説明

二軸スクリュ押出機を使用した粉砕混合造粒方法及び装置

【課題】二成分以上かつ熱変形温度が異なるプラスチック原料を安定して安価に造粒する。
【解決手段】加熱冷却可能なシリンダ4内に互いに同方向回転する一対のスクリュ3を有する二軸押出機1を用い、二成分以上かつ熱変形温度が異なるプラスチック原料7を粉砕混合造粒する二軸スクリュ押出機を使用した粉砕混合造粒方法において、前記シリンダ4の原料供給の開口部5の軸方向長さ(L)を1.7Dよりも長く5D以下とし、前記開口部5下の各スクリュ3には、軸直角の断面形状を角フライト又は半角フライトスクリュとし、前記シリンダ内に水を前記プラスチック原料7に対して0.6%以上4%未満で供給し、かつ減容、粉砕、溶融、混合させた前記プラスチック原料を前記シリンダから排出する前にベント部21からガス成分を除去し、前記シリンダ先端4aに設けたダイス22と造粒装置23により溶融状の前記プラスチック原料をペレット状に造粒する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二軸スクリュ押出機を使用した粉砕混合造粒方法及び装置に関し、特に、二成分以上かつ熱変形温度が異なるプラスチック原料を安定して安価に造粒するための新規な改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の原料を処理する装置及び方法として、特許文献1及び特許文献2に掲載されている方法及び装置がある。
図6は、特許文献1の構成よりなる第1従来例であり、車両内装用ボード基盤材のリサイクルプロセスを示している。
車両内装品の端材(A)の上部素材を除いたリサイクル廃材(B)と、バンパー廃材(E)を粉砕機(C)、(F)によって所望の大きさに裁断し、造粒機(D)、(G)により微粉砕される。その後、ミキサー(H)でバージン材とプリブレンドされ、シート押出機Iに投入される。シート押出機Iで、均一にプリブレンドされた原料が溶融し、シート状に押出され、ボードの基盤31が製造される。
【0003】
また、第2従来例として、特許文献2の構成を挙げることができる。すなわち、嵩高い原料を減容、粉砕、溶融させるため、バッチ式の加圧式ニーダー30及び二軸テーパー式シート押出機1が使用されている。同公報には図示されていないが、例えば図7に示すように加圧式ニーダー30で減容、粉砕、溶融した原料は、排出ドア21から、図8に示す専用のスクリュ3を内挿した二軸テーパー式シート押出機1に投入して、リサイクルシートが製造される。
この場合、原料を減容、粉砕、溶融させるために、図7のブレード3aで剪断力を加え、過剰に発熱するのを避けるために、ウォータージャケット20に水を流すことで除熱し、温度を調整している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−270342号公報
【特許文献2】特開平11−105096号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の二軸スクリュ押出機を使用した粉砕混合造粒方法及び装置は、以上のように構成されていたため、次のような課題が存在していた。
すなわち、特許文献2で使用されるバッチ式の加圧ニーダーでは、生産性を向上するためには、嵩高い原料を減容、粉砕、溶融、混練させる混練槽の容積を大きくする必要があり、装置が大型化になる。大型化になることで、ウォータージャケットによる除熱効果が低下し、ブレードの剪断力で過剰に発熱した原料の温度調整が困難になる問題がある。また、バッチ式であるため、生産が不連続であり生産性が落ちる問題がある。バッチ式の加圧ニーダーで減容、粉砕、溶融後、吐出された原料の溶融物は、大きな塊となるため、専用の二軸テーパー式シート押出機が必要であり、容易に減容、粉砕、溶融した原料をシート以外の別な用途へ活用できない問題がある。
次に、特許文献1で提示されている方法では、リサイクルシートの品質を安定させるために、ミキサーでバージン材とプリブレンドする際にブレンドムラをなくし均一混合する必要がある。そのため、廃材をバージン材と同等サイズの形状まで細かくする必要がある。また、廃材を細かく粉砕することで、シート成形押出機への食い込みが向上し安定した運転が可能となり、シートの生産性が向上する。そのため、廃材の粉砕工程には、多くの装置が必要となる問題があり、かつ、リサイクルシートを製造する上で、複数の工程が必要となり、時間や、費用が増加してしまう問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による二軸スクリュ押出機を使用した粉砕混合造粒方法は、加熱冷却可能なシリンダ内に互いに同方向回転する一対のスクリュを有する二軸押出機を用い、二成分以上かつ熱変形温度が異なるプラスチック原料を粉砕混合造粒する二軸スクリュ押出機を使用した粉砕混合造粒方法において、
