説明

二重化切替機能を有した通信装置

【課題】多重化された伝送路に対する不要な切替動作を防止する。
【解決手段】本発明は、コピーされたデータを複数の伝送路から受信可能であり、複数の伝送路のうち現用の伝送路の障害を検出した場合に予備の伝送路からデータを受信する二重化機能を有した通信装置に関する。この二重化機能を有した通信装置では、監視手段18a、18bが複数の伝送路毎に警報データの受信を監視し、警報受信時間差監視手段19が監視手段18a、18bによる監視結果に基づいて複数の伝送路毎の警報データの受信時間差が所定期間内に入るか否かを判定し、切替制御手段20が警報受信時間差監視手段19によって複数の伝送路毎の警報データの受信時間差が所定期間内に入らないと判定された場合に現用の伝送路から予備の伝送路に切り替える旨を命令する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コピーされたデータを二重化されたネットワークから受信する二重化機能を有した通信装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年における情報化社会の発達により、ユーザが利用する通信の種類も多様化している。
【0003】この通信の例としては、専用線、フレームリレー方式(FR)による通信、非同期転送モード(ATM)による通信、時分割多重化方式(TDM)による通信、インターネットにおける通信、電話等がある。
【0004】ユーザが上記のような各種の通信サービスの併用を望む場合、この各種通信サービスを統合し、まとめて取扱い可能とすることにより、管理の容易化、接続の簡素化等が可能となる。この通信サービスの統合を実現するための通信装置の一つとして多重化装置がある。
【0005】この多重化装置と接続されるネットワークの中には、信頼性向上のために二重化されているネットワークもある。
【0006】さらに、多重化装置は、ATM通信を実現するATM通信装置として機能する場合がある。
【0007】図2は、従来の多重化装置の接続状態の例を示すブロック図である。
【0008】サービス提供網1は、通信事業者が所有するネットワークであり、このネットワークから通信事業者のサービスを取り出して提供するためのノード装置1a、1bが備えられている。
【0009】アクセス網2は、ユーザ3とサービス提供網1との間を接続するためのネットワークであり、信頼性向上のために二重化されているとする。また、このアクセス網2においては、二重化されている現用の伝送路(現用系)2aと予備の伝送路(予備系)2bとの両端部分に回線終端装置4が備えられている。
【0010】アクセス網5も、上記アクセス網2と同様であり、ユーザ6とサービス提供網1との間を接続するために現用系5aと予備系5bとを備えたネットワークである。
【0011】なお、例としてサービス提供網1及びアクセス網2、5はATM(非同期転送モード)用のネットワークとする。
【0012】一方のユーザ3の端末装置3aとアクセス網2との間は多重化装置7aにより接続されており、さらにアクセス網2とサービス提供網1との間も多重化装置7bにより接続されている。なお、多重化装置7aにはユーザ3が利用する他の通信サービス用の端末装置が備えられていてもよい。
【0013】なお、サービスの種別毎に、ノード装置が接続される場合やサービス提供網が二重化されている場合がある。
【0014】他方のユーザ6の端末装置3bとアクセス網5との間も多重化装置7cにより接続されており、さらにアクセス網5とサービス提供網1との間も多重化装置7dにより接続されている。この場合も、多重化装置7cにユーザ6の利用する他の端末装置が備えられていてもよい。
【0015】図3は、従来の多重化装置における二重化されたネットワークへの送信動作及び二重化されたネットワークからの受信動作の例を示すブロック図である。ここでは、図2におけるサービス提供網1から端末装置3bまでのセルの送受信について説明するが、この逆方向の送受信も同様である。また、端末装置3aとサービス提供網1との間での送受信も同様である。
【0016】サービス提供網1からのセル8a〜8cは、多重化装置7dの外部インタフェース回路9aで受信され、ブリッジ回路10によりセルコピーされ、外部インタフェース回路9b、9cによりそれぞれ現用系5a及び予備系5b双方の仮想パス(VP)11に対して送信される。また、現用系5a及び予備系5bには、他の仮想パス12が存在してもよい。
