説明

乳化剤形の皮膚外用剤

【課題】 極端な温度条件下であっても、トリテルペン類を安定に含有する乳化剤形の皮膚外用剤を提供する。
【課題の解決手段】 トリテルペン乃至はその関連物質を油中水乳化剤形の皮膚外用剤に含有させる。前記トリテルペン乃至はその関連物質は、ベツリン、ベツリン酸、オレアノール酸、ウルソール酸、ウルソール酸のエステル及びこれらの塩が、好ましく例示でき、前記皮膚外用剤は、有機変性粘土鉱物を含有することが好ましい。更に、セラミドやアシル化酸性アミノ酸のジエステルを含有することが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚外用剤に関し、更に詳細には、油中水乳化剤形の化粧料に好適な皮膚外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
トリテルペン乃至はその関連物質、例えば、オレアノール酸やウルソール酸などのトリテルペン酸、トリテルペン酸のエステル、或いは、これらの塩は、皮膚に対して、光老化抑制作用、リパーゼ阻害作用などの種々の好ましい作用を有する(例えば、特許文献1、特許文献2を参照)が、他の製剤成分との相溶性において課題を有する場合が存し、特に、乳化系に於いては、界面活性剤の界面活性能を減じる場合が存した。この様な界面活性能の低減により、乳化系の安定性は損なわれる場合が存する。この様な現象を生じる背景には、トリテルペン類が、バルキーな炭化水素構造を有し、且つ、水酸基、カルボキシル基などの適度な親水基を有しているため、界面を貫通して、その強度を減じる作用があることが一因であると考えられる。更に、トリテルペン類自体の結晶性が高く、固体として析出し易いため、界面活性剤の作る界面を物理的にも破壊しやすいこともその傾向を助長する因子であると考えられる。この様な状況から、皮膚外用剤の分野に於いて、トリテルペン類を安定に含有せしめる剤形、特に、乳化剤形の開発が望まれていたと言える。このアプローチの一環として、トリテルペン類を皮膚外用剤に適した物性の誘導体に改変する試みが存し、トリテルペン酸のエステル化が行われている。この様な誘導体化はトリテルペン類の製剤適合性を著しく改善はしたものの、高温域或いは極低温域での保存などに於いては、充分と言い切れない部分も存している。この為、乳化方法に於いても工夫が為されているが(例えば、特許文献3を参照)、界面に配向するのがトリテルペン類の基本的性格であると思われ、これも充分な効果を奏しているとは言えないのが現状である。
【0003】
他方、ジメチルジステアリルアンモニウム変性ヘクトライトなどの有機変性粘土鉱物は、油性成分とゲルを形成し、このゲル中に水を取り込む性質が存し、この性質を利用して、油中水乳化剤形における、乳化成分として使用されている。(例えば、特許文献4、特許文献5を参照)この様な乳化系に於いては、前記粘土鉱物の作るゲル構造により、系の安定性が維持されることから、固体脂に安定性が依存しない特徴が存する。
【0004】
一方、トリテルペン乃至はその関連物質を含有する油中水乳化剤形の皮膚外用剤は全く知られていないし、該乳化剤形として、有機変性粘土鉱物を乳化剤として用いたものも全く知られていない。この様な乳化剤形を採用することにより、トリテルペン類の乳化への影響を抑制できることも全く知られていない。
【0005】
【特許文献1】特開平9−143050号公報
【特許文献2】特開平9−118611号公報
【特許文献3】特表2004−519411号公報
【特許文献4】特開平11−76799号公報
【特許文献5】特開平10−194924号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、この様な状況下為されたものであり、極端な温度条件下であっても、トリテルペン類を安定に含有する乳化剤形の皮膚外用剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この様な実状に鑑みて、本発明者らは、極端な温度条件下であっても、トリテルペン類を安定に含有する乳化剤形の皮膚外用剤を求めて、鋭意研究努力を重ねた結果、油中水乳化剤形に含有させることにより、この様な皮膚外用剤が得られることを見いだし、発明を完成させるに至った。即ち、本発明は以下に示すとおりである。
<1>トリテルペン乃至はその関連物質を含有することを特徴とする油中水乳化剤形の皮膚外用剤。
<2>前記トリテルペン乃至はその関連物質は、ベツリン、ベツリン酸、オレアノール酸、ウルソール酸、ウルソール酸のエステル及びこれらの塩であることを特徴とする、<1>に記載の皮膚外用剤。
<3>前記皮膚外用剤は、有機変性粘土鉱物を含有することを特徴とする、<1>又は<2>に記載の油中水乳化剤形の皮膚外用剤。
