説明

付加重合用触媒成分、付加重合用触媒ならびに付加重合体の製造方法

【課題】 より高分子量の付加重合体を製造し得る付加重合用触媒成分、付加重合用触媒および付加重合体の製造方法を提供すること。
【解決手段】 遷移金属化合物ならびに下記(a)、(b)、(c)および(d)を接触させてなる改質された粒子、あるいはさらに有機アルミニウム化合物を有機溶媒中で接触させた後、溶媒を除去する事によって得られる固体状の付加重合用触媒成分、該付加重合用触媒成分ならびに有機アルミニウム化合物を接触させてなる付加重合用触媒、該付加重合用触媒を用いる付加重合体の製造方法。
(a):下記一般式[1]で表される化合物
11m [1]
(b):下記一般式[2]で表される化合物
1t-1TH [2]
(c):下記一般式[3]で表される化合物
2t-2TH2 [3]
(d):粒子

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、より高分子量の付加重合体を製造し得る付加重合用触媒成分、付加重合用触媒および付加重合体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリプロピレンやポリエチレン等のオレフィン系重合体は、機械的性質、耐薬品性等に優れ、それら特性と経済性とのバランスが優れていることにより各種成形分野に広く用いられている。
【0003】
近年、これらの重合体の製造方法は、単離可能な遷移金属化合物(例えばメタロセン錯体や非メタロセン化合物)からなる遷移金属成分とアルミノキサン等からなる有機金属成分とを組み合わせた、いわゆるシングルサイト触媒を用いて、オレフィン等を付加重合させる製造方法が提案されている。
【0004】
通常のシングルサイト触媒は重合溶媒に可溶であるため、スラリー重合や気相重合のように付加重合体が粒子を形成して生成する重合に適用した場合、均一な形状の付加重合体粒子が得られにくく、粗大または微粒子が生成したり、塊状重合体が発生したり、これらが重合反応器壁に付着するなどして、重合反応器の除熱不良等が起こり、生産性が低下したり、安定運転が困難な状態に陥ったりする問題から、例えば特許文献1にはその解決手段として特定の粒子を触媒成分のひとつとして用いることが記載されている。
【0005】
【特許文献1】国際特許公開第02/051878号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特定の粒子を触媒成分のひとつとして用いる場合、前もって重合溶媒に可溶な遷移金属化合物と組み合わせて単一の固体状触媒とする工程が必要である。その方法としては、予備重合や、遷移金属化合物の粒子への担持が挙げられる。しかしながら、該特許文献1に記載の触媒系においては、前もって遷移金属化合物の粒子への担持を行った場合、重合活性が発現しないという問題があった。従って、遷移金属化合物と粒子状触媒成分から単一の固体状触媒を得るには、予備重合を実施する必要があり、プロセス設計に大きな制約を与える。
【0007】
また、付加重合体の製造に際しては、得られる付加重合体の分子量を水素ガスで調節することが行われている。即ち、重合系内に水素をたくさん入れれば、一般に分子量は低くなる。設計の観点では、高濃度水素の存在下でも高分子量の付加重合体が得られれば、分子量設計の巾が広がるので好ましい。
かかる現状において、本発明が解決しようとする課題、即ち本発明の目的は、より高分子量の付加重合体を製造し得る付加重合用触媒成分、付加重合用触媒および付加重合体の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、遷移金属化合物(A)ならびに下記(a)、(b)、(c)および(d)を接触させてなる改質された粒子(B)、あるいはさらに有機アルミニウム化合物(C)を有機溶媒中で接触させた後、溶媒を除去する事によって得られる固体状の付加重合用触媒成分にかかるものであり、また本発明は、該付加重合用触媒成分ならびに有機アルミニウム化合物(C)を接触させてなる付加重合用触媒にかかるものであり、さらに本発明は、該付加重合用触媒を用いる付加重合体の製造方法にかかるものである。
(a):下記一般式[1]で表される化合物
11m [1]
(b):下記一般式[2]で表される化合物
1t-1TH [2]
(c):下記一般式[3]で表される化合物
2t-2TH2 [3]
(d):粒子
(上記一般式[1]〜[3]においてそれぞれ、M1 は元素周期律表第1、2、12、14または15族の典型金属原子を表し、mはM1 の原子価に相当する数を表す。L1 は水素原子、ハロゲン原子または炭化水素基を表し、L1 が複数存在する場合、複数のL1はそれらは互いに同じであっても異なっていてもよい。R1 は電子吸引性基または電子吸引性基を含有する基を表し、R1 が複数存在する場合、複数のR1はそれらは互いに同じであっても異なっていてもよい。R2 は炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基を表す。Tはそれぞれ独立に元素周期律表の第15族または第16族の原子を表し、tはそれぞれの化合物のTの原子価に相当する数を表す。)
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、より高分子量の付加重合体を製造し得る付加重合用触媒成分、付加重合用触媒および付加重合体の製造方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の付加重合用触媒に用いられる遷移金属化合物(A)としては、以下に記す改質された粒子(B)と合わせて(あるいは更に有機アルミニウム化合物(C)と合わせて)用いることにより付加重合活性を示す遷移金属化合物であれば特に限定されないが、通常、シングルサイト触媒を形成する遷移金属化合物が使用される。本発明におけるシングルサイト触媒とは、従来の固体触媒と区別される触媒であって、分子量分布が狭く均質性の高い付加重合体を製造し得る狭義のシングルサイト触媒のみならず、狭義のシングルサイト触媒と類似の製造方法で製造される、分子量分布が広く均質性の低い付加重合体を製造し得る触媒をも意味する。
【0011】
かかる遷移金属化合物(A)としては、元素周期律表第3〜11族もしくはランタノイド系列の遷移金属化合物が通常用いられ、下記一般式[4]で表される遷移金属化合物またはそのμ−オキソタイプの遷移金属化合物の二量体が好ましい。
2a21b [4]
(式中、M2 は元素周期律表第3〜11族もしくはランタノイド系列の遷移金属原子を表す。L2 はシクロペンタジエン形アニオン骨格を有する基またはヘテロ原子を含有する基を表し、複数のL2 は互いに直接連結されているか、または、炭素原子、ケイ素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子もしくはリン原子を含有する残基を介して連結されていてもよい。X1 はハロゲン原子、炭化水素基(ただし、シクロペンタジエン形アニオン骨格を有する基を除く。)または炭化水素オキシ基を表す。aは0<a≦8を満足する数を表し、bは0<b≦8を満足する数を表す。)
【0012】
一般式[4]のM2としては、例えば、スカンジウム原子、イットリウム原子、チタン原子、ジルコニウム原子、ハフニウム原子、バナジウム原子、ニオビウム原子、タンタル原子、クロム原子、鉄原子、ルテニウム原子、コバルト原子、ロジウム原子、ニッケル原子、パラジウム原子、サマリウム原子、イッテルビウム原子等を挙げられる。なかでも好ましくは、チタン原子、ジルコニウム原子、ハフニウム原子、バナジウム原子、クロム原子、鉄原子、コバルト原子またはニッケル原子であり、より好ましくはチタン原子、ジルコニウム原子またはハフニウム原子であり、特に好ましくはジルコニウム原子である。
【0013】
一般式[4]のL2のシクロペンタジエン形アニオン骨格を有する基としては、例えば、(置換)シクロペンタジエニル基、(置換)インデニル基および(置換)フルオレニル基を挙げることができる。具体的には、シクロペンタジエニル基、メチルシクロペンタジエニル基、エチルシクロペンタジエニル基、n−ブチルシクロペンタジエニル基、tert−ブチルシクロペンタジエニル基、1,2−ジメチルシクロペンタジエニル基、1,3−ジメチルシクロペンタジエニル基、1−メチル−2−エチルシクロペンタジエニル基、1−メチル−3−エチルシクロペンタジエニル基、1−tert−ブチル−2−メチルシクロペンタジエニル基、1−tert−ブチル−3−メチルシクロペンタジエニル基、1−メチル−2−イソプロピルシクロペンタジエニル基、1−メチル−3−イソプロピルシクロペンタジエニル基、1−メチル−2−n−ブチルシクロペンタジエニル基、1−メチル−3−n−ブチルシクロペンタジエニル基、η5 −1,2,3−トリメチルシクロペンタジエニル基、η5 −1,2,4−トリメチルシクロペンタジエニル基、テトラメチルシクロペンタジエニル基、ペンタメチルシクロペンタジエニル基、インデニル基、4,5,6,7−テトラヒドロインデニル基、2−メチルインデニル基、3−メチルインデニル基、4−メチルインデニル基、5−メチルインデニル基、6−メチルインデニル基、7−メチルインデニル基、2−tert−ブチルインデニル基、3−tert−ブチルインデニル基、4−tert−ブチルインデニル基、5−tert−ブチルインデニル基、6−tert−ブチルインデニル基、7−tert−ブチルインデニル基、2,3−ジメチルインデニル基、4,7−ジメチルインデニル基、2,4,7−トリメチルインデニル基、2−メチル−4−イソプロピルインデニル基、4,5−ベンズインデニル基、2−メチル−4,5−ベンズインデニル基、4−フェニルインデニル基、2−メチル−5−フェニルインデニル基、2−メチル−4−フェニルインデニル基、2−メチル−4−ナフチルインデニル基、フルオレニル基、2,7−ジメチルフルオレニル基および2,7−ジ−tert−ブチルフルオレニル基を例示することができる。
【0014】
上記一般式[4]のL2に用いられるシクロペンタジエン型アニオン骨格を有する基の多座性ηは特に限定されなく、シクロペンタジエン型アニオン骨格を有する基のとりうるいずれの値でもよい。例えば、5座、4座、3座、2座、単座が挙げられ、好ましくは5座、3座または単座であり、より好ましくは5座または3座である。
【0015】
一般式[4]におけるL2 のヘテロ原子を含有する基におけるヘテロ原子としては、例えば、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、リン原子を挙げることができ、かかる基としては、アルコキシ基、アリールオキシ基、チオアルコキシ基、チオアリールオキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アルキルホスフィノ基、アリールホスフィノ基、キレート性配位子、あるいは酸素原子、硫黄原子、窒素原子および/またはリン原子を環内に有する芳香族複素環基もしくは脂肪族複素環基が好ましい。
【0016】
一般式[4]におけるL2のヘテロ原子を含有する基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基,2,6−ジメチルフェノキシ基、2,4,6−トリメチルフェノキシ基、2−エチルフェノキシ基、4−n−プロピルフェノキシ基、2−イソプロピルフェノキシ基、2,6−ジイソプロピルフェノキシ基、4−sec−ブチルフェノキシ基、4−tert−ブチルフェノキシ基、2,6−ジ−sec−ブチルフェノキシ基、2−tert−ブチル−4−メチルフェノキシ基、2,6−ジ−tert−ブチルフェノキシ基、4−メトキシフェノキシ基、2,6−ジメトキシフェノキシ基、3,5−ジメトキシフェノキシ基、2−クロロフェノキシ基、4−ニトロソフェノキシ基、4−ニトロフェノキシ基、2−アミノフェノキシ基、3−アミノフェノキシ基、4−アミノチオフェノキシ基、2,3,6−トリクロロフェノキシ基、2,4,6−トリフルオロフェノキシ基、チオメトキシ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジフェニルアミノ基、イソプロピルアミノ基、tert−ブチルアミノ基、ピロリル基、ジメチルホスフィノ基、2−(2−オキシ−1−プロピル)フェノキシ基、カテコール、レゾルシノール、4−イソプロピルカテコール、3−メトキシカテコール、1,8−ジヒドロキシナフチル基、1,2−ジヒドロキシナフチル基、2,2’−ビフエニルジオール基、1,1’−ビ−2−ナフトール基、2,2’−ジヒドロキシ−6,6’−ジメチルビフェニル基、4,4’,6,6’−テトラ−tert−ブチル−2,2’メチレンジフェノキシ基、および4,4’,6,6’−テトラメチル−2,2’−イソブチリデンジフェノキシ基を挙げることができる。
【0017】
また、上記ヘテロ原子を含有する基としては、例えば、下記一般式[5]で表される基も挙げることができる。
33P=N− [5]
(式中、R3はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子または炭化水素基を表し、複数のR3は互いに同じであっても異なっていてもよく、複数のR3のうち、任意の2つ以上が互いに結合していてもよく、環構造を形成していてもよい。)
【0018】
前記一般式[5]におけるR3 の具体例としては、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロへプチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、およびベンジル基を例示することができる。
【0019】
更に前記ヘテロ原子を含有する基としては下記一般式[6]で表される基も例示することができる。

(式中、R4はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、炭化水素オキシ基、シリル基またはアミノ基を表し、複数のR4は互いに同じであっても異なっていてもよく、複数のR4のうち、任意の2つ以上が互いに結合していてもよく、環構造を形成していてもよい。)
【0020】
上記一般式[6]におけるR4 の具体例として、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、tert−ブチル基、2,6−ジメチルフェニル基、2−フルオレニル基、2−メチルフェニル基、4−トリフルオロメチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−ピリジル基、シクロヘキシル基、2−イソプロピルフェニル基、ベンジル基、メチル基、トリエチルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、1−メチル−1−フェニルエチル基、1,1−ジメチルプロピル基、2−クロロフェニル基、およびペンタフルオロフェニル基を例示することができる。
【0021】
前記一般式[4]におけるL2のキレート性配位子とは、複数の配位部位を有する配位子を指し、該配位子としては、例えば、アセチルアセトナート、ジイミン、オキサゾリン、ビスオキサゾリン、テルピリジン、アシルヒドラゾン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ポルフィリン、クラウンエーテル、およびクリプタートを挙げることができる。
【0022】
前記一般式[4]におけるL2の複素環基としては、例えば、ピリジル基、N−置換イミダゾリル基およびN−置換インダゾリル基を挙げることができ、なかでも、好ましくはピリジル基である。
【0023】
前記一般式[4]において、複数のL2が、炭素原子、ケイ素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子またはリン原子を含有する残基を介して連結されている場合(すなわち、シクロペンタジエン形アニオン骨格を有する基同士が該残基を介して連結されている場合、ヘテロ原子を含有する基同士が該残基を介して連結されている場合、またはシクロペンタジエン形アニオン骨格を有する基とヘテロ原子を含有する基とが該残基を介して連結されている場合)、該残基として好ましくは、2つのL2 と結合する原子が炭素原子、ケイ素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子またはリン原子であって、2つのL2 を結合させる最小原子数が3以下の2価の残基である。該残基として、メチレン基、エチレン基およびプロピレン基等のアルキレン基;ジメチルメチレン基(イソプロピリデン基)およびジフェニルメチレン基等の置換アルキレン基;シリレン基、ジメチルシリレン基、ジエチルシリレン基、ジフェニルシリレン基、テトラメチルジシリレン基、およびジメトキシシリレン基等の置換シリレン基;窒素原子、酸素原子、硫黄原子、およびリン原子等のヘテロ原子を例示することができる。なかでも、特に好ましくは、メチレン基、エチレン基、ジメチルメチレン基(イソプロピリデン基)、ジフェニルメチレン基、ジメチルシリレン基、ジエチルシリレン基、ジフェニルシリレン基またはジメトキシシリレン基である。
【0024】
前記一般式[4]におけるX1 のハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、およびヨウ素原子を挙げることができる。X1 の炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アラルキル基、アリール基、およびアルケニル基を挙げることができ、なかでも、好ましくは、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数7〜20のアラルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基または炭素原子数3〜20のアルケニル基である。
【0025】
炭素原子数1〜20のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、アミル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−ペンタデシル基、およびn−エイコシル基を挙げることができ、なかでも、より好ましくはメチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、イソブチル基またはアミル基である。
これらのアルキル基はいずれも、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、およびヨウ素原子等のハロゲン原子で置換されていてもよい。ハロゲン原子で置換されたアルキル基としては、例えば、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、クロロメチル基、トリクロロメチル基、フルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基、パークロロプロピル基、パークロロブチル基、およびパーブロモプロピル基を挙げることができる。
またこれらのアルキル基は、メトキシ基およびエトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基またはベンジルオキシ基等のアラルキルオキシ基等で置換されていてもよい。
【0026】
炭素原子数7〜20のアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、(2−メチルフェニル)メチル基、(3−メチルフェニル)メチル基、(4−メチルフェニル)メチル基、(2,3−ジメチルフェニル)メチル基、(2,4−ジメチルフェニル)メチル基、(2,5−ジメチルフェニル)メチル基、(2,6−ジメチルフェニル)メチル基、(3,4−ジメチルフェニル)メチル基、(3,5−ジメチルフェニル)メチル基、(2,3,4−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,5−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,6−トリメチルフェニル)メチル基、(3,4,5−トリメチルフェニル)メチル基、(2,4,6−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,4,5−テトラメチルフェニル)メチル基、(2,3,4,6−テトラメチルフェニル)メチル基、(2,3,5,6−テトラメチルフェニル)メチル基、(ペンタメチルフェニル)メチル基、(エチルフェニル)メチル基、(n−プロピルフェニル)メチル基、(イソプロピルフェニル)メチル基、(n−ブチルフェニル)メチル基、(sec−ブチルフェニル)メチル基、(tert−ブチルフェニル)メチル基、(n−ペンチルフェニル)メチル基、(ネオペンチルフェニル)メチル基、(n−ヘキシルフェニル)メチル基、(n−オクチルフェニル)メチル基、(n−デシルフェニル)メチル基、(n−ドデシルフェニル)メチル基、ナフチルメチル基、およびアントラセニルメチル基を挙げることができ、より好ましくはベンジル基である。
これらのアラルキル基は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、およびヨウ素原子等のハロゲン原子、メトキシ基およびエトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基またはベンジルオキシ基等のアラルキルオキシ基等で置換されていてもよい。
【0027】
炭素原子数6〜20のアリール基としては、例えば、フェニル基、2−トリル基、3−トリル基、4−トリル基、2,3−キシリル基、2,4−キシリル基、2,5−キシリル基、2,6−キシリル基、3,4−キシリル基、3,5−キシリル基、2,3,4−トリメチルフェニル基、2,3,5−トリメチルフェニル基、2,3,6−トリメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、3,4,5−トリメチルフェニル基、2,3,4,5−テトラメチルフェニル基、2,3,4,6−テトラメチルフェニル基、2,3,5,6−テトラメチルフェニル基、ペンタメチルフェニル基、エチルフェニル基、n−プロピルフェニル基、イソプロピルフェニル基、n−ブチルフェニル基、sec−ブチルフェニル基、tert−ブチルフェニル基、n−ペンチルフェニル基、ネオペンチルフェニル基、n−ヘキシルフェニル基、n−オクチルフェニル基、n−デシルフェニル基、n−ドデシルフェニル基、n−テトラデシルフェニル基、ナフチル基、およびアントラセニル基を挙げることができ、より好ましくはフェニル基である。
これらのアリール基は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、メトキシ基およびエトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基またはベンジルオキシ基等のアラルキルオキシ基等で置換されていてもよい。
【0028】
炭素原子数3〜20のアルケニル基としては、例えば、アリル基、メタリル基、クロチル基、1,3−ジフェニル−2−プロペニル基を挙げることができ、なかでも、より好ましくはアリル基またはメタリル基である。
【0029】
一般式[4]におけるX1の炭化水素オキシ基としては、例えば、アルコキシ基、アラルキルオキシ基およびアリールオキシ基を挙げることができ、なかでも、好ましくは、炭素原子数1〜20のアルコキシ基、炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基または炭素原子数6〜20のアリールオキシ基である。
【0030】
炭素原子数1〜20のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペントキシ基、ネオペントキシ基、n−ヘキソキシ基、n−オクトキシ基、n−ドデソキシ基、n−ペンタデソキシ基、およびn−イコソキシ基を挙げることができ、なかでも、好ましくはメトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、またはtert−ブトキシ基である。