前記シリンダの原料供給の開口部の軸方向長さを1.7Dより長く5D以下とし、前記開口部下の各スクリュには、軸直角の断面形状を角フライト又は半角フライトスクリュとし、前記シリンダ内に水を前記プラスチック原料に対して0.6%以上4%未満で供給し、かつ減容、粉砕、溶融、混合させた前記プラスチック原料を前記シリンダから排出する前にベント部からガス成分を除去し、前記シリンダ先端に設けたダイスと造粒装置により溶融状の前記プラスチック原料をペレット状に造粒する方法であり、また、本発明による二軸スクリュ押出機を使用した粉砕混合造粒装置は、加熱冷却可能なシリンダ内に互いに同方向回転する一対のスクリュを有する二軸押出機を用い、二成分以上かつ熱変形温度が異なるプラスチック原料を粉砕混合造粒する二軸スクリュ押出機を使用した粉砕混合造粒装置において、
前記シリンダの原料供給の開口部の軸方向長さを1.7Dより長く5D以下とし、前記開口部下の各スクリュには、軸直角の断面形状を角フライト又は半角フライトスクリュとし、前記シリンダ内に水を前記プラスチック原料に対して0.6%以上4%未満で供給し、かつ減容、粉砕、溶融、混合させた前記プラスチック原料を前記シリンダから排出する前にベント部からガス成分を除去し、前記シリンダ先端に設けたダイスと造粒装置により溶融状の前記プラスチック原料をペレット状に造粒する構成である。
【発明の効果】
【0007】
本発明による二軸スクリュ押出機を使用した粉砕混合造粒方法及び装置は、以上のように構成されているため、次のような効果を得ることができる。
すなわち、加熱冷却可能なシリンダ内に互いに同方向回転する一対のスクリュを有する二軸押出機を用い、二成分以上かつ熱変形温度が異なるプラスチック原料を粉砕混合造粒する二軸スクリュ押出機を使用した粉砕混合造粒方法において、
前記シリンダの原料供給の開口部の軸方向の長さを1.7Dより長く5D以下とし、前記開口部下の各スクリュには、軸直角の断面形状を角フライト又は半角フライトスクリュとし、前記シリンダ内に水を前記プラスチック原料に対して0.6%以上4%未満で供給し、かつ減容、粉砕、溶融、混合させた前記プラスチック原料を前記シリンダから排出する前にベント部からガス成分を除去し、前記シリンダ先端に設けたダイスと造粒装置により溶融状の前記プラスチック原料をペレット状に造粒する方法と構成であるため、この発明によれば、二軸押出機に、素粉砕された大きな形状の原料でも押出機内に食い込ませることができるため、原料の粉砕工程の装置の数を少なくすることができ、かつ品質の安定、生産の安定、生産性の向上、製造時間や費用を低下することができる。
また、押出機内の混練部に、水を供給原料に対して0.6%以上4%未満で供給し、かつ減容、粉砕、溶融、混合させた原料を押出機から排出する前にガス成分を除去するためのベントを配備することにより、原料と水の混合による見かけの溶融粘度が低下し、スクリュの剪断応力が低下し原料の発熱を抑制できる。また、水が発熱し蒸発することで、原料から熱エネルギーを奪うため、シリンダの水冷ジャケットだけでなく過剰な発熱を抑制することができ、かつ、ベントでは、水分を除去すると共に、不純なガスも除去することができるため、シート成形時にトラブルとなる、シートの発泡も抑制することができる。また、押出機先端にダイスと造粒装置を直接配備し、排出した溶融原料をペレット状に造粒することで、粉砕溶融混合された原料をシート以外の別な用途にも活用することができる。
また、この発明の方法及び装置では、原料温度を抑え、造粒することができるため、二成分で熱変形温度が異なるプラスチックを粉砕混合造粒する場合、熱変形温度が低い原料だけ溶融させ、熱変形温度が高い原料は溶融させないで粉砕混合することが可能になる。三成分で各々熱変形温度が異なるプラスチックを粉砕混合造粒する場合、熱変形温度が高い二成分原料を溶融させないで粉砕混合したり、二成分を溶融させ、一成分を溶融させないで粉砕混合することが可能になる。
更に、本発明において、従来の装置では原料の温度調整が困難になる問題に対して、二軸押出機を使用し、押出機内に水を原料に対して0.6%以上4%未満で供給し、ベントから除去することにより、原料の発熱を抑制でき、かつ、温度調整ができるようにした。
