二重壁構造体
【課題】 自動車に用いられる部品としてのドアやフード、トランクリッドなどの二重壁構造体において、音響の透過を低減して遮音性を向上できる構成を得る。
【解決手段】 相対する板状体2,3の間に内部空間4が形成されるとともに当該内部空間4が完全に若しくはほぼ閉鎖されている二重壁構造体1において、前記相対する板状体2,3の間に、多数の微細孔8を有する微細多孔板13が配置されている。この微細多孔板13と二重壁構造体1の周囲部材(側板)5との間には空気層Aが介在されている。
【解決手段】 相対する板状体2,3の間に内部空間4が形成されるとともに当該内部空間4が完全に若しくはほぼ閉鎖されている二重壁構造体1において、前記相対する板状体2,3の間に、多数の微細孔8を有する微細多孔板13が配置されている。この微細多孔板13と二重壁構造体1の周囲部材(側板)5との間には空気層Aが介在されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は二重壁構造体に係り、より詳細には、遮音性に優れる二重壁構造体の構成に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車に用いられる部品としてのドアやフード、トランクリッドなどに二重壁構造体を使用することが従来から提案されている(例えば、特許文献1及び2参照)。この従来例の構成を模式的に図17に示す。この従来例の二重壁構造体1’は、所定の距離を隔てて相対する板状体2,3の間に内部空間4が形成されるとともに、当該内部空間4が側板5によって閉鎖された、中空箱状の構成(袋構造)とされている。
【特許文献1】特開2002−96636号公報
【特許文献2】特開2003−118364号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記特許文献1に示すような二重壁構造体1’において、下側から騒音の音波が入射され、当該騒音が特定の周波数の音成分を含んでいると、その音成分に対し内部空間4での共鳴(主に板状体2,3に平行な方向の共鳴)が発生することによって、放射面たる上側の板状体3の振幅が増大してしまい、放射音の増大により遮音性能が低下してしまっていた。また、共鳴状態においては、側板5の付近において特に音圧が高くなる特徴がある。
【0004】
本発明は以上の点に鑑みてされたものであり、その目的は、特定の周波数の音に対する音響透過量増大を抑制し、様々な周波数の音について安定して遮音性能を発揮し得る二重壁構造体を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0005】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0006】
◆本発明の第1の観点によれば、相対する板状体の間に内部空間が形成されるとともに当該内部空間が完全に若しくはほぼ閉鎖されている二重壁構造体において、前記相対する板状体の間に多数の孔を有する多孔板が配置されており、この多孔板と二重壁構造体の周囲部材との間に空気層が介在されている、二重壁構造体が提供される。
【0007】
これにより、多孔板と周囲部材との間の空間(空気層)により形成される吸音機構により、周囲部材付近での音圧を有効に低減でき、内部空間全体の共鳴を抑えることができる。これにより内部空間の音圧が低下し、放射面側の加振力が低下するので、放射面の振動が減少し、音響透過損失を向上できる。また、多孔板の孔径、板厚、開口率、周囲部材との空気層の厚さを調整することにより、任意の周波数を特に効果的に抑える構成とすることもできる。
【0008】
◆前記の二重壁構造体においては、前記多孔板が前記周囲部材に対して傾斜するように配置されていても良い。
【0009】
この構成によれば、内部空間でのあらゆる方向の共鳴を抑えることができ、遮音性に優れる二重壁構造体を提供できる。
【0010】
◆前記の二重壁構造体においては、前記多孔板は複数設けられ、これら多孔板同士の間に空気層が介在されていることが好ましい。
【0011】
この構成によれば、2つの空気層により内部空間の共鳴を一層抑制できるから、遮音性に優れる二重壁構造体を提供できる。
【0012】
◆前記の二重壁構造体においては、前記多孔板は前記周囲部材に接触するように設けられており、この接触部分において前記周囲部材には穴が形成されていても良い。なお、この穴の存在によっても、二重壁構造体の内部空間がほぼ閉鎖されている状態は維持される。
【0013】
これにより、内部空間に侵入したゴミや水等の異物を、前記穴を通じて容易に排出することができる。
【0014】
◆前記の二重壁構造体においては、前記多孔板と前記周囲部材との間の空間を仕切る仕切り体を有することが好ましい。
【0015】
これにより、二重壁構造体の遮音性が向上される。
【0016】
◆前記の二重壁構造体においては、前記仕切り体には多数の孔が形成されていることが好ましい。
【0017】
これにより、二重壁構造体の遮音性が一層向上される。
【0018】
◆前記の二重壁構造体においては、前記多孔板においては、その板厚、前記孔の孔径、前記孔の開口率、前記多孔板と前記周囲部材との間の空気層の厚さのうち少なくとも何れか一つを、前記仕切り体により仕切られる空間ごとに異ならせても良い。なお、仕切られた個々の空間において多孔板と周囲部材との間の空気層の厚さが均一でない場合は、仕切り体により仕切られる空間ごとにその空気層の代表厚さ(例えば、平均厚さ)が異なっていれば、上記の「空気層の厚さを・・・異ならせる」に該当する。また、前記仕切り体に孔が設けられている場合、その部材厚、前記孔の孔径、前記孔の開口率のうち少なくとも何れか一つを、前記仕切り体により仕切られる空間ごとに異ならせても良い。
【0019】
