説明

二次電池およびその製造方法

【課題】正極電極または負極電極を切断する工程で切断された側縁に形成されるエッジによりスペーサが破損されることを防ぐ。
【解決手段】図示しない搬送装置により負極電極12をA方向に搬送し、搬送量、すなわち負極電極12の長さをタッチローラ51で測定する。負極電極12を所定長Lcだけ搬送したら、発光器53および受光器54により、負極リード17の有無を検出する。そして、負極リード17の間にカッタ55が対応する位置で負極電極12の搬送を停止して、負極電極12をカッタ55により切断する。このようにして、負極電極12を、負極リード17が形成された位置では切断しないようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、二次電池およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウム二次電池等に代表される円筒形二次電池においては、正極合剤が形成された正極電極と負極合剤が形成された負極電極とをセパレータを介して軸芯の周囲に捲回して電極群を構成する。正極合剤は正極シートの両面に形成され、正極シートの長手方向に沿う一側縁部は正極合剤が形成されない正極合剤未処理部とされる。正極合剤未処理部には、正極電極を正極集電部材に溶接するため、通常、タブと言われる複数の正極リードが、正極電極の長手方向の一側縁に沿って所定間隔で正極シートに一体に形成される。負極電極側においても同様で、負極シートの両面に、長手方向に沿う一側縁部に負極合剤が形成されない負極合剤未処理部が形成されるように負極合剤が形成され、かつ、負極集電部材に溶接される複数の負極リードが負極電極の長手方向に沿う一側縁部に所定間隔で負極シートと一体に形成される。
【0003】
正極電極および負極電極は、それぞれ、発電量を満足する所定の長さ以上の長さを有する長尺状に形成され軸芯に捲回される。正極電極あるいは負極電極は、軸芯に捲回する前に、電極シートの両面に正極合剤または負極合剤を形成し、電極シートを搬送しながらロールカッタなどにより切断して正極リードまたは負極リードを形成しておく。そして、上記した如く、正極電極あるいは負極電極の長さを所定の長さ以上として切断する。従って、通常は切断縁と正極リードあるいは負極リードとの距離は不定である。この場合、正極電極および負極電極の切断端縁を、それぞれ、正極電極の正極リードの端縁または負極電極の端縁に一致するようにした構造も知られている(例えば、特許文献1の図4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−118561号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した如く、正極電極あるいは負極電極は所定以上の長さとなる位置でカッタ等により切断されるが、この際、切断縁を観察すると、ばりのようなエッジが立つことが確認された。このため、先行文献1の図4に図示される如く、切断位置が正極電極の正極リードの端縁または負極電極の端縁に一致するような場合には、切断縁に形成されたエッジによりセパレータが破断され、信頼性が低下する。
このことについて説明する。正極電極と負極電極の間に配置されるセパレータは、正極リードの根元側および負極リードの根元側を覆う幅を有する。しかし、正極シートおよび負極シートを切断する際に生じるエッジは、正極シートまたは負極シートにおける幅全体に生じる。
【0006】
上述した如く、セパレータは、正極リードの根元または負極リードの根元までを覆う幅を有しており、それよりも先端側を覆うものではない。このため、正極シートおよび負極シートの切断縁に形成されたエッジは、セパレータの幅の外側にも存在することになる。このセパレータの幅の外側に位置するエッジがセパレータの側縁に食い込む。側縁に破損箇所が生じると、捲回工程等の以降の工程において、セパレータ内部に向けて破損が進行する。このようにして、セパレータに破断が引き起こされる虞がある。セパレータの破断は、電池の内部短絡等に直結し、信頼性を低下する。上述した現象は、正極リードまたは負極リードの中央部で切断した場合にも、同様に生じる。
【0007】
なお、正極電極および負極電極の長さを所定値以上にするだけでは、正極電極および負極電極の面積のばらつきに伴って放電容量等の特性にばらつきが生じるので、例えば、車載用等のように多数の二次電池を組み合わせて1つのシステムを構成する場合等において、好ましくない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の二次電池は、長手方向おける一側縁に沿って所定間隔で複数の負極リードが形成された負極シートを有し、負極シートの両面に負極合剤が形成された負極電極および、長手方向における一側縁に対向する他側縁に沿って所定間隔で複数の正極リードが形成された正極シートを有し、正極シートの両面に正極合剤が形成された正極電極がセパレータを介して軸芯の周囲に捲回された電極群と、電極群の前記一側縁側に配置され複数の正極リードが接続された正極集電部材と、電極群の他側縁側に配置され複数の負極リードが接続された負極集電部材と、電極群、正極電極および負極電極が収容された電池容器とを備え、軸芯に捲回された負極電極における最も内周側の負極リードは、最も内周側の負極電極の軸方向に平行な先端縁から、負極電極における最も外周側の負極リードは、最も外周側の負極電極の軸方向に平行な終端縁から、それぞれ、負極リード間の所定間隔より小さい所定の距離だけ内側に位置し、軸芯に捲回された正極電極における最も内周側の正極リードは、最も内周側の正極電極の軸方向に平行な先端縁から、正極電極における最も外周側の正極リードは、最も外周側の正極電極の軸方向に平行な終端縁から、それぞれ、正極リード間の所定間隔より小さい所定の距離だけ離間して設けられていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の二次電池の製造方法は、長手方向おける一側縁に沿って所定の間隔をおいて複数の負極リードが形成された負極シートを有し、負極シートの両面に負極合剤が形成された長尺状の負極電極、および長手方向における一側縁に対向する他側縁に沿って所定の間隔をおいて複数の正極リードが形成された正極シートを有し、正極シートの両面に正極合剤が形成された長尺状の正極電極がセパレータを介して軸芯の周囲に捲回された電極群と、電極群の前記一側縁側に配置され複数の正極リードが接続された正極集電部材と、電極群の他側縁側に配置され複数の負極リードが接続された負極集電部材と、電極群、正極電極および負極電極が収容された電池容器とを備えた二次電池の製造方法において、それぞれ、軸芯に捲回される長さより長い長さを有する負極電極または正極電極を、セパレータを介して軸芯に捲回する工程と、この後、正極電極または負極電極が、それぞれ、所定の長さに達したことを検出する工程と、この後、正極電極または負極電極を、それぞれ、正極リード間または負極リード間で切断する工程と、を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
