説明

不揮発性メモリの高電圧ラッチの高電圧源劣化を防ぐための方法及び装置

不揮発性メモリのメモリセルに書き込まれるデータビットの記憶に使用する改善したクロスカップルCMOS高電圧ラッチ(100)に、ラッチのメモリセルへのデータビットの書き込み中に、ラッチの1つのレッグと地面との間に高い直列のインピーダンスを提供するスイッチング回路(116)を設けてリーク電流を制限する。数多くのラッチが並列に接続され、これらの累積したリーク電流がスイッチング回路(116)により制限されて、チャージポンプ回路などの、高電圧ラッチ(100)のための高電圧発電機のオーバーロードを防ぎ、この結果、不揮発性メモリのメモリセルにデータが適切に書き込まれるようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不揮発性メモリへのデータの書き込みに使用される高電圧データラッチに関し、より具体的には、オンチップチャージポンプ回路などの高電圧源又は発電機から流れるリーク電流を制限するための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
不揮発性メモリの事前選択したメモリセルに書き込まれるデータビットを記憶するためにラッチが使用される。データビットがメモリセルに書き込まれているときを除き、ラッチには、通常、例えば3ボルト又はそれ以下の低電圧電源が給電される。書き込みモードの動作中、ラッチには、不揮発性メモリセルへのデータの書き込みに必要な7〜15ボルトの高電圧が供給される。1つの不揮発性メモリチップは、例えば512又はそれ以上の多くの数の高電圧ラッチ回路を含むことができる。通常、これらのラッチ回路は高電圧ラッチ回路と呼ばれるが、書き込み動作にのみ高電圧源が必要とされる。チャージポンプ回路などのオンチップ高電圧源又は発電機が、メモリセルにデータビットを書き込むための高電圧を供給する。通常、高電圧発電機は電流供給能力が制限されており、高電圧ラッチのいくつかで過度のリーク電流が生じると、不揮発性メモリのメモリセルにデータビットを適切に書き込むのに必要なレベルより低いレベルにまで高電圧レベルが下がってしまうほど発電機がロードダウンされる可能性がある。
【0003】
図1は、第1のCMOSインバータ回路12及び第2のCMOSインバータ回路14を含む代表的なクロスカップル高電圧ラッチ回路10を示す図である。第1のCMOSインバータ回路12は、第1のプルアップPMOSトランジスタ16を含み、この第1のプルアップPMOSトランジスタ16は、HVノード18に接続されたドレイン及びラッチ入力ノードAに接続されたソースを有する。第1のCMOSインバータ回路12は、第1のプルダウンNMOSトランジスタ20も含み、この第1のプルダウンNMOSトランジスタ20は、ラッチ入力ノードAに接続されたドレイン及び接地されたソースを有する。第1のプルアップPMOSトランジスタ16のゲートと第1のプルダウンNMOSトランジスタ20のゲートは共に接続される。なお、書き込みモードの動作が行われるときを除き、HVノード18には低電圧が給電される。
【0004】
第2のCMOSインバータ回路14は、第2のプルアップPMOSトランジスタを含み、この第2のプルアップPMOSトランジスタは、HVノード18に接続されたドレイン及びデータストレージ出力ノードBに接続されたソースを有する。第2のCMOSインバータ回路14は、第2のプルダウンNMOSトランジスタ24も含み、この第2のプルダウンNMOSトランジスタ24は、データストレージ出力端子Bに接続されたドレイン及び接地されたソースを有する。第2のプルアップPMOSトランジスタ22のゲートと第2のプルダウンNMOSトランジスタ24のゲートは共に接続される。
【0005】
高電圧ラッチ回路10を、HVノード18において供給される通常の低VDD電圧で動作できるようにするために、第2のプルダウンNMOSトランジスタ24は、低しきい値電圧Vt、高電圧NMOSトランジスタとなっており、このトランジスタは、高電圧でパンチスルーしやすいことに起因して書き込み電圧が高いときにリーク電流が高くなる傾向がある。従って、HVノード18から、低しきい値電圧Vtを有するリークしやすい第2のプルダウンNMOSトランジスタ24を介して地面までリーク経路が設けられることになる。
【0006】
ラッチ入力ノードAは、ロード入力NMOSトランジスタ26を通じてDATA IN(データイン)端子28に接続される。ロード入力NMOSトランジスタ26のゲート端子30においてLOAD(ロード)信号が供給され、DATA IN(データイン)端子28のデータビットをラッチ入力ノードAに取り込む。
【0007】
高電圧書き込みモードの動作に不揮発性チップを使用しない場合、例えば3ボルトのVdd論理回路電源電圧がHVノード18に供給されて、高電圧ラッチ10を形成する2つのインバータ12、14に給電を行う。高電圧書き込みモードの動作に不揮発性チップを実際に使用する場合、例えば7〜15ボルトの適切な高電圧電源がHVノード18に供給されて、高電圧ラッチを形成する2つのインバータ12、14に給電を行う。高電圧は、例えばチップ上に設けられたチャージポンプ回路などの高電圧生成回路から供給される。
【0008】
ラッチの適切な開閉動作を、例えば3ボルト又はそれ以下の低Vdd論理回路電源電圧で実現するために、NMOSトランジスタ24は、高電圧、低Vtの素子となっている。ロード入力NMOSトランジスタ26の両端にかかるVt電圧の降下により、HIGH(高い)、すなわち「1」の信号をラッチ入力ノードAにロードすることが困難なため、NMOSトランジスタ24は低しきい値の素子である必要がある。
【0009】
HV端子が7〜15ボルトの状態で、チップが高電圧書き込みモードの動作にあり、かつデータストレージ出力ノードBが「1」の論理レベルである場合、高電圧プルアップPMOSトランジスタがオンになり、高電圧プルダウン低しきい値電圧NMOSトランジスタ24がオフになる。この場合、基本的に、HV端子18から供給される7〜15ボルトのほとんど全てが低しきい値NMOSトランジスタの両端にかかることになる。内部にパンチスルー経路が存在することにより、高電圧プルダウンNMOSトランジスタ24がリークしやすい場合、リーク経路は、データストレージ出力ノードBにおける高電圧から、リークしやすいプルダウン低しきい値NMOSトランジスタ24を経由して地面にまで及ぶ。
【0010】
不揮発性メモリチップは、代表的な高電圧ラッチ回路10のような512又はそれ以上の高電圧ラッチを有し、これらのいくつか又は全ては、ラッチのHV端子に高電圧がかかった状態でリークしやすい可能性がある。公称15ボルトを供給する例えばオンチップ電荷ポンプなどのオンチップ高電圧生成回路から奪われる過度のリーク電流により、HV端子18における電圧は例えば12ボルトにまで引き下げられる可能性がある。HV端子18において高電圧が低減されることにより、メモリ書き込み機能に誤動作が生じる可能性がある。
【0011】
