説明

中継用の接続装置

【課題】
容易に製造することができ、しかも薄型化・小型化を推進することが可能な中継用の接続装置を提供することを目的とする。
【解決手段】
シート部材11のうち、上部シート11Aに上側スパイラル接触子12Aを形成し、下部シート11Bに下側スパイラル接触子12Bを形成する。そして、シート部材11を折り返し部11aで折り返し、上側スパイラル接触子12Aと下側スパイラル接触子12Bを厚さ方向(図示Z1−Z2方向)に1対1に対応させ、双方のスパイラル接触子12A,12Bの基部12aを電気的に接続し、双方のスパイラル接触子12A,12Bを電気的に接続させて接続装置10を形成する。このようにすると、接続装置10を、容易に製造することができ、かつ薄型化・小型化を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばIC(集積回路)等の電子部品の外部接続端子と基板上の電極との間を弾性的に接続する中継用の接続装置に係り、特に、容易に製造することができ、しかも薄型化・小型化を推進することが可能な中継用の接続装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記の特許文献1にはスパイラル接触子を用いた電子コネクタが開示されている。
図7は前記電子コネクタの要部断面図である。なお、図7は特許文献1の図6と実質的に同様である。
【0003】
電子コネクタ100の絶縁基板101には複数のスルーホール102がマトリックス状(格子状または碁盤の目状ともいう)に配置されている。
【0004】
図7に示すように、スルーホール102の内周面には銅メッキを施した導電部103が形成され、導電部103の上端(図示Z1側の端部)および下端(図示Z2側の端部)には絶縁基板101の表面および裏面に露出する接続部103aが形成されている。上端側の接続部103aと下端側の接続部103aとは導電部103を介して導通接続されている。
【0005】
スルーホール102の上側には上側スパイラル接触子104Aが、スルーホール102の下側には下側スパイラル接触子104Bがスルーホール102の開口端部を覆うように設けられている。
【0006】
スパイラル接触子104A,104Bは外周側に略リング形状の基部104a,104aを有しており、上側スパイラル接触子104Aの基部104aが上端側の接続部103aに、下側スパイラル接触子104Bの基部104aが下端側の接続部103aにそれぞれ接続されている。
【0007】
スパイラル接触子104A,104Bは、ともに基部104a側に設けられた巻き始端104bから先端部側の巻き終端104cに向かうにしたがって螺旋状に延びており、巻き終端104cはスルーホール102の中心に位置している。そして、スパイラル接触子104A,104Bは、巻き始端104bから巻き終端104cに向かうにしたがって絶縁基板101から離れる方向に凸形状をなしている。よって、スパイラル接触子104A,104Bは上下方向に弾性変形可能である。
【特許文献1】特開2004−241304号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記においては、絶縁基板101の上下に対応して設けられた上側スパイラル接触子104Aと下側スパイラル接触子104Bとを電気的に導通接続させることが必要である。
【0009】
しかし、前記特許文献1に記載の発明では、絶縁基板101にスルーホール102を形成した後に、スルーホール102の周囲および内周面に接続部103a,103aおよび導電部103をメッキ等で形成する構成であるため、電子コネクタ100の製造工程が煩雑になるという問題がある。
【0010】
また、上記のような電子コネクタ100は、例えばIC(集積回路)を搭載してパッケージ化されたICユニットなどの電子部品とマザーボードなどの基板との間を接続する中継用の接続装置として利用される。
【0011】
しかし、前記特許文献1に記載の発明では、上側スパイラル接触子104Aと下側スパイラル接触子104Bとの間に比較的厚い絶縁基板101が介在しているため、前記基板表面からの電子部品の高さ寸法を低く抑えること、すなわち、薄型化および小型化が難しいという問題を有している。
【0012】