この発明の二次電池およびその製造方法によれば、正極電極または負極電極を、それぞれ、正極リード間または負極リード間で切断するので、切断時に形成されるエッジによりセパレータが破断することがなく、信頼性の低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】この発明の二次電池の一実施形態としての円筒形二次電池の断面図。
【図2】図1に示された円筒形二次電池の分解斜視図。
【図3】図1の電極群の詳細を示すための一部を切断した状態の斜視図。
【図4】図3に図示された電極群を展開した状態の平面図。
【図5】図3に図示された電極群を作製するための最初の工程を説明するための斜視図。
【図6】図3に図示された電極群の完成状態を示す外観斜視図。
【図7】電極群の作製方法を説明するための斜視図。
【図8】図3に図示された電極群を構成する各部材の位置関係を説明するための平面図。
【図9】電極を切断する工程の処理フロー図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
−円筒形二次電池の構造−
以下、この発明の円筒形二次電池を、リチウムイオン円筒形二次電池を一実施形態として図面と共に説明する。
図1は、この発明の円筒形二次電池の一実施形態を示す断面図であり、図2は、図1に示された円筒形二次電池の分解斜視図である。
円筒形二次電池1は、例えば、外形40mmφ、高さ100mmの寸法を有する。
この円筒形二次電池1は、有底円筒形の電池容器2およびハット形の上蓋3の内部に、以下に説明する発電用の各構成部材を収容している。有底円筒形の電池容器2には、その開放側である上端部側に電池容器2の内側に突き出した溝2aが形成されている。
【0013】
10は、電極群であり、中央部に軸芯15を有し、軸芯15の周囲に正極電極および負極電極が捲回されている。図3は、電極群10の構造の詳細を示し、一部を切断した状態の斜視図である。図3に図示されるように、電極群10は、軸芯15の周囲に、正極電極11、負極電極12、および第1、第2のセパレータ13、14が捲回された構成を有する。
軸芯15は、中空円筒状を有し、軸芯15には、負極電極12、第1のセパレータ13、正極電極11および第2のセパレータ14が、この順に積層され、捲回されている。最内周の負極電極12の内側には第1のセパレータ13および第2のセパレータ14が数周(図3では、1周)捲回されている。また、最外周は負極電極12およびその外周に捲回された第1のセパレータ13となっている。最外周の第1のセパレータ13が接着テープ19で止められる(図2参照)。
【0014】
正極電極11は、アルミニウム箔により形成され長尺な形状を有し、正極シート11aと、この正極シート11aの両面に正極合剤11bが塗布された正極処理部を有する。正極シート11aの長手方向に沿う上方側の一側縁は、正極合剤11bが塗布されずアルミニウム箔が表出した正極合剤未処理部11cとなっている。この正極合剤未処理部11cには、軸芯15と平行に上方に突き出す多数の正極リード16が等間隔に一体的に形成されている。
【0015】
正極合剤11bは正極活物質と、正極導電材と、正極バインダとからなる。正極活物質はリチウム酸化物が好ましい。例として、コバルト酸リチウム、マンガン酸リチウム、ニッケル酸リチウム、リチウム複合酸化物(コバルト、ニッケル、マンガンから選ばれる2種類以上を含むリチウム酸化物)などが挙げられる。正極導電材は、正極合剤中におけるリチウムの吸蔵放出反応で生じた電子の正極電極への伝達を補助できるものであれば制限は無い。しかし中でも上述の材料である、コバルト酸リチウムとマンガン酸リチウムとニッケル酸リチウムとからなるリチウム複合酸化物を使用することにより良好な特性がえられる
【0016】
正極バインダは、正極活物質と正極導電材を結着させ、また正極合剤と正極集電体を結着させることが可能であり、非水電解液との接触により、大幅に劣化しなければ特に制限はない。正極バインダの例としてポリフッ化ビニリデン(PVDF)やフッ素ゴムなどが挙げられる。正極合剤層の形成方法は、正極電極上に正極合剤が形成される方法であれば制限はない。正極合剤11bの形成方法の例として、正極合剤11bの構成物質の分散溶液を正極シート11a上に塗布する方法が挙げられる。このような方法で製造することにより特性の優れた正極合剤が得られる。
【0017】
正極合剤11bを正極シート11aに塗布する方法の例として、ロール塗工法、スリットダイ塗工法、などが挙げられる。正極合剤11bに分散溶液の溶媒例としてN−メチルピロリドン(NMP)や水等を添加し、混練したスラリを、厚さ20μmのアルミニウム箔の両面に均一に塗布し、乾燥させた後、裁断する。正極合剤11bの塗布厚さの一例としては片側約40μmである。正極シート11aを裁断する際、正極リード16を一体的に形成する。すべての正極リード16の長さは、ほぼ同じである。
【0018】
負極電極12は、銅箔により形成され長尺な形状を有し、負極シート12aと、この負極シート12aの両面に負極合剤12bが塗布された負極処理部を有する。負極シート12aの長手方向に沿う下方側の側縁は、負極合剤12bが塗布されず銅箔が表出した負極合剤未処理部12cとなっている。この負極合剤未処理部12cには、正極リード16とは反対方向に延出された、多数の負極リード17が等間隔に一体的に形成されている。
【0019】
負極合剤12bは、負極活物質と、負極バインダと、増粘剤とからなる。負極合剤12bは、アセチレンブラックなどの負極導電材を有しても良い。負極活物質としては、黒鉛炭素を用いること、特に人造黒鉛を使用することが好ましい。しかしその中でも次に記載する方法により優れた特性の負極合剤が得られる。黒鉛炭素を用いることにより、大容量が要求されるプラグインハイブリッド自動車や電気自動車向けのリチウムイオン二次電池が作製できる。負極合剤12bの形成方法は、負極シート12a上に負極合剤12bが形成される方法であれば制限はない。負極合剤12bを負極シート12aに塗布する方法の例として、負極合剤12bの構成物質の分散溶液を負極シート12a上に塗布する方法が挙げられる。塗布方法の例として、ロール塗工法、スリットダイ塗工法などが挙げられる。
【0020】
負極合剤12bを負極シート12aに塗布する方法の例として、負極合剤12bに分散溶媒としてN−メチル−2−ピロリドンや水を添加し、混練したスラリを、厚さ10μmの圧延銅箔の両面に均一に塗布し、乾燥させた後、裁断する。負極合剤12bの塗布厚さの一例としては片側約40μmである。負極シート12aを裁断する際、負極リード17を一体的に形成する。すべての負極リード17の長さは、ほぼ同じである。
【0021】
第1のセパレータ13および第2のセパレータ14の幅をWS、負極シート12aに形成される負極合剤12bの幅をWC、正極シート11aに形成される正極合剤11bの幅をWAとした場合、下記の式を満足するように形成される。
WS>WC>WA(図3参照)
すなわち、正極合剤11bの幅WAよりも、常に、負極合剤12bの幅WCが大きい。これは、リチウムイオン二次電池の場合、正極活物質であるリチウムがイオン化してセパレータを浸透するが、負極側に負極活物質が形成されておらず負極シート12aが露出していると負極シート12aにリチウムが析出し、内部短絡を発生する原因となるからである。
【0022】
セパレータ13は、例えば、厚さ40μmのポリエチレン製多孔膜である。
図1および図3において、中空な円筒形状の軸芯15は軸方向(図面の上下方向)の上端部の内面に径大の溝15aが形成され、この溝15aに正極集電部材31が圧入されている。正極集電部材31は、例えば、アルミニウムにより形成され、円盤状の基部31a、この基部31aの内周部において軸芯15側に向かって突出し、軸芯15の内面に圧入される下部筒部31b、および外周縁において上蓋3側に突き出す上部筒部31cを有する。正極集電部材31の基部31aには、電池内部で発生するガスを放出するための開口部31d(図2参照)が形成されている。また、正極集電部材31には開口部31eが形成されているが、開口部31eの機能については後述する。
【0023】
正極シート11aの正極リード16は、すべて、正極集電部材31の上部筒部31cに溶接される。この場合、図2に図示されるように、正極リード16は、正極集電部材31の上部筒部31c上に重なり合って接合される。各正極リード16は大変薄いため、1つでは大電流を取りだすことができない。このため、軸芯15への巻き始めから巻き終わりまでの全長に亘り、多数の正極リード16が所定間隔に形成されている。
【0024】
正極集電部材31は、電解液によって酸化されるので、アルミニウムで形成することにより信頼性を向上することができる。アルミニウムは、なんらかの加工により表面が表出すると、直ちに、表面に酸化アルミウム皮膜が形成され、この酸化アルミニウム皮膜により、電解液による酸化を防止することができる。
また、正極集電部材31をアルミニウムで形成することにより、正極シート11aの正極リード16を超音波溶接またはスポット溶接等により溶接することが可能となる。
【0025】
軸芯15の下端部の外周には、外径が径小とされた段部15bが形成され、この段部15bに負極集電部材21が圧入されて固定されている。負極集電部材21は、例えば、銅により形成され、円盤状の基部21aに軸芯15の段部15bに圧入される開口部21bが形成され、外周縁に、電池容器2の底部側に向かって突き出す外周筒部21cが形成されている。
負極シート12aの負極リード17は、すべて、負極集電部材21の外周筒部21cに超音波溶接等により溶接される。各負極リード17は大変薄いため、大電流を取りだすために、軸芯15への巻き始めから巻き終わりまで全長にわたり、所定間隔で多数形成されている。
【0026】
負極集電部材21の外周筒部21cの外周には、負極シート12aの負極リード17およびリング状の押え部材22が溶接されている。多数の負極リード17は、負極集電部材21の外周筒部21cの外周に密着させておき、負極リード17の外周に押え部材22を巻き付けて仮固定し、この状態で溶接される。
負極集電部材21の下面には、銅製の負極通電リード23が溶接されている。
負極通電リード23は、電池容器2の底部において、電池容器2に溶接されている。電池容器2は、例えば、0.5mmの厚さの炭素鋼で形成され、表面にニッケルメッキが施されている。このような材料を用いることにより、負極通電リード23は、電池容器2に抵抗溶接等により溶接することができる。
ここで、正極集電部材31に形成された開口部31eは、負極通電リード23を電池容器2に溶接するための電極棒(図示せず)を挿通するためのものである。より詳細には、電極棒を正極集電部材31に形成された開口部31eから軸芯15の中空部に差し込み、その先端部で負極通電リード23を電池容器2の底部内面に押し付けて抵抗溶接を行う。
【0027】
正極集電部材31の上部筒部31cの外周には、正極シート11aの正極リード16およびリング状の押え部材32が溶接されている。多数の正極リード16は、正極集電部材31の上部筒部31cの外周に密着させておき、正極リード16の外周に押え部材32を巻き付けて仮固定し、この状態で溶接される。
多数の正極リード16が正極集電部材31に溶接され、多数の負極リード17が負極集電部材21に溶接されることにより、正極集電部材31、負極集電部材21および電極群10が一体的にユニット化された発電ユニット20が構成される(図2参照)。但し、図2においては、図示の都合上、負極集電部材21、押え部材22および負極通電リード23は発電ユニット20から分離して図示されている。
【0028】
