会議システム、監視システム、画像処理装置、画像処理方法及び画像処理プログラム等
【課題】広範囲な画角で撮像された魚眼歪画像等に基づいて正確かつ実効的な物体認識を行うことが可能な会議システム、監視システム、画像処理装置、画像処理方法及び画像処理プログラム等を提供する。
【解決手段】魚眼レンズによって撮像された魚眼歪画像Sに基づいて生成された二次元的に視認可能な平面正則画像等の任意の点任意の点Ci(ui、vi)の選択指示を受け付けると、Ci(ui、vi)の対応座標としての魚眼歪画像S上の点Si(xi、yi)を算出し、Ci(ui、vi)を中心として、当該魚眼歪画像Sを構成する画素情報群に基づいて、平面正則画像を構成する画素情報群を新たに生成する。
【解決手段】魚眼レンズによって撮像された魚眼歪画像Sに基づいて生成された二次元的に視認可能な平面正則画像等の任意の点任意の点Ci(ui、vi)の選択指示を受け付けると、Ci(ui、vi)の対応座標としての魚眼歪画像S上の点Si(xi、yi)を算出し、Ci(ui、vi)を中心として、当該魚眼歪画像Sを構成する画素情報群に基づいて、平面正則画像を構成する画素情報群を新たに生成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力された画像データを処理する画像処理装置及び画像処理方法等の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
広角レンズ(例えば、魚眼レンズ)又は全方位ミラーは、広範囲な画角で被写体を撮像できるため、例えば、監視カメラシステム、テレビ会議システム等のカメラ装置(例えば、魚眼カメラ)に適用されている。
【0003】
この魚眼カメラで撮像された魚眼歪画像には歪が生じ、特に当該画像の外縁部(端面部)では著しい歪が生じる。そこで、魚眼歪画像に示される被写体の識別性を向上させるため、魚眼歪画像を二次元的に視認可能な平面正則画像に変換し、上記歪を補正する魚眼補正処理が行われている。
【0004】
また、魚眼補正処理を適用した技術として、特許文献1では、魚眼レンズ全景縮小画像と、ポインティングデバイスで指定した当該魚眼歪画像内の所望の領域の切り出し歪補正領域とを同一画面上に出力表示する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−301034号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された技術では、人間の目視により魚眼歪画像に表示される特定の物体を特定し、当該物体を監視するために装置に指示を与える必要があるため、正確かつ実効的な物体認識を行うことができない。
【0007】
また、魚眼歪画像には上述したように歪が発生するため、画像に表示される特定の物体を認識する物体認識技術を適用した場合には、魚眼歪画像上に示される物体を正確に認識することは困難である。
【0008】
そこで、本願発明は、このような問題等に鑑みてなされたものであり、広範囲な画角で撮像された魚眼歪画像等に基づいて正確かつ実効的な物体認識を行うことが可能な会議システム、監視システム、画像処理装置、画像処理方法及び画像処理プログラム等を提供することを課題の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、外部から入力される広角レンズ又は全方位ミラーによって撮像された歪円形画像に基づいて生成される当該歪円形画像を構成する画素情報群を記憶する歪円形画像記憶手段と、前記記憶された歪円形画像を構成する画素情報群を、二次元的に視認可能な平面正則画像を構成する画素情報群に変換する変換手段と、前記変換された平面正則画像を構成する画素情報群を記憶する平面正則画像記憶手段と、前記記憶された平面正則画像上の任意の点に対応する画素情報の選択指示を受け付ける選択指示受付手段と、前記選択指示が示す平面正則画像上の画素情報に対応する歪円形画像上の画素情報を特定する対応座標特定手段と、前記特定された画素情報を中心に、前記記憶された歪円形画像を構成する画素情報群を、二次元的に視認可能な平面正則画像を構成する画素情報群に再変換する再変換手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像処理装置であって、前記再変換された平面正則画像を構成する画素情報群に基づいて、表示部へ表示させる所定の大きさの画面情報を生成する画面情報生成手段と、を備えることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の画像処理装置であって、前記選択指示受付手段は、前記変換手段によって変換された平面正則画像上の複数の点に対応する画素情報の選択指示を受け付け、前記対応座標特定手段は、前記選択指示が示す平面正則画像上のそれぞれの画素情報に対応する歪円形画像上の画素情報を特定し、前記再変換手段は、前記特定されたそれぞれの画素情報を中心に、前記記憶された歪円形画像を構成する画素情報群を、二次元的に視認可能な平面正則画像を構成する画素情報に、前記対応座標特定手段によって特定されたそれぞれの画素情報毎に再変換することを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の画像処理装置であって、前記生成された各画面情報を、前記表示部に同一の大きさに表示されるように表示態様を制御する表示制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4の何れか1項に記載の画像処理装置であって、前記変換された平面正則画像に示される所定の物体を認識する物体認識手段と、を備え、前記選択指示受付手段は、前記認識された物体上の任意の点に対応する画素情報の選択指示を受け付けることを特徴とする。
【0014】
請求項6に記載の発明は、外部から入力される広角レンズ又は全方位ミラーによって被写体を継続的に撮像した複数の歪円形画像に基づいて生成される当該複数の歪円形画像を構成する画素情報群を、各歪円形画像に対応付けて記憶する歪円形画像記憶手段と、前記記憶された各歪円形画像を構成する画素情報群を、二次元的に視認可能な平面正則画像を構成する画素情報群に、前記各歪円形画像毎に変換する変換手段と、前記変換された各平面正則画像を構成する画素情報群を記憶する平面正則画像記憶手段と、前記変換された平面正則画像に示される特定の物体を認識する物体認識手段と、前記認識した物体が平面正則画像で示す継時的な変化を、前記各平面正則画像毎に認識する動作認識手段と、前記動作認識手段によって認識された前記各平面正則画像毎の物体上の任意の点に対応する歪円形画像上の画素情報を特定する第2の対応座標特定手段と、前記第2の対応座標特定手段によって特定された各歪画像上の画素情報を中心に、前記歪円形画像を構成する画素情報群を、二次元的に視認可能な平面正則画像を構成する画素情報群に、第2の対応座標特定手段によって特定された各画素情報毎に再変換する再変換手段と、を備えることを特徴とする。
【0015】
請求項7に記載の発明は、広角レンズ又は全方位ミラーによって撮像した被写体を歪円形画像として画像処理装置へ出力するカメラと、前記入力された歪円形画像に基づいて画面情報を生成して端末装置へ出力する前記画像処理装置と、を備えた会議システムであって、前記画像処理装置は、前記入力された歪円形画像に基づいて生成される当該歪円形画像を構成する画素情報群を記憶する歪円形画像記憶手段と、前記記憶された歪円形画像を構成する画素情報群を、二次元的に視認可能な平面正則画像を構成する画素情報群に変換する変換手段と、前記変換された平面正則画像を構成する画素情報群を格納する平面正則画像記憶手段と、前記変換された平面正則画像に示される一又は複数の特定の物体を認識する物体認識手段と、前記認識された物体上の任意の点に対応する画素情報の選択指示を、前記認識した物体毎に受け付ける選択指示受付手段と、前記選択指示が示す平面正則画像上の画素情報に対応する歪円形画像上の画素情報を、前記認識した物体毎に特定する対応座標特定手段と、前記対応座標特定手段によって特定された画素情報を中心に、前記記憶された歪円形画像を構成する画素情報群を、二次元的に視認可能な平面正則画像を構成する画素情報群に、前記認識した物体毎に再変換する再変換手段と、前記再変換された平面正則画像を構成する画素情報群を、表示部へ表示させる所定の大きさの画面情報として前記認識した物体毎に生成する画面情報生成手段と、前記生成された画面情報を前記端末装置へ出力する出力手段と、を備えることを特徴とする。
【0016】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の会議システムであって、前記カメラは、当該カメラに搭載される広角レンズ又は全方位ミラーを天頂方向へ向けて配置されることを特徴とする。
【0017】
請求項9に記載の発明は、広角レンズ又は全方位ミラーによって第1の撮像中心から所定の撮像範囲内で撮像された被写体を歪円形画像として画像処理装置へ出力する機能と、ズーム機構を備えたレンズ群によって第2の撮像中心から所定の範囲内で撮像された被写体を平面正則画像として前記画像処理装置へ出力する機能を搭載した監視カメラと、前記入力された歪円形画像に基づいて画面情報を生成する前記画像処理装置と、を備える監視システムであって、前記監視カメラは、当該カメラの撮像する位置を切り替えるパンチルト駆動手段と、を備え、前記画像処理装置は、前記入力された歪円形画像に基づいて生成される当該歪円形画像を構成する画素情報群を記憶する歪円形画像記憶手段と、前記記憶された歪円形画像を構成する画素情報群を、二次元的に視認可能な平面正則画像を構成する画素情報群に変換する変換手段と、前記変換された平面正則画像を構成する画素情報群を格納する平面正則画像記憶手段と、前記変換された平面正則画像に示される物体を認識する物体認識手段と、前記記憶された平面正則画像上の任意の点に対応する画素情報の選択指示を受け付ける選択指示受付手段と、前記選択指示が示す平面正則画像上の画素情報に対応する歪円形画像上の画素情報を特定する対応座標特定手段と、予め算出された前記第1の撮像中心と前記第2の撮像中心に基づいて、前記第2の撮像中心を、前記対応座標特定手段によって特定された画素情報が示す位置に新たに設定するための距離情報を算出し、当該距離情報が示す位置に監視カメラを駆動させるための制御信号を前記パンチルト駆動手段に出力する位置制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0018】
請求項10に記載の発明は、外部から入力される広角レンズ又は全方位ミラーによって撮像された歪円形画像に基づいて生成される当該歪円形画像を構成する画素情報群を記憶する歪円形画像記憶工程と、前記記憶された歪円形画像を構成する画素情報群を、二次元的に視認可能な平面正則画像を構成する画素情報群に変換する変換工程と、前記変換された平面正則画像を構成する画素情報群を記憶する平面正則画像記憶工程と、前記記憶された平面正則画像上の任意の点に対応する画素情報の選択指示を受け付ける選択指示受付工程と、前記選択指示が示す平面正則画像上の画素情報に対応する歪円形画像上の画素情報を特定する対応座標特定工程と、前記対応座標特定工程によって特定された画素情報を中心に、前記記憶された歪円形画像を構成する画素情報群を、二次元的に視認可能な平面正則画像を構成する画素情報群に再変換する再変換工程と、を有することを特徴とする。
【0019】
請求項11に記載の発明は、画像処理装置に含まれるコンピュータを、外部から入力される広角レンズ又は全方位ミラーによって撮像された歪円形画像に基づいて生成される当該歪円形画像を構成する画素情報群を記憶する歪円形画像記憶手段、前記記憶された歪円形画像を構成する画素情報群を、二次元的に視認可能な平面正則画像を構成する画素情報群に変換する変換手段、前記変換された平面正則画像を構成する画素情報群を記憶する平面正則画像記憶手段、前記記憶された平面正則画像上の任意の点に対応する画素情報の選択指示を受け付ける選択指示受付手段、前記選択指示が示す平面正則画像上の画素情報に対応する歪円形画像上の画素情報を特定する対応座標特定手段、前記対応座標特定手段によって特定された画素情報を中心に、前記歪円形画像を構成する画素情報群を、二次元的に視認可能な平面正則画像を構成する画素情報群に再変換する再変換手段、として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、広角レンズ又は全方位ミラーによって撮像された歪円形画像に基づいて生成された二次元的に視認可能な平面正則画像上の任意の点の選択指示を受け付けると、当該選択指示が示す平面正則画像上の画素情報に対応する歪円形画像上の画素情報を特定し、当該特定された画素情報を中心に、当該歪円形画像を構成する画素情報群に基づいて、平面正則画像を構成する画素情報群を新たに生成するように構成したため、広範囲な画角で撮像された魚眼歪画像等に基づいて正確かつ実効的な物体認識を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】基本原理の概念を示す概念図である。
【図2】魚眼歪画像Sの一部又は全部が切り出され、平面正則画像Tに変換された変換例を示す概念図である。
【図3】湾曲平面正則画像への変換を示す概念図である。
【図4】上述した湾曲座標系を用いて、魚眼歪画像Sの一部又は全部が切り出され、平面正則画像Tに変換された変換例を示す概念図である。
【図5】魚眼レンズカメラが設置される方向と、補正方向との関係を示す概念図である。
【図6】本実施形態に係る画像処理装置の構成及び機能概要を示すブロック図である。
【図7】平面正則画像Tの詳細画像においてブロックノイズが生じた例を示す概念図である。
【図8】再変換の詳細について説明する概念図である。
【図9】再変換の詳細について説明する概念図である。
【図10】再変換の詳細について説明する概念図である。
【図11】基本原理を用いて変換された平面正則画像が再変換された場合の表示画面例について示す図である。
【図12】湾曲平面正則画像への変換を用いて変換された平面正則画像が再変換された場合の表示画面例について示す図である。
【図13】画像処理装置SSの動作を示すフローチャートである。
【図14】任意の点Ci(ui、vi)が指定される都度再変換された平面正則画像等が並べて表示された画面例を示す図である。
【図15】物体認識技術を用いて再変換させた表示例を示す図である。
【図16】ポインティングデバイスによって(即ち、人為的動作に基づく指定により)上記任意の点Ci(ui、vi)が複数選択された様子を示す図である。
【図17】画像処理装置SSを監視カメラシステムへ適用させた例を示す概念図である。
【図18】魚眼レンズカメラを横向きに設置した場合の画像処理装置SSをTV会議室システムへ適用させた例を示す概念図である。
【図19】魚眼レンズカメラを天頂方向へ向けて設置した場合の画像処理装置SSをTV会議室システムへ適用させた例を示す概念図である。
【図20】画像処理装置SSをパンチルトズームカメラへ適用させた場合のブロック図である。
【図21】画像処理装置SSをパンチルトズームカメラへ適用させた場合の概念図である。
【図22】画像処理装置SSをパンチルトズームカメラへ適用させた場合の画像処理装置SSの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。以下に説明する実施形態は、画像処理装置に対して本発明を適用した場合の実施形態である。
【0023】
[1.魚眼歪画像の変換の原理]
A)平面正則画像への変換
本実施形態に係る画像処理装置は、詳しくは後述するが、その機能の一つとして、広角レンズ又は全方位ミラーによって撮像された歪円形画像の一例としての魚眼歪画像の一部又は全部を切り出して、二次元的に視認可能な平面正則画像に変換する処理を行う機能を有する。
【0024】
ここで、まず、魚眼歪画像の一部又は全部を切り出して、平面正則画像に変換する基本原理(以下単に、「基本原理」という。)について、図1及び図2を用いて説明する。
【0025】
図1は、基本原理の概念を示す概念図である。
【0026】
かかる基本原理は公知の手法であるため詳しい説明は省略するが、平面正則画像を構成する画素情報群を得るために、当該平面正則画像を構成する各画素情報に対応する魚眼歪画像における各画素情報が位置する対応座標が算出される。
【0027】
具体的には、魚眼レンズの光学的特性をモデル化した仮想球面上の任意の点で接する平面を平面正則画像と定義し、当該平面上における各座標が公知の座標変換により、魚眼歪画像における各座標に変換され、上記対応座標が算出される。
【0028】
そして、魚眼歪画像S上の切出中心点P(xo、yo)を中心とした一部分を切り出して、平面正則画像Tに変換するために、図1に示すOを原点としたXYZ座標系に定義された仮想球面モデルを用いた対応座標の算出方法が適用される。図2において、魚眼歪画像Sが存する座標系をXY座標系、平面正則画像Tが存する座標系をUV座標系とする。以下単に、XY座標系、又はUV座標系とした場合には、魚眼歪画像S又は平面正則画像T上の座標系をそれぞれ示すものとする。
【0029】
この仮想球面モデルを用いた対応座標の算出方法では、魚眼歪画像S上に定義された切出中心点P(xo、yo)に対応する上記対応座標としての平面正則画像Tの原点G(xg、yg、zg)は、PとZ軸に平行な直線と仮想球面Hとの交点をQ(xo、yo、zo)と定義すると、QとXYZ座標系の原点を通るベクトルn上に存在することが知られている。
【0030】
そして、魚眼歪画像Sの半径をR、切出中心点P(xo、yo)とXY座標系の原点OOとを結ぶ直線とY軸とのなす角を方位角α、UV座標系の原点となる原点G(Xg、Yg、Zg)とXY座標系の原点Oとを結ぶ直線とZ軸とのなす角を天頂角β、U軸とJ軸(G(xo、yo、zo)を通り、XY平面に平行かつ直線OGに直交する軸(以下、回転基準軸ともいう。)とのなす角を平面傾斜角φとそれぞれ定義する。この平面傾斜角φは、UV座標系においてU軸方向を向いたベクトルUと、回転基準軸Jの方向を向いたベクトルJと定義したときに、ベクトルUとベクトルJのなす角度として定義される角であり、通常、「平面傾斜角」と呼ばれている。以上から、この方位角α、天頂角β、及び平面傾斜角φの3つの角度によって、平面正則画像TのUV座標系の位置及び向きが決定されることが分かる。この3つの角度は、一般的にオイラー角と称されることもある。また、平面正則画像Tの補正サイズを示すパラメータとして倍率mを定義する。この倍率mの値によって、UV座標系は、OG間の距離が、半径Rのm倍となるような位置にUV座標系が配置される。このオイラー角及び倍率mは、変換される平面正則画像の向きや大きさ等に応じて可変となる変数である。即ち、オイラー角及び倍率mは、パラメータとして機能し、ユーザの入力または機器の設定によって決定される。
【0031】
以上の関係を用いて、XY座標系上における点Si(xi、yi)と、UV座標系上における点Ti(ui、vi)は(即ち、上記対応座標の算出)、パラメータA〜F及びw(式(3)から式(9))を用いて、式(1)及び(2)によって算出されることが一般的に知られている。
【0032】
なお、式(1)及び(2)に示すx、y、u、vは、上記xi、yi、ui、viに対応している。
【0033】
【数1】
【0034】
【数2】
【0035】
【数3】
【0036】
【数4】
【0037】
【数5】
【0038】
【数6】
【0039】
【数7】
【0040】
【数8】
【0041】
【数9】
【0042】
次に、上記対応座標が算出され、魚眼歪画像Sの一部又は全部が切り出され平面正則画像Tに変換された変換例について、図2を用いて説明する。
【0043】
図2は、魚眼歪画像Sの一部又は全部が切り出され、平面正則画像Tに変換された変換例を示す概念図である。
【0044】
図2(A)には魚眼歪画像Sが示されており、その一部が切り出され、平面正則画像Tに変換された画像が図2(B)及び図2(C)に示されている。
【0045】
魚眼歪画像Sから平面正則画像Tに変換される際の画像の大きさ(UV座標系の座標総数)は任意に設定することができる。即ち、魚眼歪画像Sを構成する画像のうち、任意の範囲を平面正則画像Tに変換することができる。
【0046】
図2(B)では、魚眼歪画像Sに示される画像のうち、D氏のみが選択され、平面正則画像Tに変換された例が示されている。また、図2(C)では、魚眼歪画像Sに示される画像のうち、B氏〜E氏が選択され、平面正則画像Tに変換された例が示されている。
【0047】
B)湾曲平面正則画像への変換
上述したように、魚眼歪画像には歪が発生する。この歪は、魚眼歪画像の中心部から離れるに従って(即ち、魚眼歪画像の外縁部に近づくにつれて)大きくなることが知られている。
【0048】
図2に示す例で説明すると、魚眼歪画像Sの中心部付近の画像を平面正則画像Tへ変換した図2(B)では歪が少なく、自然な形で人物が示されている。一方、魚眼歪画像Sの中心部から外縁部にわたる画像を平面正則画像Tへ変換した図2(C)では、魚眼歪画像Sの外縁部に示される画像に対応する平面正則画像T(即ち、B氏及びE氏)では歪が多く、画面に対して水平方向に人物像が拡大して示されている。換言すれば、不自然な形で人物像が示されている。
【0049】
この歪が大きな平面正則画像に対して、画像に表示される特定の物体を認識する物体認識技術を適用した場合には、魚眼歪画像上に示される物体を正確に認識することは困難である。
【0050】
具体的に図2(B)及び(C)に示された画像について説明すると、物体認識技術として一般的に知られているパターンマッチング法(予め記憶された画像と、画面に示されている画像において、類似度を比較することにより物体を認識する技術)を適用した場合を考える。
【0051】
図2(B)に示された人物像は、一般的に人物であると把握することができ、また、予め記憶された人物像と類似する可能性が高い。従って、物体認識技術を適用して、画像に表示される特定の物体を認識することができる。
【0052】
一方、図2(C)に示された人物像は、一般的に人物であると把握することが困難であり、また、予め記憶された人物像と類似する可能性が低い。従って、物体認識技術を適用して、画像に表示される特定の物体を認識することが困難であると考えられる。
【0053】
