説明

人体検知装置及びそれを備えた物品中継搬送装置

【課題】構成の簡素化及び低廉化を図り、しかも、長期間に亘って良好に使用することができ、さらには、低温環境下でも適切な検知を行う人体検知装置を提供する。
【解決手段】検出対象領域の床面側に設置されて人体の存在を検知する人体検知装置であって、検出対象領域の床面側に、対向する端縁部が下降不能に支持されて、その対向する端縁部の間の中間部分が人体の踏み込みにより下方に撓むように構成された板状体8が設けられ、その板状体8における中間部分の撓みを検出する撓み検出手段Bが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出対象領域の床面側に設置されて人体の存在を検知する人体検知装置、及び、その人体検知装置を装備した物品中継搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
かかる人体検知装置は、検出対象領域に人体が移動してきたときに、その人体の存在を検知するものであり、例えば、工場内における立ち入り禁止箇所に、作業者が侵入したことを検知するために設置して、警報処理等の安全を確保する処理を行わせることや、工場の出入口の直前箇所に、人体が位置することを検知するために設置して、扉の自動開閉処理を行わせること等に用いられることになる。
【0003】
人体検知装置の従来例としては、対向するシート状の電極にて構成されるスイッチを備えたシート状スイッチ体と、このシート状スイッチ体の外方を覆うマット外皮体とを備えるマットスイッチがある(例えば、特許文献1参照。)。
すなわち、シート状スイッチ体における対向するシート状の電極の間には、絶縁性のゴム等にて構成されるスペーサが分散配置されて、スイッチが、非導通状態に復帰されている。
そして、人体がマットスイッチを踏み込むと、その押圧力にて、シート状スイッチ体のスイッチが導通状態になり、人体の存在を検知することになる。
ちなみに、特許文献1のマットスイッチは、シート状スイッチ体のスイッチが導通状態であることを無線で通信するために、通信機やアンテナが備えられた無線式に構成されている。
【0004】
物品中継搬送装置は、外部との間で物品を移載する外部側移載箇所と物品処理装置との間で物品を移載する装置側移載箇所との間で物品を搬送する搬送手段が設けられたものであり、例えば、物品処理装置が、物品保管棚と装置側移載箇所との間で物品を搬送するスタッカークレーンであり、外部から外部側移載箇所に供給された物品を装置側移載箇所に搬送して、スタッカークレーンにて物品を物品保管棚に収納することや、物品保管棚から装置側移載箇所にスタッカークレーンにて取り出された物品を、外部側移載箇所に搬送して、外部に取り出すために、物品を中継搬送するのに使用されることになる(例えば、特許文献2参照。)。
【0005】
特許文献2においては、搬送手段が、床面側に設置される左右一対の搬送用レールにて案内される搬送台車にて物品を搬送するように構成されているが、搬送手段が、左右一対のチェーン搬送部を備えたチェーンコンベヤにて構成される場合もある。
【0006】
このような物品中継搬送装置においては、作業者等の人体が外部側移載箇所を通してその内部に侵入したときには、物品処理装置や搬送手段の作動を停止させて、安全性を確保する必要がある。
このため、作業者等の人体が外部側移載箇所に侵入したことを検知する必要があり、その検知を行うために、外部側移載箇所の床面部に、上述したマットスイッチを設置する場合もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−67967号公報
【特許文献2】特開2000−142911号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の人体検知装置としてのマットスイッチは、マット外皮体の内部にシート状スイッチ体を装備した複雑な構成であるため、高価となるものであった。
また、このマットスイッチは、人体にて踏み込まれたときに、マット外皮体やシート状スイッチ体が大きく弾性変形することにより、人体を検知する構成であるため、対向するシート状電極が大きく弾性変形することを繰り返すことにより破損する虞や、シート状電極にて構成されるスイッチの状態を検出するために、シート状電極に接続されることになる電線が、マット外皮体やシート状スイッチ体が大きく弾性変形することにより、シート状電極から外れる等の断線を生じる虞があり、使用に伴って故障し易い虞があった。
