説明

両面発光型有機エレクトロルミネッセンスパネル、及びその製造方法

【課題】有機EL素子の劣化が抑制された両面発光型有機エレクトロルミネッセンスパネル及びその製造方法を提供する。
【解決手段】両面発光型有機ELパネルは、第一の基体1と、当該基体上に配置された第一の有機エレクトロルミネッセンス素子2と、第二の基体3と、当該基体上に配置された第二の有機エレクトロルミネッセンス素子4とを、第一及び第二の有機エレクトロルミネッセンス素子同士が対向するように有する両面発光型エレクトロルミネッセンスパネルにおいて、前記第一及び第二の有機エレクトロルミネッセンス素子の間と周囲に配置された充填層5と、前記第一の基体及び前記第二の基体と接して前記充填層の周囲に枠状に配置された封止層6とを有し、前記充填層が、熱可塑性ゴム成分を主成分として含有し、前記封止層が硬化樹脂を主成分として含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、両面発光型有機エレクトロルミネッセンスパネル及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、情報機器の多様化に伴い、一般に使用されているCRT(陰極線管)に比べて消費電力が少ない平面表示素子に対するニーズが高まってきている。このような平面表示素子の一つとして、高効率・薄型・軽量・低視野角依存性等の特徴を有する有機エレクトロルミネッセンス(以下、有機ELと略記する。)素子が注目され、この有機EL素子を用いたディスプレイの開発が活発に行われている。
【0003】
有機EL素子は、電子注入電極とホール注入電極とからそれぞれ電子とホールとを発光部内へ注入し、注入された電子およびホールを発光中心で再結合させて有機分子を励起状態にし、この有機分子が励起状態から基底状態へと戻るときに蛍光を発生する自発光型の素子である。
【0004】
有機EL素子は、一定期間駆動した場合、発光輝度、発光効率、発光均一性等の発光特性が初期の場合に比べて著しく劣化するという問題がある。このような発光特性の劣化の原因としては、有機EL素子内に侵入した酸素による電極の酸化、駆動時の発熱による有機材料の酸化分解、有機EL素子内に侵入した空気中の水分による電極の酸化、有機物の変性等を挙げることができる。さらに、酸素や水分の影響で構造体の界面が剥離したり、駆動時の発熱や駆動時の環境が高温であったこと等が引き金となって、各構成要素の熱膨張率の違いにより構造体の界面で応力が発生し、界面が剥離したりする等の構造体の機械的劣化も発光特性の劣化の原因として挙げることができる。
【0005】
このような問題を抑制するため、有機EL素子を封止し、水分や酸素との接触を抑制する技術が検討されている。例えば、特許文献1は、基板とシールド部材によって気密空間を形成する際に、両者をカチオン硬化タイプの紫外線硬化型エポキシ樹脂接着剤で接着する技術を記載している。また、特許文献2は、ガスバリア層が形成された可撓性フィルムを封止基材として有機EL素子の外表面上に被覆する技術を記載している。また、特許文献3は、減圧雰囲気中で基板と封止板とを封止剤を介して貼り合わせ、その後封止剤を硬化させる技術、及び、有機エレクトロルミネッセンス素子を低粘度の第一の封止剤により封止し、有機エレクトロルミネッセンス素子を取り囲むようにフィラーが入った高粘度の封止剤で封止する技術を記載している。更に、特許文献4は、電子部品が、未硬化の面シール剤部と該面シール剤部を囲繞する未硬化の外枠シール剤部とからなるシール剤層により封止された構造を有する光デバイスの製造方法を記載している。また、特許文献5は、水素添加された環状オレフィン系重合体と500、000以上の重量平均分子量を有するポリイソブチレンとを有する接着性封止組成物を含む接着フィルムを有する有機EL素子を記載している。
【0006】
一方、両面に発光表示できる有機ELパネルとして透明有機EL素子が注目され、種々開発されている。全く異なる独立な画像や文字情報を表裏両面に対し同時に表示することが可能な有機ELパネルは、例えば特許文献6に開示されている。また、特許文献7には、2つの有機EL素子を背中合わせで貼り合わせて形成した両面発光表示パネルが開示されている。
【0007】
【特許文献1】特開平10−233283号公報
【特許文献2】特許第4010394号公報
【特許文献3】特開2004−265615号公報
【特許文献4】特開2006−244978号公報
【特許文献5】特開2007−197517号公報
【特許文献6】特開2005−267926号公報
【特許文献7】特開2006−039554号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述のような従来の技術では、素子の劣化抑制の観点からは依然として十分ではなかった。この理由を推定すると、これら従来の技術では、有機エレクトロルミネッセンス素子の上部や周囲部(側面部)にエポキシ等の硬化性樹脂が用いられている構成になっているため、硬化性樹脂に含まれる硬化剤等の反応性の高い成分が有機エレクトロルミネッセンス素子と接触している部分から悪影響を及ぼして、素子の劣化原因となっていることが挙げられる。特許文献5では、有機エレクトロルミネッセンス素子の封止剤として硬化性樹脂は用いられていないが、封止剤として用いられている水素添加された環状オレフィン系重合体と500、000以上の重量平均分子量を有するポリイソブチレンとを有する接着性封止組成物だけではガスバリア性が不十分であり、素子の劣化原因となっていることが挙げられる。
【0009】
一方、両面発光型EL素子において、特許文献7に開示されたように2つの有機発光層の間を密封空間とする場合には、フレキシブル化やパネルの厚みを薄くすることが望まれている中、形状を安定的に保持することが困難である上、衝撃等により素子が劣化し易かったり、素子同士がぶつかってショートする場合があるという課題があった。
【0010】
本発明は、上記実状を鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、有機エレクトロルミネッセンス素子の劣化が抑制された両面発光型有機エレクトロルミネッセンスパネル及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る有機エレクトロルミネッセンスパネルは、第一の基体と、当該基体上に配置された第一の有機エレクトロルミネッセンス素子と、第二の基体と、当該基体上に配置された第二の有機エレクトロルミネッセンス素子とを、第一及び第二の有機エレクトロルミネッセンス素子同士が対向するように有する両面発光型エレクトロルミネッセンスパネルにおいて、前記第一及び第二の有機エレクトロルミネッセンス素子の間と周囲に配置された充填層と、前記第一の基体及び前記第二の基体と接して前記充填層の周囲に枠状に配置された封止層とを有し、前記充填層が、熱可塑性ゴム成分を主成分として含有し、前記封止層が硬化樹脂を主成分として含有する、両面発光型有機エレクトロルミネッセンスパネルである。
【0012】
本発明においては、第一及び第二の有機エレクトロルミネッセンス素子の上と周囲に、熱可塑性ゴム成分を主成分として含有する充填層を配置して、且つ、当該充填層を第一及び第二の基体と硬化樹脂を主成分とする封止層とによって密封した構造を有するため、有機エレクトロルミネッセンス素子の劣化が抑制された両面発光型有機エレクトロルミネッセンスパネルを提供することができる。
【0013】
また、本発明は、第一の基体上に配置された第一の有機エレクトロルミネッセンス素子を準備する工程と、
第二の基体上に配置された第二の有機エレクトロルミネッセンス素子を準備する工程と、
熱可塑性ゴム成分を主成分として含有する充填層を、前記第二の基体の素子が配置されている面の周縁部が露出するように、前記第二の基体上の第二の有機エレクトロルミネッセンス素子の上と周囲に積層して積層体aを形成する工程と、
前記積層体aの充填層が、前記第一の有機エレクトロルミネッセンス素子の上と周囲に配置されるように、前記積層体aを、前記第一の基体上に配置された第一の有機エレクトロルミネッセンス素子上に積層して積層体bを形成する工程と、
前記積層体bにおける前記第一の基体と前記第二の基体の間を密封するように、前記充填層の周囲に硬化型樹脂組成物を塗布し、硬化反応を行って封止層を形成する工程とを有する、両面発光型有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法も提供する。
【0014】
本発明に係る有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法においては、前記積層体aを形成する工程において、前記充填層を、溶剤を使用することなく溶融して、前記第二の基体上に積層することが好ましい。このような場合には、充填層中に残留溶剤が本質的に存在しないため、有機エレクトロルミネッセンス素子と接触しても残留溶剤による素子の劣化が防止される。
【0015】
本発明に係る有機エレクトロルミネッセンスパネル及びその製造方法においては、前記充填層が、A−B−A型スチレンブロック共重合体ゴム及び/又はその水素化物50〜100重量%、並びに、A−B型スチレンブロック共重合体ゴム及び/又はその水素化物0〜50重量%からなるゴム成分と、前記ゴム成分100重量部に対して50重量部以上の粘着性付与樹脂とを主成分として含有ことが、素子の劣化抑制の点から好ましい。
【0016】
本発明に係る有機エレクトロルミネッセンスパネル及びその製造方法においては、前記充填層が、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体ゴム、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体ゴム、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体ゴム、及びスチレン−エチレン−プロピレン−スチレン共重合体ゴムよりなる群から選択される1種以上を含有することが、素子の劣化抑制の点から好ましい。
【0017】
本発明に係る有機エレクトロルミネッセンスパネル及びその製造方法においては、前記充填層におけるA−B−A型スチレンブロック共重合体ゴム又はその水素化物中のスチレン成分が10〜40モル%であることが、素子の劣化抑制の点から好ましい。
【0018】
