付加機能優先設定機能を有する通信端末
【課題】付加機能優先設定機能を有する通信端末に関し、通信機能以外の付加機能の動作状況に加え、付加機能に対するユーザの使用状況に応じた通信機能と付加機能との優先設定を可能にする。
【解決手段】カメラ機能を有する通信端末において、単位時間当たりのカメラ画像の移動量を測定する動き検出部142を追加し、画像移動量が多いときユーザは被写体の探索中であると見做して通信機能優先とし、画像移動量が少ないときユーザはシャッターを切る間際と見做してカメラ機能優先とする。また、ゲーム等のアプリケーションソフトウェア機能を有する通信端末において、単位時間当たりのキーボタンの押下数を測定する押下数計測部141を追加し、キーボタンの押下数が設定閾値より多いときユーザは余裕がないと見做してアプリケーションソフトウェア機能優先とし、キーボタンの押下数が少ないときユーザは余裕があると見做して通信機能優先とする。
【解決手段】カメラ機能を有する通信端末において、単位時間当たりのカメラ画像の移動量を測定する動き検出部142を追加し、画像移動量が多いときユーザは被写体の探索中であると見做して通信機能優先とし、画像移動量が少ないときユーザはシャッターを切る間際と見做してカメラ機能優先とする。また、ゲーム等のアプリケーションソフトウェア機能を有する通信端末において、単位時間当たりのキーボタンの押下数を測定する押下数計測部141を追加し、キーボタンの押下数が設定閾値より多いときユーザは余裕がないと見做してアプリケーションソフトウェア機能優先とし、キーボタンの押下数が少ないときユーザは余裕があると見做して通信機能優先とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、付加機能優先設定機能を有する通信端末に関し、本来の通信機能と共に通信以外の付加機能を備えた通信端末であって、通信機能と付加機能の何れを優先的に動作させるかを設定する機能を備えた通信端末に関する。
【0002】
近年、通信端末の中でも、移動電話等に代表される移動体通信は飛躍的に発展し、今後とも加入者数の増加が見込まれている。また、通信種別として従来の音声通信に加え、非音声通信であるデータ通信の利用率が急増しつつある。また、移動端末等の通信端末において、元々の通信機能に加え、ゲームや文書作成などのアプリケーションソフトウェア機能、カメラ、ラジオさらにテレビなどの機能を付加した多機能化が進んでいる。
【0003】
そのため、通信端末の使用として、本来の通信機能よりそれ以外の付加機能を使用する頻度が高いユーザも少なくはない。それに伴い、通信機能以外の付加機能の動作状況に応じて、通信機能と他の付加機能との優先動作の設定を行うことができる通信端末が提案されている。本発明は、付加機能を有する通信端末における付加機能の優先動作制御に係るものである。
【背景技術】
【0004】
従来の通信端末の構成例を図6に示す。通信端末は、データ送受信部601、制御部611、記憶部612、マイク部621、スピーカ部622、キー入力部623、画面表示部624、ラジオ/テレビ受信部631、カメラ部632等から構成される。
【0005】
また、機能優先設定における画面表示部624の画面遷移を図7に示す。通信端末が呼出し(着信)の待受け状態のとき、ユーザはキー入力部623及び画面表示部624を使用して、機能優先設定を行うことができる。機能選択画面711は待受け画面701より移行する。機能選択画面711では、通信機能より優先動作させたい付加機能を選択して設定することができる。
【0006】
例えば、優先動作させる付加機能としてカメラを選択したとすると、カメラ優先設定画面カメラ721へ遷移する。同様に、ゲーム、ラジオ、テレビなど、優先動作させる付加機能の選択に従い、それぞれの優先設定画面に遷移する。各優先設定画面では、各付加機能が動作したときの通信機能に対する優先設定を行うことができる。これらの付加機能の優先設定は、記憶部612に保持される。
【0007】
通信機能以外の付加機能を優先設定すると、該付加機能の動作状況に応じて、呼出し(着信)に対する通信端末の動作が変更される。通信機能以外の付加機能が動作し、通信機能に対する該付加機能の優先設定が有効であるとき、通信端末では、
(i)呼出し(着信)時に網に対して応答しない、
(ii)呼出し(着信)に対して相手端末に応答できない旨を示す通知メッセージを送信する、又は
(iii)予め網に応答できない旨を示す通知メッセージを送信し、呼出し(着信)を行わせない、
などの動作に変更される。これらの動作の変更は、通信端末にて予め選択され設定されるが、ユーザが任意に選択することもできる。
【0008】
通信機能以外の付加機能が動作し、通信機能に対する付加機能の優先設定が有効であるとき、呼出し(着信)に対して応答しない動作が選択され設定された通信端末の状態遷移を図8に示す。同様に、呼出し(着信)に対して相手端末に応答できない旨を示す通知メッセージを送信する動作が選択され設定された通信端末の状態遷移も図8となる。また、そのときの呼出し(着信)シーケンスを図11に示す。
【0009】
通信機能以外の付加機能が動作していないとき、通信端末は通信機能優先状態である(ステップ801)。また、通信機能以外の付加機能が開始されると(ステップ802)、通信機能に対する優先設定が有効か無効を判定し(ステップ803)、該優先設定が無効である場合、通信機能優先状態となる。この状態にて通信端末に呼出し(着信)があると、通信端末は呼出し(着信)に応答する(図10参照)。
【0010】
通信機能以外の付加機能が開始され、該付加機能の通信機能に対する優先設定が有効であるとき、付加機能優先状態となる(ステップ804)。この状態において、通信端末に呼出し(着信)があると、通信端末はその付加機能の動作を継続し、呼出し(着信)に応答しない(図11(a)参照)。或いは、その付加機能の動作を継続し、相手端末に応答できない旨を示す通知メッセージを送信する(図11(b)参照)。通信機能以外の付加機能が終了すると(ステップ821)、通信機能優先状態となる(ステップ822)。
【0011】
一方、通信機能以外の付加機能が動作し、該付加機能の通信機能に対する優先設定が有効であるとき、予め網に応答できない旨を示す通知メッセージを送信し、呼出し(着信)を行わせない動作が選択・設定された通信端末の状態遷移を図9に示す。また、そのときの呼出し(着信)シーケンスを図12に示す。
【0012】
図9に示すように、通信機能以外の付加機能が動作していないとき、通信機能優先状態である(ステップ901)。また、通信機能以外の付加機能が開始されると(ステップ902)、該付加機能の通信機能に対する優先設定が有効か無効を判定し(ステップ903)、通信機能に対する優先設定が無効である場合、通信機能優先状態となる。この状態にて、通信端末に呼出し(着信)があると、通信端末は呼出し(着信)に応答する(図10参照)。
【0013】
