説明

二環式アミド、カルバメートまたは尿素誘導体

本発明は、医薬製剤の有効成分として有用な二環式アミド、カルバメートまたは誘導体およびそれらの塩に関する。本発明の二環式アミド、カルバメートまたは誘導体は、バニロイド受容体(VR1)アンタゴニスト活性を有し、VR1活性に関連する疾患の予防および処置、特に泌尿器系疾患または障害、例えば排尿筋過敏(過活動膀胱)、尿失禁、神経因性排尿筋過敏(排尿筋反射亢進)、特発性排尿筋過敏(排尿筋不安定)、良性前立腺肥大、および下部尿路症状;慢性疼痛、神経因性疼痛、術後疼痛、関節リウマチ痛、神経痛、神経障害、痛覚過敏、神経損傷、虚血、神経変性、卒中、並びに喘息および慢性閉塞性肺(または気道)疾患(COPD)などの炎症性障害の処置に使用できる。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
発明の詳細な説明
技術分野
本発明は、医薬製剤の有効成分として有用な二環式アミド、カルバメートまたは尿素誘導体に関する。本発明の二環式アミド、カルバメートまたは尿素誘導体は、バニロイド受容体(VR1)アンタゴニスト活性を有し、VR1活性に関連する疾患の予防および処置、特に泌尿器系疾患または障害、例えば排尿筋過敏(過活動膀胱)、尿失禁、神経因性排尿筋過敏(排尿筋反射亢進)、特発性排尿筋過敏(排尿筋不安定)、良性前立腺肥大、および下部尿路症状;慢性疼痛、神経因性疼痛、術後疼痛、関節リウマチ痛、神経痛、神経障害、痛覚過敏、神経損傷、虚血、神経変性、卒中、並びに喘息および慢性閉塞性肺(または気道)疾患(COPD)などの炎症性障害の処置に使用できる。
【0002】
背景技術
バニロイド化合物は、バニリル基または機能的に同等な基の存在を特徴とする。いくつかのバニロイド化合物またはバニロイド受容体調節因子の例は、バニリン(4−ヒドロキシ−3−メトキシ−ベンズアルデヒド)、グアヤコール(2−メトキシ−フェノール)、ジンゲロン(4−/4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル/−2−ブタノン)、オイゲノール(2−メトキシ4−/2−プロペニル/フェノール)およびカプサイシン(8−メチ−N−バニリル−6−ノナンアミド)である。
【0003】
なかんずく、「辛い」唐辛子の主要な刺激性成分であるカプサイシンは、C線維求心神経を脱感作させる特異的神経毒である。カプサイシンは、後根神経節(DRG)の細胞体またはC線維神経終末を含む求心感覚線維の神経終末に支配的に発現するバニロイド受容体(VR1)と相互作用する[Tominaga M, Caterina MJ, Malmberg AB, Rosen TA, Gilbert H, Skinner K, Raumann BE, Basbaum AI, Julius D: The cloned capsaicin receptor integrates multiple pain-producing stimuli. Neuron. 21: 531-543, 1998]。VR1受容体は、最近クローニングされ [Caterina MJ, Schumacher MA, Tominaga M, Rosen TA, Levine JD, Julius D: Nature 389: 816-824, (1997)]、TRP(一過性受容体電位)チャネルファミリーと構造的に関連する6個の膜貫通ドメインを有する非選択的陽イオンチャネルとして同定された。VR1へのカプサイシンの結合は、ナトリウム、カルシウムおよび恐らくカリウムイオンをそれらの濃度勾配に沿って流れるようにし、初期脱分極および神経末端からの神経伝達物質の放出を引き起こす。従って、VR1は、病的状態または疾患において神経シグナルを誘起する化学および物理刺激の分子インテグレーター(integrator)と見ることができる。
【0004】
VR1活性と、疼痛、虚血および炎症障害などの疾患との関連を示す直接または間接的証拠が豊富に存在する(例えば、WO99/00115および00/50387)。さらに、VR1が、脊髄反射経路が損なわれているかまたは異常である患者の過活動膀胱に関与する反射シグナルを伝達することが立証された[De Groat WC: A neurologic basis for the overactive bladder. Urology 50 (6A Suppl): 36-52, 1997]。カプサイシンなどのVR1アゴニストを使用して神経伝達物質を涸渇させることによる求心神経の脱感作は、脊髄損傷および多発性硬化症に伴う膀胱機能不全の処置において、有望な結果をもたらすと示された [(Maggi CA: Therapeutic potential of capsaicin-like molecules - Studies in animals and humans. Life Sciences 51: 1777-1781, 1992) および (DeRidder D; Chandiramani V; Dasgupta P; VanPoppel H; Baert L; Fowler CJ: Intravesical capsaicin as a treatment for refractory detrusor hyperreflexia: A dual center study with long-term followup. J. Urol. 158: 2087-2092, 1997)]。
【0005】
VR1受容体の拮抗作用は、神経伝達物質放出の遮断を導き、VR1活性に関連する症状および疾患の予防および処置をもたらすと思われる。
【0006】
従って、VR1受容体のアンタゴニストは、慢性疼痛、神経因性疼痛、術後疼痛、関節リウマチ痛、神経痛、神経障害、痛覚過敏、神経損傷、虚血、神経変性、卒中、炎症性障害、急迫性尿失禁(UUI)などの尿失禁(UI)、および/または過活動膀胱を含む症状および疾患の予防および処置に使用できると期待される。
【0007】
UIは、非自発的な尿の損失である。UUIは、ストレス性尿失禁(SUI)と共に、最も一般的なのタイプのUIの一つである。それは、通常、尿道閉鎖メカニズムの欠陥に起因する。UUIは、しばしば、痴呆、パーキンソン病、多発性硬化症、卒中および糖尿病などの神経損傷を引き起こす神経性障害または疾患と関連するが、そのような障害のない個体でも起こる。UUIの通常の原因の1つは、過活動膀胱(OAB)である。それは、排尿筋の異常な収縮と不安定さによりもたらされる頻繁かつ緊急の症状を表す病状である。
【0008】
今日では、主にUUIの処置を補助するために、いくつかの尿失禁用医薬品が販売されている。OABの治療は、末梢神経の制御メカニズムに影響を与える薬物か、または膀胱の排尿平滑筋の収縮に直接作用するものに集中しており、抗コリン剤の開発に重きが置かれている。これらの物質は、膀胱の排尿を制御する副交感神経を阻害することができるか、または、膀胱の排尿筋に対して直接的鎮痙効果を発揮することができる。これは、膀胱内圧の低下、容量の増大、および膀胱収縮頻度の減少をもたらす。一般的に処方される経口活性抗コリン性薬物は、口渇、視覚異常、便秘および中枢神経系の撹乱などの許容できない副作用などの深刻な欠点を有する。これらの副作用は、低い服薬率(compliance)を導く。口渇の症状のみで、オキシブチニンの非服薬率70%の原因となっている。現行治療法の不適切さは、副作用がより少ない、新しい、有効な、安全な、経口摂取可能な薬物の必要性を強調している。
【0009】
WO03/014064は、一般式:
【化1】

式中、
Xは、ベンゼンにより縮合されていることもあるC3−8シクロアルキル、置換されていることもあるナフチル、置換されていることもあるフェニル、置換されていることもあるフェニルC1−6直鎖アルキル、シクロアルキルにより縮合されているフェニルなどを表し;
aaは、CHまたはNを表し;
aaは、水素またはメチルを表し;
bbは、水素またはメチルを表し;そして、
Yは、置換ナフチルを表す、
で表される化合物を、バニロイド受容体アンタゴニストとして開示している。
【0010】
WO03/022809は、一般式:
【化2】

式中、
PおよびP'は、独立してアリールまたはヘテロアリールを表し;
a1およびRa2は、独立して水素、アルコキシ、ヒドロキシなどを表し;
nは、0、1、2または3であり;pおよびqは、独立して0、1、2、3または4であり;rは、1、2または3であり;そして、sは、0、1または2である、
で表される、バニロイド受容体アンタゴニスト活性を有する化合物を開示している。
【0011】
WO03/053945は、一般式:
【化3】

式中、
は、フェニル、ナフチルまたは複素環を表し;
nは、2、3、4、5または6であり;pは、独立して0、1、2、3または4であり;
b1は、水素、アルコキシ、ヒドロキシなどを表し;そして、
a2は、
【化4】

(式中、Xは、結合、C、OまたはNRb8を表し;そして、r、q、Rb3、Rb4は、当該出願中で定義されている)
を表す、
で表される、バニロイド受容体アンタゴニスト活性を有する化合物を開示している。
【0012】
WO03/070247は、一般式:
【化5】

式中、
Xcは、NまたはCRc1を表し;Xcは、NまたはCRc2を表し;Xcは、N,NRc3またはCRc3を表し;Xcは、結合、NまたはCRc4を表し;Xcは、NまたはCを表し;但し、Xc、Xc、XcおよびXcの少なくとも1つはNであり;Zcは、O、NHまたはSを表し;Zcは、結合、NHまたはSを表し;Lは、アルキレン、シクロアルキレンなどを表し;Rc1、Rc2、Rc3、Rc4、Rc5、Rc6、Rc7、Rc8a、Rc8bは、当該出願中で定義されており;そして、Rc9は、水素、アリール、シクロアルキルおよび複素環を表す、
で表される、バニロイド受容体アンタゴニスト活性を有する化合物を開示している。
【0013】
WO03/080578は、一般式:
【化6】

式中、
、B、DおよびEは、各々CまたはNであり、但し、1つまたはそれ以上はNであり;Xは、O、Sまたは=NCNであり;Yは、アリール、ヘテロアリール、炭素環または縮合炭素環であり;nは、0、1、2または3であり;そして、Rd1、Rd2、Rd3、Rd4、Rd5およびRd6は、当該出願中で定義されている、
で表される、バニロイド受容体アンタゴニスト活性を有する化合物を開示している。
【0014】
有効なVR1アンタゴニスト活性を有し、VR1活性に関連する疾患の予防および処置、特に尿失禁、急迫性尿失禁、過活動膀胱、並びに疼痛、および/または喘息およびCOPDなどの炎症性疾患の処置に使用できる化合物の開発が望まれてきた。
【0015】
本発明の要旨
本発明は、式(I)の二環式アミド、カルバメートまたは尿素誘導体、それらの互変異性体および立体異性体、並びにそれらの塩を提供するものである:
【化7】