本発明に係る有機エレクトロルミネッセンスパネル及びその製造方法においては、前記充填層が硬化剤を含まないことが、素子の劣化抑制の点から好ましい。
【0019】
本発明に係る有機エレクトロルミネッセンスパネル及びその製造方法においては、前記充填層における粘着性付与樹脂が、水素化石油樹脂、ロジン系樹脂、及びテルペン系樹脂よりなる群から選択される1種以上であることが、素子の劣化抑制の点、及び透明性の点から好ましい。
【0020】
本発明に係る有機エレクトロルミネッセンスパネル及びその製造方法においては、前記充填層がゲッター剤を含有することが、素子の劣化抑制の点から好ましい。
【0021】
本発明に係る有機エレクトロルミネッセンスパネル及びその製造方法においては、更にゲッター層を有することが、素子の劣化抑制の点から好ましい。
【0022】
本発明に係る有機エレクトロルミネッセンスパネル及びその製造方法においては、前記封止層が、エポキシ系樹脂を主成分として含有することが、耐湿性による素子の劣化抑制の点及び塗布作業性の点から好ましい。
【0023】
本発明に係る有機エレクトロルミネッセンスパネル及びその製造方法においては、前記第一の基体及び/又は前記第二の基体が可撓性を有するものであっても、好適に用いることができる。
【0024】
本発明に係る有機エレクトロルミネッセンスパネル及びその製造方法においては、前記有機エレクトロルミネッセンス素子と、前記充填層との間に、バリア層を有することが、素子の劣化抑制の点から好ましい。
【0025】
本発明に係る有機エレクトロルミネッセンスパネル及びその製造方法においては、前記第一の基体上に、所定の間隔をあけて複数個平面配置された第一の有機エレクトロルミネッセンス素子と、前記第二の基体上に、所定の間隔をあけて複数個平面配置された第二の有機エレクトロルミネッセンス素子とを、少なくとも、前記複数個の第一の有機エレクトロルミネッセンス素子同士の間に存在する第一の非発光部と第二の有機エレクトロルミネッセンス素子とが対向し、且つ、前記複数個の第二の有機エレクトロルミネッセンス素子同士の間に存在する第二の非発光部と第一の有機エレクトロルミネッセンス素子とが対向するように有している態様であっても良い。このような態様の場合には、得られる有機ELパネルの解像度を2倍に上げることができたり、さらに奥行き感を表現できるというメリットがある。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、第一及び第二の有機エレクトロルミネッセンス素子の上と周囲に、熱可塑性ゴム成分を主成分として含有する充填層を配置して、且つ、当該充填層を第一及び第二の基体と硬化樹脂を主成分とする封止層とによって密封した構造を有するため、有機エレクトロルミネッセンス素子の劣化が抑制された両面発光型有機エレクトロルミネッセンスパネルを提供することができる。
本発明によれば、上記のように熱可塑性ゴム成分を主成分として含有する充填層によって、第一及び第二の基体と第一及び第二の有機エレクトロルミネッセンス素子と封止層とで形成する空間を充填していることにより、パネルを薄膜化したり基体に可撓性を有するものを用いた場合であっても、充填層が高弾性であるため、使用時や衝撃により変形しても元に戻りやすく形状を安定的に保持する機能があり、また、有機EL層に傷やクラックが生じることを抑制することができるという効果もある。更に、2つの有機EL素子の間に絶縁体の充填層が介在することにより、素子同士がぶつかってショートすることも防止できる。
【0027】
また、本発明によれば、特定の充填層を一方の基体上の有機EL素子の上と周囲に積層した積層体aを用いて、他方の基体上の有機EL素子をも封止し、更に、第一及び第二の基体の間を密封するように、前記充填層の周囲に硬化型樹脂組成物を塗布し、硬化反応を行って封止層を形成するため、容易に、有機エレクトロルミネッセンス素子の劣化が抑制された両面発光型有機エレクトロルミネッセンスパネルを製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
I.両面発光型有機エレクトロルミネッセンスパネル
本発明に係る両面発光型有機エレクトロルミネッセンスパネルは、第一の基体と、当該基体上に配置された第一の有機エレクトロルミネッセンス素子と、第二の基体と、当該基体上に配置された第二の有機エレクトロルミネッセンス素子とを、第一及び第二の有機エレクトロルミネッセンス素子同士が対向するように有する両面発光型エレクトロルミネッセンスパネルにおいて、前記第一及び第二の有機エレクトロルミネッセンス素子の間と周囲に配置された充填層と、前記第一の基体及び前記第二の基体と接して前記充填層の周囲に枠状に配置された封止層とを有し、前記充填層が、熱可塑性ゴム成分を主成分として含有し、前記封止層が硬化樹脂を主成分として含有するものである。
ここで熱可塑性ゴム成分とは、所謂熱可塑性エラストマーであり、加硫せず、又は架橋せずに、室温などの使用温度においては加硫ゴムと類似の特性を持ち、加工温度でその特性は消滅し容易に加工ができ、使用温度に戻すと再びもとの特性を発現するポリマー、またはポリマーブレンドをいう。
【0029】
本発明においては、第一及び第二の有機EL素子の上と第一及び第二の有機EL素子周囲に、上述のような熱可塑性ゴム成分を主成分として含有する充填層を配置して、第一及び第二の有機EL素子を充填層により覆っている。本発明に用いられる充填層は、素子に接触すると悪影響を与える硬化成分や水分等を本質的に含むことなく、非硬化性である。また、本発明の充填層としては、溶剤を用いなくても加熱溶融加工が可能なものを選択できる。本発明においては、このような充填層が第一及び第二の有機EL素子の上及び周囲(側面)全体を被覆した構造を有するため、充填層が有機EL素子と直接接触しても、硬化剤等の反応性の高い成分や残留溶剤に起因する素子の劣化を防止しながら、素子の耐湿性を向上することができる。
本発明においては、前記充填層で覆われた有機EL素子を、更に、第一及び第二の基体と硬化樹脂を主成分とする封止層とによって密封した構造を有する。このように、有機EL素子をまず比較的柔らかい成分の充填層で被覆後、更に、ガスバリア性が高く比較的硬い成分の封止層で被覆して密封することにより、素子の酸素や水分に対するバリア性を更に向上することができ、素子の劣化が抑制された有機エレクトロルミネッセンスパネルを提供することができる。
【0030】
以下、本発明の有機ELパネルについて説明する。図1は、本発明の有機ELパネルの一例を示すものである。この例においては、第一の基体1上に、当該基体1上に配置された第一の有機EL素子2と、第二の基体3と、当該基体3上に配置された第二の有機EL素子4とが、第一及び第二の有機EL素子(2、4)同士が対向するように配置され、前記第一及び第二の有機EL素子(2、4)の間と周囲に配置された充填層5と、前記第一の基体1及び前記第二の基体3と接して前記充填層5の周囲に枠状に配置された封止層6が形成されている。
なお、第一の基体及び第一の有機EL素子と第二の基体及び第二の有機EL素子は、対向する2つの基体及び2つの有機EL素子のいずれが第一であっても良く、いずれか一方が第一の基体及び第一の有機EL素子であり、他方が第二の基体及び第二の有機EL素子である。
以下、このような本発明の有機ELパネルを構成する各要素について具体的に説明する。
【0031】
1.充填層
本発明の特徴の1つは、上述したように、熱可塑性ゴム成分を主成分として含有する充填層を第一及び第二の有機EL素子の上及び周囲に配置している点にある。なお、主成分として含有するとは、充填層の総量中に、上記熱可塑性ゴム成分が、50重量%以上、好ましくは80重量%以上、より好ましくは90重量%以上含まれることを表す。
【0032】
熱可塑性ゴム成分は、充填層にある程度の耐湿性と高弾性と柔軟性を与える成分である。上述のようなゴム成分は、加硫工程なしで、高強度でありながら、柔軟性が高く、室温でゴム弾性を発現する。本発明に用いられる充填層は、硬化剤を用いて硬化反応を行う必要がなく、硬化剤による素子劣化や、硬化反応に用いられる高熱や光照射による素子劣化が抑制される。
【0033】
また、本発明においては、第一及び第二の基体と第一及び第二の有機エレクトロルミネッセンス素子と封止層とで形成される空間を、上記のような高弾性、及び柔軟性を有する充填層により充填している。これにより、本発明の有機ELパネルは、パネルを薄膜化した場合や基体に可撓性を有するものを用いた場合であっても、使用時や衝撃により変形しても元に戻りやすく外形を保持する機能があり、また、有機EL層に傷やクラックが生じることを防止することができる。また、このような絶縁材料からなる充填層が2つの有機EL素子の間に介在するため、素子同士がぶつかってショートすることも防止できる。
【0034】
本発明においては、更に、このようなゴム成分に粘着性付与樹脂を組み合わせることが、適度な粘度と接着性が付与される点から好ましい。このような場合には、ゴム成分のホットメルト時の濡れ性や密着性を良好にし、被着体である基体や有機EL素子とに追従しながら貼り合わせて被覆することが可能である。
【0035】
熱可塑性ゴム成分としては、例えば、スチレン系ブロック共重合体、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリクロロプレン、エチレン−プロピレン−ジエンモノマーゴム、エチレンプロピレンゴム、ナイロンエラストマー、ポリエステルエラストマー、ウレタンエラストマー、シリコンエラストマー、フッ素エラストマー等が挙げられる。
熱可塑性ゴム成分としては、200℃以下でホットメルト加工が可能な成分を選択することが好ましい。このような場合には、有機EL素子に悪影響を与えることなく、溶剤を用いずに充填層を積層可能になる。有機EL素子上に積層させる際や充填層形成時に溶剤を使用する必要がない場合には、充填層中の残留溶剤の素子に与える悪影響も防止できる。
【0036】
充填層としては、中でも、A−B−A型スチレンブロック共重合体ゴム及び/又はその水素化物50〜100重量%、並びに、A−B型スチレンブロック共重合体ゴム及び/又はその水素化物0〜50重量%からなるゴム成分と、前記ゴム成分100重量部に対して50重量部以上の粘着性付与樹脂とを主成分として含有するものが好ましい。
【0037】
A−B−A型スチレンブロック共重合体ゴム及び/又はその水素化物50〜100重量%、並びに、A−B型スチレンブロック共重合体ゴム及び/又はその水素化物0〜50重量%からなるゴム成分は、200℃以下でホットメルト加工が可能であるため、有機EL素子上に積層させる際や充填層形成時に溶剤を使用する必要がなく、充填層中の残留溶剤の素子に与える悪影響も防止できる。
