二重窓
【課題】夏期に室温が所定温度以上になると自動的に換気を行って室温を低下させることができる。
【解決手段】外窓1と内窓2と前記外窓1と内窓2との間の中間空間3を備えた二重窓4である。前記外窓1に設けた外側通気口5、前記内窓2に設けた内側通気口6を開閉する開閉手段7と、室内空間8の温度を検知する温度センサ9を備える。前記温度センサ9の所定以上の温度の検知で、前記開閉手段7が前記外側通気口5及び前記内側通気口6を開く。
【解決手段】外窓1と内窓2と前記外窓1と内窓2との間の中間空間3を備えた二重窓4である。前記外窓1に設けた外側通気口5、前記内窓2に設けた内側通気口6を開閉する開閉手段7と、室内空間8の温度を検知する温度センサ9を備える。前記温度センサ9の所定以上の温度の検知で、前記開閉手段7が前記外側通気口5及び前記内側通気口6を開く。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二重窓に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、外窓と内窓との間に中間空間が形成され、外窓に外側通気口が設けられると共に内窓に内側通気口が設けられ、中間空間に連通路を有する回転体が設けられた二重窓が開示されている。
【0003】
この特許文献1は、回転体の回転で、外側通気口及び内側通気口の両方が閉となる状態、連通路を介して外側通気口と中間空間が連通する状態、連通路を介して内側通気口と中間空間が連通する状態が切換えられるように構成されている。
【0004】
前記回転体の回転による切換えは、季節に応じて行われる。
【0005】
なお、春秋には、回転体を回転操作することで連通路を介して外側通気口と中間空間を連通すると共に、これに加えて内窓を開放操作することで、中間空間を介して屋外空間と室内空間とを連通して空気の入換えが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−256637号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記従来例は、回転体がどのような環境条件をトリガーとして回転切換えが行われるかについての記載がなく、人が環境条件を判断して回転切換えを行うものと推測される。
【0008】
また、前記従来例は、回転体の回転による切換えだけでは、中間空間を介して屋外空間と室内空間とを連通することはできず、回転体の回転操作に加え、内窓を手で開操作する必要がある。
【0009】
しかも、内窓を開操作するので、中間空間は実質的に室内空間の一部となり、二重窓としての本来の機能が失われてしまう。
【0010】
また、屋外空間と二重窓で仕切った室内空間は、夏期の冷房立上時に内部発熱や日射熱を保持しているため、冷房負荷が増大する。例えば、夏期に冷房を止めて外出すると室内空間が高温となり、室温が外気温より高くなる場合があり、このように室温が外気温より高くなった時に帰宅すると不快になり、また、冷房運転開始時の冷房負荷が大きくなる。
【0011】
ところが、前記従来例は、人が環境条件を判断して回転体の回転切換え、内窓の開操作を行うので、外出時に室内空間の室温が高温となっても、室温を低下させることはできない。
【0012】
本発明は、前記の従来の問題点に鑑みて発明したもので、その目的とするところは、夏期に室温が所定温度以上になると自動的に換気を行って室温を低下させることができる二重窓を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の二重窓は、外窓と内窓と前記外窓と内窓との間の中間空間を備えた二重窓であって、前記外窓に設けた外側通気口、前記内窓に設けた内側通気口を開閉する開閉手段と、室内空間の温度を検知する温度センサを備え、前記温度センサの所定温度以上の検知に基づいて、前記開閉手段が前記外側通気口及び前記内側通気口を開くことを特徴とする。
【0014】
また、前記室内空間の温度を検知する温度センサに加え、前記中間空間の温度を検知する中間空間温度センサを備え、前記中間空間温度センサによる前記中間空間の温度検知に基づいて、前記開閉手段が前記外側通気口又は前記内側通気口のいずれか一方を開くことが好ましい。
【0015】
また、前記開閉手段の開閉制御モードとして夏期開閉制御モードを備え、夏期開閉制御モードにおいて、前記中間空間温度センサで前記中間空間が夏期設定温度以上になったことを検知すると、前記開閉手段が前記外側通気口を開、前記内側通気口を閉とすることが好ましい。
【0016】
また、前記開閉手段の開閉制御モードとして冬期開閉制御モードを備え、冬期開閉制御モードにおいて前記中間空間温度センサで検知した前記中間空間内の温度が、前記温度センサで検知した前記室内空間内の温度より高くなった場合、前記外側通気口を閉、前記内側通気口を開とすることが好ましい。
【0017】
また、前記外側通気口が前記外窓の上部と下部とに設けられ、前記内側通気口が前記内窓の上部と下部とに設けられていることが好ましい。
【0018】
また、前記中間空間の湿度を検知する湿度センサを備え、前記温度センサの所定温度以上の検知に基づいて、前記開閉手段が前記外側通気口及び前記内側通気口を開いた状態で、前記湿度センサの検知湿度が所定湿度以上になると、開閉手段が前記内側通気口と前記外側通気口の両方又はいずれか一方を閉じることが好ましい。
【0019】
また、前記開閉手段の開閉制御モードとして冬期開閉制御モードを備え、前記室内空間の湿度を検知する室内湿度センサが設けられ、この室内湿度センサが一定以上の室内湿度を検知すると前記開閉手段が前記外側通気口及び前記内側通気口を開くことが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、温度センサの所定温度以上の検知で、開閉手段が外側通気口及び内側通気口を開くので、夏期に室温が高温になると、二重窓を介して室内空間の換気を自動的に行って温度上昇を抑制し、不快感の軽減、冷房運転開始時の負荷軽減が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の二重窓の一実施形態の断面図である。