式中、
Aは、
【化8】

を表し
[QおよびQは、独立して直接結合またはメチレンを表し;
は、CHRまたはCOを表し、
は、CHRまたはCOを表し
{ここで、Rは、水素、ヒドロキシ、C1−6アルコキシ、C1−6アルカノイルオキシ、またはC1−6アルキル(ヒドロキシ、C1−6アルコキシ、C1−6アルカノイルオキシまたはモノ−、ジ−もしくはトリ−ハロゲンにより置換されていることもある)を表し;
は、水素、ヒドロキシ、C1−6アルコキシ、C1−6アルカノイルオキシまたはC1−6アルキル(ヒドロキシ、C1−6アルコキシ、C1−6アルカノイルオキシまたはモノ−、ジ−もしくはトリ−ハロゲンにより置換されていることもある)を表す};
但し、
およびQが同時に直接結合であることはできず;
およびRが同時に水素であることはできず;
が直接結合を表すとき、Rは、ヒドロキシ、C1−6アルコキシまたはC1−6アルカノイルオキシを表し;
は、CHまたはCRを表し
{ここで、Rは、ヒドロキシ、C1−6アルコキシ、C1−6アルカノイルオキシまたはC1−6アルキル(ヒドロキシ、C1−6アルコキシ、C1−6アルカノイルオキシまたはモノ−、ジ−もしくはトリ−ハロゲンにより置換されていることもある)を表す};
は、CHまたはCRを表し
{ここで、Rは、ヒドロキシ、C1−6アルコキシ、C1−6アルカノイルオキシ、
または、C1−6アルキル(ヒドロキシ、C1−6アルコキシ、C1−6アルカノイルオキシまたはモノ−、ジ−もしくはトリ−ハロゲンにより置換されていることもある)を表す};
但し、QおよびQが同時にCHであることはできない];
mは、0ないし3の整数を表し;
pは、0または1の整数を表し;
−X−は、結合、−O−または−N(R)−を表し
{ここで、Rは、水素またはC1−6アルキルを表す}、
但し、mが0であるとき、−X−は結合を表し;そして、
−Y−は、CH、OまたはNHを表し;そして、
は、アリールまたはヘテロアリールを表す
[ここで、該アリールおよびヘテロアリールは、ハロゲン、ニトロ、ヒドロキシ、カルボキシ、シアノ、アミノ、N−(C1−6アルキル)アミノ、N,N−ジ(C1−6アルキル)アミノ、N−(C3−8シクロアルキル)アミノ、C1−6アルコキシカルボニル、スルホンアミド、C1−6アルカノイル、N−(C1−6アルカノイル)アミノ、カルバモイル、C1−6アルキルカルバモイル、C3−8シクロアルキル、複素環、
1−6アルキル{ここで、該アルキルは、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、カルボキシ、アミノ、C1−6アルコキシカルボニルまたはモノ−、ジ−もしくはトリ−ハロゲンにより置換されていることもある}、
1−6アルコキシ{ここで、該アルコキシは、モノ−、ジ−またはトリ−ハロゲンにより置換されていることもある}、
1−6アルキルチオ{ここで、該アルキルチオは、モノ−、ジ−またはトリ−ハロゲンにより置換されていることもある}、
フェニル、ベンジルおよびフェノキシ{ここで、該フェニル、該ベンジルのフェニル部分または該フェノキシのフェニル部分は、ハロゲン、ニトロ、ヒドロキシ、カルボキシ、アミノ、N−(C1−6アルキル)アミノ、N,N−ジ(C1−6アルキル)アミノ、N−(C3−8シクロアルキル)アミノ、C1−6アルコキシカルボニル、C1−6アルコキシカルボニルまたはC1−6アルキルにより置換されていることもある}
からなる群から独立して選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていることもある]。
【0016】
他の実施態様では、式(I)の二環式アミド、カルバメートまたは尿素誘導体は、式中;
およびQが、メチレンを表し;
が、CHRまたはCOを表し
{ここで、Rは、水素、ヒドロキシ、C1−6アルコキシ、C1−6アルカノイルオキシまたはC1−6アルキル(モノ−、ジ−またはトリ−ハロゲンにより置換されていることもある)を表す};
が、CHRまたはCOを表し
{ここで、Rは、ヒドロキシ、C1−6アルコキシ、C1−6アルカノイルオキシまたはC1−6アルキル(モノ−、ジ−またはトリ−ハロゲンにより置換されていることもある)を表す};
が、CHを表し;
が、CRを表し
{ここで、Rは、ヒドロキシ、C1−6アルコキシ、C1−6アルカノイルオキシまたはC1−6アルキル(モノ−、ジ−またはトリ−ハロゲンにより置換されていることもある)を表す};
mが、0ないし3の整数を表し;
pが、0または1の整数を表し;
−X−が、結合、−O−または−N(R)−を表し
{ここで、Rは水素またはC1−6アルキルを表す}、
但し、mが0であるとき、−X−は結合を表し;
−Y−は、CH、OまたはNHを表し;そして、
が、フェニル、ナフチル、ピリジルまたはピリミジルを表す
[ここで、該フェニル、ナフチル、ピリジルまたはピリミジルは、ハロゲン、ニトロ、ヒドロキシ、カルボキシ、シアノ、アミノ、N−(C1−6アルキル)アミノ、N,N−ジ(C1−6アルキル)アミノ、N−(C3−8シクロアルキル)アミノ、C1−6アルコキシカルボニル、スルホンアミド、C1−6アルカノイル、N−(C1−6アルカノイル)アミノ、カルバモイル、C1−6アルキルカルバモイル、C3−8シクロアルキル、複素環、
1−6アルキル{ここで、該アルキルは、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、カルボキシ、アミノ、C1−6アルコキシカルボニルまたはモノ−、ジ−もしくはトリ−ハロゲンにより置換されていることもある}、
1−6アルコキシ{ここで、該アルコキシは、モノ−、ジ−もしくはトリ−ハロゲンにより置換されていることもある}、
1−6アルキルチオ{ここで、該アルキルチオは、モノ−、ジ−またはトリ−ハロゲンにより置換されていることもある}、
フェニル、ベンジルおよびフェノキシ{ここで、該フェニル、該ベンジルのフェニル部分または該フェノキシのフェニル部分は、ハロゲン、ニトロ、ヒドロキシ、カルボキシ、アミノ、N−(C1−6アルキル)アミノ、N,N−ジ(C1−6アルキル)アミノ、N−(C3−8シクロアルキル)アミノ、C1−6アルコキシカルボニル、C1−6アルコキシカルボニルまたはC1−6アルキルにより置換されていることもある}
からなる群から独立して選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていることもある]、
ものであり得る。
【0017】
他の実施態様では、式(I)の二環式アミド、カルバメートまたは尿素誘導体は、式中;
Aが、
【化9】

を表し
[Qは、メチレンを表し;
は、直接結合を表し;
は、CHRまたはCOを表し
{ここで、Rは、ヒドロキシ、C1−6アルコキシまたはC1−6アルカノイルオキシを表す};
は、CHRを表す
{ここで、Rは、水素を表す}];
mが、0ないし3の整数を表し;
pが、0または1の整数を表し;
−X−が、結合、−O−または−N(R)−を表し
{ここで、Rは、水素またはC1−6アルキルを表す}、
但し、mが0であるとき、−X−は結合を表し;
−Y−が、CH、OまたはNHを表し;そして、
が、フェニル、ナフチル、ピリジルまたはピリミジルを表す
[ここで、該フェニル、ナフチル、ピリジルまたはピリミジルは、ハロゲン、ニトロ、ヒドロキシ、カルボキシ、シアノ、アミノ、N−(C1−6アルキル)アミノ、N,N−ジ(C1−6アルキル)アミノ、N−(C3−8シクロアルキル)アミノ、C1−6アルコキシカルボニル、スルホンアミド、C1−6アルカノイル、N−(C1−6アルカノイル)アミノ、カルバモイル、C1−6アルキルカルバモイル、C3−8シクロアルキル、複素環、
1−6アルキル{ここで、該アルキルは、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、カルボキシ、アミノ、C1−6アルコキシカルボニルまたはモノ−、ジ−もしくはトリ−ハロゲンにより置換されていることもある}、
1−6アルコキシ{ここで、該アルコキシは、モノ−、ジ−またはトリ−ハロゲンにより置換されていることもある}、
1−6アルキルチオ{ここで、該アルキルチオは、モノ−、ジ−またはトリ−ハロゲンにより置換されていることもある}、
フェニル、ベンジルおよびフェノキシ{ここで、該フェニル、該ベンジルのフェニル部分または該フェノキシのフェニル部分は、ハロゲン、ニトロ、ヒドロキシ、カルボキシ、アミノ、N−(C1−6アルキル)アミノ、N,N−ジ(C1−6アルキル)アミノ、N−(C3−8シクロアルキル)アミノ、C1−6アルコキシカルボニル、C1−6アルコキシカルボニルまたはC1−6アルキルにより置換されていることもある}
からなる群から独立して選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていることもある]、
ものである。
【0018】
他の実施態様では、式(I)の二環式アミド、カルバメートまたは尿素誘導体は、式中;
Aが、
【化10】

を表し
[QおよびQは、メチレンを表し;
は、CHRを表し
{ここで、Rは水素を表す};
は、CHRを表す
{ここで、Rは、水素、ヒドロキシ、C1−6アルコキシまたはC1−6アルカノイルオキシを表す}];
mが、0ないし3の整数を表し;
pが、0または1の整数を表し;
−X−が、結合、−O−または−N(R)−を表し
{ここで、Rは、水素またはC1−6アルキルを表す}、
但し、mが0であるとき、−X−は結合を表し;
−Y−が、CH、OまたはNHを表し;そして、
が、フェニル、ナフチル、ピリジルまたはピリミジルを表す
[ここで、該フェニル、ナフチル、ピリジルまたはピリミジルは、ハロゲン、ニトロ、ヒドロキシ、カルボキシ、シアノ、アミノ、N−(C1−6アルキル)アミノ、N,N−ジ(C1−6アルキル)アミノ、N−(C3−8シクロアルキル)アミノ、C1−6アルコキシカルボニル、スルホンアミド、C1−6アルカノイル、N−(C1−6アルカノイル)アミノ、カルバモイル、C1−6アルキルカルバモイル、C3−8シクロアルキル、複素環、
1−6アルキル{ここで、該アルキルは、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、カルボキシ、アミノ、C1−6アルコキシカルボニルまたはモノ−、ジ−もしくはトリ−ハロゲンにより置換されていることもある}、
1−6アルコキシ{ここで、該アルコキシは、モノ−、ジ−またはトリ−ハロゲンにより置換されていることもある}、
1−6アルキルチオ{ここで、該アルキルチオは、モノ−、ジ−またはトリ−ハロゲンにより置換されていることもある}、
フェニル、ベンジルおよびフェノキシ{ここで、該フェニル、該ベンジルのフェニル部分または該フェノキシのフェニル部分は、ハロゲン、ニトロ、ヒドロキシ、カルボキシ、アミノ、N−(C1−6アルキル)アミノ、N,N−ジ(C1−6アルキル)アミノ、N−(C3−8シクロアルキル)アミノ、C1−6アルコキシカルボニル、C1−6アルコキシカルボニルまたはC1−6アルキルにより置換されていることもある}
からなる群から独立して選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていることもある]、
ものである。
【0019】
他の実施態様では、式(I)の二環式アミド、カルバメートまたは尿素誘導体は、式中;
Aが、
【化11】

を表し
[QおよびQは、メチレンを表し;
は、CHRを表し
{ここで、Rは、ヒドロキシ、C1−6アルコキシまたはC1−6アルカノイルオキシを表す};
は、CHRを表す
{ここで、Rは水素を表す}];
mが、1ないし3の整数を表し;
pが、0または1の整数を表し;
−X−が、結合、−O−または−N(R)−を表し
{ここで、Rは、水素またはC1−6アルキルを表す}、
但し、mが0であるとき、−X−は結合を表し;
−Y−が、CH、OまたはNHを表し;そして、
が、フェニル、ナフチル、ピリジルまたはピリミジルを表す
[ここで、該フェニル、ナフチル、ピリジルまたはピリミジルは、ハロゲン、ニトロ、ヒドロキシ、カルボキシ、シアノ、アミノ、N−(C1−6アルキル)アミノ、N,N−ジ(C1−6アルキル)アミノ、N−(C3−8シクロアルキル)アミノ、C1−6アルコキシカルボニル、スルホンアミド、C1−6アルカノイル、N−(C1−6アルカノイル)アミノ、カルバモイル、C1−6アルキルカルバモイル、C3−8シクロアルキル、複素環、
1−6アルキル{ここで、該アルキルは、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、カルボキシ、アミノ、C1−6アルコキシカルボニルまたはモノ−、ジ−もしくはトリ−ハロゲンにより置換されていることもある}、
1−6アルコキシ{ここで、該アルコキシは、モノ−、ジ−またはトリ−ハロゲンにより置換されていることもある}、
1−6アルキルチオ{ここで、該アルキルチオは、モノ−、ジ−またはトリ−ハロゲンにより置換されていることもある}、
フェニル、ベンジルおよびフェノキシ{ここで、該フェニル、該ベンジルのフェニル部分または該フェノキシのフェニル部分は、ハロゲン、ニトロ、ヒドロキシ、カルボキシ、アミノ、N−(C1−6アルキル)アミノ、N,N−ジ(C1−6アルキル)アミノ、N−(C3−8シクロアルキル)アミノ、C1−6アルコキシカルボニル、C1−6アルコキシカルボニルまたはC1−6アルキルにより置換されていることもある}
からなる群から独立して選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていることもある]、
ものである。
【0020】
好ましくは、式(I)の二環式アミド、カルバメートまたは尿素誘導体は、式中;
Aが、
【化12】

を表し
[Qは、CHを表し;
は、CRを表す
{ここで、Rは、ヒドロキシ、C1−6アルコキシ、C1−6アルカノイルオキシ、またはC1−6アルキル(ヒドロキシ、C1−6アルコキシまたはC1−6アルカノイルオキシにより置換されていることもある)を表す}];
mが、0ないし3の整数を表し;
pが、0または1の整数を表し;
−X−が、結合、−O−または−N(R)−を表し
{ここで、Rは、水素またはC1−6アルキルを表す}、
但し、mが0であるとき、−X−は結合を表し;
−Y−が、NH、OまたはCHを表し;そして、
が、フェニル、ナフチル、ピリジル、またはピリミジルを表す
[ここで、該フェニル、ナフチル、ピリジル、またはピリミジルは、ハロゲン、ニトロ、C1−6アルキル、トリフルオロC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、トリフルオロC1−6アルコキシおよびC1−6アルカノイルアミノからなる群から選択される1個または2個の置換基により置換されていることもある]、
ものである。
【0021】
他の実施態様では、式(I)の二環式アミド、カルバメートまたは尿素誘導体は、式中;
Aが、
【化13】

