説明

二次電池保護用集積回路装置及び二次電池保護用集積回路装置の検査方法

【課題】本発明は、検査時のクロックを安定させることができる二次電池保護用集積回路装置及び二次電池保護用集積回路装置の検査方法を提供することを目的とする。
【解決手段】動作時クロックパルスを発生させる内部発振器10と、
入力されたクロックパルスに基づいて、各内部回路40〜120の遅延時間を生成する遅延時間生成手段20と、
検査時クロックパルスが外部から入力可能な遅延時間短縮端子DSと、
通常動作時には、前記内部発振器10と前記遅延時間生成手段20とを接続して前記動作時クロックパルスに基づいて前記遅延時間が生成されるようにし、電気的性能の検査時には、前記遅延時間短縮端子DSと前記遅延時間生成手段20とを接続して前記検査時クロックパルスに基づいて前記遅延時間が生成されるようにする接続切替手段SWと、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウムイオン電池やリチウムポリマ電池等の二次電池の二次電池保護用集積回路装置及び二次電池保護用集積回路装置の検査方法に関し、特に、入力されたクロックパルスに基づいて、各内部回路の遅延時間を生成する遅延時間生成手段を有する二次電池保護用集積回路装置及び二次電池保護用集積回路装置の検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、2次電池の過充電、過放電、または過電流を検出して、2次電池を過充電、過放電、または過電流から保護する充放電保護回路であって、定電流インバータとコンデンサからなる複数の遅延素子を閉ループに接続したリングオシレータからなる内部発振回路と、カウンタ回路とからなる過充電、過放電、または過電流の検出時の遅延時間を決定する遅延回路と、テスト用のテスト端子の電位をローレベルもしくはハイレベルに固定する手段と、テスト端子をハイレベルもしくはローレベルに固定された場合に、遅延素子の定電流インバータを構成する定電流源の定電流を増加させることにより遅延回路の遅延時間を短縮する遅延時間短縮手段を有する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1のように、内部発振器にリングオシレータを使用している場合には、内部発振器は、簡易的にIT=CVで表せる周期で発振する。つまり、電流Iを増加させることにより、周期Tは減少し、高周波数で発振することが分かる。
【特許文献1】特開2001−268810号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の特許文献1に記載の構成では、IT=CVの式からも分かるように、内部発振器に印加される電圧の依存性、駆動電流のバラツキ、容量値のバラツキ等により、内部発振器の周波数がばらつく。このため、カウンタで分周させて設定する遅延時間もばらつくという問題があった。
【0005】
また、この形式では、駆動電流を増やして内部発振器の周期Tを短くしているが、駆動電流の増加分もばらつくので、時短率も範囲を持っており、充電保護回路IC(Integrated Circuit、集積回路)の検査時間も、ある程度マージンを持たせる必要があり、十分な検査時間の短縮が図れないという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、検査時のクロックを安定させるとともに、十分な検査時間の短縮を行うことができる二次電池保護用集積回路装置及び二次電池保護用集積回路装置の検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、第1の発明に係る二次電池保護用集積回路装置(150、150a、150b)は、動作時クロックパルスを発生させる内部発振器(10)と、
入力されたクロックパルスに基づいて、各内部回路(40〜120)の遅延時間を生成する遅延時間生成手段(20)と、
検査時クロックパルスが外部から入力可能な遅延時間短縮端子(DS)と、
通常動作時には、前記内部発振器(10)と前記遅延時間生成手段(20)とを接続して前記動作時クロックパルスに基づいて前記遅延時間が生成されるようにし、電気的性能の検査時には、前記遅延時間短縮端子(DS)と前記遅延時間生成手段(20)とを接続して前記検査時クロックパルスに基づいて前記遅延時間が生成されるようにする接続切替手段(SW)と、を有することを特徴とする。
【0008】