<4>前記皮膚外用剤は、セラミドを含有することを特徴とする、<1>〜<3>何れか1項に記載の油中水乳化剤形の皮膚外用剤。
<5>前記皮膚外用剤は、アシル化酸性アミノ酸のジエステルを含有することを特徴とする、<1>〜<4>何れか1項に記載の皮膚外用剤。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、極端な温度条件下であっても、トリテルペン類を安定に含有する乳化剤形の皮膚外用剤を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
<1>本発明の皮膚外用剤の必須成分であるトリテルペン類
本発明の皮膚外用剤は、トリテルペン乃至はその関連物質を含有することを特徴とする。前記トリテルペンの関連物質しては、トリテルペンの骨格を有し、これに適宜、アシル化乃至はアルキル化されていても良い水酸基、エステル化されていても、アミド化されていても良いカルボキシル基、アシル化されていても良いアミノ基等の置換基を有する化合物を意味し、具体的には、トリテルペン乃至はその関連物質としては、ベツリン、ベツリン酸、オレアノール酸、ウルソール酸、これらのエステル及びこれらの塩が好ましく例示できる。取り分け、ウルソール酸のエステルが特に好ましい。前記エステルとしては炭化水素とのエステル、リン酸や硫酸などの鉱酸とのエステルが特に好ましく例示できる。特に好ましいものとしては、例えば、ウルソール酸の炭素数1〜20の炭化水素エステル又はウルソール酸のリン酸エステル等が好適に例示できる。前記炭素数1〜20の炭化水素エステルとしては、メチルエステル、エチルエステル、ヘキシルエステル、シクロヘキシルエステル、オクチルエステル、イソオクチルエステル、ラウリルエステル、セチルエステル、ステアリルエステル、イソステアリルエステル、オレイルエステル等の脂肪族エステル、ベンジルエステル、フェネチルエステル等の芳香環を有する炭化水素基エステル等が好適に例示できる。かかる成分は常法に従って、ウルソール酸より誘導できる。炭化水素エステルであれば、ウルソール酸を水素化ナトリウムなどでナトリウム塩と為し、これにアルコールに塩化チオニルなどを作用させて得られる、ハロゲン化炭化水素を加えて反応させればよい。反応は室温乃至は還流条件で、1〜12時間行えばよい。リン酸エステルはジメチル−N,N−ジエチルホスホロアミデートをウルソール酸に反応させ、ウルソール酸メチルホスフェートと為し、これをブロモトリメチルシランなどで脱メチル化反応させれば得られる。オレアノール酸、ベツリン、ベツリン酸もこれに準じて処置することにより、種々のエステルを製造することが出来る。この様な成分は、アルカリと反応させて塩を形成せしめ、塩の形で含有することも出来る。これらの塩としては、皮膚外用剤で使用されるものであれば、特段の限定無く使用でき、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、トリエチルアミン塩、トリエタノールアミン塩、モノエタノールアミン塩等の有機アミン塩、リジン塩、アルギン酸塩等の塩基性アミノ酸塩等が好適に例示できる。かかる成分は、これまでに知られている作用を発現することが出来、含有量もこれらの作用が発現できる含有量を採用することが出来る。具体的には、それぞれ0.01〜5質量%含有することが好ましく、より好ましくは、0.05〜1質量%である。
【0010】
<2>本発明の皮膚外用剤の必須成分である有機変性粘土鉱物
本発明の皮膚外用剤は有機変性粘土鉱物を必須成分として含有することを特徴とする。ここで有機変性とは、粘土鉱物の一部に有機化合物の一部を共有結合乃至はイオン結合を介して強固乃至は緩やかな結合を生ぜしめ、有機化合物の性質の一部乃至は全部を粘土鉱物に付与させることを意味し、この様な変性としては4級アミン基と粘土鉱物のアニオン部分を結合させる方法、カルボキシル基と粘土鉱物のカチオン部分を結合させる方法等が例示でき、4級アミン基と粘土鉱物のアニオン部分を結合させる方法が特に好ましく例示できる。
【0011】