本発明は上記従来の課題を解決するものであり、容易に製造することができ、しかも薄型化・小型化を推進することが可能な中継用の接続装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の中継用の接続装置は、基部とこの基部から延びる弾性変形部とを備えた第1および第2の弾性接触子と、第1の開口部を有するとともに前記第1の弾性接触子の基部が前記第1の開口部の縁部に固定された上部シートと、同じく第2の開口部を有するとともに前記第2の弾性接触子の基部が前記第2の開口部の縁部に固定された下部シートとを有し、
前記上部シートと前記下部シートとが貼り合わされることにより、前記第1の弾性接触子の基部と前記第2の弾性接触子の基部との間が導通接続させられていることを特徴とする。
【0014】
本発明では、第1の弾性接触子と第2の弾性接触子を厚さ方向に1対1に対応させ、双方の弾性接触子の基部を電気的に接続し、双方の弾性接触子を電気的に接続させて中継用の接続装置が形成される。このため、従来のように、第1の弾性接触子と第2の弾性接触子を電気的に接続するために、絶縁基板を設けることや前記絶縁基板にスルーホールを形成すること、あるいはそのスルーホールの内周面に導電部を形成することといった作業が不要となり、中継用の接続装置を容易に形成することができる。
【0015】
また、従来のように、前記絶縁基板を設ける必要がないため、中継用の接続装置を薄型化することができる。
【0016】
また、1枚のシート部材を折り返すだけで中継用の接続装置を形成できるため、容易に中継用の接続装置を形成でき、中継用の接続装置の製造効率を向上させることができる。
【0017】
上記においては、例えば前記第1の弾性接触子と前記第2の弾性接触子とが、前記第1の開口部および前記第2の開口部を介して対向配置されている。
【0018】
このように、上下方向の双方に弾性接触子が設けられたものは、マザーボードなどの回路基板と、ICまたはICを収納したICパッケージなどの電子部品との間に介在して、回路基板上の回路部と前記電子部品の電極部とを導通させるインターポーザーとして使用することができる。
【0019】
本発明では、前記第1の弾性接触子の基部と前記第2の弾性接触子の基部の少なくとも一方には、一方の基部から他方の基部に向かって突出する弾性片が設けられており、この弾性片を介して前記第1の弾性接触子の基部と前記第2の弾性接触子の基部との間が接続させられていることが好ましい。
【0020】
上記においては、例えば前記上部シートおよび前記下部シートには、前記弾性片を通過させる貫通孔が形成されており、前記弾性片がこの貫通孔を通り抜けて前記他方の基部を弾圧している。
【0021】
このようにすると、一方の弾性接触子の基部に設けられた弾性片が、貫通孔内を通り抜けて他方の弾性接触子の基部を弾圧しながら当接する。このため、双方の弾性接触子の基部どうしを弾性片を介して、確実に電気的に導通接続することができる。
【0022】
本発明では、例えば前記第1の弾性接触子の基部が前記上部シートの外面に固定され、前記第2の弾性接触子の基部が前記下部シートの外面に固定されている。
【0023】
また本発明では、例えば前記第1の弾性接触子の基部と前記第2の弾性接触子の基部との間が、導電性接着剤、常温接合または超音波接合のいずれかにより接続されている。
【0024】
このようにすると、双方の弾性接触子の基部どうしを確実に電気的に接続することができ、また、より容易に電気的に接続することができる。
【0025】
あるいは、本発明では、例えば前記第1の弾性接触子の基部は前記上部シートの内面に固定され、前記第2の弾性接触子の基部は前記下部シートの内面に固定されている。
【0026】
本発明では、前記第1および第2の弾性接触子は、前記弾性変形部が螺旋状に延びるとともに前記基部から離れる方向に突出成形された立体的なスパイラル接触子であることが好ましい。
【0027】
また、本発明では、前記上部シートと前記下部シートとは、1枚のシートを所定の折り返し部で折り返されており、互いの対向面の間に接着剤が設けられていることが好ましい。
【0028】
このようにすると、1枚のシートを、その折り返し部を治具などで押さえて、折り返し部において山折りに折り返した場合に、上部シートと下部シート11を接着剤を介して接着することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明の中継用の接続装置では、容易に製造することができ、しかも薄型化・小型化を推進することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