これにより、多孔板と周囲部材とで構成される吸音構造について、所望の周波数での吸音性能を発揮でき、特に良好な遮音性能を有する二重壁構造体を提供できる。
【0020】
◆前記の二重壁構造体においては、前記多孔板と前記相対する板状体の少なくとも何れか一方との間に制振防振部材が配置されていることが好ましい。
【0021】
これにより、二重壁構造体の遮音性をより向上させることができる。
【0022】
◆前記の二重壁構造体においては、前記多孔板の代わりに、一枚若しくは複数枚を積層した箔状体またはフィルム状体を配置しても良い。
【0023】
この場合でも、前述と同様に、箔状体またはフィルム状体と周囲部材との間の空間(空気層)により形成される吸音機構により、周囲部材付近での音圧を低減でき、内部空間全体の共鳴を抑えることができる。これにより内部空間の音圧が低下し、放射面側の加振力が低下するので、放射面の振動が減少し、音響透過損失を向上できる。この結果、遮音性に優れる構造体を得ることができる。
【0024】
◆前記の二重壁構造体においては、前記箔状体またはフィルム状体に多数の孔が形成されていることが好ましい。
【0025】
これにより、二重壁構造体の遮音性を一層向上させることができる。
【0026】
◆本発明の第2の観点によれば、相対する板状体の間に内部空間が形成されるとともに当該内部空間が完全に若しくはほぼ閉鎖されている二重壁構造体において、二重壁構造体の周囲部材付近に多孔質体が配置されている、二重壁構造体が提供される。
【0027】
これにより、(周囲部材付近に配置された)多孔質体によって周囲部材付近での音圧を低減でき、内部空間全体の共鳴を抑えることができる。これにより内部空間の音圧が低下し、放射面側の加振力が低下するので、放射面の振動が減少し、多孔質体自体の吸音効果とあいまって、音響透過損失を向上できる。この結果、遮音性に優れる構造体を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
次に、発明の実施の形態を説明する。図1から図16までには二重壁構造体の実施例がそれぞれ示されており、以下、順を追って説明する。
【0029】
図1及び図2に模式図を示す実施例1−1の二重壁構造体は、乗用車の部品としてのドアを想定したものである。この二重壁構造体1は、互いに平行に配置されるとともに所定の距離をおいて相対する板状体2,3を備えている。板状体2,3は一方向に若干長い長方形状に構成されており、2枚の対向する板状体2,3の間には、内部空間4が形成される。板状体2,3の縁部同士を繋ぐように4枚の側板(周囲部材)5が設けられており、これによって内部空間4はほぼ閉鎖される。言い換えれば本実施形態の二重壁構造体1は、二重壁たる板状体2,3と、前記側板5とで、前記内部空間4を囲む袋構造に構成されている。
【0030】
そして本実施形態では、前記内部空間4を仕切るように、矩形板状の微細多孔板13を設けている。各微細多孔板13は、微細な貫通孔(微細孔8)を多数形成した構成となっている。この実施例1−1では、4枚の微細多孔板13を矩形状に配置して、二重壁構造体1の内部空間4を、中心側と、側板5に近い周囲側の2つの空間に区画している。言い換えれば、それぞれの微細多孔板13は4枚の前記側板5に対し所定の間隔をあけて平行に配置されており、微細多孔板13と側板5との間には、前記間隔の分だけの厚みの空気層Aが介在される。なお、微細多孔板13の素材としては、例えば、鉄、アルミ、樹脂、繊維強化複合材料、紙などを採用できる。
【0031】
上記構成において、図1の下側から板状体2側が騒音によって音圧加振される場合を考える。騒音が特定の周波数の音成分を含んでいると、板状体2が振動することにより内部空間4の長手方向又は短手方向で共鳴が起ころうとする。この共鳴モードでは特に、側板5付近での音圧が高くなる。しかしながら、微細多孔板13と側板5とその間の空気層Aによって構成される吸音機構により、その音圧の高い側板5付近の音圧が特に効果的に低減されるため、共鳴モードが形成されにくくなり、共鳴が抑制される。以上の結果、放射面たる上側の板状体3の加振力が低下するので、放射面の振幅が低減され、音響透過損失の落込みを低減できる。
【0032】
実施例1−2(図3)の構成では、微細多孔板13は、二重壁構造体1の4枚の前記側板5のうちの1枚の近傍に設置されている。微細多孔板13は図3において略V字状をなすように、側板5に対して傾斜して配置されている。この結果、微細多孔板13と側板5との間には三角形状の空気層Aが形成される。この構成では、共鳴モード時に特に音圧の高いコーナー部(隅部)に対して空気層Aが配置される構成となり、このコーナー部の音圧を良好に低減できる。また、微細多孔板13が側板5に対して傾斜するように配置されていることから、内部空間4でのあらゆる方向の共鳴を抑えることができ、二重壁構造体1の遮音性を向上させることができる。
【0033】
実施例1−3(図4)の構成では、実施例1−2(図3)の構成に対して微細多孔板13を更に追加し、複数の微細多孔板13・13同士を平行に配置して、両微細多孔板13・13の間に厚み方向の隙間を形成している。この結果、両微細多孔板13・13の間に空気層Bが介在される。即ち、この実施例1−3では、微細多孔板13と側板5との間の空気層A、及び微細多孔板13・13の間の空気層Bの2つの空気層が形成される。従って、共鳴抑制効果を一層大とできる。
【0034】
実施例1−4−1(図5)の構成は、微細多孔板13を傾斜状に配置した実施例1−2の構成(図3)に対して、側板5の、微細多孔板13と接触する部分に穴10を形成したものである。この穴10により、内部空間4に侵入したゴミや水等の異物を容易に排出させることができる。また、この穴10は、側板5の空気層Aに対面しない部位に設けられているから、空気層Aによる吸音作用は妨げられない。なお、実施例1−4−2(図6)のように、微細多孔板13を略W字状に配置し、穴10を2つ形成しても良い。このように、微細多孔板13の傾斜の形態と穴10の個数は限定されるものではない。