有機EL素子の上部のみならず周囲部(側面)を覆う層として、このように特定のゴム成分や粘着性付与樹脂を特定の割合で組み合わせる場合には、充填層を直接有機EL素子に貼り合わせても、充填層に起因する成分により素子の劣化が起こることを特に防止できる。
【0038】
上記A−B−A型ブロック共重合体ゴム及び上記A−B型ブロック共重合体ゴムにおいて、Aはスチレン重合体ブロック、Bはブタジエン重合体ブロック、イソプレン重合体ブロック又はビニル・イソプレン重合体ブロックである。これらのブロック共重合体ゴムは、ポリスチレンをハードセグメントとするスチレン系ブロック共重合体である。具体的には、A−B−A型ブロック共重合体ゴム及びその水素化物は、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体ゴム(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体ゴム(SIS)、スチレン−ビニル・イソプレン−スチレンブロック共重合体ゴム(SVIS)、SBSの水素化物であるスチレン−エチレン−ブテン−スチレンブロック共重合体ゴム(SEBS)、SISの水素化物であるスチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体ゴム(SEPS)である。また、A−B型ブロック共重合体ゴム及びその水素化物は、スチレン−ブタジエンブロック共重合体ゴム(SB)、スチレン−イソプレンブロック共重合体ゴム(SI)、SBの水素化物であるスチレン−エチレン−ブテンブロック共重合体ゴム(SEB)、SIの水素化物であるスチレン−エチレン−プロピレンブロック共重合体ゴム(SEP)である。
中でも、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体ゴム及び/又はスチレン−エチレン−プロピレン−スチレン共重合体ゴムを含むことが、EL素子との密着性が向上し、組み合わせる粘着付与樹脂の選択肢が広がる点から好ましい。
【0039】
これらA−B−A型ブロック共重合体ゴム及びその水素化物、及び、上記A−B型ブロック共重合体ゴム及びその水素化物は、そのAブロック部の重量平均分子量が1,000〜500,000であることが好ましく、Bブロック部の重量平均分子量が15,000〜1,000,000であることが好ましい。なお、本発明における重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定によりポリスチレン標準物質を用いて作成した検量線をもとに計算されたものである。
【0040】
上記A−B−A型ブロック共重合体ゴム及びその水素化物は、スチレン成分が10モル%未満であると粘着性が高すぎ、ゴム弾性を発現しない場合があるので、10モル%以上のものが好ましい。一方、スチレン成分が40モル%を超えると粘着性が弱すぎ、また硬くなりゴム弾性を発現しない場合があるので、40モル%以下のものが好ましい。
【0041】
上記A−B−A型ブロック共重合体ゴム及びその水素化物、並びに上記A−B型ブロック共重合体ゴム及びその水素化物は、例えば、日本ゼオン株式会社、旭化成工業株式会社、株式会社クラレ、JSR株式会社等から上市されており、入手可能である。
【0042】
上記A−B−A型ブロック共重合体ゴム又はその水素化物と、上記A−B型ブロック共重合体ゴム又はその水素化物とは、当該ゴム成分の合計量を100重量%とした場合に、A−B−A型スチレンブロック共重合体ゴム及び/又はその水素化物50〜100重量%、並びに、A−B型スチレンブロック共重合体ゴム及び/又はその水素化物0〜50重量%の範囲で混合して用いる。このような混合割合で用いることにより、上述のような充填層の効果が好適に得られる。
中でも、当該ゴム成分の合計量を100重量%とした場合に、A−B−A型スチレンブロック共重合体ゴム及び/又はその水素化物50〜90重量%、及びA−B型スチレンブロック共重合体ゴム及び/又はその水素化物10〜50重量%の範囲で混合して用いることが、素子基板および封止基板との付着性、ゴム弾性の発現の点から好ましい。
上記A−B−A型ブロック共重合体ゴム又はその水素化物と上記A−B型ブロック共重合体ゴム又はその水素化物は、予め両者を混合して混合物としたものを用いる以外に、本発明に用いられるゴム成分を調製する際に、両者の混合割合が上記の範囲となるようにして両者を用いることも可能である。
【0043】
一方、粘着付与樹脂としては、ロジン、ロジン誘導体(水素化ロジン、不均化ロジン、重合ロジン、ロジンエステル(アルコール、グリセリン、ペンタエリスリトールなどのエステル化ロジンなど))、テルペン樹脂(α−ピネン、β−ピネン)、テルペンフェノール樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、水素化テルペン樹脂、脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、共重合系石油樹脂、脂環族石油樹脂、クマロン−インデン樹脂、スチレン系樹脂、フェノール樹脂、キシレン樹脂などがあげられる。
【0044】
中でも、水素化石油樹脂、ロジン系樹脂、及びテルペン系樹脂よりなる群から選択される1種以上が、前記特定のゴム成分と相溶性が良好で、透明性に優れた充填層を形成できる点から好適に用いられる。このような水素化石油樹脂としては、石油ナフサの熱分解で生成するペンテン、イソプレン、ピペリン、1.3−ペンタジエンなどのC5留分を共重合して得られるC5系石油樹脂の水添加樹脂である水添ジシクロペンタジエン系樹脂(トーネックス(株)製:エスコレッツ5300,5400シリーズ、イーストマン社製:Eastotac Hシリーズ等)、部分水添芳香族変性ジシクロペンタジエン系樹脂(トーネックス(株)製:エスコレッツ5600シリーズ等)、石油ナフサの熱分解で生成するインデン、ビニルトルエン、α−又はβ−メチルスチレンなどのC9留分を共重合して得られるC9系石油樹脂を水添した樹脂(荒川化学工業株式会社製:アルコンP又はMシリーズ)、上記したC5留分とC9留分の共重合石油樹脂を水添した樹脂(出光興産株式会社製:アイマーブシリーズ)等が挙げられる。これらの中でも、脂環族飽和炭化水素樹脂が、前記特定のゴム成分と相溶性が良好な点から、好適に用いられる。
【0045】
本発明に用いられる充填層における配合は、前記ゴム成分100重量部に対して、50重量部以上の粘着性付与樹脂を用いることが好ましい。
前記ゴム成分100重量部に対して、粘着付与樹脂が50重量部未満であると、粘着性が弱すぎ、EL素子基板および封止基板に付着しない恐れがあるからである。中でも、前記ゴム成分100重量部に対して、粘着付与樹脂は50〜200重量部の割合で用いられることが、EL素子基板および封止基板との付着性、ゴム弾性の発現の点から好ましい。
【0046】
本発明の充填層は、本発明の効果及び透明性を損なわない範囲で、前記特定のゴム成分及び粘着性付与樹脂に加え、任意の添加剤を含有することができる。このような添加剤としては、ゲッター剤、フィラー、軟化剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、酸化抑制剤、樹脂安定剤などが挙げられる。軟化剤としては、例えばパラフィン、ナフテン系オイルや、各種ワックスなどが用いられる。
【0047】
本発明においてゲッター剤とは、少なくとも吸湿機能を有し、好ましくはガス(例えば酸素)吸収、吸着機能をも有する物質である。ゲッター剤としては吸湿剤、乾燥剤、酸素吸収剤等が単独あるいは混合状態で使用される。ゲッター剤は充填層に分散されている態様であっても良いが、局所的に配置されたものであっても良い。また、充填層が多層構造をとって、有機EL素子に接触しない第二の充填層中にのみ分散されている態様であっても良い。
又は、図2に示すように、第一の有機EL素子と第二の有機EL素子との間に、ゲッター剤を主成分とするゲッター層7を有する構造であっても良い。
【0048】
ゲッター剤としては、例えば、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化バリウム等の金属酸化物、硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウム、硫酸ニッケル等の硫酸塩、アルミニウムオキサイドオクチレート等の有機金属化合物等が挙げられる。
【0049】
ゲッター剤は、単独で使用してもよく、2種類以上を混合して使用してもよい。添加する場合のゲッター剤の添加量は、充填層の全量を基準にして0.01〜20重量%であることが好ましい。
【0050】
また、フィラーとしては、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイトなどのカルシウム炭酸塩やマグネシウム炭酸塩、カオリン、焼成クレー、パイロフィライト、ペントナイト、セリサイト、ゼオライト、タルク、アタパルジャイト、ワラストナイトなどの珪酸塩、珪藻土、珪石粉などの珪酸、水酸化アルミニウム、パライト、沈降硫酸バリウムなどの硫酸バリウム、石膏などの硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウム、カーボンブラック、酸化亜鉛、二酸化チタンなどを挙げることができる。
【0051】
これらのフィラーは、例えば光の散乱による充填層の透明性の低下を考慮した場合、充填剤の平均一次粒子径は、1〜100nm、更に5〜50nmであることが好ましい。また、低透湿性をさらに向上させるために板状あるいは燐片状のフィラーを用いる場合、平均一次粒子径は0.1〜5μmであることが好ましい。さらに、樹脂に対する分散性の点から、親水性フィラーの表面を疎水処理したものが好適に用いられる。疎水性フィラーは、通常の親水性フィラーの表面を、n−オクチルトリアルコキシシラン等、疎水基を有するアルキル、アリール、アラルキル系シランカップリング剤、ジメチルジクロロシラン、ヘキサメチルジシラザン等のシリル化剤、末端に水酸基を有するポリジメチルシロキサン等、あるいはステアリルアルコールのような高級アルコール、ステアリン酸のような高級脂肪酸で処理して得られるものが挙げられる。
【0052】
フィラーは、単独で使用してもよく、2種類以上を混合して使用してもよい。添加する場合のフィラーの添加量は、充填層の全量を基準にして0.01〜20重量%であることが好ましい。
