説明

両面印刷装置

【課題】搬送方向と直交する方向の幅が同一で且つ搬送方向の長さが異なる印刷用紙に両面印刷ができる両面印刷装置を提供する。
【解決手段】給紙部60と、印刷部40A,40Bと、用紙反転部80と、用紙貯留部90と、用紙くわえ爪部110と、用紙くわえ爪搬送部120と、排紙部140と、制御部150とを備え、給紙部60の動作開始から1枚目の印刷用紙P2が用紙貯留部90内に搬入し用紙くわえ爪部110で1枚目の印刷用紙P2を保持するまでに、1枚目の印刷用紙P2(又はP1)の搬送方向の長さを検出し、この検出結果に応じて、用紙くわえ爪搬送部120を介して用紙くわえ爪部110を所定位置に設定することを特徴とする両面印刷装置1を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷用紙の両面に情報をインクを用いて印刷する際に、給紙部から送られた印刷用紙の一方の面(A面)に印刷部でインク画像を印刷した後に、この印刷用紙上のインクを乾燥させるための用紙貯留部内に印刷用紙を搬入完了させた後に印刷用紙の他方の面(B面)に印刷部でインク画像を印刷する際に、給紙部の動作開始から1枚目の印刷用紙の搬送方向の長さを検出することで、長さの異なる印刷用紙に両面印刷できるように構成した両面印刷装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、環境問題の観点などから印刷用紙の使用量を低減するためにこの印刷用紙の両面を印刷できる両面印刷装置が多用されている。
【0003】
この種の両面印刷装置は、孔版印刷方式、インクジェット印刷方式、レーザ印刷方式、熱転写印刷方式などに応じた構造形態で構成されているが、本出願人は同一の情報を多量に印刷できる孔版印刷方式を適用した両面印刷装置を先に提案している(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
上記した特許文献1に開示された両面印刷装置では、ここでの図示を省略するが、給紙トレイ上に積層した印刷用紙を1枚ずつ順次給紙する給紙部と、給紙された印刷用紙の一方の面(以下、A面と記す)に所望の情報をインクを用いて印刷する第1の印刷部と、A面を印刷された印刷用紙の表裏を反転する用紙反転部と、A面上に印刷されたインクを乾燥させるために複数枚の印刷用紙を互いに所定の間隔を空けて重ねた状態で一時的に貯留する用紙貯留部と、用紙貯留部から順次送り出された印刷用紙の他方の面(以下、B面と記す)に所望の情報をインクを用いて印刷する第2の印刷部と、両面印刷された印刷済み用紙を排紙する排紙部と、を備えている。
【0005】
この際、上記した用紙貯留部では、この奥方に設けた回転自在な搬送ベルト上に取り付けられた複数の用紙くわえ爪のうちで一の用紙くわえ爪によりA面を印刷した印刷用紙の一端部を一時的に保持して、A面上に印刷されたインクを所定の時間内で乾燥させた後に搬送ベルトを回転させて、搬送ベルトと一体に複数の用紙くわえ爪を用紙搬送方向と略直交する方向に移動させながら一の用紙くわえ爪による印刷用紙の一端部への保持を解除して、印刷用紙の一端部とは反対の他端部を先頭にして印刷用紙のB面を第2の印刷部に向けて搬送している旨が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−297942号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記した特許文献1に開示された両面印刷装置によれば、印刷用紙のA面上に印刷されたインクを用紙貯留部内で乾燥させているので、A面を印刷した後に印刷用紙のB面を何らの支障もなく印刷できるが、用紙貯留部の奥方に設けた回転自在な搬送ベルト上に取り付けられた複数の用紙くわえ爪は、複数枚の印刷用紙の各一端部を保持する位置に設置されているために、印刷用紙の搬送方向の長さが特定な寸法値に決められてしまうので、特定な寸法値以外の長さを有する印刷用紙を使用することができないという問題が生じている。
【0008】
即ち、印刷用紙は、搬送方向の長さ及び搬送方向と直交する方向の幅がJIS規格により決められているA3,B4,A4などの定形サイズや、印刷用紙の長さ及び幅が不定である不定形サイズがあるが、一の給紙トレイ上に印刷用紙を積層するには、搬送方向と直交する方向の幅が同一であれば給紙トレイ上に設けた左右一対のサイドフェンスにより印刷用紙の両側を規制できるものの、搬送方向に対して前後の長さが異なる印刷用紙を搭載した場合には、通常、装置内でジャムなどの搬送ミスが発生するという問題が生じる。
【0009】
この際、印刷用紙の長さを給紙トレイ上で検出するには、給紙トレイの前面板部に複数枚の印刷用紙の各一端部を揃え、且つ、給紙トレイ上で印刷用紙の長さ方向に移動する移動板を複数枚の印刷用紙の各他端部に当接させて、この移動板の位置をポテンションメータなどを用いた用紙長さ検出機構を採用すれば可能であるが、給紙トレイ上に設けた用紙長さ検出機構は構造が複雑で部品数が多くなり、両面印刷装置が高価なものになってしまう。
【0010】
そこで、印刷用紙の搬送方向の長さを給紙トレイ上で計測することなく、印刷用紙の搬送方向の長さを簡易に計測することで、搬送方向と直交する方向の幅が同一で且つ搬送方向の長さが異なる印刷用紙に両面印刷ができ、更に、用紙貯留部の奥方に設けた回転自在な搬送ベルト上に取り付けた複数の用紙くわえ爪の位置を印刷用紙の長さに応じて移動させることで、長さが異なる印刷用紙の一端部を用紙くわえ爪で確実に保持できる両面印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、請求項1記載の発明は、印刷用紙を1枚ずつ順次給紙する給紙部と、
前記印刷用紙の一方の面と他方の面とをそれぞれ別々のタイミングで印刷する印刷部と、
前記一方の面を印刷した後に前記印刷用紙に対して表裏を反転させる用紙反転部と、
反転させた前記印刷用紙の一端部を先頭にして搬入させ、一時貯留させた後に、前記他方の面を印刷するために前記印刷用紙の他端部を先頭にして搬出させる用紙貯留部と、
前記用紙貯留部内に搬入完了した前記印刷用紙の一端部を保持する用紙くわえ爪を該一端部に対して着脱自在に設けた用紙くわえ爪部と、
前記用紙くわえ爪部を前記用紙貯留部内に搬入完了した前記印刷用紙の一端部に向けて移動させるために往復動自在に設けた用紙くわえ爪搬送部と、
両面が印刷された前記印刷用紙を順次排紙する排紙部と、
各部を制御する制御部と、を備え、
前記給紙部の動作開始から1枚目の前記印刷用紙が前記用紙貯留部内に搬入し前記用紙くわえ爪部で前記1枚目の前記印刷用紙を保持するまでに、前記1枚目の印刷用紙の搬送方向の長さを検出し、この検出結果に応じて、前記用紙くわえ爪搬送部を介して前記用紙くわえ爪部を所定位置に設定することを特徴とする両面印刷装置である。
【0012】
また、請求項2記載の発明は、上記した請求項1記載の両面印刷装置において、