【0035】
実施例2−1(図7)の構成は、実施例1−1(図1,図2)の変形例であって、側板5と微細多孔板13とを繋ぐように板状の仕切り体9を複数設け、この仕切り体9が、側板5と微細多孔板13との間に介在される空気層Aを、二重壁構造体1の長手方向及び幅方向に区画している。なお、微細多孔板13と側板5との間の空気層の延在方向の共鳴現象が所望の周波数で起こりにくい位置に仕切り体9を設けるのが好ましい。即ち、遮音性を向上させたい周波数に対する波長の1/2の整数倍と一致しない間隔で、仕切り体9を設けるのである。これにより、微細多孔板13と側板5との間の空気層Aで構成される吸音機構の吸音性能を高めることができる。また、この構成においては、狙った周波数で吸音性能を高めるために、仕切り体9で仕切られた各空間ごとに、前記微細孔8の孔径、開口率を異ならせたり、微細多孔板13の板厚を異ならせたりしても良い。また、仕切り体9は板状とすることに限定されず、例えば塊状に形成された補強用発泡剤で仕切り体を構成しても良い。
【0036】
実施例2−2−1(図8)の構成は、実施例1−2(図3)と実施例2−1(図7)とを組み合わせたものに相当する。この構成では、仕切り体9で囲まれた空間ごとに、微細多孔板13と側板5との間の空気層Aの厚さ(平均厚さ)を異ならせている。実施例2−2−2(図9)のように、前記実施例1−4−1と同様に側板5に穴10を形成しても良い。
【0037】
実施例2−3−1(図10)の構成は、実施例1−3(図4)と実施例2−2−1(図8)とを組み合わせたものに相当する。仕切り体9は、2つの空気層A,Bを何れも区画するように設置されている。
【0038】
実施例2−3−2(図11)の構成は、実施例2−1(図7)に対し、微細多孔板13・13を厚み方向に複数設け、その間に空気層Bを介在させるように変形を加えたものである。
【0039】
実施例2−4(図12)の構成は、実施例2−1(図7)の仕切り体9に微細孔8を多数形成したものである。
【0040】
図13には実施例3−1−1の二重壁構造体1の断面図が示されており、この図13に示すように微細多孔板13が、加振側の板状体2や反対側の板状体3に対して完全な気密をもって接触できず、ある程度の隙間(スリット)が形成されてしまう場合がある。このようなスリットは無い方が好ましいので、この実施例では、そのスリットに相当する部分に、ゴム、ウレタン等の部材からなる制振防振部材16を設置している。この結果、吸音機構の吸音性能を高めることができている。実施例3−1−2(図14)に示すように、制振防振部材16は、微細多孔板13と、2枚の板状体2,3のうち何れか一方のみとの間に設けられていても良い。なお、上記のスリットが微細な隙間であった場合には、制振防振部材16を省略して、そのスリット自体に吸音作用を奏させるようにすることもできる。
【0041】
実施例4−1(図15)は、実施例2−2−1(図8)における微細多孔板13の代わりに、複数枚積層した箔状体又はフィルム状体14を設けたものである。この実施例4−1においては、吸音性の向上のために箔状体又はフィルム状体14には多数の微細孔8が形成されているが、微細孔8を設けない構成としても良い。また、箔状体又はフィルム状体は、複数枚積層させずに、単一枚で設置しても良い。
【0042】
実施例5−1(図16)では、二重壁構造体1の側板5の付近に2つの多孔質体15,15を配置した構成になっている。この多孔質体15の素材としては、グラスウールやフェルト等のほか、例えばPET系繊維や、ポリウレタンや、連続気泡の発泡材を用いることができる。この実施例5−1では多孔質体15は三角形状に構成して、それぞれを前記内部空間4の一側の二つの隅に配置し、前記側板5に接触するように配置しているが、多孔質体15の形状や配置については上記に限定されない。この構成では、共鳴時の音圧の特に高い部位(側板5付近、特に内部空間4のコーナー部付近)を重点的に吸音することにより、内部空間4全体の共鳴時の音圧を低減でき、音響透過損失を向上できる。
【0043】
上記の実施形態の有効性を確認するために、以下のような実験を行った。即ち、実施例1−1〜1−3,2−1,2−2−1,2−3−1,2−3−2,4−1,5−1のそれぞれの構造の二重壁構造体1を、音源室、受音室からなる残響室における両室の間の位置に設置し、JIS A1416に基づいて二重壁構造体1の片側から適宜の騒音を発生させ、二重壁構造体1を挟んだ両側で騒音計を用いて音圧を計測して、音響透過損失を求めた。
【0044】
この結果を図18〜図20に示す。なお、これらのグラフのそれぞれには、従来例の構造(図17)について同様の実験を行った結果も併せて示してある。図18のグラフに示すように、従来例に対して実施例1−1〜1−3の構成においては、前記微細多孔板13による共鳴モード抑制のため、音響透過損失が向上しており、遮音性能を向上できていることが判る。また、実施例2−1,2−2−1,2−3−1,2−3−2の構成(図19)や、実施例4−1,5−1の構成(図20)においても同様に、微細多孔板13や多孔質体15による共鳴モード抑制作用により、音響透過損失が向上しており、遮音性能を向上できていることが判る。
【0045】
以上に本発明の好適な実施形態を示したが、本発明の技術的範囲は以上の実施形態に限定されるものではなく、様々に変形して実施することができる。
【0046】
例えば本発明の二重壁構造体は、乗用車のドアのみならず、例えばフード、トランクリッドに適用することができる。また、板状体2,3の形状については、上記のような長方形とすることに限らず、必要とされる部品の形状に応じて種々変更され得ることは言うまでもない。