以上より、基本原理では、狭い範囲(一例として、魚眼歪画像Sの中心部付近の画像を平面正則画像へ変換した場合)の歪補正画像としての平面正則画像では、歪が小さいため、物体認識技術との併用が可能であるが、広い範囲(一例として、魚眼歪画像Sの中心部から外縁部にわたる画像を平面正則画像へ変換した場合)の歪補正画像としての平面正則画像では、UV座標系の中心部から離れるとともに補正画像内の歪が大きくなるため、物体認識技術との併用が困難である。
【0054】
そこで、平面正則画像T上の左右輪郭近傍に生じる歪みを改善するため、発明者らは、変換後の画素情報における座標C(u、v)に位置する画素情報を、UV湾曲座標系上の座標C´(u´、v´)とXY座標系上の座標P(x、y)との対応関係を示す対応関係式を用いて求めた座標P(x、y)の近傍に位置する画素情報に基づいて決定し、変換後の画素配列データに基づいて平面上の表示部に画像を表示することにより、平面正則画像Tを求める技術を発明した(詳しくは、例えば特開2010−62790号公報参照。)。
【0055】
以下、特開2010−62790号公報に示される変換方法を、単に「湾曲平面正則画像への変換」と称する。
【0056】
この湾曲平面正則画像への変換は、公知の技術であるため詳しい説明は省略するが、図3及び図4を用いて概要を説明する。なお、図3及び図4に示される記号のうち、既に説明した記号と同一の記号を示すものは、少なくとも同一の機能等(作用及び効果も含める)を示すため詳しい説明は省略する。
【0057】
図3は、湾曲平面正則画像への変換を示す概念図である。
【0058】
湾曲平面正則画像への変換は、図3(A)及び(B)に示すように、XY平面上の魚眼歪画像S上に半径Rを持つ仮想球面H、オイラー角及び倍率mを定義する(図2と同様)。さらに、図2と同様に、点Pの真上の点Qを通る視点ベクトルnを求め、OGの距離がm・Rとなる点Gにおいて視線ベクトルnに直行する平面T上に、角φに応じた向きを持つUV座標系を定義する。さらに、このUV座標系を「点Gが側面上の1点をなし、V軸に平行かつ点0を通る直線V´を中心軸とする仮想円柱」の側面Cに沿って湾曲させ、UV湾曲座標系を定義する。
【0059】
また、このように定義すると、UV座標系Tと、これを湾曲することによって得られるUV湾曲座標Cは、図3(B)に示す位置関係にあることがわかる。
【0060】
即ち、UV座標系の座標面であるUV平面は、XY平面に面に平行な面であり、両者の間隔は、w=mRに設定されている。図示のとおり、このUV平面に沿った水平方向にU軸が定義され、点Gにおいて紙面垂直方向にV軸が定義されている。そして、このUV平面上に、平面正則画像Tが定義されることになる。
【0061】
一方、UV湾曲座標系の座標面であるUV曲面は、UV平面を仮想円柱の側面に沿って湾曲させることにより得られる面である。ここで、仮想円柱は、V´軸(V軸に平行かつ原点Oを通る軸)を中心軸とし、半径w=mRをもった円柱であり、軸Vの位置においてUV平面に接している。UV曲面は、この仮想円柱の側面に一致し、半径w=mRをもった円の円弧に沿った方向にU軸が定義され、点Gにおいて紙面垂直方向にV軸が定義されている。そして、このUV曲面上に、湾曲正則画像Cが定義されることになる。
【0062】
このように、UV座標系とUV湾曲座標系とは、一方の座標軸であるV軸を共通とするが、他方の座標軸であるU軸の空間的な位置は異なっている。ただ、座標目盛の刻み幅はいずれも同じであり、座標面上の任意の1点の位置が、座標(u、v)で示される点も同じである。そこで、同一座標(u、v)で示される各座標面上の2点の関係については、以下のように考えることができる。
【0063】
即ち、図3(B)の左上に示すように、UV座標系上における点T(u、v)に着目すると、この点T(u、v)は、平面正則画像T上の点であり、原点GからU軸に沿って座標値uだけ隔たり、V軸方向に関して座標値vだけ隔たった点であることがわかる。
【0064】
次に、UV湾曲座標系上における点C(u、v)に着目すると、この点C(u、v)は、湾曲正則画像C上の点であり、原点Gから円弧Aに沿って座標値uだけ隔たり、V軸方向に関して座標値vだけ隔たった点ということになる。
【0065】
このように、点T(u、v)と点C(u、v)とは、いずれも座標(u、v)で表される点であるが、異なる座標系で定義された点であるため、XYZ三次元直交座標系で示される空間上の位置は異なっている。すなわち、XYZ三次元直交座標系の座標値で考えると、点T(u、v)の座標はT(u、v、w)になるのに対して、点C(u、v)の座標はC(u´、v´、w´)になる。ここで、図3(B)から、u´=w・sinθ、w´=w・cosθであることがわかる。
【0066】
また、円弧GCの長さは座標値uの絶対値に等しく、円弧Aの半径はwであるから、図3(B)に示す角度θは、θ=u/wラジアンである。従って、上記u´及びw´は、u′=w・sin(u/w)、w′=w・cos(u/w)であることがわかる。なお、両UV座標系は、V軸を共通の座標軸としているため、点T、CのY座標値はいずれも同一の座標値vになる。
【0067】
以上の関係を用いて、XY座標系上における点Si(xi、yi)と、UV湾曲座標系上における点C´(u´、v´)は、パラメータA〜F及びw(式(3)から式(9))を用いて、式(10)及び(13)の演算式によって求めることができる。そして、点P近傍の画像をUV湾曲座標系上に求め、これを平面T上に展開して平面正則画像Tを得るようになっている。
【0068】
このように構成することによって、発明者らは、平面正則画像Tの右辺輪郭近傍や左辺輪郭近傍について、歪が大幅に改善されることを実証した。
【0069】
以下に、式(10)〜(13)について記す。なお、式(10)〜(13)に示すx、yは、上記xi、yiに対応している。
【0070】
【数10】
【0071】
【数11】
【0072】
【数12】
【0073】
【数13】
【0074】
次に、上述した湾曲座標系を用いて、魚眼歪画像Sの一部又は全部が切り出され平面正則画像Tに変換された変換例について、図4を用いて説明する。
【0075】
図4は、上述した湾曲座標系を用いて、魚眼歪画像Sの一部又は全部が切り出され、平面正則画像Tに変換された変換例を示す概念図である。
【0076】
図4(A)には魚眼歪画像Sが示されており、上述した湾曲座標系を用いて、その一部が切り出され、平面正則画像に変換された画像が図4(B)に示されている。なお、魚眼歪画像Sから平面正則画像に変換される際の画像の大きさは任意に設定することができることは上述した例と同様である。
【0077】
図4(B)では、魚眼歪画像Sに示される画像のうち、B氏〜E氏が選択され、平面正則画像に変換された例が示されている。この選択された範囲は、図2(C)で示した例と同一の範囲であるが、図2(C)で示された平面正則画像と比べると、図4(B)で示された平面正則画像上の左右輪郭近傍には歪みが殆ど生じていないことがわかる。
【0078】
本実施形態における画像処理装置では、「基本原理」及び「湾曲平面正則画像への変換」の何れの変換方法も適用することができるが、以下に説明する例では、「湾曲平面正則画像への変換」を用いた場合について説明する。
【0079】
また、上述した魚眼歪画像Sは、広角レンズ又は全方位ミラーを備えたカメラ(例えば、魚眼レンズカメラ)によって撮像されるものであるが、この魚眼レンズカメラが設置される方向と、補正方向との関係について図5を用いて説明する。
【0080】
図5は、魚眼レンズカメラが設置される方向と、補正方向との関係を示す概念図である。
【0081】
図5(A)は、魚眼レンズカメラを横方向(例えば、Z軸と正対する方向)に向けて配置した場合の補正方向を示す例である。約180度の広い画角の平面正則画像を得るためには、図5(A)中の矢印方向に歪補正を行えばよい。
【0082】
図5(B)は、魚眼レンズカメラを上方向(例えば、Z軸と平行方向)に向けて配置した場合の補正方向を示す例である。約360度の広い画角の平面正則画像を得るためには、図5(B)中の矢印方向に歪補正を行えばよい。
【0083】
即ち、魚眼レンズカメラを横方向に向けたときは図5(A)で示すように矢印方向に補正することで約180度のパノラマ平面正則画像が生成できる。また、上方向に向けた場合は図5(B)の矢印方向に補正することで約360度のパノラマ平面正則画像を生成できる。
【0084】
[2.画像処理装置の構成及び機能概要]
本実施形態に係る画像処理装置は、上述した広角レンズ又は全方位ミラーによって撮像された歪円形画像の一例としての魚眼歪画像の一部又は全部を切り出して、二次元的に視認可能な平面正則画像に変換する処理(以下、単に「変換」と総称する。)の他、当該平面正則画像上の任意の点を中心として、当該撮像された魚眼歪画像を、平面正則画像に再変換する処理(以下、単に「再変換」と称する。)を行う機能を有する。
【0085】
このような機能を有する本実施形態に係る画像処理装置の構成及び機能概要について、図6等を用いて説明する。
【0086】
図6は、本実施形態に係る画像処理装置の構成及び機能概要を示すブロック図である。
【0087】
図6に示すように、画像処理装置SSは、魚眼歪補正ユニット1(変換手段の一例)、補正パラメータ算出ユニット2、パラメータ入力ユニット3等を備えて構成されている。
【0088】
魚眼歪補正ユニット1は、まず、上述した平面正則画像を構成する各画素情報に対応する魚眼歪画像における各画素情報が位置する対応座標を算出する処理を実行することをその機能の一つとし、当該機能を実行するために対応座標算出ユニット4、平面正則画像作成ユニット5、魚眼歪画像用メモリ6(歪円形画像記憶手段の一例)、平面正則画像用メモリ7(平面正則画像記憶手段の一例)等を備えて構成されている。
【0089】
具体的には、魚眼補正ユニット1は、図示しない光学レンズによって180°の画角をもって周囲の被写体を撮影され、図示しないイメージセンサ等によって半径Rをもった歪曲円形画像の一例としての魚眼歪画像Sがデジタルデータとして変換されると、変換された魚眼歪画像Sは、魚眼歪画像用メモリ6へと格納される。魚眼補正ユニット1は、これを図示しない表示装置に表示可能な画素情報群としての平面正則画像Tに変換し、平面正則画像用メモリ7に格納する処理を行う。
【0090】
魚眼歪画像用メモリ6は、一般的な画像データ格納用のバッファメモリによって構成されており、魚眼歪画像Sを、XY座標系上の座標(x、y)で示される位置に配置された多数の画素の集合体によって構成される画素情報群として格納する。この魚眼歪画像Sは、上述したように、XY座標系の原点Oを中心とし半径Rをもった画像となる。
【0091】
平面正則画像用メモリ7は、一般的な画像データ格納用のバッファメモリによって構成されており、平面正則画像Tを、UV座標系上の座標(u、v)で示される位置に配置された多数の画素の集合体によって構成される画素情報群として格納する。平面正則画像Tの輪郭は、任意に設定することができる。なお、この平面正則画像用メモリ7に格納されている画素情報は、上述した平面正則画像T及び湾曲正則画像Cの双方に用いられる。
【0092】
また、[1.魚眼歪画像の変換の原理]で述べた通り、UV座標系もUV湾曲座標系も、U軸とV軸とを有する二次元座標系である点は共通しており、UV座標系上に定義される平面正則画像Tも、UV湾曲座標系上に定義される湾曲正則画像Cも、座標値(u,v)で示される位置に配置された多数の画素の配列から構成される点では共通する。したがって、平面正則画像用メモリ7内に格納された画素配列データに基づいて、平面上に画像を表示すれば平面正則画像Tが得られるが、円柱側面上に画像を表示すれば湾曲正則画像Cが得られることになる。従って、平面正則画像用メモリ7に格納される画素配列データ
それ自身は、平面正則画像T用のデータと言うこともできるし、湾曲正則画像C用のデータと言うこともできる。
【0093】
対応座標算出ユニット4は、詳しくは後述する補正パラメータ算出ユニット2によって設定されたパラメータ(上述した式(3)〜式(8)のA〜Fの値やα、β、φ等)と、予め設定されている半径Rを用いて、詳しくは後述する平面正則画像作成ユニット5から与えられた平面正則画像上の任意の座標(u、v)に対応する魚眼歪画像S上の対応座標(x、y)を算出する。
【0094】
即ち、対応座標算出ユニット4は、平面正則画像上の任意の座標(u、v)を与えると、これに対応する魚眼歪画像S上の対応座標(x、y)を平面正則画像作成ユニット5へ戻す機能を有している。この平面正則画像上の任意の座標(u、v)は、後述するuv座標値発生部51によって、出力される平面正則画像の画素分だけ発生されるようになっている。
【0095】
より具体的には、対応座標算出ユニット4は、上述した基本原理における関係式(式(1)〜式(9))、又は湾曲平面正則画像への変換における関係式(式(10)〜式(13))に基づく演算により、座標(u、v)に対応する対応座標(x、y)を算出する機能を有しており、共通係数演算部41、湾曲座標補正部42、xy座標算出部43を備えて構成される。
【0096】
共通係数演算部41は、パラメータ入力ユニット100から倍率mが与えられ、平面
正則画像作成ユニット300から座標vが与えられたときに、予め設定されている歪曲円
形画像の半径Rを用いて、上記式(9)で算出された値を上記Gへ代入し、共通係数Gを演算する処理を行う。
【0097】
湾曲座標補正部42は、平面上に定義された二次元UV直交座標系上の座標(u、v)を、円柱側面上に定義された二次元UV湾曲座標系上の座標(u、v)に補正するために必要な演算を行う機能を有し、パラメータ入力ユニット100から倍率mが与えられ、平面正則画像作成ユニット300から座標uが与えられたときに、予め設定されている魚眼歪画像の半径Rを用いて、式(9)、式(10)及び式(11)に基づいて、u′およびw′を演算する処理を行う。
【0098】
なお、基本原理における関係式(式(1)〜式(9))を用いる場合には、湾曲座標補正部42は省略され、xy座標算出部43には、u´、v、w´に代わり、u、v、wが入力される。
【0099】
xy座標算出部43は、平面正則画像作成ユニット5から与えられた座標v、補正パラメータ算出ユニット2から入力されたA〜F(式(3)〜式(8))、共通係数演算部41が演算した共通係数G、湾曲座標補正部42が演算したu′およびw′、ならびに
予め設定されている魚眼歪画像の半径Rを用いて、式(12)及び式(13)に基づいて、xおよびyを演算し、これを平面正則画像作成ユニット5に出力する。
【0100】
平面正則画像作成ユニット5は、xy座標算出部43によって出力された値を用いて、平面正則画像を作成し、平面正則画像用メモリ7に記憶する処理を行う。より具体的には、まず、平面正則画像を構成する1つの着目画素の座標(u、v)を対応座標算出ユニット4に与えて対応座標(x、y)を算出させる。そして、魚眼歪画像用メモリ6に記憶された魚眼歪画像Sの対応座標(x、y)の近傍に配置された画素の画素値を読み出し、読み出した画素値に基づいて着目画素の画素値を決定する処理を、平面正則画像を構成する各画素について実行し、平面正則画像用メモリ7内に各画素の画素値を記憶することにより、平面正則画像を作成する。
【0101】
このような機能を実現するため、平面正則画像作成ユニット5は、uv座標値発生部51、平面正則画像用メモリコントローラ52(画面情報生成手段の一例)、画素値決定部53、魚眼歪画像用メモリコントローラ54を備えて構成される。
【0102】
uv座標値発生部51は、出力する平面正則画像を構成する画素の数量分、uvの値(座標値の値)を発生させる。例えば、出力する平面正則画像の大きさが、水平400ドット×鉛直300ドットであった場合には、u=−200〜200、v=−150〜150の値を出力する。
【0103】
平面正則画像用メモリコントローラ52は、平面正則画像用メモリ7に対するデータの書き込みおよび読み出しを行う制御装置であり、画素値決定部53によって特定の画素の画素値が決定した場合、平面正則画像用メモリ7に記憶される当該特定の画素に対して、決定した画素値を書き込む処理を行う。こうして、画素値を書き込む処理が全画素について完了すれば、平面正則画像用メモリ7内に、平面正則画像Tが作成されたことになる。そして、平面正則画像用メモリコントローラ52は、この平面正則画像Tのデータを読み出して図示しない表示部に出力し、平面正則画像Tを表示画面上に表示させる処理を行うことになる。
【0104】
魚眼歪画像用メモリコントローラ54は、魚眼歪画像用メモリ6に対するデータの書き込みおよび読み出しを行う制御装置である。上述したように、入力された魚眼歪画像Sのデータは、魚眼歪画像用メモリコントローラ54によって、魚眼歪画像用メモリ6に記憶される。
【0105】
また、必要に応じて、魚眼歪画像用メモリコントローラ54は、魚眼歪画像用メモリ6に記憶される魚眼歪画像Sのデータを読み出して表示装置に出力し、魚眼歪画像Sを表示画面上に表示させることもできる。
【0106】
更に、魚眼歪画像用メモリコントローラ54は、対応座標算出ユニット4から、座標(x、y)が与えられた場合に、魚眼歪画像用メモリ6に記憶された魚眼歪画像Sのデータの中から、当該座標(x、y)の近傍に位置する画素の画素値を読み出し、これを画素値決定部53に与える機能も果たす。
【0107】
このように構成された平面正則画像作成ユニット5が、魚眼歪画像Sから平面正則画像Tへ変換する処理を説明する。
【0108】
まず、uv座標値発生部51が、平面正則画像Tを構成する画素配列上の特定の着目画素を示す座標(u、v)を発生させる。発生した座標(u、v)は、uv座標値発生部51から対応座標算出ユニット4へ与えられる。これにより、座標(u、v)に対応する対応座標(x、y)が算出され、当該対応座標(x、y)は、魚眼歪画像用メモリコントローラ54に与えられる。
【0109】
上述したとおり、魚眼歪画像用メモリコントローラ54は、魚眼歪画像用メモリ6に記憶された魚眼歪画像Sのデータの中から、当該座標(x、y)の近傍に位置する画素の画素値を読み出し、これを画素値決定部53に与える。
【0110】
魚眼歪画像Sは、二次元XY直交座標系上の座標(x、y)で示される位置に配置された多数の画素の集合体によって構成された画像であり、実際には、所定ピッチで縦横に配列された多数の格子点の位置に、それぞれ固有の画素値を定義したデジタルデータによって構成されている。このため、対応座標算出ユニット4によって算出された対応座標(x、y)の位置は、通常、複数の格子点の間の位置になる。
【0111】
従って、実際には、画素値決定部53において、座標(u、v)で示される位置に配置された平面正則画像T上の着目画素の画素値を決定する際には、対応座標(x、y)で示される位置の近傍に配置された魚眼歪画像S上の複数の参照画素の画素値を読み出し、これら複数の参照画素の画素値に対する補間演算(例えば、公知のバイリニア補間法、バイキュービック・スプライン補間法等)が行われる。なお、そのような補間を行わずに、対応座標(x、y)で示される位置に最も近い画素の画素値をそのまま着目画素の画素値と決定する方法を採ることも可能である。
【0112】
このようにして、画素値決定部53によって決定された着目画素の画素値は、平面正則画像用メモリコントローラ52に入力される。一方、uv座標値発生部51から平面正則
画像用メモリコントローラ52には、発生させた座標(u、v)が入力される。
【0113】
そこで、平面正則画像用メモリコントローラ52は、平面正則画像用メモリ7に記憶される平面正則画像Tの座標(u、v)に位置する着目画素の画素値として、画素値決定部53によって決定された画素値を書き込む処理を実行する。
【0114】
このようにして1つの着目画素についての画素値を決定し、書き込まれる処理が行われるが、uv座標値発生部51は、平面正則画像Tを構成する画素配列上のすべての画素を示す座標(u、v)を順次発生させ、個々の画素について、それぞれ画素値が決定され、平面正則画像用メモリ7内に記憶されるようになっている。
【0115】
パラメータ入力ユニット3は、キーボード、マウス、トラックボール、タッチパネル又は電子ペン等を備え、ユーザの操作に基づいて、表示装置に表示される魚眼歪画像S上又は上述した変換処理が行われた後の平面正則画像Tの一点を指定できるようになっている。
【0116】
より具体的には、上述した式(1)及び(2)又は式(12)(13)等を用いて対応座標を算出するためには、視線ベクトルn、平面傾斜角φ、倍率mという3つのパラメータが必要になる。パラメータ入力ユニット3は、ユーザの指示入力に基づいて、この3つのパラメータを入力する構成要素である。すなわち、パラメータ入力ユニット3は、三次元XYZ直交座標系において、原点Oを起点として任意の方向を向く視線ベクトルnを、平面正則画像の切り出し位置を示すパラメータとして入力し、所定の平面傾斜角φを、平面正則画像の切り出し向きを示すパラメータとして入力し、所定の倍率mを、平面正則画像の補正サイズを示すパラメータとして入力する機能を果たす。
【0117】
なお、ここに示す実施形態の場合、表示装置には、必要に応じて、魚眼歪画像用メモリ6に格納されている魚眼歪画像Sを表示させることができるようになっている。そして、パラメータ入力ユニット3は、この表示装置に表示されている魚眼歪画像S上の1点を指定するユーザの入力指示を受け、当該1点の位置を切出中心点P(x0,y0)として把握し、これを視線ベクトルnを示すパラメータとして入力を受け付け、補正パラメータ算出ユニット2へ出力するようになっている。
【0118】
補正パラメータ算出ユニット2は、補正パラメータ算出部21(選択指示受付手段の一例)及び対応座標算出ユニット22(対応座標特定手段の一例)を備えて構成される。
【0119】
補正パラメータ算出部21は、パラメータ入力ユニット3から視線ベクトルnおよび平面傾斜角φが与えられたときに、視線ベクトルnに基づいて方位角αおよび天頂角βを求め、式(3)〜(8)に基づいて回転係数A、B、C、D、E、Fを算出する。
【0120】
上述したように、本実施形態における画像処理装置は、上述した魚眼歪画像Sから変換された平面正則画像T上の任意の点を中心として、魚眼歪画像用メモリ6に記憶された魚眼歪画像Sを、平面正則画像Tに再変換する処理を行う機能を有する。
【0121】
この再変換を実現するために、補正パラメータ算出部21、対応座標算出ユニット22及び魚眼歪補正ユニット1(再変換手段の一例)が備えられている。