図2は、オフセット電圧の降下を無視する場合の、図1の代表的な高電圧ラッチ回路10の動作を示すタイミング図である。最初に、LOAD(ロード)信号がNMOSロード入力トランジスタ26のゲート端子30に低レベルで印加されて、NMOSロード入力NMOSトランジスタ26をオフに保つ。LOAD(ロード)信号がVddまで引き上げられた場合、NMOSロード入力NMOSトランジスタ26がオンにされて、論理レベルのDATA IN(データイン)信号がラッチ入力ノードAに供給される。LOAD(ロード)信号がVddレベルまで高まった後、ラッチ入力ノードAの電圧が低レベルとなり、データストレージ出力ノードBの電圧がVddの状態になる。その後、HV_ENABLE制御信号が高まって、高電圧生成回路からHVノード18に高電圧HVを印可する。データストレージ出力ノードBにおける電圧がHVノード18の電圧と基本的に同じになるように、第2のプルアップPMOSトランジスタ22がオンにされる。HVノード18のHV電圧は、最初はVddレベル32である。HV_ENABLE制御電圧が高まって、高電圧生成回路をHVノード18に接続した後、高電圧生成回路は、リークしやすいプルダウンNMOSトランジスタ24にリーク電流を供給しなければならないため、線分34で示すように、ノード18におけるHV電圧がフルHV(目標)レベル38よりも低いHV(実際)レベル36まで上昇する。フルHV(目標)レベル38は、例えば15ボルトであるが、様々な高電圧ラッチ回路におけるリークの結果、HV(実際)レベル36は、例えば12ボルトとなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
プルダウンNMOSトランジスタ24を通るリークの影響を低減させるための様々な考え得る対応策にはいくつかの欠点がある。プルダウンNMOSトランジスタ24の製造のためのプロセスパラメータを変更することによりリークを低減させることができるが、この変更はしきい値電圧Vtを上昇させ、低電圧動作に悪影響を与えることになる。
【0013】
リーク電流を低減させるために、プルダウンNMOSトランジスタのゲート長Lを増大させることにより、プルダウンNMOSトランジスタ24の抵抗値を上げることができるが、これには、チップ上により多くの領域が必要となり、チップのサイズが大きくなる。HV生成回路の電流の出力又は強度を上げることもできるが、これにはより大きなポンプ回路が必要となり、この結果チップ上のより多くの領域が必要とされ、チップのサイズが大きくなる。またHV生成回路の強度を上げることにより、より大きな書き込み電流を供給するためのより高いクロック周波数が必要となる可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、1又はそれ以上の高電圧ラッチを有する不揮発性メモリを提供する。個々の高電圧ラッチに含まれる第1のCMOSインバータは、HV端子と接地端子との間に接続されるとともに入力端子及び出力端子を有する。個々の高電圧ラッチに含まれる第2のCMOSインバータは、HV端子とスイッチノードCとの間に接続されるとともに入力端子及び出力端子を有する。第2のCMOSインバータの入力端子及び第1のCMOSインバータの出力端子は、高電圧ラッチ回路のラッチ入力ノードAに接続される。ラッチ入力ノードAには、NMOSロード入力NMOSトランジスタを介してDATA IN(データイン)入力端子が接続され、そのゲート端子にDATA LOAD(データロード)信号が供給されて、NMOSロード入力NMOSトランジスタがオンになり、データビットがラッチ入力ノードAに取り込まれる。第1のCMOSインバータの入力端子及び第2のCMOS出力端子の出力端子は、ラッチ出力ノードBに接続される。
【0015】
本発明は、1又はそれ以上のラッチの1又はそれ以上のスイッチノードCの全てと接地端子との間に接続されたスイッチング回路も提供する。INPUT DATA LOAD(入力データロード)モードの動作中、HV端子に低電圧が印可されている場合、スイッチング回路は、1又はそれ以上の第2のCMOSインバータにLOW(低)インピーダンスを直列に構成する。HIGH−VOLTAGE WRITE(高電圧書き込み)モードの動作中、HV端子に高電圧が印可されている場合、スイッチング回路は、1又はそれ以上の第2のCMOSインバータにHIGH(高)インピーダンスを直列に提供して、パンチスルーにより生じるリーク電流を制限する。スタンバイモードの動作中、HV端子にLOW(低)電圧が印可されている場合、スイッチング回路は、第2のCMOSインバータに高インピーダンスを直列に提供する。
【0016】
第2のCMOSインバータは、PMOSプルアップトランジスタ及び高電圧低しきい値NMOSプルダウントランジスタを含む。HIGH−VOLTAGE WRITE(高電圧書き込み)モードの動作中、HV端子に高電圧が印可されている場合、第2のCMOSインバータの低しきい値NMOSプルダウントランジスタに直列に接続されたHIGH(高)インピーダンスが、パンチスルーにより生じるリーク電流を制限する。
【0017】
本発明の第1の実施形態及び第2の実施形態では、インピーダンススイッチング回路が、スイッチングノードCと接地端子との間に共に並列に接続された第1のNMOSスイッチングトランジスタ及び第2のNMOSスイッチングトランジスタを含む。INPUT DATA LOAD(入力データロード)モードの動作中、HV端子にLOW(低)電圧が印可されている場合、第1のNMOSスイッチングトランジスタをオンにし、第2のNMOSスイッチングトランジスタをオンにして、第2のCMOSインバータにLOW(低)インピーダンスを直列に提供する。HIGH−VOLTAGE WRITE(高電圧書き込み)モードの動作中、HV端子に高電圧が印可されている場合、第2のNMOSスイッチングトランジスタがオフにされ、第1のNMOSスイッチングトランジスタがオンにされる。HIGH−VOLTAGE WRITE(高電圧書き込み)モードの動作中、HV端子に高電圧が印可されている場合、第1のNMOSスイッチングトランジスタは、第1のNMOSスイッチングトランジスタをオンにするのに十分なLOW BIAS(低バイアス)電圧により必要最低限オンにされる。
【0018】
本発明の第3の実施形態では、スイッチング回路が第3のNMOSスイッチングトランジスタを含み、この第3のNMOSスイッチングトランジスタは、インピーダンス−スイッチノードCと接地端子との間に接続され、INPUT DATA LOAD(入力データロード)モードの動作中にオンにされて低インピーダンスを提供し、さらにHIGH−VOLTAGE WRITE(高電圧書き込み)モードの動作中、HV端子に高電圧が印可されている場合、LOW BIAS(低バイアス)電圧により必要最低限オンにされて高インピーダンスを提供する。LOW BIAS(低バイアス)電圧は、バンドギャップ電圧源に結合される。
【0019】
