説明

交通信号制御システム、交通信号制御装置及び方法、並びに、交通指標算出装置

【課題】 待ち行列台数や飽和交通流率を正確に算出できるようにし、これらの交通指標を用いて行う交通信号制御をより高精度化する。
【解決手段】 交差点Cでの待ち行列台数を交通指標の一つとした交通信号制御を行う交通信号制御装置4と、車両5に搭載された車載装置2とを連携させた交通信号制御システムにおいて、車両5の位置情報S3及び速度情報S4をリアルタイムに取得し、取得した速度情報S4が実質的にゼロとなる時点を車両5の停止時点t0とみなし、その停止時点t0の車両5の位置情報S3を当該車両5の停止位置x0と判定し、判定した停止位置x0に基づいて停止時点t0での待ち行列台数E1を算出し、この算出した待ち行列台数E1を用いて交通信号制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、系統制御や広域制御等の交通信号制御によって複数の交通信号機の信号灯色を切り替えるタイミングを決定する交通信号制御、より詳しくは、待ち行列台数や飽和交通流率を交通指標とした系統制御又は広域制御を行う交通信号制御システム等に関する。
【背景技術】
【0002】
系統制御や広域制御による交通信号の信号制御方式を、信号制御パラメータ(スプリット、サイクル長及びオフセット等)の設定方式の視点で大別すると、時間帯に応じて信号制御パラメータを設定する定周期制御と、交通状況に応じて信号制御パラメータを設定する交通感応制御の2種類がある。
このうち、後者の交通感応制御は、端末の交通信号制御機ごとに行う端末感応制御と、路線系統制御或いは面制御される複数の交差点を対象に信号制御パラメータを変化させる中央感応制御に分類される。
【0003】
上記中央感応制御は、交通流の変動に対応した高度な系統制御や広域制御(面制御)を行えるため、交通量の時間変動が激しくかつ交通量が多く、高い交通処理効率が要求される道路に適用され、プログラム選択制御又はプログラム形成制御が採用される。
プログラム選択制御とは、予め設定された複数のプログラムの中から、車両感知器情報に基づいてそのときの交通状態に最適な一つのプログラムを選択する方式である。また、プログラム形成制御とは、予め有限個のパラメータ値を設定するのではなく、車両感知器情報に基づいてオンラインで信号制御パラメータや信号表示の切り替えタイミングを決定する方式である。
【0004】
交通管制センターが行う中央感応制御では、従来プログラム選択制御が採用されているが、これには次のような短所がある。
(1)パラメータの設計に多大な労力を要する。
(2)交通状況の経年変化で状況が大きく変化した時の再設計が必要となる。
(3)評価指標(交通量と占有率の加重和)が経験的かつ曖昧である。
(4)余裕を持たせるためにサイクル長が長くなる傾向にあり、無駄な青時間が発生したり、歩行者待ち時間が大きくなったりし易い。
【0005】
そこで、上記短所を解決するために、交通管制センターの中央装置が交通状況に応じて信号制御パラメータを自動的に更新するプログラム形成制御が行われており、この制御方式はMODERATO(Management by Origin-DEstination Related Adaptation for Traffic Optimization)制御と呼ばれている。
かかるMODERATO制御を行うためには、上記信号制御パラメータの算出の基礎となる交通指標である負荷率の算出が不可欠であり、この負荷率を求めるためには、車両の待ち行列台数と飽和交通流率を情報収集することが必要である(非特許文献1参照)。
【0006】
一方、上記MODERATO制御に加えて、一部の交差点に関して、信号制御に未来の予測情報を用いて青時間を最適化することにより、更にリアルタイム性を高めるRONDO(ROlling-horizoNbased Dynamic Optimization of signal control system:なお、「RONDO」は登録商標)という制御方式を採用する場合がある。このRONDO制御の特徴は次の通りである(非特許文献2参照)。
(1) 交差点上流の車両感知器情報及び上流交差点が生成する流出予測情報より、現在から数分先の未来までの車両到着タイミングを予測する。
(2) 交差点通過時に発生する信号待ち遅れ時間が最小となる最適な信号打ち切りタイミングを探索する。
(3) 交差点単位の分散処理を行う(なお、中央型処理も可能)。
【0007】
かかるRONDO制御を行う場合には、車両到着タイミングの予測が不可欠であり、このタイミングを予測する場合にも、車両の待ち行列台数と飽和交通流率を情報収集することが必要である(特許文献1参照)。もっとも、RONDO制御では、計測した待ち行列台数を直接制御に用いるのではなく、推定した待ち行列台数の補正に使用する。
【0008】
【特許文献1】特開2001−134893号公報
【非特許文献1】「改訂 交通信号の手引き」 編集・発行 社団法人 交通工学研究会(16〜18頁、83〜87頁)
【非特許文献2】「鳥取交通管制センター高度化システムの構築」 SEIテクニカルレビュー 2004年9月 第165号 56〜63頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来、MODERATO制御やRONDO制御を行う場合に必要な交通指標の一つである待ち行列台数は、道路に設置した単数又は複数の車両感知器の感知信号から待ち行列長さを推定し、これを平均車頭距離で割ることによって算出している。
しかし、このような算出方法では、停止線に最も近い車両感知器の下流側や、車両感知器同士の間で車両の流入や流出があると、待ち行列長さに誤差が生じる。従って、待ち行列台数の値が不正確になる可能性が皆無とは言えず、MODERATO制御やRONDO制御の更なる高精度化を阻害する要因となり得る。
【0010】
また、飽和交通流率の場合は、通常、固定の設定値を採用するのが一般的であり、実測するとしても、待ち行列台数が車両感知器の設置位置まで延伸していない場合には計測できない。
従って、飽和交通流率にも誤差が含まれている可能性が皆無ではなく、この点もMODERATO制御やRONDO制御の更なる高精度化を阻害する要因となり得る。
【0011】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、待ち行列台数や飽和交通流率を正確に算出できるようにして、これらの交通指標を用いて行う交通信号制御をより高精度化することができる交通信号制御システム等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第一の交通信号制御システムは、交差点での待ち行列台数を交通指標の一つとした交通信号制御を行う交通信号制御装置と、車両に搭載された車載装置とを連携させた交通信号制御システムであって、
前記車載装置は、前記車両の位置情報及び速度情報をリアルタイムに送信する送信手段を有し、前記交通信号制御装置は、前記車両の位置情報及び速度情報をリアルタイムに取得する取得手段と、取得した前記速度情報が実質的にゼロとなる時点を前記車両の停止時点とみなし、その停止時点の前記車両の位置情報を当該車両の停止位置と判定する判定手段と、判定した前記停止位置に基づいて前記停止時点での前記待ち行列台数を算出する算出手段とを有することを特徴とする(請求項1)。
【0013】