これらのアルコキシ基は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子等のハロゲン原子、メトキシ基およびエトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基またはベンジルオキシ基等のアラルキルオキシ基等で置換されていてもよい。
【0031】
炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基としては、例えば、ベンジルオキシ基、(2−メチルフェニル)メトキシ基、(3−メチルフェニル)メトキシ基、(4−メチルフェニル)メトキシ基、(2、3−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2、4−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2、5−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2、6−ジメチルフェニル)メトキシ基、(3,4−ジメチルフェニル)メトキシ基、(3,5−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,4−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,6−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,4,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,4,6−トリメチルフェニル)メトキシ基、(3,4,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,4,5−テトラメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,4,6−テトラメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,5,6−テトラメチルフェニル)メトキシ基、(ペンタメチルフェニル)メトキシ基、(エチルフェニル)メトキシ基、(n−プロピルフェニル)メトキシ基、(イソプロピルフェニル)メトキシ基、(n−ブチルフェニル)メトキシ基、(sec−ブチルフェニル)メトキシ基、(tert−ブチルフェニル)メトキシ基、(n−ヘキシルフェニル)メトキシ基、(n−オクチルフェニル)メトキシ基、(n−デシルフェニル)メトキシ基、ナフチルメトキシ基、およびアントラセニルメトキシ基を挙げることができ、なかでも、より好ましくはベンジルオキシ基である。
これらのアラルキルオキシ基は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子等のハロゲン原子、メトキシ基およびエトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基またはベンジルオキシ基等のアラルキルオキシ基等で置換されていてもよい。
【0032】
炭素原子数6〜20のアリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、3−メチルフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、2、3−ジメチルフェノキシ基、2、4−ジメチルフェノキシ基、2、5−ジメチルフェノキシ基、2、6−ジメチルフェノキシ基、3,4−ジメチルフェノキシ基、3,5−ジメチルフェノキシ基、2−tert−ブチル−3−メチルフェノキシ基、2−tert−ブチル−4−メチルフェノキシ基、2−tert−ブチル−5−メチルフェノキシ基、2−tert−ブチル−6−メチルフェノキシ基、2,3,4−トリメチルフェノキシ基、2,3,5−トリメチルフェノキシ基、2,3,6−トリメチルフェノキシ基、2,4,5−トリメチルフェノキシ基、2,4,6−トリメチルフェノキシ基、2−tert−ブチル−3,4−ジメチルフェノキシ基、2−tert−ブチル−3,5−ジメチルフェノキシ基、2−tert−ブチル−3,6−ジメチルフェノキシ基、2,6−ジ−tert−ブチル−3−メチルフェノキシ基、2−tert−ブチル−4,5−ジメチルフェノキシ基、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノキシ基、3,4,5−トリメチルフェノキシ基、2,3,4,5−テトラメチルフェノキシ基、2−tert−ブチル−3,4,5−トリメチルフェノキシ基、2,3,4,6−テトラメチルフェノキシ基、2−tert−ブチル−3,4,6−トリメチルフェノキシ基、2,6−ジ−tert−ブチル−3,4−ジメチルフェノキシ基、2,3,5,6−テトラメチルフェノキシ基、2−tert−ブチル−3,5,6−トリメチルフェノキシ基、2,6−ジ−tert−ブチル−3,5−ジメチルフェノキシ基、ペンタメチルフェノキシ基、エチルフェノキシ基、n−プロピルフェノキシ基、イソプロピルフェノキシ基、n−ブチルフェノキシ基、sec−ブチルフェノキシ基、tert−ブチルフェノキシ基、n−ヘキシルフェノキシ基、n−オクチルフェノキシ基、n−デシルフェノキシ基、n−テトラデシルフェノキシ基、ナフトキシ基、およびアントラセノキシ基を挙げることができる。
これらのアリールオキシ基は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子等のハロゲン原子、メトキシ基およびエトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基またはベンジルオキシ基等のアラルキルオキシ基等で置換されていてもよい。
【0033】
一般式[4]におけるX1 として、より好ましくは塩素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、トリフルオロメトキシ基、フェニル基、フェノキシ基、2,6−ジ−tert−ブチルフェノキシ基、3,4,5−トリフルオロフェノキシ基、ペンタフルオロフェノキシ基、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−ペンタフルオロフェニルフェノキシ基またはベンジル基である。
【0034】
一般式[4]におけるaは0<a≦8を満足する数であり、bは0<b≦8を満足する数であり、M2 の価数に応じて適宜選択される。M2 がチタン原子、ジルコニウム原子またはハフニウム原子である場合、aは2であることが好ましく、bも2であることが好ましい。
【0035】
一般式[4]で表される、遷移金属原子がチタン原子、ジルコニウム原子またはハフニウム原子である化合物としては、例えば、ビス(シクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ビス(メチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ビス(エチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ビス(tert−ブチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ビス(1,2−ジメチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ビス(1,3−ジメチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ビス(1−メチル−2−エチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ビス(1−メチル−3−エチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ビス(1−メチル−2−n−ブチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ビス(1−メチル−3−n−ブチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ビス(1−メチル−2−イソプロピルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ビス(1−メチル−3−イソプロピルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ビス(1−tert−ブチル−2−メチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ビス(1−tert−ブチル−3−メチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ビス(1,2,3−トリメチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ビス(1,2,4−トリメチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ビス(インデニル)チタンジクロライド、ビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)チタンジクロライド、ビス(フルオレニル)チタンジクロライド、ビス(2−フェニルインデニル)チタンジクロライド、
【0036】
ビス[2−(ビス−3,5−トリフルオロメチルフェニル)インデニル]チタンジクロライド、ビス[2−(4−tert−ブチルフェニル)インデニル]チタンジクロライド、ビス[2−(4−トリフルオロメチルフェニル)インデニル]チタンジクロライド、ビス[2−(4−メチルフェニル)インデニル]チタンジクロライド、ビス[2−(3,5−ジメチルフェニル)インデニル]チタンジクロライド、ビス[2−(ペンタフルオロフェニル)インデニル]チタンジクロライド、シクロペンタジエニル(ペンタメチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、シクロペンタジエニル(インデニル)チタンジクロライド、シクロペンタジエニル(フルオレニル)チタンジクロライド、インデニル(フルオレニル)チタンジクロライド、ペンタメチルシクロペンタジエニル(インデニル)チタンジクロライド、ペンタメチルシクロペンタジエニル(フルオレニル)チタンジクロライド、シクロペンタジエニル(2−フェニルインデニル)チタンジクロライド、ペンタメチルシクロペンタジエニル(2−フェニルインデニル)チタンジクロライド、
【0037】
ジメチルシリレンビス(シクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−メチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(3−メチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−n−ブチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(3−n−ブチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(2,3−ジメチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(2,4−ジメチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(2,5−ジメチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(2,3−エチルメチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(2,4−エチルメチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(2,5−エチルメチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(3,5−エチルメチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(2,3,4−トリメチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(2,3,5−トリメチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、
【0038】
ジメチルシリレンビス(インデニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−メチルインデニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−tert−ブチルインデニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(2,3−ジメチルインデニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(2,4,7−トリメチルインデニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−イソプロピルインデニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(4,5−ベンズインデニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−メチル−4,5−ベンズインデニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−フェニルインデニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(4−フェニルインデニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−メチル−5−フェニルインデニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−ナフチルインデニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)チタンジクロライド、
【0039】
ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(インデニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(メチルシクロペンタジエニル)(インデニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(n−ブチルシクロペンタジエニル)(インデニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(インデニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(メチルシクロペンタジエニル)(フルオレニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(n−ブチルシクロペンタジエニル)(フルオレニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(インデニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(インデニル)(フルオレニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレンビス(フルオレニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(テトラメチルシクロペンタジエニル)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(フルオレニル)チタンジクロライド、
【0040】
シクロペンタジエニルチタントリクロライド、ペンタメチルシクロペンタジエニルチタントリクロライド、シクロペンタジエニル(ジメチルアミド)チタンジクロライド、シクロペンタジエニル(フェノキシ)チタンジクロライド、シクロペンタジエニル(2,6−ジメチルフェニル)チタンジクロライド、シクロペンタジエニル(2,6−ジイソプロピルフェニル)チタンジクロライド、シクロペンタジエニル(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)チタンジクロライド、ペンタメチルシクロペンタジエニル(2,6−ジメチルフェニル)チタンジクロライド、ペンタメチルシクロペンタジエニル(2,6−ジイソプロピルフェニル)チタンジクロライド、ペンタメチルシクロペンタジエニル(2,6−tert−ブチルフェニル)チタンジクロライド、インデニル(2,6−ジイソプロピルフェニル)チタンジクロライド、フルオレニル(2,6−ジイソプロピルフェニル)チタンジクロライド、
【0041】
ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3,5−ジメチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3,5−ジ−tert−ブチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(5−メチル−3−フェニル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−tert−ブチルジメチルシリル−5−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(5−メチル−3−トリメチルシリル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メトキシ−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−クロロ−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3,5−ジアミル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−フェニル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(1−ナフトキシ−2−イル)チタンジクロライド、
【0042】
ジメチルシリレン(メチルシクロペンタジエニル)(2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(メチルシクロペンタジエニル)(3−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(メチルシクロペンタジエニル)(3,5−ジメチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(メチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(メチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(メチルシクロペンタジエニル)(3,5−ジ−tert−ブチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(メチルシクロペンタジエニル)(5−メチル−3−フェニル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(メチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチルジメチルシリル−5−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(メチルシクロペンタジエニル)(5−メチル−3−トリメチルシリル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(メチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メトキシ−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(メチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−クロロ−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(メチルシクロペンタジエニル)(3,5−ジアミル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(メチルシクロペンタジエニル)(3−フェニル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(メチルシクロペンタジエニル)(1−ナフトキシ−2−イル)チタンジクロライド、
【0043】
ジメチルシリレン(n−ブチルシクロペンタジエニル)(2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(n−ブチルシクロペンタジエニル)(3−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(n−ブチルシクロペンタジエニル)(3,5−ジメチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(n−ブチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(n−ブチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(n−ブチルシクロペンタジエニル)(3,5−ジ−tert−ブチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(n−ブチルシクロペンタジエニル)(5−メチル−3−フェニル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(n−ブチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチルジメチルシリル−5−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(n−ブチルシクロペンタジエニル)(5−メチル−3−トリメチルシリル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(n−ブチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メトキシ−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(n−ブチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−クロロ−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(n−ブチルシクロペンタジエニル)(3,5−ジアミル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(n−ブチルシクロペンタジエニル)(3−フェニル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(n−ブチルシクロペンタジエニル)(1−ナフトキシ−2−イル)チタンジクロライド、
【0044】