【0009】
ちなみに、このマットスイッチは、人体にて踏み込まれたときに、マット外皮体やシート状スイッチ体が大きく弾性変形する必要があるが、冷凍庫内等、マット外皮体やシート状スイッチ体が弾性変形し難くなる低温環境では、マット外皮体やシート状スイッチ体が弾性変形し難くなるため、低温環境では使用を避けなければならない等、使用上の制約が多い不利もある。
【0010】
また、物品中継搬送装置において、外部側移載箇所の床面部に、上述したマットスイッチを設置する場合には、そのマットスイッチが高価であることに起因して、装置全体が高価になるものであった。
ちなみに、このような物品中継搬送装置は、冷凍庫内等の低温環境となる箇所にも設置されることがあるが、このような場合には、上述の如く、マットスイッチが使用できないものとなる。
このように、物品中継搬送装置を低温環境に設置する場合には、マットスイッチに代えて、作業者等の人体が外部側移載箇所に侵入したことを検知するためにフォトインタラプタ型等の光電スイッチを設置することになるが、作業者が、光電スイッチの検出域を跨いで侵入することがある等、作業者の侵入を的確に検出し難いものとなる。
【0011】
本発明は、上記実情に鑑みて為されたものであって、その目的は、構成の簡素化及び低廉化を図り、しかも、長期間に亘って良好に使用することができ、さらには、低温環境下でも適切な検知を行うことが可能な人体検知装置を提供する点にある。
また、本発明の別の目的は、外部側移載箇所に作業者等の人体が侵入したことを検知できながらも、全体構成の低廉化を図ることができ、しかも、外部側移載箇所に作業者等の人体が侵入したことを長期間に亘って良好に検出することができ、さらには、低温環境に設置した場合においても外部側移載箇所に作業者等の人体が侵入したことを的確に検知できる物品中継搬送装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の人体検知装置は、検出対象領域の床面側に設置されて人体の存在を検知するものであって、その第1特徴構成は、
前記検出対象領域の床面側に、対向する端縁部が下降不能に支持されて、その対向する端縁部の間の中間部分が人体の踏み込みにより下方に撓むように構成された板状体が設けられ、その板状体における前記中間部分の撓みを検出する撓み検出手段が設けられている点を特徴とする。
【0013】
すなわち、検出対象領域の床面側に設けられた板状体を人体が踏み込むと、その板状体における対向する端縁部の間の中間部分が下方に撓むことになり、そして、その板状体における中間部分の撓みが撓み検出手段にて検出されることになる。
つまり、板状体における中間部分の撓みを撓み検出手段が検出することにより、人体の存在を検知することになる。
【0014】
このように、対向する端縁部が下降不能に支持された板状体における対向する端縁部の間の中間部分の撓みを、撓み検出手段にて検出することにより、人体を検知するものであるから、板状体と撓み検出手段とを備えた簡素な構成にて、人体を検知できるものとなり、また、そのように簡素な構成であるため、低廉化を図れるものとなる。
ちなみに、板状体は、例えば、薄い鉄板や合成樹脂板等を用いて構成でき、また、撓み検出手段は、例えば、レーザー測距手段を、板状体における中間部分の下方に配置することによって構成できるものとなる。
【0015】
また、対向する端縁部が下降不能に支持された板状体における対向する端縁部の間の中間部分が、人体の踏み込みにより、撓み変形するものの、その変形量が小さいものであるから、その撓み変形により板状体が早期に損傷することがないため、長期間に亘って良好に人体の存在を検知できるものとなる。
【0016】
さらに、薄い鉄板等を用いて構成される板状体は、下降不能に支持された対向する端縁部の間の中間部分が人体の踏み込みにより下方に撓む作用を、低温環境化においても、適切に行えるため、低温環境化においても、人体の検知を的確に行えるものとなる。
尚、低温環境化において使用する場合には、撓み検出手段も低温環境化にて使用できるようにする必要があり、例えば、撓み検出手段として、レーザー測距手段を用いる場合において、レーザー測距手段の作動温度を常温に維持する必要があるときには、レーザー測距手段をヒータにて加熱する等の処置を行うことになる。
