説明

位相周波数検出回路およびPLL

【課題】 媒体の傷等の影響を受けず、変調マークに左右されずに安定に高速にPLLを引き込むことが可能な位相周波数検出回路およびPLLを提供することにある。
【解決手段】 再生信号に基づいて再生クロック信号を生成する回路において、前記再生クロック信号を生成する電圧制御発振器と、前記再生クロックから前記所定周期の信号を発生する第1の周期発生器と前記第1の周期発生器とは位相が異なり、前記再生クロックから前記所定周期の信号を発生する第2の周期発生器と、前記再生信号と前記第1の周期発生器の出力とを乗算する第1の乗算器と、前記再生信号と前記第2の周期発生器の出力とを乗算する第2の乗算器と、前記第1の乗算器の出力と第2の乗算器の出力に応じて前記電圧制御発振器の制御電圧を制御するPLL。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報媒体に記録されたデジタルデータを再生あるいはデジタルデータを記録する装置に関し、特にディスクに記録されている所定周波数の信号に同期した信号処理用のクロックを生成するフェーズロックドループあるいはその引き込み回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、光ディスク装置等のデータ記録再生装置では、図10の構成でクロック再生を行っている。図10はウォブルグルーブを持つディスクからウォブル信号を再生して、ウォブル信号にPLLをかけ、ウォブル信号に変調されているアドレスデータを再生するブロック図を示している。図10において、1は情報担体であるところの光ディスク。2は光ディスクを一定速度で回転させるスピンドルモータ。3は光ディスク1にビームを照射し、反射光を受光し、光電変換を行い、光ディスク1上の情報トラックからウォブル情報を再生信号として出力するピックアップ。4はピックアップ3の出力を増幅するアンプ。5はアンプ4の出力をデジタル値に変換するA/Dコンバータ。6はウォブル信号の周波数付近を通過させ他の周波数に存在するノイズ成分を除去するバンドパスフィルタ。7はBPF6の出力と、VCO11の出力であるところの再生クロックが供給され、ウォブル信号と再生クロックとの位相差を検出する位相誤差検出器。8位相誤差検出器の出力であるところの位相誤差が入力されるループフィルタ。9はループフィルタ8とループフィルタ13の出力を加算する加算器。10は加算器の出力をアナログ電圧に変換するD/Aコンバータ。11はD/Aコンバータの出力により発振周波数が変化する電圧制御発振器いわゆるVCOである。12はBPF6の出力が入力されウォブル信号の周波数を検出する周波数検出器。13は周波数検出器12の出力が入力され不要なノイズ成分を除去するループフィルタ。14はBPF6の出力から情報ビットの0,1を判定し2値化信号として出力するデータセパレータ。15は2値化された情報ビット列すなわちアドレス情報のエラーを訂正するエラーコレクションコード処理を行うECC。
【0003】
ディスク上のウォブルグルーブは所定のほぼ一定の周期で蛇行をしており、この周期が一定になるようにスピンドルモータ2を回転制御することによりディスクの走査速度すなわち線速度を所定の速度にすることができる。また、ウォブル信号に同期したクロックをPLLにより生成することで、ウォブルに変調してあるディスクの位置情報であるアドレス情報を再生することができる。またこのPLLのクロックはユーザーデータを記録するためのクロックとしても使われ、ウォブルグルーブに同期したユーザーデータを記録できるようにしている。
【0004】