を表し
[QおよびQは、メチレンを表し;
は、CHRを表し
{ここで、Rは、水素を表す};
は、CHRを表し
{ここで、Rは、水素、ヒドロキシ、C1−6アルコキシまたはC1−6アルカノイルオキシを表す};
は、CHを表し;
は、CRを表す
{ここで、Rはヒドロキシを表す}];
mが、整数2を表し;
pが、整数0を表し;
−X−が、結合、−O−または−N(R)−を表し
{ここで、Rは水素またはC1−6アルキルである}
但し、mが0であるとき、−X−は結合を表し;そして、
−Y−が、NHを表し;そして、
が、フェニル、ナフチル、ピリジルまたはピリミジルを表す
[ここで、該フェニル、ナフチル、ピリジルまたはピリミジルは、クロロ、ブロモ、フルオロ、ニトロ、メチル、メトキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロエチル、トリフルオロメトキシ、トリフルオロエトキシ、アセトアミドおよびプロピオニルアミノからなる群から選択される1個または2個の置換基により置換されていることもある]、
ものである。
【0022】
より好ましくは、該式(I)の二環式アミド、カルバメートまたは尿素誘導体は、
N−(7−ヒドロキシ−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−2−イル)−N'−[4−(トリフルオロメチル)ベンジル]尿素;
4−(トリフルオロメチル)ベンジル(7−ヒドロキシ−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−2−イル)カルバメート;
N−(7−ヒドロキシ−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−2−イル)−3−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]プロパンアミド;
N−(7−ヒドロキシ−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−2−イル)−N'−(2−{[4−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}エチル)尿素;
N−(7−ヒドロキシ−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−2−イル)−N'−{2−[4−(トリフルオロメチル)フェノキシ]エチル}尿素;
2−{[4−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}エチル(7−ヒドロキシ−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−2−イル)カルバメート;
2−[4−(トリフルオロメチル)フェノキシ]エチル(7−ヒドロキシ−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−2−イル)カルバメート;
N−[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−N'−(7−ヒドロキシ−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−2−イル)尿素;
N−(2−{[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}エチル)−N'−(7−ヒドロキシ−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−2−イル)尿素;
N−{2−[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェノキシ]エチル}−N'−(7−ヒドロキシ−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−2−イル)尿素;
N−(2−{[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}エチル)−N'−(6−ヒドロキシ−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−2−イル)尿素;および
N−{2−[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェノキシ]エチル}−N'−(6−ヒドロキシ−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−2−イル)尿素
からなる群から選択される。
【0023】
式(I)の二環式アミド、カルバメートまたは尿素誘導体、それらの互変異性体および立体異性体、並びにそれらの塩は、驚くべきことに、優れたVR1アンタゴニスト活性を示す。従って、それらは、VR1活性に関連する疾患の予防および処置、特に泌尿器系疾患または障害、例えば排尿筋過敏(過活動膀胱)、尿失禁、神経因性排尿筋過敏(排尿筋反射亢進)、特発性排尿筋過敏(排尿筋不安定)、良性前立腺肥大、および下部尿路症状の処置に、特に適する。
【0024】
本発明の化合物は、慢性疼痛、神経因性疼痛、術後疼痛、関節リウマチ痛、神経痛、神経障害、痛覚過敏、神経損傷、虚血、神経変性および/または卒中からなる群から選択される疾患、並びに喘息およびCOPDなどの炎症性疾患の処置または予防にも有効である。なぜなら、これらの疾患もVR1活性に関連するからである。
【0025】
本発明の化合物は、神経因性疼痛の処置および予防にも有用である。それは、帯状疱疹にしばしば伴う疼痛および疱疹後神経痛、有痛性糖尿病性神経障害、神経障害性腰痛、外傷後および術後神経痛、神経圧迫による神経痛および他の神経痛、幻肢痛、複合性局所性疼痛症候群、感染性または傍感染性神経障害(HIV感染に伴うものなど)、中枢神経系障害(多発性硬化症、またはパーキンソン病、または脊椎損傷、または外傷性脳損傷など)に伴う疼痛および卒中後疼痛の形態である。
【0026】
さらに、本発明の化合物は、筋骨格疼痛、骨関節炎またはリウマチ性関節炎または他の形態の関節炎にしばしば伴う形態の疼痛、および背痛の処置に有用である。
加えて、本発明の化合物は、内臓の癌を含む癌に伴う疼痛、または癌もしくは癌の処置に伴う神経因性疼痛の処置に有用である。
【0027】
本発明の化合物はさらに、例えば、胆石疝痛などの中空の内臓の閉塞症に伴う疼痛、過敏性大腸症候群に伴う疼痛、骨盤痛、陰門痛、睾丸痛または前立腺疼痛などの内臓痛、関節、皮膚、筋肉または神経の炎症性病変に伴う疼痛、口顔の疼痛、および、例えば偏頭痛または緊張型頭痛などの頭痛の処置に有用である。
【0028】
さらに、本発明は、上記の化合物の1種および場合により医薬的に許容し得る賦形剤を含む医薬を提供する。
【0029】
アルキル自体、並びにアルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルカノイル、アルキルアミノ、アルキルアミノカルボニル、アルキルアミノスルホニル、アルキルスルホニルアミノ、アルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルアミノおよびアルカノイルアミノ中の「アルカ(アルキ、アルケ、アルコ)」および「アルキル」は、一般的に1個ないし6個、好ましくは1個ないし4個、そして特に好ましくは1個ないし3個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキル基を表し、例示的に、そして好ましくは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、tert−ブチル、n−ペンチルおよびn−ヘキシルを表す。
【0030】
アルコキシは、例示的に、そして好ましくは、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、tert−ブトキシ、n−ペントキシおよびn−ヘキソキシを表す。
【0031】
アルキルアミノは、例示的に、そして好ましくは、1個または2個の(独立して選択される)アルキル置換基を有するアルキルアミノ基を表し、例示的に、そして好ましくは、メチルアミノ、エチルアミノ、n−プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、tert−ブチルアミノ、n−ペンチルアミノ、n−ヘキシル−アミノ、N,N−ジメチルアミノ、N,N−ジエチルアミノ、N−エチル−N−メチルアミノ、N−メチル−N−n−プロピルアミノ、N−イソプロピル−N−n−プロピルアミノ、N−t−ブチル−N−メチルアミノ、N−エチル−N−n−ペンチルアミノおよびN−n−ヘキシル−N−メチルアミノを表す。
【0032】
シクロアルキル自体並びにシクロアルキルアミノおよびシクロアルキルカルボニル中のものは、一般的に3個ないし8個、好ましくは5個ないし7個の炭素原子を有するシクロアルキル基を表し、例示的に、そして好ましくは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチルを表す。
【0033】
アリール自体並びにアリールアミノおよびアリールカルボニル中のものは、一般的に6個ないし14個の炭素原子を有する単環式ないし三環式の芳香族性炭素環式基を表し、例示的に、そして好ましくは、フェニル、ナフチルおよびフェナントレニルを表す。
【0034】
ヘテロアリール自体、およびヘテロアラルキル、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアラルキルオキシまたはヘテロアリールカルバモイルのヘテロアリール部分は、一般的に5個ないし10個、好ましくは5個または6個の環原子を有し、5個まで、好ましくは4個までのS、OおよびNからなる群から選択されるヘテロ原子を有する、芳香族性の単環式または二環式の基を表し、例示的に、そして好ましくは、チエニル、フリル、ピロリル、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、ピリジル、ピリミジル、ピリダジニル、インドリル、イソインドリノ、インダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、キノリニル、イソキノリニル、テトラゾリルおよびトリアゾリルを表す。
【0035】
複素環自体、および複素環カルボニル中のものは、一般的に4個ないし10個、そして好ましくは5個ないし8個の環原子を有し、N、O、S、SOおよびSOからなる群から選択される3個まで、好ましくは2個までのヘテロ原子および/またはヘテロ基を有する、単環式または多環式、好ましくは単環式または二環式の、非芳香族性複素環式基を表す。複素環の基は、飽和であっても部分不飽和であってもよい。O、NおよびSからなる群から選択される2個までのヘテロ原子を有する5員ないし8員の単環式飽和複素環基、例示的に、そして好ましくは、1,3−ジオキソラニル、テトラヒドロフラン−2−イル、ピロリジン−2−イル、ピロリジン−3−イル、ピロリニル、ピペリジニル、モルホリニル、ペルヒドロアゼピニルなどが好ましい。
【0036】
本発明の実施態様
本発明の式(I)の化合物は、様々な既知方法を組み合わせて製造できるが、それに限定されるものではない。いくつかの実施態様では、出発物質または中間体として使用される化合物のアミノ基、カルボキシル基およびヒドロキシル基などの1個またはそれ以上の置換基を、当業者に既知の保護基により保護するのが有利である。保護基の例は、"Protective Groups in Organic Synthesis (3rd Edition)" by Greene and Wuts, John Wiley and Sons, New York 1999 に記載されている。
【0037】
本発明の式(I)の化合物は、下記の[A]ないし[H]の方法により製造できるが、これらに限定されるわけではない。
[方法A]
【化14】

式(I−i)の化合物(式中、m、p、A、RおよびXは、上記定義と同じであり、YはNHを表す)は、式(II−i)(式中、Q、Q、QおよびQは、上記定義と同じである)または(II−ii)(式中、QおよびQは、上記定義と同じである)の化合物と、式(III)の化合物(式中、m、p、RおよびXは、上記定義と同じである)を反応させることにより製造できる。
【0038】
この反応は、例えば、ジクロロメタン、クロロホルムおよび1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素類;ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、ジオキサンおよびテトラヒドロフラン(THF)および1,2−ジメトキシエタンなどのエーテル類;ベンゼン、トルエンおよびキシレンなどの芳香族性炭化水素類;アセトニトリルなどのニトリル類;N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)およびN−メチルピロリドン(NMP)などのアミド類;1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)などの尿素;ジメチルスルホキシド(DMSO)などのスルホキシド類などを含む溶媒中で実施し得る。場合により、2種またはそれ以上の上記から選択される溶媒を混合し、使用できる。
この反応は、ピリジンまたはトリエチルアミンなどの有機塩基の存在下で実施できる。
【0039】
反応温度は、反応させようとする化合物に応じて、場合により設定できる。反応温度は、限定されるわけではないが、通常、だいたい室温ないし100℃である。この反応は、通常、30分間ないし48時間、好ましくは1ないし24時間実行し得る。
【0040】
化合物(II−i)、(II−ii)および(III)は、既知技法の使用により製造できるか、または、購入できる。
【0041】
[方法B]
【化15】

式(I−ii)の化合物(式中、m、p、A、RおよびXは、上記定義と同じであり、YはNHを表す)は、式(II−i)(式中、Q、Q、QおよびQは、上記定義と同じである)または(II−ii)(式中、QおよびQは、上記定義と同じである)の化合物を、ホスゲン、ジホスゲン、トリホスゲン、1,1−カルボニルジイミダゾール(CDI)または1,1'−カルボニルジ(1,2,4−トリアゾール)(CDT)と反応させ、次いで、式(IV)の化合物(式中、m、p、RおよびXは、上記定義と同じであり、YはNHまたはOを表す)を反応混合物に添加することにより、製造できる。
【0042】
この反応は、例えば、ジクロロメタン、クロロホルムおよび1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素類;ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、ジオキサンおよびテトラヒドロフラン(THF)および1,2−ジメトキシエタンなどのエーテル類;ベンゼン、トルエンおよびキシレンなどの芳香族性炭化水素類;アセトニトリルなどのニトリル類;N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)およびN−メチルピロリドン(NMP)などのアミド類;1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)などの尿素;ジメチルスルホキシド(DMSO)などのスルホキシド類などを含む溶媒中で実施し得る。場合により、2種またはそれ以上の上記から選択される溶媒を混合し、使用できる。
【0043】
反応温度は、反応させようとする化合物に応じて、場合により設定できる。反応温度は、限定されるわけではないが、通常、約20℃ないし50℃である。この反応は、通常、30分間ないし24時間、好ましくは1ないし10時間実行し得る。
【0044】
化合物(IV)は、購入できるか、または、既知技法の使用により製造でき、ホスゲン、ジホスゲン、トリホスゲン、CDIおよびCDTは、市販されている。
【0045】
[方法C]
【化16】

式(I−ii)の化合物(式中、m、p、A、RおよびXは、上記定義と同じであり、Yは、NHまたはOを表す)は、また、式(II−i)(式中、Q、Q、QおよびQは、上記定義と同じである)または(II−ii)(式中、QおよびQは、上記定義と同じである)の化合物を、式(V)の化合物(式中、Lは、塩素、臭素またはヨウ素原子などのハロゲン原子を表す)と反応させ、次いで式(IV)の化合物(式中、m、p、RおよびXは、上記定義と同じであり、YはNHまたはOを表す)を、反応混合物に添加することにより製造できる。
【0046】
この反応は、例えば、ジクロロメタン、クロロホルムおよび1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素類;ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、ジオキサンおよびテトラヒドロフラン(THF)および1,2−ジメトキシエタンなどのエーテル類;ベンゼン、トルエンおよびキシレンなどの芳香族性炭化水素類;アセトニトリルなどのニトリル類;N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)およびN−メチルピロリドン(NMP)などのアミド類;1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)などの尿素;ジメチルスルホキシド(DMSO)などのスルホキシド類などを含む溶媒中で実施し得る。場合により、2種またはそれ以上の上記から選択される溶媒を混合し、使用できる。
【0047】
反応温度は、反応させようとする化合物に応じて、場合により設定できる。反応温度は、限定されるわけではないが、通常、約20℃ないし50℃である。この反応は、通常、30分間ないし24時間、好ましくは1ないし10時間実行し得る。
【0048】
この反応は、例えば、ピリジン、トリエチルアミンおよびN,N−ジイソプロピルエチルアミンなどの有機アミン類、ジメチルアニリン、ジエチルアニリン、4−ジメチルアミノピリジンなどを含む塩基の存在下で、有利に実行できる。
式(V)の化合物は、購入できるか、または、既知技法の使用により製造できる。
【0049】
[方法D]
【化17】