前記1枚目の印刷用紙の搬送方向の長さ検出は、前記給紙部から前記用紙貯留部までの間に設けた光センサと前記制御部とにより計測した前記1枚目の印刷用紙の通過時間と、前記印刷用紙の搬送速度とを前記制御部を介して積算することを特徴とする両面印刷装置である。
【0013】
また、請求項3記載の発明は、上記した請求項1記載の両面印刷装置において、
前記1枚目の印刷用紙の搬送方向の長さ検出は、前記用紙くわえ爪部に用紙一端部当接用スイッチを設け、前記用紙くわえ爪搬送部により前記用紙くわえ爪部を移動させて前記用紙一端部当接用スイッチを前記1枚目の印刷用紙の一端部に当接させることを特徴とする両面印刷装置である。
【0014】
また、請求項4記載の発明は、上記した請求項1〜3のいずれか1項記載の両面印刷装置において、
前記印刷部に孔版印刷方式を適用し、前記印刷部内に回転自在に設けた第1,第2の印刷ドラムと、前記第1,第2の印刷ドラムに巻き付けるための第1,第2の孔版原紙を製版する製版部とを備え、
前記製版部による製版時に製版済みの前記第1,第2の孔版原紙の少なくとも一方をこれと対応する前記第1,第2の印刷ドラムに巻き付けながら前記給紙部から送られた1枚目の印刷用紙を用いて試し刷りを行なう際に、前記1枚目の印刷用紙の搬送方向の長さを検出する一方、通常の印刷時には前記1枚目の印刷用紙の搬送方向の長さを検出しないことを特徴とする両面印刷装置である。
【発明の効果】
【0015】
請求項1記載の両面印刷装置によると、給紙部と、印刷部と、用紙反転部と、用紙貯留部と、用紙くわえ爪部と、用紙くわえ爪搬送部と、排紙部と、制御部とを備え、給紙部の動作開始から1枚目の印刷用紙が用紙貯留部内に搬入し用紙くわえ爪部で1枚目の印刷用紙を保持するまでに、1枚目の印刷用紙の搬送方向の長さを検出し、この検出結果に応じて、用紙くわえ爪搬送部を介して用紙くわえ爪部を所定位置に設定しているので、長さの異なる印刷用紙に両面印刷ができると共に、給紙トレイ上に用紙長さ検出機構を設ける必要がないために、両面印刷装置を安価に提供できる。
【0016】
また、請求項2記載の両面印刷装置によると、給紙部から送られた1枚目の印刷用紙の搬送方向の長さ検出は、給紙部から用紙貯留部までの間に設けた光センサ(給紙部に設けた給紙センサ又は用紙貯留部に設けた用紙入出検出センサ)と制御部とにより行なわれるので、特別な用紙長さ検出機構を必要としないために印刷用紙の長さを簡易に計測できる。
【0017】
また、請求項3記載の両面印刷装置によると、給紙部から送られた1枚目の印刷用紙の搬送方向の長さ検出は、用紙くわえ爪部に設けた用紙一端部当接用スイッチにより行なわれるので、特別な用紙長さ検出機構を必要としないために印刷用紙の長さを簡易に計測できる。
【0018】
また、請求項4記載の両面印刷装置によると、第1,第2の孔版原紙の少なくとも一方に対して試し刷りを行なう際に、給紙部から送られた1枚目の印刷用紙の搬送方向の長さを検出する一方、通常の印刷時には1枚目の印刷用紙の搬送方向の長さを検出しないために、用紙くわえ爪部の1枚目の印刷用紙の一端部への移動位置は試し刷り時に設定されるので、通常の印刷時に印刷時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る両面印刷装置の全体構成を示した全体構成図である。
【図2】(a),(b)は図1に示した給紙トレイを拡大して示した上面図,側面図である。
【図3】図1に示した用紙貯留部,用紙くわえ爪部,用紙くわえ爪搬送部を拡大して示し、且つ、用紙貯留部内に最大サイズとなるA3サイズの印刷用紙の1枚目が搬入完了された状態を示した縦断面図である。
【図4】用紙貯留部内にA3サイズよりも長さが短い印刷用紙の1枚目が搬入完了された状態を示した縦断面図である。
【図5】実施例の両面印刷装置の制御部を拡大して示した図である。
【図6】実施例の両面印刷装置の動作を説明するためのフロー図である。
【図7】実施例の両面印刷装置を一部変形させた変形例の両面印刷装置において、用紙貯留部内にA3サイズの印刷用紙の1枚目が搬入完了された状態を示した縦断面図である。
【図8】実施例の両面印刷装置を一部変形させた変形例の両面印刷装置において、用紙貯留部内にA3サイズよりも長さが短い印刷用紙の1枚目が搬入完了された状態を示した縦断面図である。
【図9】実施例の両面印刷装置を一部変形させた変形例の両面印刷装置の制御部を拡大して示した図である。
【図10】実施例の両面印刷装置を一部変形させた変形例の両面印刷装置の動作を説明するためのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に本発明に係る両面印刷装置の一実施例について図1〜図10を参照して詳細に説明する。
【0021】
本発明に係る両面印刷装置は、搬送方向と直交する方向の幅が同一で且つ搬送方向の長さが異なる印刷用紙の両面に所望の情報をインクを用いて印刷可能に構成されており、且つ、給紙部から送られた印刷用紙の一方の面(A面)に印刷部でインク画像を印刷した後に、この印刷用紙上のインクを乾燥させるための用紙貯留部内に印刷用紙を搬入させた後に印刷用紙の他方の面(B面)に印刷部でインク画像を印刷する際に、給紙部の動作開始から1枚目の印刷用紙の搬送方向の長さを検出することで、長さの異なる印刷用紙に両面印刷できるように構成している。
【0022】
また、本発明に係る両面印刷装置は、印刷部にインクを用いた孔版印刷方式、又は、インクジェット印刷方式を採用しているが、以下の実施例では印刷方式として孔版印刷方式を適用した例について説明する。
【0023】
尚、印刷方式として孔版印刷方式を適用した場合には、印刷用紙の一方の面(A面)と他方の面(B面)とをそれぞれ別々のタイミングで印刷するために第1,第2の孔版原紙を巻き付けた第1,第2の印刷ドラムを回転自在に設けた第1,第2の印刷部を別々に備える必要がある。
【0024】
一方、印刷方式としてインクジェット印刷方式を適用した場合には、印刷用紙の一方の面(A面)と他方の面(B面)とをそれぞれ別々のタイミングで印刷する印刷部は共通に使用可能であるので単一の印刷部を備えれば良いものである。
【実施例】
【0025】
