説明

人間の視覚システムに基づく欠陥画素の検出方法および装置

画像中の不良画素を検出するために、迅速なテストと完全なテストを提供する不良画素検出方法およびモジュール。迅速テストは、現行画素を既にテスト済みのただ1つの良好な近隣画素と対比してテストする。迅速テストは、人間の視覚システムが特に赤色と青色に対して弱いことを利用して最適化される。青色に対しては、赤色と緑色に対する閾値に比べてより甘い閾値を使用することができる。さらに、カーネル中の不良画素群の検出のために、完全テストが構成・アレンジされる。

【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、「人間の視覚システムに基づく欠陥画素の検出方法(A Method for Defective Pixel Detection Based on the Human Visual System)」と題して2006年1月19日に出願された米国仮出願(出願番号60/760,669)の優先権を主張する。
【技術分野】
【0002】
本発明は画像処理に関し、より具体的には、写真撮影された時点のオリジナルシーンには実際は存在しなかったはずの色価(color values)を有するディジタル画像中の画素の検出と修正に関する。このような画素は、CCDやCMOSのフォトアレー要素中のちりなどの微粒子や素子の欠陥に起因して普通に存在する。特に、提案される方法は、人間の視覚システムによって知覚できない差異(unperceivable differences)に基づく甘い閾値(lenient threshold)を使用して、各画素を、それを取り囲む近隣の画素を使って迅速にテストするものである。また、本発明は不良画素(bad pixel)検出モジュール、および不良画素検出のためのプロセッサで実行可能なプログラム命令に関する。
【背景技術】
【0003】
欠陥画素は、その反応(response)が近辺の画素の値とは相当大きく相違する画素として定義される。所与の画素が誤った値を報告する可能性のある理由としては、通常、ちりやほこりなどの微粒子欠陥とマイクロレンズ欠陥の2つである。
【0004】
不良画素検出の通常の方法は、その画素の反応が周りの画素の最大値よりも何%か大きいか所定の閾値よりも大きい場合、またはその反応が周りの画素の最小値よりも何%か小さいか所定の閾値よりも小さい場合に欠陥としてマーキングすることである。この処理はシステムメモリからの膨大な読み出しと、それに続く、各近隣画素の最大、最小の計算のための膨大な論理比較を必要とする。
【0005】
現在知られている方法よりもより早い不良画素の検出が要請されている。不良画素検出が実行される早さは、人間の視覚システムにおける弱点を利用することによって、従来の方法よりも最適化することができる。すなわち、赤は緑の閾値より甘い閾値(lenient thresholds)を使うことができ、また、青は赤や緑の閾値よりさらに甘い閾値を使うことができる。
【0006】
さらに、赤、緑、青の閾値は、候補画素の大きさ(magnitude)によってさらに緩めることができる。
【発明の開示】
【概要】
【0007】
上記の点を考慮して、本発明の目的は、現在知られている方法よりも相当に早い不良画素検出方法を提供することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、ある画素上の迅速テストを近隣の同色の良好画素を使って実行する不良画素検出方法を提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、画素検出の早さを最適化するために人間の視覚システムにおける弱点を利用した不良画素検出方法を提供することにある。
【0010】
本発明のさらに他の目的は、赤色画素は緑色画素の閾値より甘い閾値を使い、また、青色画素は赤色画素や緑色画素の閾値よりもさらに甘い閾値を使った不良画素検出方法を提供することにある。
【0011】
本発明のさらに他の目的は、赤、緑、青の閾値を候補画素の大きさによってさらに緩めることができる不良画素検出方法を提供することにある。
【0012】
前述の本発明の目的は、ある画像中のある現行画素(current pixel)の画素値(pixel value)とただ1つの良好な近隣画素の画素値との差を、その画像中で目立つ(noticeable)不良画素をゼロにするように選択されたある閾値と比較するための迅速テスト不良画素検出サブモジュールを備える不良画素検出モジュールによって実行される。