【図2】同上の図1の要部拡大断面図である。
【図3】(a)(b)(c)は同上の二重窓の形成順序を示す説明図である。
【図4】同上の外側通気口及び内側通気口を開にした状態を示す概略説明図である。
【図5】他の実施形態の要部拡大断面図である。
【図6】同上の外側通気口を開、内側通気口を閉にした状態を示す概略説明図である。
【図7】同上の内側通気口を開、外側通気口を閉にした状態を示す概略説明図である。
【図8】同上の他の実施形態において、外側通気口及び内側通気口を開にした状態を示す概略説明図である。
【図9】同上の他の実施形態において、外側通気口を開、内側通気口を閉にした状態を示す概略説明図である。
【図10】同上の他の実施形態において、内側通気口を開、外側通気口を閉にした状態を示す概略説明図である。
【図11】同上の湿度センサを設けた例の要部拡大断面図である。
【図12】同上の赤外線発光部、赤外線受光部で信号を送信する例の要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明する。
【0023】
二重窓4は、建物の外壁11の開口部12に設けられるもので、外窓1と、中間空間3と、内窓2を備えている。
【0024】
二重窓4は様々な形態のものが採用できる。
【0025】
一例を示すと、二重窓4は、外窓1を構成する外側障子13を設けた外側窓枠15と、内窓2を構成する内側障子14を設けた内側窓枠16をそれぞれ開口部12に取付けて構成される。この例では外側障子13と内側障子14の間に中間空間3が形成される。
【0026】
他の例を示すと、開口部12に取付けられる単一の窓枠に外窓1を構成する外側障子13と内窓2を構成する内側障子14が設けられると共に、外窓1と内窓2との間に中間空間3が形成されることで二重窓4が構成される。
【0027】
また、更に他の例としては、ペアガラスと称されるもので、障子枠に外側ガラスと内側ガラスを設けて外側ガラスと内側ガラスとの間に中間空間3を形成することで、外窓1と内窓2と中間空間3を備えた二重窓4が構成される。
【0028】
以下の例では、外窓1を構成する外側障子13を設けた外側窓枠15と、内窓2を構成する内側障子14を設けた内側窓枠16をそれぞれ開口部12に取付けて構成される二重窓4の例で説明する。
【0029】
以下の例では、外側窓枠15が開口部12に既に設置されている既設のもので、この既設の外側窓枠15を残したまま、開口部12に更に内側窓枠16が新設されることで二重窓4が構成される。
【0030】
つまり、本例は、既存の窓(既設の外側窓枠15)を残したまま新設の窓(新設の内側窓枠16)を開口部12に新たに取付けることで、開口部12を断熱改修する場合の例である。
【0031】
既設の外側窓枠15には図3(a)のように外窓1を構成する既設の引き違いタイプの外側障子13が設けられていて、外窓1が構成される。
【0032】
この既設の外側窓枠15の左右方向の一端部に、図3(b)のように新設の外側通気ユニット22が新たに設置される。
【0033】
新設の外側通気ユニット22には、図2に示されるように、外側通気口5と、外側通気口5を開閉する外側蓋17と、外側蓋17を開閉駆動する駆動機構18と、駆動機構18を制御する制御回路19が設けられている。
【0034】
駆動機構18は、モータ20、歯車21により構成され、モータ20の回転が歯車21を介して伝達されて外側蓋17の開閉がなされる。
【0035】
既設の外側窓枠15が残置された建物の外壁11の開口部12には、既設の外側窓枠15よりも室内側寄りに図3(c)のように新設の内側窓枠16が新たに設置される。
【0036】
この新設の内側窓枠16には、新設の引き違いタイプの内側障子14、新設の内側通気ユニット31が設けられて内窓2が構成される。
【0037】
新設の内側通気ユニット31は、新設の内側窓枠16の左右方向の一端部の新設の外側通気ユニット22と対向する位置に設けられる。
【0038】
新設の内側通気ユニット31には、内側通気口6と、内側通気口6を開閉する内側蓋23と、内側蓋23を開閉駆動する駆動機構24と、駆動機構24を制御する制御回路25と、温度センサ9が設けられている。
【0039】
駆動機構24は、モータ26、歯車27により構成され、モータ26の回転が歯車27を介して伝達されて内側蓋23の開閉がなされる。
【0040】
内側通気ユニット31には外部から電源線(図示せず)が導入されて、モータ26、制御回路25に電源が供給される。更に、内側通気ユニット31に導入された電源は、図2に示すように内側通気ユニット31と外側通気ユニット22は電源供給線28を接続することで、外側通気ユニット22のモータ20、制御回路19に電源が供給される。
【0041】
本実施形態においては、駆動機構18、24、制御回路19、25により外側通気口5、内側通気口6を開閉する開閉手段7を構成している。
【0042】
また、制御回路25と制御回路19は図2のように信号線29で接続される。
【0043】
温度センサ9は、内側通気ユニット31の室内側の面に設けられ、室内空間8の室温を検知する。
【0044】
温度センサ9で検知された室温情報は制御回路25に入力され、更に、制御回路25から信号線29を介して制御回路19に入力される。
【0045】
本実施形態の二重窓4は、前記のように既存の外窓1の室内側に、中間空間3を介して新設の内窓2を形成することで構成され、中間空間3が、室内空間8と屋外空間30との間との間に存在して断熱層として機能する。
【0046】
実施形態においては、既設の外側窓枠15を残したまま新設の内側窓枠16を開口部12に新たに取付けることで二重窓4が形成されるので、二重窓4の改築工事が容易に行える。
【0047】
ところで、屋外空間と二重窓で仕切った室内空間8は、夏期の冷房立上時に内部発熱や日射熱を保持しているため、例えば、冷房を止めて外出すると室内空間は高温となり、高温となった室温が外気温より高くなる場合がある。
【0048】
そこで、本実施形態においては、室内空間8の室温が所定温度以上の高温となり、温度センサ9がこの所定以上となった室温を検知すると、制御回路19、25によりモータ20、26が駆動されて外側通気口5及び内側通気口6を開くように制御される。
【0049】