図1に示した如く、実施例の両面印刷装置1は、この装置1を操作する操作パネル部10と、画像や文字が記載され原稿を読み取る原稿読み取り部20と、原稿読み取り部20で読み取った画像情報に基いて第1,第2の孔版原紙M1,M2を孔版穿孔する製版部30と、未印刷の印刷用紙P1の一方の面(以下、A面と記す)上にインク45を用いて第1の孔版原紙M1に基づいた第1のインク画像を印刷する第1の印刷部40Aと、A面が印刷された印刷用紙P2の他方の面(以下、B面と記す)上にインク45を用いて第2の孔版原紙M2に基づいた第2のインク画像を印刷する第2の印刷部40Bと、第1,第2の印刷部40A,40Bで使用済みとなった第1,第2の孔版原紙M1,M2を排版する第1,第2の排版部50A,50Bと、搬送方向と直交する方向の幅が同一で且つ搬送方向の長さが異なる印刷用紙P1を給紙トレイ61上に複数枚積層して給紙ローラ67により未印刷の印刷用紙P1を1枚ずつ下流側に設置した第1の印刷部40Aに順次搬送する給紙部60と、A面が印刷された印刷用紙P2の表裏を円弧状の軌跡に沿って反転してA面を下側に位置させる用紙反転部80と、用紙反転部80で反転された印刷用紙P2のA面上のインクを乾燥させるために複数枚の印刷用紙P2を互いに所定の間隔を空けて重ねた状態で一時的に貯留する用紙貯留部90と、用紙貯留部90内に搬入された複数枚の印刷用紙P2の各一端部を保持する複数の用紙くわえ爪114を各印刷用紙P2の搬送方向と略直交する方向に移動可能に設けた用紙くわえ爪部110と、用紙貯留部90内に搬入された印刷用紙P2の搬送方向の長さに応じて用紙くわえ爪部110を用紙貯留部90内に搬入完了した印刷用紙P2の一端部に向かって移動させる往復動自在な用紙くわえ爪搬送部120と、両面印刷された印刷済み用紙P3を排紙トレイ145上に順次排紙する排紙部140と、両面印刷装置1の各部を制御する制御部150と、を備えている。
【0026】
ここで、両面印刷装置1の各部について順を追って具体的に説明すると、この両面印刷装置1の外観を形成する筐体2は箱状に形成されている。
【0027】
まず、前記した操作パネル部10は、筐体2の上面(又は前面)に設置されており、ここでの詳細な図示を省略するが、スタートキー,ストップキー,テンキー,印刷枚数設定キー,用紙搬送速度設定キー(印刷速度設定キー),アラーム表示部,液晶パネルなどが設けられている。
【0028】
次に、前記した原稿読み取り部20は、筐体2の上面に設置されており、ここでの詳細な図示を省略するが、原稿台上に載置された原稿上の画像情報をCCDなどを用いたイメージセンサで読み取って、読み取った画像情報を制御部150に設けたRAM150c(図5)内に一時的に格納して製版部30内の孔版原紙への製版画像用として供給している。
【0029】
次に、前記した製版部30は、筐体2内で原稿読み取り部20の下方に設置されており、且つ、第1の印刷部40Aと第2の印刷部40Bとの間を図示左右方向に移動自在に設けられている。
【0030】
この製版部30は、ここでの詳細な図示を省略するが、原稿読み取り部20で原稿から読み取った画像情報を基にしてサーマルヘッドにより帯状の孔版原紙に製版画像を感熱穿孔しており、感熱穿孔済みの孔版原紙をカッタにより最大サイズとなる例えばA3サイズ1版分の長さにそれぞれ切断して第1,第2の孔版原紙M1,M2を作製した後に、第1の孔版原紙M1を第1の印刷部40Aに供給し、且つ、第2の孔版原紙M2を第2の印刷部40Bに供給している。
【0031】
尚、製版部30で第1,第2の孔版原紙M1,M2を製版する場合に、原稿読み取り部20で原稿から読み取った画像情報を用いて製版するだけでなく、不図示のパソコンなどで作成した画像情報を用いて製版する場合もある。
【0032】
また、未印刷の印刷用紙P1が最大サイズのA3サイズよりも小さい場合でも第1,第2の孔版原紙M1,M2はA3サイズを用いている。
【0033】
また、製版部30で製版した製版済みの第1,第2の孔版原紙M1,M2の少なくとも一方に対して印刷用紙P1又はP2を用いて試し刷りを行なう場合があるが、この試し刷りについては後述する。
【0034】
次に、前記した第1,第2の印刷部40A,40Bは、筐体2内で製版部30よりも下流に設けられ且つ筐体2内の略中央部位に左右に分かれて並設されている。
【0035】
この第1,第2の印刷部40A,40Bは共に同一構造に構成されており、同じ構成部材に対して同一の符号番号を付して説明すると、エンコーダ付きドラムモータ41によって印刷ドラム(版胴)42が軸部42aを中心にして図示反時計方向に予め設定した速度で回転駆動され且つ円筒状の外周面42bに取り付けたクランプ板42cによってA3サイズに切断された孔版原紙M1又はM2が外周面42bに沿って巻き付けられており、具体的には、第1の孔版原紙M1が第1の印刷部40A内の印刷ドラム42に、第2の孔版原紙M2が第2の印刷部40B内の印刷ドラム42に巻き付けられている。
【0036】
この際、エンコーダ付きドラムモータ41は、このモータ41の後端軸部に取り付けたエンコーダ(図示せず)によって印刷ドラム42の基準位置を示す1回転パルスと、印刷ドラム42の基準位置からの回転角度位置を示す角度位置パルスとがそれぞれ出力されるようになっている。また、印刷ドラム42の回転速度は、操作パネル部10内の用紙搬送速度キー(図示せず)によって予め設定されており、印刷ドラム42の回転速度は用紙搬送速度と等価である。
【0037】
また、印刷ドラム42内でこの軸部42aの下方には、ドクターローラ43とインクローラ44とが互に添接しながら回転自在に設けられていると共に、ドクターローラ43とインクローラ44と間に軸部42aから供給されたインク45が溜まっており、このインク45はドクターローラ43とインクローラ44との隙間を通過してインクローラ44の外周面から印刷ドラム42の外周面42bに巻装された孔版原紙M1又はM2に供給されるようになっている。
【0038】
また、印刷ドラム42の外側下方位置には、プレスローラ46が不図示の電磁ソレノイドなどにより印刷ドラム42内に設けたインクローラ44に対して接離自在に設けられており、このプレスローラ46は印刷ドラム42の外周面42bに巻装された孔版原紙M1又はM2に印刷用紙P1又はP2を重ね合わせて不図示のバネによって所定の圧力で押圧することで、印刷ドラム42内に供給されたインク45を孔版原紙M1又はM2を通過させて印刷用紙P1又はP2上にインク画像を印刷できるようになっている。
【0039】
この際、印刷ドラム42と一体に孔版原紙M1又はM2が反時計方向に回転して、印刷ドラム42に取り付けたクランプ板42cがプレスローラ46を通過するときには、不図示の電磁ソレノイドを作動させてプレスローラ46を一時的に印刷ドラム42から退避させている。
【0040】
そして、第1の印刷部40Aで未印刷の印刷用紙P1のA面にインク画像を印刷し、この後、A面を印刷した印刷用紙P2を用紙反転部80により表裏を反転させた後に、第2の印刷部40BでA面を印刷した印刷用紙P2のB面にインク画像を印刷している。更に、A面を印刷した印刷用紙P2又は両面を印刷した印刷用紙P3は、印刷ドラム42の右下方に設けた印刷用紙剥離爪47によって印刷ドラム42の外周面42bから剥離されるようになっている。
【0041】
次に、前記した第1,第2の排版部50A,50Bは、筐体2内で第1,第2の印刷部40A,40Bの左上方にそれぞれ設置されており、印刷ドラム42に巻き付いた孔版原紙M1又はM2が使用済みになったときに、印刷ドラム42の外周面42bに接近して設けた孔版原紙剥離爪51により孔版原紙M1又はM2を印刷ドラム42から剥離して排版している。
【0042】