【0122】
上述した変換によって得られた平面正則画像Tを、表示装置に表示するためには、当該表示装置の表示可能領域まで平面正則画像Tを縮小して表示しなければならない場合が多い。従って、表示された平面正則画像Tは、原画像を縮小するため画素情報を一部間引いて表示させている。
【0123】
このような画素情報が一部間引かれた平面正則画像Tに対して、所定の範囲を切り出して表示させたり、拡大して表示させた場合(即ち、平面正則画像Tの詳細画像を表示させる場合)には、ブロック歪み(ブロックノイズ)が生じ、画像に示される被写体の識別性を著しく損なう結果となる。
【0124】
このブロック歪みとは、ブロックノイズとも称され、映像において画像の一部領域がモザイク状に見える現象をいう。
【0125】
ここで、平面正則画像Tの詳細画像においてブロックノイズが生じた例について、図7を用いて説明する。
【0126】
図7は、平面正則画像Tの詳細画像においてブロックノイズが生じた例を示す概念図である。なお、図7(A)の上図及び図7(B)の上図における十字記号は、所定の範囲を切り出して表示させるためにパラメータ入力ユニット3によって指示が与えられた部位(例えば、ポインティングデバイスによる指示)を示す。
【0127】
図7(A)の上図に示す例では、基本原理を用いて魚眼歪画像Sを平面正則画像Tに変換した例を示しており、図7(A)の下図に示す例では、変換後の平面正則画像Tの一部を切り出して表示した例を示している。
【0128】
図7(A)の下図に示す例では、切り出して表示された平面正則画像Tに示される被写体にはブロックノイズが生じ、当該被写体の輪郭部が激しく歪んでいる様子がわかる。
【0129】
図7(B)の上図に示す例では、湾曲平面正則画像への変換を用いて魚眼歪画像Sを平面正則画像Tに変換した例を示しており、図7(B)の下図に示す例では、変換後の平面正則画像Tの一部を切り出して表示した例を示している。
【0130】
図7(B)の下図に示す例では、切り出して表示された平面正則画像Tに示される被写体にはブロックノイズが生じ、当該被写体の輪郭部が激しく歪んでいる様子がわかる。
【0131】
この魚眼歪画像Sから平面正則画像Tへ変換する目的は、魚眼歪画像Sでは歪が強く発生するため、撮像された物体を監守し易い平面正則画像Tに変換して、ユーザに提示することにある。そして、さらに監守を続けたり、平面正則画像Tに撮像された物体についてより詳細な情報を得るためには、当該平面正則画像Tに撮像された物体の所定の範囲を切り出して表示させたり、拡大して表示させたりすることが望まれる。さらに、上記平面正則画像Tに物体認識技術を適用し、人為的な動作を与えることなく魚眼歪画像上に示される物体を正確に認識することが望まれる。
【0132】
しかし、ユーザは、上述したブロックノイズが発生した画像では詳細な情報を得ることが困難であり、かつ、上記物体認識技術を適用することは困難である。
【0133】
そこで、本実施形態における画像処理装置SSは、補正パラメータ算出部21、対応座標算出ユニット22及び魚眼歪補正ユニット1を用いて、上述した再変換を行うようになっている。
【0134】
この再変換の詳細について、図8〜図10を用いて説明する。
【0135】
図8〜図10は、再変換の詳細について説明する概念図である。
【0136】
この再変換においては、基本原理を用いた変換方法、及び湾曲平面正則画像への変換を用いた変換方法の何れの変換方法も適用することができるが、以下には、湾曲平面正則画像への変換を用いた変換方法について説明する。
【0137】
まず、上述した処理によって、変換処理、即ち魚眼歪画像Sから湾曲平面正則画像Cへ変換され表示部に当該湾曲平面正則画像が表示されている場合を考える。ここでは、図8に示すように、P(xo、yo)を切り出し中心とした湾曲平面正則画像Cが表示されているものとする。この切り出し中心P(xo、yo)は、ユーザのパラメータ入力ユニット3の操作に基づいて指定されたものでも構わないし、画像処理装置SSによって予め設定された位置に基づいて指定されたものでも構わない。
【0138】
ユーザは、パラメータ入力ユニット3の操作に基づいて、湾曲平面正則画像Cの任意の点を選択することができる。当該任意の位置の一例としては、ユーザが湾曲平面正則画像Cに表示された物体のうち詳細な情報を得ることを望む点であっても構わないし、例えば物体認識技術を適用して所定の物体が認識された場合であって当該物体の重心位置であっても構わない。
【0139】
図8に示す例では、既に、点Gを中心とした平面正則画像が変換されている。この動作についてはすでに説明したが、魚眼歪画像S上で平面正則画像の中心(点P)が指定され、点Pに対応する仮想球面上の点Qが決定され、点Qからα、βが算出されている。そして、補正画像の傾斜角φが指定され、式(3)〜(8)を用いて係数A〜Fが算出されている。このA〜Fを用いて魚眼歪画像と平面正則画像の対応座標が算出され、点Gを中心とした平面正則画像が得られている。
【0140】
図8に示す例では、さらに、上記任意の点として、Ci(ui、vi)が選択されたものとする。
【0141】
パラメータ入力ユニット3は、Ci(ui、vi)の入力を受け付けると、当該入力された情報を補正パラメータ算出部21へ出力する。具体的には、パラメータ入力ユニット3は、ユーザの指示入力に基づいて、視線ベクトルn、平面傾斜角φ、倍率mの3つをパラメータとして、補正パラメータ21へ出力する。
【0142】
補正パラメータ算出部21は、パラメータ入力ユニット3によって指定された魚眼歪画像S上の一点の入力(Ci(ui、vi)の入力)を受け付けると、魚眼歪画像S上で指定した一点から、倍率m、魚眼歪画像の半径R、及びA〜F(式(3)〜式(8))を算出し、対応座標算出ユニット22へ出力する。
【0143】
対応座標算出ユニット22は、入力された倍率m、魚眼歪画像の半径R、及びA〜F(式(3)〜式(8))と、式(12)及び(13)を用いて、Ci(ui、vi)の対応座標としての魚眼歪画像S上の点Si(xi、yi)を算出する。
【0144】
即ちここでは、対応座標算出ユニット22は、湾曲平面正則画像C上の画素情報に対応する魚眼歪画像S上の画素情報を特定している。
【0145】
具体的には、対応座標算出ユニット22は、Ci(ui、vi)を切り出し中心として、当該切り出し中心に対応する魚眼歪画像S上の点を特定する。
【0146】
すなわち、図9に示すように、点Si(xi、yi)に対応する仮想球面上の点Qiを決定し、点Qiからα´、β´を算出する。そして補正画像の傾斜角φ´を指定し、新たな係数A〜F(式(3)〜式(8)を用いて)を算出する。そして、Ci(ui、vi)の対応座標としての魚眼歪画像S上の点Si(xi、yi)を算出し、これらの情報を魚眼歪補正ユニット1へ出力する。
【0147】
そして、魚眼歪補正ユニット1(再変換手段の一例)は、図10に示すように(即ち、上述した変換と同様に)、Ci(ui、vi)を中心として、平面正則画像Tを構成する画素配列上のすべての画素を示す座標(u、v)を順次発生させ、個々の画素について、それぞれ画素値が決定され、平面正則画像用メモリ7内に記憶されるようになっている。
【0148】
このようにして、画像処理装置SSによって、点Ci(ui、vi)を中心とした平面正則画像が得られることとなる。
【0149】
ここで、上述した再変換が行われた場合に表示される表示画面例について、図11及び図12を用いて説明する。
【0150】
図11は、基本原理を用いて変換された平面正則画像が再変換された場合の表示画面例について示す図であり、図12は、湾曲平面正則画像への変換を用いて変換された平面正則画像が再変換された場合の表示画面例について示す図である。
【0151】
図11(A)には、基本原理を用いて変換された平面正則画像において、任意の点が選択された様子が示されている。図中の十字記号は、パラメータ入力ユニット3によって任意の点の指示が与えられた部位(例えば、ポインティングデバイスによる指示)を示す。
【0152】
図11(B)には、上記任意の点を中心とした所定の範囲内の魚眼歪画像Sの対応座標が算出される様子を示す概念図が示されている。この所定の範囲内は、UV座標値発生部51の動作により任意に設定することができる。この所定の範囲を広く設定することによって、再変換後の平面正則画像のレイアウトサイズが大きくなる(即ち、平面正則画像を構成する画素の数が増加する)。
【0153】
具体的な動作としては、上述したとおりであるが、図11(A)で指定した位置を歪み補正時の角度α、β、φと式(1)、(2)から魚眼歪画像内の対応する位置を算出する。算出した位置を中心とした魚眼歪画像内の切り出し領域(変換する予定の領域)を点線で示す。図中の十字記号は、は図11(A)の注目位置の魚眼歪画像に対応する位置を示す。魚眼歪画像Sの図中の十字記号の位置から新たな角度α´、β´、φ´を算出し、係数A〜Fを更新(算出)する。新たな係数A〜Fと式(1)、(2)を用いて再度歪み補正を行い切り出し補正画像を生成する。
【0154】
図11(C)には、再変換された平面正則画像が表示されている。図11(B)の点線で示された領域が再変換され表示されている。
【0155】
図12(A)には、湾曲平面正則画像への変換を用いて変換された湾曲平面正則画像において、任意の点が選択された様子が示されている。図中の十字記号は、上述した図11と同様である。
【0156】
図12(B)には、上記任意の点を中心とした所定の範囲内の魚眼歪画像Sの対応座標が算出される様子を示す概念図が示されている。
【0157】
具体的な動作としては、上述したとおりであるが、図12(A)で指定した位置を歪み補正時の角度α、β、φと式(12)、(13)から魚眼歪画像内の対応する位置を算出する。算出した位置を中心とした魚眼歪画像内の切り出し領域を点線で示す。図中の十字記号は、は図12(A)の注目位置の魚眼歪画像に対応する位置を示す。魚眼歪画像Sの図中の十字記号の位置から新たな角度α´、β´、φ´を算出し、係数A〜Fを更新(算出)する。新たな係数A〜Fと式(12)、(13)を用いて再度歪み補正を行い切り出し補正画像を生成する。
【0158】
図12(C)には、再変換された平面正則画像が表示されている。図12(B)の点線で示された領域が再変換され表示されている。
【0159】
本実施形態の画像処理装置SSは、以上のように構成することによって、広範囲な画角で撮像された魚眼歪画像Sに基づいて正確かつ実効的な物体認識を行うことができる。なぜならば、湾曲平面正則画像C内の注目領域の位置を中心として魚眼歪画像Sから再び歪み補正し表示するため、湾曲平面正則画像Cのモニタ表示時の縮小操作による画質劣化の影響は受けないからである。切り出し補正画像をデジタルズームした場合に、これらの切り出し手法の違いは画質の差となり顕著に表れることとなる。さらに、歪み補正の適用により湾曲平面正則画像Cが得られるため、従来の認識技術が適用可能であり、認識により自動での注目領域の指定ができる。そのため、監視対象の自動追尾が可能である。そのうえ、人が常に監視する必要がないため、操作ミス等も回避可能である。さらに、複数点の切り出し補正画像を表示可能であるため、複数の監視対象が点在する場合にも対応できる。
【0160】
なお、上述した魚眼補正ユニット1、補正パラメータ算出ユニット2、及びパラメータ入力ユニット3の一部又は全部の機能を実現するために、魚眼補正ユニット1、補正パラメータ算出ユニット2、及びパラメータ入力ユニット3の一部又は全部に、各処理を実行するために設計された専用のハードウェアを適用することができる(所謂、ハードウェアアクセラレーション)。魚眼補正ユニット1等を専用のハードウェアで実現することによって、当該ハードウェア内では回路の並列性を活かして演算を並列に行うことができるため、逐次的な命令実行(例えば、CPUによるソフトウェアの実行)の場合より処理の高速化等が実現されるからである。なお、ソフトウェアの制御のもと、画像処理装置SSに搭載される図示しないCPU、RAM,及びROM等の制御装置が、魚眼補正ユニット1、補正パラメータ算出ユニット2、及びパラメータ入力ユニット3の一部又は全部が有する機能を実行するようにできることはいうまでもない。
【0161】
また、本発明に係る画像処理装置は、魚眼レンズを用いた撮影により得られた魚眼歪画像の一部分を平面正則画像に変換する機能をもった装置であるが、この装置による変換対象となる画像は、魚眼レンズを用いた撮影で得られた画像のみに限定されるものではない。たとえば、凸面鏡を用いた撮影画像など、魚眼レンズと同等の半球面射影モデルが適用される画像であれば、本発明に係る画像処理装置を利用した画像変換が可能である。
【0162】
[3.画像処理装置SSの動作]
次に、画像処理装置SSの動作について、図13を用いて説明する。
【0163】
図13は、画像処理装置SSの動作を示すフローチャートである。
【0164】
まず、魚眼歪画像Sを変換して平面正則画像T又は、湾曲平面正則画像C(以下、「平面正則画像等」と総称する。)を表示部へ表示させるために、上述した変換を行うべく、ユーザのパラメータ入力ユニット3の操作に基づいて、あるいは、画像処理装置SSに予め設定された値を用いて、魚眼歪画像Sの切り出し中心P(xo、yo)が選択されると(ステップS1)、これらの選択された情報を上記パラメータとして補正パラメータ算出部21へ出力する。
【0165】
補正パラメータ算出部21補正パラメータ算出部21は、パラメータ入力ユニット3から視線ベクトルnおよび平面傾斜角φが与えられたときに、視線ベクトルnに基づいて方位角αおよび天頂角βを求め、式(3)〜(8)に基づいて回転係数A、B、C、D、E、Fを算出し(ステップS2)、魚眼歪補正ユニット1へ出力する。
【0166】
すると、魚眼歪補正ユニット1は、補正パラメータ算出部21から入力された算出結果(α、β、φ等)を用いて、上述した魚眼歪画像Sから平面正則画像等へ変換を行い、平面正則画像用メモリコントローラ52は、当該平面正則画像等を表示画面上に表示させる(ステップS4)。
【0167】
次に、ユーザが、パラメータ入力ユニット3の操作に基づいて、表示されている平面正則画像等の任意の点Ci(ui、vi)を指定した場合には(ステップS5:YES)、対応座標算出ユニット22は、点Si(xi、yi)に対応する仮想球面上の点Qiを決定し、点Qiからα´、β´を算出する。そして補正画像の傾斜角φ´を指定し、新たな係数A〜F(式(3)〜式(8)を用いて)を算出する。そして、Ci(ui、vi)の対応座標としての魚眼歪画像S上の点Si(xi、yi)を算出し、これらの情報を魚眼歪補正ユニット1へ出力する(ステップS6及びステップS7)。
【0168】
ステップS8において、魚眼歪補正ユニット1は、対応座標算出ユニット22から入力された情報に基づいて、点Ci(ui、vi)を中心とした平面正則画像を生成する(即ち、α´、β´、φ´を用いて歪補正を実施)。
【0169】
そして、平面正則画像用メモリコントローラ52は、再変換された当該平面正則画像等を表示画面上に表示させる(ステップS9)。
【0170】
[4.再変換された平面正則画像等の表示態様]
次に、再変換された平面正則画像等の表示態様について、図14〜図16を用いて説明する。
【0171】
本実施形態の画像処理装置は、複数の平面正則画像等の任意の点Ci(ui、vi)を指定して、再変換を行い、変換後の平面正則画像等を表示部へ表示させることができる。
【0172】
具体的には、例えば、上記任意の点Ci(ui、vi)を指定するたびに、当該指定された点Ci(ui、vi)に対応する魚眼歪画像S上の点Si(xi、yi)を算出し、点Ci(ui、vi)を中心とした平面正則画像(本願の画面情報の一例)を生成する。そして、生成された平面正則画像を、並べて表示部へ表示させるようにしてもよい。
【0173】
なお、この平面正則画像は、上述した変換と同様、平面正則画像用メモリコントローラ52によって生成されるようにしてもよい。
【0174】
図14は、任意の点Ci(ui、vi)が指定される都度再変換された平面正則画像等が並べて表示された画面例を示す図である。図14における破線部は、再変換する対象として選択されたことを示している。
【0175】
図14(A)には、上記任意の点Ci(ui、vi)として、C氏及びE氏が順次指定された様子が示されている。
【0176】
図14(B)には、生成された平面正則画像が並べて表示されている。図14(B)に示す例では、カメラと被写体たる人物の距離の関係でF氏がC氏より大きく見えている。
【0177】
図14(C)では、F氏の表示のみを縮小しC氏とF氏の大きさを合わせた場合の表示例が示されている。このように、被写体の表示サイズを変更するには、上述した倍率mを変更すればよい。
【0178】
倍率mを変更する手段については、図示しないCPUの制御の元、補正パラメータ算出部21に算出させるようにしてもよいし、その他、例えば図6に示すブロック図に、表示制御ユニットを新たに設けて、当該ユニットに実行させるようにしてもよい。また、表示制御手段の一例としての平面正則画像用メモリコントローラ52によって実行させることもできる。
【0179】
図14(D)では、再変換される平面正則画像Tの領域を拡大してC氏が表示された画面(左側のウインドサイズ)のみを大きくした(即ち、表示領域を拡大した)場合の表示例が示されている。この表示領域を拡大するためには、上述したuv座標発生部51によって、上記拡大させた表示領域分の座標(u、v)を発生させればよい。そして、発生した座標(u、v)は、uv座標値発生部51から対応座標算出ユニット4へ与えられ、座標(u、v)に対応する対応座標(x、y)が算出され、平面正則画像が再変換されることとなる。
【0180】
図14(D)で示されるC氏の表示領域は、図14(B)においてC氏が表示された表示領域よりも拡大されている。従って、図14(D)で示されるC氏の表示領域には、図14(B)では表示されることがない、B氏及びD氏の肩まで表示されていることがわかる。
【0181】
また、図14(E)では、上記倍率mの増加、及び表示領域の拡大を併せて実行した結果、F氏の表示領域及びF氏の表示サイズがそれぞれ拡大された例が示されている。
【0182】
このように表示させることによって、当該表示領域に表示される被写体について、より詳細な画像を得ることができる。
【0183】
次に、再変換された平面正則画像等に表示される被写体を物体認識技術を用いて認識し、当該認識された被写体の所定の位置を、上記任意の点Ci(ui、vi)として、再変換して表示させた例について、図15を用いて説明する。
【0184】
図15は、物体認識技術を用いて再変換させた表示例を示す図である。
【0185】
物体認識技術については公知の技術であるため詳しい説明は省略するが、例えば上述した物体認識技術として一般的に知られているパターンマッチング法や、特徴点抽出法によりまず物体を認識する。そして認識した物体のうち予め設定された点(例えば物体の重心位置等)を上記任意の点Ci(ui、vi)として、再変換して表示するようにしてもよい。この物体認識を行う構成は、例えば、図6に示される構成例に、CPU等から構成される物体認識手段を加えるように構成する。
【0186】
図15(A)には、平面正則画像内の矩形の実線は物体認識により、人物の顔が認識されたイメージを示している。点線は、対応する魚眼歪画像Sの切り出し領域を示す。切り出し領域を示す。
【0187】
図15(B)には、再変換された表示例(即ち、切り出し補正画像表示例)が示されている。図15(B)に示すように、複数対象が存在する場合も対応できる。また、対象が移動した場合でも認識により自動追尾できるようになっている。このような自動追尾は、上記特徴点抽出法によって、オプティカルフローを算出し、公知の追跡処理を行うことにより実現可能である。
【0188】
再変換される画像は、ポインティングデバイスによって(即ち、人為的動作に基づく指定により)上記任意の点Ci(ui、vi)が複数選択されたものであってもよい。
【0189】
図16には、ポインティングデバイスによって(即ち、人為的動作に基づく指定により)上記任意の点Ci(ui、vi)が複数選択された様子が示されている。
【0190】
図16(A)には、切り出し領域として平面正則画像内の点線矩形領域が、十字記号はポインティングデバイスによって指定されたことを示す記号(ポインティングマーカ)を示す。
【0191】
図16(B)には、再変換された表示例(切り出し補正画像表示例)が示されている。
このようにポインティングデバイスで指定した切り出し領域を新規ウインドに表示することで複数対象が存在する場合も対応できる。また、新規ウインドへの切り出し補正画像表示のみでなく、指定ウインドに注目位置を更新した切り出し補正画像を表示することができる。監視対象が移動した場合でも手動で切り出し領域を更新することで追尾できる。
【0192】
[5.監視カメラシステムへの適用例]
次に、画像処理装置SSを監視カメラシステムへ適用させた例について、図17を用いて説明する。
【0193】
図17は、画像処理装置SSを監視カメラシステムへ適用させた例を示す概念図である。
【0194】
本実施形態における画像処理装置SSには、図6に示す構成に加えて、魚眼レンズ(広角レンズ又は全方位ミラー等でもよい)を搭載したデジタルカメラ(画像処理装置SSへ魚眼歪画像を出力できる装置であればよい)、表示装置の他、上記変換された平面正則画像に示される特定の物体を認識する物体認識手段と、当該認識した物体が平面正則画像で示す継時的な変化を、前記各平面正則画像毎に認識する動作認識手段をさらに加えて構成される。そして、動作認識手段によって認識された前記各平面正則画像毎の物体上の任意の点に対応する魚眼歪画像上の画素情報を特定し、当該特定された位置に基づいて再変換するようになっている。この物体認識手段及び動作認識手段は、CPU等に実現させるようにするようにしてもよい。
【0195】
図17(A)には魚眼歪画像が、図17(B)には上記変換された平面正則画像(即ち、画像処理装置SSによって魚眼歪画像から生成した平面正則画像)がそれぞれ表示されている。
【0196】
図17(A)に示すように、魚眼歪画像は、その画像の中心部から離れるにつれて歪みが強く発生するため、従来の物体認識技術との併用は困難であることはすでに述べた。そして、図17(B)に示す平面正則画像は、広い画角に対して正則な人物を表示することができるため、従来の物体認識技術との併用が可能であることもすでに述べた。
