説明

上部体及びこれを備えた建設機械

【課題】側方からの荷重を受けた際のキャブの傾動を有効に抑制することができる上部体及びこれを備えた建設機械を提供すること。
【解決手段】キャブ4は、一対の側部支柱16、17と、一対の後部支柱18、19と、これらの支柱16〜19を連結する梁部材21、24とを備え、キャブ4を補強するための補強部材5は、右側支柱16に設けられ、当該右側支柱16と右梁部材21、横梁部材24のうちの少なくとも一方の部材との連結角度を保持するように、キャブ4に固定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械の上部体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、建設機械は、自走式の下部走行体と、この下部走行体上に設けられた上部体とを備えている。上部体は、前記下部走行体上に設けられたベースフレームと、このベースフレーム上に設けられているとともに内部に運転室が形成されたキャブとを備えている。
【0003】
前記キャブは、運転室の後部に立設された左右一対の後部支柱と、運転室の側部に立設された左右一対の側部支柱と、これら支柱の上部で支持された天井部とを備えている。
【0004】
この種の建設機械においては、転倒時におけるオペレータの安全性を確保する観点から、キャブに対して側方から荷重が付加された場合であっても、運転室内のスペースを大きく保持することができるようにすることが望まれている。
【0005】
そこで、特許文献1では、キャブの天井部の強度を向上することにより、前記荷重に対してキャブを補強することが行われている。
【特許文献1】特開2007−55368号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記特許文献1の技術では、前記荷重を受けたときに、天井部付近において運転室内のスペースが狭くなるのを抑制することができるもの、当該キャブ全体の傾動を効果的に抑えることができないため、この傾動の結果として運転室内のスペースの狭小化を招くおそれがあった。
【0007】
特に、近年ではオペレータの視界を良好にするために、運転室の側方に設けられる前記側部支柱の断面積を小さくしたり、側部支柱自体を省略することも行われているため、前記キャブの傾動を抑えることがより難しい状況となっている。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、側方からの荷重を受けた際のキャブの傾動を有効に抑制することができる上部体及びこれを備えた建設機械を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、自走式の下部走行体上に設けられる建設機械の上部体であって、前記下部走行体上に設けられるベースフレームと、このベースフレーム上に設けられているとともに内部に運転室を有するキャブと、このキャブを補強するための補強部材とを備え、前記キャブは、前記運転室の左右両側位置で前記ベースフレーム上に立設された一対の側部支柱と、これら側部支柱の後方で前記ベースフレーム上にそれぞれ立設された一対の後部支柱と、前記後部支柱とその前方に位置する側部支柱とをそれぞれ前後方向に連結する一対の前後梁部材と、前記各側部支柱同士を左右方向に連結する左右梁部材とを備え、前記補強部材は、各側部支柱の少なくとも一方に設けられ、当該一方の側部支柱と、前後梁部材、左右梁部材のうちの少なくとも一方の部材との連結角度を保持するように、前記キャブに固定されていることを特徴とする建設機械の上部体を提供する。
【0010】
本発明によれば、キャブに固定された補強部材により、側部支柱と前後梁部材又は左右梁部材との節点が補強部材によって固められているため、キャブに対し側方からの荷重を受けた場合であっても、側部支柱の左右方向の傾きを小さなものとすることができる。つまり、キャブが側方から荷重を受けた場合、比較的強度の強い後部支柱を中心としてキャブの前部が回動するように当該キャブの全体が傾動することになるが、このときの側部支柱の動きに着目すると、側部支柱は前記回動方向と同じ方向に捩れを生じることとなる。ここで、本発明では、前記側部支柱と、前後梁部材、左右梁部材のうちの少なくとも一方との連結角度が保持されているため、前記側部支柱の捩れを抑制してキャブの傾動を抑制することができる。
【0011】
したがって、本発明によれば、側方からの荷重を受けた際のキャブの傾動を有効に抑制することができる。
【0012】
具体的に、前記補強部材は、前記側部支柱に固定される支柱固定部と、この支柱固定部から後方へ延びるとともに前記前後梁部材に固定される梁固定部とを一体に有する構成とすることができる。このようにすれば、側部支柱と前後梁部材との連結角度を保持することが可能となる。
【0013】
さらに、前記補強部材は、前記支柱固定部から前方へ延びる延出部を備え、この延出部は、前記運転室の前部で前記ベースフレームに連結されている構成とすることができる。
【0014】
この構成によれば、補強部材をベースフレームに直接固定することにより当該ベースフレームに対して補強部材の位置を保持する能力を高めることができるので、この補強部材により側部支柱と前後梁部材との連結角度を保持することにより、キャブの傾動をより有効に抑えることができる。
