説明

乳幼児用調合乳におけるDPA(n−6)油の使用

ドコサペンタエン酸n-6(「DPA(n-6)」)および他の多価不飽和脂肪酸を含有する乳幼児用調合乳組成物、ならびにその調製および使用のための方法を提供する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、多価不飽和脂肪酸を有する乳幼児用調合乳を調製する方法、および対応する乳幼児用調合乳組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
乳児および幼児のために、例えば、ω-3長鎖多価不飽和脂肪酸(ω-3 LC-PUFA)、およびω-6長鎖多価不飽和脂肪酸(ω-6 LC-PUFA)を含む有益な長鎖多価不飽和脂肪酸(LC-PUFA)の食餌摂取量を増加させることが好ましい。本明細書で使用する際、長鎖多価不飽和脂肪酸またはLC-PUFAへの言及は、18個またはそれ以上の炭素を有する多価不飽和脂肪酸のことを指す。ω-6およびω-3長鎖多価不飽和脂肪酸(LC-PUFA)に起因する臨床的恩恵の認識は、乳幼児用食餌におけるこれらの脂肪酸の使用を増加させる努力を刺激してきた(Carlson and Forsythe 2001 Curr. Op. Clin. Nutr. Metab. Care 4, 123-126;Birch et al. 2000 Develop. Med. Child Neuro. 42, 174-181)。さらに、母親用補助食品、ならびに他のタイプの栄養補助食品および食物に対するω-3 LC-PUFAの臨床的恩恵もまたよく認識されている(Barclay and Van Elswyk 2000, FUNCTIONAL FOODS 2000, Angus, F. and Miller C., eds., pp. 60-67, Leatherhead Publishing, Surrey)。
【0003】
脂肪酸は、炭素鎖の長さおよび飽和特性に基づいて分類される。本明細書で使用する際、脂肪酸は、トリアシルグリセロール、ジアシルグリセロール、モノアシルグリセロール、リン脂質、遊離脂肪酸、エステル化脂肪酸、およびこれらの脂肪酸の天然または合成誘導体形態(例えば、脂肪酸のカルシウム塩、エチルエステルなど)を含むがそれらに限定されない種々の形態における脂肪酸を含む。短鎖脂肪酸は2〜約7個の炭素を有し、典型的には飽和性である。中鎖脂肪酸は約8〜約17個の炭素を有し、飽和性であってもまたは不飽和性であってもよい。長鎖脂肪酸は18〜24個またはそれ以上の炭素を有し、同じく飽和性であってもまたは不飽和性であってもよい。より長鎖の脂肪酸においては一つまたは複数の不飽和箇所が存在してもよく、それぞれ「一不飽和」および「多価不飽和」という用語の元になっている。長鎖PUFA(LC-PUFA)は本発明において特に関心対象である。
【0004】
LC-PUFAは、十分に理解されている命名法にしたがって、脂肪酸における二重結合の数および位置により類別される。脂肪酸のメチル末端に最も近い二重結合の位置に依存して、LC-PUFAの2種類の一般的な系列またはファミリーが存在する:n-3(またはω-3またはオメガ-3)系列は3番目の炭素に二重結合を含有し、一方n-6(またはω-6またはオメガ-6)系列は6番目の炭素まで二重結合を有さない。したがって、ドコサヘキサエン酸(「DHA」)は、メチル末端から3番目の炭素より始まる6個の二重結合を伴う22個の炭素の鎖長を有し、「22:6 n-3」と称される。他の重要なω-3 LC-PUFAは、「20:5 n-3」と称されるエイコサペンタエン酸(「EPA」)、および「22:5 n-3」と称されるドコサペンタエン酸n-3(「DPA(n-3)」)を含む。さらに、ω-6 LC-PUFAが本発明と関連して使用される。例えば、「20:4 n-6」と称されるアラキドン酸(「ARA」)および「22:5 n-6」と称されるドコサペンタエン酸n-6(「DPAn-6」)が適する。
【0005】
ω-3脂肪酸およびω-6脂肪酸のデノボまたは「新たな」合成はヒトの体内では起きない。ω-3およびω-6脂肪酸についての前駆体脂肪酸は、それぞれα-リノレン酸(18:3n-3)およびリノール酸(18:2n-6)である。これらの脂肪酸は必須脂肪酸であり、ヒトはそれらを合成できないため食餌において消費される必要がある。ヒトは、分子のω末端から数えて7番目の炭素原子よりもω末端の近くに二重結合を挿入することができない。しかしながら、体は、非常に低い効率ではあるが、α-リノレン酸およびリノール酸をそれぞれDHAおよびARAなどのLC PUFAに変換することができる。すべての代謝的変換は、ω-3およびω-6二重結合を含有する分子のω末端を変化させることなく起きる。したがって、ω-3およびω-6酸はヒトの体において相互変換可能ではないため、2種類の別々の脂肪酸のファミリーである。
【0006】
満期産児および早産児は両方とも、それぞれの必須脂肪酸からLC-PUFAを合成することができるが、母乳を与えられている乳幼児は調合乳を与えられている乳幼児よりも高いこれらのLC-PUFAの血漿濃度を有するという事実に、議論が集まっている。この情報は、DHAおよびARAの血漿含量は他の組織において利用可能である全体の脂肪酸プールの非常に小さい画分に過ぎないが、調合乳を与えられている乳幼児が継続した必要性を満たすのに十分なこれらの脂肪酸を合成できないことを暗示するように解釈され得た。乳幼児用調合乳へのDHAの添加により乳幼児の視覚機能が改善され、DHAおよびARA両方の添加により認知の発達が改善されかつ正常な乳幼児の成長が促進されることが示されている。DHAおよびDPA(n-6)の両方を含有する油、ならびにARAを含有する油の供給源が栄養的使用のために開発され、ヒトの母乳において見いだされるLC-PUFAプロファイルにより良好に匹敵するように乳幼児用調合乳における使用について示唆されている。
【0007】
DHAおよびARAの供給源としてマグロ油または卵脂質を使用する乳幼児用調合乳は、非常に少量のDPA(n-6)を含有する可能性がある。乳幼児用調合乳における卵黄油および魚油の使用は、Clandininの米国特許第4,670,285号により提案された。彼は、ヒトの乳における脂肪酸全体の約0.07%に相当する100 mlあたり約1.7 mgのDPA(n-6)をヒトの母乳が提供することを報告した(表2)。
【0008】
アラキドン酸は、その伸長産物であるドコサテトラエン酸およびドコサペンタエン酸と共に、ヒトの母乳における天然の存在を認め、ドコサヘキサエン酸に加えて乳幼児用食餌に含まれることが示唆されている(Specter 1994)。DPA(n-6)はヒトの母乳において脂肪酸全体の約0.1%見いだされる(Koletzko et al. 1992, J. Pediatrics. 120, S62-S70)。DPA(n-6)は典型的には、心臓(Rocquelin et al. 1989 Lipids 24, 775-780)、脳(Svennerholm et al. 1978, J. Neurochem. 30, 1383-1390;O'Brien et al. 1965 J. Lipid Res. 6, 545-551)、肝臓(Salem 1989 Omega-3 Fatty Acids: Molecular and Biochemical Aspects, in NEW PROTECTIVE ROLES FOR SELECTED NUTRIENTS, (Spiller, G. A. and Scala, J., eds.), pp.109-228, Alan R. Liss, New York.)、赤血球(Sanders et al. 1978 Am. J. Clin. Nutr. 31, 805-813;Sanders et al. 1979 Br. J. Nutr. 41, 619-623)、および脂肪組織(Clandinin et al. 1981, Early Human Development 5, 355-366)を含むヒトの体における組織の成分である。DPA(n-6)は、ヒト脳の皮質において長鎖ω-6脂肪酸の9%に相当し、眼の網膜において長鎖ω-6脂肪酸の5%に相当する(Makrides et al. 1994 Am. J. Clin. Nutr. 60, 189-194)。ヒトにおいて、DHAおよびDPA(n-6)は、それぞれn-3およびn-6脂肪酸経路における最終的な伸長産物に相当する。ヒトのためのDHAの同じ食餌供給源の多くはDPA(n-6)も含む。成人および子供のための食餌におけるDPA(n-6)の主要な供給源は、家禽(肉および卵)ならびにシーフードである(Taber et al. 1998 Lipids 33(12), 1151-1157;Nichols et al. 1998 SEAFOOD: THE GOOD FOOD: THE OIL (FAT) CONTENT AND COMPOSITION OF AUSTRALIAN COMMERCIAL FISHES, SHELLFISHES AND CRUSTACEANS. CSIRO Marine Research, Hobart, Australia)。
【0009】
多数の組織が、乳幼児用調合乳におけるLC-PUFAのレベルについての推奨を提供する。例えば、国際脂肪酸・脂質研究学会(International Society for the Study of Fatty Acids and Lipids:ISSFAL)は、乳幼児用調合乳が、予め形成されたアラキドン酸およびその関連する長鎖ω-6形態(22:4(n-6)および22:5(n-6))として60〜100 mg/kg/日を提供することを、1994年に推奨した。ISSFAL Board of Directors, ISSFAL Newsletter :4-5 (1994)。ISSFALは、LC-PUFAの十分な摂取を確実にするために、乳幼児用調合乳におけるLC-PUFAについて以下の推奨を1999年に行った:リノール酸、18:2n-6、10%;α-リノレン酸、18:3、1.50%;アラキドン酸、20:4n-6、0.50%;ドコサヘキサエン酸、22:6n-3、0.35%;エイコサペンタエン酸、20:5n-3、0.10%。このセットの推奨においてDPA(n-6)についての推奨は無かった。(Simopoulos et al., J Am Coll Nutr 18(5): 487 (1999)を参照されたい。)
【0010】
長鎖ω-3脂肪酸(DHAおよびEPA)についての確立された推奨1日摂取量(RDI)は、200 mg/日(COMA(Committee on Medical Aspects of Food Policy) (1994). Annual Report. London: Department of Health)〜1.2 g/日(Nordic Council of Ministers (1989). Nordic Nutrition Recommendations, Second Edition)にわたる。これらのRDIは、成人について3〜20 mg DHA+EPA/kg/日のDHA/EPA摂取量の範囲に相当する。DPA(n-6)についてのRDIは確立されていないが、比較の目的のための参照摂取量が、ヒトの母乳におけるDPA(n-6)含量についてのデータより収集され得る。母乳におけるDPA(n-6)の約0.1%(脂肪酸全体の)の報告された平均レベルに基づいて(Carlson et al. 1986 Am. J. Clin. Nutr. 44, 798-804)、32 g/リットルの脂肪を含有する0.8〜1.0リットルの乳/日を消費する3 kgの母乳を与えている乳幼児は、約26〜32 mg/日のDPA(n-6)、または約10 mg DPA(n-6)/kg/日を消費すると考えられる。食物における組み合わされたDHAおよびDPA(n-6)の摂取に関連して、ヒトの母乳のPUFA含量が母親の食餌の脂肪酸組成物の指標であることは周知である(Chen et al. 1994 Lipids 30, 15-21;Jensen 1996 Prog. Lipid Res. 35, 53-91)。Chen et al. Lipids 32, 1061-1067 (1997)は最近、「西洋化された」食餌を取る中国人女性の集団と「伝統的な」中国の食餌を取る集団との間で母乳の脂肪酸組成物における差異を調査した。「伝統的な」食餌を取る女性は、7個の卵、220 gの鶏肉、および54 gの豚肉、および11 gの魚を1日平均で消費した。Taber (1998)およびNichols et al. (1998)に基づくと、これは約158 mg/日の1日DPA(n-6)摂取量に相当すると考えられる。「西洋化された」食餌を取る女性は、約32 mg/日のDPA(n-6)摂取量に相当する(Taber 1998;Nichols et al. 1998)1個の卵、44 gの鶏肉、29 gの豚肉、および26 gの魚を1日あたり消費した。伝統的な食餌におけるDPA(n-6)は西洋化された食餌におけるよりも5倍高いと概算されたが、「伝統的な」食餌を取る女性の母乳のDPA(n-6)含量(脂肪酸全体の0.10重量%)は、「西洋化された」食餌を取る女性の母乳のDPA(n-6)含量(脂肪酸全体の0.09重量%)と有意には異ならなかった。ARAレベルは伝統的食餌を取る女性の母乳においてより高かった(脂肪酸全体の0.76対0.61重量%)が、統計学的には異ならなかった。これは、DHAとの組み合わせで消費された際にDPA(n-6)の最小の蓄積が存在すること、およびDPA(n-6)がARAレベルを維持するのを助ける可能性があることを示す。乳幼児において最も重要なことに、この高いレベルのDPA(n-6)の摂取(mg/kg体重の点で)は、脳および神経組織が急速に発達している時期の間に起きる。これはまた、DHAの蓄積が、DPA(n-6)よりも数倍高いヒトの母乳のDHA含量と共に乳幼児において最高点に達する時である。
【0011】
DPA(n-6)は、β-酸化を介してアラキドン酸に逆変換(retroconvert)し得ることが公知である(Stoffel et al. 1970 Hoppe-Seyler's Z. Physiol. Chem. 351, 1545-1554)。DPA(n-6)のARAへの逆変換は、ラット肝臓調製物において同位体標識脂肪酸を用いた実験により測定されたように、逆鎖伸長ではなく、むしろ水素付加および鎖の短縮を含む部分的分解である。DHAを伴うDPA(n-6)付随物を食餌として与えることは、DHA単独で与えられる際に見られる血漿ARAの急速な減少を回避することが示唆されている。しかしながら、ARAを与えることが減少され得ることは示唆されていない。
【0012】
ARAは一般に、乳幼児用調合乳に最も高い濃度で添加されるLC-PUFAである。健康および規制組織からの現在の推奨は、ARAおよびDHAが約2:1〜1:1(ARA:DHA)の概算の比で乳幼児用調合乳に添加されるべきであることを示唆している。DHAなどのω-3 LC-PUFAの高い食餌摂取量はDHA含量における増加をもたらすが、またARAの血漿レベルを減少させることが公知である。したがって、DHA投与に起因するARA血漿レベルの低下を補償するために、ARAがこれらのレベルで乳幼児用調合乳に添加される。LC-PUFAを含有する乳幼児用調合乳は、LC-PUFA原料の付加されたコストのために、標準的な乳幼児用調合乳よりも高価であり得る。
【0013】
増加した生産効率を有してDHAおよびARAの補給の恩恵を提供する様式において、乳幼児用調合乳を強化することが望ましいと考えられる。これらおよび他の必要性は、本発明により応えられる。
【発明の概要】
【0014】
本発明は、現在推奨されているレベルまたは目標よりも低いが、それにもかかわらず、乳幼児用調合乳がDHAなどのω-3脂肪酸を含有する際に起きると考えられるARA血漿レベルの関連する低下を有意に低減または予防するARAレベルを有する乳幼児用調合乳を提供する。さらに、本発明は、およそ現在推奨されているレベルまたは目標であるが、現在の製品と比較して増大された血漿ARAレベルを提供するARAレベルを有する乳幼児用調合乳を提供する。ARAは、正常な成長、体重、免疫の発達、および神経系の発達に重要である;したがって、ARA血漿レベルの低下を低減または予防することは、正常な乳幼児の成長、体重、免疫系の発達、および神経系の発達を維持する。DHAなどのω-3脂肪酸を含有する乳幼児用調合乳は、乳幼児においてARAの血漿レベルの減少を引き起こし、したがって、この減少を回避するためにARAが乳幼児用調合乳に添加される。いくつかの態様において、本発明は、DHAによるARA血漿レベルの減少を補償するために、一般に母乳に存在する脂肪酸であるDPA(n-6)で、DHAが補給された乳幼児用調合乳を強化するための方法を提供する。これは下記で詳細に説明される。
【0015】
一つの態様において、本発明は乳幼児用調合乳組成物を提供し、乳幼児用調合乳組成物は、乳幼児による消費の準備ができている際に、長鎖n-3脂肪酸および長鎖n-6脂肪酸を含み、該長鎖n-3脂肪酸はドコサヘキサエン酸(DHA)を含み、該長鎖n-6脂肪酸はドコサペンタエン酸(DPA(n-6))および任意でアラキドン酸(ARA)を含む。本態様において、ARA:DHAの比は約3:1未満であり、かつDHA:DPA(n-6)比は約5:1〜約0.5:1である。
【0016】
本発明はまた、栄養成分、長鎖n-3脂肪酸、および長鎖n-6脂肪酸を組み合わせる段階を含む、乳幼児用調合乳組成物を調製する方法を提供し、本方法では、該長鎖n-3脂肪酸がDHAを含み、該長鎖n-6脂肪酸がARAおよびDPA(n-6)を含み、ARA:DHAの比が約3:1未満であり、かつDHA:DPA(n-6)比が約5:1〜約0.5:1である。本方法により調製される乳幼児用調合乳組成物もまた、本発明に含まれる。
【0017】
これらの態様のある特定の局面において、ARA:DHAの比は、約2.95:1未満、約2.85:1未満、約2.9:1未満、約2.8:1未満、約2.75:1未満、約2.5:1未満、約2.25:1未満、約2:1未満、約1.95:1未満、約1.9:1未満、約1.85:1未満、約1.8:1未満、または約1.75:1未満である。他の態様において、ARA:DHAの比は約0.4:1より大きい。さらに他の態様において、組成物はARAを含まない。
【0018】
これらの態様のある特定の局面において、DHA:DPA(n-6)比は、約5:1〜約3:1、約5:1〜約2:1、約5:1〜約1:1、約4:1、約3:1、約2:1、約1:1、または約0.5:1である。
【0019】
