三次元造形物及びその製造方法
【課題】金型といった三次元造形物及びその三次元造形物の製造方法において、造形物の構造が簡易で、ヒータ発熱等の方法によらず溶融樹脂等の冷却プロセスにおける温度調節を可能とする。
【解決手段】三次元造形物の製造方法は、粉末材料2を供給して粉末層21を形成する粉末層形成工程と、粉末層21を焼結又は溶融させて硬化層22を形成する硬化層形成工程とを繰り返して硬化層22を積層一体化した三次元造形物5を造形するものであり、この造形物内部の熱伝導率に分布を持たせる。これにより、造形物(例えば金型)内部の熱伝導率を制御することにより、樹脂の冷却温度を最適化することができ、成形品の反り等の発生を抑制できる造形物(金型)が得られる。また、この方法により製造された金型は、その内部にダクトや流動路等を設けることなく、簡易な構造により金型内部の温度調節を可能とする。
【解決手段】三次元造形物の製造方法は、粉末材料2を供給して粉末層21を形成する粉末層形成工程と、粉末層21を焼結又は溶融させて硬化層22を形成する硬化層形成工程とを繰り返して硬化層22を積層一体化した三次元造形物5を造形するものであり、この造形物内部の熱伝導率に分布を持たせる。これにより、造形物(例えば金型)内部の熱伝導率を制御することにより、樹脂の冷却温度を最適化することができ、成形品の反り等の発生を抑制できる造形物(金型)が得られる。また、この方法により製造された金型は、その内部にダクトや流動路等を設けることなく、簡易な構造により金型内部の温度調節を可能とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉末材料に光ビームを照射して焼結又は溶融させて成る金型等の三次元造形物及びこの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、粉末層を形成する粉末層形成工程と、その粉末層に光ビームを照射して粉末層の所定箇所を焼結させて硬化層を形成する硬化層形成工程とを繰り返し、硬化層を積層させることにより三次元造形物を製造する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。この方法によれば、例えば、従来の切削加工では複数の部品を組み合わせる必要があった射出成形用の金型を一体的に造形することができる。
【0003】
ところで、金型を用いた射出成形においては、成形品が局所的な厚肉部を有する場合や、反りや光学ひずみが問題となるような成形品を成形する際には、金型内に注入された溶融樹脂等の冷却プロセスが成形品の品質に大きく影響する。例えば、樹脂成形品の射出成形においては、溶融させた樹脂(通常150〜300℃程度)を金型内に射出充填させた後、樹脂の熱が金型へ伝達されることによって樹脂は冷却されて硬化し、成形が完了する。
【0004】
しかし、樹脂成形品の厚肉部は、薄肉部に比べて熱がこもり易く樹脂が冷却され難い。そのため、金型自体の温度変化が一定であると、成形品の形状によっては樹脂全体の冷却速度が局所的に変化してしまい、これが成形品の反りやひずみの原因となる。そのため、高品質な成形品を得るためには、樹脂の冷却プロセスにおいて金型内の局所的な温度調節が必要になる。
【0005】
このような金型内の温度調節には、ヒータ発熱による昇温方法や、水や有機水溶液等の温度調節媒体を金型内に流動させる方法が用いられる。例えば、樹脂の熱がこもり易く冷却が遅い厚肉部を成形する金型部分には冷却媒体を流動させ、冷却が早い薄肉部を成形する金型部分にはヒータ加熱等が行われる。これにより、樹脂成形品全体としての冷却速度が均一化され、成形品の反りやひずみの発生を抑制することができる。上述した三次元造形物の製造方法は、ヒータ配設用のダクトや温度調節媒体の流動路を金型内に一体的に成形する上でも好適である。
【特許文献1】特許第2620353号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、金型内にダクトや流動路を設けると、金型内部の構造が複雑化するので、金型設計が容易ではなく、しかも造形できる金型の自由度が制限される。また、金型の設計試作及び成形試作等を繰り返すことによるトライアンドエラーが多くなる。そうなると、要求される品質を満たす成形品を得るまでの成形品開発のリードタイムが長くなる。また、上述した温度調節方法によれば、ヒータ発熱、温度調節媒体の加熱又は冷却や、温度調節媒体の流動のためには電力等の多くのエネルギーを消費するので、省エネの観点からも好ましくない。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するものであり、簡易な構造で、しかもヒータ発熱等の方法によらず溶融樹脂等の冷却プロセスにおける温度調節を可能とする金型のような三次元造形物及びその三次元造形物の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、粉末材料を供給して粉末層を形成する粉末層形成工程と、前記粉末層の所定箇所に光ビームを照射して該粉末層を焼結又は溶融させて硬化層を形成する硬化層形成工程とを繰り返すことにより前記硬化層又は粉末層を積層一体化して三次元造形物を造形する三次元造形物の製造方法において、一体造形された三次元造形物内部の熱伝導率に分布を持たせるものである。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1に記載の三次元造形物の製造方法であって、前記硬化層形成工程において、前記硬化層の硬化密度を制御することにより三次元造形物内部の熱伝導率に分布を持たせるものである。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の三次元造形物の製造方法であって、前記硬化層形成工程において、未焼結部分又は未溶融部分を設けることにより三次元造形物内部の熱伝導率に分布を持たせるものである。
【0011】
請求項4の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の三次元造形物の製造方法であって、空洞部を設けることにより三次元造形物内部の熱伝導率に分布を持たせるものである。
【0012】
請求項5の発明は、請求項4に記載の三次元造形物の製造方法において、前記空洞部に前記粉末材料とは熱伝導率が異なる材料が充填されるものである。
【0013】
請求項6の発明は、請求項1に記載の三次元造形物の製造方法であって、前記粉末層形成工程において、前記粉末材料の材質及びその配合を制御することにより三次元造形物内部の熱伝導率に分布を持たせるものである。
【0014】
請求項7の発明は、請求項1乃至請求項3又は請求項6のいずれか一項に記載の三次元造形物の製造方法において、熱伝導率が高い高熱伝導率部がセル構造に形成されると共に、該セル構造の高熱伝導率部内に、熱伝導率が低い低熱伝導率部が形成されるものである。
【0015】
請求項8の発明は、請求項6に記載の三次元造形物の製造方法において、熱伝導率が低い低熱伝導率部がセル構造に形成されると共に、該セル構造の低熱伝導率部内に、熱伝導率が高い高熱伝導率部が形成されるものである。
【0016】
請求項9の発明は、請求項1乃至請求項3又は請求項6乃至請求項8のいずれか一項に記載の三次元造形物の製造方法において、一体造形された三次元造形物内部の熱伝導率を傾斜的に変化させるものである。
【0017】
