説明

不審電波監視システム及びその不審電波監視プログラム

【課題】従来とは違う周波数の盗聴・盗撮機器が使用された場合や突発的に外来電波が混入した場合でも不審電波の監視を効率的かつ的確に行えるようにする。
【解決手段】ユーザ施設に配置され所定の電波を受信しながら受信電波のデータを送信して電波測定作業を実行する複数の受信機7と、各受信機7にインターネット回線100を介して接続され前記データ中に盗聴又は/及び盗撮の可能性のある不審電波を含むか否かを判定し含むと判定した場合に送信元受信機7が不審電波を受信したことを報知するものとして不審電波の監視作業を実行する監視コンピュータ10Aとを備えたシステムにおいて、受信機7が所定周波数の電波のみを受信する個別測定モードによる動作を可能とされ、監視コンピュータ10Aがインターネット回線100を介して受信機7のソフトウエアを設定又は更新させることでその動作内容の遠隔的な操作を実施可能な不審電波監視システム1Aとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不審電波監視システム及びその不審電波監視プログラムに関し、殊に、ユーザに心当たりのない不審な電波が送信されているのを検出・報知することで盗聴・盗撮機器が新たに設けられたことをユーザに認識させる不審電波監視システム、及びその監視コンピュータに格納されてシステム運営を実行させるための不審電波監視プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、盗聴器や盗撮機器の小型化・高性能化が進んでおり、全く目立たない状態にて仕掛けられて、個人のプライバシー情報や企業情報が長期間に亘って不法に入手される危険性が高まっている。また、これらの機器は通信販売等を利用して誰でも安価かつ容易に入手できることから、有名人や企業だけではなく一般人でも知らない間に盗聴や盗撮の被害に遭う可能性があると言われている。
【0003】
そのため、不審に思った場合には、専門業者に依頼して盗聴器や盗撮機器の有無を確認し、存在する場合にはその位置を特定して除去することが行われている。しかし、専門業者による調査が完了した後にこれらの機器が仕掛けられるケースもあり、セキュリティを万全にするためには定期的な調査が必要になることから、そのための手間とコストの負担が過大となりやすい。
【0004】
斯かる問題に対し、特開2002−181860号公報には、屋内に配置されて所定の電波を連続的に受信するアンテナと、このアンテナに接続されて盗聴電波の有無を判定するホスト(監視用)コンピュータとを備えた盗聴電波モニタリングシステムが提案されており、これを一度設置するだけで盗聴電波の有無を常時モニタリング可能なものとしている。
【0005】
また、特許第4565346号公報には、監視コンピュータが受信機に対し予め定められた周波数を受信する第1の測定モード(個別測定モード)と対象の周波数帯域全体を受信する第2の測定モード(フルスキャンモード)とを時間帯に応じて切り替える機能を備えたものとして、例えば電話盗聴器のように使用時のみ作動する機器であっても効率的に検知可能とした盗聴電波監視システムが提案されている。さらに、特開2010−134670号公報には、盗聴電波だけではなく盗撮電波も含めた不審電波を検知するシステムも提案されている。
【0006】
これらのシステムでは、予め監視コンピュータに不審電波の無い状態で受信機を用いて取得した各電界強度を示す電波データを記憶させておき、受信機から送信された電波データと比較することにより盗聴電波の有無を判定したり、或いは監視コンピュータにおいて予め検知・記憶した環境電波を除外して判定するようにしたりして、監視作業の効率化を図っている。
【0007】
ところが、第1の測定モードと第2の測定モードを時間帯に応じて切り替える機能を有した前記システムを含め、市販の盗聴器が使用する可能性のある周波数に限定して掃引する機能を有したものにあっては、従来とは異なる周波数を使用する盗聴器が販売された場合には、この状況変化に短期間で対応して効率的な監視を行うことは困難である。
【0008】