また、正極集電部材31の基部31aの上面には、複数のアルミニウム箔が積層されて構成されたフレキシブルな接続部材33が、その一端を溶接されて接合されている。接続部材33は、複数枚のアルミニウム箔を積層して一体化することにより、大電流を流すことが可能とされ、且つ、フレキシブル性を付与されている。つまり、大電流を流すには接続部材の厚さを大きくする必要があるが、1枚の金属板で形成すると剛性が大きくなり、フレキシブル性が損なわれる。そこで、板厚の小さな多数のアルミニウム箔を積層してフレキシブル性を持たせている。接続部材33の厚さは、例えば、0.5mm程度であり、厚さ0.1mmのアルミニウム箔を5枚積層して形成される。
【0029】
正極集電部材31の上部筒部31c上には、円形の開口部41aを有する絶縁性樹脂材料からなるリング状の絶縁板41が載置されている。
絶縁板41は、開口部41a(図2参照)と下方に突出す側部41bを有している。絶縁材41の開口部41a内には接続板35が嵌合されている。接続板35の下面には、フレキシブルな接続部材33の他端が、接続板35に溶接されて固定されている
【0030】
接続板35は、アルミニウム合金で形成され、中央部を除くほぼ全体が均一でかつ、中央側が少々低い位置に撓んだ、ほぼ皿形状を有している。接続板35の厚さは、例えば、1mm程度である。接続板35の中心には、薄肉でドーム形状に形成された突起部35aが形成されており、突起部35aの周囲には、複数の開口部35b(図2参照))が形成されている。開口部35bは、電池内部に発生するガスを放出する機能も有している。
【0031】
接続板35の突起部35aはダイアフラム37の中央部の底面に抵抗溶接または摩擦拡散接合により接合されている。ダイアフラム37はアルミニウム合金で形成され、ダイアフラム37の中心部を中心とする円形の切込み37aを有する。切込み37aはプレスにより上面側をV字形状に押し潰して、残部を薄肉にしたものである。ダイアフラム37は、電池の安全性確保のために設けられており、電池の内圧が上昇すると、第1段階として、上方に反り、接続板35の突起部35aとの接合を剥離して接続板35から離間し、接続板35との導通を絶つ。第2段階として、それでも内圧が上昇する場合は切込み37aにおいて開裂し、内部のガスを放出する機能を有する。
【0032】
ダイアフラム37は周縁部において上蓋3の周縁部を固定している。ダイアフラム37は図2に図示されるように、当初、周縁部に上蓋3側に向かって垂直に起立する側部37bを有している。この側部37b内に上蓋3を収容し、かしめ加工により、側部37bを上蓋3の上面側に屈曲して固定する。
上蓋3は、炭素鋼等の鉄で形成してニッケルめっきが施されており、ダイアフラム37に接触する円盤状の周縁部3aとこの周縁部3aから上方に突出す有頭無底の筒部3bを有するハット形を有する。筒部3bには複数の開口部3cが形成されている。この開口部3cは、電池内部に発生するガス圧によりダイアフラム37が開裂した際、ガスを電池外部に放出するためのものである。
なお、上蓋3が鉄で形成されている場合には、別の円筒形二次電池と直列に接合する際、鉄で形成された別の円筒形二次電池とスポット溶接により接合することが可能である。
【0033】
ダイアフラム37の側部37bと周縁部を覆ってガスケット43が設けられている。ガスケット43は、当初、図2に図示されるように、リング状の基部43aの周側縁に、上部方向に向けてほぼ垂直に起立して形成された外周壁部43bと、内周側に、基部43aから下方に向けてほぼ垂直に垂下して形成された筒部43cとを有する形状を有している。
そして、詳細は後述するが、プレス等により、電池容器2と共にガスケット43の外周壁部43bを折曲して基部43aと外周壁部43bにより、ダイアフラム37と上蓋3を軸方向に圧接するようにかしめ加工される。これにより、上蓋3とダイアフラム37とがガスケット43を介して電池容器2に固定される。
【0034】
電池容器2の内部には、非水電解液が所定量注入されている。非水電解液の一例としては、リチウム塩がカーボネート系溶媒に溶解した溶液を用いることが好ましい。リチウム塩の例として、フッ化リン酸リチウム(LiPF6)、フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4)、などが挙げられる。また、カーボネート系溶媒の例として、エチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)、プロピレンカーボネート(PC)、メチルエチルカーボネート(MEC)、或いは上記溶媒の1種類以上から選ばれる溶媒を混合したもの、が挙げられる。
【0035】
図4は、図3に図示された電極群の終端側を展開した状態の平面図であり、図5は、図3に図示された電極群を作製するための最初の工程を説明するための斜視図であり、図6は、3に図示された電極群の完成状態を示す外観斜視図である。
図3に図示されるように電極群10は、終端側からみて最外周に第1のセパレータ13が捲回され、その内側に負極電極12が捲回され、負極電極12の内側に第2のセパレータ14が捲回され、第2のセパレータ14の内側に正極電極11が捲回されている。
【0036】
従って、図4に図示されるように、第1のセパレータ13の長さが最も長くその終端縁13aが軸芯15から最も遠くに位置する。第1のセパレータ13の次に第2のセパレータ14が長く、その終端縁14aが第1のセパレータ13の終端縁13aより少し軸芯15側に位置している。正極電極11と負極電極12とは、負極電極12の方が長い。しかし、負極電極12は、第2のセパレータ14より短く、負極電極12の終端縁12cは、第2のセパレータ14の終端縁14aより軸芯15側に位置している。正極電極11は、負極電極11より短く、その終端縁11cは最も軸芯15に近い位置となっている。
【0037】
また、第1のセパレータ13と第2のセパレータ14の幅は同一であり、共に、正極電極11および負極電極12の幅よりも大きく、正極電極11の正極リード16の根元および負極電極12の負極リード17の根元を覆っている。しかし、正極リード16の根元より先端側の部分および負極リード17の根元より先端側の部分は第1のセパレータ13および第2のセパレータ14の外側に延出されている。
【0038】
正極電極11の正極リード16および負極電極12の負極リード17は所定のピッチPで配列されている。また、正極リード16の最も外側(外周側)の正極リード16の中心と終端縁11cの距離はP/2であり、負極リード17の最も外側(外周側)の正極リード17の中心と終端縁12cの距離はP/2である。ここで、正極リード16の幅、および負極リード17の幅を、それぞれ、wとし、正極リード16の間隔および負極リード17の間隔をSとすると、S=(P−w)となる。