請求項10の発明は、請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載の三次元造形物の製造方法により製造される三次元造形物である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、造形物(例えば金型)内部の硬化密度を変化させて熱伝導率を制御することにより、樹脂の冷却温度を最適化することができ、成形品の反り等の発生を抑制できる造形物(金型)が得られる。また、この方法によれば、金型内にダクトや流動路等を設けることなく、簡易な構造により金型内部の温度調節が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の第1の実施形態に係る三次元造形物の製造方法(以下、造形物製造方法という)について図面を参照して説明する。図1は本実施形態の製造方法に用いられる金属光造形加工機(以下、光造形機1という)の構成を示し、図2(a)〜(c)は光造型機1の動作を示す。光造形機1は、粉末材料2(例えば、平均粒径20μmの球形の鉄粉等)を供給して粉末層21を形成する粉末層形成部3と、粉末層21の所定箇所に光ビームL1を照射して粉末層21を焼結又は溶融させて硬化層22を形成する硬化層形成部4と、硬化層22が積属されて成る三次元造形物(以下、造形物5という)を切削する切削除去部6とを備える。
【0020】
粉末層形成部3は、粉末材料2の粉末層21が上面に敷かれる造形用プレート(以下、プレート31という(図2参照))と、プレート31を保持し上下に昇降させる昇降テーブル32(基板載置用テーブル(図2参照))と、プレート31と昇降テーブル32とを収容する造形タンク33とを有する。更に、粉末層形成部3は、粉末材料2を貯蔵しておりその粉末材料2をせり上げる粉末タンク34と、そのせり上げられた粉末材料2をプレート31上に敷いて粉末層21を形成する粉末供給プレート35とを有している。プレート31は、例えばS55C等の炭素鋼等で形成される。
【0021】
硬化層形成部4は、光ビームL1を出射する光ビーム発振器41と、その出射された光ビームL1を集光する集光レンズ42と、その集光された光ビームL1を粉末層21の上に走査するガルバノミラー43とを備える。光ビームL1には、例えば炭酸ガス光ビーム又はNd−YAG光ビーム等が用いられ、その出力は、例えば略500Wとされる。切削除去部6は、造形物5を切削する切削工具61と、切削工具61を保持するミーリングヘッド62と、ミーリングヘッド62を移動させるXY駆動機構63とを備える。
【0022】
また、光造形機1は、各部の動作を制御する制御部(図示せず)を備える。この制御部は、造形物5の三次元CADデータに基づき、光ビームL1による照射経路、及び切削工具61の工具経路を制御する。照射経路は、造形物5の三次元CADデータから予め生成されたSTL(Stereo Lithography)を、例えば略0.05mmの等ピッチでスライスして得た各断面の輪郭形状データに基づいて設定される。また、照射経路は、造形物5の最表面が気孔率5%以下の高密度となるように設定されることが望ましい。
【0023】
次に、光造形機1の造形動作を説明する。まず、図2(a)に示すように、昇降テーブル32が下降した後、粉末供給プレート35はプレート31の面方向に移動して、粉末材料2をプレート31の上に供給してならす。このようにして、粉末層21が形成される。次に、ガルバノミラー43(図1参照)のミラー面の向きが制御され、図2(b)に示すように、光ビームL1が粉末層21の所定の箇所に走査されて粉末材料2が焼結され、これにより硬化層22が形成される。
【0024】
そして、上述した図2(a)に示される粉末層形成工程と図2(b)に示される硬化層形成工程とが繰り返され、これにより硬化層22が積層される。硬化層22の積層は、層数が所定回数になるまで繰り返される。硬化層22の層数が所定回数になると、図2(c)に示すように、XY駆動機構63(図1参照)がミーリングヘッド62を移動させ、切削工具61により造形物5の表面の不要部分を除去し、造形物5の表面を滑らかにする。その後、光造形機1の造形動作は図2(a)に示す工程に戻る。こうして、造形が終了するまで硬化層22の形成と造形物5の表面の不要部分の除去とが繰り返される。なお、本実施形態において、図2(c)に示す切削加工は必須の工程ではない。
【0025】
ここに一体造形された造形物5は、その内部において熱伝導率に分布を持たせるよう造形される。そして、本実施形態において、造形物内部の熱伝導率に分布を持たせる方法として、造形物内部における硬化密度を変化させる。具体的には、図3に示されるように、造形物5(金型)の内部において硬化密度の高い高密度部22a又は硬化密度の低い低密度部22bが設けられる。なお、「内部」とは、樹脂等が充填される金型等の内部空間ではなく、粉末層21の焼結又は溶融により形成された硬化物自体の内部構造をいう。
【0026】
粉末層21を光ビーム等により焼結又は溶融させた硬化層22を積層して造形された造形物5は、光ビーム等の照射エネルギーを制御することで、造形物内部に硬化密度の異なる(未焼結又は未溶融を含む)構造を造形することができる。例えば、高エネルギーの光ビーム等で焼結又は溶融された硬化層22は、構成材料が十分に固化されて、図4(a)に示されるように、その切断断面はクラックが無い滑らかな状態となる。一方、低エネルギーの光ビーム等で焼結又は溶融された硬化層22は、構成材料が十分に固化されず、図4(b)に示されるように、その切断断面は多数の気孔が生じた状態となる。
【0027】
図5は、硬化密度と熱伝導率との関係を示す。高密度部は、構成材料が密に結合しているため熱伝導性が高くなる。一方、低密度部は気孔により構成材料が部分的に分離しているので、熱伝導率が低くなる。すなわち、光ビーム等の照射エネルギーを制御して、造形物内部の硬化密度を局所的に変化させることにより、造形物内部における熱伝導率に任意の分布を持たせることが可能となる。なお、硬化密度が50%以下であるものは、実質的にはほとんど硬化されていない粉末状態である。
【0028】
従来の鋼材等を用いた金型では、金型内部の熱伝導率が一定であるため、樹脂のゲート近傍部と末端部とでは、樹脂の温度が局所的に変化して、これが成形品の反り等の製品不良を生じる原因となっていた。これに対して、図3に示したように、例えば、造形物5の主構造、及び樹脂のゲート近傍5Aの金型内部に冷却効率の高い高密度部22a(高熱伝導率部)を形成し、末端部5Bの金型内部に冷却効率の低い低密度部22b(低熱伝導率部)を形成することにより、成形品を構成する樹脂全体としての温度を均一化することができる。すなわち、本実施形態の製造方法によれば、造形物5(金型)内部の硬化密度を変化させて熱伝導率を制御することにより、樹脂の冷却温度を最適化することができ、成形品の反り等の発生を抑制できる造形物(金型)が得られる。また、この方法によれば、金型内にダクトや流動路等を設けることなく、簡易な構造により金型内部の温度調節が可能になる。
【0029】
ここで、造形物5(金型)内部における高熱伝導率部(高密度部22a)及び低熱伝導率部(低密度部22b)の好適な形成箇所について、図6を参照して説明する。例えば、金型内に樹脂を注入するためのゲート近傍5Aは低熱伝導率部(低密度部22b)とすることが望ましい。通常、この領域の樹脂は、成形品の肉厚と比較して薄くて小さいため、すぐに冷却されて固まる。また、ゲート近傍5Aで樹脂が固まって樹脂の流動性が低下すると、金型末端部5Bの方まで樹脂を充填するために射出圧力を高く設定する必要がある。更に、ゲート近傍5Aで樹脂が固まりきってしまうと、樹脂は流れ込まなくなるので、樹脂の未充填不良や、成形品冷却中に発生する収縮による「ヒケ」等が発生しやすくなる。そのため、ゲート近傍5Aは、樹脂の冷却速度が遅くなるような温度調節が望まれる。
【0030】