【0015】
前記上部体において、前記ベースフレーム上に立設された一対の縦板と、これら縦板の内側で当該各縦板に基端部が軸支されることにより前記ベースフレームに対し起伏可能に支持されるブームとをさらに備え、前記キャブは、前記両縦板の外側となる側方位置で、かつ、一方の縦板を前記ブームとの間で挟む位置に設けられており、前記補強部材は、前記ブームに近い側に位置する側部支柱に固定される支柱固定部と、この支柱固定部から前方へ延びる当接部とを備え、この当接部は、前記ブームが最大作業半径をなす姿勢とされた状態において前記キャブが側方から前記ブームへ向かう外力を受けたときに当該ブームと当接可能となる位置に設けられていることが好ましい。
【0016】
この構成によれば、キャブに対して側方からブームへ向かう外力が生じたときに、まずは、上述のように補強部材によって側部支柱と前後梁部材又は左右梁部材との節点が固められていることにより側部支柱の左右方向の傾きが抑制される。そして、前記節点を固めることによるキャブの傾動抑制の限界を超えて外力が加えられた場合、キャブが全体として傾動を開始することになるが、前記補強部材の当接部が最大作業半径をなすブームに当接することにより、当該ブームの強度を借りてキャブの傾動を抑制することが可能となる。
【0017】
したがって、この構成によれば、比較的外力の小さな段階においては側部支柱と前後梁部材又は左右梁部材との節点を固めることによるキャブの傾動抑制を図ることができるとともに、外力が大きくなると、さらにブームの強度を借りてキャブの傾動を抑制することができる。
【0018】
ここで、前記補強部材が、前記ブームから離間する側へ向けて前記当接部から延びるとともに、前記ブームから遠い側に位置する側部支柱に連結されるクロスメンバをさらに備えた構成とすれば、前記外力に対抗するキャブ自体の左右方向の強度を向上することができるだけでなく前記外力を当接部に伝達することができるので、当該外力を最終的にはブームに支持させることができる。したがって、このようにすれば、外力が生じることによる運転室の狭小化をさらに有効に阻止することが可能となる。
【0019】
また、本発明は、自走式の下部走行体上に設けられる建設機械の上部体であって、前記下部走行体上に設けられるベースフレームと、このベースフレーム上に設けられているとともに内部に運転室を有するキャブと、このキャブを補強するための補強部材とを備え、前記キャブは、前記運転室の後部で前記ベースフレーム上に立設された左右一対の後部支柱と、これら後部支柱からそれぞれ前方へ延びる一対の前後梁部材と、これら各後部支柱及び前後梁部材の外側となる側面にそれぞれ設けられたサイドパネルとを備え、前記補強部材は、前記前後梁部材と前記ベースフレームとを連結するように、前記各サイドパネルの少なくとも一方に対しその外側となる側面に取り付けられていることを特徴とする建設機械の上部体を提供する。
【0020】
本発明によれば、運転室側部の支柱を省略しているので、主に後部支柱によってキャブの強度を確保しながらオペレータの視界性を向上することができる。さらに、本発明では、前記サイドパネルの外側にベースフレームと前後梁部材とを連結する補強部材が設けられているため、この補強部材はベースフレームだけでなく前後梁部材を介して後部支柱に対しても連結されることになる。したがって、キャブが側方から外力を受けた場合であっても、補強部材を媒介としてベースフレーム及び後部支柱の強度を借りて前記外力に対抗することができる。したがって、本発明によれば、キャブの傾動を抑制することが可能となる。
【0021】
前記上部体において、前記補強部材は、前記運転室の側部となる前記サイドパネルの外側位置で前記ベースフレーム上に立設されるとともに前記前後梁部材に連結される補強支柱と、この補強支柱から前方へ延びる延出部をさらに備え、この延出部は、前記サイドパネルの外側面に取り付けられているとともに前記運転室の前部で前記ベースフレームに連結されていることが好ましい。
【0022】
この構成によれば、後部支柱が補強支柱及び延出部を介して2箇所でベースフレームに固定されることになるため、側方からの外力に対しキャブをより広い範囲で支持することができ、当該キャブの傾動を抑制することができる。
【0023】
前記上部体において、前記ベースフレーム上に立設された一対の縦板と、これら縦板の内側で当該各縦板に基端部が軸支されることにより前記ベースフレームに対し起伏可能に支持されるブームとをさらに備え、前記キャブは、前記両縦板の外側となる側方位置で、かつ、一方の縦板を前記ブームとの間で挟む位置に設けられており、前記補強部材は、前記運転室の側部のうち前記ブームに近い側において前記ベースフレーム上に立設されるとともに前記前後梁部材に連結される補強支柱と、この補強支柱から前方へ延びる当接部とを備え、この当接部は、前記ブームが最大作業半径をなす姿勢とされた状態において前記キャブが側方から前記ブームへ向かう外力を受けたときに当該ブームと当接可能となる位置に設けられていることが好ましい。
【0024】