上記第一の交通信号制御システムによれば、交差点に流入する車両の位置情報と速度情報をリアルタイム(例えば、0.1秒毎)に取得している。このリアルタイムの位置情報と速度情報とから当該車両の停止時点と停止位置を求めると、その停止時点では当該車両が待ち行列の最後尾となり、この停止位置を利用して求めた待ち行列はまさに実際の待ち行列台数と同等或いは非常に近似したものとなる。
すなわち、第一の交通信号制御システムによれば、リアルタイムに取得する車両の速度情報が実質的にゼロとなる時点をその車両の停止時点とみなし、この停止時点の車両の位置情報を当該車両の停止位置と判定するので、これらの停止時点及び停止位置は、車両が実際に停止した時刻及び位置に極めて近い正確な値になる。
そして、上記判定で得られた実際に近い正確な停止位置に基づいて、停止時点での待ち行列台数を算出しているので、単数又は複数の車両感知器の感知信号から待ち行列台数を推定する場合に比べて、当該待ち行列台数を正確に算出することができる。
【0014】
本発明の第二の交通信号制御システムは、交差点での待ち行列台数を交通指標の一つとした交通信号制御を行う交通信号制御装置と、前記交差点の上流側に設置された車両感知器と、車両に搭載された車載装置とを連携させた交通信号制御システムであって、
前記車載装置は、前記車両の位置情報及び速度情報をリアルタイムに送信する送信手段を有し、前記交通信号制御装置は、前記車両の位置情報及び速度情報と、前記交差点の信号灯色の切り替えタイミングに関する情報をリアルタイムに取得する取得手段と、取得した前記速度情報と前記位置情報とに基づいて前記車両の停止位置を判定する判定手段と、判定した前記停止位置と、前記車載装置を有する車両が前記車両感知器を通過した時点以降に当該車両感知器が感知した後続車両の台数とに基づいて、青終了時点の前記待ち行列台数を算出する算出手段とを有することを特徴とする(請求項2)。
【0015】
上記第二の交通信号制御システムによれば、リアルタイムに取得する車両の速度情報と位置情報とに基づいて車両の停止位置を判定するので、この判定で得られた停止位置は、車両が実際に停止した位置に極めて近い正確な値となる。
そして、上記判定で得られた実際に近い正確な停止位置と、後続車両の台数に基づいて青終了時点の待ち行列台数を算出しているので、単数又は複数の車両感知器の感知信号から待ち行列台数を推定する場合に比べて、当該待ち行列台数を正確に算出することができる。
【0016】
第二の交通信号制御システムにおいて、停止位置が観測された車載装置を有する車両に続く後続車両の台数を、待ち行列台数としてカウントすべきか否かは、例えば次の不等式(1)で判定することができる。
すなわち、前記交通信号制御装置において、次の不等式(1)が成立する場合にのみ、前記後続車両の台数をカウントするようにすればよい(請求項3)。
V×(T−ti)≧A−(L+l×i) ……(1)
ただし、V :予め設定又は取得された車両速度
T :交差点の信号灯器の青終了時刻
ti:i番目(i=1,2……)の後続車両の感知器通過時刻
A :車両感知器から停止線までの距離
L :車両の停止地点から停止線までの距離
l :有効車両長さ
上記不等式が成立する場合、後続車両は待ち行列に加わっていると推定できるので、この不等式が成立する場合にのみ後続車両の台数をカウントするようにすれば、精度よく待ち行列台数を推定することができる。
【0017】
本発明の第三の交通信号制御システムは、交差点での飽和交通流率を交通指標の一つとした交通信号制御を行う交通信号制御装置と、車両に搭載された車載装置とを連携させた交通信号制御システムであって、
前記車載装置は、前記車両の位置情報及び速度情報をリアルタイムに送信する送信手段を有し、前記交通信号制御装置は、前記車両の位置情報及び速度情報と、前記交差点の信号灯色の切り替えタイミングに関する情報をリアルタイムに取得する取得手段と、取得した前記速度情報と前記位置情報とに基づいて前記車両の停止位置を判定する判定手段と、判定した前記停止位置と、前記車両が停止線を通過する時刻の青開始時点からの経過時間とに基づいて、前記飽和交通流率を算出する算出手段とを有することを特徴とする(請求項4)。
【0018】
上記第三の交通信号制御システムによればリアルタイムに取得する車両の速度情報と位置情報とに基づいて車両の停止位置を判定するので、この判定で得られた停止位置は、車両が実際に停止した位置に極めて近い正確な値となる。
そして、上記判定で得られた実際に近い正確な停止位置と、車両が停止線を通過する時刻の青開始時点からの経過時間とに基づいて、飽和交通流率を算出しているので、単数又は複数の車両感知器の感知信号から飽和交通流率を推定する場合に比べて、当該飽和交通流率を正確に算出することができる。
【0019】
第一の交通指標算出装置(請求項5)は第一の交通信号制御システム(請求項1)に用いられるものである。
第二の交通指標算出装置(請求項6)は第二の交通信号制御システム(請求項2)に用いられるものである。
第三の交通指標算出装置(請求項7)は第三の交通信号制御システム(請求項4)に用いられるものである。
【0020】
第一の交通信号制御装置(請求項8)は第一の交通信号制御システム(請求項1)に用いられるものである。
第二の交通信号制御装置(請求項9)は第二の交通信号制御システム(請求項2)に用いられるものである。
第三の交通信号制御装置(請求項10)は第三の交通信号制御システム(請求項4)に用いられるものである。
【0021】
第一の交通信号制御方法(請求項11)は第一の交通信号制御システム(請求項1)において行われる制御方法である。
第二の交通信号制御方法(請求項12)は第二の交通信号制御システム(請求項2)において行われる制御方法である。
第三の交通信号制御方法(請求項13)は第三の交通信号制御システム(請求項4)において行われる制御方法である。
【0022】
上記第一、第二及び第三の発明にように、インフラ側が取得する位置情報及び速度情報はリアルタイムであることが望ましい。しかし、その取得タイミングが少し遅れる程度であれば、リアルタイムの場合よりもよりも多少は劣るかも知れないが、従来の課題が改善される。この取得タイミングの遅れは、なるべく小さいほど望ましく、例えば信号サイクルの1サイクル分程度が望ましいが、1サイクル程度には限定されない。
従って、車両の位置情報や速度情報を例えば時刻情報付きの時系列データにし、このデータを所定時間分だけ車両側が蓄積しておき、蓄積された時系列データを、光ビーコンや狭域通信システム(DSRC:Dedicated Short Range Communication)等の局所通信装置や携帯電話網等の外部ネットワークを介してインフラ側に伝達することにしてもよく、インフラ側は、かかる時系列データとして取得した位置情報や速度情報に基づいて、交通指標を算出することもできる。
もっとも、車両側が車両の位置情報のみを時刻情報付きの時系列データとして蓄積しておき、この時系列データをインフラ側に送信し、インフラ側が時系列データの位置情報に基づいて車両の速度を算出し、車両の時系列の位置情報と速度情報を取得してもよい。
【0023】
すなわち、本発明の第四の交通信号制御装置は、交差点での待ち行列台数を交通指標の一つとした交通信号制御を行う交通信号制御装置であって、
車両の時系列の位置情報及び速度情報を取得する取得手段と、取得した前記速度情報が実質的にゼロとなる時点を前記車両の停止時点とみなし、その停止時点の前記車両の位置情報を当該車両の停止位置と判定する判定手段と、判定した前記停止位置に基づいて前記停止時点での前記待ち行列台数を算出する算出手段とを有することを特徴とする(請求項14)。
【0024】
