説明

不燃性の画像用シートおよび透過光用の画像シート

【課題】不燃性に優れており、表面に形成される画像がより一層鮮明に見える画像用シートを提供する。
【解決手段】表面に画像を形成するために用いられる不燃性の画像用シート3であって、ガラスからなる複数の単繊維を束ねたガラスヤーンを用いて織られた光透過性および光拡散性を有するガラスクロスからなる半透明のシート状体11と、シート状体の表面にウレタン系樹脂をコーティングすることによって形成された第1層12と、第1層の表面にアクリル塩ビ樹脂をバインダ樹脂としてコーティングすることによって形成された第2層13とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不燃性の画像用シート、およびそれを用いた透過光用の画像シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、駅の構内、ホテルやデパートの室内壁面に、宣伝広告のための種々のサイズの画像パネルがしばしば取り付けられる。通常、このよな画像パネルは、画像が形成された画像シートを適当なパネル枠に取り付け、画像シートの背面から蛍光灯やEL(エレクトリックルミネッセンスライト)などによって照明を行う。観察者は、照明による透過光によって画像を鮮明に見ることができる。
【0003】
従来においては、このような画像シートとして、ポリエステルからなる半透明のフィルムを支持体とし、その両面にインクジェットプリンタなどを用いて画像を印刷することによって画像を形成したものが用いられている。また、感光乳剤を塗布してなる印画フィルムを用い、その感光乳剤層に画像を焼付けて現像したものも用いられている(特許文献1)。また、写真性に優れる改良されたポリエステル支持体も提案されている(特許文献2)。
【0004】
また、ポリエステルからなる透明の樹脂フィルム層と、樹脂フィルム層の一方の表面に形成された第1の画像層と、第1の画像層の表面に形成された乳白層と、乳白層の表面に形成された第2の画像層とを有する画像シートも提案されている(特許文献3)。
【0005】
しかし、これら従来の画像シートでは、支持体がポリエステルなどの合成樹脂からなるフィルムであるので、可燃性であり、防火および防炎の上で問題があった。
【0006】
この問題に対して、ガラスからなる複数の単繊維を束ねたガラスヤーンを縦糸および横糸として用いて平織りされた光透過性および光拡散性を有するガラスクロスを用いた画像シートを、本出願人は先に提案した(特許文献4)。
【0007】
この特許文献4の画像シートによると、ガラスクロスをベース層として用いるので、不燃性となり、防火上および防炎上の問題が解消する。
【特許文献1】特開昭59−222835
【特許文献2】特開2001−342245
【特許文献3】特開2005−132090
【特許文献4】特開2007−203724
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上に述べた特許文献4においては、ガラスクロスにコーティングされた樹脂層において改善すべき点があった。つまり、画像用シートの不燃性をさらに信頼性の高いものとし、表面に形成される画像がより一層鮮明に見える画像用シートが望まれている。
【0009】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたもので、不燃性に対する信頼性が一層高くなり、表面に形成される画像がより一層鮮明に見える画像用シートおよび透過光用の画像シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一形態に係る画像用シートは、表面に画像を形成するために用いられる不燃性の画像用シートであって、表面に画像を形成するために用いられる不燃性の画像用シートであって、ガラスからなる複数の単繊維を束ねたガラスヤーンを用いて織られた光透過性および光拡散性を有するガラスクロスからなる半透明のシート状体と、前記シート状体の表面にウレタン系樹脂をコーティングすることによって形成された第1層と、前記第1層の表面にアクリル塩ビ樹脂をバインダ樹脂としてコーティングすることによって形成された第2層と、を有してなる。
【0011】
また、本発明の一形態に係る画像用シートは、ガラスからなる複数の単繊維を束ねたガラスヤーンを用いて織られた光透過性および光拡散性を有するガラスクロスからなる半透明のシート状体と、前記シート状体の表面に、ブルーミングのための青色顔料を含むウレタン系樹脂をコーティングすることによって形成された第1層と、前記第1層の表面に、三酸化アンチモンを防炎剤として含んでアクリル塩ビ樹脂を主成分とするバインダ樹脂をコーティングすることによって形成された第2層と、を有してなる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、不燃性に対する信頼性が一層高くなり、表面に形成される画像がより一層鮮明に見える画像用シートを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