次に、前記した給紙部60は、筐体2内の図示左方に設置されており、搬送方向と直交する方向の幅が同一で且つ搬送方向の長さが異なる印刷用紙P1が給紙トレイ61上に複数枚積載されている。また、給紙トレイ61上に積載される印刷用紙P1の最大サイズは孔版原紙M1,M2のサイズと合わせて例えばA3サイズとなっている。
【0043】
そして、不図示の駆動源によって回転駆動される給紙ローラ67が最上層の印刷用紙P1に当接して、この給紙ローラ67により最上層の印刷用紙P1が給紙され、この後、印刷用紙P1は摩擦板68に当接した捌きローラ69により用紙二重送りを防止されながら1枚ずつ順次下流側に送り出され、更に、印刷用紙P1は光透過型又は光反射型の給紙センサ70を通過した後に一対のタイミングローラ対71により搬送タイミングが合わされて第1の印刷部40A内の印刷ドラム42に巻き付いた第1の孔版原紙M1とプレスローラ46との間に送り込まれている。
【0044】
この際、制御部150により給紙センサ70は給紙トレイ61から送り出された印刷用紙P1の通過を検出すると共に、予め設定した時間内に印刷用紙P1が給紙センサ70を通過しない場合に、給紙ジャムが発生したことを検出して、操作パネル部10にアラーム表示している。
【0045】
また、未印刷の印刷用紙P1を複数枚積層するための給紙トレイ61は、図2に拡大して示した如く、上面61aの前方に前面板部61bが上方に向かって垂直に曲げ形成されており、複数枚の印刷用紙P1の各一端部Paが前面板部61bの内側に当接するように積層されている。
【0046】
また、給紙トレイ61の上面61a上には、互いに対称にL字状に曲げ形成された左右一対のサイドフェンス62L,62Rの各側板部62aが間隔を離して互い対向し、且つ、左右一対のサイドフェンス62L,62Rの各底板部62bに形成した各ラック部62b1が給紙トレイ61の上面61aの幅方向中央部位に設けたピニオンギア63に噛合することで、左右一対のサイドフェンス62L,62Rが印刷用紙P1の搬送方向とは直交する幅方向に両者同時に移動可能となっている。
【0047】
これにより、ユーザーは、給紙トレイ61の上面61aに積層された印刷用紙P1の幅寸法に応じて左右一対のサイドフェンス62L,62Rを手動により移動させて印刷用紙P1の幅方向の各側面を各側板部62aの内側に当接させて両側面を規制している。
【0048】
また、左右一対のサイドフェンス62L,62Rの移動位置をピニオンギア63の後端軸に連結させたポテンションメータ64で検出し、検出した結果を制御部150に設けたRAM150c(図5)内に格納して、格納した値を後述するように用紙貯留部90に知らせている。
【0049】
また、給紙トレイ61の上面61a上で前面板部61bの内側に印刷用紙P1の有無を検出する光反射型の用紙有無検出センサ65が取り付けられ、且つ、上面61aの後端近傍に最大定型サイズとなる例えばA3サイズの印刷用紙P1の他端部Pbを検出する光反射型の用紙最大サイズ検出センサ66が取り付けられているが、印刷用紙P1の搬送方向の長さを検出するためのセンサは取り付けられていない。
【0050】
図1に戻り、前記した用紙反転部80は、第1の印刷部40Aの下流側に設置されており、第1の印刷部40A側に設けられた印刷用紙剥離爪47により剥離された印刷用紙P2のA面が図示上側から図示下側に位置するように表裏を反転させるために半円弧状の軌跡を有する用紙ガイド枠81が第1の印刷部40Aの印刷ドラム42の右下方に設けられている。
【0051】
また、用紙ガイド枠81に沿って配設された複数のプーリー82に用紙搬送ベルト83が不図示の駆動源により回転自在に掛け渡されていると共に、印刷用紙P2を用紙搬送ベルト83側に吸引させるための吸気ファン84が用紙ガイド枠81に取り付けられている。
【0052】
そして、複数のプーリー82及び用紙搬送ベルト83の回転により用紙反転部80で反転された印刷用紙P2の一端部を先頭にして用紙貯留部90に搬送している。
【0053】
次に、前記した用紙貯留部90は、用紙反転部80と第2の印刷部40Bとの間に設置されており、用紙反転部80で表裏を反転された印刷用紙P2を搬入させ且つ印刷用紙P2を搬出するための用紙入出口I/Oを第2の印刷部40Bに向けて設定した上で、用紙貯留部90内で印刷用紙P2のA面に印刷したインク画像のインクを乾燥させた後に、この印刷用紙P2を第2の印刷部40Bに搬送するように構成されている。
【0054】
この用紙貯留部90を具体的に説明すると、図3に拡大して示した如く、用紙反転部80で反転された印刷用紙P2の一端部Paを先頭にして搬入完了させる上側用紙ガイド板91と、用紙貯留部90内に搬入完了された印刷用紙P2の一端部Paを用紙くわえ爪部110により一時的に保持した後に上側用紙ガイド板91から離間した印刷用紙P2の他端部Pbを先頭にして第2の印刷部40Bに搬送する下側用紙ガイド板92とが間隔を離して互いに対向して設置されている。
【0055】
この際、上側用紙ガイド板91と下側用紙ガイド板92との間の間隔は、用紙入出口I/Oは狭く設定され、一方,用紙くわえ爪部110が設けられた奥方は広く設定されているので、上下の用紙ガイド板91,92は非平行に設置されている。
【0056】
また、上側用紙ガイド板91と下側用紙ガイド板92との間に搬入された印刷用紙P2の幅方向の両側面をガイドする左右一対のサイドフェンス(93L),93Rが下側用紙ガイド板92の上面92a上で互に対向して印刷用紙P2の幅方向に移動自在に設けられており、これらの左右一対のサイドフェンス(93L),93Rは図2を用いて前述したポテンションメータ64の検出結果に応じて給紙トレイ61上に設けた左右一対のサイドフェンス62L,62Rの移動位置と同じになるように不図示の駆動源により移動されている。
【0057】
また、上側用紙ガイド板91及び下側用紙ガイド板92の先端部位近傍に光透過型(又は光反射型)の用紙入出検出センサ94が設けられており、この用紙入出検出センサ94で印刷用紙P2が用紙貯留部90内に搬入されたことを検出すると共に、印刷用紙P2が用紙貯留部90内から第2の印刷部40Bに搬出されたことを検出している。
【0058】
更に、用紙入出検出センサ94は、給紙部60の動作開始から数えて1枚目の印刷用紙P2が予め設定した搬送速度で通過したときに、この印刷用紙P2の一端部Paから他端部Pbまでが通過する通過時間を制御部150内のタイマ150d(図5)で計測し、計測した印刷用紙P2の通過時間と印刷用紙P2の搬送速度とを制御部150内のCPU150a(図5)で積算することにより印刷用紙P2の搬送方向の長さを検出している。
【0059】
尚、この実施例において、印刷用紙P2の搬送方向の長さ検出は、用紙貯留部90に設けた用紙入出検出センサ94を用いているが、これに限ることなく、先に説明した給紙センサ70を用いて上記と同様にして印刷用紙P1の搬送方向の長さを計測することも可能であり、印刷用紙P1又はP2が給紙部60から用紙貯留部90内に搬入完了されるまでの用紙搬送中に印刷用紙P1又はP2の搬送方向の長さ検出を行なえば良いものである。