【0047】
また、共鳴が生じる音圧モードの方向や次数は、二重壁構造体1の形状や騒音源との位置関係などの様々な事情により異なるので、微細多孔板13の向きや厚み、枚数、微細孔8の個数、孔径、形状、開口率等は、上記の事情を考慮して適宜定めて良い。即ち、微細多孔板13や多孔質体15をどこに幾つ設けるか等については、想定される騒音による二重壁構造体1の内部空間4内の共鳴モードを考慮して、最適な位置と個数を決定すれば良い。また、前述の複数の実施例で微細多孔板13や仕切り体9、箔状体又はフィルム状体14に設けられていた微細孔8は、その孔径を増大させ、「微細」と言えないような大きさの孔としても良い。また、二重壁構造体1を乗用車用のドアに適用する場合には、内部空間4に様々な機器や補強材を配置することが想定されるので、それを避けた位置に微細多孔板13や多孔質体15を設けることとしても勿論差し支えない。
【0048】
上述の微細多孔板13や多孔質体15は、側板5の全周に設けても良いし、一部にのみ設けても良い。例えば、実施例1−2(図3)の微細多孔板13は、4枚のうちの1枚の側板5との間にのみ空気層Aを介在させるように設けているが、内部空間4の全周を取り囲むように配置しても構わない。
【0049】
上述の複数の実施例では、微細多孔板13や仕切り体9は板状体2,3に垂直な向きに設置されているが、これに限定されず、板状体2,3に対して傾斜するように微細多孔板13や仕切り体9等を設置しても良い。
【0050】
また、上述の実施例は、それぞれが単独で適用される場合に限定されず、複数の実施例を組み合わせて適用しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の二重壁構造体の実施例1−1の模式斜視図。
【図2】実施例1−1の模式図。
【図3】実施例1−2の模式図。
【図4】実施例1−3の模式図。
【図5】実施例1−4−1の模式図。
【図6】実施例1−4−2の模式図。
【図7】実施例2−1の模式図。
【図8】実施例2−2−1の模式図。
【図9】実施例2−2−2の模式図。
【図10】実施例2−3−1の模式図。
【図11】実施例2−3−2の模式図。
【図12】実施例2−4の模式図。
【図13】実施例3−1−1の模式断面図。
【図14】実施例3−1−2の模式断面図。
【図15】実施例4−1の模式図。
【図16】実施例5−1の模式図。
【図17】従来例の二重壁構造体の構成を示す斜視図。
【図18】実施例1−1〜1−3の音響透過抑制効果を従来例と比較して示すグラフ図。
【図19】実施例2−1,2−2−1,2−3−1,2−3−2の音響透過抑制効果を従来例と比較して示すグラフ図。
【図20】実施例4−1,5−1の音響透過抑制効果を従来例と比較して示すグラフ図。
【符号の説明】
【0052】
1 二重壁構造体
2 加振側の板状体
3 板状体
4 内部空間
5 側板
8 微細孔(孔)
9 仕切り体
10 穴
13 微細多孔板(多孔板)
14 フィルム状体又は箔状体
15 多孔質体
A 空気層
B 空気層
【技術分野】
【0001】
本発明は二重壁構造体に係り、より詳細には、遮音性に優れる二重壁構造体の構成に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車に用いられる部品としてのドアやフード、トランクリッドなどに二重壁構造体を使用することが従来から提案されている(例えば、特許文献1及び2参照)。この従来例の構成を模式的に図17に示す。この従来例の二重壁構造体1’は、所定の距離を隔てて相対する板状体2,3の間に内部空間4が形成されるとともに、当該内部空間4が側板5によって閉鎖された、中空箱状の構成(袋構造)とされている。
【特許文献1】特開2002−96636号公報
【特許文献2】特開2003−118364号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記特許文献1に示すような二重壁構造体1’において、下側から騒音の音波が入射され、当該騒音が特定の周波数の音成分を含んでいると、その音成分に対し内部空間4での共鳴(主に板状体2,3に平行な方向の共鳴)が発生することによって、放射面たる上側の板状体3の振幅が増大してしまい、放射音の増大により遮音性能が低下してしまっていた。また、共鳴状態においては、側板5の付近において特に音圧が高くなる特徴がある。
【0004】
本発明は以上の点に鑑みてされたものであり、その目的は、特定の周波数の音に対する音響透過量増大を抑制し、様々な周波数の音について安定して遮音性能を発揮し得る二重壁構造体を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0005】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0006】
◆本発明の第1の観点によれば、相対する板状体の間に内部空間が形成されるとともに当該内部空間が完全に若しくはほぼ閉鎖されている二重壁構造体において、前記相対する板状体の間に多数の孔を有する多孔板が配置されており、この多孔板と二重壁構造体の周囲部材との間に空気層が介在されている、二重壁構造体が提供される。
【0007】
これにより、多孔板と周囲部材との間の空間(空気層)により形成される吸音機構により、周囲部材付近での音圧を有効に低減でき、内部空間全体の共鳴を抑えることができる。これにより内部空間の音圧が低下し、放射面側の加振力が低下するので、放射面の振動が減少し、音響透過損失を向上できる。また、多孔板の孔径、板厚、開口率、周囲部材との空気層の厚さを調整することにより、任意の周波数を特に効果的に抑える構成とすることもできる。
