説明

乗客コンベアのハンドレール駆動力監視装置

【課題】安価な監視システムを構成でき、優れた診断精度を確保できる乗客コンベアのハンドレール駆動力監視装置の提供。
【解決手段】ハンドレール速度検出器13の出力信号1を用いてハンドレール8の平均速度V1を算出するハンドレール平均速度算出手段14と、出力信号1を用いてハンドレールの速度振幅値ΔVを算出するハンドレール速度振幅算出手段15と、駆動トルク制御装置4の情報から駆動モータ1の回転数を判定するモータ回転数算出手段17と、駆動トルク制御装置4の情報から乗客負荷率を算出する乗客負荷率算出手段21と、予め設定した乗客負荷率より低いと判定したタイミングで出力された出力信号1と踏段速度検出器12の出力信号2を用いて算出した平均速度V1と速度振幅値ΔVとから、ハンドレール駆動力が異常かどうか診断する診断手段19を設けた構成にしてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンドレール駆動装置のハンドレール駆動力を自動で監視し、駆動力が管理値を外れる前に確実に調整作業指示の計画を可能とすることで、ハンドレール駆動機能を常時適切な状態に維持できる乗客コンベアのハンドレール駆動力監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の乗客コンベアのハンドレール駆動力監視装置としては、例えば特許文献1に示される装置がある。この従来技術では、ハンドレール速度検出器を設け、予め設定したハンドレール速度域まで到達した速度データをカウントし、カウント数の変化で駆動力の異常を判定できる構成になっている。
【0003】
この従来技術は、それまでハンドレール速度検出器と踏段速度検出器の両方を設け、踏段速度に対するハンドレール速度の遅れ量でハンドレール駆動力を監視していたものを、ハンドレール速度検出器だけでハンドレール駆動力の低下傾向を判定できる構成としたので、プログラム処理負荷が小さい安価なシステムとすることができ、優れた経済性を有するとされている。
【0004】
また、前述した従来技術とは別に、従来、モータ動力をベルトで減速機へ伝達する駆動装置を用いた乗客コンベアのハンドレール駆動力監視装置が、特許文献2に提案されている。この従来技術では、ベルトのスリップ率を算出するのにモータ側と、ハンドレールの回転と同期する減速機側の両方に回転検出器を設けた構成になっている。
【0005】
この従来技術は、それまでベルト伝達にスリップが発生しないように定期的に技術員がベルトテンションを点検、調整作業を行ってハンドレール速度を正しく計測できるようにしていたものを、万一、ベルトスリップが発生しても、ベルトスリップを補正してハンドレール速度を検出できる構成としてあるので、優れた診断精度を確保できる、とされている。
【特許文献1】特開2002−187687公報
【特許文献2】特開2000−34082公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述した特許文献1に示される従来技術は、設定した速度域に到達した速度計測データをカウントしているため、実際には駆動ローラとハンドレールの摩擦係数が低下してハンドレールの平均速度は低下しているのに速度振幅が大きいため設定した速度域に到達する速度計測データ数は減少しないという現象に対しては、駆動力異常を検出することができず、診断精度が低下する懸念がある。
【0007】
また、ベルトスリップ率を補正する特許文献2に示される従来技術は、ベルト伝達系の両側に回転検出器を設けて常に回転差からスリップ率を監視する必要があるため、プログラム処理の負担が大きく、機器構成が高価になりやすい。
【0008】
本発明は、このような従来技術における実状からなされたもので、その目的は、安価な監視システムを構成でき、優れた診断精度を確保できる乗客コンベアのハンドレール駆動力監視装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的を達成するために、本発明は、駆動モータの動力をベルトによって減速機へ伝達する駆動装置と、減速機軸の回転と同期して乗客を運搬する踏段の速度を検出する踏段速度検出器と、踏段の側方に立設される欄干に設けられたガイドレールに案内されて前記踏段と同期するよう走行するハンドレールと、設定した速度で走行を持続するため、乗客負荷の変動に応じて前記駆動モータのトルク指令値を可変