図1Aは本発明の第1の実施の形態として折り返し前の中継用の接続装置を示す平面図、図1Bは図1Aのb−b線における矢視方向断面図、図2Aは下部シートの表面に設けられた一対のスパイラル接触子を拡大して示す平面図、図2Bは図2Aの2−2線における矢視方向断面図、図3は本発明の第1の実施の形態として折り返し後の中継用の接続装置を拡大して示す断面図である。
【0031】
まず、折り返し前の中継用の接続装置の構成について説明する。
図1AおよびBに示すように、本実施の形態の中継用の接続装置10は、シート部材11と、このシート部材11の一方の面に設けられた複数の弾性接触子12とで構成されている。そして、シート部材11が、その中央部の折り返し部11aで折り返されて接続装置10が形成される。以下では、シート部材11を折り返し部11aでα方向に山折りとしたときに、折り返し部11aよりも図示X1側が上部シート11Aに、折り返し部11aよりも図示X2側が下部シート11Bとなるように折り返されるものとして説明する。
【0032】
なお、シート部材11においては、折り返し部11aよりも図示X2側が上部シートに、折り返し部11aよりも図示X1側が下部シートとされてもよい。
【0033】
弾性接触子12としては、例えば図2A,Bに示すようなスパイラル接触子を用いることができる。スパイラル接触子(弾性接触子)12は、基部12aと、この基部12aと一体で形成されるとともに渦巻き状に延びる弾性変形部12bとを有している。スパイラル接触子12は、例えば銅、ニッケル、あるいは銅とニッケルの複合材料、銅メッキされたニッケルなどの導電性薄板からエッチング形成され、その表面に金メッキが施されている。ここで、上部シート11Aに設けられているスパイラル接触子12を上側スパイラル接触子12Aとし、下部シート11Bに設けられているスパイラル接触子12を下側スパイラル接触子12Bとする。
【0034】
シート部材11は、ポリイミド等の電気的絶縁性および可撓性に優れた樹脂などで形成される。図1Aに示すものでは、上部シート11Aおよび下部シート11Bの双方に複数のスパイラル接触子12が設けられている。個々のスパイラル接触子12は、その弾性変形部12bどうしを図示X1−X2方向に対向させた状態で図示Y1−Y2方向に所定のピッチ寸法で規則正しく配列されている。
【0035】
そして、上部シート11A上に設けられた複数の上側スパイラル接触子12Aと下部シート11B上に設けられた複数の下側スパイラル接触子12Bは、シート部材11が折り返し部11aにおいて図示α方向の山折りで折り返されたときに、厚さ方向(図示Z1−Z2方向)においてそれぞれ対向し合う位置、すなわち折り返し部11aを挟んで左右対称となる位置に設けられている。
【0036】
例えば、上部シート11A上に設けられた上側スパイラル接触子12A11と下部シート11B上に設けられた下側スパイラル接触子12B11が対向し、同様に上側スパイラル接触子12A21と下側スパイラル接触子12B21が対向し合うように配列されている。
【0037】
上部シート11Aおよび下部シート11Bには、図示Y1−Y2方向に上記と同様のピッチ寸法で並ぶとともに、折り返し部11aを挟んで左右対称となる位置に開口された長穴状の開口部11b,11bが形成されている。
【0038】
例えば、上部シート11Aでは、前記スパイラル接触子12A11の基部12aが上部シート11Aの図示Z1方向の面(外面)で、かつ開口部11bの図示X1側の縁部に固定されており、スパイラル接触子12A21の基部12aが上部シート11Aの図示Z1方向の面(外面)で、かつ開口部11bの図示X2側の縁部に固定されている。すなわち、スパイラル接触子12A11とスパイラル接触子12A21は、同じ開口部11bの左側の縁部と右側の縁部の位置に図示X1−X2方向で対向するようにそれぞれ固定されている。そして、スパイラル接触子12A11の弾性変形部12bとスパイラル接触子12A21の弾性変形部12bとは共通の開口部11b上に図示X1−X2方向に対向するように配置されている。
【0039】
同様に、下部シート11Bでは、スパイラル接触子12B11の基部12aとスパイラル接触子12B21の基部12aとが下部シート11Bの図示Z1方向の面(外面)に固定されている。ただし、スパイラル接触子12B11の基部12aは開口部11bの図示X2側の縁部に固定されており、スパイラル接触子12B21の基部12aは同じ開口部11bの図示X1側の縁部に固定されている。そして、スパイラル接触子12B11の弾性変形部12bとスパイラル接触子12B21の弾性変形部12bとは、共通の開口部11b上に図示X1−X2方向に対向するように配置されている。