上記第四の交通信号制御装置によれば、交差点に流入する車両の位置情報と速度情報を時系列データとして取得している。この時系列の位置情報と速度情報とから当該車両の停止時点と停止位置を求めると、その停止時点では当該車両が待ち行列の最後尾となり、この停止位置を利用して求めた待ち行列はまさに実際の待ち行列台数と同等或いは非常に近似したものとなる。
【0025】
すなわち、第四の交通信号制御装置によれば、車両の時系列の速度情報が実質的にゼロとなる時点をその車両の停止時点とみなし、この停止時点の車両の位置情報を当該車両の停止位置と判定するので、これらの停止時点及び停止位置は、車両が実際に停止した時刻及び位置に極めて近い正確な値になる。
そして、上記判定で得られた実際に近い正確な停止位置に基づいて、停止時点での待ち行列台数を算出しているので、単数又は複数の車両感知器の感知信号から待ち行列台数を推定する場合に比べて、当該待ち行列台数を正確に算出することができる。
【0026】
本発明の第五の交通信号制御装置は、交差点での待ち行列台数を交通指標の一つとした交通信号制御を行う交通信号制御装置であって、
車両の時系列の位置情報及び速度情報と、前記交差点の信号灯色の切り替えタイミングに関する情報を取得する取得手段と、取得した前記速度情報と前記位置情報とに基づいて前記車両の停止位置を判定する判定手段と、判定した前記停止位置と、前記車両が車両感知器を通過した時点以降に当該車両感知器が感知した後続車両の台数とに基づいて、青終了時点の前記待ち行列台数を算出する算出手段とを有することを特徴とする(請求項15)。
【0027】
上記第五の交通信号制御装置によれば、時系列データである車両の速度情報と位置情報とに基づいて車両の停止位置を判定するので、この判定で得られた停止位置は、車両が実際に停止した位置に極めて近い正確な値となる。
そして、上記判定で得られた実際に近い正確な停止位置と、後続車両の台数に基づいて青終了時点の待ち行列台数を算出しているので、単数又は複数の車両感知器の感知信号から待ち行列台数を推定する場合に比べて、当該待ち行列台数を正確に算出することができる。
【0028】
第五の交通信号制御装置においても、停止位置が観測された車載装置を有する車両に続く後続車両の台数を、待ち行列台数としてカウントすべきか否かは、前記した不等式(1)で判定することができる。
すなわち、前記交通信号制御装置において、前記不等式(1)が成立する場合にのみ、前記後続車両の台数をカウントするようにすればよい。
前記不等式(1)が成立する場合、後続車両は待ち行列に加わっていると推定できるので、この不等式が成立する場合にのみ後続車両の台数をカウントするようにすれば、精度よく待ち行列台数を推定することができる。
【0029】
本発明の第六の交通信号制御装置は、交差点での飽和交通流率を交通指標の一つとした交通信号制御を行う交通信号制御装置であって、
車両の時系列の位置情報及び速度情報と、前記交差点の信号灯色の切り替えタイミングに関する情報を取得する取得手段と、取得した前記速度情報と前記位置情報とに基づいて前記車両の停止位置を判定する判定手段と、判定した前記停止位置と、前記車両が停止線を通過する時刻の青開始時点からの経過時間とに基づいて、前記飽和交通流率を算出する算出手段とを有することを特徴とする(請求項16)。
【0030】
上記第六の交通信号制御装置によれば、時系列データである車両の速度情報と位置情報とに基づいて車両の停止位置を判定するので、この判定で得られた停止位置は、車両が実際に停止した位置に極めて近い正確な値となる。
そして、上記判定で得られた実際に近い正確な停止位置と、車両が停止線を通過する時刻の青開始時点からの経過時間とに基づいて、飽和交通流率を算出しているので、単数又は複数の車両感知器の感知信号から飽和交通流率を推定する場合に比べて、当該飽和交通流率を正確に算出することができる。
【0031】
第五の交通指標算出装置(請求項17)は第五の交通信号制御装置(請求項15)に用いられるものである。
第六の交通指標算出装置(請求項18)は第六の交通信号制御装置(請求項16)に用いられるものである。
【0032】
第四の交通信号制御方法(請求項19)は第四の交通信号制御装置(請求項14)に用いられるものである。
第五の交通信号制御方法(請求項20)は第五の交通信号制御装置(請求項15)に用いられるものである。
第六の交通信号制御方法(請求項21)は第六の交通信号制御装置(請求項16)に用いられるものである。
【発明の効果】
【0033】
以上の通り、本発明によれば、待ち行列台数や飽和交通流率を正確に算出することができる。従って、これらの正確な交通指標を用いた系統制御や広域制御を行うことにより、当該制御をより高精度化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態を詳細に説明する。
〔システムの全体構成〕
図1は、本発明の実施形態に係る交通信号制御システムの全体構成を示している。
図1に示すように、本実施形態の交通信号制御システムは、交通信号機1、車載装置2(図2参照)、車両感知器3、中央装置4、車載装置2を搭載した車両5などを含む。
【0035】
各交通信号機1は、複数の交差点Ci(i=1〜12)のそれぞれに設置され、電話回線等の通信回線6を介してルータ7に接続されている。このルータ7は交通管制センター内の中央装置4に接続され、中央装置4は、所定エリア内の交差点Ciの各交通信号機1とLAN(Local Area Network)を構成している。
従って、中央装置4は、各交通信号機1と双方向通信が可能であり、各交通信号機1は他の交通信号機1とも双方向通信が可能である。なお、中央装置4は、交通管制センターではなく道路上に設置してもよい。
【0036】
車両感知器3は、各交差点Ciに流入する車両台数をカウントするために、対応する各交差点Ciの上流側に設置されており、図示しない通信回線を介して対応する各交通信号機1と繋がっている。
なお、図1では、図示を簡略化するために、各交差点Ciに信号灯器1bが1つだけ描写されているが、実際の各交差点Ciには、例えば図2に示すように、互いに交差する道路の上り下り用として4つの信号灯器1bが設置されている。
【0037】
〔中央装置〕
図3は、中央装置4の構成を示すブロック図である。
図3に示すように、中央装置4は、制御部401、表示部402、通信部403、記憶部404及び操作部405を含んでいる。
中央装置4の制御部401は、ワークステーション(WS)やパーソナルコンピュータ(PC)等よりなり、交通信号機1や車両感知器3からの各種の交通情報の収集・処理(演算)・記録、信号制御及び情報提供を統括的に行う。制御部101は、内部バスを介して上記ハードウェア各部と繋がっており、これら各部の動作も制御する。
【0038】
中央装置4の制御部401は、自身のネットワークに属する交差点Ciの交通信号機1に対して、同一道路上の交通信号機1群を調整する系統制御や、この系統制御を道路網に拡張した広域制御(面制御)を行うものであり、例えば、前記MODERATO制御とRONDO制御を行うことができる。
MODERATO制御は、ネットワークに属するすべての交通信号機1をマクロ制御するもので、近飽和の交通状態に対応するために、負荷率という交通指標を用いて各交通信号機1に最適な信号制御パラメータをサイクルごとに自動生成する。
【0039】
例えば、スプリット制御の場合には、各交差点Ciについて、現示ごとの各流入路の負荷率の最大値を求め、現示負荷率の比で正規化されたスプリットを配分する負荷率比配分方式が採用される。
上記負荷率ρは、車両の流入流量Q(台/時)、待ち行列台数E(台/時)及び飽和交通流率s(台/時)を用いて、ρ=(Q+E)/s で定義される。MODERATO制御では、かかる定義に基づく負荷率ρを制御対象とするため、各交差点Ciの待ち行列台数Eと飽和交通流率sを算出する必要がある。