また、バッチ式であるため、生産が不連続であり生産性が落ちる問題に対して、搬送能力と溶融混合能力が高い二軸押出機を使用し、連続生産できるようになり、生産性が向上した。
また、従来のバッチ式の加圧ニーダーで減容、粉砕、溶融後、吐出された原料の溶融物は、大きな塊となるため、専用の二軸テーパー式シート押出機が必要であり、容易に減容、粉砕、溶融した原料をシート以外の別な用途へ活用できないが、押出機先端にダイスと造粒装置を直接配備し、排出した溶融原料をペレット状に造粒することで、粉砕溶融混合された原料をシート以外の別な用途にも活用することができるようにした。
更に、廃材の粉砕工程には、多くの装置が必要となる問題があり、かつ、リサイクルシートを製造する上で、複数の工程が必要となり、時間や、費用が増加してしまう問題に対して、二軸押出機の原料供給の開口部(ホッパー)の軸方向の長さ(L)を1.7Dより長く5D以下として開口面積を大きくし、スクリュの軸直角の断面形状において断面積を大きく確保できるスクリュを使用することにより、素粉砕された大きな形状の原料でも押出機内に食い込ませることができるようにした。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明による二軸スクリュ押出機を使用した粉砕混合造粒方法及び装置を示す概略構成図である。
【図2】図1の開口部下のスクリュを示す拡大構成図である。
【図3】シリンダー内に挿入された図2の角フライトスクリュの軸断面図である。
【図4】従来の原料供給部の開口部を示す説明図である。
【図5】本発明で使用された原料供給部の開口部を示す説明図である。
【図6】第1従来構成を示す工程図である。
【図7】第2従来例のバッチ式加圧ニーダーである。
【図8】第2従来例に用いられている二軸テーパー式シート押出機である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、以上の問題を解決するために、二軸スクリュ押出機を使用し、原料供給の開口部(ホッパー)の軸方向の長さ(L)を1.7Dより長く5D以下として開口面積を大きくし、スクリュの軸直角の断面形状において断面積を大きく確保できる角フライト、又は、半角フライトスクリュを使用し、押出機内に水を原料に対して0.6%以上4%未満で供給し、かつ減容、粉砕、溶融、混合させた原料を押出機から排出する前にガス成分を除去するためのベントを配備し、押出機先端にダイスと造粒装置を直接配備し、排出した溶融原料をペレット状に造粒する、二成分以上かつ熱変形温度が異なるプラスチックを粉砕混合造粒するための二軸スクリュ押出機を使用した粉砕混合造粒方法及び装置を提供することを目的とする。
【実施例】
【0010】
以下、図面と共に本発明による二軸スクリュ押出機を使用した粉砕混合造粒方法及び装置の好適な実施の形態について説明する。
尚、従来例と同一又は同等部分には、同一符号を付して説明する。
図1において、符号1で示されるものは、粉砕混合造粒装置2に用いられる二軸同方向回転型のスクリュ3を加熱冷却可能なシリンダ4内に内設した二軸押出機であり、各スクリュ3は図示しない駆動機により同方向回転し、各スクリュ3は互いに噛み合っている。
【0011】
前記シリンダ4の上流位置には、開口部5からなる原料供給部6が形成され、この開口部5からは、二成分以上でかつ熱変形温度が異なるプラスチック原料7が供給され、この開口部5の形状は、その軸方向Aに沿う軸方向長さLがシリンダ4のシリンダ内径Dの1.7D(D×1.7)より長く5D(D×5)以下で設定されて大きい開口面積となるように構成されている。尚、図1では、図示の関係上、開口部5は1.7Dより長く5D以下の長さのものを省略して短く概念的に示している。
【0012】
前記シリンダ4の上流側から下流側にかけて、第1輸送部9、第1混練部10、第2輸送部11、第2混練部12、第3輸送部13、第3混練部14、第4輸送部15、第4混練部16、第5輸送部17、第5混練部18、第6輸送部19が構成されている。
従って、前記開口部5から供給されたプラスチック原料7には各混練部10,12,14,16,18で可塑化分散混練され、シリンダ4の水添のノズル20より注水が行われ、シリンダ先端側4aに位置する真空ベント部21でガス成分等が脱揮される。
【0013】
前述の各スクリュ3において、第1輸送部9のスクリュのうち前記開口部5下に配置されるスクリュは、軸直角の断面形状において断面積を大きく取れる角フライト又は、半角フライトスクリュで構成されているため、素粉砕された大きい形状のプラスチック原料7でもシリンダ4内で十分に喰い込ませることができる。