【0053】
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系化合物、オキサゾリックアシッドアミド系化合物、ベンゾフェノン系化合物などを挙げることができる。これらの化合物は、通常、充填層の全量を基準にして約0.01〜3重量%の範囲で使用できる。
【0054】
紫外線安定剤としては、例えば、ヒンダードアミン系化合物などを挙げることができる。これらの化合物は、通常、充填層の全量を基準にして約0.01〜3重量%の範囲で使用できる。
【0055】
酸化抑制剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系化合物、リン酸エステル系化合物などを挙げることができる。これらの化合物は、通常、充填層の全量を基準にして約0.01〜2重量%の範囲で使用できる。
【0056】
樹脂安定剤としては、例えば、フェノール系樹脂安定剤、ヒンダードアミン系樹脂安定剤、イミダゾール系樹脂安定剤、ジチオカルバミン酸塩系樹脂安定剤、リン系樹脂安定剤、硫黄エステル系樹脂安定剤などを挙げることができる。
【0057】
充填層の厚みは、第一及び第二の有機EL素子を適切に被覆できれば特に限定されないが、通常、1〜200μmの範囲であり、好ましくは、3〜100μmの範囲であり、さらに好ましくは、5〜50μmの範囲である。
【0058】
2.封止層
本発明においては、有機ELパネルの封止効果を向上することを目的として、前記充填層の周囲に枠状に配置された、硬化樹脂を主成分として含有する封止層を、充填層と組み合わせて有することを特徴とする。なお、主成分として含有するとは、封止層の総量中に、上記硬化樹脂が、50重量%以上、好ましくは80重量%以上、より好ましくは90重量%以上含まれることを表す。
【0059】
硬化樹脂は、例えば光硬化型樹脂及び/又は熱硬化型樹脂などの硬化型樹脂を材料として、光及び/又は熱により硬化させた樹脂をいう。このような硬化樹脂は、耐湿性が高いため、ガスバリア性が良好であるという特性を有する。しかしながらその一方で、用いられる硬化型樹脂は、硬化剤等の反応性が高い官能基を有する成分を含有するため、EL素子に直接接触させる部分に用いられると、EL素子の劣化を促進させてしまうことがあった。本発明においては、硬化樹脂を主成分として含有する封止層を、EL素子には直接接触されない、前記充填層の周囲に配置して封止に用いることにより、EL素子の封止剤による劣化を抑制しながら、ガスバリア性を向上させ、それらの相乗効果からEL素子の劣化を抑制する。なお光とは、可視及び非可視領域の波長の電磁波だけでなく、電子線のような粒子線、及び、電磁波と粒子線を総称する放射線又は電離放射線が含まれる。
【0060】
本発明において用いられる硬化型樹脂としては、各種の紫外線硬化型樹脂、電子線硬化型樹脂、熱硬化型樹脂、2液硬化型樹脂等が含まれる。より具体的には、ユレア樹脂系、メラミン樹脂系、フェノール樹脂系、レゾルシノール樹脂系、エポキシ樹脂系、不飽和ポリエステル樹脂系、ポリウレタン樹脂系またはアクリル樹脂系等の熱硬化型樹脂;エステルアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、メラミンアクリレート、アクリル樹脂アクリレート等の各種アクリレートまたはウレタンポリエステル等の樹脂を用いたラジカル系光硬化型樹脂;エポキシ、ビニルエーテル等の樹脂を用いたカチオン系光硬化型樹脂などが挙げられる。
【0061】
本発明に用いられる硬化型樹脂としては、好ましくは無溶媒の塗工液を用い、塗布した後硬化させることができるものであれば特に限定されるものではない。好ましい樹脂としては、2液熱硬化型エポキシ系樹脂、1液熱硬化型エポキシ系樹脂、紫外線硬化型エポキシ系樹脂などのエポキシ系樹脂が挙げられる。
更に具体的には、スリーボンド社製 2液製エポキシ樹脂(20X−325)、協立化学産業株式会社製 WORLD ROCK 8723L2等を挙げることができる。
【0062】
本発明の封止層は、本発明の効果を損なわない範囲で、前記硬化樹脂に加え、任意の添加剤を含有することができる。このような添加剤としては、上記充填層において説明したような、ゲッター剤、フィラー、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、酸化抑制剤、樹脂安定剤などが挙げられる。
【0063】
封止層の厚みは、充填層を適切に被覆し、且つ、第一及び第二の基体の間を密封できれば特に限定されない。通常充填層と同様の厚みに設定されるが、充填層よりも小さい厚みであっても良い。例えば、少なくともいずれかに可撓性を有する基体を用いた場合等には、第一及び第二の基体の間の方が、充填層の厚みよりも小さくなる場合がある。封止層の厚みは、通常、1〜200μmの範囲であり、好ましくは、3〜100μmの範囲であり、さらに好ましくは、5〜50μmの範囲である。
【0064】
3.第一及び第二の基体
本発明に用いられる第一及び第二の基体としては、有機EL素子を強度的に支持し、且つ、基体側に有機EL層からの光が導出されるような光透過性を有するものであれば特に限定されるものではない。後述するEL素子の第1電極層に必要な強度があれば第1電極層を兼ねるように形成されたものであってもよい。
第一及び第二の基体は、大きさや種類について同じであっても異なっていてもよい。
【0065】
基体の材質としては、用途に応じて、例えばフレキシブルな材質であっても、硬質な材質であってもよい。具体的に用いることができる材料としては、例えば、ガラス、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリエステル、ポリカーボネート等を挙げることができる。基体としては、酸素や水分による素子劣化を抑制する点から、ガラス又は樹脂等の材料からなるガスバリア性が高い基材が好適に用いられる。
【0066】
第一及び第二の基体としては、可撓性を有するフィルムや樹脂板等が用いられることが、耐衝撃性、意匠性の点から好ましい。また、フレキシブルな有機ELパネルを得るためには、基体として、可撓性を有するガスバリア層付樹脂フィルムや、厚み10〜100μm程度の薄板ガラスなどが用いられる。フレキシブルな有機ELパネルは、種々の用途に応用することが可能な点で有益である。
基体として用いられる可撓性を有するフィルムの膜厚は、通常5μm〜1000μmの範囲内であり、好ましくは20μm〜500μmの範囲内、特に50μm〜300μmの範囲内であることが好ましい。上記範囲より膜厚が厚い場合は、可撓性を有さない可能性が高く、またEL素子自体の厚みを増加させてしまい薄膜化の要請に反するものであることから好ましくなく、上記範囲より薄い場合は、フィルムを構成する材料にもよるが、強度面で問題が生じる可能性があることから好ましくない。
【0067】
このようなフィルムの材料としては、フィルム化することが可能な材料であれば特に限定されるものではなく、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリエステル、ポリカーボネート、フッ素系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル、ポリスチレン、ABS樹脂、ポリアミド、ポリアセタール、変性ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルサルフォン、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、液晶性ポリエステル、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリミクロイキシレンジメチレンテレフタレート、ポリオキシメチレン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアクリレート、アクリロニトリル−スチレン樹脂、ABS樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン、シリコーン樹脂、非晶質ポリオレフィン、無機物の薄膜フィルム等を挙げることができる。
【0068】
本発明においては、中でもポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホンを用いることが好ましい。
【0069】
本発明において基体は、上記可撓性を有するフィルムに、ガスバリア性を有するガスバリア層が形成されたものであることが好ましい。一般的に樹脂製フィルムはガスバリア性が悪いことから、樹脂製フィルム上にガスバリア層が形成されたものが好適に用いられる。
【0070】
このようなガスバリア層は、ガスバリア性を有するものであれば特に限定されるものではないが、光透過性であることが好ましい。また、このガスバリア層は単層であっても複数層が積層されたものであってもよい。さらに、その形成方法は、湿式法によるものであってもよいが、一般的には真空成膜法により形成されたガスバリア層が好適に用いられる。
【0071】
本発明におけるガスバリア層を構成する材料として、好ましいものは、SiO、SiO、SiNを挙げることができる。(ここで、X、Yは、0〜2である。)
なお、樹脂製フィルムが用いられる場合には、スパッタ法やプラズマCVD法により形成された膜であることが好ましく、SiOであることが好ましい。また、SiO層のピンホールを埋める為に有機層とのハイブリッドにしても良い。
【0072】
本発明に用いられる基体に要求されるガスバリア性としては、特に限定されるものではないが、一般には酸素透過率が10−3cc/m/day以下で、水蒸気透過率が10−6g/m/day以下であることが好ましい。
なお、基体の形状としては、特に限定されず、適宜選択して用いることができる。
【0073】
5.第一及び第二の有機EL素子
本発明に用いられる第一及び第二の有機EL素子は、一対の対向した第一電極層と第二電極層と、前記電極層間に配置された少なくとも発光層を有する有機EL層とを少なくとも有するものである。有機EL素子としては、当該技術分野で公知の種々の構成を有することができる。また、本発明の有機ELパネルにおいて、有機EL素子は、1つの基体上に、1つだけでなく、複数配置されていてもよい。第一及び第二の有機EL素子は、大きさや種類について同じでも異なっていても良い。
【0074】
