説明

二酸化炭素液化装置

【課題】省エネルギー化を図った二酸化炭素液化装置を提供すること。
【解決手段】二酸化炭素液化装置1は、二酸化炭素含有ガスGmを二酸化炭素の臨界圧力未満の第1の所定の圧力に昇圧すると昇圧装置10と、昇圧装置10から導出された二酸化炭素含有ガスGmを冷却媒体Fで冷却する冷却器21と、冷却器21通過後の二酸化炭素含有ガスGmを冷却凝縮して液化二酸化炭素Lnを生成する凝縮器42と、液化二酸化炭素Lnを二酸化炭素の臨界圧力を超えた第2の所定の圧力に昇圧するポンプ28と、熱交換器30とを備える。熱交換器30は、ポンプ28で昇圧された超臨界圧液化二酸化炭素Lpと、冷却器21から導出された二酸化炭素含有ガスGmとで熱交換を行わせる。これにより、二酸化炭素含有ガスGmを超臨界圧液化二酸化炭素Lpで予冷することができ、凝縮器42の冷凍負荷を軽減させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は二酸化炭素液化装置に関し、特に省エネルギー化を図った二酸化炭素液化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
温室効果ガスの1つである二酸化炭素の排出総量は増大する方向にあり、地球的規模の気候変動が危惧されている。大気中への二酸化炭素排出量を低減する試みとして、火力発電所等から排出された排ガスから分離回収した二酸化炭素を液化して地中や深海底に貯留する技術が開発されている。二酸化炭素を含有するガスから液体の二酸化炭素を回収する装置として、二酸化炭素を含有するガスから水分を除去する装置と、除湿ガスから二酸化炭素を濃縮する装置と、二酸化炭素濃縮ガスを圧縮する装置と、圧縮された二酸化炭素ガスを−20℃以下に冷却し液化する凝縮器を備えたものが公知である(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平4−359785号公報(段落0005、図3等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
二酸化炭素の液化装置は多大なエネルギーを消費するため、省エネルギー対策を施すことは有用である。
【0005】
本発明は上述の課題に鑑み、省エネルギー化を図った二酸化炭素液化装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の第1の態様に係る二酸化炭素液化装置は、例えば図1に示すように、二酸化炭素を主成分として含む二酸化炭素含有ガスGmを、二酸化炭素の臨界圧力未満の第1の所定の圧力P1(例えば図2参照)に昇圧する昇圧装置10と;昇圧装置10から導出された二酸化炭素含有ガスGmを、自然環境下に存在する空気又は水に由来する冷熱を保有する冷却媒体Fで冷却する冷却器21と;冷却器21を通過した後の二酸化炭素含有ガスGmを冷却凝縮して主成分が二酸化炭素の凝縮液である液化二酸化炭素Lnを生成する凝縮器42と;液化二酸化炭素Lnを、二酸化炭素の臨界圧力を超えた第2の所定の圧力P2(例えば図2参照)に昇圧するポンプ28と;ポンプ28で昇圧された液化二酸化炭素Lnである超臨界圧液化二酸化炭素Lpと、冷却器21から導出された二酸化炭素含有ガスGmと、で熱交換を行わせる熱交換器30とを備える。
【0007】
このように構成すると、超臨界圧液化二酸化炭素と冷却器から導出された二酸化炭素含有ガスとで熱交換を行わせる熱交換器を備えるので、凝縮器に導入する前の二酸化炭素含有ガスを超臨界圧液化二酸化炭素で予冷することができ、凝縮器の冷凍負荷を軽減させることができて省エネルギーを図ることができる。
【0008】
また、本発明の第2の態様に係る二酸化炭素液化装置は、例えば図1に示すように、上記本発明の第1の態様に係る二酸化炭素液化装置1において、熱交換器30における交換熱量を調節する交換熱量調節手段32、33と;熱交換器30から導出された超臨界圧液化二酸化炭素Lpの温度を検出する温度検出器35と;温度検出器35で検出した温度が所定の温度となるように交換熱量調節手段33を制御する制御装置80とを備える。
【0009】
このように構成すると、超臨界圧液化二酸化炭素の比容積を適切な値にすることができる。例えば、超臨界圧液化二酸化炭素が管路で搬送される場合は、超臨界圧液化二酸化炭素から冷熱を回収しながら圧力損失を許容範囲に抑制した比容積とすることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、超臨界圧液化二酸化炭素と冷却器から導出された二酸化炭素含有ガスとで熱交換を行わせる熱交換器を備えるので、凝縮器に導入する前の二酸化炭素含有ガスを超臨界圧液化二酸化炭素で予冷することができ、凝縮器の冷凍負荷を軽減させることができて省エネルギーを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態に係る二酸化炭素液化装置の概略構成を示す系統図である。
【図2】混合ガス中の二酸化炭素の状態を示す二酸化炭素のp−h線図である。
【図3】本発明の実施の形態の変形例に係る二酸化炭素液化装置の除湿器まわりの概略構成を示す部分系統図である。(a)は第1の変形例、(b)は第2の変形例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において互いに同一又は相当する部材には同一あるいは類似の符号を付し、重複した説明は省略する。
【0013】
