上皮成長因子受容体に特異的に結合する抗体
上皮成長因子受容体(EGFR)に特異的に結合する抗体を提供し、これらはEGFRを介した癌を治療することに有用である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は上皮成長因子受容体(EGFR)に特異的に結合する抗体に関する。
【背景技術】
【0002】
上皮成長因子受容体(EGFR)は、170kDaのI型の膜貫通タンパク質であって、種々のヒト腫瘍、例えば肺癌、乳癌、結腸癌、胃癌、脳癌、膀胱癌、頭部癌、頸部癌、卵巣癌及び前立腺癌で過剰発現されると知られている。その過剰発現はしばしばEGFR−リガンドであるTGF−α(トランスフォーミング増殖因子−α)及びEGF(上皮成長因子)の産生を伴い、EGFRへのリガンドの結合は細胞増殖及び腫瘍成長を誘導することが確認された。したがって、EGFRに対する抗体を用いて前記リガンドとEGFRとの間の相互作用を遮断すれば腫瘍成長を抑制することができ、これはEGFRに対するモノクローナル抗体を用いた実験によって効果的であることが立証されている。
【0003】
転移性大膓癌の治療のための臨床応用で現在使用されている抗体C225(製品名:Erbitux、ImClone社製、米国)はヒト抗体IgG1定常領域に結合されたマウス抗体の可変領域を含むキメラ抗体である(約30%のマウスアミノ酸配列含む)。C225は、腫瘍細胞成長、インビトロにおけるEGFRリン酸化及びヌードマウスにおける腫瘍形成を抑制し、また、特定の化学療法剤とともに使用される場合、マウスにおいてヒト腫瘍異種移植片を根絶させることが示されている。しかし、前記抗体は当該抗体によって治療された患者の一部(10%以内)で免疫反応を誘発するという問題点がある。よって、EGFRに対する改善された治療用抗体が求められている。
【0004】
最近、米国食品医薬品局(FDA)によって許可された抗癌剤のうち、標的治療剤が約50%を占めている。前記抗体は標的特異性と免疫系を効果的に誘発することができる能力を提供し、これは前記抗体の長い生物学的半減期と組み合わされて、研究者らに前記抗体の治療能力について気づかせた。その結果、米国食品医薬品局は最近、癌治療のための様々な抗体の使用を承認してきた。抗体は疾患に対する多様な治療的なアプローチにおいて重要な役割を果たしており、完全なヒト抗体の開発を可能にする技術が最近出現したことによりさらに大きな関心を集めることになった。
【0005】
本発明者らは新しい相補性決定領域(CDR)を有する新規で、かつ改善されたヒト抗体を開発するために鋭意研究を重ねた結果、前記抗体がEGFRを介した媒介シグナル伝逹を遮断することで癌を治療することに使用され得ることを確認した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の目的は上皮成長因子受容体に特異的に結合する新規抗体を提供することである。
【0007】
本発明の他の目的はそれぞれ前記抗体の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域をコードするDNAならびにこれを含む発現ベクターを提供することである。
【0008】
本発明のまた他の目的は前記発現ベクターで形質転換された細胞株を提供することである。
【0009】
本発明のさらなる目的は前記抗体を含む癌治療用の医薬組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一つの態様によれば、a)それぞれ配列番号1、配列番号2及び配列番号3のアミノ酸配列を有する相補性決定領域(CDR)1、2及び3を含む重鎖可変領域と、b)それぞれ配列番号4、配列番号5及び配列番号6のアミノ酸配列を有するCDR1、CDR2及びCDR3を含む軽鎖可変領域と、c)重鎖定常領域と、d)軽鎖定常領域とを含む、上皮成長因子受容体(EGFR)に特異的に結合する抗体が提供される。
【0011】
また、a)それぞれ配列番号1、配列番号2及び配列番号3のアミノ酸配列を有するCDR1、CDR2及びCDR3を含む重鎖可変領域と、b)それぞれ配列番号9、配列番号5及び配列番号6のアミノ酸配列を有するCDR1、CDR2及びCDR3を含む軽鎖可変領域と、c)重鎖定常領域と、d)軽鎖定常領域とを含む、上皮成長因子受容体(EGFR)に特異的に結合する抗体が提供される。
【0012】
本発明の他の態様によれば、前記抗体の重鎖可変領域または軽鎖可変領域をコードするDNAならびにこれを含む発現ベクターが提供される。
【0013】
本発明のまた他の態様によれば、前記発現ベクターで形質転換された細胞株が提供される。
【0014】
本発明のさらなる態様によれば、前記抗体を含む癌治療用の医薬組成物が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明の前記及びその他の目的および特徴は、添付された図面とともに考慮するとき、下記説明によって明確になり、それぞれは次のとおりである。
【図1】図1は、PCRによって合成された本発明の重鎖可変領域(VH)及び軽鎖可変領域(VL)をそれぞれコードするDNAを示す電気泳動の写真(1%アガロースゲル)である。
【図2】図2は、本発明の抗体の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む、ファージ−ディスプレイ用ベクターpKS4Hのマップである。
【図3】図3は、バイオパニング法を用いて抗体ライブラリーから抗体を選別する工程を示す図である。
【図4】図4は、本発明の抗体であるER2及びER79の一本鎖可変領域断片(scFv)のアミノ酸配列である。
【図5】図5は、本発明のヒト抗体の重鎖を発現するための発現ベクターER2−Heavy−pRC13またはER79−Heavy−pRC13のマップである。
【図6】図6は、本発明のヒト抗体の軽鎖を発現するためのベクターER2−Light−pKC12のマップである。
【図7】図7は、本発明のヒト抗体の軽鎖を発現するためのER79−Light−pKC12のマップである。
【図8】図8は、形質転換体から発現された重鎖及び軽鎖のSDS−PAGE分析図である。
【図9】図9は、ヒト抗体(ER2及びER79)、キメラ抗体(C225、Erbitux)及びその他の抗体(ER414)の上皮成長因子受容体に対する相対的親和度を示す図である。
【図10】図10は、本発明の抗体と癌細胞株(A431)で過剰発現された上皮成長因子受容体の結合を示すフローサイトメーター図である。
【図11】図11は、上皮成長因子受容体のリン酸化に対する本発明の抗体の阻害効果を示す図である。
【図12】図12は、本発明の抗体の上皮成長因子との結合部位、及びキメラ抗体C225(Erbitux)との結合部位を示す表面プラズモン共鳴測定結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0017】
本発明は、a)それぞれ配列番号1、配列番号2及び配列番号3のアミノ酸配列を有する相補性決定領域(CDR)1、2及び3を含む重鎖可変領域と、b)それぞれ配列番号4、配列番号5及び配列番号6のアミノ酸配列を有するCDR1、CDR2及びCDR3を含む軽鎖可変領域と、c)重鎖定常領域と、d)軽鎖定常領域とを含む、上皮成長因子受容体(EGFR)に特異的に結合する抗体を提供する。好ましくは、前記抗体はa)配列番号7のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、b)配列番号8のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域と、c)重鎖定常領域と、d)軽鎖定常領域とを含む抗体であり得る。
【0018】
また、本発明は、a)それぞれ配列番号1、配列番号2及び配列番号3のアミノ酸配列を有するCDR1、CDR2及びCDR3を含む重鎖可変領域と、b)それぞれ配列番号9、配列番号5及び配列番号6のアミノ酸配列を有するCDR1、CDR2及びCDR3を含む軽鎖可変領域と、c)重鎖定常領域と、d)軽鎖定常領域とを含む、上皮成長因子受容体(EGFR)に特異的に結合する抗体を提供する。好ましくは、前記抗体は、a)配列番号7のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、b)配列番号10のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域と、c)重鎖定常領域と、d)軽鎖定常領域とを含む抗体であり得る。
【0019】
本発明の抗体は好ましくはヒト抗体であってもよく、上皮成長因子(EGF)によって誘導されるシグナル伝逹を遮断することを特徴とする。
【0020】
前記上皮成長因子受容体に特異的な抗体は、好ましくはファージ−ディスプレイ法(Smith、Science、228、1315−1317、1985;及びHoogenboom&Chames、Immunol Today、21、371−378、2000)の改変法によって選別されうる。ファージ−ディスプレイ法において、線状(filamentous)ファージ(例えば、M13、FdまたはF1)の表面タンパク質をコードする遺伝子(gene III)が目的の抗体をコードする遺伝子と融合されることにより、表面に露出した前記の融合された抗体を有するウイルス粒子が抗体−ファージの形態で生成される。その後、前記抗体の高い特異度及び親和度ならびに前記ファージの高い感染性を用いて、バイオパニング法によって、ファージライブラリーから目的の抗体を選別することができる(Burton & Barbas、Adv.Immunol.、57、191−280、1994;Winter et al.、Annu. Rev. Immunol.、12、433−455、1994;及びHoogenboom et al.、Immunotechnology、4、1−20、1998)。前記ファージ−ディスプレイベクターはpKS4H(韓国特許第0635370号参照)またはpCANTAB5E、好ましくはpKS4Hである。
【0021】
本発明においては、ヒト抗体ER414をファージライブラリーから選別し、上皮成長因子受容体に対する親和度と中和能を確認した(図9及び図11)。前記ER414抗体は中和能を有するが親和度は市販の抗体であるC225よりも16倍低かった。したがって、親和性成熟のプロセスを用いてC225と類似した親和度を有する改善された抗体を選別した。すなわち、主として選別された抗体の相補性決定領域のアミノ酸ランダム化によってライブラリーを作製して、バイオパニング法を用いて親和性が成熟した抗体を選別し、最終的にC225抗体と類似した親和度を有する抗体(ER2及びER79)を選別した。
【0022】
抗体ER2の場合、重鎖可変領域のCDR1、CDR2及びCDR3はそれぞれ配列番号1、2及び3のアミノ酸配列を有し、軽鎖可変領域のCDR1、CDR2及びCDR3はそれぞれ配列番号4、5及び6のアミノ酸配列を有する。一方、抗体ER79の重鎖可変領域のCDR1、CDR2及びCDR3はそれぞれ配列番号1、2及び3のアミノ酸配列を有し、軽鎖可変領域のCDR1、CDR2及びCDR3はそれぞれ配列番号9、5及び6のアミノ酸配列を有する。
【0023】
本発明の抗体の重鎖定常領域及び軽鎖定常領域はヒト抗体のそれと同一であってもよく、好ましくはそれぞれ配列番号43及び配列番号44のアミノ酸配列を有するアミノ酸であってもよい。
【0024】
本発明は、それぞれ配列番号1、配列番号2及び配列番号3のアミノ酸配列を有するCDR1、CDR2及びCDR3を含む抗体重鎖可変領域をコードするDNAを提供する。好ましくは、前記DNAは前記配列番号1のアミノ酸配列をコードする配列番号11のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチド、前記配列番号2のアミノ酸配列をコードする配列番号12のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチド及び前記配列番号3のアミノ酸配列をコードする配列番号13のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドを含むことができる。
【0025】
本発明は、配列番号7のアミノ酸配列を有する抗体重鎖可変領域をコードするDNAを提供する。好ましくは、前記DNAは前記配列番号7のアミノ酸配列をコードする配列番号14のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドを含むことができる。