本発明の第1の実施形態では、スタンバイ入力信号端子が、第1のNMOSトランジスタX1のゲート端子と、第2のMOSスイッチングトランジスタのゲート端子に接続された出力端子を有する2入力NORゲートの一方の入力端子とにインバータを介して接続される。2入力NORゲートの他方の入力端子にはHVイネーブル信号端子が接続される。
【0020】
第2の実施形態では、出力端子を有する2入力NORゲートが、第2のMOSスイッチングトランジスタのゲート端子に接続される。2入力NORゲートの一方の入力端子にはHVイネーブル信号端子が接続される。2入力NORゲートの他方の入力端子にはスタンバイ入力信号端子が接続される。この第2の実施形態では、第1のNMOSスイッチングトランジスタのゲート端子に接続された出力端子と、HVイネーブル信号端子に接続された制御端子と、インバータを介してスタンバイ入力信号端子に接続されたゼロ入力端子と、LOW BIAS(低バイアス)電圧の供給を受けるバイアス電圧入力端子に接続された1入力端子とを有する2入力マルチプレクサを提供する。
【0021】
第3の実施形態では、第3のNMOSスイッチングトランジスタX10のゲート端子に接続された出力端子と、HVイネーブル信号端子に接続された制御端子と、インバータを介してスタンバイ入力信号端子に接続されたゼロ入力端子と、LOW BIAS(低バイアス)電圧の供給を受けるバイアス電圧入力端子に接続された1入力端子とを有する2入力マルチプレクサを提供する。さらなる実施形態では、LOW BIAS(低バイアス)電圧がバンドギャップ電圧源に結合される。
【0022】
1又はそれ以上のラッチ回路用のチャージポンプ回路により、HIGH Voltage WRITE(高電圧書き込み)モードの動作中に印可されるHIGH(高)電圧が供給される。
【0023】
本発明は、データを不揮発性メモリに高電圧書き込みするための1又はそれ以上の高電圧ラッチにおいてリーク電流を制限する方法を提供する。1又はそれ以上のラッチの各々に対して、本方法は、HV端子と接地端子との間に第1のCMOSインバータを接続することにより、及びHV端子とインピーダンススイッチノードとの間に第2のCMOSインバータを接続することによりHV端子と接地端子との間にクロスカップルCMOSラッチを接続するステップと、第2のCMOSインバータの入力端子及び第1のCMOSの出力端子をラッチ回路用のラッチ入力ノードAに接続するステップと、ラッチ入力ノードAをNMOSロード入力NMOSトランジスタを介してラッチのDATA IN(データイン)入力端子に接続するステップと、NMOSロード入力NMOSトランジスタのゲート端子でLOAD(ロード)信号を供給して、NMOSロード入力NMOSトランジスタをオンにするステップと、第1のCMOSインバータの入力端子及び第2のCMOS出力端子の出力端子をラッチ回路用のラッチ出力ノードBに接続するステップと、インピーダンス−スイッチノードCと接地端子との間にスイッチング回路を接続するステップと、INPUT DATA LOAD(入力データロード)モードの動作中、HV端子に低電圧が印可されている場合、第2のCMOSインバータに低インピーダンスを直列に提供するステップと、HIGH−VOLTAGE WRITE(高電圧書き込み)モードの動作中、HV端子に高電圧が印可されている場合、第2のCMOSインバータに高インピーダンスを直列に提供して、パンチスルーにより生じるリーク電流を防ぐステップとを含む。
【0024】
本方法は、スタンバイモードの動作中、HV端子に低電圧が印可されている場合、第2のCMOSインバータに高インピーダンスを直列に提供するスイッチング回路をさらに含む。本方法はまた、PMOSプルアップトランジスタ及び高電圧低しきい値NMOSプルダウントランジスタを有する第2のCMOSインバータと、第2のCMOSインバータの低しきい値NMOSプルダウントランジスタに直列に接続され、HIGH−VOLTAGE WRITE(高電圧書き込み)モードの動作中、HV端子に高電圧が印可されている場合、パンチスルーにより生じるリーク電流を制限するHIGH(高)インピーダンスとを含む。
【0025】
本明細書に組み込まれその一部を形成する添付の図面は、本発明の実施形態を例示し、説明部分と共に本発明の原理を説明するためのものである。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】出力端子から地面までのリーク経路を有する従来技術の高電圧ラッチ回路を示す回路図である。
【図2】図1の回路のタイミング図である。
【図3】高電圧ラッチ回路の第1の実施形態を示す回路図である。
【図4】図4、図5、及び図6の回路に適用できるタイミング図である。
【図5】高電圧ラッチ回路の第2の実施形態を示す回路図である。
【図6】高電圧ラッチ回路の第3の実施形態を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
簡潔に言えば、本発明は、不揮発性メモリセルに書き込まれるデータビットを記憶するためのクロスカップルCMOS高電圧ラッチを提供するものである。データビットのメモリセルへのプログラミング中又は書き込み中、ラッチには高電圧が印可され、これによりラッチのNMOS低しきい値プルダウントランジスタが高電圧にさらされる。プログラミングモードの動作中、高プログラミング電圧にさらされた際にNMOSトランジスタにおけるリーク電流を制限するために、スイッチング回路がNMOSトランジスタと地面との間に高インピーダンスを提供する。読み取りモードの動作中、スイッチング回路はNMOSトランジスタと地面との間に低インピーダンスを提供する。数多くのラッチが並列に接続されるため、これらの累積したリーク電流により、チャージポンプ回路などの電圧源が、不揮発性メモリセルにデータを適切に書き込むだけの十分な高電圧を供給できないほど負荷を受けることになる。
【0028】
本発明の第1の実施形態
図3は、第1のCMOSインバータ回路102及び第2のCMOSインバータ回路104を含む高電圧ラッチ回路100の第1の実施形態を示す回路図である。第1のCMOSインバータ回路102は、HVノード108に接続されたドレインとラッチ入力ノードA1に接続されたソースとを有する第1のプルアップPMOSトランジスタ106を含む。第1のCMOSインバータ回路102はまた、ラッチ入力ノードA1に接続されたドレインと接地されたソースとを有する第1のプルダウンNMOSトランジスタ110も含む。第1のプルアップPMOSトランジスタ106のゲート及び第1のプルダウンNMOSトランジスタ110のゲートは共に接続される。
【0029】
