説明

二軸延伸成形機

【課題】二軸延伸成形機の小型・コンパクト化および処理効率の向上を図ること。
【解決手段】二軸延伸成形機1の閉鎖形状をした搬送路6における第1の搬送路部分62の加熱部を経由している部分では、プリフォーム・キャリア・パレット7が搬送方向に向けて一列に配列された状態で搬送され、加熱部における各プリフォーム・キャリア・パレット7の送りピッチが、1個分のプリフォーム・キャリア・パレット7の搬送方向の長さによって規定され、加熱部から二軸延伸成形部に引き渡される各プリフォーム・キャリア・パレット7の送りピッチを加熱部における送りピッチよりも広くするための送り機構9を備えている。二軸延伸成形部では送りピッチが広がるので太径の成形品を成形でき、加熱部では、狭い送りピッチでプリフォームを搬送できるのでプリフォームの配列密度を高めて、加熱効率を改善でき、必要な搬送路を短くでき、装置を小型・コンパクト化できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PETボトル等を成形するのに適した二軸延伸成形機に関するものである。更に詳しくは、小型・コンパクトに構成可能な二軸延伸成形機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
PETボトル等の成形品は、射出成形により形成したプリフォームを、加熱した後に二軸延伸成形型を用いて延伸成形することにより得られる。このために使用される二軸延伸成形機は、搬送経路に沿って配列された各処理部を経由させてプリフォームを一定の送りピッチで順次に搬送して成形動作を行なうように構成されている。この形式の二軸延伸成形機の例は、特許文献1に開示されている。
【0003】
この公報に開示された二軸延伸成形機では、プリフォームの搬送ラインが四角形となっており、このライン上に直方体形状の搬送ユニット(プリフォーム・キャリア・パレット)が配列され、これらが一定の送りピッチで順次に搬送される。各搬送ユニットは、プリフォームの口に差し込み可能な差し込みコアを備え、プリフォームは差し込みコアに口が差し込まれた状態で搬送される。各搬送ユニットは、プリフォームを受け取った後に、加熱部、延伸成形部を経由して搬送され、成形品が回収部に引き渡された後は、空の状態でプリフォームの供給部まで戻る動作を繰り返し行う。
【特許文献1】特公平1−17855号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような閉鎖形状の搬送ラインに沿ってプリフォームが担持されたプリフォーム・キャリア・パレットを搬送して二軸延伸動作を行う構成の二軸延伸成形機においては、次のような解決すべき課題がある。
【0005】
第1に、プリフォーム・キャリア・パレットは、加熱部および延伸成形部を通った後に成形品が取り除かれた後に再びプリフォーム供給部に戻される。延伸成形部は搬送ラインに対して直交する方向に開閉する成形型を備え、両側の成形型のストローク分のスペースを確保しておく必要がある。このために、延伸成形部は二軸延伸成形機における他の部分に比べてその横幅が非常に大きい。従来においては、搬送経路は同一の高さ位置に形成された平面的な搬送経路であり、延伸成形部からプリフォーム供給部に到る搬送経路の部分は、横幅の広い延伸成形部の外側を迂回させた経路となっている。この結果、二軸延伸成形機の寸法が大きくなってしまうという弊害がある。また、搬送経路の全長も長くなり、その分、プリフォーム・キャリア・パレットを搬送経路に沿って一巡させる時間も長く掛かり、処理速度が低下するという弊害もある。
【0006】
第2に、プリフォームは、プリフォーム供給部を経由して搬送されるプリフォーム・キャリア・パレットに備わっている差し込みコアに対してその口を上側から差し込むことにより、当該パレットに取り付けられる。プリフォームの口の部分が確実に差し込みコアに差し込まれていないと後段の処理が適切に行われない。しかし、確実に差し込まれていない原因としては、単なる差し込み不足の場合と、プリフォームの口の部分が変形していて差し込みできない場合がある。これらを識別して適切に処理する機構は従来においては提案されていない。