前記所定温度(高温の室温)以上とは、例えば、37℃以上であるが、必ずしもこの温度に限定されるものではない。
【0050】
温度センサ9により室温が所定温度以上の高温になったことを検知して、外側通気口5及び内側通気口6が自動的に開になると、室内空間8の高温となった空気が内側通気口6、外側通気口5を通って図4のように換気され、外気が取入れられる。
【0051】
ここで、外側通気口5及び内側通気口6を開にすることにより、温度センサ9で検知する温度が低下するならば、外側通気口5及び内側通気口6の開を継続するように制御回路19、25により制御がなされる。
【0052】
この状態は、室温が外気温より高く、外側通気口5及び内側通気口6を開とすることで、室温が低下している状態なので、これを継続するため外側通気口5及び内側通気口6の開が維持されるように制御される。
【0053】
一方、外側通気口5及び内側通気口6を開にした状態で、温度センサ9で検知する温度が上昇し始めると(つまり室温が外気温より低くなり始めると)、外側通気口5及び内側通気口6を閉じるように制御回路19、25により制御がなされる。
【0054】
前記外側通気口5及び内側通気口6の開閉は温度センサ9による室内温度の検知で自動的に行われるので、冷房を止めた外出中であっても、二重窓4で遮蔽された室内空間8内の室温に応じて換気がなされ、室温が異常な高温になるのが抑制される。
【0055】
これにより、室温が少なくとも外気温以上になる状況を回避することが可能となり、外出から帰宅時の室温の異常な高温による不快感が抑制され、また、帰宅してから冷房運転開始を行う時の冷房負荷が低減される。
【0056】
次に、他の実施形態を説明する。
【0057】
本実施形態の基本的な構成は前記の実施形態と同じなので、重複する説明は省略し、前記の実施形態と異なる構成につき説明する。
【0058】
本実施形態は、図5に示されるように、室内空間8の温度を検知する温度センサ9に加え、中間空間3の温度を検知する中間空間温度センサ10が備えられている。
【0059】
そして、温度センサ9で検知する室内空間8の室温に基づいて外側通気口5及び内側通気口6の開閉制御がなされ、中間空間温度センサ10で検知する中間空間3の温度に基づいて、外側通気口5又は内側通気口6のいずれか一方を開く制御がなされる。
【0060】
図6には中間空間温度センサ10で検知する中間空間3の温度に基づいて、外側通気口5を開く制御がなされる例が示されている。
【0061】
本例では開閉手段7による開閉制御モードとして夏期開閉制御モードを備えている。夏期開閉制御モードはモード設定手段(図示せず)により設定される。
【0062】
この夏期開閉制御モードにおいては、夏期に中間空間温度センサ10で中間空間3内の温度が、予め設定された夏期設定温度以上となったことを検知すると、開閉手段7により外側通気口5が開、内側通気口6が閉となるように制御される。
【0063】
前記中間空間温度センサ10が検知するあらかじめ設定された中間空間3内の夏期設定温度は、夏期に外側通気口5及び内側通気口6を開くトリガーとなる温度センサ9で検知する予め設定された所定温度と同じ温度に設定されるが、必ずしもこれに限定されない。
【0064】
つまり、夏期設定温度は、夏期に外側通気口5及び内側通気口6を開くトリガーとなる温度センサ9で検知する所定温度±α℃でもよい。
【0065】
なお、実施例では、外側通気口5及び内側通気口6を開くトリガーとなる温度センサ9で検知する所定温度が37℃、夏期設定温度が37℃を例として説明する。
【0066】
夏期、日射熱で中間空間3内の温度が上昇して中間空間温度センサ10で夏期設定温度(例えば37℃)以上を検知する場合がある。このように中間空間温度センサ10で夏期設定温度以上を検知すると、図6に示されるように、制御回路19、制御回路25からの制御で外側通気口5が開、内側通気口6が閉にされ、中間空間3内に外気が取入れられる。
【0067】
ここで、中間空間温度センサ10で検知する中間空間3内の温度が低下するならば、外側通気口5の開、内側通気口6の閉を継続するように制御回路19、25により制御がなされる。
【0068】
あわせて、温度センサ9による室内空間8の室温検知が予め設定された所定温度(例えば37℃)以上となると、制御回路19、25で外側通気口5と内側通気口6の両方が図4のように開となるように制御される。
【0069】
本実施形態では、夏期に中間空間3が日射により暖められて予め設定された夏期設定温度以上になると、中間空間3内に外気を自動的に取入れて中間空間3内の温度を下げることができるので、二重窓4を介しての室内空間8の温度上昇が抑制される。
【0070】
これにより、夏期における室内空間8の冷房負荷を低減することが可能となる。
【0071】
また、図7には中間空間温度センサ10で検知する中間空間3の温度に基づいて、内側通気口6を開く制御がなされる例が示されている。
【0072】
本例では開閉手段7による開閉制御モードとして冬期開閉制御モードを備えている。冬期開閉制御モードはモード設定手段(図示せず)により設定される。
【0073】
この冬期開閉制御モードにおいては、中間空間温度センサ10で検知した中間空間3内の温度が、温度センサ9で検知した室内空間8内の温度より高くなった場合、開閉手段7により内側通気口6が開、外側通気口5が閉となるように制御される。
【0074】
つまり、冬期に中間空間温度センサ10の検知温度が、温度センサ9の検知温度より高くなると、中間空間3内の暖かな空気が室内空間8内に取入れられる。
【0075】
中間空間温度センサ10の検知温度が、温度センサ9の検知温度と同じになると、開閉手段7により内側通気口6が閉、外側通気口5が閉となるように制御される。
【0076】
本実施形態では、冬期に日射などにより中間空間3内の温度が上昇し、室内空間8内の温度よりも高くなる場合があるが、このような場合、中間空間3内の暖かい空気を室内空間8に取り込むことができる。
【0077】
ところで、前記夏期開閉制御モード、冬期開閉制御モードは、いずれか一方が備えられていてもよく、また、両方が備えられていてもよい。夏期開閉制御モード、冬期開閉制御モードの両方が備えられている場合は、季節によりモード設定手段を操作することで、目的とする開閉モードが選択して設定される。