【0013】
不良画素検出モジュールはさらに、現行画素が迅速テストで不良とされた場合にのみ、その現行画素がカーネル中の不良画素であるかどうかを評価するために、現行画素の完全テストを実行できる完全テスト不良画素検出サブモジュールを含む。
【0014】
本発明はまた、ある画像中のある色の現行画素値とそれと同色の1つの良好な近隣画素値との差をある最大閾値と比較するための迅速テスト不良画素検出サブモジュールを備える不良画素検出モジュールを提供する。最大閾値は、その画像中で目立つ不良画素をゼロにするための人間の視覚システムの色に対する反応に基づいている。モジュールは、また、目立つ不良画素がカーネル中の不良画素かどうかをカーネルの完全テストによって評価するための完全テスト不良画素検出サブモジュールを含む。
【0015】
不良画素検出モジュールは、さらに、現行画素値と以前にテストしたただ1つの良好な近隣画素値との比較を行う迅速テスト不良画素検出サブモジュールを含む。迅速テストは次の未テスト画素のために迅速テストを繰り返えす。
【0016】
不良画素検出モジュールは、また、迅速テストで現行画素が目立つ不良画素と判断されたときにその現行画素のテストを再び開始するための完全テスト不良画素検出サブモジュールを含む。
【0017】
不良画素検出モジュールは、赤色のいくつかの画素色調(pixel shades)用の閾値を緑色用の閾値よりもより甘く(lenient)設定する。
【0018】
不良画素検出モジュールは、青色の各々の画素色調用の閾値を赤色用および緑色用の閾値よりもより甘く設定する。さらに、画素値の大きさが増加するにつれて閾値はより甘くする。
【0019】
他の態様では、本発明はプロセッサによって実行可能なプログラム命令(program instructions)に向けられており、そのプログラム命令の実行により、ある画像中のある現行画素の画素値とただ1つの良好な近隣画素の画素値との差を、その画像中で目立つ不良画素をゼロにするように選択されたある閾値と比較することによって、現行画素の迅速テストを実行する。
【0020】
そのプログラム命令の実行により、現行画素が迅速テストで不良とされた場合にのみ、その現行画素がカーネル中で不良画素かどうかを評価するために、現行画素の完全テストが実行される。
【0021】
さらに他の態様では、本発明は不良画素の検出方法に向けられており、この方法は、ある画像中のある色の現行画素値とその色の1つの良好な近隣画素値との差を、その画像中で目立つ不良画素がゼロであるとする人間の視覚システムの色に対する反応に基づいた閾値と比較することによって現行画素を迅速テストするステップと、目立つ不良画素がカーネル中の不良画素であるかどうかを評価するために、目立つ不良画素を完全テストするステップを備える。
【0022】
前述の概要および以下に説明する本発明の好ましい実施態様の詳細な説明は、それを図面とともに読むことで、より理解を深めることができる。発明を図解する目的で現時点での好ましい実施態様を図示しているが、本発明はここに示されたもののみに限定されるものではない。
【詳細な説明】
【0023】
本発明は多くの異なる形態での実施態様が可能であるが、本明細書および付属の図面は本発明を使用したいくつかの形態を単に例として開示するものである。本発明はここで開示された実施態様に限定するよう意図されておらず、本発明の範囲はクレームにおいて指摘される。
【0024】
本発明による人間の視覚システムに基づく欠陥画素検出方法とモジュールの好ましい実施態様は、液晶ディスプレイ(LCD)画像への具体的な適用として以下に示される。しかしながら、当業者にあっては、本発明はRGBの画素配列もしくはディスプレイ用のその他の画素色を用いた他のタイプのディスプレイユニットにも適用できることが理解されるであろう。さて、図面を参照して詳細に説明するが、各図面を通して同様の要素には同様の参照番号が付されており、本発明による不良画素検出モジュールは図3および図4において参照符号10で示されている。
【0025】