第2のCMOSインバータ回路104は、HVノード108に接続されたドレインとデータストレージ出力ノードB1に接続されたソースとを有する第2のプルアップPMOSトランジスタ112を含む。第2のCMOSインバータ回路104は、データストレージ出力ノードB1に接続されたドレインを有する第2のNMOSプルダウントランジスタ114を含む。第2のプルアップPMOSトランジスタ112のゲート及び第2のプルダウンNMOSトランジスタ114のゲートは共に接続される。第2のプルダウンNMOSトランジスタ114のドレインはスイッチノードC1に接続される。スイッチノードC1はスイッチング回路116を介して接地される。不揮発性メモリは、1又はそれ以上、通常512まで又はそれ以上の高電圧ラッチを有する。スイッチング回路116は、1又はそれ以上のラッチの1又はそれ以上のスイッチノードCの全てと接地端子との間に接続される。INPUT DATA LOAD(入力データロード)モードの動作中、HV端子に低電圧が印可されている場合、スイッチング回路116は、1又はそれ以上の第2のCMOSインバータに低インピーダンスを直列に提供する。HIGH−VOLTAGE WRITE(高電圧書き込み)モードの動作中、HV端子に高電圧が印可されている場合、スイッチング回路116は、1又はそれ以上の第2のCMOSインバータに高インピーダンスを直列に提供して、パンチスルーにより生じるリーク電流を制限する。スイッチ回路116は、多くの高電圧ラッチ回路に接続されているため、大型のトランジスタを使用して高電圧ラッチ回路の全ての結合した電流を処理する。大型のトランジスタは、「フィンガー」と呼ばれる複数のさらに小型のトランジスタに分割されることが多い。スイッチング回路116に存在する1又は複数のスイッチングトランジスタはこのようなフィンガーであると考えることができ、これらは例えば、通電容量に関するこれらのトランジスタの相対的な強度を示すX1、X9、X10で表される。通常、X1は相対的に高いチャネルのインピーダンスを有する。X9及びX10は相対的に低いチャネルのインピーダンスを有する。大きな数字の方が、相対的に大きな通電容量、高いアドミタンス、又は相対的に低いインピーダンスを有している。具体例として、X9トランジスタは、X1トランジスタに比べて9倍の強度、又は9分の1のインピーダンスを有している。X1及びX9トランジスタを並列で動作させて、X10トランジスタと同等のものを実現することもできる。トランジスタを公称強度よりも低い強度まで必要最低限オンにするバイアス電圧、又は完全な公称強度までオンにするバイアス電圧を印可することにより、特定のトランジスタの強度を制御することもできる。
【0030】
なお、本発明の様々な好ましい実施形態のうちの様々な実施形態ではX1、X9、X10トランジスタを使用しているが、特定用途の要件に応じて様々な他のトランジスタ強度を使用することができる。
【0031】
第2のNMOSプルダウントランジスタ114のソースは、X1NMOSトランジスタ118及びX9NMOSトランジスタ119のドレインに接続される。X1NMOSトランジスタ118及びX9NMOSトランジスタ119のソースは共に接地される。X1NMOSトランジスタ118のゲートは、入力をSTANDBY(スタンバイ)信号入力端子122に接続されたインバータ120の出力に接続される。X9NMOSトランジスタ119のゲートは、2入力NORゲート124の出力端子に接続される。2入力NORゲート124の一方の入力端子は、STANDBY(スタンバイ)信号入力端子122に接続される。2入力NORゲート124の他方の入力端子は、HVイネーブル信号入力端子126に接続される。
【0032】
ラッチ入力ノードA1は、ロード入力NMOSトランジスタ128を介してDATA IN(データイン)端子130に接続される。ロード入力NMOSトランジスタ128のゲート端子132において、データビットをラッチ回路100に取り込むためのLOAD(ロード)信号が供給される。
【0033】
図4は、図3の高電圧ラッチ回路100の動作を示すタイミング図である。高電圧ラッチ回路100は、スタンバイモード、データローディングモード、及び高電圧書き込みモードの3つのモードで動作する。スタンバイモードの動作は、ラッチ回路100がHVノード108において低Vdd電圧により給電される際に発生する。データローディングモードは、DATA IN(データイン)端子130における入力データが依然として低Vdd電圧で動作するラッチ回路100に取り込まれる際に発生する。高電圧書き込みモードは、HVノード108に高電圧が印可されて不揮発性メモリセルにデータを書き込む際に発生する。
【0034】
スタンバイモード
スタンバイモードの動作中、STANDBY(スタンバイ)信号はVDD(HIGH(高))レベルとなり、HVイネーブル信号は0(LOW(低))レベルとなる。ラッチ入力ノードA1及びデータストレージ出力ノードB1におけるデータは、HIGH(高)又はLOW(低)のいずれかとなる。HVノード108における電圧レベルはVDDとなる。入力端子122のHIGH STANDBY(高スタンバイ)信号がインバータ120で反転され、X1NMOSトランジスタ118をオフにする。入力端子126におけるLOW HV−ENABLE(低HVイネーブル)信号及びノード122におけるHIGH STANDBY(高スタンバイ)信号が、2入力NORゲート124の出力においてLOW(低)電圧レベルを生み出して、X9NMOSトランジスタ119をオフにする。スタンバイモードの動作では、X1及びX9の両方がオフになる。
【0035】
スタンバイモードの動作の終了前に、STANDBY(スタンバイ)信号はLOW(低)信号レベルになる。STANDBY(スタンバイ)信号入力端子122がLOW(低)電圧になることにより、X1NMOSトランジスタ118のゲート端子にHIGH(高)信号レベルが発生し、X1NMOSトランジスタ118がオンになる。2入力NORゲート124の入力端子がLOW(低)信号レベルになることにより、X9NMOSトランジスタ119のゲート端子にHIGH(高)電圧が発生し、X9NMOSトランジスタ119がオンになる。ラッチ入力ノードA1及びデータストレージ出力ノードB1のデータは以前のHIGH(高)又はLOW(低)レベルのままとなる。X1及びX9トランジスタが両方ともオンになった場合、これらがスイッチノードC1のための地面までの低インピーダンス経路を提供するようになる。これにより、高電圧、低しきい値の第2のNMOSトランジスタ114が、高電圧源又は発電機から得た制限されたパンチスルーリーク電流で動作した状態で、ラッチ100が効果的に動作できるようになる。
【0036】
データ取込モード
データ取込モードの動作は、ロード入力NMOSトランジスタ128のゲート端子132においてVDDレベルのLOAD(ロード)信号が供給されたときに開始する。このモードの動作では、DATA IN(データイン)端子130のLOWこのモード(低)入力信号がラッチ入力ノードA1に取り込まれる。これにより、データストレージ出力ノードB1がHIGH VDD(高VDD)レベルになり、この結果第2のプルアップPMOSトランジスタ112がオンになり、第2のNMOSプルダウントランジスタ114がオフになる。DATA IN(データイン)端子130にHIGH(高)入力信号が存在する場合、第2のプルダウンNMOSトランジスタがオンになることにより、データストレージ出力ノードB1がLOW(低)レベルになる。
【0037】
高電圧書き込みモード