図5は、本発明の有機ELパネルにおける有機EL素子の配置の仕方を例示する、一部拡大した模式的断面図である。本発明の有機ELパネルは、図5に示されるように、前記第一の基体1上に、所定の間隔をあけて複数個平面配置された第一の有機EL素子2と、前記第二の基体3上に、所定の間隔をあけて複数個平面配置された第二の有機EL素子4とを、少なくとも、前記複数個の第一の有機EL素子同士の間に存在する第一の非発光部15と第二の有機EL素子4とが対向し、且つ、前記複数個の第二の有機EL素子同士の間に存在する第二の非発光部16と第一の有機EL素子2とが対向している態様であっても良い。このような態様の場合には、第一の基体側から、第一の有機EL素子による発光だけでなく、第二の有機EL素子の発光も取り出すことができ、且つ、第二の基体側から、第二の有機EL素子による発光だけでなく、第一の有機EL素子の発光も取り出すことができるため、両面において得られる有機ELパネルの解像度を2倍に上げることができたり、さらに奥行き感を表現できるというメリットがある。また、第一の有機EL素子のみを用いて解像度を上げる場合に比べて、個々の有機EL素子の配置の間隔を広くすることができるため、製造が容易になるというメリットもある。
また、複数個の第一の有機EL素子と第二の有機EL素子の平面配置の仕方は特に限定されない。図6及び図7に、複数個の第一の有機EL素子と第二の有機EL素子の平面配置を例示する、一部拡大した模式的平面図を示す。例えば、図6に示されるように、ストライプ状に配置されても良いし、図7に示されるように、碁盤目状に配置されても良い。
【0075】
(1)第1電極層および第2電極層
上記基体上に形成される第1電極層および第2電極層は、例えば真空スパッタリング、真空蒸着といった方法や、塗工液を塗布することにより形成する方法等により形成され、その製造方法は特に限定されるものではない。
【0076】
本発明において基体側に配置される第1電極層は、基体側から光が導出されるため、透明性が要求される。
上記第1電極層および第2電極層は、いずれが陽極であってもよいが、通常は第1電極層が陽極として形成され、第2電極層が陰極として形成される。このような陽極として形成される場合の電極層の材料としては、例えば、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム、金のような仕事関数の大きな金属、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリアルキルチオフェン誘導体、ポリシラン誘導体のような導電性高分子等を挙げることができる。一方、電極層が陰極として形成される場合に用いられる材料としては、MgAg等のマグネシウム合金、AlLi、AlCa、AlMg等のアルミニウム合金、Li、Caをはじめとするアルカリ金属類およびアルカリ土類金属類、それらアルカリ金属類およびアルカリ土類金属類の合金のような仕事関数の小さな金属等を挙げることができる。
【0077】
(2)有機EL層
本発明においては、上述したような第1電極層と第2電極層との間に有機EL層が形成される。この有機EL層の膜厚は、通常1nm〜2μm、好ましくは10nm〜200nm程度であるので、使用時や運搬時の衝撃や、両面の有機EL層同士を背中合わせに配置するために所定の圧力で貼り合わされる際などに、傷や亀裂が生じやすい。しかしながら、本発明においては、有機EL素子を、高強度、高弾性、及び柔軟性を有する前記充填層で覆う構造を有しているため、このような有機EL素子の損傷を抑制することができる。
【0078】
本発明でいう有機EL層とは、発光層を含む1層もしくは複数層の有機層から形成されるものである。すなわち、有機EL層とは、少なくとも発光層を含む層であり、その層構成が有機層1層以上の層をいう。通常、塗布による湿式法で有機EL層を形成する場合は、溶媒との関係で多数の層を積層することが困難であることから、1層もしくは2層の有機層で形成される場合が多いが、有機材料を工夫したり、真空蒸着法を組み合わせたりすることにより、さらに多数層とすることも可能である。
【0079】
発光層以外に有機EL層内に形成される有機層としては、正孔注入層や電子注入層といったキャリア注入層を挙げることができる。さらに、その他の有機層としては、正孔輸送層、電子輸送層といったキャリア輸送層を挙げることができるが、通常これらは上記キャリア注入層にキャリア輸送の機能を付与することにより、キャリア注入層と一体化されて形成される場合が多い。その他、EL層内に形成される有機層としては、キャリアブロック層のような正孔あるいは電子の突き抜けを抑制し、再結合効率を高めるための層等を挙げることができる。
【0080】
本発明における有機EL層に必須である発光層に用いられる発光材料としては、例えば以下のものを挙げることができる。
色素系発光材料としては、シクロペンタジエン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、トリフェニルアミン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピラゾロキノリン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、ジスチリルアリーレン誘導体、シロール誘導体、チオフェン環化合物、ピリジン環化合物、ペリノン誘導体、ペリレン誘導体、オリゴチオフェン誘導体、トリフマニルアミン誘導体、オキサジアゾールダイマー、ピラゾリンダイマーなどを挙げることができる。
【0081】
また、金属錯体系発光材料としては、アルミキノリノール錯体、ベンゾキノリノールベリリウム錯体、ベンゾオキサゾール亜鉛錯体、ベンゾチアゾール亜鉛錯体、アゾメチル亜鉛錯体、ポルフィリン亜鉛錯体、ユーロピウム錯体等、中心金属に、Al、Zn、Be等、またはTb、Eu、Dy等の希土類金属を有し、配位子にオキサジアゾール、チアジアゾール、フェニルピリジン、フェニルベンゾイミダゾール、キノリン構造等を有する金属錯体等を挙げることができる。
【0082】
さらに、高分子系発光材料としては、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリシラン誘導体、ポリアセチレン誘導体、ポリビニルカルバゾール、ポリフルオレノン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリキノキサリン誘導体、およびそれらの共重合体等を挙げることができる。
【0083】
上記発光層中には、発光効率の向上、発光波長を変化させる等の目的でドーピング剤を添加してもよい。このようなドーピング剤としては、例えば、ペリレン誘導体、クマリン誘導体、ルブレン誘導体、キナクリドン誘導体、スクアリウム誘導体、ポルフィリン誘導体、スチリル色素、テトラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、デカシクレン、フェノキサゾン、キノキサリン誘導体、カルバゾール誘導体、フルオレン誘導体等を挙げることができる。
【0084】
上記正孔注入層の形成材料としては、発光層の発光材料に例示した化合物の他、フェニルアミン系、スターバースト型アミン系、フタロシアニン系、酸化バナジウム、酸化モリブデン、酸化ルテニウム、酸化アルミニウムなどの酸化物、アモルファスカーボン、ポリアニリン、ポリチオフェンなどの誘導体等を挙げることができる。
【0085】
また、上記電子注入層の形成材料としては、発光層の発光材料に例示した化合物の他、アルミニウム、フッ化リチウム、ストロンチウム、酸化マグネシウム、フッ化マグネシウム、フッ化ストロンチウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウム、酸化アルミニウム、酸化ストロンチウム、カルシウム、ポリメチルメタクリレートポリスチレンスルホン酸ナトリウム、リチウム、セシウム、フッ化セシウム等のようにアルカリ金属類、およびアルカリ金属類のハロゲン化物、アルカリ金属の有機錯体等を挙げることができる。
【0086】
(3)バリア層
本発明においては、有機EL素子の基体と接していない面、すなわち有機EL素子の上及び周囲(側面)全体を覆うように、バリア層を設けても良い。このような場合には更に有機EL素子の劣化抑制効果が向上する。このようなバリア層は、形成時の素子への影響を考慮し、プラズマCVD法により形成された膜であることが好ましく、特にプラズマCVD法により形成されたSiN、SiO(X、Y=0〜2)等であることが好ましい。なお、本発明においては、上述のような有機EL素子の劣化抑制を向上させた構成を採用していることから、このようなバリア層は形成しなくても良いという効果もある。
【0087】
(4)その他
本発明の有機EL素子においては、上述した部材以外にも、例えば、光取り出し向上シート、カラーフィルター、反射防止シート、円偏向シート、放熱シート等、必要に応じて種々の部材を形成するようにしてもよい。
【0088】
II.両面発光型有機ELパネルの製造方法
本発明に係る両面発光型有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法は、第一の基体上に配置された第一の有機エレクトロルミネッセンス素子を準備する工程と、
第二の基体上に配置された第二の有機エレクトロルミネッセンス素子を準備する工程と、
熱可塑性ゴム成分を主成分として含有する充填層を、前記第二の基体の素子が配置されている面の周縁部が露出するように、前記第二の基体上の第二の有機エレクトロルミネッセンス素子の上と周囲に積層して積層体aを形成する工程と、
前記積層体aの充填層が、前記第一の有機エレクトロルミネッセンス素子の上と周囲に配置されるように、前記積層体aを、前記第一の基体上に配置された第一の有機エレクトロルミネッセンス素子上に積層して積層体bを形成する工程と、
前記積層体bにおける前記第一の基体と前記第二の基体の間を密封するように、前記充填層の周囲に硬化型樹脂組成物を塗布し、硬化反応を行って封止層を形成する工程とを有する。
【0089】
本発明に係る有機ELパネルの製造方法は、上記のような工程を有することにより、容易に、有機EL素子の劣化が抑制された両面発光型有機ELパネルを得ることができる。また、本発明に係る有機ELパネルの製造方法は、充填層を一方のEL素子上に予め積層した積層体を、他方のEL素子上に積層することから、充填層の厚みを均一化しやすく、2つの基体同士及び有機EL素子同士のクリアランスが充填層により均一に保持された有機ELパネルを得ることができる。更に、本発明に係る有機ELパネルの製造方法は、上記のような工程を有することにより、封止層材料中の硬化成分や溶剤成分等の素子を劣化させる成分に曝されることがないので素子を劣化させないという効果や、封止基板が不要なので封止基板の厚み分だけ薄くできるという効果も有する。