【0007】
第3に、延伸成形部においては、プリフォーム・キャリア・パレットに担持されているプリフォームの口にブローエアー吹き込み口コアと延伸ロッドを差し込み、プリフォームの二軸延伸成形が行われる。これらのコアおよび延伸ロッドの移動を従来の機構よりも効率良く行うことができれば、処理効率が向上するので好ましい。
【0008】
本発明の目的は、上記の点に鑑みて、搬送経路を最短距離にして小型・コンパクト化された二軸延伸成形機を実現することにある。
【0009】
また、本発明の目的は、プリフォーム供給部からプリフォーム・キャリア・パレットに供給されたプリフォームの変形および差し込み不良を確実に識別可能な機能を備えた二軸延伸成形機を実現することにある。
【0010】
さらに、本発明の目的は、延伸成形部におけるブローエアー吹き込み口コアおよび延伸ロッドの移動を効率良く行うことの可能な機構を備えた二軸延伸成形機を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、本発明は、プリフォーム供給部と、プリフォーム加熱部と、加熱後のプリフォームを二軸延伸成形する二軸延伸成形部と、成形品を回収する回収部と、これらの各部分を順次に経由する閉鎖状の搬送路と、この搬送路に沿って搬送されるプリフォーム・キャリア・パレットとを有する二軸延伸成形機において、
前記搬送路は、プリフォームが担持された前記プリフォーム・キャリア・パレットを前記プリフォーム加熱部および前記二軸延伸成形部を介して搬送する第1の搬送路部分と、成形品が回収された後の前記プリフォーム・キャリア・パレットを前記プリフォーム供給部まで搬送する第2の搬送路部分とを備えており、
前記第1の搬送路部分の前記加熱部を経由している部分では、前記プリフォーム・キャリア・パレットが搬送方向に向けて一列に配列された状態で搬送され、当該加熱部における各プリフォーム・キャリア・パレットの送りピッチが、1個分のプリフォーム・キャリア・パレットの搬送方向の長さによって規定されており、
前記加熱部から前記二軸延伸成形部に引き渡される各プリフォーム・キャリア・パレットの送りピッチを前記加熱部における送りピッチよりも広くするための送り手段を備えていることを特徴としている。
【0012】
本発明では、二軸延伸成形部において送りピッチが広がるので、太径の成形品の成形を行うことができる。また、加熱部では狭い送りピッチでプリフォームを搬送できる。従って、加熱部におけるプリフォームの配列密度を高めて、加熱効率を改善できると共に、必要な搬送路を短くすることができ、装置の小型・コンパクト化を実現できる。
【0013】
一方、本発明の二軸延伸成形機の二軸延伸成形部は、プリフォームの開口から差し込まれるブローエアー吹き込み口コアおよび延伸ロッドの差し込み動作を独立して行なう駆動手段を備えた構成としてある。この構成では、ブローエアー吹き込みコアの移動(一般には昇降)のストロークを大幅に短縮でき、移動に要する時間を短縮して処理効率を向上できる。
【0014】
さらに、本発明の二軸延伸成形機では、プリフォーム供給部と加熱部の間に、プリフォームを差し込みコアに押し込むための押し込み手段を備えている。この押し込み手段によって、プリフォームを確実にプリフォーム・キャリア・パレットに担持させることができる。
【0015】
ここで、押し込み手段としては、押し込み後のプリフォームの高さ位置を検出する位置センサを備えた構成とすることが望ましい。口の部分が変形しているプリフォームは押し込むことが出来ないので、押し込み後にその高さ位置を検出すれば、このような変形している不良プリフォームを確実に検出できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の二軸延伸成形機においては、プリフォームの加熱部における送りピッチに対して二軸延伸成形部に引き渡す際の送りピッチを広げるようにしているので、胴太の成形品の成形を行うことができ、加熱部におけるプリフォームの配列密度を高めることができるので加熱効率を向上させることもできる。
【0017】