これらの態様のある特定の局面において、乳幼児用調合乳組成物中の長鎖n-6脂肪酸は供給源油において供給され、該供給源油は少なくとも約2重量%のDPA(n-6)を含む長鎖n-6脂肪酸を含む。他の態様において、供給源油は、少なくとも約5重量%のDPA(n-6)、少なくとも約10重量%のDPA(n-6)、少なくとも約15重量%のDPA(n-6)、少なくとも約20重量%のDPA(n-6)、少なくとも約25重量%のDPA(n-6)、少なくとも約30重量%のDPA(n-6)、少なくとも約40重量%のDPA(n-6)、または少なくとも約50重量%のDPA(n-6)を含む長鎖n-6脂肪酸を含む。
【0020】
これらの態様のある特定の局面において、組成物は、少なくとも約7 mg/LのDPA(n-6)、少なくとも約13 mg/LのDPA(n-6)、少なくとも約26 mg/LのDPA(n-6)、少なくとも約40 mg/LのDPA(n-6)、少なくとも約53 mg/LのDPA(n-6)、少なくとも約66 mg/LのDPA(n-6)、少なくとも約80 mg/LのDPA(n-6)、少なくとも約100 mg/LのDPA(n-6)、少なくとも約120 mg/LのDPA(n-6)を含む。他の態様において、組成物は、約240 mg/L未満のDPA(n-6)、約220 mg/L未満のDPA(n-6)、または約200 mg/L未満のDPA(n-6)を含む。他の態様において、組成物は、任意の前記の最小値および最大値の任意の組み合わせにより形成される種々の範囲のDPA(n-6)を含む。
【0021】
これらの態様のある特定の局面において、乳幼児用調合乳組成物は、少なくとも20 mg/LのDHAまたは少なくとも40 mg/L DHAを含む。他の態様において、乳幼児用調合乳組成物は、約40〜約140 mg/LのDHA、約20〜約200 mg/LのDHAを含む。他の態様において、組成物は、約140 mg/L未満のDHAまたは約200 mg/L未満のDHAを含む。他の態様において、組成物は、任意の前記の最小値および最大値の任意の組み合わせにより形成される種々の範囲のDHAを含む。
【0022】
これらの態様のある特定の局面において、乳幼児用調合乳組成物は、約0.37 mg/Lのコレステロール〜約500 mg/Lコレステロールを含む。他の態様において、乳幼児用調合乳組成物は、約0.37 mg/Lのコレステロール〜約300 mg/Lコレステロール、約0.37 mg/Lのコレステロール〜約100 mg/Lコレステロール、約0.37 mg/Lのコレステロール〜約50 mg/Lコレステロール、または約0.37 mg/Lのコレステロール〜約10 mg/Lコレステロールを含む。これらの態様のある特定の局面において、乳幼児用調合乳組成物は、約0.37 mg/Lのコレステロール〜約3.75 mg/Lコレステロールを含む。いくつかの態様において、乳幼児用調合乳組成物は、約0.5 mg/Lより多いコレステロールを含む。いくつかの態様において、乳幼児用調合乳組成物は、約0.37 mg/Lコレステロール、約0.75 mg/Lコレステロール、約1.5 mg/Lコレステロール、約2.3 mg/Lコレステロール、約3 mg/Lコレステロール、または約3.75 mg/Lコレステロールを含む。ある特定の局面において、コレステロールは、長鎖ω-3または長鎖ω-6脂肪酸を含有する微生物油の形態で提供される。
【0023】
これらの態様のある特定の局面において、乳幼児用調合乳組成物は、約3 mg/L未満の量のエイコサペンタエン酸(EPA)を含む。ある特定の局面において、乳幼児用調合乳組成物は、約60 mg/L未満の量のEPAを含む。他の局面において、乳幼児用調合乳組成物は、約15 mg/L〜約30 mg/L EPAを含む。いくつかの態様において、EPA:DHA比は、1:1までの比で提供される。
【0024】
これらの態様のある特定の局面において、乳幼児用調合乳組成物は、乳幼児に与えられる際に少なくとも約2 mg/kg/日DPA(n-6)を提供するように調合されている。いくつかの態様において、乳幼児用調合乳組成物は、乳幼児に与えられる際に約3 mg/kg/日DPA(n-6)〜約8 mg/kg/日DPA(n-6)を提供するように調合されている。
【0025】
さらなる態様において、本発明は、長鎖n-6脂肪酸およびDHAを含む乳幼児用調合乳組成物を提供し、該乳幼児用調合乳組成物中の該長鎖n-6脂肪酸は供給源油において供給され、該供給源油は少なくとも約2重量%のDPA(n-6)を含む長鎖n-6脂肪酸を含み、該乳幼児用調合乳組成物におけるDHA:DPA(n-6)比は約10:1〜約0.5:1であり、かつ該乳幼児用調合乳組成物は乳幼児に与えられる際に少なくとも約2 mg/kg/日DPA(n-6)を提供するように調合されている。
【0026】
本発明はまた、栄養成分、DHA、および長鎖n-6脂肪酸を組み合わせる段階を含む、乳幼児用調合乳組成物を調製する方法を提供し、本方法では、該乳幼児用調合乳組成物中の該長鎖n-6脂肪酸は供給源油において供給され、該供給源油は少なくとも約2重量%のDPA(n-6)を含む長鎖n-6脂肪酸を含み、該乳幼児用調合乳組成物におけるDHA:DPA(n-6)比は約5:1〜約0.5:1である。本方法は、乳幼児に与えられる際に少なくとも約2 mg/kg/日DPA(n-6)を提供する調合物を提供するように設計される。本方法により調製される乳幼児用調合乳組成物もまた、本発明に含まれる。
【0027】
これらの態様のある特定の局面において、乳幼児用調合乳組成物中の長鎖n-6脂肪酸は供給源油において供給され、該供給源油は少なくとも約2重量%のDPA(n-6)を含む長鎖n-6脂肪酸を含む。他の態様において、供給源油は、少なくとも約5重量%のDPA(n-6)、少なくとも約10重量%のDPA(n-6)、少なくとも約15重量%のDPA(n-6)、少なくとも約20重量%のDPA(n-6)、少なくとも約25重量%のDPA(n-6)、少なくとも約30重量%のDPA(n-6)、少なくとも約40重量%のDPA(n-6)、または少なくとも約50重量%のDPA(n-6)を含む長鎖n-6脂肪酸を含む。
【0028】
これらの態様の他の局面において、長鎖n-6脂肪酸はARAを含み、ARA:DHAの比は約3:1未満である。いくつかの態様において、ARA:DHAの比は、約2.95:1未満、約2.85:1未満、約2.9:1未満、約2.8:1未満、約2.75:1未満、約2.5:1未満、約2.25:1未満、約2:1未満、約1.95:1未満、約1.9:1未満、約1.85:1未満、約1.8:1未満、または約1.75:1未満である。他の態様において、ARA:DHAの比は約0.4:1より大きい。さらに他の態様において、組成物はARAを含まない。
【0029】
これらの態様のある特定の局面において、組成物は、少なくとも約7 mg/LのDPA(n-6)、少なくとも約13 mg/LのDPA(n-6)、少なくとも約26 mg/LのDPA(n-6)、少なくとも約40 mg/LのDPA(n-6)、少なくとも約53 mg/LのDPA(n-6)、または少なくとも約66 mg/LのDPA(n-6)、少なくとも約80 mg/LのDPA(n-6)、少なくとも約100 mg/LのDPA(n-6)、少なくとも約120 mg/LのDPA(n-6)を含む。他の態様において、組成物は、約240 mg/L未満のDPA(n-6)、約220 mg/L未満のDPA(n-6)、または約200 mg/L未満のDPA(n-6)を含む。
【0030】
これらの態様のある特定の局面において、乳幼児用調合乳組成物は、少なくとも20 mg/LのDHAまたは少なくとも40 mg/L DHAを含む。他の態様において、乳幼児用調合乳組成物は、約40〜約140 mg/LのDHA、約20〜約200 mg/LのDHAを含む。他の態様において、組成物は、約140 mg/L未満のDHAまたは約200 mg/L未満のDHAを含む。
【0031】
これらの態様のある特定の局面において、乳幼児用調合乳組成物におけるDHA:DPA(n-6)比は、約5:1〜約3:1、約5:1〜約2:1、約5:1〜約1:1、約4:1、約3:1、約2:1、約1:1、または約0.5:1である。
【0032】
これらの態様のある特定の局面において、乳幼児用調合乳組成物は、約0.37 mg/Lのコレステロール〜約500 mg/Lコレステロールを含む。他の態様において、乳幼児用調合乳組成物は、約0.37 mg/Lのコレステロール〜約300 mg/Lコレステロール、約0.37 mg/Lのコレステロール〜約100 mg/Lコレステロール、約0.37 mg/Lのコレステロール〜約50 mg/Lコレステロール、または約0.37 mg/Lのコレステロール〜約10 mg/Lコレステロールを含む。これらの態様の他の局面において、乳幼児用調合乳組成物は、約0.37 mg/Lのコレステロール〜約3.75 mg/Lコレステロールを含む。いくつかの態様において、乳幼児用調合乳組成物は、約0.5 mg/Lより多いコレステロールを含む。いくつかの態様において、乳幼児用調合乳組成物は、約0.37 mg/Lコレステロール、約0.75 mg/Lコレステロール、約1.5 mg/Lコレステロール、約2.3 mg/Lコレステロール、約3 mg/Lコレステロール、または約3.75 mg/Lコレステロールを含む。ある特定の局面において、コレステロールは、長鎖ω-3またはω-6長鎖脂肪酸を含有する微生物油の形態で提供される。
【0033】
これらの態様のある特定の局面において、乳幼児用調合乳組成物は、約3 mg/L未満の量のエイコサペンタエン酸(EPA)を含む。他の局面において、乳幼児用調合乳組成物は、約60 mg/L未満の量のEPAを含む。他の局面において、乳幼児用調合乳組成物は、約15 mg/L〜約30 mg/L EPAを含む。いくつかの態様において、EPA:DHA比は、約1:1までの比で提供される。
【0034】
これらの態様のある特定の局面において、乳幼児用調合乳組成物は、乳幼児に与えられる際に約3 mg/kg/日DPA(n-6)〜約8 mg/kg/日DPA(n-6)を提供するように調合されている。
【0035】
さらなる態様において、本発明は、消費の準備ができている際に少なくとも約7 mg/LのDPA(n-6)を含むように調合されている乳幼児用調合乳組成物を提供し、本組成物はDHAを含む長鎖n-3脂肪酸をさらに含み、本組成物はアラキドン酸ARAをさらに任意で含み、かつARA:DHAの比は約3:1未満である。
【0036】
本発明はまた、栄養成分、DPA(n-6)、DHA、および任意でARAを組み合わせる段階を含む、乳幼児用調合乳組成物を調製する方法を提供し、本方法において、該組成物は、消費の準備ができている際に少なくとも約7 mg/LのDPA(n-6)を含むように調合され、かつARA:DHAの比は約3:1未満である。本方法により調製される乳幼児用調合乳組成物もまた、本発明に含まれる。
【0037】
これらの態様のある特定の局面において、ARA:DHAの比は約3:1未満である。いくつかの態様において、ARA:DHAの比は、約2.95:1未満、約2.85:1未満、約2.9:1未満、約2.8:1未満、約2.75:1未満、約2.5:1未満、約2.25:1未満、約2:1未満、約1.95:1未満、約1.9:1未満、約1.85:1未満、約1.8:1未満、または約1.75:1未満である。他の態様において、ARA:DHAの比は約0.4:1より大きい。さらに他の態様において、組成物はARAを含まない。
【0038】
これらの態様のある特定の局面において、乳幼児用調合乳組成物は、少なくとも約7 mg/LのDPA(n-6)、少なくとも約13 mg/LのDPA(n-6)、少なくとも約26 mg/LのDPA(n-6)、少なくとも約40 mg/LのDPA(n-6)、少なくとも約53 mg/LのDPA(n-6)、または少なくとも約66 mg/LのDPA(n-6)、少なくとも約80 mg/LのDPA(n-6)、少なくとも約100 mg/LのDPA(n-6)、少なくとも約120 mg/LのDPA(n-6)を含む。他の態様において、乳幼児用調合乳組成物は、約240 mg/L未満のDPA(n-6)、約220 mg/L未満のDPA(n-6)、または約200 mg/L未満のDPA(n-6)を含む。
【0039】
これらの態様のある特定の局面において、乳幼児用調合乳組成物中の長鎖n-6脂肪酸は供給源油において供給され、該供給源油は少なくとも約2重量%のDPA(n-6)を含む長鎖n-6脂肪酸を含む。他の態様において、乳幼児用調合乳組成物中の長鎖n-6脂肪酸は供給源油において供給され、該供給源油は、少なくとも約5重量%のDPA(n-6)、少なくとも約10重量%のDPA(n-6)、少なくとも約15重量%のDPA(n-6)、少なくとも約20重量%のDPA(n-6)、少なくとも約25重量%のDPA(n-6)、少なくとも約30重量%のDPA(n-6)、少なくとも約40重量%のDPA(n-6)、または少なくとも約50重量%のDPA(n-6)を含む長鎖n-6脂肪酸を含む。
【0040】
これらの態様のある特定の局面において、乳幼児用調合乳組成物は、少なくとも20 mg/LのDHAまたは少なくとも40 mg/L DHAを含む。他の態様において、乳幼児用調合乳組成物は、約40〜約140 mg/LのDHA、約20〜約200 mg/LのDHAを含む。他の態様において、組成物は、約140 mg/L未満のDHAまたは約200 mg/L未満のDHAを含む。
【0041】
これらの態様のある特定の局面において、乳幼児用調合乳組成物におけるDHA:DPA(n-6)比は、約10:1〜約3:1、約5:1〜約2:1、約5:1〜約1:1、約4:1、約3:1、約2:1、約1:1、または約0.5:1である。
【0042】
これらの態様のある特定の局面において、乳幼児用調合乳組成物は、約0.37 mg/Lのコレステロール〜約500 mg/Lコレステロールを含む。他の態様において、乳幼児用調合乳組成物は、約0.37 mg/Lのコレステロール〜約300 mg/Lコレステロール、約0.37 mg/Lのコレステロール〜約100 mg/Lコレステロール、約0.37 mg/Lのコレステロール〜約50 mg/Lコレステロール、または約0.37 mg/Lのコレステロール〜約10 mg/Lコレステロールを含む。これらの態様のある特定の局面において、乳幼児用調合乳組成物は、約0.37 mg/Lのコレステロール〜約3.75 mg/Lコレステロールを含む。いくつかの態様において、乳幼児用調合乳組成物は、約0.5 mg/Lより多いコレステロールを含む。いくつかの態様において、乳幼児用調合乳組成物は、約0.37 mg/Lコレステロール、約0.75 mg/Lコレステロール、約1.5 mg/Lコレステロール、約2.3 mg/Lコレステロール、約3 mg/Lコレステロール、または約3.75 mg/Lコレステロールを含む。ある特定の局面において、コレステロールは、長鎖ω-3またはω-6長鎖脂肪酸を含有する微生物油の形態で提供される。
【0043】
これらの態様のある特定の局面において、乳幼児用調合乳組成物は、約3 mg/L未満の量のエイコサペンタエン酸(EPA)を含む。他の局面において、乳幼児用調合乳組成物は、約60 mg/L未満の量のEPAを含む。他の局面において、乳幼児用調合乳組成物は、約15 mg/L〜約30 mg/LのEPAを含む。いくつかの態様において、EPA:DHA比は、1:1までの比で提供される。
【0044】
これらの態様の他の局面において、乳幼児用調合乳組成物は、乳幼児に与えられる際に少なくとも約2 mg/kg/日DPA(n-6)を提供するように調合されている。いくつかの態様において、乳幼児用調合乳組成物は、乳幼児に与えられる際に約3 mg/kg/日DPA(n-6)〜約8 mg/kg/日DPA(n-6)を提供するように調合されている。
【0045】
さらに別の態様において、本発明は、組成物中のDPA(n-6)の量が望ましいARA血漿レベルに基づいて決定されている乳幼児用調合乳組成物、および乳幼児用調合乳組成物を調製するための方法を提供する。本態様において、乳幼児用調合乳組成物はDHAおよびARA目標要件を満たすように調合されており、該組成物は、目標DHA要求量のDHA、目標ARA要求量未満のサブ目標(sub-target)量のARA;および、インビボでARAに逆変換するのに十分な量、ARAサブ目標量を相殺するのに十分な量のDPA(n-6)を含む。
【0046】
別の態様において、本発明は、DHAおよびARA目標要件を満たすように調合されている乳幼児用調合乳組成物、および乳幼児用調合乳組成物を調製するための方法を提供し、該組成物は、目標DHA要求量のDHA;目標ARA要求量未満のサブ目標量のARA;および、少なくとも閾値量のDPA(n-6)であって、ARA応答曲線が曲線であり、かつARA応答曲線の傾きが負から正に変化するARA応答を該閾値量がもたらすDPA(n-6)を含む。
【0047】
本発明はまた、栄養成分、DHA、ARA、およびDPA(n-6)を組み合わせる段階を含む、乳幼児用調合乳組成物を調製する方法を提供し、本方法において、DHAは目標DHA要求量で存在し、ARAは目標ARA要求量未満のサブ目標量で存在し、かつDPA(n-6)は、インビボでARAに逆変換するのに十分な量、ARAサブ目標量を相殺するのに十分な量で存在する。本方法により調製される乳幼児用調合乳組成物もまた、本発明に含まれる。
【0048】
本発明はまた、栄養成分および微生物油の配合物を組み合わせる段階を含む、乳幼児用調合乳組成物を調製する方法を提供し、本方法において、該配合物は、DHAおよびDPA(n-6)を含む第1の油とDHAを含む第2の油とを含む配合物;DHAおよびDPA(n-6)の第1の比を有する油と、DPA(n-6)に対する第2のDHA比を有する第2の油とを含む配合物であって、比が異なり、かつ第1の油が第2の油より多いDPA(n-6)を有する配合物;ならびに、ヤブレツボカビ科(thraustochytrid)微生物由来の第1の油および渦鞭毛藻類微生物由来の第2の油を含む配合物からなる群より選択される。本方法により調製される乳幼児用調合乳組成物もまた、本発明に含まれる。
【0049】
これらの態様のある特定の局面において、ARAサブ目標量は、目標ARA要求量より約5%少ない量、目標ARA要求量より約10%少ない量、目標ARA要求量より約15%少ない量、および目標ARA要求量より約20%少ない量からなる群より選択される量である。
【0050】
これらの態様のある特定の局面において、ARA:DHAの比は、約3:1未満、約2.95:1未満、約2.85:1未満、約2.9:1未満、約2.8:1未満、約2.75:1未満、約2.5:1未満、約2.25:1未満、約2:1未満、約1.95:1未満、約1.9:1未満、約1.85:1未満、約1.8:1未満、または約1.75:1未満である。他の態様において、ARA:DHAの比は約3:1未満であるが、約0.4:1より大きい。さらに他の態様において、組成物はARAを含まない。
