説明

乾燥皮膚の治療及び/又は予防における脂肪酸のアミド又は糖とのエステルの使用

本発明は、乾燥皮膚の治療及び/又は予防を意図する化粧用又は製薬組成物の製造における、糖と脂肪酸、とりわけリノール酸との少なくとも1種のアミド、モノ-又はポリエステルの使用に関する。また、本発明は、オリゴ脂漏性乾燥皮膚の治療及び/又は皮脂産生の刺激を意図する化粧用組成物における、脂肪酸の少なくとも1種のアミド、糖モノ-又はポリエステルの使用にも関する。また、本発明は、13-ヒドロキシ-オクタデカジエン酸の産生及び/又はリノレン酸欠乏に関連する皮膚疾患及び/又は毛嚢脂腺単位構造の疾患の治療及び/又は予防を意図する化粧用又は製薬組成物の製造における、リノレン酸の少なくとも1種のアミド、糖モノ-又はポリエステルの使用にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乾燥皮膚の予防及び/又は治療、とりわけオリゴ脂漏性乾燥皮膚の予防及び/又は治療を意図する治療又は化粧用組成物の製造における脂肪酸の少なくとも1種のアミド又は糖モノ-又はポリエステルの使用、並びにリノール酸の欠乏にとりわけ基づく皮膚の乾燥に関連する疾患の治療及び/又は予防を意図する治療又は化粧用組成物の製造におけるリノール酸の少なくとも1種のアミド又は糖とのモノ-若しくはポリエステルの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚は、表面から体内への3つの重ね合せ層、即ち、表皮、真皮及び下皮(皮下組織)から構成されていることを再認識されたい。
表皮、即ち、皮膚の最外層は、角質化層状単層扁平上皮であり、その組織は、4つの異なる細胞集団、即ち、角化細胞、メラニン細胞、ランゲルハンス細胞及びメルケル細胞を含む。表皮は、血液もリンパ管も含有していないが、数多くの自由神経末端を含んでいる。
角化細胞は、表皮の保護障壁役割(機械的及び化学的)の基礎をなす角化を証明する形態学的発達を絶えず受けている。
この発達は深い方の層から表面に向かっており、表皮の断面は、深いところから表面に向かう4つの重ね合わせ層を明らかにしている:基底層(basal layer又はstratum germinativum)、有棘層(spinous layer又はstratum spinosum)、顆粒層(granular layer又はstratum granulosum)及び角質層(horny layer又はstratum corneum) (緻密質、後で落屑)。
表皮の下の真皮は、表皮を助長し支持する。真皮は、織り交じった繊維の濃密なネットワーク、即ち、一方での、真皮に圧縮力に対する抵抗性を与えるコラーゲン繊維、及び他方での、皮膚に弾性力を与える弾性繊維から形成されている。
下皮は、本質的に油脂床である。
【0003】
また、皮膚は、付属構造体、とりわけ脂腺も含有する。これらの脂腺は、皮脂と称する油状物質を分泌し、表皮表面上に不浸透性膜を形成する;脂腺は、毛嚢近くに位置して、毛嚢脂腺単位構造を形成する。エクリン汗腺又はアポクリン腺によって産生された汗と一緒に、皮脂は、表皮の天然保湿剤を構成し、表皮の弾性及び強度の増強を助長する。
さらに、皮脂は、表皮表面層の損傷、とりわけUVによって生ずる損傷に対しての保護を助長する強力な酸化防止剤である内生ビタミンEの自然排出のための経路を構成する。
皮脂は、多かれ少なかれ脂質の複合体混合物から本質的になる。古典的には、脂腺は、スクアレン、トリグリセリド類、脂肪族ワックス類、コレステロールワックス類、さらにおそらくは遊離コレステロールを産生する。生成する種々の割合のトリグリセリド類を遊離脂肪酸に転化させるのは、細菌性リパ−ゼの作用である。
皮脂発現に関与する脂腺中の細胞は、皮脂細胞(sebocyte)である。事実、皮脂産生は、この細胞の末端分化プログラムに関連する。この分化中に、皮脂細胞の代謝活性は、脂質生合成に、より正確には脂肪酸の新合成に本質的に絞られる。
脂腺密度は、皮膚表面全体に亘って同一ではない:皮膚の或る領域は極めて高密度の脂腺を有するが、他の領域においては、その密度ははるかに低く或いは無い場合さえある。
【0004】
一般に、乾燥皮膚、とりわけオリゴ脂漏性皮膚は、皮脂の不十分な分泌と排出に特徴を有する。古典的には、FR 2 368 708号に記載された方法によって顔のTゾーン中で測定した100μg/cm2未満の皮脂レベルが、乾燥皮膚の典型とみなされ得る。
乾燥皮膚は、皮脂産生の内因性機能不全により得る。乾燥皮膚又はそのようになる例は、皮膚の老化につれて観察される。さらにまた、皮脂の不十分な産生は、とりわけ、コルチコイド類を含む治療のようなある種の薬物治療によっても生じ得る。
乾燥皮膚は、多くの場合、落屑欠陥、つやの無い肌及び/又は弛緩した皮膚のきめに基き得る。皮膚炎タイプの微炎症徴候は、例えば、このタイプの皮膚上に多くの場合出現し得る。さらにまた、乾燥頭皮は、くすんだ生気のない毛髪と多くの場合関連している。
従って、皮脂が構成される脂質の脂腺細胞による産生を刺激し得る化合物は、乾燥オリゴ脂漏性皮膚に関連する疾患の治療において明確に興味のあることであろう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
DHEAタイプのステロイドホルモン又はプレホルモン類が脂肪分泌期能に対し活性化作用を奏することは既に知られている。とりわけ、これらのホルモン類は、老化により低下している正常な脂肪分泌期能を再生させる薬剤として既に提案されている。
しかしながら、DHEAの使用は、代謝的に性ホルモンをもたらし得る全ての誘導体によるように、使用の安全性に関連するさらなる問題を生ずる。事実、女性における男性化、肝臓損傷及び男性における前立腺癌又は女性における乳癌のリスク増大のようなこのタイプのホルモン使用に関連する副次作用を排除することはできない。
従って、本発明の特定の目的は、現在まで使用されている脂肪分泌機能活性化剤に有利に置換わり得る化合物を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
予期に反して、本発明者等は、脂肪酸のアミド、糖モノエステル及びポリエステル類がオリゴ脂漏に対して有意の活性を示すことを見出した。本発明に従う糖と脂肪酸のアミド及びエステル類は、皮脂産生を刺激するようである。
従って、本発明に従う組成物は、乾燥皮膚、とりわけオリゴ脂漏性皮膚の治療においてとりわけ興味を有する。
皮膚は、複雑な多元的組織に起因する外的環境に対する障壁として本質的に機能する。
しかしながら、この機能は、表皮の角化細胞の増殖と分化間の均衡にとりわけ依存する表皮の品質にとりわけ基づく。
皮膚の均衡を保証し或いは再確立することを目的とする多くの化粧用又は皮膚学的活性物が存在する。これらの活性物は、皮膚を保護し、滋養し、保湿し、沈静化させるか或いは細胞間伝達を調節する。
皮膚均衡障害は、種々の方法で明らかにし得る。とりわけ、皮膚均衡障害は、炎症過程の誘発、脂肪分泌機能障害、過角質化並びにはっきりと認知し得る水分損失に至り得、さらに一般的には皮膚の乾燥に至り得る。これらの事象は、皮膚の快適性及び/又は審美性に対し有害作用を有する。さらに、これらの事象は、表皮又はその付属物の健康状態に、それらの植物相を変化させることにより、例えば、種々の微生物による植物相のコロニー形成を促進させることにより影響を与えているようである。
また、ビタミンF、とりわけその不可欠成分の1つ、即ち、リノール酸欠乏の食生活が皮膚均衡に影響することも多年に亘って知られている。この不均衡は、とりわけ皮膚の乾燥において、とりわけ微小な水分喪失の拡大及び皮膚落屑の変化に反映される。皮膚炎、皮膚発赤、ただれ発生及び治癒過程障害も観察されている。また、皮膚不均衡は、色素脱失並びに毛髪、眉毛及び/又は体毛の喪失にも反映され得る。
【0007】
現在、皮膚表皮において、リノール酸が、表皮中の15-リポキシゲナーゼにより、組織増殖を直接又は間接的に調節する13-ヒドロキシ-オクタデカジエン酸(その略記13-HODEによっても知られている)に主として転化されることが知られている。
また、リノール酸欠乏が13-HODEの欠乏に至ることも知られている。
最後に、リノール酸欠乏皮膚へのリノール酸の局所適用により、微小水分喪失を正常レベルまで再生し得たことが報告されている。さらにまた、不可欠脂肪酸の欠乏に関連した表皮角化細胞の過剰増殖を13-HODEの局所適用によって覆し得ることも動物モデルにおいて実証されている(Miller et al., 1990, J. Invest. Dermatol. 94,353-358)。
しかしながら、13-HODEの実験的使用は肯定的な結果が得られるに至っているものの、13-HODEがリノール酸(数種の天然油中に存在する)とは対照的に容易に入手し得る分子ではないので、その大規模での使用は、殆んど想定できない。さらに重要なことは、13-HODE及びリノール酸の双方並びにその最も一般的な形、即ち、高割合で存在するビタミンFは、それらの化学特性故に、空気中で不安定であり、過酸化を被る。
従って、本発明の特定の目的は、空気中での過酸化に対してリノール酸よりも抵抗性であり且つとりわけ13-HODEを産生し得ることから皮膚の乾燥の治療及び/又は予防に適する化合物を提案することである。
広範囲な研究の後、今回、本出願人は、リノール酸と糖とのエステル又はアミド類が、表皮及び/又は毛嚢脂腺単位構造の状態を改善するのに、とりわけ乾燥皮膚の治療及び/又は予防においてそれらの使用を正当とする顕著な特性を有することを実証した。
とりわけ、上記エステル又はアミド類は、手掌、腕の内側表面及び脚の内側表面のような、あり得るとしても僅かな脂腺を有する皮膚領域を含む個々人の皮膚表面全体上の表皮状態を改善する。
【0008】
本発明において使用する上記生成物は幾つかの利点を有する、例えば、上記生成物は人体中に天然に存在する不可欠脂肪酸を含有する。
さらにまた、上記生成物は、皮膚によって極めて良好に耐容される。
上記生成物は、従来技術において同様な適応症において使用される製品よりも空気中での過酸化に対して有意に耐性であり、とりわけ、リノール酸よりも有意に安定である。
最後に、上記生成物は、工業的規模で、比較的低コストで容易に合成し得る。
本発明の第1の局面は、乾燥皮膚の予防又は治療を意図する化粧用又は製薬組成物の製造における、活性成分としての、脂肪酸、とりわけリノール酸の少なくとも1種のアミド又は糖モノ-若しくはポリエステルの使用に関する。
もう1つの局面によれば、本発明は、乾燥オリゴ脂漏性皮膚の治療を意図する化粧用又は製薬組成物の製造における、活性成分としての、脂肪酸の少なくとも1種のアミド又は糖モノ-若しくはポリエステルの使用にも関する。
もう1つの局面によれば、本発明は、さらに、皮脂産生の刺激を意図する化粧用又は製薬組成物の製造における、活性成分としての、脂肪酸の少なくとも1種のアミド又は糖モノ-若しくはポリエステルの使用に関する。
もう1つの局面によれば、本発明は、皮膚表皮中での13-HODEの産生を意図する化粧用又は製薬組成物の製造における、活性成分としての、リノール酸の少なくとも1種のアミド又は糖モノ-若しくはポリエステルの使用にも関する。
本発明のもう1つの目的は、リノール酸欠乏に関連する皮膚疾患及び/又は毛嚢脂腺単位構造の疾患の治療及び/又は予防を意図する化粧用又は製薬組成物の製造における、活性成分としての、リノール酸の少なくとも1種のアミド又は糖モノ-若しくはポリエステルの使用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
糖は、数個のアルコール官能基を有し、アルデヒド又はケトン官能基を有し又は有さず、さらに少なくともC3を有する物質を表すのに普通に使用される一般名である。
さらに正確には、この用語は、単糖類とも称され3〜9個の炭素原子を含有する糖類(oses);二糖類のような、少数の一般的には5個未満の糖類のグリコシド結合による縮合によって得られるオリゴ糖類;及び多数の糖類を一緒に結合させた多糖類を包含する。
本発明の範囲内においては、上記の糖は、とりわけ単糖及びオリゴ糖、とりわけ単糖及び二糖である。
実例としては、単糖類は、古典的には下記の式の1つにより線状形でそれぞれ示されるアルドース類又はケトース類のいずれかであることを再認識されたい:
【化1】