まず図1を参照して、本発明の実施の形態に係る二酸化炭素液化装置1を説明する。図1は、二酸化炭素液化装置1の概略構成を示す系統図である。二酸化炭素液化装置1は、混合ガスGmの流れ方向上流から下流に向かって、昇圧装置としての昇圧脱水装置10、冷却器としての第4冷却器21、熱交換器としての冷熱回収器30、水分凝縮器41、第4気液分離器25、除湿装置としての除湿器50、凝縮器としての二酸化炭素凝縮器42が設けられており、二酸化炭素凝縮器42の下流側には、二酸化炭素凝縮器42で生成された液化二酸化炭素Lnを昇圧するポンプとしての昇圧ポンプ28がさらに設けられている。また、二酸化炭素液化装置1は、運転を制御する制御装置80を備えている。
【0014】
混合ガスGmは、二酸化炭素を主成分として含む二酸化炭素含有ガスの一形態であり、水蒸気をも含んでいる。混合ガスGmは、本実施の形態では、燃料を燃焼させた後の排ガス中の二酸化炭素ガスを吸収剤に吸収させ、これを再生器に導いて再生器で吸収剤を再生することにより発生する、主に二酸化炭素と水蒸気とが混合したガスであるとして説明する。
【0015】
昇圧脱水装置10は、混合ガスGmを昇圧する装置である。昇圧脱水装置10は、さらに、混合ガスGmを昇圧する際に増大する比エンタルピを減少させるべく冷却することによって生じる凝縮水を除去する脱水装置でもある。昇圧脱水装置10は、導入された混合ガスGmを冷却する第1冷却器11Cと、混合ガスGmから凝縮水を分離する第1気液分離器11Sと、凝縮水が分離された混合ガスGmを昇圧する第1圧縮機11Pと、がこの順に配列されて構成された第1昇圧脱水部11を有している。さらに、第1昇圧脱水部11の後段には、第1冷却器11C、第1気液分離器11S、第1圧縮機11Pに対応する第2冷却器12Cと、第2気液分離器12Sと、第2圧縮機12Pとがこの順に配列されて構成された第2昇圧脱水部12と、第3冷却器13Cと、第3気液分離器13Sと、第3圧縮機13Pとがこの順に配列されて構成された第3昇圧脱水部13とを有している。第2昇圧脱水部12は、第1昇圧脱水部11よりも混合ガスGmを高い圧力に昇圧するように構成されている。第3昇圧脱水部13は、第2昇圧脱水部12の後段に設けられ、第2昇圧脱水部12よりも混合ガスGmを高い圧力に昇圧するように構成されている。なお、各冷却器11C、12C、13Cの下部に凝縮水が溜まる場合は、各冷却器11C、12C、13Cの下部からも凝縮水を抜き出すことがある。
【0016】
第4冷却器21は、昇圧脱水装置10から導出された混合ガスGmを冷却する装置である。第4冷却器21は、冷却媒体としての冷却流体Fが保有する冷熱により混合ガスGmを冷却する構成となっている。冷却流体Fとしては、冷却塔で外気との熱交換により外気湿球温度以上のある温度に冷却された冷却水や、井水、海水等が用いられ、あるいは外気自体が用いられてもよい。このように、冷却流体Fは、自然環境下に存在する空気又は水に由来する冷熱を保有している流体である。第4冷却器21は、冷却流体Fが液体の場合は複数本が並列に配置されたフィン付チューブの内部に冷却流体Fを流してチューブの外側に混合ガスGmを流す構成のフィンチューブ熱交換器が好適に用いられ、冷却流体Fが気体、特に外気の場合はプレートフィン式熱交換器とし、チューブ内に混合ガスGmを、プレートフィン側に外気を流す構成が好適に用いられる。なお、本実施の形態では、昇圧脱水装置10の第1冷却器11C、第2冷却器12C、第3冷却器13Cも、第4冷却器21と同様に構成され、第4冷却器21に導入されるのと同様の冷却流体Fが導入されて混合ガスGmを冷却することとしている。
【0017】
冷熱回収器30は、第4冷却器21から導出された混合ガスGmと、昇圧ポンプ28で昇圧された超臨界圧液化二酸化炭素Lpとで熱交換を行わせる機器である。冷熱回収器30は、典型的には、液体である超臨界圧液化二酸化炭素Lpを内部に流すフィン付のチューブが複数本並列に配置され、このチューブの外側を混合ガスGmが通過することにより、混合ガスGmと超臨界圧液化二酸化炭素Lpとの熱交換が行われる構成の気液熱交換器(フィンチューブ熱交換器)である。
【0018】
水分凝縮器41は、冷却流体Fよりも温度が低い冷熱媒体としての冷水Cが保有する冷熱で混合ガスGmを所定の温度に冷却する機器である。所定の温度は、混合ガスGm中の二酸化炭素ガスが凝縮することを回避する観点から水分凝縮器41に導入された混合ガスGm中の二酸化炭素ガスの分圧における二酸化炭素の凝縮温度よりも高い温度で、かつ、混合ガスGm中の水分を凝縮して除去する観点から水分凝縮器41に導入された混合ガスGm中の水蒸気分圧における水蒸気の凝縮温度よりも低い温度であって、除湿器50の負荷を軽減する観点からできるだけ低い温度(凝縮水を極力多く抽出できる温度)とすることが好ましい。冷水Cは、冷凍機40で製造(冷却)されるようになっている。水分凝縮器41は、典型的には、冷熱回収器30と同様の構成のフィンチューブ熱交換器であり、フィン付チューブ内には冷水Cが流れるようになっている。
【0019】
第4気液分離器25は、水分凝縮器41で凝縮した水分を混合ガスGmから分離する機器である。第4気液分離器25で混合ガスGmに同伴する凝縮水を除去することにより、後段に配置された除湿器50の負荷を軽減することができる。除湿器50は、混合ガスGm中の水分を除去して、混合ガスGm中の水分濃度が所定の濃度に低下した除湿二酸化炭素ガスGdhとする機器である。除湿器50は、典型的には、水分を吸着しやすい固体である吸着剤に水分を吸着させる吸着方式の除湿器、あるいは水分を吸収しやすい液体である吸収剤に水分を吸収させる吸収方式の除湿器が用いられる。この場合、水分を吸着した吸着剤又は水分を吸収した吸収剤は、後に加熱されることにより水分を吸着又は吸収する前の状態に再生される構成となっている。所定の濃度は、除湿二酸化炭素ガスGdhを後に凝縮させて液化二酸化炭素Lnとしたときに、液化二酸化炭素Lnの流動が水和物の発生により阻害されない程度の水分濃度であり、概ね数〜十数体積ppmの濃度である。