【0017】
要するに、本発明の人体検知装置の第1特徴構成によれば、構成の簡素化及び低廉化を図り、しかも、長期間に亘って良好に使用することができ、さらには、低温環境下でも適切な検知を行うことが可能な人体検知装置を提供できる。
【0018】
本発明の人体検知装置の第2特徴構成は、上記第1特徴構成に加えて、
前記撓み検出手段が、前記板状体における前記中間部分の下方に配置されたレーザー測距手段にて構成されている点を特徴とする。
【0019】
すなわち、撓み検出手段としてのレーザー測距手段が、対向する端縁部が下降不能に支持された板状体における対向する端縁部の間の中間部分の撓みを、中間部分の存在する位置の変化として検出することになる。
【0020】
このように、レーザー測距手段は、板状体における中間部分の撓みを非接触状態で検出するものであるから、例えば、板状体の裏面に、撓み検出手段としての歪ゲージを貼着する場合に較べて、板状体における中間部分の撓みにより、レーザー測距手段には負荷が作用しないため、板状体における中間部分の撓みを長期間に亘って良好に検出することができる。
【0021】
しかも、レーザー測距手段は、板状体における中間部分の撓みを、精度良く検出できるものであるから、板状体の強度を高くするために、板状体における下降不能に支持された対向する端縁部の間の中間部分が人体の踏み込みにより下方に大きく撓み変形しない場合にも、その撓み変形したことを、的確に検出できるものとなる。
【0022】
要するに、本発明の人体検知装置の第2特徴構成によれば、上記第1特徴構成による作用効果に加えて、板状体における下降不能に支持された対向する端縁部の間の中間部分が人体の踏み込みにより下方に撓み変形したことを、長期間に亘って良好に、且つ、的確に検出できる人体検知装置を提供できる。
【0023】
本発明の物品中継搬送装置は、外部との間で物品を移載する外部側移載箇所と、物品処理装置との間で物品を移載する装置側移載箇所との間で物品を搬送する搬送手段が設けられたものであって、その第1特徴構成は、
上記した第1特徴構成又は第2特徴構成に記載の人体検知装置が、前記外部側移載箇所の床面部を前記検出対象領域とする状態で設けられている点を特徴とする。
【0024】
すなわち、作業者等の人体が外部側移載箇所に侵入すると、外部側移載箇所の床面部に設置されている板状体が、その侵入した人体にて踏まれることにより、板状体における中間部分が撓むことになり、その撓みを撓み検出手段が検出することなる。
つまり、撓み検出手段が、外部側移載箇所の床面部に設置されている板状体における中間部分の撓みを検出することにより、作業者等の人体が外部側移載箇所に侵入したことを検出することになる。
【0025】
そして、板状体と撓み検出手段とを備える人体検知装置は、人体検知装置の第1特徴構成による作用効果の欄にて説明した如く、簡素な構成にて、人体を検知できるものとなり、また、そのように簡素な構成であるため、低廉化を図れるものとなり、しかも、長期間に亘って良好に人体を検知できるものとなり、さらには、低温環境化においても、人体の検知を的確に行えるものとなる。
【0026】
したがって、このような人体検知装置を、外部側移載箇所の床面部を備えさせることにより、全体構成の低廉化を図りながら、外部側移載箇所に作業者等の人体が侵入したことを検知でき、しかも、外部側移載箇所に作業者等の人体が侵入したことを長期間に亘って良好に検出することができ、さらには、低温環境に設置した場合においても外部側移載箇所に作業者等の人体が侵入したことを的確に検知できるのである。
【0027】
要するに、本発明の物品中継搬送装置の第1特徴構成によれば、外部側移載箇所に作業者等の人体が侵入したことを的確に検知できながらも、全体構成の低廉化を図ることができ、しかも、外部側移載箇所に作業者等の人体が侵入したことを長期間に亘って良好に検出することができ、さらには、低温環境に設置した場合においても外部側移載箇所に作業者等の人体が侵入したことを的確に検知できる物品中継搬送装置を提供できる。
【0028】
本発明の物品中継搬送装置の第2特徴構成は、上記第1特徴構成に加えて、
前記搬送手段が、床面側に設置される左右一対の搬送用レールにて案内される搬送台車にて物品を搬送するように構成され、
前記板状体の対向する端縁部が、前記一対の搬送用レールに支持されている点を特徴とする。
【0029】