これにより、検査時には、外部からクロックパルスの入力を可能とし、これに基づいて遅延時間を短縮するため、安定して正確なクロックパルスを入力し、これを分周させて遅延時間を生成することができ、検査時の内部回路の遅延時間を安定させることができる。また、外部からクロックパルスを入力するため、多様なクロックパルスを入力することができ、用途に応じた柔軟な検査が可能になるとともに、ユーザ側で適切に検査を行うことも可能となる。
【0009】
第2の発明は、第1の発明に係る二次電池保護用集積回路装置(150、150a、150b)において、
前記検査時クロックパルスは、前記動作時クロックパルスよりも高い周波数のクロックパルスが入力され、前記遅延時間を短縮することを特徴とする。
【0010】
これにより、遅延時間を短縮することができ、また、外部信号のクロックパルスに基づくため、十分に周波数が高い信号を用い、大幅に遅延時間を短縮させることが可能となる。
【0011】
第3の発明は、第1又は第2の発明に係る二次電池保護用集積回路装置(150、150a、150b)において、
前記遅延時間短縮端子(DS)に接続されたシフトレジスタ(30)を更に備え、
該シフトレジスタ(30)は、前記遅延時間短縮端子(DS)に入力された前記検査クロックパルスをカウントし、
前記接続切替手段(SW)は、前記シフトレジスタ(30)でカウントされた前記検査クロックパルスが所定数以上のときに、前記遅延時間短縮端子(DS)と前記遅延時間生成手段(20)とを接続することを特徴とする。
【0012】
これにより、外部から検査用のクロックパルスを入力するだけで、自動的に検査用のクロックパルスを用いて検査を行う言わば検査モードに切り替えることができる。
【0013】
第4の発明は、第3の発明に係る二次電池保護用集積回路装置(150a、150b)において、
前記内部発振器(10)は、前記遅延時間短縮端子(DS)に接続されており、前記検査時クロックパルスの代わりに一定電圧が入力された場合には、前記内部発振器(10)により生成される短縮クロックパルスを用いて前記遅延時間の生成を行うことを特徴とする。
【0014】
これにより、例えば、比較のために、内部発振器によるクロックパルスで検査を行いたいような場合には、従来の検査モードで検査を行うことができ、比較等を含めた多彩な検査を行うことが可能となる。
【0015】
第5の発明に係る二次電池保護用集積回路装置(150、150a、150b)の検査方法は、第1〜4のいずれかの発明に係る二次電池保護用集積回路装置(150、150a、150b)の検査方法であって、
該二次電池保護用集積回路装置(150、150a、150b)の遅延時間短縮端子(DS)に、前記二次電池保護用集積回路装置(150、150a、150b)の内部発振回路(10)で生成する動作時クロックパルスよりも高い周波数の検査時クロックパルスを入力し、前記二次電池保護用集積回路装置(150、150a、150b)の内部回路(10)の遅延時間を短縮した状態で電気的特性の検査を行うことを特徴とする。
【0016】
これにより、遅延時間を正確かつ大幅に短縮した状態で検査を行うことができる。
【0017】
なお、上記括弧内の参照符号は、理解を容易にするために付したものであり、一例に過ぎず、図示の態様に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、遅延時間を安定して調整した状態で二次電池保護用集積回路の検査を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態の説明を行う。
【実施例1】
【0020】
図1は、本発明を適用した実施例1に係る二次電池保護用集積回路装置150の全体構成の一例を示した図である。図1において、実施例1に係る二次電池保護用集積回路装置150は、遅延時間短縮端子DSと、内部発振器10と、遅延時間生成手段20と、スイッチSWとを備える。また、実施例1に係る二次電池保護用集積回路装置150は、関連構成要素として、内部回路としては、過充電検出回路40と、過放電検出回路50と、放電過電流検出回路60と、充電過電流検出回路70と、論理回路80、120と、レベルシフト回路90と、短絡検出回路100と、遅延回路110と、過大充電器130とを備えてもよい。また、実施例1に係る二次電池保護用集積回路装置150は、端子としては、VDD端子と、VSS端子と、電流検出端子V−と、充電制御端子COUTと、放電制御端子DOUTとを備えてもよい。更に、外付けの関連構成要素として、遅延時間短縮端子DSに接続された検査時クロックパルス供給手段200が用意される。
【0021】