高電圧書き込みモードの動作中、入力端子122におけるSTANDBY(スタンバイ)電圧はLOW(低)レベルでオフのままであり、入力端子126におけるHV−ENABLE(HVイネーブル)信号レベルはHIGH(高)レベルにある。インバータ120により反転された、端子122におけるLOW STANDBY(低スタンバイ)信号レベルは、X1NMOSトランジスタ18のゲートにおいてHIGH(高)レベルを発生させ、X1NMOSトランジスタ118をオンにする。HIGH HV−ENABLE(高HVイネーブル)信号及びLOW STANDBY(低スタンバイ)信号により、2入力NORゲート124がオフにされ、この結果X9NMOSトランジスタ119がオフになる。このモードの動作では、X1が高インピーダンスとなることによりリーク電流が制限される。
【0038】
このとき、HVノード108に高電圧源が印可され、データストレージ出力ノードB1における電圧は、HVノード108にかかる電圧に従う。図4は、例えば15ボルトのHV電圧目標値レベルに上昇するこれら2つの電圧レベルHV及びB1を示す図である。
【0039】
高電圧書き込みモードの動作では、高電圧生成回路がHVノード108において高電圧を供給する場合、X1NMOSトランジスタ118がオンになり、X9NMOSトランジスタ119がオフになって、第2のNMOSプルダウントランジスタ114を流れる電流を制限する。この結果、リーク電流が低減され、HV生成の出力電圧は、不揮発性メモリチップ内の512HVラッチ回路の全てからリーク電流により引き下げられることはない。
【0040】
本発明の第2の実施形態
図5は、高電圧ラッチ回路200の第2の実施形態を示す回路図であり、第1のCMOSインバータ回路102及び第2のCMOSインバータ回路104などの、図3の構成要素と類似した構成要素には同じ参照文字を付けている。第1のCMOSインバータ回路102は、HVノード108に接続されたドレインとラッチ入力ノードA2に接続されたソースとを有する第1のプルアップPMOSトランジスタ106を含む。第1のCMOSインバータ回路102はまた、ラッチ入力ノードA2に接続されたドレインと接地されたソースとを有する第1のプルダウンNMOSトランジスタ110も含む。第1のプルアップPMOSトランジスタ106のゲート及びプルダウンNMOSトランジスタ110のゲートは共に接続される。
【0041】
第2のCMOSインバータ回路104は、HVノード108に接続されたドレインとデータストレージ出力ノードB2に接続されたソースとを有する第2のプルアップPMOSトランジスタ112を含む。第2のCMOSインバータ回路104は、データストレージ出力ノードB1に接続されたドレインを有する第2のNMOSプルダウントランジスタ114を含む。第2のプルアップPMOSトランジスタ112のゲート及び第2のプルダウンNMOSトランジスタ114のゲートは共に接続される。
【0042】
第2のNMOSプルダウントランジスタ114のソースはスイッチノードC2に接続され、スイッチング回路210を介して接地される。スイッチノードC2は、接地したソースを有するX10NMOSトランジスタ211のドレインに接続される。X10NMOSトランジスタ211のゲートは2入力マルチプレクサ212の出力端子に接続され、マルチプレクサ制御端子214に供給されるHV−ENABLE(HVイネーブル)制御信号により制御される。端子216にSTANDBY(スタンバイ)信号が提供され、インバータ218により反転される。反転されたSTANDBY(スタンバイ)信号が、2入力マルチプレクサ212の0入力端子に印加される。例えばバンドギャップ回路などの中間電圧のソースから得られるバイアス電圧が、2入力マルチプレクサ212の1入力端子に印可される。中間電圧は、X10NMOSトランジスタ211をオンにするのに十分な高さではあるが、X10NMOSトランジスタ211を通る電流の流れを制限するに足りるほどの低さである。
【0043】
図4のタイミング図を図5にも適用して、図5の高電圧ラッチ回路200の動作を示す。高電圧ラッチ回路200は、スタンバイモード、データ取込モード、及び高電圧書き込みモードの3つのモードで動作する。スタンバイモードの動作は、ラッチ回路200がHVノード108において低Vdd電圧により給電される際に発生する。データ取込モードは、DATA IN(データイン)端子130における入力データが依然として低Vdd電圧で動作するラッチ回路200に取り込まれる際に発生する。高電圧書き込みモードは、HVノード108に高電圧が印可されて不揮発性メモリセルにデータを書き込む際に発生する。
【0044】
スタンバイモード
スタンバイモードの動作中、端子216のSTANDBY(スタンバイ)信号はVDD(HIGH(高))レベルとなり、端子214のマルチプレクサ制御HV−ENABLE(HVイネーブル)信号は0(LOW(低))レベルとなる。ラッチ入力ノードA1及びデータストレージ出力ノードB1におけるデータは、HIGH(高)又はLOW(低)のいずれかとなる。HVノード108における電圧レベルはVDDとなる。入力端子122のHIGH STANDBY(高スタンバイ)信号がインバータ218で反転され、X10NMOSトランジスタ211をオフにする。端子216におけるSTANDBY(スタンバイ)信号がLOW(低)レベルとなり、端子214におけるHV−ENABLE(HVイネーブル)信号が依然としてLOW(低)のままである場合、インバータ218は、マルチプレクサ212を介してHIGH(高)信号レベルを供給し、X10NMOSトランジスタ211をオンにする。
【0045】
データ取込モード
データ取込モードの動作は、ロード入力NMOSトランジスタ128のゲート端子132においてVDDレベルのLOAD(ロード)信号が供給されたときに開始する。このモードの動作では、DATA IN(データイン)端子130のLOWこのモード(低)入力信号がラッチ入力ノードA2に取り込まれる。これにより、データストレージ出力ノードB2がHIGH VDD(高VDD)レベルになり、この結果第2のプルアップPMOSトランジスタ112がオンになり、第2のNMOSプルダウントランジスタ114がオフになる。
【0046】
高電圧書き込みモード
高電圧書き込みモードの動作中、マルチプレクサ212の入力端子126におけるHV−ENABLE(HVイネーブル)信号レベルはHIGH(高)レベルにあり、これにより、X10NMOSトランジスタ211のゲートに印可される端子220におけるバイアス電圧が選択される。バイアス電圧は、例えばバンドギャップ回路から中間電圧レベルで供給される。中間電圧レベルは、X10NMOSトランジスタ211を最低限オンにするのに十分な高さではあるが、X10NMOSトランジスタ211を流れる電流を制限するに足りるほどの低さである。このモードの動作では、X10NMOSトランジスタが相対的に高いインピーダンス状態にあることにより、リーク電流が制限される。
【0047】
このとき、HVノード108に高電圧源が印可され、データストレージ出力ノードB2における電圧は、HVノード108にかかる電圧に従う。図4は、例えば15ボルトのHV電圧目標値レベルに上昇するこれら2つの電圧レベルを示す図である。