【0090】
このような本発明の有機ELパネルの製造方法について、図面を用いて具体的に説明する。図3(A)〜図3(H)は、本発明の有機ELパネルの製造方法の一例を示す工程図である。図3(A)に示すように、まず、第一の基体1上に配置された第一の有機EL素子2を準備する。また、図3(B)に示すように、第二の基体3上に配置された第二の有機EL素子4を準備する。次に、図3(C)に示すように、上記特定のゴム成分を含有する充填層5を、第二の基体3の素子が配置されている面の周縁部10が露出するように、第二の基体3上の第二の有機EL素子4の上と周囲に積層して積層体a(11)を形成する。図3(C)は模式的断面図であるが、図3(D)は、図3(C)を充填層5が積層されている側から見た模式的平面図である。
【0091】
次に、図3(E)に示すように、積層体a(11)の充填層5が、第一の有機EL素子2の上と周囲に配置されるように、積層体a(11)を、第一の基体1上に配置された第一の有機EL素子2上に積層して積層体b(12)を形成する。次に、図3(F)に示すように、積層体b(12)における第一の基体1と第二の基体3の間の間を密封するように、充填層5の周囲に硬化型樹脂組成物13を塗布する。次いで図3(G)に示すように、硬化型樹脂組成物13に光及び/又は熱14を与えて硬化反応を行って封止層6を形成し、図3(H)に示すような本発明に係る両面発光型有機ELパネルを得ることができる。
【0092】
(1)基体上に配置された有機エレクトロルミネッセンス素子を準備する工程
基体上に配置された有機エレクトロルミネッセンス素子を準備する工程としては、特に限定されず、有機EL素子の構成に適宜対応した、当該技術分野で公知の種々の製法を用いることができる。有機EL素子の周囲を充填層や封止層を用いて封止できるように、基体の表面の面積は、有機EL素子の表面の面積よりも大きいものを用いるようにする。
【0093】
(2)積層体aを形成する工程
熱可塑性ゴム成分を主成分として含有する充填層を、第二の基体の素子が配置されている面の周縁部が露出するように、第二の基体上の第二の有機EL素子の上と周囲に積層して積層体aを形成する。充填層に用いられる材料については、上記有機ELパネルで説明したのと同様の物を用いることができるので、ここでの説明を省略する。
【0094】
充填層を第二の有機EL素子の上と周囲に積層する場合に、第二の有機EL素子に充填層を直接積層してもよいし、剥離処理フィルム上に充填層を形成後、形成された充填層を第二の有機EL素子上に転写して積層しても良い。剥離処理フィルム上に充填層を形成後、形成された充填層を第二の有機EL素子上に転写して積層する方が、有機EL素子に損傷を与え難く、且つ、充填層の厚みを一定にして第一及び第二の基体間のクリアランスを一定に保持しやすく、
更に、貼り合せ装置としてラミネーターを使用できるなど作業性の点から好ましい。
【0095】
充填層を第二の基体上の第二の有機EL素子の上と周囲に積層する際には、後で更に封止層を設けて密封するため、少なくとも密封可能な厚みの封止層を充填層の周囲に第二の基体と接して設けることができるような範囲で適宜調節して、第二の基体の面の周縁部を露出させる(図3(C)及び図3(D)参照)。従って、充填層の表面は、基体の表面よりも、適宜小さい面積となるようにする。一方で、当該充填層は、第一及び第二の有機EL素子の上と周囲に配置されるように有機EL素子に積層する。そのため、充填層の表面は、第一及び第二の有機EL素子の上と周囲に配置されることが可能な程度に、第一及び第二の有機EL素子の表面よりも、適宜大きい面積となるようにする。
【0096】
基体の露出させる周縁部の大きさは、少なくとも密封可能な厚みの封止層を充填層の周囲に基体と接して設けることができるような範囲で適宜調節されれば良く、有機ELパネルの構成により異なるので特に限定されない。基体の露出させる周縁部は、例えば、基体の端部から1〜30mm程度を周囲全体にわたって残すようにして設けることができる。
【0097】
充填層は、充填層に用いられる材料を溶剤に溶解させて充填層形成用塗工液を調製し、当該充填層形成用塗工液を用いて、例えば剥離処理フィルム上に塗布し、その後溶剤を乾燥させることにより得ることもできる。しかしながら、本発明において、充填層は、溶剤を使用することなく充填層に用いられる材料を溶融して、剥離処理フィルム上に形成することが好ましい。充填層は、有機EL素子に直接接触させる場合、残留溶剤の影響を極力排除した方が、素子の劣化抑制の点から好ましいからである。
また、本発明で準備される積層体aは、有機EL素子に積層される前まで、EL素子に積層する側の充填層表面も剥離処理フィルムで保護されていることが好ましい。
【0098】
充填層を塗布して形成する方法としては、例えばダイコーティング、ロールコーティング、リバースコーティング、グラビアコーティング、ナイフコーティング、ブレードコーティング、ロッドコーティング、カーテンコーティング、スライドコーティング、スピンコーティング、スクリーン印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷等が挙げられる。また、充填層を溶融して形成する方法としては、熔融押出コーティング等が挙げられる。また、剥離処理フィルム上に充填層を形成後、形成された充填層を第二の有機EL素子上に転写して積層する際の手段としては、適宜加温しながらラミネータを用いて貼り付けるラミネート法、プレス法、オートクレーブ法等が挙げられる。第二の有機EL素子側の面と剥離処理フィルム上の充填層側の面とを対向させて、充填層が第二の有機EL素子を完全に覆うように積層する。上述したようなゴム成分と粘着付与樹脂とを主成分とする充填層は、熱可塑性樹脂であるため、50〜150℃程度の加熱により、EL素子及び基体に隙間なく濡れ広がることが可能である一方、室温に戻すと高強度、高弾性、柔軟性を発現する。
【0099】
充填層は、有機EL素子を適切に被覆できるようにいろいろな厚さで形成することができるが、通常、1〜200μmの範囲であり、好ましくは、3〜100μmの範囲であり、さらに好ましくは、5〜50μmの範囲である。
【0100】
また、図2に示すように、充填層5とは別層としてゲッター層7を設ける場合、ゲッター層の設け方は、特に限定されない。例えば、予め2層の充填層の間にゲッター層を設けたものを積層1体化された充填層として用い、積層体aを調製する法が挙げられる。この場合のゲッター層は、選択される材料に合わせた従来公知の方法を用いて形成することができる。
【0101】
なお、積層体aを調製する際には、酸素濃度や水分濃度が低い環境下で行うことが好ましく、例えば、窒素雰囲気下、酸素濃度1ppm、水分濃度10ppm以下等の条件下で行うことが、有機EL素子の水分や酸素による劣化抑制の点から好ましい。
【0102】
(3)積層体bを形成する工程
前記積層体aの充填層が、第一の有機EL素子の上と周囲に配置されるように、前記積層体aを、前記第一の基体上に配置された第一の有機EL素子上に積層して積層体bを形成する(図3(E)参照)。
前記積層体aは、第一の有機EL素子上に積層する前に、保存時に積層体aに吸着した水分や酸素を、例えば、CaO、CaCO、BaO、シリカゲル、モレキュラーシーブ等により除去することが、有機EL素子の劣化抑制の点から好ましい。
【0103】
第一の基体上に配置された第一の有機EL素子側の面と積層体aの充填層側の面とを対向させて、充填層が第一の有機EL素子を完全に覆うように積層する。積層する手段としては、適宜加温しながらラミネータを用いて貼り付けるラミネート法、プレス法、オートクレーブ法等が挙げられる。
【0104】
また、前述した図5で示されるように、第一の基体上に所定の間隔をあけて複数個平面配置された第一の有機エレクトロルミネッセンス素子と、第二の基体上に所定の間隔をあけて複数個平面配置された第二の有機エレクトロルミネッセンス素子を準備し、少なくとも、前記複数個の第一の有機エレクトロルミネッセンス素子同士の間に存在する第一の非発光部と第二の有機エレクトロルミネッセンス素子とが対向し、且つ、前記複数個の第二の有機エレクトロルミネッセンス素子同士の間に存在する第二の非発光部と第一の有機エレクトロルミネッセンス素子とが対向するように、前記積層体aを、前記第一の基体上に配置された第一の有機エレクトロルミネッセンス素子上に積層して積層体bを形成しても良い。
【0105】
積層体bを形成する場合においても、酸素濃度や水分濃度が低い環境下で行うことが好ましく、例えば、窒素雰囲気下、酸素濃度1ppm、水分濃度10ppm以下等の条件下で行うことが、有機EL素子の水分や酸素による劣化抑制の点から好ましい。
【0106】
(4)封止層を形成する工程
まず、前記積層体bにおける前記第一と第二の基体の間を密封するように、前記充填層の周囲に硬化型樹脂組成物を塗布する(図3(F)参照)。前記充填層の表面が露出しないように、前前記第一と第二の基体の間隙の前記充填層の周囲に硬化型樹脂組成物を塗布するようにする。このようにすることにより、前記積層体bにおける前記第一と第二の基体の間を密封でき、有機EL素子を密封することができるため、有機EL素子の劣化を抑制できる。
【0107】
封止層を形成するのに用いる硬化型樹脂組成物としては、前記封止層において説明した硬化型樹脂を主成分とした組成物を用いることができるので、ここでの説明を省略する。
硬化型樹脂組成物を塗布する方法としては、例えば、ディスペンサーを用いる方法、スクリーン印刷法等が挙げられる。
【0108】
次いで、用いた硬化型樹脂組成物に適宜合わせて、紫外線や電子線等の光照射及び/又は加熱を行い、硬化反応を行って(図3(G)参照)、封止層を形成する(図3(H)参照)。光照射を行う際には、有機EL素子の劣化抑制の点から、光硬化型樹脂組成物を塗布した部分のみに光を照射することが好ましい。
【0109】