遅延時間短縮端子DSは、本実施例に係る二次電池保護用集積回路装置150の各内部回路40〜130の検査を行うときに、外部からクロックパルスが入力可能な端子である。本実施例に係る二次電池保護用集積回路装置150においては、内部回路40〜130の検査は、内部発振器10から生成されるクロックパルスではなく、外部で生成されたクロックパルスを用いて行われる。遅延時間短縮端子DSは、そのような内部回路40〜130の電気的特性の検査を行う際に、二次電池保護用集積回路装置150の外部で生成されたクロックパルスを内部に入力するための端子として機能する。よって、遅延時間短縮端子DSは、二次電池保護用集積回路装置150の検査時には、外部の検査時クロックパルス供給手段200の出力線が接続され、接続された出力線から検査時クロックパルスが入力されることになる。
【0022】
検査時クロックパルス供給手段200は、本実施例に係る二次電池保護用集積回路装置150の外部に設けられ、二次電池保護用集積回路装置150の検査時に、遅延時間短縮端子DSに検査時クロックパルスを供給する電圧パルス供給手段である。検査時クロックパルス供給手段200から出力される検査時クロックパルスは、通常動作時のクロックパルスよりも高周波数のクロックパルスであってもよく、同じパルス数を蓄積したときに、合計時間が短くなるような検査時クロックパルスを出力することが好ましい。これにより、検査時の各内部回路40〜120の遅延時間を短縮することができる。検査時クロックパルスは、例えば、従来の検査時のクロックパルスの周波数が4〔kHz〕であったとしたら、それよりも高速に、例えば、5〔kHz〕、6〔kHz〕という値に設定してもよい。このようにクロックパルスの周波数を高くしても、外部の安定した電源による検査時クロックパルス供給手段200を用いて検査時クロックパルスを供給できるので、安定したパルスを供給することができる。
【0023】
内部発振器10は、二次電池保護用集積回路装置150が使用され、通常の二次電池保護動作を行っている場合のクロックパルスを生成する。内部発振器10は、例えば、従来から用いられているリングオシレータ等が適用されてよく、用途に応じて適切な種類の発振手段が適用されてよい。
【0024】
内部発振器10は、遅延時間短縮端子DSとは電気的に接続されていない。従来、検査時も内部発振器10で生成されたクロックパルスを用いて検査を行っていたため、内部発振器10と遅延時間短縮端子DSとは接続され、遅延時間を短縮させるための電圧が遅延時間短縮端子DSを介して内部発振器10に入力されていた。しかしながら、本実施例に係る二次電池保護用集積回路装置150においては、内部発振器10は、通常動作時のみクロックパルスを供給するので、遅延時間の短縮を行う必要が無くなったため、遅延時間短縮端子DSとは接続されていない。
【0025】
遅延時間生成手段20は、入力されたクロックパルスに基づいて、各内部回路40〜120の遅延時間を生成する手段である。遅延時間生成手段20は、入力されたクロックパルスから、遅延時間を生成できれば、種々の手段が適用されてよいが、例えば、カウンタが適用されてもよい。
【0026】
遅延時間生成手段20による遅延時間の生成は、例えば、クロックパルスを分周することにより行われてもよい。例えば、入力されたクロックパルスの周波数がfのときには、f/nの周波数への変換を行い、クロックパルスの周波数を下げる変換を行う。つまり、例えば、2分周であれば、クロックパルスの周波数は半分となり、4分周であれば、クロックパルスの周波数は1/4となる。これにより、各内部回路40〜120において設定される遅延時間の生成及び設定を行うことができる。
【0027】
スイッチSWは、遅延時間生成手段20を、遅延時間短縮端子DSに接続するか又は内部発振器10に接続するかを切り替える接続切替手段である。本実施例に係る二次電池保護用集積回路装置150は、通常使用を行う通常動作時においては、スイッチSWを下側に切り替えて遅延時間生成手段20と内部発振器10とを接続させ、内部発振器10が生成する動作時クロックパルスが遅延時間生成手段20に入力されるように接続切替を行う。また、本実施例に係る二次電池保護用集積回路装置150は、検査時においては、スイッチSWを上側に切り替えて遅延時間生成手段20と遅延時間短縮端子DSとを接続させ、外部の検査時クロックパルス供給手段200から検査時クロックパルスが遅延時間短縮端子DSに入力されるように接続切替を行う。
【0028】
このように、遅延時間生成手段20に入力されるクロックパルスが、スイッチSWの接続切替で切り替え可能な構成とすることにより、検査時は、周波数が安定した検査時クロックパルスが外部から入力され、通常動作時は、独立して内部発振器10から動作時クロックパルスを供給することができる。これにより、検査時には、検査に適した安定した高周波数を用いて各内部回路40〜130の性能検査を行うことができるので、検査時間を十分に短縮しつつ安定した信頼度の高い検査を行うことが可能となる。