【0039】
図5は、第1のセパレータ13、第2のセパレータ14、負極電極12および正極電極11を軸芯に捲回する状態における先端側を示す斜視図である。第1のセパレータ13および第2のセパレータ14の先端縁(図示せず)を、軸芯15に溶接し、1〜数周、軸芯15に捲回する。この場合、第1のセパレータ13の先端縁および第2のセパレータ14の先端縁はその位置を揃えてもよいし、ずらしてもよい。
そして、第2のセパレータ14と第1のセパレータ13との間に負極電極12を挟み込む。また、第1のセパレータ13と第2のセパレータ14との間に正極電極11を挟み込む。この時、正極電極11の先端縁11dが負極電極12の先端縁12dよりも外周側に位置するようにする。
【0040】
この後、図示はしないが、捲回装置の回転軸を軸芯15に連結して軸芯15を回転駆動すると、負極電極12および正極電極11は、第1のセパレータ13および第2のセパレータ14の間で圧接され、軸芯15の周囲に所定の回転トルクで捲回される。そして、最外周の第1のセパレータ13の外周を接着テープ19で接着する。図6は、このようにして作製された電極群10の完成状態を示す斜視図である。
【0041】
上記において、正極電極11および負極電極12は、軸芯15に捲回する前に予め所定の長さに切断しておく。この場合、正極電極11は、正極電極11の終端縁11cおよび先端縁11dが正極リード16の中間部、特に好ましい位置としては、正極リード16のピッチPの中央(中心)の位置で切断される。また、負極電極12は、負極電極12の終端縁12cおよび先端縁12dが負極リード17の中間部、特に好ましい位置としては、負極リード17のピッチPの中間(中心)の位置で切断される。
次に、正極電極11および負極電極12の切断方法を説明する。
【0042】
図7は、負極電極12の切断方法を説明するための斜視図であり、図9は負極電極12の切断工程の処理フローである。正極電極11の切断についても、負極電極12と同様に行われるので、ここでは、負極電極12の場合についてのみ説明する。
負極電極12には、負極シート12aの両面に負極合剤12bが形成された後、負極シート12aの長手方向に沿う一側縁側が、例えば、ロールカッタ(図示せず)等の切断装置により切断され負極リード17が形成されている。この場合、負極リード17は、すべて実質的に等しいピッチPを有している。但し、負極電極12の全体の長さLT(図示せず)は、1つの電極群10に必要な長さLCよりも大きい長さを有している。
【0043】
このような負極電極12をタッチローラ51の外周に巻き付け、ローラまたは適宜なハンドグリップを有する搬送装置(不図示)により負極電極12をA方向に引っ張る。負極電極12Aの搬送に伴って、負極電極12におけるタッチローラ51に巻き付けられた部分がタッチローラ51の外周の円弧形状に沿うA’方向に移動し、これと共にタッチローラ51が、軸52を中心に負極電極12の移動量に対応する角度だけA’方向に回転する。タッチローラ51にはロータリーエンコーダ(不図示)が設けられており、タッチローラ51が回転すると、回転数に応じたパルス列信号がロータリーエンコーダから出力される。このパルス数をカウントすることにより、負極電極12の移動量が演算され、その長さが算出される。
【0044】
なお、タッチローラ51は、負極電極12の移動に伴って滑らずに軸52を中心に回動する必要がある。そこで、負極電極12とタッチローラ51との摩擦力を大きくするため、負極電極12がタッチローラ51に接面する巻き付け角度は90°以上であり、180°に近い角度となっている。
【0045】
図7において、53は赤外線を出射する発光器であり、54は発光器53から出射された赤外線を受光する受光器である。発光器53および受光器54は赤外線センサを構成し、発光器53からの光の光路が負極リード17の移動経路上に位置するように配置される。また、55は負極電極12を切断するカッタである。
【0046】
以下の説明では、発光器53からの出射光の光路が負極電極17と交差する位置と、負極電極17上でのカッタ55の切断位置が一致しているものとして説明する。
以下、図9の処理フローを参照して、負極電極12の切断方法を説明する。
【0047】
上述したように、図示しない搬送装置により負極電極12をA方向に搬送する。ステップS1では、上述したロータリーエンコーダからのパルス列信号に基づいて、負極電極12の搬送量を監視し、負極電極12の長さが、1つの電極群10に必要とされる所定長Lcに達したかどうかを判断する。
【0048】
そして、負極電極12の長さが所定長Lcに達すると、ステップS2において、負極リード17が発光器53からの光を遮っているか否かを受光器54の信号レベルで判定する。発光器53からの光が受光器54で受光されていれば、負極リード17が光を遮っていないので、ステップS2はNoと判断されステップS3に進む。
【0049】
ステップS2においてNoと判断された状態は、発光器53からの光が負極リード17間の間隔Sの領域を通過して受光器54で受光されている状態である。すなわち、負極電極12の長さが所定長さLcであることが計測されたとき、受光器54が負極リード17を検出していない。そこで、ステップS3では、負極電極12の長さが必要とされる所定長Lcに達した後、最初の負極リード17を検出するまでステップS3を繰り返し実行する。
【0050】
ステップS3でYesとなると、すなわち、負極リード17が検出されると、ステップS4で、負極リード17の後縁が検出されたか否かを判定する。これは、負極リード17がさらにA方向に移動して、発光器53からの光が受光器54で受光されたことを検出して判定することができる。なお、ステップS2でYesと判断された場合には、直ちに、ステップS4の処理が行われる。
【0051】
ステップS4でYesと判断されれば、ステップS5で、負極電極12をS/2=(P―w)/2だけ搬送する。これは、負極電極12の負極リード17の間隔Sの中央をカッタ55の設置された位置に一致させる動作である。次に、ステップS6で負極電極12の搬送を停止し、ステップS7でカッタ55を作動して負極電極12を切断して終了する。
【0052】