また、プリフォーム・キャリア・パレットの搬送路を立体的に構成してあるので、全体を小型でコンパクトに構成できる。
【0018】
さらに、二軸延伸成形部において、ブローエアー吹き込み口コアおよび延伸ロッドの駆動を独立して行なうようにしているので、これらを一体で駆動する機構に比べて,ブローエアー吹き込み口コアの駆動を効率化できる。
【0019】
さらにまた、本発明では、プリフォーム・キャリア・パレットに対してプリフォームを確実に差し込むための機構を備えていると共に、当該押し込み機構に位置センサを付設してある。この構成によれば、口の部分が変形している不良プリフォームを確実に識別することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下に、図面を参照して、本発明を適用した二軸延伸成形機の実施例を説明する。
【0021】
図1は本実施例の二軸延伸成形機の全体構成を示す模式図である。図2ないし図4は、それぞれ、本実施例の二軸延伸成形機の側面構成図、平面構成図、および二軸延伸成形部の断面構成図である。図5は、そのプリフォーム・キャリア・パレットの斜視図であり、図6は加熱後のプリフォームを二軸延伸成形部に送り込むための送り機構を示す説明図である。
【0022】
図1ないし図4を参照して説明すると、本実施例の二軸延伸成形機1は、プリフォームPを供給するプリフォーム供給部2と、プリフォーム加熱部3と、加熱後のプリフォームP1を二軸延伸成形する二軸延伸成形部4と、成形品P2を回収する回収部5と、これらの各部分を順次に経由する閉鎖状の搬送路6と、この搬送路6に沿って搬送される複数個のプリフォーム・キャリア・パレット7とを有している。
【0023】
搬送路6は、図3において太線で示すように長方形をした閉鎖形状となっており、プリフォーム・キャリア・パレット7の搬送方向を矢印で示してある。本例では、搬送路6は、プリフォームPが担持されたプリフォーム・キャリア・パレット7をプリフォーム加熱部3および二軸延伸成形部4を介して搬送する第1の搬送路部分62(図3における点Aから点Bまでの経路)と、成形品P2が回収された後のプリフォーム・キャリア・パレット7を二軸延伸成形部4の下側を通ってプリフォーム供給部2まで搬送する第2の搬送路部分64(図1および図3における点Cから点Dまでの経路)を備えている。図1および図4から分かるように、二軸延伸成形部4のブロー型締機構41の下側の位置を第2の搬送路部分64が通過するように構成されている。
【0024】
各搬送路部分62、64は水平な搬送経路である。従って、これらの搬送経路部分のプリフォーム供給側の搬送経路部分は下側の第2の搬送経路部分64から上側の第1の搬送経路部分62に到る上昇経路部分61(図1および図3における点Dから点Aまでの経路)となっている。逆に、成形品回収側の搬送経路部分は上側の第1の搬送経路部分62から下側の第2の搬送経路部分64に到る降下経路部分63(図1および図3における点Bから点Cまでの経路)となっている。
【0025】
このように、本例の二軸延伸成形機1においては、プリフォームの搬送路6が平面的ではなく立体的に構成されている。従って、従来のように二軸延伸成形部4のブロー型締機構41の部分を平面的に迂回する状態にプリフォーム搬送路を形成している場合に比べて、機械スペース、特にその幅寸法を大幅に低減できる。従って、二軸延伸成形機の小型・コンパクト化を実現できる。また、プリフォーム搬送路の全長も大幅に短縮できるので、プリフォーム・キャリア・パレット7を一巡させるサイクルタイムも大幅に短縮でき、処理効率を改善することができる。
【0026】
ここで、図5に示すように、プリフォーム・キャリア・パレット7は、矩形の本体71と、これを上下方向に回転自在の状態で貫通している回転軸72と、この回転軸72の上端面に同軸状態に形成したプリフォーム差し込みコア73と、回転軸72の下端側の突出部分に形成した外歯74から構成されている。回転軸72および差し込みコア73の中心には貫通孔75が形成されている。この貫通孔75の下側には、後述のようにブローエアー吹き込み口コアを差し込み可能である。また、延伸ロッドをこの貫通孔75を介して上側のプリフォームP1の内部に差し込み可能となっている。