【0029】
なお、スイッチSWは、図1に示されたようなアナログスイッチでもよいし、リレー手段は、MOSトランジスタ等の半導体スイッチング素子が適用されてもよい。スイッチSWは、遅延時間生成手段20とクロックパルス源との接続を切り替えることができる接続切替手段であれば、種々の接続切替手段を適用することができる。
【0030】
なお、遅延時間生成手段20で生成された各内部回路40〜120の遅延時間は、論理回路80、120に送られ、各種の二次電池保護動作を行う際に、所定の遅延時間が各内部回路40〜120に対して設定される。
【0031】
次いで、他の関連構成要素の説明を行う。
【0032】
過充電検出回路40は、VDD端子の電位を監視し、VDD端子の電位が所定の過充電検出電圧以上で、その状態が所定の遅延時間以上継続したときに、二次電池(図示せず)の過充電状態を検出する回路である。過充電検出回路40においては、例えば、1〔s〕程度の遅延時間が設定される。このとき、検査時においては、1〔s〕の遅延時間を待って検査を行うと、膨大な検査時間を要してしまうので、これを短縮するため、遅延時間短縮端子DSから、通常の内部発振器10で生成する動作時クロックパルスよりも周波数の高い検査時クロックパルスを入力し、これを分周して検査時の遅延時間を設定する。よって、過充電検出回路40の検査も、遅延時間を1〔s〕も要せず、短縮された遅延時間を用いて検査を行うことができる。
【0033】
過放電検出回路50は、VDD端子の電位を監視し、VDD端子の電位が所定の過放電検出電圧以下の状態が所定の遅延時間以上継続したときに、二次電池の過放電状態を検出する回路である。過放電検出回路50においては、例えば、20〔ms〕の遅延時間が設定されてもよい。この場合にも、検査時においては、スイッチSWを遅延時間生成手段20が遅延時間短縮端子DSに接続されるようにスイッチSWを切り替え、遅延時間短縮端子DSに動作時クロックパルスよりも高い検査時クロックパルスを入力することにより、遅延時間を短縮して過放電検出回路50の検査を行うことができる。また、過放電検出回路50には、二次電池に充電器が接続され、過放電状態からの復帰を検出する場合においても、過放電復帰遅延時間が設定されているので、この遅延時間も、検査時には検査時クロックパルスを遅延時間短縮端子DSに入力することにより、短縮することができる。
【0034】
放電過電流検出回路60は、電流検出端子V−で検出される電圧が、所定の放電過電流検出電圧である状態が、所定の遅延時間以上継続したときに、二次電池の放電過電流状態を検出する回路である。放電過電流検出回路60においても、例えば、6〔ms〕程度の遅延時間が設定され、更に、放電過電流状態から復帰する場合にも放電過電流復帰遅延時間が設定されているので、外部の検査時クロックパルス供給手段200から供給される検査時クロックパルスの利用により、検査時間を短縮しつつ安定した検査を行うことができる。
【0035】
充電過電流検出回路70は、電流検出端子V−の端子電圧が所定の充電過電流検出電圧以下の状態が所定の遅延時間以上継続すると、二次電池の充電過電流状態を検出する回路である。充電過電流検出回路70の遅延時間は、例えば、8〔ms〕程度であってもよい。また、充電過電流検出回路70には、充電過電流状態から復帰する際の遅延時間も設定されていてよく、これらはともに、検査時には遅延時間短縮端子DSから入力される検査時クロックパルスから分周され、短縮された状態で検査が行われる。
【0036】
論理回路80は、過充電検出回路40又は充電過電流検出回路70において、過充電又は充電過電流が検出されたときに、論理演算を行い、二次電池を保護する制御を行う演算処理手段である。遅延時間生成手段20で生成された遅延時間は、例えば、論理回路80のロジック回路内で設定されてもよい。
【0037】
レベルシフト回路90は、論理回路80の出力信号の電圧レベルを、充電制御端子COUTに接続される充電制御MOSトランジスタ(図示せず)のゲート駆動に適した電圧レベルに変換するための回路である。
【0038】
短絡検出回路100は、負荷短絡が発生し、電流検出端子V−の電圧が所定の短絡検出電圧以上となったときに、二次電池の短絡状態を検出する回路である。短絡検出回路100においても、短絡検出時の遅延時間が設定されているが、例えば、400〔μs〕程度の他の内部回路40〜80よりも極めて短い遅延時間が設定されているので、遅延時間は、遅延時間設定回路110により別個に設定されている。遅延時間設定回路110は、短絡検出回路100における短絡状態検出のための専用の遅延時間設定手段であり、他の検出回路40〜70の1/10以下の短い遅延時間の設定を行う。
【0039】