【0020】
二酸化炭素凝縮器42は、冷熱媒体としての冷水Cが保有する冷熱で除湿二酸化炭素ガスGdhを冷却し凝縮させて液化二酸化炭素Lnとする機器である。冷水Cは、水分凝縮器41に供給される冷水Cと共通の冷熱源となる冷凍機40で製造されるようになっている。二酸化炭素凝縮器42は、図では簡易的に示しているが、シェル42bの中にチューブ42tを多数内蔵するシェルアンドチューブ型で、上下方向に多パスの構成としたものが好適である。シェル42b内のチューブ42t外側に除湿二酸化炭素ガスGdhを流し、チューブ42t内に冷水Cを流す構造とする場合は、冷水Cを多パスの下側から導入して上部から導出することとすると、液化二酸化炭素Lnを過冷却しやすくなる。他方、シェル42b内のチューブ42t外側に冷水Cを流し、チューブ42t内に除湿二酸化炭素ガスGdhを流す構造とすることもでき、この場合は、除湿二酸化炭素ガスGdhを多パスの上側から導入して下部から導出することとすると、液化二酸化炭素Lnを過冷却しやすくなる。本実施の形態では、二酸化炭素凝縮器42が、シェル42b内のチューブ42t外側に除湿二酸化炭素ガスGdhを流し、チューブ42t内に冷水Cを流す構造であるとして説明する。除湿二酸化炭素ガスGdhの流路(シェル42b)には、除湿二酸化炭素ガスGdhの圧力を検出する凝縮器圧力計64が設けられている。
【0021】
二酸化炭素凝縮器42のチューブ42tは、冷水往管44を介して冷凍機40の冷水導出口40aに接続されており、冷凍機40から冷水Cの供給を受けることができる構成となっている。冷水往管44は、典型的には最も鉛直下方に配設されたチューブ42tに接続されている。上方に配設されたチューブ42tは、冷水渡り管45を介して水分凝縮器41のフィン付チューブの一端に接続されている。水分凝縮器41のフィン付チューブの他端は、冷水還管46を介して冷凍機40の冷水導入口40bに接続されている。冷凍機40は、典型的には水冷式あるいは空冷式の熱源装置であり、不図示の冷媒が冷凍サイクルを行い(蒸発と凝縮を交互に行う)、冷媒が蒸発する際に、冷凍機40内を通過する冷水Cから熱を奪う(冷却する)機器である。冷凍機40として、汎用のターボ冷凍機、吸収式冷凍機、チリングユニット等を用いることができる。冷凍機40の冷凍サイクルを行う冷媒は、二酸化炭素ガスを圧縮機で昇圧するよりも小さなエネルギーで冷凍サイクルを行わせることができる種類のもの(例えば作動圧力が低いもの)が用いられることが好ましい。冷凍機40は、二酸化炭素凝縮器42において生成される液化二酸化炭素Lnを、シェル42b内の圧力における二酸化炭素の飽和液あるいは過冷却液(圧縮液)とすることができる温度の冷水Cを製造することができるように構成されている。冷凍機40は、冷凍容量を調節して導出される冷水Cの温度を可変とすることができるように構成されている。冷水渡り管45と冷水還管46とには、冷水Cを水分凝縮器41へ導入させずにバイパスさせる冷水バイパス管48が接続されている。冷水バイパス管48には、内部を流れる冷水Cの流量を調節することができる流量調節弁49が配設されている。冷水バイパス管48及び流量調節弁49は、水分凝縮器41に導入される単位時間当たりの冷熱量を調節することを可能にするものであり、導入冷熱量調節手段を構成する。また、冷水往管44、冷水渡り管45、冷水還管46は、それぞれ冷却流体流路の一態様である。
【0022】
上述した、昇圧脱水装置10、第4冷却器21、冷熱回収器30、水分凝縮器41、第4気液分離器25、除湿器50、二酸化炭素凝縮器42の、混合ガスGmあるいは除湿二酸化炭素ガスGdhが通過する流路は、ガス管61で接続されている。水分凝縮器41と第4気液分離器25との間のガス管61には、混合ガスGmの温度を検出する温度検出器としてのガス温度計65が設けられている。
【0023】
二酸化炭素凝縮器42のシェル42bの下部、好ましくは底部には、液化二酸化炭素Lnを流す液体管68の一端が接続されている。液体管68の他端は、冷熱回収器30のフィン付チューブの一端に接続されている。液体管68には、昇圧ポンプ28が挿入配置されている。冷熱回収器30のフィン付チューブの他端には、冷熱回収器30から導出された超臨界圧液化二酸化炭素Lpを流す導出液体管69が接続されている。導出液体管69を流れる超臨界圧液化二酸化炭素Lpは、典型的には、地中や深海底部に導かれる。液体管68と導出液体管69とには、超臨界圧液化二酸化炭素Lpを冷熱回収器30へ導入させずにバイパスさせる液体バイパス管32が接続されている。液体バイパス管32には、内部を流れる超臨界圧液化二酸化炭素Lpの流量を調節することができる流量調節弁33が配設されている。液体バイパス管32及び流量調節弁33は、冷熱回収器30における混合ガスGmと超臨界圧液化二酸化炭素Lpとの交換熱量を調節することを可能にするものであり、交換熱量調節手段を構成する。導出液体管69には、内部を流れる超臨界圧液化二酸化炭素Lpの圧力を検出する液体圧力計34及び温度を検出する温度検出器としての液体温度計35が設けられている。
【0024】