粘土鉱物を変性させる4級アミノ基を有する化合物としては、特に限定されるわけではないが、クオタニウムと称される化合物が例示される。クオタニウムとは、低分子の置換第4級アンモニウム塩であって、国際基準化粧品原材料(INCI)に登録された化粧料原料が好ましい。さらに、粘土鉱物を変性させる4級アミノ基を有する化合物は、クオタニウム化合物のなかでも、従来の皮膚外用剤に含有されるクオタニウム化合物であることが好ましい。従来の皮膚外用剤で使用されているクオタニウム化合物としては、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、ジメチルジステアリルアンモニウムクロリド等が好ましく例示される。ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、ジメチルジステアリルアンモニウムクロリド等は、粘土鉱物とともに安定な油中水性成分乳化構造を形成することができるので好ましい。特に、水性成分が水中油乳化物であった場合には、前記水中油乳化物にあまり影響を与えずに連続相を油相とする乳化物を形成できるので、油中水中油乳化剤形には好ましい。
【0012】
一方、4級アミノ基を有する化合物で変性される粘土鉱物(未変性粘土鉱物)としては、従来の皮膚外用剤に含有される粘土鉱物であれば特段の限定無く使用することができる。従来の皮膚外用剤に含有される粘土鉱物としては、スメクタイト系のヘクトライト、ベントナイトやモンモリロナイト;カオリナイト;イライト;マリーン粘土鉱物(海泥);デザートローズ粘土鉱物;パスカライトなどが好ましく挙げられる。これらのうち、油中水乳化構造を安定化させることができるベントナイト、ヘクトライト、モンモリロナイト又はカオリナイトが好ましく例示される。
【0013】
本発明の皮膚外用剤に含有される4級アミノ基を有する化合物で変性された粘土鉱物の製造方法の一例を以下に説明する。
前記未変性粘土鉱物を分散媒に分散させる。該分散剤は水系の溶媒であることが好ましく、水であってもよい。分散未変性粘土鉱物を含む分散液に、さらに4級アミノ基を有する化合物を加え、よく撹拌する。4級アミノ基を有する化合物は、水に溶解されて加えられてもよい。加えられる4級アミノ基を有する化合物の量は、分散未変性粘土鉱物の量に対して0.1〜20質量%であることが好ましく、0.5〜15質量%であることがより好ましい。この様な構成を取ることにより、乳化系において、好ましい使用感を呈するためである。撹拌後、分散質を濾取し、脱水、乾固することにより本発明における変性粘土鉱物を得ることができる。あるいは、分散質を濾取することなく、減圧濃縮することにより分散剤を除去して乾固させることにより、本発明における変性粘土鉱物を得ることもできる。得られた変性粘土鉱物は、好ましくは所望のサイズ(粒径が1〜1000μmであることが好ましい)に粉砕され、本発明の皮膚外用剤に含有される。
【0014】
本発明における変性粘土鉱物は、前述したように調製して使用されることもできるが、市販されているものを使用することもできる。市販されている変性粘土鉱物には、化粧料などの皮膚外用剤などとして用いられているものもある。市販されている変性粘土鉱物としては、例えば、エレメンティス社より「ベントン38V」の名称で販売されている、ジメチルジステアリルアンモニウム変性ヘクトライトなどが好ましく例示される。
【0015】
本発明の皮膚外用剤においては、かかる成分は0.5〜10質量%好ましく含有され、より好ましくは1〜5質量%含有される。かかる範囲において、前記トリテルペン類の溶状を安定させて、油中水乳化剤形へと製剤化することが出来る。ここで、本発明に言う油中水乳化剤形とは、最外相に油相が存在する乳化剤形の総称であり、油相中に水相滴が分散する形態、油相中に水中油乳化滴が分散する形態の何れも採用しうる。
【0016】
<3>本発明の皮膚外用剤
本発明の皮膚外用剤は前記の必須成分を含有し、油中水乳化剤形を取ることを特徴とする。この様な乳化剤形においては前記トリテルペン類は連続相である油相と乳化滴との界面に存すると考えられるが、この様な位置に存在することにより、極端な低温においても結晶化することが抑制される。これは界面配位により結晶成長が抑制されるためと考えられる。この様な界面配位作用はトリテルペン酸のリン酸エステルにおいて特に著しく、この意味でトリテルペン酸類としては、トリテルペン酸のリン酸エステルを用いることが好ましく、より好ましくはウルソール酸のリン酸エステルである。
【0017】
本発明の皮膚外用剤では、油中水乳化剤形という剤形を取る限りにおいて、通常皮膚外用で含有される任意成分を含有することが出来る。