制御する駆動トルク制御装置と、前記ハンドレールの速度を検出するハンドレール速度検出器とを備えた乗客コンベアのハンドレール駆動力監視装置において、前記ハンドレール速度検出器の出力信号1を用いてハンドレールの平均速度を算出するハンドレール平均速度算出手段と、前記踏段速度検出器の出力信号2を用いてハンドレール速度の算出と同じタイミングの踏段速度を算出する踏段速度算出手段と、前記駆動トルク制御装置の情報から前記駆動モータの回転数を判定するモータ回転数算出手段と、前記モータ回転数と踏段速度の差分からベルトスリップ率を算出するベルトスリップ率算出手段と、前記ベルトスリップ率が所定値以下の正常値である場合に、前記ハンドレール平均速度と前記踏段速度とを比較し、その速度差が所定値以下であれば、ハンドレール駆動力が正常と診断する診断手段とを備えたことを特徴としている。
【0010】
また、本発明は、上記発明において、前記出力信号1を用いてハンドレール速度値の振幅を算出するハンドレール速度振幅算出手段を設け、前記診断手段は、前記ベルトスリップ率が所定値以下の正常値である場合に、前記ハンドレール平均速度と前記踏段速度とを比較し、その速度差が所定値以上であれば、前記速度振幅が所定値以内であるか否かを判定し、所定値以内であれば、ハンドレールを駆動するハンドレール駆動ローラの異常であると診断し、前記速度振幅が所定値以上であれば、ハンドレールの摩耗異常であると診断することを特徴としている。
【0011】
また、本発明は、上記発明において、前記駆動トルク制御装置の情報から乗客負荷率を算出する乗客負荷率算出手段を設け、前記診断手段は、前記乗客負荷率が所定値以下である場合に前記診断を行なうことを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、乗客コンベアそのものを制御するモータ駆動トルク制御システムの機能を流用してハンドレール駆動力の低下や駆動ローラの摩耗といった現象を機械的に診断することができる。つまり、技術員の判定能力に依存することなく、常時正常な状態を維持するために必要な点検作業が適切なタイミングで計画・指示されるので、優れた診断精度を確保でき、点検作業に要する時間の最適化を実現できると共に、保全性、信頼性の向上が図れる安価な乗客コンベアのハンドレール駆動力監視装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下,本発明に係る乗客コンベアのハンドレール駆動力監視装置を実施するための最良の形態を図に基づいて説明する。
【0014】
[基本構成]
図1は、一般的な乗客コンベアの駆動機器構成を示す側面図である。この図1に示す乗客コンベア例えばエスカレータは、駆動モータ1の動力がベルト2で減速機3へ伝達され、駆動モータ1は駆動トルク制御装置4によって回転加速度、速度、トルクなどが制御される。
【0015】
減速機3は、ドライビングチェーン5によって踏段6が軸支されている踏段チェーン7と連結され、さらに、ハンドレール8を駆動するハンドレール駆動装置9へ動力を伝達するハンドレール駆動チェーン10と連結されているので、減速機3の回転に同期して踏段6とハンドレール8が回転する。
【0016】
減速機3は、駆動モータ1の回転に同期する。ベルト2は、摩擦駆動のため、それぞれの駆動体の速度は、駆動モータ1の速度にほぼ等しい。ハンドレール8は減速機3に同期するが、駆動ローラ11による摩擦駆動のため減速機3に対して少し遅れることがある。そこで、踏段速度検出器12とハンドレール速度検出器13を設けて、摩擦体にスリップが発生した場合には速やかに速度異常を検出する。これによりエスカレータは安全に停止制御される。
【0017】
[第1実施形態]
図2は例えば図1に示されるエスカレータに備えられる本発明に係るハンドレール駆動力監視装置の第1実施形態を示す機能ブロック図である。
【0018】
この図2に示すように、第1実施形態は、ハンドレール速度検出器13の出力信号を読み込んで、予め定めた距離だけ走行を終えるまでに出力された総パルス数をカウントし、総パルス数を走行に要した時間で序してハンドレール8の周回の平均速度V1を算出するハンドレール平均速度算出手段14と、平均速度V1を算出するために読み込んだ同じデータを用い、予め設定したサンプリングごとのパルス数からハンドレール8の速度データを作り、作られた速度データの最小値と最大値を抽出して速度振幅値ΔVを算出するハンドレール速度振幅算出手段15とを備えている。