【0017】なお、セルとは、固定長(53バイト)の情報転送単位であり、5バイトのセルヘッダと48バイトの情報フィールドから構成されるものとする。
【0018】また、この送受信されるセル8a〜8cには、データセル8a、8cの他に運用保守用のOAMセル(Operation Administration and Maintenanceセル)8bも含まれる。
【0019】現用系5a及び予備系5b双方の仮想パス11により伝送されるセル8a〜8cは、それぞれ多重化装置7cの外部インタフェース回路9d、9eにより受信される。この多重化装置7cでは、受信されたセルのうち、セレクタ13により選択されている系(ここでは現用系5a)の仮想パス11からのセル8a〜8cが外部インタフェース回路9fにより端末装置3bに対して送信される。
【0020】二重化されたATM網の現用系と予備系の制御方式としては、ITU-T勧告I.630にて網のATMレイヤ保護切替のアーキテクチャとメカニズムが勧告されている。
【0021】また、ITU-T勧告I.630AnnexBでは、現用系、予備系の回線を並列運転(1+1)する形態で単方向毎に(Unidirectional)障害から保護する切替操作において、自動保護スイッチ用プロトコル(APC)を用いずに、網に接続された受信側の装置からのローカル要求でのみセレクタ(セル選択機能)を制御できる方法が勧告されている。
【0022】したがって、アクセス網のエンドエンド装置でのセレクト動作は、互いに独立したものとなる。なお、ローカル要求には、プライオリティの高い順に、動作回路クリア、保護動作のロック、強制切替、受信信号障害検出、受信信号劣化、マニュアル切替要求、リストア待ち、要求なし、があり、プライオリティにしたがって要求が実行される。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、従来の多重化装置は、二重化されているネットワークにセルを送信する場合には、ブリッジ回路によりセルをコピーし、現用系の仮想パス及び予備系の仮想パスの双方に送信する。
【0024】一方、二重化されているネットワークからセルを受信する場合には、セレクタにより選択された系の仮想パスからセルを受信し、障害発生を示すOAM警報セルを受信した場合に該当する予備系の仮想パスに切り替える。
【0025】しかしながら、このような二重化制御においては、障害発生を示すOAM警報セルが多重化装置によりコピーされつつ送信され続けるため、自己の切替管理している仮想パスが正常であっても障害発生を示すOAM警報セル受信により切替が実行される場合がある。この状況を以下で説明する。
【0026】図4は、従来の多重化装置を適用したネットワークにおいて障害が発生した場合のセル伝達状態を示すブロック図であり、図2、3と同一の部分については同一の符号を付している。なお、この図4では端末装置3aから端末装置3bへのデータ伝送について説明するが、逆の場合も同様である。
【0027】第1の例として、アクセス網5における現用系5aの仮想パスに障害Cが発生したとする。この場合、現用系5aにおける受信側の回線終端装置4によって警報が検出され、この警報を示す信号であるVP−AIS(VPアラームインジケーションシグナル)がOAM警報セルに含められ、多重化装置7cに送信され、この多重化装置7cで保護切替動作が実行される。この場合の保護切替動作は、通信品質の向上に貢献する。
【0028】これに対し、第2の例として、アクセス網2における現用系2aの仮想パスに障害Aが発生する。この場合、現用系2aにおける受信側の回線終端装置4によって警報が検出され、この警報を示すVP−AISがOAM警報セルに含められ、多重化装置7bに送信される。
【0029】多重化装置7bにおいては、受信されたVP−AISを含むOAM警報セルがサービス提供網1に対して送信される。また、多重化装置7bにおいては、受信されたOAM警報セルのVP−AISに基づいて、現用系2aの仮想パスが異常であるとしてその後の受信を予備系2bの仮想パスで行うようにセレクタの切替が行われる。
【0030】多重化装置7dでは、多重化装置7bからサービス提供網1を介して受信されたセルがコピーされ、VP−AISを含むOAM警報セルも同様にコピーされる。コピーされたセルは、この多重化装置7dからアクセス網5の現用系5aの仮想パス及び予備系5bの仮想パスの双方に送信される。