この構成によれば、運転室の側部に立設された補強支柱はベースフレーム及び前後梁部材を介して後部支柱に対しても連結されているため、キャブが側方から外力を受けた場合には、まず、ベースフレーム及び後部支柱の強度を借りて前記外力に対抗してキャブの傾動を抑制することができる。そして、この補強支柱による傾動抑制の限界を超えてさらなる外力が加えられた場合、キャブが傾動を開始することになるが、前記補強支柱から前方に延びる当接部が最大作業半径をなすブームに対して当接することにより、当該ブームの強度を借りてキャブの傾動を抑制することができる。
【0025】
したがって、この構成によれば、比較的外力の小さな段階においてはベースフレーム及び後部支柱の強度を借りてキャブの傾動を抑制することができるとともに、外力が大きくなると、さらにブームの強度を借りてキャブの傾動を抑制することができる。
【0026】
さらに、前記補強部材が、前記ブームから離間する側へ向けて前記当接部から延びるとともに、前記ブームから遠い側に位置する側部支柱に連結されるクロスメンバを備えている構成とすることにより、前記外力に対抗するキャブ自体の左右方向の強度を向上することができるだけでなく前記外力を当接部に伝達することができるので、当該外力を最終的にはブームに支持させることができる。したがって、このようにすれば、外力が生じることによる運転室の狭小化をさらに有効に阻止することが可能となる。
【0027】
また、本発明は、前記上部体と、この上部体を支持する下部走行体とを備えていること特徴とする建設機械を提供する。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、側方からの荷重を受けた際のキャブの傾動を有効に抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照して説明する。
【0030】
図1は、本発明の実施形態に係る油圧ショベルの一部を省略して示す平面図である。図2は、図1の油圧ショベルの側面図である。図3は、図1の油圧ショベルの正面図である。
【0031】
図1〜図3を参照して、油圧ショベルは、自走式の下部走行体(図示せず)と、この下部走行体上に旋回可能に搭載された上部旋回体(上部体)1とを備えている。
【0032】
上部旋回体1は、上記下部走行体上に旋回可能に搭載されたベースフレーム2と、このベースフレーム2に対し起伏可能に支持されるブーム3と、前記ベースフレーム2上に立設されたキャブ4と、このキャブ4を補強するための補強部材5(図6参照)とを備えている。なお、以下の説明では、キャブ4内に形成された運転室S1内のオペレータの視点における前後左右方向を用いて説明する。
【0033】
ベースフレーム2は、前後方向に延びる平面視略長方形に形成されたものである。このベースフレーム2には、前後方向に延びる一対の縦板6及び縦板7が、当該ベースフレーム2の左右略中央位置に立設されている。これら縦板6、7は、前記キャブ4の側方の窓4a(図2参照)を通したオペレータの視界を遮らないように設定された高さ寸法H1(図3参照)にそれぞれ設定されている。また、各縦板6、7の間にはブームフットピン8が掛け渡されており、このブームフットピン8によって前記ブーム3が支持されている。
【0034】
前記ブーム3は、前記ブームフットピン8によりベースフレーム2に対し前後に起伏可能に軸支されたブーム本体3aと、このブーム本体3aに固定された当接部材3bとを備えている。ブーム本体3aは、天板9、底板10、右側板11、及び左側板12の端部同士が相互に溶接されることによって、断面四角形の筒状の形態とされている(図3参照)。当接部材3bは、天板9上に設けられた管状の部材である。具体的に、当接部材3bには、ブーム本体3aから左側に延びて後方に屈曲し、さらにこの屈曲した端部がブーム本体3a側に屈曲された平面視コの字型に形成されている。この当接部材3bは、ブーム3(ブーム本体3a)が図2に示す最大作業半径となる起伏姿勢とされた状態において、前後範囲E1及び上下範囲E2内に少なくとも一部が位置するように、ブーム本体3bに取り付けられている。これらの範囲E1及びE2は、キャブ4の上部前方の縁部を含む範囲として設定されている。
【0035】
キャブ4は、左側の縦板7の左位置、かつ、ベースフレーム2の前部に立設されている。このキャブ4は、図5に示すように、前記ベースフレーム2に固定されたフレーム材14と、このフレーム材14に取り付けられてキャブ4の外郭を構成する外装パネル材15とを備えている。
【0036】
図4は、図1のキャブの全体構成をその一部を省略して示す斜視図である。図5は、図4のキャブの分解斜視図である。
【0037】
図4及び図5を参照して、フレーム材14は、前記ベースフレーム2上に立設された右側支柱(側部支柱)16、左側支柱(側部支柱)17、右後支柱(後部支柱)18及び左後支柱(後部支柱)19を備えている。これら各支柱16〜19のうち、支柱16と支柱17及び支柱17と支柱18がそれぞれ左右に対向し、支柱16と支柱18及び支柱17と支柱19がそれぞれ前後に対向して配置されている。なお、右側支柱16及び左側支柱17(以下、側部支柱16、17と略す場合がある)と、右後支柱18及び左後支柱19(以下、後部支柱18、19と略す場合がある)とを比較すると、運転室S1内のオペレータからの視界に影響を与え難い後部支柱18、19の断面積が側部支柱16、17の断面積よりも大きくされており(図9参照)、その結果、後部支柱18、19の強度が側部支柱16、17の強度よりも強くなっている。