また、成形品意匠部5Cも低熱伝導率部(低密度部22b)とすることが望ましい。この領域の熱伝導率を低下させると、流入された溶融樹脂が合流して融着した部分にできる線状の不良、いわゆる「ウエルドライン」の発生を抑制することができる。なお、成形品の表裏面において、例えば、ヒケを発生させたくない表面側を早く冷却固化させ、その反対側は熱伝導率を下げて冷却固化を遅らせると、冷却が遅いほうに裏面側にヒケが生じるが、表面側のヒケを抑制することができる。一方、スプル部5Dやランナ部5Eは、樹脂が厚肉となり易いので、冷却され難い。従って、冷却速度を速めて成形サイクルを向上させるため、これらの近傍は高熱伝導率部(高密度部22a)とすることが望ましい。
【0031】
上述した低密度部22bには、造形物内部に未焼結部分又は未溶融部分が設けられる場合も含む。この場合、いわゆる低密度部22bは粉末材料2が粉末のまま存在する。粉末状態の材料は、粉末間の隙間が多くなるので、上記図5に示したように、金属であるにも拘わらず熱伝導率は極めて低い。そのため、造形物内部に未焼結部分又は未溶融部分を設ける方法は、金型内部において特に熱伝導率を低くしたい部分を成形する上で好適である。
【0032】
また、硬化層5を積層一体化させるときに、硬化層22(高密度部22a)の形成するときに、空洞部23が設けられることにしてもよい。図7(a)〜(d)は空洞部23を形成する動作手順を示す。まず、空洞部23の底面となる硬化層が形成された後に、空洞部23の壁面を構成する層(壁面層)が積層される(図7(a))。壁面層は上層へ向かうほど空洞部23の内方へ張り出すように積層され(図7(b))、空洞部23が閉じられる直前の層で、内部の粉末材料2が吸引ノズル7等により吸引除去される(図7(c))。そして、粉末材料2の除去後、空洞部23を閉じるように上層に硬化層が形成される(図7(d))。ここでいう硬化層は高密度部22aを指す。すなわち、空洞部23は、造形物内部に高密度部22aによって囲まれて成る空間である。
【0033】
これら空洞部23を形成する工程は、好ましくは窒素ガスが充填されたチャンバ内で行われ、上記空洞部23には窒素ガスが充填される。窒素ガスのような気体は、一般に粉末材料を構成する鉄等の金属に比べて熱伝導率が遙かに低い。そのため、硬化層5を積層一体化させるときに、空洞部23を設ければ、未焼結部分又は未溶融部分が設けられるよりも、造形物内部の熱伝導率をより低くすることができる。なお、図7(a)〜(d)に示す工程は、真空チャンバ内で行われることがより好ましい。そうすれば、当該部分の熱伝導率を更に低くすることができる。
【0034】
また、上記空洞部23には、粉末材料2とは熱伝導率が異なる材料、つまり、粉末材料2よりも熱伝導率が高い高熱伝導率材料又は熱伝導率が低い低熱伝導率材料が充填されてもよい。この充填工程は、例えば、上述した図7(c)及び図7(d)に示した工程の間に行われる。こうすれば、充填される材料を適宜に選択することにより、当該部分の熱伝導率を任意に設定することができる。
【0035】
更に、図8に示すように、複数の空洞部23が、積層方向又は平面方向にマトリック状に形成されてもよい。この構成は、高密度部22a(高熱伝導率部)がセル構造に形成すると共に、これらセル構造の高密度部22a内に低密度部22b(低熱伝導率部)を形成するものである。なお、ここでいう低密度部22bには、未焼結部分、未溶融部分、低熱伝導率材料が充填された空洞部23を含む。通常、低密度部22bは、高密度部22aに比べて構造的な強度が低い。そのため、造形物内部における低密度部22bが占める体積が大きくなると、造形物自体の強度低下を招く。これに対して、上述したように、高強度の高密度部22aをセル構造に形成しておき、該セル構造の高密度部22a内に低密度部22bを形成すれば、造形物5の強度を確保した上で、造形物内に低熱伝導率部を形成することができる。
【0036】
なお、高密度部22a(高熱伝導率部)をセル構造とし、そのセル構造の中に低密度部22b(低熱伝導率部)を形成する場合、図9に示されるように、低密度部22bを高密度部22aの中で小さな球体となるように配置してもよい。こうすれば、各セルの壁面層が内方へ張り出すオーバーハングを小さくすることができるので、低密度部22bが未焼結又は未溶融の粉末状態であっても、内方へ張り出した硬化層が崩れ難く、造形を容易にすることができる。
【0037】
高密度部22a及び低密度部22bを形成する方法は、上述したような光ビーム等の照射エネルギーを適宜に制御することに限られない。ここでは、その変形例について、図10(a)〜(d)を参照して説明する。この変形例は、まず、プレート31上の1層目の硬化層22全体が高密度部22aに形成される(図10(a))。高密度部22aは、粉末層21に、粉末材料を高密度に焼結する照射条件の光ビームL1を照射して成る。このときの光ビームL1の集光径は、例えば略0.5mmとする。その後、低密度部22bを設けたい所定部分に多数の小孔22cを開ける(図10(b))。つまり、多数の小孔22cが形成された領域が低密度部22bとなる。小孔22cの形成は、高密度部22aの形成時よりも、照射部分の単位面積あたりの照射エネルギーを高める光ビームL2により行われる。照射エネルギーを高めるため、例えば、集光径が絞られて略0.1mm以下とされ、又はパワーが略300W以上とされ、若しくは光ビームがQ−SW光ビーム等の高エネルギーのパルス光ビームとされる。
【0038】
1層目に高密度部22a及び低密度部22bが形成された後、高密度部22aから成る硬化層22が積層形成される(図10(c))。そして、その硬化層22に、下層の小孔22cの位置に合わせて小孔22cが形成され、その部分が低密度部22bに形成される(図10(d))。上述した高密度部22a及び低密度部22bの形成工程が繰り返されて造形物5が造形される。小孔22cは、光ビームL1により形成するのではなく、微小径ドリル(図示せず)で孔を開けて形成してもよい。この場合、微小径ドリルの直径は0.1mm以下であることが望ましい。また、微小径ドリルとしては、開き角が略120度のものより先端が尖がったドリルを用いることが望ましい。微小径ドリルは、光造形機1の制御部により制御される。微小径ドリルは、切削工具61と同一に構成されていてもよい。
【0039】
また、切削除去部6は、切削工具61、ミーリングヘッド62、及びXY駆動機構63を備えた汎用の数値制御(NC:numerical Control)工作機械等で構成されることが望ましく、特に、切削工具61を自動交換可能なマシニングセンタであることが望ましい。切削工具61としては、例えば超硬素材で形成された二枚刃ボールエンドミルが主に用いられ、加工形状又は目的に応じてスクェアエンドミル、ラジアスエンドミル又はドリル等が使用される。
【0040】
更に別の変形例として、プレート31上の1層日の硬化層22全体を、硬化密度が低い低密度部22bとして形成しておき、低密度部22bの形成後、硬化層22の所定部分に光ビームを再照射して、硬化密度が高い高密度部22aを形成してもよい。このときの光ビームの照射条件は、低密度部22bの形成時と同じであっても、異なっていてもよい。また、光ビームL1の照射回数は、1回であっても、複数回であってもよい。
【0041】
また、光ビームL1を受けて消失する物質(図示せず)を、低密度部22bを設けたい所定の部位のみに供給しておき、粉末層21全体へ光ビームを照射して、その物質を消失させることにより、高密度部22aと低密度部22bとを選択的に形成することもできる。この光ビームL1を受けて消失する物質は、例えば、カーボンファイバ等、略ファイバー状の物質である。なお、光ビームの照射条件は、例えは、上述した実施形態における高密度部22a形成時と同じでよい。
【0042】