【0050】
式(I−ii)の化合物(式中、m、p、A、RおよびXは、上記定義と同じであり、Yは、NHまたはOを表す)は、式(IV)の化合物(式中、m、p、RおよびXは、上記定義と同じであり、Yは、NHまたはOを表す)を、ホスゲン、ジホスゲン、トリホスゲン、1,1−カルボニルジイミダゾール(CDI)または1,1'−カルボニルジ(1,2,4−トリアゾール)(CDT)と反応させ、次いで、式(II−i)(式中、Q、Q、QおよびQは、上記定義と同じである)または(II−ii)(式中、QおよびQは、上記定義と同じである)の化合物を反応混合物に添加することにより、製造できる。
【0051】
この反応は、例えば、ジクロロメタン、クロロホルムおよび1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素類;ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、ジオキサンおよびテトラヒドロフラン(THF)および1,2−ジメトキシエタンなどのエーテル類;ベンゼン、トルエンおよびキシレンなどの芳香族性炭化水素類;アセトニトリルなどのニトリル類;N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)およびN−メチルピロリドン(NMP)などのアミド類;1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)などの尿素;ジメチルスルホキシド(DMSO)などのスルホキシド類などを含む溶媒中で実施し得る。場合により、2種またはそれ以上の上記から選択される溶媒を混合し、使用できる。
【0052】
反応温度は、反応させようとする化合物に応じて、場合により設定できる。反応温度は、限定されるわけではないが、通常、約20℃ないし50℃である。この反応は、通常、30分間ないし24時間、好ましくは1ないし10時間実行し得る。
【0053】
[方法E]
【化18】

【0054】
式(I−ii)の化合物(式中、m、p、A、RおよびXは、上記定義と同じであり、Yは、NHまたはOを表す)は、式(IV)の化合物(式中、m、p、RおよびXは、上記定義と同じであるり、YはNHまたはOを表す)と、式(V)の化合物(式中、Lは上記定義と同じである)を反応させ、次いで、式(II−i)(式中、Q、Q、QおよびQは、上記定義と同じである)または(II−ii)(式中、QおよびQは、上記定義と同じである)の化合物を反応混合物に添加することにより製造できる。
【0055】
この反応は、例えば、ジクロロメタン、クロロホルムおよび1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素類;ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、ジオキサンおよびテトラヒドロフラン(THF)および1,2−ジメトキシエタンなどのエーテル類;ベンゼン、トルエンおよびキシレンなどの芳香族性炭化水素類;アセトニトリルなどのニトリル類;N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)およびN−メチルピロリドン(NMP)などのアミド類;1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)などの尿素;ジメチルスルホキシド(DMSO)などのスルホキシド類などを含む溶媒中で実施し得る。場合により、2種またはそれ以上の上記から選択される溶媒を混合し、使用できる。
【0056】
反応温度は、反応させようとする化合物に応じて、場合により設定できる。反応温度は、限定されるわけではないが、通常、約20℃ないし50℃である。この反応は、通常、30分間ないし24時間、好ましくは1ないし10時間実行し得る。
【0057】
この反応は、例えば、ピリジン、トリエチルアミンおよびN,N−ジイソプロピルエチルアミンのような有機アミン類、ジメチルアニリン、ジエチルアニリン、4−ジメチルアミノピリジンなどを含む塩基の存在下で、有利に実施できる。
【0058】
[方法F]
【化19】

式(I−iii)の化合物(式中、m、p、A、RおよびXは、上記定義と同じであり、YはCHを表す)は、式(II−i)(式中、Q、Q、QおよびQは、上記定義と同じである)または(II−ii)(式中、QおよびQは、上記定義と同じである)の化合物を、式(VI)の化合物(式中、m、p、RおよびXは、上記定義と同じであり、YはCHを表し、Lは、塩素、臭素またはヨウ素原子などのハロゲン原子、ヒドロキシなどを表す)と反応させることにより製造できる。
【0059】
この反応は、例えば、ジクロロメタン、クロロホルムおよび1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素類;ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、ジオキサンおよびテトラヒドロフラン(THF)および1,2−ジメトキシエタンなどのエーテル類;ベンゼン、トルエンおよびキシレンなどの芳香族性炭化水素類;アセトニトリルなどのニトリル類;N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)およびN−メチルピロリドン(NMP)などのアミド類;1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)などの尿素;ジメチルスルホキシド(DMSO)などのスルホキシド類などを含む溶媒中で実施し得る。場合により、2種またはそれ以上の上記から選択される溶媒を混合し、使用できる。
【0060】
反応温度は、反応させようとする化合物に応じて、場合により設定できる。反応温度は、限定されるわけではないが、通常、約0℃ないし200℃、好ましくは約20℃ないし180℃である。この反応は、通常、30分間ないし48時間、好ましくは2ないし12時間実行し得る。
【0061】
この反応は、例えば、ピリジン、トリエチルアミンおよびN,N−ジイソプロピルエチルアミンなどの有機アミン類、ジメチルアニリン、ジエチルアニリン、4−ジメチルアミノピリジンなどを含む塩基の存在下で、有利に実行できる。
式(VI)の化合物は、購入できるか、または、既知技法の使用により製造できる。
【0062】
[方法G]
【化20】

式(I−a)および(I−b)の化合物(式中、m、p、R、XおよびYは、上記定義と同じである)は、以下の操作により製造できる。
【0063】
段階G−1で、式(VIII)の化合物(式中、m、p、R、XおよびYは、上記定義と同じである)は、式(I)の化合物の製造のための方法[A]ないし[F]の記載と同様のやり方で、式(II−i)または(II−ii)の化合物の代わりに式(VII)の化合物を使用することにより製造できる。
【0064】
段階G−2で、式(I−a)の化合物(式中、m、p、R、XおよびYは、上記定義と同じである)は、式(VIII)の化合物(式中、m、p、R、XおよびYは、上記定義と同じである)を、塩酸などの酸と反応させることにより製造できる。
【0065】
この反応は、例えば、ジクロロメタン、クロロホルムおよび1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素類;ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、ジオキサンおよびテトラヒドロフラン(THF)および1,2−ジメトキシエタンなどのエーテル類;メタノール、エタノールなどのアルコール類;水などを含む溶媒中で実施し得る。場合により、2種またはそれ以上の上記から選択される溶媒を混合し、使用できる。
【0066】
反応温度は、反応させようとする化合物に応じて、場合により設定できる。反応温度は、限定されるわけではないが、通常、約20℃ないし100℃である。この反応は、通常、30分間ないし24時間、好ましくは1ないし10時間実行し得る。
【0067】
段階G−3で、式(I−b)の化合物(式中、m、p、R、XおよびYは、上記定義と同じである)は、式(I−a)の化合物(式中、m、p、R、XおよびYは、上記定義と同じである)を、水素化ホウ素ナトリウムまたは水素化リチウムアルミニウムなどの還元剤と反応させることにより製造できる。
【0068】
この反応は、例えば、ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、ジオキサンおよびテトラヒドロフラン(THF)および1,2−ジメトキシエタンなどのエーテル類;メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類などを含む溶媒中で実施し得る。場合により、2種またはそれ以上の上記から選択される溶媒を混合し、使用できる。
【0069】
反応温度は、反応させようとする化合物に応じて、場合により設定できる。反応温度は、限定されるわけではないが、通常、約20℃ないし50℃である。この反応は、通常、30分間ないし24時間、好ましくは1ないし10時間実行し得る。
式(VII)の化合物は、購入できるか、または、既知技法の使用により製造できる。
【0070】
[方法H]
【化21】