ジメチルシリレン(tert−ブチルシクロペンタジエニル)(2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(tert−ブチルシクロペンタジエニル)(3−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(tert−ブチルシクロペンタジエニル)(3,5−ジメチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(tert−ブチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(tert−ブチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(tert−ブチルシクロペンタジエニル)(3,5−ジ−tert−ブチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(tert−ブチルシクロペンタジエニル)(5−メチル−3−フェニル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(tert−ブチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチルジメチルシリル−5−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(tert−ブチルシクロペンタジエニル)(5−メチル−3−トリメチルシリル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(tert−ブチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メトキシ−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(tert−ブチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−クロロ−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(tert−ブチルシクロペンタジエニル)(3,5−ジアミル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(tert−ブチルシクロペンタジエニル)(3−フェニル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(tert−ブチルシクロペンタジエニル)(1−ナフトキシ−2−イル)チタンジクロライド、
【0045】
ジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3,5−ジメチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3,5−ジ−tert−ブチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(5−メチル−3−フェニル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチルジメチルシリル−5−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(5−メチル−3−トリメチルシリル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メトキシ−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−クロロ−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3,5−ジアミル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−フェニル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(1−ナフトキシ−2−イル)チタンジクロライド、
【0046】
ジメチルシリレン(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)(2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)(3−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)(3,5−ジメチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)(3,5−ジ−tert−ブチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)(5−メチル−3−フェニル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチルジメチルシリル−5−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)(5−メチル−3−トリメチルシリル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メトキシ−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−クロロ−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)(3,5−ジアミル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)(3−フェニル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)(1−ナフトキシ−2−イル)チタンジクロライド、
【0047】
ジメチルシリレン(インデニル)(2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(インデニル)(3−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(インデニル)(3,5−ジメチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(インデニル)(3−tert−ブチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(インデニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(インデニル)(3,5−ジ−tert−ブチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(インデニル)(5−メチル−3−フェニル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(インデニル)(3−tert−ブチルジメチルシリル−5−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(インデニル)(5−メチル−3−トリメチルシリル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(インデニル)(3−tert−ブチル−5−メトキシ−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(インデニル)(3−tert−ブチル−5−クロロ−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(インデニル)(3,5−ジアミル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(インデニル)(3−フェニル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(インデニル)(1−ナフトキシ−2−イル)チタンジクロライド、
【0048】
ジメチルシリレン(フルオレニル)(2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(フルオレニル)(3−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(フルオレニル)(3,5−ジメチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(フルオレニル)(3−tert−ブチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(フルオレニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(フルオレニル)(3,5−ジ−tert−ブチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(フルオレニル)(5−メチル−3−フェニル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(フルオレニル)(3−tert−ブチルジメチルシリル−5−メチル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(フルオレニル)(5−メチル−3−トリメチルシリル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(フルオレニル)(3−tert−ブチル−5−メトキシ−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(フルオレニル)(3−tert−ブチル−5−クロロ−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(フルオレニル)(3,5−ジアミル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(フルオレニル)(3−フェニル−2−フェノキシ)チタンジクロライド、ジメチルシリレン(フルオレニル)(1−ナフトキシ−2−イル)チタンジクロライド、
【0049】
(tert−ブチルアミド)テトラメチルシクロペンタジエニル−1,2−エタンジイルチタンジクロライド、(メチルアミド)テトラメチルシクロペンタジエニル−1,2−エタンジイルチタンジクロライド、(エチルアミド)テトラメチルシクロペンタジエニル−1,2−エタンジイルチタンジクロライド、
(tert−ブチルアミド)テトラメチルシクロペンタジエニルジメチルシランチタンジクロライド、(ベンジルアミド)テトラメチルシクロペンタジエニルジメチルシランチタンジクロライド、(フェニルフォスファイド)テトラメチルシクロペンタジエニルジメチルシランチタンジクロライド、(tert−ブチルアミド)インデニル−1,2−エタンジイルチタンジクロライド、(tert−ブチルアミド)テトラヒドロインデニル−1,2−エタンジイルチタンジクロライド、(tert−ブチルアミド)フルオレニル−1,2−エタンジイルチタンジクロライド、(tert−ブチルアミド)インデニルジメチルシランチタンジクロライド、(tert−ブチルアミド)テトラヒドロインデニルジメチルシランチタンジクロライド、(tert−ブチルアミド)フルオレニルジメチルシランチタンジクロライド、
【0050】
(ジメチルアミノメチル)テトラメチルシクロペンタジエニルチタン(III)ジクロライド、(ジメチルアミノエチル)テトラメチルシクロペンタジエニルチタン(III)ジクロライド、(ジメチルアミノプロピル)テトラメチルシクロペンタジエニルチタン(III)ジクロライド、(N−ピロリジニルエチル)テトラメチルシクロペンタジエニルチタンジクロライド、(B−ジメチルアミノボラベンゼン)シクロペンタジエニルチタンジクロライド、シクロペンタジエニル(9−メシチルボラアントラセニル)チタンジクロライド、
【0051】
2,2’−チオビス[4−メチル−6−tert−ブチルフェノキシ]チタンジクロライド、2,2’−チオビス[4−メチル−6−(1−メチルエチル)フェノキシ]チタンジクロライド、2,2’−チオビス(4,6−ジメチルフェノキシ)チタンジクロライド、2,2’−チオビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノキシ)チタンジクロライド、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノキシ)チタンジクロライド、2,2’−エチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノキシ)チタンジクロライド、2,2’−スルフィニルビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノキシ)チタンジクロライド、2,2’−(4,4’,6,6’−テトラ−tert−ブチル−1,1’ビフェノキシ)チタンジクロライド、(ジ−tert−ブチル−1,3−プロパンジアミド)チタンジクロライド、(ジシクロヘキシル−1,3−プロパンジアミド)チタンジクロライド、
【0052】
[ビス(トリメチルシリル)−1,3−プロパンジアミド]チタンジクロライド、[ビス(tert−ブチルジメチルシリル)−1,3−プロパンジアミド]チタンジクロライド、[ビス(2,6−ジメチルフェニル)−1,3−プロパンジアミド]チタンジクロライド、[ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)−1,3−プロパンジアミド]チタンジクロライド、[ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−1,3−プロパンジアミド]チタンジクロライド、[ビス(トリイソプロピルシリル)ナフタレンジアミド]チタンジクロライド、[ビス(トリメチルシリル)ナフタレンジアミド]チタンジクロライド、[ビス(tert−ブチルジメチルシリル)ナフタレンジアミド]チタンジクロライド、[ヒドロトリス(3,5−ジメチルピラゾリル)ボレート]チタントリクロライド、[ヒドロトリス(3,5−ジエチルピラゾリル)ボレート]チタントリクロライド、[ヒドロトリス(3,5−ジ−tert−ブチルピラゾリル)ボレート]チタントリクロライド、[トリス(3,5−ジメチルピラゾリル)メチル]チタントリクロライド、[トリス(3,5−ジエチルピラゾリル)メチル]チタントリクロライド、および[トリス(3,5−ジ−tert−ブチルピラゾリル)メチル]チタントリクロライドや、これらの化合物のチタンをジルコニウムまたはハフニウムに置き換えた化合物、(2−フェノキシ)を(3−フェニル−2−フェノキシ)、(3−トリメチルシリル−2−フェノキシ)、または(3−tert−ブチルジメチルシリル−2−フェノキシ)に置き換えた化合物、ジメチルシリレンをメチレン、エチレン、ジメチルメチレン(イソプロピリデン)、ジフェニルメチレン、ジエチルシリレン、ジフェニルシリレン、またはジメトキシシリレンに置き換えた化合物、ジクロライドをジフルオライド、ジブロマイド、ジアイオダイド、ジメチル、ジエチル、ジイソプロピル、ジフェニル、ジベンジル、ジメトキシド、ジエトキシド、ジ(n−プロポキシド)、ジ(イソプロポキシド)、ジフェノキシド、またはジ(ペンタフルオロフェノキシド)に置き換えた化合物、ならびにトリクロライドをトリフルオライド、トリブロマイド、トリアイオダイド、トリメチル、トリエチル、トリイソプロピル、トリフェニル、トリベンジル、トリメトキシド、トリエトキシド、トリ(n−プロポキシド)、トリ(イソプロポキシド)、トリフェノキシド、またはトリ(ペンタフルオロフェノキシド)に置き換えた化合物、を挙げることができる。
【0053】
一般式[4]で表される、遷移金属原子がニッケル原子である化合物としては、例えば、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−フェニル−5,5’−ジメチルオキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−フェニル−5,5’−ジエチルオキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−フェニル−5,5’−ジ−n−プロピルオキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−フェニル−5,5’−ジイソプロピルオキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−フェニル−5,5’−ジシクロヘキシルオキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−フェニル−5,5’−ジメトキシオキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−フェニル−5,5’−ジエトキシオキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−フェニル−5,5’−ジフェニルオキサゾリン]ニッケルジブロマイド、
【0054】
2,2’−メチレンビス[(4R)−4−メチル−5,5−ジ−(2−メチルフェニル)オキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−メチル−5,5−ジ−(3−メチルフェニル)オキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−メチル−5,5−ジ−(4−メチルフェニル)オキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−メチル−5,5−ジ−(2−メトキシフェニル)オキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−メチル−5,5−ジ−(3−メトキシフェニル)オキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−メチル−5,5−ジ−(4−メトキシフェニル)オキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[スピロ{(4R)−4−メチルオキサゾリン−5,1’−シクロブタン}]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[スピロ{(4R)−4−メチルオキサゾリン−5,1’−シクロペンタン}]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[スピロ{(4R)−4−メチルオキサゾリン−5,1’−シクロヘキサン}]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[スピロ{(4R)−4−メチルオキサゾリン−5,1’−シクロヘプタン}]ニッケルジブロマイド、
【0055】
2,2’−メチレンビス[(4R)−4−イソプロピル−5,5−ジメチルオキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−イソプロピル−5,5−ジエチルオキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−イソプロピル−5,5−ジ−n−プロピルオキサゾリン]、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−イソプロピル−5,5−ジイソプロピルオキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−イソプロピル−5,5−ジシクロヘキシルオキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−イソプロピル−5,5−ジフェニルオキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−イソプロピル−5,5−ジ−(2−メチルフェニル)オキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−イソプロピル−5,5−ジ−(3−メチルフェニル)オキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−イソプロピル−5,5−ジ−(4−メチルフェニル)オキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−イソプロピル−5,5−ジ−(2−メトキシフェニル)オキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−イソプロピル−5,5−ジ−(3−メトキシフェニル)オキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−イソプロピル−5,5−ジ−(4−メトキシフェニル)オキサゾリン]ニッケルジブロマイド、
【0056】
2,2’−メチレンビス[スピロ{(4R)−4−イソプロピルオキサゾリン−5,1’−シクロブタン}]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[スピロ{(4R)−4−イソプロピルオキサゾリン−5,1’−シクロペンタン}]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[スピロ{(4R)−4−イソプロピルオキサゾリン−5,1’−シクロヘキサン}]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[スピロ{(4R)−4−イソプロピルオキサゾリン−5,1’−シクロヘプタン}]ニッケルジブロマイド、2,2−メチレンビス[(4R)−4−イソブチル−5,5−ジメチルオキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−イソブチル−5,5−ジエチルオキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−イソブチル−5,5−ジ−n−プロピルオキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−イソブチル−5,5−ジ−イソプロピルオキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−イソブチル−5,5−ジシクロヘキシルオキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−イソブチル−5,5−ジフェニルオキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−イソブチル−5,5−ジ−(2−メチルフェニル)オキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−イソブチル−5,5−ジ−(3−メチルフェニル)オキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−イソブチル−5,5−ジ−(4−メチルフェニル)オキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−イソブチル−5,5−ジ−(2−メトキシフェニル)オキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−イソブチル−5,5−ジ−(3−メトキシフェニル)オキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−イソブチル−5,5−ジ−(4−メトキシフェニル)オキサゾリン]ニッケルジブロマイド、
【0057】
