公開公報EP1382625A1
【特許文献2】国際公開公報WO2006/042305A1
【特許文献3】米国特許第6,976,500号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
広範囲に及ぶ適用性を有する優れたプライマー(例えば、Dow Chemical Companyから入手可能であるBetaprime(商標)5500及び同5404)が市販されているにもかかわらず、そのようなプライマーの好適性をさらなる適用のために拡大することが依然として望まれている。
【0006】
プライマー組成物の性能を改善するための様々な努力の例が、欧州特許公開公報EP1382625A1、国際公開公報WO2006/042305A1及び米国特許第6,976,500号において例示される(これらのすべてが参照により組み込まれる)。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、接合するための組成物及び方法を提供することによってそのような願望を満たす。一般には、サブストレートに対して、1)第二級アミノ基若しくは第一級アミノ基を有するアミノ−シラン、メルカプト−シラン又はそれらの組合せに由来する有機官能性シランの活性水素と少なくとも一部が反応させられる、所定のフリーイソシアネート含有量を有するプレポリマーを含むプライマー組成物(より具体的には、一工程プライマー)と、2)a)少なくとも1つの芳香族ポリイソシアネートと、第二級アミノ基若しくは第一級アミノ基を有するアミノ−シラン、メルカプト−シラン又はそれらの組合せから選択される有機官能性シランの活性水素との反応によって調製される接着促進剤と、3)必要な場合には、イソシアネート含有量が約1%を超え、かつ、ポリオールと、芳香族ポリイソシアネートとの反応生成物であるイソシアネート官能性プレポリマーとの反応生成物を含むプライマー組成物が適用される。1つのより具体的な態様において、a)接着促進剤化合物の芳香族ポリイソシアネートは、チオホスフェート成分、ホスフェート成分、チオホスファン成分又はそれらの任意の組合せを含む(例えば、最も具体的には、トリス(p−イソシアナトフェニル)チオホスフェートを含む);b)プライマー組成物及び接着促進剤のアミノ官能性シランは、少なくとも1つのケイ素原子、ケイ素原子の少なくとも1つに結合する2つ又は3つのメトキシ基及び/又はエトキシ基、ヒンダード第二級アミノ基又はそれらの任意の組合せを含む;又は、c)a)及びb)の組合せ;並びに/或いは、イソシアネート含有量が約1%を超えるイソシアネート官能性プレポリマーは、約2を超える官能性及び約300を超える分子量(M)を有するポリオールと、芳香族イソシアネートとの反応生成物である。
【0008】
本発明の別の態様が、所定のフリーイソシアネート含有量を有するポリマー状プレポリマーを含むベースプライマー組成物に、より具体的には、ケイ素に結合する複数のアルコキシ基を含むアミノシランのアミノ基と少なくとも一部が反応させられる、(少なくとも1つの脂肪族ポリイソシアネートと、ポリオールとの反応に由来する)少なくとも1つのプレポリマーを含むベースプライマー組成物に配合することができる添加剤に関連する。そのような添加剤が用いられるとき、添加剤により、様々なサブストレートに接合するための、添加剤が加えられるプライマーの能力が高められ、特に、金属表面、ガラス表面、ポリマー表面、それらにおける何らかの被覆、又は、その他に対する接着が改善される。
【0009】
より具体的には、本明細書中で述べられるように、本発明は、(a)前記サブストレートの一方又は両方に対して、(i)少なくとも1つの芳香族ポリイソシアネート化合物(例えば、三官能性イソシアネート)と、有機官能性シランの活性水素との反応によって調製される付加物である接着促進剤を含むプライマー組成物、(ii)少なくとも1つの脂肪族ポリイソシアネートと、ポリオールとの反応に由来し、かつ、有機官能性シランの活性水素と少なくとも一部が反応させられるプレポリマー、及び、必要な場合には、(iii)溶媒を適用する工程、(b)接着剤を前記サブストレートの少なくとも1つに適用する工程、及び、(c)前記2つのサブストレートを組み立てる工程を備える、第1のサブストレートを第2のサブストレートに接合するための方法に関連する。
【0010】
一般には、記載されるように、芳香族ポリイソシアネート化合物は、チオホスフェート成分、ホスフェート成分、チオホスファン成分又はそれらの任意の組合せを含む。例えば、芳香族ポリイソシアネートは、トリス(イソシアナトフェニル)チオホスフェートを含むことができる。
【0011】
1つの具体的な組成物は、イソシアネート含有量が約1%を超える少なくとも1つのイソシアネート官能性プレポリマーをさらに含むことができる。一般には、そのようなプレポリマーは、約2を超える官能性及び約300を超える分子量(M)を有するポリオールと、芳香族ポリイソシアネートとの反応生成物である。例えば、そのようなプレポリマーは、トリオールと、MDIを含むジイソシアネートとの反応生成物であり得る。
【0012】
1つの具体的な態様において、有機官能性シランの1つ又はそれ以上は、少なくとも1つのケイ素原子のそれぞれに結合する2つ又は3つのメトキシ基及び/又はエトキシ基を含むことができる。有機官能性シランは、メルカプト基、アミノ基(例えば、第二級アミノ基)又はそれらの組合せを含むことができる。
【0013】
本明細書中における組成物は、ジエチルマロネート、酸(例えば、リン酸)、薄膜形成樹脂、顔料又は触媒、或いは、それらの組合せをさらに含むことができる。
【0014】
一般には、接着促進剤は、接着促進剤対脂肪族イソシアネートプレポリマーの約1:100〜約2:1(より具体的には、約2:35〜約7:25)の部の重量比で存在する。用いられるとき、イソシアネート含有量が約1%を超えるイソシアネート官能性プレポリマーは、接着促進剤対イソシアネート官能性プレポリマーの約1:140〜約1:1(より具体的には、約2:55〜約7:45)の部の重量比で存在する。溶媒を約40重量%〜約80重量%の量で存在させることができ、好ましくは、約50重量%〜約70重量%の量で存在させることができる。用いられるならば、ジエチルマロネートを約0.1重量%〜約0.5重量%の量で存在させることができる;又は、酸を約0.01重量%〜約0.05重量%の量で存在させることができる;又は、ジエチルマロネートを約0.1重量%〜約0.5重量%の量で存在させることができ、かつ、酸を約0.01重量%〜約0.05重量%の量で存在させることができる
【0015】
本発明ではまた、上記で記載された工程に従って調製される組み立て物が意図される。数多くのサブストレートのいずれかを用いることができる(例えば、ガラス、エナメル、硬化ポリウレタン、ガラス封入材、e−コート(e-coat)、ガルバニック亜鉛被覆物、アルミニウム、スチール、塗料、プラスチック及び硬い被覆された有機グレイジング(glazing)など)。本発明ではまた、本明細書中に記載されるプライマーと、少なくとも1つの接着剤とを含むキットが意図される。
【発明を実施するための形態】
【0016】
別途示されない限り(例えば、重量比として別途示されない限り)、本明細書中で使用される場合、すべての重量部は、示された組成物の100重量部に基づく。得られる組成物の場合には、このことは、各重量が、得られる組成物全体の100重量部に基づくことを意味する。本明細書中に列挙される量の濃縮物又は希釈物が用いられ得ることが理解される。一般に、列挙される成分の相対的割合は同じままである。従って、例として、教示により、30重量部の成分A及び10重量部の成分Bが要求されるならば、当業者は、そのような教示はまた、成分A及び成分Bを3:1の相対的比率で使用することの教示となることを認識する。
【0017】