内周、外周で規定回転速度のことなる線速度一定方式CLVのディスクなどでは、データアクセス、あるいはシーク動作等で半径位置の異なる領域に移動する場合はスピンドルの回転数を変化させる必要があり、スピンドルの応答が遅いために規定の回転数あるいは線速度にならないうちにウォブル再生信号に対しPLLをロックする必要がある。このため引き込み範囲の広いPLLが必要とされている。通常PLLはループ帯域程度の周波数偏差の範囲内でしか引き込み能力をもたないため、引き込み範囲を広げるために工夫が必要となる。この要求を実現するために図10にあるような構成のPLLが用いられている。位相誤差検出器7でウォブル信号とクロックとの位相を検出して通常のPLLを構成するとともに、ウォブル信号の周波数を測定して加算器9でVCOの制御電圧に加算することで、測定したウォブル周波数に近づくようにVCOを制御する。このような構成をとることで、規定の回転数から著しく離れた回転数であっても周波数検出によりVCOの発振周波数をウォブルの周波数に近づけることができ、位相ロックが可能となる。
【0005】
特開2001-266358号公報においても図10のような構成が用いられており、引き込みの安定化、ウォブルのない期間でのクロックの安定化が図られている。
【特許文献1】特開2001-266358号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、光ディスクの大容量化に伴い、記録情報の高密度化、光スポットの微細化、ウォブル構造の微細化が進んでいる。この為、ウォブル信号のS/Nが低下すると共に、ディスク上の欠陥、ごみ、傷等の影響でウォブルの欠落の影響を無視できなくなっている。また、ウォブルへのアドレス情報等の重畳もFM変調だけでなく、位相変調等が用いられ、これら欠陥、ごみ、傷あるいは位相変調部分において周波数検出結果に大きなノイズが発生し、PLLを引き込めなくなるばかりでなく、通常のPLL動作にも支障をきたしている。
【0007】
また、同様に光磁気ディスクISO640MBに代表されるエンボスピットによりヘッダー部がプリフォーマットされているのようなディスクにおいても、ユーザーデータの記録に先立ちPLLロックのためのプリアンブル、いわゆるVFOの部分での欠陥、ごみ、傷の影響でPLLの引き込みに、安定性の向上が望まれている。ユーザーデータに先立つプリアンブルは容量効率の観点から可能な限り短いほうが望ましく、短時間でPLLを引き込める方法も望まれている。
【0008】
本発明の目的は、記録媒体から再生される概略所定周期の再生信号に基づいて再生クロック信号を生成する回路において、媒体の傷等の影響を受けず、変調マークに左右されずに安定に高速にPLLを引き込むことが可能な位相周波数検出回路およびPLLを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明は、記録媒体から再生される概略所定周期の再生信号に基づいて再生クロック信号を生成する回路において、前記再生クロック信号を生成する電圧制御発振器と、前記再生クロックから前記所定周期の信号を発生する第1の周期発生器と前記第1の周期発生器とは位相が異なり、前記再生クロックから前記所定周期の信号を発生する第2の周期発生器と、前記再生信号と前記第1の周期発生器の出力とを乗算する第1の乗算器と、前記再生信号と前記第2の周期発生器の出力とを乗算する第2の乗算器と、前記第1の乗算器の出力と第2の乗算器の出力に応じて前記電圧制御発振器の制御電圧を制御するPLLを提供する。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように、本出願に係る第1の発明によれば、一定周期の再生信号に対して、速やかにPLLをかけることが可能になる。また、電圧制御発振器の周波数あるいはその分周された信号の周波数と再生信号の周波数との差が著しく大きい場合でも高速に引き込むことが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
(第1の実施例)
図1に本発明を実施した光ディスク装置のブロック図を示す。従来例である図10と同じ要素ブロックには同じ番号が付してある。
【0012】