【0060】
これにより、印刷用紙P1又はP2の搬送方向の長さ検出を簡易に行なうことができるので、給紙部60の給紙トレイ61上に用紙長さ検出機構を設ける必要がないために、両面印刷装置1を安価に提供できる。
【0061】
また、上側用紙ガイド板91の上面91aには、密閉状態のハウジング95が取り付けられており、このハウジング95内に一対のプーリー96に掛け渡され且つ複数の貫通孔(図示せず)を有する用紙搬送ベルト97が上側用紙ガイド板91に形成した長孔(図示せず)内から上側用紙ガイド板91の下面91bに沿って臨んで不図示の駆動源により回転自在に設けられていると共に、用紙搬送ベルト97の後ろ側に吸気シャッタ98及び吸気ファン99が内蔵されている。尚、100は吸気ファン99によって上側用紙ガイド板91側に吸引された印刷用紙P2を上側用紙ガイド板91側から剥離する回動自在な用紙剥離爪である。
【0062】
これにより、用紙反転部80で反転された印刷用紙P2のB面を上側用紙ガイド板91の下面91bに沿って吸気ファン99の吸引力で摺接させながら用紙搬送ベルト97で印刷用紙P2の一端部Pa側を奥方に向けて搬送し、この後、印刷用紙P2の他端部Pbが用紙入出検出センサ94を通過したことで貯留部90内に印刷用紙P2が搬入完了されたことを検出し、搬入完了された印刷用紙P2の一端部Paの幅方向中央部位を用紙くわえ爪部110で所定の時間保持した後に用紙剥離爪100で印刷用紙P2を下側用紙ガイド板92側に向けて剥離させている。
【0063】
一方、下側用紙ガイド板92の下面92bにも、密閉状態のハウジング101が取り付けられており、このハウジング101内に一対のプーリー102に掛け渡され且つ複数の貫通孔(図示せず)を有する用紙搬送ベルト103が下側用紙ガイド板92に形成した長孔(図示せず)内から下側用紙ガイド板92の上面92aに沿って臨んで不図示の駆動源により回転自在に設けられていると共に、用紙搬送ベルト103の後ろ側に吸気シャッタ104及び吸気ファン105が内蔵されている。
【0064】
これにより、後述する用紙くわえ爪部110の用紙受爪113a及び用紙くわえ爪114の移動に伴って印刷用紙P2が下側用紙ガイド板92側に移動され、この印刷用紙P2のA面を下側用紙ガイド板92の上面92aに沿って吸気ファン105の吸引力で摺接させながら用紙搬送ベルト103で印刷用紙P2の他端部Pb側を先頭にし且つB面を上に向けて第2の印刷部40B側に搬送している。
【0065】
次に、前記した用紙くわえ爪部110は、図3に拡大して示した如く、用紙貯留部90の先端部位とは反対側となる後端部位から中央部位にかけて往復動自在に設けられており、これに合わせて用紙貯留部90の上側用紙ガイド板91の後方部位で幅方向中央部に用紙くわえ爪部進入用の切り欠き(図示せず)が形成されていると共に、下側用紙ガイド板92にも用紙くわえ爪部進入用の切り欠き(図示せず)が形成されている。
【0066】
この用紙くわえ爪部110を具体的に説明すると、用紙貯留部90内の下側用紙ガイド板92に対して略垂直に設けた支持板111上に支持した一対のプーリー112に用紙くわえ爪搬送ベルト113が不図示の駆動源により印刷用紙P2の搬送方向に対して略直交する方向に回転自在に掛け渡されている。
【0067】
この際、用紙くわえ爪搬送ベルト113は、この全周に亘って複数の用紙受爪113aが所定の間隔で外側に向かって放射状に一体的に突出されている。また、用紙くわえ爪搬送ベルト113の各用紙受爪113aには、板ばねなどを用いて弾性変位可能に形成した用紙くわえ爪114がこれと対向する用紙受爪113aに向かって斜めに植設されている。
【0068】
この実施例では、用紙受爪113aと用紙くわえ爪114とで印刷用紙P2の一端部Paを着脱自在に挟み込む構造を採用しているが、これに限定されるものではなく、印刷用紙P2の一端部Paを着脱自在に保持できる用紙くわえ爪であればいかなる形態でも良い。
【0069】
そして、用紙くわえ爪搬送ベルト113が上側用紙ガイド板91側に位置するプーリー112に沿った曲線走行状態にあるときには、隣り合う用紙受爪113a間が広がるので用紙貯留部90内の上側用紙ガイド板91の下面91bに沿って搬入完了された印刷用紙P2の一端部Paが隣り合う用紙受爪113a間に入り込む。
【0070】
この後、用紙くわえ爪搬送ベルト113の矢印方向への回転に伴って用紙受爪113aが上側用紙ガイド板91側に位置するプーリー112から離れて用紙くわえ爪搬送ベルト113が直線走行状態になると、隣り合う用紙受爪113a間が狭まるので用紙受爪113aと用紙くわえ爪114とで印刷用紙P2の一端部Paの幅方向中央部位を挟み込んで保持しながらこの印刷用紙P2が下側用紙ガイド板92側に向かって移動する。
【0071】
更に、用紙くわえ爪搬送ベルト113が下側用紙ガイド板92側に位置するプーリー112に沿った曲線走行状態に至ると、隣り合う用紙受爪113a間が再び広がるので印刷用紙P2の一端部Paは用紙受爪113aと用紙くわえ爪114とによる挟み込みが解除されてこの印刷用紙P2が下側用紙ガイド板92に沿うようになる。
【0072】
次に、前記した用紙くわえ爪搬送部120は、図3に拡大して示した如く、用紙貯留部90内の下側用紙ガイド板92の後方部位に設置されており、一対のプーリー121に支持板搬送ベルト122が不図示の駆動源により印刷用紙P2の搬送方向に回転自在に掛け渡されている。
【0073】
また、用紙くわえ爪部110の支持板111は、連結部材123を介して支持板搬送ベルト122に移動自在に連結されている。
【0074】
ここで、用紙くわえ爪搬送部120では、後述するように、給紙部60での動作開始から1枚目の印刷用紙P2(又はP1)に対して前述したように用紙貯留部90内の用紙入出検出センサ94(又は給紙部60内の給紙センサ70)と制御部150とにより搬送方向の長さを検出した結果に応じて用紙くわえ爪部110を用紙貯留部90の後方部位と中間部位との間で移動させて、用紙くわえ爪部110を用紙貯留部90内に搬入完了された1枚目の印刷用紙P2の一端部Paまで必要に応じて移動させているので、長さの異なる印刷用紙P2に対応できる。
【0075】
この際、用紙くわえ爪部110の初期位置は、印刷用紙P2(又はP1)の最大サイズであるA3サイズに合わせて用紙貯留部90の後方部位に待機している。
【0076】
即ち、印刷用紙P2(又はP1)の長さが最大サイズであるA3サイズ寸法であると検出された場合には、図3に示したように、用紙くわえ爪部110がA3サイズに対応して用紙貯留部90の後方部位に待機しているので、用紙くわえ爪部110は移動することなく、1枚目の印刷用紙P2の一端部Paを保持する。
【0077】