【0048】
@ この結果、リーク電流が低減され、HV生成の出力電圧は、不揮発性メモリチップ内の512HVラッチ回路の全てからリーク電流により引き下げられることはない。
【0049】
図1に関して前述したように、高電圧書き込みモードの動作に不揮発性チップを使用しない場合、例えば3ボルトのVdd論理回路電源電圧がHVノード108に供給されて、高電圧ラッチを形成する2つのインバータ102、104に給電を行う。高電圧書き込みモードの動作に不揮発性チップを実際に使用する場合、例えば15ボルトの高電圧電源がHVノード18に供給される。高電圧は、例えばチップ上に設けられたチャージポンプ回路などの高電圧生成回路から供給される。
【0050】
本発明の第3の実施形態
図6は、高電圧ラッチ回路300の第3の実施形態を示す回路図であり、第1のCMOSインバータ回路102及び第2のCMOSインバータ回路104などの類似する構成要素には同じ参照文字を付けている。第1のCMOSインバータ回路102は、HVノード108に接続されたドレインとラッチ入力ノードA3に接続されたソースとを有する第1のプルアップPMOSトランジスタ106を含む。第1のCMOSインバータ回路102はまた、ラッチ入力ノードA3に接続されたドレインと接地されたソースとを有する第1のプルダウンNMOSトランジスタ110も含む。第1のプルアップPMOSトランジスタ106のゲート及びプルダウンNMOSトランジスタ110のゲートは共に接続される。
【0051】
第2のCMOSインバータ回路104は、HVノード108に接続されたドレインとデータストレージ出力ノードB3に接続されたソースとを有する第2のプルアップPMOSトランジスタ112を含む。第2のCMOSインバータ回路104は、データストレージ出力ノードB1に接続されたドレインを有する第2のNMOSプルダウントランジスタ114を含む。第2のプルアップPMOSトランジスタ112のゲート及び第2のプルダウンNMOSトランジスタ114のゲートは共に接続される。
【0052】
ラッチ入力ノードA3は、ロード入力NMOSトランジスタ128を介してDATA IN(データイン)端子130に接続される。ロード入力NMOSトランジスタ128のゲート端子132においてLOAD(ロード)信号が供給される。
【0053】
第2のNMOSプルダウントランジスタ114のソースはスイッチノードC3に接続され、スイッチング回路316を介して接地される。スイッチノードC3は、X1NMOSトランジスタ318のドレイン及びX9NMOSトランジスタ319のドレインに接続される。X1NMOSトランジスタ316のソース及びX9NMOSトランジスタ318のソースは共に接地される。
【0054】
X1NMOSトランジスタ318のゲートは、「1」入力端子322をBIAS VOLTAGE(バイアス電圧)に接続されたマルチプレクサ320の出力部に接続される。
【0055】
マルチプレクサ320の「0」入力端子324は、インバータ326を介してSTANDBY(スタンバイ)入力端子328に接続される。
【0056】
2入力マルチプレクサ320のための制御信号が、HV−ENABLE(HVイネーブル)信号端子330から供給される。
【0057】
X9NMOSトランジスタ318のゲート端子は、2入力NORゲート332の出力端子に接続される。2入力NORゲート332の一方の入力端子は、STANDBY(スタンバイ)信号入力端子328に接続される。2入力NORゲート332の他方の入力端子は、HVイネーブル信号入力端子330に接続される。
【0058】
ラッチ入力ノードA3は、ロード入力NMOSトランジスタ128を介してDATA IN(データイン)端子130に接続される。ロード入力NMOSトランジスタ128のゲート端子132においてLOAD(ロード)信号が供給される。
【0059】
図4のタイミング図を図6にも適用して、図6の高電圧ラッチ回路300の動作を示す。高電圧ラッチ回路200は、スタンバイモード、データ取込モード、及び高電圧書き込みモードの3つのモードで動作する。スタンバイモードの動作は、ラッチ回路300がHVノード108において低Vdd電圧により給電される際に発生する。データ取込モードは、DATA IN(データイン)端子130における入力データが依然として低Vdd電圧で動作するラッチ回路300に取り込まれる際に発生する。高電圧書き込みモードは、HVノード108に高電圧が印可されて不揮発性メモリセルにデータを書き込む際に発生する。
【0060】
スタンバイモード
スタンバイモードの動作中、STANDBY(スタンバイ)信号はVDD(HIGH(高))レベルとなり、HVイネーブル信号は0(LOW(低))レベルとなる。これにより、2入力NORゲート332の出力端子においてLOW(低)信号が供給されて、X9NMOSトランジスタ319がオフになる。
【0061】
LOW HV−ENABLE(低HVイネーブル)は、2入力マルチプレクサを制御して、マルチプレクサ320の「0」入力端子324における入力信号を選択する。HIGH(高)レベルのSTANDBY(スタンバイ)信号により、「0」入力端子324においてLOW(低)信号が生み出され、2入力マルチプレクサを介してX1NMOSトランジスタ318のゲートへ送られる。
【0062】
スタンバイモードの動作では、X1及びX9の両方がオフになる。
【0063】
スタンバイモードの動作が終了する直前に、STANDBY(スタンバイ)信号がLOW(低)信号レベルになる。端子328における低電圧及び端子330における低電圧により、2入力NORゲート332が、X9NMOSトランジスタ319のゲート端子においてHIGH(高)信号レベルを生み出し、このHIGH(高)信号レベルがX9NMOSトランジスタ318をオンにする。
【0064】
データ取込モード
データ取込モードの動作は、LOAD(ロード)信号がVDDレベルになったときに開始する。LOW IN(低イン)信号により、端子A3においてLOW(低)レベル信号が、及び端子B3においてVDD HIGH(高)信号が生み出される。このモードでは、DATA IN(データイン)端子130における低入力信号がラッチ入力ノードA3に取り込まれる。これにより、データストレージ出力ノードB3がHIGH VDD(高VDD)レベルになり、この結果第2のプルアップPMOSトランジスタ112がオンになり、第2のNMOSプルダウントランジスタ114がオフになる。
【0065】
高電圧書き込みモード
高電圧書き込みモードの動作中、入力端子328におけるSTANDBY(スタンバイ)電圧はLOW(低)レベルにあり、入力端子330におけるHV−ENABLE(HVイネーブル)信号レベルはHIGH(高)レベルにある。これにより、2入力NORゲート332の出力端子においてLOW(低)信号レベルが生み出されて、X9NMOSトランジスタ319がオフになる。
【0066】