【0008】
◆前記の二重壁構造体においては、前記多孔板が前記周囲部材に対して傾斜するように配置されていても良い。
【0009】
この構成によれば、内部空間でのあらゆる方向の共鳴を抑えることができ、遮音性に優れる二重壁構造体を提供できる。
【0010】
◆前記の二重壁構造体においては、前記多孔板は複数設けられ、これら多孔板同士の間に空気層が介在されていることが好ましい。
【0011】
この構成によれば、2つの空気層により内部空間の共鳴を一層抑制できるから、遮音性に優れる二重壁構造体を提供できる。
【0012】
◆前記の二重壁構造体においては、前記多孔板は前記周囲部材に接触するように設けられており、この接触部分において前記周囲部材には穴が形成されていても良い。なお、この穴の存在によっても、二重壁構造体の内部空間がほぼ閉鎖されている状態は維持される。
【0013】
これにより、内部空間に侵入したゴミや水等の異物を、前記穴を通じて容易に排出することができる。
【0014】
◆前記の二重壁構造体においては、前記多孔板と前記周囲部材との間の空間を仕切る仕切り体を有することが好ましい。
【0015】
これにより、二重壁構造体の遮音性が向上される。
【0016】
◆前記の二重壁構造体においては、前記仕切り体には多数の孔が形成されていることが好ましい。
【0017】
これにより、二重壁構造体の遮音性が一層向上される。
【0018】
◆前記の二重壁構造体においては、前記多孔板においては、その板厚、前記孔の孔径、前記孔の開口率、前記多孔板と前記周囲部材との間の空気層の厚さのうち少なくとも何れか一つを、前記仕切り体により仕切られる空間ごとに異ならせても良い。なお、仕切られた個々の空間において多孔板と周囲部材との間の空気層の厚さが均一でない場合は、仕切り体により仕切られる空間ごとにその空気層の代表厚さ(例えば、平均厚さ)が異なっていれば、上記の「空気層の厚さを・・・異ならせる」に該当する。また、前記仕切り体に孔が設けられている場合、その部材厚、前記孔の孔径、前記孔の開口率のうち少なくとも何れか一つを、前記仕切り体により仕切られる空間ごとに異ならせても良い。
【0019】
これにより、多孔板と周囲部材とで構成される吸音構造について、所望の周波数での吸音性能を発揮でき、特に良好な遮音性能を有する二重壁構造体を提供できる。
【0020】
◆前記の二重壁構造体においては、前記多孔板と前記相対する板状体の少なくとも何れか一方との間に制振防振部材が配置されていることが好ましい。
【0021】
これにより、二重壁構造体の遮音性をより向上させることができる。
【0022】
◆前記の二重壁構造体においては、前記多孔板の代わりに、一枚若しくは複数枚を積層した箔状体またはフィルム状体を配置しても良い。
【0023】
この場合でも、前述と同様に、箔状体またはフィルム状体と周囲部材との間の空間(空気層)により形成される吸音機構により、周囲部材付近での音圧を低減でき、内部空間全体の共鳴を抑えることができる。これにより内部空間の音圧が低下し、放射面側の加振力が低下するので、放射面の振動が減少し、音響透過損失を向上できる。この結果、遮音性に優れる構造体を得ることができる。
【0024】
◆前記の二重壁構造体においては、前記箔状体またはフィルム状体に多数の孔が形成されていることが好ましい。
【0025】
これにより、二重壁構造体の遮音性を一層向上させることができる。
【0026】
◆本発明の第2の観点によれば、相対する板状体の間に内部空間が形成されるとともに当該内部空間が完全に若しくはほぼ閉鎖されている二重壁構造体において、二重壁構造体の周囲部材付近に多孔質体が配置されている、二重壁構造体が提供される。
【0027】
これにより、(周囲部材付近に配置された)多孔質体によって周囲部材付近での音圧を低減でき、内部空間全体の共鳴を抑えることができる。これにより内部空間の音圧が低下し、放射面側の加振力が低下するので、放射面の振動が減少し、多孔質体自体の吸音効果とあいまって、音響透過損失を向上できる。この結果、遮音性に優れる構造体を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
次に、発明の実施の形態を説明する。図1から図16までには二重壁構造体の実施例がそれぞれ示されており、以下、順を追って説明する。
【0029】
図1及び図2に模式図を示す実施例1−1の二重壁構造体は、乗用車の部品としてのドアを想定したものである。この二重壁構造体1は、互いに平行に配置されるとともに所定の距離をおいて相対する板状体2,3を備えている。板状体2,3は一方向に若干長い長方形状に構成されており、2枚の対向する板状体2,3の間には、内部空間4が形成される。板状体2,3の縁部同士を繋ぐように4枚の側板(周囲部材)5が設けられており、これによって内部空間4はほぼ閉鎖される。言い換えれば本実施形態の二重壁構造体1は、二重壁たる板状体2,3と、前記側板5とで、前記内部空間4を囲む袋構造に構成されている。
【0030】
そして本実施形態では、前記内部空間4を仕切るように、矩形板状の微細多孔板13を設けている。各微細多孔板13は、微細な貫通孔(微細孔8)を多数形成した構成となっている。この実施例1−1では、4枚の微細多孔板13を矩形状に配置して、二重壁構造体1の内部空間4を、中心側と、側板5に近い周囲側の2つの空間に区画している。言い換えれば、それぞれの微細多孔板13は4枚の前記側板5に対し所定の間隔をあけて平行に配置されており、微細多孔板13と側板5との間には、前記間隔の分だけの厚みの空気層Aが介在される。なお、微細多孔板13の素材としては、例えば、鉄、アルミ、樹脂、繊維強化複合材料、紙などを採用できる。
【0031】