一般には、本明細書中における組成物は、接着促進剤を、少なくとも1つのポリイソシアネート及び少なくとも1つのポリオールの反応に由来する少なくとも1つのプレポリマー(具体的には、所定のフリーイソシアネート含有量を有するプレポリマー)を含むベースプライマーと組み合わせることに基づいて予測される。より具体的な態様において、ベースプライマーは、脂肪族ポリイソシアネート及びポリオールの反応に由来するイソシアネート官能性プレポリマーを含む。1つの非常に具体的な実施形態において、ベースプライマーは、脂肪族ポリイソシアネート及びポリオールの反応に由来するイソシアネート官能性プレポリマーを含み、かつ、シランのアミノ基と少なくとも一部が反応させられ、具体的には、1つ又はそれ以上のケイ素原子に結合する複数のアルコキシ基(例えば、ケイ素に結合する2つ又は3つのメトキシ基、ケイ素に結合する2つ又は3つのエトキシ基、或いは、それらの組合せなど)を含むアミノシラン(例えば、第二級アミノシラン)と少なくとも一部が反応させられる。本教示に従って用いることができる市販されているプライマーの例には、限定されないが、Betaprime(商標)5500又はBetaprime(商標)5404(これらは、The Dow Chemical Companyから入手可能である)が含まれる。
【0018】
理論によってとらわれることを意図しないが、本明細書中における組成物では、分子の少なくとも一部分がケイ素を含み(例えば、分子の少なくとも一部分がシラン化され)、かつ、分子の一部分が、例えば、ベースプライマーの分子的網状構造を介するなどしてベースプライマーと連結することができる官能性(例えば、イソシアネート官能性など)を含む特定の分子構造が都合良く用いられると考えられる。
【0019】
1つの具体的な態様において、本発明では、少なくとも1つの脂肪族ポリイソシアネートと、ポリオールとの反応に由来し、かつ、有機官能性シランの活性水素と少なくとも一部が反応させられるプレポリマーを含む組成物を用いることが意図される。このプレポリマーをベースプライマー組成物の一部とすることができる。
【0020】
いずれかのそのようなベースプライマー組成物がそのようなポリマーを含むことは必ずしも必要ない。むしろ、より一般には、本明細書中における組成物は、イソシアネート及びイソシアネート反応性化合物の反応生成物を含むことが意図される。
【0021】
本明細書中において有用であるイソシアネートは、ジイソシアネート、トリイソシアネート又はそれらの任意の組合せから選択することができる。好適なイソシアネートには、脂肪族イソシアネート、脂環式イソシアネート、アル脂肪族(araliphatic)イソシアネート、複素環式イソシアネート、芳香族イソシアネート又はそれらの任意の組合せが含まれ得る。具体的な例には、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、メチレンジフェニル−4,4’−ジイソシアネート(MDI)又はそれらの任意の組合せから選択されるイソシアネートが含まれ得るが、一層より具体的には、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、メチレンジフェニル−4,4’−ジイソシアネート(MDI)、トルエンジイソシアネート(TDI)又はそれらの任意の組合せから選択されるイソシアネートが含まれ得る。記されるように、これらのイソシアネートのいずれかのポリマー状誘導体もまた意図される。
【0022】
イソシアネートは典型的には、約25%までのパーセントNCO含有量を有することができ、より具体的には約15%までのパーセントNCO含有量を有することができ、一層より具体的には約10%までのパーセントNCO含有量を有することができる。例えば、パーセントNCOは約1%から約10%にまで及ぶ場合があり、より具体的には約3%から約8%にまで及ぶ場合がある。好ましくは、使用されるポリイソシアネートは、平均イソシアネート官能性が少なくとも約2.0であり、当量重量が少なくとも約80である。好ましくは、ポリイソシアネートのイソシアネート官能性は少なくとも約2.0であり、より好ましくは少なくとも約2.2であり、最も好ましくは少なくとも約2.4であり、また、好ましくは最大でも約4.0であり、より好ましくは最大でも約3.5であり、最も好ましくは最大でも約3.0である。より大きい官能性もまた使用することができ、しかし、より大きい官能性は、過度な架橋を引き起こすことがあり、また、硬化したプライマーが脆くなりすぎることの原因となり得る。好ましくは、ポリイソシアネートの当量重量は少なくとも約100であり、より好ましくは少なくとも約110であり、最も好ましくは少なくとも約120であり、また、好ましくは最大でも約300であり、より好ましくは最大でも約250であり、最も好ましくは最大でも約200である。
【0023】
例示的なイソシアネート反応性化合物として、少なくとも2つのイソシアネート反応性部分を有する有機化合物を挙げることができ、例えば、活性水素部分を含有する化合物、又は、イミノ官能性化合物などを挙げることができる。本発明の目的のために、「活性水素」含有部分は、分子におけるその位置のために、Wohlerによって、the Journal of the American Chemical Society、Vol. 49、p. 3181 (1927)に記載されるZerewitnoff試験に従って著しい活性を呈する、水素原子を含有する部分を示す。そのような活性水素部分の例示が、−COOH、−OH、−NH、−NH−、−CONH、−SH及び−CONH−がある。好ましい活性水素含有化合物には、ポリオール、ポリアミン、ポリメルカプタン及びポリ酸が含まれる。好適なイミノ官能性化合物が、分子あたり少なくとも1つの末端イミノ基を有するイミノ官能性化合物であり、例えば、米国特許第4,910,279号(これは本明細書によりその全体において参照によって組み込まれる)に記載されるような化合物である。
【0024】
好適なポリオールには、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリ(アルキレンカルボネート)ポリオール、ヒドロキシル含有ポリチオエーテル、ポリマーポリオール及びそれらの混合物が含まれ得る。ポリエーテルポリオールには、例えば、ポリオキシエチレンエーテル、ポリオキシプロピレンエーテル、ポリオキシブチレンエーテル及び/又はポリテトラメチレンエーテルに基づく1つ又はそれ以上のジオール、トリオール又はテトラオールが含まれ得る。一般には、様々なポリエーテルポリオールが、アルキレンオキシドを活性水素含有開始剤化合物の存在下で重合することによって調製される。しかしながら、最も好ましいものが、アルキレンオキシドによりキャップ化されたポリオールである。
【0025】
好ましくは、イソシアネート反応性化合物は官能性が少なくとも約2.0であり、より好ましくは少なくとも約3.0であり、また、好ましくは最大でも約5.0であり、より好ましくは最大でも約4.5であり、最も好ましくは最大でも約4.0である。好ましくは、イソシアネート反応性化合物の当量重量は少なくとも約200であり、より好ましくは少なくとも約500であり、より好ましくは少なくとも約1,000であり、また、好ましくは最大でも約5,000であり、より好ましくは最大でも約3,000であり、最も好ましくは最大でも約2,500である。具体的な一例では、約100〜約1500の当量重量を有するポリオール系のイソシアネート反応性化合物が用いられ、より具体的には、約300〜約1000の当量重量を有するポリオール系のイソシアネート反応性化合物が用いられる。
【0026】
イソシアネート及びイソシアネート反応性化合物を、好適な触媒の存在下で反応させることができる。本明細書中における使用のための触媒には、例えば、金属錯体(例えば、第一スズ化合物又は第二スズ化合物など)が含まれ得る。例には、カルボン酸の第一スズ塩(例えば、オクタン酸第一スズ、オレイン酸第一スズ、酢酸第一スズ及びラウリン酸第一スズ)、トリアルキルスズオキシド、ジアルキルスズジカルボキシレート(例えば、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジアセテート、ジエチルスズジアセテート及びジヘキシルスズジアセテート)、ジアルキルスズジハリド、又は、ジアルキルスズオキシド(例えば、ジ−2−エチルヘキシルスズオキシド又はジオクチルスズジオキシドなど)、第三級アミン、或いは、スズメルカプチドが含まれる。他の触媒もまた使用することができる。例えば、第三級アミン触媒には、トリアルキルアミン(例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン)、複素環式アミン(例えば、N−アルキルモルホリン(例えば、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、ジメチルジアミノジエチルエーテルなど)、1,4−ジメチルピペラジンなど)、トリエチレンジアミンなどが含まれる。脂肪族ポリアミン、例えば、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ブタンジアミンなどもまた、触媒として使用することができる。1つの非常に好ましい触媒はジブチルスズ化合物を含み、より具体的には、1つの非常に好ましい触媒はジブチルスズジラウレートを含むか、又は、ジブチルスズジラウレートから本質的になる。