【0051】
これらの態様のある特定の局面において、乳幼児用調合乳組成物中の長鎖n-6脂肪酸は供給源油において供給され、該供給源油は少なくとも約2重量%のDPA(n-6)を含む長鎖n-6脂肪酸を含む。他の態様において、乳幼児用調合乳組成物中の長鎖n-6脂肪酸は供給源油において供給され、該供給源油は、少なくとも約5重量%のDPA(n-6)、少なくとも約10重量%のDPA(n-6)、少なくとも約15重量%のDPA(n-6)、少なくとも約20重量%のDPA(n-6)、少なくとも約25重量%のDPA(n-6)、少なくとも約30重量%のDPA(n-6)、少なくとも約40重量%のDPA(n-6)、または少なくとも約50重量%のDPA(n-6)を含む長鎖n-6脂肪酸を含む。
【0052】
これらの態様のある特定の局面において、乳幼児用調合乳組成物は、少なくとも20 mg/LのDHAまたは少なくとも40 mg/L DHAを含む。他の態様において、乳幼児用調合乳組成物は、約40〜約140 mg/LのDHA、約20〜約200 mg/LのDHAを含む。他の態様において、組成物は、約140 mg/L未満のDHAまたは約200 mg/L未満のDHAを含む。
【0053】
これらの態様の他の局面において、DHA:DPA(n-6)比は、約5:1〜約3:1、約5:1〜約2:1、約5:1〜約1:1、約4:1、約3:1、約2:1、約1:1、または約0.5:1である。
【0054】
これらの態様のある特定の局面において、乳幼児用調合乳組成物は、少なくとも約7 mg/LのDPA(n-6)、少なくとも約13 mg/LのDPA(n-6)、少なくとも約26 mg/LのDPA(n-6)、少なくとも約40 mg/LのDPA(n-6)、少なくとも約53 mg/LのDPA(n-6)、または少なくとも約66 mg/LのDPA(n-6)、少なくとも約80 mg/LのDPA(n-6)、少なくとも約100 mg/LのDPA(n-6)、少なくとも約120 mg/LのDPA(n-6)を含む。他の態様において、乳幼児用調合乳組成物は、約240 mg/L未満のDPA(n-6)、約220 mg/L未満のDPA(n-6)、または約200 mg/L未満のDPA(n-6)を含む。
【0055】
これらの態様のある特定の局面において、乳幼児用調合乳組成物は、約0.37 mg/Lのコレステロール〜約500 mg/Lコレステロールを含む。他の態様において、乳幼児用調合乳組成物は、約0.37 mg/Lのコレステロール〜約300 mg/Lコレステロール、約0.37 mg/Lのコレステロール〜約100 mg/Lコレステロール、約0.37 mg/Lのコレステロール〜約50 mg/Lコレステロール、または約0.37 mg/Lのコレステロール〜約10 mg/Lコレステロールを含む。これらの態様のある特定の局面において、乳幼児用調合乳組成物は、約0.37 mg/Lのコレステロール〜約3.75 mg/Lコレステロールを含む。いくつかの態様において、乳幼児用調合乳組成物は、約0.5 mg/Lより多いコレステロールを含む。いくつかの態様において、乳幼児用調合乳組成物は、約0.37 mg/Lコレステロール、約0.75 mg/Lコレステロール、約1.5 mg/Lコレステロール、約2.3 mg/Lコレステロール、約3 mg/Lコレステロール、または約3.75 mg/Lコレステロールを含む。ある特定の局面において、コレステロールは、長鎖ω-3またはω-6長鎖脂肪酸を含有する微生物油の形態で提供される。
【0056】
これらの態様のある特定の局面において、乳幼児用調合乳組成物は、約3 mg/L未満の量のエイコサペンタエン酸(EPA)を含む。他の局面において、乳幼児用調合乳組成物は、約60 mg/L未満の量のEPAを含む。他の局面において、乳幼児用調合乳組成物は、約15 mg/L〜約30 mg/L EPAを含む。いくつかの態様において、EPA:DHA比は、1:1までの比で提供される。
【0057】
これらの態様の他の局面において、乳幼児用調合乳組成物は、乳幼児に与えられる際に少なくとも約2 mg/kg/日DPA(n-6)を提供するように調合されている。いくつかの態様において、乳幼児用調合乳組成物は、乳幼児に与えられる際に約3 mg/kg/日DPA(n-6)〜約8 mg/kg/日DPA(n-6)を提供するように調合されている。
【0058】
前記の態様のすべてのいくつかの局面において、DHA、ARA、またはDPA(n-6)は、植物、油糧種子、微生物、動物、および前記のものの混合物からなる群より選択される供給源由来である。いくつかの局面において、微生物は、藻類、細菌、真菌、および原生生物からなる群より選択される。いくつかの局面において、微生物は、ヤブレツボカビ目(Thraustochytriales)、渦鞭毛藻類、およびケカビ目(Mucorales)からなる群より選択される。他の局面において、微生物は、シゾキトリウム属(Schizochytrium)、ヤブレツボカビ属(Thraustochytrium)、クリプテコディニウム属(Crypthecodinium)、およびモルティエレラ属(Mortierella)からなる群より選択される。
【0059】
他の局面において、供給源は、ダイズ、トウモロコシ、ベニバナ、ヒマワリ、キャノーラ、アマ、ラッカセイ、カラシ、ナタネ、ヒヨコマメ、ワタ、レンズマメ、シロツメクサ、オリーブ、ヤシ、ルリジサ、マツヨイグサ、アマニ、およびタバコ、ならびにそれらの混合物からなる群より選択される遺伝子改変植物および遺伝子改変油糧種子からなる群より選択される。
【0060】
さらに他の局面において、供給源は、遺伝子改変植物、遺伝子改変油糧種子、および遺伝子改変微生物からなる群より選択され、該遺伝子改変はポリケチドシンターゼ遺伝子またはその一部の導入を含む。当業者により認識されると考えられるように、遺伝子改変油糧種子は、遺伝子改変植物の一部である。
【0061】
さらなる局面において、組成物は微生物油の配合物を含み、該配合物は、DHAおよびDPA(n-6)を含む第1の油とDHAを含む第2の油とを含む。
【0062】
さらなる局面において、組成物は微生物油の配合物を含み、該配合物は、DHAおよびDPA(n-6)の第1の比を有する油と、DHAおよびDPA(n-6)の第2の比を有する第2の油とを含み、比は異なり、かつ第1の油は第2の油より多いDPA(n-6)を有する。
【0063】
さらなる局面において、乳幼児用調合乳組成物は微生物油の配合物を含み、該配合物は、ヤブレツボカビ科微生物由来の油と渦鞭毛藻類微生物由来の油とを含む。
【0064】
さらなる局面において、組成物は微生物油および植物油の配合物を含み、該配合物は、DHAおよびDPA(n-6)を産生するように遺伝子改変された植物由来の油を含み、かつ該植物油はDHAおよびDPA(n-6)を含み、かつ該微生物油はARAを含む。いくつかの局面において、遺伝子改変は、PUFAポリケチドシンターゼ遺伝子またはその一部の導入を含む。
【0065】
さらなる局面において、組成物はDHAおよびDPA(n-6)を産生するように遺伝子改変された植物由来の植物油を含み、かつ該油は約0.5:1〜約10:1の比でDHAおよびDPA(n-6)を含む。さらなる局面において、組成物は、DPA(n-6)、DHA、またはARAのうち一つを産生するように遺伝子改変された植物由来の植物油を含む。本局面の好ましい態様において、微生物は、残りの二つのPUFAの一つまたは両方を産生しない。いくつかの局面において、遺伝子改変は、PUFAポリケチドシンターゼ遺伝子またはその一部の導入を含む。
【0066】
さらなる局面において、組成物は遺伝子改変微生物由来の微生物油を含み、かつ該油は約0.5:1〜約10:1の比でDHAおよびDPA(n-6)を含む。さらなる局面において、組成物は、DPA(n-6)、DHA、またはARAのうち一つを産生するように遺伝子改変された微生物由来の微生物油を含む。本局面の好ましい態様において、微生物は、残りの二つのPUFAの一つまたは両方を産生しない。いくつかの局面において、遺伝子改変は、PUFAポリケチドシンターゼ遺伝子またはその一部の導入を含む。
【0067】
本発明はさらに、本発明の乳幼児用栄養組成物を乳幼児に与える段階を含む、乳幼児に栄養を与えるための方法を提供する。
【0068】
本発明はさらに、栄養成分、DHA、およびDPA(n-6)を含有する乳幼児用調合乳組成物を乳幼児に与える段階を含む、乳幼児に栄養を与える方法を提供し、本方法において、該乳幼児は少なくとも約2 mg DPA(n-6)/kg/日を与えられる。
【0069】
本明細書で使用する際、量/kg/日とは、キログラムの乳幼児の体重により倍増される1日あたりの量を意味する。本明細書で使用する際、量/Lとは、乳幼児による消費が意図されるような乳幼児用調合乳組成物の1リットルにおける量を意味し、すなわち、乳幼児用調合乳組成物が乾燥粉末または濃縮液として製造される場合、量/Lは、該乾燥粉末または濃縮液が乳幼児により消費されるように意図される乳幼児用調合乳組成物に達するのに十分な液体と混合された際に測定される。脂肪酸および他の原料の供給源および量または範囲が本明細書において使用される際、その中のすべての組み合わせおよび部分的組み合わせ(subcombination)ならびに具体的な態様が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】純粋なDHA油(DHASCO(登録商標))と比較してDHAに富むシゾキトリウム属Martek DHA(商標)-S油を用いた実施例1の成人におけるDHA生物学的利用能研究のための、DHA用量およびDHA供給源による、脂肪酸全体の重量パーセントとしての血漿リン脂質(PL)DHAレベルの基線からの4週間の変化を示す(LS平均±S.E.、データ点あたりn=12個体)。
【図2】純粋なDHA油(DHASCO(登録商標))と比較してDHAに富むシゾキトリウム属Martek DHA(商標)-S油を用いた実施例1の成人におけるDHA生物学的利用能研究のための、DHA用量およびDHA供給源による、脂肪酸全体の重量パーセントとしての血漿リン脂質(PL)DPA(n-6)レベルの基線からの4週間の変化を示す(LS平均±S.E.、データ点あたりn=12個体)。
【図3】純粋なDHA油(DHASCO(登録商標))と比較してDHAに富むシゾキトリウム属Martek DHA(商標)-S油を用いた実施例1のDHA生物学的利用能研究のための、用量およびDHA供給源による、脂肪酸全体の重量パーセントとしての測定された血漿リン脂質(PL)アラキドン酸レベルの基線レベルからの4週間の変化を示す(LS平均±S.E.、データ点あたりn=12個体)。
【図4】200および400 mg DHA/日でDHAに富むシゾキトリウム属Martek DHA(商標)-S油を用いた4週間の補給の前後の、実施例2の子供におけるDHA生物学的利用能研究のための、脂肪酸全体の重量パーセントとしての血漿リン脂質脂肪酸レベルを示す(群あたりn=10〜12個体)。
【図5】Martek DHA(商標)-S油またはDHASCO(登録商標)油を含有する食餌をラットに与えた28日後の、血漿におけるDHA(図5A)、DPA(n-6)(図5B)、およびARA(図5C)レベルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0071】
発明の詳細な説明
本発明は、LC-PUFAが補給された乳幼児用調合乳産物および乳幼児用調合乳組成物を調製するための方法を対象とする。乳幼児用調合乳は、ヒトの乳の模擬またはヒトの乳の完全なもしくは部分的な代替物としての適合性の理由により、乳幼児用の食物としての特別な食餌用途のみのためと称するかまたは示されている食物として、米国の法律により定義されている。
【0072】
いくつかの態様における本発明の乳幼児用調合乳は、現在推奨されているレベルまたは目標よりも低いが、それにもかかわらず、乳幼児用調合乳がDHAなどのω-3脂肪酸を含有する際に起きると考えられるARA血漿レベルの関連する低下を有意に低減または予防するARAレベルを有し得る。ARA血漿レベルの低下を低減または予防することは、正常な乳幼児の成長、体重、免疫系の発達、および神経系の発達を維持する。
【0073】
上記で言及されているように、LC-PUFAは、ヒトの母乳において見いだされるLC-PUFAプロファイルに匹敵するかまたは厳密に模倣する量で乳幼児用調合乳中に含まれることが示唆されている。本発明の調合乳は、有意な栄養上の利点を提供するためには、乳幼児用調合乳はヒトの母乳において見いだされるLC-PUFAプロファイルに匹敵するかまたは厳密に模倣する必要はないという認識に基づく。具体的には、本発明者らは、DHAが補給された乳幼児用調合乳へのDPA(n-6)の添加が、乳幼児において血漿ARAレベルを維持するのを助けると考えられることを発見した。したがって、乳幼児用調合乳に添加されるARAの量は、DPA(n-6)から代謝されるARAを補償するためにサブ目標量へ低減され得る。本明細書で使用する際、サブ目標量のARAへの言及は、乳幼児用調合乳における目標ARA要求量未満であるARAの量のことを指す。目標ARA要求量の例は、ヒトの母乳におけるARAの量である。この量は、ヒトの母乳において脂肪酸全体の0.37〜0.49%と報告されている。(Yuhas, et al., Lipids, 2006 41(9):851-58)。そのため、本明細書で使用する際、乳幼児用調合乳組成物のための目標ARA要求の一つの例は、乳幼児用調合乳組成物中の脂肪酸全体の0.37〜0.49%であると考えられる。目標ARA要求量の別の例は、約2:1〜約1:1(ARA:DHA)の概算の比が提供されるように乳幼児用調合乳組成物に添加されるARAの量である。
【0074】
本発明者らの認識は、DPA(n-6)の補給が、低い用量ではARAを減少させるがより高い用量ではARAレベルをほぼ維持する、曲線のARA応答をもたらすという発見の結果である。したがって、本発明は、乳幼児用調合乳におけるARAの少なくともいくらかがDPA(n-6)により置換されるかまたは補給される、乳幼児用調合乳のための方法および組成物を提供する。理論により縛られることなく、DPA(n-6)およびARAの両方が、成長に影響を与えるエイコサノイドの独立した供給源として、および細胞膜中への取り込みについてDHAなどのLCω-3脂肪酸と競合する能力のために重要であると考えられている。ARAはDPA(n-6)に伸長され得、かつDPA(n-6)はARAに逆変換され得る。理論により縛られることなく、本発明者らは、閾値用量でDPA(n-6)が能動的にインビボでARAに逆変換するという、基質により駆動されるように見える現象を見いだしている。例えば、図3は、Martek DHA-S油の成分であるDPA(n-6)の量が増加される際に、ARA応答の傾きが負から正に変化する血漿ARAレベルの曲線応答を示す。したがって、図3はDPA(n-6)の閾値用量を示す。さらに、本発明は、調合乳におけるARAおよびDPA(n-6)のARAへの逆変換の組み合わせのためにより高いARA(増大された)血漿レベルを達成し得る乳幼児用調合乳をもたらすDPA(n-6)をさらに含む、従来の量のARA補給を有するDHAが補給された乳幼児用調合乳を含む。
【0075】
本発明の乳幼児用調合乳は、LC-PUFAを含んで多数の成分を含むため、乳幼児用調合乳の様々な態様は、一つまたは複数の成分、またはそのような成分の比への言及により説明され得ることが認識されると考えられる。例えば、組成物中のARAの量は、ARA:DHAの比として表現され得る。組成物中のDPA(n-6)の量は、DHAとの比として、または調合乳中に含まれるDPA(n-6)の濃度として、例えば、乳幼児による消費が意図されるような調合乳の1リットルにおいて表現され得る。乳幼児用調合乳はまた、望ましいARA血漿レベルに基づいた組成物中のDPA(n-6)の量、すなわち、インビボでARAに逆変換するのに十分で、かつサブ目標量で存在する調合乳におけるARAの量を相殺(補償)するのに十分な量のDPA(n-6)を用いることによって説明され得る。
【0076】
したがって、一つの態様において、本発明は、ARA:DHAの比が約3:1未満である乳幼児用調合乳組成物を提供する。他の態様において、ARA:DHAの比は、約2.95:1未満、約2.85:1未満、約2.9:1未満、約2.8:1未満、約2.75:1未満、約2. 5:1未満、約2.25:1未満、約2:1未満、約1.95:1未満、約1.9:1未満、約1.85:1未満、約1.8:1未満、または約1.75:1未満である。他の態様において、ARA:DHAの比は約0.4:1より大きい。さらに他の態様において、組成物はARAを含まない。
【0077】
いくつかの態様において、DHA:DPA(n-6)比は、約10:1〜約0.5:1、約5:1〜約0.5:1、約5:1〜約3:1、約5:1〜約2:1、約5:1〜約1:1、約4:1、約3:1、約2:1、約1:1、または約0.5:1である。
【0078】
いくつかの態様において、乳幼児用調合乳組成物中の長鎖n-6脂肪酸は供給源油において供給され、該供給源油は少なくとも約2重量%のDPA(n-6)を含む長鎖n-6脂肪酸を含む。他の態様において、乳幼児用調合乳組成物中の長鎖n-6脂肪酸は供給源油において供給され、該供給源油は、少なくとも約5重量%のDPA(n-6)、少なくとも約10重量%のDPA(n-6)、少なくとも約15重量%のDPA(n-6)、少なくとも約20重量%のDPA(n-6)、または少なくとも約25重量%のDPA(n-6)、少なくとも約30重量%のDPA(n-6)、少なくとも約40重量%のDPA(n-6)、または少なくとも約50重量%のDPA(n-6)を含む長鎖n-6脂肪酸を含む。
【0079】
いくつかの態様において、組成物は、少なくとも約7 mg/LのDPA(n-6)、少なくとも約13 mg/LのDPA(n-6)、少なくとも約26 mg/LのDPA(n-6)、少なくとも約40 mg/LのDPA(n-6)、少なくとも約53 mg/LのDPA(n-6)、または少なくとも約66 mg/LのDPA(n-6)、少なくとも約80 mg/LのDPA(n-6)、少なくとも約100 mg/LのDPA(n-6)、少なくとも約120 mg/LのDPA(n-6)を含む。他の態様において、組成物は、約240 mg/L未満のDPA(n-6)、約220 mg/L未満のDPA(n-6)、または約200 mg/L未満のDPA(n-6)を含む。
【0080】
いくつかの態様において、乳幼児用調合乳組成物は、少なくとも20 mg/LのDHAまたは少なくとも40 mg/L DHAを含む。他の態様において、乳幼児用調合乳組成物は、約40〜約140 mg/LのDHA、約20〜約200 mg/LのDHAを含む。他の態様において、組成物は、約140 mg/L未満のDHAまたは約200 mg/L未満のDHAを含む。