二酸化炭素凝縮器42で生成される液化二酸化炭素Lnは、典型的には二酸化炭素の飽和液又は過冷却液であるが、昇圧ポンプ28におけるキャビテーション発生を防止する観点から、過冷却液であることが好ましい。液化二酸化炭素Lnを過冷却液にする構成として、二酸化炭素凝縮器42が除湿二酸化炭素ガスGdhを飽和液に凝縮させた後にこれをさらに低温化することができるように構成されていてもよく、二酸化炭素凝縮器42とは別に過冷却器(不図示)を設けてもよい。他のキャビテーション防止策として、昇圧ポンプ28の羽根車の回転速度を調節可能とする、あるいは昇圧ポンプ28の吐出側に開度を調節可能な弁を設ける等の構成として昇圧ポンプ28の吐出流量を調節することにより、二酸化炭素凝縮器42の下部に貯留される液化二酸化炭素Lnの液面の高さを所定の高さ以上に確保することとしてもよい。チューブ42tが液化二酸化炭素Lnに液没することとすれば、液没した部分のチューブ42tを過冷却器として機能させることができる。
【0025】
制御装置80は、二酸化炭素液化装置1の運転を制御する装置である。制御装置80は、液体圧力計34及び凝縮器圧力計64とそれぞれ信号ケーブルで接続されており、圧力信号を受信することができるように構成されている。また、制御装置80は、液体温度計35及びガス温度計65とそれぞれ信号ケーブルで接続されており、温度信号を受信することができるように構成されている。また、制御装置80は、流量調節弁33及び流量調節弁49とそれぞれ信号ケーブルで接続されており、各流量調節弁33、49の開度を調節することができるように構成されている。また、制御装置80は、第1圧縮機11P、第2圧縮機12P、第3圧縮機13Pのそれぞれに指令信号を送信することができ、各圧縮機の11P、12P、13Pの発停を制御することができるように構成されている。また、制御装置80は、冷凍機40に指令信号を送信することができ、冷凍機40の冷凍容量(ひいては製造される冷水Cの温度)を制御することができるように構成されている。
【0026】
引き続き図1及び図2を参照して、二酸化炭素液化装置1の作用を説明する。図2は、混合ガスGm中の二酸化炭素の状態を示す二酸化炭素のp−h(圧力−比エンタルピ)線図である。以下で言及する二酸化炭素の状態(p−h線図上で文字Sの後に連続番号X(Xは自然数)を付した符号「SX」で表す)は、混合ガスGm又は除湿二酸化炭素ガスGdh又は液化二酸化炭素Ln又は超臨界圧液化二酸化炭素Lpにおける二酸化炭素の状態を表すこととする。
【0027】
状態S1の混合ガスGmが昇圧脱水装置10に導入されると、まず、第1冷却器11Cで冷却されて状態S2となり、その後、第1冷却器11Cにおける混合ガスGmの冷却に伴い発生した凝縮水が第1気液分離器11Sで除去された後に、第1圧縮機11Pで昇圧されて状態S3となる。次いで、第2冷却器12Cで冷却されて状態S4となり、冷却に伴う凝縮水が第2気液分離器12Sで除去された後、第2圧縮機12Pで昇圧されて状態S5となる。さらに、第3冷却器13Cで冷却されて状態S6となり、冷却に伴う凝縮水が第3気液分離器13Sで除去された後、第3圧縮機13Pで第1の所定の圧力P1に昇圧されて状態S7となる。ここで、第1の所定の圧力P1は、二酸化炭素の臨界圧力(約7.4MPa(絶対圧))よりも低い圧力であって、除湿二酸化炭素ガスGdh中に許容される水分が含まれる場合であっても水分の凍結を回避する観点から二酸化炭素の飽和温度が0℃となる圧力よりも高い圧力が好ましく、典型的には冷凍機40として汎用冷凍機を採用することを可能にするべく二酸化炭素凝縮器42に導入される冷水Cの温度(例えば7〜13℃程度)が二酸化炭素の飽和温度となる圧力以上の圧力である。このように、昇圧脱水装置10では、状態S1の混合ガスGmを第1の所定の圧力である状態S7に昇圧する。
【0028】
昇圧脱水装置10で状態S7に昇圧された混合ガスGmは、第4冷却器21に導入されて冷却され、比エンタルピが減少すると共に温度が低下して状態S8となる。状態S8は、二酸化炭素液化装置1が設置される場所の条件や季節の移り変わり等の自然条件によって変化する冷却流体Fの状態に依存する。例えば、冷却流体Fが冷却塔で冷却された冷却水の場合、我が国の夏は冷却水温度が概ね都心部では32℃程度、寒冷地では24℃程度となる。本実施の形態のように、状態S7の混合ガスGmの温度が169℃の場合、冷却流体Fの温度が32℃であって第4冷却器21の温度効率が80%であるとすれば、第4冷却器21における冷却によって状態S8となった混合ガスGmは60℃程度になる。第4冷却器21で状態S8に冷却された混合ガスGmは、冷熱回収器30に導入され超臨界圧液化二酸化炭素Lpとの熱交換により冷却されて状態S9となる。冷熱回収器30が設けられていることにより超臨界圧液化二酸化炭素Lpが保有する冷熱を回収することができるため、外部からのエネルギーを利用して状態S8から状態S9に冷却する場合に比べて省エネルギーとなる。
【0029】
冷熱回収器30で状態S9に冷却された混合ガスGmは、水分凝縮器41に導入され冷水Cにより冷却されて状態S10となる。このとき、制御装置80は、ガス温度計65で検出された水分凝縮器41で冷却された後の混合ガスGmの温度を信号として受信し、ガス温度計65で検出する温度が上述した所定の温度(圧力P1における二酸化炭素の凝縮温度よりも高く、凝縮水を極力多く抽出できる温度)となるように流量調節弁49の開度を調節して、水分凝縮器41に流入する冷水Cの流量を制御する。水分凝縮器41で冷却された混合ガスGmを二酸化炭素の凝縮温度よりも高い所定の温度とすることで、混合ガスGm中の二酸化炭素が凝縮して凝縮水と混ざることを回避することができ、ひいては二酸化炭素が凝縮水と共に系外に排出されることを回避することができる。この制御について換言すれば、水分凝縮器41のフィン付チューブ表面温度を二酸化炭素の凝縮温度すなわち露点よりも高くすることで、二酸化炭素が凝縮して凝縮水と混ざることを回避することができるのであるが、チューブ表面温度を直接検出する代わりに、水分凝縮器41出口の混合ガスGmの温度でチューブ表面温度を推定し、制御しようとするものである。