すなわち、板状体の対向する端縁部が、床面側に設置されて、搬送台車を案内する左右一対の搬送用レールに支持されている。
つまり、搬送台車を案内するために備えられている左右一対の搬送用レールを、支持部材として有効利用して、板状体の対向する端縁部が支持されている。
【0030】
このように、搬送台車を案内するために備えられている左右一対の搬送用レールを、板状体の支持部材として有効利用するものであるから、板状体の設置構構成の簡素化により、板状体の設置構成の低廉化を図れるものとなる。
【0031】
要するに、本発明の物品中継搬送装置の第2特徴構成によれば、第1特徴構成による作用効果に加えて、板状体の設置構構成の簡素化により、板状体の設置構成の低廉化を図ることができる物品中継搬送装置を提供できる。
【0032】
本発明の物品中継搬送装置の第3特徴構成は、上記第2特徴構成に加えて、
前記板状体の端縁部が、前記搬送用レールとの間に隙間を形成する状態で、前記搬送用レールに支持されている点を特徴とする。
【0033】
すなわち、板状体の端縁部が、搬送用レールとの間に隙間を形成する状態で、搬送用レールに支持されているから、外部側移載箇所に侵入しようとする作業者等の人体は、板状体の端縁部と搬送用レールとの間に存在する隙間を認識して、その隙間を避けるために、板状体の端縁部よりも内方側部分を踏み込むものとなり、板状体の対向する端縁部の間に位置する中間部分が、作業者等の人体の踏み込みにより適切に下方に撓むものとなって、撓み検出手段が板状体の中間部分の撓みを適切に検出できるものとなる。
【0034】
要するに、本発明の物品中継搬送装置の第3特徴構成によれば、第2特徴構成による作用効果に加えて、外部側移載箇所に侵入しようとする作業者等の人体の検知を一層良好に行える物品中継搬送装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】第1実施形態の自動倉庫の概略平面図
【図2】第1実施形態の要部の斜視図
【図3】人体検知装置の正面図
【図4】第2実施形態の自動倉庫の概略平面図
【図5】第2実施形態の人体検知装置の正面図
【図6】第3実施形態の人体検知装置の正面図
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明の物品中継搬送装置及び人体検知装置の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0037】
〔第1実施形態〕
図1に示すように、左右の物品保管棚1、それら左右の物品保管棚1の間を走行するスタッカークレーンK、及び、物品中継搬送装置Tが装備されて、自動倉庫が構成されている。
左右の物品保管棚1は、複数の物品収納部Sを上下方向並びに左右方向に備えて構成され、そして、物品出し入れ側となる前面側をスタッカークレーンKの走行通路側に向けた状態で設置されている。
【0038】
スタッカークレーンKは、床面に設置したスタッカークレーン用の走行レール2にて案内されて、物品中継搬送装置Tに対する物品移載位置及び物品保管棚1における各物品収納部Sに対する物品移載位置に走行するように構成されている。
このスタッカークレーンKには、昇降操作される昇降台3が設けられ、その昇降台3には、物品移載用のフォーク4が備えられている。
【0039】
物品中継搬送装置Tは、左右一対の物品保管棚1の一方に連なる状態で設けられ、外部との間で物品を移載する外部側移載箇所Gと物品処理装置としてのスタッカークレーンKとの間で物品を移載する装置側移載箇所Jとの間で物品を搬送する搬送手段Fを備えている。
そして、搬送手段Fが、床面側に設置される左右一対の搬送用レール5にて案内される搬送台車6にて物品を搬送するように構成されている。
【0040】
搬送台車6は、外部側移載箇所Gと装置側移載箇所Jとの間で、左右一対の搬送用レール5にて案内されながら往復走行するように構成されるものであり、そして、図2に示すように、その上部には、物品としてのパレットPに載置された物品を載置支持する物品支持台7が設けられている。
この物品支持台7は、矩形状に形成され、その四隅には、上方側ほど外方に拡がる状態に形成された物品案内体7Aが設けられている。
【0041】
図1及び図2に示すように、物品中継搬送装置T及びスタッカークレーンKの走行通路を覆う柵状体Dが、搬送手段Fの外部側移載箇所Gを開放する状態で設けられている。