以上、本発明に係る有機ELパネルの製造方法について各工程を説明したが、上記本発明に係る有機ELパネルは、上記本発明に係る有機ELパネルの製造方法に限定されず、製造することができる。例えば、図4(A)及び図4(B)に示されるような、予め基体3上に充填層5と共に充填層の周囲に枠状に封止層6が積層された積層体a(11)を用いて、もう一方の基体上の有機EL素子上に積層することにより、封止層を形成しても良い。この場合の封止層には、比較的粘度が高い光硬化型樹脂組成物が用いられることが好ましい。このような封止層には、比較的粘度が高い光硬化型樹脂を選択して用いても良いし、遅延硬化型光硬化型樹脂を用いても良いし、粘度が高くなるように硬化型樹脂に適宜フィラー等の添加剤を添加して用いても良い。
【0110】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【実施例】
【0111】
<実施例1>
1.有機EL素子の作製
下記のようにして、基体上に配置された有機EL素子を2つ準備した。
まず、ITO膜付きのガラス基板(三容真空工業株式会社製、ITO膜厚:150nm、シート抵抗: 14 Ω/□ 、ガラス厚み0.7mm 、外形寸法150mm×150mm)を用意した。ITO膜をフォトリソグラフィー法によりパターニングし、ITO電極パターンを形成した。
【0112】
得られたITO電極パターン付きの基板の表面をウェット洗浄し、フォトリソグラフィー法により絶縁層を形成した。画素数は40×40、開口部は2.0mm□、画素ピッチ2.5mm、絶縁層高さは1.5μmとした。その後、フォトリソグラフィー法により、カソード方向の画素ピッチ間に高さ4μmのカソードセパレータを形成した。
【0113】
この基板上に常圧プラズマ装置で表面処理を行った後に、グラビア印刷法により膜厚60nmの正孔注入層、続いて膜厚90nmの有機発光層を形成した。
正孔注入材料としては、ポリ3,4−エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホネート水分散液(PEDOT/PSS=1:20、商品名: CLEVIOS P CH8000、H.C.Starck社)を用い、グラビア印刷法で形成後、大気中で120℃ 、30分の乾燥を行った。また、有機発光材料としては、ポリフルオレン誘導体系の緑色発光材料(重量平均分子量300,000)を用い、グラビア印刷法で形成後、窒素雰囲気中酸素濃度1ppm以下で、180℃、1時間の乾燥を行った。
【0114】
その後、真空蒸着法にて膜厚10nmのCa層(電子注入層)、及び膜厚300nmのAl電極を積層形成した。真空蒸着時の圧力は、2×10−7torrとした。蒸着速度は、Caが約1.0Å/s程度、アルミニウムが約5Å/s程度であった。
【0115】
2.積層体aの作製
充填層のゴム成分としてスチレン−イソプレン−スチレン樹脂(JSR製、SIS5200、スチレン含有率15モル%、ジブロック含有率20重量%) 100重量部と、粘着付与樹脂として脂環族飽和炭化水素樹脂(荒川化学工業製、アルコンP−100、軟化点100℃) 100重量部とを用いた。上記ゴム成分を150〜200℃で60分加熱し溶解させ、当該溶解したゴム成分に、上記粘着付与樹脂を添加した。ゴム成分と粘着付与樹脂は均一な状態になるまで混合撹拌し、充填層形成用樹脂混合物を得た。
【0116】
上記で得られた充填層形成用樹脂混合物を、展延機を用いて、厚み38μmの剥離処理ポリエステルフィルム(帝人デュポンフィルム社製、ピューレックス)の剥離面に50g/m2になるように塗布した。充填層側を更に38μmの剥離処理ポリエステルフィルム(藤森工業社製、フィルムバイナ)の剥離面でラミネートし、厚みが均一な充填層用シートを作製した。得られた充填層の厚みは50μmとなった。
【0117】
得られた充填層について、水蒸気透過率を水蒸気透過率測定装置(MOCON社製 MOCON 水蒸気透過率測定装置PERMATRAN−W 3/61)を用い、60℃、90%RH雰囲気下で測定したところ、10 g/m2/dayであった。
また、得られた充填層について、JIS Z 0237に準拠し、ステンレス板に対し、180度剥離試験を行って粘着力を測定したところ、23N/25mmであった。
【0118】
上記で形成した充填層用シートを外形寸法115mm×115mmに切り出した。当該充填層用シートの片側の剥離処理ポリエステルフィルムを剥がし、上記で得られた2つのうちの一方の有機EL素子が配置された基体の中央部に、ラミネータを用いて当該充填層用シートの充填層側の面を貼り付けた(窒素雰囲気酸素濃度1ppm以下、ロール温度70℃)。このようにして、充填層を、基体の素子が配置されている面の周縁部が露出するように、基体上の有機エレクトロルミネッセンス素子の上と周囲に積層して積層体aを形成した。
【0119】
3.両面発光型有機ELパネルの製造
以下のようにして本発明の両面発光型有機ELパネルを製造した。
上記で得られた積層体aの充填層上のもう一方の剥離処理ポリエステルフィルムを剥がし、充填層に吸着した水分を除去した。上記で得られた2つの有機EL素子のうち他方の有機EL素子の素子側の面と、積層体aの充填層側の面とを対向させ、充填層が他方のEL素子の上と周囲にも配置されてELの画素部を完全に覆うようにラミネータを用いて貼り付けた。(窒素雰囲気酸素濃度1ppm以下、ロール温度70℃)
【0120】
2つの基体の間に形成された間隙(充填層の外周)に、熱硬化性のエポキシ系樹脂(スリーボンド社製、2液製エポキシ樹脂; 20X−325)を、ディスペンサーを用いて塗布し、80℃、1時間硬化させて封止層を形成した。
【0121】
得られた実施例1の両面発光型有機ELパネルを、大気中、室温下で10日間保存した後に、12Vの直流電圧を印加し発光部を観察したところダークスポットの発生はみられなかった。
水分や酸素からのガスバリア性が向上したと共に、封止剤から発生する不純物による有機EL素子の劣化も生じなかったことが推定された。
有機EL素子間のクリアランスは、充填層により均一に保持された。
【0122】
<実施例2>
2つの有機EL素子の基体として、ガラス基板を用いる代わりに、封止用ガスバリアフィルム(PEN基材(厚み200μm、帝人デュポン社製 、テオネックスQ65F)をベースとし、SiOxNy(x,y=0〜2)の無機層と有機層をハイブリッド化したもの。水蒸気透過率1×10-3g/m2/day以下)を用いた以外は、実施例1と同様にして、両面発光型有機ELパネルを製造した。
【0123】
得られた実施例2の両面発光型有機ELパネルを、大気中、室温下で10日間保存した後に、12Vの直流電圧を印加し発光部を観察したところダークスポットの発生はみられなかった。
水分や酸素からのガスバリア性が向上したと共に、封止剤から発生する不純物による有機EL素子の劣化も生じなかったことが推定された。
有機EL素子間のクリアランスは、充填層により均一に保持された。また有機ELパネルサンプルを60mmφのロッドへの巻き付けたテストを行った後も、外観や性能変化が生じない屈曲性があることを確認した。
【0124】
<実施例3>
封止層を形成する際に、2つの基体の間に形成された間隙(充填層の外周)に、紫外線硬化型接着剤(協立化学産業株式会社製、WORLD ROCK 8723L2)を、ディスペンサーを用いて塗布し、その塗布部のみに紫外線を6J/cm2以上の条件で照射し硬化させて封止層を形成した以外は、実施例1と同様にして、両面発光型有機ELパネルを製造した。
【0125】
得られた実施例3の両面発行型有機ELパネルを、大気中、室温下で10日間保存した後に、12Vの直流電圧を印加し発光部を観察したところダークスポットの発生はみられなかった。
水分や酸素からのガスバリア性が向上したと共に、封止剤から発生する不純物による有機EL素子の劣化も生じなかったことが推定された。
有機EL素子間のクリアランスは、充填層により均一に保持された。
【0126】
<実施例4>
有機EL素子の基体として、ガラス基板を用いる代わりに、封止用ガスバリアフィルム(PEN基材(厚み200μm、帝人デュポン社製 、テオネックスQ65F)をベースとし、SiOxNy(x,y=0〜2)の無機層と有機層をハイブリッド化したもの。水蒸気透過率1×10-3g/m2/day以下)を用いた以外は、実施例3と同様にして、両面発光型有機ELパネルを製造した。
【0127】
得られた実施例4の有機ELパネルを、大気中、室温下で10日間保存した後に、12Vの直流電圧を印加し発光部を観察したところダークスポットの発生はみられなかった。
水分や酸素からのガスバリア性が向上したと共に、封止剤から発生する不純物による有機EL素子の劣化も生じなかったことが推定された。
有機EL素子間のクリアランスは、充填層により均一に保持された。また有機ELパネルサンプルを60mmφのロッドへの巻き付けたテストを行った後も、外観や性能変化が生じない屈曲性があることを確認した。
【0128】
<実施例5>
下記のような充填層形成用樹脂混合物を用いて充填層を形成した以外は、実施例1と同様にして、有機ELパネルを製造した。
スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン共重合体ゴム(SEPS)として、クラレ製 セプトン 2063 (スチレン含有率13モル%、JISAゴム硬度36°)を100重量部と、粘着付与樹脂として脂環族飽和炭化水素樹脂(荒川化学工業製、アルコンP-100、軟化点100℃)100重量部とを用いた。上記ゴム成分を150〜200℃で60分加熱し溶解させ、当該溶解したゴム成分に、上記粘着付与樹脂を添加した。ゴム成分と粘着付与樹脂は均一な状態になるまで混合撹拌し、充填層形成用樹脂混合物を得た。
【0129】
得られた実施例5の有機ELパネルを、大気中、室温下で10日間保存した後に、12Vの直流電圧を印加し発光部を観察したところダークスポットの発生はみられなかった。
【0130】
<比較例1>
実施例1において、封止層を形成しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、両面発光型有機ELパネルを製造した。大気中、室温下で6日間保存した後に12Vの直流電圧を印加し発光部を観察したところダークスポットが観察された。有機EL素子の側面方向において、水分や酸素へのガスバリア性が十分ではないため、有機EL素子の劣化が速かったことが推定された。
【図面の簡単な説明】
【0131】
【図1】本発明の有機ELパネルの一例を模式的に示す断面図である。
【図2】本発明の有機ELパネルの他の一例を模式的に示す断面図である。
【図3(1)】図3(A)〜図3(D)は、本発明の有機ELパネルの製造方法の一例を示す工程図である。