一方、印刷用紙P2(又はP1)の長さがA3サイズよりも短いと検出された場合には、図4に示したように、印刷用紙P2(又はP1)の長さに応じて用紙くわえ爪部110が用紙貯留部90内に搬入完了された印刷用紙P2の一端部Paに向かって移動して、印刷用紙P2の長さに応じた位置に到達して停止するので、この位置で用紙くわえ爪部110により1枚目の印刷用紙P2の一端部Paを保持する。
【0078】
そして、用紙くわえ爪部110の用紙受爪113aと用紙くわえ爪114の移動に伴って印刷用紙P2が下側用紙ガイド板92側に移動し、この印刷用紙P2が下側用紙ガイド板92の上面92aに沿って吸引されながら用紙搬送ベルト103によって用紙入出口I/Oに向かって搬出されると、印刷用紙P2の他端部Pbを先頭にして図1に示したように一対のピックアップローラ対130及び一対のタイミングローラ対131を介して第2の印刷部40Bに送り込まれる。
【0079】
尚、図3及び図4では、用紙貯留部90内に給紙部60(図1)の動作開始から1枚目の印刷用紙P2が搬入完了された状態のみを図示しているが、ここでの図示を省略するものの用紙貯留部90内には1枚目以降に複数枚の印刷用紙P2が順次搬入され、且つ、複数枚の印刷用紙P2が各一端部Paを用紙くわえ爪部110で順次保持されながら互いに所定の間隔を空けて重ねた状態で一時的に貯留されて、ファーストイン/ファーストアウトの形態で搬入及び搬出が行われるようになっている。
【0080】
再び図1に戻り、この後、第2の印刷部40B内の印刷ドラム42に巻き付いた第2の孔版原紙M2に基いて印刷用紙P2のB面にインク画像を印刷するが、この場合に印刷用紙P2の他端部Pbを先頭にして印刷を開始することになるので、印刷用紙P2のB面に印刷するインク画像の天地方向を印刷用紙P2のA面に印刷したインク画像の天地方向に向きを揃える必要がある場合には、第2の孔版原紙M2側でインク画像の天地の向きを予め揃えるようにしている。
【0081】
次に、前記した排紙部140は、第2の印刷部40Bの下流側で筐体2の右方に設置されており、第2の印刷部40BでB面を印刷した印刷用紙P3を第2の印刷部40B側に設けられた印刷用紙剥離爪47によって印刷ドラム42の外周面42bから剥離させた後、両面が印刷された印刷用紙P3を一対のプーリー141に掛け渡した用紙搬送ベルト142上に吸気ファン143で吸引しながら不図示の駆動源を介して用紙搬送ベルト142を回転させ、光透過型又は光反射型の排紙センサ144を通過させた後に排紙トレイ145上に排紙している。
【0082】
この際、制御部150により排紙センサ144は用紙搬送ベルト142で搬送される印刷用紙P3の通過を検出すると共に、予め設定した時間内に印刷用紙P3が排紙センサ144を通過しない場合に、排紙ジャムが発生したことを検出して、操作パネル部10にアラーム表示している。
【0083】
次に、前記した制御部150は、筐体2内の適宜な場所に設置されている。この制御部150は、図5に拡大して示した如く、演算処理や判断処理するCPU150aと、両面印刷装置1の各動作プログラムを格納したROM100bと、原稿読み取り部20で読み取った画像情報とか印刷時の各種の印刷条件などを一時的に記憶するRAM150cと、給紙部60の動作開始から1枚目の印刷用紙P2(又はP1)が予め設定した搬送速度で用紙貯留部90内の用紙入出検出センサ94(又は給紙部60内の給紙センサ70)を通過するときの通過時間を計測するタイマ150dとを内部に有している。
【0084】
また、制御部150は、操作パネル部10と、原稿読み取り部20と、製版部30と、第1,第2の印刷部40A,40Bと、第1,第2の排版部50A,50Bと、給紙部60と、用紙反転部80と、用紙貯留部90と、用紙くわえ爪部110と、用紙くわえ爪搬送部120と、排紙部140とをそれぞれ制御している。
【0085】
ここで、上記構成による実施例の両面印刷装置1の動作について、図6を用いて説明する。
【0086】
実施例の両面印刷装置1の動作を開始させると、まず、ステップS11では、給紙部60で動作開始から1枚目の未印刷の印刷用紙P1を第1の印刷部40Aに向けて給紙する。
【0087】
次に、ステップS12では、第1の印刷部40Aで未印刷の印刷用紙P1のA面(一方の面)にインク画像を印刷(又は試し刷り)する。
【0088】
上記した試し刷りとは、製版部30で製版した製版済みの第1,第2の孔版原紙M1,(M2)の少なくとも一方を、これと対応する第1,第2の印刷部40A,(40B)内の印刷ドラム42に巻き付けながら、給紙部60から送られた1枚目の印刷用紙P1(又はP2)を用いて試しに印刷を行なう動作である。
【0089】
この際、孔版原紙M1,(M2)だけを印刷ドラム42に巻き付けると、孔版原紙M1,(M2)を通過したインク45が外部に漏れてしまうために、印刷ドラム42に巻き付けた孔版原紙M1,(M2)と、試し刷り用に給紙した印刷用紙P1,(P2)とにプレスローラ46を押し当てて試し刷りを行なうことで、インク45の漏れを防止していると共に、孔版原紙M1,(M2)の仕上がり状態を確認できる。
【0090】
次に、ステップS13では、用紙反転部80でA面を印刷(又は試し刷り)した印刷用紙P2の表裏を反転させる。
【0091】
次に、ステップS14では、反転させた1枚目の印刷用紙P2の一端部Paを先頭にしてこの印刷用紙P2のB面(他方の面)を用紙貯留部90内の上方部位に設けた上側用紙ガイド板91に沿わせて吸気ファン99により用紙搬送ベルト97上に吸引しながら搬入させる。
【0092】
次に、ステップS15では、用紙貯留部90内に設けた用紙入出検出センサ94でこの用紙貯留部90内に搬入された1枚目の印刷用紙P2の他端部Pbを検出したら1枚目の印刷用紙P2を停止させることで、1枚目の印刷用紙P2が搬入完了する。
【0093】
次に、ステップS16では、1枚目の印刷用紙P2(又はP1)が給紙部60から用紙貯留部90内に搬入完了するまでの用紙搬送中にこの印刷用紙P2(又はP1)の搬送方向の長さを検出する。この際、印刷用紙P2(又はP1)の搬送方向の長さ検出は、前述したように、用紙貯留部90内の用紙入出検出センサ94(又は給紙部60内の給紙センサ70)により検出した1枚目の印刷用紙P2(又はP1)の通過時間と、印刷用紙P2(又はP1)の搬送速度とを制御部150内で積算することにより検出している。
【0094】
次に、ステップS17では、用紙くわえ爪搬送部120により用紙くわえ爪部110を1枚目の印刷用紙P2の長さに応じて用紙貯留部90内で停止した1枚目の印刷用紙P2の一端部Paまで必要に応じて移動させる。この際、1枚目の印刷用紙P2が最大サイズであるA3サイズであれば、このA3サイズに合わせて用紙くわえ爪部110が初期位置に待機しているので、用紙くわえ爪部110を移動させる必要はなく、且つ、A3サイズの印刷用紙P2であるか否かの検出は、給紙トレイ61上に設けた用紙最大サイズ検出センサ66で検出するか、又は、印刷用紙P2の長さを検出するかのどちらでも良い。
【0095】