ディスク1上の情報トラックは例えば0.3μピッチで案内溝が構成されており、この情報トラックにユーザー情報が記録される。またこの案内溝は20nm程度蛇行しており、いわゆるウォブルグルーブとなっている。案内溝は元来光ビームをトラックに沿ってトラッキングするためのもので、ディスク1からの反射光をトラックに沿った分割線で分割された光電変換センサで受光し、分割センサ出力の差動をとることで案内溝と光ビームのトラッキング偏差を検出することができる。プッシュプル法とよばれるトラッキング誤差検出法である。ウォブルグルーブは20nm程度と小さいながらも蛇行しているので、このプッシュプル法による検出で蛇行を検出することができる。このウォブルグルーブはトラッキングの動作に支障がないようにトラッキングサーボにとっては問題にならない高い周波数成分を持つようになっている。規定の線速度で再生されたときに例えば1MHzの周波数をもつようになっている。
【0013】
2はディスク1を回転させるスピンドルモータ、CLV動作を行うために、ディスク上の記録再生位置半径により回転数が変化するように制御される。
【0014】
3は光ディスク1にビームを照射し、反射光を受光し、光電変換を行い、光ディスク1上の情報トラックからウォブル情報を再生信号として出力するピックアップ。4はピックアップ3の出力を増幅するアンプ。5はアンプ4の出力をデジタル値に変換するA/Dコンバータ。6はウォブル信号の周波数付近を通過させ他の周波数に存在するノイズ成分を除去するバンドパスフィルタ。7はBPF6の出力と、VCO11の出力であるところの再生クロックが供給され、ウォブル信号と再生クロックとの位相差を検出する位相誤差検出器。8はPLLのループ特性を最適化するループフィルタ、10はループフィルタのデジタル出力値をアナログ電圧に変換するD/Aコンバータ。11はD/Aコンバータの出力電圧に応じて発振周波数が変わるクロックを出力するVCO。このクロックはA/D5のサンプリングクロック、位相誤差検出器7、位相誤差検出器20、あるいは種々のデジタル信号処理のクロックとして用いられる。20はBPF6の出力とVCOの出力であるところのクロックとの位相比較を行い位相誤差を出力する位相誤差検出器。後述するように位相誤差検出器7と位相誤差検出器20は位相的にシフトした位相誤差を検出する。21は位相進み遅れ検出器で位相誤差検出器7の出力信号と位相誤差検出器20の出力信号の位相差を用いてスイッチ22の制御信号を発生する。スイッチ22は位相進み遅れ検出器21の制御信号に応じて位相誤差検出器7とループフィルタ8との接続の開閉を行う。
【0015】
位相誤差検出器7と位相誤差検出器20の詳細ブロック図を図2に示す。
【0016】
31および35はカウンタでVCOの出力であるところのクロックをカウントするフルカウント64のカウンタである。本実施例の装置ではウォブル周波数1MHzに対してチャネルクロック周波数(ユーザー情報記録再生用のデータチャンネルクロック周波数)は64倍の64MHzとなっているので、カウンタ31と34は0から63までのカウント64クロック周期で一巡するカウンタにする。このカウンタ同士は完全に同期する必要があるので、図示せぬリセット端子で同時にリセット解除を行う必要がある。あるいはカウンタを2つ設けずに一つとしてカウント出力値のみを余弦波および正弦波テーブルに供給することも可能である。このカウンタ31と35の出力を各々正弦波テーブル32と余弦波テーブル36に供給して位相の90度異なった正弦波出力を生成する。
【0017】
この正弦波出力および余弦波出力とBPF6の出力信号であるところのウォブル信号を各々乗算、検波し、正弦波あるいはウォブル信号周波数の2倍の成分を除去するLPFを通すことで位相的にシフトした位相誤差信号を生成することができる。
【0018】
図3に各々位相誤差信号を示す。Aはウォブル信号、Bは正弦波テーブル32の出力。CはLPF34の出力。DはLPF38の出力である。ウォブル信号より正弦波テーブル出力のほうが周波数が高いので位相誤差検出器7の出力の方が位相誤差検出器20の出力より位相が進んでいる。
【0019】
図4に位相進み遅れ検出器21の詳細ブロック図を示す。
【0020】