【0026】
また、本発明は、それぞれ配列番号4、配列番号5及び配列番号6のアミノ酸配列を有するCDR1、CDR2及びCDR3を含む抗体軽鎖可変領域をコードするDNAを提供する。好ましくは、前記DNAは前記配列番号4のアミノ酸配列をコードする配列番号15のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチド、前記配列番号5のアミノ酸配列をコードする配列番号16のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチド及び前記配列番号6のアミノ酸配列をコードする配列番号17のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドを含むことができる。
【0027】
本発明は、配列番号8のアミノ酸配列を有する抗体軽鎖可変領域をコードするDNAを提供する。好ましくは、前記DNAは前記配列番号8のアミノ酸配列をコードする配列番号18のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドを含むことができる。
【0028】
また、本発明は、それぞれ配列番号9、配列番号5及び配列番号6のアミノ酸配列を有するCDR1、CDR2及びCDR3を含む抗体軽鎖可変領域をコードするDNAを提供する。好ましくは、前記DNAは前記配列番号9のアミノ酸配列をコードする配列番号19のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチド、前記配列番号5のアミノ酸配列をコードする配列番号16のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチド及び前記配列番号6のアミノ酸配列をコードする配列番号17のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドを含むことができる。
【0029】
本発明は、配列番号10のアミノ酸配列を有する抗体軽鎖可変領域をコードするDNAを提供する。好ましくは、前記DNAは前記配列番号10のアミノ酸配列をコードする配列番号20のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドを含むことができる。
【0030】
本発明は、前記抗体の重鎖可変領域をコードするDNAを含む、上皮成長因子受容体(EGFR)に特異的に結合する抗体の重鎖可変領域を発現させる発現ベクターを提供する。好ましくは、前記発現ベクターは図5にマップが示されている「ER2−Heavy−pRC13」または「ER79−Heavy−pRC13」であり得る。
【0031】
具体的に、前記ベクターは、親和性成熟プロセスによって選別した抗体のVH断片(1−a:ER2Ab−Hまたは1−b:ER79Ab−H)を適したベクター、例えば、pRC13ベクター(受託番号KCLRF−BP−00054;韓国特許登録第523732号)に挿入して製造されうる。
【0032】
本発明は、前記抗体の軽鎖可変領域をコードするDNAを含む、上皮成長因子受容体(EGFR)に特異的に結合する抗体の軽鎖可変領域を発現させる発現ベクターを提供する。好ましくは、前記発現ベクターは図6にマップが示されている「ER2−Light−pKC12」または図7にマップが示されている「ER79−Light−pKC12」であり得る。
【0033】
具体的に、前記ベクターは、親和性成熟プロセスによって選別した抗体のそれぞれのVL断片(2−a:ER2Ab−Lまたは2−b:ER79Ab−L)を適したベクター、例えば、pKC12ベクター(受託番号KCLRF−BP―00054;韓国特許登録第523732号)に挿入して製造されうる。
【0034】
本発明は、本発明の抗体の重鎖可変領域を発現させる発現ベクター及び本発明の抗体の軽鎖可変領域を発現させる発現ベクターで形質転換された動物細胞株を提供する。前記本発明の抗体の重鎖可変領域を発現させる発現ベクターは、好ましくはER2−Heavy−pRC13またはER79−Heavy−pRC13であり得て、本発明の抗体の軽鎖可変領域を発現させる発現ベクターは、好ましくはER2−Light−pKC12またはER79−Light−pKC12であり得る。前記動物細胞株はCHO(チャイニーズハムスター卵巣)、HEK293またはNSO細胞株、好ましくはCHO(チャイニーズハムスター卵巣)細胞株であり得る。
【0035】
本発明による抗体は前記重鎖可変領域及び軽鎖可変領域が互いに結合されることで製造されうる。
【0036】
本発明の抗体の抗原に対する親和度は、例えば、競合ELISA(Kim et al.、Hybridoma、20、265−272、2001)によって測定されうる。図9から分かるように、本発明のER2抗体の親和度はC225抗体と類似する一方、ER79抗体の親和度はC225抗体よりも2倍低い。また、前記抗体らは癌細胞株で過剰発現された上皮成長因子受容体に結合することがフローサイトメーター(FACS)を用いて立証され(図10)、乳癌細胞における上皮成長因子受容体のリン酸化阻害実験を通じて中和能を有することが確認された(図11)。したがって、本発明の抗体は上皮成長因子受容体を通じたシグナル伝逹を抑制することで癌治療用抗体として使用されうる。
【0037】
前記結果に鑑み、本発明は、前記抗体を含む癌治療用組成物、好ましくは医薬組成物を提供する。前記組成物はシスプラチン、ゲムシタビン、ドキソルビシン、5−FU、イリノテカン及びパクリタキセルからなる群から選択される少なくとも一つをさらに含むことができる。
【0038】
前記組成物は活性成分としてER2またはER79抗体またはこれを含有する形質転換体を含み、さらに前記活性成分と同一または類似した機能を有する一つ以上の有効成分を含む。前記活性成分に加えて、本発明の組成物は、食塩水、滅菌水、リンガー液、緩衝食塩水、デキストロース溶液、マルトデキストリン溶液、グリセリン、エタノール、リポソーム及び前記成分のいずれか一つ以上を含む混合物のような、一つ以上の医薬に許容可能な担体を含むことができる。必要な場合、抗酸化剤、緩衝剤、及び静菌剤のような一般的な添加剤をさらに添加してもよい。本発明の組成物は、希釈剤、分散剤、界面活性剤、結合剤及び潤滑剤と混合することによって水溶液、注射用懸濁液及び乳濁液、丸剤、カプセル剤、顆粒または錠剤を含む多様な形態で剤形化され得る。標的細胞特異的抗体またはその他のリガンドを前記担体のいずれか一つと混合して標的細胞へ送達することができる。また、前記組成物は文献[Remington’s Pharmaceutical Science、Mack Publishing Company、Easton PA]に提示された下記方法によって成分に応じて適した形態で製造され得る。
【0039】
本発明の医薬組成物は、非経口で(例えば、静脈内、皮下、腹腔、または局所注射)投与されることができ、静脈内注射が好ましい。固形癌の場合、抗体の迅速かつ容易な接近を助ける局所投与がより好ましい。組成物の有効量は、体重、年齢、性別、健康状態、食餌、投与頻度、投与方法、排泄及び疾病の重症度によって決定され得る。ヒト抗体または形質転換体を約5〜500mg/m2含有する組成物の1回用量を、一日または一週間ごとに投与することができる。前記有効量は悪性腫瘍患者を治療する医者によって調節され得る。
【0040】
本発明の医薬組成物は単独または悪性腫瘍を治療するための外科的手術、ホルモン療法、化学療法及び生物学的調節剤とともに投与され得る。
【0041】
下記の実施例は、本発明を単に詳細に説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例1】
【0042】
実施例1:RNAの分離
上皮成長因子受容体に特異的に結合する抗体を選別するため、ヒト抗体ライブラリーを構築した。ヒト骨髄全RNA、ヒト胸腺全RNA、ヒト脾臓全RNA及びヒトB細胞RNAの混合物を用いた。ヒトB細胞RNAを除いた全てのRNAはClontech社(米国)から購入し、ヒトB細胞RNAは下記のように分離した。
【0043】
健康な成人から採血した50mLの血液を50mLのHBSS(ハンクス平衡塩液;Sigma社製、米国)と混合して希釈した。50mLチューブにHistoprep(Sigma社製)10mLを入れて、ここに希釈された血液20mLを添加した。前記混合物を3,000rpmで遠心分離して白血球を分離した。前記分離された白血球2mLを6mLのHBSSと混合した後、1000rpmで遠心分離した。白血球100μLを1mLのトリゾル(Life Technology社製、米国)と混合してRNAを分離した。
【0044】
一方、前記分離されたRNAを蒸留水で希釈した後、260nmで吸光度を測定してその量を計算した(1.8μg/μL;ウルトラスペック(Ultrospec)2000紫外−可視分光光度計、GE社製、米国)。詳しい方法は次のようである。
【0045】
トリゾル1mLを白血球100μLに添加してよく振盪させた後、室温で5分間放置した。それから、クロロホルム200μLを加え、15秒間強く振盪させた後3分間放置した。その後、前記混合物を2〜8℃、15分及び15,000rpmの条件下で遠心分離して、上澄み液を新しいチューブに移した。イソプロピルアルコール500μLを入れてよく混ぜた後、室温で10分間放置した。その後、2〜8℃で5分間15,000rpmで遠心分離して、上澄み液を取り除いた。75%エタノール1mLを入れて、前記混合物を2〜8℃、5分及び15,000rpmの条件下で遠心分離してエタノールを取り除いた後、RNAペレットを室温で5分間乾燥させた。ここに蒸留水150μLを入れてRNAペレットを懸濁した後、前記懸濁液の吸光度を260nmで測定した。残りは−20℃で保管した。
【実施例2】
【0046】
実施例2:抗体遺伝子の増幅
実施例1で分離したRNA1μg及びpd(T)12−18(0.5μg/μL)1μLを最終体積が12.5μLになるように蒸留水を入れて混合した。前記混合物を70℃で2分間反応させて氷浴で冷却させた。それから、ここに5X反応緩衝液、10mM dNTP混合物、組換え型RNase阻害剤(recombinant RNase inhibitor)、MMLV逆転写酵素(Clontech社製、米国)を添加して最終体積を20μLに合わせた後、42℃で1時間、95℃で5分間反応させてcDNAを合成した。LiquiMix QM Premix、Magenta(Neurotics Inc社製、韓国)、鋳型として4μLのcDNA、蒸留水19μL、ならびに重鎖可変領域及び軽鎖可変領域(κ及びλ)に結合するように考案されたそれぞれのプライマー1μLを用いてPCR反応を行った。PCRに用いられたプライマー及びこれらのヌクレオチド配列が表1に示されている。
<表1>
PCR反応で用いたプライマー
【表1】
【0047】
PCR反応は、95℃で5分、55℃で2分、72℃で2分で30回行なった後、最後に72℃で15分間行った。
【0048】
このように増幅された抗体DNAを1.2%アガロースゲルで電気泳動して確認した(図1)。図1から分かるように、重鎖及び軽鎖(κ及びλ)可変領域に当たる350bpのDNAバンドを得た。図1において、Mはサイズマーカーを、VHは重鎖可変領域(レーン1:重鎖可変領域I型、レーン2:重鎖可変領域III型、及びレーン3:重鎖可変領域IV型)を、VLは軽鎖可変領域(レーン4:軽鎖可変領域1/3κ、レーン5:軽鎖可変領域2κ、及びレーン6:軽鎖可変領域λ)を示す。
【実施例3】
【0049】
実施例3:抗体DNAの制限酵素切断
実施例2で製造したVH及びVL(κ及びλ)をそれぞれ制限酵素SfiI/BspEI及びBspEI/NotIで切断し、切断された断片を1.2%アガロースゲルから分離した後、キアゲンキットを用いて精製した。
【実施例4】
【0050】
実施例4:抗体DNAのライゲーション及びライブラリーの製造