図1は今日のCCDやCMOS製造者によって使用されている一般的なBayerパターン配列(Bayer pattern arrangement)を示す.図において、奇数行は赤と緑の画素が交互に並び、偶数行は緑と青の画素が交互に並ぶ。ここで、ある画素の「近隣画素(neighbors)」は、フィルターがけによって色スペクトラムの同じ位置に反応する近隣画素と定義される。たとえば、R33で示される赤の画素が欠陥画素かどうかをチェックしようとする場合、今後検査される、もしくはされない近隣赤画素は、R11、R31、R51、R13、R53、R15、R35、R55である。B44で示される青の画素が欠陥かどうかをチェックする場合、近隣青画素はB22、B42、B62、B24、B64、B26、B46、B66である。最後に、たとえば緑の画素G43を検査する場合は、緑近接画素はG41、G32、G52、G23、G63、G34、G54、G45である。
【0026】
この例では、緑の画素が青もしくは赤の画素の2倍ある。隣接緑画素はG32、G52、G34およびG54の画素を含み、これらは緑画素G43からは1の距離にある。緑画素G32、G52、G34およびG54は緑画素43に直に接している角の緑画素である。緑画素G41、G23、G63およびG45は緑画素G43からは2画素の距離にある。この例では、8つの近隣赤画素があり、8つの近隣青画素があり、8つの近隣緑画素がある。
【0027】
ある画素についてその近隣画素の最大と最小を計算することはコストがかかる処理であるため、不良画素検出モジュール10は迅速テスト不良検出サブモジュール20を組み入れている。このサブモジュールは、まず、処理される現行画素もしくは候補画素と、その画素の近隣画素のうちの既に検査された1つとを比較し、それら2つの差が、人間の視覚システム(HVS)80によって知覚できないであろう閾値内かどうかをみる。もし閾値内であれば、不良画素検出モジュール10は次の画素に進み、迅速テスト不良画素検出(以降、「迅速テスト法」と称することがある)を実行する。
【0028】
たとえば、もし、ある所与の緑画素が画素値(pixel value)55を持っており、その左上に画素値65の近隣緑画素(既に処理され、良好であることが分かっている)があるならば、値55の画素は、それも良好であるか、または、仮にそれが実際に欠陥であっても、HVS80によって検出されるにはその差が小さすぎるために問題にならないかのどちらかである。
【0029】
不良画素検出モジュール10はさらに完全テスト不良画素検出サブモジュール30を含み、このサブモジュール30は完全テスト不良欠陥画素検出法(以降、「完全テスト」と称する)を実行する。模範的な実施態様にあっては、もし迅速テスト不良画素検出サブモジュール20で評価されている画素が不良と判断された場合、不良画素検出モジュール10は、後述するように完全テストを実行する。それでもやはり完全テストの結果その画素が「不良」と判断された場合は、当該不良画素は図3の破線で示される不良画素修正モジュールで修正される。
【0030】
完全テストが実行されるときは、現行画素もしくは候補画素は、その画素と同色の近隣画素の全てと比較される。模範的態様においては、迅速テスト不良画素検出サブモジュールは、現行画素もしくは候補画素について、常に、その画素の左上に位置する1つの良好な近隣画素を使って迅速テストを実行する。一方、完全テストは、現行画素もしくは候補画素を残りの7つの近隣画素を使ってテストする。
【0031】
図5を参照して迅速テスト不良画素検出法100についてさらに詳細に説明する。方法100はステップS102で未テストの画素を現行画素としてセットすることから始まる。ステップS102に続き、ステップS104では現行画素値が良好な近隣画素の画素値と比較される。良好な近隣画素値は、先にテストされた同色の良好な近隣画素の値である。ステップS104にはステップS106が続き、ここではステップS104の結果(差)が人間の視覚システムの閾値(HVS_TH)の最大/最小より大きいか/小さいかを決定する。もし決定が「はい」(これは現行画素が良好であることを示す)であったら、ステップS106に続くステップS108に入り、まだテストされていない画素があるかどうかの決定がされる。もしステップS108での決定が「はい」であればステップS102に戻る。そうではなく、ステップS108での決定が「いいえ」であれば、方法100は終了する。
【0032】
ステップS106に戻り、もし決定が「いいえ」(これは現行画素が目立つ不良画素であることを示す)であれば、ステップS106に続くステップS110で不良画素検出のための完全テストが実行され、現行画素は残りの7つの近隣画素に対してテストされる。