また、シリンダ4内の混練原料に対して水を0.6%以上4%未満で供給することにより、発熱させずに、減容、粉砕、溶融、混合させた原料をシリンダ4から排出することができ、また、ベント部21を排出前に配備していることからガス成分等を除去することができる。
【0014】
従って、本発明によれば、二軸押出機1に、素粉砕された大きな形状の原料でも押出機内に喰い込ませることができるため、原料の粉砕工程の装置の数を少なくすることができ、かつ品質の安定、生産の安定、生産性の向上、製造時間や費用を低下することができる。
また、二軸押出機1内の混練部12に、水を供給原料に対して0.6%以上4%未満で供給し、かつ減容、粉砕、混合させた原料を押出機から排出する前にガス成分を除去するためのベントを配備することにより、原料と水の混合による見かけの溶融粘度が低下し、スクリュ3の剪断応力が低下し原料の発熱を抑制できる。また、水が発熱し蒸発することで、原料から熱エネルギーを奪うため、シリンダ4の水冷ジャケットだけでなく過剰な発熱を抑制することができ、かつ、ベント部21では、水分を除去すると共に、不純なガスも除去することができるため、シート成形時にトラブルとなる、シートの発泡も抑制することもできる。また、押出機先端にダイス22と造粒装置23が直接配備されているため、排出した溶融原料を直ちにペレット状に造粒することができ、粉砕溶融混合された原料をシート以外の別な用途にも活用することができる。
また、この発明の方法及び装置では、原料温度を抑え、造粒することができるため、二成分で熱変形温度が異なるプラスチックを粉砕混合造粒する場合、熱変形温度が低い原料だけ溶融させ、熱変形温度が高い原料は溶融させないで粉砕混合することが可能になる。三成分で各々の熱変形温度が異なるプラスチックを粉砕混合造粒する場合、熱変形温度が高い二成分原料を溶融させないで粉砕混合したり、二成分を溶融させ、一成分を溶融させないで粉砕混合する種々の方法が可能になる。
【0015】
次に、本発明による二軸スクリュ押出機を使用した粉砕混合造粒方法及び装置の実験例について説明する。
実験例1
原料:ポリオレフィン系ポリマーベースの廃材
原料形状:5〜20mm角、厚さ5mm
二軸押出機:日本製鋼所(株)製同方向回転噛み合い型二軸押出機
TEX44αII−42BW−V(シリンダ内径:47φmm)
図1は、実験で用いたスクリュ、シリンダ構成を示す。図1の構成は、前述したように、6は原料供給部、20は水添ノズル、21はベント部を示す。スクリュ3は、第1輸送部9、第1混練部10、第2輸送部11、第2混練部12、第3輸送部13、第3混練部14、第4輸送部15、第4混練部16、第5輸送部17、第5混練部18、第6輸送部19で構成されている。
前記第1混練部10で、原料を溶融させ、各混練部で混練分散させる。
水添ノズル20から、条件により水を押出機内に添加し、溶融した原料に混ぜ込み、ベント部21で原料から分離したガス成分や水蒸気などを真空除去した。
押出機先端には、ダイス22が設置されており、溶融混練された原料が押出され、図示していないカッターが、押出機先端に直結されており、押し出された原料をペレットに加工した。
押出し原料温度は、ハンディータイプの熱電対により、押出された原料に接触させ測定した。
造粒状態は、ペレット加工することの可否で判断した。
真空ベント状態は、真空下でガスを除去している状態で、押出機内部からベント部21の穴を通じて、原料が上昇し飛散することの有無で判断した。
この実験例1の実験結果を表1の第1表に示す。
【0016】
【表1】

【0017】
水を添加しない場合、溶融させた原料をペレット加工することができなかった。
水を添加した場合、水を添加しない場合と比較し、樹脂温度を低下させることができ、かつ、ペレット加工することができたが、水4.0%で添加すると真空ベントから僅かであるが溶融した原料の上昇と飛散が確認された。
【0018】
実験例2
原料:スチレン系ポリマーベースのフィルム粉砕品(嵩密度0.26g/cc)
二軸押出機:日本製鋼所(株)製同方向回転噛み合い型二軸押出機
TEX44αII(シリンダ内径:47φmm)
図2及び図3に、実験で用いたホッパーすなわち原料供給部6下スクリュの外観図と、シリンダ内部に挿入された場合のシリンダ内部の軸断面図を示す。
【0019】
図4及び図5にホッパーすなわち原料を押出機内部に供給する原料供給部6の開口部5の穴形状を示し、図4はNo.1で、図5はNo.2形状である。