【0040】
なお、MODERATO制御の場合には、閑散から過飽和までの交差点Ciでの交通状況を連続的に表現できる交通指標とするために、青終了時点での待ち行列台数E2が必要である。
一方、RONDO制御は、ネットワークに属する一部の交通信号機1をミクロ制御するもので、着目する交差点Ciの上流側で観測された情報を基に交通状況の変化を事前に予測し、その予測に基づいて交差点Ciでの信号待ちによる遅れ時間を最小にするように最適な青の打ち切りタイミングを決定する。
【0041】
かかるRONDO制御では、ある交差点Ciにおける、停止線到着プロファイル情報と信号制御情報に基づいてシミュレーション演算を行い、現示点から1サイクル以上未来までの待ち行列台数Eの変動状況を計算する。従って、このRONDO制御を行う場合も、待ち行列台数Eと飽和交通流率sを算出する必要がある。
なお、RONDO制御の場合には、交通指標として、青終了時点の待ち行列台数E2だけでなく、現時点の待ち行列台数E1を使用することもできる。
中央装置4の制御部401が行う、上記各交通指標の算出方法については後述する。
【0042】
中央装置4の通信部403は、通信回線6を介してLAN側と接続された通信インタフェースであり、所定時間ごとに信号灯器1bの灯色切り替えタイミング等に関する信号制御指令S1と、渋滞情報等を含む交通情報S2とを各交通信号機1に送信している。信号制御指令S1は、信号制御パラメータの演算周期(例えば、1.0〜2.5分)ごとに送信され、交通情報S2は例えば5分ごとに送信される。
また、中央装置4の通信部403は、各交通信号機1から、車載装置2が搭載されている車両5の位置情報S3及び速度情報S4と、車両感知器3の感知信号S5とをリアルタイム(例えば、0.1〜1.0秒周期)で受信している。
【0043】
中央装置4の記憶部404は、ハードディスクや半導体メモリ等から構成されており、前記MODERATO制御やRONDO制御を行う制御プログラムと、この制御に用いる交通指標の演算プログラムを記憶している。また、記憶部404は、制御部401が生成した前記信号制御指令S1及び交通情報S2と、LAN側から取得した位置情報S3、速度情報S4及び感知信号S5を一時的に記憶する。
【0044】
中央装置4の表示部402は、自身が管理するエリアの道路地図と、この道路地図上のすべての交通信号機1や光ビーコン(図示せず)等の位置が表示された表示画面により構成され、中央オペレータに渋滞や事故等の交通状況を報知するものである。
中央装置4の操作部405は、キーボードやマウス等の入力インタフェースよりなり、この操作部405によって中央オペレータが上記表示部402に対する表示切り替え操作等を行えるようになっている。
【0045】
〔交通信号機〕
図2は、交通信号機1の全体構成を示す模式図である。
図2では、交通量の多い主道路RM1,RM2と交通量の少ない従道路RS1,RS2とが合流した交差点Cを例示している。
この交通信号機1は、主道路RM1,RM2及び従道路RS1,RS2のそれぞれに設置された4つの信号灯器1bと、この信号灯器1bと通信回線8を介して接続された交通信号制御機1aとを備えている。
【0046】
交通信号制御機1aは、中央装置4から信号制御指令S1を受信し、当該信号制御指令S1に基づいて、各信号灯器1bの青、黄、赤及び右折矢等の各信号灯の点灯、消灯及び点滅を制御する。
交通信号制御機1aは、中央装置4から受信した交通情報S2と自身が記憶している交差点IDを、所定周期(例えば、0.1秒ごと)で車載装置2に送信する。また、交通信号制御機1aは、車載装置2から車両5の位置情報S3及び速度情報S4を受信し、車両感知器5から感知信号S5を受信する。
【0047】
図4は、上記交通信号制御機1aの構成を示すブロック図である。
図4に示すように、交通信号制御機1aは、制御部101、灯器駆動部102、有線通信部103、無線通信部105及び記憶部104を含んでいる。
交通信号制御機1aの制御部101は、一又は複数のマイクロコンピュータから構成されている。制御部101には、内部バスを介して灯器駆動部102、通信部103及び記憶部104が接続されており、制御部101はこれらのハードウェア各部の動作を制御する。
【0048】
この交通信号制御機1aの制御部101は、中央装置4が系統制御や広域制御(MODERATO制御やRANDO制御等)を行った結果の出力である信号制御指令S1に従って各信号灯器1bを駆動し、その指令S1に基づく所定のタイミングで各信号灯器1bの信号灯色を切り替える。
灯器駆動部102は、半導体リレー(図示せず)を備え、上記制御部101から入力された出力指令S1に基づいて、複数の信号灯器1bの青色灯、黄色灯、赤色灯それぞれに対応して各色の信号灯に供給される交流電圧(AC100V)又は直流電圧をオン/オフする。
【0049】
交通信号制御機1aの有線通信部103は、中央装置4及び車両感知器3との間で有線通信を行う通信インタフェースであり、中央装置4から信号制御指令S1及び交通情報S2を受信し、車両感知器3から車両の感知信号S5を受信する。
また、交通信号制御機1aの無線通信部105は、交差点Ciに流入する車両5の車載装置2との間で無線通信を行う通信インタフェースであり、交通情報S2を車載装置2に送信し、車両5の位置情報S3及び速度情報S4を車載装置2から受信する。
【0050】
上記無線通信部105は、無線LANやWiMAX(World Interoperability for Microwave Access)などの中・広域通信装置よりなり、車両5に搭載された車載装置2との間で各種情報を無線通信することができる。
図2に示すように、この無線通信部105は、交差点Cに流入するすべての道路RM1,RM2,RS1,RS2上の車両5の車載装置2と通信可能となっている。
【0051】
そして、本実施形態の無線通信部105は、車載装置2に対して交差点IDとともに対象となるリンク(図2の例では主道路RM2)のリンクIDを送信する。車載装置2は、無線通信部105から受信した情報に付されたリンクIDと走行中のリンクのリンクIDを照合することにより、自身に必要な情報を選択する。また、無線通信部105の通信領域の延長(主道路RM2の走行方向長さ)は、50〜200m程度に設定されている。
交通信号制御機1aの記憶部104は、ハードディスクや半導体メモリ等から構成されており、有線通信部103が受信した信号制御指令S1及び交通情報S2と、無線通信部105が受信した車両5の位置情報S3及び速度情報S4等を記憶している。
【0052】
〔車載装置〕
車両5に搭載された車載装置2は、交通信号制御機1aとの間で各種情報を無線通信する通信機能と、搭乗者が設定した目的地に案内するナビゲーション機能を有する。図5は、その車載装置2の構成を示すブロック図である。
図5に示すように、車載装置2は、GPS処理部201、方位センサ202、車速取得部203、通信部204、記憶部205、操作部206、表示部207、音声出力部208及び処理部209等を含んでいる。
【0053】
GPS処理部201は、GPS衛星からのGPS信号を受信し、GPS信号に含まれる時刻情報、GPS衛星の軌道、測位補正情報等に基づいて、車両5の位置(緯度、経度及び高度)を計測する。
方位センサ202は、光ファイバジャイロなどで構成されており、車両5の方位及び角速度を計測する。車速取得部203は、車速センサ(図示せず)が車輪の角速度を検出することにより計測した車両5の速度データを取得する。