【0038】
また、フレーム材14は、右側支柱16及び右後支柱18の上端部同士を連結する右梁部材(前後梁部材)21と、左側支柱17及び左後支柱19の上端部同士を連結する左梁部材(前後梁部材)22と、右後支柱18及び左後支柱19の上端部同士を連結する後梁部材(左右梁部材)23と、前記右梁部材21及び左梁部材22の前端部同士を連結する横梁部材(左右梁部材)24とを備え、前記各支柱16〜19及び各梁部材21〜23によって前方へ開く枠組みとされている。
【0039】
そして、これら支柱16〜19及び梁部材21〜24の適所には補強用の補助フレーム20a〜20hが掛け渡されている。
【0040】
外装パネル材15は、前記各支柱16、18を外側(右側)から覆う右外側パネル26と、この右外側パネル26と左右に対向して各支柱17、19を外側(左側)から覆う左外側パネル28と、各梁部材21〜25の上部に配置されてキャブ4の天井を構成する天部パネル29とを備えている。この天部パネル29は、3つのパーツ29a〜29cを含んでいる。なお、本実施形態では、この外装パネル材15により囲まれた範囲が運転室S1として利用される。
【0041】
図6は、図4のキャブに取り付けられた補強部材を示す斜視図である。図7は、図6に示すキャブの側面図である。図8は、図7のVIII−VIII線断面図である。
【0042】
図5〜図8を参照して、補強部材5は、前記右外側パネル26の外側面(右側面)に対しボルトB1〜B4によって固定されている。具体的に、補強部材5は、前記右側支柱16に固定される支柱固定部30と、この支柱固定部30から後方へ延びるとともに前記右梁部材21に固定される梁固定部31とを一体に有している。
【0043】
支柱固定部30は、図8に詳しく示すように上下方向に延びる筒状の固定部本体30aと、この固定部本体30aに溶接された3つのボス30b(図8では1つ示している)とを備えている。
【0044】
固定部本体30aは、金属により形成されている。また、固定部本体30aは、ベースフレーム2から予め設定された高さ寸法H2だけ上の位置に設けられている。これにより、オペレータの視界が狭くなるのを抑制している。なお、高さ寸法H2は、上述した縦板6、7の高さ寸法H1よりも少し高い位置となる寸法に設定されている。
【0045】
各ボス30bは、前記ボルトB1〜B3の挿通位置に対応して固定部本体30aを左右方向に貫通している。ボルトB1〜B3は、各ボス30bを通って右外側パネル26を貫通し、前記右側支柱16にそれぞれ螺合している。
【0046】
梁固定部31は、その前端面が前記支柱固定部30の上端部の後面に対し突き合わせ溶接された金属板である。この梁固定部31の先端部(後端部)には、左右方向に貫通する孔31aが設けられており、この孔31aにボルトB4が挿通している。ボルトB4は、前記孔31aを通って右外側パネル26を貫通し、前記右梁部材21に螺合している。
【0047】
つまり、本実施形態における補強部材5は、右側支柱16と右梁部材21との連結角度を保持するようにキャブ4に固定されている。そして、この補強部材5は、キャブ4に対して右側方からの外力Y1が加えられたときに、当該キャブ4が左側に傾動するのを抑制するように作用することになる。
【0048】
図9は、図6に示す補強部材によるキャブの傾動抑制の作用について説明するための平面概略図であり、(a)は外力が加えられる前の段階、(b)は外力が加えられた後の状態をそれぞれ示している。
【0049】
図9の(a)に示すように、外力Y1が加えられる前の段階では、側部支柱16、17及び後部支柱18、19は、それぞれ直立した姿勢であるため、同図において運転室S1は平面視で略長方形の体をなしている。
【0050】
図9の(b)に示すように、外力Y1が加えられると、後部支柱18、19に比べて側部支柱16、17の断面積が小さくされているため、キャブ4の前方上部が後部支柱18、19を中心として右側に回動するように、キャブ4が変形しようとする。この変形の過程における右側支柱16の挙動について着目すると、矢印Y2に示すように右側支柱16自体も時計回りに回動しようとする。
【0051】
ここで、本実施形態では、図6〜図8に示すように、右側支柱16に固定された支柱固定部30と、この支柱固定部30から後方に延びて右梁部材21に固定される梁固定部31とを有する補強部材5により右側支柱16と右梁部材21との連結角度が保持されているため、当該右側支柱16の矢印Y2方向への回動(捩れ)が抑制される。したがって、前記外力Y1が加えられたときのキャブ4の左側への傾動を抑制することができる。
【0052】
なお、前記実施形態では、右側支柱16と右梁部材21との連結角度を保持する補強部材5について説明したが、補強部材は、右側支柱16と横梁部材24との連結角度を保持するものであってもよい。このように構成したときにも、外力Y1が加えられたときにおける右側支柱16の前記回動(捩れ)を抑制することができるため、キャブ4の傾動を抑制することができる。つまり、連結角度の保持を要するのは、右側支柱16と、右梁部材21、横梁部材24の少なくとも一方との間である。
【0053】
図10は、本発明の別の実施形態に係るキャブの斜視図である。図11は、図10に示すキャブの側面図である。図12は、図11のXII−XII線断面図である。