【0031】多重化装置7dから現用系5aの仮想パス及び予備系5bの仮想パスの双方に送信されたセルは、この現用系5aの仮想パス及び予備系5bの仮想パスの双方から多重化装置7cに受信され、VP−AISを含むOAM警報セルも同様に現用系5aの仮想パス及び予備系5bの仮想パスの双方から受信される。
【0032】多重化装置7cでは受信されたVP−AISに基づいて、現用系5aの仮想パスに障害が発生していないにもかかわらず、セレクタによる保護切替動作が実行される。この場合の保護切替動作は、障害のないにもかかわらず系を切り替えるので無意味である。
【0033】このような、無意味な保護切替動作は受信するデータ伝送の時間差の発生、瞬断の原因となる。
【0034】サービス提供網1において障害Bが発生した場合にも、上記の障害Aが発生した場合と同様に、現用系5aの仮想パス及び予備系5bの仮想パスの双方が正常であるにもかかわらず、多重化装置7cで必要のない保護切替動作が実行される。
【0035】本発明は、以上のような実情に鑑みてなされたもので、自己と接続関係にあり、切替制御の対象となっている二重化されたネットワークにおける障害のみに起因して伝送路を切り替える二重化機能を有した通信装置を提供することを目的とする。
【0036】
【課題を解決するための手段】本発明の骨子は、警報セルを複数の伝送路から受信した場合の時間差が所定期間内に入る場合には利用する伝送路の切替を行わわず、所定期間内に入らない場合に利用する伝送路の切替を行う点にある。
【0037】第1の発明は、コピーされたデータを複数の伝送路から受信可能であり、複数の伝送路のうち現用の伝送路の障害を検出した場合に予備の伝送路からデータを受信する二重化機能を有した通信装置に関する。
【0038】この第1の発明の二重化機能を有した通信装置では、監視手段が伝送路の障害の発生した場合に転送される警報データの受信を複数の伝送路毎に監視し、警報受信時間差監視手段が監視手段による監視結果に基づいて複数の伝送路のそれぞれの警報データの受信時間差が所定期間内に入るか否かを判定し、切替制御手段が警報受信時間差監視手段によって複数の伝送路毎の警報データの受信時間差が所定期間内に入っていないと判定された場合に現用の伝送路から予備の伝送路に切り替える旨を命令する。
【0039】なお、データとしては、例えばセルがあり、複数の伝送路は物理的な通信路であってもよく、論理的な通信路であってもよい。
【0040】これにより、自己の切替対象である複数の伝送路ではない他の伝送路で発生した障害により、自己の切替対象の伝送路を切り替えることを防止することができる。したがって、必要のない切替によって発生するデータ伝送の時間差の発生、瞬断を削減することができ、データ伝送の信頼性を向上させることができる。
【0041】第2の発明は、コピーされたセルを複数の伝送路にそれぞれ設けられた論理コネクションから受信可能であり、複数の伝送路のうち現用の伝送路における論理コネクションの障害を検出した場合に予備の伝送路における論理コネクションからセルを受信する二重化機能を有した通信装置に関する。
【0042】この第2の発明の二重化機能を有した通信装置では、監視手段が複数の伝送路における論理コネクション毎に警報セルの受信を監視し、警報受信時間差監視手段が監視手段による監視結果に基づいて複数の伝送路における論理コネクションのそれぞれの警報セルの受信時間差が所定期間内に入るか否かを判定し、切替制御手段が警報受信時間差監視手段によって複数の伝送路における論理コネクション毎の警報セルの受信時間差が所定期間内に入っていないと判定された場合に現用の伝送路における論理コネクションから予備の伝送路における論理コネクションに切り替える旨を命令する。
【0043】なお、論理コネクションの例としては仮想チャネル、仮想パス等がある。
【0044】この第2の発明の二重化機能を有した通信装置においては、第1の発明と同様の作用により同様の効果を得ることができるが、論理コネクション毎に障害に影響されない伝送を確保することができる点が異なる。
【0045】第3の発明では、第2の発明の二重化機能を有した通信装置に、複数の伝送路における複数の論理コネクションのうち、いずれの論理コネクションを通過したセルを受信しているかを管理する切替状態管理手段を付加している。
【0046】これにより、現在利用されている論理コネクションが容易に把握できるため、障害の発生した論理コネクションを早期に復旧させることができ、また復旧作業を容易化することができる。したがって、メンテナンスが容易となる。
【0047】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