論理回路120は、過放電検出回路50、放電過電流検出回路60又は短絡検出回路100により過放電、放電過電流又は短絡が検出されたときに、二次電池を保護する制御を行うための論理演算手段である。論理回路120は、具体的には、外付けの放電制御MOSトランジスタ(図示せず)が接続される放電制御端子DOUTを駆動制御し、過放電、放電過電流又は短絡が検出されたら、放電制御端子DOUTにローレベルの信号を出力する論理演算処理を行う。
【0040】
なお、過放電検出回路50、放電過電流検出回路60及び短絡検出回路100の遅延時間は、論理回路120内のロジック回路に組み込まれて設定されてもよい。
【0041】
過大充電器検出回路130は、VDD端子と電流検出端子V−との間の充電器電圧を監視し、この電圧が所定の過大充電器検出電圧を超えたときに、充電制御端子COUTからローレベルの信号を出力し、充電を停止させる回路である。過大充電器検出回路130には、遅延時間は設定されていないので、本実施例に係る二次電池保護用集積回路装置150との機能的関連性は少ない。
【0042】
このように、実施例1に係る二次電池保護用集積回路装置150によれば、遅延時間生成手段20に入力されるクロックパルスを、検査時にはスイッチSWにより遅延時間短縮端子DSから入力される外部から供給される検査時クロックパルスとすることにより、安定した高周波数の検査時クロックパルスを分周して遅延時間を生成することができ、短時間で正確な検査を行うことができる。また、通常動作時には、スイッチSWにより、遅延時間生成手段20を内部発振回路10に接続し、従来通りの二次電池保護動作を行わせることができる。
【0043】
更に、従来は、内部発振器10から出力されるクロックパルスを利用するしか無かったので、ユーザ側で任意の設定で検査を行うことができなかったが、本実施例に係る二次電池保護用集積回路装置150によれば、外部から検査時クロックパルスを入力できるので、ユーザ側でも所望の検査時クロックパルスを用いて柔軟に検査を行うことが可能となる。
【実施例2】
【0044】
図2は、本発明を適用した実施例2に係る二次電池保護用集積回路装置150aの全体構成の一例を示した図である。図2において、実施例2に係る二次電池保護用集積回路装置150aは、内部発振器10は遅延時間短縮端子DSと接続されておらず、遅延時間生成手段20と内部発振器10又は遅延時間短縮端子DSとの接続を切り替える接続切替手段としてスイッチSWが設けられている点は、実施例1に係る二次電池保護用集積回路装置150と同様である。実施例2の図2に係る二次電池保護用集積回路装置150aは、遅延時間短縮端子DSに接続されているシフトレジスタ30が、二次電池保護用集積回路装置150a内に更に設けられている点で、実施例1の図1に係る二次電池保護用集積回路装置150と異なっている。
【0045】
シフトレジスタ30は、二次電池保護用集積回路装置150aの検査時に、遅延時間短縮端子DSから入力された検査時クロックパルスを記憶して蓄積し、検査時クロックパルスが所定のパルス数に達したときに、検査モード信号を出力し、スイッチSWの接続切替を行わせる手段である。つまり、シフトレジスタ30は、外部の検査時クロックパルス供給手段200から出力されて遅延時間短縮端子DSに入力された検査時クロックパルスをカウントし、蓄積した検査時パルスが所定数に達したときに、これから検査が行われることを認識する。そして、これから検査が行われるので、スイッチSWを上側に切り替え、遅延時間生成手段20が、遅延時間短縮端子DSに接続されるように接続切替を行う。
【0046】
なお、所定のパルス数は、遅延時間短縮端子の検査時クロックパルス供給手段200が接続されていることを確実に認識できるパルス数であれば良いが、例えば、5個以上30個以下、好ましくは10個以上20個以下の任意のパルス数を所定のパルス数として設定してもよい。
【0047】
また、シフトレジスタ30によるスイッチSWの接続切替は、例えば、シフトレジスタ30が検査時クロックパルスによるハイレベルの入力パルス数をカウントし、所定のパルス数に達したときに、ハイレベルの検査モード信号を出力し、そのハイレベル信号を受けてスイッチSWが上側に切り替わるような構成としてもよい。
【0048】
また、シフトレジスタ30による検査時クロックパルス数のカウントを行うことにより、例えば、遅延時間短縮端子DSに、従来のような検査用の定電圧電源が誤って接続された場合であっても、パルスが入力されなければ、シフトレジスタ30により検査が行われることが認識されないので、そのような誤動作を防ぐこともできる。
【0049】