また、消防無線や代行車無線、或いは電話子機など、突発的で極めて短時間しか発生しない電波については、予め設定したり学習したりすることが困難であるため、これらが不審電波として判定されてしまう畏れもある。さらに、判定時に監視コンピュータ側で斯かる環境電波を除外する方式であっても、この除外される電波は受信機側でいったん受信されてしまうことから、その測定作業における1クール当たりの掃引時間の短縮には繋がらないため、作業の効率化は未だ不充分である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2002−181860号公報
【特許文献2】特許第4565346号公報
【特許文献3】特開2010−134670号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は上記のような問題を解決しようとするものであり、従来とは異なる周波数の盗聴器・盗撮機器が使用された場合や、環境電波中に突発的に外来電波が混入した場合でも、不審電波の監視を効率的かつ的確に行えるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そこで、本発明は、複数のユーザ施設に各々配置されて格納したソフトウエアで動作し、所定の電波を受信しながら受信電波のデータを送信して電波測定作業を実行する受信機と、この受信機にインターネット回線を介して接続され不審電波判定手段で受信した前記データ中に盗聴又は/及び盗撮の可能性のある不審電波を含むか否かを判定し、含むと判定した場合に報知手段で監視担当者又は/及びユーザに送信元の受信機が不審電波を受信したことを報知するものとして不審電波の監視作業を実行する監視コンピュータと、を備えた不審電波監視システムにおいて、その受信機は、少なくとも不審電波に使用される可能性のある所定周波数の電波のみを受信する個別測定モードによる動作が可能とされ、その監視コンピュータは、インターネット回線を介して受信機のソフトウエアを設定又は更新させることでその動作内容の遠隔的な操作が可能とされている、ことを特徴とするものとした。
【0012】
このように、インターネット回線を介してユーザ施設側の受信機と監視担当者側の監視コンピュータが接続された不審電波監視システムにおいて、監視コンピュータで受信機のソフトウエアを遠隔的に設定・更新させてその動作内容を操作できるようにしたことで、状況の変化に即座に対応しながら受信電波の内容や測定モードを変更可能となるため、効率的で的確な監視作業を実現しやすいものとなる。
【0013】
また、この不審電波監視システムにおいて、その監視コンピュータによる受信機のソフトウエアの更新には、個別測定モードにおける受信周波数の変更又は/及び追加又は/及び削除が含まれることを特徴としたものとすれば、対応済みの周波数とは異なる周波数を用いた盗聴・盗撮機器の販売情報を管理担当者側で入手した場合など、斯かる状況に即座に対応して的確かつ効率的にセキュリティを確保可能なものとなる。
【0014】
さらに、上述した不審電波監視システムにおいて、その監視コンピュータの不審電波判定手段は、個別測定モードの電波測定作業で所定の測定間隔以上に亘って測定された所定強度以上の電波のみを不審電波として判定することを特徴としたものとすれば、消防無線や警察無線など、突発的かつ短時間の無線を不審電波と判定してしまうことを回避することができる。
【0015】
さらにまた、上述した不審電波監視システムにおいて、その監視コンピュータは、不審電波が存在しない状態で受信機が測定した環境電波のうち、電界強度が所定レベル以上の電波について、送信元の受信機のソフトウエアを更新して以後受信しない設定とすることを特徴としたものとすれば、受信機における測定作業1クール当たりの掃引時間を短縮して、作業の効率化が図れるものとなる。
【0016】
加えて、上述した不審電波監視システムにおいて、その監視コンピュータは、ウェブザーバを兼ねてユーザ側の端末で閲覧可能なホームページを提供可能とされており、ユーザが端末を用いてホームページにアクセスすることでそのユーザ施設の受信機が受信した不審電波による盗聴音声又は/及び盗撮画像の視聴が可能とされている、ことを特徴としたものとすれば、ユーザが不審電波の内容を詳細かつ容易に把握できるとともに、その盗聴・盗撮機器の位置を特定しやすいものとなる。