【0027】
イソシアネート及びイソシアネート反応性化合物を、ケイ素をベースプライマーに導入するために、好適なシラン(例えば、アミノシラン)の存在下でもまた反応させることができる。
【0028】
本明細書中における組成物は、1つ又はそれ以上の他の成分を含むことができ、例えば、溶媒、安定剤、薄膜形成剤、着色剤(例えば、カーボンブラック、例えば、Raven420)、フィラー、紫外線保護剤又はそれらの任意の組合せなどを含むことができる。
【0029】
例として、プライマー組成物の溶媒成分は、一般には揮発性であり、好ましくは、約−10℃〜約100℃の範囲における温度で成分を溶解及び/又は分散する溶媒であり、より好ましくは約0℃〜約40℃の範囲における温度で成分を溶解及び/又は分散する溶媒である。溶媒は好ましくは、イソシアネートが水と早まって反応しないことを助けるために無水である。そのような溶媒の例には、キシレン、エチルベンゼン、トルエン、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、ブタノール、プロパノール、イソプロパノール、エタノール、ブトキシル、2−ブトキシエタノール、3−メトキシブチルアセテート、NMP、n−ヘプタン、石油、酢酸ブチル、アセトン及びメチルエチルケトン、又は、それらの任意の組合せが含まれ、好ましくは、ブトキシル、メチルエチルケトン又はそれらの混合物が挙げられる。溶媒は、得られる組成物又は中間組成物のいずれにおいても残り部分を構成し、プライマー組成物全体の重量に基づいて、好ましくは少なくとも約50パーセントの量で使用され、より好ましくは少なくとも約55パーセントの量で使用され、最も好ましくは少なくとも約60パーセントの量で使用され、また、好ましくは最大でも約90パーセントであり、より好ましくは最大でも約85パーセントであり、最も好ましくは最大でも約80パーセントである。
【0030】
本明細書中における組成物は1つ又はそれ以上の薄膜形成樹脂を含むことができ、この場合、薄膜形成樹脂は、連続被膜を形成するために硬化する、重合することができる1つ又はそれ以上の部分を含有し、かつ、多くの環境力に対して抵抗性である。1つの好ましい実施形態において、好ましくは、薄膜形成樹脂は、フリーラジカル又はカチオン性反応条件にさらされたときに重合する。1つの具体的な態様において、薄膜形成樹脂は、放射線照射(例えば、UV放射線又は電子ビームなど)にさらされることによって硬化可能な樹脂である。薄膜形成樹脂は、フリーラジカルにさらされたときに重合する官能基(例えば、ビニル含有部分、アクリレート含有部分、スチレン系含有部分、ジエン含有部分、メタクリレート含有部分、アリル含有部分、チオレン含有部分、ビニルエーテル含有部分、不飽和エステル含有部分、イミド含有部分、N−ビニル含有部分、アクリアミド含有部分又はそれらの混合など)を含有することができる。1つのより好ましい実施形態において、薄膜形成樹脂における官能基はアクリル酸系(acrylic)部分及び/又はメタクリル酸系(methacrylic)部分である。多くの実施形態において、薄膜形成樹脂は、記載された官能性部分を有するオリゴマー又はプレポリマーである。好ましいタイプのオリゴマー及びプレポリマーには、ウレタンアクリレート(例えば、脂肪族及び芳香族のウレタンアクリレートなど)、エポキシアクリレート、メラミンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、シリコーンアクリレート、樹枝状アクリレート、ポリブタジエンアクリレート、アミンアクリレート、アクリル酸系アクリレート、アミドエステル及びスピロオルトカルボネートエステル、又は、それらの混合物がある。1つの具体的なクラスのオリゴマー及びプレポリマーには、脂肪族ウレタンアクリレートが含まれる。
【0031】
1つの好適な市販されている薄膜形成剤の一例が、The Rohm and Haas Companyから入手可能であるParaloid(登録商標)B48Nである。
【0032】
薄膜形成樹脂を、任意の好適な量で存在させることができる。例えば、薄膜形成樹脂を、プライマー組成物の重量に基づいて約0.1重量部の量で存在させることができ、又は、約1重量部の量で存在させることができ、又は、約5重量部の量で存在させることができ、又は、約10重量部以上の量でさえ存在させることができる。好ましくは、薄膜形成樹脂は、プライマー組成物の重量に基づいて約70重量部以下の量で組成物に存在し、より好ましくはプライマー組成物の約60重量部以下の量で存在し、より好ましくはプライマー組成物の約50重量部以下の量で存在し、最も好ましくはプライマー組成物の40重量部以下の量で存在する。
【0033】
本明細書中における組成物は必要な場合には、1つ又はそれ以上の他の成分を含むことができ、例えば、接着剤組成物を水分から保護し、それにより、接着剤配合物におけるイソシアネートの増進した架橋を阻害すること、及び、接着性配合物におけるイソシアネートの早まった架橋を防止することを助けるための1つ又はそれ以上の安定剤などを含むことができる。水分硬化性接着剤のための、当業者には公知である安定剤を本明細書中において好ましく使用することができる。そのような安定剤には、ジエチルマロネート、アルキルフェノールアルキレート、パラトルエンスルホニックイソシアネート、ベンゾイルクロリド、オルトアルキルホルマート又はそれらの任意の組合せが含まれる。そのような安定剤は好ましくは、中間組成物又は得られる組成物の総重量に基づいて約0.1重量部以上の量で使用され、好ましくは約0.5重量部以上の量で使用され、より好ましくは約0.8重量部以上の量で使用される。そのような安定剤は、中間組成物又は得られる組成物の総重量に基づいて約5.0重量部以下の量で使用され、より好ましくは、中間組成物又は得られる組成物の約2.0重量部以下の量で使用され、最も好ましくは、中間組成物又は得られる組成物の約1.4重量部以下の量で使用される。例えば、1つの選択肢が、ジエチルマロネートを約2重量部までの量で用いることであり、より具体的には約0.1重量部〜約1重量部の量(例えば、約0.1重量部〜約0.3重量部の量)で用いることである。必要な場合には、好適な酸(例えば、リン酸など)を、例えば、約0.2重量部までの量で、より具体的には約0.1重量部までの量(例えば、約0.01重量部〜約0.05重量部の量)で用いることもまた可能である。
【0034】
示されたように、本発明では、一般には有機官能性シラン及びイソシアネートの反応生成物である接着促進剤が特に使用される。より具体的には、述べられるように、接着促進剤は少なくとも1つの芳香族ポリイソシネートを含み、より具体的には、リンを含む少なくとも1つの芳香族ポリイソシネートを含む。
【0035】