尚、製版時に試し刷りした場合には、試し刷りした印刷用紙P2の長さに応じて用紙くわえ爪部110を必要に応じて移動させているので、通常の印刷時に1枚目の印刷用紙P1を印刷するときには印刷用紙P1又はP2の長さを検出する必要もなく、用紙くわえ爪部110も試し刷りしたときに設定した位置で待機しているために、通常の印刷時に印刷時間を短縮することができる。
【0096】
次に、ステップS18では、用紙くわえ爪部110内に設けた用紙受け爪113aと用紙くわえ爪114とで1枚目の印刷用紙P2の一端部Paを保持する。
【0097】
次に、ステップS19では、複数枚の印刷用紙P2を用紙貯留部90内に順次搬入させる。
【0098】
次に、ステップS20では、複数枚の印刷用紙P2の各一端部Paを保持した各用紙受け爪113aと各用紙くわえ爪114とを用紙貯留部90内の下方部位に設けた下側用紙ガイド板92に向けて移動させる途中で各印刷用紙P2のA面に印刷したインク画像のインクを乾燥させる。
【0099】
次に、ステップS21では、用紙貯留部90内の下方部位に設けた下側用紙ガイド板92に移動した印刷用紙P2の他端部Pbを先頭にしてこの印刷用紙P2を用紙貯留部90から第2の印刷部40Bに向けて搬出させる。
【0100】
次に、ステップS22では、第2の印刷部40Bで印刷用紙P2のB面(他方の面)にインク画像を印刷(又は試し刷り)する。
【0101】
次に、ステップS23では、両面を印刷(又は試し刷り)した印刷用紙P3を排紙部140により排紙させ、2枚目以降は用紙くわえ爪部110を1枚目に設定した位置に停止させて通常印刷を行い、この動作フローを終了させる。
【0102】
上述した実施例の両面印刷装置1によれば、給紙部60の動作開始から1枚目の印刷用紙P2が用紙貯留部90内に搬入し用紙くわえ爪部110で1枚目の印刷用紙P2を保持するまでに、1枚目の印刷用紙P2(又はP1)の搬送方向の長さを検出し、この検出結果に応じて、用紙くわえ爪搬送部120を介して用紙くわえ爪部110を所定位置(搬入完了した1枚目の印刷用紙P2の一端部Pa)に設定しているので、給紙トレイ61上に用紙長さ検出機構を設けることなく、搬送方向と直交する方向の幅が同一で且つ搬送方向の長さが異なる印刷用紙P1を給紙トレイ61上に搭載することができる。
【0103】
次に、実施例の両面印刷装置を一部変形させた変形例の両面印刷装置1’(図1)について、図1及び図7〜図10を用いて説明する。
【0104】
図1に示した如く、変形例の両面印刷装置1’は、先に説明した実施例の両面印刷装置1の構成と一部を除いて同様の構成であり、ここでは説明の便宜上、先に示した構成部材に対しては同一の符号を付し、且つ、先に示した構成部材は必要に応じて適宜説明し、実施例1と異なる構成部材に新たな符号を付して説明する。
【0105】
上記した変形例の両面印刷装置1’では、用紙くわえ爪部110’と、制御部150’とが実施例に対して一部異なっているだけである。
【0106】
具体的には、図7及び図8に示した如く、用紙くわえ爪部110’内の支持板111上に用紙一端部当接用スイッチ115が設けられており、この用紙一端部当接用スイッチ115は用紙貯留部90内の上側用紙ガイド板91側に位置するプーリー112近傍でこのプーリー112の回転に影響しないように設置されている。
【0107】
そして、この変形例では、給紙部60の動作開始から1枚目の印刷用紙P1が第1の印刷部40Aを経て用紙貯留部90内の上側用紙ガイド板91上に吸引された状態で停止して搬入が完了された後、図9に拡大して示した制御部150’の指令により用紙くわえ爪部110’を停止中の印刷用紙P2に向かって移動させ、この用紙くわえ爪部110’内に設けた用紙一端部当接用スイッチ115を停止中の印刷用紙P2の一端部Paに当接させており、この用紙一端部当接用スイッチ115の当接により1枚目の印刷用紙P2の長さが検出されたことと等価なる。
【0108】
上記から変形例の両面印刷装置1’でも、給紙部60の動作開始から1枚目の印刷用紙P2が用紙貯留部90内に搬入し用紙くわえ爪部110’で1枚目の印刷用紙P2を保持するまでに、1枚目の印刷用紙P2の搬送方向の長さを検出し、この検出結果に応じて、用紙くわえ爪搬送部120を介して用紙くわえ爪部110’を所定位置(搬入完了した1枚目の印刷用紙P2の一端部Pa)に設定している。
【0109】
この際、用紙くわえ爪部110’の初期位置は、図7に示したように、印刷用紙P2の最大サイズであるA3サイズに合わせて、用紙貯留部90内で停止したA3サイズの印刷用紙P2の一端部Paに用紙一端部当接用スイッチ115が当接できる位置で待機している。
【0110】
一方、A3サイズよりも長さが短い印刷用紙P2では、図8に示したように用紙くわえ爪部110’が用紙貯留部90内の中間部位側に移動している。
【0111】
従って、この変形例では、実施例で説明したような用紙貯留部90内の用紙入出検出センサ94(又は給紙部60内の給紙センサ70)と制御部150とにより印刷用紙P2(又はP1)の長さを検出する必要がないので、実施例よりも用紙貯留部90内での動作時間の短縮を図ることができる。
【0112】
ここで、上記構成による変形例の両面印刷装置1’の動作について、図10を用いて説明する。
【0113】
変形例の両面印刷装置1’の動作を開始させると、まず、ステップS31では、給紙部60で動作開始から1枚目の未印刷の印刷用紙P1を第1の印刷部40Aに向けて給紙する。
【0114】
次に、ステップS32では、第1の印刷部40Aで未印刷の印刷用紙P1のA面(一方の面)にインク画像を印刷(又は試し刷り)する。
【0115】
次に、ステップS33では、用紙反転部80でA面を印刷(又は試し刷り)した印刷用紙P2の表裏を反転させる。
【0116】
次に、ステップS34では、反転させた1枚目の印刷用紙P2の一端部Paを先頭にしてこの印刷用紙P2のB面(他方の面)を用紙貯留部90内の上方部位に設けた上側用紙ガイド板91に沿わせて吸気ファン99により用紙搬送ベルト97上に吸引しながら搬入させる。
【0117】
次に、ステップS35では、用紙貯留部90内に設けた用紙入出検出センサ94でこの用紙貯留部90内に搬入された1枚目の印刷用紙P2の他端部Pbを検出したら1枚目の印刷用紙P2を停止させることで、1枚目の印刷用紙P2が搬入完了する。
【0118】
次に、ステップS36では、用紙くわえ爪搬送部120により用紙くわえ爪部110’を1枚目の印刷用紙P2の一端部Paに向けて必要に応じて移動させ、且つ、この印刷用紙P2の一端部Paに用紙くわえ爪部110’内に設けた用紙一端部検出スイッチ115が当接したら用紙くわえ爪部110’を停止させる。この際、1枚目の印刷用紙P2が最大サイズであるA3サイズであれば、このA3サイズに合わせて用紙くわえ爪部110’が初期位置に待機しているので、用紙くわえ爪部110’を移動させる必要はなく、且つ、A3サイズの印刷用紙P2であるか否かの検出は、給紙トレイ61上に設けた用紙最大サイズ検出センサ66で検出するか、又は、印刷用紙P2の長さを検出するかのどちらでも良い。