【0071】
化合物(I)の立体異性体のR型(I−c)(式中、m、p、R、XおよびYは、上記定義と同じである)は、式(I)の化合物の製造のための方法[A]ないし[F]の記載と同様のやり方で、式(II)の化合物の代わりに式(II−a)の化合物を使用することにより製造できる。
【0072】
化合物(I)の立体異性体のS型(I−c')(式中、m、p、R、XおよびYは、上記定義と同じである)は、式(I)の化合物の製造のための方法[A]ないし[F]の記載と同様のやり方で、式(II)の化合物の代わりに式(II−a')の化合物を使用することにより製造できる。
化合物(II−a)または(II−a')は、既知技法の使用により製造できる。
【0073】
式(I)で示される化合物またはその塩が構造中に不斉炭素を有する場合、それらの光学活性化合物およびラセミ混合物も、本発明の範囲に包含される。
【0074】
式(I)で示される化合物の典型的な塩には、本発明の化合物を、無機もしくは有機酸、または有機もしくは無機塩基と反応させることにより製造される塩が含まれる。かかる塩は、各々、酸付加塩および塩基付加塩として知られている。
【0075】
酸付加塩を形成する酸には、限定されないが、硫酸、リン酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸などの無機酸、および、限定されないが、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、蓚酸、p−ブロモフェニルスルホン酸、炭酸、コハク酸、クエン酸、安息香酸、酢酸などの有機酸が含まれる。
【0076】
塩基付加塩には、限定されないが、水酸化アンモニウム、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩などの無機塩基、および、限定されないが、エタノールアミン、トリエチルアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンなどの有機塩基から誘導されるものが含まれる。無機塩基の例には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウムなどが含まれる。
【0077】
本発明の化合物またはその塩は、その置換基に依存して、低級アルキルエステル類または既知の他のエステル類;および/または水和物または他の溶媒和物を形成するように修飾され得る。それらのエステル類、水和物および溶媒和物は、本発明の範囲に包含される。
【0078】
本発明の化合物は、限定されないが、通常および腸溶性被覆錠剤、カプセル剤、丸剤、粉末剤、顆粒剤、エリキシル剤、チンキ剤、液剤、懸濁剤、シロップ剤、固体および液体エアゾル剤並びに乳剤などの経口形態で投与し得る。それらはまた、限定されないが、静脈内、腹腔内、皮下、筋肉内などの、医薬分野の当業者に周知の非経腸形態で投与し得る。本発明の化合物は、適切な鼻腔内媒体の局所使用を介して鼻腔内形態で、または当業者に周知の経皮送達システムを使用して経皮経路で、投与できる。
【0079】
本発明の化合物の使用を伴う投薬法は、限定されないが、受容者の年齢、体重、性別および健康状態、処置しようとする症状の重篤度、投与経路、受容者の代謝および排出機能のレベル、用いる投薬形、用いる特定の化合物およびその塩などを含む様々な要因を考慮して、当業者により選択される。
【0080】
本発明の化合物は、好ましくは、投与に先立ち、1またはそれ以上の医薬的に許容し得る賦形剤と一緒に製剤化される。賦形剤は、限定されないが、担体、希釈剤、着香料、甘味料、潤滑剤、可溶化剤、懸濁化剤、結合剤、錠剤崩壊剤およびカプセル化材料などの不活性物質である。
【0081】
本発明のなお別の実施態様は、本発明の化合物および1またはそれ以上の医薬的に許容し得る賦形剤を含む医薬製剤である。賦形剤は、製剤の他の成分と適合し、その受容者に有害でないものである。本発明の医薬製剤は、治療的有効量の本発明の化合物と、1またはそれ以上の医薬的に許容し得る賦形剤を一緒に合わせることにより製造する。本発明の組成物の作成において、有効成分を希釈剤と混合してもよく、あるいは、カプセル、小袋、紙または他の容器の形態であり得る担体に封入してもよい。担体は、媒体として作用する固体、半固体または液体の物質であり得る希釈剤として役立ち得るか、または、錠剤、丸剤、粉末剤、トローチ剤、エリキシル剤、懸濁剤、乳剤、液剤、シロップ剤、エアゾル剤、軟膏(例えば10重量%までの活性化合物を含有する)、ソフトおよびハードゼラチンカプセル剤、坐剤、滅菌注射可能液剤および滅菌包装粉末剤の形態であり得る。
【0082】
経口投与のために、有効成分を、限定されないが、乳糖、デンプン、ショ糖、ブドウ糖、炭酸ナトリウム、マンニトール、ソルビトール、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、メチルセルロースなどの経口用、非毒性、医薬的に許容し得る担体と;場合により、限定されないが、トウモロコシ、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタン・ガム、アルギン酸などの崩壊剤と;そして、場合により、例えば、限定されないが、ゼラチン、天然糖、ベータ−乳糖、トウモロコシ甘味料、天然および合成ゴム、アカシア、トラガカント、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、蝋などの結合剤と;そして、場合により、例えば、限定されないが、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸、オレイン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、タルクなどの潤滑剤と、合わせ得る。
【0083】
粉末形態では、担体は、微粉化した固体であり得、それを微粉化した有効成分と混合する。有効成分は、結合特性を有する担体と適切な割合で混合し得、錠剤を製造するのに望ましい形状とサイズに成形し得る。粉末剤および錠剤は、好ましくは、約1ないし約99重量パーセントの、本発明の新規組成物である有効成分を含有する。適する固体担体は、マグネシウムカルボキシメチルセルロース、低融点蝋およびココアバターである。
【0084】
滅菌液体製剤には、懸濁剤、乳剤、シロップ剤およびエリキシル剤が含まれる。有効成分は、滅菌水、滅菌有機溶媒、または滅菌水と滅菌有機溶媒の両方の混合物などの、医薬的に許容し得る担体に溶解または懸濁できる。
【0085】
有効成分はまた、例えば、水性プロピレングリコールなどの適する有機溶媒に溶解することもできる。他の組成物は、微粉化した有効成分を、水性デンプンもしくはナトリウムカルボキシメチルセルロース溶液または適切な油に分散させることにより作成できる。
【0086】
製剤は、単位剤型であり得る。それは、ヒトまたは他の哺乳動物への投与に適する単位用量を含有する、物理的に別個の単位である。単位剤型は、1個のカプセル剤もしくは錠剤、または数個のカプセル剤もしくは錠剤であり得る。「単位用量」は、1またはそれ以上の賦形剤と共に所望の治療効果を奏するために算出された、予め定めた本発明の活性化合物の量である。単位用量中の有効成分の量は、関与する特定の処置に従い、約0.1ないし約1000ミリグラムまたはそれ以上の範囲で変動し得、またはそれに合わせ得る。
【0087】
本発明の典型的な経口用量は、指示された効果のために使用するとき、約0.01mg/kg/日ないし約100mg/kg/日、好ましくは、0.1mg/kg/日ないし30mg/kg/日、最も好ましくは、約0.5mg/kg/日ないし約10mg/kg/日の範囲にある。非経腸投与の場合、約0.001ないし100mg/kg/日、好ましくは0.01mg/kg/日ないし1mg/kg/日の量を投与するのが有利であることが、一般的に証明された。本発明の化合物は、一日量で投与してもよく、あるいは、総一日量を、一日に2回、3回またはそれ以上に分割された用量で投与してもよい。送達が経皮形態を介する場合、当然、投与は連続的である。
【0088】
実施例
本発明を実施例の形態として記載するが、それらは決して本発明の境界および限界を定義するものと解釈されるべきではない。
下記実施例では、断りのない限り、全ての量的データは重量パーセントに関する。
【0089】
質量分析は、エレクトロスプレー(ES)イオン化法(micromass Platform LC)を使用して得た。融点は無補正である。液体クロマトグラフィー−質量分析(LC−MS)のデータは、Shimadzu Phenomenex ODS カラム(4.6mmΦ X 30mm)を用いて Micromass Platform LC で記録し、アセトニトリル−水(9:1ないし1:9)の混合物を、流速1ml/分で流した。TLCは、予め被覆したシリカゲルプレート(Merck silica gel 60 F-254) 上で実施した。シリカゲル(WAKO−ゲルC−200(75−150μm))を、全てのカラムクロマトグラフィー分離に使用した。全化学物質は試薬等級であり、Sigma-Aldrich、和光純薬株式会社、英国、東京化成工業株式会社、ナカライテスク株式会社、渡辺化学工業株式会社、Maybridge plc、Lancaster Synthesis Ltd.、Merck KgaA、ドイツ、Kanto Chemical Co., Ltd.から購入した。
【0090】
H NMRスペクトルは、Bruker DRX-300 (1Hに300 MHz) 分光計またはBrucker 500 UltraShieled(商標)(1Hに500 MHz)のいずれかを使用して記録した。化学シフトを、テトラメチルシラン(TMS)をゼロppmでの内部標準として、百万分率(ppm)で報告する。結合定数(J)は、ヘルツで示し、略号s、d、t、q、mおよびbrは、各々、一重線、二重線、三重線、四重線、多重線および幅広(broad)を意味する。質量決定は、MAT95 (Finnigan MAT)により実施した。
全出発物質は、市販されているか、または、文献に記載されている方法を使用して製造できる。
【0091】
本化合物の効果を、以下のアッセイおよび薬理試験により調べた。
[ヒトVR1−形質移入CHO細胞株におけるカプサイシン誘導Ca2+流入の測定](アッセイ1)
(1)ヒトVR1−CHOluc9aeq細胞株の樹立
ヒトバニロイド受容体(hVR1)cDNAを、軸索切断された後根神経節のライブラリーからクローニングした(WO00/29577)。クローニングしたhVR1cDNAを、pcDNA3ベクターで構築し、CHOluc9aeq細胞株に形質移入した。細胞株は、エクオリンおよびCREルシフェラーゼレポーター遺伝子を読み出しシグナルとして有する。形質移入体を、選択培地(10%FCS、1.4mMピルビン酸ナトリウム、20mM HEPES、0.15%重炭酸ナトリウム、100U/mlペニシリン、100μg/mlストレプトマイシン、2mMグルタミン、非必須アミノ酸および2mg/ml G418を添加したDMEM/F12培地(Gibco BRL))中での限界希釈によりクローニングした。Ca2+流入をカプサイシン刺激クローンで調べた。高応答クローンを選択し、本プロジェクトにおけるさらなる実験に使用した。ヒトVR1−CHOluc9aeq細胞を選択培地で維持し、3−4日毎に1−2.5x10細胞/フラスコ(75mm)で植え継いだ。
【0092】
(2)FDSS−3000を使用するCa2+流入の測定
ヒトVR1−CHOluc9aeq細胞を、G418以外は選択培地と同じである培養培地に懸濁し、1ウェルにつき1,000個の細胞の密度で384ウェルプレート(黒壁、透明底/Nalge Nunc International)に播いた。48時間培養した後、培地を2μM Fluo−3AM(Molecular Probes) および0.02% Puronic F-127 を含むアッセイ緩衝液(ハンクス平衡塩類溶液(HBSS)、17mM HEPES(pH7.4)、1mMプロベネシド、0.1%BSA)に換え、細胞を60分間25℃でインキュベートした。アッセイ緩衝液で2回洗浄した後、細胞を試験化合物または媒体(vehicle)と20分間25℃でインキュベートした。10nMカプサイシンによる刺激の後、細胞質Ca2+の流動を、FDSS−3000(λex=488nm、λem=540nm/浜松ホトニクス)で、60秒間測定した。積分値Rを算出し、対照と比較した。
【0093】
[初代培養したラット後根神経節ニューロンにおけるカプサイシン誘導Ca2+流入の測定](アッセイ2)
(1)ラット後根神経節ニューロンの調製
新生 Wister ラット(5−11日齢)を殺し、後根神経節(DRG)を取り出した。DRGを、0.1%トリプシン(Gibco BRL)を含むPBS(−)(Gibco BRL)と、30分間37℃でインキュベートし、半量のウシ胎児血清(FCS)を添加し、細胞を遠沈した。DRG神経細胞をHam F12/5%FCS/5%ウマ血清(Gibco BRL)に再懸濁し、ピペッティングと70μmメッシュ(Falcon)の通過を繰り返して分散させた。混入しているシュワン細胞を除去するために、培養プレートを3時間37℃でインキュベートした。非接着細胞を回収し、ラミニン被覆384ウェルプレート(Nunc)中、1x10細胞/50μl/ウェルで、2日間、50ng/ml組換えラットNGF(Sigma)および50μM5−フルオロデオキシウリジン(Sigma)の存在下で、さらに培養した。
【0094】
(2)Ca2+流動アッセイ
DRG神経細胞を、17mM HEPES(pH7.4)および0.1%BSAを添加したHBSSで2回洗浄した。2μM fluo−3AM(Molecular Probe)、0.02%PF127(Gibco BRL)および1mMプロベネシド(Sigma)と、40分間37℃でインキュベートした後、細胞を3回洗浄した。細胞をFDSS−6000(λex=480nm、λem=520nm/浜松ホトニクス)中で、VR1アンタゴニストまたは媒体(ジメチルスルホキシド)と、次いで1μMカプサイシンとインキュベートした。480nmでの蛍光の変化を2.5分間モニターした。積分値Rを算出し、対照と比較した。
【0095】
[カプサイシン誘導膀胱収縮を測定するための器官浴アッセイ](アッセイ3)
雄の Wistar ラット(10週齢)を、エーテルで麻酔し、首を脱臼させて殺した。全膀胱を摘出し、酸素を含ませた以下の組成(112mM NaCl、5.9mM KCl、1.2mM MgCl、1.2mM NaHPO、2mM CaCl、2.5mM NaHCO、12mMグルコース)の修正クレブス・ヘンゼライト液(pH7.4)に入れた。以前に記載された通りに膀胱の収縮反応を調査した [Maggi CA et al: Br.J.Pharmacol. 108: 801-805, 1993]。ラット排尿筋の縦方向の細長い切片を使用して、1g負荷下での等尺性張力を記録した。各刺激の前に、膀胱切片を60分間平衡化した。80mM KClに対する収縮反応を、再現性のある反応が得られるまで、15分間隔で測定した。KClに対する反応を、カプサイシンに対する最大反応を評価する内部標準として使用した。1μMカプサイシンによる刺激に先立ち切片を化合物と30分間インキュベートすることにより、化合物の効果を調べた(媒体:80%塩水、10%EtOHおよび10% Tween 80)。同じ動物から作成された標本の1つを対照として供し、他を化合物の評価に使用した。内部標準(即ち、KCl誘導収縮)に対する各カプサイシン誘導収縮の比を算出し、カプサイシン誘導収縮に対する試験化合物の効果を評価した。
【0096】
[ヒトP2X1形質移入CHO細胞株におけるCa2+流入の測定]
(1)ヒトP2X1形質移入CHOluc9aeq細胞株の調製
ヒトP2X1形質移入CHOluc9aeq細胞株を樹立し、7.5%FCS、20mM HEPES−KOH(pH7.4)、1.4mMピルビン酸ナトリウム、100U/mlペニシリン、100μg/mlストレプトマイシン、2mMグルタミン(Gibco BRL)および0.5ユニット/mlアピラーゼ(グレードI、Sigma)を添加したダルベッコ変法イーグル培地(DMEM/F12)中で維持した。懸濁した細胞を、384ウェル光学底黒色プレート(Nalge Nunc International)の各ウェルに3x10/50μl/ウェルで播いた。続いて48時間細胞を培養し、プレートに接着させた。
【0097】
(2)細胞内Ca2+レベルの測定
P2X1受容体アゴニストに媒介される細胞質Ca2+レベルの上昇を、蛍光Ca2+キレート化染料であるFluo−3AM(Molecular Probes)を使用して測定した。プレートに接着した細胞を洗浄緩衝液(HBSS、17mM HEPES−KOH(pH7.4)、0.1%BSAおよび0.5ユニット/mlアピラーゼ)で2回洗浄し、40μlのロード用(loading)緩衝液(洗浄緩衝液中、1μM Fluo−3AM、1mMプロベネシド、1μMシクロスポリンA、0.01%プルロニック(Molecular Probes))中、1時間、暗所でインキュベートした。プレートを40μlの洗浄緩衝液で2回洗浄し、35μlの洗浄緩衝液を、5μlの試験化合物または基準としての2',3'−o−(2,4,6−トリニトロフェニル)アデノシン5'−三リン酸(Molecular Probes)と共に、各ウェルに添加した。さらに10分間暗所でインキュベートした後、200nMα,β−メチレンATPアゴニストを添加し、Ca2+流動を開始させた。蛍光強度を、FDSS−6000(λex=410nm、λem=510nm/浜松ホトニクス)により250msec間隔で測定した。データから積分比を算出し、対照のものと比較した。
【0098】
[麻酔ラットにおけるカプサイシン誘導膀胱収縮の測定](アッセイ4)
(1)動物
雌の Sprague-Dawley ラット(200〜250g/日本チャールズ・リバー)を使用した。
(2)カテーテル移植
1.2g/kgのウレタン(Sigma)の腹腔内投与により、ラットを麻酔した。正中切開により腹部を切開し、円蓋部を通してポリエチレンカテーテル(BECTON DICKINSON, PE50)を膀胱に移植した。並行して、鼠径部を切開し、2IU/mlのヘパリン(Novo Heparin, Aventis Pharma)を含む塩水(Otsuka)を満たしたポリエチレンカテーテル(Hibiki、サイズ5)を、総腸骨動脈に挿入した。
【0099】
(3)膀胱計量(cystometric)調査
T管を介して膀胱カテーテルを圧力変換器(Viggo-Spectramed Pte Ltd, DT-XXAD)およびマイクロインジェクションポンプ(TERUMO)に連結した。塩水を室温で膀胱に2.4ml/時の速度で注入した。膀胱内圧をチャートペンレコーダー(Yokogawa)で継続的に記録した。20分間に相当する少なくとも3回の再現性のある排尿サイクルを、試験化合物投与前に記録し、ベースライン値として使用した。
【0100】
(4)試験化合物の投与とカプサイシンによる膀胱刺激
化合物を投与する前に、塩水注入を停止した。エタノール、Tween 80(ICN Biomedicals Inc.)および塩水(1:1:8、v/v/v)の混合物に溶解した試験化合物を、動脈内に10mg/kgで投与した。化合物の投与から2分後、エタノールに溶解したカプサイシン(Nacalai Tesque)10μgを動脈内投与した。
【0101】
(5)膀胱計量パラメーターの分析
カプサイシン誘導膀胱内圧の相対的上昇を、膀胱計量データから分析した。カプサイシン誘導膀胱圧を、カプサイシン刺激のない排尿中の最大膀胱圧と比較した。試験化合物に媒介される膀胱圧上昇の阻害を、スチューデントのt検定を使用して評価した。5%より小さい確率水準を、有意差と認めた。
【0102】
[麻酔した膀胱炎のラットにおける過活動膀胱の測定](アッセイ5)
(1)動物
雌の Sprague-Dawley ラット(180〜250g/日本チャールズ・リバー)を使用した。塩水に溶解したシクロホスファミド(CYP)を実験の48時間前に150mg/kgで腹腔内投与した。
【0103】
(2)カテーテル移植
1.25g/kgのウレタン(Sigma)の腹腔内投与により、ラットを麻酔した。正中切開により腹部を切開し、円蓋部を通してポリエチレンカテーテル(BECTON DICKINSON, PE50)を膀胱に移植した。並行して、鼠径部を切開し、塩水(Otsuka)を満たしたポリエチレンカテーテル(BECTON DICKINSON, PE50)を、大腿静脈に挿入した。膀胱が空になった後、手術からの回復のためにラットを1時間放置した。
【0104】
(3)膀胱計量調査
T管を介して膀胱カテーテルを圧力変換器(Viggo-Spectramed Pte Ltd, DT-XXAD)およびマイクロインジェクションポンプ(TERUMO)に連結した。塩水を室温で膀胱に3.6ml/時の速度で20分間注入した。膀胱内圧をチャートペンレコーダー(Yokogawa)で継続的に記録した。20分間に相当する少なくとも3回の再現性のある排尿サイクルを、試験化合物投与前に記録した。
【0105】
(4)試験化合物の投与
エタノール、Tween 80(ICN Biomedicals Inc.)および塩水(1:1:8、v/v/v)の混合物に溶解した試験化合物を、静脈内に0.05mg/kg、0.5mg/kgまたは5mg/kgで投与した。化合物の投与から3分後、塩水(Nacalai Tesque)を室温で膀胱に3.6ml/時の速度で注入した。
【0106】
(5)膀胱計量パラメーターの分析
膀胱計量パラメーターを以前に記載された通りに分析した [Lecci A et al: Eur. J. Pharmacol. 259: 129-135, 1994]。排尿間隔から算出した排尿頻度と、最初の排尿までの塩水注入量から算出した膀胱容積を、膀胱計量データから分析した。試験化合物に媒介される頻度の阻害と、試験化合物に媒介される膀胱容積の増大を、対応のない(unpaired)スチューデントのt検定を使用して評価した。5%より小さい確率水準を、有意差と認めた。データを、4−7匹のラットの平均±SEMとして分析した。
【0107】
[急性疼痛の測定]
急性疼痛は、ホットプレート上で、主にラットで測定する。ホットプレート試験の2つの変法を使用する:古典的変法では、動物を熱い表面(52ないし56℃)に置き、動物が足踏みしたり足をなめたりするなどの侵害受容行動を示すまで、潜時を測定する。他方の変法は、温度上昇ホットプレートであり、実験動物を中間的な温度の表面に置く。続いて、動物が後足をなめ始めるまで、この表面をゆっくりとしかし絶えず加熱する。後足をなめ始めた時に達する温度が、疼痛閾値の測定値である。
【0108】
化合物を、媒体処置対照群と対照して試験する。疼痛試験に先立ち、様々な時点で、様々な投与経路(i.v.、i.p.、p.o.、i.t.、i.c.v.、s.c.、皮内、経皮)を介して、物質投与を実施する。
【0109】
[持続性疼痛の測定]
ホルマリンまたはカプサイシン試験で、持続性疼痛を主にラットで測定する。1ないし5%ホルマリンまたは10ないし100μgカプサイシンの溶液を実験動物の一方の後足に注射する。ホルマリンまたはカプサイシン適用の後、動物は、冒された足をひいたり、なめたり、噛んだりするなどの侵害受容反応を示す。90分間までの時間枠内における侵害受容反応の数が、疼痛強度の測定値である。
【0110】
化合物を、媒体処置対照群と対照して試験する。ホルマリンまたはカプサイシン投与に先立ち、様々な時点で、様々な投与経路(i.v.、i.p.、p.o.、i.t.、i.c.v.、s.c.、皮内、経皮)を介して、物質投与を実施する。
【0111】
[神経因性疼痛の測定]
片側性坐骨神経損傷の様々な変法により、主にラットで神経因性疼痛を誘導する。手術は、麻酔下で実施する。坐骨神経損傷の第1の変法は、ゆるく収縮する結紮糸を総坐骨神経(common sciatic nerve)のまわりに配置することにより成す (Bennett and Xie, Pain 33 (1988): 87-107)。第2の変法は、総坐骨神経の直径の約半分の緊密な結紮である (Seltzer et al., Pain 43 (1990): 205-218)。次の変法では、緊密な結紮または切断を、L5およびL6脊髄神経か、またはL5脊髄神経のみかのいずれかに施す一群のモデルを使用する (KIM SH; CHUNG JM, AN EXPERIMENTAL-MODEL FOR PERIPHERAL NEUROPATHY PRODUCED BY SEGMENTAL SPINAL NERVE LIGATION IN THE RA, PAIN 50 (3) (1992): 355-363)。第4の変法は、坐骨神経の3本の末端枝のうちの2本(脛骨神経および総腓骨神経(common peroneal nerve))の軸索切断を含み、残りの腓腹神経はそのままにしておく。一方、最後の変法は、脛骨枝の軸索切断のみを含み、腓腹神経および総腓骨神経は無傷にしておく。対照動物は、偽手術処置する。
【0112】
術後、神経損傷動物は、慢性の機械誘発異痛(mechanical allodynia)、冷感異痛(cold allodynia)、並びに熱痛覚過敏を発症する。機械誘発異痛は、圧力変換器 (electronic von Frey Anesthesiometer, IITC Inc.-Life Science Instruments, Woodland Hills, SA, USA; Electronic von Frey System, Somedic Sales AB, Hoerby, Sweden) を利用して測定する。熱痛覚過敏は、放射熱源(Plantar Test, Ugo Basile, Comerio, Italy)を利用するか、または、5ないし10℃のコールドプレートを利用して測定し、冒された後足の侵害防御反応を疼痛強度の測定値として計測する。冷感誘導疼痛のさらなる試験は、冒された後脚にアセトンを足底投与した後の、侵害防御反応または侵害防御反応の期間の計測である。一般に、慢性疼痛は、活動の概日リズムを記録することにより(Surjo and Arndt, Universitaet zu Koeln, Cologne, Germany)、そして、歩行の差異をスコア付けすることにより (足跡パターン; FOOTPRINTS program, Klapdor et al., 1997. A low cost method to analyse footprint patterns. J. Neurosci. Methods 75, 49-54)、評価する。
【0113】
化合物を、偽手術対照群および媒体処置対照群と対照して試験する。疼痛試験に先立ち、様々な時点で、様々な投与経路(i.v.、i.p.、p.o.、i.t.、i.c.v.、s.c.、皮内、経皮)を介して、物質投与を実施する。
【0114】
[炎症性疼痛の測定]
炎症性疼痛は、一方の後足に0.75mgカラゲナンまたはフロイントの完全アジュバントを注射することにより、主にラットで誘導する。動物は、機械誘発異痛を伴う浮腫および熱痛覚過敏を発症する。機械誘発異痛は、圧力変換器(electronic von Frey Anesthesiometer, IITC Inc.-Life Science Instruments, Woodland Hills, SA, USA) を利用して測定する。熱痛覚過敏は、放射熱源 (Plantar Test, Ugo Basile, Comerio, Italy, Paw thermal stimulator, G. Ozaki, University of California, USA)を利用して測定する。浮腫の測定のために、2つの方法を使用する。第1の方法では、動物を殺し、冒された後足を切片にし、重さを量る。第2の方法は、肢体容積計(plethysmometer;Ugo Basile, Comerio, Italy)における水との置き換えを測定することによる、後足体積の差異を含む。
【0115】
化合物を、非炎症対照群および媒体処置対照群と対照して試験する。疼痛試験に先立ち、様々な時点で、様々な投与経路(i.v.、i.p.、p.o.、i.t.、i.c.v.、s.c.、皮内、経皮)を介して、物質投与を実施する。
【0116】
[糖尿病性神経因性疼痛の測定]
50ないし80mg/kgストレプトゾトシンの単回腹腔内注射で処置したラットは、1ないし3週間の内に根深い高血糖および機械誘発異痛を発症する。機械誘発異痛は、圧力変換器 (electronic von Frey Anesthesiometer, IITC Inc.-Life Science Instruments, Woodland Hills, SA, USA) を利用して測定する。
【0117】
化合物を、糖尿病および非糖尿病の媒体処置対照群と対照して試験する。疼痛試験に先立ち、様々な時点で、様々な投与経路(i.v.、i.p.、p.o.、i.t.、i.c.v.、s.c.、皮内、経皮)を介して、物質投与を実施する。
【0118】
ヒトVR1−形質移入CHO細胞株におけるカプサイシン誘導Ca2+流入アッセイ(アッセイ1)の結果を、下記の実施例および実施例の表に示す。実用的な理由から、化合物を以下の通りに活性に基づき4つのクラスにグループ分けする:
IC50=A(<または=)0.1μM<B(<または=)0.5μM<C(<または=)1μM<D
本発明の化合物はまた、上記のアッセイ2−5および疼痛に関するアッセイにおいて、優れた選択性と強い活性を示す。
【0119】
出発化合物の製造
[出発化合物A]
7−アミノ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−オール
【化22】