1つの実施形態において、接着促進剤の1つの成分は、アミノ−シランを含むことができ、より具体的には、第二級アミノ−シランを含むことができる。1つの注目されるシランは、少なくとも2つのシリル基(この場合、3つのメトキシ基がケイ素のそれぞれに結合する)、ヒンダード第二級アミノ基、又は、それらの任意の組合せを含む。1つのそのような市販されているアミノ−シランの一例がビス−(トリメトキシシリルプロピル)−アミンであり、例えば、GE Advanced Materials−Siliconesから得られるSilquest A−1170などである。接着促進剤としての使用のための好適なシラン物質に関するさらなる情報が米国特許第4,374,237号(これは本明細書により参照によって組み込まれる)に見出される。シランの他の例には、限定されないが、(単独で、又は、ビス−(トリメトキシシリルプロピル)−アミンとの組合せで)、ヒドロキシ官能性又はメルカプト官能性又は両方を有するシランが含まれ、例えば、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリスメトキシ−エトキシエトキシシラン、3−アミノプロピル−メチル−ジエトキシシラン、N−メチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ブチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピル−メチル−ジメトキシシラン、(N−シクロヘキシルアミノメチル)メチルジ−エトキシシラン、(N−シクロヘキシルアミノメチル)トリエトキシシラン、(N−フェニルアミノメチル)メチルジメトキシシラン、(N−フェニルアミノメチル)トリメトキシシラン、N−エチル−アミノイソブチルトリメトキシシラン、4−アミノ3,3−ジメチルブチルトリメトキシシラン又はそれらの任意の組合せが含まれる。
【0036】
接着促進剤はまた、その成分の1つとして、芳香族イソシアネートを含み、具体的には三官能性イソシアネートを含む。1つの具体的な好ましい実施形態において、接着促進剤は、リンを含む少なくとも1つのイソシアネートを含む。1つのそのようなイソシアネートの一例が、一般には米国特許第6,974,500号(これは参照により組み込まれる)において記載され、下記の一般式1によって表される。
【化1】

【0037】
1つの可能なイソシアネートがトリス(p−イソシアナト)チオホスファンである。1つの特に好ましいイソシアネートが、イソシアネート基を有するチオホスフェートであり、例えば、DESMODUR RFEの商品名で販売され、Bayer Corporation(Pittsburgh、Pa.)から市販されている、酢酸エチルにおけるトリス(p−イソシアネート−フェニル)−チオホスフェートの溶液などである。(単独で、又は、トリス(p−イソシアネート−フェニル)−チオホスフェートとの組合せで用いることができる)可能なイソシアネートの他の例には、芳香族又は脂肪族であり得る三官能性イソシアネートが含まれる(例えば、HDIに基づく脂肪族ポリイソシアネートで、イソシアネート含有量がおそらくは約15パーセント〜約25パーセントであるもの)。好適な三官能性イソシアネートの例には、Desmodur N100、Desmodur N3300、又は、Tolonate HDTの名称で市販されている三官能性イソシアネートが含まれる。
【0038】
一般には、接着促進剤は、シランをイソシアネートと混合することによって調製され、具体的には、約1モル〜約3モルのシラン(例えば、アミノ−シラン又はメルカプトシラン又はそれらの組合せ)に関して約1モルのイソシアネートの量で、シランをイソシアネートと混合することによって調製され、より具体的には、約2.3モルのシラン(例えば、アミノ−シラン又はメルカプトシラン又はそれらの組合せ)に関して約1モルのイソシアネートの量で、シランをイソシアネートと混合することによって調製される。
【0039】
接着促進剤を作製するための1つの具体的な方法が、約2よりも大きい官能性を有する芳香族ポリイソシアネートを、ケイ素に結合する複数のアルコキシ基(例えば、ケイ素に結合する2つ又は3つのメトキシ基、ケイ素に結合する2つ又は3つのエトキシ基、又は、それらの組合せなど)を含むシラン(例えば、アミノ−シラン(例えば、第二級アミノ官能性シランなど)、メルカプトシラン又はそれらの組合せ)と少なくとも部分的に反応することである。
【0040】
イソシアネート含有量が約1%を超えるイソシアネート官能性プレポリマーは一般には、約2を超える官能性及び約300を超える分子量(M)を有するポリオールと、イソシアネート(より具体的には、芳香族ポリイソシアネート)との反応生成物である。本明細書中における第2のプレポリマーは一般にはイソシアネートプレポリマーであり、具体的には、イソシアネート及びポリオールの反応生成物である。1つの具体的な態様において、好ましいイソシアネートはジイソシアネートであり、例えば、少なくとも約2の官能性を有するジイソシアネート(例えば、三官能性ジイソシアネート)などである。例えば、そのようなジイソシアネートは芳香族ジイソシアネートであり、例えば、TDI、MDI又はそれらの組合せから選択される芳香族ジイソシアネートなどである。1つの具体的な好ましいジイソシアネートがMDI又はそのプレポリマーであり、例えば、およそ97%の4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート及び3%の2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを含むMDIなどである。1つのそのようなイソシアネートの市販されている一例が、The Dow Chemical Companyから入手可能であるIsonate(登録商標)M125 MDIである。他のポリオールを選択することができるが、1つの具体的な好ましいポリオールがトリオールであり、具体的には、ヒドロキシル価が少なくとも約200であるトリオールである。1つのそのようなポリオールの一例を、The Dow Chemical CompanyからVORANOL(商標)CP260の名称で入手可能である。
【0041】
典型的に、接着促進剤は、組成物全体の約0.5重量%〜約20重量%の量で用いられ、より具体的には約1重量%〜約10重量%の量で用いられ、一層より具体的には約2重量%〜約7重量%の量で用いられる。当業者は、本明細書中で用いられる接着促進剤の量に関しては特に、これらよりも大きい量又はより少ない量が用いられ得ることを理解する。例えば、溶媒を何ら用いない接着促進剤は、溶媒を用いる接着剤促進剤よりも少ない量で用いることができる。
【0042】
結果として、ベースプライマーは、典型的には組成物全体の約30重量%〜約90重量%の量で用いられ、より具体的には約40重量%〜約80重量%の量で用いられ、一層より具体的には約55重量%〜約65重量%の量で用いられる。
【0043】
結果として、イソシアネート含有量が約1%を超えるイソシアネート官能性プレポリマーは典型的には組成物全体の約10重量%〜約60重量%の量で用いられ、より具体的には約20重量%〜約50重量%の量で用いられ、一層より具体的には約30重量%〜約40重量%の量で用いられる。
【0044】
一般には、接着促進剤は、接着促進剤対脂肪族イソシアネートプレポリマーの約1:100〜約2:1(より具体的には、約2:35〜約7:25)の部の重量比で存在する。用いられるとき、イソシアネート含有量が約1%を超えるイソシアネート官能性プレポリマーは、接着促進剤対イソシアネート官能性プレポリマーの約1:140〜約1:1(より具体的には、約2:55〜約7:45)の部の重量比で存在する。
【0045】
1つの具体的な好ましい組成物は、ベースプライマー、接着促進剤、イソシアネート含有量が約1%を超えるイソシアネート官能性プレポリマー、安定剤及び酸を含む。より具体的には、安定剤はジエチルマロネートを含むか、又は、酸はリン酸を含むか、又は、安定剤はジエチルマロネートを含み、かつ、酸はリン酸を含む。例えば、ベースプライマーは約50重量%〜約65重量%の量で存在させることができ、より具体的には約55重量%〜約60重量%の量で存在させることができる(例えば、約57.9重量%の量で存在させることができる)。接着促進剤は約2重量%〜約7重量%の量で存在し、より具体的には約4重量%〜約6重量%の量で存在する(例えば、約5.2重量%の量で存在する)。イソシアネート含有量が約1%を超えるイソシアネート官能性プレポリマーは約30重量%〜約40重量%の量で存在し、より具体的には約33重量%〜約38重量%の量で存在する(例えば、約36.6重量%の量で存在する)。組成物は、また、約0.1重量%〜約0.5重量%のジエチルマロネート(例えば、約0.25%)及び0.01重量%〜約0.05重量%のリン酸(例えば、約0.03重量%)を含むことができる。