【0033】
迅速テスト法100は、赤の画素に対してより甘い(lenient)閾値を使用することにより最適化することができ、さらには、人間の目がその周波数帯での変化に鈍感であるという理由から、青のBayer画素に対してはさらに甘い閾値を使用することにより、最適化することができる。たとえば、実行したテストでは、赤、緑、青の閾値がそれぞれ16、12、30でうまく動作した。人間の視覚システム80用のRGB閾値40は、迅速テスト不良画素検出サブモジュール20によって使用される。
【0034】
処理時間は、ホット、ウォーム、コールドのルックアップテーブル42A、42Bおよび42Cにおける閾値を使用することによって、不良画素検出モジュール10において最適化される。ホット、ウォーム、コールドのルックアップテーブル42A、42B、42Cは、画素値がホット、ウォーム、コールドかどうかに基づいて、赤、青、緑の画素用のHVS閾値を含む。図2A、図2B、図2Cは、0から255色調までの単一色画素色基準値を、それぞれホット、ウォーム、コールドに分解して示している。画素値(PV)0(ゼロ)は最もコールドな画素値を表わす。一方、画素値255は最もホットな画素値を表わす。0から255の画素色基準値は、赤、緑、青、白、黒、その他のいずれの単色にも適用されうる。
【0035】
図2Aにおける箱230と240、図2Bにおける箱130と140、図2Cにおける箱30と40は、以下に示す表1、2、3中の画素値240、230、140、130、40、30に対応している。各箱は、同一色の2つの隣り合う画素値のほぼ半分の値を含む。たとえば、箱30は画素値が26から35もしくは25から34を含む。一方、箱40の画素値は36から45もしくは35から44を含む。それにもかかわらず、表1、2、3は、0から255の範囲もしくは他の画素色調基準で、各画素値および全画素値の参加を含むことができる。表1、2、3から分かるように、HVS閾値は画素値の大きさが増加するにつれて、より甘くなる。
【0036】
ホットの範囲の画素値に対するこれらHVS閾値が表1に示されている。
【表1】

【0037】
ウォームの範囲の画素値に対するHVS閾値が表2に示されている。
【表2】

【0038】
コールドの範囲の画素値に対するHVS閾値が表3に示されている。
【表3】

【0039】
赤、青、緑のHVS閾値は、迅速テストにおいて最大増加と最大減少の差を決定するために使用される。現行画素値と1つの良好な近隣画素値との比較結果は、これら2つの画素値の差を生み、この差は増加か減少のいずれかを表現する。赤画素に対する画素値の差の最大増加と最大減少をMAX_PIX_DIFF_INC_RとMAX_PIX_DIFF_DEC_Rで表わす。青画素に対する画素値の差の最大増加と最大減少をMAX_PIX_DIFF_INC_BとMAX_PIX_DIFF_DEC_Bで表わす。緑画素に対する画素値の差の最大増加と最大減少をMAX_PIX_DIFF_INC_GとMAX_PIX_DIFF_DEC_Gで表わす。画素値が120(これは赤、緑、青の画素のウォームの画素値である)に対して、MAX_PIX_DIFF_INC_Rは16、MAX_PIX_DIFF_INC_Gは12、MAX_PIX_DIFF_INC_Bは30である。同様に赤、緑、青の画素値120に対して、MAX_PIX_DIFF_DEC_Rは−16、MAX_PIX_DIFF_DEC_Gは−12、MAX_PIX_DIFF_DEC_Bは−30である。
【0040】
表1、2、3中の閾値はMAX_PIX_DIFF_INCとMAX_PIX_DIFF_DEC(これは表1、2、3中でマイナスの閾値)を決定する。
【0041】
図6を参照して、最適化された迅速テスト不良画素検出方法200について詳細に説明する。方法200は未テスト画素が取り込まれることで始まり、ステップS202で現行画素としてセットされる。ステップS202に続くステップS204で、1つの良好な近隣画素(GNP)の画素値が得られる。例としては、左上の良好近隣画素が参照ポイントとして使用される。ステップS204の後には、GNP画素がそれぞれ赤か青か緑かを決定するステップS206A、206B、206Cのうちの1つが続く。もしGNP画素が赤であれば、ステップS206Aに続くステップS208で、GNPの画素値に対応する赤のHVS閾値がホット、ウォーム、コールドのルックアップテーブル42A、42B、42Cから得られる。