【0081】
これらの態様のある特定の局面において、乳幼児用調合乳組成物は、約0.37 mg/Lのコレステロール〜約500 mg/Lコレステロールを含む。他の態様において、乳幼児用調合乳組成物は、約0.37 mg/Lのコレステロール〜約300 mg/Lコレステロール、約0.37 mg/Lのコレステロール〜約100 mg/Lコレステロール、約0.37 mg/Lのコレステロール〜約50 mg/Lコレステロール、または約0.37 mg/Lのコレステロール〜約10 mg/Lコレステロールを含む。他の態様において、乳幼児用調合乳組成物は、約0.37 mg/Lのコレステロール〜約3.75 mg/Lコレステロールを含む。いくつかの態様において、乳幼児用調合乳組成物は、約0.5 mg/Lより多いコレステロールを含む。いくつかの態様において、乳幼児用調合乳組成物は、約0.37 mg/Lコレステロール、約0.75 mg/Lコレステロール、約1.5 mg/Lコレステロール、約2.3 mg/Lコレステロール、約3 mg/Lコレステロール、または約3.75 mg/Lコレステロールを含む。ある特定の局面において、コレステロールは、長鎖ω-3またはω-6長鎖脂肪酸を含有する微生物油の形態で提供される。
【0082】
他の態様において、乳幼児用調合乳組成物は、約3 mg/L未満の量のエイコサペンタエン酸(EPA)を含む。他の局面において、乳幼児用調合乳組成物は、約60 mg/L未満の量のEPAを含む。他の局面において、乳幼児用調合乳組成物は、約15 mg/L〜約30 mg/L EPAを含む。いくつかの態様において、EPA:DHA比は、1:1までの比で提供される。
【0083】
他の態様において、乳幼児用調合乳組成物は、乳幼児に与えられる際に少なくとも約2 mg/kg/日DPA(n-6)を提供するように調合されている。いくつかの態様において、乳幼児用調合乳組成物は、乳幼児に与えられる際に約3 mg/kg/日DPA(n-6)〜約8 mg/kg/日DPA(n-6)を提供するように調合されている。
【0084】
いくつかの態様において、ARAサブ目標量は、目標ARA要求量より約5%少ない量、目標ARA要求量より約10%少ない量、目標ARA要求量より約15%少ない量、および目標ARA要求量より約20%少ない量からなる群より選択される量である。
【0085】
一つの態様において、本発明は、長鎖n-3脂肪酸および長鎖n-6脂肪酸を含む乳幼児用調合乳組成物であって、該長鎖n-3脂肪酸がドコサヘキサエン酸(DHA)を含み;該長鎖n-6脂肪酸がドコサペンタエン酸(DPA(n-6))および任意でアラキドン酸(ARA)を含む乳幼児用調合乳組成物を提供する。本態様において、ARA:DHAの比は約3:1未満であり、かつDHA:DPA(n-6)比は約5:1〜約0.5:1である。
【0086】
本発明はまた、栄養成分、長鎖n-3脂肪酸、および長鎖n-6脂肪酸を組み合わせる段階を含む、乳幼児用調合乳組成物を調製する方法を提供し、本方法において、該長鎖n-3脂肪酸はDHAを含み、該長鎖n-6脂肪酸はARAおよびDPA(n-6)を含み、ARA:DHAの比は約3:1未満であり、かつDHA:DPA(n-6)比は約5:1〜約0.5:1である。本方法により調製される乳幼児用調合乳組成物もまた、本発明に含まれる。
【0087】
別の態様において、乳幼児用調合乳は長鎖n-6脂肪酸およびDHAを含み、該乳幼児用調合乳組成物中の該長鎖n-6脂肪酸は供給源油において供給され、該供給源油は少なくとも約2重量%のDPA(n-6)を含む長鎖n-6脂肪酸を含み、DHA:DPA(n-6)比は約5:1〜約0.5:1であり、かつ該組成物は乳幼児に与えられる際に少なくとも約2 mg/kg/日DPA(n-6)を提供するように調合されている。
【0088】
本発明はまた、栄養成分、DHA、および長鎖n-6脂肪酸を組み合わせる段階を含む、乳幼児用調合乳組成物を調製する方法を提供し、本方法において、該乳幼児用調合乳組成物中の該長鎖n-6脂肪酸は供給源油において供給され、該供給源は少なくとも約2重量%のDPA(n-6)を含む長鎖n-6脂肪酸を含み、DHA:DPA(n-6)比は約5:1〜約0.5:1である。本方法は、乳幼児に与えられる際に少なくとも約2 mg/kg/日DPA(n-6)を提供する調合物を提供するように設計される。本方法により調製される乳幼児用調合乳組成物もまた、本発明に含まれる。
【0089】
別の態様において、乳幼児用調合乳組成物は、消費の準備ができている際に少なくとも約7 mg/LのDPA(n-6)を含むように調合され、該組成物は長鎖n-3脂肪酸をさらに含み、該長鎖n-3脂肪酸はDHAを含み、該組成物はアラキドン酸ARAをさらに任意で含み、かつARA:DHAの比は約3:1未満である。
【0090】
本発明はまた、栄養成分、DPA(n-6)、DHA、および任意でARAを組み合わせる段階を含む、乳幼児用調合乳組成物を調製する方法を提供し、本方法において、該組成物が、消費の準備ができている際に少なくとも約7 mg/LのDPA(n-6)を含むように調合され、かつARA:DHAの比が約3:1未満である。本方法により調製される乳幼児用調合乳組成物もまた、本発明に含まれる。
【0091】
さらに別の態様において、本発明は、DHAおよびARA目標要件を満たすように調合されている乳幼児用調合乳組成物を提供し、該組成物は、目標DHA要求量のDHA、目標ARA要求量未満のサブ目標量のARA;および、インビボでARAに逆変換するのに十分な量、ARAサブ目標量を相殺するのに十分な量のDPA(n-6)を含む。本発明において乳幼児が生理学的欠損症を有するとは考慮されない(例えば、乳幼児はARA欠損症を有さない)ことが注目されるべきである。むしろ、「サブ目標」という用語は、推奨される量または目標量未満である量のことを指すように本明細書で使用する。例えば、ARAの広範に推奨される量または目標量とは、ARAおよびDHAの適切な血漿レベルが達成されるように、2:1のARA:DHA比を提供するのに十分な量である。
【0092】
栄養成分、DHA、ARA、およびDPA(n-6)を組み合わせる段階を含む、乳幼児用調合乳組成物を調製する方法であって、DHAが目標DHA要求量で存在し;ARAが目標ARA要求量未満のサブ目標量で存在し;かつDPA(n-6)が、インビボでARAに逆変換するのに十分な量、ARAサブ目標量を相殺するのに十分な量で存在する方法。本方法により調製される乳幼児用調合乳組成物もまた、本発明に含まれる。
【0093】
ARA、DHA、およびDPA(n-6)、およびEPAなどの本明細書において言及される他のPUFAは、トリアシルグリセロール、ジアシルグリセロール、モノアシルグリセロール、リン脂質、遊離脂肪酸、エステル化脂肪酸、またはこれらの脂肪酸の天然または合成誘導体形態(例えば、脂肪酸のカルシウム塩、エチルエステルなど)を含むがそれらに限定されない、天然脂質に見いだされる一般的な形態のいずれかであり得る。本発明で使用する際、PUFAを含む油への言及は、DHAなどの単一のPUFAのみを含む油、または、DHAおよびEPA、もしくはDHAおよびDPA(n-6)などの2種類もしくはそれ以上のPUFAの混合物を含む油のいずれかのことを指し得る。
【0094】
本発明の組成物および方法において少なくとも一つのPUFAを含む油の好ましい供給源は、微生物源を含む。微生物源、ならびに栄養分および/またはPUFAを含む微生物を増殖させるための方法は、当技術分野において公知である(Industrial Microbiology and Biotechnology, 2nd edition, 1999, American Society for Microbiology)。好ましくは、微生物は発酵槽において発酵培地中で培養される。本発明の方法および組成物は、例えば、藻類、原生生物、細菌、および真菌(酵母を含む)などの、任意の種類の栄養分または所望の成分を産生する任意の産業用微生物に適用可能である。
【0095】
微生物源は、藻類、細菌、真菌、および/または原生生物などの微生物を含み得る。好ましい生物体は、黄金藻類(ストラメノパイル界(kingdom Stramenopiles)の微生物など)、緑藻類、珪藻類、渦鞭毛藻類(例えば、クリプテコディニウム・コーニー(Crypthecodinium cohnii)などのクリプテコディニウム属のメンバーを含む渦鞭毛藻目(order Dinophyceae)の微生物など)、酵母、ならびに、モルティエレラ・アルピナ(Mortierella alpina)およびモルティエレラシュムッカリ亜属(Mortierella sect. schmuckeri)を含むがそれらに限定されないケカビ(Mucor)およびモルティエレラ属の真菌からなる群より選択されるものを含む。微生物群ストラメノパイルのメンバーは、以下の微生物の群を含む、微細藻類および藻類様微生物を含む:ハマトレス(Hamatores)、プロテロモナス(Proteromonads)、オパリナ類(Opalines)、デヴェロパイエラ(Develpayella)、ディプロフリス属(Diplophrys)、ラビリンチュラ科(Labrinthulids)、ヤブレツボカビ科、ビオセシド(Biosecids)、卵菌類(Oomycetes)、サカゲツボカビ綱(Hypochytridiomycetes)、コマチオン(Commation)、レティキュロスファエラ(Reticulosphaera)、ペラゴモナス(Pelagomonas)、ペラゴコッカス(Pelagococcus)、オリコラ(Ollicola)、アウレオコッカス(Aureococcus)、パルマ目(Parmales)、珪藻類、黄緑色藻綱(Xanthophytes)、褐藻類(Phaeophytes)(brown algae)、真正眼点藻綱(Eustigmatophytes)、ラフィド藻綱(Raphidophytes)、シヌリド(Synurids)、アキソジン(Axodines)(リゾクロムリナ目(Rhizochromulinaales)、ペディネラ目(Pedinellales)、ディクティオカ目(Dictyochales)を含む)、クリソメラ目(Chrysomeridales)、サルキノクリシス目(Sarcinochrysidales)、ミズオ目(Hydrurales)、ヒッバーディア目(Hibberdiales)、およびヒカリモ目(Chromulinales)。ヤブレツボカビ科は、シゾキトリウム属(種は、アグレガタム(aggregatum)、リムナセウム(limnaceum)、マングローヴェイ(mangrovei)、ミヌツム(minutum)、オクトスポラム(octosporum)を含む)、ヤブレツボカビ属(種は、アルディメンタレ(arudimentale)、アウレウム(aureum)、ベンティコラ(benthicola)、グロボサム(globosum)、キンネイ(kinnei)、モチヴァム(motivum)、マルチルディメンタレ(multirudimentale)、パキデルマム(pachydermum)、プロリフェルム(proliferum)、ロゼウム(roseum)、ストリアツム(striatum)を含む)、ウルケニア属(Ulkenia)(種は、アモエボイデア(amoeboidea)、ケルグエレンシス(kerguelensis)、ミヌタ(minuta)、プロフンダ(profunda)、ラディエート(radiate)、サイレンス(sailens)、サルカリアナ(sarkariana)、シゾキトロップス(schizochytrops)、ヴィスルゲンシス(visurgensis)、ヨルケンシス(yorkensis)を含む)、アプラノキトリウム属(Aplanochytrium)(種は、ハリオティディス(haliotidis)、ケルグエレンシス、プロフンダ、ストッキノイ(stocchinoi)を含む)、ジャポノキトリウム属(Japonochytrium)(種はマリヌム(marinum)を含む)、アルトルニア(Althornia)属(種はクロウチー(crouchii)を含む)、およびエリナ属(Elina)(種は、マリサルバ(marisalba)、シノリフィカ(sinorifica)を含む)を含む。ウルケニア属がヤブレツボカビ属とは別の属か否かについては専門家の間にいくらかの意見の相違があるため、本出願の目的のためには、ヤブレツボカビ属はウルケニア属を含むと考えられる。ラビリンチュラ科は、ラビリンチュラ属(種は、アルゲリエンシス(algeriensis)、コエノシスティス(coenocystis)、チャットニー(chattonii)、マクロシスティス(macrocystis)、マクロシスティスアトランティカ(macrocystis atlantica)、マクロシスティスマクロシスティス、マリーナ(marina)、ミヌタ、ロスコフェンシス(roscoffensis)、ヴァルカノヴィー(valkanovii)、ヴィテリナ(vitellina)、ヴィテリナパシフィカ(vitellina pacifica)、ヴィテリナヴィテリナ、ゾフィ(zopfi)を含む)、ラビリントミキサ属(Labyrinthomyxa)(種はマリーナを含む)、ラビリンチュロイデス属(Labyrinthuloides)(種は、ハリオティディス、ヨルケンシスを含む)、ディプロプリス属(Diplophrys)(種はアルチェリ(archeri)を含む)、ピロソルス属(Pyrrhosorus)(種はマリヌス(marinus)を含む)、ソロディプロフリス属(Sorodiplophrys)(種はステルコレア(stercorea)を含む)、クラミドミキサ属(Chlamydomyxa)(種は、ラビリンチュロイデス(labyrinthuloides)、モンタナ(montana))を含む。(=これらの属の正確な分類学上の配置には現在一般的な合意が存在しない)。
【0096】
本発明の過程は、簡潔さ、便利さ、および例証の目的のために、多種多様の微生物において産生され得るPUFAの形態を産生するように使用され得るが、本発明の本詳細な説明は、DHA(または、DPA、EPA、もしくはARAなどの密接に関連する化合物)を産生することができる特定の微生物において、ω-3および/またはω-6多価不飽和脂肪酸を含む脂質を産生することができる微生物を増殖させるための過程を考察する。追加的な好ましい微生物は、ヤブレツボカビ属(ウルケニア属を含む)およびシゾキトリウム属を含むヤブレツボカビ目のヤブレツボカビ科などの藻類であり、両方ともBarclayに対して発行され、そのすべてが全体として参照により本明細書に組み入れられる、同一出願人による米国特許第5,340,594号および第5,340,742号において開示されているヤブレツボカビ目を含む。より好ましくは、微生物は、ATCC番号20888、ATCC番号20889、ATCC番号20890、ATCC番号20891、およびATCC番号20892の識別特性を有する微生物からなる群より選択される。モルティエレラ・シュマッカリ(Mortierella schmuckeri)(例えば、ATCC 74371の識別特性を有する微生物を含む)およびモルティエレラ・アルピナ(例えば、ATCC 42430の識別特性を有する微生物を含む)の菌株もまた好ましい。ATCC番号30021、30334〜30348、30541〜30543、30555〜30557、30571、30572、30772〜30775、30812、40750、50050〜50060、および50297〜50300の識別特性を有する微生物を含む、クリプテコディニウム・コーニーの菌株もまた好ましい。前記のもののいずれか由来の変異株、およびそれらの混合物もまた好ましい。油脂性微生物もまた好ましい。本明細書で使用する際、「油脂性微生物」は、脂質の形態でその細胞の重量の20%より多くを蓄積することができる微生物として定義される。PUFAを産生する遺伝子改変微生物もまた、本発明に適する。これらは、遺伝子改変されている天然にPUFAを産生する微生物、および天然にPUFAを産生しないがそのように遺伝子改変されている微生物を含み得る。
【0097】
適当な生物体は、天然環境からの収集によるものを含む多数の入手可能な供給源より取得されてもよい。例えば、American Type Culture Collectionは、現在、上記で同定されている微生物の多くの公的に入手可能な菌株をリスト化している。本明細書で使用する際、任意の生物体、または任意の特定のタイプの生物体は、野生株、変異体、または組換えタイプを含む。これらの生物体を培養するかまたは増殖させる増殖条件は当技術分野において公知であり、これらの生物体の少なくともいくつかについての適切な増殖条件は、例えば、米国特許第5,130,242号、米国特許第5,407,957号、米国特許第5,397,591号、米国特許第5,492,938号、および米国特許第5,711,983号において開示されており、それらのすべては全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0098】
本発明の組成物および方法において少なくとも一つのPUFAを含む油の別の好ましい供給源は、油糧種子植物などの植物源を含む。植物は天然には20個またはより多い炭素鎖を有するPUFAを産生しないため、そのようなPUFAを産生する植物は、そのようなPUFAを産生する遺伝子を発現するように遺伝的に操作されたものである。「PUFA polyketide synthase systems and uses thereof」という題名で2006年6月12日に出願され、その全体が参照により本明細書に組み入れられる同時係属中の米国特許出願第11/452,096号に記載されているように、PUFA PKSシステムは、同じ植物においてDHAおよびDPA(n-6)を含む一つまたは複数のPUFAを産生するように遺伝的に操作された植物などの、独自の脂肪酸産生能力を有する植物を産生する機会を示す。種々の比および形態における多数の「デザイナー油」の任意の一つの作製もまた開示されている。
【0099】