【0046】
本明細書中におけるプライマー組成物は、数多くの適用のいずれかにおいて用いることができる。1つの具体的な方法が、プライマー組成物を(例えば、一液型組成物として)、当分野において開示される技術を使用して、自動車車輌、フロントガラス、バックライト、側窓、サンルーフ/ムーンルーフ、建築用窓、明かり取り、舷窓、ドア開口部、陳列ケース、レンズ又はその他において使用されるサブストレートに適用することである。別の有用な適用が、標識、包装、容器(例えば、飲料物ビン)又はその他であるならば、印刷のためである。1つの好ましい適用が、実質的に透明なパネルの組み立て物を作製するための、本明細書中におけるプライマー組成物の使用である。本明細書中におけるそのような組み立て物は、構造体への一時的又は永続的な取り付けのために適合化することができる。組み立て物は、例えば、滑らせることによって、又は、関節式で連結することによって、又は、旋回することによって、又は、折り畳むことによって、又は、それらの任意の組合せによって、開けること、閉じること、又は、そうでない場合には平行移動することのために適合化することができる。従って、組み立て物を1つ又はそれ以上の適用において用いることができ、例えば、自動車車輌のバックライト、側窓、サンルーフ/ムーンルーフ、建築用窓、明かり取り、舷窓、ドア開口部、陳列ケース又はその他などにおいて用いることができる。本明細書中における組成物及び方法はまた、静電プライマー処理されたサブストレート(すなわち、e−コーティングされたサブストレート)、印刷されたサブストレート、又は、これらの任意の組合せに対して、事前適用の接着剤システムとの組合せで用いられるときに特に有用である。
【0047】
典型的には、サブストレートは実質的に平坦であるか、又は、例えば、湾曲した表面を規定するために形状化される。サブストレートは一般には、表面の面積の少なくとも約25%にわたって、より具体的には少なくとも大部分にわたって(例えば、表面の面積の少なくとも約60%、75%、又は、90%までも)、少なくとも1つの表面を通して透明であるパネルであり、具体的には両方の向き合う表面を通して透明であるパネルである。本明細書中におけるサブストレートは一般には、実質的に非晶質の材料から作製され、具体的には、非晶質セラミックス(例えば、ガラスなど)、プラスチック又はそれらの組合せから作製される。限定されないが、好適なサブストレート材料の例には、ポリ(メタ)アクリレート、ポリカーボネート、ビニル樹脂(例えば、ポリビニルクロリド)、ポリエステル(例えば、配向ポリエステル)、ポリイミド、ポリオレフィン、ポリアミド、ガラス又はそれらの任意の組合せ(例えば、積層ガラス)などが含まれる。具体的な一例において、サブストレートは、ガラス、ポリ(メタ)アクリレート、ポリカーボネート又はそれらの任意の組合せから選択される材料を含むか、或いは、ガラス、ポリ(メタ)アクリレート、ポリカーボネート又はそれらの任意の組合せから選択される材料から本質的になる場合さえある。サブストレートは、積層化層、色合い又はそれらの任意の組合せを有することができる。サブストレートはまた、反応射出成形プラスチックである場合がある。パネル(例えば、実質的に透明なパネルなど)を封入する反応射出成形部品を含む組み立て物を、本明細書中における教示に従って接合することができる。封入パネルを製造するための1つの可能な方法の一例が、米国特許出願第60/870,643号(発明の名称「封入パネル組み立て物及びその製造方法」、これは参照により組み込まれる)に開示される。本明細書中における組成物はまた、ピンチウェルド(pinchweld)組み立て物の表面を接合するために用いることができる。
【0048】
いくつかの適用では、サブストレートの実質的に表面全体を本明細書中における組成物により被覆することが要求される場合があるが、通常、組成物は、所定のパターンに従って(例えば、実質的にはサブストレートの端部分に沿って、又は、サブストレートの周辺部の周りに、又は、他の様式で)選択的にサブストレートに適用される。例えば、1つの方法が、組成物を、約2cm、5cm、8cm又は12cm以上までもの幅でサブストレートの端から中央部分に向かって内側に適用することである。組成物が、一定又は変化する幅、高さ、長さ又は他の大きさのセグメントを含む1つ又はそれ以上の線、曲線、点又は他の幾何学的形態を規定するために適用され得ることもまた可能である。
【0049】
当分野において開示される様々なパターンのいずれかを適用することができる。プライマー組成物を、当分野において開示されるいずれかの手段を使用して、例えば、ブラシ、ローラー、表面に噴霧されること、インクジェット印刷及びスクリーン印刷などを使用して、サブストレート(例えば、ガラス又は被覆プラスチック)に適用することができる。プライマー組成物を、当分野において開示されるロボット適用デバイス(例えば、少なくとも2つの運動軸を有するロボット適用デバイス)を使用して適用することができる。組成物をサブストレートの表面に適用した後、組成物は重合条件にさらされる。
【0050】
本明細書中におけるサブストレートは、典型的に、組成物が適用される少なくとも1つの表面を含む。表面は、必要な場合に、例えば、プライマー、溶射、コロナ処理、プラズマ処理又は何らかの他の表面処理によって、サブストレートに対する組成物の接着強さを改善するために処理することができる。しかしながら、1つの具体的な例において、外側表面は、何らかの表面処理を実質的に有しない。従って、適用されたとき、組成物は、サブストレートと直接に密着しており、具体的には、何らかの中間境界層の実質的な非存在下でサブストレートと直接に密着している。当然のことではあるが、組成物をサブストレートに適用した後、組成物及びサブストレートの一方又は両方の一部又は全体にわたって、さらなる層(例えば、保護用の上塗りを実現するためのシリコーン、アクリル樹脂、ポリウレタン又はその他)を適用することもまた可能である。本明細書中における組成物が、無機フリット又は有機フリット(例えば、Baikerikar他によって2006年6月20日に出願された(参照により組み込まれる)同時係属中の特許出願第11/472,119号(これは2005年6月20日出願の特許出願第60/692,318号の優先権を有する)において教示されるタイプのフリット)の上に、及び/又は、そのようなフリットの下に、及び/又は、そのようなフリットに隣接して用いられ得ることもまた可能である。
【0051】
適用されるとき、本明細書中における組成物は一般には、約250ミクロン又はそれ以上に至るまでの厚さを有する。より一般的には、厚さは約150ミクロン未満であるか、又は、約100ミクロン未満であるか、又は、約50ミクロン未満でさえある(例えば、約10ミクロン〜約30ミクロン、又は、それ以下)。
【0052】
本発明のプライマー組成物との組合せで使用される好適な接着剤又はシーラントの例には、限定されないが、一液型又は二液型のウレタン組成物(これらは結果として水分硬化性であってもよい)が含まれる。特に好ましいウレタンが、MDI、HMDI又はそれらの組合せに基づく。市販されている接着剤の例には、限定されないが、The Dow Chemical CompanyからBETASEAL(商標)の名称で入手可能な接着剤(例えば、規格品番号1759、同1841、同1843、同1965、同2002又は同2002LVRPの1つ又はそれ以上など)が含まれる。
【0053】
本発明ではまた、接着剤組成物又はシーラント組成物と、1つ又はそれ以上のプライマー組成物とを含むキットが意図される。例えば、そのようなキットは、本発明による1つ又はそれ以上のプライマー組成物を、接着剤組成物又はシーラント組成物(例えば、一液型ウレタン接着剤又は二液型ウレタン接着剤)とともに、或いは、接着剤組成物又はシーラント組成物を伴うことなく含む場合がある。キットはまた、1つ又はそれ以上のクリーナー、アプリケーター、テープ、ツール又はそれらの任意の組合せを含むことができる。本明細書中における組成物は、カートリッジ、ホイルパック又は両方で提供することができる。