【0040】
個々のスパイラル接触子12は、図2A,Bに示すように、その弾性変形部12bの巻き中心(先端部)が上部シート11Aおよび下部シート11Bの表面から離れるようにほぼ円錐形状又は凸状となるように突出形成されている。そして、スパイラル接触子12の基部12aは、上部シート11Aおよび下部シート11Bの両面(図示Z1方向の面および図示Z2方向の面)のうち、スパイラル接触子12の突出方向側に位置する面(図1においては、前記の通り図示Z1方向の面)に接着固定されている。
【0041】
なお、図2A,Bに示すように、第1の実施の形態に示す下側スパイラル接触子12Bの基部12aには切欠部12cが形成されており、この切欠部12cには基部12aから一体的に延びる弾性片12dが突出形成されている。図2Bに示すように、弾性片12dは基端部12eから図示下方(図示Z2方向)に向けて折り曲げられている。
【0042】
下部シート11Bには、弾性片12dに対応する位置に貫通孔11cが形成されており、弾性片12dの先端部は貫通孔11c内を通って下部シート11Bの図示Z2側の面よりもさらに図示Z2方向に延びている。弾性片12dは弾性を有しており、基端部12eを支点として上下方向(図示Z1−Z2方向)に弾性変形可能である。
【0043】
次に、本実施の形態の接続装置10の製造方法について説明する。
まず、シート部材11を折り返す前、すなわち、シート部材11が図1に示すような展開された状態にあるときに、上部シート11Aと下部シート11Bの図示Z2側の面(開口部11bおよび貫通孔11cを除く)に接着剤14を塗布する。なお、所定の形状からなるマスクをして塗布することにより、接着剤14が開口部11bおよび貫通孔11cに入り込むことを防止できる。
【0044】
その後、シート部材11を、その折り返し部11aを治具などで押さえて折り返し部11aにおいて山折り(図1Bのα方向)に折り返す。すると、上部シート11Aと下部シート11Bとを、接着剤14を介して接着することができる。
【0045】
このとき、図3に示すように、上部シート11Aの開口部11bと下部シート11Bの開口部11bとが重なり合うことにより、一つの開口部が形成され、同時に上部シート11Aの貫通孔11cと下部シート11Bの貫通孔11cとが重なり合うことにより、一つの貫通孔が形成される。
【0046】
さらに、上側スパイラル接触子12A11と下側スパイラル接触子12B11を前記一つの開口部を挟んで厚さ方向に対向させることができる。同時に、隣接する上側スパイラル接触子12A21と下側スパイラル接触子12B21とを同じ前記一つの開口部を挟んで厚さ方向に対向させることができる。
【0047】
また、図3に示すように、この中継用の接続装置10においては、上側スパイラル接触子12Aを下部シート11Bから離れる図示Z1方向に向けて凸状に突出して形成することができ、下側スパイラル接触子12Bを上部シート11Aから離れる図示Z2方向に向けて凸状に突出して形成することができる。
【0048】
またこのときには、下側スパイラル接触子12B11,12B12の基部12a,12aに設けられた弾性片12d,12dが、それぞれ前記一つの貫通孔内を通り抜けて上側スパイラル接触子12A11,12A12の基部12a,12aを弾圧しながら当接する。このため、下側スパイラル接触子12B11の基部12aと上側スパイラル接触子12A11の基部12aを弾性片12dを介して電気的に導通接続することができる。同時に、隣接する下側スパイラル接触子12B21と上側スパイラル接触子12A21との間も基部12aどうしを弾性片12dを介して電気的に導通接続することができる。
【0049】
本発明では、上側スパイラル接触子12Aと下側スパイラル接触子12Bを厚さ方向に1対1に対応させ、双方のスパイラル接触子12A,12Bの基部12aを電気的に接続し、双方のスパイラル接触子12A,12Bを電気的に接続させて中継用の接続装置10が形成される。このため、図6に示すような従来のように、上側スパイラル接触子12Aと下側スパイラル接触子12Bを電気的に接続するために、絶縁基板を設けることや前記絶縁基板にスルーホールを形成すること、あるいはそのスルーホールの内周面に導電部を形成することといった作業が不要となり、中継用の接続装置10を容易に形成することができる。
【0050】
また、従来のように、前記絶縁基板を設ける必要がないため、中継用の接続装置10を薄型化することができる。