【0197】
そこで、本監視カメラシステムは、平面正則画像に対して物体認識技術を適用することで監視対象の自動位置検出をし、当該検出した監視対象を継続的に監視することを可能としている。
【0198】
具体的には、図17(C)に示すように、本発明の適用により平面正則画像で自動検出した監視対象位置に対応する魚眼歪画像上での監視対象位置を、継時的(継続的に)に算出することができる。魚眼歪画像上での監視対象位置を切り出し補正画像の中心にすること(即ち、上記再変換を行うこと)で、監視対象の自動追尾が可能である。
【0199】
この図17(C)について、具体的に説明すると、図17(C)(1)〜(4)の上部に示す図は変換後の平面正則画像である(図17(C)では、(1)〜(4)の順に人が右から左へと移動している状態を示している)。
【0200】
平面正則画像上で検出した位置の魚眼歪画像(中部の図)に対応する位置を上記再変換により算出する。下部の図は魚眼歪画像上の算出した監視対象の位置を中心とした切り出し補正画像(即ち、再変換した平面正則画像)を示す。物体認識技術により自動で検出した監視対象の位置を切り出し補正画像の中心位置(即ち、上記任意の点Ci(ui、vi))に更新し続け、当該中心位置を基準に再変換した画像を表示することで監視対象の自動追尾が可能である。
【0201】
[6.TV会議システムへの適用例]
次に、画像処理装置SSを監視カメラシステムへ適用させた例について、図18及び図19を用いて説明する。
【0202】
図18は、魚眼レンズカメラを横向きに設置した場合の画像処理装置SSをTV会議室システムへ適用させた例を示す概念図であり、図19は、魚眼レンズカメラを天頂方向へ向けて設置した場合の画像処理装置SSをTV会議室システムへ適用させた例を示す概念図である。
【0203】
本実施形態における画像処理装置SSには、図6に示す構成に加えて、魚眼レンズ(広角レンズ又は全方位ミラー等でもよい)を搭載したデジタルカメラ(画像処理装置SSへ魚眼歪画像を出力できる装置であればよい)、表示装置の他、上記物体認識手段をさらに加えて構成される。この物体認識手段は、CPU等に実現させるようにするようにしてもよい。
【0204】
図18(A)には、横方向に向けた魚眼レンズカメラを会議室に設置した例の概略図が示されている。この場合、例えば、魚眼レンズカメラは壁などに設置され、被写体たる人間と正対する方向に設置される。
【0205】
図18(B)には、本システムにおいて変換された平面正則画像が示されている。図18(B)に示すように約180度の広い画角の平面正則画像が得られるため、1台の魚眼レンズカメラで複数の会議参加者を表示することができる。
【0206】
図18(C)には、物体認識技術を適用して会議参加者(人物)を認識し、そして認識した人物のうち予め設定された点(例えば人物の重心位置等)を上記任意の点Ci(ui、vi)として、再変換して平面正則画像が表示された例が示されている。
【0207】
平面正則画像として、会議参加者を分割ウインドで表示することで詳細を複数点同時に観察することができる。
【0208】
また、図18(D)に示すように、各ウインド内の画像の拡大縮小の倍率を個別に変更することで、カメラとの距離にかかわらず人物の大きさを統一して表示することができる。
【0209】
なお、魚眼レンズカメラが横方向に向けられた場合には、上述した図5(A)の向きで魚眼歪補正が行われることとなる。
【0210】
また、図19(A)には、天頂方向へ向けた魚眼レンズカメラを会議室に設置した例の概略図が示されている。この場合、例えば、魚眼レンズカメラはテーブルの上に天井へ向けて設置され、被写体たる人間と平行に設置される。
【0211】
図19(B)には、本システムにおいて変換された平面正則画像が示されている。図19(B)に示すように約360度の広い画角の平面正則画像が得られるため、1台の魚眼レンズカメラで全ての会議参加者を表示することができる。
【0212】
図19(C)には、物体認識技術を適用して会議参加者(人物)を認識し、そして認識した人物のうち予め設定された点(例えば人物の重心位置等)を上記任意の点Ci(ui、vi)として、再変換して平面正則画像が表示された例が示されている。
【0213】
平面正則画像として、会議参加者を分割ウインドで表示することで詳細を複数点同時に観察することができる。
【0214】
[7.パンチルトズームカメラへの適用例]
次に、画像処理装置SSをパンチルトズームカメラへ適用させた例について、図20及び図21を対比させて説明する。
【0215】
図20は、画像処理装置SSをパンチルトズームカメラへ適用させた場合のブロック図を示し、図21は、像処理装置Sをパンチルトズームカメラへ適用させた場合の概念図を示す。
【0216】
図20に示すように、画像処理装置SSをパンチルトズームカメラへ適用させた場合のブロック図では、先に示した画像処理装置SSのブロック図に、魚眼レンズ(広角レンズ又は全方位ミラー等でもよい)を搭載したデジタルカメラ(魚眼カメラ。画像処理装置SSへ魚眼歪画像を出力できる装置であればよい)と、パンチルトズームカメラ100(本願の監視カメラ)及び魚眼レンズカメラとパンチルトズームカメラの対応座標算出ユニット101(本願の位置制御手段の一例)を加えて構成される。
【0217】
パンチルトズームカメラ100は、水平方向、垂直方向にカメラのレンズの向きを駆動可能な機構部と、光学ズーム機構を備えたカメラである。
【0218】
魚眼レンズカメラとパンチルトズームカメラの対応座標算出ユニット101は、パンチルトズームカメラ100を所定の方向へ位置制御させるための制御信号を、パンチルトズームカメラ100へ出力する。当該制御信号の入力により、パンチルトズームカメラ100の駆動部は、制御信号に示される位置へ駆動するようになっている。
【0219】
図21(A)は、画像処理装置SSをパンチルトカメラへ適用させた場合の概念図を示す。図21(A)に示すように、魚眼カメラとパンチルトズームカメラは互いに情報を送受信可能に接続されている。
【0220】
パンチルトズームカメラ100は、歪みの少ない画像を撮像できるが(即ち、視認性の高い画像を撮像できる)、画角が狭く、またパンチルトにより死角が発生することが一般的に知られている。そこで、本実施形態では、画像処理装置SSをパンチルトズームカメラ100へ適用させて、画角の広い魚眼レンズで撮像された画像から監視対象を把握し、パンチルトズームカメラ100によって監視対象を視認性の高い画像で撮像するようになっている。
【0221】
本実施形態の動作を実現するために、魚眼レンズカメラとパンチルトズームカメラの対応座標算出ユニット101は、魚眼カメラで算出した監視対象の位置情報をパンチルトズームカメラ100に送信し、パンチルトズームカメラの制御を行うようになっている。
【0222】
当該制御の概念について、図21(B)〜図21(E)を用いて説明する。
【0223】
図21(B)の左図は魚眼カメラによって撮像された魚眼歪画像を示し、図21(B)の右図はパンチルトズームカメラ100によって撮像された平面正則画像を示す。これらの撮像中心を比較すると、それぞれのカメラの設置位置により座標系の中心に差が生じているのがわかる。魚眼レンズカメラとパンチルトズームカメラの対応座標算出ユニット101は、魚眼カメラによって撮像された魚眼歪画像の撮像中心(第1の撮像中心の一例)と、パンチルトズームカメラ100によって撮像された平面正則画像の撮像中心(第2の撮像中心)の差(以下、「中心位置の差」と称する。)を算出する。中心位置の差は、予め記憶するようにしてもよい。
【0224】
また、魚眼レンズによって撮像される画角は予め決められているため、撮像中心から撮像された画像内に存在する物体の現実の距離(以下、「魚眼カメラから得た位置情報」とする。)を把握することができる。同様に、パンチルトズームカメラ100によって撮像される画角もあらかじめ決められているため、撮像中心から撮像された画像内に存在する物体の現実の距離(以下、「パンチルトズームカメラ100の位置情報」とする。)を把握することができる。
【0225】
本実施形態では、上記中心位置の差と、魚眼カメラから得た位置情報及びパンチルトズームカメラ100の位置情報に基づいて、パンチルトズームカメラ100の撮像中心を設定するための距離情報を算出し、当該距離情報が示す位置にパンチルトズームカメラ100の撮像中心を移動させるための制御信号をパンチルトズームカメラ100へ出力するようになっている。
【0226】
そこで、魚眼レンズカメラとパンチルトズームカメラの対応座標算出ユニット101は、魚眼歪画像が変換され平面正則画像が表示されている場合に(図21(C))、当該平面正則画像で監視対象が選択(ポインティングデバイスによる選択又は物体認識技術による認識を含む)された場合には(図21(D))、上述した再変換の中心座標Ciとして選択された監視対象の所定の位置(例えば重心等)に対応する魚眼歪画像の座標Siを算出する。
【0227】
そして、魚眼レンズカメラとパンチルトズームカメラの対応座標算出ユニット101は、上記中心位置の差と、Siの魚眼カメラから得た位置情報を距離情報として算出し、算出された距離情報に基づいて、魚眼カメラから得た位置情報及び上記Siがパンチルトズームカメラ100の撮像中心となるように、パンチルトズームカメラ100の駆動部へ制御信号を送信する。
【0228】
すると、パンチルトズームカメラ100はパンチルトズームを行うことで監視対象を撮像する(図21(E))。本発明とパンチルトズームカメラを併用することでパンチルトズームカメラの効率的な制御が可能である。
【0229】
次に、画像処理装置SSをパンチルトズームカメラへ適用させた場合の画像処理装置SSの動作について、図22を用いて説明する。
【0230】
図22は、画像処理装置SSをパンチルトズームカメラへ適用させた場合の画像処理装置SSの動作を示すフローチャートである。
【0231】
まず、魚眼レンズカメラとパンチルトズームカメラの対応座標算出ユニット101は、魚眼カメラによって撮像された魚眼歪画像の撮像中心と、パンチルトズームカメラ100によって撮像された平面正則画像の撮像中心の差(「中心位置の差」)を算出する(ステップS11)。
【0232】
魚眼歪画像Sを変換して平面正則画像等を表示部へ表示させるために、上述した変換を行うべく、ユーザのパラメータ入力ユニット3の操作に基づいて、あるいは、画像処理装置SSに予め設定された値を用いて、魚眼歪画像Sの切り出し中心P(X0、Y0)が選択されると(ステップS12)、これらの選択された情報を上記パラメータとして補正パラメータ算出部21へ出力する。
【0233】
補正パラメータ算出部21は、パラメータ入力ユニット3から視線ベクトルnおよび平面傾斜角φが与えられたときに、視線ベクトルnに基づいて方位角αおよび天頂角βを求め、式(3)〜(8)に基づいて回転係数A、B、C、D、E、Fを算出し(ステップS13)、魚眼歪補正ユニット1へ出力する。
【0234】
すると、魚眼歪補正ユニット1は、補正パラメータ算出部21から入力された算出結果(α、β、φ等)を用いて、上述した魚眼歪画像Sから平面正則画像等へ変換を行い(ステップS14)、平面正則画像用メモリコントローラ52は、当該平面正則画像等を表示画面上に表示させる(ステップS15)。
【0235】
平面正則画像等で監視対象が選択された場合には(ステップ16:YES)、上述した再変換の中心座標Ciとして選択された監視対象の所定の位置(例えば重心等)に対応する魚眼歪画像の座標Siを算出する(ステップS17)。
【0236】
次に、魚眼レンズカメラとパンチルトズームカメラの対応座標算出ユニット101は、上記中心位置の差と、Siの魚眼カメラから得た位置情報に基づいて、魚眼カメラから得た位置情報及び上記Siがパンチルトズームカメラ100の撮像中心となるように、パンチルトズームカメラ100の駆動部へ制御信号を送信する(ステップS18)。
【0237】
すると、パンチルトズームカメラ100はパンチルトズームを行うことで監視対象を撮像する(ステップS19)。
【0238】
なお、以上説明した実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。そして、上記実施形態の中で説明されている構成の組合せ全てが発明の課題解決に必須の手段であるとは限らない。
【0239】
以上説明したように、魚眼レンズによって撮像された魚眼歪画像Sに基づいて生成された二次元的に視認可能な平面正則画像等の任意の点Ci(ui、vi)の選択指示を受け付けると、Ci(ui、vi)の対応座標としての魚眼歪画像S上の点Si(xi、yi)を算出し、Ci(ui、vi)を中心として、当該魚眼歪画像Sを構成する画素情報群に基づいて、平面正則画像を構成する画素情報群を新たに生成するように構成したため、広範囲な画角で撮像された魚眼歪画像等に基づいて正確かつ実効的な物体認識を行うことができる。
【0240】
なお、上記実施形態においては、本願を画像処理装置に対して適用した場合の例を示したが、その他にも例えば、デジタルビデオカメラ、デジタルカメラ、パーソナルコンピュータ又は家庭用等の電子機器等に対しても適用可能である。
【符号の説明】
【0241】
1 魚眼歪補正ユニット
2 補正パラメータ算出ユニット
3 パラメータ入力ユニット
4 対応座標算出ユニット
5 平面正則画像作成ユニット
6 魚眼歪画像用メモリ
7 平面正則画像用メモリ
SS 画像処理装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力された画像データを処理する画像処理装置及び画像処理方法等の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
広角レンズ(例えば、魚眼レンズ)又は全方位ミラーは、広範囲な画角で被写体を撮像できるため、例えば、監視カメラシステム、テレビ会議システム等のカメラ装置(例えば、魚眼カメラ)に適用されている。
【0003】
この魚眼カメラで撮像された魚眼歪画像には歪が生じ、特に当該画像の外縁部(端面部)では著しい歪が生じる。そこで、魚眼歪画像に示される被写体の識別性を向上させるため、魚眼歪画像を二次元的に視認可能な平面正則画像に変換し、上記歪を補正する魚眼補正処理が行われている。
【0004】
また、魚眼補正処理を適用した技術として、特許文献1では、魚眼レンズ全景縮小画像と、ポインティングデバイスで指定した当該魚眼歪画像内の所望の領域の切り出し歪補正領域とを同一画面上に出力表示する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−301034号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された技術では、人間の目視により魚眼歪画像に表示される特定の物体を特定し、当該物体を監視するために装置に指示を与える必要があるため、正確かつ実効的な物体認識を行うことができない。
【0007】
また、魚眼歪画像には上述したように歪が発生するため、画像に表示される特定の物体を認識する物体認識技術を適用した場合には、魚眼歪画像上に示される物体を正確に認識することは困難である。
【0008】
そこで、本願発明は、このような問題等に鑑みてなされたものであり、広範囲な画角で撮像された魚眼歪画像等に基づいて正確かつ実効的な物体認識を行うことが可能な会議システム、監視システム、画像処理装置、画像処理方法及び画像処理プログラム等を提供することを課題の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、外部から入力される広角レンズ又は全方位ミラーによって撮像された歪円形画像に基づいて生成される当該歪円形画像を構成する画素情報群を記憶する歪円形画像記憶手段と、前記記憶された歪円形画像を構成する画素情報群を、二次元的に視認可能な平面正則画像を構成する画素情報群に変換する変換手段と、前記変換された平面正則画像を構成する画素情報群を記憶する平面正則画像記憶手段と、前記記憶された平面正則画像上の任意の点に対応する画素情報の選択指示を受け付ける選択指示受付手段と、前記選択指示が示す平面正則画像上の画素情報に対応する歪円形画像上の画素情報を特定する対応座標特定手段と、前記特定された画素情報を中心に、前記記憶された歪円形画像を構成する画素情報群を、二次元的に視認可能な平面正則画像を構成する画素情報群に再変換する再変換手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像処理装置であって、前記再変換された平面正則画像を構成する画素情報群に基づいて、表示部へ表示させる所定の大きさの画面情報を生成する画面情報生成手段と、を備えることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の画像処理装置であって、前記選択指示受付手段は、前記変換手段によって変換された平面正則画像上の複数の点に対応する画素情報の選択指示を受け付け、前記対応座標特定手段は、前記選択指示が示す平面正則画像上のそれぞれの画素情報に対応する歪円形画像上の画素情報を特定し、前記再変換手段は、前記特定されたそれぞれの画素情報を中心に、前記記憶された歪円形画像を構成する画素情報群を、二次元的に視認可能な平面正則画像を構成する画素情報に、前記対応座標特定手段によって特定されたそれぞれの画素情報毎に再変換することを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の画像処理装置であって、前記生成された各画面情報を、前記表示部に同一の大きさに表示されるように表示態様を制御する表示制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4の何れか1項に記載の画像処理装置であって、前記変換された平面正則画像に示される所定の物体を認識する物体認識手段と、を備え、前記選択指示受付手段は、前記認識された物体上の任意の点に対応する画素情報の選択指示を受け付けることを特徴とする。
【0014】
請求項6に記載の発明は、外部から入力される広角レンズ又は全方位ミラーによって被写体を継続的に撮像した複数の歪円形画像に基づいて生成される当該複数の歪円形画像を構成する画素情報群を、各歪円形画像に対応付けて記憶する歪円形画像記憶手段と、前記記憶された各歪円形画像を構成する画素情報群を、二次元的に視認可能な平面正則画像を構成する画素情報群に、前記各歪円形画像毎に変換する変換手段と、前記変換された各平面正則画像を構成する画素情報群を記憶する平面正則画像記憶手段と、前記変換された平面正則画像に示される特定の物体を認識する物体認識手段と、前記認識した物体が平面正則画像で示す継時的な変化を、前記各平面正則画像毎に認識する動作認識手段と、前記動作認識手段によって認識された前記各平面正則画像毎の物体上の任意の点に対応する歪円形画像上の画素情報を特定する第2の対応座標特定手段と、前記第2の対応座標特定手段によって特定された各歪画像上の画素情報を中心に、前記歪円形画像を構成する画素情報群を、二次元的に視認可能な平面正則画像を構成する画素情報群に、第2の対応座標特定手段によって特定された各画素情報毎に再変換する再変換手段と、を備えることを特徴とする。
【0015】
請求項7に記載の発明は、広角レンズ又は全方位ミラーによって撮像した被写体を歪円形画像として画像処理装置へ出力するカメラと、前記入力された歪円形画像に基づいて画面情報を生成して端末装置へ出力する前記画像処理装置と、を備えた会議システムであって、前記画像処理装置は、前記入力された歪円形画像に基づいて生成される当該歪円形画像を構成する画素情報群を記憶する歪円形画像記憶手段と、前記記憶された歪円形画像を構成する画素情報群を、二次元的に視認可能な平面正則画像を構成する画素情報群に変換する変換手段と、前記変換された平面正則画像を構成する画素情報群を格納する平面正則画像記憶手段と、前記変換された平面正則画像に示される一又は複数の特定の物体を認識する物体認識手段と、前記認識された物体上の任意の点に対応する画素情報の選択指示を、前記認識した物体毎に受け付ける選択指示受付手段と、前記選択指示が示す平面正則画像上の画素情報に対応する歪円形画像上の画素情報を、前記認識した物体毎に特定する対応座標特定手段と、前記対応座標特定手段によって特定された画素情報を中心に、前記記憶された歪円形画像を構成する画素情報群を、二次元的に視認可能な平面正則画像を構成する画素情報群に、前記認識した物体毎に再変換する再変換手段と、前記再変換された平面正則画像を構成する画素情報群を、表示部へ表示させる所定の大きさの画面情報として前記認識した物体毎に生成する画面情報生成手段と、前記生成された画面情報を前記端末装置へ出力する出力手段と、を備えることを特徴とする。
【0016】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の会議システムであって、前記カメラは、当該カメラに搭載される広角レンズ又は全方位ミラーを天頂方向へ向けて配置されることを特徴とする。
【0017】
請求項9に記載の発明は、広角レンズ又は全方位ミラーによって第1の撮像中心から所定の撮像範囲内で撮像された被写体を歪円形画像として画像処理装置へ出力する機能と、ズーム機構を備えたレンズ群によって第2の撮像中心から所定の範囲内で撮像された被写体を平面正則画像として前記画像処理装置へ出力する機能を搭載した監視カメラと、前記入力された歪円形画像に基づいて画面情報を生成する前記画像処理装置と、を備える監視システムであって、前記監視カメラは、当該カメラの撮像する位置を切り替えるパンチルト駆動手段と、を備え、前記画像処理装置は、前記入力された歪円形画像に基づいて生成される当該歪円形画像を構成する画素情報群を記憶する歪円形画像記憶手段と、前記記憶された歪円形画像を構成する画素情報群を、二次元的に視認可能な平面正則画像を構成する画素情報群に変換する変換手段と、前記変換された平面正則画像を構成する画素情報群を格納する平面正則画像記憶手段と、前記変換された平面正則画像に示される物体を認識する物体認識手段と、前記記憶された平面正則画像上の任意の点に対応する画素情報の選択指示を受け付ける選択指示受付手段と、前記選択指示が示す平面正則画像上の画素情報に対応する歪円形画像上の画素情報を特定する対応座標特定手段と、予め算出された前記第1の撮像中心と前記第2の撮像中心に基づいて、前記第2の撮像中心を、前記対応座標特定手段によって特定された画素情報が示す位置に新たに設定するための距離情報を算出し、当該距離情報が示す位置に監視カメラを駆動させるための制御信号を前記パンチルト駆動手段に出力する位置制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0018】