【0042】
たとえば、もしGNPが赤で画素値が30であれば、赤のHVS閾値は25である(表3参照)。ステップS208Aの次にはステップS210が続き、ホット、ウォーム、コールドのルックアップテーブル42A、42B、42Cから、最大/最小HVS閾値(HVS TH)が赤のHVS閾値にセットされる。
【0043】
もしGNPがステップS206Bで青と決定された場合は、ステップS206Bに続くステップS208Bで、GNPの画素値に対応する青のHVS閾値がホット、ウォーム、コールドのルックアップテーブル42A、42B、42Cから得られる。たとえば、GNPが青で画素値が230とすると、青のHVS閾値は32である(表1参照)。ステップS208Bに続くステップS210Bで、ホット、ウォーム、コールドのルックアップテーブル42A、42B、42Cから、最大/最小HVS閾値(HVS TH)が青のHVS閾値にセットされる。
【0044】
もしGNPがステップS206Cで緑と決定された場合は、ステップS206Cに続くステップS208Cで、GNPの画素値に対応する緑のHVS閾値がホット、ウォーム、コールドのルックアップテーブル42A、42B、42Cから得られる。たとえば、GNPが緑で画素値が40とすると、緑のHVS閾値は20である(表3参照)。ステップS208Cに続くステップS210Cで、ホット、ウォーム、コールドのルックアップテーブル42A、42B、42Cから、最大/最小HVS閾値(HVS TH)が緑のHVS閾値にセットされる。
【0045】
表1、2、3におけるRGB HVS閾値は、目立つ偽陰性者(false negatives)がゼロとなるように選択されている。
【0046】
ステップS210A、210B、210Cの後のステップS212では、現行画素値(赤、青もしくは緑)が1つの良好近隣画素値と比較される。ステップS212に続くステップS214において、ステップS212の結果(差)がステップS210A、210B、210Cの1つからの最大/最小HVS閾値(HVS TH)より大きいか/小さいかが決定される。認識できるように、比較ステップS212はステップS204のすぐ後に移動可能である。
【0047】
結果がHVS THより大きいか、小さいかを決定するとき、結果がMAX PIX DIFF INCより小さいかどうか、もしくは、結果がMAX PIX DIFF DECより大きいかどうかを評価する。もし決定が「はい」(これは、現行画素が良好もしくは目立つものではないことを意味する)であれば、ステップS214に続くステップS216において未テスト画素が残っているかどうかの決定がなされる。もしステップS216での決定が「はい」であれば、ステップS216はループバックし、ステップS202に戻って次の未テスト画素を評価する。一方、ステップS216での決定が「いいえ」であれば、方法200は終了する。
【0048】
ステップS214に戻り、もし決定が「いいえ」(これは、現行画素が不良もしくは目立つものであることを意味する)であれば、ステップS214に続くステップS218において、完全テスト不良画素検出サブモジュール30により、不良画素検出の完全テストが実行される。
【0049】
図4を参照して、画像処理ユニット60は、プログラム命令70および液晶ディスプレイ(これに限定されない)のようなディスプレイ75に結合されたアドバンストRISCマシン(ARM)65もしくはその他の処理装置を含む。ARM65は、画像処理ユニット60によって画像処理される画素画像を供給する画像ソース55に結合される。プログラム命令70は、ARM65によって実行され、不良画素検出モジュール10および不良画素修正モジュール50として機能する。このように、プログラム命令70は、その実行によって不良画素検出のための迅速テストおよび完全テストを実施することができる。
【0050】
実際の運転では、各画素の近隣画素の最小と最大を計算する必要性を最小限にするためのHVS80の利用によって、アドバンストRISCマシン(ARM)での不良画素修正のスピードを2.6倍早くすることができた。
【0051】
当業者には、ここで開示されたモジュール、方法、プログラム命令によって不良画素検出を従来技術によるよりも相当に早く達成できることが理解されるであろう。不良画素検出の実行スピードは、人間の視覚システムの弱点を利用することによって従来の方法よりも最適化することができる。本発明による欠陥画素検出のプロセスは、また、たとえば近隣画素値の最大と最小の計算を必要とする従来のプロセスよりも、より経済的である。