【0017】
また加えて、上述した不審電波監視システムにおいて、その受信機は、ユーザ所有のインターネット接続機能付携帯端末に接続することにより、無線を介したインターネット回線への接続及び前記監視コンピュータとの送受信が可能とされていることを特徴としたものとすれば、インターネット接続環境のない施設であってもシステムを構築できることに加え、受信機設置の際の場所的制限を最小限にすることができる。
【0018】
そして、複数のユーザ施設に各々配置され格納したソフトウエアで少なくとも個別測定モードによる動作が可能とされ所定の電波を受信しながら受信電波のデータを送信して電波測定作業を実行する受信機とインターネット回線を介して接続するものとした上述した不審電波監視システム上の前記監視コンピュータに、インストールすることで機能させるプログラムであって、受信した前記データ中に盗聴又は/及び盗撮の可能性のある不審電波を含むか否かを判定するステップと、不審電波を含むと判定した場合に監視担当者又は/及びユーザに送信元の受信機が不審電波を受信したことを報知するステップを、前記監視コンピュータに実行させて不審電波の監視作業を実行させ、かつ、その監視コンピュータにインターネット回線を介し操作対象である受信機のソフトウエアを遠隔的に設定又は更新させるステップを実行させることでその動作内容の操作を行わせる、ことを特徴とする不審電波監視プログラムとすれば、インターネット回線を介して受信機に接続可能なコンピュータにこれをインストールするだけで、上述したシステムを構築することができる。
【発明の効果】
【0019】
インターネット回線を介し受信機と監視コンピュータが接続される不審電波監視システムにおいて、監視コンピュータが受信機のソフトウエアを設定又は更新することでその動作内容を遠隔的に操作可能とした本発明によると、従来とは異なる周波数の盗聴器・盗撮機器が使用された場合や突発的かつ短時間の環境電波が生じた場合でも、効率的かつ的確に不審電波の監視を行えるものである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明における実施の形態のシステム構成図である。
【図2】図1の監視コンピュータの機能ブロック図である。
【図3】図2の監視コンピュータが受信機を設定する際の動作手順を示すフローチャートである。
【図4】図2の監視コンピュータの不審電波監視システム作動時における動作手順を示すフローチャートである。
【図5】図2の監視コンピュータが受信機のソフトウエアを更新する際の動作手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、図面を参照しながら本発明を実施するための形態を説明する。
【0022】
図1は本実施の形態である不審電波監視システム1Aの構成を簡略化して示したものである。この不審電波監視システム1Aは、複数のユーザ施設3a,3b,3c,3d,・・・に各々配置され所定のソフトウエアで動作して所定の電波を受信しながら受信電波のデータを送信して電波測定作業を実行する受信機7,7,7,7,・・・と、これらにインターネット回線100を介して接続される監視コンピュータ10Aとを備えている。
【0023】
受信機7が配置されるユーザ施設は、一般家庭の家屋や企業の社屋のほか、公衆浴場や公衆トイレ等の公共施設、学校等の教育施設など、盗聴や盗撮が行われる可能性のある総ての施設が想定される。その受信機7は、インターネット回線100を介してシステム運営会社施設2等に配置した監視コンピュータ10Aとの間で送受信を行うため、インターネット回線100に接続させるネットワーク接続機器4や施設内LAN50に接続した状態、又は無線でインターネット回線100に無線方式で接続可能な携帯端末であるユーザ端末6に接続した状態で配置される。
【0024】
また、受信機7は、盗聴電波や盗撮電波等を含む不審電波に使用される可能性の高い複数種類の周波数のみに限定して受信する個別測定モードによる動作が少なくとも可能とされており、受信可能な最小の間隔にて所定範囲の周波数を連続的に受信するフルスキャンモードの場合と比べて1クール当たりの掃引時間を大幅に短縮することで効率的かつ的確な不審電波の監視作業を実行可能としている。尚、受信機7はフルスキャンモードの測定も可能であり、監視コンピュータ10Aが個別測定モードとフルスキャンモードとの間の遠隔的な切り替え操作を行えるようになっている。