【0027】
プリフォームPはプリフォーム供給部2の側から地点Dに至ったプリフォーム・キャリア・パレット7に対して供給される。すなわち、口が上向き状態で待機しているプリフォームPは軸線21の回りに旋回可能な旋回グリッパ22によって口の部分が把持される。次に、グリッパ22が軸線21の回りに180度旋回すると、把持されているプリフォームPの口が下向きとなり、丁度、地点Dに待機しているプリフォーム・キャリア・パレット7の差し込みコア73に差し込まれる。
【0028】
このようにして、プリフォームPが担持されたプリフォーム・キャリア・パレット7は、二軸搬送機構61Aによって、Y軸方向に移動すると共にZ軸方向に上昇して、地点Aに到る。地点Aに至ったプリフォーム・キャリア・パレット7は、プッシュロッド61BによってX軸方向に向けて水平に押し出されて、二軸搬送機構61Aから第1の搬送路部分62に引き渡される。
【0029】
第1の搬送路部分62は、プリフォーム・キャリア・パレット7の矩形の本体71が摺動する一対のレール62a、62bを備えている。これらのレール上に乗ったパレット7は、上記のプッシュロッド61Bによりパレット7が1個ずつ押し出される毎に、当該搬送路部分62に沿って移動する。すなわち、この搬送路部分62においては、パレット7の搬送方向の長さによって送りピッチが規定され、この送りピッチ毎に一列に配列されたパレット7が全体として間欠的に搬送されることになる。
【0030】
ここで、第1の搬送路部分62における地点Dの近傍の位置には、プリフォームPを下方に押し込むための押し込み機構8が配置されている。この押し込み機構8は、プリフォームPをパレット7の差し込みコア73に対して再度押し込むためのものである。また、この押し込み機構8はプリフォーム7を押し込んだ後の高さを検出するための位置センサ8aを備えている。この押し込み機構8によって、プリフォームPが確実にパレット7に差し込まれた状態とされて次段の加熱部3に向けて搬送される。また、この押し込み機構8によりプリフォームPを押し込むことが出来なかった場合には、プリフォームPの高さが正常状態の場合よりも高くなるので、それが位置センサによって検出される。この場合は、プリフォームPの口の部分が変形している等の不良プリフォームであるとして、その旨が表示あるいは報知される。従って、プリフォームPの差し込み不良が解消され、同時に、不良プリフォームPも検出される。
【0031】
次に、加熱部3においては、搬送経路62に沿って片方の側にプリフォーム加熱用のヒータが配列されている。プリフォームPは、駆動プーリ、従動プーリおよびこれらの間に架け渡したタイミングベルトからなる回転機構62Aによって回転させられながら加熱部3を搬送される。すなわち、タイミングベルトがパレット7の歯車74に噛み合って、歯車74を回転させると、この歯車74が一体的に取付けられているパレット回転軸72が回転して、その上端面の差し込みコア73に差し込まれているプリフォーム7が回転する。
【0032】
次に、加熱部3において回転しながら加熱された後のプリフォームP1は、加熱部3を通り抜けた後に一定の期間だけ冷却されて、成形に適した温度状態とされる。しかる後に二軸延伸成形部4に搬入される。本例では、加熱後のプリフォームP1が担持されたパレット7を二軸延伸成形部4に1個ずつ送り込むための送り機構9を備えている。この送り機構9は、パレット7を、加熱部3での送りピッチよりも広い送りピッチで1個ずつ二軸延伸成形部4に送り込むためのものである。
【0033】
図6に示すように、この送り機構9は、搬送方向に向けて送りピッチL2の間隔で一対のグリッパ91、92を備えている。これらのグリッパは一体となって搬送方向に向けて送りピッチ2で往復移動するように構成されている。加熱部3を通過して送りピッチL1で搬送されて地点A1に至ったパレット7は、グリッパ92によって把持される。この状態では、前方側のグリッパ91は二軸延伸成形部4における成形位置A2に位置している。
【0034】