【0054】
車載装置2の通信部204は、車両5がある交差点Ciに向かって走行中に、交通信号制御機1aの無線通信部105の通信領域に入ると、その無線通信部105から交通情報S2を受信し、自身の位置情報S3及び速度情報S4をリアルタイム(例えば、0.1〜1.0秒周期)に無線通信部105に送信する。
車載装置2の記憶部205は、ハードディスクや半導体メモリ等から構成されており、通信部204が受信した交通情報S2を記憶する。また、記憶部205は、道路地図データを記憶している。
【0055】
この道路地図データには、交差点IDと交差点の位置とを対応付けた交差点データ、リンクIDと、リンクの始点・終点・補間点(道路が折れ曲がる地点に対応)それぞれの位置と、リンクの始点に接続するリンクのリンクIDと、リンクの終点に接続するリンクのリンクIDと、リンクコストとを対応付けたリンクデータなどから構成されている。
リンクコストは、例えば、リンクとその終点に接続するリンクの組み合わせの数だけ用意されており、リンクの始点に進入してから当該リンクの終点を退出し、次に接続するリンクの始点に進入するまでに要する時間が設定されている。すなわち、リンクコストには、リンクの始点から終点までを走行するのに要するコスト(時間)と、リンクの終点から次のリンクの始点までを走行するのに要するコスト(時間)、つまり、交差点を通過するのに要するコストが含まれている。
【0056】
車載装置2の操作部206は、タッチパネルやボタン等から構成されており、ドライバを含む車両5の搭乗者が目的地の設定等を行えるようになっている。
車載装置2の表示部207は、車両5のダッシュボード部分に取り付けられたモニタ装置(図示せず)よりなり、処理部209が後述する感応要求処理において作成した画像データを搭乗者に表示する。また、音声出力部208は、処理部209が作成した音声データをスピーカー(図示せず)から出力する。
【0057】
車載装置2の処理部209は、1又は複数のマイクロコンピュータ等から構成されており、GPS処理部201、方位センサ202、車速取得部203、通信部204、記憶部205、操作部206、表示部207、音声出力部208の各処理を制御する。
また、処理部209は、GPS処理部201が計測した車両5の位置、方位センサ202が計測した車両5の方位及び角速度、車速取得部203が取得した車両5の速度の各データ、記憶部205に記憶している道路地図データに基づいてマップマッチング処理を行い、道路地図データのリンク上における車両5の位置を求める。
【0058】
〔中央装置での交通指標の算出方法〕
〔待ち行列台数の算出(1)〕
次に、図6を参照しつつ、中央装置4の制御部401が実行する待ち行列台数の算出方法を説明する。
まず、中央装置4の制御部401は、各交差点Ciの交通信号制御機1aからリアルタイムに受信している車両5の速度情報S4を十分に小さい閾値ε(例えば、ε=2km/時)と比較し、この閾値εよりも小さくなった時点を車両速度が実質的にゼロとなった停止時点t0とみなし、この停止時点t0の車両5の位置情報S3を当該車両5の停止位置x0と判定する。
【0059】
次に、中央装置4の制御部401は、判定した停止位置x0に基づいて、その停止時点t0での待ち行列台数E1を算出する。
具体的には、図6に示すように、停止位置x0から停止線Pまでの長さLを演算し、その長さLを、予め設定された有効車両長さlで割ることにより、停止時点t0における待ち行列台数E1とする。
【0060】
〔待ち行列台数の算出(2)〕
ところで、MODERATO制御の場合には、信号灯器1bの青終了時点Tでの待ち行列台数E2を使用する。しかし、車載装置2搭載の車両5の停止時点t0は、青終了時点Tと一致しておらず、その停止時点t0から青終了時点Tまでの間に後続車両5Aが流入してくる可能性が高い。
そこで、図6に示すように、青終了時点Tでの待ち行列台数E2を求める場合には、上記後続車両5Aの台数を車両感知器3でカウントし、この後続車両5Aの台数を含める必要がある。
【0061】
具体的には、中央装置4の制御部401は、次の不等式(1)が成立する場合にのみ、後続車両5Aの台数をカウントし、待ち行列台数E2を算出する。
V×(T−ti)≧A−(L+l×i) ……(1)
ただし、V :予め設定又は取得された車両速度
T :交差点の信号灯器の青終了時刻
ti:i番目(i=1,2……)の後続車両の感知器通過時刻
A :車両感知器から停止線までの距離
L :待ち行列長さ
l :有効車両長さ
【0062】
上記式(1)の右辺は、車載装置2搭載の信号待ちの停止車両5が存在する場合に、その後の後続車両5Aが信号待ちで停止するのに要する走行距離である。他方、式(1)の左辺は、上記後続車両5Aが、青終了時点Tになるまでの間に、車両感知器3から交差点Cに向かって走行し得る走行距離である。
従って、式(1)の左辺が右辺より大きいとき(不等式(1)の成立時)は、後続車両5Aも、車載装置2搭載の車両5とともに信号待ちをしていると考えられるので、当該後続車両5Aを待ち行列台数に加える必要がある。
【0063】
〔飽和交通流率の算出〕
一方、中央装置4の制御部401は、上記と同様にして判定した車両の停止位置x0と、その停止した車両5が更に停止線Pを通過する時刻t1と、青開始時刻t2とから飽和交通流率sを算出する。
すなわち、中央装置4の制御部401は、判定した停止位置x0から前記待ち行列台数E1を算出するとともに、この待ち行列台数E1を、上記青開始時刻t2から停止線通過時刻t1までの経過時間ΔT(=t1−t2)で割ることにより、飽和交通流率sを算出する。
【0064】
そして、中央装置4の制御部401は、前記したMODERATO制御やRONDO制御を実行するに当たって、以上のような算出手順で待ち行列台数E1,E2や飽和交通流率sを逐次算出し、それらの待ち行列台数E1,E2や飽和交通流率sを交通指標として採用して当該制御を行う。
【0065】
このように、本実施形態の交通信号制御システムによれば、中央装置4の制御部401が、リアルタイムで取得している車両5の速度情報S4が実質的にゼロとなる時点をその車両5の停止時点t0とみなし、この停止時点t0の車両5の位置情報S3を当該車両5の停止位置x0と判定するので、これらの停止時点t0及び停止位置x0は、車両5が実際に停止した時刻及び位置に極めて近い正確な値になる。
そして、上記判定で得られた実際に近い正確な停止位置x0に基づいて、停止時点t0での待ち行列台数E1,E2や飽和交通流率sを算出しているので、単数又は複数の車両感知器の感知信号S5からそれらの交通指標を推定する場合に比べて、当該交通指標をより正確に算出することができる。
【0066】
これまで開示した実施形態はすべて例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の構成と均等の範囲内のすべての変更が本発明に含まれる。
例えば、上記実施形態では、待ち行列台数E1,E2や飽和交通流率sの算出を中央装置4の制御部401が行っているが、この算出を交通信号制御機1aの制御部101に行わせることもできる。
また、本発明は、中央装置4が広域制御を行う場合に限らず、LANに含まれる複数の交通信号機1が、中央装置4による制御とは別個のグループ単位での系統制御又は広域制御を行う場合にも適用することができる。
【0067】
更に、本発明は、MODERATO制御やRONDO制御だけなく、その他の交通信号制御を行うシステムに採用することができる。