【0019】
また、ハンドレール速度検出器13の出力信号を読み込むのと同じタイミングで踏段速度検出器12の出力信号を読み込んで踏段6の周回速度を算出する踏段速度算出手段16と、駆動トルク制御装置4のトルク指令情報から駆動モータ1の回転数を算出するモータ回転数算出手段17と、算出されたモータ回転数と踏段速度の差分からベルト伝達のスリップ率Sを算出するベルトスリップ率算出手段18を備えている。
【0020】
また、ベルトスリップ率Sが予め設定した値を超えていたらベルト伝達異常と診断し、さらに、ハンドレール8の速度と踏段6の速度に対する差分、及びハンドレール8の速度に対するハンドレール8の速度振幅値ΔVの割合を比較してハンドレール駆動装置9の駆動力の状態を診断する診断手段19と、診断の結果によって異常と判定された場合に、技術員に診断結果を報知する監視センタ20とを備えている。
【0021】
図3は第1実施形態におけるハンドレール駆動力監視手順を示すフローチャート、図4〜図6は第1実施形態で得られる稼動データを示す図である。上述のように構成した第1実施形態におけるハンドレール駆動力監視手順を、これらの図3、及び図4〜図6に基づいて説明する。
【0022】
先ず、図3の手順S1に示すように、設備管理者や技術員によってエスカレータが起動され、トラブル信号などが発報されていない正常な稼動状態かどうかを判定する。正常に稼動していると判定したら、手順S2で踏段速度検出器12とハンドレール速度検出器13の出力信号の読み込みを開始する。次に、手順S3でハンドレール8が予め設定した距離を走行したかどうかを判定する。このときの距離は、安定したハンドレール8の速度と変化兆候を捉えるために0.1%程度の速度変化を抽出するのに必要な総出力信号から判断しておおよそ2周〜10周の走行が目安となる。設定した距離分の走行データを読み込んだと判定したら、手順S4で診断のための出力信号の読み込みを終了する。
【0023】
次に、手順S5でハンドレール8の平均速度V1をハンドレール平均速度算出手段14によって算出する。ハンドレール8は摩擦駆動なのですべりが伴う。そのため。短い時間で見れば刻々と速度は変動している。そこで、劣化の傾向をいつも同じ条件で評価する方法としては、速度変動の影響を抑えるため、読み込んだ総出力信号数を読み込みに要した時間で序して平均速度V1を算出し、この平均速度V1の変化で劣化兆候を判定する方法が好適である。
【0024】
手順S6では、ハンドレール8の平均速度V1を算出するために手順S2〜S4で読み込んだ同じ出力信号を、おおよそ0.1秒〜2秒程度のサンプリング時間で分割し、各サンプリングの出力信号数をサンプリング時間で序して各速度値を求め、さらに、全速度値データから最小値と最大値を抽出し、最大値と最小値の差分からハンドレール速度振幅算出手段15によって速度振幅値ΔVを算出する。
【0025】
次に、手順S7では、手順S2〜手順S4で読み込んだ踏段速度検出器12の出力信号から踏段6の周回速度V2を算出する。次に、手順S8で、駆動モータ1が備えるトルク指令値と電流値情報からモータ回転数算出手段17によって駆動モータ1の回転数R2を算出する。
【0026】
また、手順S10でベルトスリップ率算出手段18によって、
1−(R2/R1)×100
スリップ率S%を算出し、手順S11でスリップ率が所定値a%以上であるかどうかを判定する。ここで、a%は、0.5%〜4%程度が目安であり、a%を超えていれば手順S12でベルトのテンション低下、または切断といった現象が推定されるためベルト伝達異常と判定し、監視センタ20へ発報して診断を終了する。
【0027】
また、手順S11で、所定値a%を超えていなければ、手順S13でハンドレール8の平均速度V1と踏段6の速度V2を比較し、平均速度V1が、速度V2×所定値bより大きいかどうか判定する。ここで、所定値bは95%〜99%が目安であり、平均速度V1が速度V2×所定値bより大であれば手順S14でハンドレール8の駆動力は正常と判定して診断を終了する。
【0028】
また、手順S13で、平均速度V1が速度V2×所定値bよりも大でなければ、手順S15で速度振幅値ΔVが、平均速度V1×所定値cより大かどうか判定する。ここで、cは3%〜10%程度が目安であり、速度振幅値ΔVが平均速度V1×所定値cより大であれば、手順S16で、図5に示すようにハンドレール8は平均速度V1が低下して、さらに、速度変動が大きいことからハンドレール8と駆動ローラ9の摩擦力低下等によるハンドレール8の駆動力低下異常と判定し、監視センタ20へ発報して診断を終了する。