このように、負極電極12は、負極リード17の間隔Sの中央(中心)で切断される。負極リード17の間隔Sの位置においては、負極電極12の軸方向の幅は、図4に図示される通り、第1のセパレータ13および第2のセパレータ14より狭く、長手方向に沿う両側縁は、第1のセパレータ13および第2のセパレータ14の幅の内側に位置する。つまり、カッタ55による切断により切断箇所にバリのようなエッジが立ったとしても、エッジは第1のセパレータ13および第2のセパレータ14の幅の内側に位置し、その外側に形成されることはない。このため、エッジにより第1のセパレータ13および第2のセパレータ14の長手方向に沿う両側縁が破損されることはない。
【0053】
また、上記した処理フローおいて、負極電極12の長さをタッチローラ51の回転に連動するロータリーエンコーダにより測定しているので、負極電極12の長さのばらつきを大変小さくすることができる。負極電極12の長さ、すなわち面積のばらつきは、放電容量等の特性のばらつきとなるので、できる限り小さくすることが好ましい。
【0054】
従来では、負極リード17および正極リード17(以下、電極リードという)の面積を、電極群10で発電される電力の電流を十分に流すことが可能な大きさにするようにしていた。このため、電極リードの数が所定数に達した位置で負極電極17および正極電極16を切断していた。この場合、電極リードを形成する方法としては、一般には、負極電極12または正極電極16を搬送しながらロールカッタで切断する方法が採用されている。
【0055】
ロールカッタにより切断法では、周囲の環境条件により、搬送装置またはロールカッタの速度が2〜3%程度、低速側あるいは高速側にシフトすることがある。例えば、電極リードの間隔Sが20mm、リード本数が200本の場合、仮に1つの電極リードの間隔Sが0.5mm(2.5%)ずれたとすると、全長では100mmのばらつきが生じる。
【0056】
これに対して、本発明の実施形態では、上述した通り、負極電極12の長さをタッチローラ51により測定するために、負極電極12の長さのばらつきを従来に比して遥かに小さくすることができるものである。
【0057】
図9の処理フローにおいて説明した通り、本発明の実施形態では、負極電極12は、負極リード17の間隔Sの中央で切断される。このため、次に、切断されて残った側の負極電極12側において、先端縁12dは、最も先端側の負極リード17の中心から負極リード17のピッチPの1/2の位置、換言すれば、負極リード17の間隔Sの中央に位置する。
【0058】
従って、この切断された側縁を、そのまま、先端縁12dとして軸芯15に捲回し、負極電極12の終端側において同じように切断して終端縁12dを形成すれば、先端縁12dおよび終端縁12cを隣接の負極リード17から同一の距離に位置付けることができる。このようにして、先端縁12cおよび終端縁12dが負極リード17の間隔Sの中央の位置に形成された電極群10を次々に作製することができる。
【0059】
図8は、軸芯15に捲回された、負極電極12および正極電極11の先端側および終端側を示す平面図である。
負極電極12の先端縁12dは最も先端側の負極リード17の幅の中心から、P/2の位置にあり、終端縁12cは最も終端側の負極リード17の幅の中心からP/2の位置にある。また、正極電極11の先端縁11dは最も先端側の正極リード16の幅の中心から、P/2の位置にあり、終端縁11cは最も終端側の正極リード16の幅の中心からP/2の位置にある。
【0060】
次に、本発明円筒形二次電池の製造方法について説明する。
−円筒形二次電池の製造方法−
正極シート11aの両面に、正極合剤11bおよび正極合剤未処理部11cが形成され、また、多数の正極リード16が正極シート11aに一体に形成された正極電極11を作製する。また、負極シート12aの両面に負極合剤12bおよび負極処理部12cが形成され、多数の負極リード17が負極シート12aに一体に形成された負極電極12を作製する。
【0061】
正極電極11および負極電極12を作製するに際しては、図7および図9に図示されるように、正極電極11および負極電極12の搬送量をセンサにより検出し、所定長Lcに達したか否かを判断する。そして、所定長Lcに達したならば、センサにより正極リード16間または負極リード17間の位置を検出し、この位置で切断する。この場合、先端縁および終端縁が、正極リード16または負極リード17の間隔Sの中央の位置となるようの切断することが望ましい。
【0062】
そして、第1のセパレータ13および第2のセパレータ14の最も内側の側縁部を軸芯15に溶接する。次に、第1のセパレータ13と第2のセパレータ14を軸芯15に1〜数周捲回し、次に、第2のセパレータ14と第1のセパレータ13との間に負極電極12を挟み込み、所定角度、軸芯15を捲回する。次に、第1のセパレータ13と第2のセパレータ14との間に正極電極11を挟み込む。そして、この状態で、所定の巻数分、捲回して電極群10を作製する。
【0063】
次に、電極群10の軸芯15の下部に負極集電部材21を取り付ける。負極集電部材21の取り付けは、負極集電部材21の開口部21bを軸芯15の下端部に設けられた段部15bに嵌入して行う。次に、負極集電部材21の外周筒部21cの外周の全周囲に亘り、負極リード17をほぼ均等に配分して密着し、負極リード17の外周に押え部材22を巻き付ける。そして、超音波溶接等により、負極集電部材21に負極リード17および押え部材22を溶接する。次に、軸芯15の下端面と負極集電部材21とに跨るように負極通電リード23を負極集電部材21に溶接する。
【0064】
次に、正極集電部材31の基部31aに接続部材33の一端部を、例えば超音波溶接等により溶接する。次に、接続部材33が溶接された正極集電部材31の下部筒部31bを軸芯15の上端側に設けられた溝15aに嵌合する。この状態で、正極集電部材31の上部筒部31cの外周の全周囲に亘り、正極リード16をほぼ均等に配分して密着し、正極16の外周に押え部材32を巻き付ける。そして、超音波溶接等により、正極集電部材31に正極リード16および押え部材32を溶接する。このようにして、図2に図示される発電ユニット20が作製される。
【0065】
次に、発電ユニット20を収容可能なサイズを有する金属製の有底円筒部材に、上述の工程を経て作製された発電ユニット20を収容する。有底円筒部材は、電池容器2となるものである。以下において、説明を簡素にして明瞭にするために、この有底円筒部材を電池容器2として説明する。