2,2’−メチレンビス[スピロ{(4R)−4−イソブチルオキサゾリン−5,1’−シクロブタン}]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[スピロ{(4R)−4−イソブチルオキサゾリン−5,1’−シクロペンタン}]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[スピロ{(4R)−4−イソブチルオキサゾリン−5,1’−シクロヘキサン}]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[スピロ{(4R)−4−イソブチルオキサゾリン−5,1’−シクロヘプタン}]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−tert−ブチル−5,5−ジメチルオキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−tert−ブチル−5,5−ジエチルオキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−4−tert−ブチル−5,5−ジ−n−プロピルオキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−tert−ブチル−5,5−ジ−イソプロピルオキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−tert−ブチル−5,5−ジフェニルオキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−tert−ブチル−5,5−ジシクロヘキシルオキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−tert−ブチル−5,5−ジ−(2−メチルフェニル)オキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−tert−ブチル−5,5−ジ−(3−メチルフェニル)オキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−tert−ブチル−5,5−ジ−(4−メチルフェニル)オキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−tert−ブチル−5,5−ジ−(2−メトキシフェニル)オキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−tert−ブチル−5,5−ジ−(3−メトキシフェニル)オキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−tert−ブチル−5,5−ジ−(4−メトキシフェニル)オキサゾリン]ニッケルジブロマイド、
【0058】
2,2’−メチレンビス[スピロ{(4R)−4−tert−ブチルオキサゾリン−5,1’−シクロブタン}]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[スピロ{(4R)−4−tert−ブチルオキサゾリン−5,1’−シクロペンタン}]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[スピロ{(4R)−4−tert−ブチルオキサゾリン−5,1’−シクロヘキサン}]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[スピロ{(4R)−4−tert−ブチルオキサゾリン−5,1’−シクロヘプタン}]ニッケルジブロマイド、
【0059】
2,2’−メチレンビス[(4R)−4−フェニル−5,5−ジメチルオキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−フェニル−5,5−ジエチルオキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−フェニル−5,5−ジ−n−プロピルオキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−フェニル−5,5−ジ−イソプロピルオキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−フェニル−5,5−ジシクロヘキシルオキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−フェニル−5,5−ジフェニルオキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−フェニル−5,5−ジ−(2−メチルフェニル)オキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−フェニル−5,5−ジ−(3−メチルフェニル)オキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−フェニル−5,5−ジ−(4−メチルフェニル)オキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−フェニル−5,5−ジ−(2−メトキシフェニル)オキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−フェニル−5,5−ジ−(3−メトキシフェニル)オキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−フェニル−5,5−ジ−(4−メトキシフェニル)オキサゾリン]ニッケルジブロマイド、
【0060】
2,2’−メチレンビス[スピロ{(4R)−4−フェニルオキサゾリン−5,1’−シクロブタン}]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[スピロ{(4R)−4−フェニルオキサゾリン−5,1’−シクロペンタン}]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[スピロ{(4R)−4−フェニルオキサゾリン−5,1’−シクロヘキサン}]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[スピロ{(4R)−4−フェニルオキサゾリン−5,1’−シクロヘプタン}]ニッケルジブロマイド、
【0061】
2,2’−メチレンビス[(4R)−4−ベンジル−5,5−ジメチルオキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−ベンジル−5,5−ジエチルオキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−ベンジル−5,5−ジ−n−プロピルオキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−ベンジル−5,5−ジ−イソプロピルオキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−ベンジル−5,5−ジシクロヘキシルオキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−ベンジル−5,5−ジフェニルオキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−ベンジル−5,5−ジ−(2−メチルフェニル)オキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−ベンジル−5,5−ジ−(3−メチルフェニル)オキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−ベンジル−5,5−ジ−(4−メチルフェニル)オキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−ベンジル−5,5−ジ−(2−メトキシフェニル)オキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−ベンジル−5,5−ジ−(3−メトキシフェニル)オキサゾリン]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[(4R)−4−ベンジル−5,5−ジ−(4−メトキシフェニル)オキサゾリン]ニッケルジブロマイド、
【0062】
2,2’−メチレンビス[スピロ{(4R)−4−ベンジルオキサゾリン−5,1’−シクロブタン}]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[スピロ{(4R)−4−ベンジルオキサゾリン−5,1’−シクロペンタン}]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[スピロ{(4R)−4−ベンジルオキサゾリン−5,1’−シクロヘキサン}]ニッケルジブロマイド、2,2’−メチレンビス[スピロ{(4R)−4−ベンジルオキサゾリン−5,1’−シクロヘプタン}]ニッケルジブロマイド、および上記各化合物の対掌体、上記ビスオキサゾリン型化合物の一方のオキサゾリン環の不斉炭素の立体配置を逆の配置にした化合物、ならびにジブロマイドをジフルオライド、ジクロライド、ジアイオダイド、ジメチル、ジエチル、ジイソプロピル、ジフェニル、ジベンジル、ジメトキシド、ジエトキシド、ジ−n−プロポキシド、ジイソプロポキシド、ジフェノキシド、またはジ(ペンタフルオロフェノキシド)に置き換えた化合物、を挙げることができる。
【0063】
一般式[4]で表される、遷移金属原子がニッケル原子である化合物としては、例えば、下記構造式にて表される化合物を挙げることができる。

(式中、R5 とR6 はいずれも2,6−ジイソプロピルフェニル基を表し、R7 およびR8 はそれぞれ独立に水素原子またはメチル基あるいはR7 とR8 とが互いに結合したアセナフテン基を表し、X2 はそれぞれ独立に、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、フェニル基、ベンジル基、メトキシ基、エトキシ基、またはフェノキシ基を表す。)
また、上記のニッケル化合物において、ニッケルをパラジウム、コバルト、ロジウム、またはルテニウムに置き換えた化合物も同様に例示することができる。
【0064】
一般式[4]で表される、遷移金属原子が鉄である化合物としては、例えば、2,6−ビス−[1−(2,6−ジメチルフェニルイミノ)エチル]ピリジン鉄ジクロライド、2,6−ビス−[1−(2,6−ジイソプロピルフェニルイミノ)エチル]ピリジン鉄ジクロライド、および2,6−ビス−[1−(2−tert−ブチル−フェニルイミノ)エチル]ピリジン鉄ジクロライド、ならびに、これらの化合物のジクロライドを、ジフルオライド、ジブロマイド、ジアイオダイド、ジメチル、ジエチル、ジメトキシド、ジエトキシド、またはジフェノキシドに置き換えた化合物を挙げることができる。
【0065】
また一般式[4]で表される遷移金属化合物のμ−オキソタイプの遷移金属化合物としては、例えば、μ−オキソビス[イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(2−フェノキシ)チタンクロライド]、μ−オキソビス[イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタンクロライド]、μ−オキソビス[イソプロピリデン(メチルシクロペンタジエニル)(2−フェノキシ)チタンクロライド]、μ−オキソビス[イソプロピリデン(メチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタンクロライド]、μ−オキソビス[イソプロピリデン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(2−フェノキシ)チタンクロライド]、μ−オキソビス[イソプロピリデン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタンクロライド]、μ−オキソビス[ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2−フェノキシ)チタンクロライド]、μ−オキソビス[ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタンクロライド]、μ−オキソビス[ジメチルシリレン(メチルシクロペンタジエニル)(2−フェノキシ)チタンクロライド]、μ−オキソビス[ジメチルシリレン(メチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタンクロライド]、μ−オキソビス[ジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(2−フェノキシ)チタンクロライド]、およびμ−オキソビス[ジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタンクロライド]、ならびに、これらの化合物のクロライドをフルオライド、ブロマイド、アイオダイド、メチル、エチル、イソプロピル、フェニル、ベンジル、メトキシド、エトキシド、n−プロポキシド、イソプロポキシド、フェノキシド、またはペンタフルオロフェノキシドに変更した化合物を挙げることができる。
【0066】
一般式[4]で表される化合物以外の遷移金属化合物(A)として、[ヒドロトリス(3,5−ジメチルピラゾリル)ボレート]ニッケルクロライド、[ヒドロトリス(3,5−ジエチルピラゾリル)ボレート]ニッケルクロライド、および[ヒドロトリス(3,5−ジ−tert−ブチルピラゾリル)ボレート]ニッケルクロライド、ならびに、これらの化合物のクロライドを、ブロマイド、アイオダイド、メチル、エチル、アリル、メタリル、メトキシド、またはエトキシドに置き換えた化合物を挙げることができる。
また、上記のニッケル化合物において、ニッケルを、鉄またはコバルトに置き換えた化合物も同様に例示することができる。
【0067】
また、遷移金属原子がニッケル原子である化合物としては、例えば、塩化ニッケル、臭化ニッケル、ヨウ化ニッケル、硫酸ニッケル、硝酸ニッケル、過塩素酸ニッケル、酢酸ニッケル、トリフルオロ酢酸ニッケル、シアン化ニッケル、シユウ酸ニッケル、ニッケルアセチルアセトナート、ビス(アリル)ニッケル、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル、ジクロロ(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル、ジクロロビス(アセトニトリル)ニッケル、ジクロロビス(ベンゾニトリル)ニッケル、カルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)ニッケル、ジクロロビス(トリエチルホスフィン)ニッケル、ジアセトビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル、テトラキス(トリフェニルホスフィン)ニッケル、ジクロロ[1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]ニッケル、ビス[1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]ニッケル、ジクロロ[1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]ニッケル、ビス[1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]ニッケル、テトラアミンニッケルナイトレート、テトラキス(アセトニトリル)ニッケルテトラフルオロボレート、およびニッケルフタロシアニンを挙げることができる。
【0068】
同様に、遷移金属原子がバナジウム原子である化合物としては、例えば、バナジウムアセチルアセトナート、バナジウムテトラクロライド、およびバナジウムオキシトリクロライドを挙げることができる。
また、遷移金属原子がサマリウム原子である化合物としては、例えば、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)サマリウムメチルテトラヒドロフランを挙げることができる。
遷移金属原子がイッテルビウム原子である化合物としては、例えば、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)イッテルビウムメチルテトラヒドロフランを挙げることができる。
【0069】
これらの遷移金属化合物は一種類のみを用いても、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0070】
以上に例示した遷移金属化合物のうち、本発明で用いる遷移金属化合物(A)として好ましくは、上記の一般式[4]で表される遷移金属化合物である。なかでも、上記一般式[4]におけるM2 が第4族原子である遷移金属化合物が好ましく、特に一般式[4]におけるL2 としてシクロペンタジエン形アニオン骨格を有する基を少なくとも一つ有する遷移金属化合物が好ましい。なかでも、ジルコニウム化合物が更に好ましく、一般式[4]におけるL2 としてシクロペンタジエン形アニオン骨格を有する基を2つ有し、L2が互いに炭素原子、ケイ素原子、酸素原子、硫黄原子もしくはリン原子を含有する残基を介して連結されているジルコニウム化合物が特に好ましい。
【0071】
一般式[4]で表される遷移金属化合物は、特開平6−340684、特開平7−258321、国際特許公開第95/00562号明細書などに記載の製造方法によって製造することが可能である。
【0072】
化合物(a)は下記一般式[1]で表される化合物である。
11m [1]
上記一般式[1]におけるM1 は、元素周期律表(IUPAC無機化学命名法改訂版1989)の第1、2、12、14または15族の典型金属原子を表す。一般式[1]におけるM1 としては、例えば、リチウム原子、ナトリウム原子、カリウム原子、ルビジウム原子、セシウム原子、ベリリウム原子、マグネシウム原子、カルシウム原子、ストロンチウム原子、バリウム原子、亜鉛原子、カドミウム原子、水銀原子、ゲルマニウム原子、スズ原子、鉛原子、アンチモン原子、ビスマス原子を挙げることができる。なかでも、好ましくはマグネシウム原子、カルシウム原子、ストロンチウム原子、バリウム原子、亜鉛原子、ゲルマニウム原子、スズ原子またはビスマス原子であり、特に好ましくはマグネシウム原子、亜鉛原子、スズ原子またはビスマス原子であり、最も好ましくは亜鉛原子である。また、上記一般式[1]におけるmはM1 の原子価に相当する数を表し、例えばM1 が亜鉛原子の場合mは2である。
【0073】
一般式[1]におけるL1 のハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、およびヨウ素原子を挙げることができる。L1 における炭化水素基としては、アルキル基、アリール基、またはアラルキル基が好ましい。
【0074】
1における炭化水素基としてアルキル基としては、炭素原子数1〜20のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−ペンタデシル基、およびn−エイコシル基を挙げることができ、なかでも、より好ましくはメチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基またはイソブチル基である。
【0075】
これらのアルキル基はいずれも、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、およびヨウ素原子等のハロゲン原子で置換されていてもよい。ハロゲン原子で置換された炭素原子数1〜20のアルキル基としては、例えば、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、フルオロエチル基、ジフルオロエチル基、トリフルオロエチル基、テトラフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基、パーフルオロドデシル基、パーフルオロペンタデシル基、パーフルオロエイコシル基、1H,1H−パーフルオロプロピル基、1H,1H−パーフルオロブチル基、1H,1H−パーフルオロペンチル基、1H,1H−パーフルオロヘキシル基、1H,1H−パーフルオロオクチル基、1H,1H−パーフルオロドデシル基、1H,1H−パーフルオロペンタデシル基、および1H,1H−パーフルオロエイコシル基、ならびに、これらのアルキル基のフルオロをクロロ、ブロモまたはヨードに変更したアルキル基を挙げることができる。
また、これらのアルキル基はいずれも、メトキシ基、およびエトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、またはベンジルオキシ基等のアラルキルオキシ基で置換されていてもよい。
【0076】
1における炭化水素基としてアリール基としては、炭素原子数6〜20のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、2−トリル基、3−トリル基、4−トリル基、2,3−キシリル基、2,4−キシリル基、2,5−キシリル基、2,6−キシリル基、3,4−キシリル基、3,5−キシリル基、2,3,4−トリメチルフェニル基、2,3,5−トリメチルフェニル基、2,3,6−トリメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、3,4,5−トリメチルフェニル基、2,3,4,5−テトラメチルフェニル基、2,3,4,6−テトラメチルフェニル基、2,3,5,6−テトラメチルフェニル基、ペンタメチルフェニル基、エチルフェニル基、n−プロピルフェニル基、イソプロピルフェニル基、n−ブチルフェニル基、sec−ブチルフェニル基、tert−ブチルフェニル基、イソブチルフェニル基、n−ペンチルフェニル基、ネオペンチルフェニル基、n−ヘキシルフェニル基、n−オクチルフェニル基、n−デシルフェニル基、n−ドデシルフェニル基、n−テトラデシルフェニル基、ナフチル基、およびアントラセニル基を挙げることができ、なかでも、より好ましくはフェニル基である。
これらのアラルキル基はいずれも、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、およびヨウ素原子等のハロゲン原子、メトキシ基およびエトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基またはベンジルオキシ基等のアラルキルオキシ基等で置換されていてもよい。
【0077】
上記アラルキル基としては、炭素原子数7〜20のアラルキル基が好ましく、例えば、ベンジル基、(2−メチルフェニル)メチル基、(3−メチルフェニル)メチル基、(4−メチルフェニル)メチル基、(2,3−ジメチルフェニル)メチル基、(2,4−ジメチルフェニル)メチル基、(2,5−ジメチルフェニル)メチル基、(2,6−ジメチルフェニル)メチル基、(3,4−ジメチルフェニル)メチル基、(3,5−ジメチルフェニル)メチル基、(2,3,4−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,5−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,6−トリメチルフェニル)メチル基、(3,4,5−トリメチルフェニル)メチル基、(2,4,6−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,4,5−テトラメチルフェニル)メチル基、(2,3,4,6−テトラメチルフェニル)メチル基、(2,3,5,6−テトラメチルフェニル)メチル基、(ペンタメチルフェニル)メチル基、(エチルフェニル)メチル基、(n−プロピルフェニル)メチル基、(イソプロピルフェニル)メチル基、(n−ブチルフェニル)メチル基、(sec−ブチルフェニル)メチル基、(tert−ブチルフェニル)メチル基、(イソブチルフェニル)メチル基、(n−ペンチルフェニル)メチル基、(ネオペンチルフェニル)メチル基、(n−ヘキシルフェニル)メチル基、(n−オクチルフェニル)メチル基、(n−デシルフェニル)メチル基、ナフチルメチル基、およびアントラセニルメチル基を挙げることができ、なかでも、より好ましくはベンジル基である。
これらのアリール基はいずれも、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、およびヨウ素原子等のハロゲン原子、メトキシ基およびエトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基またはベンジルオキシ基等のアラルキルオキシ基等で置換されていてもよい。