【0120】
密封ステンレス−鋼反応容器中の2,7−ジヒドロキシナフタレン(3.24g、20.2mmol)、重亜硫酸ナトリウム(2.38g、22.9mmol)および28%アンモニア水溶液(50mL)の混合物を、150℃で4.5時間加熱した。外界温度に冷却した後、酢酸エチルとアセトニトリルの混合物を添加し、次いで1N水酸化ナトリウム水溶液で抽出した。水層をpH1に酸化し、混合物を酢酸エチルで抽出した。混合物を減圧下で濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離剤:酢酸エチル/ヘキサン=1/3)により精製し、7−アミノ−2−ナフトール(0.54g)を得た。
MS(ESI)m/z160[M+H]
1H NMR (CDCl3-d) δ 3.80 (brs, 2H), 4.82 (s, 1H), 6.78 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 7.26 - 6.83 (m, 2H), 6.90 (s, 1H), 7.57 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 7.58 (d, J = 7.8 Hz, 1H).
【0121】
次に、テトラヒドロフラン(30mL)中の7−アミノ−2−ナフトール(0.54g、3.39mmol)およびジ−t−ブチルカルボネート(0.74g、3.39mmol)の混合物を、室温で16時間撹拌した。混合物に水を添加し、酢酸エチルで抽出した。有機層をMgSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(溶離剤:酢酸エチル/ヘキサン=1/2)により精製し、tert−ブチル(7−ヒドロキシ−2−ナフチル)カルバメート(615mg)を得た。
MS(ESI)m/z204[M+H]
1H NMR (CDCl3-d) δ 1.53 (s, 9H), 5.22 (s, 1H), 6.59 (brs, 1H), 6.98 (dd, J = 2.5, 8.8 Hz, 1H), 7.05 (d, J = 2.5 Hz, 1H), 7.14 (dd, J = 2.1, 8.8 Hz, 1H), 7.64 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 7.66 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 7.84 (s, 1H).
【0122】
次に、アセトン(50mL)中のtert−ブチル(7−ヒドロキシ−2−ナフチル)カルバメート(61omg、2.35mmol)、ヨウ化エチル(734mg、4.70mmol)および炭酸カリウム(650mg、4.70mmol)の混合物を、還流温度で16時間撹拌した。混合物を濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離剤:酢酸エチル/ヘキサン=1/2)により精製し、tert−ブチル(7−エトキシ−2−ナフチル)カルバメート(440mg)を得た。
MS(ESI)m/z232[M+H]
1H NMR (CDCl3-d) δ1.46 (t, J = 7.0 Hz, 3H), 1.55 (s, 9H), 4.12 (q, J = 7.0 Hz, 2H), 6.58 (s, 1H), 7.02 (dd, J = 2.5, 8.9 Hz, 1H), 7.06 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 7.12 (dd, J = 2.3, 8.9 Hz, 1H), 7.63 (d, J = 8.9 Hz, 1H), 7.65 (d, J = 8.9 Hz, 1H), 7.92 (s, 1H).
【0123】
次に、テトラヒドロフラン(25mL)中のtert−ブチル(7−エトキシ−2−ナフチル)カルバメート(530mg、1.84mmol)およびt−ブタノール(0.53mL)の入ったフラスコの中で、液体アンモニア(150mL)を−78℃で集めた。リチウム(38.4mg)を添加し、混合物を1時間撹拌した。室温に上昇後、混合物を減圧下で濃縮し、次いで水を添加した。混合物を酢酸エチルで抽出し、有機層を塩水で洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた残渣にテトラヒドロフラン(38mL)と塩酸の1N水溶液(12mL)の混合物を添加し、45℃で45分間撹拌した。混合物を低温で濃縮し、次いで酢酸エチルを添加した。有機層をMgSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた物質をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離剤:酢酸エチル/ヘキサン=1/4)により精製し、tert−ブチル(7−オキソ−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−2−イル)カルバメート(177mg)を得た。
MS(ESI)m/z206[M+H]
1H NMR (CDCl3-d) δ 1.52 (s, 9H), 2.53 (t, J = 6.9 Hz, 2H), 3.00 (t, J = 6.9 Hz, 2H), 3.56 (s, 2H), 4.30 (brs, 1H), 6.41 (brs, 1H), 7.10 - 7.15 (m, 2H).
【0124】
次いで、tert−ブチル(7−オキソ−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−2−イル)カルバメート(177mg、0.68mmol)のメタノール溶液(10mL)に、水素化ホウ素ナトリウム(25.6mg、0.68mml)を0℃で添加した。1時間撹拌した後、水を添加し、混合物を減圧下で濃縮した。得られた残渣に1,4−ジオキサン溶液中の4N塩酸を添加し、混合物を3.5時間撹拌した。重炭酸ナトリウムの飽和水溶液で中和した後、混合物をクロロホルムで抽出した。有機層をMgSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた残渣をジエチルエーテルから再結晶し、7−アミノ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−オール(78.1mg)を得た。
MS(ESI)m/z164[M+H]
1H NMR (アセトン-d6) δ1.69 - 1.75 (m, 2H), 2.64 - 2.95 (m, 5H), 3.60 - 3.80 (m, 1H), 4.02 (brs, 1H), 6.39 (d, J = 6.0 Hz, 1H), 6.41 (dd, J = 6.0, 8.0 Hz, 1H), 6.96 (d, J = 8.0 Hz, 1H).
【0125】
[出発化合物B]
7−アミノ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−オール(エナンチオマー)
【化23】