通信機能以外の付加機能が開始され、かつ該付加機能の通信機能に対する優先設定が有効であるとき、付加機能優先状態となる(ステップ904)。このとき、通信端末は網に応答できない旨を示す通知メッセージを送信し(ステップ905)、網はその通信端末に対して着信拒否状態となる。この状態にて相手端末が発信しても、網からその通信端末に対する呼出し(着信)動作は行われず、また網から相手端末に対して応答できない旨を示す通知メッセージが送信される(図12参照)。
【0014】
通信機能以外の付加機能が終了すると(ステップ921)、通信機能優先状態となる(ステップ924)。このとき、優先設定が通信機能優先状態であったかどうかを調べ(ステップ922)、優先設定が付加機能優先状態であった場合、通信端末は網に応答できる旨を示す解除メッセージを送信し(ステップ923)、これにより、網はその通信端末に対して着信許可状態となる。
【0015】
例えば、通信機能以外の付加機能が動作し、通信機能に対する優先設定が有効であるとき、呼出し(着信)に対して応答しない動作が通信端末にて予め選択・設定されているとする。このとき、例えば図7のカメラ優先設定画面721のように優先設定が有効であると、カメラ機能が動作中のときに呼出し(着信)があっても、カメラ機能を停止せず呼出し(着信)に応答しない(図11(a)参照)。一方、ラジオ優先設定画面723のように優先設定が無効であると、ラジオ機能が動作中のときに呼出し(着信)があると、ラジオ機能を停止し、呼出し(着信)に応答する(図10参照)。
【0016】
本発明に関連する先行技術文献として、入出力処理の負荷に応じて入出力処理を停止させてカメラ撮像を行うことにより、適切なタイミングでカメラ撮像を行うことができるようにしたカメラ付き携帯電話について下記の特許文献1に記載されている。また、音楽再生中に着信が有った場合に音楽の再生を継続するのか、或いは音楽の再生を停止して着信を報知するのかを自動的に切替える通信端末について下記の特許文献2に記載されている。
【特許文献1】特開2003−110664号公報
【特許文献2】特開2002−223280号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
前述のとおり、通信機能以外の付加機能の動作開始に応じて、該付加機能と通信機能との優先設定を任意に切替えることができる通信端末は既に提案されている。しかしながら、従来の優先設定は、通信機能以外の付加機能の動作状況、即ち、該付加機能が動作中か否かに応じて決定される優先設定であり、その付加機能に対するユーザの使用状況を反映した優先設定ではない。例えば、カメラ機能が動作中であっても、シャッターを切る間際には呼出し(着信)に応答したくないが、被写体を探しているときなどのときには、呼出し(着信)に応答したいという優先設定を行うことができない。
【0018】
また、アプリケーションソフトウェア機能の一つであるゲーム機能が動作中であっても、連続性のあるゲームでは呼出し(着信)に応答したくないが、思考しながら操作するゲームでは思考中のときの呼出し(着信)には応答したいという優先設定を行うことができない。そこで、本発明は、通信機能以外の付加機能の動作状況に加え、その付加機能に対するユーザの使用状況に応じて、通信機能と付加機能との優先設定を行うことができる通信端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明による付加機能優先設定機能を有する通信端末は、(1)通信機能と共に付加機能としてカメラ機能を有する通信端末において、該カメラ機能の動作中に、カメラ画像の単位時間当たりの移動量を測定する画像移動量測定手段と、前記画像移動量測定手段により測定された測定値と予め設定された設定閾値との大小を比較し、画像移動量の測定値が予め設定された設定閾値を越えているか否かを出力する画像動き検出手段と、前記画像動き検出手段の出力に従い、画像移動量の測定値が予め設定された設定閾値を越えているときは通信機能を優先し、画像移動量の測定値が予め設定された設定閾値を越えていないときにカメラの付加機能を優先する優先設定手段とを備えたものである。
【0020】
また、(2)通信機能と共に付加機能としてアプリケーションソフトウェア機能を有する通信端末において、アプリケーションソフトウェア機能の動作中に、キーボタンの単位時間当たりの押下数を測定するキーボタン押下数測定手段と、前記キーボタン押下数測定手段により測定された測定値と予め設定された設定閾値との大小を比較し、キーボタン押下数の測定値が予め設定された設定閾値を越えているか否かを出力するキーボタン押下数検出手段と、前記キーボタン押下数検出手段の出力に従い、キーボタン押下数の測定値が予め設定された設定閾値を越えているときはアプリケーションソフトウェアの付加機能を優先し、キーボタン押下数の測定値が予め設定された設定閾値を越えていないときに通信機能を優先する優先設定手段とを備えたものである。
【0021】
また、(3)前記付加機能を通信機能より優先させて動作させたとき、着信による呼出しに対して、応答動作を停止させることを特徴とする。
また、(4)前記付加機能を通信機能より優先させて動作させたとき、着信による呼出しに対して、応答することができない旨の通知メッセージを相手端末に送信することを特徴とする。
また、(5)前記付加機能を通信機能より優先させて動作させたとき、着信による呼出しに応答することができない旨の通知メッセージを予め通信網に送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、カメラ機能を有する通信端末において、単位時間当たりのカメラ画像の移動量を測定する機能を追加し、画像移動量が多いとき、ユーザは被写体の探索中であると見做して通信機能優先とし、画像移動量が少ないとき、ユーザはシャッターを切る間際と見做してカメラ機能優先とする優先設定を行うことにより、カメラ機能の動作状況に加えてユーザによるカメラ機能の使用状況に応じた優先設定が可能となる。
【0023】
また、ゲームや文書作成などのアプリケーションソフトウェア機能を有する通信端末において、単位時間当たりのキーボタンの押下数を測定する機能を追加し、キーボタンの押下数が設定閾値より多いとき、ユーザは余裕がないと見做してアプリケーションソフトウェア機能優先とし、キーボタンの押下数が少ないとき、ユーザは余裕があると見做して通信機能優先とする優先設定を行うことにより、アプリケーションソフトウェア機能おけるユーザの使用状況に応じた通信機能との優先設定が可能となる。
【0024】
これにより、ユーザは通信端末の各機能すなわち通信機能及び各付加機能を有効に活用することができる。例えば、通信機能以外の付加機能を優先するために付加機能優先設定を行っていたユーザは、付加機能優先設定の有効時間が短くなるため、従来と比較して呼出し(着信)機会を失う確率が下がり、通信機能を有効に活用することができる。
【0025】