【0078】
上記一般式[1]におけるL1 として好ましくは、水素原子、アルキル基またはアリール基であり、更に好ましくは水素原子またはアルキル基であり、特に好ましくはアルキル基である。
【0079】
上記一般式[2]または[3]におけるTはそれぞれ独立に、元素周期律表(IUPAC無機化学命名法改訂版1989)の第15族または第16族の非金属原子を表す。一般式[2]におけるTと一般式[3]におけるTとは同じであっても異なっていてもよい。これらの式におけるTの第15族非金属原子としては、例えば、窒素原子およびリン原子を挙げることができ、第16族非金属原子としては、例えば、酸素原子および硫黄原子を挙げることができる。Tとして好ましくは、窒素原子または酸素原子であり、特に好ましくは酸素原子である。
上記一般式[2]または[3]におけるtはそれぞれのTの原子価に相当する数を表す。tは、Tが第15族非金属原子の場合は3であり、Tが第16族非金属原子の場合は2である。
【0080】
上記一般式[2]におけるR1 は、電子吸引性基または電子吸引性基を含有する基を表し、R1 が複数存在する場合、複数のR1は互いに同じであっても異なっていてもよい。電子吸引性の指標として、例えばハメット則の置換基定数σ等が知られており、置換基定数σが正である官能基を電子吸引性基として例示することができる。
【0081】
上記一般式[2]におけるR1の電子吸引性基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、シアノ基、ニトロ基、カルボニル基、スルホン基およびフェニル基を挙げることができる。一般式[2]におけるR1の電子吸引性基を含有する基としては、例えば、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、(ハロゲン化アルキル)アリール基、シアノ化アリール基、ニトロ化アリール基、エステル基(アルコキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基やアリールオキシカルボニル基)、アシル基、およびハロゲン化アシル基を挙げることができる。
【0082】
上記一般式[2]におけるR1のハロゲン化アルキル基としては、例えば、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル基、2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロメチルエチル基、1,1−ビス(トリフルオロメチル)−2,2,2−トリフルオロエチル基 、1H,1H−パーフルオロブチル基、1H,1H−パーフルオロペンチル基、1H,1H−パーフルオロヘキシル基、1H,1H−パーフルオロオクチル基、1H,1H−パーフルオロドデシル基、1H,1H−パーフルオロペンタデシル基、および1H,1H−パーフルオロエイコシル基、ならびに、これらのハロゲン化アルキル基のフルオロをクロロ、ブロモまたはヨードに変更したアルキル基を挙げることができる。
【0083】
上記一般式[2]におけるR1のハロゲン化アリール基としては、例えば、2−フルオロフェニル基、3−フルオロフェニル基、4−フルオロフェニル基、2,4−ジフルオロフェニル基、2,6−ジフルオロフェニル基、3,4−ジフルオロフェニル基、3,5−ジフルオロフェニル基、2,4,6−トリフルオロフェニル基、3,4,5−トリフルオロフェニル基、2,3,5,6−テトラフルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−トリフルオロメチルフェニル基、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−ペンタフルオロフェニルフェニル基、パーフルオロ−1−ナフチル基、パーフルオロ−2−ナフチル基、および4,5,6,7,8−ペンタフルオロ−2−ナフチル基、ならびに、これらのハロゲン化アリール基のフルオロをクロロ、ブロモまたはヨードに変更したハロゲン化アリール基を挙げることができる。
【0084】
上記一般式[2]におけるR1の(ハロゲン化アルキル)アリール基としては、例えば、2−(トリフルオロメチル)フェニル基、3−(トリフルオロメチル)フェニル基、4−(トリフルオロメチル)フェニル基、2,6−ビス(トリフルオロメチル)フェニル基、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル基、および2,4,6−トリス(トリフルオロメチル)フェニル基、ならびに、これらの(ハロゲン化アルキル)アリール基のフルオロをクロロ、ブロモまたはヨードに変更した(ハロゲン化アルキル)アリール基を挙げることができる。
【0085】
上記一般式[2]におけるR1のシアノ化アリール基としては、例えば、2−シアノフェニル基、3−シアノフェニル基、および4−シアノフェニル基を挙げることができる。
【0086】
上記一般式[2]におけるR1のニトロ化アリール基としては、例えば、2−ニトロフェニル基、3−ニトロフェニル基、および4−ニトロフェニル基を挙げることができる。
【0087】
上記一般式[2]におけるR1のエステル基としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、トリフルオロメトキシカルボニル基、およびペンタフルオロフェノキシカルボニル基を挙げることができる。
【0088】
上記一般式[2]におけるR1のアシル基およびハロゲン化アシル基としては、例えば、ホルミル基、エタノイル基、プロパノイル基、ブタノイル基、トリフルオロエタノイル基、ベンゾイル基、ペンタフルオロベンゾイル基、パーフルオロエタノイル基、パーフルオロプロパノイル基、パーフルオロブタノイル基、パーフルオロペンタノイル基、パーフルオロヘキサノイル基、パーフルオロヘプタノイル基、パーフルオロオクタノイル基、パーフルオロノナノイル基、パーフルオロデカノイル基、パーフルオロウンデカノイル基、およびパーフルオロドデカノイル基を挙げることができる。
【0089】
上記一般式[2]におけるR1 として、好ましくはハロゲン化炭化水素基であり、より好ましくはハロゲン化アルキル基またはハロゲン化アリール基である。更に好ましくは、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル基、2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロメチルエチル基、1,1−ビス(トリフルオロメチル)−2,2,2−トリフルオロエチル基、2−フルオロフェニル基、3−フルオロフェニル基、4−フルオロフェニル基、2,4−ジフルオロフェニル基、2,6−ジフルオロフェニル基、3,4−ジフルオロフェニル基、3,5−ジフルオロフェニル基、2,4,6−トリフルオロフェニル基、3,4,5−トリフルオロフェニル基、2,3,5,6−テトラフルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−トリフルオロメチルフェニル基、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−ペンタフルオロフェニルフェニル基、パーフルオロ−1−ナフチル基、パーフルオロ−2−ナフチル基、4,5,6,7,8−ペンタフルオロ−2−ナフチル基、クロロメチル基、ジクロロメチル基、トリクロロメチル基、2,2,2−トリクロロエチル基、2,2,3,3,3−ペンタクロロプロピル基、2,2,2−トリクロロ−1−トリクロロメチルエチル基、1,1−ビス(トリクロロメチル)−2,2,2−トリクロロエチル基、4−クロロフェニル基、2,6−ジクロロフェニル基、3.5−ジクロロフェニル基、2,4,6−トリクロロフェニル基、3,4,5−トリクロロフェニル基またはペンタクロロフェニル基であり、特に好ましくは、フルオロアルキル基またはフルオロアリール基であり、最も好ましくは、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロメチルエチル基、1,1−ビス(トリフルオロメチル)−2,2,2−トリフルオロエチル基、3,5−ジフルオロフェニル、3,4,5−トリフルオロフェニル基またはペンタフルオロフェニル基である。
【0090】
上記一般式[3]におけるR2 は炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基を表す。一般式[3]におけるR2の炭化水素基として、好ましくは、アルキル基、アリール基またはアラルキル基であり、一般式[1]におけるL1 として例示した基を例示することができる。R2におけるハロゲン化炭化水素基としては、例えば、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、および(ハロゲン化アルキル)アリール基を挙げることができ、上記一般式[2]におけるR1の電子吸引性基として例示したハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、(ハロゲン化アルキル)アリール基をそれぞれ例示することができる。
【0091】
上記一般式[3]におけるR2は、好ましくはハロゲン化炭化水素基であり、さらに好ましくはフッ素化炭化水素基である。
【0092】
1が亜鉛原子の場合の化合物(a)としては、例えば、ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛、ジプロピル亜鉛、ジ−n−ブチル亜鉛、ジイソブチル亜鉛、ジ−n−ヘキシル亜鉛等のジアルキル亜鉛;ジフェニル亜鉛、ジナフチル亜鉛、およびビス(ペンタフルオロフェニル)亜鉛等のジアリール亜鉛;ジアリル亜鉛等のジアルケニル亜鉛;ビス(シクロペンタジエニル)亜鉛;塩化メチル亜鉛、塩化エチル亜鉛、塩化プロピル亜鉛、塩化n−ブチル亜鉛、塩化イソブチル亜鉛、塩化n−ヘキシル亜鉛、臭化メチル亜鉛、臭化エチル亜鉛、臭化プロピル亜鉛、臭化n−ブチル亜鉛、臭化イソブチル亜鉛、臭化n−ヘキシル亜鉛、ヨウ化メチル亜鉛、ヨウ化エチル亜鉛、ヨウ化プロピル亜鉛、ヨウ化n−ブチル亜鉛、ヨウ化イソブチル亜鉛、およびヨウ化n−ヘキシル亜鉛等のハロゲン化アルキル亜鉛;フッ化亜鉛、塩化亜鉛、臭化亜鉛、およびヨウ化亜鉛等のハロゲン化亜鉛を挙げることができる。
【0093】
化合物(a)として好ましくは、ジアルキル亜鉛であり、更に好ましくは、ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛、ジプロピル亜鉛、ジn−ブチル亜鉛、ジイソブチル亜鉛またはジn−ヘキシル亜鉛であり、特に好ましくはジメチル亜鉛またはジエチル亜鉛である。
【0094】
化合物(b)としては、例えば、アミン、ホスフィン、アルコール、チオール、フェノール、チオフェノール、ナフトール、ナフチルチオール、およびカルボン酸化合物を挙げることができる。アミンおよびホスフィン化合物としては、ジ(フルオロメチル)アミン、ビス(ジフルオロメチル)アミン、ビス(トリフルオロメチル)アミン、ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)アミン、ビス(2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル)アミン、ビス(2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロメチルエチル)アミン、ビス(1,1−ビス(トリフルオロメチル)−2,2,2−トリフルオロエチル)アミン、ビス(2−フルオロフェニル)アミン、ビス(3−フルオロフェニル)アミン、ビス(4−フルオロフェニル)アミン、ビス(2,6−ジフルオロフェニル)アミン、ビス(3,5−ジフルオロフェニル)アミン、ビス(2,4,6−トリフルオロフェニル)アミン、ビス(3,4,5−トリフルオロフェニル)アミン、ビス(ペンタフルオロフェニル)アミン、ビス(2−(トリフルオロメチル)フェニル)アミン、ビス(3−(トリフルオロメチル)フェニル)アミン、ビス(4−(トリフルオロメチル)フェニル)アミン、ビス(2,6−ジ(トリフルオロメチル)フェニル)アミン、ビス(3,5−ジ(トリフルオロメチル)フェニル)アミン、ビス(2,4,6−トリ(トリフルオロメチル)フェニル)アミン、ビス(2−シアノフェニル)アミン、(3−シアノフェニル)アミン、ビス(4−シアノフェニル)アミン、ビス(2−ニトロフェニル)アミン、ビス(3−ニトロフェニル)アミン、ビス(4−ニトロフェニル)アミン、ビス(1H,1H−パーフルオロブチル)アミン、ビス(1H,1H−パーフルオロペンチル)アミン、ビス(1H,1H−パーフルオロヘキシル)アミン、ビス(1H,1H−パーフルオロオクチル)アミン、ビス(1H,1H−パーフルオロドデシル)アミン、ビス(1H,1H−パーフルオロペンタデシル)アミン、およびビス(1H,1H−パーフルオロエイコシル)アミン、ならびに、これらのアミン類のフルオロをクロロ、ブロモまたはヨードに置き換えたアミン類を挙げることができる。また、上記アミンの窒素原子がリン原子に置換されたホスフィン化合物も同様に挙げることができる。それらホスフィン化合物は、上記アミン中の「アミン」を「ホスフィン」に置き換えることによって表される化合物等である。
【0095】
化合物(b)のアルコールおよびチオール化合物としては、例えば、フルオロメタノール、ジフルオロメタノール、トリフルオロメタノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロパノール、2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロメチルエタノール、1,1−ビス(トリフルオロメチル)−2,2,2−トリフルオロエタノール、1H,1H−パーフルオロブタノール、1H,1H−パーフルオロペンタノール、1H,1H−パーフルオロヘキサノール、1H,1H−パーフルオロオクタノール、1H,1H−パーフルオロドデカノール、1H,1H−パーフルオロペンタデカノール、および1H,1H−パーフルオロエイコサノール、ならびに、これらのアルコール類のフルオロをクロロ、ブロモまたはヨードに置き換えたアルコールを挙げることができる。また、上記アルコール化合物の酸素原子を硫黄原子に置き換えたチオール化合物も同様に挙げることができる。それらチオール化合物は、上記アルコール化合物中の「ノール」を「ンチオール」に置き換えることによって表される化合物等である。
【0096】
化合物(b)のフェノール、ナフトール、チオフェノール、およびナフチルチオール化合物としては、例えば、2−フルオロフェノール、3−フルオロフェノール、4−フルオロフェノール、2,4−ジフルオロフェノール、2,6−ジフルオロフェノール、3,4−ジフルオロフェノール、3,5−ジフルオロフェノール、2,4,6−トリフルオロフェノール、3,4,5−トリフルオロフェノール、2,3,5,6−テトラフルオロフェノール、ペンタフルオロフェノール、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−トリフルオロメチルフェノール、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−ペンタフルオロフェニルフェノール、パーフルオロ−1−ナフトール、パーフルオロ−2−ナフトール、4,5,6,7,8−ペンタフルオロ−2−ナフトール、2−(トリフルオロメチル)フェノール、3−(トリフルオロメチル)フェノール、4−(トリフルオロメチル)フェノール、2,6−ビス(トリフルオロメチル)フェノール、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェノール、2,4,6−トリス(トリフルオロメチル)フェノール、2−シアノフェノール、3−シアノフェノール、4−シアノフェノール、2−ニトロフェノール、3−ニトロフェノール、および4−ニトロフェノール、ならびに、これらのフェノール類のフルオロをクロロ、ブロモまたはヨードに置き換えたフェノールを挙げることができる。また、上記フェノール化合物の酸素原子を硫黄原子に置き換えたチオフェノール化合物も同様に挙げることができる。それらチオフェノール化合物は、上記フェノール化合物の「フェノール」を「チオフェノール」に置き換えることによって表される化合物(ナフトールの場合は、「ナフトール」を「ナフチルチオール」に置き換えることによって表される化合物)等である。
【0097】
化合物(b)のカルボン酸化合物としては、例えば、ペンタフルオロベンゾイックアシッド、パーフルオロエタノイックアシッド、パーフルオロプロパノイックアシッド、パーフルオロブタノイックアシッド、パーフルオロペンタノイックアシッド、パーフルオロヘキサノイックアシッド、パーフルオロヘプタノイックアシッド、パーフルオロオクタノイックアシッド、パーフルオロノナノイックアシッド、パーフルオロデカノイックアシッド、パーフルオロウンデカノイックアシッド、およびパーフルオロドデカノイックアシッドを挙げることができる。
【0098】
化合物(b)としては、アミン、アルコール、またはフェノール化合物が好ましく、具体的には、アミンとしては、ビス(トリフルオロメチル)アミン、ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)アミン、ビス(2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル)アミン、ビス(2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロメチルエチル)アミン、ビス(1,1−ビス(トリフルオロメチル)−2,2,2−トリフルオロエチル)アミン、またはビス(ペンタフルオロフェニル)アミンであり、アルコールとしては、トリフルオロメタノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロパノール、2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロメチルエタノール、または1,1−ビス(トリフルオロメチル)−2,2,2−トリフルオロエタノールであり、フェノールとしては、2−フルオロフェノール、3−フルオロフェノール、4−フルオロフェノール、2,6−ジフルオロフェノール、3,5−ジフルオロフェノール、2,4,6−トリフルオロフェノール、ペンタフルオロフェノール、2−(トリフルオロメチル)フェノール、3−(トリフルオロメチル)フェノール、4−(トリフルオロメチル)フェノール、2,6−ビス(トリフルオロメチル)フェノール、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェノールまたは2,4,6−トリス(トリフルオロメチル)フェノールである。
【0099】
化合物(b)として、より好ましくは、ビス(トリフルオロメチル)アミン、ビス(ペンタフルオロフェニル)アミン、トリフルオロメタノール、2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロメチルエタノール、1,1−ビス(トリフルオロメチル)−2,2,2−トリフルオロエタノール、2−フルオロフェノール、3−フルオロフェノール、4−フルオロフェノール、2,6−ジフルオロフェノール、3,5−ジフルオロフェノール、2,4,6−トリフルオロフェノール、3,4,5−トリフルオロフェノール、ペンタフルオロフェノール、4−(トリフルオロメチル)フェノール、2,6−ビス(トリフルオロメチル)フェノール、または2,4,6−トリス(トリフルオロメチル)フェノールであり、更に好ましくは、3,5−ジフルオロフェノール、3,4,5−トリフルオロフェノール、ペンタフルオロフェノールまたは1,1−ビス(トリフルオロメチル)−2,2,2−トリフルオロエタノールである。
【0100】
化合物(c)としては、例えば、水、硫化水素、アミン、およびアニリン化合物を挙げることができる。アミンとしては、例えば、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、イソブチルアミン、n−ペンチルアミン、ネオペンチルアミン、イソペンチルアミン、n−ヘキシルアミン、n−オクチルアミン、n−デシルアミン、n−ドデシルアミン、n−ペンタデシルアミン、およびn−エイコシルアミン等のアルキルアミン、アリルアミン、シクロペンタジエニルアミン、およびベンジルアミン等のアラルキルアミン、フルオロメチルアミン、ジフルオロメチルアミン、トリフルオロメチルアミン、2,2,2−トリフルオロエチルアミン、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルアミン、2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロメチルエチルアミン、1,1−ビス(トリフルオロメチル)−2,2,2−トリフルオロエチルアミン、パーフルオロプロピルアミン、パーフルオロブチルアミン、パーフルオロペンチルアミン、パーフルオロヘキシルアミン、パーフルオロオクチルアミン、パーフルオロドデシルアミン、パーフルオロペンタデシルアミン、およびパーフルオロエイコシルアミン、ならびに、これらのアミンのフルオロをクロロ、ブロモまたはヨードに置き換えたハロゲン化アルキルアミンを挙げることができる。
【0101】
化合物(c)のアニリン化合物としては、例えば、アニリン、ナフチルアミン、アントラセニルアミン、2−トリルアミン、3−トリルアミン、4−トリルアミン、2,3−キシリルアミン、2,4−キシリルアミン、2,5−キシリルアミン、2,6−キシリルアミン、3,4−キシリルアミン、3,5−キシリルアミン、2,3,4−トリメチルアニリン、2,3,5−トリメチルアニリン、2,3,6−トリメチルアニリン、2,4,6−トリメチルアニリン、3,4,5−トリメチルアニリン、2,3,4,5−テトラメチルアニリン、2,3,4,6−テトラメチルアニリン、2,3,5,6−テトラメチルアニリン、ペンタメチルアニリン、2−エチルアニリン、3−エチルアニリン、4−エチルアニリン、2,3−ジエチルアニリン、2,4−ジエチルアニリン、2,5−ジエチルアニリン、2,6−ジエチルアニリン、3,4−ジエチルアニリン、3,5−ジエチルアニリン、2,3,4−トリエチルアニリン、2,3,5−トリエチルアニリン、2,3,6−トリエチルアニリン、2,4,6−トリエチルアニリン、3,4,5−トリエチルアニリン、2,3,4,5−テトラエチルアニリン、2,3,4,6−テトラエチルアニリン、2,3,5,6−テトラエチルアニリン、およびペンタエチルアニリン、ならびに、これらのエチルをn−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、n−オクチル、n−デシル、n−ドデシル、またはn−テトラデシルに置き換えたアルキルアニリン、2−フルオロアニリン、3−フルオロアニリン、4−フルオロアニリン、2,6−ジフルオロアニリン、3,5−ジフルオロアニリン、2,4,6−トリフルオロアニリン、3,4,5−トリフルオロアニリン、およびペンタフルオロアニリン等のハロゲン化アニリン、2−(トリフルオロメチル)アニリン、3−(トリフルオロメチル)アニリン、4−(トリフルオロメチル)アニリン、2,6−ジ(トリフルオロメチル)アニリン、3,5−ジ(トリフルオロメチル)アニリン、および2,4,6−トリ(トリフルオロメチル)アニリン、ならびに、これらのフルオロをクロロ、ブロモまたはヨードに置き換えた(ハロゲン化アルキル)アニリンを挙げることができる。
【0102】