(式中、nは、1以上の整数を示し;m及びpは、互いに個々に、1以上の整数を示し;R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8及びR9は、個々に、水素原子、ヒドロキシル基、アミン官能基又はN-アセチルアミド官能基を示す)。
本発明の場合、そのような糖は、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9によって示される少なくとも1個のヒドロキシル又はアミン官能基において脂肪酸によって官能化されている。
【0010】
本発明は、これら糖類のラセミ形又はラセミ形でないL及びD配位異性体の混合物、並びにそれらの純粋形のL及びD異性体を包含する。
これらの単糖及び二糖類のうち、ペントース及び/又はヘキソースから誘導されたものがとりわけ適している。
単糖及び二糖類の、とりわけペントース又はヘキソースタイプのD群異性体は、とりわけ本発明に従って使用し得る。
一般に、ヘキソース及びペントースの主要形は、上述の線状形の1つから出発して、ヘミアセタルが生成するようなカルボニル官能基とりわけアルデヒドとアルコール官能基との自然発生反応によって得られる環状形である。この環状化は、相応するピラノース及びフラノース形の糖類の形成をもたらす。本発明は、ペントースの場合はフラン系及びヘキソースの場合はピラン系と称するこれらの環状形、並びに純粋形又は混合物としての相応するアルファ及びベータ異性体も包含する。
本発明に従って使用し得る単糖及び二糖類の非限定的な実例としては、とりわけ、タロース、フコース、リボース、イドース、アラビノース、グロース、キシロース、リキソース、アルトロース、アロース、グルコース、マンノース、ガラクトース、ラクトース、サクロース、トレハロース、セロビオース、マルトース、フコースアルファ1-3グルコース、フラクトース及びこれらの誘導体を挙げることができる。とりわけ、グルコサミン、フルクトサミン、ガラクトサミン、フコースアルファ1-4グルコサミン、及びこれらの誘導体、とりわけN-アセチル化誘導体は、未置換アミン官能基を有する単糖及び二糖類の代表として挙げることができる。
マルトース、サクロース、セロビオース、トレハロース、ラクトース、フコースアルファ1-3グルコース及びフコースアルファ1-4グルコサミンは、本発明における二糖類として極めて適している。
ペントース群、例えば、リキソース、キシロース、アラビノース及びリボース;及びタロース、フコース、ガラクトース、イドース、グロース、マンノース、グルコース、アルトース、アロース、グルコサミン、ガラクトサミン、N-アセチルグルコサミン、N-アセチルガラクトサミン及びフラクトースのようなヘキソース群の単糖類も、本発明において適している。
グルコースのアルファD-又はベータD-異性体の混合物は、本発明の範囲内においてとりわけ使用される。
【0011】
上記の糖類は、前記脂肪酸とアミド化形又はエステル化形で結合、とりわけエステル化させる。
上記単糖又は二糖は、前記脂肪酸ととりわけヒドロキシル官能基によりエステル化する。
この場合、単糖又は多糖、とりわけ単糖又は二糖は、モノ-又はポリエステル化し得;エステル化位置は、位置1、2、3、4及び/又は6、とりわけ位置1、2、3及び/又は6、とりわけ位置1、3及び/又は6、とりわけ位置6にあり得る。
本発明に従う脂肪酸の誘導体がアミドである特定の場合においては、このアミド化は、位置2に位置する。
本発明に従って考慮する脂肪酸はとりわけ長鎖の脂肪酸である、即ち、これらの脂肪酸は14個よりも多い炭素原子を含有する。
それらの炭化水素鎖は、飽和であるか或いは1個以上の二重結合を含有し得る。とりわけ、パルミチン酸(C16)、ステアリン酸(C18)、アラキジン酸(C20)、ベヘン酸(C22)及びリグノセリン酸(C24)のような飽和脂肪酸;並びにパルミトレイン酸(C16)、オレイン酸(C18)、リノール酸(C18)、とりわけα及びγ形のリノレン酸(C18)及びアラキドン酸(C20)のような不飽和脂肪酸を、これら脂肪酸の代表として挙げることができる。
これらの脂肪酸のうち、リノール酸及びステアリン酸、とりわけリノール酸は、極めて興味あるものである。
これらの酸は、上記糖と純粋形で或いは1つのその天然又は合成の混合物の形で反応し得る。この場合、リノール酸は、リノール酸ととりわけ少量のオレイン酸及びステアリン酸との天然混合物であるビタミンFの形で使用し得る。
【0012】
本発明の特定の変形によれば、前記組成物は、少なくとも1種のリノール酸の糖モノエステルを含有する。
リノール酸の糖エステル、とりわけリノール酸のグルコースとりわけαD-又はβD-グルコースのとりわけ位置1、3又は6でのモノエステル、とりわけ位置6でのエステルは、グルコースから誘導し得る。
とりわけ、使用する化合物は、6-O-オクタデカ-9,12-ジエノイル-D-グルコピラノースである。
ステアリン酸のグルコースとりわけαD-又はβD-グルコースの位置3でのエステル及びリノール酸のグルコサミンの位置2でのアミドも、皮脂産生の刺激においてとりわけ興味を有する。
リノール酸のグルコースとりわけαD-又はβD-グルコースの位置1及び6でのエステルは、13-HODEの産生においてとりわけ興味を有する。
特定の実施態様によれば、本発明は、少なくとも2つの異なる化合物を含む混合物の形で使用する、前記で定義したようなリノール酸のアミド又は糖モノ-若しくはポリエステル、とりわけ6-O-オクタデカ-9,12-ジエノイル-D-グルコピラノースの使用に関する。とりわけ、この混合物は、リノール酸の少なくとも1種のアミド又は糖モノ-若しくはポリエステルと前記で定義したような脂肪酸の他の1種のアミド又は他の1種の糖モノ-若しくはポリエステルを含有し得る。
【0013】
さらに詳細には、本発明は、下記の一般式(III)によってそれぞれ表し得る少なくとも2つの化合物の形で使用する、リノール酸とグルコースのモノエステル、とりわけ6-O-オクタデカ-9,12-ジエノイル-D-グルコピラノースの使用に関する:
【化2】