また、ユーザは付加機能優先設定の操作の手間を省くことができる。例えば、アプリケーションソフトウェア機能の一つであるゲーム機能において、従来そのゲーム種別により付加機能優先設定を手動で切替えていたユーザは、ゲーム種別により変動するキーボタンの使用状況に応じて付加機能と通信機能との優先設定が自動的に切替わるため、優先的に動作させる機能の設定の手間を省くことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明による通信端末の構成例を図1に示す。通信端末は、データ送受信部101、制御部111、記憶部112、マイク部121、スピーカ部122、キー入力部123、画面表示部124、ラジオ/テレビ受信部131、カメラ部132の機能部に加え、制御部111にキーボタン(キーパッド)の押下数計測部141及び動き検出部142を追加する。
【0027】
また、本発明による機能優先設定における画面表示部124の画面遷移の例を図2に示す。通信端末が待受け状態のとき、ユーザは、キー入力部123及び画面表示部124を使用して機能優先設定を行う。機能選択画面211は、待受け画面201より移行する。
【0028】
機能選択画面211では、通信機能に対して優先的に動作させる付加機能を選択することができる。例えば、カメラ機能を選択すると、カメラ優先設定画面221へ遷移する。同様に、ゲーム、ラジオ、テレビなど、選択した付加機能に応じて、それぞれの優先設定画面222、223、・・・に遷移する。
【0029】
各機能の優先設定画面221、222、223、・・・では、各付加機能が動作したときの通信機能に対する優先設定及び詳細設定を行うことができる。優先設定は付加機能の動作状況に応じた設定であり、詳細設定はユーザの使用状況に応じた設定である。例えば、カメラ優先設定画面221では、詳細設定として単位時間及びその時間当たりのカメラ画像の移動量を設定するものとする。
【0030】
単位時間は予め移動端末に設定されていてもよい。また、この設定閾値としての移動量は、画像の動きの長さを表す数値でも、動きの量を段階的に表す語句等の表記、例えば「多」、「中」、「少」等の何れかを指定して設定してもよい。移動量が動きの量を段階的に表す語句等の表記のとき、その表記に対応する数値は予め移動端末にて設定される。該設定閾値より画像移動測定値が多い場合、ユーザは被写体の探索中であると見做し、画像移動測定値が設定閾値より少ない場合、ユーザはシャッターを切る間際であると見做す。
【0031】
ゲーム優先設定画面222では、詳細設定として単位時間及びその時間当たりのキーボタン(キーパッド)の押下数を設定閾値として設定するものとする。単位時間は予め移動端末に設定されていてもよい。また、設定閾値は、回数を表す数値でも、回数の多少を段階的に表す語句等の表記、例えば「多」、「中」、「少」等の何れかを指定して設定してもよい。回数の多少を段階的に表す語句等の表記のとき、その表記に対応する数値は予め移動端末にて設定される。
【0032】
設定閾値よりキーボタンの押下数が多いとき、ユーザはゲーム等に注意を傾け、呼出し(着信)に応答する余裕がないと見做し、設定閾値よりキーボタンの押下数が少ないとき、ユーザは呼出し(着信)に応答する余裕があると見做す。これらの機能優先設定は記憶部112に保持される。
【0033】
本発明の通信端末の状態遷移の第1の実施形態を図3に示す。通信機能以外の付加機能が非動作のとき、通信機能優先状態である(ステップ301)。通信機能以外の付加機能が開始され(ステップ302)、そのとき通信機能に対する付加機能の優先設定が有効であるか無効であるかを判定し(ステップ303)、付加機能の優先設定が無効である場合、通信機能優先状態となる。この状態で通信端末に呼出し(着信)があると、通信端末は呼出し(着信)に応答する(図10参照)。
【0034】
通信機能以外の付加機能が開始され、通信機能に対する該付加機能の優先設定が有効であるとき、詳細設定が有効であるか無効であるかを判定し(ステップ304)、詳細設定が無効であるとき、付加機能優先状態となる(ステップ305)。この状態で通信端末に呼出し(着信)があると、通信端末はその付加機能を停止せず、呼出し(着信)にも応答しない(図11(a)参照)、或いは、その付加機能を停止せず、相手端末に応答できない旨を示す通知メッセージを送信する(図11(b)参照)。
【0035】
一方、通信機能以外の付加機能が開始され、通信機能に対する優先設定が有効かつ詳細設定も有効であるとき、他の付加機能が終了したか否かを判定し(ステップ311)、他の付加機能が終了していないとき、設定閾値と測定値とを比較する(ステップ312)。
【0036】
例えば、通信機能以外の付加機能がカメラ機能である場合、設定閾値はカメラ優先設定画面221の詳細設定、即ちユーザが設定する単位時間及びその時間当たりのカメラ画像の移動量から導かれる。測定値は、制御部111の動き検出部142が測定するカメラ部132からのカメラ画像の移動量である。
【0037】
また、通信機能以外の付加機能がアプリケーションソフトウェア機能の一つであるゲーム機能である場合、設定閾値はゲーム優先設定画面222の詳細設定、即ちユーザが設定する単位時間及びその時間当たりのキーボタンの押下数から導かれる。測定値は、制御部111の押下数計測部141が測定するキー入力部123からのキーボタンの押下数である。
【0038】
設定閾値と測定値との大小比較の結果、付加機能優先状態となった場合(ステップ313)、この状態にて通信端末に呼出し(着信)があると、通信端末は該付加機能の動作を停止せず、呼出し(着信)にも応答しない(図11(a)参照)、又は、該付加機能の動作を停止せず、相手端末に応答できない旨を示す通知メッセージを送信する(図11(b)参照)。
【0039】
また、設定閾値と測定値との大小比較の結果、通信機能優先状態となった場合(ステップ314)、この状態にて通信端末に呼出し(着信)があると、通信端末は呼出し(着信)に応答する(図10参照)。設定閾値と測定値との比較(ステップ312)は、各優先設定画面においてユーザが設定した単位時間に従い、周期的に行われる。通信機能以外の付加機能が終了(ステップ321)すると、通信機能優先状態になる(ステップ322)。
【0040】
本発明の通信端末の状態遷移の第2の実施形態を図4及び図5に示す。通信機能以外の付加機能が非動作のとき、通信機能優先状態である(ステップ401)。通信機能以外の付加機能が開始され(ステップ402)、そのとき通信機能に対する優先設定が有効であるか無効であるかを判定し(ステップ403)、通信機能に対する付加機能の優先設定が無効である場合、通信機能優先状態となる。この状態で通信端末に呼出し(着信)があると、通信端末は呼出し(着信)に応答する(図10参照)。
【0041】
通信機能以外の機能が開始され、通信機能に対する該付加機能の優先設定が有効であるとき、詳細設定が有効であるか無効であるかを判定し(ステップ404)、詳細設定が無効であるとき、付加機能優先状態となり(ステップ405)、通信端末は通信網に応答できない旨を示す通知メッセージを送信し(ステップ406)、通信網はその通信端末に対して着信拒否状態となる。この状態にて相手端末が発信しても、通信網からその通信端末に対して呼出し(着信)は行われず、また通信網から相手端末に対して応答できない旨を示す通知メッセージが送信される(図12参照)。
【0042】