ファージ−ディスプレイベクターpKS4H(緑十字社製、韓国、韓国特許登録第0635370号参照)を制限酵素SfiI/BspEIを用いて切断し、1.2%アガロースゲル電気泳動を用いて分離した後、キアゲンキットを用いて精製した。30μgのpKS4Hを実施例3で製造した3μgのVHと混合し、ここにT4 DNAリガーゼ(New England BioLabs社製、米国)を添加した後、25℃で一晩反応させた。前記ライゲーション混合物をキアゲンキットを用いて精製して大膓菌XL1−blue(Stratagene社製、米国)に電気穿孔法で形質転換させた。前記形質転換体を100mLの培地で一晩培養した後、プラスミドを分離した。前記プラスミドを「pKS4H−VH−ΔVL」と命名した。
【0051】
前記プラスミドpKS4H−VH−ΔVLを制限酵素BspEI/NotIで切断して前述のように精製した。次いで、30μgのpKS4H−VH−ΔVLプラスミドを実施例3で製造された3μgのVL PCR DNA及びT4 DNAリガーゼ(New England BioLabs社製、米国)と混合し、25℃で一晩反応させた。前記ライゲーション混合物をキアゲンキットを用いて精製して大膓菌XL1−blueに電気穿孔法で形質転換させた。前記形質転換体をカルベニシリン及びテトラサイクリンが含有された100mLの培地で37℃で2時間培養した。それから、前記培地にM13ヘルパーファージ(Stratagene社製、米国)を播種して16時間培養してエングバーグら(Engberg et al.、Mol. Biotechnol.、6、287−310、1996)によって報告されたように、ファージライブラリーを製造した。一方、前記大膓菌からプラスミドを分離し、これを「pKS4H−VH−VL」と命名した。前記プラスミドのマップが図2に示されている。
【実施例5】
【0052】
実施例5:上皮成長因子受容体に結合する抗体の選別
EGFRに結合する抗体をパニング法(Engberg et al.、Mol. Biotechnol.、6、287−310、1996;及びKim et al.、Gene、241、19−25、2000)の改変法によって選別した。具体的には、EGFR(Sigma社製、米国)をPBSで希釈して各イムノチューブ(immunotube、NUNC社製、デンマーク)上にコーティングした。次いで、前記コーティングされたイムノチューブに実施例4で製造したファージライブラリーを加えて37℃で2時間反応させた。EGFRに結合したファージを0.1Mのグリシンバッファー(pH2.0)で溶離した。その後、大膓菌XL1−blueを前記ファージに感染させ、ヘルパーファージを添加した。前記大膓菌を37℃で一晩培養して、ここに20%PEG8,000及び15%NaClを含む溶液を添加した。それから、沈澱したファージを回収して(ファージレスキュー)、ファージを再びEGFR−コーティングされたイムノチューブに反応させ、前記パニング手順を4回繰り返した。前記手順を通じてEGFRに結合するヒト抗体であるER2及びER79を選別した。ファージディスプレイライブラリーを用いて抗体を選別する工程を図3に示した。
【0053】
4回目のパニングから得られた各コロニーを前述した方法(Kim et al.、Gene、241、19−25、2000)によって2mLの培地で成長させ、IPTG(イソプロピル β−D−1−チオガラクトピラノシド)で処理して抗体発現を誘導した。抗体誘導をEFGRがコーティングされた96−ウェルプレートを用いてELISA(酵素結合免疫吸着測定法)によって測定した。
【実施例6】
【0054】
実施例6:選別された抗体の配列分析
前記実施例5で選別したヒト抗体ER2及びER79を分泌するコロニーを50μg/mLのカルベニシリンを含むLB培地10mLで一晩培養した後、キアゲンプラスミドミニキット(Qiagen社製、Valencia、CA、米国)を用いてプラスミドを分離した。前記プラスミドを制限酵素SfiI/NotIで切断した後、アガロースゲル電気泳動によって抗体の断片の挿入を確認した。プラスミドに挿入されたscFvのDNA配列を分析した。
【0055】
scFvのヌクレオチド配列をGenotech社(大田、韓国)でシークエンスプライマーである配列番号38のp033で分析した。ER2、ER79及びM96(マウス抗体)のscFvのDNA配列をウェブ基盤のプログラム(www.expasy.org:DNAからタンパク質への翻訳ツール(DNA to Protein translate tool))を用いてアミノ酸に翻訳し、前記翻訳されたアミノ酸配列が図4に示されている。図4において、M96、ER2及びER79はそれぞれM96(マウス抗体)及び本発明のER2及びER79のscFvのアミノ酸配列を示す。図4から分かるように、ヒト抗体ER2及びER79は相違するアミノ酸配列を有していた。
【実施例7】
【0056】
実施例7:発現ベクターの製造
抗体断片を完全な形態の免疫グロブリンに転換するため、抗体発現ベクターpRC13及びpKC12(B型肝炎ウイルスの表面抗原に対するヒト抗体の可変領域を挿入するためのプラスミド;韓国特許第523732号;受託番号KCLRF−BP−00054)を使用した。
【0057】
各VH断片を重鎖発現ベクターpRC13のHindIII及びApaI部位内に挿入した。図5に例示されたように、ヒト抗体ER2及びER79の重鎖可変領域(VH)をコードするDNAを配列番号39及び40のそれぞれのプライマーを用いてPCRによって増幅させ、HindIII/ApaIで切断した後、同一の制限酵素で切断したpRC13内に挿入した。前記組換えベクターを「ER2−Heavy−pRC13」または「ER79−Heavy−pRC13」と命名した。前記用いたプライマーを表2に示した。
<表2>
PCR反応で用いたプライマー
【表2】
【0058】
一方、各VL断片を軽鎖発現ベクターpKC12のNheI及びApaI部位内に挿入した。図6及び7に例示されたように、ヒト抗体ER2及びER79の軽鎖可変領域(VL)をコードするそれぞれのDNAを配列番号41及び42のそれぞれのプライマーを用いてPCRによって増幅させ、NheI/ApaIで切断した後、同一の制限酵素で切断したpKC12内に挿入した。前記組換えベクターを「ER2−Light−pKC12」または「ER79−Light−pKC12」と命名した。前記用いたプライマーを表3に示した。
<表3>
PCR反応で用いたプライマー
【表3】
【実施例8】
【0059】
実施例8:抗体を分泌する動物細胞株の製造
トランスフェクションの24時間前に、2×105個のCHO(チャイニーズハムスター卵巣)細胞を5%CO2の存在下で37℃培養器で10%のFBS(Life Technologies社製、米国)を含むα−MEM培地(Life Technologies社製、米国)が入っているT−25フラスコ(NUNC社製、デンマーク)で密集度(confluency)が50%に到逹するまで培養した。それから、30μgのリポフェクチン(Life Technologies社製、米国)を1.5mLのオプティ(opti)−MEM(Life Technologies社製、米国)に添加して室温で90分間放置した。同時にER2−Heavy−pRC13 8μg & ER2−Light−pKC12 7μg、ER79−Heavy−pRC13 8μg & ER79−Light−pKC12 7μgを混合してオプティ−MEM培地で1.5mLにした後、室温で90分間培養した。90分後、リポフェクチンを含有する培地を、それぞれER2−Heavy−pRC13 & ER2−Light−pKC12及びER79−Heavy−pRC13 & ER79−Light−pKC12を含有する培地と混合した後、室温で15分間反応させた。反応中に細胞から培地を除去し、前記細胞をトランスフェクションのためにPBSで3回洗浄した。前記洗浄された細胞に前記反応混合物を加えて6時間培養した。6時間後、前記反応混合物を除去した後、α−MEM培地を入れて48時間培養した。それから、細胞をトリプシン(Life Technologies社製、米国)で処理してフラスコから剥離した後、α−MEM培地で希釈して96ウェルプレート(NUNC社製、デンマーク)にて継代した。この時、α−MEM培地はリボヌクレオシド及びデオキシリボヌクレオシドを含有しない一方、10%の透析FBS(Life Technologies社、米国)及び550μg/mLのG418(Sigma社製、米国)を含有する。前記培地を2日ごとに新しい培地に取り替えた。コロニーを形成した培養上清液をELISAによる抗体発現のために回収した後、選別された細胞を12−ウェルプレートに移した。前記細胞を6−ウェルプレートに移してメトトレキセート(MTX、中外製薬社製、韓国)処理をした。MTXの初期濃度は20nMであり、細胞適応度に応じて80nM、320nM及び1μMに増加させた。1μMの濃度で生存しながら抗体分泌量の高い細胞株を選別した。スピナーフラスコと無血清培地を用いて、65rpm、5%CO2及び37℃の培養器で大量培養を行った。108細胞を100mLの無血清培地が入っている250mLスピナーフラスコで培養した。細胞数が初期播種の2倍になると、1,000rpmで5分間遠心分離して細胞を回収した。回収した細胞を200mLの培地が入っている500mLスピナーフラスコで再培養した。細胞数が初期播種の2倍になると、1,000rpmで5分間遠心分離して細胞を回収してこれを1Lの培地が入っている3Lスピナーフラスコに移した。ここに酪酸ナトリウム(Aldrich社製、米国)を最終濃度2mMになるように添加し、細胞を5日間培養した後、培地から培養上清液を回収した。スピナーフラスコで回収した上清液から、タンパク質A−アガロースコラム(Amersham Pharmacia Biotech社製、米国)を用いて抗体を精製し、これをSDS−PAGEによって分析した。
【0060】
図8に示したように、約50kDaの重鎖バンド及び25kDaの軽鎖バンドが観察され、これは抗体が正しく合成されたことを示す。
【実施例9】
【0061】
実施例9:抗体親和度の測定
実施例8で得られた抗体のEGFRに対する親和度を競合ELISA法(Kim et al.、Hybridoma、20、265−272、2001)によって測定し、その結果を図9に示した。簡略な手順は次のようである。
【0062】
(1)適正抗体濃度の決定
A.プレートの準備
PBSで2μg/mLで希釈した100μLのEGFR(Sigma社製、米国)をELISAプレートの各ウェルに添加して4℃で一晩培養した。プレートの各ウェルをPBSTで1回洗浄した後、各ウェルに300μLの1%BSA−PBS溶液を加えて室温で1時間培養した。
B.1次反応
連続希釈した各精製抗体(0.5μg/mL)100μLをプレートの各ウェルに添加して、室温で2時間培養した後、PBSTで4回洗浄した。
C.2次反応
1%BSA−PBS溶液で1:5000で希釈したヤギ抗ヒトIgG(Fab特異的)−ペルオキシダーゼ複合体(Sigma社製)100μLを各ウェルに添加して、室温で1時間反応させた後、PBSTで4回洗浄した。
D.基質反応
100μLのTMB(3,3′,5,5′−テトラメチルベンジジン、マイクロウェルペルオキシダーゼ基質システム(Microwell peroxidase substrate system)(KPL、MD、米国))を各ウェルに添加した後、405nmでO.D値を測定した。適正抗体濃度をEGFR−コーティングされたプレートに対して最大半量結合(half−maximum binding)を示す抗体濃度で決定した。
【0063】
(2)競合ELISA
A.プレートの準備
PBSで2μg/mLで希釈した100μLのEGFR(Sigma社製、米国)をELISAプレートの各ウェルに添加して4℃で一晩培養した。各ウェルをPBSTで1回洗浄した後、各ウェルに300μLの1%BSA−PBS溶液を加えて室温で1時間培養した。
B.1次反応
2μgのEGFRに2倍連続希釈して、前記希釈された10μLのEGFRをプレートの各ウェルに添加した。次いで、前記(1)で決定された適正濃度で希釈された90μLの抗体を各ウェルに添加して、室温で2時間培養した後、PBSTで4回洗浄した。
C.2次反応
1%BSA−PBS溶液で1:5000で希釈したヤギ抗ヒトIgG(Fab特異的)−ペルオキシダーゼ複合体(Sigma社製)100μLを各ウェルに添加して、室温で1時間反応させた後、PBSTで4回洗浄した。
D.基質反応
100μLのTMB(3,3′,5,5′−テトラメチルベンジジン、マイクロウェルペルオキシダーゼ基質システム(KPL社製、MD、米国))を各ウェルに添加した後、405nmでO.D値を測定した。最大結合量(競合するEGFRが存在しないO.D値)の50%を抑制するEGFRの濃度をKdとして決定した。