(式中、R10、R11、R12、R13及びR14は、個々に、水素原子又はOC-R基を示し;Rは、11〜21個の炭素原子を含有する線状の飽和又は不飽和炭化水素鎖を示す)。そして、上記化合物の少なくとも1つは、基R10〜R14の少なくとも1つとしてリノレオイル基を有する。
式(III)の化合物のエステル官能基数とグルコース分子における初期ヒドロキシル官能基数の比、即ち、エステル化度は、0.2〜1で変動する。とりわけ、この比は、0.6以下、とりわけ0.4以下である。
上記で定義した式(III)においては、基Rは、とりわけ、リノレイル、オレイル、パルミチル、ステアリル、ラウリル、ミリスチル、アラキジル、ベヘニル、ラウロレイル、ミリストレイル、パルミトレイル及び/又はリノレニル基をとりわけこれらのα又はβ形で示し得る。
とりわけ、上記混合物は、リノール酸のグルコースのエステルとりわけモノエステル以外に、オレイン酸のグルコースのエステルとりわけモノエステル及び/又はステアリン酸のグルコースのエステルとりわけモノエステルを含有し得る。
好ましいエステル化部位に関しては、これらの部位は、前述した部位に相応する。
【0014】
特定の実施態様によれば、上記混合物中のグルコースエステルの50〜100%、とりわけ少なくとも55%、とりわけ少なくとも80%、とりわけ少なくとも90%は、グルコースの位置6でエステル化されている。
とりわけ、本発明に従って使用する混合物は、グルコースのリノール酸のエステルとりわけモノエステル以外に、オレイン酸とグルコースとの少なくとも1種のエステルとりわけモノエステル;脂肪酸(パルミチン酸とステアリン酸から選ばれた)とグルコースの少なくとも1種のエステルとりわけモノエステル;脂肪酸(ラウリン酸、ミリスチン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、ラウロレイン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸及びリノレン酸から選ばれた)とグルコースの少なくとも1種のエステルとりわけモノエステルを含有し得る。
上述したような6-O-オクタデカ-9,12-ジエノイル-D-グルコピラノースを上述した混合物の形で使用する場合、上記混合物の総質量に対するリノール酸とグルコースのエステルの総質量割合は、一般に40〜90%であり;該質量割合は、とりわけ50%以上、とりわけ60%以上、とりわけ80%以下、とりわけ75%以下であり、とりわけ68〜72%で変動する。
一般に、6-O-オクタデカ-9,12-ジエノイル-D-グルコピラノースの上記混合物の総質量に対する割合は、40%以上、とりわけ50%以上であり、とりわけ60〜80%で変動する。
【0015】
上述したような混合物がオレイン酸とグルコースの少なくとも1種のエステルを含有する場合、該エステルは、一般に5〜20%、とりわけ8%以上、とりわけ10%以上、とりわけ12%以上、とりわけ17%以下の上記混合物の総質量に対する質量割合で、とりわけ14〜15質量%で変動する割合で存在する。
上述したような混合物が少なくとも1種のパルミチン酸とグルコースのエステルを含有する場合、該エステルは、一般に2〜20%、とりわけ5%以上、とりわけ7%以上、とりわけ15%以下の上記混合物の総質量に対する質量割合で、とりわけ9〜12質量%で変動する割合で存在する。
上述したような混合物がステアリン酸とグルコースの少なくとも1種のエステルを含有する場合、該エステルは、一般に0.1〜7%、とりわけ0.5%以上、とりわけ1%以上、とりわけ5%以下の上記混合物の総質量に対する質量割合で、とりわけ2〜4質量%で変動する割合で存在する。
上述したような混合物が脂肪酸とグルコースの少なくとも1種のエステルを含有し、該脂肪酸がラウリン酸、ミリスチン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、ラウロレイン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸及びリノレン酸から選ばれる場合、該エステル又は該エステル群は、一般に10%以下の、とりわけ0.1〜4%、とりわけ0.15〜2%の上記混合物の総量に対する質量割合で存在する。
本発明の特定の実施態様によれば、上述したエステルは、モノエステルである。
【0016】
上述したような混合物は、グルコースと、リノール酸、オレイン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、ラウロレイン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸及びリノレン酸から選ばれた1つの脂肪酸又は2つの異なる脂肪酸との少なくとも1種のジエステルをさらに含有し得る。
そのような実施態様においては、上記ジエステル又は上記ジエステル群は、一般に10%以下の、とりわけ0.1〜4%、とりわけ0.15〜2質量%で変動する上記混合物の総質量に対する質量割合で存在する。
即ち、本発明において使用し得る混合物は、位置にかかわりなく、下記を含有する:
‐40〜80質量%、好ましくは60〜75質量%、優先的には68〜72質量%のグルコースとリノール酸のモノエステル;
‐10〜20質量%、好ましくは12〜17質量%、優先的には14〜15質量%のグルコースとオレイン酸のモノエステル;
‐5〜20質量%、好ましくは7〜15質量%、優先的には9〜12質量%のグルコースとパルミチン酸のモノエステル;
‐0.5〜7質量%、好ましくは1〜5質量%、優先的には2〜4質量%のグルコースとステアリン酸のモノエステル;
‐0〜10質量%、とりわけ0.10〜4質量%又は0.15〜2質量%でさえのグルコースとラウリン酸、ミリスチン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、ラウロレイン酸、ミリストオレイン酸、パルミトレイン酸及び/又はリノレン酸との1種以上のモノエステル;
‐0〜10質量%、とりわけ0.10〜4質量%又は0.15〜2質量%でさえのグルコースとラウリン酸、ミリスチン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、ラウロレイン酸、ミリストオレイン酸、パルミトレイン酸、リノール酸、オレイン酸、パルミチン酸、ステアリン酸及び/又はリノレン酸から選ばれた1種以上の酸とのジエステル。
【0017】
とりわけ、上記混合物は、下記を含有する:
‐40〜80質量%、好ましくは60〜75質量%、優先的には68〜72質量%のグルコースと、リノール酸と、主として6-O-オクタデカ-9,12-ジエノイル-D-グルコピラノース、1-O-オクタデカ-9,12-ジエノイル-D-グルコピラノース、2-O-オクタデカ-9,12-ジエノイル-D-グルコピラノース及び/又は3-O-オクタデカ-9,12-ジエノイル-D-グルコピラノースとのエステル;
‐10〜20質量%、好ましくは12〜17質量%、優先的には14〜15質量%のグルコースと、オレイン酸と、主として6-O-オクタデカ-9-エノイル-D-グルコピラノース、3-O-オクタデカ-9-エノイル-D-グルコピラノース、1-O-オクタデカ-9-エノイル-D-グルコピラノース及び/又は2-O-オクタデカ-9-エノイル-D-グルコピラノースとのエステル;
‐5〜20質量%、好ましくは7〜15質量%、優先的には9〜12質量%のグルコースと、パルミチン酸と、主として6-O-ヘキサデカノイル-D-グルコピラノース、3-O-ヘキサデカノイル-D-グルコピラノース、1-O-ヘキサデカノイル-D-グルコピラノース及び/又は2-O-ヘキサデカノイル-D-グルコピラノースとのエステル;
‐0.5〜7質量%、好ましくは1〜5質量%、優先的には2〜4質量%のグルコースと、ステアリン酸と、主として6-O-オクタデカノイル-D-グルコピラノース、3-O-オクタデカノイル-D-グルコピラノース、1-O-オクタデカノイル-D-グルコピラノース及び/又は2-O-オクタデカノイル-D-グルコピラノースとのエステル;
‐0〜10質量%、とりわけ0.10〜4質量%又は0.15〜2質量%でさえのグルコースとラウリン酸、ミリスチン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、ラウロレイン酸、ミリストオレイン酸、パルミトレイン酸及び/又はリノレン酸との1種以上のエステル;
‐0〜10質量%、とりわけ0.10〜4質量%又は0.15〜2質量%でさえのグルコースとラウリン酸、ミリスチン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、ラウロレイン酸、ミリストオレイン酸、パルミトレイン酸、リノール酸、オレイン酸、パルミチン酸、ステアリン酸及び/又はリノレン酸から選ばれた1種以上の酸とのジエステル。
【0018】
本発明の特定の実施態様によれば、使用する混合物は、ビタミンFによるD-グルコースのエステル化によって得ることができる。
ビタミンF、即ち、油脂中、とりわけアマニ油、ヒマワリ油及びベニバナ油中で天然に産生する化合物は、主としてC12〜C20の脂肪酸の混合物からなる。
即ち、ビタミンFは、下記(質量%)を一般に含むと考えられている:
・75〜80質量%のリノール酸;
・10〜15質量%のオレイン酸;
・4〜8質量%のパルミチン酸;
・0.5〜3質量%のステアリン酸;及び、
・0〜10質量%のラウリン酸、ミリスチン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、ラウロレイン酸、ミリストオレイン酸、パルミトレイン酸及びリノレン酸のような1種以上の他の酸類。
従って、ビタミンFによるエステル化によって得られた生成物は、ビタミンFを構成する種々の酸の存在にとりわけ由来する種々のエステルの混合物から一般になる。
とりわけ、エステル化反応は、全て公知の方法に従って実施し得る。合成は、とりわけ、リノール酸の塩化物から又はビタミンF及びD-グルコースの塩化物から出発して、Reinfeld et al., in “Die Starke”, No. 6, pages 181-189, 1968に記載された方法に従って達成し得る。とりわけ、この方法のより詳細な説明は、特許EP 485 251号に開示されている。