一方、通信機能以外の付加機能が開始され、通信機能に対する優先設定が有効かつ詳細設定も有効であるとき、他の付加機能が終了したか否かを判定し(ステップ511)、他の付加機能が終了していないとき、設定閾値と測定値とを比較する(ステップ512)。
【0043】
例えば、通信機能以外の機能がカメラ機能のとき、設定閾値はカメラ優先設定画面221の詳細設定、即ちユーザが設定する単位時間及びその時間当たりのカメラ画像の移動量から導かれる。測定値は、制御部111の動き検出部142が測定するカメラ部132からのカメラ画像の移動量である。
【0044】
また、通信機能以外の付加機能がアプリケーションソフトウェア機能の一つであるゲーム機能である場合、設定閾値はゲーム優先設定画面222の詳細設定、即ちユーザが設定する単位時間及びその時間当たりのキーボタンの押下数から導かれる。測定値は、制御部111の押下数計測部141が測定するキー入力部123からのキーボタンの押下数である。
【0045】
設定閾値と測定値との大小比較の結果、付加機能優先状態となった場合、このとき、通信機能優先状態から遷移するのか、付加機能優先状態から遷移するのかを識別するために、付加機能優先状態であるか否かを判定し(ステップ513)、付加機能優先状態でない場合は、付加機能優先状態に遷移し(ステップ514)、通信端末は網に応答できない旨を示す通知メッセージを送信し(ステップ515)、網はその通信端末に対して着信拒否状態となる。この状態にて相手端末が発信しても、網からこの通信端末に対して呼出し(着信)は行われず、また網から相手端末に対して応答できない旨を示す通知メッセージが送信される(図12参照)。
【0046】
設定閾値と測定値との大小比較(ステップ512)の結果、通信機能優先状態となった場合、このとき、通信機能優先状態からの遷移か、付加機能優先状態からの遷移かを識別するために、通信機能優先状態であるか否かを判定し(ステップ516)、付加機能優先状態から遷移するのであれば通信優先状態に設定し(ステップ517)、該通信端末が網に応答できる旨を示す解除メッセージを送信し(ステップ518)、網は該通信端末に対して着信許可状態となる。この状態にて、該通信端末に呼出し(着信)が行われると、該通信端末は呼出し(着信)に応答する(図10参照)。
【0047】
ステップ512における設定閾値と測定値との比較は、各優先設定画面においてユーザが設定した単位時間又は予め移動端末に設定されている単位時間に従い周期的に行われる。通信機能以外の付加機能が終了すると、通信機能優先状態となる(ステップ424)。このとき、付加機能優先状態からの遷移であるか否かを識別するために通信優先状態であるか否かを判定し(ステップ422)、付加機能優先状態からの遷移であれば、該通信端末は網に応答できる旨を示す解除メッセージを送信し(ステップ423)、網はその通信端末に対して着信許可状態となる。
【0048】
ここで、一例として、通信機能以外の付加機能が動作し、該付加機能の通信機能に対する優先設定及び詳細設定が有効であるとき、呼出し(着信)に対して応答しない動作が通信端末にて予め選択され設定されているとする。そして、カメラ優先設定画面221にて優先設定及び詳細設定を有効にし、詳細設定として単位時間を1秒、その時間当たりのカメラ画像の移動量を2cmに設定されたものとする。
【0049】
このとき、1秒当たりのカメラ画像の移動量が2cmを越えない場合に、ユーザはシャッターを切る間際と見做され、カメラ機能が動作中に呼出し(着信)があっても、その機能を停止せず呼出し(着信)にも応答しない(図11(a)参照)。1秒当たりのカメラ画像の移動量が2cmを越える場合は、ユーザは被写体を探していると見做され、カメラ機能が動作中に呼出し(着信)があると、その機能を停止し呼出し(着信)に応答する(図10)。
【0050】
また、ゲーム優先設定画面222にて優先設定及び詳細設定を有効にし、詳細設定として単位時間を10秒、その時間当たりのキーボタンの押下数を5回に設定されたものとする。このとき、10秒当たりのキーボタンの押下数が5回を越える場合は、ユーザは連続性のあるゲームを行っており、呼出し(着信)に応答する余裕がないと見做され、ゲーム機能が動作中に呼出し(着信)が行われても、その機能を停止せず呼出し(着信)にも応答しない(図11(a))。10秒当たりのキーボタンの押下数が5回を越えない場合は、ユーザは思考しながらゲームを行っており、呼出し(着信)に応答する余裕があると見做され、ゲーム機能が動作中に呼出し(着信)があると、その機能を停止し、呼出し(着信)に応答する(図10)。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の通信端末の構成例を示す図である。
【図2】本発明の機能優先設定における画面表示部の画面遷移を示す図である。
【図3】本発明の通信端末の状態遷移の第1の実施形態を示す図である。
【図4】本発明の通信端末の状態遷移の第2の実施形態(その1)を示す図である。
【図5】本発明の通信端末の状態遷移の第2の実施形態(その2)を示す図である。
【図6】従来の通信端末の構成例を示す図である。
【図7】従来の機能優先設定における画面表示部の画面遷移を示す図である。
【図8】従来の機能優先設定における通信端末の状態遷移(呼出しに対して不応答)を示す図である。
【図9】従来の機能優先設定における通信端末の状態遷移(呼出しに対して通知メッセージ送信)を示す図である。
【図10】通常の呼出し(着信)シーケンスを示す図である。
【図11】機能優先設定が有効のときの呼出しシーケンス((a)無応答、(b)応答不可を相手に通知)を示す図である。
【図12】機能優先設定が有効のときの呼出しシーケンス(応答不可を通信網に通知)を示す図である。
【符号の説明】
【0052】
101 データ送受信部
111 制御部
112 記憶部
121 マイク部
122 スピーカ部
123 キー入力部
124 画面表示部
131 ラジオ/テレビ受信部
132 カメラ部
141 押下数計測部
142 動き検出部
【技術分野】
【0001】
本発明は、付加機能優先設定機能を有する通信端末に関し、本来の通信機能と共に通信以外の付加機能を備えた通信端末であって、通信機能と付加機能の何れを優先的に動作させるかを設定する機能を備えた通信端末に関する。
【0002】
近年、通信端末の中でも、移動電話等に代表される移動体通信は飛躍的に発展し、今後とも加入者数の増加が見込まれている。また、通信種別として従来の音声通信に加え、非音声通信であるデータ通信の利用率が急増しつつある。また、移動端末等の通信端末において、元々の通信機能に加え、ゲームや文書作成などのアプリケーションソフトウェア機能、カメラ、ラジオさらにテレビなどの機能を付加した多機能化が進んでいる。
【0003】
そのため、通信端末の使用として、本来の通信機能よりそれ以外の付加機能を使用する頻度が高いユーザも少なくはない。それに伴い、通信機能以外の付加機能の動作状況に応じて、通信機能と他の付加機能との優先動作の設定を行うことができる通信端末が提案されている。本発明は、付加機能を有する通信端末における付加機能の優先動作制御に係るものである。