いくつかの態様において、少なくとも一つのPUFAを含む油は、長鎖多価不飽和脂肪酸を産生するように遺伝子改変されている油糧種子植物由来の植物種子油である。そのような遺伝子は、古典的脂肪酸シンターゼ経路に関与するタンパク質をコードする遺伝子、またはPUFAポリケチドシンターゼ(PKS)経路に関与するタンパク質をコードする遺伝子を含み得る。古典的脂肪酸シンターゼ経路に関与する遺伝子およびタンパク質、ならびにそのような遺伝子で形質転換された植物などの遺伝子改変生物体は、例えば、Napier and Sayanova, Proceedings of the Nutrition Society (2005), 64:387-393;Robert et al., Functional Plant Biology (2005) 32:473-479;または米国特許出願公開第2004/0172682号に記載されている。PUFA PKS経路、本経路に含まれる遺伝子およびタンパク質、ならびにPUFAの発現および産生のためにそのような遺伝子で形質転換された遺伝子改変微生物および植物は、米国特許第6,566,583号;米国特許第7,247,461号;米国特許第7,211,418号;および米国特許第7,217,856号に詳細に記載されており、その各々はその全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0100】
好ましい油糧種子作物は、上記で説明されているようにPUFAを産生するよう遺伝子改変されているダイズ、トウモロコシ、ベニバナ、ヒマワリ、キャノーラ、アマ、ラッカセイ、カラシ、ナタネ、ヒヨコマメ、ワタ、レンズマメ、シロツメクサ、オリーブ、ヤシ油、ルリジサ、マツヨイグサ、アマニ、およびタバコを含む。
【0101】
微生物および植物のための遺伝子形質転換技術は、当技術分野において周知である。微生物のための形質転換技術は当技術分野において周知であり、例えば、Sambrook et al., 1989, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Labs Pressにおいて考察されている。クリプテコディニウム・コーニーでの使用に適合化され得る渦鞭毛藻類の形質転換のための一般的技術は、Lohuis and Miller, The Plant Journal (1998) 13(3): 427-435に詳細に記載されている。ヤブレツボカビ科の遺伝子形質転換のための一般的技術は、2003年9月4日に公開された米国特許出願公開第20030166207号に詳細に記載されている。植物の遺伝子操作のための方法も当技術分野において周知である。例えば、生物学的および物理学的形質転換プロトコールを含む植物形質転換のための多数の方法が開発されている。例えば、Miki et al., “Procedures for Introducing Foreign DNA into Plants” in Methods in Plant Molecular Biology and Biotechnology, Glick, B.R. and Thompson, J.E. Eds. (CRC Press, Inc., Boca Raton, 1993) pp. 67-88を参照されたい。さらに、植物細胞または組織の形質転換および植物の再生のためのベクターおよびインビトロ培養法が利用可能である。例えば、Gruber et al., “Vectors for Plant Transformation” in Methods in Plant Molecular Biology and Biotechnology, Glick, B.R. and Thompson, J.E. Eds. (CRC Press, Inc., Boca Raton, 1993) pp. 89-119を参照されたい。また、Horsch et al., Science 227:1229(1985);Kado, C.I., Crit. Rev. Plant. Sci. 10:1 (1991);Moloney et al., Plant Cell Reports 8:238 (1989);米国特許第4,940,838号;米国特許第5,464,763号;Sanford et al., Part. Sci. Technol. 5:27 (1987);Sanford, J.C., Trends Biotech. 6:299 (1988);Sanford, J.C., Physiol. Plant 79:206 (1990);Klein et al., Biotechnology 10:268 (1992);Zhang et al., Bio/Technology 9:996 (1991);Deshayes et al., EMBO J., 4:2731 (1985);Christou et al., Proc Natl. Acad. Sci. USA 84:3962 (1987);Hain et al., Mol. Gen. Genet. 199:161 (1985);Draper et al., Plant Cell Physiol. 23:451(1982);Donn et al., In Abstracts of VIIth International Congress on Plant Cell and Tissue Culture IAPTC, A2-38, p. 53 (1990);D'Halluin et al., Plant Cell 4:1495-1505 (1992)、およびSpencer et al., Plant Mol. Biol. 24:51-61 (1994)も参照されたい。
【0102】
油糧種子植物がPUFAの供給源である場合、種子を収穫して、収穫した種子から任意の不純物、細片、または消化しにくい部分を除去するために加工処理し得る。加工処理段階は油糧種子のタイプに依存して変化し、当技術分野において公知である。加工処理段階は、脱穀する段階(例えば、ダイズ種子を莢から分離する際など)、外皮を取る段階(果実、種子、または堅果の乾燥外皮または殻を除去する段階)、乾燥する段階、洗浄する段階、粉砕する段階、製粉する段階、および薄片にする段階を含み得る。任意の不純物、細片、または消化しにくい材料を除去するために種子を加工処理した後、スラリーを生成するために、水性溶液、一般的には水に添加し、その後混合することができる。一般に、製粉する段階、破砕する段階、または薄片にする段階は、水との混合の準備ができている際に行われる。この様式で生成されたスラリーを、微生物発酵ブロスについて記載されているのと同じ方法で処理および加工処理してもよい。加水分解、乳濁液調製、および品質(栄養的および感覚的)を改善するために、サイズ縮小、熱処理、pH調整、低温殺菌、および他の公知の処理を使用してもよい。
【0103】
本発明の組成物および方法において少なくとも一つのPUFAを含む油の別の好ましい供給源は、動物源を含む。したがって、いくつかの態様において、少なくとも一つのPUFAを含む油は、水生動物油である。動物源の例は、水生動物(例えば、魚、海洋哺乳類、オキアミおよび他のオキアミ類などの甲殻類)、ならびに動物組織(例えば、脳、肝臓、眼など)および卵または乳などの動物産物から抽出された脂質を含む。
【0104】
本発明はさらに、微生物油の配合物、微生物油および植物油の配合物、DHAおよびDPA(n-6)を産生するように遺伝子改変された植物由来の植物油、または遺伝子改変された微生物由来の微生物油を含む乳幼児用調合乳を提供する。
【0105】
一つの態様において、本発明は、微生物油の配合物を含む乳幼児用調合乳組成物を提供し、該配合物は、ヤブレツボカビ科微生物由来の油および渦鞭毛藻類微生物由来の油を含む。
【0106】
一つの態様において、ヤブレツボカビ科微生物はシゾキトリウム属のものであり、かつ渦鞭毛藻類微生物はクリプテコディニウム属のものである。
【0107】
別の態様において、配合物は、約20重量%〜約90重量%の間、約50重量%〜約82重量%の間、または約75重量%のヤブレツボカビ科微生物由来の油、および、約10重量%〜約80重量%の間、約18重量%〜約50重量%の間、または約25重量%の渦鞭毛藻類微生物由来の油を含む。別の態様において、配合物は、約57.5重量%〜約67.5重量%の間のヤブレツボカビ科微生物由来の油、および約32.5重量%〜約42.5重量%の間の渦鞭毛藻類微生物由来の油を含む。別の態様において、配合物は、約65重量%〜約80重量%の間のヤブレツボカビ科微生物由来の油、および約35重量%〜約20重量%の間の渦鞭毛藻類微生物由来の油を含む。別の態様において、配合物は、約80重量%〜約99重量%の間のヤブレツボカビ科微生物由来の油、および約20重量%〜約1重量%の間の渦鞭毛藻類微生物由来の油を含む。
【0108】
別の態様において、本発明は、微生物油および植物油の配合物を含む乳幼児用調合乳組成物を提供する。本態様において、配合物は、DHAおよびDPA(n-6)を産生するように遺伝子改変された植物由来の油を含む。植物油はDHAおよびDPA(n-6)を含有し、かつ微生物油はARAを含有する。
【0109】
別の態様において、本発明は、DHAおよびDPA(n-6)を産生するように遺伝子改変された植物由来の植物油を含む乳幼児用調合乳組成物を提供する。油は、約0.5:1〜約5:1の比でDHAおよびDPA(n-6)を含む。いくつかの態様において、植物はARAを産生するように遺伝子改変されている。
【0110】
シゾキトリウム属由来のPUFA PKSシステムをコードする遺伝子を発現するように遺伝子改変されている植物におけるPUFA(DHA、DPA(n-6)、およびARAなど)の産生は、「PUFA polyketide synthase systems and uses thereof」という題名で2006年6月12日に出願され、その全体が参照により本明細書に組み入れられる同時係属中の米国特許出願第11/452,096号に記載されている。簡潔には、これらの植物により産生される油は、PUFA PKS遺伝子が由来したシゾキトリウム属により産生される優勢なPUFA(主要なPUFA)である、DHA(ドコサヘキサエン酸(C22:6n-3))およびDPA(ドコサペンタエン酸(C22:5n-6))の両方の有意な量を含有する。有意に、PUFA PKS経路を用いてPUFAを産生する植物由来の油は、「古典的」経路により同じPUFAを産生するように遺伝的に操作された植物とは異なる脂肪酸プロファイルを有する。(古典的経路において、中間鎖長の飽和脂肪酸(脂肪酸シンターゼ(FAS)システムの産物)は、一連の伸長および不飽和化反応により修飾される。伸長反応の基質は、脂肪酸アシル-CoA(伸長される脂肪酸鎖)およびマロニル-CoA(各伸長反応の間に付加される2個の炭素の供給源)である。エロンガーゼ(elongase)反応の産物は、直鎖において2個の追加的な炭素を有する脂肪酸アシル-CoAである。デサチュラーゼは、酸素依存的反応における2個の水素の抽出により既存の脂肪酸鎖中にシス二重結合を作製する。そのような経路およびそのような経路に関与する遺伝子は文献において周知である。)トランスジェニック植物の生成に加えて、酵母においてPUFAを産生するためのPUFA PKS構築物の使用も、米国特許出願第11/452,096号において開示されている。標的PUFAとしてDHAおよびDPA(n-6)を産生するPUFA PKSシステムでの酵母および植物両方の形質転換が、植物の脂肪酸全体において主要な追加的な脂肪酸として(すなわち、野生型植物において産生される脂肪酸を減算する)、および酵母においてこれらのPUFAの両方を産生すること、ならびにさらに、野生型植物の脂肪酸には存在しない任意の他の脂肪酸は実質的に検出不可能であることが示された。また、DHAおよびDPA(n-6)を産生する遺伝子改変植物が開示され、DPA(n-6)に対するDHAの比は、任意の比を間に含んで約1:10〜約10:1である。
【0111】
別の態様において、本発明は、遺伝子改変微生物由来の微生物油を含む乳幼児用調合乳組成物を提供する。油は、約0.5:1〜約5:1の比でDHAおよびDPA(n-6)を含む。いくつかの態様において、微生物はARAを産生する。
【0112】
別の態様において、組成物は、DPA(n-6)を産生するように遺伝子改変された植物または微生物由来の植物油または微生物油を含む。本局面の好ましい態様において、植物または微生物は、DHAまたはARAを産生しない。さらなる局面において、組成物は、DHAを産生するように遺伝子改変された植物または微生物由来の植物または微生物油を含む。本局面の好ましい態様において、植物または微生物は、DPA(n-6)またはARAを産生しない。さらなる局面において、組成物は、ARAを産生するように遺伝子改変された微生物由来の植物または微生物油を含む。本局面の好ましい態様において、植物または微生物は、DHAまたはDPA(n6)を産生しない。一つの態様において、これらの植物または微生物由来の油は、本発明の乳幼児用調合乳組成物を産生するための適切な量および比で使用される。
【0113】
遺伝子改変植物が利用される態様において、遺伝子改変は、PUFAポリケチドシンターゼ遺伝子またはその一部の導入を含み得る。
【0114】
遺伝子改変微生物が利用されるいくつかの態様において、遺伝子改変は、PUFAポリケチドシンターゼ遺伝子またはその一部の導入を含み得る。
【0115】
乳幼児用調合乳の栄養成分は当技術分野において公知であり、当業者は、本発明のPUFAレベルおよび比を含むように調合乳組成物を調整することができると考えられる。例えば、乳幼児用調合乳は、典型的に、乳幼児用調合乳のカロリー含量全体の約6〜約25%を含むタンパク質成分;乳幼児用調合乳のカロリー含量全体の約35〜50%を含む糖質成分;および乳幼児用調合乳のカロリー含量全体の約30〜約50%を含む脂質成分を含有する。これらの範囲は例としてのみ提供され、限定するようには意図されない。
【0116】
適当な脂肪供給源の例は、典型的に、高オレイン酸ベニバナ油、ダイズ油、分割されたココナツ油(中鎖トリグリセリド、MCT油)、高オレイン酸ヒマワリ油、トウモロコシ油、キャノーラ油、ココナツ、ヤシ、およびパーム核油、海産油、綿実油、クルミ油、コムギ胚芽油、ゴマ油、タラの肝油、およびラッカセイ油を含む。上記で列挙されている任意の単一の脂肪、またはそれらの任意の組み合わせが、必要に応じて利用されてもよい。他の適当な脂肪は当業者に容易に明らかであると考えられる。
【0117】
乳幼児用調合乳の追加的な成分は、典型的に、例えば、タンパク質、糖質、ビタミン、およびミネラルを含む。乳幼児のために適当なタンパク質供給源の例は、典型的に、カゼイン、乳清、脱脂練乳、無脂肪乳、ダイズ、エンドウマメ、コメ、トウモロコシ、加水分解されたタンパク質、遊離アミノ酸、タンパク質とのコロイド状懸濁液においてカルシウムを含有するタンパク質供給源を含む。上記で列挙されている任意の単一のタンパク質、またはそれらの任意の組み合わせが、必要に応じて利用されてもよい。他の適当なタンパク質は当業者に容易に明らかであると考えられる。
【0118】
乳幼児用調合乳の第3の成分は、糖質の供給源である。糖質は、乳幼児が成長のために必要とし、かつ乳幼児を組織異化反応から保護する容易に利用可能なエネルギーの主要な供給源である。ヒトの乳および最も標準的な乳ベースの乳幼児用調合乳において、糖質はラクトースである。乳幼児用調合乳に使用され得る糖質は広範に変化可能である。乳幼児のために適当な糖質の例は、典型的に、加水分解されたコーンスターチ、マルトデキストリン、グルコースポリマー、スクロース、ラクトース、コーンシロップ、コーンシロップ固形物、ライスシロップ、グルコース、フルクトース、高フルクトースコーンシロップ、およびフルクトオリゴ糖(FOS)などの消化しにくいオリゴ糖を含む。上記で列挙されている任意の単一の糖質、またはそれらの任意の組み合わせが、必要に応じて利用されてもよい。他の適当な糖質は当業者に容易に明らかであると考えられる。
【0119】
本発明の乳幼児用調合乳は、典型的に、補給されたビタミンおよびミネラルを含む。本発明の乳幼児用調合乳に添加され得るビタミンおよびミネラルの例は、典型的に、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンK、ビタミンE、ビオチン、葉酸、パントテン酸、ナイアシン、m-イノシトール、カルシウム、リン、マグネシウム、亜鉛、マンガン、銅、ナトリウム、カリウム、クロライド、鉄、およびセレンを含む。追加的な栄養分であるクロム、モリブデン、ヨード、タウリン、カルニチン、およびコリンもまた含まれ得る。
【0120】
本発明の乳幼児用調合乳は、再構成可能な粉末、与える準備ができている液体、および希釈可能な液体濃縮物を含む、乳幼児における使用に適当な任意の製品形態として調製されてもよく、該製品形態は栄養調合乳分野においてすべて周知である。本出願において使用される際、乳幼児用調合乳組成物に存在する成分の量とは、調合乳が乳幼児による消費の準備ができているときの量のことを指す。再構成可能な粉末または希釈可能な液体濃縮物の場合、乳幼児用調合乳組成物が再構成または希釈されるときに、量が本明細書で説明するように、成分量が調整されると考えられることが理解されるべきである。したがって、例えば、消費の準備ができている際に所定の成分濃度を有する、例えば1の割合の乳幼児用調合乳に1の割合の水の添加により希釈されるべき乳幼児用調合乳組成物への言及は、水の添加により消費の準備がなされる前に、所定の量の2倍の成分の濃度を有する乳幼児用調合乳組成物を包含することが意図される。乳幼児用調合乳を調製する方法は当業者に公知である。例えば、PUFAを含有する油を、製造過程において適当な時点で液体調合乳組成物に直接添加してもよい。
【0121】
本発明による乳幼児用調合乳は、任意で滅菌されて、その後与える準備ができている状態で使用することができ、または濃縮物として保存することができる。濃縮物は上記のように調製した液体調合乳を噴霧乾燥させることによって調製することができ、調合乳は濃縮物を再水和させることによって再構成することができる。乳幼児用調合乳濃縮物は安定な液体であり、適当な保存寿命を有する。
【0122】
別の態様において、油は、調合乳組成物中への添加に先立ってマイクロカプセル化される。PUFAのマイクロカプセル化のためのコーティングの選択は、毒性の欠如、望ましい粒子サイズ、および乳幼児用調合乳のための加工処理条件、特に滅菌下での安定性により決定される。任意の従来許容されている実質的に酸素不浸透性のコーティングが、本発明において使用され得る。そのような従来のマイクロカプセル化法およびコーティング材料は、十分に当業者の範囲内であり、かつ具体的なマイクロカプセル化法およびコーティングは本発明に特有ではない。これらの方法のいくつかは、PUFAをポリマーの溶液中へ乳化させ、微細粒子を作製するように噴霧乾燥させるような、噴霧乾燥を含む。約250μmの粒子が、本発明による乳幼児用調合乳中に含まれるために適当である。PUFAが融解性の脂肪またはワックス中に組み込まれる際、粒子を形成するためにその融点以下に乳濁液が冷却されることのみが必要であるため、その過程は噴霧冷却と呼ばれる。PUFAをカプセル化するために使用され得る別のカプセル化過程は、コアセルベーションである。他の適当な技術は、界面ポリマー化、熱融解カプセル化、相分離カプセル化(溶媒除去および溶媒蒸発)、自然乳濁、溶媒蒸発マイクロカプセル化、溶媒除去マイクロカプセル化、コアセルベーション、ならびに、低温度マイクロスフェア形成および相反転ナノカプセル化(PIN)を含む。一般に、マイクロカプセル化されたPUFAは、組成物の粉末化された態様中への添加に適当である自由に流動する粉末を形成する。これらおよび他のカプセル化技術およびカプセル化された油は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる米国特許仮出願第60/805,590号に記載されている。