このように、実施例2に係る二次電池保護用集積回路装置150aによれば、遅延時間短縮端子DSに、外部から検査時クロックパルス供給手段200を接続するだけで、自動的にこれから検査が行われることが認識され、速やかに検査を行うことができる。また、実施例2に係る二次電池保護用集積回路装置150aにおいても、実施例1で述べたのと同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0050】
なお、他の構成要素については、実施例1に係る二次電池保護用集積回路装置150と同様であるので、同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【実施例3】
【0051】
図3は、本発明を適用した実施例3に係る二次電池保護用集積回路装置150bの全体構成の一例を示した図である。図3において、実施例3に係る二次電池保護用集積回路装置150bは、遅延時間短縮端子DSと、内部発振器10と、遅延時間生成手段20と、シフトレジスタ30とを備え、遅延時間短縮端子DSに検出時クロックパルス供給手段200が接続されたときに、シフトレジスタ30が検査時クロックパルス数をカウントし、所定数に達したときに、スイッチSWの接続を切り替えられるようになっている点では、図2の実施例2に係る二次電池保護用集積回路装置150aと同様である。
【0052】
しかしながら、実施例3に係る二次電池保護用集積回路装置150bにおいては、内部発振器10と遅延時間短縮端子DSが電気的に接続されている点において、実施例2に係る二次電池保護用集積回路装置150aと異なっている。このように、内部発振器10と、遅延時間短縮端子DSが常時接続された状態であってもよい。遅延時間短縮端子DSに、外部から検査時パルス供給手段200が接続され、検査時パルスが入力された場合には、シフトレジスタ30でこれから検査が開始されることを認識できるので、スイッチSWの接続を上側とし、遅延時間短縮端子DSと遅延時間生成手段20とを接続する接続切替を行うことができるからである。これにより、遅延時間生成手段20には、外部の検査時パルス供給手段200から供給される検査時パルスが入力され、安定した高周波数のクロックパルスを用いて、遅延時間を短縮し、各内部回路40〜130の検査を行うことができる。
【0053】
なお、図3の実施例3に係る二次保護用集積回路装置150bにおいては、例えば、遅延短縮端子DSに、従来通りの定電圧の電源を接続した場合には、検査時クロックパルスの代わりに、従来通り、内部発振器10で発生させた短縮クロックパルスに基づいて遅延時間を生成し、検査を行うことができる。これにより、例えば、外部の検査時クロックパルス供給手段200から正確で安定した検査時クロックパルスが供給される環境の下では、本実施例に係る二次電位保護用集積回路装置150bの機能を用いて、検査時クロックパルスを用いて検査を行い、外部の検査時クロックパルス供給手段200が用意できず、従来の電源設備を用いて検査を行わざるを得ない場合には、従来通りの検査を行うこともできる。
【0054】
このように、実施例3に係る二次電池保護用集積回路装置150bにおいては、検査時クロックパルス供給手段200が用意できる通常の検査状況下では、外部から供給されるクロックパルスを用いて検査を行い、検査時クロックパルス供給手段200が用意できない非常の検査状況下においては、従来の方式による短縮クロックパルスを用いて検査を行うという柔軟な検査対応が可能となる。また、実施例3においても、実施例1で述べたのと同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0055】
なお、他の構成要素については、実施例1及び実施例2に係る二次電池保護用集積回路装置150、150bと同様であるので、同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0056】
[参考例]
図4は、比較参考例として、従来の二次電池保護用集積回路装置250の全体構成の一例を示した図である。図4において、内部発振器10は、遅延時間短縮端子DSに接続されるとともに、遅延時間生成手段20に接続されている。また、スイッチSWや、シフトレジスタ30は設けられていない。また、遅延時間短縮端子DSには、外部から、定電圧電源300が接続され、一定電圧が遅延時間短縮端子DSに入力されるようになっている。
【0057】
かかる構成においては、遅延時間の短縮は、IT=CVの関係から、電流Iを増加させることにより、内部発振器10で生成されるクロックパルスの周期Tを短くし、周波数を高くする。この形式の場合では、内部発振器10に印加される電圧Vの依存性、駆動電流Iのバラツキ、容量値Cのバラツキ等により、内部発振器10の周波数がばらつき、そのためこれを遅延時間生成手段20で分周して生成した遅延時間もばらついてしまう。