上記構成において、図1の下側から板状体2側が騒音によって音圧加振される場合を考える。騒音が特定の周波数の音成分を含んでいると、板状体2が振動することにより内部空間4の長手方向又は短手方向で共鳴が起ころうとする。この共鳴モードでは特に、側板5付近での音圧が高くなる。しかしながら、微細多孔板13と側板5とその間の空気層Aによって構成される吸音機構により、その音圧の高い側板5付近の音圧が特に効果的に低減されるため、共鳴モードが形成されにくくなり、共鳴が抑制される。以上の結果、放射面たる上側の板状体3の加振力が低下するので、放射面の振幅が低減され、音響透過損失の落込みを低減できる。
【0032】
実施例1−2(図3)の構成では、微細多孔板13は、二重壁構造体1の4枚の前記側板5のうちの1枚の近傍に設置されている。微細多孔板13は図3において略V字状をなすように、側板5に対して傾斜して配置されている。この結果、微細多孔板13と側板5との間には三角形状の空気層Aが形成される。この構成では、共鳴モード時に特に音圧の高いコーナー部(隅部)に対して空気層Aが配置される構成となり、このコーナー部の音圧を良好に低減できる。また、微細多孔板13が側板5に対して傾斜するように配置されていることから、内部空間4でのあらゆる方向の共鳴を抑えることができ、二重壁構造体1の遮音性を向上させることができる。
【0033】
実施例1−3(図4)の構成では、実施例1−2(図3)の構成に対して微細多孔板13を更に追加し、複数の微細多孔板13・13同士を平行に配置して、両微細多孔板13・13の間に厚み方向の隙間を形成している。この結果、両微細多孔板13・13の間に空気層Bが介在される。即ち、この実施例1−3では、微細多孔板13と側板5との間の空気層A、及び微細多孔板13・13の間の空気層Bの2つの空気層が形成される。従って、共鳴抑制効果を一層大とできる。
【0034】
実施例1−4−1(図5)の構成は、微細多孔板13を傾斜状に配置した実施例1−2の構成(図3)に対して、側板5の、微細多孔板13と接触する部分に穴10を形成したものである。この穴10により、内部空間4に侵入したゴミや水等の異物を容易に排出させることができる。また、この穴10は、側板5の空気層Aに対面しない部位に設けられているから、空気層Aによる吸音作用は妨げられない。なお、実施例1−4−2(図6)のように、微細多孔板13を略W字状に配置し、穴10を2つ形成しても良い。このように、微細多孔板13の傾斜の形態と穴10の個数は限定されるものではない。
【0035】
実施例2−1(図7)の構成は、実施例1−1(図1,図2)の変形例であって、側板5と微細多孔板13とを繋ぐように板状の仕切り体9を複数設け、この仕切り体9が、側板5と微細多孔板13との間に介在される空気層Aを、二重壁構造体1の長手方向及び幅方向に区画している。なお、微細多孔板13と側板5との間の空気層の延在方向の共鳴現象が所望の周波数で起こりにくい位置に仕切り体9を設けるのが好ましい。即ち、遮音性を向上させたい周波数に対する波長の1/2の整数倍と一致しない間隔で、仕切り体9を設けるのである。これにより、微細多孔板13と側板5との間の空気層Aで構成される吸音機構の吸音性能を高めることができる。また、この構成においては、狙った周波数で吸音性能を高めるために、仕切り体9で仕切られた各空間ごとに、前記微細孔8の孔径、開口率を異ならせたり、微細多孔板13の板厚を異ならせたりしても良い。また、仕切り体9は板状とすることに限定されず、例えば塊状に形成された補強用発泡剤で仕切り体を構成しても良い。
【0036】
実施例2−2−1(図8)の構成は、実施例1−2(図3)と実施例2−1(図7)とを組み合わせたものに相当する。この構成では、仕切り体9で囲まれた空間ごとに、微細多孔板13と側板5との間の空気層Aの厚さ(平均厚さ)を異ならせている。実施例2−2−2(図9)のように、前記実施例1−4−1と同様に側板5に穴10を形成しても良い。
【0037】
実施例2−3−1(図10)の構成は、実施例1−3(図4)と実施例2−2−1(図8)とを組み合わせたものに相当する。仕切り体9は、2つの空気層A,Bを何れも区画するように設置されている。
【0038】
実施例2−3−2(図11)の構成は、実施例2−1(図7)に対し、微細多孔板13・13を厚み方向に複数設け、その間に空気層Bを介在させるように変形を加えたものである。
【0039】
実施例2−4(図12)の構成は、実施例2−1(図7)の仕切り体9に微細孔8を多数形成したものである。
【0040】
図13には実施例3−1−1の二重壁構造体1の断面図が示されており、この図13に示すように微細多孔板13が、加振側の板状体2や反対側の板状体3に対して完全な気密をもって接触できず、ある程度の隙間(スリット)が形成されてしまう場合がある。このようなスリットは無い方が好ましいので、この実施例では、そのスリットに相当する部分に、ゴム、ウレタン等の部材からなる制振防振部材16を設置している。この結果、吸音機構の吸音性能を高めることができている。実施例3−1−2(図14)に示すように、制振防振部材16は、微細多孔板13と、2枚の板状体2,3のうち何れか一方のみとの間に設けられていても良い。なお、上記のスリットが微細な隙間であった場合には、制振防振部材16を省略して、そのスリット自体に吸音作用を奏させるようにすることもできる。
【0041】
実施例4−1(図15)は、実施例2−2−1(図8)における微細多孔板13の代わりに、複数枚積層した箔状体又はフィルム状体14を設けたものである。この実施例4−1においては、吸音性の向上のために箔状体又はフィルム状体14には多数の微細孔8が形成されているが、微細孔8を設けない構成としても良い。また、箔状体又はフィルム状体は、複数枚積層させずに、単一枚で設置しても良い。
【0042】