図4において41は位相誤差検出器7の出力をゼロレベルで2値化する2値化回路、同様に42は位置誤差検出器20の2値化を行う回路。43は2値化回路41の出力の立ち上がりおよび立下りエッジでパルスを発生する立ち上がり立下りエッジ検出回路。例えば、入力信号とパルス幅分遅延させた入力信号のEXORをとることによって簡単に実現できる。44はD−フリップフロップ回路でクロックには立ち上がり立下りエッジ検出43の出力を接続し、D入力には2値化回路42の出力を接続する。位相進み遅れ検出器21の出力はスイッチ22の制御端子に接続される。位相進み遅れ検出器21出力が1のときにスイッチ22は閉じ、位相進み遅れ検出器21出力が0のときにスイッチは開く。位相誤差検出器7と位相誤差検出器20の位相関係によりウォブル信号とVCOから生成される正弦波、余弦波との速度差を検出することができ、これを用いてVCOに印加される位相誤差信号をON/OFFすることでウォブル信号とVCOから生成される正弦波、余弦波との速度差を急速に小さくすることができる。
【0021】
図5に本発明を実施した場合の各種信号波形を示す。
【0022】
Cは位相誤差検出器7の出力。Dは位相誤差検出器20の出力。Eは位相進み遅れ検出器21の出力。FはVCO11の入力。横軸は時間で表示上1が100μsであり500μs程度でPLLがロックしている。
【0023】
このように位相誤差検出7の出力のうち周波数差を小さくする方向の成分のみをループフィルタに出力することによりウォブル信号の周波数とVCOから生成される正弦波あるいは余弦波の周波数とが著しく異なる場合でも位相引き込みが可能となる。またループフィルタ8に積分要素をもたせることにより、より高速にPLL引き込みが可能になる。
【0024】
PLL引き込み後も、特別な切り換えの仕組みを持つことなく位相誤差成分のみによりPLLがかかり、周波数の語検出の影響を受けることなく安定にPLL動作が可能となる。大きな傷、欠陥等で位相進み遅れ検出器21がたとえ誤動作しても位相誤差信号出力をスイッチ22によりオフにするだけで、実質的にVCO駆動値を保持するだけなので、異常動作により悪影響を与えることがない。
【0025】
(第2の実施例)
図6は本発明を適用した第2の実施例の構成を示すブロック図である。第1の実施例におけるスイッチ22が3端子の切り換えスイッチ24となっており、位相進み遅れ検出器21が引き込み制御回路23となっている。
【0026】
引き込み制御回路23の詳細ブロックを図7に示す。
【0027】
図7において51は位相誤差検出器7の出力信号を2値化する2値化回路。同様に52は位相誤差検出器20の出力信号を2値化する。53は2値化回路51の出力の立ち上がりを検出してパルスを発行する立ち上がり検出回路。54は立ち上がり検出回路53の出力をクロック入力とし2値化回路52をD入力とするD−FF。56はD−FF54の出力の立ち上がりおよび立下りエッジを検出してパルスを出力する立ち上がり立下りエッジ検出回路。57はD−FF。55はD−FF54の出力レベルに応じて出力値として1あるいは−1を選択するスイッチ。
【0028】
D−フリップフロップ54は2値化回路51と2値化回路52の位相差を比較し、位相誤差検出回路7の位相が進んでいるときに0、遅れているときに1を出力する。つまり、VCOクロックの所定分周比(本実施例では64)の周波数が相対的にウォブル周波数よりも高い場合には0が出力される。スイッチ55はD−FF54の出力に応じて、0の場合は−1を出力する。
【0029】
D−FF57は図示せぬコントローラによってPLL引き込み開始時に出力が0にリセットされており、図6におけるスイッチ24は制御端子が0であり、接点2が選択されている状態となっている。
【0030】
例えば、VCOクロックの所定分周比(本実施例では64)の周波数が相対的にウォブル周波数よりも高い場合には、スイッチ24の接点2にはー1が出力されループフィルタ8の積分要素によりVCOの制御電圧は下がる方向に変化する。
【0031】
VCOの制御電圧が低下することでウォブル周波数に合致するようになると、位相誤差検出器7の出力と位相誤差検出器20の出力の位相関係が反転するのでD−FF54の出力は1となる。立ち上がり立下りエッジ検出56はD−FF54の立ち上がりに応答してパルスを出力しD−FF57の出力が1となる。このようにして図6におけるスイッチ24の第1接点と第3接点が接続し、位相誤差信号によるPLLがONとなる。このとき引き込み制御回路23によりVCOの所定分周比の周波数とウォブル周波数はほとんど近接しているので速やかにPLLをロックすることができる。