実験結果を表2の第2表に示す。
【0020】
【表2】

【0021】
No.1形状とNo.2形状では、No.1形状の方が、開口穴が小さく、軽微ではあるが開口穴上に原料が詰まる現象(ブリッジ)が発生した。No.2形状のように開口穴を拡大することで、No.1形状で発生した原料が詰まりはなく、同じスクリュ回転速度で約2.7倍の原料供給量を処理することができた。
【0022】
なお、原料供給部6の軸方向の最大開口長Lは、本実験例では5D(Dはシリンダ内径)で実施したが、5Dを超える長さでも原料の供給自体は可能である。しかしながら、シリンダのブロック長を考慮すると、通常1つのシリンダブロックで開けることができる軸方向の長さLは最大でも5Dである。このため、5Dを超える開口長では特別仕様となり、製作加工が困難かつ製造コストも上がることになる。
また、5Dを超える開口長になると、シリンダ構造上の強度が低下し、加熱冷却による熱膨張や冷却による熱ヒズミに対し、変形が大きくなり、破損の恐れがある。さらには装置全体も長くなり、設置スペースを必要以上に取ることになる。したがって現実的な面を考慮すると、軸方向の開口長Lの上限値は、5Dとなる。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明による二軸スクリュ押出機を使用した粉砕混合造粒方法及び装置は、プラスチックの再生だけではなく、通常の樹脂ペレット造粒にも適用できる。
【符号の説明】
【0024】
1 二軸押出機
2 粉砕混合造粒装置
3 スクリュ
4 シリンダ
5 開口部
6 原料供給部
7 プラスチック原料
L 軸方向長さ
D シリンダ内径
9 第1輸送部
10 第1混練部
11 第2輸送部
12 第2混練部
13 第3輸送部
14 第3混練部
15 第4輸送部
16 第4混練部
17 第5輸送部
18 第5混練部
19 第6輸送部
20 水添ノズル
21 ベント部
22 ダイス
23 造粒装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱冷却可能なシリンダ(4)内に互いに同方向回転する一対のスクリュ(3)を有する二軸押出機(1)を用い、二成分以上かつ熱変形温度が異なるプラスチック原料(7)を粉砕混合造粒する二軸スクリュ押出機を使用した粉砕混合造粒方法において、
前記シリンダ(4)の原料供給の開口部(5)の軸方向長さ(L)を1.7Dより長く5D(Dはシリンダ内径)以下とし、前記開口部(5)下の各スクリュ(3)には、軸直角の断面形状を角フライト又は半角フライトスクリュとし、前記シリンダ(4)内に水を前記プラスチック原料(7)に対して0.6%以上4%未満で供給し、かつ減容、粉砕、溶融、混合させた前記プラスチック原料(7)を前記シリンダ(4)から排出する前にベント部(21)からガス成分を除去し、前記シリンダ先端(4a)に設けたダイス(22)と造粒装置(23)により溶融状の前記プラスチック原料(7)をペレット状に造粒することを特徴とする二軸スクリュ押出機を使用した粉砕混合造粒方法。
【請求項2】
加熱冷却可能なシリンダ(4)内に互いに同方向回転する一対のスクリュ(3)を有する二軸押出機(1)を用い、二成分以上かつ熱変形温度が異なるプラスチック原料(7)を粉砕混合造粒する二軸スクリュ押出機を使用した粉砕混合造粒装置において、
前記シリンダ(4)の原料供給の開口部(5)の軸方向長さ(L)を1.7Dよりも長く5D(Dはシリンダ内径)以下とし、前記開口部(5)下の各スクリュ(3)には、軸直角の断面形状を角フライト又は半角フライトスクリュとし、前記シリンダ(4)内に水を前記プラスチック原料(7)に対して0.6%以上4%未満で供給し、かつ減容、粉砕、溶融、混合させた前記プラスチック原料(7)を前記シリンダ(4)から排出する前にベント部(21)からガス成分を除去し、前記シリンダ先端(4a)に設けたダイス(22)と造粒装置(23)により溶融状の前記プラスチック原料(7)をペレット状に造粒する構成としたことを特徴とする二軸スクリュ押出機を使用した粉砕混合造粒装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−11508(P2011−11508A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−159454(P2009−159454)
【出願日】平成21年7月6日(2009.7.6)
【出願人】(000004215)株式会社日本製鋼所 (840)
【Fターム(参考)】