次に、本発明の第2の実施形態に係る三次元造形物の製造方法を説明する。本実施形態の三次元造形物の製造方法は、上述した粉末層形成工程において、粉末材料2の材質及びその配合を制御することにより三次元造形物内部の熱伝導率に分布を持たせるものである。例えば、高熱伝導率としたい部分には、銅、銅合金、アルミ又はカーボン等といった熱伝導率の高い材料を粉末材料2として供給する。これら熱伝導率の低い材料は、通常の造形用の粉末材料である鉄粉に混合されて用いられてもよいし、また、熱伝導率の異なる複数種の材料が混合されてもよい。また、低熱伝導率としたい部分には、セラミック、樹脂粉末又はエポキシ樹脂等といった熱伝導率の低い材料を粉末材料2として供給する。
【0043】
なお、上述した第1の実施形態においては、粉末層形成工程として、粉末供給プレート35を平面方向に移動させる、いわゆるスキージングによる材料供給方法を示したが、本実施形態の三次元造形物の製造方法においては、プレート31上に直接的に粉末材料2を供給できる個別の材料供給機構を備える。この材料供給機構としては、例えば、粉末材料2が充填されたカートリッジ(図示せず)を、切削除去部6に取付け可能とするものが挙げられる。
【0044】
本実施形態の三次元造形物の製造方法によれば、上述した第1の実施形態とは異なる方法で三次元造形物内部の熱伝導率に分布を持たせることができる。また、粉末材料を適宜に選択することにより、高密度部及び低密度部を形成する方法以上に、造形物内部における熱伝導率の分布差を大きくすることができる。
【0045】
本実施形態の製造方法においては、熱伝導率が低い低熱伝導率部をセル構造に形成しておき、該セル構造の低熱伝導率部内に熱伝導率が高い高熱伝導率部を形成することもできる。すなわち、本実施形態においては、低熱伝導率部及び高熱伝導率部のいずれもが、焼結又は溶融によって十分に固化しているので、造形物の強度低下を招くことなく造形物内の熱伝導率に分布を持たせることが可能になる。
【0046】
また、本実施形態の製造方法において、粉末層形成工程において供給される粉末を、熱伝導率が低い材料から高い材料へ、又は高い材料から低い材料へ漸増又は漸減させることにより、一体造形された造形物内部の熱伝導率を傾斜的に変化させることもできる。造形物内部の熱伝導率を傾斜的に変化させて形成した造形物5(金型)の側断面の構成例を図11(a)(b)に示す。同図の矢印は、低熱伝導率領域から高熱同率領域への熱伝導率の漸増方向を示す。図11(a)の例は、成形品意匠部5Cの近傍が最も熱伝導率が低く、その周囲へ放射状に熱伝導率が漸増するように形成されている。また、図11(b)の例は、樹脂等が流入される上流側から下流側の領域へ、熱伝導率が漸増するように形成されている。
【0047】
高熱伝導率部と低熱伝導率部との界面は、温度差が大きくなるので、熱応力によるクラック等が生じやすくなる。このようなクラック等は造形物の強度を低下させる原因となりかねない。しかし、造形物内部の熱伝導率を傾斜的に変化させれば、そのような界面における温度差が少なくなるので、クラック等の発生を抑制することができる。なお、一体造形された造形物内部の熱伝導率を傾斜的に変化させることは、上述した第1の実施形態の製造方法でも実現することができる。
【0048】
本発明は、上述した第1又は第2の実施形態に示す製造方法に限定されるものでなく、様々な変形が可能である。例えば、第1及び第2の実施形態に示す製造方法が組み合わされてもよい。すなわち、造形物内の熱伝導率に分布を持たせる方法として、光ビームの照射エネルギーを制御して、硬化層22の硬化密度を変化させると共に、粉末層21に供給される粉末材料2として、熱伝導率の異なる複数の材料が適宜に供給されるようにしてもよい。また、例えば、セル構造の高密度部22aを形成しておいて、そのセル構造の内部において熱伝導率が漸増又は漸減するように、上記セル内に熱伝導率の異なる所定の材料を充填してもよい。なお、本発明は、上述したように、造形物内の熱伝導率に分布を持たせることにより造形物5の温度調節を可能としたものであるが、例えば、造形物内に冷却管等を形成してもよく、これらが組み合わせて用いられることにより、より効果的な温度調節が実現され得る。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る三次元造形物の製造方法に用いられる金属光造形加工機の斜視図。
【図2】(a)〜(c)は上記加工機による造形物の製造手順を説明する一部側断面図。
【図3】上記加工機によって造形される三次元造形物の一例を示す側断面図。
【図4】(a)は高密度部の切断面の写真を示す図、(b)は高密度部の切断面の写真を示す図。
【図5】硬化密度と熱伝導率との関係を示す図。
【図6】上記加工機によって造形される三次元造形物の他の例を示す側断面図。
【図7】(a)〜(d)は三次元造形物内部に空洞部を形成する工程を説明するための側断面図。
【図8】高密度部又は低密度部がセル構造に形成された三次元造形物の一部断面斜視図。
【図9】高密度部内に球体状の低密度部が形成された三次元造形物の側断面図。
【図10】(a)〜(d)は本発明の第1の実施形態に係る金属光造形加工機の斜視図。三次元造形物内部に熱伝導率の文武を持たせる他の方法を説明するための側断面図。
【図11】(a)(b)は本発明の第2の実施形態に係る三次元造形物の製造方法より造形された三次元造形物の側断面図。
【符号の説明】
【0050】
1 金属光造形加工機
2 粉末材料
21 粉末層
22 硬化層
22a 高密度部(高熱伝導率部)
22b 低密度部(低熱伝導率部)
23 空洞部
3 粉末層形成部
4 硬化層形成部
5 三次元造形物
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉末材料に光ビームを照射して焼結又は溶融させて成る金型等の三次元造形物及びこの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、粉末層を形成する粉末層形成工程と、その粉末層に光ビームを照射して粉末層の所定箇所を焼結させて硬化層を形成する硬化層形成工程とを繰り返し、硬化層を積層させることにより三次元造形物を製造する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。この方法によれば、例えば、従来の切削加工では複数の部品を組み合わせる必要があった射出成形用の金型を一体的に造形することができる。
【0003】
ところで、金型を用いた射出成形においては、成形品が局所的な厚肉部を有する場合や、反りや光学ひずみが問題となるような成形品を成形する際には、金型内に注入された溶融樹脂等の冷却プロセスが成形品の品質に大きく影響する。例えば、樹脂成形品の射出成形においては、溶融させた樹脂(通常150〜300℃程度)を金型内に射出充填させた後、樹脂の熱が金型へ伝達されることによって樹脂は冷却されて硬化し、成形が完了する。
【0004】
しかし、樹脂成形品の厚肉部は、薄肉部に比べて熱がこもり易く樹脂が冷却され難い。そのため、金型自体の温度変化が一定であると、成形品の形状によっては樹脂全体の冷却速度が局所的に変化してしまい、これが成形品の反りやひずみの原因となる。そのため、高品質な成形品を得るためには、樹脂の冷却プロセスにおいて金型内の局所的な温度調節が必要になる。
【0005】
このような金型内の温度調節には、ヒータ発熱による昇温方法や、水や有機水溶液等の温度調節媒体を金型内に流動させる方法が用いられる。例えば、樹脂の熱がこもり易く冷却が遅い厚肉部を成形する金型部分には冷却媒体を流動させ、冷却が早い薄肉部を成形する金型部分にはヒータ加熱等が行われる。これにより、樹脂成形品全体としての冷却速度が均一化され、成形品の反りやひずみの発生を抑制することができる。上述した三次元造形物の製造方法は、ヒータ配設用のダクトや温度調節媒体の流動路を金型内に一体的に成形する上でも好適である。