【0064】
図9から分かるように、キメラ抗体(C225)と比較すると、ヒト抗体ER2は類似した親和度を示し、ER79はほぼ63%程度の親和度を示した。また、本発明の抗体らの親和度はER414(バイオパニング以前のヒト抗体)よりもさらに高かった。
【実施例10】
【0065】
実施例10:腫瘍細胞株における上皮成長因子受容体に対する本発明の抗体の結合確認
腫瘍細胞株で過剰発現されたEGFRに対する本発明の抗体であるER2及びER79の結合をFACSによって確認した。要するに、EGFRを過剰発現する皮膚癌(epidermoid carcinoma)細胞株であるA431細胞株(受託番号KCLB 80005)を1%BSA−PBSで洗浄した。前記洗浄された細胞(1×106細胞)を10μgの本発明の抗体とともに4℃で2時間培養した後、1%BSA−PBSで2回洗浄した。Mock(抗体なし)及び10μgのhTT−2(抗破傷風モノクローナル抗体、緑十字社製、韓国特許第0624011号)を陰性対照群として用い、10μgのM96(マウス抗−EGFR)を陽性対照群として用いた。FITC−標識ヤギ抗マウス抗体(Fab特異的)複合体を加えて氷上で40分間培養した。前記細胞を1%BSA−PBSで2回洗浄した後、1mLの1%BSA−PBSに懸濁させてフローサイトメトリー(製品名:FACS Calibur、BD Biosciences社製)で分析した。実験結果が図10に示されている。これらの結果は、本発明の抗体であるER2及びER79はA431細胞でEGFRに結合する一方、hTT−2(抗破傷風モノクローナル抗体)は結合しないことを示す。
【実施例11】
【0066】
実施例11:EGFRリン酸化における本発明の抗体の効果
本発明の抗体ER2及びER79のEGFRリン酸化を抑制する能力を試した。要するに、乳癌細胞株であるMDA−MB−231細胞(受託番号KCLB 30026)を24−ウェルプレート(NUNC)に1×105の細胞濃度で培養した。2日後、各ウェルに本発明の抗体をそれぞれ5μg、25μg、50μg及び100μgの量で加えた後、50ngのEGFを各ウェルに加えて30分間培養した。比較のため、M96抗体(緑十字社製、韓国、韓国特許第0680141号)、C225抗体(製品名:Erbitux、ImClone社製、米国)、及びER414抗体を使用した。ウェル当り0.5mLの溶解バッファー(lysis buffer;10mM Tris、150mM NaCl、5mM EDTA、1%Triton X−100、1mM オルトバナジン酸ナトリウム)を用いて細胞抽出物を製造した。前記細胞抽出物をSDS−PAGEを行い、分離したタンパク質バンドをニトロセルロース膜に転写した。前記膜を5%BSA溶液を用いて30分間ブロッキングした後、リン酸化されたEGFRと特異的に反応する抗ホスホチロシン特異的ペルオキシダーゼ複合体(Zymed社、米国)を用いて4℃で一晩免疫ブロッティングした。前記免疫ブロットされた膜をPBSTで洗浄してPBS及びメタノール中の0.018%(v/v)4−クロロ−1−ナフトール及び0.045%過酸化水素の基質を用いて発色反応をさせた。その結果を図11に示した。これらの結果は抗体の量がEGFRリン酸化に影響を与え、Erbituxで処理された陽性対照群と比較してER2及びER79が類似したEGFRリン酸化の抑制能を有することを示す。
【実施例12】
【0067】
実施例12:EGFRに対する抗体の結合部位の確認
本発明の抗体ER2及びER79がキメラ抗体C225(Erbitux、ImClone社製、米国)とEGFRに対して同一の結合部位を有するか否かを確認するために表面プラズモン共鳴法(SPR;Biacore 2000)を使用した。EGFR抗原をカルボキシメチル化したデキストラン表面チップ(carboxymethylated dextran surface chip)(CM5 chip:Pharmacia社製)に約1,000の反応単位(response unit)で固定化した。その後、C225抗体をチップ上に注入して、抗原と抗体の解離過程なしに直ちにER2とER79とをそれぞれ注入した後、結合反応を25℃で測定した。その結果を図12に示した。本発明のヒト抗体はC225抗体と異なる結合部位を有することが示された。
【技術分野】
【0001】
本発明は上皮成長因子受容体(EGFR)に特異的に結合する抗体に関する。
【背景技術】
【0002】
上皮成長因子受容体(EGFR)は、170kDaのI型の膜貫通タンパク質であって、種々のヒト腫瘍、例えば肺癌、乳癌、結腸癌、胃癌、脳癌、膀胱癌、頭部癌、頸部癌、卵巣癌及び前立腺癌で過剰発現されると知られている。その過剰発現はしばしばEGFR−リガンドであるTGF−α(トランスフォーミング増殖因子−α)及びEGF(上皮成長因子)の産生を伴い、EGFRへのリガンドの結合は細胞増殖及び腫瘍成長を誘導することが確認された。したがって、EGFRに対する抗体を用いて前記リガンドとEGFRとの間の相互作用を遮断すれば腫瘍成長を抑制することができ、これはEGFRに対するモノクローナル抗体を用いた実験によって効果的であることが立証されている。
【0003】
転移性大膓癌の治療のための臨床応用で現在使用されている抗体C225(製品名:Erbitux、ImClone社製、米国)はヒト抗体IgG1定常領域に結合されたマウス抗体の可変領域を含むキメラ抗体である(約30%のマウスアミノ酸配列含む)。C225は、腫瘍細胞成長、インビトロにおけるEGFRリン酸化及びヌードマウスにおける腫瘍形成を抑制し、また、特定の化学療法剤とともに使用される場合、マウスにおいてヒト腫瘍異種移植片を根絶させることが示されている。しかし、前記抗体は当該抗体によって治療された患者の一部(10%以内)で免疫反応を誘発するという問題点がある。よって、EGFRに対する改善された治療用抗体が求められている。
【0004】
最近、米国食品医薬品局(FDA)によって許可された抗癌剤のうち、標的治療剤が約50%を占めている。前記抗体は標的特異性と免疫系を効果的に誘発することができる能力を提供し、これは前記抗体の長い生物学的半減期と組み合わされて、研究者らに前記抗体の治療能力について気づかせた。その結果、米国食品医薬品局は最近、癌治療のための様々な抗体の使用を承認してきた。抗体は疾患に対する多様な治療的なアプローチにおいて重要な役割を果たしており、完全なヒト抗体の開発を可能にする技術が最近出現したことによりさらに大きな関心を集めることになった。
【0005】
本発明者らは新しい相補性決定領域(CDR)を有する新規で、かつ改善されたヒト抗体を開発するために鋭意研究を重ねた結果、前記抗体がEGFRを介した媒介シグナル伝逹を遮断することで癌を治療することに使用され得ることを確認した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の目的は上皮成長因子受容体に特異的に結合する新規抗体を提供することである。
【0007】
本発明の他の目的はそれぞれ前記抗体の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域をコードするDNAならびにこれを含む発現ベクターを提供することである。
【0008】
本発明のまた他の目的は前記発現ベクターで形質転換された細胞株を提供することである。
【0009】
本発明のさらなる目的は前記抗体を含む癌治療用の医薬組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一つの態様によれば、a)それぞれ配列番号1、配列番号2及び配列番号3のアミノ酸配列を有する相補性決定領域(CDR)1、2及び3を含む重鎖可変領域と、b)それぞれ配列番号4、配列番号5及び配列番号6のアミノ酸配列を有するCDR1、CDR2及びCDR3を含む軽鎖可変領域と、c)重鎖定常領域と、d)軽鎖定常領域とを含む、上皮成長因子受容体(EGFR)に特異的に結合する抗体が提供される。
【0011】
また、a)それぞれ配列番号1、配列番号2及び配列番号3のアミノ酸配列を有するCDR1、CDR2及びCDR3を含む重鎖可変領域と、b)それぞれ配列番号9、配列番号5及び配列番号6のアミノ酸配列を有するCDR1、CDR2及びCDR3を含む軽鎖可変領域と、c)重鎖定常領域と、d)軽鎖定常領域とを含む、上皮成長因子受容体(EGFR)に特異的に結合する抗体が提供される。
【0012】
本発明の他の態様によれば、前記抗体の重鎖可変領域または軽鎖可変領域をコードするDNAならびにこれを含む発現ベクターが提供される。
【0013】
本発明のまた他の態様によれば、前記発現ベクターで形質転換された細胞株が提供される。
【0014】
本発明のさらなる態様によれば、前記抗体を含む癌治療用の医薬組成物が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明の前記及びその他の目的および特徴は、添付された図面とともに考慮するとき、下記説明によって明確になり、それぞれは次のとおりである。
【図1】図1は、PCRによって合成された本発明の重鎖可変領域(VH)及び軽鎖可変領域(VL)をそれぞれコードするDNAを示す電気泳動の写真(1%アガロースゲル)である。
【図2】図2は、本発明の抗体の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む、ファージ−ディスプレイ用ベクターpKS4Hのマップである。
【図3】図3は、バイオパニング法を用いて抗体ライブラリーから抗体を選別する工程を示す図である。
【図4】図4は、本発明の抗体であるER2及びER79の一本鎖可変領域断片(scFv)のアミノ酸配列である。
【図5】図5は、本発明のヒト抗体の重鎖を発現するための発現ベクターER2−Heavy−pRC13またはER79−Heavy−pRC13のマップである。
【図6】図6は、本発明のヒト抗体の軽鎖を発現するためのベクターER2−Light−pKC12のマップである。
【図7】図7は、本発明のヒト抗体の軽鎖を発現するためのER79−Light−pKC12のマップである。
【図8】図8は、形質転換体から発現された重鎖及び軽鎖のSDS−PAGE分析図である。
【図9】図9は、ヒト抗体(ER2及びER79)、キメラ抗体(C225、Erbitux)及びその他の抗体(ER414)の上皮成長因子受容体に対する相対的親和度を示す図である。
【図10】図10は、本発明の抗体と癌細胞株(A431)で過剰発現された上皮成長因子受容体の結合を示すフローサイトメーター図である。
【図11】図11は、上皮成長因子受容体のリン酸化に対する本発明の抗体の阻害効果を示す図である。
【図12】図12は、本発明の抗体の上皮成長因子との結合部位、及びキメラ抗体C225(Erbitux)との結合部位を示す表面プラズモン共鳴測定結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0017】
本発明は、a)それぞれ配列番号1、配列番号2及び配列番号3のアミノ酸配列を有する相補性決定領域(CDR)1、2及び3を含む重鎖可変領域と、b)それぞれ配列番号4、配列番号5及び配列番号6のアミノ酸配列を有するCDR1、CDR2及びCDR3を含む軽鎖可変領域と、c)重鎖定常領域と、d)軽鎖定常領域とを含む、上皮成長因子受容体(EGFR)に特異的に結合する抗体を提供する。好ましくは、前記抗体はa)配列番号7のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、b)配列番号8のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域と、c)重鎖定常領域と、d)軽鎖定常領域とを含む抗体であり得る。
【0018】
また、本発明は、a)それぞれ配列番号1、配列番号2及び配列番号3のアミノ酸配列を有するCDR1、CDR2及びCDR3を含む重鎖可変領域と、b)それぞれ配列番号9、配列番号5及び配列番号6のアミノ酸配列を有するCDR1、CDR2及びCDR3を含む軽鎖可変領域と、c)重鎖定常領域と、d)軽鎖定常領域とを含む、上皮成長因子受容体(EGFR)に特異的に結合する抗体を提供する。好ましくは、前記抗体は、a)配列番号7のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、b)配列番号10のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域と、c)重鎖定常領域と、d)軽鎖定常領域とを含む抗体であり得る。