【0029】
また、手順S15で、速度振幅値ΔVが平均速度V1×所定値cより大でないと判定されれば、手順S17で、図6に示すようにハンドレール8の平均速度V1は低下しているが速度変動は小さいので駆動ローラ9の異常摩耗と判定し、監視センタ20へ発報して診断を終了する。
【0030】
このように構成した第1実施形態によれば、ハンドレール8の駆動力状態をエスカレータそのものが制御するシステムの機能を流用して、ハンドレール8の平均速度V1と、速度振幅値ΔVの大小によって機械的、かつ定量的に診断するので、技術員の判定能力に依存することなく、常時正常な状態を維持するために必要な点検作業が適切なタイミングで計画・指示されるので、優れた診断精度を確保でき、点検作業に要する時間の最適化を実現できると共に、保全性、信頼性の向上が図れる安価なエスカレータのハンドレール駆動力監視装置を得ることができる。
【0031】
[第2実施形態]
図7は本発明の第2実施形態を示す機能ブロック図である。この図7に示す第2実施形態は、前述した第1実施形態の構成に加えて以下の手段を備えたものである。
【0032】
この第2実施形態は、乗客が多数乗り込まれているとハンドレール8の平均速度V1が乗客のハンドレール8へのつかまり方などで変動することがあるので、診断条件を近似させるため、踏段速度検出器12とハンドレール速度検出器13が出力信号を読み込む条件を、乗客がいないときに、または少数のときに限定できるように、駆動トルク制御装置4の情報から乗客負荷率を算出する乗客負荷率算出手段21を備えている。
【0033】
また、エスカレータを起動してから一定時間経過した後において、乗客負荷率の最小域を記憶、及び更新しながら、最小域だと判定したときだけ自動的に踏段速度検出手段12とハンドレール速度検出器13の出力信号を読み込む読み込み判定手段22と、エスカレータが正常に稼動を停止するまでは刻々と最小域が更新されるので、読み込まれた出力信号を予め設定した数だけ更新を繰り返しながら格納する出力信号格納手段23を備えている。その他の構成は、前述した第1実施形態と同等である。
【0034】
図8は第2実施形態におけるハンドレール駆動力監視手順を示すフローチャート、図9は第2実施形態で得られる稼動データを示す図である。上述のように構成した第2実施形態におけるハンドレール駆動力監視手順を、これらの図8及び図9に基づいて説明する。
【0035】
先ず、図8の手順S21で設備管理者や技術員によってエスカレータが起動され、一定時間経過したかどうか判定する。このときの一定時間は、ハンドレール8の温度変化が少ない環境下における5秒程度から、温度変化の大きい環境下における1時間程度を目安とする。
【0036】
手順S22では、起動後における乗客負荷率が最小域であるかどうか乗客負荷率算出手段21によって判定し、その領域は±5%程度を目安とする。図9に示すように最小域と判定すれば、手順S2で読み込み判定手段22によって踏段速度検出器12とハンドレール速度検出器13の出力信号の読み込みを開始する。
【0037】
次に、手順S23でハンドレール8が予め設定した距離を走行したかどうか判定する。このときの距離は、あまり長いとその間に乗客負荷率が大きく変動してしまうことが考えられるのと、逆に短いとハンドレール8の計測部位の劣化バラツキにより偏った傾向が生じる虞があることとから、おおよそ0.5周から2周が目安となる。設定した距離分の走行データを読み込んだと判定したら、手順S4で診断のための出力信号の読み込みを終了し、手順S24で出力信号格納手段23によって読み込んだ信号を格納する。このとき、格納しておく信号データは、累積でハンドレール8の10周相当以下を目安に設定し、これを越えたら、乗客負荷率がより高い時に読み込んだデータから削除し、格納データの更新を図る。
【0038】
手順S25でエスカレータが正常に停止したかどうかを判定し、停止していなければ手順S22に戻り判定を繰り返す。正常に停止したら、そのときに出力信号格納手段23に格納されている出力信号情報を連続データとし、その後は前述の第1実施形態と同等の手順S5以下に従って診断を実施する。
【0039】
なお、上述の構成において、読み込み判定手段22を不要として、出力信号を読み込むタイミングを予め設定した乗客負荷率で判定させて診断を行なうことも可能である。