【0078】
ところで、前記いずれの実施形態においても、図8、図9、図10のように、外側通気口5が外窓1の上部と下部とに設けられ、内側通気口6が内窓2の上部と下部とに設けられていることが好ましい。
【0079】
このように、外側通気口5が外窓1の上部と下部とに設けられ、内側通気口6が内窓2の上部と下部とに設けられていると、図8、図9、図10の矢印のように空気が流れ、温度差や外気流(風)で効率よく通気され、換気の駆動力が増し、通気量が増大する。
【0080】
また、前記いずれの実施形態においても、室内空間8又は中間空間3の少なくとも一方又は両方の湿度を検知する湿度センサを備えるのが好ましい。
【0081】
図11には中間空間3内の湿度を検知する湿度センサ35と、室内空間8の湿度を検知する室内湿度センサ36を設けた例が示されている。
【0082】
湿度センサ35が内側通気ユニット31の中間空間3側の面に設けられ、室内湿度センサ36が内側通気ユニット31の室内側の面に設けられる。
【0083】
そして、前記のように、夏期に室内空間8の室温が所定温度以上の高温となり、温度センサ9が所定以上となった室温を検知すると、外側通気口5及び内側通気口6を開くように制御され、屋外空間30の外気が中間空間3を通って室内空間8に流れ込む。
【0084】
この時、屋外空間30が高湿状態の時、湿度の高い外気が中間空間3を通って室内空間8に流れ込み、室内空間8の湿度が高くなる。
【0085】
この場合、湿度センサ35で中間空間3の湿度変化を検知し、検知湿度が所定湿度(例えば70%)以上になると、開閉手段7で内側通気口6と外側通気口5の両方又はいずれか一方が閉じるように制御され、室内空間8への高湿の外気の流入が停止される。
【0086】
夏期の冷房運転時に室内空間8の湿度が高いと潜熱負荷を増大させるが、本実施形態においては、室内空間8が高湿度となるのが抑制されるので、冷房運転時の潜熱負荷が抑制される。
【0087】
一方、冬期開閉制御モードにおいて、室内湿度センサ36が一定以上の室内湿度を検知すると開閉手段7により外側通気口5及び内側通気口6が開くように制御される。
【0088】
冬期に鍋料理や室内干しなどで室内空間8の湿度が急激に上昇する場合があるが、室内湿度センサ36が一定以上の室内湿度を検知して外側通気口5及び内側通気口6が開くことで、外気が取入れられ、過剰結露が抑制される。
【0089】
湿度センサとしては、湿度センサ35、室内湿度センサ36の両方が備えられていてもよいが、湿度センサ35のみ、あるいは室内湿度センサ36のみが備えられていてもよい。
【0090】
なお、図2、図5、図11は制御回路25と制御回路19を信号線29で接続した例であるが、信号線29に代えて、図12のように赤外線発光部32、赤外線受光部33を設けて信号を送信するようにしてもよい。この例は、施工が容易となる。
【0091】
また、前記各実施形態は、既存の窓を残したまま新設の窓を開口部12に新たに取付けて二重窓を構成した例を示したが、二重窓全体が新設のものでもよい。
【0092】
また、外側障子13、内側障子14が引き違いタイプの例を示しているが、これにのみ限定されない。
【0093】
例えば、外側障子13が開き戸タイプで、内側障子14が引き違いタイプ、あるいは、外側障子13、内側障子14の両方が嵌め殺しタイプのものでもよく、また、いずれか一方が引き違いタイプ、他方が嵌め殺しタイプ等、種々のタイプの組合わせが採用できる。
【符号の説明】
【0094】
1 外窓
2 内窓
3 中間空間
4 二重窓
5 外側通気口
6 内側通気口
7 開閉手段
8 室内空間
9 温度センサ
10 中間空間温度センサ
【技術分野】
【0001】
本発明は、二重窓に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、外窓と内窓との間に中間空間が形成され、外窓に外側通気口が設けられると共に内窓に内側通気口が設けられ、中間空間に連通路を有する回転体が設けられた二重窓が開示されている。
【0003】
この特許文献1は、回転体の回転で、外側通気口及び内側通気口の両方が閉となる状態、連通路を介して外側通気口と中間空間が連通する状態、連通路を介して内側通気口と中間空間が連通する状態が切換えられるように構成されている。
【0004】
前記回転体の回転による切換えは、季節に応じて行われる。
【0005】
なお、春秋には、回転体を回転操作することで連通路を介して外側通気口と中間空間を連通すると共に、これに加えて内窓を開放操作することで、中間空間を介して屋外空間と室内空間とを連通して空気の入換えが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−256637号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記従来例は、回転体がどのような環境条件をトリガーとして回転切換えが行われるかについての記載がなく、人が環境条件を判断して回転切換えを行うものと推測される。
【0008】
また、前記従来例は、回転体の回転による切換えだけでは、中間空間を介して屋外空間と室内空間とを連通することはできず、回転体の回転操作に加え、内窓を手で開操作する必要がある。
【0009】
しかも、内窓を開操作するので、中間空間は実質的に室内空間の一部となり、二重窓としての本来の機能が失われてしまう。
【0010】
また、屋外空間と二重窓で仕切った室内空間は、夏期の冷房立上時に内部発熱や日射熱を保持しているため、冷房負荷が増大する。例えば、夏期に冷房を止めて外出すると室内空間が高温となり、室温が外気温より高くなる場合があり、このように室温が外気温より高くなった時に帰宅すると不快になり、また、冷房運転開始時の冷房負荷が大きくなる。
【0011】
ところが、前記従来例は、人が環境条件を判断して回転体の回転切換え、内窓の開操作を行うので、外出時に室内空間の室温が高温となっても、室温を低下させることはできない。
【0012】