請求項10に記載の発明は、外部から入力される広角レンズ又は全方位ミラーによって撮像された歪円形画像に基づいて生成される当該歪円形画像を構成する画素情報群を記憶する歪円形画像記憶工程と、前記記憶された歪円形画像を構成する画素情報群を、二次元的に視認可能な平面正則画像を構成する画素情報群に変換する変換工程と、前記変換された平面正則画像を構成する画素情報群を記憶する平面正則画像記憶工程と、前記記憶された平面正則画像上の任意の点に対応する画素情報の選択指示を受け付ける選択指示受付工程と、前記選択指示が示す平面正則画像上の画素情報に対応する歪円形画像上の画素情報を特定する対応座標特定工程と、前記対応座標特定工程によって特定された画素情報を中心に、前記記憶された歪円形画像を構成する画素情報群を、二次元的に視認可能な平面正則画像を構成する画素情報群に再変換する再変換工程と、を有することを特徴とする。
【0019】
請求項11に記載の発明は、画像処理装置に含まれるコンピュータを、外部から入力される広角レンズ又は全方位ミラーによって撮像された歪円形画像に基づいて生成される当該歪円形画像を構成する画素情報群を記憶する歪円形画像記憶手段、前記記憶された歪円形画像を構成する画素情報群を、二次元的に視認可能な平面正則画像を構成する画素情報群に変換する変換手段、前記変換された平面正則画像を構成する画素情報群を記憶する平面正則画像記憶手段、前記記憶された平面正則画像上の任意の点に対応する画素情報の選択指示を受け付ける選択指示受付手段、前記選択指示が示す平面正則画像上の画素情報に対応する歪円形画像上の画素情報を特定する対応座標特定手段、前記対応座標特定手段によって特定された画素情報を中心に、前記歪円形画像を構成する画素情報群を、二次元的に視認可能な平面正則画像を構成する画素情報群に再変換する再変換手段、として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、広角レンズ又は全方位ミラーによって撮像された歪円形画像に基づいて生成された二次元的に視認可能な平面正則画像上の任意の点の選択指示を受け付けると、当該選択指示が示す平面正則画像上の画素情報に対応する歪円形画像上の画素情報を特定し、当該特定された画素情報を中心に、当該歪円形画像を構成する画素情報群に基づいて、平面正則画像を構成する画素情報群を新たに生成するように構成したため、広範囲な画角で撮像された魚眼歪画像等に基づいて正確かつ実効的な物体認識を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】基本原理の概念を示す概念図である。
【図2】魚眼歪画像Sの一部又は全部が切り出され、平面正則画像Tに変換された変換例を示す概念図である。
【図3】湾曲平面正則画像への変換を示す概念図である。
【図4】上述した湾曲座標系を用いて、魚眼歪画像Sの一部又は全部が切り出され、平面正則画像Tに変換された変換例を示す概念図である。
【図5】魚眼レンズカメラが設置される方向と、補正方向との関係を示す概念図である。
【図6】本実施形態に係る画像処理装置の構成及び機能概要を示すブロック図である。
【図7】平面正則画像Tの詳細画像においてブロックノイズが生じた例を示す概念図である。
【図8】再変換の詳細について説明する概念図である。
【図9】再変換の詳細について説明する概念図である。
【図10】再変換の詳細について説明する概念図である。
【図11】基本原理を用いて変換された平面正則画像が再変換された場合の表示画面例について示す図である。
【図12】湾曲平面正則画像への変換を用いて変換された平面正則画像が再変換された場合の表示画面例について示す図である。
【図13】画像処理装置SSの動作を示すフローチャートである。
【図14】任意の点Ci(ui、vi)が指定される都度再変換された平面正則画像等が並べて表示された画面例を示す図である。
【図15】物体認識技術を用いて再変換させた表示例を示す図である。
【図16】ポインティングデバイスによって(即ち、人為的動作に基づく指定により)上記任意の点Ci(ui、vi)が複数選択された様子を示す図である。
【図17】画像処理装置SSを監視カメラシステムへ適用させた例を示す概念図である。
【図18】魚眼レンズカメラを横向きに設置した場合の画像処理装置SSをTV会議室システムへ適用させた例を示す概念図である。
【図19】魚眼レンズカメラを天頂方向へ向けて設置した場合の画像処理装置SSをTV会議室システムへ適用させた例を示す概念図である。
【図20】画像処理装置SSをパンチルトズームカメラへ適用させた場合のブロック図である。
【図21】画像処理装置SSをパンチルトズームカメラへ適用させた場合の概念図である。
【図22】画像処理装置SSをパンチルトズームカメラへ適用させた場合の画像処理装置SSの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。以下に説明する実施形態は、画像処理装置に対して本発明を適用した場合の実施形態である。
【0023】
[1.魚眼歪画像の変換の原理]
A)平面正則画像への変換
本実施形態に係る画像処理装置は、詳しくは後述するが、その機能の一つとして、広角レンズ又は全方位ミラーによって撮像された歪円形画像の一例としての魚眼歪画像の一部又は全部を切り出して、二次元的に視認可能な平面正則画像に変換する処理を行う機能を有する。
【0024】
ここで、まず、魚眼歪画像の一部又は全部を切り出して、平面正則画像に変換する基本原理(以下単に、「基本原理」という。)について、図1及び図2を用いて説明する。
【0025】
図1は、基本原理の概念を示す概念図である。
【0026】
かかる基本原理は公知の手法であるため詳しい説明は省略するが、平面正則画像を構成する画素情報群を得るために、当該平面正則画像を構成する各画素情報に対応する魚眼歪画像における各画素情報が位置する対応座標が算出される。
【0027】
具体的には、魚眼レンズの光学的特性をモデル化した仮想球面上の任意の点で接する平面を平面正則画像と定義し、当該平面上における各座標が公知の座標変換により、魚眼歪画像における各座標に変換され、上記対応座標が算出される。
【0028】
そして、魚眼歪画像S上の切出中心点P(xo、yo)を中心とした一部分を切り出して、平面正則画像Tに変換するために、図1に示すOを原点としたXYZ座標系に定義された仮想球面モデルを用いた対応座標の算出方法が適用される。図2において、魚眼歪画像Sが存する座標系をXY座標系、平面正則画像Tが存する座標系をUV座標系とする。以下単に、XY座標系、又はUV座標系とした場合には、魚眼歪画像S又は平面正則画像T上の座標系をそれぞれ示すものとする。
【0029】
この仮想球面モデルを用いた対応座標の算出方法では、魚眼歪画像S上に定義された切出中心点P(xo、yo)に対応する上記対応座標としての平面正則画像Tの原点G(xg、yg、zg)は、PとZ軸に平行な直線と仮想球面Hとの交点をQ(xo、yo、zo)と定義すると、QとXYZ座標系の原点を通るベクトルn上に存在することが知られている。
【0030】
そして、魚眼歪画像Sの半径をR、切出中心点P(xo、yo)とXY座標系の原点OOとを結ぶ直線とY軸とのなす角を方位角α、UV座標系の原点となる原点G(Xg、Yg、Zg)とXY座標系の原点Oとを結ぶ直線とZ軸とのなす角を天頂角β、U軸とJ軸(G(xo、yo、zo)を通り、XY平面に平行かつ直線OGに直交する軸(以下、回転基準軸ともいう。)とのなす角を平面傾斜角φとそれぞれ定義する。この平面傾斜角φは、UV座標系においてU軸方向を向いたベクトルUと、回転基準軸Jの方向を向いたベクトルJと定義したときに、ベクトルUとベクトルJのなす角度として定義される角であり、通常、「平面傾斜角」と呼ばれている。以上から、この方位角α、天頂角β、及び平面傾斜角φの3つの角度によって、平面正則画像TのUV座標系の位置及び向きが決定されることが分かる。この3つの角度は、一般的にオイラー角と称されることもある。また、平面正則画像Tの補正サイズを示すパラメータとして倍率mを定義する。この倍率mの値によって、UV座標系は、OG間の距離が、半径Rのm倍となるような位置にUV座標系が配置される。このオイラー角及び倍率mは、変換される平面正則画像の向きや大きさ等に応じて可変となる変数である。即ち、オイラー角及び倍率mは、パラメータとして機能し、ユーザの入力または機器の設定によって決定される。
【0031】
以上の関係を用いて、XY座標系上における点Si(xi、yi)と、UV座標系上における点Ti(ui、vi)は(即ち、上記対応座標の算出)、パラメータA〜F及びw(式(3)から式(9))を用いて、式(1)及び(2)によって算出されることが一般的に知られている。
【0032】
なお、式(1)及び(2)に示すx、y、u、vは、上記xi、yi、ui、viに対応している。
【0033】
【数1】
【0034】
【数2】
【0035】
【数3】
【0036】
【数4】
【0037】
【数5】
【0038】
【数6】
【0039】
【数7】
【0040】
【数8】
【0041】
【数9】
【0042】
次に、上記対応座標が算出され、魚眼歪画像Sの一部又は全部が切り出され平面正則画像Tに変換された変換例について、図2を用いて説明する。
【0043】
図2は、魚眼歪画像Sの一部又は全部が切り出され、平面正則画像Tに変換された変換例を示す概念図である。
【0044】
図2(A)には魚眼歪画像Sが示されており、その一部が切り出され、平面正則画像Tに変換された画像が図2(B)及び図2(C)に示されている。
【0045】
魚眼歪画像Sから平面正則画像Tに変換される際の画像の大きさ(UV座標系の座標総数)は任意に設定することができる。即ち、魚眼歪画像Sを構成する画像のうち、任意の範囲を平面正則画像Tに変換することができる。
【0046】
図2(B)では、魚眼歪画像Sに示される画像のうち、D氏のみが選択され、平面正則画像Tに変換された例が示されている。また、図2(C)では、魚眼歪画像Sに示される画像のうち、B氏〜E氏が選択され、平面正則画像Tに変換された例が示されている。
【0047】
B)湾曲平面正則画像への変換
上述したように、魚眼歪画像には歪が発生する。この歪は、魚眼歪画像の中心部から離れるに従って(即ち、魚眼歪画像の外縁部に近づくにつれて)大きくなることが知られている。
【0048】
図2に示す例で説明すると、魚眼歪画像Sの中心部付近の画像を平面正則画像Tへ変換した図2(B)では歪が少なく、自然な形で人物が示されている。一方、魚眼歪画像Sの中心部から外縁部にわたる画像を平面正則画像Tへ変換した図2(C)では、魚眼歪画像Sの外縁部に示される画像に対応する平面正則画像T(即ち、B氏及びE氏)では歪が多く、画面に対して水平方向に人物像が拡大して示されている。換言すれば、不自然な形で人物像が示されている。
【0049】
この歪が大きな平面正則画像に対して、画像に表示される特定の物体を認識する物体認識技術を適用した場合には、魚眼歪画像上に示される物体を正確に認識することは困難である。
【0050】
具体的に図2(B)及び(C)に示された画像について説明すると、物体認識技術として一般的に知られているパターンマッチング法(予め記憶された画像と、画面に示されている画像において、類似度を比較することにより物体を認識する技術)を適用した場合を考える。
【0051】
図2(B)に示された人物像は、一般的に人物であると把握することができ、また、予め記憶された人物像と類似する可能性が高い。従って、物体認識技術を適用して、画像に表示される特定の物体を認識することができる。
【0052】
一方、図2(C)に示された人物像は、一般的に人物であると把握することが困難であり、また、予め記憶された人物像と類似する可能性が低い。従って、物体認識技術を適用して、画像に表示される特定の物体を認識することが困難であると考えられる。
【0053】
以上より、基本原理では、狭い範囲(一例として、魚眼歪画像Sの中心部付近の画像を平面正則画像へ変換した場合)の歪補正画像としての平面正則画像では、歪が小さいため、物体認識技術との併用が可能であるが、広い範囲(一例として、魚眼歪画像Sの中心部から外縁部にわたる画像を平面正則画像へ変換した場合)の歪補正画像としての平面正則画像では、UV座標系の中心部から離れるとともに補正画像内の歪が大きくなるため、物体認識技術との併用が困難である。
【0054】
そこで、平面正則画像T上の左右輪郭近傍に生じる歪みを改善するため、発明者らは、変換後の画素情報における座標C(u、v)に位置する画素情報を、UV湾曲座標系上の座標C´(u´、v´)とXY座標系上の座標P(x、y)との対応関係を示す対応関係式を用いて求めた座標P(x、y)の近傍に位置する画素情報に基づいて決定し、変換後の画素配列データに基づいて平面上の表示部に画像を表示することにより、平面正則画像Tを求める技術を発明した(詳しくは、例えば特開2010−62790号公報参照。)。
【0055】
以下、特開2010−62790号公報に示される変換方法を、単に「湾曲平面正則画像への変換」と称する。
【0056】
この湾曲平面正則画像への変換は、公知の技術であるため詳しい説明は省略するが、図3及び図4を用いて概要を説明する。なお、図3及び図4に示される記号のうち、既に説明した記号と同一の記号を示すものは、少なくとも同一の機能等(作用及び効果も含める)を示すため詳しい説明は省略する。
【0057】
図3は、湾曲平面正則画像への変換を示す概念図である。
【0058】
湾曲平面正則画像への変換は、図3(A)及び(B)に示すように、XY平面上の魚眼歪画像S上に半径Rを持つ仮想球面H、オイラー角及び倍率mを定義する(図2と同様)。さらに、図2と同様に、点Pの真上の点Qを通る視点ベクトルnを求め、OGの距離がm・Rとなる点Gにおいて視線ベクトルnに直行する平面T上に、角φに応じた向きを持つUV座標系を定義する。さらに、このUV座標系を「点Gが側面上の1点をなし、V軸に平行かつ点0を通る直線V´を中心軸とする仮想円柱」の側面Cに沿って湾曲させ、UV湾曲座標系を定義する。
【0059】
また、このように定義すると、UV座標系Tと、これを湾曲することによって得られるUV湾曲座標Cは、図3(B)に示す位置関係にあることがわかる。
【0060】
即ち、UV座標系の座標面であるUV平面は、XY平面に面に平行な面であり、両者の間隔は、w=mRに設定されている。図示のとおり、このUV平面に沿った水平方向にU軸が定義され、点Gにおいて紙面垂直方向にV軸が定義されている。そして、このUV平面上に、平面正則画像Tが定義されることになる。
【0061】
一方、UV湾曲座標系の座標面であるUV曲面は、UV平面を仮想円柱の側面に沿って湾曲させることにより得られる面である。ここで、仮想円柱は、V´軸(V軸に平行かつ原点Oを通る軸)を中心軸とし、半径w=mRをもった円柱であり、軸Vの位置においてUV平面に接している。UV曲面は、この仮想円柱の側面に一致し、半径w=mRをもった円の円弧に沿った方向にU軸が定義され、点Gにおいて紙面垂直方向にV軸が定義されている。そして、このUV曲面上に、湾曲正則画像Cが定義されることになる。
【0062】
このように、UV座標系とUV湾曲座標系とは、一方の座標軸であるV軸を共通とするが、他方の座標軸であるU軸の空間的な位置は異なっている。ただ、座標目盛の刻み幅はいずれも同じであり、座標面上の任意の1点の位置が、座標(u、v)で示される点も同じである。そこで、同一座標(u、v)で示される各座標面上の2点の関係については、以下のように考えることができる。
【0063】
即ち、図3(B)の左上に示すように、UV座標系上における点T(u、v)に着目すると、この点T(u、v)は、平面正則画像T上の点であり、原点GからU軸に沿って座標値uだけ隔たり、V軸方向に関して座標値vだけ隔たった点であることがわかる。
【0064】
次に、UV湾曲座標系上における点C(u、v)に着目すると、この点C(u、v)は、湾曲正則画像C上の点であり、原点Gから円弧Aに沿って座標値uだけ隔たり、V軸方向に関して座標値vだけ隔たった点ということになる。
【0065】
このように、点T(u、v)と点C(u、v)とは、いずれも座標(u、v)で表される点であるが、異なる座標系で定義された点であるため、XYZ三次元直交座標系で示される空間上の位置は異なっている。すなわち、XYZ三次元直交座標系の座標値で考えると、点T(u、v)の座標はT(u、v、w)になるのに対して、点C(u、v)の座標はC(u´、v´、w´)になる。ここで、図3(B)から、u´=w・sinθ、w´=w・cosθであることがわかる。
【0066】
また、円弧GCの長さは座標値uの絶対値に等しく、円弧Aの半径はwであるから、図3(B)に示す角度θは、θ=u/wラジアンである。従って、上記u´及びw´は、u′=w・sin(u/w)、w′=w・cos(u/w)であることがわかる。なお、両UV座標系は、V軸を共通の座標軸としているため、点T、CのY座標値はいずれも同一の座標値vになる。
【0067】
以上の関係を用いて、XY座標系上における点Si(xi、yi)と、UV湾曲座標系上における点C´(u´、v´)は、パラメータA〜F及びw(式(3)から式(9))を用いて、式(10)及び(13)の演算式によって求めることができる。そして、点P近傍の画像をUV湾曲座標系上に求め、これを平面T上に展開して平面正則画像Tを得るようになっている。
【0068】
このように構成することによって、発明者らは、平面正則画像Tの右辺輪郭近傍や左辺輪郭近傍について、歪が大幅に改善されることを実証した。
【0069】
以下に、式(10)〜(13)について記す。なお、式(10)〜(13)に示すx、yは、上記xi、yiに対応している。
【0070】
【数10】
【0071】
【数11】
【0072】
【数12】
【0073】
【数13】
【0074】
次に、上述した湾曲座標系を用いて、魚眼歪画像Sの一部又は全部が切り出され平面正則画像Tに変換された変換例について、図4を用いて説明する。
【0075】
図4は、上述した湾曲座標系を用いて、魚眼歪画像Sの一部又は全部が切り出され、平面正則画像Tに変換された変換例を示す概念図である。
【0076】
図4(A)には魚眼歪画像Sが示されており、上述した湾曲座標系を用いて、その一部が切り出され、平面正則画像に変換された画像が図4(B)に示されている。なお、魚眼歪画像Sから平面正則画像に変換される際の画像の大きさは任意に設定することができることは上述した例と同様である。
【0077】
図4(B)では、魚眼歪画像Sに示される画像のうち、B氏〜E氏が選択され、平面正則画像に変換された例が示されている。この選択された範囲は、図2(C)で示した例と同一の範囲であるが、図2(C)で示された平面正則画像と比べると、図4(B)で示された平面正則画像上の左右輪郭近傍には歪みが殆ど生じていないことがわかる。
【0078】
本実施形態における画像処理装置では、「基本原理」及び「湾曲平面正則画像への変換」の何れの変換方法も適用することができるが、以下に説明する例では、「湾曲平面正則画像への変換」を用いた場合について説明する。
【0079】
また、上述した魚眼歪画像Sは、広角レンズ又は全方位ミラーを備えたカメラ(例えば、魚眼レンズカメラ)によって撮像されるものであるが、この魚眼レンズカメラが設置される方向と、補正方向との関係について図5を用いて説明する。
【0080】
図5は、魚眼レンズカメラが設置される方向と、補正方向との関係を示す概念図である。
【0081】
図5(A)は、魚眼レンズカメラを横方向(例えば、Z軸と正対する方向)に向けて配置した場合の補正方向を示す例である。約180度の広い画角の平面正則画像を得るためには、図5(A)中の矢印方向に歪補正を行えばよい。
【0082】
図5(B)は、魚眼レンズカメラを上方向(例えば、Z軸と平行方向)に向けて配置した場合の補正方向を示す例である。約360度の広い画角の平面正則画像を得るためには、図5(B)中の矢印方向に歪補正を行えばよい。
【0083】
即ち、魚眼レンズカメラを横方向に向けたときは図5(A)で示すように矢印方向に補正することで約180度のパノラマ平面正則画像が生成できる。また、上方向に向けた場合は図5(B)の矢印方向に補正することで約360度のパノラマ平面正則画像を生成できる。
【0084】
[2.画像処理装置の構成及び機能概要]
本実施形態に係る画像処理装置は、上述した広角レンズ又は全方位ミラーによって撮像された歪円形画像の一例としての魚眼歪画像の一部又は全部を切り出して、二次元的に視認可能な平面正則画像に変換する処理(以下、単に「変換」と総称する。)の他、当該平面正則画像上の任意の点を中心として、当該撮像された魚眼歪画像を、平面正則画像に再変換する処理(以下、単に「再変換」と称する。)を行う機能を有する。
【0085】
このような機能を有する本実施形態に係る画像処理装置の構成及び機能概要について、図6等を用いて説明する。
【0086】
図6は、本実施形態に係る画像処理装置の構成及び機能概要を示すブロック図である。
【0087】
図6に示すように、画像処理装置SSは、魚眼歪補正ユニット1(変換手段の一例)、補正パラメータ算出ユニット2、パラメータ入力ユニット3等を備えて構成されている。
【0088】
魚眼歪補正ユニット1は、まず、上述した平面正則画像を構成する各画素情報に対応する魚眼歪画像における各画素情報が位置する対応座標を算出する処理を実行することをその機能の一つとし、当該機能を実行するために対応座標算出ユニット4、平面正則画像作成ユニット5、魚眼歪画像用メモリ6(歪円形画像記憶手段の一例)、平面正則画像用メモリ7(平面正則画像記憶手段の一例)等を備えて構成されている。
【0089】
具体的には、魚眼補正ユニット1は、図示しない光学レンズによって180°の画角をもって周囲の被写体を撮影され、図示しないイメージセンサ等によって半径Rをもった歪曲円形画像の一例としての魚眼歪画像Sがデジタルデータとして変換されると、変換された魚眼歪画像Sは、魚眼歪画像用メモリ6へと格納される。魚眼補正ユニット1は、これを図示しない表示装置に表示可能な画素情報群としての平面正則画像Tに変換し、平面正則画像用メモリ7に格納する処理を行う。