【特許文献1】特許第2620353号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、金型内にダクトや流動路を設けると、金型内部の構造が複雑化するので、金型設計が容易ではなく、しかも造形できる金型の自由度が制限される。また、金型の設計試作及び成形試作等を繰り返すことによるトライアンドエラーが多くなる。そうなると、要求される品質を満たす成形品を得るまでの成形品開発のリードタイムが長くなる。また、上述した温度調節方法によれば、ヒータ発熱、温度調節媒体の加熱又は冷却や、温度調節媒体の流動のためには電力等の多くのエネルギーを消費するので、省エネの観点からも好ましくない。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するものであり、簡易な構造で、しかもヒータ発熱等の方法によらず溶融樹脂等の冷却プロセスにおける温度調節を可能とする金型のような三次元造形物及びその三次元造形物の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、粉末材料を供給して粉末層を形成する粉末層形成工程と、前記粉末層の所定箇所に光ビームを照射して該粉末層を焼結又は溶融させて硬化層を形成する硬化層形成工程とを繰り返すことにより前記硬化層又は粉末層を積層一体化して三次元造形物を造形する三次元造形物の製造方法において、一体造形された三次元造形物内部の熱伝導率に分布を持たせるものである。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1に記載の三次元造形物の製造方法であって、前記硬化層形成工程において、前記硬化層の硬化密度を制御することにより三次元造形物内部の熱伝導率に分布を持たせるものである。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の三次元造形物の製造方法であって、前記硬化層形成工程において、未焼結部分又は未溶融部分を設けることにより三次元造形物内部の熱伝導率に分布を持たせるものである。
【0011】
請求項4の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の三次元造形物の製造方法であって、空洞部を設けることにより三次元造形物内部の熱伝導率に分布を持たせるものである。
【0012】
請求項5の発明は、請求項4に記載の三次元造形物の製造方法において、前記空洞部に前記粉末材料とは熱伝導率が異なる材料が充填されるものである。
【0013】
請求項6の発明は、請求項1に記載の三次元造形物の製造方法であって、前記粉末層形成工程において、前記粉末材料の材質及びその配合を制御することにより三次元造形物内部の熱伝導率に分布を持たせるものである。
【0014】
請求項7の発明は、請求項1乃至請求項3又は請求項6のいずれか一項に記載の三次元造形物の製造方法において、熱伝導率が高い高熱伝導率部がセル構造に形成されると共に、該セル構造の高熱伝導率部内に、熱伝導率が低い低熱伝導率部が形成されるものである。
【0015】
請求項8の発明は、請求項6に記載の三次元造形物の製造方法において、熱伝導率が低い低熱伝導率部がセル構造に形成されると共に、該セル構造の低熱伝導率部内に、熱伝導率が高い高熱伝導率部が形成されるものである。
【0016】
請求項9の発明は、請求項1乃至請求項3又は請求項6乃至請求項8のいずれか一項に記載の三次元造形物の製造方法において、一体造形された三次元造形物内部の熱伝導率を傾斜的に変化させるものである。
【0017】
請求項10の発明は、請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載の三次元造形物の製造方法により製造される三次元造形物である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、造形物(例えば金型)内部の硬化密度を変化させて熱伝導率を制御することにより、樹脂の冷却温度を最適化することができ、成形品の反り等の発生を抑制できる造形物(金型)が得られる。また、この方法によれば、金型内にダクトや流動路等を設けることなく、簡易な構造により金型内部の温度調節が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の第1の実施形態に係る三次元造形物の製造方法(以下、造形物製造方法という)について図面を参照して説明する。図1は本実施形態の製造方法に用いられる金属光造形加工機(以下、光造形機1という)の構成を示し、図2(a)〜(c)は光造型機1の動作を示す。光造形機1は、粉末材料2(例えば、平均粒径20μmの球形の鉄粉等)を供給して粉末層21を形成する粉末層形成部3と、粉末層21の所定箇所に光ビームL1を照射して粉末層21を焼結又は溶融させて硬化層22を形成する硬化層形成部4と、硬化層22が積属されて成る三次元造形物(以下、造形物5という)を切削する切削除去部6とを備える。
【0020】
粉末層形成部3は、粉末材料2の粉末層21が上面に敷かれる造形用プレート(以下、プレート31という(図2参照))と、プレート31を保持し上下に昇降させる昇降テーブル32(基板載置用テーブル(図2参照))と、プレート31と昇降テーブル32とを収容する造形タンク33とを有する。更に、粉末層形成部3は、粉末材料2を貯蔵しておりその粉末材料2をせり上げる粉末タンク34と、そのせり上げられた粉末材料2をプレート31上に敷いて粉末層21を形成する粉末供給プレート35とを有している。プレート31は、例えばS55C等の炭素鋼等で形成される。
【0021】
硬化層形成部4は、光ビームL1を出射する光ビーム発振器41と、その出射された光ビームL1を集光する集光レンズ42と、その集光された光ビームL1を粉末層21の上に走査するガルバノミラー43とを備える。光ビームL1には、例えば炭酸ガス光ビーム又はNd−YAG光ビーム等が用いられ、その出力は、例えば略500Wとされる。切削除去部6は、造形物5を切削する切削工具61と、切削工具61を保持するミーリングヘッド62と、ミーリングヘッド62を移動させるXY駆動機構63とを備える。
【0022】
また、光造形機1は、各部の動作を制御する制御部(図示せず)を備える。この制御部は、造形物5の三次元CADデータに基づき、光ビームL1による照射経路、及び切削工具61の工具経路を制御する。照射経路は、造形物5の三次元CADデータから予め生成されたSTL(Stereo Lithography)を、例えば略0.05mmの等ピッチでスライスして得た各断面の輪郭形状データに基づいて設定される。また、照射経路は、造形物5の最表面が気孔率5%以下の高密度となるように設定されることが望ましい。
【0023】
次に、光造形機1の造形動作を説明する。まず、図2(a)に示すように、昇降テーブル32が下降した後、粉末供給プレート35はプレート31の面方向に移動して、粉末材料2をプレート31の上に供給してならす。このようにして、粉末層21が形成される。次に、ガルバノミラー43(図1参照)のミラー面の向きが制御され、図2(b)に示すように、光ビームL1が粉末層21の所定の箇所に走査されて粉末材料2が焼結され、これにより硬化層22が形成される。
【0024】