この様な任意成分としては、例えば、マカデミアナッツ油、アボガド油、トウモロコシ油、オリーブ油、ナタネ油、ゴマ油、ヒマシ油、サフラワー油、綿実油、ホホバ油、ヤシ油、パーム油、液状ラノリン、硬化ヤシ油、硬化油、モクロウ、硬化ヒマシ油、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、イボタロウ、ラノリン、還元ラノリン、硬質ラノリン、ホホバロウ等のオイル、ワックス類;流動パラフィン、スクワラン、プリスタン、オゾケライト、パラフィン、セレシン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素類;オレイン酸、イソステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸等の高級脂肪酸類;セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オクチルドデカノール、ミリスチルアルコール、セトステアリルアルコール等の高級アルコール等;イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸ヘキシルデシル、アジピン酸ジイソプロピル、セバチン酸ジ−2−エチルヘキシル、乳酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタンエリトリット等の合成エステル油類;ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン;オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサンシロキサン等の環状ポリシロキサン;アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等の変性ポリシロキサン等のシリコーン油等の油剤類;アシル化酸性アミノ酸のジエステル、脂肪酸セッケン(ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等)、ラウリル硫酸カリウム、アルキル硫酸トリエタノールアミンエーテル等のアニオン界面活性剤類;塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイド等のカチオン界面活性剤類;イミダゾリン系両性界面活性剤(2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等)、ベタイン系界面活性剤(アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)、アシルメチルタウリン等の両性界面活性剤類;ソルビタン脂肪酸エステル類(ソルビタンモノステアレート、セスキオレイン酸ソルビタン等)、グリセリン脂肪酸類(モノステアリン酸グリセリン等)、プロピレングリコール脂肪酸エステル類(モノステアリン酸プロピレングリコール等)、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル、POEソルビタン脂肪酸エステル類(POEソルビタンモノオレエート、モノステアリン酸ポリオキエチレンソルビタン等)、POEソルビット脂肪酸エステル類(POE−ソルビットモノラウレート等)、POEグリセリン脂肪酸エステル類(POE−グリセリンモノイソステアレート等)、POE脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコールモノオレート、POEジステアレート等)、POEアルキルエーテル類(POE2−オクチルドデシルエーテル等)、POEアルキルフェニルエーテル類(POEノニルフェニルエーテル等)、プルロニック型類、POE・POPアルキルエーテル類(POE・POP2−デシルテトラデシルエーテル等)、テトロニック類、POEヒマシ油・硬化ヒマシ油誘導体(POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油等)、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシド等の非イオン界面活性剤類;ポリエチレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジグリセリン、イソプレングリコール、1,2−ペンタンジオール、2,4−ヘキサンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール等の多価アルコール類;ピロリドンカルボン酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム等の保湿成分類;表面を処理されていても良い、マイカ、タルク、カオリン、合成雲母、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水ケイ酸(シリカ)、酸化アルミニウム、硫酸バリウム等の粉体類、;表面を処理されていても良い、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化コバルト、群青、紺青、酸化チタン、酸化亜鉛の無機顔料類;表面を処理されていても良い、雲母チタン、魚燐箔、オキシ塩化ビスマス等のパール剤類;レーキ化されていても良い赤色202号、赤色228号、赤色226号、黄色4号、青色404号、黄色5号、赤色505号、赤色230号、赤色223号、橙色201号、赤色213号、黄色204号、黄色203号、青色1号、緑色201号、紫色201号、赤色204号等の有機色素類;ポリエチレン末、ポリメタクリル酸メチル、ナイロン粉末、オルガノポリシロキサンエラストマー等の有機粉体類;パラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤;アントラニル酸系紫外線吸収剤;サリチル酸系紫外線吸収剤、;桂皮酸系紫外線吸収剤、;ベンゾフェノン系紫外線吸収剤;糖系紫外線吸収剤;2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、4−メトキシ−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン等の紫外線吸収剤類;エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール類;ビタミンA又はその誘導体、ビタミンB6塩酸塩、ビタミンB6トリパルミテート、ビタミンB6ジオクタノエート、ビタミンB2又はその誘導体、ビタミンB12、ビタミンB15又はその誘導体等のビタミンB類;α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、ビタミンEアセテート等のビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸、パンテチン、ピロロキノリンキノン等のビタミン類等;フェノキシエタノール等の抗菌剤などが好ましく例示できる。これらの内、特に好ましいものとしては、アシル化酸性アミノ酸のジエステルが例示できる。この様なアシル化酸性アミノ酸のジエステルとしては、N−アシル(炭素数10〜30)化グルタミン酸のジアルキル(炭素数1〜30)エステルが特に好ましく例示できる。かかる成分を構成するアシル基としては、飽和でも、不飽和でも良く、例えば、2−エチルヘキサノイル基、ラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、ベヘノイル基、オレオイル基、イソステアロイル基、リノレノイル基などが好適に例示でき、特に好ましいものはラウロイル基である。又、ジアルキルエステルを構成するアルキル基としては、分岐でも、直鎖でも、環状構造を有するものでも良く、例えば、オクチル基、ラウリル基、セチル基、ステアリル基、イソステアリル基、ベヘニル基、オクチルドデシル基、カンペステリル基やシトステリル基等のフィトステリル基、コレステリル基などが好適に例示できる。具体的な化合物例としては、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル/ベヘニル/オクチルドデシル)、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル/オクチルドデシル)、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル/ベヘニル/オクチルドデシル)、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)等が好適に例示でき、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル/オクチルドデシル)が特に好適に例示できる。かかるN−アシル化グルタミン酸ジエステルは、グルタミン酸とアシルクロリドをアルカリ存在下縮合させ、N−アシルグルタミン酸と為し、しかる後、塩基又は酸の存在下、所望により溶剤を存在させ、対応するアルコールと脱水縮合せしめ製造することが出来る。N−アシル化グルタミン酸のジエステルはこの様に合成したものを使用することも出来るが、既に化粧料原料などとして市販されているものも存し、この様な市販品を購入し利用することも出来る。特に好ましい市販品としては味の素株式会社より販売されている「エルデュウPS203」(N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルデシル))、「エルデュウCL−301」(N−ラウロイルグルタミン酸ジ(コレステリル/ベヘニル/オクチルドデシル))、「エルデュウCl−202」(N−ラウロイルグルタミン酸ジ(コレステリル/オクチルドデシル))、「エルデュウPS−304」(N−ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/ベヘニル/オクチルドデシル))などが例示でき、中でも、「エルデュウPS203」が特に好ましい。が例示できる。かかる成分は唯一種含有させることも出来るし、二種以上を組み合わせて含有させることも出来る。好ましい含有量は、総量で、皮膚外用剤全量に対し、0.005〜5質量%であり、より好ましくは0.01〜1質量%である。