【0048】ここでは、ATM通信装置としての機能を含み、二重化された伝送路の双方から所定の時間内に、障害発生を示すOAM警報セルを受信した場合には切り替えを行わない多重化装置について説明する。
【0049】図1は、本実施の形態に係る多重化装置を例示すブロック図であり、図3と同一の部分については同一の符号を付して説明を省略し、ここでは異なる部分についてのみ詳しく説明する。
【0050】ここでは、本実施の形態に係る多重化装置14の2台が現用系15a及び予備系15bとで二重化されているネットワークにより接続されており、この多重化装置14間では、セル8a〜8cが現用系15aの仮想パス16(VP16)及び予備系15bの仮想パス16(VP16)により伝送される。なお、現用系15a及び予備系15bには、他の少なくとも一つの仮想パス17(VP17…)が設定されていてもよい。
【0051】この多重化装置14では、受信側として動作する場合には、外部インタフェース回路9d〜9f、OAMセル監視回路18a、18b、警報受信タイミング監視回路19、切替制御回路20、現用予備選択回路21、手動切替/切戻回路22、パス切替状態管理部23が主に動作する。
【0052】OAMセル監視回路18aは、現用系15aの仮想パス16、17毎に、外部インタフェース回路9dを介して受信されるセルを監視する。そして、VP−AISがあれば、VP−AISを警報受信時間差監視回路19に通知する。
【0053】OAMセル監視回路18bは、予備系15bの仮想パス16、17毎に、OAM警報セルのVP−AISを警報受信時間差監視回路19に通知する。
【0054】警報受信タイミング監視回路19は、OAMセル監視回路18a、18bのうち一方のOAMセル監視回路からVP−AISを受けると、このVP−AISを受け付けた時点から所定の期間T内に他方のOAMセル監視回路から同じVP−AISを受け付けるか否かを、仮想パス16、17毎に監視する。
【0055】そして、警報受信タイミング監視回路19は、所定期間T内に双方のOAMセル監視回路18a、18bから同じ仮想パス上のVP−AISを受け付けた場合には、受信されたOAM警報セルはセルコピーされているとし、自己の切替対象の仮想パス16、17は正常と判断する。
【0056】一方、所定期間T内に双方のOAMセル監視回路18a、18bから同じVP−AISを受け付けない場合には、受信されたOAM警報セルは自己の切替対象である仮想パスの異常を示すため、このOAM警報セルを受信した仮想パスを異常と判断し、その旨を切替制御回路20に通知する。
【0057】なお、所定の期間Tとしては0秒から10秒程度の間隔が利用可能である。通常は0秒となるが10秒であると世界中をカバー可能であり、この所定の期間Tはネットワークの状況に応じて自由に設定、変更可能となっている。
【0058】切替制御回路20は、警報受信タイミング監視回路19から異常な仮想パスの通知を受け付けると、パス切替状態管理部23の内容に基づいてこの異常な仮想パスが現用系15a又は予備系15bのいずれの系のものかを認識する。そして、この現在使用している系と異なる他の系の仮想パスに切り替える旨の命令を現用予備選択回路21に通知する。
【0059】また、この切替制御回路20は、手動切替/切戻回路22で指定された系の仮想パスへの切り替え命令を現用予備選択回路21に通知する機能を持つ。さらに切り替え命令の通知により各仮想パスはどの系のものが利用されているかをパス切替状態管理部23に登録する機能を持つ。
【0060】現用予備選択回路21は、切替制御回路20からの切り替え命令に基づいて、各仮想パス16、17毎に、現用系15aのものを利用するか予備系15bのものを利用するかを選択し、選択された系の仮想パス16、17からのセルを外部インタフェース回路9fを介して送信する。すなわち、この現用予備選択回路21は、仮想パス16、17毎に利用する系を指定してセルを受信し、この受信したセルを外部インタフェース回路9fを介して送信する。
【0061】なお、この多重化装置14は、送信側として動作する場合は、先で述べた図3の多重化装置7dと同様の動作を行う。すなわち、送信側として動作する場合には、自己が受信したセルをセルコピーし、現用系15aの仮想パス及び予備系15bの仮想パスの双方に送信する。
【0062】上記のような構成を持つ多重化装置14の動作について以下に説明する。