尚、外部側移載箇所Gにおける外部と連通する開放部には、低い補助柵状体Daが設けられている。
【0042】
また、柵状体Dの外方側であって、物品中継搬送装置Tの横側部には、自動倉庫を管理する管理手段Hが設けられており、この管理手段Hが、搬送手段Fの作動やスタッカークレーンKの作動を管理するように構成されている。
【0043】
すなわち、例えば、物品を入庫する場合には、管理手段Hに対して、入庫する物品の情報を入力し、そして、入庫指令を指令すると、管理手段Hは、搬送台車6が外部側移載箇所Gに存在しない場合には、搬送台車6を外部側移載箇所Gに走行させることになる。
作業者は、フォークリフト等を用いて、搬送台車6の物品支持台7に物品を載置することになり、その後、物品載置完了を管理手段Hに入力することになる。
【0044】
管理手段Hは、物品を載置した搬送台車6を装置側移載箇所Jに走行させ、次に、搬送台車6にて搬送されてきた物品を物品保管棚1の物品収納部Sに収納させるべく、スタッカークレーンKを作動させることになる。
【0045】
また、物品を出庫する場合には、管理手段Hに対して、出庫する物品の情報を入力し、そして、出庫指令を指令することになる。
管理手段Hは、搬送台車6が装置側移載箇所Jに存在しない場合には、搬送台車6を装置側移載箇所Jに走行させることになり、また、入力された物品が収納されている物品収納部Sから物品を取出し、装置側移載箇所Jに位置する搬送台車6に取出した物品を載置するように、スタッカークレーンKを作動させることになる。
【0046】
そして、管理手段Hは、装置側移載箇所Jに位置する搬送台車6に取出した物品が載置されると、搬送台車6を外部側移載箇所Gに走行させることになる。
作業者は、外部側移載箇所Gに位置する搬送台車6にて支持されている物品を、フォークリフト等を用いて搬出することになる。
【0047】
また、検出対象領域の床面側に設置されて人体の存在を検知する人体検知装置Aが、外部側移載箇所Gの床面部を検出対象領域とする状態で設けられ、この人体検知装置Aの検出情報が、信号線を介して管理手段Hに入力されている。
そして、管理手段Hは、人体検知装置Aにて人体が検知された場合には、搬送手段FやスタッカーックレーンKの作動を停止させ、且つ、警報装置等を作動させて、作業者等の人体に対して注意を促すように構成されている。
【0048】
以下、人体検知装置Aについて説明する。
検出対象領域の床面側に、対向する端縁部が下降不能に支持されて、その対向する端縁部の間の中間部分が人体の踏み込みにより下方に撓むように構成された板状体8が設けられ、図3に示すように、その板状体8における中間部分の撓みを検出する撓み検出手段Bが設けられている。
【0049】
板状体8は、一辺が800mmの正方形状で、厚さが1.6mmの薄い鉄板にて構成されている。
このように、板状体8が、一辺が800mmの正方形状に形成されているため、板状体8の搬送手段Fにおける物品搬送方向の長さ(800mm)は、外部側移載箇所Gに侵入する作業者等の人体の歩幅よりも大きな長さとなるため、外部側移載箇所Gに侵入する作業者等の人体が、板状体8を確実に踏付けることになる。
【0050】
撓み検出手段Bが、板状体8における中間部分の下方に配置されたレーザー測距手段9にて構成されている。
すなわち、板状体8の中間部分は、人体の踏み込みにより、下方に撓むことになり、その撓みをレーザー測距手段9にて検出するように構成されている。
つまり、レーザー測距手段9の検出情報が、管理手段Hに入力されており、管理手段Hは、レーザー測距手段9の検出情報に基づいて、板状体8の中間部分の下方の撓みを検出すると、外部側移載箇所Gに人体が侵入したと判別して、上述の如く、搬送手段FやスタッカーックレーンKの作動を停止させ、且つ、警報装置等を作動させて、作業者等の人体に対して注意を促すように構成されている。
【0051】
また、レーザー測距手段9は、板状体8の中間部分のうちの最も大きく下方に変位することになる中央部分に対して検出作用するように設けられ、そして、板状体8の中間部分が人体の踏み込みにより撓んだときにも、その中間部分と接触することがないように、板状体8の中間部分とは十分に離れて位置するように設置されている。
ちなみに、板状体8における中間部分の中央部分は、人体の踏み込みにより、例えば、3〜10mmの範囲で撓むことになり、レーザー測距手段9は、板状体8の中間部分に対して、例えば、25〜35mmを離して設置することになる。