【0058】
よって、本願実施例1乃至実施例3において説明したように、遅延時間生成手段20に入力されるクロックパルスが、接続切替手段であるスイッチSWにより切り替えられ、検査時は、外部の検査時クロックパルス供給手段200から供給された検査時クロックパルスを分周して遅延時間を生成する検査方法を実行することにより、安定した状態で正確に電気的特性の検査を行うことができる。そしてその際、検査時クロックパルス供給手段200から遅延時間短縮端子DSに入力される検査時クロックパルスを十分に高い周波数、少なくとも通常動作時に内部発振器10で生成される動作時クロックパルスよりも高い周波数とすることにより、十分に遅延時間を短縮させて検査を行う検査方法を実行することができる。
【0059】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】実施例1に係る二次電池保護用集積回路装置150の全体構成図の一例である。
【図2】実施例2に係る二次電池保護用集積回路装置150aの全体構成図の一例である。
【図3】実施例3に係る二次電池保護用集積回路装置150bの全体構成図の一例である。
【図4】比較参考例の従来の二次電池保護用集積回路装置250の全体構成図である。
【符号の説明】
【0061】
10 内部発振器
20 遅延時間生成手段
30 シフトレジスタ
SW スイッチ
DS 遅延時間短縮端子
40 過充電検出回路
50 過放電検出回路
60 放電過電流検出回路
70 充電過電流検出回路
80、120 論理回路
90 レベルシフト回路
100 短絡検出回路
110 遅延回路
150、150a、150b、250 二次電池保護用集積回路装置
200 検査時クロックパルス供給手段
300 定電圧電源
COUT 充電検出端子
DOUT 放電検出端子
V− 電流検出端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動作時クロックパルスを発生させる内部発振器と、
入力されたクロックパルスに基づいて、各内部回路の遅延時間を生成する遅延時間生成手段と、
検査時クロックパルスが外部から入力可能な遅延時間短縮端子と、
通常動作時には、前記内部発振器と前記遅延時間生成手段とを接続して前記動作時クロックパルスに基づいて前記遅延時間が生成されるようにし、電気的性能の検査時には、前記遅延時間短縮端子と前記遅延時間生成手段とを接続して前記検査時クロックパルスに基づいて前記遅延時間が生成されるようにする接続切替手段と、を有することを特徴とする二次電池保護用集積回路装置。
【請求項2】
前記検査時クロックパルスは、前記動作時クロックパルスよりも高い周波数のクロックパルスが入力され、前記遅延時間を短縮することを特徴とする請求項1に記載の二次電池保護用集積回路装置。
【請求項3】
前記遅延時間短縮端子に接続されたシフトレジスタを更に備え、
該シフトレジスタは、前記遅延時間短縮端子に入力された前記検査クロックパルスをカウントし、
前記接続切替手段は、前記シフトレジスタでカウントされた前記検査クロックパルスが所定数以上のときに、前記遅延時間短縮端子と前記遅延時間生成手段とを接続することを特徴とする請求項1又は2に記載の二次電池保護用集積回路装置。
【請求項4】
前記内部発振器は、前記遅延時間短縮端子に接続されており、前記検査時クロックパルスの代わりに一定電圧が入力された場合には、前記内部発振器により生成される短縮クロックパルスを用いて前記遅延時間の生成を行うことを特徴とする請求項3に記載の二次電池保護用集積回路装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の二次電池保護用集積回路装置の検査方法であって、
該二次電池保護用集積回路装置の遅延時間短縮端子に、前記二次電池保護用集積回路装置の内部発振回路で生成する動作時クロックパルスよりも高い周波数の検査時クロックパルスを入力し、前記二次電池保護用集積回路装置の内部回路の遅延時間を短縮した状態で電気的特性の検査を行うことを特徴とする二次電池保護用集積回路装置の検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−136471(P2010−136471A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−307299(P2008−307299)
【出願日】平成20年12月2日(2008.12.2)
【出願人】(000006220)ミツミ電機株式会社 (1,651)
【Fターム(参考)】