そして、上述した図2(a)に示される粉末層形成工程と図2(b)に示される硬化層形成工程とが繰り返され、これにより硬化層22が積層される。硬化層22の積層は、層数が所定回数になるまで繰り返される。硬化層22の層数が所定回数になると、図2(c)に示すように、XY駆動機構63(図1参照)がミーリングヘッド62を移動させ、切削工具61により造形物5の表面の不要部分を除去し、造形物5の表面を滑らかにする。その後、光造形機1の造形動作は図2(a)に示す工程に戻る。こうして、造形が終了するまで硬化層22の形成と造形物5の表面の不要部分の除去とが繰り返される。なお、本実施形態において、図2(c)に示す切削加工は必須の工程ではない。
【0025】
ここに一体造形された造形物5は、その内部において熱伝導率に分布を持たせるよう造形される。そして、本実施形態において、造形物内部の熱伝導率に分布を持たせる方法として、造形物内部における硬化密度を変化させる。具体的には、図3に示されるように、造形物5(金型)の内部において硬化密度の高い高密度部22a又は硬化密度の低い低密度部22bが設けられる。なお、「内部」とは、樹脂等が充填される金型等の内部空間ではなく、粉末層21の焼結又は溶融により形成された硬化物自体の内部構造をいう。
【0026】
粉末層21を光ビーム等により焼結又は溶融させた硬化層22を積層して造形された造形物5は、光ビーム等の照射エネルギーを制御することで、造形物内部に硬化密度の異なる(未焼結又は未溶融を含む)構造を造形することができる。例えば、高エネルギーの光ビーム等で焼結又は溶融された硬化層22は、構成材料が十分に固化されて、図4(a)に示されるように、その切断断面はクラックが無い滑らかな状態となる。一方、低エネルギーの光ビーム等で焼結又は溶融された硬化層22は、構成材料が十分に固化されず、図4(b)に示されるように、その切断断面は多数の気孔が生じた状態となる。
【0027】
図5は、硬化密度と熱伝導率との関係を示す。高密度部は、構成材料が密に結合しているため熱伝導性が高くなる。一方、低密度部は気孔により構成材料が部分的に分離しているので、熱伝導率が低くなる。すなわち、光ビーム等の照射エネルギーを制御して、造形物内部の硬化密度を局所的に変化させることにより、造形物内部における熱伝導率に任意の分布を持たせることが可能となる。なお、硬化密度が50%以下であるものは、実質的にはほとんど硬化されていない粉末状態である。
【0028】
従来の鋼材等を用いた金型では、金型内部の熱伝導率が一定であるため、樹脂のゲート近傍部と末端部とでは、樹脂の温度が局所的に変化して、これが成形品の反り等の製品不良を生じる原因となっていた。これに対して、図3に示したように、例えば、造形物5の主構造、及び樹脂のゲート近傍5Aの金型内部に冷却効率の高い高密度部22a(高熱伝導率部)を形成し、末端部5Bの金型内部に冷却効率の低い低密度部22b(低熱伝導率部)を形成することにより、成形品を構成する樹脂全体としての温度を均一化することができる。すなわち、本実施形態の製造方法によれば、造形物5(金型)内部の硬化密度を変化させて熱伝導率を制御することにより、樹脂の冷却温度を最適化することができ、成形品の反り等の発生を抑制できる造形物(金型)が得られる。また、この方法によれば、金型内にダクトや流動路等を設けることなく、簡易な構造により金型内部の温度調節が可能になる。
【0029】
ここで、造形物5(金型)内部における高熱伝導率部(高密度部22a)及び低熱伝導率部(低密度部22b)の好適な形成箇所について、図6を参照して説明する。例えば、金型内に樹脂を注入するためのゲート近傍5Aは低熱伝導率部(低密度部22b)とすることが望ましい。通常、この領域の樹脂は、成形品の肉厚と比較して薄くて小さいため、すぐに冷却されて固まる。また、ゲート近傍5Aで樹脂が固まって樹脂の流動性が低下すると、金型末端部5Bの方まで樹脂を充填するために射出圧力を高く設定する必要がある。更に、ゲート近傍5Aで樹脂が固まりきってしまうと、樹脂は流れ込まなくなるので、樹脂の未充填不良や、成形品冷却中に発生する収縮による「ヒケ」等が発生しやすくなる。そのため、ゲート近傍5Aは、樹脂の冷却速度が遅くなるような温度調節が望まれる。
【0030】
また、成形品意匠部5Cも低熱伝導率部(低密度部22b)とすることが望ましい。この領域の熱伝導率を低下させると、流入された溶融樹脂が合流して融着した部分にできる線状の不良、いわゆる「ウエルドライン」の発生を抑制することができる。なお、成形品の表裏面において、例えば、ヒケを発生させたくない表面側を早く冷却固化させ、その反対側は熱伝導率を下げて冷却固化を遅らせると、冷却が遅いほうに裏面側にヒケが生じるが、表面側のヒケを抑制することができる。一方、スプル部5Dやランナ部5Eは、樹脂が厚肉となり易いので、冷却され難い。従って、冷却速度を速めて成形サイクルを向上させるため、これらの近傍は高熱伝導率部(高密度部22a)とすることが望ましい。
【0031】
上述した低密度部22bには、造形物内部に未焼結部分又は未溶融部分が設けられる場合も含む。この場合、いわゆる低密度部22bは粉末材料2が粉末のまま存在する。粉末状態の材料は、粉末間の隙間が多くなるので、上記図5に示したように、金属であるにも拘わらず熱伝導率は極めて低い。そのため、造形物内部に未焼結部分又は未溶融部分を設ける方法は、金型内部において特に熱伝導率を低くしたい部分を成形する上で好適である。
【0032】
また、硬化層5を積層一体化させるときに、硬化層22(高密度部22a)の形成するときに、空洞部23が設けられることにしてもよい。図7(a)〜(d)は空洞部23を形成する動作手順を示す。まず、空洞部23の底面となる硬化層が形成された後に、空洞部23の壁面を構成する層(壁面層)が積層される(図7(a))。壁面層は上層へ向かうほど空洞部23の内方へ張り出すように積層され(図7(b))、空洞部23が閉じられる直前の層で、内部の粉末材料2が吸引ノズル7等により吸引除去される(図7(c))。そして、粉末材料2の除去後、空洞部23を閉じるように上層に硬化層が形成される(図7(d))。ここでいう硬化層は高密度部22aを指す。すなわち、空洞部23は、造形物内部に高密度部22aによって囲まれて成る空間である。
【0033】
これら空洞部23を形成する工程は、好ましくは窒素ガスが充填されたチャンバ内で行われ、上記空洞部23には窒素ガスが充填される。窒素ガスのような気体は、一般に粉末材料を構成する鉄等の金属に比べて熱伝導率が遙かに低い。そのため、硬化層5を積層一体化させるときに、空洞部23を設ければ、未焼結部分又は未溶融部分が設けられるよりも、造形物内部の熱伝導率をより低くすることができる。なお、図7(a)〜(d)に示す工程は、真空チャンバ内で行われることがより好ましい。そうすれば、当該部分の熱伝導率を更に低くすることができる。
【0034】
また、上記空洞部23には、粉末材料2とは熱伝導率が異なる材料、つまり、粉末材料2よりも熱伝導率が高い高熱伝導率材料又は熱伝導率が低い低熱伝導率材料が充填されてもよい。この充填工程は、例えば、上述した図7(c)及び図7(d)に示した工程の間に行われる。こうすれば、充填される材料を適宜に選択することにより、当該部分の熱伝導率を任意に設定することができる。
【0035】
更に、図8に示すように、複数の空洞部23が、積層方向又は平面方向にマトリック状に形成されてもよい。この構成は、高密度部22a(高熱伝導率部)がセル構造に形成すると共に、これらセル構造の高密度部22a内に低密度部22b(低熱伝導率部)を形成するものである。なお、ここでいう低密度部22bには、未焼結部分、未溶融部分、低熱伝導率材料が充填された空洞部23を含む。通常、低密度部22bは、高密度部22aに比べて構造的な強度が低い。そのため、造形物内部における低密度部22bが占める体積が大きくなると、造形物自体の強度低下を招く。これに対して、上述したように、高強度の高密度部22aをセル構造に形成しておき、該セル構造の高密度部22a内に低密度部22bを形成すれば、造形物5の強度を確保した上で、造形物内に低熱伝導率部を形成することができる。