【0032】
スイッチ55が選択する1あるいはー1といった値は引き込み速度要求に応じて変更することが可能である。引き込み速度を上げたい場合は値の絶対値を大きくすればよい。
【0033】
このように2つの位相誤差信号から速度差の方向を検出して、VCOの周波数を変化させることで、PLLの帯域とは無関係に周波数引き込み速度をあげることができ、高速にPLLを引き込むことが可能となる。
【0034】
(第3の実施例)
図8は本発明を適用した第3の実施例におけるデータフォーマットを示した図である。
【0035】
ISO規格640MB3.5インチ光磁気ディスクに代表されるような、コンピュータ周辺機器用の光ディスクでは2KBのセクターに分割された領域にデータを記録するようになっている。例えば、図8のような構成となっており、エンボスピットで構成されたアドレス情報を持ったヘッダー部、ヘッダー部以外はデータ部であり、データ部はPLL引き込み用の一定周波数信号が記録されているVFO、その後引き続いて実際の情報データ部で構成されている。
【0036】
図9に第3の実施例における光ディスク再生装置のブロック図を示す。
情報データ部においては再生信号が単一周波数の信号とはならないため、データ再生専用のPLLにもちいる位相誤差検出器25を持つ。この位相検出器25は例えば、再生信号のゼロクロス付近のチャネルクロックでA/Dサンプルしたサンプル値を用いることで実現できる。当業者であれば周知のことであり、本発明の主眼ではないため説明は割愛する。25はスイッチで図示せぬタイミングコントローラによりスイッチ22側と位相誤差検出器25側とを切り換える。
【0037】
ピックアップのシーク動作を行い、所望のセクターへのアクセスが達成すると当該セクターのVFOの最初の部分でPLL引き込み動作に入る。
【0038】
第一の実施例で説明したように一定周期であるVFOとVCO出力クロックの引き込み動作を行うことができる。例えばVFOとして4T、すなわちVCO出力クロックの4倍の一定周波数信号が記録されているときには、正弦波テーブル、余弦波テーブルの出力信号もVFO相当の周波数の正弦波・余弦波を生成する。またチャネルクロックとVCOの発振周波数は等しい必要はなく例えば2倍の周波数で発振させ、チャネルクロックには2分周したものを用いることができる。そのときにはチャネルクロックの2倍の発振周波数のクロックで正弦波テーブル、および余弦波テーブルから正弦波・余弦波を生成することでより精密な正弦波形を生成することができる。
【0039】
PLL引き込み動作では第1の実施例での説明のように、位相誤差検出器7と位相誤差検出器20の出力信号の相対的な位相差におうじてスイッチ22を開閉することによりVFOの周波数とVCOにより生成される正弦波、余弦波の周波数が近づくようにVCOが制御され速やかにVCOをVFOにPLLすることができる。その後図示せぬコントローラは図8に示すフォーマット上、VFOの最後の部分、情報データの始まる手前でスイッチ26を位相誤差検出器25に切り換え、情報データ部分は位相誤差検出器25による通常のPLL動作に入る。また情報データの再生信号をデータセパレータ14で2値化し、ECC15によりエラーを訂正して上位のシステムにデータを転送する。
【0040】
このように、セクターフォーマットにおける記録データのVFO部において、2つの位相誤差検出器をもちいてVCOの制御電圧を制御することにより高速にPLLロックが可能になる。そのため、VFO部を短くすることが可能になり、情報データ部の容量を増やすことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の第1の実施例に係る光ディスク信号処理系のブロック図
【図2】本発明の実施例に係る位相誤差検出器の詳細ブロック図
【図3】本発明における位相誤差検出系各種信号波形