【図3(2)】図3(E)〜図3(H)は、本発明の有機ELパネルの製造方法の一例を示す工程図である。
【図4】図4(A)は、本発明の有機ELパネルの製造に用いる積層体の一例を模式的に示す断面図であり、図4(B)はその模式的平面図である。
【図5】本発明の有機ELパネルにおける有機EL素子の配置の仕方を例示する、一部拡大した模式的断面図である。
【図6】本発明の有機ELパネルにおける複数個の有機EL素子の平面配置を例示する、一部拡大した模式的平面図である。
【図7】本発明の有機ELパネルにおける複数個の有機EL素子の平面配置を例示する、一部拡大した模式的平面図である。
【符号の説明】
【0132】
1 第一の基体
2 第一の有機EL素子
3 第二の基体
4 第二の有機EL素子
5 充填層
6 封止層
7 ゲッター層
10 周縁部
11 積層体a
12 積層体b
13 硬化型樹脂組成物
14 光及び/又は熱
15 第一の非発光部
16 第二の非発光部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の基体と、当該基体上に配置された第一の有機エレクトロルミネッセンス素子と、第二の基体と、当該基体上に配置された第二の有機エレクトロルミネッセンス素子とを、第一及び第二の有機エレクトロルミネッセンス素子同士が対向するように有する両面発光型エレクトロルミネッセンスパネルにおいて、
前記第一及び第二の有機エレクトロルミネッセンス素子の間と周囲に配置された充填層と、前記第一の基体及び前記第二の基体と接して前記充填層の周囲に枠状に配置された封止層とを有し、
前記充填層が、熱可塑性ゴム成分を主成分として含有し、前記封止層が硬化樹脂を主成分として含有する、両面発光型有機エレクトロルミネッセンスパネル。
【請求項2】
前記充填層が、A−B−A型スチレンブロック共重合体ゴム及び/又はその水素化物50〜100重量%、並びに、A−B型スチレンブロック共重合体ゴム及び/又はその水素化物0〜50重量%からなるゴム成分と、前記ゴム成分100重量部に対して50重量部以上の粘着性付与樹脂とを主成分として含有する、請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネル。
【請求項3】
前記充填層が、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体ゴム、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体ゴム、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体ゴム、及びスチレン−エチレン−プロピレン−スチレン共重合体ゴムよりなる群から選択される1種以上を含有する、請求項1又は2に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネル。
【請求項4】
前記充填層におけるA−B−A型スチレンブロック共重合体ゴム又はその水素化物中のスチレン成分が10〜40モル%である、請求項2又は3に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネル。
【請求項5】
前記充填層が硬化剤を含まない、請求項1乃至4のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンスパネル。
【請求項6】
前記充填層における粘着性付与樹脂が、水素化石油樹脂、ロジン系樹脂、及びテルペン系樹脂よりなる群から選択される1種以上である、請求項2乃至5のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンスパネル。
【請求項7】
前記充填層がゲッター剤を含有する、請求項1乃至6のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンスパネル。
【請求項8】
更に、ゲッター層を含有する、請求項1乃至7のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンスパネル。
【請求項9】
前記封止層が、エポキシ系樹脂を主成分として含有する、請求項1乃至8のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンスパネル。
【請求項10】
前記第一の基体及び/又は前記第二の基体が可撓性を有する、請求項1乃至9のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンスパネル。
【請求項11】
前記有機エレクトロルミネッセンス素子と、前記充填層との間に、バリア層を有する、請求項1乃至10のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンスパネル。
【請求項12】
前記第一の基体上に、所定の間隔をあけて複数個平面配置された第一の有機エレクトロルミネッセンス素子と、前記第二の基体上に、所定の間隔をあけて複数個平面配置された第二の有機エレクトロルミネッセンス素子とを、前記複数個の第一の有機エレクトロルミネッセンス素子同士の間に存在する第一の非発光部と第二の有機エレクトロルミネッセンス素子とが対向し、且つ、前記複数個の第二の有機エレクトロルミネッセンス素子同士の間に存在する第二の非発光部と第一の有機エレクトロルミネッセンス素子とが対向するように有する、請求項1乃至11のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンスパネル。
【請求項13】
第一の基体上に配置された第一の有機エレクトロルミネッセンス素子を準備する工程と、
第二の基体上に配置された第二の有機エレクトロルミネッセンス素子を準備する工程と、
熱可塑性ゴム成分を主成分として含有する充填層を、前記第二の基体の素子が配置されている面の周縁部が露出するように、前記第二の基体上の第二の有機エレクトロルミネッセンス素子の上と周囲に積層して積層体aを形成する工程と、
前記積層体aの充填層が、前記第一の有機エレクトロルミネッセンス素子の上と周囲に配置されるように、前記積層体aを、前記第一の基体上に配置された第一の有機エレクトロルミネッセンス素子上に積層して積層体bを形成する工程と、
前記積層体bにおける前記第一の基体と前記第二の基体の間を密封するように、前記充填層の周囲に硬化型樹脂組成物を塗布し、硬化反応を行って封止層を形成する工程とを有する、両面発光型有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
【請求項14】
前記充填層が、A−B−A型スチレンブロック共重合体ゴム及び/又はその水素化物50〜100重量%、並びに、A−B型スチレンブロック共重合体ゴム及び/又はその水素化物0〜50重量%からなるゴム成分と、前記ゴム成分100重量部に対して50重量部以上の粘着性付与樹脂とを主成分として含有する、請求項13に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
【請求項15】
前記充填層が、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体ゴム、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体ゴム、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体ゴム、及びスチレン−エチレン−プロピレン−スチレン共重合体ゴムよりなる群から選択される1種以上を含有する、請求項13又は14に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
【請求項16】
前記充填層におけるA−B−A型スチレンブロック共重合体ゴム又はその水素化物中のスチレン成分が10〜40モル%である、請求項14又は15に記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
【請求項17】
前記積層体aを形成する工程において、前記充填層を、溶剤を使用することなく溶融して、前記第二の基体上に積層する、請求項13乃至16のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
【請求項18】
前記充填層が硬化剤を含まない、請求項13乃至17のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
【請求項19】
前記充填層における粘着性付与樹脂が、水素化石油樹脂、ロジン系樹脂、及びテルペン系樹脂よりなる群から選択される1種以上である、請求項14乃至18のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
【請求項20】
前記封止層が、エポキシ系樹脂を主成分として含有する、請求項13乃至19のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
【請求項21】
第一の基体上に所定の間隔をあけて複数個平面配置された第一の有機エレクトロルミネッセンス素子を準備する工程と、第二の基体上に所定の間隔をあけて複数個平面配置された第二の有機エレクトロルミネッセンス素子を準備する工程を有し、
前記複数個の第一の有機エレクトロルミネッセンス素子同士の間に存在する第一の非発光部と第二の有機エレクトロルミネッセンス素子とが対向し、且つ、前記複数個の第二の有機エレクトロルミネッセンス素子同士の間に存在する第二の非発光部と第一の有機エレクトロルミネッセンス素子とが対向するように、前記積層体aを、前記第一の基体上に配置された第一の有機エレクトロルミネッセンス素子上に積層して積層体bを形成する工程を有する、請求項13乃至20のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3(1)】
image rotate

【図3(2)】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2010−80292(P2010−80292A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−247953(P2008−247953)
【出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】