【0019】
本発明の抗体は好ましくはヒト抗体であってもよく、上皮成長因子(EGF)によって誘導されるシグナル伝逹を遮断することを特徴とする。
【0020】
前記上皮成長因子受容体に特異的な抗体は、好ましくはファージ−ディスプレイ法(Smith、Science、228、1315−1317、1985;及びHoogenboom&Chames、Immunol Today、21、371−378、2000)の改変法によって選別されうる。ファージ−ディスプレイ法において、線状(filamentous)ファージ(例えば、M13、FdまたはF1)の表面タンパク質をコードする遺伝子(gene III)が目的の抗体をコードする遺伝子と融合されることにより、表面に露出した前記の融合された抗体を有するウイルス粒子が抗体−ファージの形態で生成される。その後、前記抗体の高い特異度及び親和度ならびに前記ファージの高い感染性を用いて、バイオパニング法によって、ファージライブラリーから目的の抗体を選別することができる(Burton & Barbas、Adv.Immunol.、57、191−280、1994;Winter et al.、Annu. Rev. Immunol.、12、433−455、1994;及びHoogenboom et al.、Immunotechnology、4、1−20、1998)。前記ファージ−ディスプレイベクターはpKS4H(韓国特許第0635370号参照)またはpCANTAB5E、好ましくはpKS4Hである。
【0021】
本発明においては、ヒト抗体ER414をファージライブラリーから選別し、上皮成長因子受容体に対する親和度と中和能を確認した(図9及び図11)。前記ER414抗体は中和能を有するが親和度は市販の抗体であるC225よりも16倍低かった。したがって、親和性成熟のプロセスを用いてC225と類似した親和度を有する改善された抗体を選別した。すなわち、主として選別された抗体の相補性決定領域のアミノ酸ランダム化によってライブラリーを作製して、バイオパニング法を用いて親和性が成熟した抗体を選別し、最終的にC225抗体と類似した親和度を有する抗体(ER2及びER79)を選別した。
【0022】
抗体ER2の場合、重鎖可変領域のCDR1、CDR2及びCDR3はそれぞれ配列番号1、2及び3のアミノ酸配列を有し、軽鎖可変領域のCDR1、CDR2及びCDR3はそれぞれ配列番号4、5及び6のアミノ酸配列を有する。一方、抗体ER79の重鎖可変領域のCDR1、CDR2及びCDR3はそれぞれ配列番号1、2及び3のアミノ酸配列を有し、軽鎖可変領域のCDR1、CDR2及びCDR3はそれぞれ配列番号9、5及び6のアミノ酸配列を有する。
【0023】
本発明の抗体の重鎖定常領域及び軽鎖定常領域はヒト抗体のそれと同一であってもよく、好ましくはそれぞれ配列番号43及び配列番号44のアミノ酸配列を有するアミノ酸であってもよい。
【0024】
本発明は、それぞれ配列番号1、配列番号2及び配列番号3のアミノ酸配列を有するCDR1、CDR2及びCDR3を含む抗体重鎖可変領域をコードするDNAを提供する。好ましくは、前記DNAは前記配列番号1のアミノ酸配列をコードする配列番号11のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチド、前記配列番号2のアミノ酸配列をコードする配列番号12のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチド及び前記配列番号3のアミノ酸配列をコードする配列番号13のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドを含むことができる。
【0025】
本発明は、配列番号7のアミノ酸配列を有する抗体重鎖可変領域をコードするDNAを提供する。好ましくは、前記DNAは前記配列番号7のアミノ酸配列をコードする配列番号14のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドを含むことができる。
【0026】
また、本発明は、それぞれ配列番号4、配列番号5及び配列番号6のアミノ酸配列を有するCDR1、CDR2及びCDR3を含む抗体軽鎖可変領域をコードするDNAを提供する。好ましくは、前記DNAは前記配列番号4のアミノ酸配列をコードする配列番号15のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチド、前記配列番号5のアミノ酸配列をコードする配列番号16のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチド及び前記配列番号6のアミノ酸配列をコードする配列番号17のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドを含むことができる。
【0027】
本発明は、配列番号8のアミノ酸配列を有する抗体軽鎖可変領域をコードするDNAを提供する。好ましくは、前記DNAは前記配列番号8のアミノ酸配列をコードする配列番号18のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドを含むことができる。
【0028】
また、本発明は、それぞれ配列番号9、配列番号5及び配列番号6のアミノ酸配列を有するCDR1、CDR2及びCDR3を含む抗体軽鎖可変領域をコードするDNAを提供する。好ましくは、前記DNAは前記配列番号9のアミノ酸配列をコードする配列番号19のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチド、前記配列番号5のアミノ酸配列をコードする配列番号16のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチド及び前記配列番号6のアミノ酸配列をコードする配列番号17のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドを含むことができる。
【0029】
本発明は、配列番号10のアミノ酸配列を有する抗体軽鎖可変領域をコードするDNAを提供する。好ましくは、前記DNAは前記配列番号10のアミノ酸配列をコードする配列番号20のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドを含むことができる。
【0030】
本発明は、前記抗体の重鎖可変領域をコードするDNAを含む、上皮成長因子受容体(EGFR)に特異的に結合する抗体の重鎖可変領域を発現させる発現ベクターを提供する。好ましくは、前記発現ベクターは図5にマップが示されている「ER2−Heavy−pRC13」または「ER79−Heavy−pRC13」であり得る。
【0031】
具体的に、前記ベクターは、親和性成熟プロセスによって選別した抗体のVH断片(1−a:ER2Ab−Hまたは1−b:ER79Ab−H)を適したベクター、例えば、pRC13ベクター(受託番号KCLRF−BP−00054;韓国特許登録第523732号)に挿入して製造されうる。
【0032】
本発明は、前記抗体の軽鎖可変領域をコードするDNAを含む、上皮成長因子受容体(EGFR)に特異的に結合する抗体の軽鎖可変領域を発現させる発現ベクターを提供する。好ましくは、前記発現ベクターは図6にマップが示されている「ER2−Light−pKC12」または図7にマップが示されている「ER79−Light−pKC12」であり得る。
【0033】
具体的に、前記ベクターは、親和性成熟プロセスによって選別した抗体のそれぞれのVL断片(2−a:ER2Ab−Lまたは2−b:ER79Ab−L)を適したベクター、例えば、pKC12ベクター(受託番号KCLRF−BP―00054;韓国特許登録第523732号)に挿入して製造されうる。
【0034】
本発明は、本発明の抗体の重鎖可変領域を発現させる発現ベクター及び本発明の抗体の軽鎖可変領域を発現させる発現ベクターで形質転換された動物細胞株を提供する。前記本発明の抗体の重鎖可変領域を発現させる発現ベクターは、好ましくはER2−Heavy−pRC13またはER79−Heavy−pRC13であり得て、本発明の抗体の軽鎖可変領域を発現させる発現ベクターは、好ましくはER2−Light−pKC12またはER79−Light−pKC12であり得る。前記動物細胞株はCHO(チャイニーズハムスター卵巣)、HEK293またはNSO細胞株、好ましくはCHO(チャイニーズハムスター卵巣)細胞株であり得る。
【0035】
本発明による抗体は前記重鎖可変領域及び軽鎖可変領域が互いに結合されることで製造されうる。
【0036】
本発明の抗体の抗原に対する親和度は、例えば、競合ELISA(Kim et al.、Hybridoma、20、265−272、2001)によって測定されうる。図9から分かるように、本発明のER2抗体の親和度はC225抗体と類似する一方、ER79抗体の親和度はC225抗体よりも2倍低い。また、前記抗体らは癌細胞株で過剰発現された上皮成長因子受容体に結合することがフローサイトメーター(FACS)を用いて立証され(図10)、乳癌細胞における上皮成長因子受容体のリン酸化阻害実験を通じて中和能を有することが確認された(図11)。したがって、本発明の抗体は上皮成長因子受容体を通じたシグナル伝逹を抑制することで癌治療用抗体として使用されうる。
【0037】
前記結果に鑑み、本発明は、前記抗体を含む癌治療用組成物、好ましくは医薬組成物を提供する。前記組成物はシスプラチン、ゲムシタビン、ドキソルビシン、5−FU、イリノテカン及びパクリタキセルからなる群から選択される少なくとも一つをさらに含むことができる。
【0038】
前記組成物は活性成分としてER2またはER79抗体またはこれを含有する形質転換体を含み、さらに前記活性成分と同一または類似した機能を有する一つ以上の有効成分を含む。前記活性成分に加えて、本発明の組成物は、食塩水、滅菌水、リンガー液、緩衝食塩水、デキストロース溶液、マルトデキストリン溶液、グリセリン、エタノール、リポソーム及び前記成分のいずれか一つ以上を含む混合物のような、一つ以上の医薬に許容可能な担体を含むことができる。必要な場合、抗酸化剤、緩衝剤、及び静菌剤のような一般的な添加剤をさらに添加してもよい。本発明の組成物は、希釈剤、分散剤、界面活性剤、結合剤及び潤滑剤と混合することによって水溶液、注射用懸濁液及び乳濁液、丸剤、カプセル剤、顆粒または錠剤を含む多様な形態で剤形化され得る。標的細胞特異的抗体またはその他のリガンドを前記担体のいずれか一つと混合して標的細胞へ送達することができる。また、前記組成物は文献[Remington’s Pharmaceutical Science、Mack Publishing Company、Easton PA]に提示された下記方法によって成分に応じて適した形態で製造され得る。
【0039】
本発明の医薬組成物は、非経口で(例えば、静脈内、皮下、腹腔、または局所注射)投与されることができ、静脈内注射が好ましい。固形癌の場合、抗体の迅速かつ容易な接近を助ける局所投与がより好ましい。組成物の有効量は、体重、年齢、性別、健康状態、食餌、投与頻度、投与方法、排泄及び疾病の重症度によって決定され得る。ヒト抗体または形質転換体を約5〜500mg/m2含有する組成物の1回用量を、一日または一週間ごとに投与することができる。前記有効量は悪性腫瘍患者を治療する医者によって調節され得る。
【0040】
本発明の医薬組成物は単独または悪性腫瘍を治療するための外科的手術、ホルモン療法、化学療法及び生物学的調節剤とともに投与され得る。
【0041】
下記の実施例は、本発明を単に詳細に説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例1】
【0042】
実施例1:RNAの分離
上皮成長因子受容体に特異的に結合する抗体を選別するため、ヒト抗体ライブラリーを構築した。ヒト骨髄全RNA、ヒト胸腺全RNA、ヒト脾臓全RNA及びヒトB細胞RNAの混合物を用いた。ヒトB細胞RNAを除いた全てのRNAはClontech社(米国)から購入し、ヒトB細胞RNAは下記のように分離した。
【0043】