【0036】
なお、高密度部22a(高熱伝導率部)をセル構造とし、そのセル構造の中に低密度部22b(低熱伝導率部)を形成する場合、図9に示されるように、低密度部22bを高密度部22aの中で小さな球体となるように配置してもよい。こうすれば、各セルの壁面層が内方へ張り出すオーバーハングを小さくすることができるので、低密度部22bが未焼結又は未溶融の粉末状態であっても、内方へ張り出した硬化層が崩れ難く、造形を容易にすることができる。
【0037】
高密度部22a及び低密度部22bを形成する方法は、上述したような光ビーム等の照射エネルギーを適宜に制御することに限られない。ここでは、その変形例について、図10(a)〜(d)を参照して説明する。この変形例は、まず、プレート31上の1層目の硬化層22全体が高密度部22aに形成される(図10(a))。高密度部22aは、粉末層21に、粉末材料を高密度に焼結する照射条件の光ビームL1を照射して成る。このときの光ビームL1の集光径は、例えば略0.5mmとする。その後、低密度部22bを設けたい所定部分に多数の小孔22cを開ける(図10(b))。つまり、多数の小孔22cが形成された領域が低密度部22bとなる。小孔22cの形成は、高密度部22aの形成時よりも、照射部分の単位面積あたりの照射エネルギーを高める光ビームL2により行われる。照射エネルギーを高めるため、例えば、集光径が絞られて略0.1mm以下とされ、又はパワーが略300W以上とされ、若しくは光ビームがQ−SW光ビーム等の高エネルギーのパルス光ビームとされる。
【0038】
1層目に高密度部22a及び低密度部22bが形成された後、高密度部22aから成る硬化層22が積層形成される(図10(c))。そして、その硬化層22に、下層の小孔22cの位置に合わせて小孔22cが形成され、その部分が低密度部22bに形成される(図10(d))。上述した高密度部22a及び低密度部22bの形成工程が繰り返されて造形物5が造形される。小孔22cは、光ビームL1により形成するのではなく、微小径ドリル(図示せず)で孔を開けて形成してもよい。この場合、微小径ドリルの直径は0.1mm以下であることが望ましい。また、微小径ドリルとしては、開き角が略120度のものより先端が尖がったドリルを用いることが望ましい。微小径ドリルは、光造形機1の制御部により制御される。微小径ドリルは、切削工具61と同一に構成されていてもよい。
【0039】
また、切削除去部6は、切削工具61、ミーリングヘッド62、及びXY駆動機構63を備えた汎用の数値制御(NC:numerical Control)工作機械等で構成されることが望ましく、特に、切削工具61を自動交換可能なマシニングセンタであることが望ましい。切削工具61としては、例えば超硬素材で形成された二枚刃ボールエンドミルが主に用いられ、加工形状又は目的に応じてスクェアエンドミル、ラジアスエンドミル又はドリル等が使用される。
【0040】
更に別の変形例として、プレート31上の1層日の硬化層22全体を、硬化密度が低い低密度部22bとして形成しておき、低密度部22bの形成後、硬化層22の所定部分に光ビームを再照射して、硬化密度が高い高密度部22aを形成してもよい。このときの光ビームの照射条件は、低密度部22bの形成時と同じであっても、異なっていてもよい。また、光ビームL1の照射回数は、1回であっても、複数回であってもよい。
【0041】
また、光ビームL1を受けて消失する物質(図示せず)を、低密度部22bを設けたい所定の部位のみに供給しておき、粉末層21全体へ光ビームを照射して、その物質を消失させることにより、高密度部22aと低密度部22bとを選択的に形成することもできる。この光ビームL1を受けて消失する物質は、例えば、カーボンファイバ等、略ファイバー状の物質である。なお、光ビームの照射条件は、例えは、上述した実施形態における高密度部22a形成時と同じでよい。
【0042】
次に、本発明の第2の実施形態に係る三次元造形物の製造方法を説明する。本実施形態の三次元造形物の製造方法は、上述した粉末層形成工程において、粉末材料2の材質及びその配合を制御することにより三次元造形物内部の熱伝導率に分布を持たせるものである。例えば、高熱伝導率としたい部分には、銅、銅合金、アルミ又はカーボン等といった熱伝導率の高い材料を粉末材料2として供給する。これら熱伝導率の低い材料は、通常の造形用の粉末材料である鉄粉に混合されて用いられてもよいし、また、熱伝導率の異なる複数種の材料が混合されてもよい。また、低熱伝導率としたい部分には、セラミック、樹脂粉末又はエポキシ樹脂等といった熱伝導率の低い材料を粉末材料2として供給する。
【0043】
なお、上述した第1の実施形態においては、粉末層形成工程として、粉末供給プレート35を平面方向に移動させる、いわゆるスキージングによる材料供給方法を示したが、本実施形態の三次元造形物の製造方法においては、プレート31上に直接的に粉末材料2を供給できる個別の材料供給機構を備える。この材料供給機構としては、例えば、粉末材料2が充填されたカートリッジ(図示せず)を、切削除去部6に取付け可能とするものが挙げられる。
【0044】
本実施形態の三次元造形物の製造方法によれば、上述した第1の実施形態とは異なる方法で三次元造形物内部の熱伝導率に分布を持たせることができる。また、粉末材料を適宜に選択することにより、高密度部及び低密度部を形成する方法以上に、造形物内部における熱伝導率の分布差を大きくすることができる。
【0045】
本実施形態の製造方法においては、熱伝導率が低い低熱伝導率部をセル構造に形成しておき、該セル構造の低熱伝導率部内に熱伝導率が高い高熱伝導率部を形成することもできる。すなわち、本実施形態においては、低熱伝導率部及び高熱伝導率部のいずれもが、焼結又は溶融によって十分に固化しているので、造形物の強度低下を招くことなく造形物内の熱伝導率に分布を持たせることが可能になる。
【0046】
また、本実施形態の製造方法において、粉末層形成工程において供給される粉末を、熱伝導率が低い材料から高い材料へ、又は高い材料から低い材料へ漸増又は漸減させることにより、一体造形された造形物内部の熱伝導率を傾斜的に変化させることもできる。造形物内部の熱伝導率を傾斜的に変化させて形成した造形物5(金型)の側断面の構成例を図11(a)(b)に示す。同図の矢印は、低熱伝導率領域から高熱同率領域への熱伝導率の漸増方向を示す。図11(a)の例は、成形品意匠部5Cの近傍が最も熱伝導率が低く、その周囲へ放射状に熱伝導率が漸増するように形成されている。また、図11(b)の例は、樹脂等が流入される上流側から下流側の領域へ、熱伝導率が漸増するように形成されている。
【0047】
高熱伝導率部と低熱伝導率部との界面は、温度差が大きくなるので、熱応力によるクラック等が生じやすくなる。このようなクラック等は造形物の強度を低下させる原因となりかねない。しかし、造形物内部の熱伝導率を傾斜的に変化させれば、そのような界面における温度差が少なくなるので、クラック等の発生を抑制することができる。なお、一体造形された造形物内部の熱伝導率を傾斜的に変化させることは、上述した第1の実施形態の製造方法でも実現することができる。
【0048】