【0063】例えば先の図4における多重化装置7cの代わりに本実施の形態に係る多重化装置14を配置した場合を考える。
【0064】障害Aがアクセス網2の現用系2aの仮想パスで発生すると、サービス提供網1とアクセス網5の間に配置された多重化装置7dによりVP−AISを含むOAM警報セルがセルコピーされ、現用系5a及び予備系5b双方の仮想パスで伝送される。
【0065】すると、本実施の形態に係る多重化装置14では、自己の切替対象である現用系5a及び予備系5bの双方の仮想パスからOAM警報セルが受信されることになる。
【0066】このように、障害Aが発生した場合には、セルコピーされたOAM警報セルが受信されれるため、現用系5aの仮想パスによるVP−AISの受信時間と予備系5bの仮想パスによるVP−AISの受信時間との差tが所定の期間T内となり、この多重化装置14では仮想パスの切り替えが実行されない。
【0067】サービス提供網1で障害Bが発生した場合も障害Aが発生した場合と同様である。
【0068】これに対し、アクセス網5の現用系5aの仮想パスで障害Cが発生すると、この現用系5aの仮想パスからのみVP−AISが多重化装置14に受信される。
【0069】したがって、障害Cが発生した場合には、本実施の形態に係る多重化装置14では、このVP−AISを伝送した仮想パスの切り替えが実行される。
【0070】以上説明したように、本実施の形態に係る多重化装置14が受信側として動作する場合には、現用系15a及び予備系15bの双方から同じVP−AISが所定期間T内に受信されるか否かが判定され、所定期間T内に双方の系から同じVP−AISが受信された場合には切り替えが抑制される。
【0071】これにより、障害の発生していないネットワークに対して切り替えがなされるという誤動作を防止することができ、データ伝送の時間差の発生、瞬断を防止することができる。
【0072】また、本実施の形態に係る多重化装置14においては、仮想パス単位で警報を監視し、仮想パス単位で保護切り替えを可能としている。
【0073】したがって、物理的なネットワークの構成に関係なく、論理的な単位で切り替えを実行することができ、一つの警報発生により全体が瞬断することを防止することができる。
【0074】なお、本実施の形態に係る多重化装置14は、セルの受信のみではなく送信も可能であるたため、例えば先の図4における多重化装置7a〜7dを全てこの多重化装置14に置き換えれば、端末装置3aから端末装置3bの方向のみではなく、この逆方向の送受信にも同様の効果を得ることができる。
【0075】また、本実施の形態に係る多重化装置14は、先の図4と同様の接続関係であるがアクセス網と複数のサービス提供網とを接続する場合や、複数のアクセス網とサービス提供網とを接続する場合にも同様に適用可能である。
【0076】また、先の図4のサービス提供網1が二重化されている場合において、ノード装置1a、1bにも本実施の形態に係る多重化装置14と同様の切り替え判断を行わせることで、上記と同様の効果を得ることができる。
【0077】また、本実施の形態においては、仮想パス毎に切り替えを管理する場合を例として説明しているが、これに限定されるものではなく、仮想チャネル(VC)単位で管理するとしてもよい。この場合には切替トリガとしてVP−AISの代わりにVC−AISが利用される。
【0078】また、本実施の形態においては、切り替え対象のネットワークが二重化されている場合について説明しているが、これに限定されるものではなく、それ以上に多重化されている場合にも同様に適用可能である。
【0079】また、多重化機能を持たない回線終端装置に、本発明の二重化機能を持たせることも可能である。
【0080】
【発明の効果】以上詳記したように本発明においては、複数の伝送路から同一の警報データを所定の期間内に受信した場合には、伝送路の切り替えを行わず、同一の警報データを所定の期間内に受信しない場合には、伝送路の切り替えを命令する。
【0081】したがって、切り替えの必要ない伝送路に対して切り替えが行われることを防止することができる。
【0082】ゆえに、伝送路切り替えにより発生するデータ伝送の時間差の発生、瞬断を削減することができ、データ伝送の信頼性を向上させることができる。
【0083】また、本発明においては、各伝送路における論理コネクション毎に、切り替えを管理してもよい。すると、物理的なネットワークの構成に関係なく、論理的な単位で切り替えを実行することができ、一つの警報発生により全体が瞬断することを防止することができる。