【0054】
本明細書中における組成物は、一般に硬い耐摩耗性の被覆を提供する。本明細書中における組成物は、優れた接着性能及び耐候性を示すこともまた予想される。本明細書中における教示に従って新たに調製される得られたプライマー物質はまた、良好な貯蔵安定性を有することが予想される。
【0055】
得られる組成物は、i)約30%〜約50%の範囲における固形分含有量、より具体的には、約37%〜約43%の範囲における固形分含有量(例えば、約40.4%)(これはISO3251に従って測定される)、ii)約1%〜約7%のイソシアネート含有量、より具体的には、約3.0%〜約3.6%のイソシアネート含有量(例えば、約3.26%)(これはISO11909に従って測定される)、iii)約0.92g/cm〜約0.95g/cmの密度、より具体的には、約0.934g/cm〜約0.944g/cmの密度(例えば、約0.939g/cm)(これはISO2811に従って測定される)、iv)約1%〜約5%のシラン含有量(例えば、トリメトキシシラン)、より具体的には、約2.4%〜約3.0%のシラン含有量(例えば、トリメトキシシラン)(一層より具体的には、トリメトキシシラン基を用いるとき、シランは約2.71%の量で存在する)(これは、ASTM D6843−02、ASTM D6844−02又は両方に従って測定される)、又は、v)前記i)〜前記iv)の組合せを有する。
【0056】
得られるサンプルは、室温での7日間の経時処理の後で、より好ましくは、水中浸漬を受けるさらに7日間の経時処理の後でもまた、さらにより好ましくは、90℃でのさらに7日間の経時処理の後でもまた、なお一層さらにより好ましくは、さらに7日間のカタプラスマ(cataplasma)サイクル処理の後でもまた、100%の凝集破壊を明らかにする。本明細書中における組成物は、それにもかかわらず、さらに14日のカタプラスマサイクル処理の後で100%の凝集破壊を明らかにすることもまた可能である。
【0057】
一般に、カタプラスマサイクル処理のために、サンプルは、70℃、100%の相対湿度での気候チャンバーに7日間、そのまま貯蔵されるか、又は、十分な水で湿らされた脱脂綿に包まれ、ポリエチレン袋に密封されて、その後、70℃でのオーブンに7日間保持される。次いで、サンプルは、−20℃で16時間、冷凍庫に置かれ、その後、サンプルは室温で2時間放置される。このサイクルが多数回繰り返され、その後、サンプルは袋から取り出され、迅速ナイフ接着試験に供される。望ましくは、プライマー層の膨れが認められず、破壊がシーラント層において凝集的である。
【0058】
下記の実施例により、本明細書中における教示が例示される。類似する結果が、各成分の量が、示された量の約10パーセント以内で変化するか、又は、示された量の約25パーセント以内でさえ変化する組成物について可能であると考えられる。従って、実施例は、また、そのような変化の範囲内に含まれる濃度範囲を教示する。
【実施例】
【0059】
実施例のプライマー組成物を、a)約57.9重量%のBetaprime(商標)5500;b)約36.6重量%の、VORANOL(商標)CP260及び芳香族ジイソシアネート(例えば、Isonate(登録商標)M125 MDI)の反応生成物;c)約5.2重量%の、Demodur(登録商標)RFE及びSilquest(登録商標)A1170の反応生成物;約0.25重量%のジエチルマロネート、及び、約0.03重量%のリン酸を反応することによって調製する。
【0060】
様々な市販されているフロントガラスが、それらに適用されるセラミックフリットとともに種々の販売者から提供される。Betaclean(商標)3300(The Dow Chemical Companyから入手可能)が、フロントガラスを清浄化するために適用され、約23℃及び約50%の相対湿度で約2分間、気化させられる。上記実施例のプライマー組成物を塗布し、約15分の風乾時間の後、接着剤(Betaseal(商標)1965(The Dow Chemical Companyから入手可能))のビードを適用し、サンプルを、本明細書中に記載されるような剥離試験のために調製する。室温での7日間の経時処理の後、サンプルは、少なくとも75%の凝集破壊を示すことが予想され、より具体的には、それぞれについて少なくとも100%の凝集破壊を示すことが予想される。少なくとも、サンプルの大部分は、また、100%の凝集破壊を伴って、さらに7日間のカタプラスマサイクル処理に耐えることができることが予想される。
【0061】
上記実施例のプライマー組成物を、封入窓組み立て物において見出され得るような反応射出成形ポリウレタンサブストレートを使用してサンプルにおける剥離強度について分析する。比較のために、本明細書中における接着促進剤を、種々の販売者から得られる市販のプライマー(これらはプライマー1及びプライマー2として示される)と混合し、市販のシーラント(これらは、接着剤1、接着剤2及び接着剤3として示される)とともに用いる。サブストレートを最初に、Betaclean(商標)3300により清浄化する。プライマーを塗布し、シーラントを塗布する前に23℃及び50%の相対湿度で15分間気化させる。その後、サンプルを試験する。サンプルは、下記の表の結果を示すことが予想される。BM7120はBatamate(商標)7120(The Dow Chemical Companyから入手可能)を示し、BM7200はBatamate(商標)2700(The Dow Chemical Companyから入手可能)を示し、BS X1502はBataseal(商標)X1502(The Dow Chemical Companyから入手可能)を示し、BP5504は、本明細書中における教示に従って改変されたBataprime(商標)5504を示す。本明細書中における教示に従って改変されたBataprime(商標)5504(BP5504)は、The Dow Chemical Companyとは異なる販売者元から得られる市販のシーラントに接合させられるとき、室温での7日間の経時処理、さらに7日間の(23℃での)水中浸漬、90℃でのさらに7日間、及び、さらに7日間のカタプラスマサイクル処理のとき、プライマーが100%の凝集破壊を達成することを可能にすることが予想される。下記の表1は、The Dow Chemical Companyとは異なる販売者元から得られる改変されていない市販のプライマー(プライマー1及びプライマー2)が用いられるときの予想結果を例示する。
【0062】
【表1】

【0063】
上記実施例のプライマー組成物を、性能について、他の市販されている接着剤システム(例えば、Betaseal(商標)2002及び同2002LVRP)と比較し、100%の凝集破壊を、7日間の室温での経時処理(50%の相対湿度)、(23℃での)水中浸漬を受けるさらに7日間、90℃でのさらに7日間、及び、さらに7日間のカタプラスマサイクル処理の後で示すことが予想される。
【0064】