【0052】
本発明の実施態様の以上の記述は説明の目的で提供されたものである。発明を余すところなく開示することを意図するものでも、また、開示された具体的形態に限定することを意図するものでもなく、上記の教示もしくは本発明の実施から得られる教示に照らして変更や変形が可能である。当業者が種々の実施態様で本発明を利用することができ、また、意図された特別の使用に合致するような種々の変形を伴って本発明を利用できるように、実施態様は本発明の原理と実際上のアプリケーションを説明するために選ばれ、そして記述されている。本発明の範囲は付属のクレームとその均等物によって定義されるよう意図される。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】図1は一般的なBayerパターン配列を示す図。
【図2】図2A、2B、2Cは0から255の色調の単一色の画素の色の値を、ホット、ウォーム、コールドのカテゴリーに分解して示す図。
【図3】図3は欠陥画素検出モジュールの全体を示すブロック図で、破線の不良画素修正モジュールと連係された状態を示す。
【図4】図4は画像処理ユニットを示すブロック図。
【図5】図5は人間の視覚システムに基づく不良画素検出迅速テストの方法を示すフロー図。
【図6】図6は人間の視覚システムとRGBホット、ウォーム、コールドの画素色調に基づく最適化された不良画素検出迅速テストの方法を示すフロー図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像中の現行画素の画素値とただ1つの良好な近隣画素の画素値との差を、前記画像中で目立つ不良画素がゼロとなるように選択された閾値と比較する迅速テスト不良画素検出サブモジュールを備えた不良画素検出モジュール。
【請求項2】
前記現行画素が前記迅速テストで不良とされた場合にのみ、前記現行画素がカーネル中で不良画素かどうかを評価するために前記現行画素を完全テストする完全テスト不良画素検出サブモジュールをさらに備えた、請求項1に記載のモジュール。
【請求項3】
前記迅速テスト不良画素検出サブモジュールは、前記差が前記閾値の範囲外で前記現行画素が目立つ不良画素であるときは前記現行画素のテストを終了し、
前記完全テスト不良画素検出サブモジュールは、前記目立つ不良画素のテストを開始する、請求項2に記載のモジュール。
【請求項4】
前記良好な近隣画素は既にテストされた良好な近隣画素である、請求項1に記載のモジュール。
【請求項5】
前記迅速テスト不良画素検出サブモジュールは、さらに、前記差が前記閾値の範囲内であれば前記現行画素のテストを終了し、新たに前記現行画素となる新たな画素のテストを開始する、請求項1に記載のモジュール。
【請求項6】
前記閾値を選択するための少なくとも1つのルックアップテーブルをさらに備え、前記少なくとも1つのルックアップテーブルはホット、ウォーム、コールドの画素値に区分された複数の画素値を備え、各画素値は対応する閾値を有し、前記対応する閾値は前記複数の画素値の大きさが増加するにつれてより甘くされている、請求項1に記載のモジュール。
【請求項7】
青色の各画素値の前記対応する閾値は、赤色および緑色の各画素値の前記対応する閾値よりもより甘くされている、各請求項5に記載のモジュール。
【請求項8】
前記赤色のいくつかの画素値の前記対応する閾値は、前記緑色の前記対応する閾値よりもより甘くされている、請求項6に記載のモジュール。
【請求項9】
画像中のある色の現行画素値と前記色の1つの良好な近隣画素値との差を、前記色に対する人間の視覚システム反応に基づいて前記画像中の目立つ不良画素をゼロにするようにされた閾値と比較する迅速テスト不良画素検出サブモジュールと、
目立つ不良画素がカーネル中で不良画素かどうかをカーネルの完全テストによって評価する完全テスト不良画素検出サブモジュールと、
を備えた不良画素検出モジュール。
【請求項10】
前記迅速不良画素検出サブモジュールは、前記現行画素値を既にテストされたただ1つの良好近隣画素値と比較する、請求項9に記載のモジュール。
【請求項11】