【0025】
そして、監視コンピュータ10Aは、入力された前記各データ中に盗聴又は/及び盗撮の可能性のある不審電波を含むか否かを判定して、含む場合に監視担当者又は/及びユーザに送信元の受信機7が不審電波を受信したことを所定の方法にて報知するものとして、不審電波の監視作業を自動的かつ連続的に実行する。
【0026】
以上のシステム構成自体は、上述した従来例の不審電波監視システムにも見られる周知のものであるが、本発明による不審電波監視システム1Aでは、その監視コンピュータ10Aが、インターネット回線100を介して受信機7のソフトウエアを設定又は更新させることにより、その動作内容の遠隔的な操作が可能とされている点を特徴としており、そのソフトウエアの更新には、個別測定モードにおける受信周波数の変更・追加・削除を含んでいる。
【0027】
このように、システム運営の中核をなす監視コンピュータ10Aが、受信機7を制御するソフトウエアを設定・更新させてその動作内容を遠隔的に操作可能としたことで、様々な状況変化に対し手間と時間を要することなく効率的かつ的確な対応を行えるものとしている。例えば、不審電波監視システムによる検知を回避するために新たな周波数を使用する盗聴・盗撮機器が販売された場合には、監視コンピュータ10Aが受信機7の個別測定モードの受信周波数に新たな受信周波数を追加する形でソフトウエアを更新させることにより、セキュリティを万全にすることができる。
【0028】
図2は、本システムにおける監視コンピュータ10Aの機能ブロック図を示している。本実施の形態における監視コンピュータ10Aは、ハード的にはウェブサーバを兼ねた汎用コンピュータであるが、その記憶手段に後述する機能を発揮させるための不審電波監視プログラムがインストールされたことで本システムの管理・運営の中核をなすとともに従来のシステムにはない特徴を有した機能を発揮するようになっており、主として制御部11A、データ記憶部12A、送受信手段13で構成されている。
【0029】
その制御部11Aは、インターネット回線100、送受信手段13を介して入力された各電波データ中に不審電波が含まれるか否かを所定の手順で判定するための不審電波判定手段11aと、不審電波を含むと判定した場合に所定の方法でこれを報知するための報知手段11bと、ウェブ画面生成機能を有してシステムのホームページを提供可能とされユーザ端末5a,5b,5c,5d,6,・・・で接続したユーザにウェブ画面を閲覧させるためのウェブ画面生成手段11dを有している。尚、これらの各手段は、個別のハードウエアによるものとは限らず、前述の不審電波監視プログラムにより機能的に構成されるものを含む。
【0030】
そのデータ記憶部12Aは、盗聴・盗撮電波に用いられる可能性が高いとされる複数種類の周波数の不審電波データ及び各受信機7が不審電波の存在しない状況下で受信した電波による環境電波データを記憶する電波情報ファイル12a、各受信機7の設定情報を記憶している受信機設定情報ファイル12b、不審電波を発見した場合にこれを報知する先の情報、報知する方法等を記憶している報知先情報ファイル12cを有している。これらの情報ファイルも、個別の記憶手段に記憶してある必要はなく1つの記憶手段において機能的に領域を形成しながら各々構成されていても良いことは言うまでもない。
【0031】
尚、受信機設定情報ファイル12bに、受信機7を配置したユーザ施設における環境電波を記憶させる作業は、目的のユーザ施設にシステム運営会社の担当者が赴いて、不審電波探知装置を用い不審電波が存在しないことを確認した後で実施することが必要となる。この場合、監視コンピュータ10A側で環境電波を記憶する際に、所定レベル(例えば30dBμV/m)以上の電波については、測定した受信機7のソフトウエアを遠隔的に更新して以後受信しない設定とする動作を実行する方式にすることが推奨される。これにより、受信機7における1クール当たりの掃引時間を短縮することができ、効率的な作業を行いやすいものとすることができる。
【0032】