電池容器2内に収納した発電ユニット20の負極通電リード22を、電池容器2に抵抗溶接等により溶接する。この場合、正極集電部材31の開口部31eから、図示はしないが、電極棒を差し込み、軸芯15の中空部を挿通して、負極通電リード23を電池容器2の底部に押し付けて溶接する。次に、電池容器2の上端部側の一部を絞り加工して内方に突出し、外面にほぼV字状の溝2aを形成する。
電池容器2の溝2aは、発電ユニット20の上端部、換言すれば、正極集電部材31の上端部近傍に位置するように形成する。
【0066】
次に、発電ユニット20が収容された電池容器2の内部に、非水電解液を所定量注入する。非水電解液を注入する際、接続部材33は、注入の邪魔とならない位置に曲げておく。また、非水電解液の注入が終わった後は変形させて、その開放端部が接続板35の開口部36に対応する位置に配置する。
【0067】
一方、ダイアフラム37に上蓋3を固定しておく。ダイアフラム37と上蓋3との固定は、かしめ等により行う。図2に図示された如く、当初、ダイアフラム37の側壁37bは基部37aに垂直に形成されているので、上蓋3の周縁部3aをダイアフラム37の側壁37b内に配置する。そして、ダイアフラム37の側壁37bをプレス等により変形させて、上蓋3の周縁部の上面および下面、および外周側面を覆って圧接する。
【0068】
また、接続板35を絶縁板41の開口部41aに嵌合して取り付けておく。そして、接続板35の突起部35aを、上蓋3が固定されたダイアフラム37の底面に溶接する。この場合の溶接方法は、抵抗溶接または摩擦拡散接合を用いることができる。接続板35とダイアフラム37を溶接することにより、接続板35が嵌合された絶縁板41および接続板35に固定された上蓋3が接続板35およびダイアフラム37に一体化される。
【0069】
次に、電池容器2の溝2aの上にガスケット43を収容する。この状態におけるガスケット43は、図2に図示するように、リング状の基部43aの上方に、基部43aに対して垂直な外周壁部43bを有する構造となっている。この構造で、ガスケット43は、電池容器2の溝2a上部の内側に留まっている。ガスケット43は、ゴムで形成されており、限定する意図ではないが、1つの好ましい材料の例として、エチレンプロピレン共重合体(EPDM)をあげることができる。また、例えば、電池容器2が厚さ0.5mmの炭素鋼製で、外径が40mmΦの場合、ガスケット43の厚さは10mm程度とされる。
【0070】
次に、上蓋3、ダイアフラム37および絶縁板41が一体化された接続板35を、電池容器2の上部に配置して接続部材の開放端部を、接続板35の下面に超音波溶接等により溶接する。接続部材33はアルミニウム箔等の薄い金属箔を複数枚積層して形成されているので、変形に十分な可撓性を有している。
そして、上蓋3、接続板35、絶縁板41に一体化されたダイアフラム37の周縁部をガスケット43の筒部43c上に載置する。この場合、絶縁板41の側部41bの外周に正極集電部材31の上部筒部31cが嵌合されるようにする。
【0071】
この状態で、電池容器2の溝2aと上端面の間の部分をプレスにより圧縮する、いわゆる、かしめ加工により、ガスケット43と共にダイアフラム37を電池容器2に固定する。
これにより、ダイアフラム37、上蓋3、接続板35および絶縁板41がガスケット43を介して電池容器2に固定され、また、正極集電部材31と上蓋3が第1の接続部材33、第2の接続部材34、接続板35およびダイアフラム37を介して導電接続され、図1に図示された円筒形二次電池が作製される。
【0072】
なお、上記実施形態においては、負極電極12または正極電極11の切断位置を、それぞれ、負極リード17または正極リード16の間隔Sの中央として説明した。しかし、切断位置は、上記に限るものではなく、負極リード17または正極リード16の間の位置であれば、換言すれば、負極リード17または正極リード16を切断しないようにすればよいものである。
【0073】
また、上記各実施形態では、円筒形二次電池として、リチウム電池を例として説明したが、この発明は、リチウム電池に限られるものではなく、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池など、他の円筒形二次電池にも適用をすることができる。
【0074】
その他、本発明の二次電池は、発明の趣旨の範囲内において、種々、変形して構成することが可能であり、要は、長手方向おける一側縁に沿って所定間隔で複数の負極リードが形成された負極シートを有し、負極シートの両面に負極合剤が形成された負極電極および、長手方向における一側縁に対向する他側縁に沿って所定間隔で複数の正極リードが形成された正極シートを有し、正極シートの両面に正極合剤が形成された正極電極がセパレータを介して軸芯の周囲に捲回された電極群と、電極群の前記一側縁側に配置され複数の正極リードが接続された正極集電部材と、電極群の他側縁側に配置され複数の負極リードが接続された負極集電部材と、電極群、正極電極および負極電極が収容された電池容器とを備え、軸芯に捲回された負極電極における最も内周側の負極リードは、最も内周側の負極電極の軸方向に平行な先端縁から、負極電極における最も外周側の負極リードは、最も外周側の負極電極の軸方向に平行な終端縁から、それぞれ、負極リード間の所定間隔より小さい所定の距離だけ内側に位置し、軸芯に捲回された正極電極における最も内周側の正極リードは、最も内周側の正極電極の軸方向に平行な先端縁から、正極電極における最も外周側の正極リードは、最も外周側の正極電極の軸方向に平行な終端縁から、それぞれ、正極リード間の所定間隔より小さい所定の距離だけ離間して設けられているものであればよい。
【0075】