化合物(c)として好ましくは、水、硫化水素、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、イソブチルアミン、n−オクチルアミン、アニリン、2,6−キシリルアミン、2,4,6−トリメチルアニリン、ナフチルアミン、アントラセニルアミン、ベンジルアミン、トリフルオロメチルアミン、ペンタフルオロエチルアミン、パーフルオロプロピルアミン、パーフルオロブチルアミン、パーフルオロペンチルアミン、パーフルオロヘキシルアミン、パーフルオロオクチルアミン、パーフルオロドデシルアミン、パーフルオロペンタデシルアミン、パーフルオロエイコシルアミン、2−フルオロアニリン、3−フルオロアニリン、4−フルオロアニリン、2,6−ジフルオロアニリン、3,5−ジフルオロアニリン、2,4,6−トリフルオロアニリン、3,4,5−トリフルオロアニリン、ペンタフルオロアニリン、2−(トリフルオロメチル)アニリン、3−(トリフルオロメチル)アニリン、4−(トリフルオロメチル)アニリン、2,6−ビス(トリフルオロメチル)アニリン、3,5−ビス(トリフルオロメチル)アニリンまたは2,4,6−トリス(トリフルオロメチル)アニリンであり、特に好ましくは、水、トリフルオロメチルアミン、パーフルオロブチルアミン、パーフルオロオクチルアミン、パーフルオロペンタデシルアミン、2−フルオロアニリン、3−フルオロアニリン、4−フルオロアニリン、2,6−ジフルオロアニリン、3,5−ジフルオロアニリン、2,4,6−トリフルオロアニリン、3,4,5−トリフルオロアニリン、ペンタフルオロアニリン、2−(トリフルオロメチル)アニリン、3−(トリフルオロメチル)アニリン、4−(トリフルオロメチル)アニリン、2,6−ビス(トリフルオロメチル)アニリン、3,5−ビス(トリフルオロメチル)アニリン、または2,4,6−トリス(トリフルオロメチル)アニリンであり、最も好ましくは水またはペンタフルオロアニリンである。
【0103】
粒子(d)としては、改質された粒子(B)の製造に用いられる溶媒あるいは重合溶媒に不溶な固体状物質であれば特に制限されないが、一般に担体として用いられているものが好ましく使用され、粒径の整った、多孔質の物質が好ましく、無機物質または有機ポリマーが好適に使用され、無機物質がより好適に使用される。
粒子(d)としては、得られる付加重合体の粒径分布の観点から、粒子(d)の粒径の体積基準の幾何標準偏差として好ましくは2.5以下、より好ましくは2.0以下、さらに好ましくは1.7以下である。
【0104】
粒子(d)の無機物質としては、例えば、無機酸化物、粘土および粘土鉱物を挙げることができる。これら複数の無機物質を混合して用いてもかまわない。
無機酸化物としては、例えば、SiO2、Al23、MgO、ZrO2、TiO2、B23、CaO、ZnO、BaO、およびThO2、ならびにこれらの混合物、SiO2−MgO、SiO2−Al23、SiO2−TiO2、SiO2−V25、SiO2−Cr23、およびSiO2−TiO2−MgOを挙げることができる。これらの無機酸化物の中では、SiO2および/またはAl23が好ましく、特にSiO2(即ちシリカ)が好ましい。なお、上記無機酸化物は少量のNa2CO3、K2CO3、CaCO3、MgCO3、Na2SO4、Al2(SO43、BaSO4、KNO3、Mg(NO32、Al(NO33、Na2O、K2O、Li2O等の炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、酸化物成分を含有してもかまわない。
【0105】
粘土または粘土鉱物としては、例えば、カオリン、ベントナイト、木節粘土、ガイロメ粘土、アロフェン、ヒシンゲル石、バイロフィライト、タルク、ウンモ群、スメクタイト、モンモリロナイト群、ヘクトライト、ラポナイト、サポナイト、バーミキュライト、リョクデイ石群、パリゴルスカイト、カオリナイト、ナクライト、ディッカイト、ハロイサイトを挙げることができる。
これらの中で好ましくは、スメクタイト、モンモリロナイト、ヘクトライト、ラポナイト、サポナイトであり、さらに好ましくはモンモリロナイト、ヘクトライトである。
【0106】
これらの無機物質の中で、無機酸化物が好適に用いられる。
これらの無機物質は、乾燥し、実質的に水分が除去されていることが好ましく、加熱処理により乾燥させたものが好ましい。加熱処理は通常、目視で水分を確認できない無機物質について温度100〜1500℃で、好ましくは100〜1000℃で、さらに好ましくは200〜800℃で実施される。その加熱時間は特に限定されるものではないが、好ましくは10分間〜50時間、より好ましくは1時間〜30時間である。加熱乾燥の方法としては、例えば、加熱中に乾燥した不活性ガス(例えば、窒素またはアルゴン等)を一定の流速で流通させて乾燥する方法、および、減圧下で加熱乾燥する方法等を挙げることができる。
【0107】
また、無機酸化物には通常、表面に水酸基が生成し存在しているが、無機酸化物として、表面水酸基の活性水素を種々の置換基で置換した改質無機酸化物を使用してもよい。改質無機酸化物としては、例えば、トリメチルクロロシランおよびtert−ブチルジメチルクロロシラン等のトリアルキルクロロシラン、トリフェニルクロロシラン等のトリアリールクロロシラン、ジメチルジクロロシラン等のジアルキルジクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン等のジアリールジクロロシラン、メチルトリクロロシラン等のアルキルトリクロロシラン、フェニルトリクロロシラン等のアリールトリクロロシラン、トリメチルメトキシシラン等のトリアルキルアルコキシシラン、トリフェニルメトキシシラン等のトリアリールアルコシキシランおよびジメチルジメトキシシラン等のジアルキルジアルコキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン等のジアリールジアルコキシシラン、メチルトリメトキシシラン等のアルキルトリアルコキシシラン、フェニルトリメトキシシラン等のアリールトリアルコキシシラン、テトラメトキシシラン等のテトラアルコキシシラン、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン等のアルキルジシラザン、テトラクロロシラン、メタノールおよびエタノール等のアルコール、フェノール、ジブチルマグネシウム、ブチルエチルマグネシウム、およびブチルオクチルマグネシウム等のジアルキルマグネシウム、ブチルリチウム等のアルキルリチウムと接触処理した無機酸化物を挙げることができる。
【0108】
更に、トリアルキルアルミニウムと接触後、ジエチルアミンおよびジフェニルアミン等のジアルキルアミン、メタノールおよびエタノール等のアルコール、フェノールと接触処理した無機酸化物を例示することができる。
【0109】
また、無機酸化物は水酸基同士が水素結合することにより無機酸化物自体の強度が高まっていることがある。その場合、仮に表面水酸基の活性水素全てについて種々の置換基で置換してしまうと、粒子強度の低下等を招く場合がある。よって、無機酸化物の表面水酸基の活性水素は必ずしも全て置換する必要はなく、表面水酸基の置換率は適宜決めればよい。表面水酸基の置換率を変化させる方法は特に限定されない。該方法としては、例えば、接触処理に使用する化合物の使用量を変化させる方法を例示することができる。
【0110】
無機物質の平均粒子径は特に限定されないが、通常1〜5000μmであり、好ましくは、5〜1000μmであり、より好ましくは10〜500μm、更に好ましくは10〜100μmである。細孔容量は、好ましくは0.1ml/g以上、より好ましくは0.3〜10ml/gである。比表面積は、好ましくは、10〜1000m2/g、より好ましくは100〜500m2/gである。
【0111】
粒子(d)の有機ポリマーは、どのような有機ポリマーを用いてもよく、また複数種の有機ポリマーの混合物を用いてもよい。有機ポリマーとして、好ましくは、活性水素を有する官能基もしくは非プロトン供与性のルイス塩基性官能基を有する重合体である。
【0112】
上記の活性水素を有する官能基は、活性水素を有していれば特に限定されない。該官能基としては、例えば、1級アミノ基、2級アミノ基、イミノ基、アミド基、ヒドラジド基、アミジノ基、ヒドロキシ基、ヒドロペルオキシ基、カルボキシル基、ホルミル基、カルバモイル基、スルホン酸基、スルフィン酸基、スルフェン酸基、チオール基、チオホルミル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピペリジル基、インダゾリル基、およびカルバゾリル基を挙げることができる。なかでも、好ましくは、1級アミノ基、2級アミノ基、イミノ基、アミド基、イミド基、ヒドロキシ基、ホルミル基、カルボキシル基、スルホン酸基またはチオール基であり、特に好ましくは、1級アミノ基、2級アミノ基、アミド基またはヒドロキシ基である。これらの基はハロゲン原子や炭素原子数1〜20の炭化水素基で置換されていてもよい。
【0113】
上記の非プロトン供与性のルイス塩基性官能基は、活性水素原子を有しないルイス塩基部分を有する官能基であれば特に限定されない。該官能基としては、例えば、ピリジル基、N−置換イミダゾリル基、N−置換インダゾリル基、ニトリル基、アジド基、N−置換イミノ基、N,N−置換アミノ基、N,N−置換アミノオキシ基、N,N,N−置換ヒドラジノ基、ニトロソ基、ニトロ基、ニトロオキシ基、フリル基、カルボニル基、チオカルボニル基、アルコキシ基、アルキルオキシカルボニル基、N,N−置換カルバモイル基、チオアルコキシ基、置換スルフィニル基、置換スルホニル基、および置換スルホン酸基を挙げることができる。好ましくは、複素環基であり、更に好ましくは、酸素原子および/または窒素原子を環内に有する芳香族複素環基である。特に好ましくは、ピリジル基、N−置換イミダゾリル基、N−置換インダゾリル基であり、最も好ましくはピリジル基である。これらの基はハロゲン原子や炭素原子数1〜20の炭化水素基で置換されていてもよい。
【0114】
上記有機ポリマーとしての重合体中の活性水素を有する官能基もしくは非プロトン供与性のルイス塩基性官能基の含有量は特に限定されない。該使用量は、好ましくは、重合体の単位グラム当りの官能基のモル量として0.01〜50mmol/gであり、より好ましくは0.1〜20mmol/gである。
【0115】
上記の官能基を有する重合体の製造方法としては、例えば、活性水素を有する官能基もしくは非プロトン供与性のルイス塩基性官能基と1個以上の重合性不飽和基とを有するモノマーを単独重合させる方法、および該モノマーと重合性不飽和基を有する他のモノマーとを共重合させる方法を挙げることができる。このとき更に2個以上の重合性不飽和基を有する架橋重合性モノマーをも一緒に共重合することが好ましい。
【0116】
上記の重合性不飽和基としては、例えば、ビニル基およびアリル基等のアルケニル基、ならびにエチン基等のアルキニル基を挙げることができる。
上記の活性水素を有する官能基と1個以上の重合性不飽和基を有するモノマーとしては、例えば、ビニル基含有1級アミン、ビニル基含有2級アミン、ビニル基含有アミド化合物、およびビニル基含有ヒドロキシ化合物を挙げることができる。該モノマーの具体例としては、N−(1−エテニル)アミン、N−(2−プロペニル)アミン、N−(1−エテニル)−N−メチルアミン、N−(2−プロペニル)−N−メチルアミン、1−エテニルアミド、2−プロペニルアミド、N−メチル−(1−エテニル)アミド、N−メチル−(2−プロペニル)アミド、ビニルアルコール、2−プロペン−1−オール、3−ブテン−1−オールが挙げられる。
上記の活性水素原子を有しないルイス塩基部分を有する官能基と1個以上の重合性不飽和基を有するモノマーとしては、例えば、ビニルピリジン、ビニル(N−置換)イミダゾール、およびビニル(N−置換)インダゾールを挙げることができる。
【0117】
重合性不飽和基を有する他のモノマーとしては、例えば、エチレン、α−オレフィン、芳香族ビニル化合物および環状オレフィン化合物を挙げることができる。該モノマーの具体例としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、スチレン、ノルボルネン、ジシクロペンタジエンである。なかでも、好ましくはエチレンまたはスチレンである。これらのモノマーは2種以上を用いてもよい。
上記2個以上の重合性不飽和基を有する架橋重合性モノマーの具体例としては、ジビニルベンゼン等を挙げることができる。
【0118】
有機ポリマーの平均粒子径としては特に限定されないが、通常1〜5000μmであり、好ましくは5〜1000μmであり、より好ましくは10〜500μmである。細孔容量としては特に限定されないが、好ましくは0.1ml/g以上、より好ましくは0.3〜10ml/gである。比表面積としては特に限定されないが、好ましくは10〜1000m2/g、より好ましくは50〜500m2/gである。
【0119】
これらの有機ポリマーは、乾燥され、実質的に水分が除去されていることが好ましく、加熱処理により乾燥されたものが好ましい。加熱処理は通常、目視で水分を確認できない有機ポリマーについて温度30〜400℃で、好ましくは50〜200℃で、更に好ましくは70〜150℃で実施される。その加熱時間は特に限定されないが、好ましくは10分間〜50時間、より好ましくは1時間〜30時間である。加熱乾燥の方法としては、例えば、加熱中に、乾燥した不活性ガス(例えば、窒素またはアルゴン等)を一定の流速で流通させて乾燥する方法、および、減圧下で加熱乾燥する方法等を挙げることができる。
【0120】
本発明の改質された粒子(B)を得るために、上記の成分(a)、(b)、(c)および(d)を接触させる順序は、特に限定されることはなく、例えば、以下の順序を挙げることができる。
<1>(a)と(b)との接触物と、(c)とを接触させて得られる接触物と(d)とを接触させる。
<2>(a)と(b)との接触物と、(d)とを接触させて得られる接触物と(c)とを接触させる。
<3>(a)と(c)との接触物と、(b)とを接触させて得られる接触物と(d)とを接触させる。
<4>(a)と(c)との接触物と、(d)とを接触させて得られる接触物と(b)とを接触させる。
<5>(a)と(d)との接触物と、(b)とを接触させて得られる接触物と(c)とを接触させる。
<6>(a)と(d)との接触物と、(c)とを接触させて得られる接触物と(b)とを接触させる。
<7>(b)と(c)との接触物と、(a)とを接触させて得られる接触物と(d)とを接触させる。
<8>(b)と(c)との接触物と、(d)とを接触させて得られる接触物と(a)とを接触させる。
<9>(b)と(d)との接触物と、(a)とを接触させて得られる接触物と(c)とを接触させる。
<10>(b)と(d)との接触物と、(c)とを接触させて得られる接触物と(a)とを接触させる。
<11>(c)と(d)との接触物と、(a)とを接触させて得られる接触物と(b)とを接触させる。
<12>(c)と(d)との接触物と、(b)とを接触させて得られる接触物と(a)とを接触させる。
接触順序として、好ましくは、上記の<1>、<2>、<3>、<5>、<11>または<12>である。特に好ましくは、<2>または<5>である。
【0121】
また、成分(a)、(b)、(c)および(d)を接触させて得られた粒子(「中間固体」と呼ぶことがある)を、再度、成分(a)、(b)および(c)すべてと接触させてもよい。接触させる順序は特に限定されることはなく、前記<1>〜<12>において、(d)を中間固体に置き換えた方法が挙げられる。なかでも、次の<13>、<14>または<15>が好ましい。
<13>中間固体と(a)との接触物と、(b)とを接触させて得られる接触物と(c)とを接触させる。
<14>中間固体と(b)との接触物と、(a)とを接触させて得られる接触物と(c)とを接触させる。
<15>中間固体と(c)との接触物と、(b)とを接触させて得られる接触物と(a)とを接触させる。
上記の接触処理の後、上記接触処理により得られた固体成分と成分(a)、(b)および(c)との接触処理を更に1回以上行ってもよい。
【0122】
このような接触処理は不活性気体雰囲気下で実施するのが好ましい。処理温度は通常−100〜300℃であり、好ましくは−80〜200℃である。処理時間は通常1分間〜200時間であり、好ましくは10分間〜100時間である。また、このような処理は溶媒を用いてもよく、または溶媒を用いることなくこれらの化合物を直接接触処理してもよい。
【0123】
溶媒としては、上記成分(a)、(b)、(c)、(d)、およびそれらの接触物と反応しない溶媒が用いられる。しかしながら、上述のように、段階的に各成分を接触させる場合には、ある段階においてある成分と反応する溶媒であっても、該溶媒が他の段階において各成分と反応しない溶媒であれば、該溶媒を他の段階で用いることができる。つまり、各段階における溶媒は相互に、同じかまたは異なる。該溶媒としては、例えば、脂肪族炭化水素溶媒および芳香族炭化水素溶媒等の非極性溶媒、ならびに、ハロゲン化物溶媒、エーテル系溶媒、アルコール系溶媒、フェノール系溶媒、カルボニル系溶媒、リン酸誘導体、ニトリル系溶媒、ニトロ化合物、アミン系溶媒、および硫黄化合物等の極性溶媒を挙げることができる。具体例としては、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、2,2,4−トリメチルペンタン、およびシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素溶媒、ベンゼン、トルエン、およびキシレン等の芳香族炭化水素溶媒、ジクロロメタン、ジフルオロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジブロモエタン、1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロエタン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、およびo−ジクロロベンゼン等のハロゲン化物溶媒、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、メチル−tert−ブチル−エーテル、アニソール、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、テトラヒドロフラン、およびテトラヒドロピラン等のエーテル系溶媒、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、3−メチル−1−ブタノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、およびグリセリン等のアルコール系溶媒、フェノールおよびp−クレゾール等のフェノール系溶媒、アセトン、エチルメチルケトン、シクロヘキサノン、無水酢酸、酢酸エチル、酢酸ブチル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、およびN−メチル−2−ピロリドン等のカルボニル系溶媒、ヘキサメチルリン酸トリアミドおよびリン酸トリエチル等のリン酸誘導体、アセトニトリル、プロピオニトリル、スクシノニトリル、およびベンゾニトリル等のニトリル系溶媒、ニトロメタンおよびニトロベンゼン等のニトロ化合物、ピリジン、ピペリジン、およびモルホリン等のアミン系溶媒、ならびに、ジメチルスルホキシドおよびスルホラン等の硫黄化合物を挙げることができる。
【0124】
成分(a)、(b)および(c)を接触させて得られる接触生成物(e)と、粒子(d)とを接触させる場合、つまり上記の<1>、<3>、<7>の各方法において、接触生成物(e)を製造する場合の溶媒(s1)としては、上記の脂肪族炭化水素溶媒、芳香族炭化水素溶媒またはエーテル系溶媒が好ましい。
【0125】
一方、接触生成物(e)と粒子(d)とを接触させる場合の溶媒(s2)としては極性溶媒が好ましい。溶媒の極性を表す指標としては、ETN値(C.Reichardt,“Solvents and Solvents Effects in Organic Chemistry”, 2nd ed., VCH Verlag (1988).)等が知られており、0.8≧ETN≧0.1なる範囲を満足する溶媒が特に好ましい。かかる極性溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、ジクロロジフルオロメタンクロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジブロモエタン、1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロエタン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、o−ジクロロベンゼン、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、アニソール、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、3−メチル−1−ブタノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、アセトン、エチルメチルケトン、シクロヘキサノン、無水酢酸、酢酸エチル、酢酸ブチル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ヘキサメチルリン酸トリアミド、リン酸トリエチル、アセトニトリル、プロピオニトリル、スクシノニトリル、ベンゾニトリル、ニトロメタン、ニトロベンゼン、エチレンジアミン、ピリジン、ピペリジン、モルホリン、ジメチルスルホキシド、およびスルホランを挙げることができる。溶媒(s2)として更に好ましくは、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、アニソール、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、3−メチル−1−ブタノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、ジエチレングリコールまたはトリエチレングリコールであり、特に好ましくはジ−n−ブチルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、3−メチル−1−ブタノールまたはシクロヘキサノールであり、最も好ましくはテトラヒドロフラン、メタノール、エタノール、1−プロパノールまたは2−プロパノールである。
【0126】
また、前記溶媒(s2)としては、これら極性溶媒と炭化水素溶媒との混合溶媒を用いることもできる。炭化水素溶媒としては上に例示した脂肪族炭化水素溶媒や芳香族炭化水素溶媒が用いられる。極性溶媒と炭化水素溶媒との混合溶媒としては、例えば、ヘキサン/メタノール混合溶媒、ヘキサン/エタノール混合溶媒、ヘキサン/1−プロパノール混合溶媒、ヘキサン/2−プロパノール混合溶媒、ヘプタン/メタノール混合溶媒、ヘプタン/エタノール混合溶媒、ヘプタン/1−プロパノール混合溶媒、ヘプタン/2−プロパノール混合溶媒、トルエン/メタノール混合溶媒、トルエン/エタノール混合溶媒、トルエン/1−プロパノール混合溶媒、トルエン/2−プロパノール混合溶媒、キシレン/メタノール混合溶媒、キシレン/エタノール混合溶媒、キシレン/1−プロパノール混合溶媒、およびキシレン/2−プロパノール混合溶媒を挙げることができる。好ましくはヘキサン/メタノール混合溶媒、ヘキサン/エタノール混合溶媒、ヘプタン/メタノール混合溶媒、ヘプタン/エタノール混合溶媒、トルエン/メタノール混合溶媒、トルエン/エタノール混合溶媒、キシレン/メタノール混合溶媒、キシレン/エタノール混合溶媒である。更に好ましくはヘキサン/メタノール混合溶媒、ヘキサン/エタノール混合溶媒、トルエン/メタノール混合溶媒またはトルエン/エタノール混合溶媒である。最も好ましくはトルエン/エタノール混合溶媒である。
トルエン/エタノール混合溶媒における、エタノール分率の好ましい範囲は10〜50体積%であり、更に好ましくは15〜30体積%である。
【0127】
成分(a)、(b)および(c)を接触させて得られる接触生成物(e)と、(d)とを接触させる方法、つまり上記の<1>、<3>、<7>の各方法において、溶媒(s1)および溶媒(s2)として、共に炭化水素溶媒を用いることもできる。この場合は、成分(a)、(b)および(c)を接触させた後、得られた接触生成物(e)と粒子(d)とを接触させるまでの時間は短い方が好ましい。時間として好ましくは0〜5時間であり、更に好ましくは0〜3時間であり、最も好ましくは0〜1時間である。また、接触生成物(e)と粒子(d)とを接触させる場合の温度は、通常−100℃〜40℃であり、好ましくは−20℃〜20℃であり、最も好ましくは−10℃〜10℃である。