【0051】
本実施の形態では、1枚のシート部材11を折り返すだけで接続装置10を形成できるため、容易に接続装置10を形成でき、接続装置10の製造効率を向上させることができる。
【0052】
また、上記実施例においては、上側スパイラル接触子12Aの基部12aと下側スパイラル接触子12Bの基部12aとの電気的接続は、弾性片12dを介しておこなわれている。そして、弾性片12dが常に上側スパイラル接触子12Aの基部12aに当接した状態となっている。このため、上側スパイラル接触子12Aと下側スパイラル接触子12Bを確実に電気的に接続させることができる。
【0053】
なお、上記第1の実施の形態では、弾性片12dが、下部シート11Bの下側スパイラル接触子12Bに設けられる構成として説明したが、弾性片12dは上部シート11A側の上側スパイラル接触子12Aと下部シート11Bの下側スパイラル接触子12Bのいずれか一方に設けられていればよい。したがって、弾性片12dが上部シート11A側の上側スパイラル接触子12Aに設けられ、下部シート11Bの下側スパイラル接触子12Bには設けられていない構成であってもよい。
【0054】
図4A,Bは本発明の第1の実施の形態の中継用の接続装置の変形例を示しており、図4Aは図2A同様の平面図、図4Bは図4Aを図示X2側からみたときの側面図、図5は本発明の第1の実施の形態の中継用の接続装置の変形例を示すとともに、図3同様の折り返し後の状態を示す断面図である。
【0055】
図4A,Bおよび図5においては、図3に示す中継用の接続装置10と同様の部材等には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0056】
本変形例の中継用の接続装置10Aは、上記において説明した中継用の接続装置10とほぼ同様の構成であるため、以下では主として本変形例の中継用の接続装置10Aが上記中継用の接続装置10と異なる点について説明する。
【0057】
第1に、本変形例においては、上側スパイラル接触子12Aの基部12aおよび下側スパイラル接触子12Bの基部12aのいずれにも弾性片12dが設けられていない点で上記中継用の接続装置10の構成とは異なっている。
【0058】
第2に、本変形例においては、スパイラル接触子12の基部12aが固定される上部シート11Aおよび下部シート11Bの部分に貫通孔11cが形成されていない点で異なっている。
【0059】
第3に、上記中継用の接続装置10では、図2A,Bに示すように、上部シート11Aおよび下部シート11Bの図示Z1側の面(外面)にスパイラル接触子12の基部12aの下面(図示Z2側の面)が固定されている構成であるが、本変形例の中継用の接続装置10Aでは、図4Bに示すように、上部シート11Aおよび下部シート11Bの図示Z2側の面(内面)にスパイラル接触子12の基部12aの上面(図示Z1側の面)が固定されている点で異なっている。この結果、凸状に立体成形されたスパイラル接触子12は、上部シート11Aおよび下部シート11Bにそれぞれ形成されている開口部11bを通り抜けて図示Z1方向に突出させられている。
【0060】
次に、本変形例の中継用の接続装置10Aの製造方法について説明する。
まず、シート部材11を折り返す前、すなわちシート部材11が図1に示す展開状態のときに、上部シート11Aおよび下部シート11Bの図示Z2側の面に接着剤14を塗布する。また上側スパイラル接触子12Aの基部12aの底面(図示Z2方向の面)および下側スパイラル接触子12Bの基部12aの底面に導電性接着剤15を塗布する。その後、シート部材11を、図示しない治具などを用いて折り返し部11aで山折り(図示α方向)に折り返す。すると、図5に示すように、上部シート11Aと下部シート11Bが接着剤14を介して接着され、上側スパイラル接触子12Aの基部12aと下側スパイラル接触子12Bの基部12aが導電性接着剤15を介して接着される。これにより、上部シート11Aに設けられた複数の上側スパイラル接触子12Aと下部シート11Bに設けられた複数の下側スパイラル接触子12Bをそれぞれ厚さ方向に1対1で対向した状態で接続させることができる。なお、図5においては、上側スパイラル接触子12A11,12A21と下側スパイラル接触子12B11,12B21のみを示している。
【0061】
このとき、上側スパイラル接触子12A11の基部12aと下側スパイラル接触子12B11の基部12aとが導電性接着剤15を介して電気的に導通接続され、同時に上側スパイラル接触子12A21の基部12aと下側スパイラル接触子12B21の基部12aとが導電性接着剤15を介して電気的に導通接続される。