〔第1の実施形態〕
図1は本発明に係る第1の実施形態の画像用シート3の一部を示す断面図、図2はベース層11の製造方法を説明するための図、図3はガラスクロスGCの斜視図、図4はガラスクロスGCの形状を示したシート状体11の断面図である。
【0014】
図1において、画像用シート3は、シート状体11、第1層12、第2層13、第3層14、および第4層15からなる。
【0015】
シート状体11は、ガラスからなる複数の単繊維を束ねたガラスヤーンを用いて織られた光透過性および光拡散性を有するガラスクロスからなる半透明のものである。ガラスクロスは、例えば、直径4ないし9μmの単繊維、例えば直径4μm、または直径9μmの単繊維を、複数用いて10乃至40TEXのガラスヤーンとし、これを縦糸および横糸として用いて平織りすることによって形成される。
【0016】
ここで、光透過性は、外部からの照明光が実用的な効率でシート状体11を透過して、観察者が十分な明るさで画像を観察できる程度に有していればよい。また、光拡散性は、照明光の光源が透けて見えたりすることのないよう、照明光がシート状体11の内部で適当に拡散し、シート状体11の面が一様な明るさとなる程度であればよい。
【0017】
シート状体11の厚さは、数十ミクロン〜数百ミクロン程度、例えば100ミクロン程度である。シート状体11が厚くなるにしたがって光透過性が低下するので、背面からの照明光が十分に透過する程度で且つ適当な光拡散性を持つ程度の厚さとするのが好ましい。
【0018】
シート状体11はガラスクロスからなるので、すりガラスのように半透明であり、乳白色がかっており、向こう側は透けては見えない。つまり、シート状体11は、それ自体が従来からの乳白色層および光拡散層として機能する。この点において、従来から種々存在するガラスファイバー製の不透明な布とは異なる。シート状体11の縦横のサイズは、画像用シート3の用途または使用目的に応じて種々の大きさとすることができる。シート状体11の製造方法については後で詳しく説明する。
【0019】
第1層12は、ブルーミングのための青色顔料(ブルー顔料)を含むウレタン系樹脂を、シート状体11の表面にコーティングすることによって形成されたものである。
【0020】
すなわち、ウレタン系樹脂として、一液ウレタンを用いることができ、これをバインダ樹脂として用いる。ウレタン系樹脂は、例えば、4g/m2 程度とし、これをシート状体11に含浸させる。ウレタン系樹脂によって、シート状体11の結束を図ってほつれ止めを行う。
【0021】
ブルーミングのための青色顔料として、例えば、洗剤の蛍光染料のようなものを用いる。ブルーミングを行うことにより、画像用シート3の色温度を調整することができ、インクジェットプリンタによる画像の印刷を行うためのメディアとして用いる場合に、最適な白さを出すことができる。
【0022】
なお、ガラスクロスGCは、澱粉で繊維を巻いたままコーティングするのが好ましい。その理由は、ガラス繊維はアルカリに弱く洗浄が簡単ではないので、ヒートクリーニングにかけた場合にはガラスの強度が落ちるなどの問題が生じて好ましくない。
【0023】
第2層13は、三酸化アンチモンを防炎剤として含み、アクリル塩ビ樹脂を主成分とするバインダ樹脂を、第1層12の表面またはシート状体11の表面にコーティングすることによって形成されたものである。
【0024】
すなわち、有機質の塩化ビニール−アクリル共重合樹脂を、例えば14.4g/m2 程度とし、防炎剤としての三酸化アンチモンを、例えば1.6g/m2 程度とした組成物を、塩化ビニール−アクリル共重合樹脂系塗料として第1層12の上に塗布する。塩化ビニール−アクリル共重合樹脂は、アクリル樹脂と塩化ビニール樹脂とを、例えば重量比で3対7程度に混合したものである。具体的には、有機質の塩化ビニール−アクリル共重合樹脂を14.4g/m2 とした場合には、アクリル樹脂は4.3g/m2 、塩化ビニール樹脂は10.1g/m2 とする。なお、第2層13は、第1層12が形成されたシート状体11の両面に形成される。
【0025】
第2層13は、アクリル樹脂を含んでおり、これによって、画像用シート3の光透過度が向上する。
【0026】
第3層14は、酸化チタンおよびシリカを含んでアクリル塩ビ樹脂を主成分とするバインダ樹脂を、第2層13の表面にコーティングすることによって形成されたものである。
【0027】
すなわち、第3層14の材料として、第2層13と同様な塩化ビニール−アクリル共重合樹脂系塗料が用いられ、これに、無機質充填剤として、三酸化チタン、シリカ(二酸化ケイ素)などを含有させる。
【0028】