実施例5−1(図16)では、二重壁構造体1の側板5の付近に2つの多孔質体15,15を配置した構成になっている。この多孔質体15の素材としては、グラスウールやフェルト等のほか、例えばPET系繊維や、ポリウレタンや、連続気泡の発泡材を用いることができる。この実施例5−1では多孔質体15は三角形状に構成して、それぞれを前記内部空間4の一側の二つの隅に配置し、前記側板5に接触するように配置しているが、多孔質体15の形状や配置については上記に限定されない。この構成では、共鳴時の音圧の特に高い部位(側板5付近、特に内部空間4のコーナー部付近)を重点的に吸音することにより、内部空間4全体の共鳴時の音圧を低減でき、音響透過損失を向上できる。
【0043】
上記の実施形態の有効性を確認するために、以下のような実験を行った。即ち、実施例1−1〜1−3,2−1,2−2−1,2−3−1,2−3−2,4−1,5−1のそれぞれの構造の二重壁構造体1を、音源室、受音室からなる残響室における両室の間の位置に設置し、JIS A1416に基づいて二重壁構造体1の片側から適宜の騒音を発生させ、二重壁構造体1を挟んだ両側で騒音計を用いて音圧を計測して、音響透過損失を求めた。
【0044】
この結果を図18〜図20に示す。なお、これらのグラフのそれぞれには、従来例の構造(図17)について同様の実験を行った結果も併せて示してある。図18のグラフに示すように、従来例に対して実施例1−1〜1−3の構成においては、前記微細多孔板13による共鳴モード抑制のため、音響透過損失が向上しており、遮音性能を向上できていることが判る。また、実施例2−1,2−2−1,2−3−1,2−3−2の構成(図19)や、実施例4−1,5−1の構成(図20)においても同様に、微細多孔板13や多孔質体15による共鳴モード抑制作用により、音響透過損失が向上しており、遮音性能を向上できていることが判る。
【0045】
以上に本発明の好適な実施形態を示したが、本発明の技術的範囲は以上の実施形態に限定されるものではなく、様々に変形して実施することができる。
【0046】
例えば本発明の二重壁構造体は、乗用車のドアのみならず、例えばフード、トランクリッドに適用することができる。また、板状体2,3の形状については、上記のような長方形とすることに限らず、必要とされる部品の形状に応じて種々変更され得ることは言うまでもない。
【0047】
また、共鳴が生じる音圧モードの方向や次数は、二重壁構造体1の形状や騒音源との位置関係などの様々な事情により異なるので、微細多孔板13の向きや厚み、枚数、微細孔8の個数、孔径、形状、開口率等は、上記の事情を考慮して適宜定めて良い。即ち、微細多孔板13や多孔質体15をどこに幾つ設けるか等については、想定される騒音による二重壁構造体1の内部空間4内の共鳴モードを考慮して、最適な位置と個数を決定すれば良い。また、前述の複数の実施例で微細多孔板13や仕切り体9、箔状体又はフィルム状体14に設けられていた微細孔8は、その孔径を増大させ、「微細」と言えないような大きさの孔としても良い。また、二重壁構造体1を乗用車用のドアに適用する場合には、内部空間4に様々な機器や補強材を配置することが想定されるので、それを避けた位置に微細多孔板13や多孔質体15を設けることとしても勿論差し支えない。
【0048】
上述の微細多孔板13や多孔質体15は、側板5の全周に設けても良いし、一部にのみ設けても良い。例えば、実施例1−2(図3)の微細多孔板13は、4枚のうちの1枚の側板5との間にのみ空気層Aを介在させるように設けているが、内部空間4の全周を取り囲むように配置しても構わない。
【0049】
上述の複数の実施例では、微細多孔板13や仕切り体9は板状体2,3に垂直な向きに設置されているが、これに限定されず、板状体2,3に対して傾斜するように微細多孔板13や仕切り体9等を設置しても良い。
【0050】
また、上述の実施例は、それぞれが単独で適用される場合に限定されず、複数の実施例を組み合わせて適用しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の二重壁構造体の実施例1−1の模式斜視図。
【図2】実施例1−1の模式図。
【図3】実施例1−2の模式図。
【図4】実施例1−3の模式図。
【図5】実施例1−4−1の模式図。
【図6】実施例1−4−2の模式図。
【図7】実施例2−1の模式図。
【図8】実施例2−2−1の模式図。
【図9】実施例2−2−2の模式図。
【図10】実施例2−3−1の模式図。
【図11】実施例2−3−2の模式図。
【図12】実施例2−4の模式図。
【図13】実施例3−1−1の模式断面図。
【図14】実施例3−1−2の模式断面図。
【図15】実施例4−1の模式図。
【図16】実施例5−1の模式図。
【図17】従来例の二重壁構造体の構成を示す斜視図。
【図18】実施例1−1〜1−3の音響透過抑制効果を従来例と比較して示すグラフ図。
【図19】実施例2−1,2−2−1,2−3−1,2−3−2の音響透過抑制効果を従来例と比較して示すグラフ図。
【図20】実施例4−1,5−1の音響透過抑制効果を従来例と比較して示すグラフ図。
【符号の説明】
【0052】
1 二重壁構造体
2 加振側の板状体
3 板状体
4 内部空間
5 側板
8 微細孔(孔)
9 仕切り体
10 穴
13 微細多孔板(多孔板)
14 フィルム状体又は箔状体
15 多孔質体
A 空気層
B 空気層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
相対する板状体の間に内部空間が形成されるとともに当該内部空間が完全に若しくはほぼ閉鎖されている二重壁構造体において、前記相対する板状体の間に多数の孔を有する多孔板が配置されており、この多孔板と二重壁構造体の周囲部材との間に空気層が介在されていることを特徴とする二重壁構造体。
【請求項2】