【背景技術】
【0004】
従来の通信端末の構成例を図6に示す。通信端末は、データ送受信部601、制御部611、記憶部612、マイク部621、スピーカ部622、キー入力部623、画面表示部624、ラジオ/テレビ受信部631、カメラ部632等から構成される。
【0005】
また、機能優先設定における画面表示部624の画面遷移を図7に示す。通信端末が呼出し(着信)の待受け状態のとき、ユーザはキー入力部623及び画面表示部624を使用して、機能優先設定を行うことができる。機能選択画面711は待受け画面701より移行する。機能選択画面711では、通信機能より優先動作させたい付加機能を選択して設定することができる。
【0006】
例えば、優先動作させる付加機能としてカメラを選択したとすると、カメラ優先設定画面カメラ721へ遷移する。同様に、ゲーム、ラジオ、テレビなど、優先動作させる付加機能の選択に従い、それぞれの優先設定画面に遷移する。各優先設定画面では、各付加機能が動作したときの通信機能に対する優先設定を行うことができる。これらの付加機能の優先設定は、記憶部612に保持される。
【0007】
通信機能以外の付加機能を優先設定すると、該付加機能の動作状況に応じて、呼出し(着信)に対する通信端末の動作が変更される。通信機能以外の付加機能が動作し、通信機能に対する該付加機能の優先設定が有効であるとき、通信端末では、
(i)呼出し(着信)時に網に対して応答しない、
(ii)呼出し(着信)に対して相手端末に応答できない旨を示す通知メッセージを送信する、又は
(iii)予め網に応答できない旨を示す通知メッセージを送信し、呼出し(着信)を行わせない、
などの動作に変更される。これらの動作の変更は、通信端末にて予め選択され設定されるが、ユーザが任意に選択することもできる。
【0008】
通信機能以外の付加機能が動作し、通信機能に対する付加機能の優先設定が有効であるとき、呼出し(着信)に対して応答しない動作が選択され設定された通信端末の状態遷移を図8に示す。同様に、呼出し(着信)に対して相手端末に応答できない旨を示す通知メッセージを送信する動作が選択され設定された通信端末の状態遷移も図8となる。また、そのときの呼出し(着信)シーケンスを図11に示す。
【0009】
通信機能以外の付加機能が動作していないとき、通信端末は通信機能優先状態である(ステップ801)。また、通信機能以外の付加機能が開始されると(ステップ802)、通信機能に対する優先設定が有効か無効を判定し(ステップ803)、該優先設定が無効である場合、通信機能優先状態となる。この状態にて通信端末に呼出し(着信)があると、通信端末は呼出し(着信)に応答する(図10参照)。
【0010】
通信機能以外の付加機能が開始され、該付加機能の通信機能に対する優先設定が有効であるとき、付加機能優先状態となる(ステップ804)。この状態において、通信端末に呼出し(着信)があると、通信端末はその付加機能の動作を継続し、呼出し(着信)に応答しない(図11(a)参照)。或いは、その付加機能の動作を継続し、相手端末に応答できない旨を示す通知メッセージを送信する(図11(b)参照)。通信機能以外の付加機能が終了すると(ステップ821)、通信機能優先状態となる(ステップ822)。
【0011】
一方、通信機能以外の付加機能が動作し、該付加機能の通信機能に対する優先設定が有効であるとき、予め網に応答できない旨を示す通知メッセージを送信し、呼出し(着信)を行わせない動作が選択・設定された通信端末の状態遷移を図9に示す。また、そのときの呼出し(着信)シーケンスを図12に示す。
【0012】
図9に示すように、通信機能以外の付加機能が動作していないとき、通信機能優先状態である(ステップ901)。また、通信機能以外の付加機能が開始されると(ステップ902)、該付加機能の通信機能に対する優先設定が有効か無効を判定し(ステップ903)、通信機能に対する優先設定が無効である場合、通信機能優先状態となる。この状態にて、通信端末に呼出し(着信)があると、通信端末は呼出し(着信)に応答する(図10参照)。
【0013】
通信機能以外の付加機能が開始され、かつ該付加機能の通信機能に対する優先設定が有効であるとき、付加機能優先状態となる(ステップ904)。このとき、通信端末は網に応答できない旨を示す通知メッセージを送信し(ステップ905)、網はその通信端末に対して着信拒否状態となる。この状態にて相手端末が発信しても、網からその通信端末に対する呼出し(着信)動作は行われず、また網から相手端末に対して応答できない旨を示す通知メッセージが送信される(図12参照)。
【0014】
通信機能以外の付加機能が終了すると(ステップ921)、通信機能優先状態となる(ステップ924)。このとき、優先設定が通信機能優先状態であったかどうかを調べ(ステップ922)、優先設定が付加機能優先状態であった場合、通信端末は網に応答できる旨を示す解除メッセージを送信し(ステップ923)、これにより、網はその通信端末に対して着信許可状態となる。
【0015】
例えば、通信機能以外の付加機能が動作し、通信機能に対する優先設定が有効であるとき、呼出し(着信)に対して応答しない動作が通信端末にて予め選択・設定されているとする。このとき、例えば図7のカメラ優先設定画面721のように優先設定が有効であると、カメラ機能が動作中のときに呼出し(着信)があっても、カメラ機能を停止せず呼出し(着信)に応答しない(図11(a)参照)。一方、ラジオ優先設定画面723のように優先設定が無効であると、ラジオ機能が動作中のときに呼出し(着信)があると、ラジオ機能を停止し、呼出し(着信)に応答する(図10参照)。
【0016】
本発明に関連する先行技術文献として、入出力処理の負荷に応じて入出力処理を停止させてカメラ撮像を行うことにより、適切なタイミングでカメラ撮像を行うことができるようにしたカメラ付き携帯電話について下記の特許文献1に記載されている。また、音楽再生中に着信が有った場合に音楽の再生を継続するのか、或いは音楽の再生を停止して着信を報知するのかを自動的に切替える通信端末について下記の特許文献2に記載されている。
【特許文献1】特開2003−110664号公報
【特許文献2】特開2002−223280号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
前述のとおり、通信機能以外の付加機能の動作開始に応じて、該付加機能と通信機能との優先設定を任意に切替えることができる通信端末は既に提案されている。しかしながら、従来の優先設定は、通信機能以外の付加機能の動作状況、即ち、該付加機能が動作中か否かに応じて決定される優先設定であり、その付加機能に対するユーザの使用状況を反映した優先設定ではない。例えば、カメラ機能が動作中であっても、シャッターを切る間際には呼出し(着信)に応答したくないが、被写体を探しているときなどのときには、呼出し(着信)に応答したいという優先設定を行うことができない。
【0018】