【0123】
本発明の粉末の態様について、上記で説明されている使用法は、さらに、適当な水性液体、好ましくは水を用いた粉末の再構成を含む。そのような希釈は、本明細書で詳細に説明している特性を有するLC-PUFAで強化された乳幼児用調合乳を提供するために十分な量であってもよい。本発明の粉末の態様について、そのような粉末は、典型的に、流動可能なもしくは実質的に流動可能な粒子状の組成物、または、スプーンもしくは同様の他の装置で容易にすくって測定できる少なくとも粒子状の組成物の形態であり、該組成物は、液体乳幼児用調合乳を形成するように、適当な水性液体、典型的には水を用いて意図された使用者により容易に再構成され得る。本文脈において、「即時の」使用は、一般に、再構成後約48時間以内、最も典型的には約24時間以内、好ましくはすぐを意味する。これらの粉末の態様は、噴霧乾燥された、塊状にされた、乾燥混合された、または他の公知の、または別の点で有効な粒子状形態を含む。一人分のために適当な容量を生成するのに必要とされる栄養粉末の量は変化可能である。
【0124】
本発明はさらに、本発明の乳幼児用栄養組成物を乳幼児に与える段階を含む、乳幼児に栄養を与えるための方法を提供する。例えば、本発明は、乳幼児用調合乳組成物を乳幼児に与える段階を含む、乳幼児に栄養を与える方法を提供し、本方法において、該組成物は長鎖n-3脂肪酸および長鎖n-6脂肪酸を含み、かつ該長鎖n-3脂肪酸はドコサヘキサエン酸(DHA)を含み、長鎖n-6脂肪酸はドコサペンタエン酸(DPA(n-6))および任意でアラキドン酸(ARA)を含む。本態様において、ARA:DHAの比は約3:1未満であり、かつDHA:DPA(n-6)比は約5:1〜約0.5:1である。別の態様において、本発明は、乳幼児用調合乳組成物を乳幼児に与える段階を含む、乳幼児に栄養を与える方法を提供し、本方法において、該組成物は長鎖n-6脂肪酸およびDHAを含み、該乳幼児用調合乳組成物中の該長鎖n-6脂肪酸h供給源油において供給され、該供給源油は少なくとも約2重量%のDPA(n-6)を含む長鎖n-6脂肪酸を含み、DHA:DPA(n-6)比が約5:1〜約0.5:1であり、かつ該組成物が乳幼児に与えられる際に少なくとも約2 mg/kg/日DPA(n-6)を提供するように調合されている。別の態様において、本発明は、乳幼児用調合乳組成物を乳幼児に与える段階を含む、乳幼児に栄養を与える方法を提供し、本方法において、該組成物は消費の準備ができている際に少なくとも約7 mg/LのDPA(n-6)を含み、該組成物はさらに長鎖n-3脂肪酸を含み、該長鎖n-3脂肪酸はDHAを含み、該組成物はさらに任意でアラキドン酸ARAを含み、かつARA:DHAの比は約3:1未満である。別の態様において、本発明は、乳幼児用調合乳組成物を乳幼児に与える段階を含む、乳幼児に栄養を与えるを提供し、本方法において、該乳幼児用調合乳組成物はDHAおよびARA目標要件を満たすように調合され、かつ該組成物は、目標DHA要求量のDHA、目標ARA要求量未満のサブ目標量のARA;および、インビボでARAに逆変換するのに十分な量、ARAサブ目標量を相殺するのに十分な量のDPA(n-6)を含む。
【0125】
本発明はさらに、栄養成分、DHA、およびDPA(n-6)を含有する乳幼児用調合乳組成物を乳幼児に与える段階を含む、乳幼児に栄養を与える方法を提供し、本方法において、該乳幼児は少なくとも約2 mg DPA(n-6)/kg/日を与えられる。いくつかの態様において、本発明は、本明細書において説明されているような任意の乳幼児用調合乳組成物を乳幼児に与える段階を含む、乳幼児に栄養を与える方法を提供する。
【0126】
いくつかの態様において、方法はさらに、栄養成分およびDHAおよびDPA(n-6)を含有する乳幼児用調合乳粉末を、該栄養成分および該LC-PUFAを含む溶液を取得するために水に溶解する段階を含む。
【0127】
本発明の栄養調合乳は、単一または複数回使用の容器中にパッケージおよびシールされてもよく、かつその後約36ヶ月またはより長くまで、より典型的には約12〜約24ヶ月の間、環境条件下で保存されてもよい。複数回使用の容器について、これらのパッケージは、蓋をしたパッケージがその後環境条件下で保存され(例えば、極端な温度を避けて)、内容物を約1ヶ月程度のうちに使用する条件で、開封し、その後反復して使用するために最後の使用者により蓋をすることができる。
【0128】
未熟児は、その成長を支持するための追加的な栄養分を必要とし、未熟さに関連する疾患のリスクにさらされている。早産児は一般に、これらの乳幼児のために特別に設計された商業的な乳幼児用調合乳か、または彼ら自身の母親の乳かのいずれかを与えられる。早産児に栄養を与える別の手段は、早産期の乳、保存されていた満期の乳(banked term milk)、他の適当な乳、または、乳もしくは調合乳強化剤を伴う乳幼児用調合乳を補給することである。そのような補給された乳または調合乳は、これらの乳幼児の必要を満たすようにいくつかの栄養分のレベルをより適切に提供することができる。本出願の別の発明は、LC-PUFAを含む未熟児用栄養強化剤組成物を提供する。特に、未熟児用栄養強化剤組成物はDPA(n-6)を含み、他の態様において、DHAおよび/またはARAを含み得る。強化剤組成物は、一般に、タンパク質、脂肪、ビタミン、およびミネラルのレベルを任意で補給できる粉末または油である。強化剤組成物は、乳または調合乳に添加される際に、上記で乳幼児用調合乳組成物について説明されているようなLC-PUFAの量および比を提供するように調合されている。例えば、強化された乳および調合乳組成物は、閾値量のDPA(n-6)を含むことができ、約5:1〜約0.5:1であるDHA:DPA(n-6)比を有することができるか、または、本明細書で説明する種々の発明由来の他の限定を有する。強化剤組成物は、結果として生じる強化された乳または調合乳において一つまたは複数のDPA(n-6)、DHA、および/またはARA LC-PUFAの唯一の供給源であり得、または、強化されていない乳または調合乳においてLC PUFAの量を補給することができる。本出願の別の発明は、乳幼児用乳または調合乳を記載のような組成物と組み合わせる段階を含む、強化された未熟児用乳または調合乳を調製する方法である。
【0129】
本出願の別の発明は、上記のような未熟児用栄養強化剤組成物を乳幼児用乳または調合乳に添加することにより調製される強化された乳または調合乳を、未熟児に与える段階を含む、補助的な栄養分を早産児に提供する方法である。
【0130】
本出願の別の発明は、上記で説明されているような未熟児用栄養強化剤組成物を乳幼児用乳または調合乳に添加することにより調製される強化された乳または調合剤を、未熟児に与える段階を含む、未熟児の成長を促進するための方法である。
【0131】
本発明はまた、LC-PUFAが補給された乳幼児用栄養補助食品組成物を提供する。特に、乳幼児用栄養補助食品組成物はDPA(n-6)を含み、他の態様では、DHAおよび/またはARAを含むことができる。乳幼児用栄養補助食品はまた任意で、タンパク質、脂肪、ビタミン、およびミネラルのレベルを補給することができる。乳幼児用栄養補助食品組成物は、そのような補助食品が乳幼児用調合乳から分離された際に1日摂取パラメーターを特に含む、上記で乳幼児用調合乳組成物について説明されているようなLC-PUFAの量および比を提供するように調合されている。しかしながら、いくつかの態様において、乳幼児用栄養補助食品は、乳幼児用調合乳に添加され得る。本発明の対象物の乳幼児用栄養補助食品は、与えられるように調合されてもよく、または、部分的な量すなわち分割量で、24時間の間に1回もしくは複数回、24時間の期間に単一の用量、24時間の期間に2倍の用量、もしくは24時間の期間に2倍の用量以上与えられる。分割の2倍または他の複数の用量が、24時間の間に同時に、または異なる時間に摂取されてもよい。
【0132】
乳幼児の口に合う乳幼児用栄養補助食品組成物の発明に有用である経口調合物のための組成物は、当技術分野において公知である。乳幼児用栄養補助食品組成物は、例えば、不活性の希釈剤もしくは同化可能な食用担体と共に経口的に与えることができる、または、堅いもしくは柔らかい殻のゼラチンカプセル中に封入することができる、または、錠剤に圧縮することができる、または、食餌の食物と直接組み合わせることができる。経口投与のために、乳幼児用栄養補助食品組成物は、賦形剤と組み合わされ、摂取可能な錠剤、バッカル錠剤、トローチ、カプセル、エリキシル、懸濁液、シロップ、オブラート等の形態で使用してもよい。錠剤、トローチ、丸剤、カプセル等はまた、以下を含有することができる:トラガカントゴム、アカシア、コーンスターチ、またはゼラチンなどの結合剤;リン酸二カルシウムなどの賦形剤;コーンスターチ、ジャガイモデンプン、アルギン酸等などの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤;かつスクロース、ラクトース、もしくはサッカリンなどの甘味剤、または、ペパーミント、冬緑油、もしくはサクランボの香味などの香味剤を添加することができる。単位剤形がカプセルである際、上記のタイプの材料に加えて液体担体を含有することができる。種々の他の材料がコーティングとして、または、別の方法で物理的単位剤形を修飾するために存在し得る。例えば、錠剤、丸剤、またはカプセルは、セラック、糖、またはその両方でコーティングすることができる。シロップまたはエリキシルは、活性化合物、甘味剤としてのスクロース、保存料としてのメチルおよびプロピルパラベン、色素、ならびにサクランボまたはオレンジ香味などの香味料を含有することができる。水中油型乳濁液は、水混和性であり、したがってその油性が遮蔽されるため、乳幼児における経口使用により適合している可能性がある。そのような乳濁液は、薬科学において周知である。
【0133】
実施例
実施例1:成人におけるDHA生物学的同等性研究
本実施例は、成人におけるDHAの存在下でのDPA(n-6)のARAへの用量依存的逆変換を示す。
【0134】
DHAに富むシゾキトリウム属(Martek DHA(商標)-S)油およびDHAに富むクリプテコディニウム属(DHASCO(登録商標))油の補給の血漿脂肪酸含量への効果を研究するため、約38歳の平均年齢を有する健康な成人を、合計4週間、1日当たり0、200、600、または1,000 mgいずれかのDHAを送達するゼラチンカプセルを補給される処置群に無作為に分けた。本研究は、DHASCO(登録商標)またはMartek DHA(商標)-Sカプセルいずれか由来の3種類の用量のDHA(1日当たり200、600、または1000 mg DHA)、プラセボカプセル、またはMartek DHA(商標)-S栄養バー由来の単一用量のDHA(1日当たり465 mg)を4週間の処置期間用いた、8部門の、前向きの、無作為化された、並列群の、生物学的同等性研究であった。カプセルを消費する群の間で、研究は二重盲検であり、プラセボ制御されていた。
【0135】
血液試料を、基線およびその後のDHA補給の4週間に収集した。血漿を単離し、N2でパージして脂肪酸解析まで−80℃で保存した。血漿脂質をフォルチ(Folch)の方法を用いて抽出し、ヘキサン:エーテル:酢酸の60:40:3の比の溶液(v/v/v)中で展開したシリカゲルプレート上での薄層クロマトグラフィー(TLC)によりリン脂質を単離した。内部標準(23:0脂肪酸)を添加し、リン脂質をメタノール中の0.5N NaOHで鹸化した。結果として生じた脂肪酸をメタノール中の14%BF3を用いてメチル化し、その後へキサンで抽出した。脂肪酸メチルエステルを、担体ガスとしてヘリウムを伴う48:1スプリット流量比およびプログラムされた温度勾配(130〜250℃)を用いて、30m FAMEWAX(商標)(Restek, State College, PA)カラムを装備したAgilent Series 6890 Systemでのキャピラリーカラムガスクロマトグラフィーにより分離した。脂肪酸メチルエステルを、炎イオン化検出、およびNuChek Prep(Elysian, MN)由来の混合脂肪酸メチルエステル標準との保持時間の比較により同定した。脂肪酸を、23:0内部標準との比較により定量化した。個々の脂肪酸レベルは、100 gの脂肪酸全体当たりのグラムとして報告した。
【0136】
DHAに富むクリプテコディニウム属油(DHASCO(登録商標)油)は、一般的な飽和および不飽和脂肪、ならびに少量のステロールおよびカロチノイド成分のバランスで、約400 mg/g DHA、0 mg/g DPA(n-6)、0 mg/g EPA、および2.5 mg/gコレステロールを含有する。DHAに富むシゾキトリウム属油(Martek DHA(商標)-S油)は、一般的な飽和および不飽和脂肪、ならびに少量のステロールおよびカロチノイド成分のバランスで、約400 mg/g DHA、150 mg/g DPA(n-6)、11 mg/g EPA、および2.5 mg/gコレステロールを含有する。対象の体重はおよそ40〜116.4 kgに渡り、平均76.7 kgであった。体重で規準化された平均DHA摂取レベルは、200 mg DHA/日レベルで2.6 mg DHA/kg/日、600 mg DHA/日レベルで7.8 mg DHA/kg/日、および1,000 mg DHA/日レベルで13.0 mg DHA/kg/日であると計算された。
【0137】
DHASCO(登録商標)およびMartek DHA(商標)-Sカプセル両方の補給は、図1に示されるように血漿PL DHAレベルにおいて統計学的に有意な(p<0.05)、用量依存的増加をもたらした。図2に示されるように、DPA(n-6)はMartek DHA(商標)-S処置と共に増加したが、DHASCO(登録商標)処置と共に減少した。
【0138】
DHA補給に対するARA血漿リン脂質の応答は、表1および図3に示されるように2種類のDHA処置によって異なった。
【0139】
(表1)DHAに富むシゾキトリウム属油(Martek DHA(商標)-S油)およびDHAに富むクリプテコディニウム属油(DHASCO(登録商標))を用いて、実施例1のDHA生物学的利用能研究のために測定された血漿リン脂質における差異の概要(1セル当たりn=12個体)((4週間試料の平均−0週間試料の平均)/0週間試料の平均、の平均値として示されている)

【0140】
DHASCO(登録商標)処置について、血漿リン脂質ARAレベルは、DHA用量と反比例する様式で減少した。しかしながら、Martek DHA(商標)-S処置については、血漿リン脂質ARAレベルは600 mg/日用量で11%の同様の減少を示したが、最も高い1000 mg DHA/日用量ではARAレベルは4%のみ減少した。DHAによるARA合成の阻害のために、DHA補給に伴うARA含量における減少が予想され、一般に観察される。Martek DHA(商標)-S油のより高い1000 mg DHA/日用量で観察されたARAレベルの大体の維持は予想されなかったことであり、本用量でのDPA(n-6)のARAへのインビボ逆変換により最もよく説明され得る。
【0141】
実施例2:子供におけるDHA-S生物学的利用能研究
本実施例は、DHAの存在下におけるDPA(n-6)のARAへの用量依存的逆変換を示す。DHAに富むシゾキトリウム属油(Martek DHA(商標)-S油)の補給の血漿脂肪酸含量への効果を研究するため、4〜6歳の年齢の健康な子供を、合計4週間、1日当たり200 mgまたは400 mgいずれかのDHAを送達する噛み砕けるゼラチンカプセルを補給される2個の処置群に無作為に分けた。1処置群あたり約20人の対象であった。DHAの供給源は、シゾキトリウム属種由来のDHAに富むトリグリセリド油(Martek DHA(商標)-S油)であり、一般的な飽和および不飽和脂肪、ならびに少量のステロールおよびカロチノイド成分のバランスで、約400 mg/g DHA、150 mg/g DPA(n-6)、11 mg/g EPA、および2.5 mg/gコレステロールを含有する。対象の体重は15.3〜25.4 kgに渡り、平均18.8 kgであった。体重で規準化された平均DHA摂取レベルは、200 mg DHA/日レベルで10.6 mg DHA/kg/日、および400 mg DHA/日レベルで21.3 mg DHA/kg/日であると計算された。血液試料を、処置が始まる前および4週間の処置期間が終わった後に採取した。血漿リン脂質脂肪酸を各試料について実施例1で説明されているように測定し、図4に示されるように図表にまとめた。4週間の期間に渡る鍵となる脂肪酸における変化は、4週間での血漿リン脂質脂肪酸含量を0週間での対応する値から減算し、かつこれらの差異を平均することによって計算した。これらの結果を表2に要約した。
【0142】
(表2)DHAに富むシゾキトリウム属油を用いて子供におけるDHA生物学的利用能研究のために測定された血漿リン脂質における差異の概要(1群当たりn=10〜12)((4週間試料−0週間試料)/0週間試料、の平均値として示されている)

は有意に異なる結果を示す(p値<0.05)。
【0143】
結果は、実施例1において観察されたものと同様の挙動を示す。DHAおよびDPA(n-6)リン脂質含量の両方が用量依存的様式で増加し、対象の処置プロトコールの遵守を確認した。血漿リン脂質におけるARAは、200 mg DHA/日用量で平均13%減少したが、より高い400 mg DHA/日用量では7%のみ減少した。DHAによるARA合成の阻害のために、DHA補給に伴うARA含量における減少が予想され、一般に観察される。より低いレベルのARA低下がより高い400 mg DHA/日用量で観察されたことは予想されなかったことであり、DPA(n-6)のARAへのインビボ逆変換により最もよく説明され得る。本結果は、特に体重で規準化された用量基準(mg DHA/kg/日)で比較された際に、観察された結果および実施例1と一致する。
【0144】