この不審電波監視システム1Aでは、各受信機7で受信した受信電波データを含む出力信号が監視コンピュータ10Aに各々入力されると、不審電波判定手段11aが入力された各受信電波データと電波情報ファイル12aに各々記憶してある送信元受信機7の環境電波データとを比較して、所定強度(例えば30dBμV/m)以上の新たな電波が含まれるか否かの確認作業を行う。
【0033】
本実施の形態では、その確認された所定強度以上の新たな電波のうち、個別測定モードの電波測定作業において所定の測定間隔(時間又は掃引クール回数)以上に亘って測定された電波のみを不審電波として判定する方式を採用した点を特徴としている。これは、例えば消防無線、警察無線、代行車両無線のように、突発的かつ短時間だけ外部から侵入してくる電波については、受信機7の初期設定時において環境電波として受信できないケースが殆どであり、これらの電波をいちいち不審電波として判定・報知してしまう事態を回避するために、所定の測定間隔以上に亘って測定された電波のみを判定対象に限定したものである。
【0034】
そして、不審電波判定手段11aでいずれかのユーザ施設の受信機7で不審電波を受信したと判定した場合には、報知手段11bで自動的にシステム運営会社の監視担当者又は/及びユーザに報知するようになっている。尚、ユーザに直接報知されない設定でも、少なくとも監視担当者に報知されて監視担当者がユーザに報知する手順を行うようになっている。
【0035】
また、監視担当者に報知する方法としては、監視コンピュータ10Aに付設したディスプレイ等による表示手段14に表示することが想定され、これを目視にて確認した監視担当者は、ユーザに対し電話で連絡することのほか、キーボード等の入力手段15を用いたマニュアル操作にてメール送信、FAX送信、ホームページを用いた報知を行うことができる。
【0036】
監視コンピュータ10Aが自動的かつ直接的にユーザに報知する方法としては、システムのホームページ上に設けたユーザ毎の専用画面(マイページ)等に表示して知らせる方法、自動メールにてユーザに知らせる方法、自動FAXにてユーザに知らせる方法があり、予めこれらのいずれか又はこれらの組み合わせを選択して監視コンピュータ10Aに設定しておくものとされ、監視担当者に報知する場合を含めその設定における報知方法と報知先のデータが、報知先情報ファイル12cに登録されるようになっている。
【0037】
また、システムのホームページに表示される各ユーザ固有のマイページは、プライバシー保護の観点から、各ユーザがパスワード入力等の認証手順を経ることで閲覧可能とすることが好ましく、このマイページには不審電波の存在の有無を表示する監視結果報告画面が含まれる。さらに、盗聴・盗撮電波を受信した場合に、その音声や映像をユーザがマイページ上で視聴できる機能を設けておくことにより、盗聴・盗撮機器の設定場所の特定が容易なものとなる。即ち、盗撮画像における撮影対象との位置関係から盗撮機器の位置を特定することができ、或いは盗聴音声をライブで確認しながら受信機7の位置や向きを操作することで盗聴器の位置を特定しやすくなる。
【0038】
図3は、本実施の形態でユーザ施設に受信機7を設置してその設定を行う場合において、不審電波監視プログラムに基づいた監視コンピュータ10Aの動作手順を説明するためのフローチャートである。ユーザ施設に赴いたシステム運営会社の担当者は、受信機7設置の前に、盗聴電波や盗撮電波を発する機器がユーザ施設に存在しないことを電波探知装置等で直接確認して、存在すればこれを探索して除去し、存在しないことが確認されれば受信機7をインターネット回線100に接続可能な状態にて設置する。
【0039】
担当者が受信機7を起動させると、最初にフルスキャンモードで環境電波の掃引を開始するともに受信した電波データを含む信号を出力するが、その出力信号にはIPアドレス等の受信機7を個別的に識別するための識別用データが含まれている。監視コンピュータ10Aは、この出力信号を受信して(A1)、識別用データを基に送信元受信機7を特定する(A2)。
【0040】