【0054】
図10〜図12を参照して、本実施形態のキャブ4には、当該キャブ4を補強するための補強部材32がボルトB5〜B10により固定されている。この補強部材32は、前記右側支柱16に固定された支柱固定部33と、この支柱固定部33の上端部に固定された筒部材34とを備えている。
【0055】
支柱固定部33は、上下方向に延びる筒状の固定部本体33aと、この固定部本体33aに溶接された2つのボス33b(図12では1つ示している)とを備えている。固定部本体33aは、金属により形成されている。各ボス33bは、ボルトB5、B6の挿通位置に対応して固定部本体33aを左右方向に貫通している。ボルトB5、B6は、各ボス33bを通って右外側パネル26を貫通し、前記右側支柱16にそれぞれ螺合している。
【0056】
筒部材34は、その長手方向を前後方向に向けた筒本体35と、この筒本体35に溶接された4つのボス36(図12では1つ示している)とを備えている。
【0057】
筒本体35は、上板35a、下板35b、右板35c及び、左板35dの端部同士が相互に溶接されることにより前後方向に延びる筒状とされている。下板35bの下面に対して前記固定部本体33aの上端面が突き合わせ溶接されている。
【0058】
各ボス36は、ボルトB7〜B10の挿通位置に対応して前記右板35cと左板35dに跨るように設けられている。ボルトB7〜B9は、各ボス36を通って右外側パネル26を貫通し、前記右側支柱16にそれぞれ螺合している。ボルトB10は、対応するボス36を通って右外側パネル26に螺合している。
【0059】
本実施形態では、前記筒本体35のうち前記固定部本体33aよりも後方の部分が梁固定部27a(図11)として機能する一方、前記筒本体35のうち前記固定部本体33aよりも前方の部分が当接部27b(図11)として機能することとなる。
【0060】
当接部27bは、図2の前後範囲E1及び上下範囲E2内に配置され、キャブ4が左側に傾動した際に当接部材3bと当接するようになっている。したがって、本実施形態では、キャブ4に前記外力Y1が加えられたときに以下の作用を得ることができる。
【0061】
外力Y1が加えられると、図9を用いて上述したときと同様に支柱固定部33と梁固定部27aとによって、右側支柱16自体の矢印Y2方向への回動(捩れ)が抑制されることによりキャブ4の傾動が抑制される。
【0062】
このような支柱固定部33と梁固定部27aとによるキャブ4の傾動抑制の能力を超えて外力が加えられると、キャブ4の上部が左側に倒れていくことになる。本実施形態では、キャブ4の前方上部に当接部27bが設けられているため、この当接部27bとブーム3の当接部材3bとが当接することによって、キャブ4の傾動が抑制されることになる。
【0063】
特に、本実施形態では、最も不安定な作業状態である最大作業半径の姿勢とされたブーム3の当接部材3bとキャブ4の当接部27bとが当接するように構成されているので、不安定な作業状態における安全性をより高めることが可能となる。
【0064】
図13は、さらに別の実施形態に係る補強部材を示す斜視図である。
【0065】
同図を参照して、この実施形態におけるキャブ4には、補強部材37が設けられている。この補強部材37は、前記右側支柱16に固定された前記支柱固定部33と、この支柱固定部33の上端部に固定された筒部材38とを備えている。なお、図10〜図12に示す実施形態と異なる部分についてのみ以下説明する。
【0066】
筒部材38は、前記実施形態の筒部材34よりもさらに前方に延び、その前端部がベースフレーム2に連結されるように前下がりの姿勢とされている。つまり、筒部材38は、右外側パネル26の上縁に沿って前方に延びている。
【0067】
この実施形態では、補強部材37をベースフレーム2に直接固定することにより当該ベースフレーム2に対して補強部材37の位置を保持する能力を高めることができるので、この補強部材37により右側支柱16と右梁部材21との連結角度を保持することにより、キャブ4の傾動をより有効に抑えることができる。
【0068】
さらに、図10〜図13の実施形態において、図14に示すようなクロスメンバ39を追加することもできる。図14は、さらに別の実施形態に係る補強部材を示す斜視図である。
【0069】
図14を参照して、この実施形態に係るキャブ4には、補強部材40が設けられている。この補強部材40は、前記支柱固定部33と、前記筒部材38と、この筒部材38と前記左外側パネル28とを連結するクロスメンバ39とを備えている。
【0070】
この実施形態によれば、前記外力Y1に対抗するキャブ4自体の左右方向の強度を向上することができるだけでなく、前記外力Y1を当接部27b(図11参照)に伝達することができるので、当該外力Y1を最終的にはブーム3に支持させることができる。
【0071】
なお、前記実施形態では側部支柱16、17を備えたフレーム材14について説明したが、オペレータからの視界性を良好にするために側部支柱を省略したフレーム材41を採用する場合がある。
【0072】
図15は、側部支柱を省略した実施形態に係るフレーム材を示す斜視図である。図16は、図15のフレーム材を有するキャブを示す斜視図である。図17は、図16のXVII−XVII線断面図である。