例えば、有機質の塩化ビニール−アクリル共重合樹脂を、例えば11.8g/m2 程度とし、防炎剤としての三酸化アンチモンを、例えば1.6g/m2 程度とし、三酸化チタンおよびシリカなどの無機質充填剤を、例えば10.7g/m2 程度とした組成物を、塩化ビニール−アクリル共重合樹脂系塗料として、これを第2層13の上に塗布する。なお、第3層14は、第2層13が形成されたシート状体11の両面に形成される。
【0029】
第3層14を形成することにより、画像用シート3の光透過度がさらに向上する。
【0030】
第3層14の表面にさらにウレタン系樹脂を塗布することにより、表面の光沢が一層良好となる。
【0031】
第4層15は、これまでの最上層である第3層14の表面に、静電防止剤をコーティングすることによって形成されている。
【0032】
図2(A)において、ガラスヤーンを構成する単繊維TSとして、直径4乃至9μm程度の単繊維を用いる。
【0033】
そして、このような単繊維TSを複数本用い、図2に(B)にその断面を示すように、10乃至40TEX(番手)のガラスヤーンGYとする。つまり、単繊維TSを、その太さにもよるが、100〜400本程度用いてガラスヤーンGYとする。なお、TEX(番手)は、長さ1Km当たりの重量を示す。
【0034】
具体的には、例えば、直径7μmの単繊維TSを200本用い、22.5TEXのガラスヤーンGYとする。他の具体例では、直径9μmの単繊維TSを200本用い、33.7TEXのガラスヤーンGYとする。さらに他の具体例では、直径6μmの単繊維TSを400本用い、33.7TEXのガラスヤーンGYとする。さらに他の具体例では、直径5μmの単繊維TSを400本用い、22.5TEXのガラスヤーンGYとする。その他、単繊維TSの太さ、本数、TEXについて種々の組み合わせが可能である。
【0035】
なお、単繊維TSとして少し細い直径3μmのものを使用した場合には、ガラスクロスGCの強度を増すことができるが、アスベストと同様に血管の中に入ることがあるので好ましくない。
【0036】
ガラスヤーンGYの断面形状は、当初は円形または楕円形であるが、後で織ることによる加圧力により偏平な形状となる。なお、複数の単繊維TSをガラスヤーンGYとして束ねるに際して、結合剤としてでんぷん系ののりを含浸させてもよい。
【0037】
ガラスヤーンGYを原糸として用い、図2(C)(D)および図3に示すように、平織(Plain )によって織物であるガラスクロスGCとする。平織では、その平面視が図2(D)に示されるように、縦糸と横糸とが1本ごとに交錯している。通常、目あきとはせず、密なものとする。しかし、多少の目あきとすることも可能である。縦糸として、ガラスヤーンGYを密度50〜70本/25mmとし、横糸として、密度50〜70本/25mmとする。具体的には、例えば、縦糸は密度60本/25mm、横糸は密度57本/25mmとする。
【0038】
平織によって織物(ガラスクロスGC)とした後に、上に述べたようにウレタン系樹脂をコーティングして第1層12を形成する。このコーティングにおいて、塗布の後に、ヘラ状のナイフなどを用いて表面をスクイズし、表面を滑らかに仕上げておいてもよい。また、グラビア印刷のような輪転シリンダを用いてコーティングを行ってもよい。
【0039】
コーティングによって、バインダ樹脂が、平織りされた織物の目の隙間にしみ込む。つまり、図4に示すように、バインダ樹脂は、織物の谷の部分に多く塗布され、一部が織物の山の部分にも薄く塗布される。例えば、織物の谷の部分の約80%程度が第1層12によって埋まる。したがって、織物の山の部分においては、第1層12は厚さが薄く、または第1層12が途切れて織物の山の表面が露出する場合もあるので、その上に第2層13が形成される。
【0040】
つまり、第2層13は、第1層12の上に重ねてコーティングされるので、ガラスクロスGCの山の部分および谷の部分においてほぼ均一な厚さに形成される。
【0041】
このように、ガラスヤーンGYを用いて平織りしてガラスクロスGCとすることによって、不燃性の画像用シート3を製造することができる。密な平織りとすることによって糸目が目立つことなく、一様な光拡散性が得られる。第3層14を形成することによって光透過性が一層向上する。なお、第3層14を省略することも可能である。また、適当な光透過性と光拡散性が得られれば、平織りでなく他の織り方で織ってもよい。
【0042】
また、第2層13および第3層14には、防炎剤である三酸化アンチモンを含んでおり、不燃性に優れる。また、第3層14に含まれる酸化チタンは、白色顔料として機能し、画像用シート3の色を白色またはグレイに保つ。シリカは、光拡散材として機能する。
【0043】
通常、酸化チタンおよびシリカは、パウダー状であり、その粒径の大きさは5〜40μmである。しかし、パウダーの大きさおよび配分および粒径などは、画像用シート3の表面に形成する画像の特性、とりわけインクジェットプリンタを用いて画像を形成する場合のインク特性に応じ、この範囲内で、またはこの範囲を越えて、適切な値のものが用いられる。