【0128】
上記の<2>、<5>、<6>、<8>、<9>、<10>、<11>、<12>の場合、上記の非極性溶媒、極性溶媒いずれも使用することができる。好ましくは、非極性溶媒である。なぜならば、(a)と(c)との接触生成物や、(a)と(b)との接触生成物と(c)とが接触した接触生成物は一般的に非極性溶媒に対し溶解性が低いので、これら接触物が生成する時に反応系内に(d)が存在する場合、生成した接触生成物が(d)の表面に析出し、より固定化されやすい、と考えられるからである。
【0129】
上記成分(a)、(b)、(c)各化合物の使用量は特に限定されない。各化合物の使用量は、(a)の使用量を1モルとすると、下記の関係式(1)を満足することが好ましい。
|M1の原子価 −(b)のモル量 − 2 ×(c)のモル量| ≦ 1 (1)
成分(a)の使用量を1モルとした場合の成分(b)のモル量は、好ましくは0.01〜1.99モルであり、より好ましくは0.1〜1.8モルであり、さらに好ましくは0.2〜1.5モルであり、最も好ましくは0.3〜1モルである。成分(c)の好ましい使用量、より好ましい使用量、さらに好ましい使用量、最も好ましい使用量は、M1の原子価、成分(b)の使用量、および上記関係式(1)によってそれぞれ算出される。
【0130】
成分(a)および(d)の使用量は、改質された粒子(B)に含まれる成分(a)に由来する典型金属原子が、得られる粒子1gに含まれる典型金属原子のモル数にして、0.1mmol以上となる量であることが好ましく、0.5〜20mmolとなる量であることがより好ましい。
【0131】
反応をより速く進行させるため、上記のような接触処理の後に、より高い温度での加熱工程を付加することが好ましい。加熱工程では、より高温とするために、沸点の高い溶媒を使用することが好ましく、加熱工程を行う際に、接触工程で用いた溶媒を他のより沸点の高い溶媒に置き換えてもよい。
【0132】
本発明の改質された粒子(B)は、このような接触処理の結果、原料である成分(a)、(b)、(c)および/または(d)が未反応物として残存していてもよい。しかし、予め未反応物を除去する洗浄処理を行った方が好ましい。その際の溶媒は、接触時の溶媒と同じでも異なっていてもよい。このような洗浄処理は不活性気体雰囲気下で実施するのが好ましい。処理温度は通常−100〜300℃であり、好ましくは−80〜200℃である。処理時間は通常1分間〜200時間であり、好ましくは10分間〜100時間である。
【0133】
また、このような接触処理や洗浄処理の後、生成物から溶媒を留去し、その後0℃以上の温度で減圧下1時間〜24時間乾燥を行うことが好ましい。より好ましくは0℃〜200℃の温度で1時間〜24時間であり、更に好ましくは10℃〜200℃の温度で1時間〜24時間であり、特に好ましくは10℃〜160℃の温度で2時間〜18時間であり、最も好ましくは15℃〜160℃の温度で4時間〜18時間である。
【0134】
本発明の改質された粒子の製造方法の具体例を、化合物(a)がジエチル亜鉛であり、化合物(b)がペンタフルオロフェノールであり、化合物(c)が水であり、粒子(d)がシリカである場合について更に詳細に以下に示す。テトラヒドロフランを溶媒とし、そこへジエチル亜鉛のヘキサン溶液を加え、3℃に冷却し、そこへジエチル亜鉛に対して等モル量のペンタフルオロフェノールを滴下し室温にて10分間〜24時間攪拌を行った後、更にジエチル亜鉛に対して0.5倍モル量の水を滴下し室温にて10分間〜24時間撹袢する。その後、溶媒を留去し、120℃で減圧下8時間乾燥を行う。以上の操作によって得られた固体成分に、テトラヒドロフラン、シリカを加え、40℃で2時間攪拌する。固体成分をテトラヒドロフランで洗浄した後、120℃で減圧下8時間乾燥を行う。かくして本発明の改質された粒子を製造することができる。
【0135】
有機アルミニウム化合物(C)としては、公知の有機アルミニウム化合物が使用できる。好ましくは、下記一般式[7]で表される有機アルミニウム化合物である。
8dAlY3-d [7]
(式中、R8は炭化水素基を表し、全てのR8は同じであっても異なっていてもよい。Yは水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、またはアラルキルオキシ基を表し、全てのYは同一であっても異なっていてもよい。dは0<d≦3を満足する数を表す。)
【0136】
上記一般式[7]におけるR8として好ましくは、炭素原子数1〜24の炭化水素基であり、より好ましくは炭素原子数1〜24のアルキル基である。具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ヘキシル基、2−メチルヘキシル基、およびn−オクチル基を挙げることができきる。好ましくはエチル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ヘキシル基またはn−オクチル基である。
【0137】
また、Yにおけるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、およびヨウ素原子を挙げることができ、好ましくは塩素原子である。
Yにおけるアルコキシ基としては、炭素原子数1〜24のアルコキシ基が好ましく、具体的には、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペントキシ基、およびn−イコソキシ基を挙げることができ、好ましくはメトキシ基、エトキシ基またはtert−ブトキシ基である。
【0138】
Yにおけるアリールオキシ基としては、炭素原子数6〜24のアリールオキシ基が好ましい。該アリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、3−メチルフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、2,3−ジメチルフェノキシ基、2,4−ジメチルフェノキシ基、2,5−ジメチルフェノキシ基、2,6−ジメチルフェノキシ基、3,4−ジメチルフェノキシ基、3,5−ジメチルフェノキシ基、2,3,4−トリメチルフェノキシ基、2,3,5−トリメチルフェノキシ基、2,3,6−トリメチルフェノキシ基、2,4,5−トリメチルフェノキシ基、2,4,6−トリメチルフェノキシ基、3,4,5−トリメチルフェノキシ基、2,3,4,5−テトラメチルフェノキシ基、2,3,4,6−テトラメチルフェノキシ基、2,3,5,6−テトラメチルフェノキシ基、ペンタメチルフェノキシ基、エチルフェノキシ基、n−プロピルフェノキシ基、イソプロピルフェノキシ基、n−ブチルフェノキシ基、sec−ブチルフェノキシ基、tert−ブチルフェノキシ基、n−ヘキシルフェノキシ基、n−オクチルフェノキシ基、n−デシルフェノキシ基、n−テトラデシルフェノキシ基、ナフトキシ基、およびアントラセノキシ基を挙げることができる。
【0139】
Yにおけるアラルキルオキシ基としては、炭素原子数7〜24のアラルキルオキシ基が好ましい。該アラルキルオキシ基としては、例えば、ベンジルオキシ基、(2−メチルフェニル)メトキシ基、(3−メチルフェニル)メトキシ基、(4−メチルフェニル)メトキシ基、(2,3−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,4−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,5−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,6−ジメチルフェニル)メトキシ基、(3,4−ジメチルフェニル)メトキシ基、(3,5−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,4−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,6−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,4,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,4,6−トリメチルフェニル)メトキシ基、(3,4,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,4,5−テトラメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,5,6−テトラメチルフェニル)メトキシ基、(ペンタメチルフェニル)メトキシ基、(エチルフェニル)メトキシ基、(n−プロピルフェニル)メトキシ基、(イソプロピルフェニル)メトキシ基、(n−ブチルフェニル)メトキシ基、(sec−ブチルフェニル)メトキシ基、(tert−ブチルフェニル)メトキシ基、(n−ヘキシルフェニル)メトキシ基、(n−オクチルフェニル)メトキシ基、(n−デシルフェニル)メトキシ基、(n−テトラデシルフェニル)メトキシ基、ナフチルメトキシ基、およびアントラセニルメトキシ基を挙げることができ、好ましくはベンジルオキシ基である。
【0140】
一般式[7]で表される有機アルミニウム化合物(C)としては、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ−n−プロピルアルミニウム、トリ−n−ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウム、およびトリ−n−オクチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム、ジメチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムクロライド、ジ−n−プロピルアルミニウムクロライド、ジ−n−ブチルアルミニウムクロライド、ジイソブチルアルミニウムクロライド、およびジ−n−ヘキシルアルミニウムクロライド等のジアルキルアルミニウムクロライド、メチルアルミニウムジクロライド、エチルアルミニウムジクロライド、n−プロピルアルミニウムジクロライド、n−ブチルアルミニウムジクロライド、イソブチルアルミニウムジクロライド、およびn−ヘキシルアルミニウムジクロライド等のアルキルアルミニウムジクロライド、ジメチルアルミニウムハイドライド、ジエチルアルミニウムハイドライド、ジ−n−プロピルアルミニウムハイドライド、ジ−n−ブチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド、およびジ−n−ヘキシルアルミニウムハイドライド等のジアルキルアルミニウムハイドライド、メチル(ジメトキシ)アルミニウム、メチル(ジエトキシ)アルミニウム、およびメチル(ジ−tert−ブトキシ)アルミニウム等のアルキル(ジアルコキシ)アルミニウム、ジメチル(メトキシ)アルミニウム、ジメチル(エトキシ)アルミニウム、およびジメチル(tert−ブトキシ)アルミニウム等のジアルキル(アルコキシ)アルミニウム、メチル(ジフェノキシ)アルミニウム、メチルビス(2,6−ジイソプロピルフェノキシ)アルミニウム、およびメチルビス(2,6−ジフェニルフェノキシ)アルミニウム等のアルキル(ジアリールオキシ)アルミニウム、ならびに、ジメチル(フェノキシ)アルミニウム、ジメチル(2,6−ジイソプロピルフェノキシ)アルミニウム、およびジメチル(2,6−ジフェニルフェノキシ)アルミニウム等のジアルキル(アリールオキシ)アルミニウム等を挙げることができる。
【0141】
なかでも、好ましくはトリアルキルアルミニウムであり、更に好ましくはトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ−n−ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウムまたはトリ−n−オクチルアルミニウムであり、特に好ましくはトリイソブチルアルミニウムまたはトリ−n−オクチルアルミニウムである。
これらの有機アルミニウム化合物は一種類のみを用いても、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0142】
(D)付加重合用触媒成分
本発明の付加重合用触媒成分(D)は、遷移金属化合物(A)および改質された粒子(B)、あるいはさらに有機アルミニウム化合物(C)を遷移金属化合物(A)の30℃における飽和溶解量が0.01〜2.0μmol/mLの範囲にあり、かつ、触媒成分の失活を伴わない有機溶媒中で接触させることによって得られる化合物である。化合物(A)および(B)、あるいはさらに化合物(C)を接触させる順序としては特に限定されることはなく、以下の順序等が挙げられる。
<1>(A)と(B)を接触させる。
<2>(A)と(B)との接触物と、(C)とを接触させる。
<3>(A)と(C)との接触物と、(B)とを接触させる。
<4>(B)と(C)との接触物と、(A)とを接触させる。
接触順序として好ましくは上記の<1>、<2>、または<3>である。特に好ましくは<1>または<3>である。
【0143】
遷移金属化合物(A)と改質された粒子(B)、あるいはさらに有機アルミニウム化合物(C)との接触処理は、不活性気体雰囲気下で実施するのが好ましい。処理温度は通常−100〜300℃であり、好ましくは−80〜200℃である。処理時間は通常1分間〜200時間であり、好ましくは30分間〜100時間である。
【0144】
本発明において、遷移金属化合物(A)と改質された粒子(B)、あるいはさらに有機アルミニウム化合物(C)とを接触処理させる際に使用される溶媒としては遷移金属化合物(A)の30℃における飽和溶解量が0.01〜2.0μmol/mLの範囲にあり、かつ、触媒成分の失活を伴わないものであれば特に限定されないが、遷移金属化合物(A)の30℃における飽和溶解量が0.05〜1.5μmol/mLの範囲にあることがより好ましく、0.1〜1.0μmol/mLの範囲にあることが更に好ましい。遷移金属化合物(A)の30℃における飽和溶解量が0.01μmol/mLを下回る場合、接触処理によって得られる付加重合用触媒成分(D)が、遷移金属化合物(A)と改質された粒子(B)、あるいはさらに有機アルミニウム化合物(C)の単純な混合物となり、本発明の目的である,より高分子量の付加重合体が得られない場合がある。遷移金属化合物(A)の30℃における飽和溶解量が2.0μmol/mLを超える場合、遷移金属化合物(A)の溶媒への溶解性が高くなり、遷移金属化合物(A)の改質された粒子(B)表面への固定化が起こらず、重合活性が低下する場合がある。
【0145】
遷移金属化合物(A)の30℃における飽和溶解量は、遷移金属化合物(A)が過剰に加えられ、添加した全量が完全に溶解していない遷移金属化合物(A)と溶媒の混合物を30℃に保温し、かつ、十分に攪拌された状態での遷移金属化合物(A)の溶解量によって決定される。遷移金属化合物(A)の30℃における飽和溶解量の具体的な決定方法は特に制限されないが、例えば、加えた遷移金属化合物(A)の重量および溶媒の容量、30℃で十分に攪拌された状態でろ別された未溶解部の重量から下式に従って算出する方法などが挙げられる。
(遷移金属化合物(A)の30℃における飽和溶解量(μmol/ml)={{(最初に加えた遷移金属化合物(A)の重量(g))−(ろ別された未溶解部の重量(g))}/(遷移金属化合物(A)の分子量(g/mol))}/(溶媒の容量(ml))×106
【0146】
触媒成分の失活を伴う溶媒とは、遷移金属化合物(A)へ強く配位することによって重合の進行を阻害する、あるいはその構造に含まれる活性水素によって上記一般式(4)におけるM2とL2との結合を解裂させるような溶媒であれば特に制限されないが、例えば、窒素原子、リン原子、酸素原子または硫黄原子などのへテロ原子を含む構造を有する溶媒が挙げられる。触媒成分の失活を伴う溶媒の具体的としては、例えば、アルコール溶媒、アミン溶媒、エーテル溶媒等を挙げることが出来る。
【0147】
遷移金属化合物(A)と改質された粒子(B)、あるいはさらに有機アルミニウム化合物(C)とを接触処理させる際に使用される溶媒としては、脂肪族炭化水素溶媒、芳香族炭化水素溶媒などの炭化水素溶媒が好ましい。具体例としてはブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、2,2,4−トリメチルペンタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒が挙げられる。中でも、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、2,2,4−トリメチルペンタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素溶媒が好ましく、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンが最も好ましい。
【0148】
改質された粒子(B)と遷移金属化合物(A)との使用量の比は特に限定されないが、遷移金属化合物(A)の使用モル量が単位重量の改質された粒子(B)に対して通常1〜10000μmol/gであり、好ましくは10〜1000μmol/gであり、より好ましくは20〜500μmol/gである。接触処理における化合物(A)の濃度は、遷移金属原子換算で通常0.0001〜1000μmol/mlであり、好ましくは0.01〜100μmol/mlであり、より好ましくは0.5〜50μmol/mlである。
【0149】
有機アルミニウム化合物(C)の使用量は特に限定されないが、有機アルミニウム化合物(C)と遷移金属化合物(A)とのモル比が通常0.1〜1000であり、好ましくは0.5〜500であり、より好ましくは1〜100である。接触処理における化合物(C)の濃度は、上記の化合物(A)の濃度と、(A)に対する(C)のモル比によって決定される。
【0150】
接触処理の後、溶媒の除去を行ってもかまわない。溶媒を除去する方法には特に制限はなく、減圧乾燥しても、加熱下不活性ガスを流通させてもかまわない。また、溶媒の除去の前に洗浄操作を行ってもかまわない。洗浄溶媒としては、遷移金属化合物(A)および改質された粒子(B)、あるいはさらに有機アルミニウム化合物(C)の接触処理時と同様に、遷移金属化合物(A)の30℃における飽和溶解量が0.01〜2.0μmol/mlの範囲にあり、かつ、触媒成分の失活を伴わない有機溶媒を用いることが好ましい。
【0151】
本発明の遷移金属化合物(A)と改質された粒子(B)を接触させて得られる付加重合用触媒成分(D)は、付加重合用触媒の調製に用いられる。本発明の付加重合用触媒としては、前記の付加重合用触媒成分(D)のみからなる付加重合用触媒が挙げられるが、触媒成分としてさらに有機アルミニウム化合物を接触させると、より活性に優れ、好ましい。この場合の有機アルミニウム化合物としては、前記化合物(C)として説明した有機アルミニウム化合物が用いられる。即ち、本発明の好ましい付加重合用触媒は、有機アルミニウム化合物(C)ならびに前記の付加重合用触媒成分(D)を接触させて得られる付加重合用触媒である。
【0152】
本発明の付加重合用触媒としては、化合物(D)と化合物(C)を予め接触させて得られた反応物を用いてもよく、重合反応装置中に別々に投入して用いてもよい。
【0153】
各触媒成分を触媒調製用反応器もしくは重合用反応器に供給する方法も、特に制限されるものではない。各成分を固体状態で供給する方法、水分や酸素等の触媒成分を失活させる成分を十分に取り除いた炭化水素溶媒に溶解させた溶液状態、または懸濁もしくはスラリー化させた状態で供給する方法等が挙げられる。このときの溶媒としては、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素溶媒、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素溶媒、またはメチレンクロライド等のハロゲン化炭化水素が挙げられ、脂肪族炭化水素または芳香族炭化水素が好ましく、脂肪族炭化水素溶媒がより好ましい。
【0154】
各触媒成分を溶液状態、または懸濁もしくはスラリー化させた状態で供給する場合、成分(D)の濃度は、通常0.01〜1000g/リットル、好ましくは0.1〜500g/リットルである。成分(C)の濃度は、Al原子換算で通常0.0001〜100モル/リットル、好ましくは0.01〜10モル/リットルである。
【0155】
重合方法も特に限定されるものではなく、ガス状のモノマー中での気相重合、溶媒を使用する溶液重合、スラリー重合等が可能である。溶液重合、またはスラリー重合に用いる溶媒としては、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素溶媒、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素溶媒、またはメチレンクロライド等のハロゲン化炭化水素溶媒が挙げられ、あるいはオレフィン自身を溶媒に用いる(バルク重合)ことも可能である。重合方法は、回分式重合、連続式重合のいずれでも可能であり、さらに重合を反応条件の異なる2段階以上に分けて行っても良い。重合時間は、一般に、目的とするオレフィン重合体の種類、反応装置により適宜決定されるが、1分間〜20時間の範囲を取ることができる。
【0156】
本発明は、付加重合体粒子の形成を伴う重合(例えばスラリー重合、気相重合、バルク重合等)に特に好適に適用される。
スラリー重合は、公知のスラリー重合方法、重合条件に従って行えばよいが、それらに限定される事はない。スラリー法における好ましい重合方法として、モノマー(およびコモノマー)、供給物、稀釈剤などを必要に応じて連続的に添加し、かつ、ポリマー生成物を連続的または少なくとも周期的に取出す連続式反応器が含まれる。反応器としては、ループ反応器を使用する方法、反応器が異なったり、反応条件が異なる複数の攪拌反応器を直列または並列またはこれらの組合せなどが挙げられる。
【0157】
稀釈剤としては、例えばパラフィン、シクロパラフィンまたは芳香族炭化水素等の不活性稀釈剤(媒質)を用いることができる。重合反応器または反応帯域の温度は、通常約0℃〜約150℃、好ましくは30℃〜100℃の範囲をとることができる。圧力は通常約0.1MPa〜約10MPaに変化させることができ、好ましくは0.5MPa〜5MPaである。触媒を懸濁状態に保持し、媒質および少なくとも一部のモノマーおよびコモノマーを液相に維持し、モノマーおよびコモノマーを接触させることができる圧力をとることができる。従って、媒質、温度、および圧力は、付加重合体が固体粒子として生成され、その形態で回収されるように選択すればよい。
【0158】
付加重合体の分子量は反応帯域の温度の調節、水素の導入等、公知の各種の手段によって制御することができる。
各触媒成分、モノマー(およびコモノマー)は、公知の任意の方法によって、任意の順序で反応器、または反応帯域に添加できる。例えば、各触媒成分、モノマー(およびコモノマー)を反応帯域に同時に添加する方法、逐次に添加する方法等を用いることができる。所望ならば、各触媒成分はモノマー(およびコモノマー)と接触させる前に、不活性雰囲気中において予備接触させることができる。
【0159】
気相重合は、公知の気相重合方法、重合条件に従って行えばよいが、それらに限定されることはない。気相重合反応装置としては、流動層型反応槽、好ましくは、拡大部を有する流動層型反応槽が用いられる。反応槽内に攪拌翼が設置された反応装置でも何ら問題はない。
各成分を重合槽に供給する方法としては通常、窒素、アルゴン等の不活性ガス、水素、エチレン等を用いて、水分のない状態で供給する、あるいは溶媒に溶解または稀釈して、溶液またはスラリー状態で供給する等の方法を用いることができる。各触媒成分は個別に供給してもよいし、任意の成分を任意の順序にあらかじめ接触させて供給してもよい。
【0160】
重合条件として、温度は重合体が溶融する温度未満、好ましくは0℃〜150℃、特に好ましくは30℃〜100℃の範囲である。さらに最終製品の溶融流動性を調節する目的で、水素を分子量調節剤として添加しても構わない。また、重合に際して、混合ガス中に不活性ガスを共存させてもよい。