健康な成人から採血した50mLの血液を50mLのHBSS(ハンクス平衡塩液;Sigma社製、米国)と混合して希釈した。50mLチューブにHistoprep(Sigma社製)10mLを入れて、ここに希釈された血液20mLを添加した。前記混合物を3,000rpmで遠心分離して白血球を分離した。前記分離された白血球2mLを6mLのHBSSと混合した後、1000rpmで遠心分離した。白血球100μLを1mLのトリゾル(Life Technology社製、米国)と混合してRNAを分離した。
【0044】
一方、前記分離されたRNAを蒸留水で希釈した後、260nmで吸光度を測定してその量を計算した(1.8μg/μL;ウルトラスペック(Ultrospec)2000紫外−可視分光光度計、GE社製、米国)。詳しい方法は次のようである。
【0045】
トリゾル1mLを白血球100μLに添加してよく振盪させた後、室温で5分間放置した。それから、クロロホルム200μLを加え、15秒間強く振盪させた後3分間放置した。その後、前記混合物を2〜8℃、15分及び15,000rpmの条件下で遠心分離して、上澄み液を新しいチューブに移した。イソプロピルアルコール500μLを入れてよく混ぜた後、室温で10分間放置した。その後、2〜8℃で5分間15,000rpmで遠心分離して、上澄み液を取り除いた。75%エタノール1mLを入れて、前記混合物を2〜8℃、5分及び15,000rpmの条件下で遠心分離してエタノールを取り除いた後、RNAペレットを室温で5分間乾燥させた。ここに蒸留水150μLを入れてRNAペレットを懸濁した後、前記懸濁液の吸光度を260nmで測定した。残りは−20℃で保管した。
【実施例2】
【0046】
実施例2:抗体遺伝子の増幅
実施例1で分離したRNA1μg及びpd(T)12−18(0.5μg/μL)1μLを最終体積が12.5μLになるように蒸留水を入れて混合した。前記混合物を70℃で2分間反応させて氷浴で冷却させた。それから、ここに5X反応緩衝液、10mM dNTP混合物、組換え型RNase阻害剤(recombinant RNase inhibitor)、MMLV逆転写酵素(Clontech社製、米国)を添加して最終体積を20μLに合わせた後、42℃で1時間、95℃で5分間反応させてcDNAを合成した。LiquiMix QM Premix、Magenta(Neurotics Inc社製、韓国)、鋳型として4μLのcDNA、蒸留水19μL、ならびに重鎖可変領域及び軽鎖可変領域(κ及びλ)に結合するように考案されたそれぞれのプライマー1μLを用いてPCR反応を行った。PCRに用いられたプライマー及びこれらのヌクレオチド配列が表1に示されている。
<表1>
PCR反応で用いたプライマー
【表1】
【0047】
PCR反応は、95℃で5分、55℃で2分、72℃で2分で30回行なった後、最後に72℃で15分間行った。
【0048】
このように増幅された抗体DNAを1.2%アガロースゲルで電気泳動して確認した(図1)。図1から分かるように、重鎖及び軽鎖(κ及びλ)可変領域に当たる350bpのDNAバンドを得た。図1において、Mはサイズマーカーを、VHは重鎖可変領域(レーン1:重鎖可変領域I型、レーン2:重鎖可変領域III型、及びレーン3:重鎖可変領域IV型)を、VLは軽鎖可変領域(レーン4:軽鎖可変領域1/3κ、レーン5:軽鎖可変領域2κ、及びレーン6:軽鎖可変領域λ)を示す。
【実施例3】
【0049】
実施例3:抗体DNAの制限酵素切断
実施例2で製造したVH及びVL(κ及びλ)をそれぞれ制限酵素SfiI/BspEI及びBspEI/NotIで切断し、切断された断片を1.2%アガロースゲルから分離した後、キアゲンキットを用いて精製した。
【実施例4】
【0050】
実施例4:抗体DNAのライゲーション及びライブラリーの製造
ファージ−ディスプレイベクターpKS4H(緑十字社製、韓国、韓国特許登録第0635370号参照)を制限酵素SfiI/BspEIを用いて切断し、1.2%アガロースゲル電気泳動を用いて分離した後、キアゲンキットを用いて精製した。30μgのpKS4Hを実施例3で製造した3μgのVHと混合し、ここにT4 DNAリガーゼ(New England BioLabs社製、米国)を添加した後、25℃で一晩反応させた。前記ライゲーション混合物をキアゲンキットを用いて精製して大膓菌XL1−blue(Stratagene社製、米国)に電気穿孔法で形質転換させた。前記形質転換体を100mLの培地で一晩培養した後、プラスミドを分離した。前記プラスミドを「pKS4H−VH−ΔVL」と命名した。
【0051】
前記プラスミドpKS4H−VH−ΔVLを制限酵素BspEI/NotIで切断して前述のように精製した。次いで、30μgのpKS4H−VH−ΔVLプラスミドを実施例3で製造された3μgのVL PCR DNA及びT4 DNAリガーゼ(New England BioLabs社製、米国)と混合し、25℃で一晩反応させた。前記ライゲーション混合物をキアゲンキットを用いて精製して大膓菌XL1−blueに電気穿孔法で形質転換させた。前記形質転換体をカルベニシリン及びテトラサイクリンが含有された100mLの培地で37℃で2時間培養した。それから、前記培地にM13ヘルパーファージ(Stratagene社製、米国)を播種して16時間培養してエングバーグら(Engberg et al.、Mol. Biotechnol.、6、287−310、1996)によって報告されたように、ファージライブラリーを製造した。一方、前記大膓菌からプラスミドを分離し、これを「pKS4H−VH−VL」と命名した。前記プラスミドのマップが図2に示されている。
【実施例5】
【0052】
実施例5:上皮成長因子受容体に結合する抗体の選別
EGFRに結合する抗体をパニング法(Engberg et al.、Mol. Biotechnol.、6、287−310、1996;及びKim et al.、Gene、241、19−25、2000)の改変法によって選別した。具体的には、EGFR(Sigma社製、米国)をPBSで希釈して各イムノチューブ(immunotube、NUNC社製、デンマーク)上にコーティングした。次いで、前記コーティングされたイムノチューブに実施例4で製造したファージライブラリーを加えて37℃で2時間反応させた。EGFRに結合したファージを0.1Mのグリシンバッファー(pH2.0)で溶離した。その後、大膓菌XL1−blueを前記ファージに感染させ、ヘルパーファージを添加した。前記大膓菌を37℃で一晩培養して、ここに20%PEG8,000及び15%NaClを含む溶液を添加した。それから、沈澱したファージを回収して(ファージレスキュー)、ファージを再びEGFR−コーティングされたイムノチューブに反応させ、前記パニング手順を4回繰り返した。前記手順を通じてEGFRに結合するヒト抗体であるER2及びER79を選別した。ファージディスプレイライブラリーを用いて抗体を選別する工程を図3に示した。
【0053】
4回目のパニングから得られた各コロニーを前述した方法(Kim et al.、Gene、241、19−25、2000)によって2mLの培地で成長させ、IPTG(イソプロピル β−D−1−チオガラクトピラノシド)で処理して抗体発現を誘導した。抗体誘導をEFGRがコーティングされた96−ウェルプレートを用いてELISA(酵素結合免疫吸着測定法)によって測定した。
【実施例6】
【0054】
実施例6:選別された抗体の配列分析
前記実施例5で選別したヒト抗体ER2及びER79を分泌するコロニーを50μg/mLのカルベニシリンを含むLB培地10mLで一晩培養した後、キアゲンプラスミドミニキット(Qiagen社製、Valencia、CA、米国)を用いてプラスミドを分離した。前記プラスミドを制限酵素SfiI/NotIで切断した後、アガロースゲル電気泳動によって抗体の断片の挿入を確認した。プラスミドに挿入されたscFvのDNA配列を分析した。
【0055】
scFvのヌクレオチド配列をGenotech社(大田、韓国)でシークエンスプライマーである配列番号38のp033で分析した。ER2、ER79及びM96(マウス抗体)のscFvのDNA配列をウェブ基盤のプログラム(www.expasy.org:DNAからタンパク質への翻訳ツール(DNA to Protein translate tool))を用いてアミノ酸に翻訳し、前記翻訳されたアミノ酸配列が図4に示されている。図4において、M96、ER2及びER79はそれぞれM96(マウス抗体)及び本発明のER2及びER79のscFvのアミノ酸配列を示す。図4から分かるように、ヒト抗体ER2及びER79は相違するアミノ酸配列を有していた。
【実施例7】
【0056】
実施例7:発現ベクターの製造
抗体断片を完全な形態の免疫グロブリンに転換するため、抗体発現ベクターpRC13及びpKC12(B型肝炎ウイルスの表面抗原に対するヒト抗体の可変領域を挿入するためのプラスミド;韓国特許第523732号;受託番号KCLRF−BP−00054)を使用した。
【0057】
各VH断片を重鎖発現ベクターpRC13のHindIII及びApaI部位内に挿入した。図5に例示されたように、ヒト抗体ER2及びER79の重鎖可変領域(VH)をコードするDNAを配列番号39及び40のそれぞれのプライマーを用いてPCRによって増幅させ、HindIII/ApaIで切断した後、同一の制限酵素で切断したpRC13内に挿入した。前記組換えベクターを「ER2−Heavy−pRC13」または「ER79−Heavy−pRC13」と命名した。前記用いたプライマーを表2に示した。
<表2>
PCR反応で用いたプライマー
【表2】
【0058】
一方、各VL断片を軽鎖発現ベクターpKC12のNheI及びApaI部位内に挿入した。図6及び7に例示されたように、ヒト抗体ER2及びER79の軽鎖可変領域(VL)をコードするそれぞれのDNAを配列番号41及び42のそれぞれのプライマーを用いてPCRによって増幅させ、NheI/ApaIで切断した後、同一の制限酵素で切断したpKC12内に挿入した。前記組換えベクターを「ER2−Light−pKC12」または「ER79−Light−pKC12」と命名した。前記用いたプライマーを表3に示した。
<表3>
PCR反応で用いたプライマー
【表3】
【実施例8】
【0059】
実施例8:抗体を分泌する動物細胞株の製造
トランスフェクションの24時間前に、2×105個のCHO(チャイニーズハムスター卵巣)細胞を5%CO2の存在下で37℃培養器で10%のFBS(Life Technologies社製、米国)を含むα−MEM培地(Life Technologies社製、米国)が入っているT−25フラスコ(NUNC社製、デンマーク)で密集度(confluency)が50%に到逹するまで培養した。それから、30μgのリポフェクチン(Life Technologies社製、米国)を1.5mLのオプティ(opti)−MEM(Life Technologies社製、米国)に添加して室温で90分間放置した。同時にER2−Heavy−pRC13 8μg & ER2−Light−pKC12 7μg、ER79−Heavy−pRC13 8μg & ER79−Light−pKC12 7μgを混合してオプティ−MEM培地で1.5mLにした後、室温で90分間培養した。90分後、リポフェクチンを含有する培地を、それぞれER2−Heavy−pRC13 & ER2−Light−pKC12及びER79−Heavy−pRC13 & ER79−Light−pKC12を含有する培地と混合した後、室温で15分間反応させた。反応中に細胞から培地を除去し、前記細胞をトランスフェクションのためにPBSで3回洗浄した。前記洗浄された細胞に前記反応混合物を加えて6時間培養した。6時間後、前記反応混合物を除去した後、α−MEM培地を入れて48時間培養した。それから、細胞をトリプシン(Life Technologies社製、米国)で処理してフラスコから剥離した後、α−MEM培地で希釈して96ウェルプレート(NUNC社製、デンマーク)にて継代した。この時、α−MEM培地はリボヌクレオシド及びデオキシリボヌクレオシドを含有しない一方、10%の透析FBS(Life Technologies社、米国)及び550μg/mLのG418(Sigma社製、米国)を含有する。前記培地を2日ごとに新しい培地に取り替えた。コロニーを形成した培養上清液をELISAによる抗体発現のために回収した後、選別された細胞を12−ウェルプレートに移した。前記細胞を6−ウェルプレートに移してメトトレキセート(MTX、中外製薬社製、韓国)処理をした。MTXの初期濃度は20nMであり、細胞適応度に応じて80nM、320nM及び1μMに増加させた。1μMの濃度で生存しながら抗体分泌量の高い細胞株を選別した。スピナーフラスコと無血清培地を用いて、65rpm、5%CO2及び37℃の培養器で大量培養を行った。108細胞を100mLの無血清培地が入っている250mLスピナーフラスコで培養した。細胞数が初期播種の2倍になると、1,000rpmで5分間遠心分離して細胞を回収した。回収した細胞を200mLの培地が入っている500mLスピナーフラスコで再培養した。細胞数が初期播種の2倍になると、1,000rpmで5分間遠心分離して細胞を回収してこれを1Lの培地が入っている3Lスピナーフラスコに移した。ここに酪酸ナトリウム(Aldrich社製、米国)を最終濃度2mMになるように添加し、細胞を5日間培養した後、培地から培養上清液を回収した。スピナーフラスコで回収した上清液から、タンパク質A−アガロースコラム(Amersham Pharmacia Biotech社製、米国)を用いて抗体を精製し、これをSDS−PAGEによって分析した。