本明細書中におけるプライマーの性能を、事前塗布型の接着剤システムを用いて分析するために、クロム鋼サブストレートが提供され、Betaclean(商標)3350(The Dow Chemical Companyから入手可能)により清浄化され、約23℃及び約50%の相対湿度で2分間気化させられる。その後、サブストレートに、Betaprime(商標)1707(The Dow Chemical Companyから入手可能)をプライマー塗布する。30分の気化時間の後、事前塗布型接着剤をBetaprime(商標)1707の全体に塗布する(例えば、HV3事前塗布型接着剤(The Dow Chemical Companyから入手可能)などの接着剤)。その後、サンプルを、10週間、32℃及び約80%の相対湿度で経時処理する。その後、この事前塗布型接着剤に対して、上記実施例のプライマー組成物を塗布し、続いて、Betaseal(商標)1965(The Dow Chemical Companyから入手可能)を適用する。サンプルを調製し、下記で記載されるような剥離試験に供し、また、Zwick/Roell ZWART.PRO引張試験機により剥離強度についてもまた測定する。上記実施例のプライマー組成物を用いるサンプルは、100%の凝集破壊を室温での7日間の経時処理の後で示すことが予想される。上記実施例のプライマー組成物を用いるサンプルはまた、100%の凝集破壊を本明細書中に記載されるようなカタプラスマサイクル処理によるさらに7日間の経時処理の後で示すことが予想される。上記実施例のプライマー組成物を用いるサンプルは、少なくとも約19N/cm〜約23N/cmの剥離強度を室温での7日間の経時処理の後で示すこともまた予想される。上記実施例のプライマー組成物を用いるサンプルはまた、少なくとも約16N/cm〜約21N/cmの剥離強度を本明細書中に記載されるようなカタプラスマサイクル処理によるさらに7日間の経時処理の後で示すことが予想される。比較として、改変されていない市販のプライマー(Betaprime(商標)5404)が上記実施例のプライマー組成物の代わりに使用される。このプライマーは、約15N/cm〜約23N/cmの、7日間の室温での経時処理の後での剥離強度、及び、約11N/cm〜約19N/cmの、本明細書中に記載されるようなカタプラスマサイクル処理によるさらに7日間の経時処理の後での剥離強度を示すことが予想される。さらに、この改変されていない市販のプライマーは、約25%〜約75%の凝集破壊を7日間の室温での経時処理の後で示すことが予想され、また、ゼロ%の凝集破壊を本明細書中に記載されるようなカタプラスマサイクル処理によるさらに7日間の経時処理の後で示すことが予想される。
【0065】
接着剤剥離試験が行われる。この試験によって、高さが約10mm〜約15mmで、長さが約100mm〜150mmである接着剤のビードが、プライマー塗布の約3分以内にプライマー塗布サブトレート(具体的には、フェルトアプリケーターを使用して本明細書中における得られたプライマー組成物によりプライマー塗布されたフロートガラス)に適用される。接着剤がスパチュラで約4mm〜6mmの高さに平らにされ、その後、約23℃及び約50%の相対湿度で約7日間、気候チャンバーにおいて経時処理される。組み立て物を、所望の条件のもとで特定の時間、硬化させる。その後、ビードを、先のとがったノーズプライヤーを使用して剥がす。この場合、ノーズプライヤーにより、ビードが掴まれ、約90°の角度で回しながら引っ張られる。その後、硬化したビードを約1cmの間隔での切断によりプライマー塗布表面に至るまでカミソリの刃で切断する。破壊モードを離層表面において調べ、特徴づける。凝集破壊の面積を、分析された全面積のパーセントに基づいて推定する。接着の程度を接着剤破壊及び/又は凝集破壊として評価する。接着剤破壊の場合には、硬化したビードをプライマー塗布表面から分離することができ、一方、凝集破壊では、分離が、切断及び引っ張りの結果としてシーラントビードの内部に生じる。破壊モードを観察する際には、境界表面積のどのくらいについて、破壊モードが観察されるかが注目される。プライマーがプライマー塗布サブストレート(例えば、ガラス)から離層するならば、プライマーの破壊が生じていたと見なされる。
【0066】
本明細書中に示される説明及び例示は、本発明、その原理及びその実用的適用を当業者に熟知させるために意図される。当業者は、特定の使用の要件に最も良く適し得るように、本発明をその数多くの形態で適合化及び適用することができる。従って、示されるような本発明の具体的な実施形態は、網羅的であるとして、又は、本発明の限定であるとして意図されない。従って、本発明の範囲は、上記の記載を参照して決定してはならず、代わりに、添付された請求項を参照して、そのような請求項が資格を有する均等物の完全な範囲と一緒に決定されなければならない。特許出願及び特許公報を含めて、すべての論文及び参考文献の開示がすべての目的のために参照により組み込まれる。アクリル樹脂(acrylic)又は(メタ)アクリル樹脂((meth)acrylic)(或いは、派生用語、例えば、「アクリレート(acrylate)」など)に対する参照は各種のメタアクリル樹脂(methacrylics)及びアクリル樹脂(acrylics)(ならびに、対応する派生用語)を意図する。本明細書中で議論される成分は、得られる組成物の一部を形成することができる。しかしながら、本明細書中で議論される成分はまた、得られる組成物のための添加剤の一部を形成することができる。例えば、接着促進剤が、成分を、得られる組成物を形成するために混合物に送達するためのビヒクルであることが可能である。別途述べられる場合を除いて、「接着剤」又は「シーラント」に対する参照は交換可能である。従って、特定の組成の接着剤の言及はまた、そのような組成のシーラントを包含する。
【0067】
一般には1工程プライマー組成物における使用に関連して本明細書中に開示されるが、本明細書中における接着促進剤はそのように限定されない。接着促進剤は、また、多数の成分を含むプライマーシステムの一部として用いることができ、また、成分のいずれか又はすべてに加えることができる。例えば、接着促進剤が、ウレタン活性化剤組成物、フリット調製組成物、フリットプライマー組成物、PVCプライマー、ピンチウェルドプライマー又はその他(例えば、U−413、U−555、U−4000、U−401又はU−402などの名称で販売されている、The Dow Chemical Companyから得られる1つ又はそれ以上の製造物など)に配合される場合がある。
【0068】
本明細書中における教示は、同時係属中の仮特許出願第60/913,700号(2007年4月24日出願)(代理人整理番号64676:「オキサゾリジンを含む一成分ガラスプライマー」)、又は、同時係属中の仮特許出願第60/913,706号(2007年4月24日出願)(代理人整理番号65694:「改善されたプライマー接着促進剤、プライマー接着組成物及びプライマー接着方法」)(これらはともに参照により本明細書中に組み込まれる)の一方又は両方との組合せで好適に用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の基材を第2の基材に接合するための方法であって、
a.前記基材の一方又は両方に対して、
i.少なくとも1つの芳香族ポリイソシアネート化合物と、有機官能性シランの活性水素含有成分との反応によって調製される付加物である接着促進剤、
ii.少なくとも1つの脂肪族ポリイソシアネートと、ポリオールとの反応に由来し、かつ、有機官能性シランの活性水素含有成分と少なくとも一部が反応させられるプレポリマー、及び、
iii.必要な場合には溶媒
を含むプライマー組成物を塗布する工程、
b.接着剤を前記基材の少なくとも1つに塗布する工程、及び
c.前記2つの基材を組み立てる工程を備える、方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの芳香族ポリイソシアネート化合物が、チオホスフェート、ホスフェート、チオホスファン又はそれらの任意の組合せを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つの芳香族ポリイソシアネートが、三官能性である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つの芳香族ポリイソシアネートが、トリス(イソシアナトフェニル)チオホスフェートを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記プライマー組成物が、一般には、約2を超える官能性及び約300を超える分子量(M)を有するポリオールと、芳香族ポリイソシアネートとの反応生成物である、イソシアネート含有量が約1%を超える少なくとも1つのイソシアネート官能性プレポリマーを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記有機官能性シランが、少なくとも1つのケイ素原子のそれぞれに結合する2つ又は3つのメトキシ基又はエトキシ基又は両方を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記有機官能基が、メルカプト基、アミノ基又はそれらの組合せである、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