【0090】
魚眼歪画像用メモリ6は、一般的な画像データ格納用のバッファメモリによって構成されており、魚眼歪画像Sを、XY座標系上の座標(x、y)で示される位置に配置された多数の画素の集合体によって構成される画素情報群として格納する。この魚眼歪画像Sは、上述したように、XY座標系の原点Oを中心とし半径Rをもった画像となる。
【0091】
平面正則画像用メモリ7は、一般的な画像データ格納用のバッファメモリによって構成されており、平面正則画像Tを、UV座標系上の座標(u、v)で示される位置に配置された多数の画素の集合体によって構成される画素情報群として格納する。平面正則画像Tの輪郭は、任意に設定することができる。なお、この平面正則画像用メモリ7に格納されている画素情報は、上述した平面正則画像T及び湾曲正則画像Cの双方に用いられる。
【0092】
また、[1.魚眼歪画像の変換の原理]で述べた通り、UV座標系もUV湾曲座標系も、U軸とV軸とを有する二次元座標系である点は共通しており、UV座標系上に定義される平面正則画像Tも、UV湾曲座標系上に定義される湾曲正則画像Cも、座標値(u,v)で示される位置に配置された多数の画素の配列から構成される点では共通する。したがって、平面正則画像用メモリ7内に格納された画素配列データに基づいて、平面上に画像を表示すれば平面正則画像Tが得られるが、円柱側面上に画像を表示すれば湾曲正則画像Cが得られることになる。従って、平面正則画像用メモリ7に格納される画素配列データ
それ自身は、平面正則画像T用のデータと言うこともできるし、湾曲正則画像C用のデータと言うこともできる。
【0093】
対応座標算出ユニット4は、詳しくは後述する補正パラメータ算出ユニット2によって設定されたパラメータ(上述した式(3)〜式(8)のA〜Fの値やα、β、φ等)と、予め設定されている半径Rを用いて、詳しくは後述する平面正則画像作成ユニット5から与えられた平面正則画像上の任意の座標(u、v)に対応する魚眼歪画像S上の対応座標(x、y)を算出する。
【0094】
即ち、対応座標算出ユニット4は、平面正則画像上の任意の座標(u、v)を与えると、これに対応する魚眼歪画像S上の対応座標(x、y)を平面正則画像作成ユニット5へ戻す機能を有している。この平面正則画像上の任意の座標(u、v)は、後述するuv座標値発生部51によって、出力される平面正則画像の画素分だけ発生されるようになっている。
【0095】
より具体的には、対応座標算出ユニット4は、上述した基本原理における関係式(式(1)〜式(9))、又は湾曲平面正則画像への変換における関係式(式(10)〜式(13))に基づく演算により、座標(u、v)に対応する対応座標(x、y)を算出する機能を有しており、共通係数演算部41、湾曲座標補正部42、xy座標算出部43を備えて構成される。
【0096】
共通係数演算部41は、パラメータ入力ユニット100から倍率mが与えられ、平面
正則画像作成ユニット300から座標vが与えられたときに、予め設定されている歪曲円
形画像の半径Rを用いて、上記式(9)で算出された値を上記Gへ代入し、共通係数Gを演算する処理を行う。
【0097】
湾曲座標補正部42は、平面上に定義された二次元UV直交座標系上の座標(u、v)を、円柱側面上に定義された二次元UV湾曲座標系上の座標(u、v)に補正するために必要な演算を行う機能を有し、パラメータ入力ユニット100から倍率mが与えられ、平面正則画像作成ユニット300から座標uが与えられたときに、予め設定されている魚眼歪画像の半径Rを用いて、式(9)、式(10)及び式(11)に基づいて、u′およびw′を演算する処理を行う。
【0098】
なお、基本原理における関係式(式(1)〜式(9))を用いる場合には、湾曲座標補正部42は省略され、xy座標算出部43には、u´、v、w´に代わり、u、v、wが入力される。
【0099】
xy座標算出部43は、平面正則画像作成ユニット5から与えられた座標v、補正パラメータ算出ユニット2から入力されたA〜F(式(3)〜式(8))、共通係数演算部41が演算した共通係数G、湾曲座標補正部42が演算したu′およびw′、ならびに
予め設定されている魚眼歪画像の半径Rを用いて、式(12)及び式(13)に基づいて、xおよびyを演算し、これを平面正則画像作成ユニット5に出力する。
【0100】
平面正則画像作成ユニット5は、xy座標算出部43によって出力された値を用いて、平面正則画像を作成し、平面正則画像用メモリ7に記憶する処理を行う。より具体的には、まず、平面正則画像を構成する1つの着目画素の座標(u、v)を対応座標算出ユニット4に与えて対応座標(x、y)を算出させる。そして、魚眼歪画像用メモリ6に記憶された魚眼歪画像Sの対応座標(x、y)の近傍に配置された画素の画素値を読み出し、読み出した画素値に基づいて着目画素の画素値を決定する処理を、平面正則画像を構成する各画素について実行し、平面正則画像用メモリ7内に各画素の画素値を記憶することにより、平面正則画像を作成する。
【0101】
このような機能を実現するため、平面正則画像作成ユニット5は、uv座標値発生部51、平面正則画像用メモリコントローラ52(画面情報生成手段の一例)、画素値決定部53、魚眼歪画像用メモリコントローラ54を備えて構成される。
【0102】
uv座標値発生部51は、出力する平面正則画像を構成する画素の数量分、uvの値(座標値の値)を発生させる。例えば、出力する平面正則画像の大きさが、水平400ドット×鉛直300ドットであった場合には、u=−200〜200、v=−150〜150の値を出力する。
【0103】
平面正則画像用メモリコントローラ52は、平面正則画像用メモリ7に対するデータの書き込みおよび読み出しを行う制御装置であり、画素値決定部53によって特定の画素の画素値が決定した場合、平面正則画像用メモリ7に記憶される当該特定の画素に対して、決定した画素値を書き込む処理を行う。こうして、画素値を書き込む処理が全画素について完了すれば、平面正則画像用メモリ7内に、平面正則画像Tが作成されたことになる。そして、平面正則画像用メモリコントローラ52は、この平面正則画像Tのデータを読み出して図示しない表示部に出力し、平面正則画像Tを表示画面上に表示させる処理を行うことになる。
【0104】
魚眼歪画像用メモリコントローラ54は、魚眼歪画像用メモリ6に対するデータの書き込みおよび読み出しを行う制御装置である。上述したように、入力された魚眼歪画像Sのデータは、魚眼歪画像用メモリコントローラ54によって、魚眼歪画像用メモリ6に記憶される。
【0105】
また、必要に応じて、魚眼歪画像用メモリコントローラ54は、魚眼歪画像用メモリ6に記憶される魚眼歪画像Sのデータを読み出して表示装置に出力し、魚眼歪画像Sを表示画面上に表示させることもできる。
【0106】
更に、魚眼歪画像用メモリコントローラ54は、対応座標算出ユニット4から、座標(x、y)が与えられた場合に、魚眼歪画像用メモリ6に記憶された魚眼歪画像Sのデータの中から、当該座標(x、y)の近傍に位置する画素の画素値を読み出し、これを画素値決定部53に与える機能も果たす。
【0107】
このように構成された平面正則画像作成ユニット5が、魚眼歪画像Sから平面正則画像Tへ変換する処理を説明する。
【0108】
まず、uv座標値発生部51が、平面正則画像Tを構成する画素配列上の特定の着目画素を示す座標(u、v)を発生させる。発生した座標(u、v)は、uv座標値発生部51から対応座標算出ユニット4へ与えられる。これにより、座標(u、v)に対応する対応座標(x、y)が算出され、当該対応座標(x、y)は、魚眼歪画像用メモリコントローラ54に与えられる。
【0109】
上述したとおり、魚眼歪画像用メモリコントローラ54は、魚眼歪画像用メモリ6に記憶された魚眼歪画像Sのデータの中から、当該座標(x、y)の近傍に位置する画素の画素値を読み出し、これを画素値決定部53に与える。
【0110】
魚眼歪画像Sは、二次元XY直交座標系上の座標(x、y)で示される位置に配置された多数の画素の集合体によって構成された画像であり、実際には、所定ピッチで縦横に配列された多数の格子点の位置に、それぞれ固有の画素値を定義したデジタルデータによって構成されている。このため、対応座標算出ユニット4によって算出された対応座標(x、y)の位置は、通常、複数の格子点の間の位置になる。
【0111】
従って、実際には、画素値決定部53において、座標(u、v)で示される位置に配置された平面正則画像T上の着目画素の画素値を決定する際には、対応座標(x、y)で示される位置の近傍に配置された魚眼歪画像S上の複数の参照画素の画素値を読み出し、これら複数の参照画素の画素値に対する補間演算(例えば、公知のバイリニア補間法、バイキュービック・スプライン補間法等)が行われる。なお、そのような補間を行わずに、対応座標(x、y)で示される位置に最も近い画素の画素値をそのまま着目画素の画素値と決定する方法を採ることも可能である。
【0112】
このようにして、画素値決定部53によって決定された着目画素の画素値は、平面正則画像用メモリコントローラ52に入力される。一方、uv座標値発生部51から平面正則
画像用メモリコントローラ52には、発生させた座標(u、v)が入力される。
【0113】
そこで、平面正則画像用メモリコントローラ52は、平面正則画像用メモリ7に記憶される平面正則画像Tの座標(u、v)に位置する着目画素の画素値として、画素値決定部53によって決定された画素値を書き込む処理を実行する。
【0114】
このようにして1つの着目画素についての画素値を決定し、書き込まれる処理が行われるが、uv座標値発生部51は、平面正則画像Tを構成する画素配列上のすべての画素を示す座標(u、v)を順次発生させ、個々の画素について、それぞれ画素値が決定され、平面正則画像用メモリ7内に記憶されるようになっている。
【0115】
パラメータ入力ユニット3は、キーボード、マウス、トラックボール、タッチパネル又は電子ペン等を備え、ユーザの操作に基づいて、表示装置に表示される魚眼歪画像S上又は上述した変換処理が行われた後の平面正則画像Tの一点を指定できるようになっている。
【0116】
より具体的には、上述した式(1)及び(2)又は式(12)(13)等を用いて対応座標を算出するためには、視線ベクトルn、平面傾斜角φ、倍率mという3つのパラメータが必要になる。パラメータ入力ユニット3は、ユーザの指示入力に基づいて、この3つのパラメータを入力する構成要素である。すなわち、パラメータ入力ユニット3は、三次元XYZ直交座標系において、原点Oを起点として任意の方向を向く視線ベクトルnを、平面正則画像の切り出し位置を示すパラメータとして入力し、所定の平面傾斜角φを、平面正則画像の切り出し向きを示すパラメータとして入力し、所定の倍率mを、平面正則画像の補正サイズを示すパラメータとして入力する機能を果たす。
【0117】
なお、ここに示す実施形態の場合、表示装置には、必要に応じて、魚眼歪画像用メモリ6に格納されている魚眼歪画像Sを表示させることができるようになっている。そして、パラメータ入力ユニット3は、この表示装置に表示されている魚眼歪画像S上の1点を指定するユーザの入力指示を受け、当該1点の位置を切出中心点P(x0,y0)として把握し、これを視線ベクトルnを示すパラメータとして入力を受け付け、補正パラメータ算出ユニット2へ出力するようになっている。
【0118】
補正パラメータ算出ユニット2は、補正パラメータ算出部21(選択指示受付手段の一例)及び対応座標算出ユニット22(対応座標特定手段の一例)を備えて構成される。
【0119】
補正パラメータ算出部21は、パラメータ入力ユニット3から視線ベクトルnおよび平面傾斜角φが与えられたときに、視線ベクトルnに基づいて方位角αおよび天頂角βを求め、式(3)〜(8)に基づいて回転係数A、B、C、D、E、Fを算出する。
【0120】
上述したように、本実施形態における画像処理装置は、上述した魚眼歪画像Sから変換された平面正則画像T上の任意の点を中心として、魚眼歪画像用メモリ6に記憶された魚眼歪画像Sを、平面正則画像Tに再変換する処理を行う機能を有する。
【0121】
この再変換を実現するために、補正パラメータ算出部21、対応座標算出ユニット22及び魚眼歪補正ユニット1(再変換手段の一例)が備えられている。
【0122】
上述した変換によって得られた平面正則画像Tを、表示装置に表示するためには、当該表示装置の表示可能領域まで平面正則画像Tを縮小して表示しなければならない場合が多い。従って、表示された平面正則画像Tは、原画像を縮小するため画素情報を一部間引いて表示させている。
【0123】
このような画素情報が一部間引かれた平面正則画像Tに対して、所定の範囲を切り出して表示させたり、拡大して表示させた場合(即ち、平面正則画像Tの詳細画像を表示させる場合)には、ブロック歪み(ブロックノイズ)が生じ、画像に示される被写体の識別性を著しく損なう結果となる。
【0124】
このブロック歪みとは、ブロックノイズとも称され、映像において画像の一部領域がモザイク状に見える現象をいう。
【0125】
ここで、平面正則画像Tの詳細画像においてブロックノイズが生じた例について、図7を用いて説明する。
【0126】
図7は、平面正則画像Tの詳細画像においてブロックノイズが生じた例を示す概念図である。なお、図7(A)の上図及び図7(B)の上図における十字記号は、所定の範囲を切り出して表示させるためにパラメータ入力ユニット3によって指示が与えられた部位(例えば、ポインティングデバイスによる指示)を示す。
【0127】
図7(A)の上図に示す例では、基本原理を用いて魚眼歪画像Sを平面正則画像Tに変換した例を示しており、図7(A)の下図に示す例では、変換後の平面正則画像Tの一部を切り出して表示した例を示している。
【0128】
図7(A)の下図に示す例では、切り出して表示された平面正則画像Tに示される被写体にはブロックノイズが生じ、当該被写体の輪郭部が激しく歪んでいる様子がわかる。
【0129】
図7(B)の上図に示す例では、湾曲平面正則画像への変換を用いて魚眼歪画像Sを平面正則画像Tに変換した例を示しており、図7(B)の下図に示す例では、変換後の平面正則画像Tの一部を切り出して表示した例を示している。
【0130】
図7(B)の下図に示す例では、切り出して表示された平面正則画像Tに示される被写体にはブロックノイズが生じ、当該被写体の輪郭部が激しく歪んでいる様子がわかる。
【0131】
この魚眼歪画像Sから平面正則画像Tへ変換する目的は、魚眼歪画像Sでは歪が強く発生するため、撮像された物体を監守し易い平面正則画像Tに変換して、ユーザに提示することにある。そして、さらに監守を続けたり、平面正則画像Tに撮像された物体についてより詳細な情報を得るためには、当該平面正則画像Tに撮像された物体の所定の範囲を切り出して表示させたり、拡大して表示させたりすることが望まれる。さらに、上記平面正則画像Tに物体認識技術を適用し、人為的な動作を与えることなく魚眼歪画像上に示される物体を正確に認識することが望まれる。
【0132】
しかし、ユーザは、上述したブロックノイズが発生した画像では詳細な情報を得ることが困難であり、かつ、上記物体認識技術を適用することは困難である。
【0133】
そこで、本実施形態における画像処理装置SSは、補正パラメータ算出部21、対応座標算出ユニット22及び魚眼歪補正ユニット1を用いて、上述した再変換を行うようになっている。
【0134】
この再変換の詳細について、図8〜図10を用いて説明する。
【0135】
図8〜図10は、再変換の詳細について説明する概念図である。
【0136】
この再変換においては、基本原理を用いた変換方法、及び湾曲平面正則画像への変換を用いた変換方法の何れの変換方法も適用することができるが、以下には、湾曲平面正則画像への変換を用いた変換方法について説明する。
【0137】
まず、上述した処理によって、変換処理、即ち魚眼歪画像Sから湾曲平面正則画像Cへ変換され表示部に当該湾曲平面正則画像が表示されている場合を考える。ここでは、図8に示すように、P(xo、yo)を切り出し中心とした湾曲平面正則画像Cが表示されているものとする。この切り出し中心P(xo、yo)は、ユーザのパラメータ入力ユニット3の操作に基づいて指定されたものでも構わないし、画像処理装置SSによって予め設定された位置に基づいて指定されたものでも構わない。
【0138】
ユーザは、パラメータ入力ユニット3の操作に基づいて、湾曲平面正則画像Cの任意の点を選択することができる。当該任意の位置の一例としては、ユーザが湾曲平面正則画像Cに表示された物体のうち詳細な情報を得ることを望む点であっても構わないし、例えば物体認識技術を適用して所定の物体が認識された場合であって当該物体の重心位置であっても構わない。
【0139】
図8に示す例では、既に、点Gを中心とした平面正則画像が変換されている。この動作についてはすでに説明したが、魚眼歪画像S上で平面正則画像の中心(点P)が指定され、点Pに対応する仮想球面上の点Qが決定され、点Qからα、βが算出されている。そして、補正画像の傾斜角φが指定され、式(3)〜(8)を用いて係数A〜Fが算出されている。このA〜Fを用いて魚眼歪画像と平面正則画像の対応座標が算出され、点Gを中心とした平面正則画像が得られている。
【0140】
図8に示す例では、さらに、上記任意の点として、Ci(ui、vi)が選択されたものとする。
【0141】
パラメータ入力ユニット3は、Ci(ui、vi)の入力を受け付けると、当該入力された情報を補正パラメータ算出部21へ出力する。具体的には、パラメータ入力ユニット3は、ユーザの指示入力に基づいて、視線ベクトルn、平面傾斜角φ、倍率mの3つをパラメータとして、補正パラメータ21へ出力する。
【0142】
補正パラメータ算出部21は、パラメータ入力ユニット3によって指定された魚眼歪画像S上の一点の入力(Ci(ui、vi)の入力)を受け付けると、魚眼歪画像S上で指定した一点から、倍率m、魚眼歪画像の半径R、及びA〜F(式(3)〜式(8))を算出し、対応座標算出ユニット22へ出力する。
【0143】
対応座標算出ユニット22は、入力された倍率m、魚眼歪画像の半径R、及びA〜F(式(3)〜式(8))と、式(12)及び(13)を用いて、Ci(ui、vi)の対応座標としての魚眼歪画像S上の点Si(xi、yi)を算出する。
【0144】
即ちここでは、対応座標算出ユニット22は、湾曲平面正則画像C上の画素情報に対応する魚眼歪画像S上の画素情報を特定している。
【0145】
具体的には、対応座標算出ユニット22は、Ci(ui、vi)を切り出し中心として、当該切り出し中心に対応する魚眼歪画像S上の点を特定する。
【0146】
すなわち、図9に示すように、点Si(xi、yi)に対応する仮想球面上の点Qiを決定し、点Qiからα´、β´を算出する。そして補正画像の傾斜角φ´を指定し、新たな係数A〜F(式(3)〜式(8)を用いて)を算出する。そして、Ci(ui、vi)の対応座標としての魚眼歪画像S上の点Si(xi、yi)を算出し、これらの情報を魚眼歪補正ユニット1へ出力する。
【0147】
そして、魚眼歪補正ユニット1(再変換手段の一例)は、図10に示すように(即ち、上述した変換と同様に)、Ci(ui、vi)を中心として、平面正則画像Tを構成する画素配列上のすべての画素を示す座標(u、v)を順次発生させ、個々の画素について、それぞれ画素値が決定され、平面正則画像用メモリ7内に記憶されるようになっている。
【0148】
このようにして、画像処理装置SSによって、点Ci(ui、vi)を中心とした平面正則画像が得られることとなる。
【0149】
ここで、上述した再変換が行われた場合に表示される表示画面例について、図11及び図12を用いて説明する。
【0150】
図11は、基本原理を用いて変換された平面正則画像が再変換された場合の表示画面例について示す図であり、図12は、湾曲平面正則画像への変換を用いて変換された平面正則画像が再変換された場合の表示画面例について示す図である。
【0151】
図11(A)には、基本原理を用いて変換された平面正則画像において、任意の点が選択された様子が示されている。図中の十字記号は、パラメータ入力ユニット3によって任意の点の指示が与えられた部位(例えば、ポインティングデバイスによる指示)を示す。
【0152】
図11(B)には、上記任意の点を中心とした所定の範囲内の魚眼歪画像Sの対応座標が算出される様子を示す概念図が示されている。この所定の範囲内は、UV座標値発生部51の動作により任意に設定することができる。この所定の範囲を広く設定することによって、再変換後の平面正則画像のレイアウトサイズが大きくなる(即ち、平面正則画像を構成する画素の数が増加する)。
【0153】
具体的な動作としては、上述したとおりであるが、図11(A)で指定した位置を歪み補正時の角度α、β、φと式(1)、(2)から魚眼歪画像内の対応する位置を算出する。算出した位置を中心とした魚眼歪画像内の切り出し領域(変換する予定の領域)を点線で示す。図中の十字記号は、は図11(A)の注目位置の魚眼歪画像に対応する位置を示す。魚眼歪画像Sの図中の十字記号の位置から新たな角度α´、β´、φ´を算出し、係数A〜Fを更新(算出)する。新たな係数A〜Fと式(1)、(2)を用いて再度歪み補正を行い切り出し補正画像を生成する。
【0154】
図11(C)には、再変換された平面正則画像が表示されている。図11(B)の点線で示された領域が再変換され表示されている。
【0155】
図12(A)には、湾曲平面正則画像への変換を用いて変換された湾曲平面正則画像において、任意の点が選択された様子が示されている。図中の十字記号は、上述した図11と同様である。
【0156】
図12(B)には、上記任意の点を中心とした所定の範囲内の魚眼歪画像Sの対応座標が算出される様子を示す概念図が示されている。
【0157】
具体的な動作としては、上述したとおりであるが、図12(A)で指定した位置を歪み補正時の角度α、β、φと式(12)、(13)から魚眼歪画像内の対応する位置を算出する。算出した位置を中心とした魚眼歪画像内の切り出し領域を点線で示す。図中の十字記号は、は図12(A)の注目位置の魚眼歪画像に対応する位置を示す。魚眼歪画像Sの図中の十字記号の位置から新たな角度α´、β´、φ´を算出し、係数A〜Fを更新(算出)する。新たな係数A〜Fと式(12)、(13)を用いて再度歪み補正を行い切り出し補正画像を生成する。