リノール酸の糖エステル類又はアミド類は、通常の方法に従って調製し得る。
【0019】
一般に、本発明に従う組成物は、皮膚障壁において適切な水和状態を生理的に再生させるのにとりわけ興味を有する。
即ち、本発明に従って治療し得る乾燥は、後天性の一過性乾燥、即ち、例えば、寒さ、加熱、洗浄剤及び/又は硬水によって生ずる皮膚の脱水に関連する乾燥であり得る。また、乾燥は、一般に脂腺の機能喪失に従ってある程度の皮脂欠乏に関連する皮膚の生活加齢による乾燥のような後天性の永久的乾燥でもあり得る。最後に、乾燥は、体質性、即ち、患者において慢性的に発症し得るか、或いは乾燥は魚鱗癬のような遺伝子起源を有し得る。
本発明者等が皮脂産生に対する脂肪酸の糖エステル又はアミド類、とりわけ脂肪酸のグルコースエステルの刺激作用を検出した限りにおいて、本発明に従う組成物は、オリゴ脂漏に関連する疾患の治療においてとりわけ有利であることを証明している。
従って、本発明に従う組成物は、皮脂の不十分な分泌又は排出を示す皮膚、並びにこのタイプの乾燥に一般的に関連する疾患、例えば、落屑障害及び/又は皮膚炎タイプの微小炎症症状の治療において有効に使用し得る。
本発明の1つの変形によれば、前述したようなリノール酸の糖アミド又はモノ-若しくはポリエステル、とりわけ6-O-オクタデカ-9,12-ジエノイル-D-グルコピラノース又は前述したような混合物は、過剰皮膚落屑、異常に高レベルの微小水分喪失にとりわけ関連する皮膚の乾燥、及び皮膚炎の治療及び/又は予防において使用し得る。また、前述したようなリノール酸のアミド又は糖モノ-若しくはポリエステル、とりわけ6-O-オクタデカ-9,12-ジエノイル-D-グルコピラノース又は前述したような混合物は、瘢痕形成、発赤及び刺激の疾患の治療及び/又は予防においても使用し得る。また、前述したようなリノール酸のアミド又は糖モノ-若しくはポリエステル、とりわけ6-O-オクタデカ-9,12-ジエノイル-D-グルコピラノース又は前述したような混合物は、表皮の健康状態を改善し得、とりわけ、皮膚障壁の状態を改善することによって表皮の微生物によるコロニー形成を防止し得る。さらにまた、前述したようなリノール酸のアミド又は糖モノ-若しくはポリエステル、とりわけ6-O-オクタデカ-9,12-ジエノイル-D-グルコピラノース又は前述したような混合物は、角化細胞の分化/増殖均衡も改善し或いは再確立さえもし得る。さらにまた、前述したようなリノール酸のアミド又は糖モノ-若しくはポリエステル、とりわけ6-O-オクタデカ-9,12-ジエノイル-D-グルコピラノース又は前述したような混合物は、漏斗表皮の過角化症の治療及び/又は予防においても有利に使用し得る。
【0020】
上記組成物中に、脂肪酸の糖エステル(1種以上)又はアミド(1種以上)は、組成物の総質量に対し0.001〜30質量%、とりわけ0.01〜15質量%、とりわけ0.1〜5質量%の範囲の、例えば0.5質量%以上の割合で存在し得る。
リノール酸の糖エステル(1種以上)又はアミド(1種以上)の量は、当業者であれば、とりわけ組成物の性質及び/又は所望する効果に応じて容易に決定し得ることである。
一般に、上記組成物中に、リノール酸の糖エステル(1種以上)又はアミド(1種以上)は、組成物の総質量に対し0.001〜30質量%、とりわけ20質量%以下、とりわけ0.01〜15質量%、とりわけ0.1〜5質量%の範囲、例えば0.5質量%以上で変動する割合で存在し得る。
とりわけ、上記組成物は、0.1〜5%の6-O-オクタデカ-9,12-ジエノイル-D-グルコピラノースを含有する。
本発明に従う組成物においては、化合物又は混合物の形の活性成分は、有効量の少なくとも1種の他の活性剤、即ち、皮膚に対し治療上の又は有益な作用を奏することが知られている化合物と、この更なる化合物に関連し得る望ましくない作用にもかかわらずさらに混合することができる。
例えば、この既知の化合物は、とりわけ皮脂の産生を制限することによる乾燥皮膚の発症のような望ましくない作用を発生させ得る。そのような化合物の例としては、コルチコイド類、とりわけ、コルチゾン、ヒドロコルチゾン及びベタメタゾン;インドメタシン;レチノイン酸の誘導体を挙げることができる。
本発明に従うエステル類及びアミド類と混合するのに適する化合物としては、とりわけ、保湿作用を奏することが既に知られている化合物を考慮することができる。
【0021】
用語“保湿剤”は、下記のいずれかを意味する:
‐角質層の水和を維持する点で、障壁機能に対して作用する化合物、又は閉塞性化合物。例えば、限定することなしに、セラミド類、スフィンゴイド系化合物、レシチン類、グリコスフィンゴリピッド類、リン脂質類、コレステロール及びその誘導体、フィトステロール類(スチグマステロール、β-シトステロール、カンペステロール)、不可欠脂肪酸類、1,2-ジアシルグリセリン、4-クロマノン、ウルソル酸のような5環式トリターペン類、ワセリン及びラノリンを挙げることができる。
‐トレハロース及びその誘導体、ヒアルロン酸及びその誘導体、グリセリン、ペンタンジオール、ナトリウムピドレート(pidolate)、セリン、キシリトール、乳酸ナトリウム、グリセリンポリアクリレート、エクトイン及びその誘導体、キトサン、オリゴ糖及び多糖類、環状カーボネート類、N-ラウロイルピロリドンカルボン酸、及びN-α-ベンゾイル-L-アルギニンのような、角質層の水分を直接増大させる化合物。
‐ビタミンD及びその誘導体のような、脂腺を活性化させる化合物。
上記組成物は、角化細胞の増殖及び/又は分化を刺激する1種以上の薬剤も含有し得る。
本発明に従う組成物において使用することのできる、角化細胞の増殖を刺激する薬剤としては、とりわけ、レチノイド類、例えば、レチノール及びそのエステル(パルミチン酸レチニルのような);フロログルシノール;GATTEFOSSE社から販売されているナッツケーキ抽出物;SEDERMA社から販売されているジャガイモ(Solanum tuberosum)抽出物がある。
本発明に従う組成物において使用することのできる、角化細胞の分化を刺激する薬剤としては、とりわけ、カルシウムのようなミネラル類;SILAB社から商品名PhotopreventineRとして販売されているルピン抽出物;SEPORGA社から商品名PhytocohesineRとして販売されているベータ-シトステリル硫酸ナトリウム;SOLABIA社から商品名PhytovitylRとして販売されているトウモロコシ抽出物がある。
【0022】
1種以上の抗炎症剤及び鎮静剤(1種以上)も本発明に従う活性成分と混合し得る。
“抗炎症剤”は、炎症過程(アラキドン酸カスケード)に関与する主な酵素、即ち、ホスホリパーゼ A2 (PLA2);リポキシゲナーゼ(Lox);ヒトプロスタグランジンシンターゼを抑制し得る任意の化合物を意味する。
“鎮静剤”は、とりわけ、物質Pの拮抗薬、CGRP拮抗薬及びブラジキニン拮抗薬を意味する。
抗炎症剤として有効な物質としては、以下の薬剤を非限定的に挙げることができる:β-グリシルレチン酸、ウルソン酸、オレアノール酸及びベツリン酸、これらの塩及び誘導体のような5環式トリターペン類;ボタン及び/又はシャクヤク、ローズマリー、ヤナギ蘭、ピジウム、ボスヴェリア セラタ(Boswellia serrata)、センティペーダ クニハミ(Centipeda cunnighami)、ヒマワリ、コラノキ(Cola nitida)、丁子及びバコバモンニエラの各抽出物;サリチル酸の塩類、とりわけサリチル酸亜鉛;アスピリン;イブプロフェン;藻類、とりわけラミナリア サッカリナ(Laminaria saccharina)の抽出物;カノーラ油、タマヌ(Tamanu)油、ヤラボ油(calophyllum oil)、オメガ-3不飽和油(マスカットローズ、カシス、エッチウム(ecchium)、魚類に由来する油類のような);α-ビサボロール及びカモミール抽出物;アラントイン;ビタミンE及びCからのリン酸ジエステル;カプリロイルグリシン;トコトリエノール類;ピペロナール;アロエ;フィトステロール類。
物質Pの拮抗薬の例としては、とりわけ、ストロンチウム塩類;温泉水;細菌抽出物、とりわけベギアトア目、さらに特定的には滑走菌(Vtreoscilla)属の細菌から調製した非光合成糸状菌由来の抽出物がある。
【0023】
また、上記組成物は、例えば、トリクロサン、フェノキシエタノール、オクトキシグリセリン、オクタノイルグリシン、10-ヒドロキシ-2-デカン酸、カプリリルグリコール、ファルネソール及びアゼライン酸のような1種以上の抗菌剤も含有し得る。
上記組成物は、カルシウム拮抗薬又はフリーラジカル捕捉剤のような少なくとも1種の活性剤もさらに含有し得る。
本発明に従う組成物は、活性剤として、UV-A及び/又はUV-B中で活性な少なくとも1種の有機フィルターもさらに含有し得る。これらフィルターの非限定的な例としては、とりわけ、以下に述べるものをそのCTFA名によって挙げることができる:パラ-アミノ安息香酸誘導体、ジベンゾイルメタン誘導体、桂皮酸誘導体、β,β'-ジフェニルアクリレート誘導体、ベンゾフェノン誘導体、ベンジリデン樟脳誘導体、フェニルベンズイミダゾール誘導体、トリアジン誘導体、フェニルベンゾトリアゾール誘導体、アントラニル酸誘導体、イミダゾリン誘導体及びベンズアルマロネート誘導体。本発明に従う組成物において使用し得る無機フィルターは、コーティーングされた又はコーティーングされていない金属酸化物のナノピグメント類、例えば、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム又は酸化セリウムの各ナノピグメントであり得る。
これらの組成物において使用する媒質は、水、水と溶媒の混合物又は溶媒混合物からなり得;溶媒は、化粧品上又は製薬上許容し得る有機溶媒、とりわけ、C1〜C4低級アルコール類、アルキレングリコール類;アルキレングリコール及びジアルキレングリコールのアルキルエーテルから選択する。溶媒は、存在する場合、組成物の総質量に対し5〜95質量%の範囲の割合で存在し得る。
【0024】
これらの化合物を含有する本発明に従う組成物は、ローション、乳化液、クリーム、ゲルの形であり得、必要に応じて、エアゾール中に圧縮し得る。
本発明の範囲において使用する組成物は、一般に局所に適用する。従って、このタイプの適用に適する形で調製するのが好ましい。とりわけ、上記組成物は、軟膏、ローション、ゲル、クリーム又は乳化液のような、液体、半固体又は固形製剤であり得る。