監視コンピュータ10Aは、受信した出力信号から環境電波データ生成して、そのユーザのデータと関連づけて電波情報ファイル12aに登録し(A4)、不審電波判定手段11aでその環境電波データ中に所定強度(例えば30dBμV/m)以上の電波が存在するか否かを判定し(A5)、存在する場合、受信機操作手段11cで送信元受信機7における測定対象電波中の上記所定強度以上の電波を除外するように遠隔的に更新させ(A6)、存在しない場合は更新させないものとして、送信元受信機7の動作モードを個別測定モードに切り替えて測定作業を開始させ(A7)、設定作業が完了する。
【0041】
図4は、本システムにおいて各受信機7が実際に作動している状況における監視コンピュータ10Aの動作手順を説明するためのフローチャートである。監視コンピュータ10Aは、複数の受信機7の出力信号を各々連続的に受信しているが(B1)、各出力信号に含まれる識別データからその各送信元受信機7を特定している(B2)。
【0042】
監視コンピュータ10Aは、不審電波判定手段11aで出力信号に含まれる受信電波データを照合し(B3)、これと電波情報ファイル12aに登録したその受信機による環境電波データと比較して(B4)、所定強度(例えば30dBμV/m)以上の新たな電波が存在するか否かを判定し(B5)、存在しない場合は最初に戻り、存在する場合はそれが所定間隔(例えば掃引クール2回に亘る等)以上連続して受信されたものであるか否かを判定して(B6)、連続して受信していない場合は最初に戻り、連続して受信していた場合は不審電波として判定し(B7)、これを記録して(B8)、報知手段11bで報知先情報ファイル12cに登録した報知先に対し、登録した報知方法にて報知して(B9)、最初に戻る。
【0043】
図5は、市販の盗聴・盗撮機器に新たな周波数を使用する機種が追加されて受信機7の個別識別モードの受信周波数ではカバーできなくなったような場合に、この状況変化に対応すべく、監視コンピュータ10Aが各受信機の7ソフトウエアを遠隔的に更新する場合を説明するためのフローチャートを示している。
【0044】
システム運営会社側で新たな周波数を用いた盗聴・盗撮機器の販売情報を入手することで各受信機7の個別測定モード更新の必要が生じたと判断した場合、その監視担当者は、入力手段15を用いて監視コンピュータ10Aの電波情報ファイル12aに新規電波データを入力することにより(D1)各受信機7のソフトウエアを自動更新させるための設定を行う。
【0045】
すると、監視コンピュータ10Aでは受信機操作手段11cが更新用データを作成し(C1)、電波情報ファイル12aと受信機設定情報ファイル12bのデータを基に更新すべき受信機7を特定して(C2)、更新用データを送信し(C3)、対象となった受信機7におけるソフトウエアの個別測定モードの受信条件を上書きして更新させることにより(C4)、更新作業が完了する。
【0046】
上述したように、本実施の形態の不審電波監視システム1Aにおいては、監視コンピュータ10Aが各受信機7のソフトウエアを設定・更新しながらその動作を遠隔的に操作することにより、受信機7の設定時から監視作業実行中の総ての段階において様々な状況変化に自動的かつ的確に対処できるようになっており、監視担当者の手間を要することなく優れたセキュリティを実現できるものである。
【0047】
また、本実施の形態の不審電波監視システム1Aでは、ユーザ施設においてインターネット接続環境が設置されていない場合でも、インターネット接続機能付携帯端末(例えば携帯電話機やタブレット端末等)であって無線を介してインターネット回線100に接続することのできるユーザ端末6に受信機7を接続する方式によっても、システムの利用が可能となっている。この場合、例えば携帯端末の充電ステーションと受信機を一体化させることにより、受信機の電源と携帯端末への接続が同時に確保される。
【0048】
以上、述べたように、従来とは異なる周波数の盗聴器・盗撮機器が使用された場合や環境電波中に外来電波が突発的に混入した場合でも、本発明により、不審電波の監視を的確かつ効率的に行えるようになった。
【符号の説明】
【0049】