また、アプリケーションソフトウェア機能の一つであるゲーム機能が動作中であっても、連続性のあるゲームでは呼出し(着信)に応答したくないが、思考しながら操作するゲームでは思考中のときの呼出し(着信)には応答したいという優先設定を行うことができない。そこで、本発明は、通信機能以外の付加機能の動作状況に加え、その付加機能に対するユーザの使用状況に応じて、通信機能と付加機能との優先設定を行うことができる通信端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明による付加機能優先設定機能を有する通信端末は、(1)通信機能と共に付加機能としてカメラ機能を有する通信端末において、該カメラ機能の動作中に、カメラ画像の単位時間当たりの移動量を測定する画像移動量測定手段と、前記画像移動量測定手段により測定された測定値と予め設定された設定閾値との大小を比較し、画像移動量の測定値が予め設定された設定閾値を越えているか否かを出力する画像動き検出手段と、前記画像動き検出手段の出力に従い、画像移動量の測定値が予め設定された設定閾値を越えているときは通信機能を優先し、画像移動量の測定値が予め設定された設定閾値を越えていないときにカメラの付加機能を優先する優先設定手段とを備えたものである。
【0020】
また、(2)通信機能と共に付加機能としてアプリケーションソフトウェア機能を有する通信端末において、アプリケーションソフトウェア機能の動作中に、キーボタンの単位時間当たりの押下数を測定するキーボタン押下数測定手段と、前記キーボタン押下数測定手段により測定された測定値と予め設定された設定閾値との大小を比較し、キーボタン押下数の測定値が予め設定された設定閾値を越えているか否かを出力するキーボタン押下数検出手段と、前記キーボタン押下数検出手段の出力に従い、キーボタン押下数の測定値が予め設定された設定閾値を越えているときはアプリケーションソフトウェアの付加機能を優先し、キーボタン押下数の測定値が予め設定された設定閾値を越えていないときに通信機能を優先する優先設定手段とを備えたものである。
【0021】
また、(3)前記付加機能を通信機能より優先させて動作させたとき、着信による呼出しに対して、応答動作を停止させることを特徴とする。
また、(4)前記付加機能を通信機能より優先させて動作させたとき、着信による呼出しに対して、応答することができない旨の通知メッセージを相手端末に送信することを特徴とする。
また、(5)前記付加機能を通信機能より優先させて動作させたとき、着信による呼出しに応答することができない旨の通知メッセージを予め通信網に送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、カメラ機能を有する通信端末において、単位時間当たりのカメラ画像の移動量を測定する機能を追加し、画像移動量が多いとき、ユーザは被写体の探索中であると見做して通信機能優先とし、画像移動量が少ないとき、ユーザはシャッターを切る間際と見做してカメラ機能優先とする優先設定を行うことにより、カメラ機能の動作状況に加えてユーザによるカメラ機能の使用状況に応じた優先設定が可能となる。
【0023】
また、ゲームや文書作成などのアプリケーションソフトウェア機能を有する通信端末において、単位時間当たりのキーボタンの押下数を測定する機能を追加し、キーボタンの押下数が設定閾値より多いとき、ユーザは余裕がないと見做してアプリケーションソフトウェア機能優先とし、キーボタンの押下数が少ないとき、ユーザは余裕があると見做して通信機能優先とする優先設定を行うことにより、アプリケーションソフトウェア機能おけるユーザの使用状況に応じた通信機能との優先設定が可能となる。
【0024】
これにより、ユーザは通信端末の各機能すなわち通信機能及び各付加機能を有効に活用することができる。例えば、通信機能以外の付加機能を優先するために付加機能優先設定を行っていたユーザは、付加機能優先設定の有効時間が短くなるため、従来と比較して呼出し(着信)機会を失う確率が下がり、通信機能を有効に活用することができる。
【0025】
また、ユーザは付加機能優先設定の操作の手間を省くことができる。例えば、アプリケーションソフトウェア機能の一つであるゲーム機能において、従来そのゲーム種別により付加機能優先設定を手動で切替えていたユーザは、ゲーム種別により変動するキーボタンの使用状況に応じて付加機能と通信機能との優先設定が自動的に切替わるため、優先的に動作させる機能の設定の手間を省くことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明による通信端末の構成例を図1に示す。通信端末は、データ送受信部101、制御部111、記憶部112、マイク部121、スピーカ部122、キー入力部123、画面表示部124、ラジオ/テレビ受信部131、カメラ部132の機能部に加え、制御部111にキーボタン(キーパッド)の押下数計測部141及び動き検出部142を追加する。
【0027】
また、本発明による機能優先設定における画面表示部124の画面遷移の例を図2に示す。通信端末が待受け状態のとき、ユーザは、キー入力部123及び画面表示部124を使用して機能優先設定を行う。機能選択画面211は、待受け画面201より移行する。
【0028】
機能選択画面211では、通信機能に対して優先的に動作させる付加機能を選択することができる。例えば、カメラ機能を選択すると、カメラ優先設定画面221へ遷移する。同様に、ゲーム、ラジオ、テレビなど、選択した付加機能に応じて、それぞれの優先設定画面222、223、・・・に遷移する。
【0029】
各機能の優先設定画面221、222、223、・・・では、各付加機能が動作したときの通信機能に対する優先設定及び詳細設定を行うことができる。優先設定は付加機能の動作状況に応じた設定であり、詳細設定はユーザの使用状況に応じた設定である。例えば、カメラ優先設定画面221では、詳細設定として単位時間及びその時間当たりのカメラ画像の移動量を設定するものとする。
【0030】
単位時間は予め移動端末に設定されていてもよい。また、この設定閾値としての移動量は、画像の動きの長さを表す数値でも、動きの量を段階的に表す語句等の表記、例えば「多」、「中」、「少」等の何れかを指定して設定してもよい。移動量が動きの量を段階的に表す語句等の表記のとき、その表記に対応する数値は予め移動端末にて設定される。該設定閾値より画像移動測定値が多い場合、ユーザは被写体の探索中であると見做し、画像移動測定値が設定閾値より少ない場合、ユーザはシャッターを切る間際であると見做す。
【0031】
ゲーム優先設定画面222では、詳細設定として単位時間及びその時間当たりのキーボタン(キーパッド)の押下数を設定閾値として設定するものとする。単位時間は予め移動端末に設定されていてもよい。また、設定閾値は、回数を表す数値でも、回数の多少を段階的に表す語句等の表記、例えば「多」、「中」、「少」等の何れかを指定して設定してもよい。回数の多少を段階的に表す語句等の表記のとき、その表記に対応する数値は予め移動端末にて設定される。
【0032】