本発明の特定の実施態様によれば、上記組成物は、水中油型乳化液として調製する。このタイプの製剤は、該乳化液の油性相がその構成成分中で皮脂の組成を擬態し、従って、とりわけ脂腺に対して活性成分の良好な利用性を付与する点で有利である。この乳化液の油性成分は、天然又は合成系であり得、勿論、適切な安全性を有する。
これらの組成物は、勿論、局所用組成物を製造するのに化粧品又は製薬分野において通常使用される他のアジュバント類、例えば、界面活性剤;増粘剤;非限定的な例としてのポリマー類、たんぱく質類、とりわけ合成油のような化粧剤;保存剤;アルカリ化又は酸性化剤を含有し得る。これら組成物のpHは、3〜9、好ましくは5〜8で変動し得る。
増粘剤又はゲル化剤は、フランス特許第2 598 611号に記載されているもののような、キサンタンゴム及びスクレログルカンのような生体多糖類、ヒドロキシプロピルセルロース及びメチルセルロースのようなセルロース誘導体、架橋された又は架橋されてないポリアクリル酸、ポリエチレングリコール及びその誘導体、並びにアニオン性ポリマーとカチオン性ポリマーの組合せから選択し得る。
増粘剤は、組成物の総質量に対し0.1〜5質量%、とりわけ0.4〜3質量%の範囲の割合で存在し得る。
上記合成油は、パラフィン類及びポリデセン類から選択し得る。
また、本発明は、上記で定義したような少なくとも1種の組成物を化粧する領域に適用することを特徴とする、皮膚の化粧方法にも関する。
適用は、とりわけ局所適用によって実施する。
皮膚上に適用する本発明に従う組成物の適用頻度及び持続時間並びに量は、当業者であれば、組成物の性質及び/又は所望する効果に応じて容易に決定し得ることである。
典型的には、上記組成物は、1日から数ヶ月の間、化粧すべき皮膚領域上にに薄層を付着させることによって、1日に1回、2回、3回、6回まで適用する。
【0025】
本発明を以下の例においてより詳細に説明する。
これらの例において、化合物6-O-オクタデカ-9,12-ジエノイル-D-グルコピラノースは、文献に記載されている。
例1:ビタミンFのグルコースエステルの調製(大部分が位置6でのエステル)
500-mlの三口フラスコ内で、17mlの塩化ピバロイルを100mlのテトラヒドロフラン中に希釈し、不活性雰囲気下に0℃で、100mlのテトラヒドロフラン中に前以って溶解させた37.3gのビタミンFと19.3mlのトリエチルアミンの混合物を添加し、1時間攪拌し、その後、生成した塩を濾過して溶液を得る。
2リットルの三口フラスコ内で、96gのD-グルコースを1.15リットルのピリジン中に溶解し、次いで、上記溶液を不活性雰囲気下に室温で添加する。混合物を1夜攪拌する。
反応媒質を真空下に蒸発させてピリジンを除去して乾固させ、その後、得られたペーストを抽出し(水/有機溶媒により)、乾燥させ、濾過し、有機相を蒸発させる。
ビタミンFエステルの黄色ペースト49gを得る(収率:83%)。
1H NMRスペクトル(DMSO) 200MHz:δ(ppm):0.85;1.23;1.50;2.00;2.26;2.73;3.03;3.13;3.40;3.76;3.97;4.25;4.53;4.76;4.89;5.04;5.32;6.34。
13C NMRスペクトル(DMSO) 200MHz:δ(ppm):13.95;22.12;24.48;25.23;26.62;28.46〜29.08;31.32;33.44;63.91;69.14;70.57;72.19;72.86;92.30;127.77;129.73;172.92。
上記1H及び13C NMRスペクトル(DMSO) 200MHzは、予想構造に相応している。
【0026】
例2:ビタミンFのグルコースエステルの調製(大部分が位置3でのエステル)
300mlの無水トルエン中に溶解させた20gのビタミンFを、窒素雰囲気下に、500-mlフラスコに入れ、3滴のDMFを添加して反応を触媒させる。その後、12.6mlの塩化オキサリルを滴下により添加し(ガスの放出)、25℃で3時間攪拌する。反応媒質を最大限濃縮し、次いで200mlのジクロロメタン中に希釈する。次の工程において使用するビタミンFの塩化物を得る。
200mlのジクロロメタン中に溶解させた29.6gのジアセトン-D-グルコースと26mlのトリエチルアミンを、窒素雰囲気下に、コンデンサーと滴下漏斗を装着した500-mlの三口フラスコに入れる。
温度を氷水浴により約10℃に維持する。
200mlの上記で得たビタミンFの塩化物を、温度を約10℃に維持しながら、滴下により添加する。その後、反応媒質を室温で2時間攪拌する。
得られたペースト状混合物を、200mlのジクロロメタンを添加することによって希釈する。その後、数回洗浄する:(i) 蒸留水の添加及び上部水溶液の除去、(ii) 1N塩酸溶液の添加及び水性相の除去、(iii) 蒸留水の添加及び水性相の除去。
有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、その後、濾過し、濃縮乾固させる。
濃厚な淡褐色油状物が得られ、これを350mlの水/トリフルオロ酢酸混合物中に溶解し(11.10-3モル/リットルで)、次いで、室温で1時間放置する。混合物を濃縮し、次いで100mlのトルエンにより5回吸収する。残留物をシリカゲル上で精製する。
12gの化合物を黄色粉末の形で得る。
13C NMR (DMSO) 200MHz δ(ppm):60.76;63.82;92.10;92.24;96.75;96.86。
上記13C NMRスペクトル(DMSO) 200MHzは、予想構造に相応している。
【0027】
例3:ステアリン酸のグルコースエステルの調製(大部分が位置3でのエステル)
6mlのジクロロメタンに溶解させた0.5g (1.9ミリモル)のジアセトン-D-グルコースと0.5ml (6.1ミリモル)のピリジンを、窒素雰囲気下に、コンデンサーと滴下漏斗を装着した50-mlの三口フラスコに入れる。
温度を氷水浴により約10℃に維持する。
0.8ml (2.3ミリモル)のステアリン酸の塩化物(市販品)を、前以って得られた3mlのジクロロメタン中に、温度を約10℃に維持しながら滴下により添加する。その後、反応媒質を室温で2時間攪拌する。
得られたペースト状混合物を、50mlのジクロロメタンを添加することによって希釈する。その後、数回洗浄する:(i) 蒸留水の添加及び上部水溶液の除去、(ii) 1N塩酸溶液の添加及び水性相の除去、(iii) 蒸留水の添加及び水性相の除去。
有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、その後、濾過し、濃縮乾固させる。
濃厚な淡褐色油状物が得られ、これを水/トリフルオロ酢酸混合物(1/8)中に溶解し、室温で30分間放置する。混合物を濃縮し、次いで100mlのトルエンにより5回吸収する。残留物をMeOHから再結晶させる。
0.57mgの化合物を黄色粉末の形で得る。全体収率は66%である。
1H及び13C NMRスペクトル(DMSO) 200MHzは、予想構造に相応している。
【0028】
例4:3-O-オクタデカ-9,12-ジエノイル-D-グルコピラノースの調製
200mlのジクロロメタン中に溶解させた29.6gのジアセトン-D-グルコースと26mlのトリエチルアミンを、窒素雰囲気下に、コンデンサーと滴下漏斗を装着した500-mlの三口フラスコに入れる。
温度を氷水浴により約10℃に維持する。
200mlのオクタデカ-9,12-ジエン(リノール)酸の塩化物を、温度を約10℃に維持しながら、滴下により添加する。その後、反応媒質を室温で2時間攪拌する。
得られたペースト状混合物を、200mlのジクロロメタンを添加することによって希釈する。その後、下記のように数回洗浄する:
(i) 蒸留水の添加及び上部水溶液の除去、
(ii) 1N塩酸溶液の添加及び水性相の除去、
(iii) 蒸留水の添加及び水性相の除去。
有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、その後、濾過し、蒸発乾固させる。
21gの濃厚な淡褐色油状物が得られ、これを350mlの水/トリフルオロ酢酸混合物中に溶解し(11.10-3モル/リットルで)、次いで、室温で1時間放置する。混合物を濃縮し、次いで100mlのトルエンにより5回吸収する。残留物をシリカゲル上で精製する。
10.8gの化合物を黄色油状物の形で得る(収率64%)。
1H及び13C NMRスペクトル(DMSO)は、予想構造に相応している。
【0029】
例5:皮脂産生に対するリノール酸の6でのグルコースエステルの活性
試験化合物を、Zouboulis, C.C. et al., Establishment and Characterization of an Immortalized Human Sebaceous Gland Cell Line, J. Invest. Dermatol. 113, 1011-1020 (1999)に記載されたSZ95系に由来し、培養物中で不死化したヒト皮脂細胞モデルにおいて評価した。
下記の各生成物を試験した:
‐例1に従って調製したビタミンFの位置6でのD-グルコースエステル;
‐SIGMA社から市販されているDHEA (デヒドロエピアンドロステロン);
‐例3に従って調製したステアリン酸の位置3でのD-グルコースエステル;
‐例2に従って調製したビタミンFの位置3でのD-グルコースエステル;及び
‐塩化リノレイルのグルコサミン上での縮合によって調製したリノール酸のグルコサミンの位置2でのアミド。
試験は、DMSO中に希釈した活性剤を存在させた又はさせない上記細胞系の皮脂細胞によって産生した脂質の量(密集での)を、基本培地中のDMSOの最終量が0.1%であるような方法で測定することからなる。2日間の処理後、付着性細胞をナイルレッド(1μg/ml)で処理した。その後、脂質含有量を、染色の蛍光(2つの励起/発光対:中性脂肪における485〜540nm及び非中性脂肪における540〜620nm)を測定することによって定量する。結果は、総脂質について示す(両測定値を合せる)。
試験は、96ウェルプレート中で10複製(アッセイ生成物及び対照)で実施し、3回更新する。
【0030】
得られた結果を表1に示す。表1は、脂肪分泌期能の既知の活性化剤であるDHEAの存在において得られた結果も示している。