【0018】
以下に、実施例を挙げて、更に詳細に本発明について説明を加える。
【実施例1】
【0019】
以下に示す処方に従って、本発明の皮膚外用剤である、油中水乳化剤形である化粧料を製造した。即ち、イ、ロ、ハの成分を80℃に加温し、イの中にニを加えて溶解させ、混練りしてゲルを形成させ、これにロを加え希釈し、これに攪拌下徐々にハを加えて乳化し、攪拌冷却して、本発明の皮膚外用剤である、油中水乳化剤形の化粧料1を得た。
【0020】
【表1】

【0021】
<比較例1>
比較例1として、有機変性粘土鉱物によらない油中水乳化剤形である、ジグリセリン脂肪酸エステルとマルチトールによる油中水乳化剤形の化粧料を作成した。即ち、イ、ロ、ハ、ニの成分を秤量し、イを80℃に加熱し、ニを加えて可溶化し、しかる後に良く混練りした後、これにロの成分を加えて希釈し、80℃に温度調整した後、予め80℃に温度調整しておいたハの成分を攪拌下徐々に加え、攪拌冷却し、比較例1を得た。
【0022】
【表2】

【0023】
<比較例3>
実施例1、比較例1と同様に、下記に示す処方に従って水中油乳化剤形の比較例2を作成した。即ち、イ、ロの成分を80℃に加熱し、攪拌下イに徐々にロを加え、攪拌冷却して水中油乳化剤形の比較例2を得た。
【0024】
【表3】

【0025】
<試験例1>
化粧料1と、比較例1、比較例2について、経時変化を観察した。即ち、これらの検体を−15℃→5℃→−15℃の温度周期変動保存庫(保持時間24時間、昇温時間24時間、降温時間24時間の低温エージング)に3ヶ月保存し、これを20℃に戻した後、20mgをスライドグラス(2×5cm)に取り、上からスライドグラスをかぶせ、スライドグラスで挟まれた部分における、ゲル状塊(半透明に抜ける部分)、固形析出物(白く際だつ部分)を計数した。計数は5視野の平均を取った。結果を表4に示す。これより、本発明の皮膚外用剤に於いては、特異的にトリテルペン類が界面に配位し、固形物の析出が抑制されていることが分かる。
【0026】
【表4】

【実施例2】
【0027】
化粧料1のウルソール酸リン酸エステルを他のトリテルペン類に置き換えて、同様の検討を行った。試験例1による評価結果を表6に示す。何れも、化粧料1と同様の効果を示しているが、安定性の点ではウルソール酸リン酸エステルが特に好ましいことが分かる。
【0028】
【表5】

【0029】
【表6】

【実施例3】
【0030】
化粧料1と同様に次に示す処方に従って、油中水乳化剤形の化粧料6を作成した。試験例1の評価では、ゲル状塊の出現が2.5で固形析出物は0であった。アシル化グルタミン酸のジエステルを含有することが好ましいことが分かる。
【0031】
【表7】

【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は化粧料などの皮膚外用剤に応用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トリテルペン乃至はその関連物質を含有することを特徴とする油中水乳化剤形の皮膚外用剤。
【請求項2】
前記トリテルペン乃至はその関連物質は、ベツリン、ベツリン酸、オレアノール酸、ウルソール酸、ウルソール酸のエステル、ウルソール酸の鉱酸エステル及びこれらの塩であることを特徴とする、請求項1に記載の皮膚外用剤。
【請求項3】
前記皮膚外用剤は、有機変性粘土鉱物を含有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の油中水乳化剤形の皮膚外用剤。
【請求項4】
前記皮膚外用剤は、セラミドを含有することを特徴とする、請求項1〜3何れか1項に記載の油中水乳化剤形の皮膚外用剤。
【請求項5】
前記皮膚外用剤は、アシル化酸性アミノ酸のジエステルを含有することを特徴とする、請求項1〜4何れか1項に記載の皮膚外用剤。

【公開番号】特開2009−35512(P2009−35512A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−201909(P2007−201909)
【出願日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【出願人】(000113470)ポーラ化成工業株式会社 (717)
【Fターム(参考)】