二軸延伸成形が終了した後は、グリッパ91、92は搬送方向に向けて送りピッチL2で移動する。この結果、図6において実線で示すように、後ろ側のグリッパ92に把持されているパレット7が二軸延伸成形位置A2に至り、成形品が担持されているパレットを把持している前側のグリッパ91は地点Bに到る。
【0035】
送り機構9はこのような往復動作を繰り返し行うことにより、送りピッチL1で送られて来たパレット7をそれよりも広い送りピッチL2で二軸延伸成形部4に搬送する。
【0036】
このように二軸延伸成形部4での送りピッチを広くしてあるので、加熱部3での送りピッチに関係なく、胴径の大きな容器の成形も行うことが可能である。逆に言えば、加熱部3での送りピッチを小さくすることにより、加熱部3の搬送方向の長さを短くして、加熱部内でのプリフォームPの配列密度を高くして、加熱効率を高めることができる。このように、加熱部の搬送方向の長さを短くできるので、その分、二軸延伸成形機の寸法を小さくできる。
【0037】
本例の二軸延伸成形部4は、1組の成形型42と、この型締機構41と、プリフォームの開口から差し込まれるブローエアー吹き込み口コア43と、同じくプリフォームの開口から差し込まれる延伸ロッド44と、これらブローエアー吹き込み口コア43および延伸ロッド44の差し込み動作を独立して行なう駆動機構45とを備えた構成となっている。
【0038】
成形時には、地点A2にプリフォームPが搬入されると、型締機構41によって左右一対の成形型42の型締が行われる。この後に、ブローエアー吹き込み口コア43が上昇してパレット7の貫通孔75に連結され、プリフォームPへのブローエアーの吹き込みが開始される。これと同時に、延伸ロッド44が上昇して、パレット貫通孔75を通ってプリフォーム内に差し込まれる。エアーの吹き込みと延伸ロッド44の差し込みによって二軸延伸成形が行われる。本例では、昇降のストロークが少ないブローエアー吹き込み口コア43と、昇降のストロークが長い延伸ロッド44を個別に駆動できるようにしている。
【0039】
従って、従来のようにブローエアー吹き込み口コア43を延伸ロッド44と共に大きなストロークで昇降させていた場合に比べて、ブローエアー吹き込み口コア43の昇降に要する時間を大幅に低減でき、処理効率を向上させることができる。
【0040】
次に、上記のような二軸延伸成形によって得られた成形品P2は、上述した送り機構9によって地点Bまで搬送される。この地点Bにおいて、パレット7は二軸搬送機構63Aに引き渡される。
【0041】
パレット7が二軸搬送機構63Aに引き渡されると、成形品回収部5の旋回グリッパ5Aがパレット上の成形品P2のネック部分を把持する。この状態で二軸搬送機構63Aはパレット7を降下(Z軸方向に移動)させる。この結果、成形品P2の口からパレット7の側の差し込みコア73が引き抜かれる。この後は、旋回グリッパ5Aが旋回して、成形品P2を回収する。このように、本例では、二軸搬送機構63Aによる降下を利用して、成形品P2をパレット7の側から抜き取る抜き取り機構が構成されている。従って、簡単な機構によって成形品P2を回収することができる。
【0042】
二軸搬送機構63Aは降下させることにより空となったパレット7を第2の搬送路部分64の開始点Cに向けて搬送する(Y軸方向に搬送する)。地点Cに到ると、プッシュロッド63Bによってパレット7が二軸搬送機構63Aの側からX軸方向に押し出されて、第2の搬送路部分64を構成している左右一対の搬送ベルト64a,64bに乗る。これらの搬送ベルトによってパレット7は、二軸延伸成形部4の型締機構41の下側を通ってプリフォーム供給部2の側に向けて搬送される。
【0043】
以後、同様にしてパレット7が搬送路6を繰り返し移動してプリフォームの二軸延伸成形が行われる。
【0044】
(その他の実施の形態)
なお、上記の例では、二軸延伸成形部4においては1組の成形型を備えた、所謂1個取りの構成となっている。この代わりに、例えば、2個取りの構成とすることもできる。この場合には、送り機構9の代わりに、2個ずつパレット7を搬送する送り機構を採用すればよい。この場合、搬送動作に連動させて、2個のパレットの間隔を広げる機構を付設すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明を適用した二軸延伸成形機の全体構成を示す模式図である。