【0040】
このように構成した第2実施形態によれば、前述した第1実施形態と同等の作用効果が得られる他、ハンドレール8の駆動力状態を乗客がいない状態における、または少数の状態における計測データだけを用いて診断できるので、誤差要因の少ない条件で監視することができ、予防保全に優れたエスカレータのハンドレール駆動力監視装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】一般的な乗客コンベアの駆動機器構成を示す側面図である。
【図2】本発明に係る乗客コンベアのハンドレール駆動力監視装置の第1実施形態を示す機能ブロック図である。
【図3】第1実施形態におけるハンドレール駆動力監視手順を示すフローチャートである。
【図4】第1実施形態で得られる稼動データを示す図である。
【図5】第1実施形態で得られる稼動データを示す図である。
【図6】第1実施形態で得られる稼動データを示す図である。
【図7】本発明の第2実施形態を示す機能ブロック図である。
【図8】第2実施形態におけるハンドレール駆動力監視手順を示すフローチャートである。
【図9】第2実施形態で得られる稼動データを示す図である。
【符号の説明】
【0042】
1 駆動モータ
2 ベルト
3 減速機
4 駆動トルク制御装置
5 ドライビングチェーン
6 踏段
7 踏段チェーン
8 ハンドレール
9 ハンドレール駆動装置
10 ハンドレール駆動チェーン
11 駆動ローラ
12 踏段速度検出器
13 ハンドレール速度検出器
14 ハンドレール平均速度算出手段
15 ハンドレール速度振幅算出手段
16 踏段速度算出手段
17 モータ回転数算出手段
18 ベルトスリップ率算出手段
19 診断手段
20 監視センタ
21 乗客負荷率算出手段
22 読み込み判定手段
23 出力信号格納手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動モータの動力をベルトによって減速機へ伝達する駆動装置と、減速機軸の回転と同期して乗客を運搬する踏段の速度を検出する踏段速度検出器と、踏段の側方に立設される欄干に設けられたガイドレールに案内されて前記踏段と同期するよう走行するハンドレールと、設定した速度で走行を持続するため、乗客負荷の変動に応じて前記駆動モータのトルク指令値を可変制御する駆動トルク制御装置と、前記ハンドレールの速度を検出するハンドレール速度検出器とを備えた乗客コンベアのハンドレール駆動力監視装置において、
前記ハンドレール速度検出器の出力信号1を用いてハンドレールの平均速度を算出するハンドレール平均速度算出手段と、前記踏段速度検出器の出力信号2を用いてハンドレール速度の算出と同じタイミングの踏段速度を算出する踏段速度算出手段と、前記駆動トルク制御装置の情報から前記駆動モータの回転数を判定するモータ回転数算出手段と、前記モータ回転数と踏段速度の差分からベルトスリップ率を算出するベルトスリップ率算出手段と、
前記ベルトスリップ率が所定値以下の正常値である場合に、前記ハンドレール平均速度と前記踏段速度とを比較し、その速度差が所定値以下であれば、ハンドレール駆動力が正常と診断する診断手段とを備えたことを特徴とする乗客コンベアのハンドレール駆動力監視装置。
【請求項2】
前記請求項1記載の発明において、
前記出力信号1を用いてハンドレール速度値の振幅を算出するハンドレール速度振幅算出手段を設け、
前記診断手段は、前記ベルトスリップ率が所定値以下の正常値である場合に、前記ハンドレール平均速度と前記踏段速度とを比較し、その速度差が所定値以上であれば、前記速度振幅が所定値以内であるか否かを判定し、所定値以内であれば、ハンドレールを駆動するハンドレール駆動ローラの異常であると診断し、前記速度振幅が所定値以上であれば、ハンドレールの摩耗異常であると診断することを特徴とする乗客コンベアのハンドレール駆動力監視装置。
【請求項3】
前記請求項1または2記載の発明において、
前記駆動トルク制御装置の情報から乗客負荷率を算出する乗客負荷率算出手段を設け、
前記診断手段は、前記乗客負荷率が所定値以下である場合に前記診断を行なうことを特徴とする乗客コンベアのハンドレール駆動力監視装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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