特に、本発明は、RONDO制御のように、シミュレーション手法によって信号待ち遅れ時間の予測値算出を行う予測制御全般に有効であり、このような予測制御に本発明を適用すれば、予測開始時点で現状の待ち行列台数や飽和交通流率を正確に把握でき、算出される信号待ち遅れ時間の予測値の精度が向上し、予測制御をより高精度化することができる。
【0068】
〔本発明の第二実施形態〕
図7は、本発明の第二実施形態を開示するための、交通信号機1の全体構成を示す模式図である。
この第二実施形態が第一実施形態(図1〜図6)と異なる点は次の(1)〜(3)の通りであり、これ以外の装置構成や、中央装置4が行う待ち行列台数E1,E2及び飽和交通流率sの算出方法は、第一実施形態の場合と同様である。
【0069】
(1) 車載装置2は、リアルタイム(例えば、0.1〜1.0秒周期)で自車両5の位置情報S3や速度情報S4を送信するのではなく、これらの情報S3,S4を時系列データとして記憶部205に蓄積する。
(2) 車載装置2は、光ビーコン10やDSRC等の局所通信装置と路車間通信を行う際に、記憶部205に蓄積された上記時系列データをインフラ側に送信する。
【0070】
(3) 中央装置4の制御部401は、局所通信装置で取得した時系列の位置情報S3と速度情報S4に基づいて、待ち行列台数E1,E2や飽和交通流率sの算出を行う。
なお、本実施形態の場合も、待ち行列台数E1,E2や飽和交通流率sの算出を中央装置4の制御部401ではなく、交通信号制御機1aの制御部101に行わせてもよいが、以下の説明では、中央装置4の制御部401がその算出を行うものとする。
【0071】
以下、図7を参照しつつ、上記相違点(1)〜(3)を有する第二実施形態を説明する。
図7に示すように、本実施形態の交通信号制御システムでは、交通信号制御機1aが無線通信部105を備えておらず、車両5との双方向通信手段として光ビーコン10を備えている。この光ビーコン10は、各道路RM1,RM2,RS1,RS2における交差点Cの流出部近傍にそれぞれ設置されており、各光ビーコン10は当該交差点Cの交通信号制御機1aの有線通信部103に繋がっている。
【0072】
上記光ビーコン10は、車両5の車載装置2との間で光信号による双方向通信を行うものであり、車両5側にダウンリンク光を送信する発光ダイオードを含む光送信部と、車両5側からのアップリンク光を受信するフォトダイオードを含む光受信部とを有する。
このため、本実施形態では、車載装置2の通信部204は、光ビーコン10にアップリンク光を送信する発光ダイオードを含む光送信部と、光ビーコン10からのダウンリンク光を受信するフォトダイオードを含む光受信部とから構成されている。
【0073】
また、本実施形態では、車載装置2の処理部209は、車速取得部203が計測した車両5の速度データと、自身が求めた道路地図データのリンク上における位置データとを、所定周期(例えば0.1〜1.0秒周期)の時系列データとして記憶部205に記憶させている。この時系列データは、車両5の位置データや速度データを、所定周期ではなく、所定の車両走行距離ごとに収集したものであってもよい。
なお、車両情報を利用して交通指標の算出精度を高める本発明の趣旨から、上記時系列データのデータ収集時間はさほど長く設定する必要はなく、前回の光ビーコン4から今回の光ビーコン4を通過するまでの時間であれば十分であり、例えば数分間程度で足りる。
【0074】
そして、車載装置2の通信部204は、交差点Cを流出した車両5が光ビーコン10の通信領域に入ると、ダウンリンク光によって交通情報S2を光ビーコン10から受信するとともに、アップリンク光によって自身の位置情報S3及び速度情報S4の時系列データを計測時の時刻情報を付加して光ビーコン10に送信する。
光ビーコン10が受信した位置情報S3及び速度情報S4の時系列データは、交通信号制御機1bを通じて中央装置4に転送される。
【0075】
中央装置4の制御部401は、上記時系列データを用いて、第一実施形態の場合と同様の手法で交通指標(前記待ち行列台数E1,E2及び飽和交通流率s)を算出する。
すなわち、中央装置4の制御部401は、光ビーコン10から取得した車両5の位置情報S3及び速度情報S4の時系列データを用い、その時系列データ中の速度情報S4が実質的にゼロとなる時点をその車両5の停止時点t0とみなし、この停止時点t0の車両5の位置情報S3を当該車両5の停止位置x0と判定する(図6参照)。
【0076】
このため、これらの停止時点t0及び停止位置x0は、車両5が実際に停止した時刻及び位置に極めて近い正確な値になる。
そして、中央装置4の制御部401が、上記判定で得られた実際に近い正確な停止位置x0に基づいて、停止時点t0での待ち行列台数E1,E2や飽和交通流率sを算出するので、単数又は複数の車両感知器3の感知信号S5からそれらの交通指標を推定する場合に比べて、当該交通指標をより正確に算出することができる。
【0077】
本実施形態では、車両5で数分間蓄積しておいた位置情報S3及び速度情報S4の時系列データを光ビーコン10で中央装置4に転送するので、中央装置4が取得する時系列データは交通信号機1の1サイクル分だけ遅れており、これによって求まる交通指標も1サイクル分だけ遅れた情報になる。
このため、第一実施形態の場合よりも交通指標の精度はやや劣るが、実際の車両5の停止位置を正確に推定できる点は第一実施形態の場合と同様であるから、車両感知器3の感知信号S5だけで待ち行列台数E1等の交通指標を算出する従来法に比べて、交通指標の算出精度を向上することができる。
【0078】
なお、本実施形態において、中央装置4の制御部401は、位置情報S3の時系列データに基づいて車両5の速度情報S4を自身で演算することもできる。従って、この場合には、車載装置2は速度情報S4の時系列データを光ビーコン4に送信する必要がなく、中央装置4の通信部403で位置情報S3の時系列データだけを受信すれば足りる。
また、図7では、車載装置2と双方向通信する局所通信装置として光ビーコン10を例示したが、これ以外にも、電波で路車間通信を行うDSRC装置等を採用することもできる。
【0079】
〔本発明の第三実施形態〕
図8は、本発明の第三実施形態を開示するための、交通信号機1の全体構成を示す模式図である。
この第三実施形態が第一実施形態(図1〜図6)と異なる点は次の(1)〜(3)の通りであり、これ以外の装置構成や、中央装置4が行う待ち行列台数E1,E2及び飽和交通流率sの算出方法は、第一実施形態の場合と同様である。
【0080】
(1) 車載装置2は、リアルタイム(例えば、0.1〜1.0秒周期)で自車両5の位置情報S3や速度情報S4を送信するのではなく、これらの情報S3,S4を時系列データとして蓄積する。
(2) 車載装置2は、通信部204として携帯電話機等よりなるモバイルの端末装置204Aを備えており、この端末装置204Aを利用して、蓄積した上記時系列データを携帯電話網等の外部ネットワーク(図示せず)に送信する。
【0081】
(3) 中央装置4の制御部401は、外部ネットワークを通じて取得した時系列の位置情報S3と速度情報S4に基づいて、待ち行列台数E1,E2や飽和交通流率sの算出を行う。
なお、本実施形態の場合も、待ち行列台数E1,E2や飽和交通流率sの算出を中央装置4の制御部401ではなく、交通信号制御機1aの制御部101に行わせてもよいが、以下の説明では、中央装置4の制御部401がその算出を行うものとする。
【0082】
以下、図8を参照しつつ、上記相違点(1)〜(3)を有する第三実施形態を説明する。
図8に示すように、本実施形態の交通信号制御システムでは、交通信号制御機1aが無線通信部105を備えておらず、車両5との双方向通信手段として携帯電話網やインターネット等よりなる外部ネットワーク(図示せず)を利用している。