【0030】
水分凝縮器41で状態S10に冷却された混合ガスGmは、第4気液分離器25に導かれ、水分凝縮器41で発生した凝縮水が除去された後、除湿器50に導入されて混合ガスGm中の水分が上述した所定の濃度(後に凝縮して液化二酸化炭素Lnとなったときに流動が阻害されない濃度)となるまで除去され、除湿二酸化炭素ガスGdhとされる。除湿二酸化炭素ガスGdh中の二酸化炭素の状態は、概ね状態S10のままである。混合ガスGmが除湿器50に導入される前に、混合ガスGm中の水分が水分凝縮器41で冷却凝縮されて第4気液分離器25で除去されるので、除湿器50で除去する水分を最小限にすることが可能となり、除湿器50の吸着剤又は吸収剤を再生するために要するエネルギーを削減することができる。
【0031】
除湿二酸化炭素ガスGdhは、その後二酸化炭素凝縮器42に導入され、冷水Cにより冷却されて状態S11の液化二酸化炭素Lnとなる。なお、ここでは、状態S11が圧力P1における二酸化炭素の飽和液の状態から1℃程度過冷却した液であるとして説明する。1℃の過冷却は、二酸化炭素凝縮器42の飽和圧力に対して約145kPa高圧の過冷却であり、昇圧ポンプ28に対する有効NPSHに換算すると約16.5mになる。液化二酸化炭素Lnは、一旦シェル42bの下部に貯留された後、重力及び昇圧ポンプ28の吸い込みにより、昇圧ポンプ28に流入する。昇圧ポンプ28に流入した液化二酸化炭素Lnは、昇圧ポンプ28により第2の所定の圧力P2に昇圧されて状態S12の超臨界圧液化二酸化炭素Lpとなる。ここで、第2の所定の圧力P2は、例えば超臨界圧液化二酸化炭素Lpを地中や深海底に埋設するのに必要な圧力であり、すなわち、超臨界圧液化二酸化炭素Lpを処理するのに必要な圧力である。昇圧ポンプ28により状態S12に昇圧された超臨界圧液化二酸化炭素Lpは、液体管68を圧送される。
【0032】
液体管68を流れる超臨界圧液化二酸化炭素Lpは、冷熱回収器30に流入し、状態S8の混合ガスGmと熱交換して比エンタルピが増大し、状態S13となる(上述のように混合ガスGmは状態S8から状態S9となる。)。このように、二酸化炭素液化装置1では、冷熱回収器30において超臨界圧液化二酸化炭素Lpが保有する冷熱を回収することができ、省エネルギーを図ることができる。従来、例えば液化天然ガスなどでは、天然ガスを液化した後にその液体の温度を上げると蒸気が発生してしまうために、液化装置において液体から冷熱を回収することは考えられていなかった。これに対し、二酸化炭素液化装置1では、後の輸送を考慮して、二酸化炭素を、臨界圧力を超えた超臨界流体である超臨界圧液化二酸化炭素Lpとしているため、超臨界圧液化二酸化炭素Lpの温度がある程度(数℃〜数十℃)上昇しても蒸気の発生に起因する二相流は発生せず、いわゆるベーパーロック等の心配もないため、超臨界圧液化二酸化炭素Lpの冷熱を回収することが可能となる。また、二酸化炭素を地中や深海底に貯留するに際し、圧送中の超臨界圧液化二酸化炭素Lpは、結局は地中や海水の周囲温度になってしまい、換言すれば冷熱が失われてしまう。そこで、地中や深海底に圧送する前に冷熱を回収することにより、周囲温度になってしまうことに伴って失われる冷熱のエネルギーを低減することができる。
【0033】
このとき、超臨界圧液化二酸化炭素Lpは、混合ガスGmとの熱交換による比エンタルピの増大(温度の上昇)に伴い比容積も増大する。比容積が増大すると、導出液体管69及びその先のユースポイントまでの導管(不図示)を超臨界圧液化二酸化炭素Lpが流れる際の流速が増大して圧力損失も増大することとなる。超臨界圧液化二酸化炭素Lpの比容積の増大を抑制するため、制御装置80は、液体温度計35で検出された超臨界圧液化二酸化炭素Lpの温度を信号として受信し、液体温度計35で検出する温度が、液体圧力計34で検出された圧力において許容される比容積となる温度以下となるように、流量調節弁33の開度を調節して、冷熱回収器30へ流入する超臨界圧液化二酸化炭素Lpの流量を制御する。導出液体管69を流れる超臨界圧液化二酸化炭素Lpの温度を許容される比容積となる温度以下とすることで、管内を流れる際の圧力損失の増大を抑制することができ、省エネルギーを図ることができる。
【0034】
以上で説明したように、本実施の形態に係る二酸化炭素液化装置1では、二酸化炭素ガスを第1の所定の圧力で凝縮させた後に液体の状態で第2の所定の圧力に昇圧しているため、ガスの状態で第2の所定の圧力に昇圧する場合に比べて少ないエネルギーで二酸化炭素を超臨界流体とすることができる。例えば、水分凝縮器41及び二酸化炭素凝縮器42のための冷凍機40並びに昇圧ポンプ28を用いずに、状態S8から圧縮機で圧力P2まで昇圧することとした場合に必要な動力に対して、本実施の形態に係る二酸化炭素液化装置1で超臨界圧液化二酸化炭素Lpを生成する場合の動力は93%で済む。また、冷熱回収器30を設けて超臨界圧液化二酸化炭素Lpの冷熱を回収して混合ガスGmの冷却に利用しているので、その分省エネルギーとなり、冷熱を回収しない場合に比べて91%の動力で済む。さらに、水分凝縮器41及び第4気液分離器25を設けて除湿器50に導入される混合ガスGm中の水分を極力除去しているので、除湿器50の負荷を軽減することができ、再生に要するエネルギーも少なくなって省エネルギーとなる。なお、さらなる省エネルギーを図るため、除湿器50を以下のように構成してもよい。