【0062】
なお、上部シート11Aに設けられたその他の上側スパイラル接触子12Aと下部シート11Bに設けられたその他の下側スパイラル接触子12Bについても同様にして互いに電気的に導通接続される。
【0063】
なお、上記変形例においては、上側スパイラル接触子12Aの基部12aと下側スパイラル接触子12Bの基部12aを接続するために用いられる接合手段は、導電性接着剤15に限定されるものではない。スパイラル接触子12の表面には金メッキが施されているため、例えば超音波溶着や常温接合、あるいは半田による接着であってもよい。
【0064】
本変形例では、上側スパイラル接触子12Aの基部12aと下側スパイラル接触子12Bの基部12aとの電気的接続が、前記接合手段によっておこなわれる。このため、双方のスパイラル接触子12A,12Bの基部12aどうしを確実に電気的に接続することができ、また、より容易に電気的に接続することができる。
【0065】
図6は本発明の第2の実施の形態の接続装置を形成するための2枚のシート部材を示す、図1と同様の平面図である。
【0066】
図6において、図1に示す接続装置10と同様の部材等には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0067】
本実施の形態では、上記実施の形態に示す中継用の接続装置10および10Aの場合と異なり、上部シート11Aと下部シート11Bが別個のシートであり、本実施の形態の中継用の接続装置10Bは、これら2枚のシートを、上記中継用の接続装置10および10Aの場合と同様に、上側スパイラル接触子12Aと下側スパイラル接触子12Bが1対1に対応するように接着することによって形成される。この点のみが上記中継用の接続装置10および10Aの場合と異なっており、他の、スパイラル接触子12の構造、上側スパイラル接触子12Aの基部12aおよび下側スパイラル接触子12Bの基部12aの設けられかた、および双方のスパイラル接触子の基部どうしの電気的な接続のされ方等は、上記中継用の接続装置10および10Aの場合と同様である。
【0068】
本実施の形態においても、中継用の接続装置10および10Aの場合と同様に、図7に示すような従来のように、上側スパイラル接触子12Aと下側スパイラル接触子12Bを電気的に接続するために、絶縁基板を設けることや前記絶縁基板にスルーホールを形成すること、あるいはそのスルーホールの内周面に導電部を形成することといった作業が不要となり、中継用の接続装置10Bを容易に形成することができる。
【0069】
また、従来のように、前記絶縁基板を設ける必要がないため、中継用の接続装置10Bを薄型化することができる。
【0070】
本実施の形態では、上部シート11Aと下部シート11Bを、上側スパイラル接触子12Aと下側スパイラル接触子12Bが1対1に対応するように接着するだけで中継用の接続装置10Bが形成される。このため、容易に中継用の接続装置10Bを形成でき、中継用の接続装置10Bの製造効率を向上させることができる。
【0071】
本発明の中継用の接続装置10、10A、10Bのように、上下方向の双方にスパイラル接触子12が設けられたものは、マザーボードなどの回路基板と、ICまたはICを収納したICパッケージなどの電子部品との間に介在して、回路基板上の回路部と前記電子部品の電極部とを導通させるインターポーザーとして使用することができる。
【0072】
上記各実施の形態では、前記一つの開口部の左右に2組のスパイラル接触子(上側スパイラル接触子12A11と下側スパイラル接触子12B11の組と、上側スパイラル接触子12A21と下側スパイラル接触子12B21の組)を有する構成を示したが、本発明はこれに限られるものではなく、前記一つの開口部に1組のスパイラル接触子(例えば、上側スパイラル接触子12A11と下側スパイラル接触子12B11)のみが設けられる構成であってもよく、あるいは3組以上が設けられている構成であってもよい。
【0073】
また上記実施の形態では、シート部材11に設けられている弾性接触子はスパイラル接触子として説明したが、本発明はスパイラル接触子には限定されるものではなく、その他例えば、長方形やくの字状、U字状あるいはL字状からなる板ばねなど、弾性変形可能な接触子であればどのようなものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】Aは本発明の第1の実施の形態として折り返し前の中継用の接続装置を示す平面図、BはAのb−b線における矢視方向断面図、