本発明は、前記の従来の問題点に鑑みて発明したもので、その目的とするところは、夏期に室温が所定温度以上になると自動的に換気を行って室温を低下させることができる二重窓を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の二重窓は、外窓と内窓と前記外窓と内窓との間の中間空間を備えた二重窓であって、前記外窓に設けた外側通気口、前記内窓に設けた内側通気口を開閉する開閉手段と、室内空間の温度を検知する温度センサを備え、前記温度センサの所定温度以上の検知に基づいて、前記開閉手段が前記外側通気口及び前記内側通気口を開くことを特徴とする。
【0014】
また、前記室内空間の温度を検知する温度センサに加え、前記中間空間の温度を検知する中間空間温度センサを備え、前記中間空間温度センサによる前記中間空間の温度検知に基づいて、前記開閉手段が前記外側通気口又は前記内側通気口のいずれか一方を開くことが好ましい。
【0015】
また、前記開閉手段の開閉制御モードとして夏期開閉制御モードを備え、夏期開閉制御モードにおいて、前記中間空間温度センサで前記中間空間が夏期設定温度以上になったことを検知すると、前記開閉手段が前記外側通気口を開、前記内側通気口を閉とすることが好ましい。
【0016】
また、前記開閉手段の開閉制御モードとして冬期開閉制御モードを備え、冬期開閉制御モードにおいて前記中間空間温度センサで検知した前記中間空間内の温度が、前記温度センサで検知した前記室内空間内の温度より高くなった場合、前記外側通気口を閉、前記内側通気口を開とすることが好ましい。
【0017】
また、前記外側通気口が前記外窓の上部と下部とに設けられ、前記内側通気口が前記内窓の上部と下部とに設けられていることが好ましい。
【0018】
また、前記中間空間の湿度を検知する湿度センサを備え、前記温度センサの所定温度以上の検知に基づいて、前記開閉手段が前記外側通気口及び前記内側通気口を開いた状態で、前記湿度センサの検知湿度が所定湿度以上になると、開閉手段が前記内側通気口と前記外側通気口の両方又はいずれか一方を閉じることが好ましい。
【0019】
また、前記開閉手段の開閉制御モードとして冬期開閉制御モードを備え、前記室内空間の湿度を検知する室内湿度センサが設けられ、この室内湿度センサが一定以上の室内湿度を検知すると前記開閉手段が前記外側通気口及び前記内側通気口を開くことが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、温度センサの所定温度以上の検知で、開閉手段が外側通気口及び内側通気口を開くので、夏期に室温が高温になると、二重窓を介して室内空間の換気を自動的に行って温度上昇を抑制し、不快感の軽減、冷房運転開始時の負荷軽減が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の二重窓の一実施形態の断面図である。
【図2】同上の図1の要部拡大断面図である。
【図3】(a)(b)(c)は同上の二重窓の形成順序を示す説明図である。
【図4】同上の外側通気口及び内側通気口を開にした状態を示す概略説明図である。
【図5】他の実施形態の要部拡大断面図である。
【図6】同上の外側通気口を開、内側通気口を閉にした状態を示す概略説明図である。
【図7】同上の内側通気口を開、外側通気口を閉にした状態を示す概略説明図である。
【図8】同上の他の実施形態において、外側通気口及び内側通気口を開にした状態を示す概略説明図である。
【図9】同上の他の実施形態において、外側通気口を開、内側通気口を閉にした状態を示す概略説明図である。
【図10】同上の他の実施形態において、内側通気口を開、外側通気口を閉にした状態を示す概略説明図である。
【図11】同上の湿度センサを設けた例の要部拡大断面図である。
【図12】同上の赤外線発光部、赤外線受光部で信号を送信する例の要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明する。
【0023】
二重窓4は、建物の外壁11の開口部12に設けられるもので、外窓1と、中間空間3と、内窓2を備えている。
【0024】
二重窓4は様々な形態のものが採用できる。
【0025】
一例を示すと、二重窓4は、外窓1を構成する外側障子13を設けた外側窓枠15と、内窓2を構成する内側障子14を設けた内側窓枠16をそれぞれ開口部12に取付けて構成される。この例では外側障子13と内側障子14の間に中間空間3が形成される。
【0026】
他の例を示すと、開口部12に取付けられる単一の窓枠に外窓1を構成する外側障子13と内窓2を構成する内側障子14が設けられると共に、外窓1と内窓2との間に中間空間3が形成されることで二重窓4が構成される。
【0027】
また、更に他の例としては、ペアガラスと称されるもので、障子枠に外側ガラスと内側ガラスを設けて外側ガラスと内側ガラスとの間に中間空間3を形成することで、外窓1と内窓2と中間空間3を備えた二重窓4が構成される。
【0028】
以下の例では、外窓1を構成する外側障子13を設けた外側窓枠15と、内窓2を構成する内側障子14を設けた内側窓枠16をそれぞれ開口部12に取付けて構成される二重窓4の例で説明する。
【0029】
以下の例では、外側窓枠15が開口部12に既に設置されている既設のもので、この既設の外側窓枠15を残したまま、開口部12に更に内側窓枠16が新設されることで二重窓4が構成される。
【0030】
つまり、本例は、既存の窓(既設の外側窓枠15)を残したまま新設の窓(新設の内側窓枠16)を開口部12に新たに取付けることで、開口部12を断熱改修する場合の例である。
【0031】
既設の外側窓枠15には図3(a)のように外窓1を構成する既設の引き違いタイプの外側障子13が設けられていて、外窓1が構成される。
【0032】
この既設の外側窓枠15の左右方向の一端部に、図3(b)のように新設の外側通気ユニット22が新たに設置される。
【0033】
新設の外側通気ユニット22には、図2に示されるように、外側通気口5と、外側通気口5を開閉する外側蓋17と、外側蓋17を開閉駆動する駆動機構18と、駆動機構18を制御する制御回路19が設けられている。
【0034】
駆動機構18は、モータ20、歯車21により構成され、モータ20の回転が歯車21を介して伝達されて外側蓋17の開閉がなされる。