表1

この表から理解し得るように、本発明に従う化合物の全てが皮脂細胞脂質生成における増大を生じている。この増大は、ビタミンFの6でのグルコースエステル及びステアリン酸の3でのグルコースエステルにおいてとりわけ有意である(これらの化合物は、同じ投与量のDHEAにおいて観察された増大よりも大きい増大をもたらしている)。
【0031】
例6:リノール酸の6でのグルコースエステルの細胞毒性の測定
リノール酸の6でのグルコースエステルの耐容性を、対照としてのリノール酸単独と一緒に、SZ95皮脂細胞に対する当該生成物の細胞毒性を測定することによって判定した。
試験条件は、例1において試験した条件と同一である。細胞毒性は、Thomas JP et al.; Lethal damage to endothelial cells by oxidized low density lipoprotein: role of selenoperxidases in cytoprotection against lipid hydroperoxide and iron mediated reactions. Journal of lipid research 34: 479-490. 1993に記載された方法に従い、基本培地中でのLDHの産生により測定する。
結果を表2に示す。

表2

皮脂細胞に対してのリノール酸の6でのグルコースエステルによる細胞毒性は見出せなかった。
【0032】
例7:本発明と相応していない化合物と対比しての本発明の化合物の空気中での過酸化性の比較試験
本試験の目的は、種々の分子又は分子混合物の過酸化性を種々の試験を実施することによって評価することである。これらの試験は、空気中で室温(約20〜25℃)で2ヶ月間保存後に依然としてインタクト(無欠)である分子の割合を測定することからなる。出発物質の損失は、UV検出(210nm)によるHPLCによってモニターする。
以下の製品を試験した:
1. リノール酸:Aldrich社から市販されているオクタデカ-9,12-ジエン酸;
2. リノール酸メチル:Aldrich社から標章 10,335-7として市販されている;
3. Stearinerie Dubois社から標章 14043として市販されているビタミンF (75〜80%のリノール酸含有);
4. 位置6でのリノール酸とD-グルコースとのモノエステル:6-O-オクタデカ-9,12-ジエノイル-D-グルコピラノース:特許 EP 485251号に記載されている方法に従い調製した;
5. ビタミンFのグルコースエステル(大部分が位置6でのエステル):例1において得られた混合物。
結果
上述の条件において、製品4と5は、30%のインタクト分子を有している。
同じ条件において、製品1、2及び3は、もはやインタクト分子を含有していない。
これらの結果は、位置6でのリノール酸とD-グルコースとのエステル及び殆ど位置6でのビタミンFとD-グルコースとのエステルが、本来のリノール酸又はビタミンFよりも空気中での酸化に対して良好な安定性を有していることを示している。また、これら特定の製品は、他のエステル類、とりわけメチルエステルよりも空気中での酸化に対して良好な安定性を有している。
【0033】
例8:本発明の化合物の安定性試験
本発明に従う化合物の安定性を評価した(各エステルの加水分解の測定)。
各溶液を、エタノール/イソプロパノール/水混合物(容量による64/16/20)中で各化合物の0.1質量%で調製した。これらの溶液を45℃のサーモスタット内で2ヶ月間放置した。
その後、リノール酸グルコピラノースの%加水分解をHPLCにより測定した。
結果を表3に示す。