【0060】
図8に示したように、約50kDaの重鎖バンド及び25kDaの軽鎖バンドが観察され、これは抗体が正しく合成されたことを示す。
【実施例9】
【0061】
実施例9:抗体親和度の測定
実施例8で得られた抗体のEGFRに対する親和度を競合ELISA法(Kim et al.、Hybridoma、20、265−272、2001)によって測定し、その結果を図9に示した。簡略な手順は次のようである。
【0062】
(1)適正抗体濃度の決定
A.プレートの準備
PBSで2μg/mLで希釈した100μLのEGFR(Sigma社製、米国)をELISAプレートの各ウェルに添加して4℃で一晩培養した。プレートの各ウェルをPBSTで1回洗浄した後、各ウェルに300μLの1%BSA−PBS溶液を加えて室温で1時間培養した。
B.1次反応
連続希釈した各精製抗体(0.5μg/mL)100μLをプレートの各ウェルに添加して、室温で2時間培養した後、PBSTで4回洗浄した。
C.2次反応
1%BSA−PBS溶液で1:5000で希釈したヤギ抗ヒトIgG(Fab特異的)−ペルオキシダーゼ複合体(Sigma社製)100μLを各ウェルに添加して、室温で1時間反応させた後、PBSTで4回洗浄した。
D.基質反応
100μLのTMB(3,3′,5,5′−テトラメチルベンジジン、マイクロウェルペルオキシダーゼ基質システム(Microwell peroxidase substrate system)(KPL、MD、米国))を各ウェルに添加した後、405nmでO.D値を測定した。適正抗体濃度をEGFR−コーティングされたプレートに対して最大半量結合(half−maximum binding)を示す抗体濃度で決定した。
【0063】
(2)競合ELISA
A.プレートの準備
PBSで2μg/mLで希釈した100μLのEGFR(Sigma社製、米国)をELISAプレートの各ウェルに添加して4℃で一晩培養した。各ウェルをPBSTで1回洗浄した後、各ウェルに300μLの1%BSA−PBS溶液を加えて室温で1時間培養した。
B.1次反応
2μgのEGFRに2倍連続希釈して、前記希釈された10μLのEGFRをプレートの各ウェルに添加した。次いで、前記(1)で決定された適正濃度で希釈された90μLの抗体を各ウェルに添加して、室温で2時間培養した後、PBSTで4回洗浄した。
C.2次反応
1%BSA−PBS溶液で1:5000で希釈したヤギ抗ヒトIgG(Fab特異的)−ペルオキシダーゼ複合体(Sigma社製)100μLを各ウェルに添加して、室温で1時間反応させた後、PBSTで4回洗浄した。
D.基質反応
100μLのTMB(3,3′,5,5′−テトラメチルベンジジン、マイクロウェルペルオキシダーゼ基質システム(KPL社製、MD、米国))を各ウェルに添加した後、405nmでO.D値を測定した。最大結合量(競合するEGFRが存在しないO.D値)の50%を抑制するEGFRの濃度をKdとして決定した。
【0064】
図9から分かるように、キメラ抗体(C225)と比較すると、ヒト抗体ER2は類似した親和度を示し、ER79はほぼ63%程度の親和度を示した。また、本発明の抗体らの親和度はER414(バイオパニング以前のヒト抗体)よりもさらに高かった。
【実施例10】
【0065】
実施例10:腫瘍細胞株における上皮成長因子受容体に対する本発明の抗体の結合確認
腫瘍細胞株で過剰発現されたEGFRに対する本発明の抗体であるER2及びER79の結合をFACSによって確認した。要するに、EGFRを過剰発現する皮膚癌(epidermoid carcinoma)細胞株であるA431細胞株(受託番号KCLB 80005)を1%BSA−PBSで洗浄した。前記洗浄された細胞(1×106細胞)を10μgの本発明の抗体とともに4℃で2時間培養した後、1%BSA−PBSで2回洗浄した。Mock(抗体なし)及び10μgのhTT−2(抗破傷風モノクローナル抗体、緑十字社製、韓国特許第0624011号)を陰性対照群として用い、10μgのM96(マウス抗−EGFR)を陽性対照群として用いた。FITC−標識ヤギ抗マウス抗体(Fab特異的)複合体を加えて氷上で40分間培養した。前記細胞を1%BSA−PBSで2回洗浄した後、1mLの1%BSA−PBSに懸濁させてフローサイトメトリー(製品名:FACS Calibur、BD Biosciences社製)で分析した。実験結果が図10に示されている。これらの結果は、本発明の抗体であるER2及びER79はA431細胞でEGFRに結合する一方、hTT−2(抗破傷風モノクローナル抗体)は結合しないことを示す。
【実施例11】
【0066】
実施例11:EGFRリン酸化における本発明の抗体の効果
本発明の抗体ER2及びER79のEGFRリン酸化を抑制する能力を試した。要するに、乳癌細胞株であるMDA−MB−231細胞(受託番号KCLB 30026)を24−ウェルプレート(NUNC)に1×105の細胞濃度で培養した。2日後、各ウェルに本発明の抗体をそれぞれ5μg、25μg、50μg及び100μgの量で加えた後、50ngのEGFを各ウェルに加えて30分間培養した。比較のため、M96抗体(緑十字社製、韓国、韓国特許第0680141号)、C225抗体(製品名:Erbitux、ImClone社製、米国)、及びER414抗体を使用した。ウェル当り0.5mLの溶解バッファー(lysis buffer;10mM Tris、150mM NaCl、5mM EDTA、1%Triton X−100、1mM オルトバナジン酸ナトリウム)を用いて細胞抽出物を製造した。前記細胞抽出物をSDS−PAGEを行い、分離したタンパク質バンドをニトロセルロース膜に転写した。前記膜を5%BSA溶液を用いて30分間ブロッキングした後、リン酸化されたEGFRと特異的に反応する抗ホスホチロシン特異的ペルオキシダーゼ複合体(Zymed社、米国)を用いて4℃で一晩免疫ブロッティングした。前記免疫ブロットされた膜をPBSTで洗浄してPBS及びメタノール中の0.018%(v/v)4−クロロ−1−ナフトール及び0.045%過酸化水素の基質を用いて発色反応をさせた。その結果を図11に示した。これらの結果は抗体の量がEGFRリン酸化に影響を与え、Erbituxで処理された陽性対照群と比較してER2及びER79が類似したEGFRリン酸化の抑制能を有することを示す。
【実施例12】
【0067】
実施例12:EGFRに対する抗体の結合部位の確認
本発明の抗体ER2及びER79がキメラ抗体C225(Erbitux、ImClone社製、米国)とEGFRに対して同一の結合部位を有するか否かを確認するために表面プラズモン共鳴法(SPR;Biacore 2000)を使用した。EGFR抗原をカルボキシメチル化したデキストラン表面チップ(carboxymethylated dextran surface chip)(CM5 chip:Pharmacia社製)に約1,000の反応単位(response unit)で固定化した。その後、C225抗体をチップ上に注入して、抗原と抗体の解離過程なしに直ちにER2とER79とをそれぞれ注入した後、結合反応を25℃で測定した。その結果を図12に示した。本発明のヒト抗体はC225抗体と異なる結合部位を有することが示された。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)それぞれ配列番号1、配列番号2及び配列番号3のアミノ酸配列を有する相補性決定領域(CDR)1、2及び3を含む重鎖可変領域と、
b)それぞれ配列番号4、配列番号5及び配列番号6のアミノ酸配列を有するCDR1、CDR2及びCDR3を含む軽鎖可変領域と、
c)重鎖定常領域と、
d)軽鎖定常領域と
を含む、上皮成長因子受容体(EGFR)に特異的に結合する抗体。
【請求項2】
a)配列番号7のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、
b)配列番号8のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域と、
c)重鎖定常領域と、
d)軽鎖定常領域と
を含む請求項1に記載の上皮成長因子受容体(EGFR)に特異的に結合する抗体。
【請求項3】
a)それぞれ配列番号1、配列番号2及び配列番号3のアミノ酸配列を有するCDR1、CDR2及びCDR3を含む重鎖可変領域と、
b)それぞれ配列番号9、配列番号5及び配列番号6のアミノ酸配列を有するCDR1、CDR2及びCDR3を含む軽鎖可変領域と、
c)重鎖定常領域と、
d)軽鎖定常領域と
を含む、上皮成長因子受容体(EGFR)に特異的に結合する抗体。
【請求項4】
a)配列番号7のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、
b)配列番号10のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域と、
c)重鎖定常領域と、
d)軽鎖定常領域と
を含む請求項3に記載の上皮成長因子受容体(EGFR)に特異的に結合する抗体。
【請求項5】
前記抗体がヒト抗体である請求項1〜4のいずれか一つに記載の上皮成長因子受容体(EGFR)に特異的に結合する抗体。
【請求項6】
前記抗体が上皮成長因子(EGF)によって誘導されるシグナル伝逹を遮断する請求項1〜4のいずれか一つに記載の上皮成長因子受容体(EGFR)に特異的に結合する抗体。
【請求項7】
それぞれ配列番号1、配列番号2及び配列番号3のアミノ酸配列を有するCDR1、CDR2及びCDR3を含む抗体重鎖可変領域をコードするDNA。
【請求項8】
前記DNAが配列番号1のアミノ酸配列をコードする配列番号11のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチド、配列番号2のアミノ酸配列をコードする配列番号12のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチド、及び配列番号3のアミノ酸配列をコードする配列番号13のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドを含む請求項7に記載のDNA。
【請求項9】
配列番号7のアミノ酸配列を有する抗体重鎖可変領域をコードするDNA。
【請求項10】
前記DNAが配列番号7のアミノ酸配列をコードする配列番号14のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドを含む請求項9に記載のDNA。
【請求項11】
それぞれ配列番号4、配列番号5及び配列番号6のアミノ酸配列を有するCDR1、CDR2及びCDR3を含む抗体軽鎖可変領域をコードするDNA。
【請求項12】
前記DNAが配列番号4のアミノ酸配列をコードする配列番号15のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチド、配列番号5のアミノ酸配列をコードする配列番号16のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチド、及び配列番号6のアミノ酸配列をコードする配列番号17のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドを含む請求項11に記載のDNA。
【請求項13】