【0044】
なお、画像用シート3を構成する各材料の重量の例を示すと、ガラスクロスGCが105g/m2 程度、三酸化アンチモンが3.2g/m2 程度、酸化チタンおよびシリカが10.7g/m2 程度、塩化ビニール−アクリル共重合樹脂が26.2g/m2 程度、ウレタン系樹脂が4g/m2 程度である。この場合に、合計は149g/m2 程度となり、その内、無機分が118.9g/m2 程度(79.7%)、有機分が11.8g/m2 程度(7.9%)、塩化ビニール分が18.4g/m2 程度(12.3%)となる。
【0045】
なお、このような各材料の割合は、適宜変更調整することができる。例えば、上に述べた割合に対してプラスマイナス20%程度の範囲で増減してもよい。
【0046】
上に述べた画像用シート3によると、不燃性に対する信頼性が一層高くなり、表面に形成される画像が従来よりもより一層鮮明に見える。
【0047】
ところで、ガラスクロスGCの表面の凹凸や、第1層12および第2層13の粒径によりもたらされる凹凸が、画像用シート3の表面で光の乱反射を生起させることがある。その場合には、低溶剤インクなどではコントラストが低下し、発色性が良好ではなくなる。
【0048】
本実施形態の画像用シート3では、第1層12にウレタン系樹脂を含ませることによって、トッピングコートを行い、描画されたインクに光沢をだすようになる。これにより、インクの発色と高精細な印字が高められている。因みに、ウレタン樹脂をアクリル塩ビの中に加えても光沢は出ない。
【0049】
また、ガラスクロスGCは、静電気を帯びやすく、静電気を帯びるとインクジェットプリンタのインクの着弾点を不正碓にしてしまう。本実施形態の画像用シート3では、静電防止剤をコーティングすることにより第4層15を形成しており、これにより静電気の影響が防止されている。しかし、第4層15を省略することも可能である。
【0050】
なお、上に述べた画像用シート3において、シート状体11の裏面、つまり第1層12が形成された側と反対側の面に、接着剤を塗布し、その上に剥離ようの離形フィルムを貼り付けておいてもよい。
【0051】
また、上の実施形態の画像用シート3によると、画像用シート3の両方の面、つまり表面および裏面に、インクジェットプリンタなどによって画像を鮮明に形成することができる。
【0052】
その場合に、画像用シート3の表面および裏面に、互いに同じ画像からなる画像層(第1の画像層および第2の画像層)を形成すると、透過光用の画像シートとすることができる。
〔第2の実施形態〕
図5は本発明に係る透過光用の画像シート1の一部を示す断面図である。
【0053】
図6において、画像シート1は、画像用シート3、およびその両面に形成された第1の画像層21および第2の画像層22からなる。
【0054】
第1の画像層21は、支持体である画像用シート3の一方の表面に形成された第1の画像からなる。第1の画像層21の形成に当たっては種々の方法によることができる。例えば、インクジェットプリンタにより不透明のインクを用いて、第1の画像の印刷を行う。または、電子写真方式のプリンタによりトナーを用いて印刷を行う。または、予め写真乳剤層を形成しておき、第1の画像を露光して現像する。第1の画像層21は、モノクロ画像またはカラー画像とすることができる。
【0055】
第2の画像層22は、第1の画像層21と同様にして形成される。第2の画像層22と第1の画像層21とは、互いの画像の位置が重なるよう、同じ画像データによって同じ位置に印刷すればよい。
【0056】
また、それら第1の画像層21および第2の画像層22の表面に、適当な樹脂コーティングなどによって保護層を形成してもよい。
【0057】
このように構成された画像シート1では、裏側から入射してくる照明のための光(矢印M2方向からの光)が透過可能であり、画像用シート3において光が適当に拡散し且つ透過し、透過した照明光によって第2の画像層22と第1の画像層21との重なった画像が、表側において明るく鮮明に表示される。
【0058】
また、表側から入射してくる自然光または照明のための光(矢印M1方向からの光)が画像用シート3の表面によって反射可能であり、反射した光によって、第1の画像層21の画像が、表側において明るく鮮明に表示される。
【0059】
つまり、画像用シート3が乳白色層および光拡散層のように機能することによって、反射光および透過光のいずれによっても、第1の画像層21および第2の画像層22による画像が鮮明に表示される。
【0060】
なお、第1の画像層21および第2の画像層22の画像の濃度は、照明光の強さ、自然光の強さ、使用環境、使用目的などに応じて、画像ができるだけ鮮明に見えるように調整すればよい。
【0061】