【0035】
既設の外側窓枠15が残置された建物の外壁11の開口部12には、既設の外側窓枠15よりも室内側寄りに図3(c)のように新設の内側窓枠16が新たに設置される。
【0036】
この新設の内側窓枠16には、新設の引き違いタイプの内側障子14、新設の内側通気ユニット31が設けられて内窓2が構成される。
【0037】
新設の内側通気ユニット31は、新設の内側窓枠16の左右方向の一端部の新設の外側通気ユニット22と対向する位置に設けられる。
【0038】
新設の内側通気ユニット31には、内側通気口6と、内側通気口6を開閉する内側蓋23と、内側蓋23を開閉駆動する駆動機構24と、駆動機構24を制御する制御回路25と、温度センサ9が設けられている。
【0039】
駆動機構24は、モータ26、歯車27により構成され、モータ26の回転が歯車27を介して伝達されて内側蓋23の開閉がなされる。
【0040】
内側通気ユニット31には外部から電源線(図示せず)が導入されて、モータ26、制御回路25に電源が供給される。更に、内側通気ユニット31に導入された電源は、図2に示すように内側通気ユニット31と外側通気ユニット22は電源供給線28を接続することで、外側通気ユニット22のモータ20、制御回路19に電源が供給される。
【0041】
本実施形態においては、駆動機構18、24、制御回路19、25により外側通気口5、内側通気口6を開閉する開閉手段7を構成している。
【0042】
また、制御回路25と制御回路19は図2のように信号線29で接続される。
【0043】
温度センサ9は、内側通気ユニット31の室内側の面に設けられ、室内空間8の室温を検知する。
【0044】
温度センサ9で検知された室温情報は制御回路25に入力され、更に、制御回路25から信号線29を介して制御回路19に入力される。
【0045】
本実施形態の二重窓4は、前記のように既存の外窓1の室内側に、中間空間3を介して新設の内窓2を形成することで構成され、中間空間3が、室内空間8と屋外空間30との間との間に存在して断熱層として機能する。
【0046】
実施形態においては、既設の外側窓枠15を残したまま新設の内側窓枠16を開口部12に新たに取付けることで二重窓4が形成されるので、二重窓4の改築工事が容易に行える。
【0047】
ところで、屋外空間と二重窓で仕切った室内空間8は、夏期の冷房立上時に内部発熱や日射熱を保持しているため、例えば、冷房を止めて外出すると室内空間は高温となり、高温となった室温が外気温より高くなる場合がある。
【0048】
そこで、本実施形態においては、室内空間8の室温が所定温度以上の高温となり、温度センサ9がこの所定以上となった室温を検知すると、制御回路19、25によりモータ20、26が駆動されて外側通気口5及び内側通気口6を開くように制御される。
【0049】
前記所定温度(高温の室温)以上とは、例えば、37℃以上であるが、必ずしもこの温度に限定されるものではない。
【0050】
温度センサ9により室温が所定温度以上の高温になったことを検知して、外側通気口5及び内側通気口6が自動的に開になると、室内空間8の高温となった空気が内側通気口6、外側通気口5を通って図4のように換気され、外気が取入れられる。
【0051】
ここで、外側通気口5及び内側通気口6を開にすることにより、温度センサ9で検知する温度が低下するならば、外側通気口5及び内側通気口6の開を継続するように制御回路19、25により制御がなされる。
【0052】
この状態は、室温が外気温より高く、外側通気口5及び内側通気口6を開とすることで、室温が低下している状態なので、これを継続するため外側通気口5及び内側通気口6の開が維持されるように制御される。
【0053】
一方、外側通気口5及び内側通気口6を開にした状態で、温度センサ9で検知する温度が上昇し始めると(つまり室温が外気温より低くなり始めると)、外側通気口5及び内側通気口6を閉じるように制御回路19、25により制御がなされる。
【0054】
前記外側通気口5及び内側通気口6の開閉は温度センサ9による室内温度の検知で自動的に行われるので、冷房を止めた外出中であっても、二重窓4で遮蔽された室内空間8内の室温に応じて換気がなされ、室温が異常な高温になるのが抑制される。
【0055】
これにより、室温が少なくとも外気温以上になる状況を回避することが可能となり、外出から帰宅時の室温の異常な高温による不快感が抑制され、また、帰宅してから冷房運転開始を行う時の冷房負荷が低減される。
【0056】
次に、他の実施形態を説明する。
【0057】
本実施形態の基本的な構成は前記の実施形態と同じなので、重複する説明は省略し、前記の実施形態と異なる構成につき説明する。
【0058】
本実施形態は、図5に示されるように、室内空間8の温度を検知する温度センサ9に加え、中間空間3の温度を検知する中間空間温度センサ10が備えられている。
【0059】
そして、温度センサ9で検知する室内空間8の室温に基づいて外側通気口5及び内側通気口6の開閉制御がなされ、中間空間温度センサ10で検知する中間空間3の温度に基づいて、外側通気口5又は内側通気口6のいずれか一方を開く制御がなされる。
【0060】
図6には中間空間温度センサ10で検知する中間空間3の温度に基づいて、外側通気口5を開く制御がなされる例が示されている。
【0061】
本例では開閉手段7による開閉制御モードとして夏期開閉制御モードを備えている。夏期開閉制御モードはモード設定手段(図示せず)により設定される。
【0062】
この夏期開閉制御モードにおいては、夏期に中間空間温度センサ10で中間空間3内の温度が、予め設定された夏期設定温度以上となったことを検知すると、開閉手段7により外側通気口5が開、内側通気口6が閉となるように制御される。
【0063】
前記中間空間温度センサ10が検知するあらかじめ設定された中間空間3内の夏期設定温度は、夏期に外側通気口5及び内側通気口6を開くトリガーとなる温度センサ9で検知する予め設定された所定温度と同じ温度に設定されるが、必ずしもこれに限定されない。
【0064】
つまり、夏期設定温度は、夏期に外側通気口5及び内側通気口6を開くトリガーとなる温度センサ9で検知する所定温度±α℃でもよい。
【0065】