請求項1に記載の二重壁構造体であって、前記多孔板が前記周囲部材に対して傾斜するように配置されていることを特徴とする二重壁構造体。
【請求項3】
請求項1に記載の二重壁構造体であって、前記多孔板は複数設けられ、これら多孔板同士の間に空気層が介在されていることを特徴とする二重壁構造体。
【請求項4】
請求項2に記載の二重壁構造体であって、前記多孔板は複数設けられ、これら多孔板同士の間に空気層が介在されていることを特徴とする二重壁構造体。
【請求項5】
請求項2又は請求項4に記載の二重壁構造体であって、前記多孔板は前記周囲部材に接触するように設けられており、この接触部分において前記周囲部材には穴が形成されていることを特徴とする二重壁構造体。
【請求項6】
請求項1から請求項5までの何れか一項に記載の二重壁構造体であって、前記多孔板と前記周囲部材との間の空間を仕切る仕切り体を有することを特徴とする二重壁構造体。
【請求項7】
請求項6に記載の二重壁構造体であって、前記仕切り体には多数の孔が形成されていることを特徴とする二重壁構造体。
【請求項8】
請求項6又は請求項7に記載の二重壁構造体であって、前記仕切り体により仕切られる空間ごとに、前記多孔板の板厚、前記仕切り体の部材厚、前記多孔板又は前記仕切り体に設けられた前記孔の孔径、前記孔の開口率、前記多孔板と前記周囲部材との間の空気層の厚さのうち少なくとも何れか一つを異ならせていることを特徴とする二重壁構造体。
【請求項9】
請求項1から請求項8までの何れか一項に記載の二重壁構造体であって、前記多孔板と前記相対する板状体の少なくとも何れか一方との間に制振防振部材が配置されていることを特徴とする二重壁構造体。
【請求項10】
請求項1から請求項8までの何れか一項に記載の二重壁構造体であって、前記多孔板の代わりに、一枚若しくは複数枚を積層した箔状体またはフィルム状体を配置したことを特徴とする二重壁構造体。
【請求項11】
請求項10に記載の二重壁構造体であって、前記箔状体またはフィルム状体に多数の孔が形成されていることを特徴とする二重壁構造体。
【請求項12】
相対する板状体の間に内部空間が形成されるとともに当該内部空間が完全に若しくはほぼ閉鎖されている二重壁構造体において、二重壁構造体の周囲部材付近に多孔質体が配置されていることを特徴とする二重壁構造体。
【請求項1】
相対する板状体の間に内部空間が形成されるとともに当該内部空間が完全に若しくはほぼ閉鎖されている二重壁構造体において、前記相対する板状体の間に多数の孔を有する多孔板が配置されており、この多孔板と二重壁構造体の周囲部材との間に空気層が介在されていることを特徴とする二重壁構造体。
【請求項2】
請求項1に記載の二重壁構造体であって、前記多孔板が前記周囲部材に対して傾斜するように配置されていることを特徴とする二重壁構造体。
【請求項3】
請求項1に記載の二重壁構造体であって、前記多孔板は複数設けられ、これら多孔板同士の間に空気層が介在されていることを特徴とする二重壁構造体。
【請求項4】
請求項2に記載の二重壁構造体であって、前記多孔板は複数設けられ、これら多孔板同士の間に空気層が介在されていることを特徴とする二重壁構造体。
【請求項5】
請求項2又は請求項4に記載の二重壁構造体であって、前記多孔板は前記周囲部材に接触するように設けられており、この接触部分において前記周囲部材には穴が形成されていることを特徴とする二重壁構造体。
【請求項6】
請求項1から請求項5までの何れか一項に記載の二重壁構造体であって、前記多孔板と前記周囲部材との間の空間を仕切る仕切り体を有することを特徴とする二重壁構造体。
【請求項7】
請求項6に記載の二重壁構造体であって、前記仕切り体には多数の孔が形成されていることを特徴とする二重壁構造体。
【請求項8】
請求項6又は請求項7に記載の二重壁構造体であって、前記仕切り体により仕切られる空間ごとに、前記多孔板の板厚、前記仕切り体の部材厚、前記多孔板又は前記仕切り体に設けられた前記孔の孔径、前記孔の開口率、前記多孔板と前記周囲部材との間の空気層の厚さのうち少なくとも何れか一つを異ならせていることを特徴とする二重壁構造体。
【請求項9】
請求項1から請求項8までの何れか一項に記載の二重壁構造体であって、前記多孔板と前記相対する板状体の少なくとも何れか一方との間に制振防振部材が配置されていることを特徴とする二重壁構造体。
【請求項10】
請求項1から請求項8までの何れか一項に記載の二重壁構造体であって、前記多孔板の代わりに、一枚若しくは複数枚を積層した箔状体またはフィルム状体を配置したことを特徴とする二重壁構造体。
【請求項11】
請求項10に記載の二重壁構造体であって、前記箔状体またはフィルム状体に多数の孔が形成されていることを特徴とする二重壁構造体。
【請求項12】
相対する板状体の間に内部空間が形成されるとともに当該内部空間が完全に若しくはほぼ閉鎖されている二重壁構造体において、二重壁構造体の周囲部材付近に多孔質体が配置されていることを特徴とする二重壁構造体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2006−208617(P2006−208617A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−19017(P2005−19017)
【出願日】平成17年1月27日(2005.1.27)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年1月27日(2005.1.27)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【Fターム(参考)】
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