【0083】
車両5の内部では、携帯電話機よりなる端末装置204Aが通信ケーブル等を介して車載装置2に接続されており、車載装置2の処理部209は、車速取得部203が計測した車両5の速度データと、自身が求めた道路地図データのリンク上における位置データとを、所定周期(例えば0.1〜1.0秒周期)又は所定車両走行距離ごとの時系列データとして自身の記憶部205又は端末装置204Aの記憶領域に記憶させている。
なお、第二実施形態の場合と同様に、位置情報S3及び速度情報S4の時系列データには、通常、位置や速度の計測時に対応する時刻情報が付加される。
【0084】
そして、車載装置2に接続された端末装置204Aは、外部ネットワークから交通情報S2を受信可能であり、その外部ネットワークに対して、自身の記憶領域に蓄積された位置情報S3及び速度情報S4の時系列データを計測時の時刻情報を付加して送信する。
端末装置204Aが送信した上記時系列データは、更に外部ネットワークを通じて中央装置4に転送される。
【0085】
中央装置4の制御部401は、上記時系列データを用いて、第一実施形態の場合と同様の手法で交通指標(前記待ち行列台数E1,E2及び飽和交通流率s)を算出する。
すなわち、中央装置4の制御部401は、外部ネットワークから取得した車両5の位置情報S3及び速度情報S4の時系列データを用い、その時系列データ中の速度情報S4が実質的にゼロとなる時点をその車両5の停止時点t0とみなし、この停止時点t0の車両5の位置情報S3を当該車両5の停止位置x0と判定する(図6参照)。
【0086】
なお、本実施形態においても、中央装置4の制御部401は、位置情報S3の時系列データに基づいて車両5の速度情報S4を自身で演算することもできる。従って、この場合には、端末装置204Aは、速度情報S4の時系列データを外部ネットワークに送信する必要がなく、中央装置4の通信部403で位置情報S3の時系列データだけを受信すればよい。
また、本実施形態において、端末装置204Aは、携帯電話機以外にも、PHS端末やPDA端末等のモバイル端末を使用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】交通信号制御システムの概要を示す模式図である。
【図2】交通信号機の概要を示す模式図である。
【図3】中央装置の構成を示すブロック図である。
【図4】交通信号制御機の構成を示すブロック図である。
【図5】車載装置の構成を示すブロック図である。
【図6】待ち行列台数の算出方法を示すための交差点部位の平面図である。
【図7】第二実施形態を示すための、交通信号機の概要を示す模式図である。
【図8】第三実施形態を示すための、交通信号機の概要を示す模式図である。
【符号の説明】
【0088】
1 交通信号機
1a 交通信号制御機
1b 信号灯器
101 制御部
102 灯器駆動部
103 有線通信部
104 記憶部
105 無線通信部
2 車載装置
201 GPS処理部
202 方位センサ
203 車速取得部
204 通信部(送信手段)
205 記憶部
206 操作部
207 表示部
208 音声出力部
209 処理部
3 車両感知器
4 中央装置(交通信号制御装置、交通指標算出装置)
401 制御部(判定手段、算出手段)
402 表示部
403 通信部
404 記憶部
405 操作部
5 車両
5A 後続車両
Ci 交差点
P 停止線
S1 信号制御指令
S2 交通情報
S3 位置情報
S4 速度情報
S5 感知信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交差点での待ち行列台数を交通指標の一つとした交通信号制御を行う交通信号制御装置と、車両に搭載された車載装置とを連携させた交通信号制御システムであって、
前記車載装置は、
前記車両の位置情報及び速度情報をリアルタイムに送信する送信手段を有し、
前記交通信号制御装置は、
前記車両の位置情報及び速度情報をリアルタイムに取得する取得手段と、
取得した前記速度情報が実質的にゼロとなる時点を前記車両の停止時点とみなし、その停止時点の前記車両の位置情報を当該車両の停止位置と判定する判定手段と、
判定した前記停止位置に基づいて前記停止時点での前記待ち行列台数を算出する算出手段とを有することを特徴とする交通信号制御システム。
【請求項2】
交差点での待ち行列台数を交通指標の一つとした交通信号制御を行う交通信号制御装置と、前記交差点の上流側に設置された車両感知器と、車両に搭載された車載装置とを連携させた交通信号制御システムであって、
前記車載装置は、
前記車両の位置情報及び速度情報をリアルタイムに送信する送信手段を有し、
前記交通信号制御装置は、
前記車両の位置情報及び速度情報と、前記交差点の信号灯色の切り替えタイミングに関する情報をリアルタイムに取得する取得手段と、
取得した前記速度情報と前記位置情報とに基づいて前記車両の停止位置を判定する判定手段と、
判定した前記停止位置と、前記車載装置を有する車両が前記車両感知器を通過した時点以降に当該車両感知器が感知した後続車両の台数とに基づいて、青終了時点の前記待ち行列台数を算出する算出手段とを有することを特徴とする交通信号制御システム。
【請求項3】
前記信号制御装置は、次の不等式(1)が成立する場合にのみ、前記後続車両の台数をカウントする請求項2に記載の交通信号制御システム。
V×(T−ti)≧A−(L+l×i) ……(1)
ただし、V :予め設定又は取得された車両速度
T :交差点の信号灯器の青終了時刻
ti:i番目(i=1,2……)の前記後続車両の感知器通過時刻
A :車両感知器から停止線までの距離
L :待ち行列長さ
l :有効車両長さ
【請求項4】
交差点での飽和交通流率を交通指標の一つとした交通信号制御を行う交通信号制御装置と、車両に搭載された車載装置とを連携させた交通信号制御システムであって、
前記車載装置は、
前記車両の位置情報及び速度情報をリアルタイムに送信する送信手段を有し、
前記交通信号制御装置は、
前記車両の位置情報及び速度情報と、前記交差点の信号灯色の切り替えタイミングに関する情報をリアルタイムに取得する取得手段と、
取得した前記速度情報と前記位置情報とに基づいて前記車両の停止位置を判定する判定手段と、
判定した前記停止位置と、前記車両が停止線を通過する時刻の青開始時点からの経過時間とに基づいて、前記飽和交通流率を算出する算出手段とを有することを特徴とする交通信号制御システム。
【請求項5】
交差点での待ち行列台数を算出するための交通指標算出装置であって、
車両の速度情報が実質的にゼロとなる時点を前記車両の停止時点とみなし、その停止時点の車両の位置情報を当該車両の停止位置と判定する判定手段と、
判定した前記停止位置に基づいて前記停止時点での前記待ち行列台数を算出する算出手段とを備えていることを特徴とする交通指標算出装置。
【請求項6】
交差点での待ち行列台数を算出するための交通指標算出装置であって、
リアルタイムに取得した車両の速度情報と位置情報とに基づいて前記車両の停止位置を判定する判定手段と、
判定した前記停止位置と、前記車両が車両感知器を通過した時点以降に当該車両感知器が感知した後続車両の台数とに基づいて、青終了時点の前記待ち行列台数を算出する算出手段とを備えていることを特徴とする交通指標算出装置。
【請求項7】
交差点での飽和交通流率を算出するための交通指標算出装置であって、
リアルタイムに取得した車両の速度情報と位置情報とに基づいて前記車両の停止位置を判定する判定手段と、