なお、実施例では、外側通気口5及び内側通気口6を開くトリガーとなる温度センサ9で検知する所定温度が37℃、夏期設定温度が37℃を例として説明する。
【0066】
夏期、日射熱で中間空間3内の温度が上昇して中間空間温度センサ10で夏期設定温度(例えば37℃)以上を検知する場合がある。このように中間空間温度センサ10で夏期設定温度以上を検知すると、図6に示されるように、制御回路19、制御回路25からの制御で外側通気口5が開、内側通気口6が閉にされ、中間空間3内に外気が取入れられる。
【0067】
ここで、中間空間温度センサ10で検知する中間空間3内の温度が低下するならば、外側通気口5の開、内側通気口6の閉を継続するように制御回路19、25により制御がなされる。
【0068】
あわせて、温度センサ9による室内空間8の室温検知が予め設定された所定温度(例えば37℃)以上となると、制御回路19、25で外側通気口5と内側通気口6の両方が図4のように開となるように制御される。
【0069】
本実施形態では、夏期に中間空間3が日射により暖められて予め設定された夏期設定温度以上になると、中間空間3内に外気を自動的に取入れて中間空間3内の温度を下げることができるので、二重窓4を介しての室内空間8の温度上昇が抑制される。
【0070】
これにより、夏期における室内空間8の冷房負荷を低減することが可能となる。
【0071】
また、図7には中間空間温度センサ10で検知する中間空間3の温度に基づいて、内側通気口6を開く制御がなされる例が示されている。
【0072】
本例では開閉手段7による開閉制御モードとして冬期開閉制御モードを備えている。冬期開閉制御モードはモード設定手段(図示せず)により設定される。
【0073】
この冬期開閉制御モードにおいては、中間空間温度センサ10で検知した中間空間3内の温度が、温度センサ9で検知した室内空間8内の温度より高くなった場合、開閉手段7により内側通気口6が開、外側通気口5が閉となるように制御される。
【0074】
つまり、冬期に中間空間温度センサ10の検知温度が、温度センサ9の検知温度より高くなると、中間空間3内の暖かな空気が室内空間8内に取入れられる。
【0075】
中間空間温度センサ10の検知温度が、温度センサ9の検知温度と同じになると、開閉手段7により内側通気口6が閉、外側通気口5が閉となるように制御される。
【0076】
本実施形態では、冬期に日射などにより中間空間3内の温度が上昇し、室内空間8内の温度よりも高くなる場合があるが、このような場合、中間空間3内の暖かい空気を室内空間8に取り込むことができる。
【0077】
ところで、前記夏期開閉制御モード、冬期開閉制御モードは、いずれか一方が備えられていてもよく、また、両方が備えられていてもよい。夏期開閉制御モード、冬期開閉制御モードの両方が備えられている場合は、季節によりモード設定手段を操作することで、目的とする開閉モードが選択して設定される。
【0078】
ところで、前記いずれの実施形態においても、図8、図9、図10のように、外側通気口5が外窓1の上部と下部とに設けられ、内側通気口6が内窓2の上部と下部とに設けられていることが好ましい。
【0079】
このように、外側通気口5が外窓1の上部と下部とに設けられ、内側通気口6が内窓2の上部と下部とに設けられていると、図8、図9、図10の矢印のように空気が流れ、温度差や外気流(風)で効率よく通気され、換気の駆動力が増し、通気量が増大する。
【0080】
また、前記いずれの実施形態においても、室内空間8又は中間空間3の少なくとも一方又は両方の湿度を検知する湿度センサを備えるのが好ましい。
【0081】
図11には中間空間3内の湿度を検知する湿度センサ35と、室内空間8の湿度を検知する室内湿度センサ36を設けた例が示されている。
【0082】
湿度センサ35が内側通気ユニット31の中間空間3側の面に設けられ、室内湿度センサ36が内側通気ユニット31の室内側の面に設けられる。
【0083】
そして、前記のように、夏期に室内空間8の室温が所定温度以上の高温となり、温度センサ9が所定以上となった室温を検知すると、外側通気口5及び内側通気口6を開くように制御され、屋外空間30の外気が中間空間3を通って室内空間8に流れ込む。
【0084】
この時、屋外空間30が高湿状態の時、湿度の高い外気が中間空間3を通って室内空間8に流れ込み、室内空間8の湿度が高くなる。
【0085】
この場合、湿度センサ35で中間空間3の湿度変化を検知し、検知湿度が所定湿度(例えば70%)以上になると、開閉手段7で内側通気口6と外側通気口5の両方又はいずれか一方が閉じるように制御され、室内空間8への高湿の外気の流入が停止される。
【0086】
夏期の冷房運転時に室内空間8の湿度が高いと潜熱負荷を増大させるが、本実施形態においては、室内空間8が高湿度となるのが抑制されるので、冷房運転時の潜熱負荷が抑制される。
【0087】
一方、冬期開閉制御モードにおいて、室内湿度センサ36が一定以上の室内湿度を検知すると開閉手段7により外側通気口5及び内側通気口6が開くように制御される。
【0088】
冬期に鍋料理や室内干しなどで室内空間8の湿度が急激に上昇する場合があるが、室内湿度センサ36が一定以上の室内湿度を検知して外側通気口5及び内側通気口6が開くことで、外気が取入れられ、過剰結露が抑制される。
【0089】
湿度センサとしては、湿度センサ35、室内湿度センサ36の両方が備えられていてもよいが、湿度センサ35のみ、あるいは室内湿度センサ36のみが備えられていてもよい。
【0090】
なお、図2、図5、図11は制御回路25と制御回路19を信号線29で接続した例であるが、信号線29に代えて、図12のように赤外線発光部32、赤外線受光部33を設けて信号を送信するようにしてもよい。この例は、施工が容易となる。
【0091】
また、前記各実施形態は、既存の窓を残したまま新設の窓を開口部12に新たに取付けて二重窓を構成した例を示したが、二重窓全体が新設のものでもよい。
【0092】
また、外側障子13、内側障子14が引き違いタイプの例を示しているが、これにのみ限定されない。
【0093】