【0035】
図3は、本発明の実施の形態の変形例に係る二酸化炭素液化装置の除湿器まわりの概略構成を示す部分系統図であり、(a)は第1の変形例に係る二酸化炭素液化装置1A、(b)は第2の変形例に係る二酸化炭素液化装置1Bの部分系統図である。二酸化炭素液化装置1A及び二酸化炭素液化装置1Bにおける除湿装置まわり以外の構成は、二酸化炭素液化装置1(図1参照)と同様である。
【0036】
図3(a)に示す二酸化炭素液化装置1Aは、二酸化炭素液化装置1(図1参照)における除湿器50(図1参照)に代えて、水分を吸着する水分奪取媒体としての固体の吸着剤が充填された第1除湿再生器51Aと、第1除湿再生器51Aと同様の構成の第2除湿再生器51Bとが設けられている。ガス管61は第1除湿再生器51Aに接続されている。第4気液分離器25と第1除湿再生器51Aとの間のガス管61には分岐ガス導入管73の一端が接続されており、分岐ガス導入管73の他端は第2除湿再生器51Bに接続されている。分岐ガス導入管73が接続されている側とは反対側の第2除湿再生器51Bには分岐ガス導出管74の一端が接続されており、分岐ガス導出管74の他端は第1除湿再生器51Aと二酸化炭素凝縮器42との間のガス管61に接続されている。ガス管61と分岐ガス導入管73との接続部には、混合ガスGmを第1除湿再生器51Aへ導入させるのと第2除湿再生器51Bへ導入させるのとを切り換える三方弁83が配設されている。ガス管61と分岐ガス導出管74との接続部には、二酸化炭素凝縮器42へ導入される除湿二酸化炭素ガスGdhを、第1除湿再生器51Aから導出されたものとするか第2除湿再生器51Bから導出されたものとするかを切り換える三方弁84が配設されている。
【0037】
三方弁84が設けられている位置よりも二酸化炭素凝縮器42側のガス管61には、除湿二酸化炭素ガスGdhを再生ガスGrとして取り出す再生用ガス管71の一端が接続されている。再生用ガス管71の他端は、第1再生用ガス管71Aと第2再生用ガス管71Bとに分岐した後に、第1再生用ガス管71Aは第1除湿再生器51Aに、第2再生用ガス管71Bは第2除湿再生器51Bに、それぞれ接続されている。第1再生用ガス管71Aと第2再生用ガス管71Bとの分岐部には、再生ガスGrを第1除湿再生器51Aへ導入させるのと第2除湿再生器51Bへ導入させるのとを切り換える三方弁81が配設されている。再生用ガス管71には、再生ガスGrを予熱する熱交換器52と、再生ガスGrを加熱するヒータ53とが、再生ガスGrの流れ方向に沿ってこの順に配設されている。ヒータ53には、典型的には昇圧脱水装置10の圧縮機11P、12P、13Pから吐出された吐出ガスH(典型的には混合ガスGmの一部が抜き出されたガス)が導入されるように構成されている。吐出ガスHは、圧縮機11P、12P、13Pの圧縮仕事に伴って発生した熱を受けて高温となっている。この高温の吐出ガスHのエネルギーで再生ガスGrが加熱される構成となっているが、他に高温の排熱が存在すればそれを利用して省エネルギーを図ってもよい。
【0038】
さらに、第1除湿再生器51Aには第1再生後ガス管72Aが、第2除湿再生器51Bには第2再生後ガス管72Bが、それぞれ接続されている。第1再生後ガス管72Aと第2再生後ガス管72Bとはそれぞれ再生後ガス管72に接続されている。第1再生後ガス管72A及び第2再生後ガス管72Bの再生後ガス管72との接続部には、再生後ガス管72を、第1再生後ガス管72Aと連通させるのと第2再生後ガス管72Bと連通させるのとを切り換える三方弁82が配設されている。三方弁82以降の再生後ガス管72は、熱交換器52を経由した後に、昇圧脱水装置10の第2圧縮機12Pと第3冷却器13Cとの間のガス管61に接続されている。各三方弁81、82、83、84は、制御装置80からの信号により流体の流れが切り換えられるように構成されている。
【0039】
上述のように構成された二酸化炭素液化装置1Aは、当初、第1除湿再生器51Aに対して混合ガスGmが導入及び導出される方向に2つの三方弁83、84が制御され、他方、2つの三方弁81、82は、第2除湿再生器51Bに対して再生ガスGrが導入されて吸着材から出た水蒸気を含む水分含有ガスGkが導出されるように制御される。この状態で二酸化炭素液化装置1Aが運転されると、第4気液分離器25で水分が除去された混合ガスGmは、第1除湿再生器51Aに導入され、混合ガスGm中の水分が第1除湿再生器51Aに充填されている吸着剤に吸着されて除湿二酸化炭素ガスGdhとなり、第1除湿再生器51Aから導出される。第1除湿再生器51Aから導出された除湿二酸化炭素ガスGdhは、大部分が二酸化炭素凝縮器42に導入されるが、一部が再生用ガス管71に導入される(区別を容易にするためにこれを「再生ガスGr」と呼称することとしている)。再生用ガス管71を流れる再生ガスGrは、まず熱交換器52に導入され、水分含有ガスGkと熱交換して温度が上昇し、次いでヒータ53において吐出ガスHによって吸着剤に吸着されている水分を蒸発させることができる温度に加熱される。ヒータ53によって加熱された再生ガスGrは、混合ガスGmが導入されていない第2除湿再生器51Bに導入される。
【0040】