【図2】本発明を適用した二軸延伸成形機の側面構成図である。
【図3】図2の二軸延伸成形機の平面構成図である。
【図4】図2の二軸延伸成形機の二軸延伸成形部の断面構成図である。
【図5】図2の二軸延伸成形機におけるプリフォーム・キャリア・パレットの斜視図である。
【図6】図2の二軸延伸成形機における加熱後のプリフォームを二軸延伸成形部に送り込むための送り機構を示す説明図である。
【符号の説明】
【0046】
1 二軸延伸成形機
2 プリフォーム供給部
3 プリフォーム加熱部
4 二軸延伸成形部
5 回収部
6 搬送路
7 プリフォーム・キャリア・パレット
8 押し込み機構
73 押し込みコア
8a 位置センサ
9 送り機構
62 第1搬送路部分
64 第2搬送路部分
91、92 グリッパ
L1、L2 送りピッチ
P、P1 プリフォーム
P2 成形品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリフォーム供給部と、プリフォーム加熱部と、加熱後のプリフォームを二軸延伸成形する二軸延伸成形部と、成形品を回収する回収部と、これらの各部分を順次に経由する閉鎖状の搬送路と、この搬送路に沿って搬送されるプリフォーム・キャリア・パレットとを有する二軸延伸成形機において、
前記搬送路は、プリフォームが担持された前記プリフォーム・キャリア・パレットを前記プリフォーム加熱部および前記二軸延伸成形部を介して搬送する第1の搬送路部分と、成形品が回収された後の前記プリフォーム・キャリア・パレットを前記プリフォーム供給部まで搬送する第2の搬送路部分とを備えており、
前記第1の搬送路部分の前記加熱部を経由している部分では、前記プリフォーム・キャリア・パレットが搬送方向に向けて一列に配列された状態で搬送され、当該加熱部における各プリフォーム・キャリア・パレットの送りピッチが、1個分のプリフォーム・キャリア・パレットの搬送方向の長さによって規定されており、
前記加熱部から前記二軸延伸成形部に引き渡される各プリフォーム・キャリア・パレットの送りピッチを前記加熱部における送りピッチよりも広くするための送り手段を備えていることを特徴とする二軸延伸成形機。
【請求項2】
請求項1において、
前記第2の搬送路部分は前記第1の搬送路部分よりも低い位置に形成され、前記二軸延伸成形部の型締機構の下側を通過していることを特徴とする二軸延伸成形機。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記二軸延伸成形部は、プリフォームの開口から差し込まれるブローエアー吹き込み口コアと、同じくプリフォームの開口から差し込まれた延伸ロッドと、これらブローエアー吹き込み口コアおよび延伸ロッドの差し込み動作を独立して行う駆動手段とを備えていることを特徴とする二軸延伸成形機。
【請求項4】
請求項1ないし3のうちのいずれかの項において、
前記プリフォーム供給部と前記加熱部の間には、プリフォームをプリフォーム・キャリア・パレットに押し込むための押し込み手段が配置されていることを特徴とする二軸延伸成形機。
【請求項5】
請求項4において、
前記押し込み手段は、押し込み後の前記プリフォームの高さ位置を検出する位置センサを備えており、検出した高さ位置に基づき不良プリフォームの検出が可能となっていることを特徴とする二軸延伸成形機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−82566(P2006−82566A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−360012(P2005−360012)
【出願日】平成17年12月14日(2005.12.14)
【分割の表示】特願平10−506810の分割
【原出願日】平成9年7月24日(1997.7.24)
【出願人】(594082648)株式会社フロンティア (34)
【Fターム(参考)】