設定閾値よりキーボタンの押下数が多いとき、ユーザはゲーム等に注意を傾け、呼出し(着信)に応答する余裕がないと見做し、設定閾値よりキーボタンの押下数が少ないとき、ユーザは呼出し(着信)に応答する余裕があると見做す。これらの機能優先設定は記憶部112に保持される。
【0033】
本発明の通信端末の状態遷移の第1の実施形態を図3に示す。通信機能以外の付加機能が非動作のとき、通信機能優先状態である(ステップ301)。通信機能以外の付加機能が開始され(ステップ302)、そのとき通信機能に対する付加機能の優先設定が有効であるか無効であるかを判定し(ステップ303)、付加機能の優先設定が無効である場合、通信機能優先状態となる。この状態で通信端末に呼出し(着信)があると、通信端末は呼出し(着信)に応答する(図10参照)。
【0034】
通信機能以外の付加機能が開始され、通信機能に対する該付加機能の優先設定が有効であるとき、詳細設定が有効であるか無効であるかを判定し(ステップ304)、詳細設定が無効であるとき、付加機能優先状態となる(ステップ305)。この状態で通信端末に呼出し(着信)があると、通信端末はその付加機能を停止せず、呼出し(着信)にも応答しない(図11(a)参照)、或いは、その付加機能を停止せず、相手端末に応答できない旨を示す通知メッセージを送信する(図11(b)参照)。
【0035】
一方、通信機能以外の付加機能が開始され、通信機能に対する優先設定が有効かつ詳細設定も有効であるとき、他の付加機能が終了したか否かを判定し(ステップ311)、他の付加機能が終了していないとき、設定閾値と測定値とを比較する(ステップ312)。
【0036】
例えば、通信機能以外の付加機能がカメラ機能である場合、設定閾値はカメラ優先設定画面221の詳細設定、即ちユーザが設定する単位時間及びその時間当たりのカメラ画像の移動量から導かれる。測定値は、制御部111の動き検出部142が測定するカメラ部132からのカメラ画像の移動量である。
【0037】
また、通信機能以外の付加機能がアプリケーションソフトウェア機能の一つであるゲーム機能である場合、設定閾値はゲーム優先設定画面222の詳細設定、即ちユーザが設定する単位時間及びその時間当たりのキーボタンの押下数から導かれる。測定値は、制御部111の押下数計測部141が測定するキー入力部123からのキーボタンの押下数である。
【0038】
設定閾値と測定値との大小比較の結果、付加機能優先状態となった場合(ステップ313)、この状態にて通信端末に呼出し(着信)があると、通信端末は該付加機能の動作を停止せず、呼出し(着信)にも応答しない(図11(a)参照)、又は、該付加機能の動作を停止せず、相手端末に応答できない旨を示す通知メッセージを送信する(図11(b)参照)。
【0039】
また、設定閾値と測定値との大小比較の結果、通信機能優先状態となった場合(ステップ314)、この状態にて通信端末に呼出し(着信)があると、通信端末は呼出し(着信)に応答する(図10参照)。設定閾値と測定値との比較(ステップ312)は、各優先設定画面においてユーザが設定した単位時間に従い、周期的に行われる。通信機能以外の付加機能が終了(ステップ321)すると、通信機能優先状態になる(ステップ322)。
【0040】
本発明の通信端末の状態遷移の第2の実施形態を図4及び図5に示す。通信機能以外の付加機能が非動作のとき、通信機能優先状態である(ステップ401)。通信機能以外の付加機能が開始され(ステップ402)、そのとき通信機能に対する優先設定が有効であるか無効であるかを判定し(ステップ403)、通信機能に対する付加機能の優先設定が無効である場合、通信機能優先状態となる。この状態で通信端末に呼出し(着信)があると、通信端末は呼出し(着信)に応答する(図10参照)。
【0041】
通信機能以外の機能が開始され、通信機能に対する該付加機能の優先設定が有効であるとき、詳細設定が有効であるか無効であるかを判定し(ステップ404)、詳細設定が無効であるとき、付加機能優先状態となり(ステップ405)、通信端末は通信網に応答できない旨を示す通知メッセージを送信し(ステップ406)、通信網はその通信端末に対して着信拒否状態となる。この状態にて相手端末が発信しても、通信網からその通信端末に対して呼出し(着信)は行われず、また通信網から相手端末に対して応答できない旨を示す通知メッセージが送信される(図12参照)。
【0042】
一方、通信機能以外の付加機能が開始され、通信機能に対する優先設定が有効かつ詳細設定も有効であるとき、他の付加機能が終了したか否かを判定し(ステップ511)、他の付加機能が終了していないとき、設定閾値と測定値とを比較する(ステップ512)。
【0043】
例えば、通信機能以外の機能がカメラ機能のとき、設定閾値はカメラ優先設定画面221の詳細設定、即ちユーザが設定する単位時間及びその時間当たりのカメラ画像の移動量から導かれる。測定値は、制御部111の動き検出部142が測定するカメラ部132からのカメラ画像の移動量である。
【0044】
また、通信機能以外の付加機能がアプリケーションソフトウェア機能の一つであるゲーム機能である場合、設定閾値はゲーム優先設定画面222の詳細設定、即ちユーザが設定する単位時間及びその時間当たりのキーボタンの押下数から導かれる。測定値は、制御部111の押下数計測部141が測定するキー入力部123からのキーボタンの押下数である。
【0045】
設定閾値と測定値との大小比較の結果、付加機能優先状態となった場合、このとき、通信機能優先状態から遷移するのか、付加機能優先状態から遷移するのかを識別するために、付加機能優先状態であるか否かを判定し(ステップ513)、付加機能優先状態でない場合は、付加機能優先状態に遷移し(ステップ514)、通信端末は網に応答できない旨を示す通知メッセージを送信し(ステップ515)、網はその通信端末に対して着信拒否状態となる。この状態にて相手端末が発信しても、網からこの通信端末に対して呼出し(着信)は行われず、また網から相手端末に対して応答できない旨を示す通知メッセージが送信される(図12参照)。
【0046】
設定閾値と測定値との大小比較(ステップ512)の結果、通信機能優先状態となった場合、このとき、通信機能優先状態からの遷移か、付加機能優先状態からの遷移かを識別するために、通信機能優先状態であるか否かを判定し(ステップ516)、付加機能優先状態から遷移するのであれば通信優先状態に設定し(ステップ517)、該通信端末が網に応答できる旨を示す解除メッセージを送信し(ステップ518)、網は該通信端末に対して着信許可状態となる。この状態にて、該通信端末に呼出し(着信)が行われると、該通信端末は呼出し(着信)に応答する(図10参照)。
【0047】
ステップ512における設定閾値と測定値との比較は、各優先設定画面においてユーザが設定した単位時間又は予め移動端末に設定されている単位時間に従い周期的に行われる。通信機能以外の付加機能が終了すると、通信機能優先状態となる(ステップ424)。このとき、付加機能優先状態からの遷移であるか否かを識別するために通信優先状態であるか否かを判定し(ステップ422)、付加機能優先状態からの遷移であれば、該通信端末は網に応答できる旨を示す解除メッセージを送信し(ステップ423)、網はその通信端末に対して着信許可状態となる。