本発明は、上述した第1又は第2の実施形態に示す製造方法に限定されるものでなく、様々な変形が可能である。例えば、第1及び第2の実施形態に示す製造方法が組み合わされてもよい。すなわち、造形物内の熱伝導率に分布を持たせる方法として、光ビームの照射エネルギーを制御して、硬化層22の硬化密度を変化させると共に、粉末層21に供給される粉末材料2として、熱伝導率の異なる複数の材料が適宜に供給されるようにしてもよい。また、例えば、セル構造の高密度部22aを形成しておいて、そのセル構造の内部において熱伝導率が漸増又は漸減するように、上記セル内に熱伝導率の異なる所定の材料を充填してもよい。なお、本発明は、上述したように、造形物内の熱伝導率に分布を持たせることにより造形物5の温度調節を可能としたものであるが、例えば、造形物内に冷却管等を形成してもよく、これらが組み合わせて用いられることにより、より効果的な温度調節が実現され得る。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る三次元造形物の製造方法に用いられる金属光造形加工機の斜視図。
【図2】(a)〜(c)は上記加工機による造形物の製造手順を説明する一部側断面図。
【図3】上記加工機によって造形される三次元造形物の一例を示す側断面図。
【図4】(a)は高密度部の切断面の写真を示す図、(b)は高密度部の切断面の写真を示す図。
【図5】硬化密度と熱伝導率との関係を示す図。
【図6】上記加工機によって造形される三次元造形物の他の例を示す側断面図。
【図7】(a)〜(d)は三次元造形物内部に空洞部を形成する工程を説明するための側断面図。
【図8】高密度部又は低密度部がセル構造に形成された三次元造形物の一部断面斜視図。
【図9】高密度部内に球体状の低密度部が形成された三次元造形物の側断面図。
【図10】(a)〜(d)は本発明の第1の実施形態に係る金属光造形加工機の斜視図。三次元造形物内部に熱伝導率の文武を持たせる他の方法を説明するための側断面図。
【図11】(a)(b)は本発明の第2の実施形態に係る三次元造形物の製造方法より造形された三次元造形物の側断面図。
【符号の説明】
【0050】
1 金属光造形加工機
2 粉末材料
21 粉末層
22 硬化層
22a 高密度部(高熱伝導率部)
22b 低密度部(低熱伝導率部)
23 空洞部
3 粉末層形成部
4 硬化層形成部
5 三次元造形物
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉末材料を供給して粉末層を形成する粉末層形成工程と、前記粉末層の所定箇所に光ビームを照射して該粉末層を焼結又は溶融させて硬化層を形成する硬化層形成工程とを繰り返すことにより前記硬化層又は粉末層を積層一体化して三次元造形物を造形する三次元造形物の製造方法において、
一体造形された三次元造形物内部の熱伝導率に分布を持たせることを特徴とする三次元造形物の製造方法。
【請求項2】
前記硬化層形成工程において、前記硬化層の硬化密度を制御することにより三次元造形物内部の熱伝導率に分布を持たせることを特徴とする請求項1に記載の三次元造形物の製造方法。
【請求項3】
前記硬化層形成工程において、未焼結部分又は未溶融部分を設けることにより三次元造形物内部の熱伝導率に分布を持たせることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の三次元造形物の製造方法。
【請求項4】
空洞部を設けることにより三次元造形物内部の熱伝導率に分布を持たせることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の三次元造形物の製造方法。
【請求項5】
前記空洞部に前記粉末材料とは熱伝導率が異なる材料が充填されることを特徴とする請求項4に記載の三次元造形物の製造方法。
【請求項6】
前記粉末層形成工程において、前記粉末材料の材質及びその配合を制御することにより三次元造形物内部の熱伝導率に分布を持たせることを特徴とする請求項1に記載の三次元造形物の製造方法。
【請求項7】
熱伝導率が高い高熱伝導率部がセル構造に形成されると共に、該セル構造の高熱伝導率部内に、熱伝導率が低い低熱伝導率部が形成されることを特徴とする請求項1乃至請求項3又は請求項6のいずれか一項に記載の三次元造形物の製造方法。
【請求項8】
熱伝導率が低い低熱伝導率部がセル構造に形成されると共に、該セル構造の低熱伝導率部内に、熱伝導率が高い高熱伝導率部が形成されることを特徴とする請求項6に記載の三次元造形物の製造方法。
【請求項9】
一体造形された三次元造形物内部の熱伝導率を傾斜的に変化させることを特徴とする請求項1乃至請求項3又は請求項6乃至請求項8のいずれか一項に記載の三次元造形物の製造方法。
【請求項10】
請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載の三次元造形物の製造方法により製造される三次元造形物。
【請求項1】
粉末材料を供給して粉末層を形成する粉末層形成工程と、前記粉末層の所定箇所に光ビームを照射して該粉末層を焼結又は溶融させて硬化層を形成する硬化層形成工程とを繰り返すことにより前記硬化層又は粉末層を積層一体化して三次元造形物を造形する三次元造形物の製造方法において、
一体造形された三次元造形物内部の熱伝導率に分布を持たせることを特徴とする三次元造形物の製造方法。
【請求項2】
前記硬化層形成工程において、前記硬化層の硬化密度を制御することにより三次元造形物内部の熱伝導率に分布を持たせることを特徴とする請求項1に記載の三次元造形物の製造方法。
【請求項3】
前記硬化層形成工程において、未焼結部分又は未溶融部分を設けることにより三次元造形物内部の熱伝導率に分布を持たせることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の三次元造形物の製造方法。
【請求項4】
空洞部を設けることにより三次元造形物内部の熱伝導率に分布を持たせることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の三次元造形物の製造方法。
【請求項5】
前記空洞部に前記粉末材料とは熱伝導率が異なる材料が充填されることを特徴とする請求項4に記載の三次元造形物の製造方法。
【請求項6】
前記粉末層形成工程において、前記粉末材料の材質及びその配合を制御することにより三次元造形物内部の熱伝導率に分布を持たせることを特徴とする請求項1に記載の三次元造形物の製造方法。
【請求項7】
熱伝導率が高い高熱伝導率部がセル構造に形成されると共に、該セル構造の高熱伝導率部内に、熱伝導率が低い低熱伝導率部が形成されることを特徴とする請求項1乃至請求項3又は請求項6のいずれか一項に記載の三次元造形物の製造方法。
【請求項8】
熱伝導率が低い低熱伝導率部がセル構造に形成されると共に、該セル構造の低熱伝導率部内に、熱伝導率が高い高熱伝導率部が形成されることを特徴とする請求項6に記載の三次元造形物の製造方法。
【請求項9】
一体造形された三次元造形物内部の熱伝導率を傾斜的に変化させることを特徴とする請求項1乃至請求項3又は請求項6乃至請求項8のいずれか一項に記載の三次元造形物の製造方法。
【請求項10】
請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載の三次元造形物の製造方法により製造される三次元造形物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−121187(P2010−121187A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−297352(P2008−297352)
【出願日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
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