例えば、外側障子13が開き戸タイプで、内側障子14が引き違いタイプ、あるいは、外側障子13、内側障子14の両方が嵌め殺しタイプのものでもよく、また、いずれか一方が引き違いタイプ、他方が嵌め殺しタイプ等、種々のタイプの組合わせが採用できる。
【符号の説明】
【0094】
1 外窓
2 内窓
3 中間空間
4 二重窓
5 外側通気口
6 内側通気口
7 開閉手段
8 室内空間
9 温度センサ
10 中間空間温度センサ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外窓と内窓と前記外窓と内窓との間の中間空間を備えた二重窓であって、前記外窓に設けた外側通気口、前記内窓に設けた内側通気口を開閉する開閉手段と、室内空間の温度を検知する温度センサを備え、前記温度センサの所定温度以上の検知に基づいて、前記開閉手段が前記外側通気口及び前記内側通気口を開くことを特徴とする二重窓。
【請求項2】
前記室内空間の温度を検知する温度センサに加え、前記中間空間の温度を検知する中間空間温度センサを備え、前記中間空間温度センサによる前記中間空間の温度検知に基づいて、前記開閉手段が前記外側通気口又は前記内側通気口のいずれか一方を開くことを特徴とする請求項1記載の二重窓。
【請求項3】
前記開閉手段の開閉制御モードとして夏期開閉制御モードを備え、夏期開閉制御モードにおいて、前記中間空間温度センサで前記中間空間が夏期設定温度以上になったことを検知すると、前記開閉手段が前記外側通気口を開、前記内側通気口を閉とすることを特徴とする請求項2記載の二重窓。
【請求項4】
前記開閉手段の開閉制御モードとして冬期開閉制御モードを備え、冬期開閉制御モードにおいて、前記中間空間温度センサで検知した前記中間空間内の温度が、前記温度センサで検知した前記室内空間内の温度より高くなった場合、前記外側通気口を閉、前記内側通気口を開とすることを特徴とする請求項2又は請求項3記載の二重窓。
【請求項5】
前記外側通気口が前記外窓の上部と下部とに設けられ、前記内側通気口が前記内窓の上部と下部とに設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の二重窓。
【請求項6】
前記中間空間の湿度を検知する湿度センサを備え、前記温度センサの所定温度以上の検知に基づいて、前記開閉手段が前記外側通気口及び前記内側通気口を開いた状態で、前記湿度センサの検知湿度が所定湿度以上になると、開閉手段が前記内側通気口と外側通気口の両方又はいずれか一方を閉じることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の二重窓。
【請求項7】
前記開閉手段の開閉制御モードとして冬期開閉制御モードを備え、前記室内空間の湿度を検知する室内湿度センサが設けられ、この室内湿度センサが一定以上の室内湿度を検知すると前記開閉手段が前記外側通気口及び前記内側通気口を開くことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の二重窓。
【請求項1】
外窓と内窓と前記外窓と内窓との間の中間空間を備えた二重窓であって、前記外窓に設けた外側通気口、前記内窓に設けた内側通気口を開閉する開閉手段と、室内空間の温度を検知する温度センサを備え、前記温度センサの所定温度以上の検知に基づいて、前記開閉手段が前記外側通気口及び前記内側通気口を開くことを特徴とする二重窓。
【請求項2】
前記室内空間の温度を検知する温度センサに加え、前記中間空間の温度を検知する中間空間温度センサを備え、前記中間空間温度センサによる前記中間空間の温度検知に基づいて、前記開閉手段が前記外側通気口又は前記内側通気口のいずれか一方を開くことを特徴とする請求項1記載の二重窓。
【請求項3】
前記開閉手段の開閉制御モードとして夏期開閉制御モードを備え、夏期開閉制御モードにおいて、前記中間空間温度センサで前記中間空間が夏期設定温度以上になったことを検知すると、前記開閉手段が前記外側通気口を開、前記内側通気口を閉とすることを特徴とする請求項2記載の二重窓。
【請求項4】
前記開閉手段の開閉制御モードとして冬期開閉制御モードを備え、冬期開閉制御モードにおいて、前記中間空間温度センサで検知した前記中間空間内の温度が、前記温度センサで検知した前記室内空間内の温度より高くなった場合、前記外側通気口を閉、前記内側通気口を開とすることを特徴とする請求項2又は請求項3記載の二重窓。
【請求項5】
前記外側通気口が前記外窓の上部と下部とに設けられ、前記内側通気口が前記内窓の上部と下部とに設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の二重窓。
【請求項6】
前記中間空間の湿度を検知する湿度センサを備え、前記温度センサの所定温度以上の検知に基づいて、前記開閉手段が前記外側通気口及び前記内側通気口を開いた状態で、前記湿度センサの検知湿度が所定湿度以上になると、開閉手段が前記内側通気口と外側通気口の両方又はいずれか一方を閉じることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の二重窓。
【請求項7】
前記開閉手段の開閉制御モードとして冬期開閉制御モードを備え、前記室内空間の湿度を検知する室内湿度センサが設けられ、この室内湿度センサが一定以上の室内湿度を検知すると前記開閉手段が前記外側通気口及び前記内側通気口を開くことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の二重窓。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−7215(P2013−7215A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−140817(P2011−140817)
【出願日】平成23年6月24日(2011.6.24)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月24日(2011.6.24)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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