【0158】
図12(C)には、再変換された平面正則画像が表示されている。図12(B)の点線で示された領域が再変換され表示されている。
【0159】
本実施形態の画像処理装置SSは、以上のように構成することによって、広範囲な画角で撮像された魚眼歪画像Sに基づいて正確かつ実効的な物体認識を行うことができる。なぜならば、湾曲平面正則画像C内の注目領域の位置を中心として魚眼歪画像Sから再び歪み補正し表示するため、湾曲平面正則画像Cのモニタ表示時の縮小操作による画質劣化の影響は受けないからである。切り出し補正画像をデジタルズームした場合に、これらの切り出し手法の違いは画質の差となり顕著に表れることとなる。さらに、歪み補正の適用により湾曲平面正則画像Cが得られるため、従来の認識技術が適用可能であり、認識により自動での注目領域の指定ができる。そのため、監視対象の自動追尾が可能である。そのうえ、人が常に監視する必要がないため、操作ミス等も回避可能である。さらに、複数点の切り出し補正画像を表示可能であるため、複数の監視対象が点在する場合にも対応できる。
【0160】
なお、上述した魚眼補正ユニット1、補正パラメータ算出ユニット2、及びパラメータ入力ユニット3の一部又は全部の機能を実現するために、魚眼補正ユニット1、補正パラメータ算出ユニット2、及びパラメータ入力ユニット3の一部又は全部に、各処理を実行するために設計された専用のハードウェアを適用することができる(所謂、ハードウェアアクセラレーション)。魚眼補正ユニット1等を専用のハードウェアで実現することによって、当該ハードウェア内では回路の並列性を活かして演算を並列に行うことができるため、逐次的な命令実行(例えば、CPUによるソフトウェアの実行)の場合より処理の高速化等が実現されるからである。なお、ソフトウェアの制御のもと、画像処理装置SSに搭載される図示しないCPU、RAM,及びROM等の制御装置が、魚眼補正ユニット1、補正パラメータ算出ユニット2、及びパラメータ入力ユニット3の一部又は全部が有する機能を実行するようにできることはいうまでもない。
【0161】
また、本発明に係る画像処理装置は、魚眼レンズを用いた撮影により得られた魚眼歪画像の一部分を平面正則画像に変換する機能をもった装置であるが、この装置による変換対象となる画像は、魚眼レンズを用いた撮影で得られた画像のみに限定されるものではない。たとえば、凸面鏡を用いた撮影画像など、魚眼レンズと同等の半球面射影モデルが適用される画像であれば、本発明に係る画像処理装置を利用した画像変換が可能である。
【0162】
[3.画像処理装置SSの動作]
次に、画像処理装置SSの動作について、図13を用いて説明する。
【0163】
図13は、画像処理装置SSの動作を示すフローチャートである。
【0164】
まず、魚眼歪画像Sを変換して平面正則画像T又は、湾曲平面正則画像C(以下、「平面正則画像等」と総称する。)を表示部へ表示させるために、上述した変換を行うべく、ユーザのパラメータ入力ユニット3の操作に基づいて、あるいは、画像処理装置SSに予め設定された値を用いて、魚眼歪画像Sの切り出し中心P(xo、yo)が選択されると(ステップS1)、これらの選択された情報を上記パラメータとして補正パラメータ算出部21へ出力する。
【0165】
補正パラメータ算出部21補正パラメータ算出部21は、パラメータ入力ユニット3から視線ベクトルnおよび平面傾斜角φが与えられたときに、視線ベクトルnに基づいて方位角αおよび天頂角βを求め、式(3)〜(8)に基づいて回転係数A、B、C、D、E、Fを算出し(ステップS2)、魚眼歪補正ユニット1へ出力する。
【0166】
すると、魚眼歪補正ユニット1は、補正パラメータ算出部21から入力された算出結果(α、β、φ等)を用いて、上述した魚眼歪画像Sから平面正則画像等へ変換を行い、平面正則画像用メモリコントローラ52は、当該平面正則画像等を表示画面上に表示させる(ステップS4)。
【0167】
次に、ユーザが、パラメータ入力ユニット3の操作に基づいて、表示されている平面正則画像等の任意の点Ci(ui、vi)を指定した場合には(ステップS5:YES)、対応座標算出ユニット22は、点Si(xi、yi)に対応する仮想球面上の点Qiを決定し、点Qiからα´、β´を算出する。そして補正画像の傾斜角φ´を指定し、新たな係数A〜F(式(3)〜式(8)を用いて)を算出する。そして、Ci(ui、vi)の対応座標としての魚眼歪画像S上の点Si(xi、yi)を算出し、これらの情報を魚眼歪補正ユニット1へ出力する(ステップS6及びステップS7)。
【0168】
ステップS8において、魚眼歪補正ユニット1は、対応座標算出ユニット22から入力された情報に基づいて、点Ci(ui、vi)を中心とした平面正則画像を生成する(即ち、α´、β´、φ´を用いて歪補正を実施)。
【0169】
そして、平面正則画像用メモリコントローラ52は、再変換された当該平面正則画像等を表示画面上に表示させる(ステップS9)。
【0170】
[4.再変換された平面正則画像等の表示態様]
次に、再変換された平面正則画像等の表示態様について、図14〜図16を用いて説明する。
【0171】
本実施形態の画像処理装置は、複数の平面正則画像等の任意の点Ci(ui、vi)を指定して、再変換を行い、変換後の平面正則画像等を表示部へ表示させることができる。
【0172】
具体的には、例えば、上記任意の点Ci(ui、vi)を指定するたびに、当該指定された点Ci(ui、vi)に対応する魚眼歪画像S上の点Si(xi、yi)を算出し、点Ci(ui、vi)を中心とした平面正則画像(本願の画面情報の一例)を生成する。そして、生成された平面正則画像を、並べて表示部へ表示させるようにしてもよい。
【0173】
なお、この平面正則画像は、上述した変換と同様、平面正則画像用メモリコントローラ52によって生成されるようにしてもよい。
【0174】
図14は、任意の点Ci(ui、vi)が指定される都度再変換された平面正則画像等が並べて表示された画面例を示す図である。図14における破線部は、再変換する対象として選択されたことを示している。
【0175】
図14(A)には、上記任意の点Ci(ui、vi)として、C氏及びE氏が順次指定された様子が示されている。
【0176】
図14(B)には、生成された平面正則画像が並べて表示されている。図14(B)に示す例では、カメラと被写体たる人物の距離の関係でF氏がC氏より大きく見えている。
【0177】
図14(C)では、F氏の表示のみを縮小しC氏とF氏の大きさを合わせた場合の表示例が示されている。このように、被写体の表示サイズを変更するには、上述した倍率mを変更すればよい。
【0178】
倍率mを変更する手段については、図示しないCPUの制御の元、補正パラメータ算出部21に算出させるようにしてもよいし、その他、例えば図6に示すブロック図に、表示制御ユニットを新たに設けて、当該ユニットに実行させるようにしてもよい。また、表示制御手段の一例としての平面正則画像用メモリコントローラ52によって実行させることもできる。
【0179】
図14(D)では、再変換される平面正則画像Tの領域を拡大してC氏が表示された画面(左側のウインドサイズ)のみを大きくした(即ち、表示領域を拡大した)場合の表示例が示されている。この表示領域を拡大するためには、上述したuv座標発生部51によって、上記拡大させた表示領域分の座標(u、v)を発生させればよい。そして、発生した座標(u、v)は、uv座標値発生部51から対応座標算出ユニット4へ与えられ、座標(u、v)に対応する対応座標(x、y)が算出され、平面正則画像が再変換されることとなる。
【0180】
図14(D)で示されるC氏の表示領域は、図14(B)においてC氏が表示された表示領域よりも拡大されている。従って、図14(D)で示されるC氏の表示領域には、図14(B)では表示されることがない、B氏及びD氏の肩まで表示されていることがわかる。
【0181】
また、図14(E)では、上記倍率mの増加、及び表示領域の拡大を併せて実行した結果、F氏の表示領域及びF氏の表示サイズがそれぞれ拡大された例が示されている。
【0182】
このように表示させることによって、当該表示領域に表示される被写体について、より詳細な画像を得ることができる。
【0183】
次に、再変換された平面正則画像等に表示される被写体を物体認識技術を用いて認識し、当該認識された被写体の所定の位置を、上記任意の点Ci(ui、vi)として、再変換して表示させた例について、図15を用いて説明する。
【0184】
図15は、物体認識技術を用いて再変換させた表示例を示す図である。
【0185】
物体認識技術については公知の技術であるため詳しい説明は省略するが、例えば上述した物体認識技術として一般的に知られているパターンマッチング法や、特徴点抽出法によりまず物体を認識する。そして認識した物体のうち予め設定された点(例えば物体の重心位置等)を上記任意の点Ci(ui、vi)として、再変換して表示するようにしてもよい。この物体認識を行う構成は、例えば、図6に示される構成例に、CPU等から構成される物体認識手段を加えるように構成する。
【0186】
図15(A)には、平面正則画像内の矩形の実線は物体認識により、人物の顔が認識されたイメージを示している。点線は、対応する魚眼歪画像Sの切り出し領域を示す。切り出し領域を示す。
【0187】
図15(B)には、再変換された表示例(即ち、切り出し補正画像表示例)が示されている。図15(B)に示すように、複数対象が存在する場合も対応できる。また、対象が移動した場合でも認識により自動追尾できるようになっている。このような自動追尾は、上記特徴点抽出法によって、オプティカルフローを算出し、公知の追跡処理を行うことにより実現可能である。
【0188】
再変換される画像は、ポインティングデバイスによって(即ち、人為的動作に基づく指定により)上記任意の点Ci(ui、vi)が複数選択されたものであってもよい。
【0189】
図16には、ポインティングデバイスによって(即ち、人為的動作に基づく指定により)上記任意の点Ci(ui、vi)が複数選択された様子が示されている。
【0190】
図16(A)には、切り出し領域として平面正則画像内の点線矩形領域が、十字記号はポインティングデバイスによって指定されたことを示す記号(ポインティングマーカ)を示す。
【0191】
図16(B)には、再変換された表示例(切り出し補正画像表示例)が示されている。
このようにポインティングデバイスで指定した切り出し領域を新規ウインドに表示することで複数対象が存在する場合も対応できる。また、新規ウインドへの切り出し補正画像表示のみでなく、指定ウインドに注目位置を更新した切り出し補正画像を表示することができる。監視対象が移動した場合でも手動で切り出し領域を更新することで追尾できる。
【0192】
[5.監視カメラシステムへの適用例]
次に、画像処理装置SSを監視カメラシステムへ適用させた例について、図17を用いて説明する。
【0193】
図17は、画像処理装置SSを監視カメラシステムへ適用させた例を示す概念図である。
【0194】
本実施形態における画像処理装置SSには、図6に示す構成に加えて、魚眼レンズ(広角レンズ又は全方位ミラー等でもよい)を搭載したデジタルカメラ(画像処理装置SSへ魚眼歪画像を出力できる装置であればよい)、表示装置の他、上記変換された平面正則画像に示される特定の物体を認識する物体認識手段と、当該認識した物体が平面正則画像で示す継時的な変化を、前記各平面正則画像毎に認識する動作認識手段をさらに加えて構成される。そして、動作認識手段によって認識された前記各平面正則画像毎の物体上の任意の点に対応する魚眼歪画像上の画素情報を特定し、当該特定された位置に基づいて再変換するようになっている。この物体認識手段及び動作認識手段は、CPU等に実現させるようにするようにしてもよい。
【0195】
図17(A)には魚眼歪画像が、図17(B)には上記変換された平面正則画像(即ち、画像処理装置SSによって魚眼歪画像から生成した平面正則画像)がそれぞれ表示されている。
【0196】
図17(A)に示すように、魚眼歪画像は、その画像の中心部から離れるにつれて歪みが強く発生するため、従来の物体認識技術との併用は困難であることはすでに述べた。そして、図17(B)に示す平面正則画像は、広い画角に対して正則な人物を表示することができるため、従来の物体認識技術との併用が可能であることもすでに述べた。
【0197】
そこで、本監視カメラシステムは、平面正則画像に対して物体認識技術を適用することで監視対象の自動位置検出をし、当該検出した監視対象を継続的に監視することを可能としている。
【0198】
具体的には、図17(C)に示すように、本発明の適用により平面正則画像で自動検出した監視対象位置に対応する魚眼歪画像上での監視対象位置を、継時的(継続的に)に算出することができる。魚眼歪画像上での監視対象位置を切り出し補正画像の中心にすること(即ち、上記再変換を行うこと)で、監視対象の自動追尾が可能である。
【0199】
この図17(C)について、具体的に説明すると、図17(C)(1)〜(4)の上部に示す図は変換後の平面正則画像である(図17(C)では、(1)〜(4)の順に人が右から左へと移動している状態を示している)。
【0200】
平面正則画像上で検出した位置の魚眼歪画像(中部の図)に対応する位置を上記再変換により算出する。下部の図は魚眼歪画像上の算出した監視対象の位置を中心とした切り出し補正画像(即ち、再変換した平面正則画像)を示す。物体認識技術により自動で検出した監視対象の位置を切り出し補正画像の中心位置(即ち、上記任意の点Ci(ui、vi))に更新し続け、当該中心位置を基準に再変換した画像を表示することで監視対象の自動追尾が可能である。
【0201】
[6.TV会議システムへの適用例]
次に、画像処理装置SSを監視カメラシステムへ適用させた例について、図18及び図19を用いて説明する。
【0202】
図18は、魚眼レンズカメラを横向きに設置した場合の画像処理装置SSをTV会議室システムへ適用させた例を示す概念図であり、図19は、魚眼レンズカメラを天頂方向へ向けて設置した場合の画像処理装置SSをTV会議室システムへ適用させた例を示す概念図である。
【0203】
本実施形態における画像処理装置SSには、図6に示す構成に加えて、魚眼レンズ(広角レンズ又は全方位ミラー等でもよい)を搭載したデジタルカメラ(画像処理装置SSへ魚眼歪画像を出力できる装置であればよい)、表示装置の他、上記物体認識手段をさらに加えて構成される。この物体認識手段は、CPU等に実現させるようにするようにしてもよい。
【0204】
図18(A)には、横方向に向けた魚眼レンズカメラを会議室に設置した例の概略図が示されている。この場合、例えば、魚眼レンズカメラは壁などに設置され、被写体たる人間と正対する方向に設置される。
【0205】
図18(B)には、本システムにおいて変換された平面正則画像が示されている。図18(B)に示すように約180度の広い画角の平面正則画像が得られるため、1台の魚眼レンズカメラで複数の会議参加者を表示することができる。
【0206】
図18(C)には、物体認識技術を適用して会議参加者(人物)を認識し、そして認識した人物のうち予め設定された点(例えば人物の重心位置等)を上記任意の点Ci(ui、vi)として、再変換して平面正則画像が表示された例が示されている。
【0207】
平面正則画像として、会議参加者を分割ウインドで表示することで詳細を複数点同時に観察することができる。
【0208】
また、図18(D)に示すように、各ウインド内の画像の拡大縮小の倍率を個別に変更することで、カメラとの距離にかかわらず人物の大きさを統一して表示することができる。
【0209】
なお、魚眼レンズカメラが横方向に向けられた場合には、上述した図5(A)の向きで魚眼歪補正が行われることとなる。
【0210】
また、図19(A)には、天頂方向へ向けた魚眼レンズカメラを会議室に設置した例の概略図が示されている。この場合、例えば、魚眼レンズカメラはテーブルの上に天井へ向けて設置され、被写体たる人間と平行に設置される。
【0211】
図19(B)には、本システムにおいて変換された平面正則画像が示されている。図19(B)に示すように約360度の広い画角の平面正則画像が得られるため、1台の魚眼レンズカメラで全ての会議参加者を表示することができる。
【0212】
図19(C)には、物体認識技術を適用して会議参加者(人物)を認識し、そして認識した人物のうち予め設定された点(例えば人物の重心位置等)を上記任意の点Ci(ui、vi)として、再変換して平面正則画像が表示された例が示されている。
【0213】
平面正則画像として、会議参加者を分割ウインドで表示することで詳細を複数点同時に観察することができる。
【0214】
[7.パンチルトズームカメラへの適用例]
次に、画像処理装置SSをパンチルトズームカメラへ適用させた例について、図20及び図21を対比させて説明する。
【0215】
図20は、画像処理装置SSをパンチルトズームカメラへ適用させた場合のブロック図を示し、図21は、像処理装置Sをパンチルトズームカメラへ適用させた場合の概念図を示す。
【0216】
図20に示すように、画像処理装置SSをパンチルトズームカメラへ適用させた場合のブロック図では、先に示した画像処理装置SSのブロック図に、魚眼レンズ(広角レンズ又は全方位ミラー等でもよい)を搭載したデジタルカメラ(魚眼カメラ。画像処理装置SSへ魚眼歪画像を出力できる装置であればよい)と、パンチルトズームカメラ100(本願の監視カメラ)及び魚眼レンズカメラとパンチルトズームカメラの対応座標算出ユニット101(本願の位置制御手段の一例)を加えて構成される。
【0217】
パンチルトズームカメラ100は、水平方向、垂直方向にカメラのレンズの向きを駆動可能な機構部と、光学ズーム機構を備えたカメラである。
【0218】
魚眼レンズカメラとパンチルトズームカメラの対応座標算出ユニット101は、パンチルトズームカメラ100を所定の方向へ位置制御させるための制御信号を、パンチルトズームカメラ100へ出力する。当該制御信号の入力により、パンチルトズームカメラ100の駆動部は、制御信号に示される位置へ駆動するようになっている。
【0219】
図21(A)は、画像処理装置SSをパンチルトカメラへ適用させた場合の概念図を示す。図21(A)に示すように、魚眼カメラとパンチルトズームカメラは互いに情報を送受信可能に接続されている。
【0220】
パンチルトズームカメラ100は、歪みの少ない画像を撮像できるが(即ち、視認性の高い画像を撮像できる)、画角が狭く、またパンチルトにより死角が発生することが一般的に知られている。そこで、本実施形態では、画像処理装置SSをパンチルトズームカメラ100へ適用させて、画角の広い魚眼レンズで撮像された画像から監視対象を把握し、パンチルトズームカメラ100によって監視対象を視認性の高い画像で撮像するようになっている。
【0221】
本実施形態の動作を実現するために、魚眼レンズカメラとパンチルトズームカメラの対応座標算出ユニット101は、魚眼カメラで算出した監視対象の位置情報をパンチルトズームカメラ100に送信し、パンチルトズームカメラの制御を行うようになっている。
【0222】
当該制御の概念について、図21(B)〜図21(E)を用いて説明する。
【0223】
図21(B)の左図は魚眼カメラによって撮像された魚眼歪画像を示し、図21(B)の右図はパンチルトズームカメラ100によって撮像された平面正則画像を示す。これらの撮像中心を比較すると、それぞれのカメラの設置位置により座標系の中心に差が生じているのがわかる。魚眼レンズカメラとパンチルトズームカメラの対応座標算出ユニット101は、魚眼カメラによって撮像された魚眼歪画像の撮像中心(第1の撮像中心の一例)と、パンチルトズームカメラ100によって撮像された平面正則画像の撮像中心(第2の撮像中心)の差(以下、「中心位置の差」と称する。)を算出する。中心位置の差は、予め記憶するようにしてもよい。
【0224】
また、魚眼レンズによって撮像される画角は予め決められているため、撮像中心から撮像された画像内に存在する物体の現実の距離(以下、「魚眼カメラから得た位置情報」とする。)を把握することができる。同様に、パンチルトズームカメラ100によって撮像される画角もあらかじめ決められているため、撮像中心から撮像された画像内に存在する物体の現実の距離(以下、「パンチルトズームカメラ100の位置情報」とする。)を把握することができる。
【0225】
本実施形態では、上記中心位置の差と、魚眼カメラから得た位置情報及びパンチルトズームカメラ100の位置情報に基づいて、パンチルトズームカメラ100の撮像中心を設定するための距離情報を算出し、当該距離情報が示す位置にパンチルトズームカメラ100の撮像中心を移動させるための制御信号をパンチルトズームカメラ100へ出力するようになっている。
【0226】
そこで、魚眼レンズカメラとパンチルトズームカメラの対応座標算出ユニット101は、魚眼歪画像が変換され平面正則画像が表示されている場合に(図21(C))、当該平面正則画像で監視対象が選択(ポインティングデバイスによる選択又は物体認識技術による認識を含む)された場合には(図21(D))、上述した再変換の中心座標Ciとして選択された監視対象の所定の位置(例えば重心等)に対応する魚眼歪画像の座標Siを算出する。
【0227】
そして、魚眼レンズカメラとパンチルトズームカメラの対応座標算出ユニット101は、上記中心位置の差と、Siの魚眼カメラから得た位置情報を距離情報として算出し、算出された距離情報に基づいて、魚眼カメラから得た位置情報及び上記Siがパンチルトズームカメラ100の撮像中心となるように、パンチルトズームカメラ100の駆動部へ制御信号を送信する。
【0228】
すると、パンチルトズームカメラ100はパンチルトズームを行うことで監視対象を撮像する(図21(E))。本発明とパンチルトズームカメラを併用することでパンチルトズームカメラの効率的な制御が可能である。
【0229】
次に、画像処理装置SSをパンチルトズームカメラへ適用させた場合の画像処理装置SSの動作について、図22を用いて説明する。
【0230】
図22は、画像処理装置SSをパンチルトズームカメラへ適用させた場合の画像処理装置SSの動作を示すフローチャートである。
【0231】
まず、魚眼レンズカメラとパンチルトズームカメラの対応座標算出ユニット101は、魚眼カメラによって撮像された魚眼歪画像の撮像中心と、パンチルトズームカメラ100によって撮像された平面正則画像の撮像中心の差(「中心位置の差」)を算出する(ステップS11)。