実施例1および2由来の結果は、いかにDPA(n-6)も含有するDHAに富むシゾキトリウム油(Martek DHA(商標)-S油)の使用が、血清ARAを減少させることなく血清DHA増加させるという目標に向かってARAのDHAとの共補給の必要性を減少させ得るかを示す。これらの結果は、2〜3から約6〜8 mg DPA(n-6)/kg/日のDPA(n-6)用量に対応する約10〜25 mg DHA/kg/日の体重で規準化された用量で、ARA減少の有意な抑制が現れることを示す。
【0145】
実施例3.ラットにおけるインビボでのDPA(n-6)によるARAレベルの維持
スプラーグドーリー(Sprague Dawley)ラットに、0〜3%の間の種々の量のMartek DHA(商標)-S油またはDHASCO(登録商標)油を含有するAIN-76A精製食餌を、血液を収集した後28日間与えた。血漿を採取し、脂肪酸解析まで−80℃で保存した。全血漿における脂肪酸レベルを測定した。簡潔には、内部標準(23:0)を血漿試料に添加し、フォルチの方法を用いて脂質を抽出した。抽出した脂質をメタノール中の0.5N NaOHで鹸化し、結果として生じた脂肪酸をメタノール中の14%BF3を用いてメチル化し、その後へキサンで抽出した。脂肪酸メチルエステルを、担体ガスとしてヘリウムを伴う48:1スプリット流量比およびプログラムされた温度勾配(130〜250℃)を用いて、30m FAMEWAX(商標)(Restek, State College, PA)カラムを装備したAgilent Series 6890 Systemでのキャピラリーカラムガスクロマトグラフィーにより分離した。脂肪酸メチルエステルを、炎イオン化検出、およびNuChek Prep(Elysian, MN)由来の混合脂肪酸メチルエステル標準との保持時間の比較により同定した。脂肪酸を、23:0内部標準との比較により定量化した。個々の脂肪酸レベルは、100 gの脂肪酸全体当たりのグラムとして報告した。
【0146】
図5A〜Cは、Martek DHA(商標)-S油またはDHASCO(登録商標)油を含有する食餌をラットに与えた後28日の血漿におけるDHA(A)、DPA(n-6)(B)、およびARA(C)レベルを示す。グラフは、1kg体重当たり、1日当たりのmgに基づいてDHA用量に規準化されている。Martek DHA(商標)-S油およびDHASCO(登録商標)油の両方で同様の用量依存的様式においてDHAレベルが増加したが、Martek DHA(商標)-S油はDPA(n-6)レベルの増加をもたらし(油中の本脂肪酸の存在のために)、一方DHASCO(登録商標)油はDPA(n-6)レベルの減少をもたらしたことに注目されたい。ARAレベルは、DHASCO(登録商標)油で滑らかなDHA用量依存的様式において減少した。しかしながら、DPA(n-6)を含有するMartek DHA(商標)-S油の補給は、恐らくインビボで閾値DPA(n-6)レベルに達した後のDPA(n-6)のARAへの逆変換のために、低い用量ではARAを減少させるがより高い用量ではARAレベルをほぼ維持する、曲線のARA応答をもたらした。ラットのDPA(n-6)へのARA応答は、ヒトにおけるDPA(n-6)補給で見られた応答に匹敵する。
【0147】
実施例4.乳幼児用調合乳における使用のために様々なDHA:DPA(n-6)比を提供するためのヤブレツボカビ科および渦鞭毛藻類油の配合
本実施例は、DHA:DPA(n-6)比が様々である配合された油を提供することを説明する。
【0148】
4:1のDHA/DPA(n-6)比を達成するために必要とされる配合組成物は、同時に3種類の方程式を解くことにより決定された:

ここで:
X=最終的な配合物におけるMartek DHA(商標)-Sの重量分画
Y=最終的な配合物におけるDHASCO(登録商標)の重量分画=1−X
D=最終的な配合物におけるDHAの重量分画
P=最終的な配合物におけるDPAの重量分画
であり、解くと
(1):D=0.4
(3):P=0.1
(2):X=0.0.659(最終的な配合物におけるMartek DHA(商標)-S%)→ 65.9% Martek DHA(商標)-S(シゾキトリウム属油)
Y=0.0.341(最終的な配合物におけるDHASCO(登録商標)%)→ 34.1%DHASCO(登録商標)(クリプテコディニウム属油)
【0149】
同様に、他の目標DHA/DPA(n-6)比は、開始する油におけるDHAおよびDPA(n-6)の量を考慮して、同じ方法により計算することができる。例えば、DHASCO(登録商標)油、またはMartek DHA(商標)-S油の配合物について、以下の目標DHA/DPA(n-6)比を計算することができる:

【0150】
本発明の前記の説明は、例証および説明の目的のために示されてきた。さらに、説明は、本発明を本明細書において開示されている形態に限定するようには意図されない。したがって、上記の開示と同一基準の変形物および改変物、ならびに関連性のある技術分野の技術または知識は、本発明の範囲内である。本明細書において上記で説明されている態様はさらに、本発明を実施するために公知である最良の形態を説明すること、ならびに、当業者がそのようなまたは他の態様において、および、本発明の特定の適用または使用により必要とされる種々の改変と共に本発明を利用するのを可能にすることが意図されている。さらに、一つの態様由来の要素は、一つまたは複数の他の態様由来の要素と容易に再結合され得る。そのような結合は、本発明の範囲内の多数の態様を形成し得る。添付の特許請求の範囲は、先行技術により許容される範囲まで代替的な態様を含むように解釈されることが意図される。さらに、本明細書において開示されている本発明の種々の他の局面は、添付の番号がつけられた条項において示されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乳幼児による消費の準備ができている際に長鎖n-3脂肪酸および長鎖n-6脂肪酸を含む乳幼児用調合乳組成物であって、長鎖n-3脂肪酸がドコサヘキサエン酸(DHA)を含み、長鎖n-6脂肪酸がドコサペンタエン酸(DPA(n-6))および任意でアラキドン酸(ARA)を含み、ARA:DHAの比が約3:1未満であり、かつDHA:DPA(n-6)比が約5:1〜約0.5:1である、乳幼児用調合乳組成物。
【請求項2】
ARA:DHAの比が約1.95:1未満である、請求項1記載の乳幼児用調合乳組成物。
【請求項3】
ARA:DHAの比が約1.85:1未満である、請求項1記載の乳幼児用調合乳組成物。
【請求項4】
ARA:DHAの比が約1.75:1未満である、請求項1記載の乳幼児用調合乳組成物。
【請求項5】
ARA:DHAの比が約0.4:1より大きい、請求項1記載の乳幼児用調合乳組成物。
【請求項6】
乳幼児用調合乳組成物中の長鎖n-6脂肪酸が供給源油において供給され、供給源油が少なくとも約2重量%のDPA(n-6)を含む長鎖n-6脂肪酸を含む、請求項1記載の乳幼児用調合乳組成物。
【請求項7】
少なくとも約7 mg/LのDPA(n-6)を含む、請求項1記載の乳幼児用調合乳組成物。
【請求項8】
DHA、ARA、またはDPA(n-6)が、植物、油糧種子、微生物、動物、および前記のものの混合物からなる群より選択される供給源由来である、請求項1記載の乳幼児用調合乳組成物。
【請求項9】
供給源が、藻類、細菌、真菌、および原生生物からなる群より選択される微生物である、請求項8記載の乳幼児用調合乳組成物。
【請求項10】
供給源が、ダイズ、トウモロコシ、ベニバナ、ヒマワリ、キャノーラ、アマ、ラッカセイ、カラシ、ナタネ、ヒヨコマメ、ワタ、レンズマメ、シロツメクサ、オリーブ、ヤシ、ルリジサ、マツヨイグサ、アマニ、およびタバコ、ならびにそれらの混合物からなる群より選択される遺伝子改変植物および遺伝子改変油糧種子からなる群より選択される、請求項8記載の乳幼児用調合乳組成物。
【請求項11】
供給源が、遺伝子改変植物、遺伝子改変油糧種子、および遺伝子改変微生物からなる群より選択され、該遺伝子改変がポリケチドシンターゼ遺伝子またはその一部の導入を含む、請求項8記載の乳幼児用調合乳組成物。
【請求項12】
供給源が、ヤブレツボカビ目(Thraustochytriales)、渦鞭毛藻類、およびモルティエレラ属(Mortierella)からなる群より選択される微生物である、請求項8記載の乳幼児用調合乳組成物。
【請求項13】
微生物が、シゾキトリウム属(Schizochytrium)、ヤブレツボカビ属(Thraustochytrium)、およびクリプテコディニウム属(Crypthecodinium)からなる群より選択される、請求項12記載の乳幼児用調合乳組成物。
【請求項14】
乳幼児用調合乳組成物が微生物油の配合物を含み、かつ該配合物がヤブレツボカビ科(thraustochytrid)微生物由来の油および渦鞭毛藻類微生物由来の油を含む、請求項1記載の乳幼児用調合乳組成物。
【請求項15】
DHA:DPA(n-6)比が、約5:1〜約3:1、約5:1〜約2:1、および約5:1〜約1:1からなる群より選択される、請求項1記載の乳幼児用調合乳組成物。
【請求項16】
約0.37 mg/Lのコレステロール〜約500 mg/Lコレステロールをさらに含む、請求項1記載の乳幼児用調合乳組成物。
【請求項17】
約0.37 mg/Lのコレステロール〜約3.75 mg/Lコレステロールをさらに含む、請求項1記載の乳幼児用調合乳組成物。
【請求項18】
約3 mg/L未満の量のエイコサペンタエン酸(EPA)を含む、請求項1記載の乳幼児用調合乳組成物。
【請求項19】
約60 mg/L未満の量のEPAを含む、請求項1記載の乳幼児用調合乳組成物。
【請求項20】
乳幼児に与えられる際に少なくとも約2 mg/kg/日DPA(n-6)を提供するように調合されている、請求項1記載の乳幼児用調合乳組成物。
【請求項21】
乳幼児に与えられる際に約3 mg/kg/日DPA(n-6)〜約8 mg/kg/日DPA(n-6)を提供するように調合されている、請求項20記載の乳幼児用調合乳組成物。
【請求項22】
請求項1〜21のいずれか一項記載の乳幼児用調合乳組成物を乳幼児に与える段階を含む、乳幼児に栄養を与える方法。
【請求項23】
栄養成分、長鎖n-3脂肪酸、および長鎖n-6脂肪酸を組み合わせる段階を含む、乳幼児用調合乳組成物を調製する方法であって、長鎖n-3脂肪酸がDHAを含み、長鎖n-6脂肪酸がARAおよびDPA(n-6)を含み、ARA:DHAの比が約3:1未満であり、かつDHA:DPA(n-6)比が約5:1〜約0.5:1である、方法。
【請求項24】
長鎖n-6脂肪酸およびDHAを含む乳幼児用調合乳組成物であって、長鎖n-6脂肪酸が供給源油において供給され、供給源油が少なくとも約2重量%のDPA(n-6)を含む長鎖n-6脂肪酸を含み、DHA:DPA(n-6)比が約5:1〜約0.5:1であり、かつ該組成物が乳幼児に与えられる際に少なくとも約2 mg/kg/日DPA(n-6)を提供するように調合されている、乳幼児用調合乳組成物。
【請求項25】
供給源油における長鎖n-6脂肪酸が、少なくとも約5重量%のDPA(n-6)を含む、請求項24記載の乳幼児用調合乳組成物。
【請求項26】
供給源油における長鎖n-6脂肪酸が、少なくとも約10重量%のDPA(n-6)を含む、請求項24記載の乳幼児用調合乳組成物。
【請求項27】
供給源油における長鎖n-6脂肪酸が、少なくとも約15重量%のDPA(n-6)を含む、請求項24記載の乳幼児用調合乳組成物。
【請求項28】
供給源油における長鎖n-6脂肪酸が、少なくとも約20重量%のDPA(n-6)を含む、請求項24記載の乳幼児用調合乳組成物。
【請求項29】
供給源油における長鎖n-6脂肪酸が、少なくとも約25重量%のDPA(n-6)を含む、請求項24記載の乳幼児用調合乳組成物。
【請求項30】
長鎖n-6脂肪酸がARAを含み、かつARA:DHAの比が約3:1未満である、請求項24記載の乳幼児用調合乳組成物。
【請求項31】
ARA:DHAの比が約0.4:1より大きい、請求項30記載の乳幼児用調合乳組成物。
【請求項32】
ARAを含まない、請求項24記載の乳幼児用調合乳組成物。
【請求項33】
少なくとも約7 mg/LのDPA(n-6)を含む、請求項24記載の乳幼児用調合乳組成物。
【請求項34】
DHAまたはDPA(n-6)が、植物、油糧種子、微生物、動物、および前記のものの混合物からなる群より選択される供給源由来である、請求項24記載の乳幼児用調合乳組成物。
【請求項35】
供給源が、藻類、細菌、真菌、および原生生物からなる群より選択される微生物である、請求項34記載の乳幼児用調合乳組成物。
【請求項36】
供給源が、ダイズ、トウモロコシ、ベニバナ、ヒマワリ、キャノーラ、アマ、ラッカセイ、カラシ、ナタネ、ヒヨコマメ、ワタ、レンズマメ、シロツメクサ、オリーブ、ヤシ、ルリジサ、マツヨイグサ、アマニ、およびタバコ、ならびにそれらの混合物からなる群より選択される遺伝子改変植物および遺伝子改変油糧種子からなる群より選択される、請求項34記載の乳幼児用調合乳組成物。
【請求項37】
供給源が、遺伝子改変植物、遺伝子改変油糧種子、および遺伝子改変微生物からなる群より選択され、該遺伝子改変がポリケチドシンターゼ遺伝子またはその一部の導入を含む、請求項34記載の乳幼児用調合乳組成物。
【請求項38】
供給源が、ヤブレツボカビ目、渦鞭毛藻類、およびモルティエレラ属からなる群より選択される微生物である、請求項34記載の乳幼児用調合乳組成物。
【請求項39】
微生物が、シゾキトリウム属、ヤブレツボカビ属、およびクリプテコディニウム属からなる群より選択される、請求項38記載の乳幼児用調合乳組成物。
【請求項40】
乳幼児用調合乳組成物が微生物油の配合物を含み、かつ該配合物がヤブレツボカビ科微生物由来の油および渦鞭毛藻類微生物由来の油を含む、請求項24記載の乳幼児用調合乳組成物。
【請求項41】
DHA:DPA(n-6)比が、約5:1〜約3:1、約5:1〜約2:1、および約5:1〜約1:1からなる群より選択される、請求項24記載の乳幼児用調合乳組成物。
【請求項42】
約0.37 mg/Lのコレステロール〜約500 mg/Lコレステロールをさらに含む、請求項24記載の乳幼児用調合乳組成物。
【請求項43】
約0.37 mg/Lのコレステロール〜約3.75 mg/Lコレステロールをさらに含む、請求項24記載の乳幼児用調合乳組成物。
【請求項44】
約3 mg/L未満の量のEPAを含む、請求項24記載の乳幼児用調合乳組成物。
【請求項45】
約60 mg/L未満の量のEPAを含む、請求項24記載の乳幼児用調合乳組成物。
【請求項46】
乳幼児に与えられる際に約3 mg/kg/日DPA(n-6)〜約8 mg/kg/日DPA(n-6)を提供するように調合されている、請求項24記載の乳幼児用調合乳組成物。
【請求項47】
請求項24〜46のいずれか一項記載の乳幼児用調合乳組成物を乳幼児に与える段階を含む、乳幼児に栄養を与える方法。
【請求項48】
栄養成分、DHA、および長鎖n-6脂肪酸を組み合わせる段階を含む、乳幼児用調合乳組成物を調製する方法であって、乳幼児用調合乳組成物中の長鎖n-6脂肪酸が供給源油において供給され、供給源油が少なくとも約2重量%のDPA(n-6)を含む長鎖n-6脂肪酸を含み、かつDHA:DPA(n-6)比が約5:1〜約0.5:1であり、それにより乳幼児に与えられる際に少なくとも約2 mg/kg/日DPA(n-6)を提供する乳幼児用調合乳組成物が調製される、方法。
【請求項49】
消費の準備ができている際に少なくとも約7 mg/LのDPA(n-6)を含むように調合され、長鎖n-3脂肪酸をさらに含む、乳幼児用調合乳組成物であって、長鎖n-3脂肪酸がDHAを含み、該組成物が任意でアラキドン酸ARAをさらに含み、かつARA:DHAの比が約3:1未満である、乳幼児用調合乳組成物。
【請求項50】
ARA:DHAの比が約0.4:1より大きい、請求項49記載の乳幼児用調合乳組成物。
【請求項51】
ARAを含まない、請求項49記載の乳幼児用調合乳組成物。
【請求項52】
少なくとも約13 mg/LのDPA(n-6)を含む、請求項49記載の乳幼児用調合乳組成物。
【請求項53】
少なくとも約26 mg/LのDPA(n-6)を含む、請求項49記載の乳幼児用調合乳組成物。
【請求項54】
少なくとも約40 mg/LのDPA(n-6)を含む、請求項49記載の乳幼児用調合乳組成物。
【請求項55】
少なくとも約53 mg/LのDPA(n-6)を含む、請求項49記載の乳幼児用調合乳組成物。
【請求項56】
少なくとも約66 mg/LのDPA(n-6)を含む、請求項49記載の乳幼児用調合乳組成物。
【請求項57】
組成物中のDPA(n-6)が供給源油において供給され、供給源油が少なくとも約2重量%の長鎖n-6脂肪酸を含む長鎖n-6脂肪酸を含む、請求項49記載の乳幼児用調合乳組成物。
【請求項58】
DPA(n-6)が、植物、油糧種子、微生物、動物、および前記のものの混合物からなる群より選択される供給源由来である、請求項49記載の乳幼児用調合乳組成物。
【請求項59】
供給源が、藻類、細菌、真菌、および原生生物からなる群より選択される微生物である、請求項58記載の乳幼児用調合乳組成物。
【請求項60】
供給源が、ダイズ、トウモロコシ、ベニバナ、ヒマワリ、キャノーラ、アマ、ラッカセイ、カラシ、ナタネ、ヒヨコマメ、ワタ、レンズマメ、シロツメクサ、オリーブ、ヤシ、ルリジサ、マツヨイグサ、アマニ、およびタバコ、ならびにそれらの混合物からなる群より選択される遺伝子改変植物および遺伝子改変油糧種子からなる群より選択される、請求項58記載の乳幼児用調合乳組成物。
【請求項61】
供給源が、遺伝子改変植物、遺伝子改変油糧種子、および遺伝子改変微生物からなる群より選択され、該遺伝子改変がポリケチドシンターゼ遺伝子またはその一部の導入を含む、請求項58記載の乳幼児用調合乳組成物。
【請求項62】
供給源が、ヤブレツボカビ目、渦鞭毛藻類、およびモルティエレラ属からなる群より選択される微生物である、請求項49記載の乳幼児用調合乳組成物。
【請求項63】
微生物が、シゾキトリウム属、ヤブレツボカビ属、およびクリプテコディニウム属からなる群より選択される、請求項62記載の乳幼児用調合乳組成物。
【請求項64】
乳幼児用調合乳組成物が微生物油の配合物を含み、かつ該配合物がヤブレツボカビ科微生物由来の油および渦鞭毛藻類微生物由来の油を含む、請求項49記載の乳幼児用調合乳組成物。
【請求項65】
DHA:DPA(n-6)比が、約5:1〜約3:1、約5:1〜約2:1、および約5:1〜約1:1からなる群より選択される、請求項49記載の乳幼児用調合乳組成物。
【請求項66】
約0.37 mg/Lのコレステロール〜約500 mg/Lコレステロールをさらに含む、請求項49記載の乳幼児用調合乳組成物。
【請求項67】
約0.37 mg/Lのコレステロール〜約3.75 mg/Lコレステロールをさらに含む、請求項49記載の乳幼児用調合乳組成物。
【請求項68】