表3


結果として、本発明の化合物は、上記試験条件において、30%以下のリノール酸グルコピラノースの%加水分解を示している。従って、本発明の化合物は、リノール酸グルコピラノースが良好な安定性を有するところの種々の形態を示している。
【0034】
例9:培養物中の毛嚢生存による13-HODE合成の測定
ボランティア供与者から得られたサンプルからの300本の毛嚢を、特許出願FR 2 736 721号に記載されている方法により切開した。その後、これらの毛嚢を、Gibco社から品名“William's E”として市販されている完全基本培地に入れた。生体外16時間の生存後(双眼拡大鏡により確立した見掛けの生存度)、25本毛嚢のバッチを選択した。その後、25本毛嚢の各バッチを、5%の二酸化炭素下の37℃のストーブ内の500μlのWilliam's E培地中に入れた。
t = 0において、対照溶液(0.2%の最終濃度のジメチルスルホキシド)、又はリノール酸 10μMの最終濃度でのジメチルスルホキシド中リノール酸溶液(50mM)、又はビタミンFのグルコースエステル10μMの最終濃度でのジメチルスルホキシド中ビタミンFのグルコースエステル(例1で調製したような)の溶液(50mM)のいずれかを、各バッチの基本培地中に導入した。各バッチを5%の二酸化炭素下に37℃でインキュベートした。サンプル(50μl)をインキュベーションの30分、1時間及び2時間後に採取した。
【0035】
13-HODEの測定
アッセイは、OxFord Biomedical Research社から標章“EA81”として市販されている免疫-酵素キットを使用して実施した。各サンプルを上記キット中に供給した150μlの希釈緩衝液中に入れた(1/4の希釈に相当する)。その後、製造業者が仕様を定めたアッセイプロトコールに従う。図1にヒストグラムとして示した結果は、生存した25本の毛髪におけるピコグラムの13-HODEで表している。
図1のヒストグラムにおいて、明灰色は、対照条件において測定した13-HODE濃度を示しており;暗灰色は、ビタミンFとグルコースのエステル(殆ど位置6での)をt = 0で10μMの最終濃度に添加したときに測定した13-HODE濃度を示しており;白色は、リノール酸をt = 0で10μMの最終濃度に添加したときに測定した13-HODE濃度を示している。
得られた結果は、毛嚢を本発明に従う殆ど位置6でのビタミンFとグルコースのエステルと接触させることが、インキュベーション培地中での13-HODE濃度の著しい増大をもたらしていることを示している。
また、毛嚢を本発明に従う殆ど位置6でのビタミンFとグルコースのエステルと接触させた後に測定した13-HODE濃度は、毛嚢を対照溶液と接触させたときに観察された13-HODE濃度のみならず、毛嚢を13-HODEの天然先駆体、即ち、リノール酸と接触させたときに観察された13-HODE濃度よりも著しく高いことも理解し得る。
【0036】
例10:本発明に従う化粧用及び皮膚学的組成物
これらの組成物は、当業者が精通している方法で調製する。これらの例において示す量は、質量%である。
A. ローション
例1の化合物 1%
サリチル酸 1%
プロピレングリコール 5%
アルコール 87%
水 適量 (100%)
このローションは、皮脂分泌機能を蘇生させるため及び/又は皮膚障壁条件を改善させるために晩年において使用できる。
B. 皮膚軟化用クリーム