入力端子330におけるHIGH HV−ENABLE(高HVイネーブル)信号は、2入力マルチプレクサ320を制御して、例えばバンドギャップ回路から中間電圧レベルで供給されるバイアスに接続された「1」入力端子322を選択する。中間レベルは、X1NMOSトランジスタ318を最低限オンにするのに十分な高さではあるが、X1NMOSトランジスタ318を流れる電流を制限するに足りるほどの低さである。
【0067】
@ このモードの動作では、X1NMOSトランジスタ318が高インピーダンスとなることによりリーク電流が制限される。
【0068】
このとき、HVノード108に高電圧源が印可され、データストレージ出力ノードB3における電圧は、HVノード108にかかる電圧に従う。図4は、例えば15ボルトのHV電圧目標値レベルに上昇するこれら2つの電圧レベルを示す図である。
【0069】
高電圧書き込みモードの動作では、高電圧生成回路がHVノード108において高電圧を供給する場合、X1NMOSトランジスタ318がオンになり、X9NMOSトランジスタ319がオフになって、第2のNMOSプルダウントランジスタ114を流れる電流を制限する。この結果、リーク電流が低減され、HV生成の出力電圧は、不揮発性メモリチップ内の512HVラッチ回路の全てからリーク電流により引き下げられることはない。
【0070】
本発明による不揮発性メモリは多くの高電圧ラッチを有し、これらのラッチは、スタンバイモードの動作、データ取込動作、及び高電圧書き込みモードの動作を含む3つのモードの動作を有する。個々の高電圧ラッチは、HV端子、接地端子、DATA IN(データイン)入力端子、ラッチ入力ノードA、及びラッチ出力ノードBを有する。個々の高電圧ラッチはまた、スイッチング回路を介してクロスカップルCMOSインバータの1つのレッグに接続され、接地されたスイッチノードCも含む。動作の書き込みモード中、スイッチング回路は高インピーダンスを提供して、ラッチ全域にわたる高電圧により生じる、クロスカップルCMOSインバータのレッグを通過するリーク電流を制限する。
【0071】
例示及び説明を目的として本発明の特定の実施形態についての前述の説明を示してきた。これらは、全てを網羅すること、或いは開示した厳密な形態に本発明を限定することを意図したものではなく、上記の教示に照らして、明らかに多くの修正及び変更が可能である。実施形態は、本発明の原理及びその実施可能な応用を最も良く説明するため、及び当業者が、本発明及び企図する特定の使用に適した様々な修正を加えた様々な実施形態を最大に利用できるようになるために選択し、説明したものである。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲及びその同等物により定められるものである。
【符号の説明】
【0072】
100 高電圧ラッチ回路
102 第1のCMOSインバータ回路
104 第2のCMOSインバータ回路
106 第1のプルアップPMOSトランジスタ
108 HVノード
110 第1のプルダウンNMOSトランジスタ
112 第2のプルアップPMOSトランジスタ
114 第2のプルダウンNMOSトランジスタ
116 スイッチング回路
118 X1NMOSトランジスタ
119 X9NMOSトランジスタ
120 インバータ
122 STANDBY(スタンバイ)信号入力端子
124 2入力NORゲート
126 HVイネーブル信号入力端子
128 ロード入力NMOSトランジスタ
130 DATA IN(データイン)端子
132 ゲート端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1又はそれ以上の高電圧CMOSラッチを有する不揮発性メモリであって、個々の高電圧CMOSラッチは、
HV端子と接地端子との間に接続されるとともに、入力端子及び出力端子を有する第1のCMOSインバータと、
前記HV端子とスイッチノードCとの間に接続されるとともに、入力端子及び出力端子を有する第2のCMOSインバータと、
を備え、
前記第2のCMOSインバータの入力端子及び前記第1のCMOSインバータの出力端子は、前記高電圧ラッチ回路のためのラッチ入力ノードAに接続され、
NMOSロード入力NMOSトランジスタを介して前記ラッチ入力ノードAに接続されたDATA IN(データイン)入力端子が設けられ、前記NMOSロード入力NMOSトランジスタのゲート端子においてDATA LOAD(データロード)信号が供給されて、前記NMOSロード入力NMOSトランジスタがオンにされ、
前記第1のCMOSインバータの入力端子及び前記第2のCMOS出力端子の出力端子はラッチ出力ノードBに接続され、さらに、
前記1又はそれ以上のラッチの1又はそれ以上のスイッチノードCの全てと前記接地端子との間に接続されたスイッチング回路を備え、
INPUT DATA LOAD(入力データロード)モードの動作中、前記HV端子に低電圧が印可されているときに、前記スイッチング回路は、前記1又はそれ以上の第2のCMOSインバータに低インピーダンスを直列に提供し、
HIGH−VOLTAGE WRITE(高電圧書き込み)モードの動作中、前記HV端子に高電圧が印可されているときに、前記スイッチング回路は、前記1又はそれ以上の第2のCMOSインバータに高インピーダンスを直列に提供して、パンチスルーにより生じるリーク電流を制限する、
ことを特徴とする不揮発性メモリ。
【請求項2】
スタンバイモードの動作中、前記HV端子に低電圧が印可されているときに、前記スイッチング回路は、前記第2のCMOSインバータに高インピーダンスを直列に提供する、
ことを特徴とする請求項1に記載の不揮発性メモリのラッチ回路。
【請求項3】
HIGH−VOLTAGE WRITE(高電圧書き込み)モードの動作中、前記第2のCMOSインバータは、PMOSプルアップトランジスタと、高電圧低しきい値NMOSプルダウントランジスタを含み、前記HV端子に高電圧が印可されている場合、前記第2のCMOSインバータの低しきい値NMOSプルダウントランジスタに直列に接続された前記高インピーダンスにより、パンチスルーにより生じるリーク電流が制限される、
ことを特徴とする請求項1に記載の不揮発性メモリ。
【請求項4】
前記インピーダンススイッチング回路は、相対的に高いチャネルインピーダンスを有する第1のNMOSスイッチングトランジスタと、相対的に低いチャネルインピーダンスを有する第2のNMOSスイッチングトランジスタとを含み、これらの両方は、前記スイッチノードCと前記接地端子との間に並列に接続される、
ことを特徴とする請求項3に記載の不揮発性メモリ。
【請求項5】
INPUT DATA LOAD(入力データロード)モードの動作中、前記HV端子に低電圧が印可されている場合、前記第1のNMOSスイッチングトランジスタがオンになり、前記第2のNMOSスイッチングトランジスタがオンになって、前記第2のCMOSインバータに前記低インピーダンスを直列に提供する、
ことを特徴とする請求項4に記載の不揮発性メモリ。
【請求項6】