約1モルの前記ポリイソシアネートが、約1モル〜約3モルのアミノ−シラン又はメルカプト−シラン又はそれらの組合せと反応させられ、但し、イソシアネート基に対する水素活性基のモル比が1.0未満である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
イソシアネート含有量が約1%を超える前記少なくとも1つのイソシアネート官能性プレポリマーが、トリオールと、MDIを含むジイソシアネートとの反応生成物である、請求項5に記載の方法。
【請求項10】
前記プライマー組成物が、ジエチルマロネートをさらに含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記プライマー組成物が、酸をさらに含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記酸が、リン酸である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記プライマーが、薄膜形成樹脂を含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
i)前記付加物が約0.5重量%〜約20重量%の量で存在する;ii)前記脂肪族プレポリマーが約10重量%〜約50重量%の量で存在する;iii)イソシアネート含有量が約1%を超える前記芳香族イソシアネート官能性プレポリマーが約20重量%〜約70重量%の量で存在する;前記溶媒が約40重量%〜約80重量%の量で存在する;iv)ジエチルマロネートが約0.1重量%〜約0.5重量%の量で存在する;v)酸が約0.01重量%〜約0.05重量%の量で存在する;又は、vi)前記i)〜前記vi)の任意の組合せである、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記プライマー組成物が、少なくとも1つの薄膜形成剤、顔料又は触媒、或いは、それらの組合せを含む、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
請求項1から15のいずれか一項に記載される方法に従って製造される組み立て物。
【請求項17】
前記基材が、ガラス、エナメル、硬化ポリウレタン、ガラス封入材、e−コート(e-coat)、ガルバニック亜鉛被覆物、アルミニウム、スチール、塗料、プラスチック、硬い被覆された有機グレイジング(glazing)、又は、それらの任意の組合せから選択される、請求項1から16のいずれか一項に記載される方法に従って製造される組み立て物。
【請求項18】
プライマー組成物及び少なくとも1つの接着剤を含む、請求項1から16のいずれか一項に記載される方法で使用されるキット。
【請求項19】
i)チオホスフェートを含む少なくとも1つのイソシアネートと、アミノ−シラン又はメルカプト−シラン又はそれらの組合せから選択されるシランとの第1の反応生成物と、ii)約2を超える官能性及び約300を超える分子量(M)を有するポリオールと、芳香族イソシアネートとの反応によって一般には形成される、イソシアネート含有量が約1%を超えるイソシアネート官能性プレポリマーである第2の反応生成物との反応生成物を含む、プライマー組成物のための添加剤。
【請求項20】
前記第1の反応生成物が、約1モルの前記イソシアネートが約1モル〜約3モルのアミノ−シラン又はメルカプト−シラン又はそれらの組合せと反応することの結果物である、請求項20に記載の添加剤。
【請求項21】
前記第1の反応生成物が、約1モルの前記イソシアネートが約2.3モルのアミノ−シラン又はメルカプト−シラン又はそれらの組合せと反応することの結果物である、請求項20又は21に記載の添加剤。
【請求項22】
前記第1の反応生成物の前記イソシアネートが、トリス(p−イソシアナトフェニル)チオホスフェートを含む、請求項20から22のいずれか一項に記載の添加剤。
【請求項23】
前記第1の反応生成物の前記シランが、少なくとも2つのシリル基、メトキシシランエステル、ヒンダード第二級アミノ基又はそれらの任意の組合せを含むアミノ−シランである、請求項20から22のいずれか一項に記載の添加剤。
【請求項24】
請求項20から23のいずれか一項に記載される添加剤をベースプライマー組成物と混合して得られるプライマー組成物を形成する工程を備える、プライマー組成物の性能を改善する方法。
【請求項25】
前記添加剤が、プライマー組成物の約99重量部〜約80重量部に対して約1重量部〜約20重量部の量で混合される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記プライマーが、少なくとも1つの脂肪族ポリイソシアネートと、ポリオールとの反応に由来する少なくとも1つのプレポリマーを含み、かつ、ケイ素に結合する複数のアルコキシ基を含むアミノシランのアミノ基と少なくとも一部が反応させられる、請求項24又は25に記載の方法。
【請求項27】
基材を前記得られるプライマー組成物と接触させることをさらに含む、請求項24から26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記基材が、ガラス、金属、プラスチック、被覆基材又はそれらの任意の組合せから選択される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
請求項20から23のいずれか一項に記載される添加剤と、少なくとも1つの脂肪族ポリイソシアネート、及び、ポリオールの反応に由来し、かつ、ケイ素に結合した複数のアルコキシ基を含むアミノシランのアミノ基と少なくとも一部が反応させられるプレポリマーを含む少なくとも1つのベースプライマー組成物との反応によって調製される、組成物。
【請求項30】
前記第2の反応生成物が、トリオールと、MDIを含むジイソシアネートとの反応生成物である、請求項29に記載の組成物。
【請求項31】
前記プライマー組成物が、ジエチルマロネートをさらに含む、請求項29又は30に記載の組成物。
【請求項32】
前記ジエチルマロネートが、前記プライマー組成物の約2重量%までの量で存在する、請求項31に記載の組成物。
【請求項33】
前記プライマー組成物が、酸をさらに含む、請求項29から32のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項34】
前記酸が、リン酸である、請求項33に記載の組成物。
【請求項35】
前記酸が、前記プライマー組成物の約0.2重量%未満の量で存在する、請求項33又は34に記載の組成物。
【請求項36】
前記プライマー組成物において、i)前記ベースプライマーが約50重量%〜約65重量%の量で存在する;ii)前記接着促進剤が約2重量%〜約7重量%の量で存在する;iii)イソシアネート含有量が約1%を超える前記イソシアネート官能性プレポリマーが約30重量%〜約40重量%の量で存在する;iv)ジエチルマロネートが約0.1重量%〜約0.5重量%の量で存在する;v)酸が約0.01重量%〜約0.05重量%の量で存在する;又は、vi)前記i)〜前記vi)の任意の組合せである、請求項29から35のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項37】
前記酸が、リン酸である、請求項36に記載の組成物。
【請求項38】
前記プライマー組成物が、薄膜形成剤又は着色剤又はそれらの組合せを含む、請求項29から37のいずれか一項に記載の組成物。

【公表番号】特表2010−525146(P2010−525146A)
【公表日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−506347(P2010−506347)
【出願日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際出願番号】PCT/US2008/054509
【国際公開番号】WO2008/134112
【国際公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド (1,383)
【Fターム(参考)】