【0073】
これらの図を参照して、本実施形態に係るキャブ44は、フレーム材41と、このフレーム材41の外側に取り付けられた外装パネル材45(図16参照)とを備えている。
【0074】
フレーム材41は、前記実施形態のフレーム材14から側部支柱16、17を省いたものである。具体的に、フレーム材41は、ベースフレーム2上に立設された右後支柱18と、左後支柱19と、これら右後支柱18の上端部から前方へ延びる右梁部材(前後梁部材)21と、左後支柱19の上端部から前方へ延びる左梁部材(前後梁部材)22と、右後支柱18及び左後支柱19の上端部同士を連結する後梁部材23と、右梁部材21及び左梁部材22の前端部同士を連結する横梁部材(左右梁部材)24とを備えている。また、前記支柱18、19及び梁部材21〜24の適所には補強用の補助フレーム20a〜20hが設けられている。
【0075】
外装パネル材45は、前記右後支柱18及び右梁部材21に対し外側(右側)から取り付けられた右外側パネル42と、前記左後支柱19及び左梁部材22に対し外側(左側)から取り付けられた左外側パネル43とを備えている。
【0076】
本実施形態に係る補強部材46は、図16に示すように、右外側パネル42の外側面(右側面)に対しボルトB11〜14によって取り付けられている。この補強部材46は、前記ベースフレーム2上に立設された補強支柱47と、この補強支柱47の上端部から後方に延びる梁固定部48とを一体に備え、左梁部材22とベースフレーム2とを連結するようになっている。
【0077】
補強支柱47は、上下方向に延びる筒状の支柱本体47aと、この支柱本体47aに溶接された3つのボス47b(図17では1つ示している)とを備えている。支柱本体47aは、金属により形成されている。各ボス47bは、ボルトB11〜13の挿入位置に対応して支柱本体47aを左右方向に貫通している。ボルトB11及びB12は、各ボス47bを通って右外側パネル42に固定されている。ボルトB13は、各ボス47bを通って右外側パネル42を貫通し、前記右梁部材21に螺合している。
【0078】
梁固定部48は、その前端面が前記補強支柱47の上端部の後面に対し突き合わせ溶接された金属板である。この梁固定部48の先端部(後端部)には、左右方向に貫通する孔48aが設けられており、この孔48aにボルトB14が挿通している。ボルトB14は、孔48aを通って右外側パネル42を貫通し、右側支柱16に螺合している。
【0079】
本実施形態によれば、補強部材46がベースフレーム2と右梁部材21とを連結するように構成されているため、当該補強部材46はベースフレーム2だけでなく右梁部材21を介して右後支柱18に対しても連結されることになり、キャブ44が側方からの外力Y1を受けた場合であっても、ベースフレーム2及び右後支柱18の強度を借りて外力Y1に対抗することができる。
【0080】
図18は、本発明の別の実施形態に係るキャブの斜視図である。図19は、図18のXIX−XIX線断面図である。
【0081】
図18及び図19を参照して、本実施形態のキャブ44は、当該キャブ44を補強するための補強部材50がボルトB15〜B20により固定されている。この補強部材50は、ベースフレーム2上に立設された補強支柱51と、この補強支柱51の上端部に固定された筒部材52とを備えている。
【0082】
補強支柱51は、上下方向に延びる筒状の支柱本体51aと、この支柱本体51aに溶接された2つのボス51b(図19では1つ示している)とを備えている。支柱本体51aは、金属により形成されている。各ボス51bは、ボルトB15、B16の挿通位置に対応して支柱本体51aを左右方向に貫通している。ボルトB15、B16は、各ボス51bを通って右外側パネル42にそれぞれ螺合している。
【0083】
筒部材52は、その長手方向を前後方向に向けた筒本体53と、この筒本体53に溶接された4つのボス54(図19では1つ示している)とを備えている。
【0084】
筒本体53は、上板53a、下板53b、右板53c及び、左板53dの端部同士が相互に溶接されることにより前後方向に延びる筒状とされている。下板53bの下面に対して前記支柱本体51aの上端面が突き合わせ溶接されている。
【0085】
各ボス54は、ボルトB17〜B20の挿通位置に対応して右板53cと左板53dとに跨るように設けられている。ボルトB17〜B19は、各ボス54を通って右外側パネル42を貫通し、右側支柱16にそれぞれ螺合している。ボルトB20は、対応するボス54を通って右外側パネル42に螺合している。
【0086】
本実施形態では、前記筒本体53のうち前記支柱本体51aよりも前方の部分が当接部として機能することになる。つまり、この当接部は、最大作業半径をなす姿勢とされたブーム3の当接部材3b(図2参照)に当接可能となるように、前記前後範囲E1及び上下範囲E2内に配置されている。したがって、前記外力Y1が加えられ、キャブ44がブーム3側へ傾動したときに、当接部(筒本体53の前部)と当接部材3bとが当接することにより、当該キャブ44の傾動を抑制することができる。
【0087】
特に、本実施形態では、最も不安定な作業状態である最大作業半径の姿勢とされたブーム3の当接部材3bとキャブ44の当接部とが当接するように構成されているので、不安定な作業状態における安全性をより高めることが可能となる。