脱気イソプロパノール中のベンゼンルテニウム(II)クロリドダイマーおよび(1S,2R)−(−)−cis−1−アミノ−2−インダノールの撹拌溶液を80℃で20分間アルゴン下で加熱した。混合物を7−アミノ−3,4−ジヒドロ−1H−ナフタレン−2−オンのイソプロパノール溶液に室温で添加した。水酸化カリウムのイソプロパノール溶液を添加し、混合物を45℃で1時間撹拌した。混合物をシリカゲルに通し、酢酸エチルで洗浄した。濾液を減圧下で濃縮し、7−アミノ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−オールエナンチオマーを得た。
【0126】
7−アミノ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−オールの他のエナンチオマーを、(1S,2R)−(−)−cis−1−アミノ−2−インダノールを(1R,2S)−(+)−cis−1−アミノ−2−インダノールで置き換えて、同じ様式で得た。
【0127】
[出発化合物C]
(7−ヒドロキシ−5,6,7,8−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イル)−カルバミン酸フェニルエステル
【化24】

THF中の7−アミノ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−オールおよびピリジンの撹拌溶液に、フェニルクロロホルメートを添加し、混合物を1時間室温で撹拌した。生成物混合物に水を添加し、酢酸エチルで抽出した。有機層を塩水で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた残渣を酢酸エチルおよびヘキサンでトリチュレートし、(7−ヒドロキシ−5,6,7,8−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イル)−カルバミン酸フェニルエステルを得た。
【0128】
実施例1−1
N−[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−N'−(7−ヒドロキシ−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−2−イル)尿素
【化25】

N,N−ジメチルホルムアミド(10mL)中の7−アミノ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−オール(70.0mg、0.43mmol)および4−クロロ−3−トリフルオロメチルフェニルイソシアネート(95.0mg、0.43mmol)の混合物を、50℃で2時間撹拌した。混合物を減圧下で濃縮した後、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離剤:酢酸エチル/ヘキサン=2.5/1)により精製し、N−[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−N'−(7−ヒドロキシ−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−2−イル)尿素(49.9mg)を得た。
MS(ESI)m/z385[M+H]
1H NMR (DMSO-d6) δ 1.59 - 1.63 (m, 1H), 1.80 - 1.88 (m, 1H), 2.56 (dd, J = 7.9, 16.1 Hz, 1H), 2.65 (dq, J = 9.5, 16.7 Hz, 1H), 2.78 (dt, J = 5.4, 16.7 Hz, 1H), 2.89 (dd, J = 5.4, 16.1 Hz, 1H), 3.89 (m, 1H), 4.73 (d, J = 6.0 Hz, 1H), 5.97 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 7.13 (dd, J = 2.3, 8.2 Hz, 1H), 7.16 (d, J = 2.3, 1H), 7.58 - 7.62 (m, 2H), 8.10 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 8.62 (s, 1H), 9.06 (s, 1H).
【0129】
また、以下の化合物も、同様のやり方で製造する。
【化26】

【0130】
【表1】

【0131】
【表2】

【0132】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

式中、
Aは、
【化2】

を表し
[QおよびQは、独立して直接結合またはメチレンを表し;
は、CHRまたはCOを表し、
は、CHRまたはCOを表し
{ここで、Rは、水素、ヒドロキシ、C1−6アルコキシ、C1−6アルカノイルオキシ、またはC1−6アルキル(ヒドロキシ、C1−6アルコキシ、C1−6アルカノイルオキシまたはモノ−、ジ−もしくはトリ−ハロゲンにより置換されていることもある)を表し;
は、水素、ヒドロキシ、C1−6アルコキシ、C1−6アルカノイルオキシまたはC1−6アルキル(ヒドロキシ、C1−6アルコキシ、C1−6アルカノイルオキシまたはモノ−、ジ−もしくはトリ−ハロゲンにより置換されていることもある)を表す};
但し、
およびQが同時に直接結合であることはできず;
およびRが同時に水素であることはできず;
が直接結合を表すとき、Rは、ヒドロキシ、C1−6アルコキシまたはC1−6アルカノイルオキシを表し;
は、CHまたはCRを表し
{ここで、Rは、ヒドロキシ、C1−6アルコキシ、C1−6アルカノイルオキシまたはC1−6アルキル(ヒドロキシ、C1−6アルコキシ、C1−6アルカノイルオキシまたはモノ−、ジ−もしくはトリ−ハロゲンにより置換されていることもある)を表す};
は、CHまたはCRを表し
{ここで、Rは、ヒドロキシ、C1−6アルコキシ、C1−6アルカノイルオキシ、
または、C1−6アルキル(ヒドロキシ、C1−6アルコキシ、C1−6アルカノイルオキシまたはモノ−、ジ−もしくはトリ−ハロゲンにより置換されていることもある)を表す};
但し、QおよびQが同時にCHであることはできない];
mは、0ないし3の整数を表し;
pは、0または1の整数を表し;
−X−は、結合、−O−または−N(R)−を表し
{ここで、Rは、水素またはC1−6アルキルを表す}、
但し、mが0であるとき、−X−は結合を表し;そして、
−Y−は、CH、OまたはNHを表し;そして、
は、アリールまたはヘテロアリールを表す
[ここで、該アリールおよびヘテロアリールは、ハロゲン、ニトロ、ヒドロキシ、カルボキシ、シアノ、アミノ、N−(C1−6アルキル)アミノ、N,N−ジ(C1−6アルキル)アミノ、N−(C3−8シクロアルキル)アミノ、C1−6アルコキシカルボニル、スルホンアミド、C1−6アルカノイル、N−(C1−6アルカノイル)アミノ、カルバモイル、C1−6アルキルカルバモイル、C3−8シクロアルキル、複素環、
1−6アルキル{ここで、該アルキルは、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、カルボキシ、アミノ、C1−6アルコキシカルボニルまたはモノ−、ジ−もしくはトリ−ハロゲンにより置換されていることもある}、
1−6アルコキシ{ここで、該アルコキシは、モノ−、ジ−またはトリ−ハロゲンにより置換されていることもある}、
1−6アルキルチオ{ここで、該アルキルチオは、モノ−、ジ−またはトリ−ハロゲンにより置換されていることもある}、
フェニル、ベンジルおよびフェノキシ{ここで、該フェニル、該ベンジルのフェニル部分または該フェノキシのフェニル部分は、ハロゲン、ニトロ、ヒドロキシ、カルボキシ、アミノ、N−(C1−6アルキル)アミノ、N,N−ジ(C1−6アルキル)アミノ、N−(C3−8シクロアルキル)アミノ、C1−6アルコキシカルボニル、C1−6アルコキシカルボニルまたはC1−6アルキルにより置換されていることもある}
からなる群から独立して選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていることもある]、
の二環式アミド、カルバメートまたは尿素誘導体、その互変異性体もしくは立体異性体、またはその塩。
【請求項2】
式中;
Aが、
【化3】

を表し
[QおよびQは、メチレンを表し;
は、CHRまたはCOを表し
{ここで、Rは、水素、ヒドロキシ、C1−6アルコキシ、C1−6アルカノイルオキシまたはC1−6アルキル(モノ−、ジ−またはトリ−ハロゲンにより置換されていることもある)を表す};
は、CHRまたはCOを表し
{ここで、Rは、ヒドロキシ、C1−6アルコキシ、C1−6アルカノイルオキシまたはC1−6アルキル(モノ−、ジ−またはトリ−ハロゲンにより置換されていることもある)を表す};
は、CHを表し;
は、CRを表す
{ここで、Rは、ヒドロキシ、C1−6アルコキシ、C1−6アルカノイルオキシまたはC1−6アルキル(モノ−、ジ−またはトリ−ハロゲンにより置換されていることもある)を表す}];
mが、0ないし3の整数を表し;
pが、0または1の整数を表し;
−X−が、結合、−O−または−N(R)−を表し
{ここで、Rは水素またはC1−6アルキルを表す}、
但し、mが0であるとき、−X−は結合を表し;
−Y−は、CH、OまたはNHを表し;そして、
が、フェニル、ナフチル、ピリジルまたはピリミジルを表す
[ここで、該フェニル、ナフチル、ピリジルまたはピリミジルは、ハロゲン、ニトロ、ヒドロキシ、カルボキシ、シアノ、アミノ、N−(C1−6アルキル)アミノ、N,N−ジ(C1−6アルキル)アミノ、N−(C3−8シクロアルキル)アミノ、C1−6アルコキシカルボニル、スルホンアミド、C1−6アルカノイル、N−(C1−6アルカノイル)アミノ、カルバモイル、C1−6アルキルカルバモイル、C3−8シクロアルキル、複素環、
1−6アルキル{ここで、該アルキルは、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、カルボキシ、アミノ、C1−6アルコキシカルボニルまたはモノ−、ジ−もしくはトリ−ハロゲンにより置換されていることもある}、
1−6アルコキシ{ここで、該アルコキシは、モノ−、ジ−もしくはトリ−ハロゲンにより置換されていることもある}、
1−6アルキルチオ{ここで、該アルキルチオは、モノ−、ジ−またはトリ−ハロゲンにより置換されていることもある}、
フェニル、ベンジルおよびフェノキシ{ここで、該フェニル、該ベンジルのフェニル部分または該フェノキシのフェニル部分は、ハロゲン、ニトロ、ヒドロキシ、カルボキシ、アミノ、N−(C1−6アルキル)アミノ、N,N−ジ(C1−6アルキル)アミノ、N−(C3−8シクロアルキル)アミノ、C1−6アルコキシカルボニル、C1−6アルコキシカルボニルまたはC1−6アルキルにより置換されていることもある}
からなる群から独立して選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていることもある]、
請求項1に記載の式(I)の二環式アミド、カルバメートまたは尿素誘導体、その互変異性体もしくは立体異性体、またはその塩。
【請求項3】
式中;
Aが、
【化4】