【0052】
図3に示すように、板状体8における対向する左右の端縁部が、搬送手段Fにおける一対の搬送用レール5に支持されている。
つまり、搬送用レール5の内面側部分には、受け枠10が溶接等により取付けられた状態で設けられ、板状体8の左右端縁部には、下方への折曲げ部8Aが形成され、そして、折り曲げ部8Aの下端が受け枠10に載置される状態で、受け枠10と折曲げ部8Aとがボルト11にて固定されている。
尚、本実施形態においては、受け枠10は、板状体8の端縁部の全長に亘る状態に形成されているが、板状体8の端縁部の複数箇所を受止めるように、受け枠10を、板状体8の端縁部の長手方向に分散させる状態に設けてもよい。
【0053】
また、板状体8の左右の端縁部が、搬送用レール5との間に隙間eを形成する状態で、搬送用レール5に支持されており、外部側移載箇所Gに侵入しようとする作業者等の人体は、板状体8の端縁部と搬送用レール5との間に存在する隙間eを認識して、その隙間eを避けるために、板状体8の端縁部よりも内方側部分を踏み込むものとなり、板状体8の対向する端縁部の間に位置する中間部分が、作業者等の人体の踏み込みにより適切に下方に撓むものとなっている。
【0054】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態を説明するが、以下の説明においては、上記第1実施形態と異なる部分についてのみ説明して、上記第1実施形態と同様な部分についての説明を省略する
【0055】
図4及び図5に示すように、搬送手段Fが、左右一対のチェーン搬送部12を備えて構成されている。
チェーン搬送部12は、床面に設置された搬送フレーム12Aと、搬送チェーン12Bとを主要部に構成されており、例示はしないが、搬送チェーン12Bを駆動する電動モータが設けられている。
尚、装置側移載箇所Jには、スタッカークレーンKとの間での物品移載のために、チェーン搬送部12に載置されている物品をスタッカークレーンKに対する受け渡し高さに上昇し、その受け渡し高さにてスタッカークレーンKから供給された物品をチェーン搬送部12に載置するために下降するリフト装置14が設けられている。
【0056】
そして、人体検知装置Aにおける板状体8の左右の端縁部を支持する受け枠10が、チェーン搬送部12における搬送フレーム12Aの内面側に、ボルト固定する状態で設けられ、板状体8の左右端縁部には、下方への折曲げ部8Aが形成され、そして、折り曲げ部8Aの下端が受け枠10に載置される状態で、受け枠10と折曲げ部8Aとがボルト11にて固定されている。
また、板状体8の左右の端縁部が、搬送フレーム12Aとの間に隙間eを形成する状態で、搬送フレーム12Aに支持されている。
【0057】
また、この第2実施形態においては、レーザー測距手段9を載置支持する長尺状の支持枠9Aが、上述の受け枠10と共締めされる状態で、チェーン搬送部12における搬送フレーム12Aの内面側に、ボルト固定する状態で設けられ、レーザー測距手段9が、支持枠9Aの上面に設置されている。
【0058】
そして、この第2実施形態においても、管理手段Hは、人体検知装置Aにて人体が検知された場合には、搬送手段FやスタッカーックレーンKの作動を停止させ、且つ、警報装置等を作動させて、作業者等の人体に対して注意を促すように構成されている。
【0059】
〔第3実施形態〕
次に、第3実施形態を説明するが、この第3実施形態は、板状体8の設置箇所が異なる他は、第2実施形態と同様であるので、以下の説明においては、上記第2実施形態と異なる部分について説明して、第2実施形態と同様な部分についての説明を省略する。
【0060】
図6に示すように、人体検知装置Aにおける板状体8の左右の端縁部を支持する受け枠10が、チェーン搬送部12における搬送フレーム12Aの脚部の内面側に、溶接等により取付けられた状態で設けられ、その受け枠10に、上記第2実施形態と同様な形態で、板状体8が支持されている。
【0061】
つまり、板状体8の左右端縁部には、下方への折曲げ部8Aが形成され、そして、折り曲げ部8Aの下端が受け枠10に載置される状態で、受け枠10と折曲げ部8Aとがボルト11にて固定されている。
また、板状体8の左右の端縁部が、搬送フレーム12Aの脚部との間に隙間eを形成する状態で、搬送フレーム12Aに支持されている。