【0232】
魚眼歪画像Sを変換して平面正則画像等を表示部へ表示させるために、上述した変換を行うべく、ユーザのパラメータ入力ユニット3の操作に基づいて、あるいは、画像処理装置SSに予め設定された値を用いて、魚眼歪画像Sの切り出し中心P(X0、Y0)が選択されると(ステップS12)、これらの選択された情報を上記パラメータとして補正パラメータ算出部21へ出力する。
【0233】
補正パラメータ算出部21は、パラメータ入力ユニット3から視線ベクトルnおよび平面傾斜角φが与えられたときに、視線ベクトルnに基づいて方位角αおよび天頂角βを求め、式(3)〜(8)に基づいて回転係数A、B、C、D、E、Fを算出し(ステップS13)、魚眼歪補正ユニット1へ出力する。
【0234】
すると、魚眼歪補正ユニット1は、補正パラメータ算出部21から入力された算出結果(α、β、φ等)を用いて、上述した魚眼歪画像Sから平面正則画像等へ変換を行い(ステップS14)、平面正則画像用メモリコントローラ52は、当該平面正則画像等を表示画面上に表示させる(ステップS15)。
【0235】
平面正則画像等で監視対象が選択された場合には(ステップ16:YES)、上述した再変換の中心座標Ciとして選択された監視対象の所定の位置(例えば重心等)に対応する魚眼歪画像の座標Siを算出する(ステップS17)。
【0236】
次に、魚眼レンズカメラとパンチルトズームカメラの対応座標算出ユニット101は、上記中心位置の差と、Siの魚眼カメラから得た位置情報に基づいて、魚眼カメラから得た位置情報及び上記Siがパンチルトズームカメラ100の撮像中心となるように、パンチルトズームカメラ100の駆動部へ制御信号を送信する(ステップS18)。
【0237】
すると、パンチルトズームカメラ100はパンチルトズームを行うことで監視対象を撮像する(ステップS19)。
【0238】
なお、以上説明した実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。そして、上記実施形態の中で説明されている構成の組合せ全てが発明の課題解決に必須の手段であるとは限らない。
【0239】
以上説明したように、魚眼レンズによって撮像された魚眼歪画像Sに基づいて生成された二次元的に視認可能な平面正則画像等の任意の点Ci(ui、vi)の選択指示を受け付けると、Ci(ui、vi)の対応座標としての魚眼歪画像S上の点Si(xi、yi)を算出し、Ci(ui、vi)を中心として、当該魚眼歪画像Sを構成する画素情報群に基づいて、平面正則画像を構成する画素情報群を新たに生成するように構成したため、広範囲な画角で撮像された魚眼歪画像等に基づいて正確かつ実効的な物体認識を行うことができる。
【0240】
なお、上記実施形態においては、本願を画像処理装置に対して適用した場合の例を示したが、その他にも例えば、デジタルビデオカメラ、デジタルカメラ、パーソナルコンピュータ又は家庭用等の電子機器等に対しても適用可能である。
【符号の説明】
【0241】
1 魚眼歪補正ユニット
2 補正パラメータ算出ユニット
3 パラメータ入力ユニット
4 対応座標算出ユニット
5 平面正則画像作成ユニット
6 魚眼歪画像用メモリ
7 平面正則画像用メモリ
SS 画像処理装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から入力される広角レンズ又は全方位ミラーによって撮像された歪円形画像に基づいて生成される当該歪円形画像を構成する画素情報群を記憶する歪円形画像記憶手段と、
前記記憶された歪円形画像を構成する画素情報群を、二次元的に視認可能な平面正則画像を構成する画素情報群に変換する変換手段と、
前記変換された平面正則画像を構成する画素情報群を記憶する平面正則画像記憶手段と、
前記記憶された平面正則画像上の任意の点に対応する画素情報の選択指示を受け付ける選択指示受付手段と、
前記選択指示が示す平面正則画像上の画素情報に対応する歪円形画像上の画素情報を特定する対応座標特定手段と、
前記特定された画素情報を中心に、前記記憶された歪円形画像を構成する画素情報群を、二次元的に視認可能な平面正則画像を構成する画素情報群に再変換する再変換手段と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像処理装置であって、
前記再変換された平面正則画像を構成する画素情報群に基づいて、表示部へ表示させる所定の大きさの画面情報を生成する画面情報生成手段と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の画像処理装置であって、
前記選択指示受付手段は、前記変換手段によって変換された平面正則画像上の複数の点に対応する画素情報の選択指示を受け付け、
前記対応座標特定手段は、前記選択指示が示す平面正則画像上のそれぞれの画素情報に対応する歪円形画像上の画素情報を特定し、
前記再変換手段は、前記特定されたそれぞれの画素情報を中心に、前記記憶された歪円形画像を構成する画素情報群を、二次元的に視認可能な平面正則画像を構成する画素情報に、前記対応座標特定手段によって特定されたそれぞれの画素情報毎に再変換することを特徴とする画像処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の画像処理装置であって、
前記生成された各画面情報を、前記表示部に同一の大きさに表示されるように表示態様を制御する表示制御手段と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか1項に記載の画像処理装置であって、
前記変換された平面正則画像に示される所定の物体を認識する物体認識手段と、を備え、
前記選択指示受付手段は、前記認識された物体上の任意の点に対応する画素情報の選択指示を受け付けることを特徴とする画像処理装置。
【請求項6】
外部から入力される広角レンズ又は全方位ミラーによって被写体を継続的に撮像した複数の歪円形画像に基づいて生成される当該複数の歪円形画像を構成する画素情報群を、各歪円形画像に対応付けて記憶する歪円形画像記憶手段と、
前記記憶された各歪円形画像を構成する画素情報群を、二次元的に視認可能な平面正則画像を構成する画素情報群に、前記各歪円形画像毎に変換する変換手段と、
前記変換された各平面正則画像を構成する画素情報群を記憶する平面正則画像記憶手段と、
前記変換された平面正則画像に示される特定の物体を認識する物体認識手段と、
前記認識した物体が平面正則画像で示す継時的な変化を、前記各平面正則画像毎に認識する動作認識手段と、
前記動作認識手段によって認識された前記各平面正則画像毎の物体上の任意の点に対応する歪円形画像上の画素情報を特定する第2の対応座標特定手段と、
前記第2の対応座標特定手段によって特定された各歪画像上の画素情報を中心に、前記歪円形画像を構成する画素情報群を、二次元的に視認可能な平面正則画像を構成する画素情報群に、第2の対応座標特定手段によって特定された各画素情報毎に再変換する再変換手段と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項7】
広角レンズ又は全方位ミラーによって撮像した被写体を歪円形画像として画像処理装置へ出力するカメラと、前記入力された歪円形画像に基づいて画面情報を生成して端末装置へ出力する前記画像処理装置と、を備えた会議システムであって、
前記画像処理装置は、
前記入力された歪円形画像に基づいて生成される当該歪円形画像を構成する画素情報群を記憶する歪円形画像記憶手段と、
前記記憶された歪円形画像を構成する画素情報群を、二次元的に視認可能な平面正則画像を構成する画素情報群に変換する変換手段と、
前記変換された平面正則画像を構成する画素情報群を格納する平面正則画像記憶手段と、
前記変換された平面正則画像に示される一又は複数の特定の物体を認識する物体認識手段と、
前記認識された物体上の任意の点に対応する画素情報の選択指示を、前記認識した物体毎に受け付ける選択指示受付手段と、
前記選択指示が示す平面正則画像上の画素情報に対応する歪円形画像上の画素情報を、前記認識した物体毎に特定する対応座標特定手段と、
前記対応座標特定手段によって特定された画素情報を中心に、前記記憶された歪円形画像を構成する画素情報群を、二次元的に視認可能な平面正則画像を構成する画素情報群に、前記認識した物体毎に再変換する再変換手段と、
前記再変換された平面正則画像を構成する画素情報群を、表示部へ表示させる所定の大きさの画面情報として前記認識した物体毎に生成する画面情報生成手段と、
前記生成された画面情報を前記端末装置へ出力する出力手段と、
を備えることを特徴とする会議システム。
【請求項8】
請求項7に記載の会議システムであって、
前記カメラは、当該カメラに搭載される広角レンズ又は全方位ミラーを天頂方向へ向けて配置されることを特徴とする会議システム。
【請求項9】
広角レンズ又は全方位ミラーによって第1の撮像中心から所定の撮像範囲内で撮像された被写体を歪円形画像として画像処理装置へ出力する機能と、ズーム機構を備えたレンズ群によって第2の撮像中心から所定の範囲内で撮像された被写体を平面正則画像として前記画像処理装置へ出力する機能を搭載した監視カメラと、前記入力された歪円形画像に基づいて画面情報を生成する前記画像処理装置と、
を備える監視システムであって、
前記監視カメラは、
当該カメラの撮像する位置を切り替えるパンチルト駆動手段と、
を備え、
前記画像処理装置は、
前記入力された歪円形画像に基づいて生成される当該歪円形画像を構成する画素情報群を記憶する歪円形画像記憶手段と、
前記記憶された歪円形画像を構成する画素情報群を、二次元的に視認可能な平面正則画像を構成する画素情報群に変換する変換手段と、
前記変換された平面正則画像を構成する画素情報群を格納する平面正則画像記憶手段と、
前記変換された平面正則画像に示される物体を認識する物体認識手段と、
前記記憶された平面正則画像上の任意の点に対応する画素情報の選択指示を受け付ける選択指示受付手段と、
前記選択指示が示す平面正則画像上の画素情報に対応する歪円形画像上の画素情報を特定する対応座標特定手段と、
予め算出された前記第1の撮像中心と前記第2の撮像中心に基づいて、前記第2の撮像中心を、前記対応座標特定手段によって特定された画素情報が示す位置に新たに設定するための距離情報を算出し、当該距離情報が示す位置に監視カメラを駆動させるための制御信号を前記パンチルト駆動手段に出力する位置制御手段と、
を備えることを特徴とする監視システム。
【請求項10】
外部から入力される広角レンズ又は全方位ミラーによって撮像された歪円形画像に基づいて生成される当該歪円形画像を構成する画素情報群を記憶する歪円形画像記憶工程と、
前記記憶された歪円形画像を構成する画素情報群を、二次元的に視認可能な平面正則画像を構成する画素情報群に変換する変換工程と、
前記変換された平面正則画像を構成する画素情報群を記憶する平面正則画像記憶工程と、
前記記憶された平面正則画像上の任意の点に対応する画素情報の選択指示を受け付ける選択指示受付工程と、
前記選択指示が示す平面正則画像上の画素情報に対応する歪円形画像上の画素情報を特定する対応座標特定工程と、
前記対応座標特定工程によって特定された画素情報を中心に、前記記憶された歪円形画像を構成する画素情報群を、二次元的に視認可能な平面正則画像を構成する画素情報群に再変換する再変換工程と、
を有することを特徴とする画像処理装置における画像処理方法。
【請求項11】
画像処理装置に含まれるコンピュータを、
外部から入力される広角レンズ又は全方位ミラーによって撮像された歪円形画像に基づいて生成される当該歪円形画像を構成する画素情報群を記憶する歪円形画像記憶手段、
前記記憶された歪円形画像を構成する画素情報群を、二次元的に視認可能な平面正則画像を構成する画素情報群に変換する変換手段、
前記変換された平面正則画像を構成する画素情報群を記憶する平面正則画像記憶手段、
前記記憶された平面正則画像上の任意の点に対応する画素情報の選択指示を受け付ける選択指示受付手段、
前記選択指示が示す平面正則画像上の画素情報に対応する歪円形画像上の画素情報を特定する対応座標特定手段、
前記対応座標特定手段によって特定された画素情報を中心に、前記歪円形画像を構成する画素情報群を、二次元的に視認可能な平面正則画像を構成する画素情報群に再変換する再変換手段、
として機能させることを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項1】
外部から入力される広角レンズ又は全方位ミラーによって撮像された歪円形画像に基づいて生成される当該歪円形画像を構成する画素情報群を記憶する歪円形画像記憶手段と、
前記記憶された歪円形画像を構成する画素情報群を、二次元的に視認可能な平面正則画像を構成する画素情報群に変換する変換手段と、
前記変換された平面正則画像を構成する画素情報群を記憶する平面正則画像記憶手段と、
前記記憶された平面正則画像上の任意の点に対応する画素情報の選択指示を受け付ける選択指示受付手段と、
前記選択指示が示す平面正則画像上の画素情報に対応する歪円形画像上の画素情報を特定する対応座標特定手段と、
前記特定された画素情報を中心に、前記記憶された歪円形画像を構成する画素情報群を、二次元的に視認可能な平面正則画像を構成する画素情報群に再変換する再変換手段と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像処理装置であって、
前記再変換された平面正則画像を構成する画素情報群に基づいて、表示部へ表示させる所定の大きさの画面情報を生成する画面情報生成手段と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の画像処理装置であって、
前記選択指示受付手段は、前記変換手段によって変換された平面正則画像上の複数の点に対応する画素情報の選択指示を受け付け、
前記対応座標特定手段は、前記選択指示が示す平面正則画像上のそれぞれの画素情報に対応する歪円形画像上の画素情報を特定し、
前記再変換手段は、前記特定されたそれぞれの画素情報を中心に、前記記憶された歪円形画像を構成する画素情報群を、二次元的に視認可能な平面正則画像を構成する画素情報に、前記対応座標特定手段によって特定されたそれぞれの画素情報毎に再変換することを特徴とする画像処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の画像処理装置であって、
前記生成された各画面情報を、前記表示部に同一の大きさに表示されるように表示態様を制御する表示制御手段と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか1項に記載の画像処理装置であって、
前記変換された平面正則画像に示される所定の物体を認識する物体認識手段と、を備え、
前記選択指示受付手段は、前記認識された物体上の任意の点に対応する画素情報の選択指示を受け付けることを特徴とする画像処理装置。
【請求項6】
外部から入力される広角レンズ又は全方位ミラーによって被写体を継続的に撮像した複数の歪円形画像に基づいて生成される当該複数の歪円形画像を構成する画素情報群を、各歪円形画像に対応付けて記憶する歪円形画像記憶手段と、
前記記憶された各歪円形画像を構成する画素情報群を、二次元的に視認可能な平面正則画像を構成する画素情報群に、前記各歪円形画像毎に変換する変換手段と、
前記変換された各平面正則画像を構成する画素情報群を記憶する平面正則画像記憶手段と、
前記変換された平面正則画像に示される特定の物体を認識する物体認識手段と、
前記認識した物体が平面正則画像で示す継時的な変化を、前記各平面正則画像毎に認識する動作認識手段と、
前記動作認識手段によって認識された前記各平面正則画像毎の物体上の任意の点に対応する歪円形画像上の画素情報を特定する第2の対応座標特定手段と、
前記第2の対応座標特定手段によって特定された各歪画像上の画素情報を中心に、前記歪円形画像を構成する画素情報群を、二次元的に視認可能な平面正則画像を構成する画素情報群に、第2の対応座標特定手段によって特定された各画素情報毎に再変換する再変換手段と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項7】
広角レンズ又は全方位ミラーによって撮像した被写体を歪円形画像として画像処理装置へ出力するカメラと、前記入力された歪円形画像に基づいて画面情報を生成して端末装置へ出力する前記画像処理装置と、を備えた会議システムであって、
前記画像処理装置は、
前記入力された歪円形画像に基づいて生成される当該歪円形画像を構成する画素情報群を記憶する歪円形画像記憶手段と、
前記記憶された歪円形画像を構成する画素情報群を、二次元的に視認可能な平面正則画像を構成する画素情報群に変換する変換手段と、
前記変換された平面正則画像を構成する画素情報群を格納する平面正則画像記憶手段と、
前記変換された平面正則画像に示される一又は複数の特定の物体を認識する物体認識手段と、
前記認識された物体上の任意の点に対応する画素情報の選択指示を、前記認識した物体毎に受け付ける選択指示受付手段と、
前記選択指示が示す平面正則画像上の画素情報に対応する歪円形画像上の画素情報を、前記認識した物体毎に特定する対応座標特定手段と、
前記対応座標特定手段によって特定された画素情報を中心に、前記記憶された歪円形画像を構成する画素情報群を、二次元的に視認可能な平面正則画像を構成する画素情報群に、前記認識した物体毎に再変換する再変換手段と、
前記再変換された平面正則画像を構成する画素情報群を、表示部へ表示させる所定の大きさの画面情報として前記認識した物体毎に生成する画面情報生成手段と、
前記生成された画面情報を前記端末装置へ出力する出力手段と、
を備えることを特徴とする会議システム。
【請求項8】
請求項7に記載の会議システムであって、
前記カメラは、当該カメラに搭載される広角レンズ又は全方位ミラーを天頂方向へ向けて配置されることを特徴とする会議システム。
【請求項9】
広角レンズ又は全方位ミラーによって第1の撮像中心から所定の撮像範囲内で撮像された被写体を歪円形画像として画像処理装置へ出力する機能と、ズーム機構を備えたレンズ群によって第2の撮像中心から所定の範囲内で撮像された被写体を平面正則画像として前記画像処理装置へ出力する機能を搭載した監視カメラと、前記入力された歪円形画像に基づいて画面情報を生成する前記画像処理装置と、
を備える監視システムであって、
前記監視カメラは、
当該カメラの撮像する位置を切り替えるパンチルト駆動手段と、
を備え、
前記画像処理装置は、
前記入力された歪円形画像に基づいて生成される当該歪円形画像を構成する画素情報群を記憶する歪円形画像記憶手段と、
前記記憶された歪円形画像を構成する画素情報群を、二次元的に視認可能な平面正則画像を構成する画素情報群に変換する変換手段と、
前記変換された平面正則画像を構成する画素情報群を格納する平面正則画像記憶手段と、
前記変換された平面正則画像に示される物体を認識する物体認識手段と、
前記記憶された平面正則画像上の任意の点に対応する画素情報の選択指示を受け付ける選択指示受付手段と、
前記選択指示が示す平面正則画像上の画素情報に対応する歪円形画像上の画素情報を特定する対応座標特定手段と、
予め算出された前記第1の撮像中心と前記第2の撮像中心に基づいて、前記第2の撮像中心を、前記対応座標特定手段によって特定された画素情報が示す位置に新たに設定するための距離情報を算出し、当該距離情報が示す位置に監視カメラを駆動させるための制御信号を前記パンチルト駆動手段に出力する位置制御手段と、
を備えることを特徴とする監視システム。
【請求項10】
外部から入力される広角レンズ又は全方位ミラーによって撮像された歪円形画像に基づいて生成される当該歪円形画像を構成する画素情報群を記憶する歪円形画像記憶工程と、
前記記憶された歪円形画像を構成する画素情報群を、二次元的に視認可能な平面正則画像を構成する画素情報群に変換する変換工程と、
前記変換された平面正則画像を構成する画素情報群を記憶する平面正則画像記憶工程と、
前記記憶された平面正則画像上の任意の点に対応する画素情報の選択指示を受け付ける選択指示受付工程と、
前記選択指示が示す平面正則画像上の画素情報に対応する歪円形画像上の画素情報を特定する対応座標特定工程と、
前記対応座標特定工程によって特定された画素情報を中心に、前記記憶された歪円形画像を構成する画素情報群を、二次元的に視認可能な平面正則画像を構成する画素情報群に再変換する再変換工程と、
を有することを特徴とする画像処理装置における画像処理方法。
【請求項11】
画像処理装置に含まれるコンピュータを、
外部から入力される広角レンズ又は全方位ミラーによって撮像された歪円形画像に基づいて生成される当該歪円形画像を構成する画素情報群を記憶する歪円形画像記憶手段、
前記記憶された歪円形画像を構成する画素情報群を、二次元的に視認可能な平面正則画像を構成する画素情報群に変換する変換手段、
前記変換された平面正則画像を構成する画素情報群を記憶する平面正則画像記憶手段、
前記記憶された平面正則画像上の任意の点に対応する画素情報の選択指示を受け付ける選択指示受付手段、
前記選択指示が示す平面正則画像上の画素情報に対応する歪円形画像上の画素情報を特定する対応座標特定手段、
前記対応座標特定手段によって特定された画素情報を中心に、前記歪円形画像を構成する画素情報群を、二次元的に視認可能な平面正則画像を構成する画素情報群に再変換する再変換手段、
として機能させることを特徴とする画像処理プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2012−89954(P2012−89954A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−233080(P2010−233080)
【出願日】平成22年10月15日(2010.10.15)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月15日(2010.10.15)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
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