約3 mg/L未満の量のEPAを含む、請求項49記載の乳幼児用調合乳組成物。
【請求項69】
約60 mg/L未満の量のEPAを含む、請求項49記載の乳幼児用調合乳組成物。
【請求項70】
乳幼児に与えられる際に少なくとも約2 mg/kg/日DPA(n-6)を提供するように調合されている、請求項49記載の乳幼児用調合乳組成物。
【請求項71】
乳幼児に与えられる際に約3 mg/kg/日DPA(n-6)〜約8 mg/kg/日DPA(n-6)を提供するように調合されている、請求項70記載の乳幼児用調合乳組成物。
【請求項72】
請求項49〜71のいずれか一項記載の乳幼児用調合乳組成物を乳幼児に与える段階を含む、乳幼児に栄養を与える方法。
【請求項73】
栄養成分、DPA(n-6)、DHA、および任意でARAを組み合わせる段階を含む、乳幼児用調合乳組成物を調製する方法であって、消費の準備ができている際に該組成物が少なくとも約7 mg/LのDPA(n-6)を含むように調合され、かつARA:DHAの比が約3:1未満である、方法。
【請求項74】
微生物油の配合物を含む乳幼児用調合乳組成物であって、該配合物が、DHAおよびDPA(n-6)を含む第1の油と、DHAを含む第2の油とを含む、乳幼児用調合乳組成物。
【請求項75】
微生物油の配合物を含む乳幼児用調合乳組成物であって、該配合物が、DHAおよびDPA(n-6)の第1の比を有する油と、DPA(n-6)に対する第2のDHA比を有する第2の油とを含み、比が異なり、かつ第1の油が第2の油より多いDPA(n-6)を有する、乳幼児用調合乳組成物。
【請求項76】
微生物油の配合物を含む乳幼児用調合乳組成物であって、該配合物が、ヤブレツボカビ科微生物由来の第1の油および渦鞭毛藻類微生物由来の第2の油を含む、乳幼児用調合乳組成物。
【請求項77】
ヤブレツボカビ科微生物がシゾキトリウム属のものであり、かつ渦鞭毛藻類微生物がクリプテコディニウム属のものである、請求項76記載の乳幼児用調合乳組成物。
【請求項78】
配合物が、約10重量%〜約90重量%の間のヤブレツボカビ科微生物由来の油、および約90重量%〜約10重量%の間の渦鞭毛藻類微生物由来の油を含む、請求項76記載の乳幼児用調合乳組成物。
【請求項79】
配合物が、約50重量%〜約82重量%の間のヤブレツボカビ科微生物由来の油、および約18重量%〜約50重量%の間の渦鞭毛藻類微生物由来の油を含む、請求項76記載の乳幼児用調合乳組成物。
【請求項80】
配合物が、約57.5重量%〜約67.5重量%の間のヤブレツボカビ科微生物由来の油、および約32.5重量%〜約42.5重量%の間の渦鞭毛藻類微生物由来の油を含む、請求項76記載の乳幼児用調合乳組成物。
【請求項81】
配合物が、約3:1〜約10:1の間のDHA:DPA(n-6)比を有する、請求項75〜80のいずれか一項記載の乳幼児用調合乳組成物。
【請求項82】
配合物が、約0.5:1〜約10:1の間のDHA:DPA(n-6)比を有する、請求項75〜80のいずれか一項記載の乳幼児用調合乳組成物。
【請求項83】
配合物が、約3.5:1〜約4.5:1の間のDHA:DPA(n-6)比を有する、請求項75〜80のいずれか一項記載の乳幼児用調合乳組成物。
【請求項84】
配合物が長鎖n-6脂肪酸を含み、かつ長鎖n-6脂肪酸が供給源油において供給され、供給源油が少なくとも約2重量%のDPA(n-6)を含む長鎖n-6脂肪酸を含む、請求項75〜80のいずれか一項記載の乳幼児用調合乳組成物。
【請求項85】
長鎖n-3脂肪酸および長鎖n-6脂肪酸を含む乳幼児用調合乳組成物であって、長鎖n-3脂肪酸がDHAを含み、長鎖n-6脂肪酸がアラキドン酸ARAを含み、かつARA:DHAの比が約3:1未満である、請求項75〜80のいずれか一項記載の乳幼児用調合乳組成物。
【請求項86】
ARA:DHAの比が約0.4:1より大きい、請求項85記載の乳幼児用調合乳組成物。
【請求項87】
ARAを含まない、請求項85記載の乳幼児用調合乳組成物。
【請求項88】
少なくとも約7 mg/LのDPA(n-6)を含む、請求項75〜80のいずれか一項記載の乳幼児用調合乳組成物。
【請求項89】
DHA:DPA(n-6)比が、約5:1〜約3:1、約5:1〜約2:1、および約5:1〜約1:1からなる群より選択される、請求項75〜80のいずれか一項記載の乳幼児用調合乳組成物。
【請求項90】
約0.37 mg/Lのコレステロール〜約500 mg/Lコレステロールをさらに含む、請求項75〜80のいずれか一項記載の乳幼児用調合乳組成物。
【請求項91】
約0.37 mg/Lのコレステロール〜約3.75 mg/Lコレステロールをさらに含む、請求項75〜80のいずれか一項記載の乳幼児用調合乳組成物。
【請求項92】
約3 mg/L未満の量のEPAを含む、請求項75〜80のいずれか一項記載の乳幼児用調合乳組成物。
【請求項93】
約60 mg/L未満の量のEPAを含む、請求項75〜80のいずれか一項記載の乳幼児用調合乳組成物。
【請求項94】
乳幼児に与えられる際に少なくとも約2 mg/kg/日DPA(n-6)を提供するように調合されている、請求項75〜80のいずれか一項記載の乳幼児用調合乳組成物。
【請求項95】
乳幼児に与えられる際に約3 mg/kg/日DPA(n-6)〜約8 mg/kg/日DPA(n-6)を提供するように調合されている、請求項93記載の乳幼児用調合乳組成物。
【請求項96】
請求項75〜95のいずれか一項記載の乳幼児用調合乳組成物を乳幼児に与える段階を含む、乳幼児に栄養を与える方法。
【請求項97】
栄養成分および微生物油の配合物を組み合わせる段階を含む、乳幼児用調合乳組成物を調製する方法であって、該配合物が、
DHAおよびDPA(n-6)を含む第1の油と、DHAを含む第2の油とを含む配合物、
DHAおよびDPA(n-6)の第1の比を有する油と、DPA(n-6)に対する第2のDHA比を有する第2の油とを含む配合物であって、比が異なり、かつ第1の油が第2の油より多いDPA(n-6)を有する配合物、ならびに
ヤブレツボカビ科微生物由来の第1の油および渦鞭毛藻類微生物由来の第2の油を含む配合物
からなる群より選択される、方法。
【請求項98】
微生物油および植物油の配合物を含む乳幼児用調合乳組成物であって、該配合物が、DHAおよびDPA(n-6)を産生するように遺伝子改変された植物由来の油を含み、かつ該植物油がDHAおよびDPA(n-6)を含み、かつ該微生物油がARAを含む、乳幼児用調合乳組成物。
【請求項99】
遺伝子改変が、PUFAポリケチドシンターゼ遺伝子またはその一部の導入を含む、請求項98記載の乳幼児用調合乳。
【請求項100】
DHAおよびDPA(n-6)を産生するように遺伝子改変された植物由来の植物油を含む乳幼児用調合乳組成物であって、該油が約0.5:1〜約5:1の比でDHAおよびDPA(n-6)を含む、乳幼児用調合乳組成物。
【請求項101】
遺伝子改変が、PUFAポリケチドシンターゼ遺伝子またはその一部の導入を含む、請求項100記載の乳幼児用調合乳。
【請求項102】
遺伝子改変微生物由来の微生物油を含む乳幼児用調合乳組成物であって、該油が約0.5:1〜約5:1の比でDHAおよびDPA(n-6)を含む、乳幼児用調合乳組成物。
【請求項103】
遺伝子改変が、PUFAポリケチドシンターゼ遺伝子またはその一部の導入を含む、請求項102記載の乳幼児用調合乳。
【請求項104】
DHAおよびARA目標要件を満たし、かつ正常な成長、体重、神経系の発達、または免疫系の発達を維持するように調合され、
目標DHA要求量のDHA、
目標ARA要求量未満のサブ目標(sub-target)量のARA、および
インビボでARAに逆変換する(retroconvert)のに十分な量、ARAサブ目標量を相殺するのに十分な量のDPA(n-6)
を含む、乳幼児用調合乳組成物。
【請求項105】
DHAおよびARA目標要件を満たし、かつ正常な成長、体重、神経系の発達、または免疫系の発達を維持するように調合され、
目標DHA要求量のDHA、
目標ARA要求量未満のサブ目標量のARA、および
少なくとも閾値量のDPA(n-6)であって、ARA応答曲線が曲線であり、かつARA応答曲線の傾きが負から正に変化するARA応答を該閾値量がもたらす、DPA(n-6)
を含む、乳幼児用調合乳組成物。
【請求項106】
ARAサブ目標量が、目標ARA要求量より少なくとも約5%少ない量、目標ARA要求量より少なくとも約10%少ない量、目標ARA要求量より少なくとも約15%少ない量、および目標ARA要求量より約20%少ない量からなる群より選択される量である、請求項104または105記載の乳幼児用調合乳組成物。
【請求項107】
DPA(n-6)が供給源油において供給され、供給源油が、長鎖n-6脂肪酸全体の少なくとも約2重量%を含む長鎖n-6脂肪酸を含む、請求項104または105記載の乳幼児用調合乳組成物。
【請求項108】
DPA(n-6)が、組成物中の長鎖n-6脂肪酸全体の少なくとも約5重量%を含む、請求項104または105記載の乳幼児用調合乳組成物。
【請求項109】
DPA(n-6)が、組成物中の長鎖n-6脂肪酸全体の少なくとも約10重量%を含む、請求項104または105記載の乳幼児用調合乳組成物。
【請求項110】
DPA(n-6)が、組成物中の長鎖n-6脂肪酸全体の少なくとも約15重量%を含む、請求項104または105記載の乳幼児用調合乳組成物。
【請求項111】
DPA(n-6)が、組成物中の長鎖n-6脂肪酸全体の少なくとも約20重量%を含む、請求項104または105記載の乳幼児用調合乳組成物。
【請求項112】
DPA(n-6)が、組成物中の長鎖n-6脂肪酸全体の少なくとも約25重量%を含む、請求項104または105記載の乳幼児用調合乳組成物。
【請求項113】
ARA:DHAの比が約3:1未満である、請求項104または105記載の乳幼児用調合乳組成物。
【請求項114】
ARA:DHAの比が約1.95:1未満である、請求項104または105記載の乳幼児用調合乳組成物。
【請求項115】
ARA:DHAの比が約1.85:1未満である、請求項104または105記載の乳幼児用調合乳組成物。
【請求項116】
ARA:DHAの比が約1.75:1未満である、請求項104または105記載の乳幼児用調合乳組成物。
【請求項117】
ARA:DHAの比が約0.4:1より大きい、請求項104または105記載の乳幼児用調合乳組成物。
【請求項118】
ARAを含まない、請求項104または105記載の乳幼児用調合乳組成物。
【請求項119】
少なくとも約7 mg/LのDPA(n-6)を含む、請求項104または105記載の乳幼児用調合乳組成物。
【請求項120】
少なくとも約66 mg/LのDPA(n-6)を含む、請求項104または105記載の乳幼児用調合乳組成物。
【請求項121】
約40〜約140 mg/LのDHAを含む、請求項104または105記載の乳幼児用調合乳組成物。
【請求項122】
DHAまたはDPA(n-6)が、植物、油糧種子、微生物、動物、および前記のものの混合物からなる群より選択される供給源由来である、請求項104または105記載の乳幼児用調合乳組成物。
【請求項123】
供給源が、藻類、細菌、真菌、および原生生物からなる群より選択される微生物である、請求項122記載の乳幼児用調合乳組成物。
【請求項124】
供給源が、ダイズ、トウモロコシ、ベニバナ、ヒマワリ、キャノーラ、アマ、ラッカセイ、カラシ、ナタネ、ヒヨコマメ、ワタ、レンズマメ、シロツメクサ、オリーブ、ヤシ、ルリジサ、マツヨイグサ、アマニ、およびタバコ、ならびにそれらの混合物からなる群より選択される遺伝子改変植物および遺伝子改変油糧種子からなる群より選択される、請求項122記載の乳幼児用調合乳組成物。
【請求項125】
供給源が、遺伝子改変植物、遺伝子改変油糧種子、および遺伝子改変微生物からなる群より選択され、該遺伝子改変がポリケチドシンターゼ遺伝子またはその一部の導入を含む、請求項122記載の乳幼児用調合乳組成物。
【請求項126】
供給源が、ヤブレツボカビ目、渦鞭毛藻類、およびモルティエレラ属からなる群より選択される微生物である、請求項122記載の乳幼児用調合乳組成物。
【請求項127】
微生物が、シゾキトリウム属、ヤブレツボカビ属、およびクリプテコディニウム属からなる群より選択される、請求項126記載の乳幼児用調合乳組成物。
【請求項128】
乳幼児用調合乳組成物が微生物油の配合物を含み、かつ該配合物がヤブレツボカビ科微生物由来の油および渦鞭毛藻類微生物由来の油を含む、請求項104または105記載の乳幼児用調合乳組成物。
【請求項129】
DHA:DPA(n-6)比が約10:1〜約0.5:1である、請求項104または105記載の乳幼児用調合乳組成物。
【請求項130】
DHA:DPA(n-6)比が約5:1〜約0.5:1である、請求項104または105記載の乳幼児用調合乳組成物。
【請求項131】
DHA:DPA(n-6)比が、約5:1〜約3:1、約5:1〜約2:1、および約5:1〜約1:1からなる群より選択される、請求項104または105記載の乳幼児用調合乳組成物。
【請求項132】
約0.37 mg/Lのコレステロール〜約500 mg/Lコレステロールをさらに含む、請求項104または105記載の乳幼児用調合乳組成物。
【請求項133】
約0.37 mg/Lのコレステロール〜約3.75 mg/Lコレステロールをさらに含む、請求項104または105記載の乳幼児用調合乳組成物。
【請求項134】
約3 mg/L未満の量のEPAを含む、請求項104または105記載の乳幼児用調合乳組成物。
【請求項135】
約60 mg/L未満の量のEPAを含む、請求項104または105記載の乳幼児用調合乳組成物。
【請求項136】
乳幼児に与えられる際に少なくとも約2 mg/kg/日DPA(n-6)を提供するように調合されている、請求項104または105記載の乳幼児用調合乳組成物。
【請求項137】
乳幼児に与えられる際に約3 mg/kg/日DPA(n-6)〜約8 mg/kg/日DPA(n-6)を提供するように調合されている、請求項104または105記載の乳幼児用調合乳組成物。
【請求項138】
請求項104〜137のいずれか一項記載の乳幼児用調合乳組成物を乳幼児に与える段階を含む、乳幼児に栄養を与える方法であって、それにより正常な成長、体重、神経系の発達、または免疫系の発達が維持される、方法。
【請求項139】
栄養成分、DHA、ARA、およびDPA(n-6)を組み合わせる段階を含む、乳幼児用調合乳組成物を調製する方法であって、DHAが目標DHA要求量で存在し、ARAが目標ARA要求量未満のサブ目標量で存在し、かつDPA(n-6)が、
ARAサブ目標量を相殺するのに十分な量で、インビボでARAに逆変換するのに十分な量、および
少なくとも閾値量であって、ARA応答曲線が曲線であり、かつARA応答曲線の傾きが負から正に変化するARA応答を該閾値量がもたらす、量
からなる群より選択される量で存在する、方法。
【請求項140】
ARAサブ目標量が、目標ARA要求量より約5%少ない量、目標ARA要求量より約10%少ない量、目標ARA要求量より約15%少ない量、および目標ARA要求量より約20%少ない量からなる群より選択される量である、請求項139記載の方法。
【請求項141】
栄養成分、DHA、およびDPA(n-6)を含有する乳幼児用調合乳組成物を乳幼児に与える段階を含む、乳幼児に栄養を与える方法であって、該乳幼児が少なくとも約2 mg DPA(n-6)/kg/日を与えられる、方法。
【請求項142】
乳幼児用調合乳組成物が、請求項1〜21、24〜45、49〜71、または104〜137のいずれか一項記載の乳幼児用調合乳組成物である、請求項141記載の方法。
【請求項143】
乳幼児用乳または調合乳との組み合わせのために調合されている未熟児用栄養強化剤組成物であって、未熟児用栄養強化剤組成物がDPA(n-6)を含み、かつ乳幼児または調合乳と組み合わせる際に組み合わせが閾値量のDPA(n-6)を含む、未熟児用栄養強化剤組成物。
【請求項144】
DHAをさらに含む、請求項143記載の未熟児用栄養強化剤組成物。
【請求項145】
ARAをさらに含む、請求項144記載の未熟児用栄養強化剤組成物。
【請求項146】
DHA:DPA(n-6)比の比が約5:1〜約0.5:1である、請求項144記載の未熟児用栄養強化剤組成物。
【請求項147】
タンパク質、脂肪、ビタミン、およびミネラルからなる群より選択される成分をさらに含む、請求項143記載の未熟児用栄養強化剤組成物。
【請求項148】
請求項144〜147のいずれか一項記載の請求対象の組成物の未熟児用栄養強化剤組成物で強化された乳幼児用乳または調合乳を早産児に与える段階を含む、補助的な栄養分を早産児に提供する方法。
【請求項149】
請求項144〜147のいずれか一項記載の請求対象の組成物の未熟児用栄養強化剤組成物で強化された乳幼児用乳または調合乳を早産児に与える段階を含む、未熟児の成長を促進する方法。
【請求項150】
乳幼児用乳または調合乳を請求項144〜147のいずれか一項記載の組成物と組み合わせる段階を含む、強化された未熟児用乳または調合乳を調製する方法。
【請求項151】
DPA(n-6)および賦形剤を含む乳幼児用栄養補助食品組成物であって、組み合わせが閾値量のDPA(n-6)を含む、乳幼児用栄養補助食品組成物。
【請求項152】
DHAをさらに含む、請求項151記載の乳幼児用栄養補助食品組成物。
【請求項153】
ARAをさらに含む、請求項152記載の乳幼児用栄養補助食品組成物。
【請求項154】
DHA:DPA(n-6)比の比が約5:1〜約0.5:1である、請求項152記載の乳幼児用栄養補助食品組成物。
【請求項155】
タンパク質、脂肪、ビタミン、およびミネラルからなる群より選択される成分をさらに含む、請求項151記載の乳幼児用栄養補助食品組成物。
【請求項156】
請求項151〜155のいずれか一項記載の乳幼児用栄養補助食品組成物を乳幼児に与える段階を含む、補助的な栄養分を乳幼児に提供する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−502189(P2010−502189A)
【公表日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−526895(P2009−526895)
【出願日】平成19年8月29日(2007.8.29)
【国際出願番号】PCT/US2007/077150
【国際公開番号】WO2008/027991
【国際公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願人】(508004410)マーテック バイオサイエンシーズ コーポレーション (26)
【Fターム(参考)】