【0088】
図20は、さらに別の実施形態に係る補強部材を示す斜視図である。
【0089】
同図を参照して、この実施形態におけるキャブ44には、補強部材55が設けられている。この補強部材55は、前記補強支柱51と、この補強支柱51の上端部に連結された筒部材56とを備えている。なお、図18及び図19に示す実施形態と異なる部分についてのみ以下説明する。
【0090】
筒部材56は、前記実施形態の筒部材52よりもさらに前方に延び、その前端部がベースフレーム2に連結されるように前下がりの姿勢とされている。つまり、筒部材56は、右外側パネル42の上縁に沿って前方に延びている。
【0091】
この実施形態では、後部支柱18が補強支柱51及び筒部材56を介して2箇所でベースフレーム2に固定されることになるため、側方からの外力Y1に対しキャブ44をより広い範囲で支持することができ、当該キャブ44の傾動を抑制することができる。
【0092】
さらに、図18〜図20の実施形態において、図21に示すようなクロスメンバ57を追加することもできる。図21は、さらに別の実施形態に係る補強部材を示す斜視図である。
【0093】
図21を参照して、この実施形態に係るキャブ44には、補強部材58が設けられている。この補強部材58は、前記補強支柱51と、前記筒部材56と、この筒部材56と前記左外側パネル43とを連結するクロスメンバ57とを備えている。
【0094】
この実施形態によれば、前記外力Y1に対抗するキャブ44自体の左右方向の強度を向上することができるだけでなく、前記外力Y1を当接部(筒部材56の一部)に伝達することができるので、当該外力Y1を最終的にはブーム3に支持させることができる。
【0095】
なお、前記図15〜図21に示す実施形態では、補強支柱47、51及び右梁部材21を介して右後支柱18とベースフレーム2とを連結しているが、図22に示すように前記筒部材56を補強部材59として利用することもできる。
【0096】
つまり、この実施形態では、筒部材56が右梁部材21に連結されているので、これら筒部材56及び右梁部材21を介してベースフレーム2と右後支柱18とを連結することができる。
【0097】
さらに、図23に示すように、前記筒部材56と左外側パネル43とを連結する前記クロスメンバ57を前記補強部材59として利用することも可能である。
【0098】
なお、上述した各実施形態では、右後支柱18や右側支柱16に固定される補強部材について説明したが、右側に限定されるものではなく左側に固定されるものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明の実施形態に係る油圧ショベルの一部を省略して示す平面図である。
【図2】図1の油圧ショベルの側面図である。
【図3】図1の油圧ショベルの正面図である。
【図4】図1のキャブの全体構成をその一部を省略して示す斜視図である。
【図5】図4のキャブの分解斜視図である。
【図6】図4のキャブに取り付けられた補強部材を示す斜視図である。
【図7】図6に示すキャブの側面図である。
【図8】図7のVIII−VIII線断面図である。
【図9】図6に示す補強部材によるキャブの傾動抑制の作用について説明するための平面概略図であり、(a)は外力が加えられる前の段階、(b)は外力が加えられた後の状態をそれぞれ示している。
【図10】本発明の別の実施形態に係るキャブの斜視図である。
【図11】図10に示すキャブの側面図である。
【図12】図11のXII−XII線断面図である。
【図13】さらに別の実施形態に係る補強部材を示す斜視図である。
【図14】さらに別の実施形態に係る補強部材を示す斜視図である。
【図15】側部支柱を省略した実施形態に係るフレーム材を示す斜視図である。
【図16】図15のフレーム材を有するキャブを示す斜視図である。
【図17】図16のXVII−XVII線断面図である。
【図18】本発明の別の実施形態に係るキャブの斜視図である。
【図19】図18のXIX−XIX線断面図である。
【図20】さらに別の実施形態に係る補強部材を示す斜視図である。
【図21】さらに別の実施形態に係る補強部材を示す斜視図である。
【図22】さらに別の実施形態に係る補強部材を示す斜視図である。
【図23】さらに別の実施形態に係る補強部材を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0100】
S1 運転室
1 上部旋回体
2 ベースフレーム
3 ブーム
3a ブーム本体
3b 当接部材
4、44 キャブ
5 補強部材
6、7 縦板
14、41 フレーム材
16 右側支柱(側部支柱)
17 左側支柱(側部支柱)
18 右後支柱(後部支柱)
19 左後支柱(後部支柱)
21 右梁部材(前後梁部材)
22 左梁部材(前後梁部材)
24 横梁部材(左右梁部材)
26、42 右外側パネル(サイドパネル)
27b 当接部
28、43 左外側パネル(サイドパネル)
30、33 支柱固定部
27a、31 梁固定部
32、37、40、46、50、55、58、59 補強部材
39、57 クロスメンバ
47、51 補強支柱

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自走式の下部走行体上に設けられる建設機械の上部体であって、