【図4】位相進み遅れ検出器の詳細ブロック図
【図5】本発明におけるPLL引き込み時の各種信号波形
【図6】本発明の第2の実施例に係る光ディスク信号処理系のブロック図
【図7】本発明の第2の実施例に係る引き込み制御の詳細ブロック図
【図8】本発明の第3の実施例に係る物理データフォーマット概略図
【図9】本発明の第3の実施例に係る光ディスク信号処理系のブロック図
【図10】従来の光ディスク信号処理系のブロック図
【符号の説明】
【0042】
1 光ディスク
2 スピンドルモータ
3 ピックアップ
4 アンプ
5 A/Dコンバータ
6 バンドパスフィルタ(BPF)
7 位相誤差検出器
8 ループフィルタ
10 D/Aコンバータ
11 VCO
14 データセパレータ
15 ECC
20 位相誤差検出器
21 位相進み遅れ検出器
22 スイッチ
23 引き込み制御ブロック
25 位相誤差検出器
32 正弦波テーブル
36 余弦波テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体から再生される概略所定周期の再生信号に基づいて再生クロック信号を生成する回路において、前記再生クロック信号を生成する電圧制御発振器と、前記再生クロックから前記所定周期の信号を発生する第1の周期発生器と前記第1の周期発生器とは位相が異なり、前記再生クロックから前記所定周期の信号を発生する第2の周期発生器と、前記再生信号と前記第1の周期発生器の出力とを乗算する第1の乗算器と、前記再生信号と前記第2の周期発生器の出力とを乗算する第2の乗算器とを持ち、前記第1の乗算器の出力と第2の乗算器の出力に応じて前記電圧制御発振器の制御電圧を制御することを特徴とするPLL。
【請求項2】
記録媒体から再生される概略所定周期の再生信号に基づいて再生クロック信号を生成する回路において、前記再生クロック信号を生成する電圧制御発振器と、前記再生クロックから前記所定周期の信号を発生する第1の周期発生器と前記第1の周期発生器とは位相が異なり、前記再生クロックから前記所定周期の信号を発生する第2の周期発生器と、前記再生信号と前記第1の周期発生器の出力とを乗算する第1の乗算器と、前記再生信号と前記第2の周期発生器の出力とを乗算する第2の乗算器とを持ち、前記第1の乗算器の出力と第2の乗算器の出力との位相差により再生信号と再生クロックの周波数の大小を検出する位相周波数検出回路。
【請求項3】
前記第1の乗算器と前記電圧制御発振器との間にあるスイッチと、前記第1の乗算器と第2の乗算器の位相差により前記スイッチの開閉を制御することを特徴とする請求項1に記載のPLL。
【請求項4】
前記記録媒体は情報を記録するためのトラックを持ち、前記トラックがトラック横断方向に蛇行した形態をもつことで前記所定周期の再生信号を発生させることを特徴とする請求項1に記載のPLL。
【請求項5】
前記記録媒体は情報を記録するためのトラックを持ち、前記トラックがトラック横断方向に蛇行した形態をもつことで前記所定周期の再生信号を発生させることを特徴とする請求項2に記載の位相周波数検出回路。
【請求項6】
前記記録媒体は情報が記録されており、前記情報に先立って情報に同期したクロックを得るための所定周期のパターンをもち、前記パターンの再生信号に基づいて再生クロックを再生することを特徴とする請求項1に記載のPLL。
【請求項7】
前記記録媒体は情報が記録されており、前記情報に先立って情報に同期したクロックを得るための所定周期のパターンをもち、前記パターンの再生信号に基づいて再生クロックを再生することを特徴とする請求項2に記載の位相周波数検出回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−277823(P2006−277823A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−94596(P2005−94596)
【出願日】平成17年3月29日(2005.3.29)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】