【図2】Aは下部シートの表面に設けられた一対のスパイラル接触子を拡大して示す平面図、BはAの2−2線における矢視方向断面図、
【図3】本発明の第1の実施の形態として折り返し後の中継用の接続装置を拡大して示す断面図、
【図4】A,Bは本発明の第1の実施の形態の中継用の接続装置の変形例を示しており、Aは図2A同様の平面図、Bは図4Aを図示X2側からみたときの側面図、
【図5】本発明の第1の実施の形態の中継用の接続装置の変形例を示すとともに、図3同様の折り返し後の状態を示す断面図、
【図6】本発明の第2の実施の形態の接続装置を形成するための2枚のシート部材を示す、図1と同様の平面図、
【図7】従来の電子コネクタの要部断面図
【符号の説明】
【0075】
10,10A,10B 接続装置
11 シート部材
11A 上部シート
11B 下部シート
11a 折り返し部
12A 上側スパイラル接触子
12B 下側スパイラル接触子
12b 基部
12d 弾性片
14 接着剤
15 導電性接着剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部とこの基部から延びる弾性変形部とを備えた第1および第2の弾性接触子と、第1の開口部を有するとともに前記第1の弾性接触子の基部が前記第1の開口部の縁部に固定された上部シートと、同じく第2の開口部を有するとともに前記第2の弾性接触子の基部が前記第2の開口部の縁部に固定された下部シートとを有し、
前記上部シートと前記下部シートとが貼り合わされることにより、前記第1の弾性接触子の基部と前記第2の弾性接触子の基部との間が導通接続させられていることを特徴とする中継用の接続装置。
【請求項2】
前記第1の弾性接触子と前記第2の弾性接触子とが、前記第1の開口部および前記第2の開口部を介して対向配置されていることを特徴とする請求項1記載の中継用の接続装置。
【請求項3】
前記第1の弾性接触子の基部と前記第2の弾性接触子の基部の少なくとも一方には、一方の基部から他方の基部に向かって突出する弾性片が設けられており、この弾性片を介して前記第1の弾性接触子の基部と前記第2の弾性接触子の基部との間が接続させられていることを特徴とする請求項1または2記載の中継用の接続装置。
【請求項4】
前記上部シートおよび前記下部シートには、前記弾性片を通過させる貫通孔が形成されており、前記弾性片がこの貫通孔を通り抜けて前記他方の基部を弾圧していることを特徴とする請求項3記載の中継用の接続装置。
【請求項5】
前記第1の弾性接触子の基部が前記上部シートの外面に固定され、前記第2の弾性接触子の基部が前記下部シートの外面に固定されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の中継用の接続装置。
【請求項6】
前記第1の弾性接触子の基部と前記第2の弾性接触子の基部との間が、導電性接着剤、常温接合または超音波接合のいずれかにより接続されていることを特徴とする請求項1または2記載の中継用の接続装置。
【請求項7】
前記第1の弾性接触子の基部は前記上部シートの内面に固定され、前記第2の弾性接触子の基部は前記下部シートの内面に固定されていることを特徴とする請求項1、2、6のいずれかに記載の中継用の接続装置。
【請求項8】
前記第1および第2の弾性接触子は、前記弾性変形部が螺旋状に延びるとともに前記基部から離れる方向に突出成形された立体的なスパイラル接触子であることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の中継用の接続装置。
【請求項9】
前記上部シートと前記下部シートとは、1枚のシートを所定の折り返し部で折り返されており、互いの対向面の間に接着剤が設けられていることを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の中継用の接続装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2006−252830(P2006−252830A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−64831(P2005−64831)
【出願日】平成17年3月9日(2005.3.9)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】