1A 不審電波監視システム、2 システム運営会社施設、3a,3b,3c,3d ユーザ施設、4 ネットワーク接続機器、5a,5b,5c,5d,6 ユーザ端末、7 受信機、10A 監視コンピュータ、11A 制御部、11a 不審電波判定手段、11b 報知手段、11c 受信機操作手段、11d ウェブ画面生成手段、12A データ記憶部、12a 電波情報ファイル、12b 受信機設定情報ファイル、12c 報知先情報ファイル、100 インターネット回線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のユーザ施設に各々配置されて格納したソフトウエアで動作し、所定の電波を受信しながら受信電波のデータを送信して電波測定作業を実行する受信機と、該受信機にインターネット回線を介して接続され不審電波判定手段で受信した前記データ中に盗聴又は/及び盗撮の可能性のある不審電波を含むか否かを判定し、含むと判定した場合に報知手段で監視担当者又は/及びユーザに送信元の前記受信機が不審電波を受信したことを報知するものとして不審電波の監視作業を実行する監視コンピュータと、を備えた不審電波監視システムにおいて、
前記受信機は、少なくとも前記不審電波に使用される可能性のある所定周波数の電波のみを受信する個別測定モードによる動作が可能とされ、前記監視コンピュータは、インターネット回線を介して前記受信機のソフトウエアを設定又は更新させることでその動作内容の遠隔的な操作が可能とされている、ことを特徴とする不審電波監視システム。
【請求項2】
前記監視コンピュータによる前記ソフトウエアの更新には、前記個別測定モードにおける受信周波数の変更又は/及び追加又は/及び削除が含まれる、ことを特徴とする請求項1に記載した不審電波監視システム。
【請求項3】
前記不審電波判定手段は、前記個別測定モードの電波測定作業で所定の測定間隔以上に亘って測定された所定強度以上の電波のみを前記不審電波として判定する、ことを特徴とする請求項1または2に記載した不審電波監視システム。
【請求項4】
前記監視コンピュータは、前記不審電波が存在しない状態で前記受信機が測定した所定強度以上の環境電波について、送信元の前記受信機のソフトウエアを更新して以後受信しない設定とする、ことを特徴とする請求項1,2または3に記載した不審電波監視システム。
【請求項5】
前記監視コンピュータは、ウェブザーバを兼ねてユーザ側の端末で閲覧可能なホームページを提供可能とされており、ユーザが前記端末を用いて前記ホームページにアクセスすることでそのユーザ施設の前記受信機が受信した前記不審電波による盗聴音声又は/及び盗撮画像の視聴が可能とされている、ことを特徴とする請求項1,2,3または4に記載した不審電波監視システム。
【請求項6】
前記受信機は、ユーザ所有のインターネット接続機能付携帯端末に接続することにより、無線を介したインターネット回線への接続及び前記監視コンピュータとの送受信が可能とされていることを特徴とする、請求項1,2,3,4または5に記載した不審電波監視システム。
【請求項7】
複数のユーザ施設に各々配置され格納したソフトウエアで少なくとも前記個別測定モードによる動作が可能とされ所定の電波を受信しながら受信電波のデータを送信して電波測定作業を実行する前記受信機とインターネット回線を介して接続するものとした請求項1,2,3,4,5または6に記載した不審電波監視システム上の前記監視コンピュータに、インストールすることで機能させるプログラムであって、受信した前記データ中に盗聴又は/及び盗撮の可能性のある不審電波を含むか否かを判定するステップと、前記不審電波を含むと判定した場合に監視担当者又は/及びユーザに送信元の前記受信機が前記不審電波を受信したことを報知するステップを、前記監視コンピュータに実行させて前記不審電波の監視作業を実行させ、かつ、前記監視コンピュータにインターネット回線を介し操作対象である前記受信機のソフトウエアを遠隔的に設定又は更新させるステップを実行させることでその動作内容の操作を行わせる、ことを特徴とする不審電波監視プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−80370(P2013−80370A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−219915(P2011−219915)
【出願日】平成23年10月4日(2011.10.4)
【出願人】(511240081)株式会社Tsugumi (2)
【Fターム(参考)】