【0161】
本発明においては、このような重合(本重合)の実施前に予備重合を行ってもかまわない。
【0162】
本発明の付加重合体の製造方法は、前記の本発明の付加重合用触媒の存在下、付加重合可能なモノマーを付加重合させる付加重合体の製造方法である。
重合に使用するモノマーとしては、炭素原子数2〜20のオレフィン、ジオレフィン、環状オレフィン、アルケニル芳香族炭化水素、極性モノマー等を挙げることができ、同時に2種以上のモノマーを用いることもできる。
【0163】
これらの具体例としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、5−メチル−1−ヘキセン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン等のオレフィン;1,5−ヘキサジエン、1,4−ヘキサジエン、1,4−ペンタジエン、1,7−オクタジエン、1,8−ノナジエン、1,9−デカジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、ノルボルナジエン、5−メチレン−2−ノルボルネン、1,5−シクロオクタジエン、5,8−エンドメチレンヘキサヒドロナフタレン、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ヘキサジエン、1,3−オクタジエン、1,3−シクロオクタジエン、1,3−シクロヘキサジエン等のジオレフィン;ノルボルネン、5−メチルノルボルネン、5−エチルノルボルネン、5−ブチルノルボルネン、5−フェニルノルボルネン、5−ベンジルノルボルネン、テトラシクロドデセン、トリシクロデセン、トリシクロウンデセン、ペンタシクロペンタデセン、ペンタシクロヘキサデセン、8−メチルテトラシクロドデセン、8−エチルテトラシクロドデセン、5−アセチルノルボルネン、5−アセチルオキシノルボルネン、5−メトキシカルボニルノルボルネン、5−エトキシカルボニルノルボルネン、5−メチル−5−メトキシカルボニルノルボルネン、5−シアノノルボルネン、8−メトキシカルボニルテトラシクロドデセン、8−メチル−8−テトラシクロドデセン、8−シアノテトラシクロドデセン等の環状オレフィン;スチレン、2−フェニルプロピレン、2−フェニルブテン、3−フェニルプロピレン等のアルケニルベンゼン、p−メチルスチレン、m−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−エチルスチレン、m−エチルスチレン、o−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,5−ジメチルスチレン、3,4−ジメチルスチレン、3,5−ジメチルスチレン、3−メチル−5−エチルスチレン、p−第3級ブチルスチレン、p−第2級ブチルスチレンなどのアルキルスチレン、ジビニルベンゼン等のビスアルケニルベンゼン、1−ビニルナフタレン等のアルケニルナフタレン等のアルケニル芳香族炭化水素;アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、ビシクロ(2,2,1)−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸等のα,β−不飽和カルボン酸、およびそのナトリウム、カリウム、リチウム、亜鉛、マグネシウム、カルシウム等の金属塩、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル等のα,β−不飽和カルボン酸エステル、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、トリフルオロ酢酸ビニル等のビニルエステル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、イタコン酸モノグリシジルエステル等の不飽和カルボン酸グリシジルエステル等の極性モノマーなどが挙げられる。
【0164】
本発明は、これらのモノマーの単独重合または共重合に適用される。共重合体を構成するモノマーの具体例としては、エチレンとプロピレン、エチレンと1−ブテン、エチレンと1−ヘキセン、エチレンと1−オクテン、プロピレンと1−ブテン等が例示されるが、本発明はこれらに限定されるべきものではない。
【0165】
本発明の付加重合用触媒はオレフィン重合用触媒として特に好適であり、オレフィン重合体の製造方法に好適に用いられる。かかるオレフィン重合体として特に好ましくはエチレンとα−オレフィンとの共重合体であり、なかでもポリエチレン結晶構造を有するエチレンとα−オレフィンとの共重合体が好ましい。ここでいうα−オレフィンとして好ましくは、炭素原子数3〜8のα−オレフィンであり、具体的には1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどが挙げられる。
【実施例】
【0166】
以下、実施例および比較例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例中の各項目の測定値は、下記の方法で測定した。
【0167】
(1)共重合体におけるα−オレフィンから誘導される繰り返し単位の含有量は、赤外分光光度計(日本分光工業社製 FT−IR7300)を用い、エチレンとα−オレフィンの特性吸収より検量線を用いて求め、炭素原子1000個当たりの短鎖分岐数(SCB)として表した。
【0168】
(2)メルトフローレート=MFR:JIS K7210−1995に規定された方法に従い、190℃にて荷重21.18N(2.16kg)で測定したメルトフローレート値である(単位:g/10分)。
【0169】
(3)スウェル比=SR:MFR測定時に得られたストランド径をダイの内径である2.095mmで除した値である。
【0170】
(4)メルトフローレート比=MFRR:JIS K7210−1995に規定された方法に従い、190℃、荷重211.82N(21.60kg)で測定されたメルトフローレート値を、荷重21.18N(2.16kg)で測定されたメルトフローレート値(MFR)で除した値である。
上記メルトフローレート測定についてはすべて、予め酸化防止剤を1000ppm配合した重合体を用いた。
【0171】
(5)分子量および分子量分布
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、下記の条件で測定した。検量線は標準ポリスチレンを用いて作成した。分子量分布は重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で評価した。
機種: ミリポアウオーターズ社製 150C型
カラム: TSK−GEL GMH−HT 7.5×600×2本
測定温度:140℃
溶媒: オルトジクロロベンゼン、
測定濃度:5mg/5ml
【0172】
(6)元素分析
亜鉛およびジルコニウム:試料を硫酸水溶液(1M)に投じたのち超音波を照射し金属成分を抽出した。得られた液体部分についてICP発光分析法により定量した。
フッ素:酸素を充填させたフラスコ中で試料を燃焼させて生じた燃焼ガスを水酸化ナトリウム水溶液(10%)に吸収させ、得られた当該水溶液についてイオン電極法を用いて定量した。
【0173】
[実施例1]
(1)シリカの処理
窒素置換した撹拌機を備えた反応器に、溶媒としてトルエン24kg、粒子(d)として窒素流通下で300℃において加熱処理したシリカ(デビソン社製 Sylopol948;平均粒子径=55μm;細孔容量=1.67ml/g;比表面積=325m2/g)2.8kgを入れて、撹拌した。その後、5℃に冷却した後、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン0.91kgとトルエン1.43kgの混合溶液を反応器の温度を5℃に保ちながら33分間で滴下した。滴下終了後、5℃で1時間、95℃で3時間攪拌した。その後、得られた固体生成物をトルエン21kgで6回、洗浄を行った。その後、トルエンを6.9kg加え、一晩静置した。
【0174】
(2)改質された粒子(B)の調製
上記実施例1(1)で得られたトルエンスラリーへ、化合物(a)として50wt%のジエチル亜鉛のヘキサン溶液2.05kgと溶媒としてヘキサン1.3kgを投入し、攪拌した。その後、5℃に冷却した後、化合物(b)としてペンタフルオロフェノール0.77kgと溶媒としてトルエン1.17kgの混合溶液を、反応器の温度を5℃に保ちながら61分間で滴下した。滴下終了後、5℃で1時間、40℃で1時間攪拌した。その後、化合物(c)として水0.11kgを反応器の温度を5℃に保ちながら1.5時間で滴下した。滴下終了後、5℃で1.5時間、55℃で2時間攪拌した。その後、室温にて化合物(a)として50wt%のジエチル亜鉛のヘキサン溶液1.4kgと溶媒としてヘキサン0.8kgを投入した。5℃に冷却した後、化合物(b)として3,4,5−トリフルオロフェノール0.42kgと溶媒としてトルエン0.77kgの混合溶液を、反応器の温度を5℃に保ちながら60分間で滴下した。滴下終了後、5℃で1時間、40℃で1時間攪拌した。その後、化合物(c)として水0.077kgを反応器の温度を5℃に保ちながら1.5時間で滴下した。滴下終了後、5℃で1.5時間、40℃で2時間、更に、80℃で2時間攪拌した。攪拌を停止し残量が16リットルとなるまで上澄み液を抜き出し、トルエン11.6kgを投入し、攪拌した。95℃に昇温し、4時間攪拌した。得られた固体生成物をトルエン20.8kgで4回、ヘキサン24リットルで3回、洗浄を行った。その後、乾燥することで改質された粒子(B)を得た。元素分析の結果、亜鉛=2.9mmol/g、フッ素=4.0mmol/gであった。
【0175】
(3)遷移金属化合物(A)と改質された粒子(B)との接触
減圧乾燥後、窒素で置換した100mlの4つ口フラスコに、室温下で遷移金属化合物(A)としてラセミ−エチレンビス(1−インデニル)ジルコニウムジクロリド0.348g(832μmol)および溶媒としてヘキサン55ml(遷移金属化合物(A)の30℃における飽和溶解量=0.18μmol/ml)を加えた。0〜5℃に冷却した状態で上記実施例1(2)で得られた改質された粒子(B)5.39gを入れ、そのまま30分間攪拌を行った。20℃に昇温し、さらに2時間攪拌を行った。次いで固体成分を沈降させ、上層のスラリー部分を取り除いた後、ガラスフィルターにてろ過を行った。洗浄操作として、これにヘキサン 44mlを加え、23℃で攪拌を行った後、固体成分を沈降させ、上層のスラリー部分を取り除き、ガラスフィルターにてろ過を行った。以上の洗浄操作を2回繰り返した。その後、固体成分を23℃、減圧下、1時間乾燥を行うことにより、固体成分(D1)5.41gを得た。元素分析の結果、ジルコニウム=76μmol/gであった。
【0176】
(4)重合
減圧乾燥後、アルゴンで置換した内容積3リットルの撹拌機付きオートクレーブ内を真空にし、分子量調節剤として水素をその分圧が0.017MPaになるように加え、コモノマーとして1−ブテンを55g、重合溶媒としてブタンを695g仕込み、70℃まで昇温した。その後、モノマーとしてエチレンを、その分圧が1.6MPaになるように加え系内を安定させた。ガスクロマトグラフィー分析の結果、系内のガス組成は、水素=1.04mol%、1−ブテン=3.27mol%であった。これに、有機アルミニウム化合物(C)として濃度を1mmol/mlに調整したトリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液 0.9mlを投入した。次に、固体触媒成分として上記実施例1(3)で得られた固体触媒成分(D1)4.2mgを投入した。全圧を一定に保つようにエチレン/水素混合ガス(水素0.43mol%)をフィードしながら70℃で、1時間重合を行った。その結果、オレフィン重合体 58gが得られた。ジルコニウム原子当たりの重合活性は1.8×108g/molZrで、固体触媒成分当りの重合活性は13800g/g固体触媒成分であった。また、得られたオレフィン重合体はSCB=17.2、Mw=128000、Mw/Mn=9.7、MFR=0.12g/10分、MFRR=157、SR=1.10であった。
【0177】
[実施例2]
(1)遷移金属化合物(A)と改質された粒子(B)との接触
減圧乾燥後、窒素で置換した100mlの4つ口フラスコに、室温下で遷移金属化合物(A)としてラセミ−エチレンビス(1−インデニル)ジルコニウムジフェノキシド0.412g(772μmol)および溶媒としてヘキサン50ml(遷移金属化合物(A)の30℃における飽和溶解量=0.45μmol/ml)を加えた。0〜5℃に冷却した状態で上記実施例1(2)で得られた改質された粒子(B)5.11gを入れ、そのまま30分間攪拌を行った。20℃に昇温し、さらに2時間攪拌を行った。次いで固体成分を沈降させ、上層のスラリー部分を取り除いた後、ガラスフィルターにてろ過を行った。洗浄操作として、これにヘキサン 42mlを加え、23℃で攪拌を行った後、固体成分を沈降させ、上層のスラリー部分を取り除き、ガラスフィルターにてろ過を行った。以上の洗浄操作を2回繰り返した。その後、固体成分を23℃、減圧下、1時間乾燥を行うことにより、固体成分(D2)5.19gを得た。元素分析の結果、ジルコニウム=104μmol/gであった。
【0178】
(2)重合
減圧乾燥後、アルゴンで置換した内容積3リットルの撹拌機付きオートクレーブ内を真空にし、分子量調節剤として水素をその分圧が0.017MPaになるように加え、コモノマーとして1−ブテンを55g、重合溶媒としてブタンを695g仕込み、70℃まで昇温した。その後、モノマーとしてエチレンを、その分圧が1.6MPaになるように加え系内を安定させた。ガスクロマトグラフィー分析の結果、系内のガス組成は、水素=1.02mol%、1−ブテン=3.39mol%であった。これに、有機アルミニウム化合物(C)として濃度を1mmol/mlに調整したトリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液 0.9mlを投入した。次に、固体触媒成分として上記実施例2(1)で得られた固体触媒成分(D2)4.8mgを投入した。全圧を一定に保つようにエチレン/水素混合ガス(水素0.43mol%)をフィードしながら70℃で、1時間重合を行った。その結果、オレフィン重合体 57gが得られた。ジルコニウム原子当たりの重合活性は1.1×108g/molZrで、固体触媒成分当りの重合活性は11900g/g固体触媒成分であった。また、得られたオレフィン重合体はSCB=17.6、Mw=110000、Mw/Mn=10.7、MFR=0.33g/10分、MFRR=99、SR=1.12であった。
【0179】
[比較例1]
(1)重合
減圧乾燥後、アルゴンで置換した内容積3リットルの撹拌機付きオートクレーブ内を真空にし、分子量調節剤として水素をその分圧が0.015MPaになるように加え、重合溶媒としてブタンを695g、コモノマーとして1−ブテンを55g仕込み、70℃まで昇温した。その後、モノマーとしてエチレンを、その分圧が1.6MPaになるように加え系内を安定させた。ガスクロマトグラフィー分析の結果、系内のガス組成は、水素=0.97mol%、1−ブテン=2.20mol%であった。これに、有機アルミニウム化合物(C)として濃度を1mmol/mlに調整したトリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液 0.9mlを投入した。次に、遷移金属化合物(A)として濃度を2μmol/mlに調整したラセミ−エチレンビス(1−インデニル)ジルコニウムジフェノキシドのトルエン溶液 0.25mlを投入し、続いて上記実施例1(2)で得られた改質された粒子(B)4.8mgを固体触媒成分として投入した。全圧を一定に保つようにエチレン/水素混合ガス(水素0.31mol%)をフィードしながら70℃で、60分間重合を行った。その結果、粒子性状の良好なオレフィン重合体90gが得られた。ジルコニウム原子当たりの重合活性は1.8×108g/molZrで、固体触媒成分当たりの重合活性は18800g/g固体触媒成分であった。また、得られたオレフィン重合体はSCB=17.1、Mw=93800、Mw/Mn=7.9、MFR=1.2g/10分、MFRR=64、SR=1.34であった。
【0180】
[実施例3]
(1)遷移金属化合物(A)、有機アルミニウム化合物(C)、および改質された粒子(B)の接触
減圧乾燥後、窒素で置換した100mlの4つ口フラスコに、室温下で遷移金属化合物(A)としてラセミ−エチレンビス(1−インデニル)ジルコニウムジクロリド0.314g(750μmol)および溶媒としてヘキサン48ml(遷移金属化合物(A)の30℃における飽和溶解量=0.18μmol/ml)を加えた。続いて、有機アルミニウム化合物(C)として濃度を1mmol/mlに調整したトリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液 2.3mlを加えた。40℃に昇温し、3時間攪拌を行った。0〜5℃に冷却し、上記実施例1(2)で得られた改質された粒子(B)4.86gを入れ、そのまま30分間攪拌を行った。20℃に昇温し、さらに2時間攪拌を行った。次いで固体成分を沈降させ、上層のスラリー部分を取り除いた後、ガラスフィルターにてろ過を行った。洗浄操作として、これにヘキサン 42mlを加え、23℃で攪拌を行った後、固体成分を沈降させ、上層のスラリー部分を取り除き、ガラスフィルターにてろ過を行った。以上の洗浄操作を2回繰り返した。その後、固体成分を23℃、減圧下、1時間乾燥を行うことにより、固体成分(D3)4.84gを得た。元素分析の結果、ジルコニウム=91μmol/gであった。
【0181】
(2)重合
減圧乾燥後、アルゴンで置換した内容積3リットルの撹拌機付きオートクレーブ内を真空にし、分子量調節剤として水素をその分圧が0.020MPaになるように加え、コモノマーとして1−ブテンを55g、重合溶媒としてブタンを695g仕込み、70℃まで昇温した。その後、モノマーとしてエチレンを、その分圧が1.6MPaになるように加え系内を安定させた。ガスクロマトグラフィー分析の結果、系内のガス組成は、水素=1.09mol%であった。これに、有機アルミニウム化合物(C)として濃度を1mmol/mlに調整したトリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液 0.9mlを投入した。次に、固体触媒成分として上記実施例3(1)で得られた固体触媒成分(D3)6.0mgを投入した。全圧を一定に保つようにエチレン/水素混合ガス(水素0.34mol%)をフィードしながら70℃で、1時間重合を行った。その結果、オレフィン重合体 69gが得られた。ジルコニウム原子当たりの重合活性は1.3×108g/molZrで、固体触媒成分当りの重合活性は11500g/g固体触媒成分であった。また、得られたオレフィン重合体はSCB=15.9、MFR=0.14g/10分、MFRR=197、SR=1.09であった。
【0182】
[実施例4]
(1)遷移金属化合物(A)と改質された粒子(B)との接触
減圧乾燥後、窒素で置換した100mlの4つ口フラスコに、室温下で遷移金属化合物(A)としてラセミ−エチレンビス(1−インデニル)ジルコニウムジフェノキシド0.797g(1.49mmol)および溶媒としてヘキサン50ml(遷移金属化合物(A)の30℃における飽和溶解量=0.45μmol/ml)を加えた。0〜5℃に冷却した状態で上記実施例1(2)で得られた改質された粒子(B)4.96gを入れ、そのまま30分間攪拌を行った。20℃に昇温し、さらに2時間攪拌を行った。次いで固体成分を沈降させ、上層のスラリー部分を取り除いた後、ガラスフィルターにてろ過を行った。洗浄操作として、これにヘキサン 41mlを加え、23℃で攪拌を行った後、固体成分を沈降させ、上層のスラリー部分を取り除き、ガラスフィルターにてろ過を行った。以上の洗浄操作を2回繰り返した。その後、固体成分を23℃、減圧下、1時間乾燥を行うことにより、固体成分(D4)5.37gを得た。
【0183】
(2)重合
減圧乾燥後、アルゴンで置換した内容積3リットルの撹拌機付きオートクレーブ内を真空にし、分子量調節剤として水素をその分圧が0.017MPaになるように加え、コモノマーとして1−ブテンを55g、重合溶媒としてブタンを695g仕込み、70℃まで昇温した。その後、モノマーとしてエチレンを、その分圧が1.6MPaになるように加え系内を安定させた。ガスクロマトグラフィー分析の結果、系内のガス組成は、水素=0.92mol%、1−ブテン=2.99mol%であった。これに、有機アルミニウム化合物(C)として濃度を1mmol/mlに調整したトリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液 0.9mlを投入した。次に、固体触媒成分として上記実施例4(1)で得られた固体触媒成分(D4)4.0mgを投入した。全圧を一定に保つようにエチレン/水素混合ガス(水素0.44mol%)をフィードしながら70℃で、1時間重合を行った。その結果、オレフィン重合体 59gが得られた。固体触媒成分当りの重合活性は14800g/g固体触媒成分であった。また、得られたオレフィン重合体はSCB=17.6、MFR=0.12g/10分、MFRR=148、SR=1.07であった。
【産業上の利用可能性】
【0184】
以上詳述したように本発明によれば、より高分子量の付加重合体を製造し得る付加重合用触媒成分、付加重合用触媒および、ならびにより高分子量の付加重合体の製造方法が提供される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遷移金属化合物(A)ならびに下記(a)、(b)、(c)および(d)を接触させてなる改質された粒子(B)、あるいはさらに有機アルミニウム化合物(C)を、遷移金属化合物(A)の30℃における飽和溶解量が0.01〜2.0μmol/mLの範囲にあり、かつ、触媒成分の失活を伴わない有機溶媒中で接触させることによって得られる付加重合用触媒成分。
(a):下記一般式[1]で表される化合物
11m [1]
(b):下記一般式[2]で表される化合物
1t-1TH [2]
(c):下記一般式[3]で表される化合物
2t-2TH2 [3]
(d):粒子
(上記一般式[1]〜[3]において、M1 は元素周期律表第1、2、12、14または15族の典型金属原子を表し、mはM1 の原子価に相当する数を表す。L1 は水素原子、ハロゲン原子または炭化水素基を表し、L1 が複数存在する場合、複数のL1は互いに同じであっても異なっていてもよい。R1 は電子吸引性基または電子吸引性基を含有する基を表し、R1 が複数存在する場合、複数のR1は互いに同じであっても異なっていてもよい。R2 は炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基を表す。Tはそれぞれ独立に元素周期律表の第15族または第16族の原子を表し、tはそれぞれの化合物のTの原子価に相当する数を表す。)
【請求項2】
遷移金属化合物(A)が、シクロペンタジエン形アニオン骨格を有する基を少なくとも一つ有する遷移金属化合物である請求項1に記載の付加重合用触媒成分。
【請求項3】
請求項1または2に記載の付加重合用触媒成分からなる付加重合用触媒。
【請求項4】
有機アルミニウム化合物(C)ならびに請求項1または2に記載の付加重合用触媒成分を接触させてなる付加重合用触媒。
【請求項5】
請求項3または4に記載の付加重合用触媒を用いる付加重合体の製造方法。
【請求項6】
付加重合体が、オレフィン重合体である請求項5記載の付加重合体の製造方法。
【請求項7】
付加重合体が、エチレンとα−オレフィンとの共重合体である請求項5記載の付加重合体の製造方法。

【公開番号】特開2006−233116(P2006−233116A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−52870(P2005−52870)
【出願日】平成17年2月28日(2005.2.28)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】