【0084】また、本発明においては、どの論理コネクションが利用されているかを管理することにより、障害の発生した論理コネクションを早期に復旧させることができ、また復旧作業を容易化することができる。したがって、メンテナンスが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る多重化装置を例示するブロック図。
【図2】従来の多重化装置の接続状態の例を示すブロック図。
【図3】従来の多重化装置における二重化されたネットワークへの送信動作及び二重化されたネットワークからの受信動作の例を示すブロック図。
【図4】従来の多重化装置を適用したネットワークにおいて障害が発生した場合のセル伝達状況を示すブロック図。
【符号の説明】
1…サービス提供網
2、5…アクセス網
2a、5a、15a…現用系
2b、5b、15b…予備系
3、6…ユーザ
3a、3b…端末装置
4…回線終端装置
7a〜7d、14…多重化装置
8a〜8c…セル
9a〜9f…外部インタフェース回路
10…ブリッジ回路
11、12、16、17…仮想パス
13…セレクタ
18a、18b…OAMセル監視回路
19…警報受信時間差監視回路
20…切替制御回路
21…現用予備選択回路
22…手動切替/切戻回路
23…パス切替状態管理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】 コピーされたデータを複数の伝送路から受信可能であり、前記複数の伝送路のうち現用の伝送路の障害を検出した場合に予備の伝送路からデータを受信する二重化機能を有した通信装置において、前記複数の伝送路毎に、伝送路の障害が発生した場合に転送される警報データの受信を監視する監視手段(18a,18b)と、前記監視手段(18a,18b)による監視結果に基づいて、前記複数の伝送路のそれぞれの警報データの受信時間差が所定期間内に入るか否かを判定する警報受信時間差監視手段(19)と、前記警報受信時間差監視手段(19)によって前記複数の伝送路毎の警報データの受信時間差が所定期間内に入っていないと判定された場合に、現用の伝送路から予備の伝送路に切り替える旨を命令する切替制御手段(20)とを具備したことを特徴とする二重化切替機能を有した通信装置。
【請求項2】 コピーされたセルを複数の伝送路(15a,15b)にそれぞれ設けられた論理コネクション(VP16)から受信可能であり、前記複数の伝送路(15a,15b)のうち現用の伝送路(15a)における論理コネクション(VP16)の障害を検出した場合に予備の伝送路(15b)における論理コネクション(VP16)からセルを受信する二重化切替機能を有した通信装置において、前記複数の伝送路(15a,15b)における論理コネクション(16)毎に、警報セルの受信を監視する監視手段(18a,18b)と、前記監視手段(18a,18b)による監視結果に基づいて、前記複数の伝送路(15a,15b)における論理コネクション(VP16)のそれぞれの警報セルの受信時間差が所定期間内に入るか否かを判定する警報受信時間差監視手段(19)と、前記警報受信時間差監視手段(19)によって前記複数の伝送路(15a,15b)における論理コネクション(16)毎の警報セルの受信時間差が所定期間内に入っていないと判定された場合に、現用の伝送路(15a)における論理コネクション(16)から予備の伝送路(15a)における論理コネクション(16)に切り替える旨を命令する切替制御手段(20)とを具備したことを特徴とする二重化機能を有した通信装置。
【請求項3】 請求項2記載の二重化機能を有した通信装置において、前記複数の伝送路(15a,15b)における複数の論理コネクション(VP16)のうち、いずれの論理コネクション(VP16)を通過したセルを受信しているかを管理する切替状態管理手段(23)を付加したことを特徴とする二重化機能を有した通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2001−111560(P2001−111560A)
【公開日】平成13年4月20日(2001.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平11−284338
【出願日】平成11年10月5日(1999.10.5)
【出願人】(000000572)アンリツ株式会社 (838)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】