第2除湿再生器51Bに導入された再生ガスGrは、保有している熱で、吸着剤に吸着されている水分を蒸発させる。再生ガスGrは、吸着剤から放出された水蒸気と混合した水分含有ガスGkとなって第2除湿再生器51Bから導出される。その後、水分含有ガスGkは、熱交換器52に導入されて再生ガスGrに熱を与えて自身は温度が低下し、再生後ガス管72を流れて第2圧縮機12Pと第3冷却器13Cとの間のガス管61に導入され、混合ガスGmに合流する。
【0041】
このような運転を続けていると、第1除湿再生器51Aの吸着剤の吸着能力が低下してくる。すると、制御装置80は各三方弁81、82、83、84を切り換えて、混合ガスGmが第2除湿再生器51Bに導入されるように、かつ、再生ガスGrが第1除湿再生器51Aに導入されるようにする。これにより、それまで再生ガスGrにより吸着剤が再生されていて吸着能力が回復した第2除湿再生器51Bで混合ガスGmが除湿されて除湿二酸化炭素ガスGdhが生成され、他方、第1除湿再生器51Aでは再生ガスGrの導入により吸着剤の再生が行われるようになる。このように、第1除湿再生器51A及び第2除湿再生器51Bは、共に、混合ガスGm中の水分を奪う水分奪取部としての機能と、吸着剤を加熱して水分を蒸発させる再生部としての機能を併せ持ち、時間経過に応じて水分奪取部と再生部とが切り替わる構成となっている。なお、切替の際、切替前に再生ガスGrの加熱をやめ、再生ガスGrで除湿再生器51A、51Bを冷却しておくことで、切替後の吸着作用をスムーズに継続することができる。
【0042】
次に図3(b)に示す二酸化炭素液化装置1Bは、二酸化炭素液化装置1(図1参照)における除湿器50(図1参照)に代えて、水分を吸収する水分奪取媒体としての吸収液Q(液体の吸収剤)により混合ガスGm中の水分が吸収除去される水分奪取部としての除湿部55が設けられている。吸収液Qとして、例えばエチレングリコールが用いられる。除湿部55には、吸収液Qを導入する吸収液導入管75の一端が上部に接続され、水分を吸収した後の吸収液Qを導出する吸収液導出管76の一端が下部に接続されている。吸収液導出管76の他端は精留器58に接続されている。また、吸収液導出管76には、吸収液Qを予熱する熱交換器56と、吸収液Qを加熱するヒータ57とが、吸収液Qの流れ方向に沿ってこの順に配設されている。ヒータ57には、典型的には昇圧脱水装置10の圧縮機11P、12P、13Pから吐出された吐出ガスHが導入され、この高温の吐出ガスHのエネルギーで吸収液Qが加熱される構成となっているが、他に高温の排熱が存在すればそれを利用して省エネルギーを図ってもよい。
【0043】
精留器58の下部には、吸収液導入管75の他端が接続されている。吸収液導入管75は、精留器58と除湿部55との間で熱交換器56を通過するように構成されている。熱交換器56は、比較的濃度が高い吸収液Qである濃吸収液Qsと、水分を吸収して濃度が低下した吸収液Qである希吸収液Qwとで熱交換を行わせる機器である。精留器58の上部は、水蒸気を流す水蒸気管77A、77Bを介して分縮器59A、水凝縮器59Bと連絡している。分縮器59Aは、導入した水蒸気の一部を凝縮させ、凝縮水管78を介して凝縮水を精留器58に還流する機器である。水凝縮器59Bは、導入した水蒸気を冷却凝縮させる機器である。除湿部55には、吸収液Qを散布する散布ノズル(不図示)が設けられている。また、除湿部55は、吸収液Qが水分を吸収することに伴い発生する吸収熱を除去するための冷水Cを導入することができるように、冷水渡り管45の一部が内部に配設されている。
【0044】
上述のように構成された二酸化炭素液化装置1Bは、除湿部55に、ガス管61を介して混合ガスGmが導入されると共に吸収液導入管75を介して濃吸収液Qsが導入されると、混合ガスGm中の水分が濃吸収液Qsに吸収されて、混合ガスGmは除湿二酸化炭素ガスGdhとなり、濃吸収液Qsは希吸収液Qwとなる。濃吸収液Qsが水分を吸収する際に発生する吸収熱は、冷水Cによって除去される。除湿二酸化炭素ガスGdhは、二酸化炭素凝縮器42に向かってガス管61を流れる。他方、希吸収液Qwは、吸収液導出管76を流れ、まず熱交換器56に導入され、濃吸収液Qsと熱交換して温度が上昇し、次いでヒータ57において吐出ガスHによって加熱され、希吸収液Qwに含まれている水分が蒸発分離された状態(水蒸気と濃吸収液Qsとの混合流の状態)で精留器58に導入される。このように、希吸収液Qwは、熱交換器56及びヒータ57によって加熱されて水分が除去され、再び水分を吸収できる濃吸収液Qsに再生されるため、熱交換器56及びヒータ57は再生部を構成することとなる。
【0045】
精留器58に導入された水蒸気と濃吸収液Qsとの混合流は、水蒸気が上部に上昇し、濃吸収液Qsが下部に貯留される。上昇した水蒸気は、水蒸気管77A、77Bを介して分縮器59A、水凝縮器59Bに導入され、分縮器59Aは導入した水蒸気の一部を凝縮させて精留器58に還流し、分縮器59Aを通って水凝縮器59B導入した水蒸気の残部はここで冷却凝縮されたうえで二酸化炭素液化装置1B外へ排出される。他方、精留器58の下部に貯留された濃吸収液Qsは、吸収液導入管75を介して熱交換器56に導入されて希吸収液Qwに熱を与えて自身は温度が低下した後に、吸収液導入管75を流れて再び除湿部55に導入される。分縮器59Aの冷却は冷却水で行ってもよく、熱交換器56に導入される前の希吸収液Qwで行ってもよい。水凝縮器59Bの冷却は、典型的には冷却水で行われる。
【0046】