判定した前記停止位置と、前記車両が停止線を通過する時刻の青開始時点からの経過時間とに基づいて、前記飽和交通流率を算出する算出手段とを備えていることを特徴とする交通指標算出装置。
【請求項8】
交差点での待ち行列台数を交通指標の一つとした交通信号制御を行う交通信号制御装置であって、
車両の位置情報及び速度情報をリアルタイムに取得する取得手段と、
取得した前記速度情報が実質的にゼロとなる時点を前記車両の停止時点とみなし、その停止時点の前記車両の位置情報を当該車両の停止位置と判定する判定手段と、
判定した前記停止位置に基づいて前記停止時点での前記待ち行列台数を算出する算出手段とを備えていることを特徴とする交通信号制御装置。
【請求項9】
交差点での待ち行列台数を交通指標の一つとした交通信号制御を行う交通信号制御装置であって、
車両の位置情報及び速度情報と、前記交差点の信号灯色の切り替えタイミングに関する情報をリアルタイムに取得する取得手段と、
取得した前記速度情報と前記位置情報とに基づいて前記車両の停止位置を判定する判定手段と、
判定した前記停止位置と、前記車両が車両感知器を通過した時点以降に当該車両感知器が感知した後続車両の台数とに基づいて、青終了時点の前記待ち行列台数を算出する算出手段とを備えていることを特徴とする交通信号制御装置。
【請求項10】
交差点での飽和交通流率を交通指標の一つとした交通信号制御を行う交通信号制御装置であって、
車両の位置情報及び速度情報と、前記交差点の信号灯色の切り替えタイミングに関する情報をリアルタイムに取得する取得手段と、
取得した前記速度情報と前記位置情報とに基づいて前記車両の停止位置を判定する判定手段と、
判定した前記停止位置と、前記車両が停止線を通過する時刻の青開始時点からの経過時間とに基づいて、前記飽和交通流率を算出する算出手段とを備えていることを特徴とする交通信号制御装置。
【請求項11】
車両の位置情報及び速度情報をリアルタイムに取得し、
取得した前記速度情報が実質的にゼロとなる時点を前記車両の停止時点とみなし、その停止時点の前記車両の位置情報を当該車両の停止位置と判定し、
判定した前記停止位置に基づいて前記停止時点での待ち行列台数を算出し、
算出した前記待ち行列台数を用いて交通信号機の交通信号制御を行うことを特徴とする交通信号制御方法。
【請求項12】
車両の位置情報及び速度情報と、交差点の信号灯色の切り替えタイミングに関する情報をリアルタイムに取得し、
取得した前記速度情報と前記位置情報とに基づいて前記車両の停止位置を判定する判定し、
判定した前記停止位置と、前記車両が車両感知器を通過した時点以降に当該車両感知器が感知した後続車両の台数とに基づいて、青終了時点の待ち行列台数を算出し、
算出した前記待ち行列台数を用いて交通信号機の交通信号制御を行うことを特徴とする交通信号制御方法。
【請求項13】
車両の位置情報及び速度情報と、交差点の信号灯色の切り替えタイミングに関する情報をリアルタイムに取得し、
取得した前記速度情報と前記位置情報とに基づいて前記車両の停止位置を判定する判定し、
判定した前記停止位置と、前記車両が停止線を通過する時刻の青開始時点からの経過時間とに基づいて、飽和交通流率を算出し、
算出した前記飽和交通流率を用いて交通信号機の交通信号制御を行うことを特徴とする交通信号制御方法。
【請求項14】
交差点での待ち行列台数を交通指標の一つとした交通信号制御を行う交通信号制御装置であって、
車両の時系列の位置情報及び速度情報を取得する取得手段と、
取得した前記速度情報が実質的にゼロとなる時点を前記車両の停止時点とみなし、その停止時点の前記車両の位置情報を当該車両の停止位置と判定する判定手段と、
判定した前記停止位置に基づいて前記停止時点での前記待ち行列台数を算出する算出手段とを有することを特徴とする交通信号制御装置。
【請求項15】
交差点での待ち行列台数を交通指標の一つとした交通信号制御を行う交通信号制御装置であって、
車両の時系列の位置情報及び速度情報と、前記交差点の信号灯色の切り替えタイミングに関する情報を取得する取得手段と、
取得した前記速度情報と前記位置情報とに基づいて前記車両の停止位置を判定する判定手段と、
判定した前記停止位置と、前記車両が車両感知器を通過した時点以降に当該車両感知器が感知した後続車両の台数とに基づいて、青終了時点の前記待ち行列台数を算出する算出手段とを有することを特徴とする交通信号制御装置。
【請求項16】
交差点での飽和交通流率を交通指標の一つとした交通信号制御を行う交通信号制御装置であって、
車両の時系列の位置情報及び速度情報と、前記交差点の信号灯色の切り替えタイミングに関する情報を取得する取得手段と、
取得した前記速度情報と前記位置情報とに基づいて前記車両の停止位置を判定する判定手段と、
判定した前記停止位置と、前記車両が停止線を通過する時刻の青開始時点からの経過時間とに基づいて、前記飽和交通流率を算出する算出手段とを有することを特徴とする交通信号制御装置。
【請求項17】
交差点での待ち行列台数を算出するための交通指標算出装置であって、
車両の時系列の速度情報と位置情報とに基づいて前記車両の停止位置を判定する判定手段と、
判定した前記停止位置と、前記車両が車両感知器を通過した時点以降に当該車両感知器が感知した後続車両の台数とに基づいて、青終了時点の前記待ち行列台数を算出する算出手段とを備えていることを特徴とする交通指標算出装置。
【請求項18】
交差点での飽和交通流率を算出するための交通指標算出装置であって、
車両の時系列の速度情報と位置情報とに基づいて前記車両の停止位置を判定する判定手段と、
判定した前記停止位置と、前記車両が停止線を通過する時刻の青開始時点からの経過時間とに基づいて、前記飽和交通流率を算出する算出手段とを備えていることを特徴とする交通指標算出装置。
【請求項19】
車両の時系列の位置情報及び速度情報を取得し、
取得した前記速度情報が実質的にゼロとなる時点を前記車両の停止時点とみなし、その停止時点の前記車両の位置情報を当該車両の停止位置と判定し、
判定した前記停止位置に基づいて前記停止時点での待ち行列台数を算出し、
算出した前記待ち行列台数を用いて交通信号機の交通信号制御を行うことを特徴とする交通信号制御方法。
【請求項20】
車両の時系列の位置情報及び速度情報と、交差点の信号灯色の切り替えタイミングに関する情報を取得し、
取得した前記速度情報と前記位置情報とに基づいて前記車両の停止位置を判定する判定し、
判定した前記停止位置と、前記車両が車両感知器を通過した時点以降に当該車両感知器が感知した後続車両の台数とに基づいて、青終了時点の待ち行列台数を算出し、
算出した前記待ち行列台数を用いて交通信号機の交通信号制御を行うことを特徴とする交通信号制御方法。
【請求項21】
車両の時系列の位置情報及び速度情報と、交差点の信号灯色の切り替えタイミングに関する情報を取得し、
取得した前記速度情報と前記位置情報とに基づいて前記車両の停止位置を判定する判定し、
判定した前記停止位置と、前記車両が停止線を通過する時刻の青開始時点からの経過時間とに基づいて、飽和交通流率を算出し、
算出した前記飽和交通流率を用いて交通信号機の交通信号制御を行うことを特徴とする交通信号制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−15817(P2009−15817A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−74197(P2008−74197)
【出願日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】