を表し
[Qは、メチレンを表し;
は、直接結合を表し;
は、CHRまたはCOを表し
{ここで、Rは、ヒドロキシ、C1−6アルコキシまたはC1−6アルカノイルオキシを表す};
は、CHRを表す
{ここで、Rは、水素を表す}];
mが、0ないし3の整数を表し;
pが、0または1の整数を表し;
−X−が、結合、−O−または−N(R)−を表し
{ここで、Rは、水素またはC1−6アルキルを表す}、
但し、mが0であるとき、−X−は結合を表し;
−Y−が、CH、OまたはNHを表し;そして、
が、フェニル、ナフチル、ピリジルまたはピリミジルを表す
[ここで、該フェニル、ナフチル、ピリジルまたはピリミジルは、ハロゲン、ニトロ、ヒドロキシ、カルボキシ、シアノ、アミノ、N−(C1−6アルキル)アミノ、N,N−ジ(C1−6アルキル)アミノ、N−(C3−8シクロアルキル)アミノ、C1−6アルコキシカルボニル、スルホンアミド、C1−6アルカノイル、N−(C1−6アルカノイル)アミノ、カルバモイル、C1−6アルキルカルバモイル、C3−8シクロアルキル、複素環、
1−6アルキル{ここで、該アルキルは、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、カルボキシ、アミノ、C1−6アルコキシカルボニルまたはモノ−、ジ−もしくはトリ−ハロゲンにより置換されていることもある}、
1−6アルコキシ{ここで、該アルコキシは、モノ−、ジ−またはトリ−ハロゲンにより置換されていることもある}、
1−6アルキルチオ{ここで、該アルキルチオは、モノ−、ジ−またはトリ−ハロゲンにより置換されていることもある}、
フェニル、ベンジルおよびフェノキシ{ここで、該フェニル、該ベンジルのフェニル部分または該フェノキシのフェニル部分は、ハロゲン、ニトロ、ヒドロキシ、カルボキシ、アミノ、N−(C1−6アルキル)アミノ、N,N−ジ(C1−6アルキル)アミノ、N−(C3−8シクロアルキル)アミノ、C1−6アルコキシカルボニル、C1−6アルコキシカルボニルまたはC1−6アルキルにより置換されていることもある}
からなる群から独立して選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていることもある]、
請求項1に記載の式(I)の二環式アミド、カルバメートまたは尿素誘導体、その互変異性体もしくは立体異性体、またはその塩。
【請求項4】
式中;
Aが、
【化5】

を表し
[QおよびQは、メチレンを表し;
は、CHRを表し
{ここで、Rは水素を表す};
は、CHRを表す
{ここで、Rは、水素、ヒドロキシ、C1−6アルコキシまたはC1−6アルカノイルオキシを表す}];
mが、0ないし3の整数を表し;
pが、0または1の整数を表し;
−X−が、結合、−O−または−N(R)−を表し
{ここで、Rは、水素またはC1−6アルキルを表す}、
但し、mが0であるとき、−X−は結合を表し;
−Y−が、CH、OまたはNHを表し;そして、
が、フェニル、ナフチル、ピリジルまたはピリミジルを表す
[ここで、該フェニル、ナフチル、ピリジルまたはピリミジルは、ハロゲン、ニトロ、ヒドロキシ、カルボキシ、シアノ、アミノ、N−(C1−6アルキル)アミノ、N,N−ジ(C1−6アルキル)アミノ、N−(C3−8シクロアルキル)アミノ、C1−6アルコキシカルボニル、スルホンアミド、C1−6アルカノイル、N−(C1−6アルカノイル)アミノ、カルバモイル、C1−6アルキルカルバモイル、C3−8シクロアルキル、複素環、
1−6アルキル{ここで、該アルキルは、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、カルボキシ、アミノ、C1−6アルコキシカルボニルまたはモノ−、ジ−もしくはトリ−ハロゲンにより置換されていることもある}、
1−6アルコキシ{ここで、該アルコキシは、モノ−、ジ−またはトリ−ハロゲンにより置換されていることもある}、
1−6アルキルチオ{ここで、該アルキルチオは、モノ−、ジ−またはトリ−ハロゲンにより置換されていることもある}、
フェニル、ベンジルおよびフェノキシ{ここで、該フェニル、該ベンジルのフェニル部分または該フェノキシのフェニル部分は、ハロゲン、ニトロ、ヒドロキシ、カルボキシ、アミノ、N−(C1−6アルキル)アミノ、N,N−ジ(C1−6アルキル)アミノ、N−(C3−8シクロアルキル)アミノ、C1−6アルコキシカルボニル、C1−6アルコキシカルボニルまたはC1−6アルキルにより置換されていることもある}
からなる群から独立して選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていることもある]、
請求項1に記載の式(I)の二環式アミド、カルバメートまたは尿素誘導体、その互変異性体もしくは立体異性体、またはその塩。
【請求項5】
式中;
Aが、
【化6】

を表し
[QおよびQは、メチレンを表し;
は、CHRを表し
{ここで、Rは、ヒドロキシ、C1−6アルコキシまたはC1−6アルカノイルオキシを表す};
は、CHRを表す
{ここで、Rは水素を表す}];
mが、1ないし3の整数を表し;
pが、0または1の整数を表し;
−X−が、結合、−O−または−N(R)−を表し
{ここで、Rは、水素またはC1−6アルキルを表す}、
但し、mが0であるとき、−X−は結合を表し;
−Y−が、CH、OまたはNHを表し;そして、
が、フェニル、ナフチル、ピリジルまたはピリミジルを表す
[ここで、該フェニル、ナフチル、ピリジルまたはピリミジルは、ハロゲン、ニトロ、ヒドロキシ、カルボキシ、シアノ、アミノ、N−(C1−6アルキル)アミノ、N,N−ジ(C1−6アルキル)アミノ、N−(C3−8シクロアルキル)アミノ、C1−6アルコキシカルボニル、スルホンアミド、C1−6アルカノイル、N−(C1−6アルカノイル)アミノ、カルバモイル、C1−6アルキルカルバモイル、C3−8シクロアルキル、複素環、
1−6アルキル{ここで、該アルキルは、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、カルボキシ、アミノ、C1−6アルコキシカルボニルまたはモノ−、ジ−もしくはトリ−ハロゲンにより置換されていることもある}、
1−6アルコキシ{ここで、該アルコキシは、モノ−、ジ−またはトリ−ハロゲンにより置換されていることもある}、
1−6アルキルチオ{ここで、該アルキルチオは、モノ−、ジ−またはトリ−ハロゲンにより置換されていることもある}、
フェニル、ベンジルおよびフェノキシ{ここで、該フェニル、該ベンジルのフェニル部分または該フェノキシのフェニル部分は、ハロゲン、ニトロ、ヒドロキシ、カルボキシ、アミノ、N−(C1−6アルキル)アミノ、N,N−ジ(C1−6アルキル)アミノ、N−(C3−8シクロアルキル)アミノ、C1−6アルコキシカルボニル、C1−6アルコキシカルボニルまたはC1−6アルキルにより置換されていることもある}
からなる群から独立して選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていることもある]、
請求項1に記載の式(I)の二環式アミド、カルバメートまたは尿素誘導体、その互変異性体もしくは立体異性体、またはその塩。
【請求項6】
式中;
Aが、
【化7】

を表し
[Qは、CHを表し;
は、CRを表す
{ここで、Rは、ヒドロキシ、C1−6アルコキシ、C1−6アルカノイルオキシ、またはC1−6アルキル(ヒドロキシ、C1−6アルコキシまたはC1−6アルカノイルオキシにより置換されていることもある)を表す}];
mが、0ないし3の整数を表し;
pが、0または1の整数を表し;
−X−が、結合、−O−または−N(R)−を表し
{ここで、Rは、水素またはC1−6アルキルを表す}、
但し、mが0であるとき、−X−は結合を表し;
−Y−が、NH、OまたはCHを表し;そして、
が、フェニル、ナフチル、ピリジル、またはピリミジルを表す
[ここで、該フェニル、ナフチル、ピリジル、またはピリミジルは、ハロゲン、ニトロ、C1−6アルキル、トリフルオロC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、トリフルオロC1−6アルコキシおよびC1−6アルカノイルアミノからなる群から選択される1個または2個の置換基により置換されていることもある]、
請求項1に記載の式(I)の二環式アミド、カルバメートまたは尿素誘導体、その互変異性体もしくは立体異性体、またはその塩。
【請求項7】
式中;
Aが、
【化8】

を表し
[QおよびQは、メチレンを表し;
は、CHRを表し
{ここで、Rは、水素を表す};
は、CHRを表し
{ここで、Rは、水素、ヒドロキシ、C1−6アルコキシまたはC1−6アルカノイルオキシを表す};
は、CHを表し;
は、CRを表す
{ここで、Rはヒドロキシを表す}];
mが、整数2を表し;
pが、整数0を表し;
−X−が、結合、−O−または−N(R)−を表し
{ここで、Rは水素またはC1−6アルキルである}
但し、mが0であるとき、−X−は結合を表し;
−Y−が、NHまたはOを表し;そして、
が、フェニル、ナフチル、ピリジルまたはピリミジルを表す
[ここで、該フェニル、ナフチル、ピリジルまたはピリミジルは、クロロ、ブロモ、フルオロ、ニトロ、メチル、メトキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロエチル、トリフルオロメトキシ、トリフルオロエトキシ、アセトアミドおよびプロピオニルアミノからなる群から選択される1個または2個の置換基により置換されていることもある]、
請求項1に記載の式(I)の二環式アミド、カルバメートまたは尿素誘導体、その互変異性体もしくは立体異性体、またはその塩。
【請求項8】
該二環式アミド、カルバメートまたは式(I)の尿素誘導体が、
N−(7−ヒドロキシ−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−2−イル)−N'−[4−(トリフルオロメチル)ベンジル]尿素;
4−(トリフルオロメチル)ベンジル(7−ヒドロキシ−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−2−イル)カルバメート;
N−(7−ヒドロキシ−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−2−イル)−3−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]プロパンアミド;
N−(7−ヒドロキシ−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−2−イル)−N'−(2−{[4−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}エチル)尿素;
N−(7−ヒドロキシ−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−2−イル)−N'−{2−[4−(トリフルオロメチル)フェノキシ]エチル}尿素;
2−{[4−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}エチル(7−ヒドロキシ−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−2−イル)カルバメート;
2−[4−(トリフルオロメチル)フェノキシ]エチル(7−ヒドロキシ−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−2−イル)カルバメート;および
N−[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−N'−(7−ヒドロキシ−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−2−イル)尿素;
N−(2−{[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}エチル)−N'−(7−ヒドロキシ−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−2−イル)尿素;
N−{2−[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェノキシ]エチル}−N'−(7−ヒドロキシ−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−2−イル)尿素;
N−(2−{[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}エチル)−N'−(6−ヒドロキシ−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−2−イル)尿素;および
N−{2−[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェノキシ]エチル}−N'−(6−ヒドロキシ−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−2−イル)尿素
からなる群から選択される、請求項1に記載の式(I)の二環式アミド、カルバメートまたは尿素誘導体、その互変異性体もしくは立体異性体、またはその塩。
【請求項9】
請求項1に記載の式(I)の二環式アミド、カルバメートまたは尿素誘導体、その互変異性体もしくは立体異性体、またはその生理的に許容し得る塩を有効成分として含む、医薬。
【請求項10】
1種またはそれ以上の医薬的に許容し得る賦形剤をさらに含む、請求項9に記載の医薬。
【請求項11】
該式(I)の二環式アミド、カルバメートまたは尿素誘導体、その互変異性体もしくは立体異性体、またはその生理的に許容し得る塩がVR1アンタゴニストである、請求項9に記載の医薬。
【請求項12】
泌尿器系障害または疾患の処置および/または予防のための、請求項9に記載の医薬。
【請求項13】
該泌尿器系障害または疾患が、急性尿失禁または過活動膀胱である、請求項12に記載の医薬。
【請求項14】
疼痛の処置および/または予防のための、請求項9に記載の医薬。
【請求項15】
該疼痛が、慢性疼痛、神経因性疼痛、術後疼痛または関節リウマチ痛である、請求項14に記載の医薬。
【請求項16】
疼痛に関連する障害または疾患の処置および/または予防のための、請求項9に記載の医薬。
【請求項17】
該疼痛に関連する障害または疾患が、神経痛、神経障害、痛覚過敏、神経損傷、虚血、神経変性または卒中である、請求項16に記載の医薬。
【請求項18】
炎症性障害または疾患の処置および/または予防のための、請求項9に記載の医薬。
【請求項19】
該炎症性障害または疾患が、喘息またはCOPDである、請求項18に記載の医薬。
【請求項20】
泌尿器系障害または疾患の処置および/または予防のための医薬を製造するための、請求項1に記載の化合物の使用。
【請求項21】
疼痛の処置および/または予防のための医薬を製造するための、請求項1に記載の化合物の使用。
【請求項22】
炎症性障害または疾患の処置および/または予防のための医薬を製造するための、請求項1に記載の化合物の使用。
【請求項23】
VR1アンタゴニスト的に有効な量の少なくとも1種の請求項1に記載の化合物を投与することによる、ヒトおよび動物における泌尿器系障害または疾患の制御方法。
【請求項24】
VR1アンタゴニスト的に有効な量の少なくとも1種の請求項1に記載の化合物を投与することによる、ヒトおよび動物における疼痛の制御方法。
【請求項25】
VR1アンタゴニスト的に有効な量の少なくとも1種の請求項1に記載の化合物を投与することによる、ヒトおよび動物における炎症性障害または疾患の制御方法。

【公表番号】特表2007−511479(P2007−511479A)
【公表日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−538690(P2006−538690)
【出願日】平成16年10月26日(2004.10.26)
【国際出願番号】PCT/EP2004/012050
【国際公開番号】WO2005/044786
【国際公開日】平成17年5月19日(2005.5.19)
【出願人】(503412148)バイエル・ヘルスケア・アクチェンゲゼルシャフト (206)
【氏名又は名称原語表記】Bayer HealthCare AG
【Fターム(参考)】