前記迅速不良画素検出サブモジュールは、さらに、前記差が前記閾値の範囲内であれば前記現行画素値を有する現行画素のテストを終了し、新たに現行画素値となる新たな画素値を有する新たな画素のテストを開始する、請求項10に記載のモジュール。
【請求項12】
前記迅速不良画素検出サブモジュールは、前記差が前記閾値の範囲外で前記現行画素が目立つ不良画素であるときは前記現行画素のテストを終了し、前記完全テスト不良画素検出サブモジュールは、カーネル中の残りの近隣画素に対して前記目立つ不良画素のテストを開始する、請求項11に記載のモジュール。
【請求項13】
前記迅速不良画素検出サブモジュールは、色についての少なくとも1つのルックアップテーブルをさらに備え、前記色は、ホット、ウォーム、コールドの画素値に区分された複数の画素値を備え、各画素は、前記複数の画素値の大きさが増加するにつれてより甘くされたそれぞれの閾値にマッピングされる、請求項9に記載のモジュール。
【請求項14】
青色の各画素に対する前記閾値は、赤色および緑色に対する前記閾値よりもより甘くされている、請求項13に記載のモジュール。
【請求項15】
前記赤色のいくつかの画素値に対する前記閾値は、前記緑色に対する前記閾値よりもより甘くされている、請求項14に記載のモジュール。
【請求項16】
画像中のある色の現行画素値と前記色の1つの良好な近隣画素値との差を、前記色に反応する人間の視覚システムに基づいて前記画像中の目立つ不良画素をゼロにするようにされた閾値と比較することによって前記現行画素を迅速テストする迅速テスト手段と、
目立つ不良画素がカーネル中で不良画素かどうかを評価するために前記目立つ不良画素を完全テストする完全テスト手段と、
を備えた不良画素検出モジュール。
【請求項17】
前記迅速テスト手段は、前記現行画素値を既にテストされたただ1つの良好な近隣画素値と比較する、請求項16に記載のモジュール。
【請求項18】
前記迅速テスト手段は、前記差が前記閾値の範囲内であれば前記現行画素のテストを終了するための終了手段と、新たに現行画素値となる新たな画素値を有する新たな画素のテストを開始するための手段を含む、請求項17に記載のモジュール。
【請求項19】
前記終了手段は、前記差が最大閾値の範囲外で前記現行画素が目立つ不良画素であるとき前記現行画素のテストを終了する手段を含み、前記完全テスト手段は、前記目立つ不良画素のテストを開始する手段を含む、請求項18に記載のモジュール。
【請求項20】
前記色に対する前記閾値を調べる手段をさらに備え、前記色は少なくとも1つのルックアップテーブルに蓄積されたホット、ウォーム、コールドの画素値に区分された複数の画素色調を備え、前記各画素値はそれぞれの閾値にマッピングする、請求項16に記載のモジュール。
【請求項21】
青色の各画素色調に対する前記閾値は、赤色および緑色に対する前記閾値よりもより甘くされている、請求項20に記載のモジュール。
【請求項22】
前記赤色のいくつかの画素色調に対する前記閾値は、前記緑色に対する前記閾値よりもより甘くされている、請求項20に記載のモジュール。
【請求項23】
画像中のある色の現行画素値と前記色の1つの良好な近隣画素値との差を、前記色に反応する人間の視覚システムに基づいて前記画像中の目立つ不良画素をゼロにするようにされた閾値と比較することによって前記現行画素を迅速テストするステップと、
目立つ不良画素がカーネル中で不良画素かどうかを評価するために前記目立つ不良画素を完全テストするステップと、
を備えた不良画素検出方法。
【請求項24】
前記迅速テストするステップは、前記現行画素値を既にテストされたただ1つの良好な近隣画素値と比較するステップを備えた、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記迅速テストするステップは、前記差が前記閾値の範囲内であれば前記現行画素値を有する現行画素のテストを終了するステップと、新たに現行画素値となる新たな画素値を有する新たな画素のテストを開始するステップとを備えた、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記テストを終了するステップは、前記差が前記閾値の範囲外で目立つ不良画素であるとき前記現行画素のテストを終了するステップを含み、前記完全テストするステップは、前記目立つ不良画素のテストを開始するステップを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記迅速テストするステップは少なくとも1つのルックアップテーブルから前記閾値を調べるステップを備え、前記色は、少なくとも1つのルックアップテーブルに蓄積されたホット、ウォーム、コールドの画素値に区分された複数の画素色調を備え、各画素値はそれぞれの閾値にマッピングする、請求項23に記載の方法。