このように、画像シート1によると、画像用シート3がガラスヤーンを織って形成されたガラスクロスGCからなるので、不燃性に優れており、画像シート1の全体としても不燃性である。または難燃性であり、少なくとも不燃性や難燃性に優れる。
【0062】
また、画像用シート3はガラスクロスGCからなるので、伸縮性が極めて少なく、画像シート1の取り付けのためにかかる張力や日光が当たることによる温度変化などによって画像の歪むことが極めて少ない。また、画像用シート3の全体が適当な可撓性を持ち、軽量であり、且つガラス板のように破損することがないので、取り扱いが容易である。ローラによる巻き取りにも適する。また、画像用シート3は、平面性が良く、皺がよらず、低温でもカチカチになることがなく、画像の再現性が良い。
【0063】
上に述べた実施形態において、酸化チタン、シリカ、アクリル塩ビ樹脂、三酸化アンチモン、ウレタン系樹脂などの配合は、種々変更することができる。例えば、上に述べた配合の範囲に対し、必要に応じて、さらに4〜20%程度増加させてもよい。
【0064】
上に述べた種々の実施形態において、その全体または各部の構造、形状、寸法、個数、材質、組成、および画像の内容などは、本発明の趣旨に沿って適宜変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明に係る第1の実施形態の画像用シートの一部を示す断面図である。
【図2】ベース層の製造方法を説明するための図である。
【図3】ガラスクロスの斜視図である。
【図4】ガラスクロスの形状を示したシート状体の断面図である。
【図5】本発明に係る透過光用の画像シートの一部を示す断面図である。
【符号の説明】
【0066】
1 画像シート
3 画像用シート
11 シート状体
12 第1層
13 第2層
14 第3層
15 第4層(静電防止層)
21 第1の画像層
22 第2の画像層
GC ガラスクロス
GY ガラスヤーン
TS 単繊維

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に画像を形成するために用いられる不燃性の画像用シートであって、
ガラスからなる複数の単繊維を束ねたガラスヤーンを用いて織られた光透過性および光拡散性を有するガラスクロスからなる半透明のシート状体と、
前記シート状体の表面にウレタン系樹脂をコーティングすることによって形成された第1層と、
前記第1層の表面にアクリル塩ビ樹脂をバインダ樹脂としてコーティングすることによって形成された第2層と、
を有してなることを特徴とする不燃性の画像用シート。
【請求項2】
表面に画像を形成するために用いられる不燃性の画像用シートであって、
ガラスからなる複数の単繊維を束ねたガラスヤーンを用いて織られた光透過性および光拡散性を有するガラスクロスからなる半透明のシート状体と、
前記シート状体の表面に、ブルーミングのための青色顔料を含むウレタン系樹脂をコーティングすることによって形成された第1層と、
前記第1層の表面に、三酸化アンチモンを防炎剤として含んでアクリル塩ビ樹脂を主成分とするバインダ樹脂をコーティングすることによって形成された第2層と、
を有してなることを特徴とする不燃性の画像用シート。
【請求項3】
前記第2層の表面に、酸化チタンおよびシリカを含んでアクリル塩ビ樹脂を主成分とするバインダ樹脂をコーティングすることによって形成された第3層を有してなる、
請求項2記載の不燃性の画像用シート。
【請求項4】
前記第2層は、織られたガラスクロスの山の部分および谷の部分においてほぼ均一な厚さに形成されている、
請求項2または3記載の不燃性の画像用シート。
【請求項5】
最上層である前記第2層または第3層の表面に、静電防止剤をコーティングすることによって静電防止層が形成されている、
請求項2または3記載の不燃性の画像用シート。
【請求項6】
直径4ないし9μmの単繊維を複数用いて10乃至40TEXのガラスヤーンとし、これを縦糸および横糸として用いて平織りすることによって、前記ガラスクロスが形成されている、
請求項2ないし5のいずれかに記載の不燃性の画像用シート。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載の不燃性の画像用シートの表面および裏面の両方に、互いに同じ画像からなる画像層が形成されている、
ことを特徴とする透過光用の画像シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−42587(P2010−42587A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−207932(P2008−207932)
【出願日】平成20年8月12日(2008.8.12)
【出願人】(591243893)株式会社フオトクラフト社 (26)
【Fターム(参考)】