以上の説明では、昇圧脱水装置10が三段昇圧する構成であるとしたが、混合ガスGmの状態や第1の所定の圧力P1の設定値等により、二段昇圧あるいは四段以上の多段昇圧とする等、適宜段数を増減する構成にするとよい。例えば、流入する混合ガスGmの圧力によって、第1昇圧脱水部11〜第3昇圧脱水部13のうち少なくとも1つ(例えば第1昇圧脱水部11)を有していればよい。また、流入する混合ガスGmの温度によっては、第1昇圧脱水部11を省略してもよい。また、流入する混合ガスGmの水蒸気含有量により、第1気液分離器11Sを省略してもよい。つまり、昇圧脱水装置10は、その出口における混合ガスGmの状態を所望の状態にできるように、昇圧脱水部の段数を決定することができ、さらに、昇圧脱水部のうちの冷却器及び/又は気液分離器を適宜省略することができる。
【0047】
以上の説明では、気体と液体とで熱交換を行わせる構成(気液熱交換器)の第4冷却器21、冷熱回収器30、水分凝縮器41がフィンチューブ熱交換器であるとしたが、その他の構成の気液熱交換器であってもよい。
【0048】
以上の説明では、冷凍機40で製造される冷水Cを水分凝縮器41及び二酸化炭素凝縮器42に供給することとしたが、ブライン又は冷凍機からの冷媒を供給してもよく、あるいは液化天然ガスを供給してこの冷熱を利用するように構成してもよい。しかしながら、冷凍機40で製造される冷水Cを供給することとすると、汎用冷凍機を利用することができるため、維持管理及びイニシャルコストの面で利点がある。また、水分凝縮器41及び二酸化炭素凝縮器42に同じ冷熱媒体である冷水Cを供給することとするとしたが、それぞれに異なる冷熱源からの冷熱媒体を供給してもよい。
【0049】
以上の説明では、導入冷熱量調節手段が冷水バイパス管48及び流量調節弁49で構成されているとしたが、例えば、水分凝縮器41に導入される冷水Cの系統が、二酸化炭素凝縮器42に導入される冷水Cの系統と別であるような場合は、水分凝縮器41に導入される冷水Cを圧送するポンプの吐出流量を可変とする流量調節弁あるいはインバータポンプで構成してもよく、あるいは、水分凝縮器41に導入される冷水Cを製造する冷凍機が冷水Cの温度を可変とする冷水温度設定装置(例えば容量制御を行う制御装置等)で構成してもよい。また、冷凍機40からの冷媒で混合ガスGmを冷却する場合は、水分凝縮器41及び二酸化炭素凝縮器42に冷媒を並列に供給し、流量調節弁49は冷媒供給量を直接制御するように構成してもよい。
【0050】
以上の説明では、交換熱量調節手段が液体バイパス管32及び流量調節弁33で構成されているとしたが、混合ガスGmの流路(ガス管61)の方に冷熱回収器30をバイパスするバイパス管を設けると共にそのバイパス管に流量調節弁を設けることで冷熱回収器30に導入される混合ガスGmの流量を変化させるように構成してもよく、あるいは、冷水Cを製造する冷凍機が冷水Cの温度を可変とする冷水温度設定装置(例えば容量制御を行う制御装置等)で構成して液化二酸化炭素Lnの温度を調節することで冷熱回収器30に導入される超臨界圧液化二酸化炭素Lpの保有冷熱量を調節することとしてもよい。
【0051】
以上の説明では、昇圧脱水装置10に導入される二酸化炭素含有ガスが、二酸化炭素を主成分として水蒸気を含む混合ガスGmであることとしたが、二酸化炭素が液化した際にその液化二酸化炭素Lnの流動を阻害しない程度の水分含有量の二酸化炭素ガスである場合は、水分凝縮器41、第4気液分離器25、及び除湿器50を省略してもよく、併せて昇圧脱水装置10から脱水機能(各気液分離器11S、12S、13S)を省いた昇圧装置としてもよい。
【符号の説明】
【0052】
1、1A、1B 二酸化炭素液化装置
10 昇圧脱水装置
21 第4冷却器
28 昇圧ポンプ
30 冷熱回収器
32 液体バイパス管
33 流量調節弁
35 液体温度計
42 二酸化炭素凝縮器
80 制御装置
F 冷却媒体
Gm 二酸化炭素含有ガス
Ln 液化二酸化炭素
Lp 超臨界圧液化二酸化炭素

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二酸化炭素を主成分として含む二酸化炭素含有ガスを、二酸化炭素の臨界圧力未満の第1の所定の圧力に昇圧する昇圧装置と;
前記昇圧装置から導出された前記二酸化炭素含有ガスを、自然環境下に存在する空気又は水に由来する冷熱を保有する冷却媒体で冷却する冷却器と;
前記冷却器を通過した後の前記二酸化炭素含有ガスを冷却凝縮して主成分が二酸化炭素の凝縮液である液化二酸化炭素を生成する凝縮器と;
前記液化二酸化炭素を、二酸化炭素の臨界圧力を超えた第2の所定の圧力に昇圧するポンプと;
前記ポンプで昇圧された前記液化二酸化炭素である超臨界圧液化二酸化炭素と、前記冷却器から導出された前記二酸化炭素含有ガスと、で熱交換を行わせる熱交換器とを備える;
二酸化炭素液化装置。
【請求項2】
前記熱交換器における交換熱量を調節する交換熱量調節手段と;
前記熱交換器から導出された前記超臨界圧液化二酸化炭素の温度を検出する温度検出器と;
前記温度検出器で検出した温度が所定の温度となるように前記交換熱量調節手段を制御する制御装置とを備える;
請求項1に記載の二酸化炭素液化装置。

【図1】
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【図3】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−266154(P2010−266154A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−119173(P2009−119173)
【出願日】平成21年5月15日(2009.5.15)
【出願人】(000000239)株式会社荏原製作所 (1,477)
【Fターム(参考)】