【0037】
C. 抗炎症軟膏

D. ゲル







【0038】
E. 老化防止用化粧クリーム

【0039】
F. 医薬老化防止用クリーム













【0040】
G. 保湿用クリーム

【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】例9に従って測定した培養物中での生存毛嚢によって13-HODE合成を示すヒストグラムである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾燥皮膚の予防及び/又は治療を意図する化粧用又は製薬組成物の製造における、活性成分としての、脂肪酸の少なくとも1種のアミド、糖モノ-又はポリエステルの使用。
【請求項2】
オリゴ脂漏性乾燥皮膚の治療を意図する化粧用又は製薬組成物の製造における、活性成分としての、脂肪酸の少なくとも1種のアミド、糖モノ-又はポリエステルの使用。
【請求項3】
皮脂産生の刺激を意図する化粧用又は製薬組成物の製造における、活性成分としての、脂肪酸の少なくとも1種のアミド、糖モノ-又はポリエステルの使用。
【請求項4】
前記脂肪酸が14個よりも多い炭素原子を有する、請求項1〜3のいずれか1項記載の使用。
【請求項5】
前記脂肪酸が飽和であり得るか或いは1個以上の二重結合を含有し得る、請求項1〜4のいずれか1項記載の使用。
【請求項6】
前記脂肪酸が、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸及びリノレン酸、とりわけこれら酸のα又はγ形、並びにアラキドン酸から選ばれる、請求項1〜5のいずれか1項記載の使用。
【請求項7】
前記脂肪酸がリノール酸又はステアリン酸である、請求項1〜6のいずれか1項記載の使用。
【請求項8】
前記脂肪酸がリノール酸である、請求項1〜7のいずれか1項記載の使用。
【請求項9】
皮膚上皮中での13-ヒドロキシオクタデカジエン酸の産生を意図する化粧用又は製薬組成物の製造における、活性成分としての、リノール酸の少なくとも1種のアミド、糖モノ-又はポリエステルの使用。
【請求項10】
リノール酸欠乏に関連する皮膚疾患及び/又は毛嚢脂腺単位構造疾患の治療及び/又は予防を意図する化粧用又は製薬組成物の製造における、活性成分としての、リノール酸の少なくとも1種のアミド、糖モノ-又はポリエステルの使用。
【請求項11】
前記糖が単糖又はオリゴ糖である、請求項1〜10のいずれか1項記載の使用。
【請求項12】
前記糖が単糖又は二糖である、請求項11記載の使用。
【請求項13】
前記糖が、D群の単糖及び二糖類からの異性体である、請求項1〜12のいずれか1項記載の使用。
【請求項14】
前記糖が、少なくとも1種のペントース及び/又はヘキソースであるか或いはこれらから誘導される、請求項1〜13のいずれか1項記載の使用。
【請求項15】
前記糖が、そのα-及び/又はβ-環状形であり得る、請求項1〜14のいずれか1項記載の使用。
【請求項16】
前記糖が、タロース、フコース、リボース、イドース、アラビノース、グロース、キシロース、リキソース、アルトロース、アロース、グルコース、マンノース、ガラクトース、ラクトース、サクロース、トレハロース、セロビオース、マルトース、フコースアルファ1-3グルコース、フコースアルファ1-4グルコサミン、フラクトース、グルコサミン、フルクトサミン及びガラクトサミン、並びにこれらの誘導体から選ばれた単糖又は二糖である、請求項1〜15のいずれか1項記載の使用。
【請求項17】
前記糖が、ペントース群からの単糖である、請求項1〜16のいずれか1項記載の使用。
【請求項18】
前記糖が、リキソース、キシロース、アラビノース及びリボースから選ばれる、請求項17記載の使用。
【請求項19】
前記糖が、ヘキソース群からの単糖である、請求項1〜16のいずれか1項記載の使用。
【請求項20】
前記糖が、タロース、フコース、ガラクトース、イドース、グロース、マンノース、グルコース、アルトース、アロース、グルコサミン、ガラクトサミン、N-アセチルグルコサミン、N-アセチルガラクトサミン及びフラクトースから選ばれる、請求項19記載の使用。
【請求項21】
前記糖が、マルトース、サクロース、セロビオース、トレハロース、ラクトース、フコースアルファ1-3グルコース及びフコースアルファ1-4グルコサミンから選ばれた二糖である、請求項16記載の使用。
【請求項22】
前記糖が、グルコースのαD-又はβD-異性体である。請求項1〜16及び19又は20のいずれか1項記載の使用。
【請求項23】
前記糖が、前記脂肪酸によってモノ-又はポリエステル化されている、請求項1〜22のいずれか1項記載の使用。
【請求項24】
前記糖が、位置1、2、3、4及び/又は6でエステル化された単糖又は二糖である、請求項1〜23のいずれか1項記載の使用。
【請求項25】
前記糖が、位置1、2、3及び/又は6でエステル化された単糖又は二糖である、請求項1〜24のいずれか1項記載の使用。
【請求項26】
前記組成物が、リノール酸の位置1、3又は6でのグルコースモノエステルを少なくとも含有する、請求項1〜25のいずれか1項記載の使用。
【請求項27】
前記グルコースモノエステルがリノール酸のαD-又はβD-グルコース位置6でのエステルである、請求項26記載の使用。
【請求項28】
前記エステルを、少なくとも1種の他の脂肪酸のグルコースエステルとの混合物の形で使用する、請求項26又は27のいずれか1項記載の使用。
【請求項29】
前記他の脂肪酸がステアリン酸及び/又はオレイン酸である、請求項28記載の使用。
【請求項30】
前記混合物の総質量に対するリノール酸とグルコースのエステルの質量割合が、40〜90%、とりわけ50%以上、とりわけ60%以上、とりわけ80%以下、とりわけ75%未満であり、とりわけ68〜72%で変動する、請求項28又は29のいずれか1項記載の使用。
【請求項31】
前記混合物が、前記混合物の総質量に対し、0.1%〜7%、とりわけ0.5%以上、とりわけ1%以上、とりわけ5%以下の質量割合の、とりわけ2〜4質量%で変動する割合のステアリン酸とグルコースの少なくとも1種のエステルを含有する、請求項28、29又は30のいずれか1項記載の使用。
【請求項32】
前記混合物が、前記混合物の総質量に対し、5〜20%、とりわけ8%以上、とりわけ10%以上、とりわけ12%以上、とりわけ17%以下の質量割合の、とりわけ14〜15質量%で変動する割合のオレイン酸とグルコースの少なくとも1種のエステルを含有する、請求項28〜31のいずれか1項記載の使用。
【請求項33】
前記混合物が、前記混合物の総質量に対し、2〜20%、とりわけ5%以上、とりわけ7%以上、とりわけ15%以下の質量割合の、とりわけ9〜12質量%で変動する割合のパルミチン酸とグルコースの少なくとも1種のエステルを含有する、請求項28〜32のいずれか1項記載の使用。
【請求項34】
前記混合物が少なくとも1種の脂肪酸とグルコースのエステルを含有し、該酸が、前記混合物の総質量に対し10%以下の、とりわけ0.1〜4%、とりわけ0.15〜2%で変動する質量割合のラウリン酸、ミリスチン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、ラウロレイン酸、ミリストオレイン酸、パルミトレイン酸及びリノレン酸から選ばれる、請求項28〜33記載のいずれか1項記載の使用。
【請求項35】
前記エステルがモノエステルである、請求項28〜34のいずれか1項記載の使用。
【請求項36】
前記混合物が、グルコースと、前記混合物の総質量に対し10%以下の、とりわけ0.1〜4%、とりわけ0.15〜2%の質量割合のリノール酸、オレイン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、ラウロレイン酸、ミリストオレイン酸、パルミトレイン酸及びリノレン酸から選ばれた脂肪酸又は2種の脂肪酸との少なくとも1種のジエステルをさらに含有する、請求項35記載の使用。
【請求項37】
前記混合物が下記を含有する、請求項28〜36のいずれか1項記載の使用:
‐40〜80質量%、好ましくは60〜75質量%、優先的には68〜72質量%のグルコースとリノール酸のモノエステル;
‐10〜20質量%、好ましくは12〜17質量%、優先的には14〜15質量%のグルコースとオレイン酸のモノエステル;
‐5〜20質量%、好ましくは7〜15質量%、優先的には9〜12質量%のグルコースとパルミチン酸のモノエステル;
‐0.5〜7質量%、好ましくは1〜5質量%、優先的には2〜4質量%のグルコースとステアリン酸のモノエステル;
‐0〜10質量%、とりわけ0.10〜4質量%又は0.15〜2質量%でさえのグルコースとラウリン酸、ミリスチン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、ラウロレイン酸、ミリストオレイン酸、パルミトレイン酸及び/又はリノレン酸との1種以上のモノエステル;
‐0〜10質量%、とりわけ0.10〜4質量%又は0.15〜2質量%でさえのグルコースとラウリン酸、ミリスチン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、ラウロレイン酸、ミリストオレイン酸、パルミトレイン酸、リノール酸、オレイン酸、パルミチン酸、ステアリン酸及び/又はリノレン酸から選ばれた1種以上の酸とのジエステル。
【請求項38】
前記混合物が下記を含有する、請求項37記載の使用:
‐40〜80質量%、好ましくは60〜75質量%、優先的には68〜72質量%のグルコースと、リノール酸と、主として6-O-オクタデカ-9,12-ジエノイル-D-グルコピラノース、1-O-オクタデカ-9,12-ジエノイル-D-グルコピラノース、2-O-オクタデカ-9,12-ジエノイル-D-グルコピラノース及び/又は3-O-オクタデカ-9,12-ジエノイル-D-グルコピラノースとのエステル;
‐10〜20質量%、好ましくは12〜17質量%、優先的には14〜15質量%のグルコースと、オレイン酸と、主として6-O-オクタデカ-9-エノイル-D-グルコピラノース、3-O-オクタデカ-9-エノイル-D-グルコピラノース、1-O-オクタデカ-9-エノイル-D-グルコピラノース及び/又は2-O-オクタデカ-9-エノイル-D-グルコピラノースとのエステル;
‐5〜20質量%、好ましくは7〜15質量%、優先的には9〜12質量%のグルコースと、パルミチン酸と、主として6-O-ヘキサデカノイル-D-グルコピラノース、3-O-ヘキサデカノイル-D-グルコピラノース、1-O-ヘキサデカノイル-D-グルコピラノース及び/又は2-O-ヘキサデカノイル-D-グルコピラノースとのエステル;
‐0.5〜7質量%、好ましくは1〜5質量%、優先的には2〜4質量%のグルコースと、ステアリン酸と、主として6-O-オクタデカノイル-D-グルコピラノース、3-O-オクタデカノイル-D-グルコピラノース、1-O-オクタデカノイル-D-グルコピラノース及び/又は2-O-オクタデカノイル-D-グルコピラノースとのエステル;
‐0〜10質量%、とりわけ0.10〜4質量%又は0.15〜2質量%でさえのグルコースとラウリン酸、ミリスチン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、ラウロレイン酸、ミリストオレイン酸、パルミトレイン酸及び/又はリノレン酸との1種以上のエステル;
‐0〜10質量%、とりわけ0.10〜4質量%又は0.15〜2質量%でさえのグルコースとラウリン酸、ミリスチン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、ラウロレイン酸、ミリストオレイン酸、パルミトレイン酸、リノール酸、オレイン酸、パルミチン酸、ステアリン酸及び/又はリノレン酸から選ばれた1種以上の酸とのジエステル。
【請求項39】
前記混合物が、D-グルコースのビタミンFによるエステル化によって得ることができる、請求項28〜38のいずれか1項記載の使用。
【請求項40】
前記組成物が、前記組成物の総質量に対し0.001〜30質量%、とりわけ0.01〜15質量%、とりわけ0.1〜5質量%で変動する割合の前記活性成分を含有する、請求項1〜39のいずれか1項記載の使用。
【請求項41】
前記組成物が、有効量の少なくとも1種の他の活性剤をさらに含有する、請求項1〜40のいずれか1項記載の使用。
【請求項42】
前記他の活性剤が、保湿剤、脂腺を活性化させる薬剤、角化細胞の増殖を刺激する薬剤、角化細胞の分化を刺激する薬剤、抗炎症剤、鎮静剤、抗菌剤、カルシウム拮抗薬、フリーラジカル捕捉剤、及びUV-A及び/又はUV-B中で活性なフィルター類から選ばれる、請求項41記載の使用。
【請求項43】
前記組成物を局所的に適用する、請求項1〜42のいずれか1項記載の使用。
【請求項44】
請求項1〜43において記載したような少なくとも1種の組成物を化粧する領域に適用することを特徴とする、皮膚の化粧方法。

【図1】
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【公表番号】特表2006−504752(P2006−504752A)
【公表日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−544595(P2004−544595)
【出願日】平成15年10月14日(2003.10.14)
【国際出願番号】PCT/IB2003/004517
【国際公開番号】WO2004/034958
【国際公開日】平成16年4月29日(2004.4.29)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】