【0119】
尚、製版時に試し刷りした場合には、用紙くわえ爪部110’は試し刷りした印刷用紙P2の一端部Paに対して位置が設定されるので、通常の印刷時に1枚目の印刷用紙P1を印刷するときには用紙くわえ爪部110’を移動させる必要はないために、通常の印刷時に印刷時間を短縮することができる。
【0120】
次に、ステップS37では、用紙くわえ爪部110’内に設けた用紙受け爪113aと用紙くわえ爪114とで1枚目の印刷用紙P2の一端部Paを保持する。
【0121】
次に、ステップS38では、複数枚の印刷用紙P2を用紙貯留部90内に順次搬入させる。
【0122】
次に、ステップS39では、複数枚の印刷用紙P2の各一端部Paを保持した各用紙受け爪113aと各用紙くわえ爪114とを用紙貯留部90内の下方部位に設けた下側用紙ガイド板92に向けて移動させる途中で各印刷用紙P2のA面に印刷したインク画像のインクを乾燥させる。
【0123】
次に、ステップS40では、用紙貯留部90内の下方部位に設けた下側用紙ガイド板92に移動した印刷用紙P2の他端部Pbを先頭にしてこの印刷用紙P2を用紙貯留部90から第2の印刷部40Bに向けて搬出させる。
【0124】
次に、ステップS41では、第2の印刷部40Bで印刷用紙P2のB面(他方の面)にインク画像を印刷(又は試し刷り)する。
【0125】
次に、ステップS42では、両面を印刷(又は試し刷り)した印刷用紙P3を排紙部140により排紙させ、2枚目以降は用紙くわえ爪部110’を1枚目に設定した位置に停止させて通常印刷を行い、この動作フローを終了させる。
【0126】
上記した変形例の両面印刷装置1’によれば、用紙くわえ爪部110’内に用紙一端部当接用スイッチ115を設けることで、用紙貯留部90内での動作時間の短縮を図ることができる。
【符号の説明】
【0127】
1…実施例の両面印刷装置、1’…変形例の両面印刷装置、2…筐体、
10…操作パネル部、20…原稿読み取り部、30…製版部、
40A…第1の印刷部、40B…第2の印刷部、
41…エンコーダ付きドラムモータ、42…印刷ドラム(版胴)、46…プレスローラ、
50A…第1の排版部、50B…第2の排版部、
60…給紙部、61…給紙トレイ、62L,62R…左右一対のサイドフェンス、
63…ピニオンギア、64…ポテンションメータ、65…用紙有無検出センサ、
66…用紙最大サイズ検出センサ、67…給紙ローラ、68…摩擦板、
69…捌きローラ、70…給紙センサ、
80…用紙反転部、81…用紙ガイド枠、82…プーリー、83…用紙搬送ベルト、
90…用紙貯留部、91…上側用紙ガイド板、91a…上面、91b…下面、
92…下側用紙ガイド板、92a…上面、92b…下面、
93L,93R…左右一対のサイドフェンス、94…用紙入出検出センサ、
95…ハウジング、96…一対のプーリー、97…用紙搬送ベルト、
98…吸気シャッタ、99…吸気ファン、100…用紙剥離爪、
101…ハウジング、102…一対のプーリー、103…用紙搬送ベルト、
104…吸気シャッタ、105…吸気ファン、
110,110’…用紙くわえ爪部、111…支持板、112…一対のプーリー、
113…用紙くわえ爪搬送ベルト、113a…用紙受爪、114…用紙くわえ爪、
115…用紙一端部当接用スイッチ、
120…用紙くわえ爪搬送部、121…一対のプーリー、122…支持板搬送ベルト、
123…連結部材、
140…排紙部、141…一対のプーリー、142…用紙搬送ベルト、
143…吸気ファン、144…排紙センサ、145…排紙トレイ、
150…制御部、
I/O…用紙入出口、
M1…第1の孔版原紙、M2…第2の孔版原紙、
P1,P2,P3…印刷用紙、Pa…一端部、Pb…他端部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷用紙を1枚ずつ順次給紙する給紙部と、
前記印刷用紙の一方の面と他方の面とをそれぞれ別々のタイミングで印刷する印刷部と、
前記一方の面を印刷した後に前記印刷用紙に対して表裏を反転させる用紙反転部と、
反転させた前記印刷用紙の一端部を先頭にして搬入させ、一時貯留させた後に、前記他方の面を印刷するために前記印刷用紙の他端部を先頭にして搬出させる用紙貯留部と、
前記用紙貯留部内に搬入完了した前記印刷用紙の一端部を保持する用紙くわえ爪を該一端部に対して着脱自在に設けた用紙くわえ爪部と、
前記用紙くわえ爪部を前記用紙貯留部内に搬入完了した前記印刷用紙の一端部に向けて移動させるために往復動自在に設けた用紙くわえ爪搬送部と、
両面が印刷された前記印刷用紙を順次排紙する排紙部と、
各部を制御する制御部と、を備え、
前記給紙部の動作開始から1枚目の前記印刷用紙が前記用紙貯留部内に搬入し前記用紙くわえ爪部で前記1枚目の前記印刷用紙を保持するまでに、前記1枚目の印刷用紙の搬送方向の長さを検出し、この検出結果に応じて、前記用紙くわえ爪搬送部を介して前記用紙くわえ爪部を所定位置に設定することを特徴とする両面印刷装置。
【請求項2】
前記1枚目の印刷用紙の搬送方向の長さ検出は、前記給紙部から前記用紙貯留部までの間に設けた光センサと前記制御部とにより計測した前記1枚目の印刷用紙の通過時間と、前記印刷用紙の搬送速度とを前記制御部を介して積算することを特徴とする請求項1記載の両面印刷装置。
【請求項3】
前記1枚目の印刷用紙の搬送方向の長さ検出は、前記用紙くわえ爪部に用紙一端部当接用スイッチを設け、前記用紙くわえ爪搬送部により前記用紙くわえ爪部を移動させて前記用紙一端部当接用スイッチを前記1枚目の印刷用紙の一端部に当接させることを特徴とする請求項1記載の両面印刷装置。
【請求項4】
前記印刷部に孔版印刷方式を適用し、前記印刷部内に回転自在に設けた第1,第2の印刷ドラムと、前記第1,第2の印刷ドラムに巻き付けるための第1,第2の孔版原紙を製版する製版部とを備え、
前記製版部による製版時に製版済みの前記第1,第2の孔版原紙の少なくとも一方をこれと対応する前記第1,第2の印刷ドラムに巻き付けながら前記給紙部から送られた1枚目の印刷用紙を用いて試し刷りを行なう際に、前記1枚目の印刷用紙の搬送方向の長さを検出する一方、通常の印刷時には前記1枚目の印刷用紙の搬送方向の長さを検出しないことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の両面印刷装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2012−25098(P2012−25098A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−167910(P2010−167910)
【出願日】平成22年7月27日(2010.7.27)
【出願人】(000250502)理想科学工業株式会社 (1,191)
【Fターム(参考)】