前記HIGH−VOLTAGE WRITE(高電圧書き込み)モードの動作中、前記HV端子に高電圧が印可されている場合、前記第2のNMOSスイッチングトランジスタがオフになり、前記第1のNMOSトランジスタX1がオンになって、前記第2のCMOSインバータの低しきい値NMOSプルダウントランジスタからのリーク電流を制限する、
ことを特徴とする請求項4に記載の不揮発性メモリ。
【請求項7】
前記HIGH−VOLTAGE WRITE(高電圧書き込み)モードの動作中、前記HV端子に高電圧が印可されている場合、前記第1のNMOSトランジスタX1は、前記第1のNMOSスイッチングトランジスタをオンにするのに十分な電圧により必要最低限オンになる、
ことを特徴とする請求項6に記載の不揮発性メモリ。
【請求項8】
前記スイッチング回路は第3のNMOSスイッチングトランジスタを含み、該第3のNMOSスイッチングトランジスタは、前記スイッチノードCと前記接地端子との間に接続され、INPUT DATA LOAD(入力データロード)モードの動作中にオンになって低インピーダンスを提供し、前記HIGH−VOLTAGE WRITE(高電圧書き込み)モードの動作中、前記HV端子に高電圧が印可されている場合、低バイアス電圧により必要最低限オンになって高チャネルインピーダンスを提供する、
ことを特徴とする請求項3に記載の不揮発性メモリ。
【請求項9】
前記低バイアス電圧は、バンドギャップ電圧源に結合される、
ことを特徴とする請求項8に記載の不揮発性メモリ。
【請求項10】
インバータを介して前記第1のNMOSトランジスタX1のゲート端子に接続されるとともに、前記第2のMOSスイッチングトランジスタのゲート端子に接続された出力端子を有する2入力NORゲートの一方の入力端子に接続されたスタンバイ入力信号端子と、前記2入力NORゲートの他方の入力端子に接続されたHVイネーブル信号端子と、
を含むことを特徴とする請求項4に記載の不揮発性メモリ。
【請求項11】
前記第2のMOSスイッチングトランジスタのゲート端子に接続された出力端子を有する2入力NORゲートと、
前記2入力NORゲートの一方の入力端子に接続されたHVイネーブル信号端子と、
前記2入力NORゲートの別の入力端子に接続されたスタンバイ入力信号端子と、
2入力マルチプレクサと、
を含み、前記2入力マルチプレクサは、
前記第1のNMOSスイッチングトランジスタのゲート端子に接続された出力端子と、
前記HVイネーブル信号端子に接続された制御端子と、
インバータを介して前記スタンバイ入力信号端子に接続されているゼロ入力端子と、
LOW BIAS(低バイアス)電圧の供給を受けるバイアス電圧入力端子に接続された1入力端子と、
を有する、
ことを特徴とする請求項4に記載の不揮発性メモリ。
【請求項12】
前記第3のNMOSスイッチングトランジスタのゲート端子に接続された出力端子と、
前記HVイネーブル信号端子に接続された制御端子と、
インバータを介して前記スタンバイ入力信号端子に接続されたゼロ入力端子と、
LOW BIAS(低バイアス)電圧の供給を受けるバイアス電圧入力端子に接続された1入力端子と、
を有する2入力マルチプレクサを含む、
ことを特徴とする請求項8に記載の不揮発性メモリ。
【請求項13】
前記LOW BIAS(低バイアス)電圧は、バンドギャップ電圧源に結合される、
ことを特徴とする請求項12に記載の不揮発性メモリ。
【請求項14】
高電圧書き込みモードの動作中に印可される前記高電圧は、前記1又はそれ以上のラッチ回路のためのチャージポンプ回路により供給される、
ことを特徴とする請求項3に記載の不揮発性メモリ。
【請求項15】
不揮発性メモリへのデータの高電圧書き込みに使用する1又はそれ以上の高電圧ラッチにおけるリーク電流を制限する方法であって、前記1又はそれ以上のラッチの各々に対して、
HV端子と接地端子との間に第1のCMOSインバータを接続するとともに、及び前記HV端子とインピーダンススイッチノードとの間に第2のCMOSインバータを接続することにより、HV端子と接地端子との間にクロスカップルCMOSラッチを接続するステップと、
前記第2のCMOSインバータの入力端子及び前記第1のCMOSの出力端子を前記ラッチ回路のためのラッチ入力ノードAに接続するステップと、
前記ラッチ入力ノードAをNMOSロード入力NMOSトランジスタを介して前記ラッチのDATA IN(データイン)入力端子に接続するステップと、
前記NMOSロード入力NMOSトランジスタのゲート端子においてLOAD(ロード)信号を供給し、前記NMOSロード入力NMOSトランジスタをオンにするステップと、
前記第1のCMOSインバータの入力端子及び前記第2のCMOS出力端子の出力端子を前記ラッチ回路のためのラッチ出力ノードBに接続するステップと、
前記インピーダンススイッチノードCと前記接地端子との間にスイッチング回路を接続するステップと、
INPUT DATA LOAD(入力データロード)モードの動作中、前記HV端子に低電圧が印可されている場合、前記第2のCMOSインバータに前記スイッチング回路により低インピーダンスを直列に提供するステップと、
HIGH VOLTAGE WRITE(高電圧書き込み)モードの動作中、前記HV端子に高電圧が印可されている場合、前記第2のCMOSインバータに前記スイッチング回路により高インピーダンスを直列に提供して、パンチスルーにより生じるリーク電流を防ぐステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項16】
スタンバイモードの動作中、前記HV端子に低電圧が印可されている場合、前記第2のCMOSインバータに高インピーダンスを直列に提供する前記スイッチング回路を含む、
ことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
PMOSプルアップトランジスタ及び高電圧低しきい値NMOSプルダウントランジスタを有する前記第2のCMOSインバータと、
HIGH−VOLTAGE WRITE(高電圧書き込み)モードの動作中、前記HV端子に高電圧が印可されている場合、前記高電圧低しきい値NMOSプルダウントランジスタのパンチスルーにより生じるリーク電流を制限する前記第2のCMOSインバータの前記低しきい値NMOSプルダウントランジスタに直列に接続された前記高インピーダンスと、
を含むことを特徴とする請求項15に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−544109(P2009−544109A)
【公表日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−519574(P2009−519574)
【出願日】平成19年6月22日(2007.6.22)
【国際出願番号】PCT/US2007/071941
【国際公開番号】WO2008/008613
【国際公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願人】(591225523)アトメル・コーポレイション (57)
【氏名又は名称原語表記】ATMEL CORPORATION
【Fターム(参考)】