配列番号8のアミノ酸配列を有する抗体軽鎖可変領域をコードするDNA。
【請求項14】
前記DNAが配列番号8のアミノ酸配列をコードする配列番号18のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドを含む請求項13に記載のDNA。
【請求項15】
それぞれ配列番号9、配列番号5及び配列番号6のアミノ酸配列を有するCDR1、CDR2及びCDR3を含む抗体軽鎖可変領域をコードするDNA。
【請求項16】
前記DNAが配列番号9のアミノ酸をコードする配列番号19のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチド、配列番号5のアミノ酸配列をコードする配列番号16のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチド、及び配列番号6のアミノ酸配列をコードする配列番号17のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドを含む請求項15に記載のDNA。
【請求項17】
配列番号10のアミノ酸配列を有する抗体軽鎖可変領域をコードするDNA。
【請求項18】
前記DNAが配列番号10のアミノ酸配列をコードする配列番号20のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドを含む請求項17に記載のDNA。
【請求項19】
請求項7に記載のDNAを含む、上皮成長因子受容体(EGFR)に特異的に結合する抗体の重鎖可変領域を発現させる発現ベクター。
【請求項20】
前記ベクターが、図5にマップが示されているER2−Heavy−pRC13またはER79−Heavy−pRC13である請求項19に記載の発現ベクター。
【請求項21】
請求項11に記載のDNAを含む、上皮成長因子受容体(EGFR)に特異的に結合する抗体の軽鎖可変領域を発現させる発現ベクター。
【請求項22】
前記ベクターが、図6にマップが示されているER2−Light−pKC12である請求項21に記載の発現ベクター。
【請求項23】
請求項15に記載のDNAを含む、上皮成長因子受容体(EGFR)に特異的に結合する抗体の軽鎖可変領域を発現させる発現ベクター。
【請求項24】
前記ベクターが、図7にマップが示されているER79−Light−pKC12である請求項23に記載の発現ベクター。
【請求項25】
請求項19に記載の発現ベクター及び請求項21に記載の発現ベクターで形質転換された動物細胞株。
【請求項26】
前記動物細胞株がCHO(チャイニーズハムスター卵巣)、HEK293、またはNSO細胞株である請求項25に記載の動物細胞株。
【請求項27】
請求項19に記載の発現ベクター及び請求項23に記載の発現ベクターで形質転換された動物細胞株。
【請求項28】
前記動物細胞株がCHO(チャイニーズハムスター卵巣)、HEK293またはNSO細胞株である請求項27に記載の動物細胞株。
【請求項29】
請求項1又は3に記載の抗体を含む癌治療用組成物。
【請求項30】
前記組成物がシスプラチン、ゲムシタビン、ドキソルビシン、5−FU、イリノテカン及びパクリタキセルからなる群から選択される少なくとも一つをさらに含む請求項29に記載の癌治療用組成物。
【請求項1】
a)それぞれ配列番号1、配列番号2及び配列番号3のアミノ酸配列を有する相補性決定領域(CDR)1、2及び3を含む重鎖可変領域と、
b)それぞれ配列番号4、配列番号5及び配列番号6のアミノ酸配列を有するCDR1、CDR2及びCDR3を含む軽鎖可変領域と、
c)重鎖定常領域と、
d)軽鎖定常領域と
を含む、上皮成長因子受容体(EGFR)に特異的に結合する抗体。
【請求項2】
a)配列番号7のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、
b)配列番号8のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域と、
c)重鎖定常領域と、
d)軽鎖定常領域と
を含む請求項1に記載の上皮成長因子受容体(EGFR)に特異的に結合する抗体。
【請求項3】
a)それぞれ配列番号1、配列番号2及び配列番号3のアミノ酸配列を有するCDR1、CDR2及びCDR3を含む重鎖可変領域と、
b)それぞれ配列番号9、配列番号5及び配列番号6のアミノ酸配列を有するCDR1、CDR2及びCDR3を含む軽鎖可変領域と、
c)重鎖定常領域と、
d)軽鎖定常領域と
を含む、上皮成長因子受容体(EGFR)に特異的に結合する抗体。
【請求項4】
a)配列番号7のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、
b)配列番号10のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域と、
c)重鎖定常領域と、
d)軽鎖定常領域と
を含む請求項3に記載の上皮成長因子受容体(EGFR)に特異的に結合する抗体。
【請求項5】
前記抗体がヒト抗体である請求項1〜4のいずれか一つに記載の上皮成長因子受容体(EGFR)に特異的に結合する抗体。
【請求項6】
前記抗体が上皮成長因子(EGF)によって誘導されるシグナル伝逹を遮断する請求項1〜4のいずれか一つに記載の上皮成長因子受容体(EGFR)に特異的に結合する抗体。
【請求項7】
それぞれ配列番号1、配列番号2及び配列番号3のアミノ酸配列を有するCDR1、CDR2及びCDR3を含む抗体重鎖可変領域をコードするDNA。
【請求項8】
前記DNAが配列番号1のアミノ酸配列をコードする配列番号11のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチド、配列番号2のアミノ酸配列をコードする配列番号12のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチド、及び配列番号3のアミノ酸配列をコードする配列番号13のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドを含む請求項7に記載のDNA。
【請求項9】
配列番号7のアミノ酸配列を有する抗体重鎖可変領域をコードするDNA。
【請求項10】
前記DNAが配列番号7のアミノ酸配列をコードする配列番号14のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドを含む請求項9に記載のDNA。
【請求項11】
それぞれ配列番号4、配列番号5及び配列番号6のアミノ酸配列を有するCDR1、CDR2及びCDR3を含む抗体軽鎖可変領域をコードするDNA。
【請求項12】
前記DNAが配列番号4のアミノ酸配列をコードする配列番号15のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチド、配列番号5のアミノ酸配列をコードする配列番号16のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチド、及び配列番号6のアミノ酸配列をコードする配列番号17のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドを含む請求項11に記載のDNA。
【請求項13】
配列番号8のアミノ酸配列を有する抗体軽鎖可変領域をコードするDNA。
【請求項14】
前記DNAが配列番号8のアミノ酸配列をコードする配列番号18のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドを含む請求項13に記載のDNA。
【請求項15】
それぞれ配列番号9、配列番号5及び配列番号6のアミノ酸配列を有するCDR1、CDR2及びCDR3を含む抗体軽鎖可変領域をコードするDNA。
【請求項16】
前記DNAが配列番号9のアミノ酸をコードする配列番号19のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチド、配列番号5のアミノ酸配列をコードする配列番号16のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチド、及び配列番号6のアミノ酸配列をコードする配列番号17のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドを含む請求項15に記載のDNA。
【請求項17】
配列番号10のアミノ酸配列を有する抗体軽鎖可変領域をコードするDNA。
【請求項18】
前記DNAが配列番号10のアミノ酸配列をコードする配列番号20のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドを含む請求項17に記載のDNA。
【請求項19】
請求項7に記載のDNAを含む、上皮成長因子受容体(EGFR)に特異的に結合する抗体の重鎖可変領域を発現させる発現ベクター。
【請求項20】
前記ベクターが、図5にマップが示されているER2−Heavy−pRC13またはER79−Heavy−pRC13である請求項19に記載の発現ベクター。
【請求項21】
請求項11に記載のDNAを含む、上皮成長因子受容体(EGFR)に特異的に結合する抗体の軽鎖可変領域を発現させる発現ベクター。
【請求項22】
前記ベクターが、図6にマップが示されているER2−Light−pKC12である請求項21に記載の発現ベクター。
【請求項23】
請求項15に記載のDNAを含む、上皮成長因子受容体(EGFR)に特異的に結合する抗体の軽鎖可変領域を発現させる発現ベクター。
【請求項24】
前記ベクターが、図7にマップが示されているER79−Light−pKC12である請求項23に記載の発現ベクター。
【請求項25】
請求項19に記載の発現ベクター及び請求項21に記載の発現ベクターで形質転換された動物細胞株。
【請求項26】
前記動物細胞株がCHO(チャイニーズハムスター卵巣)、HEK293、またはNSO細胞株である請求項25に記載の動物細胞株。
【請求項27】
請求項19に記載の発現ベクター及び請求項23に記載の発現ベクターで形質転換された動物細胞株。
【請求項28】
前記動物細胞株がCHO(チャイニーズハムスター卵巣)、HEK293またはNSO細胞株である請求項27に記載の動物細胞株。
【請求項29】
請求項1又は3に記載の抗体を含む癌治療用組成物。
【請求項30】
前記組成物がシスプラチン、ゲムシタビン、ドキソルビシン、5−FU、イリノテカン及びパクリタキセルからなる群から選択される少なくとも一つをさらに含む請求項29に記載の癌治療用組成物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9a】
【図9b】
【図10】
【図11】
【図12a】
【図12b】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9a】
【図9b】
【図10】
【図11】
【図12a】
【図12b】
【公表番号】特表2013−505736(P2013−505736A)
【公表日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−531990(P2012−531990)
【出願日】平成21年11月2日(2009.11.2)
【国際出願番号】PCT/KR2009/006380
【国際公開番号】WO2011/040668
【国際公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【出願人】(506379781)グリーン・クロス・コーポレイション (5)
【氏名又は名称原語表記】GREEN CROSS CORP.
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月2日(2009.11.2)
【国際出願番号】PCT/KR2009/006380
【国際公開番号】WO2011/040668
【国際公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【出願人】(506379781)グリーン・クロス・コーポレイション (5)
【氏名又は名称原語表記】GREEN CROSS CORP.
【Fターム(参考)】
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