【0048】
ここで、一例として、通信機能以外の付加機能が動作し、該付加機能の通信機能に対する優先設定及び詳細設定が有効であるとき、呼出し(着信)に対して応答しない動作が通信端末にて予め選択され設定されているとする。そして、カメラ優先設定画面221にて優先設定及び詳細設定を有効にし、詳細設定として単位時間を1秒、その時間当たりのカメラ画像の移動量を2cmに設定されたものとする。
【0049】
このとき、1秒当たりのカメラ画像の移動量が2cmを越えない場合に、ユーザはシャッターを切る間際と見做され、カメラ機能が動作中に呼出し(着信)があっても、その機能を停止せず呼出し(着信)にも応答しない(図11(a)参照)。1秒当たりのカメラ画像の移動量が2cmを越える場合は、ユーザは被写体を探していると見做され、カメラ機能が動作中に呼出し(着信)があると、その機能を停止し呼出し(着信)に応答する(図10)。
【0050】
また、ゲーム優先設定画面222にて優先設定及び詳細設定を有効にし、詳細設定として単位時間を10秒、その時間当たりのキーボタンの押下数を5回に設定されたものとする。このとき、10秒当たりのキーボタンの押下数が5回を越える場合は、ユーザは連続性のあるゲームを行っており、呼出し(着信)に応答する余裕がないと見做され、ゲーム機能が動作中に呼出し(着信)が行われても、その機能を停止せず呼出し(着信)にも応答しない(図11(a))。10秒当たりのキーボタンの押下数が5回を越えない場合は、ユーザは思考しながらゲームを行っており、呼出し(着信)に応答する余裕があると見做され、ゲーム機能が動作中に呼出し(着信)があると、その機能を停止し、呼出し(着信)に応答する(図10)。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の通信端末の構成例を示す図である。
【図2】本発明の機能優先設定における画面表示部の画面遷移を示す図である。
【図3】本発明の通信端末の状態遷移の第1の実施形態を示す図である。
【図4】本発明の通信端末の状態遷移の第2の実施形態(その1)を示す図である。
【図5】本発明の通信端末の状態遷移の第2の実施形態(その2)を示す図である。
【図6】従来の通信端末の構成例を示す図である。
【図7】従来の機能優先設定における画面表示部の画面遷移を示す図である。
【図8】従来の機能優先設定における通信端末の状態遷移(呼出しに対して不応答)を示す図である。
【図9】従来の機能優先設定における通信端末の状態遷移(呼出しに対して通知メッセージ送信)を示す図である。
【図10】通常の呼出し(着信)シーケンスを示す図である。
【図11】機能優先設定が有効のときの呼出しシーケンス((a)無応答、(b)応答不可を相手に通知)を示す図である。
【図12】機能優先設定が有効のときの呼出しシーケンス(応答不可を通信網に通知)を示す図である。
【符号の説明】
【0052】
101 データ送受信部
111 制御部
112 記憶部
121 マイク部
122 スピーカ部
123 キー入力部
124 画面表示部
131 ラジオ/テレビ受信部
132 カメラ部
141 押下数計測部
142 動き検出部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信機能と共にアプリケーションソフトウェア機能を有する通信端末において、
該アプリケーションソフトウェア機能の動作中に、キーボタンの単位時間当たりの押下数を測定するキーボタン押下数測定手段と、
前記キーボタン押下数測定手段により測定された測定値と予め設定された設定閾値を越えているときは前記アプリケーションソフトウェア機能を前記通信機能に対して優先し、前記測定値が予め設定された前記設定閾値を越えていないときは、前記通信機能を前記アプリケーションソフトウェア機能に対して優先する優先設定手段と
を備えたことを特徴とする通信端末。
【請求項2】
前記アプリケーションソフトウェア機能を前記通信機能より優先させている際に着信による呼出しがあると、応答動作を停止させることを特徴とする請求項1に記載の通信端末。
【請求項3】
前記アプリケーションソフトウェア機能を前記通信機能より優先させている際に着信による呼出しがあると、応答することができない旨の通知メッセージを相手端末に送信することを特徴とする請求項1に記載の通信端末。
【請求項4】
前記アプリケーションソフトウェア機能を前記通信機能より優先させて動作させたとき、着信による呼出しに応答することができない旨の通知メッセージを予め通信網に送信することを特徴とする請求項に記載の通信端末。
【請求項1】
通信機能と共にアプリケーションソフトウェア機能を有する通信端末において、
該アプリケーションソフトウェア機能の動作中に、キーボタンの単位時間当たりの押下数を測定するキーボタン押下数測定手段と、
前記キーボタン押下数測定手段により測定された測定値と予め設定された設定閾値を越えているときは前記アプリケーションソフトウェア機能を前記通信機能に対して優先し、前記測定値が予め設定された前記設定閾値を越えていないときは、前記通信機能を前記アプリケーションソフトウェア機能に対して優先する優先設定手段と
を備えたことを特徴とする通信端末。
【請求項2】
前記アプリケーションソフトウェア機能を前記通信機能より優先させている際に着信による呼出しがあると、応答動作を停止させることを特徴とする請求項1に記載の通信端末。
【請求項3】
前記アプリケーションソフトウェア機能を前記通信機能より優先させている際に着信による呼出しがあると、応答することができない旨の通知メッセージを相手端末に送信することを特徴とする請求項1に記載の通信端末。
【請求項4】
前記アプリケーションソフトウェア機能を前記通信機能より優先させて動作させたとき、着信による呼出しに応答することができない旨の通知メッセージを予め通信網に送信することを特徴とする請求項に記載の通信端末。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−245294(P2008−245294A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−102039(P2008−102039)
【出願日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【分割の表示】特願2004−232928(P2004−232928)の分割
【原出願日】平成16年8月10日(2004.8.10)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【分割の表示】特願2004−232928(P2004−232928)の分割
【原出願日】平成16年8月10日(2004.8.10)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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