また、本発明の二次電池の製造方法は、長手方向おける一側縁に沿って所定の間隔をおいて複数の負極リードが形成された負極シートを有し、負極シートの両面に負極合剤が形成された長尺状の負極電極、および長手方向における一側縁に対向する他側縁に沿って所定の間隔をおいて複数の正極リードが形成された正極シートを有し、正極シートの両面に正極合剤が形成された長尺状の正極電極がセパレータを介して軸芯の周囲に捲回された電極群と、電極群の前記一側縁側に配置され複数の正極リードが接続された正極集電部材と、電極群の他側縁側に配置され複数の負極リードが接続された負極集電部材と、電極群、正極電極および負極電極が収容された電池容器とを備えた二次電池の製造方法において、それぞれ、軸芯に捲回される長さより長い長さを有する負極電極または正極電極を、セパレータを介して軸芯に捲回する工程と、この後、正極電極または負極電極が、それぞれ、所定の長さに達したことを検出する工程と、この後、正極電極または負極電極を、それぞれ、正極リード間または負極リード間で切断する工程と、を具備するものであればよい。
【符号の説明】
【0076】
1 円筒形二次電池
2 電池容器
10 電極群
11 正極電極
11a 正極シート
11b 正極合剤
12 負極電極
12a 負極シート
12b 負極合剤
13 第1のセパレータ
14 第2のセパレータ
15 軸芯
16 正極リード
17 負極リード
20 発電ユニット
21 負極集電部材
31 正極集電部材
51 タッチローラ
53 発光器
54 受光器
55 カッタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向おける一側縁に沿って所定間隔で複数の負極リードが形成された負極シートを有し、前記負極シートの両面に負極合剤が形成された負極電極および、長手方向における前記一側縁に対向する他側縁に沿って所定間隔で複数の正極リードが形成された正極シートを有し、前記正極シートの両面に正極合剤が形成された正極電極がセパレータを介して軸芯の周囲に捲回された電極群と、
前記電極群の前記一側縁側に配置され前記複数の正極リードが接続された正極集電部材と、
前記電極群の前記他側縁側に配置され前記複数の負極リードが接続された負極集電部材と、
前記電極群、前記正極電極および前記負極電極が収容された電池容器とを備え、
前記軸芯に捲回された前記負極電極における最も内周側の前記負極リードは、最も内周側の負極電極の軸方向に平行な先端縁から、前記負極電極における最も外周側の負極リードは、最も外周側の負極電極の軸方向に平行な終端縁から、それぞれ、前記負極リード間の所定間隔より小さい所定の距離だけ内側に位置し、
前記軸芯に捲回された前記正極電極における最も内周側の前記正極リードは、最も内周側の正極電極の軸方向に平行な先端縁から、前記正極電極における最も外周側の正極リードは、最も外周側の正極電極の軸方向に平行な終端縁から、それぞれ、前記正極リード間の所定間隔より小さい所定の距離だけ離間して設けられていることを特徴とする二次電池。
【請求項2】
請求項1に記載の二次電池において、前記負極電極における最も内周側の前記負極リードと、最も外周側の負極リードとが、それぞれ、最も内周側の負極電極の軸方向に平行な先端縁および最も外周側の負極電極の軸方向に平行な終端縁から離間している所定の距離は、実質的に同一であり、前記正極電極における最も内周側の前記正極リードと、最も外周側の正極リードとが、それぞれ、最も内周側の正極電極の軸方向に平行な先端縁および最も外周側の正極電極の軸方向に平行な終端縁から離間している所定の距離は、実質的に同一であることを特徴とする二次電池。
【請求項3】
請求項1または2のいずれか1項に記載の二次電池において、前記負極電極における最も内周側の前記負極リードの幅の中心と最も内周側の負極電極の軸方向に平行な先端縁との距離、および最も外周側の負極リードの幅の中心と最も外周側の負極電極の軸方向に平行な終端縁との距離は、それぞれ、前記負極リード間のピッチのほぼ半分であり、前記正極電極における最も内周側の前記正極リードの幅の中心と最も内周側の正極電極の軸方向に平行な先端縁との距離、および最も外周側の正極リードの幅の中心と最も外周側の正極電極の軸方向に平行な終端縁との距離は、それぞれ、前記正極リードピッチのほぼ半分であることを特徴とする二次電池。
【請求項4】
長手方向おける一側縁に沿って所定の間隔をおいて複数の負極リードが形成された負極シートを有し、前記負極シートの両面に負極合剤が形成された長尺状の負極電極、および長手方向における前記一側縁に対向する他側縁に沿って所定の間隔をおいて複数の正極リードが形成された正極シートを有し、前記正極シートの両面に正極合剤が形成された長尺状の正極電極がセパレータを介して軸芯の周囲に捲回された電極群と、
前記電極群の前記一側縁側に配置され前記複数の正極リードが接続された正極集電部材と、
前記電極群の前記他側縁側に配置され前記複数の負極リードが接続された負極集電部材と、
前記電極群、前記正極電極および前記負極電極が収容された電池容器とを備えた二次電池の製造方法において、
それぞれ、前記軸芯に捲回される長さより長い長さを有する負極電極または前記正極電極を、前記セパレータを介して前記軸芯に捲回する工程と、
この後、前記正極電極または前記負極電極が、それぞれ、所定の長さに達したことを検出する工程と、
この後、前記正極電極または前記負極電極を、それぞれ、正極リード間または負極リード間で切断する工程と、
を具備することを特徴とする二次電池の製造方法。
【請求項5】
請求項4に記載の二次電池の製造方法において、前記正極電極および前記負極電極のそれぞれを正極リード間または負極リード間で切断する工程は、前記正極電極および前記負極電極がそれぞれ所定の長さに達したことを検出した後、最初に正極リードまたは最初の負極リードを検出する工程と、前記最初の正極リードまたは最初の負極リードを検出した後、前記正極電極または前記負極電極を所定の距離だけ搬送する工程とを含むことを特徴とする二次電池の製造方法。
【請求項6】
請求項4または5に記載の二次電池の製造方法において、前記正極電極および前記負極電極をそれぞれ正極リード間または負極リード間で切断する工程は、前記正極リード間の所定の間隔の中央または前記負極リード間の所定の間隔の中央で切断することを特徴とする二次電池の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−238375(P2011−238375A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−106538(P2010−106538)
【出願日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【出願人】(505083999)日立ビークルエナジー株式会社 (438)
【Fターム(参考)】