【請求項28】
青色の各画素色調に対する前記閾値は、赤色および緑色に対する前記閾値よりもより甘くされている、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記赤色のいくつかの画素色調に対する前記閾値は、前記緑色に対する前記閾値よりもより甘くされている、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
プロセッサによって実行可能なプログラム命令であって、その実行によって、
画像中のある色の現行画素値と前記色の1つの良好な近隣画素値との差を、前記色に対する人間の視覚システム反応に基づいて前記画像中の目立つ不良画素をゼロにするようにされた閾値と比較することによって前記現行画素を迅速テストし、
目立つ不良画素がカーネル中で不良画素かどうかを評価するために前記目立つ不良画素を完全テストする、
プログラム命令。
【請求項31】
前記迅速テストの前記プログラム命令は、その実行によって、さらに、現行画素値をただ1つの既にテストされた良好近隣画素値と比較する、請求項30に記載のプログラム命令。
【請求項32】
前記迅速テストの前記プログラム命令は、その実行によって、さらに、前記差が前記閾値の範囲内であれば前記現行画素値を有する現行画素のテストを終了し、新たに現行画素値となる新たな画素値を有する新たな画素のテストを開始する、請求項31に記載のプログラム命令。
【請求項33】
前記迅速テストの前記プログラム命令は、その実行によって、さらに、前記差が前記閾値の範囲外で目立つ不良画素であるとき前記現行画素のテストを終了し、前記完全テストの前記プログラム命令は、さらに、前記目立つ不良画素のテストを開始する、請求項32に記載のプログラム命令。
【請求項34】
前記迅速テストの前記プログラム命令は、その実行によって、少なくとも1つのルックアップテーブルから前記閾値を調べる、請求項30に記載のプログラム命令で、ここにおいて、前記色は少なくとも1つのルックアップテーブルに蓄積されたホット、ウォーム、コールドの画素値に区分された複数の画素値を備え、各画素値はそれぞれの閾値にマッピングし、前記画素値が増加するにつれて前記各閾値は甘くなる、請求項30に記載のプログラム命令。
【請求項35】
青色の各画素値に対する前記閾値は赤色および緑色に対する前記閾値よりもより甘くされている、請求項34に記載のプログラム命令。
【請求項36】
前記赤色のいくつかの画素色調に対する前記閾値は、前記緑色に対する前記閾値よりもより甘くされている、請求項35に記載のプログラム命令。
【請求項37】
プロセッサによって実行可能なプログラム命令であって、その実行によって、
画像中の現行画素の画素値とただ1つの良好な近隣画素の画素値との差を、前記画像中の目立つ不良画素をゼロにするように選択された閾値と比較することにより前記現行画素を迅速テストする、
プログラム命令。
【請求項38】
前記プログラム命令は、その実行により、さらに、前記現行画素が前記迅速テストで不良とされた場合にのみ、前記現行画素がカーネル中で不良画素かどうかを評価するために前記現行画素を完全テストする、請求項37に記載のプログラム命令。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−524367(P2009−524367A)
【公表日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−551561(P2008−551561)
【出願日】平成19年1月19日(2007.1.19)
【国際出願番号】PCT/US2007/060806
【国際公開番号】WO2007/085006
【国際公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【出願人】(595020643)クゥアルコム・インコーポレイテッド (7,166)
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED
【Fターム(参考)】