前記下部走行体上に設けられるベースフレームと、
このベースフレーム上に設けられているとともに内部に運転室を有するキャブと、
このキャブを補強するための補強部材とを備え、
前記キャブは、前記運転室の左右両側位置で前記ベースフレーム上に立設された一対の側部支柱と、これら側部支柱の後方で前記ベースフレーム上にそれぞれ立設された一対の後部支柱と、前記後部支柱とその前方に位置する側部支柱とをそれぞれ前後方向に連結する一対の前後梁部材と、前記各側部支柱同士を左右方向に連結する左右梁部材とを備え、
前記補強部材は、各側部支柱の少なくとも一方に設けられ、当該一方の側部支柱と、前後梁部材、左右梁部材のうちの少なくとも一方の部材との連結角度を保持するように、前記キャブに固定されていることを特徴とする建設機械の上部体。
【請求項2】
前記補強部材は、前記側部支柱に固定される支柱固定部と、この支柱固定部から後方へ延びるとともに前記前後梁部材に固定される梁固定部とを一体に有することを特徴とする請求項1に記載の建設機械の上部体。
【請求項3】
前記補強部材は、前記支柱固定部から前方へ延びる延出部をさらに備え、この延出部は、前記運転室の前部で前記ベースフレームに連結されていることを特徴とする請求項2に記載の建設機械の上部体。
【請求項4】
前記ベースフレーム上に立設された一対の縦板と、これら縦板の内側で当該各縦板に基端部が軸支されることにより前記ベースフレームに対し起伏可能に支持されるブームとをさらに備え、前記キャブは、前記両縦板の外側となる側方位置で、かつ、一方の縦板を前記ブームとの間で挟む位置に設けられており、前記補強部材は、前記ブームに近い側に位置する側部支柱に固定される支柱固定部と、この支柱固定部から前方へ延びる当接部とを備え、この当接部は、前記ブームが最大作業半径をなす姿勢とされた状態において前記キャブが側方から前記ブームへ向かう外力を受けたときに当該ブームと当接可能となる位置に設けられていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の建設機械の上部体。
【請求項5】
前記補強部材は、前記ブームから離間する側へ向けて前記当接部から延びるとともに、前記ブームから遠い側に位置する側部支柱に連結されるクロスメンバをさらに備えていることを特徴とする請求項4に記載の建設機械の上部体。
【請求項6】
自走式の下部走行体上に設けられる建設機械の上部体であって、
前記下部走行体上に設けられるベースフレームと、
このベースフレーム上に設けられているとともに内部に運転室を有するキャブと、
このキャブを補強するための補強部材とを備え、
前記キャブは、前記運転室の後部で前記ベースフレーム上に立設された左右一対の後部支柱と、これら後部支柱からそれぞれ前方へ延びる一対の前後梁部材と、これら各後部支柱及び前後梁部材の外側となる側面にそれぞれ設けられたサイドパネルとを備え、
前記補強部材は、前記前後梁部材と前記ベースフレームとを連結するように、前記各サイドパネルの少なくとも一方に対しその外側となる側面に取り付けられていることを特徴とする建設機械の上部体。
【請求項7】
前記補強部材は、前記運転室の側部となる前記サイドパネルの外側位置で前記ベースフレーム上に立設されるとともに前記前後梁部材に連結される補強支柱と、この補強支柱から前方へ延びる延出部をさらに備え、この延出部は、前記サイドパネルの外側面に取り付けられているとともに前記運転室の前部で前記ベースフレームに連結されていることを特徴とする請求項6に記載の建設機械の上部体。
【請求項8】
前記ベースフレーム上に立設された一対の縦板と、これら縦板の内側で当該各縦板に基端部が軸支されることにより前記ベースフレームに対し起伏可能に支持されるブームとをさらに備え、前記キャブは、前記両縦板の外側となる側方位置で、かつ、一方の縦板を前記ブームとの間で挟む位置に設けられており、前記補強部材は、前記運転室の側部のうち前記ブームに近い側において前記ベースフレーム上に立設されるとともに前記前後梁部材に連結される補強支柱と、この補強支柱から前方へ延びる当接部とを備え、この当接部は、前記ブームが最大作業半径をなす姿勢とされた状態において前記キャブが側方から前記ブームへ向かう外力を受けたときに当該ブームと当接可能となる位置に設けられていることを特徴とする請求項7に記載の建設機械の上部体。
【請求項9】
前記補強部材は、前記当接部からブームから離間する側に延びるとともに、前記ブームから遠い側に位置する前記サイドパネルに連結されるクロスメンバをさらに備えていることを特徴とする請求項8に記載の建設機械の上部体。
【請求項10】
請求項1〜9の何れか1項に記載の上部体と、この上部体を支持する下部走行体とを備えていること特徴とする建設機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2009−137393(P2009−137393A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−314625(P2007−314625)
【出願日】平成19年12月5日(2007.12.5)
【出願人】(000246273)コベルコ建機株式会社 (644)
【Fターム(参考)】