尚、図6中の13は、搬送チェーン12Bを駆動する電動モータである。
【0062】
〔別の実施形態〕
(1)上記実施形態においては、板状体を薄い鉄板にて構成する場合を例示したが、板状体としては、対向する端縁部が下降不能に支持されて、その対向する端縁部の間の中間部分が人体の踏み込みにより下方に撓むものであればよく、例えば、合成樹脂板にて構成する等、種々の材料を用いて構成できるものである。
【0063】
(2)上記実施形態においては、撓み検出手段を、板状体における中間部分の下方に配置するレーザー測距手段にて構成する場合を例示したが、歪ゲージを板状体の裏面に貼着する形態で、撓み検出手段を構成することや、近接スイッチを板状体における中間部分の下方に配置する形態で、撓み検出手段を構成することができるものであり、撓み検出手段の具体構成は、種々変更できる。
【0064】
(3)上記実施形態では、板状体を、搬送レールや搬送フレームを用いて支持する場合を例示した、板状体を支持する枠体を床面側に設置して、この枠体にて板状体の対向する端縁部を支持する形態で実施してもよい。
【0065】
(4)上記実施形態では、矩形状の板状体の4辺部のうちの、一対の辺部を対向する端縁部として支持する場合、つまり、2組の対向する辺部のうちの一組の対向する辺部を対向する端縁部として支持する場合を例示したが、矩形状の板状体における対向する2組の辺部の夫々を対向する端縁部として支持する形態で、つまり、矩形状の板状体の4辺部の全てを下降不能に支持する形態で実施してもよい。
【0066】
(5)上記実施形態では、人体検知装置を、物品中継搬送装置における外部側移載箇所の床面部を検出対象領域として、装備する場合を例示したが、建物の出入口の直前箇所の床面部を検出対象領域として、人体検知装置を設置する等、人体検知装置は、種々の箇所に設置できるものである。
【0067】
(6)上記実施形態では、物品中継搬送装置が、物品処理装置としてのスタッカークレーンとの間で物品を移載する装置側移載箇所に物品を搬送する場合を例示したが、本発明の物品中継搬送装置は、スタッカークレーン以外の種々の物品処理装置との間で物品を移載する装置側移載箇所に物品を搬送するのに用いることができるものである。
【符号の説明】
【0068】
5 搬送用レール
6 搬送台車
8 板状体
9 レーザー測距手段
A 人体検知装置
B 撓み検出手段
e 隙間
F 搬送手段
G 外部側移載箇所
J 装置側移載箇所
K 物品処理装置
T 中継搬送装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出対象領域の床面側に設置されて人体の存在を検知する人体検知装置であって、
前記検出対象領域の床面側に、対向する端縁部が下降不能に支持されて、その対向する端縁部の間の中間部分が人体の踏み込みにより下方に撓むように構成された板状体が設けられ、その板状体における前記中間部分の撓みを検出する撓み検出手段が設けられている人体検知装置。
【請求項2】
前記撓み検出手段が、前記板状体における前記中間部分の下方に配置されたレーザー測距手段にて構成されている請求項1記載の人体検知装置。
【請求項3】
外部との間で物品を移載する外部側移載箇所と、物品処理装置との間で物品を移載する装置側移載箇所との間で物品を搬送する搬送手段が設けられた物品中継搬送装置であって、
請求項1又は2に記載の人体検知装置が、前記外部側移載箇所の床面部を前記検出対象領域とする状態で設けられている物品中継搬送装置。
【請求項4】
前記搬送手段が、床面側に設置される左右一対の搬送用レールにて案内される搬送台車にて物品を搬送するように構成され、
前記板状体の対向する端縁部が、前記一対の搬送用レールに支持されている請求項3記載の物品中継搬送装置。
【請求項5】
前記板状体の端縁部が、前記搬送用レールとの間に隙間を形成する状態で、前記搬送用レールに支持されている請求項4記載の物品中継搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−13615(P2012−13615A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−152160(P2010−152160)
【出願日】平成22年7月2日(2010.7.2)
【出願人】(000003643)株式会社ダイフク (1,209)
【Fターム(参考)】